(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-07
(45)【発行日】2025-02-18
(54)【発明の名称】基板処理装置、プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20250210BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 643A
H01L21/304 651B
(21)【出願番号】P 2022530073
(86)(22)【出願日】2021-05-12
(86)【国際出願番号】 JP2021018096
(87)【国際公開番号】W WO2021251050
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2023-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2020100421
(32)【優先日】2020-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】今井 正芳
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 充
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-175002(JP,A)
【文献】特開2017-005230(JP,A)
【文献】特開2017-041509(JP,A)
【文献】特開2002-110612(JP,A)
【文献】特開2014-078630(JP,A)
【文献】特開2014-179525(JP,A)
【文献】特開2010-050436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B08B 3/04
B08B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する基板処理装置であって、
前記基板を保持して回転させる基板保持部と、
液体を液体ノズルから前記基板上に供給する液体供給機構と、
乾燥流体を乾燥流体ノズルから前記基板上に供給する乾燥流体供給機構と、
前記液体ノズルおよび前記乾燥流体ノズルを移動させるノズル移動機構と、
前記基板保持部、前記液体供給機構、および前記乾燥流体供給機構の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記基板保持部に指令を発して、第1の速度で前記基板を回転させ、
前記液体供給機構に指令を発して、前記基板の中心部上方に位置させた前記液体ノズルから前記基板に所定時間だけ前記液体を供給させて前記基板全面に液膜を形成させ、
前記液体供給機構に指令を発して、前記液体の供給を停止させ、
前記第1の速度で前記基板を回転させた後、前記基板保持部に指令を発して、第2の速度で前記基板を回転させ、
前記第2の速度で前記基板を回転させた後、前記基板保持部に指令を発して、第3の速度で前記基板を回転させながら、前記乾燥流体供給機構に指令を発して、前記基板の中心部上方に位置させた前記乾燥流体ノズルから前記基板に所定時間だけ乾燥流体を供給させ、
次いで、前記乾燥流体ノズルからの前記乾燥流体の供給を継続させながら、前記ノズル移動機構に指令を発して、前記基板の中心部から前記基板の周縁部に向かって前記乾燥流体ノズルを移動させるように構成されており、
前記第1の速度は、前記基板上に前記液体の膜を形成するための液膜形成速度と、前記膜の中央部を薄くするための薄膜形成速度を含み、
前記制御部は、前記液膜形成速度で前記基板を回転させた後、前記基板保持部に指令を発して前記薄膜形成速度で前記基板を回転させるように構成されており、
前記薄膜形成速度は、前記液膜形成速度よりも速い速度である、基板処理装置。
【請求項2】
前記第2の速度は、前記第1の速度よりも速い速度である、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記乾燥流体ノズルが前記基板の周縁部上方に位置したときに、前記ノズル移動機構に指令を発して、所定時間前記乾燥流体ノズルの移動を停止させて前記基板の周縁部を乾燥させるように構成されている、請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
不活性ガスを不活性ガスノズルから前記基板上に供給する不活性ガス供給機構をさらに備え、
前記制御部は、前記基板の周縁部上方に位置する前記乾燥流体ノズルから供給された乾燥流体が前記基板の周縁部を乾燥させた後に、前記ノズル移動機構に指令を発して、前記不活性ガスノズルが前記基板の中心部上方に位置するように前記不活性ガスノズルを移動させ、前記不活性ガス供給機構に指令を発して、前記不活性ガスノズルから前記不活性ガスを前記基板の中心部に供給させるように構成されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
不活性ガスを不活性ガスノズルから前記基板上に供給する不活性ガス供給機構をさらに備え、
前記制御部は、前記乾燥流体が前記基板上に供給され、かつ第4の速度で前記基板が回転している状態で、前記不活性ガス供給機構に指令を発して、前記不活性ガスノズルから前記基板上に前記不活性ガスを供給させ、かつ前記ノズル移動機構に指令を発して、前記基板の中心部から前記基板の周縁部に向かって前記不活性ガスノズルを移動させるように構成されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記不活性ガスノズルは、前記乾燥流体ノズルおよび前記不活性ガスノズルの移動方向に関して、前記乾燥流体ノズルの後方に配置されている、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記ノズル移動機構は、
前記液体ノズル、前記乾燥流体ノズル、および前記不活性ガスノズルをともに保持する1つのアームを備えている、請求項4乃至6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記ノズル移動機構は、前記乾燥流体ノズルに隣接して配置されたヒーターを備えている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記乾燥流体供給機構は、前記乾燥流体ノズルに接続された導電性の乾燥流体供給ラインをさらに備えている、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記基板保持部の上方に配置された換気機構と、
排気ダクトをさらに備え、
前記換気機構および前記排気ダクトは、空気のダウンフローを形成するように構成されている、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記乾燥流体は液状の有機溶剤である、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記乾燥流体は、気体状の有機溶剤が含まれた気体であり、
前記乾燥流体中の有機溶剤の含有率は8%~30%である、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記基板処理装置は、前記基板保持部に保持される前記基板の周囲に配置されたカバーを備えており、
前記カバーは、前記基板と同一の回転方向で、かつ前記基板と同一の回転速度で回転可能に構成されている、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項14】
基板を処理する基板処理装置であって、
前記基板を保持して回転させる基板保持部と、
液体を液体ノズルから前記基板上に供給する液体供給機構と、
乾燥流体を乾燥流体ノズルから前記基板上に供給する乾燥流体供給機構と、
