特許 7630982 吸収性パッド

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2025-02-07

(45)【発行日】2025-02-18

(54)【発明の名称】吸収性パッド

(51)【国際特許分類】

   A61F 13/533 20060101AFI20250210BHJP

   A61F 13/494 20060101ALI20250210BHJP

   A61F 13/505 20060101ALI20250210BHJP

   A61F 13/53 20060101ALI20250210BHJP

【ＦＩ】

A61F13/533

A61F13/494 110

A61F13/505 100

A61F13/53 300

【請求項の数】 11

(21)【出願番号】P 2020206908

(22)【出願日】2020-12-14

(65)【公開番号】P2022094091

(43)【公開日】2022-06-24

【審査請求日】2023-12-14

(73)【特許権者】

【識別番号】000115108

【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110000176

【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】川上 祐介

(72)【発明者】

【氏名】高 居▲乂▼

【審査官】冨江 耕太郎

(56)【参考文献】

【文献】特開２０１７－４７１６２（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１３－１３２４３３（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００８－２４６０８８（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００３－９３４４０（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００１－２７６１１６（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ａ６１Ｆ１３／１５－１３／８４

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

一対の立体ギャザー部を備えるおむつの内側に配されて使用可能な吸収性パッドであり、
長手方向と幅方向と厚さ方向を備え、
前記吸収性パッドの肌面を形成する肌側シートと、
前記吸収性パッドの非肌面を形成する非肌側シートと、
前記肌側シートと前記非肌側シートの間に配された吸収性コアと、
を有する吸収性パッドであって、
前記吸収性パッドの伸長状態において、前記長手方向における前記吸収性コアの最大長さが４００ｍｍ以上４７０ｍｍ以下であり、
前記吸収性パッドの単位面積当たりの最大保水量が３２００×１０^－６ｍｌ／ｍｍ^２以上であり、
前記肌側シートの肌面から前記非肌側シートの非肌面までの最大厚みが２ｍｍ以上４ｍｍ以下となるように、前記吸収性コアを前記厚さ方向に圧搾した複数の圧搾部を有することを特徴とする吸収性パッド。

【請求項2】

請求項１に記載の吸収性パッドであって、
前記吸収性パッドの単位面積当たりの最大保水量が３２００×１０^－６ｍｌ／ｍｍ^２以上となるように、前記吸収性コアがＳＡＰを備えることを特徴とする吸収性パッド。

【請求項3】

請求項２に記載の吸収性パッドであって、
前記吸収性コアに含まれる前記ＳＡＰの質量を、前記吸収性コアの質量で除した値が、４０％以上であることを特徴とする吸収性パッド。

【請求項4】

請求項１から３の何れか１項に記載の吸収性パッドであって、
前記吸収性パッドの推定単位体積当たりの最大保水量が８００×１０^－６ｍｌ／ｍｍ^３以上であることを特徴とする吸収性パッド。

【請求項5】

請求項１から４の何れか１項に記載の吸収性パッドであって、
前記吸収性パッドの伸長状態において、前記長手方向における前記吸収性パッドの最大長さが４７０ｍｍ以上５５０ｍｍ以下であることを特徴とする吸収性パッド。

【請求項6】

請求項１から５の何れか１項に記載の吸収性パッドであって、
前記吸収性パッドの伸長状態において、前記幅方向における前記吸収性コアの最大幅が１２０ｍｍ以上１８０ｍｍ以下であることを特徴とする吸収性パッド。

【請求項7】

請求項６に記載の吸収性パッドであって、
前記吸収性パッドの伸長状態において、前記幅方向における前記吸収性パッドの最大幅が１８０ｍｍ以上２２０ｍｍ以下であることを特徴とする吸収性パッド。

【請求項8】

請求項１から７の何れか１項に記載の吸収性パッドであって、
前記複数の圧搾部は、傾きの異なる線状圧搾部を複数有し、
複数の前記線状圧搾部によって囲まれた領域を複数有し、
前記領域内における前記肌側シートの肌面から前記非肌側シートの非肌面までの最大厚みが２ｍｍ以上４ｍｍ以下であることを特徴とする吸収性パッド。

【請求項9】

請求項１から８の何れか１項に記載の吸収性パッドであって、
前記吸収性パッドは、一対の他の立体ギャザー部を有し、
前記吸収性パッドの伸長状態において、前記幅方向における前記他の立体ギャザー部の先端から起立起点までの長さは、前記幅方向における前記他の立体ギャザー部の前記起立起点から前記吸収性パッドの外側端までの長さよりも短いことを特徴とする吸収性パッド。

【請求項10】

請求項１から８の何れか１項に記載の吸収性パッドであって、
前記吸収性パッドは、一対の他の立体ギャザー部を有し、
前記吸収性パッドの伸長状態において、前記幅方向における前記他の立体ギャザー部の先端から起立起点までの長さは、前記幅方向における前記他の立体ギャザー部の前記起立起点から前記吸収性パッドの外側端までの長さよりも長いことを特徴とする吸収性パッド。

【請求項11】

請求項１に記載の吸収性パッドであって、
前記吸収性コアに含まれるＳＡＰの質量を、前記吸収性コアの質量で除した値が、４０％以上であり、
前記吸収性パッドの伸長状態において、
前記長手方向における前記吸収性パッドの最大長さが４７０ｍｍ以上５５０ｍｍ以下であり、
前記幅方向における前記吸収性コアの最大幅が１２０ｍｍ以上１８０ｍｍ以下であり、
前記幅方向における前記吸収性パッドの最大幅が１８０ｍｍ以上２２０ｍｍ以下であることを特徴とする吸収性パッド。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、吸収性パッドに関する。

【背景技術】

【0002】

特許文献１には、外装シートと内面シートとその間に挟持された吸収体（吸収性コア）を備え、紙おむつ等のアウターと組み合わせて使用されるパッドタイプの吸収性物品が開示されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【文献】特開２０１７－２１７３２９号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

吸収性パッドを長時間使用可能にするために、吸収性パッドの保水量の増加が求められている。しかし、吸収性パッドの保水量を高めるために、吸収性パッドの平面サイズを単に大きくするだけでは、アウターの内側に吸収性パッドを配しての使用が難しくなってしまう。また、吸収性パッドの保水量を高めるために、吸収性コアの坪量（単位面積当たりの質量）を高めるにしたがって吸収性コアの厚みが増してしまう。そうすると、吸収性パッド装着の違和感を着用者に与えてしまう恐れがある。

【0005】

本発明は、上記のような問題を鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、おむつの内側に配されて使用可能な吸収性パッドであり、保水量を高めつつ、装着時の違和感を軽減した吸収性パッドを提供することである。