前記液体ノズルおよび前記乾燥流体ノズルを移動させるノズル移動機構と、
前記基板保持部、前記液体供給機構、および前記乾燥流体供給機構の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記基板保持部に指令を発して、第1の速度で前記基板を回転させ、
前記液体供給機構に指令を発して、前記基板の中心部上方に位置させた前記液体ノズルから前記基板に所定時間だけ前記液体を供給させて前記基板全面に液膜を形成させ、
前記液体供給機構に指令を発して、前記液体の供給を停止させ、
前記第1の速度で前記基板を回転させた後、前記基板保持部に指令を発して、第2の速度で前記基板を回転させ、
前記第2の速度で前記基板を回転させた後、前記基板保持部に指令を発して、第3の速度で前記基板を回転させながら、前記乾燥流体供給機構に指令を発して、前記基板の中心部上方に位置させた前記乾燥流体ノズルから前記基板に所定時間だけ乾燥流体を供給させ、
次いで、前記乾燥流体ノズルからの前記乾燥流体の供給を継続させながら、前記ノズル移動機構に指令を発して、前記基板の中心部から前記基板の周縁部に向かって前記乾燥流体ノズルを移動させるように構成されており、
前記基板処理装置は、前記基板保持部に保持される前記基板の周囲に配置されたカバーを備えており、
前記カバーは、前記基板と同一の回転方向で、かつ前記基板と同一の回転速度で回転可能に構成されており、
前記基板保持部は、前記基板の周縁部を保持する複数のチャックを備えており、
前記カバーは、前記複数のチャックに固定されている、基板処理装置。
【請求項15】
前記基板処理装置は、前記カバーを回転させるカバー回転機構を備えており、
前記カバー回転機構は、
カバーモータと、
前記カバーモータの回転力を前記カバーに伝達させる伝達装置と、を備えている、請求項14に記載の基板処理装置。
【請求項16】
基板を処理する基板処理装置に用いられ、コンピュータ上で動作するプログラムを記録した記録媒体であって、
基板保持部に指令を発して、第1の速度で基板を回転させ、液体供給機構に指令を発して、前記基板の中心部上方に位置させた液体ノズルから前記基板に所定時間だけ液体を供給させて基板Wの全面に液膜を形成させるステップと、
前記液体供給機構に指令を発して前記液体の供給を停止させるステップと、
前記第1の速度で前記基板を回転させた後、前記基板保持部に指令を発して第2の速度で前記基板を回転させるステップと、
前記第2の速度で前記基板を回転させた後、前記基板保持部に指令を発して、第3の速度で前記基板を回転させながら、乾燥流体供給機構に指令を発して、乾燥流体ノズルから前記基板に所定時間だけ乾燥流体を供給させるステップと、
前記乾燥流体ノズルからの前記乾燥流体の供給を継続させながら、ノズル移動機構に指令を発して、前記基板の中心部から前記基板の周縁部に向かって前記乾燥流体ノズルを移動させるステップと、を含み、
前記第1の速度は、前記基板上に前記液体の膜を形成するための液膜形成速度と、前記膜の中央部を薄くするための薄膜形成速度を含み、
前記プログラムは、前記液膜形成速度で前記基板を回転させた後、前記基板保持部に指令を発して前記薄膜形成速度で前記基板を回転させるステップを、コンピュータにさらに実行させ、
前記薄膜形成速度は、前記液膜形成速度よりも速い速度である、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録した非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項17】
前記第2の速度は、前記第1の速度よりも速い速度である、請求項16に記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項18】
前記プログラムは、前記乾燥流体ノズルが前記基板の周縁部上方に位置したときに、前記ノズル移動機構に指令を発して、所定時間前記乾燥流体ノズルの移動を停止させて前記基板の周縁部を乾燥させるステップを、コンピュータにさらに実行させる、請求項16または17に記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項19】
前記プログラムは、前記基板の周縁部上方に位置する前記乾燥流体ノズルから供給された乾燥流体が前記基板の周縁部を乾燥させた後に、前記ノズル移動機構に指令を発して、不活性ガスノズルが前記基板の中心部上方に位置するように前記不活性ガスノズルを移動させるステップと、
不活性ガス供給機構に指令を発して、前記不活性ガスノズルから不活性ガスを前記基板の中心部に供給させるステップを、コンピュータにさらに実行させる、請求項16乃至18のいずれか一項に記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項20】
前記プログラムは、前記乾燥流体が前記基板上に供給され、かつ第4の速度で前記基板が回転している状態で、不活性ガス供給機構に指令を発して不活性ガスノズルから前記基板の表面上に不活性ガスを供給させるステップを、コンピュータにさらに実行させる、請求項16乃至19のいずれか一項に記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項21】
基板を処理する方法であって、
前記基板を第1の速度で回転させ、前記基板の中心部上方に位置させた液体ノズルから前記基板に所定時間だけ液体を供給することで、前記基板の全面に液体の膜を形成し、
前記液体の供給を停止し、
前記第1の速度で前記基板を回転させた後、第2の速度で前記基板を回転させ、
前記第2の速度で前記基板を回転させた後、第3の速度で前記基板を回転させながら、前記基板の中心部上方に位置させた乾燥流体ノズルから前記基板に所定時間だけ乾燥流体を供給し、
次いで、前記乾燥流体ノズルからの前記乾燥流体の供給を継続しながら、前記基板の中心部から前記基板の周縁部に向かって前記乾燥流体ノズルを移動させ、
前記第1の速度は、前記基板上に前記液体の膜を形成するための液膜形成速度と、前記膜の中央部を薄くするための薄膜形成速度を含み、
前記液膜形成速度で前記基板を回転させた後、前記膜の中央部を薄くするための薄膜形成速度で前記基板を回転させる工程をさらに含み、
前記薄膜形成速度は、前記液膜形成速度よりも速い速度である、基板処理方法。
【請求項22】
前記第2の速度は、前記第1の速度よりも速い速度である、請求項21に記載の基板処理方法。
【請求項23】
前記乾燥流体ノズルが前記基板の周縁部上方に位置したときに、前記乾燥流体ノズルの移動を停止し、前記基板の周縁部に所定時間だけ前記乾燥流体を供給して前記基板の周縁部を乾燥させる工程をさらに含む、請求項21または22に記載の基板処理方法。
【請求項24】
前記基板の周縁部上方に位置する前記乾燥流体ノズルから供給された乾燥流体が前記基板の周縁部を乾燥させた後に、乾燥流体ノズルからの乾燥流体の供給を停止し、不活性ガスノズルが前記基板の中心部上方に位置するように前記不活性ガスノズルを移動させ、前記不活性ガスノズルから不活性ガスを前記基板の中心部に供給する工程をさらに含む、請求項21乃至23のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項25】
前記乾燥流体ノズルおよび不活性ガスノズルを前記基板の中心部から前記基板の周縁部に向かって移動させながら、不活性ガスを前記不活性ガスノズルから前記基板上に供給する工程をさらに含む、請求項21乃至23のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項26】
前記不活性ガスを前記不活性ガスノズルから前記基板上に供給する工程は、
前記乾燥流体ノズルおよび前記不活性ガスノズルの移動方向に関して、前記乾燥流体の噴射位置の後方に前記不活性ガスを噴射する工程を含む、請求項25に記載の基板処理方法。
【請求項27】
前記乾燥流体は液状の有機溶剤である、請求項21乃至26のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項28】
前記乾燥流体は、気体状の有機溶剤が含まれた気体であり、
前記乾燥流体中の有機溶剤の含有率は8%~30%である、請求項21乃至
27のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項29】
前記基板は、化学機械研磨工程によって表面が平坦化された基板であり、かつウェットな状態で処理に供されたものである、請求項21乃至28のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する基板処理装置および基板処理方法に関する。また、本発明は、このような基板処理方法を実行するためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスは、様々な回路や電極配線の成膜、パターニング、エッチングなどを繰り返して数多くの工程を経て製造される。半導体デバイスの高集積化に伴い、多層構造が求められてきており、この多層構造を構成する薄膜層(レイヤー)の成膜後に平坦化が必要となり、化学機械研磨工程(CMP:Chemical Mechanical Polishing)によって基板の表面を平坦化する。CMPは、砥液の化学的反応と、基板を摺接して砥粒により切削する機械的作用で基板の表面を平坦化するものである。このような基板の一例としてウェーハが挙げられる。
【0003】
研磨された基板上には、砥粒を含む研磨液や研磨屑などの残渣物が残留する。このため、基板の研磨後には、洗浄薬液(主に、酸、アルカリ、有機酸など)による化学反応作用とブラシやジェットノズルによる物理作用を用いて基板から残渣物を離脱させて、その後純水により基板から異物を除去することによって、基板を洗浄することが従来から行われている。洗浄後の基板の処理方法の例としては、洗浄後の基板上にある純水を遠心力で振り切るスピンドライ乾燥や、ロタゴニ乾燥がある。ロタゴニ乾燥は、回転する基板にリンス液ノズルから洗浄用のリンス液の液流を供給して、基板面全体を覆う液膜を形成するとともに、IPA(イソプロピルアルコール)蒸気を含有する乾燥用の気体流を乾燥気体ノズルから液流の内側に供給し、リンス液ノズルおよび乾燥気体ノズルを、回転する基板の中心から外周に移動させることで、基板面全体を乾燥させる方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年、半導体デバイスの高集積化・高密度化に伴い、回路の配線がますます微細化し、配線材料も変化してきたことで、従来の乾燥方法では問題とされていなかった吸着水分(基板に吸着した水分)までも除去することが要求されてきた。そこで本発明は、基板上の残留吸着水分の除去率を改善した基板処理装置、基板処理方法、およびこのような基板処理方法を実行するためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、基板を処理する方法であって、前記基板を第1の速度で回転させ、前記基板の中心部上方に位置させた液体ノズルから前記基板に所定時間だけ液体を供給することで、前記基板の全面に液体の膜を形成し、前記液体の供給を停止し、前記第1の速度で前記基板を回転させた後、第2の速度で前記基板を回転させ、前記第2の速度で前記基板を回転させた後、第3の速度で前記基板を回転させながら、前記基板の中心部上方に位置させた乾燥流体ノズルから前記基板に所定時間だけ乾燥流体を供給し、次いで、前記乾燥流体ノズルからの前記乾燥流体の供給を継続しながら、前記基板の中心部から前記基板の周縁部に向かって前記乾燥流体ノズルを移動させる、基板処理方法が提供される。このような構成によれば、一旦基板全面に液体の膜を形成した後に、第2の速度で基板を回転させる工程を設けることで、液膜の中央部の薄膜化後、あるいは液膜を除去して基板表面を露出させた後、乾燥流体を基板に供給する。結果として、基板上の残留吸着水分をより確実に取り除くことができ、改善された基板処理方法を提供することができる。また、液体の蒸発に必要な乾燥流体の量を減らすことができ、環境負荷低減およびコストダウンを図ることができる。
【0007】
一態様では、前記第2の速度は、前記第1の速度よりも速い速度である。第2の速度を第1の速度よりも速く適切な速度となるようにすることで、液膜の中央部を薄膜化または液膜を除去すること(基板表面を露出させること)ができる。また、第2の速度を第1の速度よりも速くすることは、スループットの観点からも好ましい。
一態様では、前記方法は、前記乾燥流体ノズルが前記基板の周縁部上方に位置したときに、前記乾燥流体ノズルの移動を停止し、前記基板の周縁部に所定時間だけ前記乾燥流体を供給して前記基板の周縁部を乾燥させる工程をさらに含む。このような構成によれば、基板の周縁部をより確実に乾燥させることができ、結果として、基板の表面全体をより確実に乾燥させることができる。
一態様では、前記方法は、前記基板の周縁部上方に位置する前記乾燥流体ノズルから供給された乾燥流体が前記基板の周縁部を乾燥させた後に、乾燥流体ノズルからの乾燥流体の供給を停止し、不活性ガスノズルが前記基板の中心部上方に位置するように前記不活性ガスノズルを移動させ、前記不活性ガスノズルから前記不活性ガスを前記基板の中心部に供給する工程をさらに含む。このような構成によれば、基板の上方からも不活性ガスを供給することにより、基板をより確実に乾燥させ、基板の乾燥品質を向上させることができる。
一態様では、前記方法は、前記乾燥流体ノズルおよび不活性ガスノズルを前記基板の中心部から前記基板の周縁部に向かって移動させながら、不活性ガスを前記不活性ガスノズルから前記基板上に供給する工程をさらに含む。このような構成によれば、基板表面に不活性ガスを供給することで、基板上の液体の蒸発を促進することができる。
一態様では、前記不活性ガスを前記不活性ガスノズルから前記基板上に供給する工程は、前記乾燥流体ノズルおよび前記不活性ガスノズルの移動方向に関して、前記乾燥流体の噴射位置の後方に前記不活性ガスを噴射する工程を含む。このような構成によれば、乾燥流体が供給された後、乾燥流体が供給された位置に不活性ガスが供給され、液体の蒸発がさらに促進される。
一態様では、前記第1の速度は、前記基板上に前記液体の膜を形成するための液膜形成速度と、前記膜の中央部を薄くするための薄膜形成速度を含み、前記液膜形成速度で前記基板を回転させた後、前記膜の中央部を薄くするための薄膜形成速度で前記基板を回転させる工程をさらに含み、前記薄膜形成速度は、前記液膜形成速度よりも速い速度である。このような構成によれば、基板上の液体を遠心力により基板の半径方向外側に移動させることができ、第2の速度で基板を回転させたときの液膜の中央部の薄膜化、または液膜の除去を円滑に行うことができる。
一態様では、前記乾燥流体は液状の有機溶剤である。乾燥流体として液状の有機溶剤を使用することで、効率よく基板上の液体を乾燥流体とともに蒸発させることができる。
一態様では、前記乾燥流体は、気体状の有機溶剤が含まれた気体であり、前記乾燥流体中の有機溶剤の含有率は8%~30%である。このような乾燥流体を使用することで、効率よく基板上の液体を乾燥流体とともに蒸発させることができる。
一態様では、前記基板は、化学機械研磨工程によって表面が平坦化された基板であり、かつウェットな状態で処理に供されたものである。このような構成によれば、液膜の中央部を薄膜化、または液膜を振り切って除去した後に、乾燥流体を供給することができる。結果として、乾燥流体の使用量を抑制しつつ、基板上の吸着水分までも残留することなく取り除くことができる。
【0008】