【課題を解決するための手段】

【0006】

上記目的を達成するための主たる発明は、一対の立体ギャザー部を備えるおむつの内側に配されて使用可能な吸収性パッドであり、長手方向と幅方向と厚さ方向を備え、前記吸収性パッドの肌面を形成する肌側シートと、前記吸収性パッドの非肌面を形成する非肌側シートと、前記肌側シートと前記非肌側シートの間に配された吸収性コアと、を有する吸収性パッドであって、前記吸収性パッドの伸長状態において、前記長手方向における前記吸収性コアの最大長さが４００ｍｍ以上４７０ｍｍ以下であり、前記吸収性パッドの単位面積当たりの最大保水量が３２００×１０^－６ｍｌ／ｍｍ^２以上であり、前記肌側シートの肌面から前記非肌側シートの非肌面までの最大厚みが２ｍｍ以上４ｍｍ以下となるように、前記吸収性コアを前記厚さ方向に圧搾した複数の圧搾部を有することを特徴とする吸収性パッドである。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。

【発明の効果】

【0007】

本発明によれば、おむつの内側に配されて使用可能な吸収性パッドであり、保水量を高めつつ、装着時の違和感を軽減した吸収性パッドを提供できる。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】展開かつ伸長状態のパッド１を肌面側から見た平面図である。

【図2】展開かつ伸長状態のパッド１を非肌面側から見た平面図である。

【図3】図１のＩ－Ｉ線でのパッド１の概略断面図である。

【図4】立体ギャザー部２０の第１固定部２３１及び第２固定部２３２の説明図である。

【図5】パッド１と併用されるテープ型おむつ３０の平面図である。

【図6】図６Ａは吸収性コア１０に設けられた圧搾部４０のパターンを示す図であり、図６Ｂは圧搾部４０が設けられる前の吸収性コア１０の断面図であり、図６Ｃは圧搾部４０が設けられた吸収性コア１０の断面図である。

【図7】図７Ａから図７Ｄはパッド１の装着状態を示す図である。

【図8】図８Ａ及び図８Ｂは立体ギャザー部２０の起立高さを説明する図である。

【図9】実施例と比較例１～１０のパッドのサイズと保水量をまとめた表である。

【発明を実施するための形態】

【0009】

本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
一対の立体ギャザー部を備えるおむつの内側に配されて使用可能な吸収性パッドであり、長手方向と幅方向と厚さ方向を備え、前記吸収性パッドの肌面を形成する肌側シートと、前記吸収性パッドの非肌面を形成する非肌側シートと、前記肌側シートと前記非肌側シートの間に配された吸収性コアと、を有する吸収性パッドであって、前記吸収性パッドの伸長状態において、前記長手方向における前記吸収性コアの最大長さが４００ｍｍ以上４７０ｍｍ以下であり、前記吸収性パッドの単位面積当たりの最大保水量が３２００×１０^－６ｍｌ／ｍｍ^２以上であり、前記肌側シートの肌面から前記非肌側シートの非肌面までの最大厚みが２ｍｍ以上４ｍｍ以下となるように、前記吸収性コアを前記厚さ方向に圧搾した複数の圧搾部を有することを特徴とする吸収性パッド。

【0010】

このような吸収性パッドによれば、保水量は高いが、圧搾部により厚みが比較的に薄くなっているため装着時の違和感が軽減される。また、保水量は高いが、吸収性コアの長さが比較的に短いため、おむつの内側に配されて使用可能である。特に、吸収性コアが配された吸収性パッドの部分を長手方向に折らずに、吸収性パッドの側部をおむつの立体ギャザー部の内側に収められる確率が高まる。

【0011】

かかる吸収性パッドであって、前記吸収性パッドの単位面積当たりの最大保水量が３２００×１０^－６ｍｌ／ｍｍ^２以上となるように、前記吸収性コアがＳＡＰを備えることを特徴とする吸収性パッド。

【0012】

このような吸収性パッドによれば、ＳＡＰにより保水量を高めつつ、吸収性パッドの厚みを薄くできる。

【0013】

かかる吸収性パッドであって、前記吸収性コアに含まれる前記ＳＡＰの質量を、前記吸収性コアの質量で除した値が、４０％以上であることを特徴とする吸収性パッド。

【0014】

このような吸収性パッドによれば、ＳＡＰにより保水量を高めつつ、吸収性パッドの厚みを薄くできる。

【0015】

かかる吸収性パッドであって、前記吸収性パッドの推定単位体積当たりの最大保水量が８００×１０^－６ｍｌ／ｍｍ^３以上であることを特徴とする吸収性パッド。

【0016】

このような吸収性パッドによれば、厚みが薄く装着時の違和感が軽減されつつ、保水量が高い。

【0017】

かかる吸収性パッドであって、前記吸収性パッドの伸長状態において、前記長手方向における前記吸収性パッドの最大長さが４７０ｍｍ以上５５０ｍｍ以下であることを特徴とする吸収性パッド。

【0018】

このような吸収性パッドによれば、吸収性パッドを長手方向に折らずに、又は、長手方向に折る吸収性パッドの長さを短くして、吸収性パッドの側部をおむつの立体ギャザー部の内側に収めることができる。

【0019】

かかる吸収性パッドであって、前記吸収性パッドの伸長状態において、前記幅方向における前記吸収性コアの最大幅が１２０ｍｍ以上１８０ｍｍ以下であることを特徴とする吸収性パッド。

【0020】

このような吸収性パッドによれば、吸収性コアが配された吸収性パッドの部分を幅方向に折らずに、吸収性パッドの側部をおむつの立体ギャザー部の内側に収められる確率が高まる。

【0021】

かかる吸収性パッドであって、前記吸収性パッドの伸長状態において、前記幅方向における前記吸収性パッドの最大幅が１８０ｍｍ以上２２０ｍｍ以下であることを特徴とする吸収性パッド。

【0022】

このような吸収性パッドによれば、吸収性パッドを幅方向に折らずに、又は、幅方向に折る吸収性パッドの長さを短くして、吸収性パッドの側部をおむつの立体ギャザー部の内側に収めることができる。

【0023】

かかる吸収性パッドであって、前記おむつの長手方向に前記おむつを展開かつ伸長させた状態において、前記おむつの長手方向における前記立体ギャザー部の起立起点間の長さが４７０ｍｍ以上であり、前記吸収性パッドの伸長状態において、前記長手方向における前記吸収性パッドの最大長さである製品長が、前記起立起点間の長さよりも長い場合、前記吸収性コアよりも前記長手方向の外側の前記吸収性パッドの部位が折り畳まれた状態で、前記吸収性パッドを前記おむつに装着可能であって、前記製品長が、前記起立起点間の長さ以下である場合、前記吸収性パッドが前記長手方向に折り畳まれていない状態で、前記吸収性パッドを前記おむつに装着可能であることを特徴とする吸収性パッド。