一態様では、基板を処理する基板処理装置であって、前記基板を保持して回転させる基板保持部と、液体を液体ノズルから前記基板上に供給する液体供給機構と、乾燥流体を乾燥流体ノズルから前記基板上に供給する乾燥流体供給機構と、前記液体ノズルおよび前記乾燥流体ノズルを移動させるノズル移動機構と、前記基板保持部、前記液体供給機構、および前記乾燥流体供給機構の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記基板保持部に指令を発して、第1の速度で前記基板を回転させ、前記液体供給機構に指令を発して、前記基板の中心部上方に位置させた前記液体ノズルから前記基板に所定時間だけ前記液体を供給させて前記基板全面に液膜を形成させ、前記液体供給機構に指令を発して、前記液体の供給を停止させ、前記第1の速度で前記基板を回転させた後、前記基板保持部に指令を発して、第2の速度で前記基板を回転させ、前記第2の速度で前記基板を回転させた後、前記基板保持部に指令を発して、第3の速度で前記基板を回転させながら、前記乾燥流体供給機構に指令を発して、前記基板の中心部上方に位置させた前記乾燥流体ノズルから前記基板に所定時間だけ乾燥流体を供給させ、次いで、前記乾燥流体ノズルからの前記乾燥流体の供給を継続させながら、前記ノズル移動機構に指令を発して、前記基板の中心部から前記基板の周縁部に向かって前記乾燥流体ノズルを移動させるように構成されている、基板処理装置が提供される。このような構成によれば、一旦基板全面に液体の膜を形成した後に、第2の速度で基板を回転させる工程を設けることで、液膜の中央部の薄膜化後、あるいは液膜を除去して基板表面を露出させた後、乾燥流体を基板に供給する。結果として、基板上の残留吸着水分をより確実に取り除くことができ、改善された基板処理方法を提供することができる。また、液体の蒸発に必要な乾燥流体の量を減らすことができ、環境負荷低減およびコストダウンを図ることができる。
【0009】
一態様では、前記第2の速度は、前記第1の速度よりも速い速度である。第2の速度を第1の速度よりも速く適切な速度となるようにすることで、液膜の中央部を薄膜化または液膜を除去すること(基板表面を露出させること)ができる。また、第2の速度を第1の速度よりも速くすることは、スループットの観点からも好ましい。
一態様では、前記制御部は、前記乾燥流体ノズルが前記基板の周縁部上方に位置したときに、前記ノズル移動機構に指令を発して、所定時間前記乾燥流体ノズルの移動を停止させて前記基板の周縁部を乾燥させるように構成されている。このような構成によれば、基板の周縁部をより確実に乾燥させることができ、結果として、基板の表面全体をより確実に乾燥させることができる。
一態様では、前記基板処理装置は、不活性ガスを不活性ガスノズルから前記基板上に供給する不活性ガス供給機構をさらに備え、前記制御部は、前記基板の周縁部上方に位置する前記乾燥流体ノズルから供給された乾燥流体が前記基板の周縁部を乾燥させた後に、前記ノズル移動機構に指令を発して、前記不活性ガスノズルが前記基板の中心部上方に位置するように前記不活性ガスノズルを移動させ、前記不活性ガス供給機構に指令を発して、前記不活性ガスノズルから前記不活性ガスを前記基板の中心部に供給させるように構成されている。このような構成によれば、基板の上方からも不活性ガスを供給することにより、基板をより確実に乾燥させ、基板の乾燥品質を向上させることができる。
一態様では、前記基板処理装置は、不活性ガスを不活性ガスノズルから前記基板上に供給する不活性ガス供給機構をさらに備え、前記制御部は、前記乾燥流体が前記基板上に供給され、かつ第4の速度で前記基板が回転している状態で、前記不活性ガス供給機構に指令を発して、前記不活性ガスノズルから前記基板上に前記不活性ガスを供給させ、かつ前記ノズル移動機構に指令を発して、前記基板の中心部から前記基板の周縁部に向かって前記不活性ガスノズルを移動させるように構成されている。このような構成によれば、基板表面に不活性ガスを供給することで、基板上の液体の蒸発を促進することができる。
一態様では、前記不活性ガスノズルは、前記乾燥流体ノズルおよび前記不活性ガスノズルの移動方向に関して、前記乾燥流体ノズルの後方に配置されている。このような構成によれば、乾燥流体が供給された後、乾燥流体が供給された位置に不活性ガスが供給され、液体の蒸発がさらに促進される。
一態様では、前記ノズル移動機構は、前記液体ノズル、前記乾燥流体ノズル、および前記不活性ガスノズルをともに保持する1つのアームを備えている。このように構成すれば、コンパクトにノズル移動機構を構成することができる。
一態様では、前記第1の速度は、前記基板上に前記液体の膜を形成するための液膜形成速度と、前記膜の中央部を薄くするための薄膜形成速度を含み、前記制御部は、前記液膜形成速度で前記基板を回転させた後、前記基板保持部に指令を発して前記薄膜形成速度で前記基板を回転させるように構成されており、前記薄膜形成速度は、前記液膜形成速度よりも速い速度である。このような構成によれば、基板上の液体を遠心力により基板の半径方向外側に移動させることができ、第2の速度で基板を回転させたときの液膜の中央部の薄膜化、または液膜の除去を円滑に行うことができる。
一態様では、前記ノズル移動機構は、前記乾燥流体ノズルに隣接して配置されたヒーターを備えている。このように構成すれば、乾燥流体ノズルから噴射される乾燥流体を温めることができる。結果として、IPAなどの有機溶剤の蒸発時間を早くすることができる。
一態様では、前記乾燥流体供給機構は、前記乾燥流体ノズルに接続された導電性の乾燥流体供給ラインをさらに備えている。このように構成すれば、静電気を防止し、乾燥流体の爆発を防止することができる。
一態様では、前記基板処理装置は、前記基板保持部の上方に配置された換気機構と、排気ダクトをさらに備え、前記換気機構および前記排気ダクトは、空気のダウンフローを形成するように構成されている。このような構成によれば、このような空気のダウンフローを形成することで、基板の表面および裏面に整った気流を生じさせ、気流の乱れによる基板汚染物質の付着を防止することができる。
一態様では、前記乾燥流体は液状の有機溶剤である。乾燥流体として液状の有機溶剤を使用することで、効率よく基板上の液体を乾燥流体とともに蒸発させることができる。
一態様では、前記乾燥流体は、気体状の有機溶剤が含まれた気体であり、前記乾燥流体中の有機溶剤の含有率は8%~30%である。このような乾燥流体を使用することで、効率よく基板上の液体を乾燥流体とともに蒸発させることができる。
一態様では、前記基板処理装置は、前記基板保持部に保持される前記基板の周囲に配置されたカバーを備えており、前記カバーは、前記基板と同一の回転方向で、かつ前記基板と同一の回転速度で回転可能に構成されている。
一態様では、前記基板保持部は、前記基板の周縁部を保持する複数のチャックを備えており、前記カバーは、前記複数のチャックに固定されている。
一態様では、前記基板処理装置は、前記カバーを回転させるカバー回転機構を備えており、前記カバー回転機構は、カバーモータと、前記カバーモータの回転力を前記カバーに伝達させる伝達装置と、を備えている。
【0010】
一態様では、基板を処理する基板処理装置に用いられ、コンピュータ上で動作するプログラムを記録した記録媒体が提供される。プログラムは、基板保持部に指令を発して、第1の速度で基板を回転させ、液体供給機構に指令を発して、前記基板の中心部上方に位置させた液体ノズルから前記基板に所定時間だけ液体を供給させて基板Wの全面に液膜を形成させるステップと、前記液体供給機構に指令を発して前記液体の供給を停止させるステップと、前記第1の速度で前記基板を回転させた後、前記基板保持部に指令を発して第2の速度で前記基板を回転させるステップと、前記第2の速度で前記基板を回転させた後、前記基板保持部に指令を発して、第3の速度で前記基板を回転させながら、乾燥流体供給機構に指令を発して、乾燥流体ノズルから前記基板に所定時間だけ乾燥流体を供給させるステップと、前記乾燥流体ノズルからの前記乾燥流体の供給を継続させながら、ノズル移動機構に指令を発して、前記基板の中心部から前記基板の周縁部に向かって前記乾燥流体ノズルを移動させるステップを、コンピュータに実行させる。このような構成によれば、一旦基板全面に液体の膜を形成した後に、第2の速度で基板を回転させる工程を設けることで、液膜の中央部の薄膜化後、あるいは液膜を除去して基板表面を露出させた後、乾燥流体を基板に供給する。結果として、基板上の残留吸着水分をより確実に取り除くことができ、改善された基板処理方法を提供することができる。また、液体の蒸発に必要な乾燥流体の量を減らすことができ、環境負荷低減およびコストダウンを図ることができる。
【0011】
一態様では、前記第2の速度は、前記第1の速度よりも速い速度である。第2の速度を第1の速度よりも速く適切な速度となるようにすることで、液膜の中央部を薄膜化または液膜を除去すること(基板表面を露出させること)ができる。また、第2の速度を第1の速度よりも速くすることは、スループットの観点からも好ましい。
【0012】
一態様では、前記プログラムは、前記乾燥流体ノズルが前記基板の周縁部上方に位置したときに、前記ノズル移動機構に指令を発して、所定時間前記乾燥流体ノズルの移動を停止させて前記基板の周縁部を乾燥させるステップを、コンピュータにさらに実行させる。このような構成によれば、基板の周縁部をより確実に乾燥させることができ、結果として、基板の表面全体をより確実に乾燥させることができる。
一態様では、前記プログラムは、前記基板の周縁部上方に位置する前記乾燥流体ノズルから供給された乾燥流体が前記基板の周縁部を乾燥させた後に、前記ノズル移動機構に指令を発して、不活性ガスノズルが前記基板の中心部上方に位置するように前記不活性ガスノズルを移動させるステップと、不活性ガス供給機構に指令を発して、前記不活性ガスノズルから前記不活性ガスを前記基板の中心部に供給させるステップを、コンピュータにさらに実行させる。このような構成によれば、基板の上方からも不活性ガスを供給することにより、基板をより確実に乾燥させ、基板の乾燥品質を向上させることができる。
一態様では、前記プログラムは、前記乾燥流体が前記基板上に供給され、かつ第4の速度で前記基板が回転している状態で、不活性ガス供給機構に指令を発して不活性ガスノズルから前記基板の表面上に不活性ガスを供給させるステップを、コンピュータにさらに実行させる。このような構成によれば、基板表面に不活性ガスを供給することで、基板上の液体の蒸発を促進することができる。
一態様では、前記第1の速度は、前記基板上に前記液体の膜を形成するための液膜形成速度と、前記膜の中央部を薄くするための薄膜形成速度を含み、前記プログラムは、前記液膜形成速度で前記基板を回転させた後、前記基板保持部に指令を発して前記薄膜形成速度で前記基板を回転させるステップを、コンピュータにさらに実行させ、前記薄膜形成速度は、前記液膜形成速度よりも速い速度である。このような構成によれば、基板上の液体を遠心力により基板の半径方向外側に移動させることができ、第2の速度で基板を回転させたときの液膜の中央部の薄膜化、または液膜の除去を円滑に行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、一旦基板全面に液体の膜を形成した後に、第2の速度で基板を回転させることで、基板上の液体の膜の中央部を薄膜化後、あるいは液膜除去後、乾燥流体を基板に供給する。結果として、基板上の吸着水分の残留を抑制して基板を乾燥させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】基板処理装置の一実施形態を模式的に示す斜視図である。
【
図3】複数のノズルが複数のアームに保持された基板処理装置の一実施形態を示す模式図である。
【
図4】複数のノズルが複数のアームに保持された基板処理装置の他の実施形態を示す模式図である。
【
図5】液体ノズル、乾燥流体ノズル、および不活性ガスノズルの配置を説明するための上面図である。
【
図6】基板の処理方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【
図18】ノズル移動機構の他の実施形態を示す模式図である。
【
図19】基板処理装置の他の実施形態を模式的に示す斜視図である。
【
図21】基板Wの処理方法の他の実施形態を示すフローチャートである。
【
図24】基板処理装置の他の実施形態を示す図である。
【
図25】基板処理装置のさらに他の実施形態を示す図である。
【
図26】基板処理装置を備えた基板処理システムの一実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、基板処理装置の一実施形態を模式的に示す斜視図であり、
図2は、
図1の基板処理装置1を横から見た図である。
図1では後述する隔壁6、換気機構8、および排気ダクト9の図示は省略されている。基板処理装置1は基板を処理する装置である。
図1および
図2に示すように、基板処理装置1は、基板Wを保持して回転させる基板保持部10と、基板Wに液体を供給する液体供給機構24と、基板Wに乾燥流体を供給する乾燥流体供給機構34と、基板Wに不活性ガスを供給する不活性ガス供給機構54と、基板Wに液体を供給する第1裏面側供給機構69と、基板Wに不活性ガスを供給する第2裏面側供給機構70を備えている。本実施形態の基板Wは、化学機械研磨工程(CMP)によって研磨された後の基板であり、洗浄後の基板である。洗浄方法の例として、液洗浄(純水、薬液等)、機械洗浄(ロール、ペンシル等による摺動)、さらにこれらの液洗浄と機械洗浄とが合わさった洗浄などが挙げられる。基板Wは、平坦化処理がなされた表面2を有している。
【0016】
本明細書における基板処理装置の一例(化学機械研磨装置)として、米国特許出願公開第2017/0252894号の内容の全体は、参照により本出願に組み込まれる。
【0017】
液体供給機構24は、液体を供給する液体ノズル20と、液体ノズル20に液体を供給する液体供給ライン21と、液体供給ライン21を流れる液体の流量(基板Wに供給される液体の流量)を調整する液体流量制御弁23を備えている。液体供給機構24は、液体を、液体ノズル20から基板W上に供給する。
【0018】
乾燥流体供給機構34は、乾燥流体を供給する乾燥流体ノズル30と、乾燥流体ノズル30に乾燥流体を供給する乾燥流体供給ライン31と、乾燥流体供給ライン31を流れる乾燥液体の流量(基板Wに供給される乾燥流体の流量)を調整する乾燥流体流量制御弁33を備えている。乾燥流体供給機構34は、乾燥流体を、乾燥流体ノズル30から基板W上に供給する。
【0019】
不活性ガス供給機構54は、不活性ガスを供給する不活性ガスノズル50と、不活性ガスノズル50に不活性ガスを供給する不活性ガス供給ライン51と、不活性ガス供給ライン51を流れる不活性ガスの流量(基板Wに供給される不活性ガスの流量)を調整する不活性ガス流量制御弁53を備えている。不活性ガス供給機構54は、不活性ガスを、不活性ガスノズル50から基板W上に供給する。
【0020】
第1裏面側供給機構69は、液体を供給する第1裏面ノズル71と、第1裏面ノズル71に液体を供給する第1裏面側供給ライン75と、第1裏面側供給ライン75を流れる液体の流量(基板Wに供給される液体の流量)を調整する第1裏面側流量制御弁79を備えている。第1裏面側供給機構69は、液体を、第1裏面ノズル71から基板Wに供給する。
【0021】
第2裏面側供給機構70は、不活性ガスを供給する第2裏面ノズル72と、第2裏面ノズル72に不活性ガスを供給する第2裏面側供給ライン76と、第2裏面側供給ライン76を流れる不活性ガスの流量(基板Wに供給される不活性ガスの流量)を調整する第2裏面側流量制御弁80を備えている。第2裏面側供給機構70は、不活性ガスを、第2裏面ノズル72から基板Wに供給する。
【0022】