【0024】

このような吸収性パッドによれば、おむつと併用される際に、吸収性コアが配された吸収性パッドの部分が長手方向に折り畳まれない。そのため、吸収性パッドの装着時に段差が生じず、装着時の違和感が軽減される。

【0025】

かかる吸収性パッドであって、前記吸収性パッドが前記幅方向に折り畳まれていない状態で、前記吸収性パッドを前記おむつに装着可能であることを特徴とする吸収性パッド。

【0026】

このような吸収性パッドによれば、吸収性パッドの側部が折り畳まれたことで、横漏れしやすくなったり、吸収性パッドの吸収面が側部で覆われて吸収面積が減ったりしてしまうことを防止できる。

【0027】

かかる吸収性パッドであって、前記複数の圧搾部は、傾きの異なる線状圧搾部を複数有し、複数の前記線状圧搾部によって囲まれた領域を複数有し、前記領域内における前記肌側シートの肌面から前記非肌側シートの非肌面までの最大厚みが２ｍｍ以上４ｍｍ以下であることを特徴とする吸収性パッド。

【0028】

このような吸収性パッドによれば、複数の線状圧搾部によって非圧搾部を囲むことで、非圧搾部（吸収性パッド）の厚みを薄くでき、装着時の違和感が軽減される。

【0029】

かかる吸収性パッドであって、前記吸収性パッドは、一対の他の立体ギャザー部を有し、前記吸収性パッドの伸長状態において、前記幅方向における前記他の立体ギャザー部の先端から起立起点までの長さは、前記幅方向における前記他の立体ギャザー部の前記起立起点から前記吸収性パッドの外側端までの長さよりも短いことを特徴とする吸収性パッド。

【0030】

このような吸収性パッドによれば、吸収性パッドの立体ギャザー部を超えた排泄物を、吸収性パッドの幅方向の側部で堰き止めることができる。

【0031】

かかる吸収性パッドであって、前記吸収性パッドは、一対の他の立体ギャザー部を有し、前記吸収性パッドの伸長状態において、前記幅方向における前記他の立体ギャザー部の先端から起立起点までの長さは、前記幅方向における前記他の立体ギャザー部の前記起立起点から前記吸収性パッドの外側端までの長さよりも長いことを特徴とする吸収性パッド。

【0032】

このような吸収性パッドによれば、吸収性パッドの側部が内側に倒れてしまった場合にも、立体ギャザー部が覆われてしまうことを抑制でき、立体ギャザー部の起立性が確保される。

【0033】

かかる吸収性パッドであって、前記吸収性コアに含まれる前記ＳＡＰの質量を、前記吸収性コアの質量で除した値が、４０％以上であり、前記吸収性パッドの伸長状態において、前記長手方向における前記吸収性パッドの最大長さが４７０ｍｍ以上５５０ｍｍ以下であり、前記幅方向における前記吸収性コアの最大幅が１２０ｍｍ以上１８０ｍｍ以下であり、前記幅方向における前記吸収性パッドの最大幅が１８０ｍｍ以上２２０ｍｍ以下であることを特徴とする吸収性パッド。

【0034】

このような吸収性パッドによれば、保水量は高いが、圧搾部により厚みが比較的に薄くなっているため装着時の違和感が軽減される。また、保水量は高いが、吸収性コア及び吸収性パッドの長さと幅が比較的に短い。そのため、吸収性コアが配された吸収性パッドの部分を折らずに、又は、折る長さを短くして、吸収性パッドの側部をおむつの立体ギャザー部の内側に収めることができる。

【0035】

かかる吸収性パッドであって、前記おむつの長手方向に前記おむつを展開かつ伸長させた状態において、前記おむつの長手方向における前記立体ギャザー部の起立起点間の長さが４７０ｍｍ以上であり、前記吸収性パッドの伸長状態において、前記長手方向における前記吸収性パッドの最大長さである製品長が、前記起立起点間の長さよりも長い場合、前記吸収性コアよりも前記長手方向の外側の前記吸収性パッドの部位が折り畳まれた状態で、前記吸収性パッドを前記おむつに装着可能であって、前記製品長が、前記起立起点間の長さ以下である場合、前記吸収性パッドが前記長手方向に折り畳まれていない状態で、前記吸収性パッドを前記おむつに装着可能であり、前記吸収性パッドが前記幅方向に折り畳まれていない状態で、前記吸収性パッドを前記おむつに装着可能であることを特徴とする吸収性パッド。

【0036】

このような吸収性パッドによれば、おむつと併用される際に、吸収性コアが配された吸収性パッドの部分が長手方向に折り畳まれない。そのため、吸収性パッドの装着時に段差が生じず、装着時の違和感が軽減される。また、吸収性パッドの側部が幅方向に折り畳まれたことで、横漏れしやすくなったり、吸収性パッドの吸収面が側部で覆われて吸収面積が減ったりしてしまうことを防止できる。

【0037】

以下、本実施形態に係る吸収性パッドの一例として、大人用の尿取りパッドを例に挙げて説明する。尿取りパッドは、テープ型又はパンツ型の（使い捨て）おむつの内側に配されて、おむつと併用して使用可能であり、また、着用者の下着の内側に直接配されて単体でも使用可能である。

【0038】

＜＜尿取りパッド１の基本構成＞＞
図１は、展開かつ伸長状態の尿取りパッド１を肌面側から見た平面図である。図２は、展開かつ伸長状態の尿取りパッド１を非肌面側から見た平面図である。図３は、図１のＩ－Ｉ線での尿取りパッド１の概略断面図である。図４は、立体ギャザー部２０の第１固定部２３１及び第２固定部２３２の説明図である。

【0039】

尿取りパッド１（以下、単に「パッド」とも称す）は、その平面形状が長方形であり、互いに直交する長手方向と、幅方向と、厚さ方向を備える。長手方向は、パッド１の装着時に着用者の腹側から背側に向かう前後方向に沿う。また、厚さ方向において、着用者の肌に接触する側を肌面側又は肌側と称し、その反対側を非肌面側又は非肌側と称す。本実施形態のパッド１は長手方向に対称な構成であるため、パッド１の長手方向の何れの側が着用者の腹側に対応してもよい。また、テープ型又はパンツ型のおむつとは異なり、パッド１は、長手方向の一方側端部と他方側端部が着用者の胴回りに沿って連結されずに装着される。

【0040】

図３に示すように、パッド１は、吸収性コア１０と、吸収性コア１０よりも肌側に設けられた液透過性の肌側シート２と、吸収性コア１０よりも非肌側に設けられた液不透過性の非肌側シート３を有する。また、図２に示すように、パッド１は、非肌面側から視認可能な印刷領域Ｐを有していてもよい。

【0041】

吸収性コア１０としては、ＳＡＰ（高吸収性ポリマー）を含むパルプ等の液体吸収性繊維が所定の形状に成形されたものを例示できる。吸収性コア１０は、図３に示すように液透過性のコアラップシート１１で覆われていてもよいし、覆われていなくてもよい。

【0042】

また、パッド１は、幅方向の両側部において、肌側に起立可能な一対の立体ギャザー部２０（本発明の他の立体ギャザー部に相当）を有する。各立体ギャザー部２０は、長手方向に伸縮する弾性部材２１（例えば糸ゴム）と、一対のサイドシート２２を有する。図３に示すように、一対のサイドシート２２は、肌側シート２の幅方向の両側部上に設けられている。サイドシート２２の幅方向の内側端部は、非肌側に折り返されており、その折り返された部位の間において、弾性部材２１が長手方向に伸長状態でサイドシート２２に取り付けられている。これにより、サイドシート２２の一部が肌側に起立し、排泄物の横漏れを抑制できる。

【0043】

また、立体ギャザー部２０は、図４に示すように、サイドシート２２を肌側シート２の肌面に接着剤等で固定した第１固定部２３１及び第２固定部２３２を有する。第１固定部２３１は、サイドシート２２の長手方向の一端から他端に亘り連続して設けられている。第２固定部２３２は、第１固定部２３１よりも幅方向の内側であり、パッド１の長手方向の両端部に設けられている。また、第１固定部２３１よりも長さの短い第２固定部２３２は、パッド１の長手方向の各端部において、幅方向に間隔を空けて複数（ここでは３つ）設けられている。この場合、幅方向における第１固定部２３１の内側端の位置が、幅方向における立体ギャザー部２０の起立起点２０ａとなる。そして、長手方向における第２固定部２３２の内側端の位置が、長手方向における立体ギャザー部２０の起立起点２０ｂとなる。つまり、幅方向及び長手方向の起立起点２０ａ，２０ｂよりも内側の部位が立体ギャザー部２０の起立部となる。

【0044】

なお、パッド１の構成は上記に限定されない。例えば、パッド１は、立体ギャザー部２０を有さない構成であってもよいし、一対のサイドシート２２が１枚のシートから構成されていてもよい。また、パッド１の平面形状は長方形に限定されず、例えば長手方向の中央部が括れた砂時計形状等であってもよい。

【0045】

＜＜パッド１のサイズと保水量＞＞
図５は、パッド１と併用されるテープ型おむつ３０の平面図である。図６Ａは、吸収性コア１０に設けられた圧搾部４０のパターンを示す図であり、図６Ｂは、圧搾部４０が設けられる前の吸収性コア１０の断面図であり、図６Ｃは、圧搾部４０が設けられた吸収性コア１０の断面図である。図７Ａから図７Ｄは、パッド１の装着状態を示す図である。図８Ａ及び図８Ｂは、立体ギャザー部２０の起立高さを説明する図である。

【0046】

パッド１は、おむつの内側に配されて、おむつと併用して使用可能であり、また、着用者の下着の内側に直接配されて単体でも使用可能である。パッド１と併用されるおむつの一例として、テープ型おむつ３０を図５に示す。図５に示すおむつ３０のように、おむつの中には、幅方向の両側部において、肌側に起立可能な一対の立体ギャザー部３１を有するものがある。

【0047】

おむつ３０の立体ギャザー部３１も、パッド１の立体ギャザー部２０と同様に、おむつ３０の肌側シート３２の幅方向の両側部上に設けられた一対のサイドシート３１１と、おむつ３０の長手方向に伸縮する弾性部材（不図示）を有する。また、サイドシート３１１は、第１固定部３１２と第２固定部３１３において、接着剤等により肌側シート３２の肌面に固定されている。第１固定部３１２は、サイドシート３１１の長手方向の一端から他端に亘り連続して設けられている。第２固定部３１３は、第１固定部３１２よりも幅方向の内側であり、おむつ３０の長手方向の両端部において、幅方向に間隔を空けて複数設けられている。そして、幅方向における第１固定部３１２の内側端の位置が、幅方向における立体ギャザー部３１の起立起点３１ａとなり、長手方向における第２固定部３１３の内側端の位置が、長手方向における立体ギャザー部３１の起立起点３１ｂとなる。

【0048】

立体ギャザー部３１を有するおむつ３０の内側にパッド１を配して使用する場合、おむつ３０の立体ギャザー部３１の内側にパッド１の幅方向の側部を収めることが望ましい。そうすることで、パッド１の立体ギャザー部２０を超えた排泄物を、おむつ３０の立体ギャザー部３１で堰き止めることができ、おむつ３０からの排泄物の漏れを抑制できる。

【0049】

そのために、図５のおむつ３０にて点線で示す範囲にパッド１が収まることが望ましい。具体的には、おむつ３０の立体ギャザー部３１の幅方向一方側の起立起点３１ａから他方側の起立起点３１ａまでの範囲であり、立体ギャザー部３１の長手方向一方側の起立起点３１ｂから他方側の起立起点３１ｂまでの範囲に、パッド１が収まるとよい。以下の説明では、立体ギャザー部３１の幅方向一方側の起立起点３１ａから他方側の起立起点３１ａまでの長さＷ１を「幅方向の起点間長さＷ１」と称し、立体ギャザー部３１の長手方向一方側の起立起点３１ｂから他方側の起立起点３１ｂまでの長さＬ１を「長手方向の起点間長さＬ１」と称す。

【0050】

また、尿取りパッドには長時間使用可能な性能が求められている。そこで、本実施形態のパッド１では、パッド１の単位面積当たりの最大保水量を３２００×１０^－６ｍｌ／ｍｍ^２以上とする。より好ましくは、パッド１の単位面積当たりの最大保水量を４０００×１０^－６ｍｌ／ｍｍ^２以上とする。このようにパッド１の保水量を高めることで、繰り返し排泄されても漏れ難く、パッド１の長時間使用が可能となる。その結果、パッド１の交換回数が減り、介護者の負担を軽減でき、また、使用済みパッド１（ゴミ）の削減に繋がる。

【0051】

ただし、パッド１の保水量を高めるために、吸収性コア１０の平面サイズを単に大きくするだけでは、パッド１が大型化してしまい、おむつ３０の内側にパッド１を配しての使用が難しくなってしまう。特に、おむつ３０の立体ギャザー部３１の内側にパッド１の側部を収め難くなってしまう。

【0052】

そこで、本実施形態のパッド１では、パッド１の伸長状態において、長手方向における吸収性コア１０の最大長さＬ２（図１参照）を４００ｍｍ以上４７０ｍｍ以下とする。なお、パッド１の伸長状態とは、パッド１を皺なく伸長させた状態である。具体的には、パッド１を構成する各部材（例えばサイドシート２２等）の寸法が、パッド１が有する弾性部材の影響を受けない状態での、その部材単体の寸法と一致又はそれに近い長さになるまで、パッド１を伸長させた状態である。