基板処理装置1は、液体ノズル20、乾燥流体ノズル30、および不活性ガスノズル50を移動させるノズル移動機構60と、基板保持部10、液体供給機構24、乾燥流体供給機構34、不活性ガス供給機構54、第1裏面側供給機構69、第2裏面側供給機構70、およびノズル移動機構60の動作を制御する制御部90をさらに備えている。
【0023】
液体ノズル20、乾燥流体ノズル30、および不活性ガスノズル50(以下、単にノズル20,30,50と呼ぶことがある)は、基板保持部10に保持された基板Wの上方に配置されており、下方を向いて(基板Wの表面2を向いて)配置されている。裏面ノズル71,72は、基板保持部10に保持された基板Wの下方に配置されており、上方を向いて配置されている。本実施形態では、裏面ノズル71,72は、基板Wの裏面3の中心部を向いて配置されているが、流体(不活性ガスまたは液体)の一部が基板Wの裏面3の中央に当たっていれば、ノズル形状は単管でも、扇型でも、円錐型でもよい。本実施形態では、裏面ノズル71,72の位置は固定されているが、一実施形態では、裏面ノズル71,72は、図示しない裏面ノズル移動機構によって、基板Wと平行な平面内で揺動可能(基板Wの半径方向に移動可能)に構成されていてもよい。液体ノズル20、乾燥流体ノズル30、および不活性ガスノズル50は、液体、乾燥流体、および不活性ガスをそれぞれ基板Wの表面2に供給し、第1裏面ノズル71および第2裏面ノズル72は、液体および不活性ガスをそれぞれ基板Wの裏面3に供給する。
【0024】
液体ノズル20および第1裏面ノズル71から供給される液体の一例として純水が使用される。乾燥流体の例として、液体または気体の有機溶剤が使用される。有機溶剤の例として、IPA(イソプロピルアルコール)や、アルコールを含んだフッ素系溶剤が挙げられる。本明細書では、有機溶剤は、液体と気体の両方を含むものとして定義される。有機溶剤としてIPAが使用される場合、有機溶剤中のIPAの濃度は100%であることが好ましいが、基板Wの処理条件によっては、有機溶剤は、IPA混合流体であってもよい。不活性ガスの一例として窒素が使用される。
【0025】
基板保持部10は、基板Wの周縁部を保持する複数のチャック11と、複数のチャック11に連結された回転モータ12を備えている。複数のチャック11は、基板Wを水平に保持するように構成されている。回転モータ12は制御部90に電気的に接続されており、回転モータ12の動作は、制御部90によって制御される。チャック11に保持された基板Wは回転モータ12によって基板保持部10の軸心CP周りに回転する。本実施形態では、基板Wは
図1に示す矢印Dr方向に回転するが、基板Wの回転方向は本実施形態に限定されず、矢印Drの逆方向に回転してもよい。基板Wが基板保持部10に保持されているとき、基板Wの中心Oと、軸心CPは一致する。
図1および
図2は、基板Wがチャック11にグリップされた一例である。チャック11の一例として、基板Wの端部がチャック11の浅い溝部に入るように構成されているものが挙げられるが、基板Wの側面を支えるように構成されていればチャック11の構成は、本実施形態に限定されない。
【0026】
ノズル移動機構60は、基板保持部10に保持された基板Wの上方に配置されたアーム61と、アーム61を旋回させるアーム回転機構としての旋回モータ62と、旋回モータ62に連結された旋回軸63を備えている。アーム61は、基板Wの半径よりも大きな長さを有している。アーム61の先端には、液体ノズル20、乾燥流体ノズル30、および不活性ガスノズル50が取り付けられている。ノズル20,30,50は、アーム61によって保持されている。アーム61の他方の端部には、旋回軸63が接続されている。
【0027】
旋回モータ62は制御部90に電気的に接続されており、旋回モータ62の動作は、制御部90によって制御される。旋回モータ62は、旋回軸63を所定の角度だけ回転させることにより、アーム61を基板Wと平行な平面内で旋回させる。したがって、アーム61の旋回により、アーム61に固定された液体ノズル20、乾燥流体ノズル30、および不活性ガスノズル50が基板Wの半径方向に移動する。基板Wの処理中、ノズル移動機構60は、ノズル20,30,50を一体に基板Wの中心部から基板Wの周縁部に向かって移動させる(基板Wの半径方向外側であり、
図1に示す矢印Dn方向に移動させる)。
【0028】
図1に示す実施形態では、ノズル20,30,50は、1つのアーム61にともに保持されているが、一実施形態では、ノズル20,30,50は、複数のアームに保持されていてもよい。
図3に示す実施形態では、ノズル移動機構60は、複数のアーム61a,61b,61c(液体ノズル保持アーム61a、乾燥流体ノズル保持アーム61b、および不活性ガスノズル保持アーム61c)を備えている。ノズル20,30,50は、アーム61a,61b,61cにそれぞれ保持されている。液体ノズル20は液体ノズル保持アーム61aの先端に取り付けられており、乾燥流体ノズル30は乾燥流体ノズル保持アーム61bの先端に取り付けられており、不活性ガスノズル50は不活性ガスノズル保持アーム61cの先端に取り付けられている。アーム61a,61b,61cの他方の端部は旋回軸63に接続されている。特に説明しない
図3に示す実施形態の構成は、
図1に示す実施形態と同じである。
【0029】
図4は、ノズル20,30,50が複数のアームに保持された基板処理装置1の他の実施形態を示す模式図である。特に説明しない
図4に示す実施形態の構成は、
図1に示す実施形態と同じである。
図4に示す実施形態では、ノズル移動機構60は、液体ノズル20を移動させる液体ノズル移動機構60aと、乾燥流体ノズル30を移動させる乾燥流体ノズル移動機構60bと、不活性ガスノズル50を移動させる不活性ガスノズル移動機構60cを備えている。
【0030】
液体ノズル移動機構60aは、液体ノズル保持アーム61aと、液体ノズル保持アーム61aを旋回させる旋回モータ62aと、旋回モータ62aに連結された旋回軸63aを備えている。乾燥流体ノズル移動機構60bは、乾燥流体ノズル保持アーム61bと、乾燥流体ノズル保持アーム61bを旋回させる旋回モータ62bと、旋回モータ62bに連結された旋回軸63bを備えている。不活性ガスノズル移動機構60cは、不活性ガスノズル保持アーム61cと、不活性ガスノズル保持アーム61cを旋回させる旋回モータ62cと、旋回モータ62cに連結された旋回軸63cを備えている。ノズル20,30,50は、アーム61a,61b,61cにそれぞれ保持されている。液体ノズル20は液体ノズル保持アーム61aの先端に取り付けられており、乾燥流体ノズル30は乾燥流体ノズル保持アーム61bの先端に取り付けられており、不活性ガスノズル50は不活性ガスノズル保持アーム61cの先端に取り付けられている。アーム61a,61b,61cの他方の端部は旋回軸63a,63b,63cにそれぞれ接続されている。
【0031】
旋回モータ62a,62b,62cは制御部90に電気的に接続されており、制御部90は、旋回モータ62a,62b,62cの動作を独立して制御可能に構成されている。旋回モータ62a,62b,62cのそれぞれは、旋回軸63a,63b,63cのそれぞれを所定の角度だけ回転させることにより、アーム61a,61b,61cのそれぞれを基板Wと平行な平面内で旋回させる。アーム61a,61b,61cの旋回により、ノズル20,30,50が基板Wの半径方向に移動する。本実施形態のノズル移動機構60は、基板Wの処理中、ノズル20,30,50を独立して基板Wの半径方向に移動させる。
【0032】
液体ノズル移動機構60a、乾燥流体ノズル移動機構60b、および不活性ガスノズル移動機構60c(以下、単にノズル移動機構60a,60b,60cと呼ぶことがある)の配置は本実施形態に限定されない。一実施形態では、ノズル移動機構60b,60cは、液体ノズル移動機構60aの近傍に配置されていてもよく、ノズル移動機構60a,60b,60cが互いに間隔を空けて配置されていてもよい。