【0053】

上記のように、吸収性コア１０の長さＬ２を抑えることで、吸収性コア１０が配されたパッド１の部分を長手方向に折らずとも、パッド１の側部をおむつ３０の立体ギャザー部３１の内側に収められる確率が高まる。厚みのある吸収性コア１０が折り畳まれないことで、パッド１に段差が生じず、装着時の違和感が軽減される。また、パッド１の段差部分で着用者との間に隙間が生じて排泄物が漏れてしまうことを抑制できる。

【0054】

また、立体ギャザー部を有する市販のおむつを調査すると、長手方向の起点間長さ（Ｌ１）が４７０ｍｍ～５６０ｍｍ程度であった。そのため、種々のおむつにパッド１を併用しても、吸収性コア１０が配されたパッド１の部分を長手方向に折らずにパッド１の側部をおむつ３０の立体ギャザー部３１の内側に収められる。

【0055】

一方、吸収性コア１０の最大長さを４００ｍｍ以上とすることで、吸収性コア１０の平面サイズが小さくなり過ぎることがなく、パッド１の保水量が確保される。

【0056】

また、パッド１の保水量を高めるために、吸収性コア１０の坪量、特にパルプ繊維等の液体吸収性繊維の坪量を高めるにしたがって、吸収性コア１０の厚みが増してしまう。そうすると、着用者に装着の違和感を与えてしまう。

【0057】

そこで、本実施形態のパッド１は、肌側シートの肌面から非肌側シートの非肌面までの最大厚みｔ１（図３参照）が２ｍｍ以上４ｍｍ以下となるように、吸収性コア１０を厚さ方向に圧搾した複数の圧搾部４０を有する。

【0058】

なお、圧搾部４０では、吸収性コア１０が圧搾されていない部位に比べて、吸収性コア１０が有する液体吸収性繊維の密度が高く、吸収性コア１０の厚みが薄くなっている。また、肌側シートとは、吸収性コア１０と厚さ方向に重なり、パッド１の肌面の大部分を形成するシートであり、本実施形態では液透過性の肌側シート２が相当する。また、非肌側シートとは、吸収性コア１０と厚さ方向に重なり、パッド１の非肌面の大部分を形成するシートであり、外装シートを有さない本実施形態のパッド１では、液不透過性の非肌側シート３が相当する。

【0059】

吸収性コア１０が圧搾される前（図６Ｂ）の厚さｔ３に比べて、吸収性コア１０の平面上の一部が圧搾されることで（図６Ｃ）、圧搾部４０だけでなく、非圧搾部の厚さｔ２も薄くなる。特に、吸収性コア１０がシートと共に圧搾される場合、圧搾部４０によりシートが厚さ方向の中心側に引っ張られるため、非圧搾部の厚みがシートにより抑えられて薄くなる。そのため、吸収性コア１０の保水量を高めるために、吸収性コア１０（特に液体吸収性繊維）の坪量を増やしても、圧搾部４０によって吸収性コア１０の厚みを抑えることができる。よって、パッド１の装着時の違和感が軽減される。

【0060】

なお、圧搾部４０では、吸収性コア１０の厚み一部が少なくとも圧搾されていればよい。本実施形態の圧搾部４０は、図６Ｃに示すように、吸収性コア１０とコアラップシート１１が圧搾されている。しかし、これに限らず、例えば、吸収性コア１０と共に肌側シート２や非肌側シート３が圧搾されていてもよい。また、図６Ｃに示す圧搾部４０では、吸収性コア１０が肌側から圧搾されているが、吸収性コア１０は非肌側から圧搾されてもよいし、厚さ方向の両側から圧搾されていてもよい。

【0061】

さらに、本実施形態のパッド１では、パッド１の単位面積当たりの最大保水量が３２００×１０^－６ｍｌ／ｍｍ^２以上となるように、吸収性コア１０がＳＡＰ（高吸収性樹脂）を備える。本実施形態のパッド１では、ＳＡＰの質量比率、すなわち吸収性コア１０に含まれるＳＡＰの質量を吸収性コア１０の質量で除した値を４０％以上としている。

【0062】

ＳＡＰの質量比率を高めることで、吸収性コア１０に含まれる液体吸収性繊維の坪量を軽減しつつ、吸収性コア１０の保水量を高めることができる。そのため、パッド１の保水量を高めつつ、パッド１の最大厚みｔ１を抑えることができる。

【0063】

ただし、本実施形態の吸収性コア１０は厚さ方向に圧搾される。そのため、ＳＡＰの質量比率を高め過ぎてしまうと、多くのＳＡＰが圧搾された部分が硬くなり、それによりコアラップシート１１等に孔が空いてしまう恐れがある。そのため、吸収性コア１０におけるＳＡＰの質量比率は７５％以下にすることが好ましい。

【0064】

また、パッド１の推定単位体積当たりの最大保水量が８００×１０^－６ｍｌ／ｍｍ^３以上であることが望ましい。本実施形態では、パッド１の平面全体の厚みが均一であると仮定した場合のパッド１の体積を、パッド１の推定体積とする。具体的には、厚さ方向に見たパッド１の平面積（ｍｍ^２）に、前述のパッド１の最大厚みｔ１（ｍｍ：肌側シート２の肌面から非肌側シート３の非肌面までの厚み）を乗じた体積（ｍｍ^３）を、パッド１の推定体積とする。よって、パッド１全体の最大保水量（ｍｌ）をパッド１の推定体積（ｍｍ^３）で除した値が、パッド１の推定単位体積当たりの最大保水量（ｍｌ／ｍｍ^３）となる。

【0065】

パッド１の推定単位体積当たりの最大保水量が８００×１０^－６ｍｌ／ｍｍ^３以上と高いということは、パッド１の単位厚み当たりの保水量が高いということである。そのようなパッド１であれば、パッド１の保水量が高く長時間使用可能であり、かつ、パッド１の最大厚みｔ１が抑えられているため装着時の違和感が軽減される。

【0066】

ここで、パッド１の単位面積当たりの最大保水量の測定方法として、以下の方法を例示する。まず、パッド１の質量を測定した後、生理食塩水(０．９％ＮａＣｌ)を入れた水槽中に、パッド１を、水面下２０ｍｍに斜めに入れて気泡の出ないようにした後、３０分間放置した。そして、パッド１を取り出し、金網上にパッド１の吸収面を下にして載せる。パッド１の上にアクリル板を載せて、その上から１０ｋｇの荷重をかける。２０分間放置する。パッド１の吸収面を外に向けて（パッド１が複数の場合パッド１が重ならいように）脱水機に並べ、９０秒間（１５０Ｇ）脱水をかける。その後、パッド１の質量を測定する。脱水後のパッド１の質量から吸水前のパッド１の質量を減じた値を、パッド１全体の保水量（ｍｌ）とする。そのパッド１全体の保水量（ｍｌ）を、厚さ方向に見たパッド１の平面積（ｍｍ^２）で除した値を、パッド１の単位面積当たりの最大保水量とする。なお、パッド１の平面積は、周知の方法にて測定可能である。例えば、パッド１の平面の各辺の長さを実際に測定して算出してもよいし、パッド１の平面を例えばデジタルマイクロスコープ等で撮影して、その撮影画像から自動面積測定機能を用いてパッド１の面積を取得してもよい。