図4では、ノズル20,30,50が互いに衝突しないように、高さ方向にノズル20,30,50の順に配列されているが、ノズル20,30,50の高さ方向の配置は、
図4の順に限らない。
【0033】
図1に戻って、液体供給ライン21の一端は、液体ノズル20に接続され、他端は、図示しない液体供給源に接続されている。乾燥流体供給ライン31の一端は、乾燥流体ノズル30に接続され、他端は図示しない乾燥流体供給源に接続されている。不活性ガス供給ライン51の一端は、不活性ガスノズル50に接続され、他端は図示しない不活性ガス供給源に接続されている。
【0034】
液体は、液体供給源から液体供給ライン21を通って液体ノズル20に供給され、さらに液体ノズル20から基板Wの表面2に供給される。乾燥流体は、乾燥流体供給源から乾燥流体供給ライン31を通って乾燥流体ノズル30に供給され、さらに乾燥流体ノズル30から基板Wの表面2に供給される。不活性ガスは、不活性ガス供給源から不活性ガス供給ライン51を通って不活性ガスノズル50に供給され、さらに不活性ガスノズル50から基板Wの表面2に供給される。
【0035】
液体供給ライン21には、液体流量制御弁23が取り付けられており、液体供給ライン21を流れる液体の流量(基板Wの表面2に供給される液体の流量)は、液体流量制御弁23によって調節される。乾燥流体供給ライン31には、乾燥流体流量制御弁33が取り付けられており、乾燥流体供給ライン31を流れる乾燥流体の流量(基板Wの表面2に供給される乾燥流体の流量)は、乾燥流体流量制御弁33によって調節される。不活性ガス供給ライン51には、不活性ガス流量制御弁53が取り付けられており、不活性ガス供給ライン51を流れる不活性ガスの流量(基板Wの表面2に供給される不活性ガスの流量)は、不活性ガス流量制御弁53によって調整される。液体流量制御弁23、乾燥流体流量制御弁33、および不活性ガス流量制御弁53は、制御部90に電気的に接続されており、液体流量制御弁23、乾燥流体流量制御弁33、および不活性ガス流量制御弁53の動作は、制御部90によって制御される。液体流量制御弁23、乾燥流体流量制御弁33、および不活性ガス流量制御弁53は、基板Wの処理中に液体、乾燥流体、および不活性ガスの流量をそれぞれ変化させることができる。
【0036】
液体流量制御弁23は液体供給ライン21の液体の流路を開閉し、乾燥流体流量制御弁33は、乾燥流体供給ライン31の乾燥流体の流路を開閉し、不活性ガス流量制御弁53は、不活性ガス供給ライン51の不活性ガスの流路を開閉するように構成されている。液体流量制御弁23、乾燥流体流量制御弁33、および不活性ガス流量制御弁53を開くと液体、乾燥流体、および不活性ガスが、液体ノズル20、乾燥流体ノズル30、および不活性ガスノズル50にそれぞれ供給され、液体流量制御弁23、乾燥流体流量制御弁33、および不活性ガス流量制御弁53を閉じると液体、乾燥流体、および不活性ガスの供給が停止される。
【0037】
第1裏面側供給ライン75の一端は、第1裏面ノズル71に接続され、他端は、図示しない液体供給源に接続されている。第2裏面側供給ライン76の一端は、第2裏面ノズル72に接続され、他端は図示しない不活性ガス供給源に接続されている。
【0038】
液体は、液体供給源から第1裏面側供給ライン75を通って第1裏面ノズル71に供給され、さらに第1裏面ノズル71から基板Wの裏面3に供給される。不活性ガスは、不活性ガス供給源から第2裏面側供給ライン76を通って第2裏面ノズル72に供給され、さらに第2裏面ノズル72から基板Wの裏面3に供給される。
【0039】
第1裏面側供給ライン75には、第1裏面側流量制御弁79が取り付けられており、第1裏面側供給ライン75を流れる液体の流量(基板Wの裏面3に供給される液体の流量)は、第1裏面側流量制御弁79によって調節される。第2裏面側供給ライン76には、第2裏面側流量制御弁80が取り付けられており、第2裏面側供給ライン76を流れる不活性ガスの流量(基板Wの裏面3に供給される不活性ガスの流量)は、第2裏面側流量制御弁80によって調節される。第1裏面側流量制御弁79および第2裏面側流量制御弁80は、制御部90に電気的に接続されており、第1裏面側流量制御弁79および第2裏面側流量制御弁80の動作は、制御部90によって制御される。第1裏面側流量制御弁79および第2裏面側流量制御弁80は、基板Wの処理中に液体および不活性ガスの流量をそれぞれ変化させることができる。
【0040】
さらに、第1裏面側流量制御弁79は第1裏面側供給ライン75の液体の流路を開閉し、第2裏面側流量制御弁80は、第2裏面側供給ライン76の不活性ガスの流路を開閉するように構成されている。第1裏面側流量制御弁79および第2裏面側流量制御弁80を開くと液体および不活性ガスが、第1裏面ノズル71および第2裏面ノズル72にそれぞれ供給され、第1裏面側流量制御弁79および第2裏面側流量制御弁80を閉じると液体および不活性ガスの供給が停止される。
【0041】
制御部90は、少なくとも1台のコンピュータから構成される。制御部90は、プログラムが格納された記憶装置90aと、プログラムに含まれる命令に従って演算を実行する演算装置90bを備えている。演算装置90bは、記憶装置90aに格納されているプログラムに含まれている命令に従って演算を行うCPU(中央処理装置)またはGPU(グラフィックプロセッシングユニット)などを含む。記憶装置90aは、演算装置90bがアクセス可能な主記憶装置(例えばランダムアクセスメモリ)と、データおよびプログラムを格納する補助記憶装置(例えば、ハードディスクドライブまたはソリッドステートドライブ)を備えている。また、制御部90にあるプログラムには、基板処理装置1が基板Wの処理方法を実行するためのレシピが含まれている。
【0042】
前記少なくとも1台のコンピュータは、1台のサーバまたは複数台のサーバであってもよい。制御部90は、エッジサーバやPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)であってもよいし、インターネットまたはローカルエリアネットワークなどの通信ネットワークに接続されたクラウドサーバであってもよいし、あるいはネットワーク内に設置されたフォグコンピューティングデバイス(ゲートウェイ、フォグサーバ、ルーターなど)であってもよい。制御部90は、インターネットまたはローカルエリアネットワークなどの通信ネットワークにより接続された複数のサーバであってもよい。例えば、制御部90は、エッジサーバとクラウドサーバとの組み合わせであってもよい。
【0043】
図2に示すように、基板処理装置1は、隔壁6と、基板保持部10の上方に配置された換気機構8を備えている。隔壁6の内部空間は処理室7を構成している。基板保持部10、ノズル20,30,50、ノズル移動機構60、および裏面ノズル71,72は処理室7内に配置されている。隔壁6には図示しない扉が設けられており、この扉を通じて基板Wを処理室7内に搬入し、かつ処理室7から搬出することが可能となっている。隔壁6の上部には、クリーンエア取入口6aが形成されており、隔壁6の下部には排気ダクト9が形成されている。換気機構8は隔壁6の上面に設置されている。この換気機構8は、ファン8Aと、このファン8Aから送られた空気中のパーティクルや粉塵を除去するフィルター8Bとを備えている。換気機構8は、清浄な空気をクリーンエア取入口6aを通じて処理室7に送り込み、処理室7内の気体を排気ダクト9から排出させる。これにより処理室7内には清浄な空気のダウンフローが形成される。このような空気のダウンフローを形成することで、基板Wの表面2および裏面3に整った気流を生じさせ、気流の乱れによる基板汚染物質の付着を防止することができる。
【0044】
一実施形態では、排気ダクト9は、隔壁6の下部に形成された複数の排気口(図示せず)から構成されていてもよい。排気ダクト9を複数の排気口で構成することによって、乱れの少ない下降流(ダウンフロー)が得られる。一実施形態では、隔壁6の下部全体に排気ダクト9が形成されていてもよい。