【0067】

また、パッド１の最大厚みｔ１の測定方法として、以下の方法を例示する。まず、パッド１を製品長まで伸ばした状態にする。長手方向の２つ折りの折り目の片側へ約２０ｍｍ移動したところを測定対象の部位（肌側シートと吸収性コアと非肌側シートが積層された部位）とした。厚さを測定する機器（例えばＰＥＡＣＯＣＫ ＰＩＡＬＴＨＩＣＫＮＥＳＳ ＧＡＵＧＥ 直径５０ｍｍ 型式Ｔ０６７９５、又はそれと同等のもの）を用いて、パッド１の厚みを測定する。厚み測定時の荷重は３ｇ／ｃｍ^２とし、複数箇所の厚みの平均値をパッド１の最大厚みｔ１とするとよい。

【0068】

また、吸収性コア１０におけるＳＡＰの質量比率の測定方法として、以下の方法を例示する。まず、測定対象の吸収性コア１０から任意の質量のＳＡＰを取り出し、１ｍｏｌ／Ｌの塩酸を用いて中和滴定を行い、検量線を作成し、当該ＳＡＰのポリマー係数を割り出す。次に、厚さ方向に見た吸収性コア１０（コアラップシート１１で覆われていない状態）の平面積と、吸収性コア１０全体（ＳＡＰ＋液体吸収性繊維）の質量を測定する。その後、適量の塩化ナトリウムを溶解させたイオン交換水に、吸収性コア１０を投入し、１ｍｏｌ／Ｌの塩酸を１ｍｌずつ注入し、当該イオン交換水のｐＨを測定するｐＨメーターの数値が大きく変動した時点における塩酸の注入量を読み取る。その読み取った数値と上記のポリマー係数を掛けあわせたものが、吸収性コア１０に含まれていたＳＡＰの質量となる。ＳＡＰの質量を、吸収性コア１０全体の質量で除することで、吸収性コア１０におけるＳＡＰの質量比率が算出される。

【0069】

また、本実施形態のパッド１では、おむつ３０の立体ギャザー部３１の内側にパッド１の側部が収まるように、吸収性コア１０の長さＬ２を抑える（４７０ｍｍ以下とする）だけでなく、パッド１全体の長さを抑える。具体的には、パッド１の伸長状態において、長手方向におけるパッド１の最大長さ（製品長Ｌ３）を４７０ｍｍ以上５５０ｍｍ以下にする。

【0070】

前述したように、市販のおむつが有する立体ギャザー部の長手方向の起点間長さＬ１は４７０ｍｍ～５６０ｍｍ程度であった。そのため、パッド１の製品長Ｌ３を５５０ｍｍ以下とすることで、パッド１の一部を長手方向に折らずとも、おむつ３０の立体ギャザー部３１の内側にパッド１の側部が収まる確率が高まる。また、パッド１の一部を長手方向に折る必要がある場合にも折る長さが短くなるため、おむつ３０の立体ギャザー部３１の内側にパッド１の側部を収めやすくなる。一方、パッド１の製品長Ｌ３を４７０ｍｍ以上とすることで、吸収性コア１０の平面サイズが小さくなり過ぎることがなく、パッド１の保水量が確保される。

【0071】

また、パッド１の伸長状態において、幅方向における吸収性コア１０の最大幅Ｗ２（図１参照）が１２０ｍｍ以上１８０ｍｍ以下であることが好ましい。そうすることで、吸収性コア１０が配されたパッド１の部分を幅方向に折らずとも、パッド１の側部をおむつ３０の立体ギャザー部３１の内側に収められる確率が高まる。その結果、パッド１に段差が生じず、装着時の違和感が軽減され、また、パッド１の段差部分で着用者との間に隙間が生じて漏れやすくなってしまうことを防止できる。

【0072】

また、立体ギャザー部を有する市販のおむつを調査すると、幅手方向の起点間長さＷ１が１８０ｍｍ～２２０ｍｍ程度であった。そのため、種々のおむつにパッド１を併用しても、吸収性コア１０が配されたパッド１の部分を幅方向に折らずにパッド１の側部をおむつ３０の立体ギャザー部３１の内側に収められる。

【0073】

一方、吸収性コア１０の最大幅Ｗ２を１２０ｍｍ以上とすることで、吸収性コア１０の平面サイズが小さくなり過ぎることがなく、パッド１の保水量が確保される。

【0074】

さらに、パッド１の伸長状態において、幅方向におけるパッド１の最大幅（製品幅）Ｗ３が１８０ｍｍ以上２２０ｍｍ以下であることが望ましい。市販のおむつが有する立体ギャザー部の幅方向の起点間長さＷ１は１８０ｍｍ～２２０ｍｍ程度であるため、パッド１の最大幅Ｗ３を２２０ｍｍ以下とすることで、パッド１の一部を幅方向に折らずとも、おむつ３０の立体ギャザー部３１の内側にパッド１の側部が収まる確率が高まる。また、パッド１の一部を幅方向に折る必要がある場合にも折る長さが短くなるため、おむつ３０の立体ギャザー部３１の内側にパッド１の側部を収めやすくなる。

【0075】

特に、パッド１が立体ギャザー部２０を有する場合、上記であることが望ましい。そうすることで、立体ギャザー部２０の起立部（幅方向の起立起点３１ａよりも内側のサイドシート２２の部分）が折り畳まれ難い。その結果、パッド１の立体ギャザー部２０の起立高さが確保され、横漏れを抑制できる。

【0076】

一方、パッド１の製品幅Ｗ３を１８０ｍｍ以上とすることで、吸収性コア１０の平面サイズが小さくなり過ぎることがなく、パッド１の保水量が確保される。

【0077】

しかし、上記に限定されず、長手方向におけるパッド１の最大長さが４７０ｍｍより短くてもよいし、５５０ｍｍより長くてもよい。また、幅方向における吸収性コア１０の最大幅が１２０ｍｍより短くてもよいし、１８０ｍｍより長くてもよい。また、幅方向におけるパッド１の幅が１８０ｍｍより短くてもよいし、２２０ｍｍより長くてもよい。

【0078】

以上をまとめると、本実施形態のパッド１では、長手方向における吸収性コア１０の最大長さＬ２が４７０ｍｍ以下である。そのため、立体ギャザー部３１の長手方向の起点間長さＬ１が４７０ｍｍ以上であるおむつ３０と併用するときに、以下の装着が可能となる。まず、パッド１の製品長Ｌ３が、おむつ３０の立体ギャザー部３１の長手方向の起点間長さＬ１よりも長い場合（Ｌ３＞Ｌ１）、図７Ａに示すように、吸収性コア１０よりも長手方向の外側のパッド１の部位が折り畳まれた状態で、パッド１をおむつ３０に装着可能である。一方、パッド１の製品長Ｌ３が、おむつ３０の立体ギャザー部３１の長手方向の起点間長さＬ１以下である場合（Ｌ３≦Ｌ１）、図７Ｂに示すように、パッド１が長手方向に折り畳まれていない状態で、パッド１をおむつ３０に装着可能である。

【0079】

パッド１の幅方向についても同様に装着可能である。つまり、パッド１の製品幅Ｗ３が、おむつ３０の立体ギャザー部３１の幅方向の起点間長さＷ１よりも長い場合（Ｗ３＞Ｗ１）、図７Ｃに示すように、吸収性コア１０よりも幅方向の外側のパッド１の部位が折り畳まれた状態で、パッド１をおむつ３０に装着可能である。一方、パッド１の製品幅Ｗ３が、おむつ３０の立体ギャザー部３１の幅方向の起点間長さＷ１以下である場合（Ｗ３≦Ｗ１）、図７Ｄに示すように、パッド１が幅方向に折り畳まれていない状態で、パッド１をおむつ３０に装着可能である。

【0080】

しかし、図７Ｄに示すように、パッド１が幅方向に折り畳まれていない状態で、パッド１をおむつ３０に装着可能であることが望ましい。そうすることで、パッド１の立体ギャザー部２０の起立高さが確保される。また、パッド１の側部が非肌側に折り返されたことで排泄物が横漏れしやすくなってしまうことを防止できる。また、パッド１の側部が肌側に折り返されたことで、パッド１の吸収面がパッド１の側部で覆われて、パッド１の吸収面積が減少してしまうことを防止できる。

【0081】

また、本実施形態のパッド１は、パッド１の厚みｔ１を薄くするために吸収性コア１０を圧搾した複数の圧搾部４０を有する。複数の圧搾部４０は、線状に形成された線状圧搾部でもよいし、点在した圧搾部でもよい。また、線状圧搾部は、連続して圧搾された溝状の圧搾部でもよいし、点状の圧搾部が線状に並んだ圧搾部でもよい。

【0082】

本実施形態のパッド１（吸収性コア１０及びコアラップシート１１）では、図６Ａに示すように、長手方向に延びた波状の線状圧搾部４０が幅方向に複数並んでいる。幅方向に隣り合う線状圧搾部４０の凹凸は長手方向にずれている。すなわち、長手方向の或る位置において、或る線状圧搾部４０では幅方向の一方側に凸となる波形状（４０ａ，４０ｂ）であるのに対して、隣の線状圧搾部４０では幅方向の逆側に凸となる波形状（４０ｃ，４０ｄ）である。つまり、本実施形態のパッド１は、傾きの異なる線状圧搾部（例えば４０ａ～４０ｄ）を複数有し、複数の線状圧搾部（例えば４０ａ～４０ｄ）によって囲まれた非圧搾部の領域Ｒを複数有する。そして、非圧搾部の領域Ｒ内におけるパッド１の最大厚みｔ１（肌側シート２の肌面から非肌側シート３の非肌面までの最大厚み）が２ｍｍ以上４ｍｍ以下となっている。

【0083】

このように線状圧搾部４０で非圧搾部を囲んで区画することで、パッド１の最大厚みｔ１をより薄くできる。よって、装着時の違和感がより軽減される。なお、非圧搾部の領域Ｒを複数の線状圧搾部で隙間なく囲うに限らず、複数の線状圧搾部の一部又は全て（例えば線状圧搾部４０ａと４０ｃや４０ｂと４０ｄ）が交点を有さず、離間していてもよい。

【0084】

また、本実施形態のパッド１は、一対の立体ギャザー部２１を有する。図４に示すように、幅方向における立体キャザー部２０の起立起点２０ａは、吸収性コア１０よりも幅方向の外側に位置しているとよい。そうすることで、立体ギャザー部２０が有する弾性部材２１の伸縮力が、吸収性コア１０の剛性の影響を受け難く、しっかりと作用するため、立体ギャザー部２０の起立性が確保される。よって、パッド１からの排泄物の漏れを抑制でき、下着やおむつ３０の汚れを防止できる。

【0085】

また、本実施形態のパッド１では、図４に示すように、パッド１の伸長状態において、幅方向における立体ギャザー部２０の先端２０ｃ（サイドシート２２の幅方向の内側端）から起立起点２０ａまでの長さＷ３が、幅方向における立体ギャザー部２０の起立起点２０ａからパッド１の外側端１ａまでの長さＷ４よりも長くなっている。この場合、図８Ａに示すように、立体ギャザー部２０の起立部の高さの方が、立体ギャザー部２０の起立起点２０ａよりも外側のパッド１の側部の高さよりも高くなる。そのため、パッド１の側部が幅方向の内側に倒れてしまった場合にも、パッド１の側部が立体ギャザー部２０を覆ってしまうことを防止できる。よって、立体ギャザー部２０の起立性が確保される。

【0086】

しかし、上記とは逆に、パッド１の伸長状態において、幅方向における立体ギャザー部２０の先端２０ｃから起立起点２０ａまでの長さを、幅方向における立体ギャザー部２０の起立起点２０ａからパッド１の外側端１ａまでの長さよりも短くしてもよい。その場合、図８Ｂに示すように、立体ギャザー部２０の起立起点２０ａよりも幅方向の外側のパッド１の側部の高さの方が、立体ギャザー部２０の起立部の高さよりも高くなる。そのため、立体ギャザー部２０を超えた排泄物を、パッド１の側部で堰き止めることができる。

【0087】

＝＝＝実施例＝＝＝
図９は、実施例と比較例１～１１のパッドのサイズと保水量をまとめた表である。前述の実施形態にて説明した構成のパッドを作成し、実施例のサンプルとした。実施例のサンプルでは、製品長を５５０ｍｍとし、吸収性コアの長さを４７０ｍｍ、幅を１４０ｍｍとした。また、吸収性コアにおけるＳＡＰの質量比率を４０％以上とした。これに対して、市販の尿取りパッドを比較例１～１１のサンプルとした。

【0088】

そして、実施例と比較例１～１１のサンプルについて、サイズと、サンプルの単位面積当たりの最大保水量を測定した。サンプルの厚みは、肌側シートの肌面から非肌側シートの非肌面までの最大厚みである。また、サンプルの厚みと保水量の測定は、前述の測定方法にて行った。また、サンプルの長さや幅の測定は、サンプルを展開かつ伸長させた状態にて行った。また、吸収性コアの平面形状が砂時計形状であるサンプルについては、吸収性コアの最大幅を測定した。

【0089】

実施例のサンプルでは、図６Ａに示すように吸収性コアとコアラップシートに圧搾部を設けた結果、厚みは４．０ｍｍであった。また、サンプルの単位面積当たりの最大保水量は４７１０×１０^－６ｍｌ／ｍｍ^２であった。

【0090】

比較例１のサンプルは、ユニ・チャーム（株）製、商品名「Lifree成人紙尿片」である。製品長は４９０ｍｍ、吸収性コアの長さは４１０ｍｍ、幅は１４０ｍｍ、厚みは３．５ｍｍであった。また、サンプルの単位面積当たりの最大保水量は２６２４×１０^－６ｍｌ／ｍｍ^２であった。

【0091】

比較例２のサンプルは、恒安(中国)衛生用品有限公司製、商品名「elderjoy-夜安心-加長防漏（Ｍサイズ）成人紙尿片」である。製品長は５８０ｍｍ、吸収性コアの長さは４９０ｍｍ、幅は１３０ｍｍ、厚みは５．１ｍｍであった。また、サンプルの単位面積当たりの最大保水量は２４０４×１０^－６ｍｌ／ｍｍ^２であった。

【0092】

比較例３のサンプルは、恒安(中国)衛生用品有限公司製、商品名「elderjoy-夜安心-加長防漏（Ｌサイズ）成人紙尿片」である。製品長は６８０ｍｍ、吸収性コアの長さは６００ｍｍ、幅は１３０ｍｍ、厚みは５．４ｍｍであった。また、サンプルの単位面積当たりの最大保水量は２９５０×１０^－６ｍｌ／ｍｍ^２であった。

【0093】

比較例４のサンプルは、恒安(中国)衛生用品有限公司製、商品名「elderjoy-夜安心-貼身防漏（Ｍサイズ）」である。製品長は６３０ｍｍ、吸収性コアの長さは５１５ｍｍ、幅は２８０ｍｍ、厚みは６．３ｍｍであった。また、サンプルの単位面積当たりの最大保水量は１５５０×１０^－６ｍｌ／ｍｍ^２であった。

【0094】

比較例５のサンプルは、恒安(中国)衛生用品有限公司製、商品名「elderjoy-夜安心-貼身防漏（Ｌサイズ）」である。製品長は６９０ｍｍ、吸収性コアの長さは６１０ｍｍ、幅は２９０ｍｍ、厚みは６．８ｍｍであった。また、サンプルの単位面積当たりの最大保水量は１６２６×１０^－６ｍｌ／ｍｍ^２であった。

【0095】

比較例６のサンプルは、維達商貿有限公司製、商品名「添▲寧▼全效防漏（Ｍ～Ｌサイズ）成人紙尿片」である。製品長は５９０ｍｍ、吸収性コアの長さは５２５ｍｍ、幅は２７０ｍｍ、厚みは７．４ｍｍであった。また、サンプルの単位面積当たりの最大保水量は１６５９×１０^－６ｍｌ／ｍｍ^２であった。

【0096】

比較例７のサンプルは、維達商貿有限公司製、商品名「添▲寧▼夜用長效（Ｍ～ＸＬサイズ）成人紙尿片」である。製品長は７００ｍｍ、吸収性コアの長さは６２５ｍｍ、幅は３０５ｍｍ、厚みは８．９ｍｍであった。また、サンプルの単位面積当たりの最大保水量は２１２４×１０^－６ｍｌ／ｍｍ^２であった。

【0097】

比較例８のサンプルは、維達商貿有限公司製、商品名「包大人長効防漏（Ｌサイズ）成人紙尿片」である。製品長は８２０ｍｍ、吸収性コアの長さは７２５ｍｍ、幅は２２０ｍｍ、厚みは３．９ｍｍであった。また、サンプルの単位面積当たりの最大保水量は１２０９×１０^－６ｍｌ／ｍｍ^２であった。

【0098】

比較例９のサンプルは、杭州可靠護理用品有限公司製、商品名「可靠直条型成人紙尿片」である。製品長は８２０ｍｍ、吸収性コアの長さは７１０ｍｍ、幅は２３０ｍｍ、厚みは３．７ｍｍであった。また、サンプルの単位面積当たりの最大保水量は１２２０×１０^－６ｍｌ／ｍｍ^２であった。

【0099】

比較例１０のサンプルは、杭州可靠護理用品有限公司製、商品名「可靠８字形防漏型成人紙尿片」である。製品長は５９０ｍｍ、吸収性コアの長さは５１０ｍｍ、幅は２８０ｍｍ、厚みは４．９ｍｍであった。また、サンプルの単位面積当たりの最大保水量は１３８１×１０^－６ｍｌ／ｍｍ^２であった。

【0100】

比較例１１のサンプルは、杭州可靠護理用品有限公司製、商品名「吸収宝成人紙尿片」である。製品長は７２０ｍｍ、吸収性コアの長さは５７０ｍｍ、幅は１６５ｍｍ、厚みは４．３ｍｍであった。また、サンプルの単位面積当たりの最大保水量は１３１０×１０^－６ｍｌ／ｍｍ^２であった。

【0101】

比較例１～１１のサンプルでは、単位面積当たりの最大保水量が３２００×１０^－６ｍｌ／ｍｍ^２未満であるのに対して、実施例のサンプルでは、単位面積当たりの最大保水量が３２００×１０^－６ｍｌ／ｍｍ^２以上であった。そのため、実施例のサンプルは、長時間の使用が可能である。

【0102】

また、実施例のサンプルでは保水量が高いにも関わらず、比較例２～１１のサンプルよりも、製品長、及び、吸収性コアの長さが短かった。そのため、実施例のサンプルによれば、おむつと併用する際に、パッドを長手方向に折らずに、又は、折る長さを短くして、パッドの側部をおむつの立体ギャザー部の内側に収めることができる。

【0103】

また、実施例のサンプルは圧搾部を有するため、保水量が高いにも関わらず、比較例のサンプルと同等の厚みであった。そのため、実施例のサンプルによれば、装着時の違和感が軽減される。

【0104】

以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのは言うまでもない。

【符号の説明】

【0105】

１ （尿取り）パッド（吸収性パッド）、
１０ 吸収性コア、１１ コアラップシート、
２ 肌側シート、３ 非肌側シート、
２０ 立体ギャザー部（他の立体ギャザー部）、
２１ 弾性部材、２２ サイドシート、
２３１ 第１固定部、２３２ 第２固定部、
３０ おむつ、３１ 立体ギャザー部、３１１ サイドシート、
３１２ 第１固定部、３１３ 第２固定部、３２ 肌側シート、
４０ （線状）圧搾部、

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】