【0045】
本実施形態では、乾燥流体としてIPA(イソプロピルアルコール)や、アルコールを含んだフッ素系溶剤などの有機溶剤が使用される。本実施形態では、換気機構8および排気ダクト9によって空気のダウンフローが形成されるため、基板Wに供給された乾燥流体が蒸発して基板Wに再付着することを防止することができ、かつ後述する基板W上の液体の蒸発が促進される。また、このような有機溶剤が空気と混合すると爆発性の混合ガスを生成する可能性があるため、安全面から処理室7内の気流の最適化や排気が必要となる。本実施形態では、換気機構8および排気ダクト9によって空気のダウンフローが形成されるため、爆発を防止することができる。
【0046】
一実施形態では、上述の爆発を防止するため、乾燥流体供給ライン31の一部または全体は導電性材料から構成されていてもよい。乾燥流体供給ライン31の材料として導電性材料を使用することにより、静電気を防止し、乾燥流体の爆発を防止することができる。さらに一実施形態では、チャック11の一部または全体の材料として導電性材料を使用してもよい。さらに一実施形態では、乾燥流体供給ライン31および/またはチャック11をアース接続し、乾燥流体供給ライン31および/またはチャック11の帯電を防止してもよい。ここで、乾燥流体供給ライン31に使用される導電性材料の具体例としては、導電性樹脂チューブ(表面に導電性樹脂がラミネート被覆されたチューブや、導電性樹脂の粒子(CNT)を混合させた樹脂材を表面に被覆したチューブ材等)がある。また、チャック11に使用される導電性材料の具体例としては、導電性のポリエーテルエーテルケトン(導電性PEEK)がある。
【0047】
図5は、液体ノズル20、乾燥流体ノズル30、および不活性ガスノズル50の配置を説明するための上面図である。
図5に示すように、液体ノズル20、乾燥流体ノズル30、および不活性ガスノズル50は互いに隣接して配置されている。不活性ガスノズル50は、ノズル20,30,50の移動方向Dnに関して、乾燥流体ノズル30の後方(上流側)に配置されている。より具体的には、不活性ガスノズル50は、乾燥流体ノズル30が移動中に描く軌跡を通るように配置されている。言い換えれば、不活性ガスノズル50は、旋回軸63(
図1参照)の軸心と乾燥流体ノズル30とを結ぶ直線を半径とする円弧L上に配置されている。したがって、不活性ガスノズル50は乾燥流体ノズル30と同じ軌跡を描いて乾燥流体ノズル30の後を追って移動する。
【0048】
本実施形態では、液体ノズル20は、移動方向Dnに関して乾燥流体ノズル30の下流側(前方)に配置されている。本実施形態では、液体ノズル20は、円弧L上に配置されているが、液体ノズル20の配置は本実施形態に限定されない。一実施形態では、液体ノズル20は円弧Lから外れた位置に配置されていてもよい。不活性ガスノズル50が乾燥流体ノズル30の後を追って移動することができるように配置されていれば、ノズル20,30,50の配置は、本実施形態に限定されない。液体ノズル20および不活性ガスノズル50は、円弧Lから外れた位置に配置されていてもよいが、
図5に示す実施形態のように乾燥流体ノズル30および不活性ガスノズル50を配置することによって、後述する基板W上の液体の蒸発(基板Wの乾燥)が促進される。なぜなら、
図5に示す実施形態のように乾燥流体ノズル30および不活性ガスノズル50を配置した場合、不活性ガスノズル50は、乾燥流体ノズル30と同じ軌跡を描いて乾燥流体ノズル30の後を追って移動し、乾燥流体の噴射位置のすぐ後方に不活性ガスを噴射することができるからである。ノズル20,30,50の噴射口の形状の例として円形、扇形、および楕円形が挙げられるが、ノズル20,30,50の噴射口の形状は、これらに限定されない。また、ノズル20,30,50は、噴射される流体の態様(液状、液敵状、および噴霧状など)によらず、様々な態様の流体を噴射可能に構成されている。
【0049】
次に、基板Wの処理方法について説明する。
図6は、基板Wの処理方法の一実施形態を示すフローチャートである。
図7乃至
図17は、ステップ1-1~ステップ1-10までの各工程における基板処理装置1の状態を示す図である。
図7乃至
図17では、基板保持部10、旋回モータ62、旋回軸63、および制御部90の図示は省略されている。
図7乃至
図17において、白で描かれている弁は開いている状態を示し、黒で描かれている弁は閉じている状態を示している。以下のステップ1-1からステップ1-10までの工程は、不活性ガスを第2裏面ノズル72から裏面3に供給しながら行われる。基板Wの処理中、不活性ガスを裏面3に供給することで、裏面3を乾燥させながら基板Wを処理することができる。以下に説明する処理方法の一実施形態では、特に説明しない場合、
図1、
図2、および
図5を参照して説明した基板処理装置1が使用される。
【0050】
まず、基板処理装置1は、基板Wを第1の速度で回転させ、基板Wの中心部上方に位置させた液体ノズル20から基板W(基板Wの表面2)に所定時間だけ液体を供給することで、基板Wの全面(基板Wの表面2の全面)に液体の膜(液膜)を形成する(ステップ1-1~ステップ1-4)。具体的には、制御部90は、基板保持部10の回転モータ12に指令を発して、第1の速度で基板Wを回転させ、液体供給機構24の液体流量制御弁23に指令を発して、基板Wの中心部上方に位置させた液体ノズル20から基板Wに所定時間だけ液体を供給させて基板Wの全面に液膜を形成させる。
【0051】
ここで、単純化すると、液膜には、表面張力σ(20度で、水についてはσ=0.0728N/m)により、あたかも弾性膜で覆われたように常に液膜の内側に収縮しようとする力p(p=4σ/d。ただし、dは液膜の直径)が働くところ、基板Wの回転数が大きくなりすぎて遠心力の方が表面張力σよりも大きくなると、液膜が形成されない可能性がある。そこで、基板W上に存在する液膜に働く遠心力F(F=mω2r。ωは基板Wの回転数に比例する角速度)よりも表面張力σの方が大きくなるように、基板Wの回転数(上記第1の速度)は予め設定されている。
【0052】
制御部90は、記憶装置90aに電気的に格納されたプログラムに含まれる命令に従って動作する。すなわち、制御部90は、基板保持部10に指令を発して、第1の速度で基板Wを回転させ、液体供給機構24の液体流量制御弁23に指令を発して、基板Wの中心部上方に位置させた液体ノズル20から基板Wに所定時間だけ液体を供給させて基板Wの全面に液膜を形成させるステップを実行する。
【0053】
ステップ1-1~ステップ1-4の詳細を以下に説明する。上記第1の速度とは、後述する液体供給速度、液膜形成速度、および薄膜形成速度を含んだ速度である。まず、基板処理装置1は、ステップ1-1を実行する。ステップ1-1では、
図7に示すように、基板処理装置1は、基板Wを基板保持部10で保持し、所定の液体供給速度で基板Wを回転させながら液体を所定時間(液体供給時間)基板Wの中心部上方に位置させた液体ノズル20および第1裏面ノズル71から基板Wの表面2および裏面3のそれぞれに供給する。さらに基板処理装置1は、液体供給速度で基板Wを回転させながら、不活性ガスを第2裏面ノズル72から基板Wの裏面3に供給する。本実施形態では、液体として純水が使用され、不活性ガスとして窒素が使用される。
【0054】
ステップ1-1では、まず、制御部90は、ノズル移動機構60の旋回モータ62に指令を発して、液体ノズル20を基板Wの中心部の上方に移動させる。その結果、アーム61は軸心CP上に位置する。液体ノズル20は、液体を基板Wの表面2の中心部に噴射する。第1裏面ノズル71は、液体を基板Wの裏面3の中心部に噴射する。第2裏面ノズル72は不活性ガスを裏面3の中心部に噴射する。ここで、液体供給速度とは、ステップ1-1において基板Wに液体を供給するときの基板Wの回転速度である。
図4に示す実施形態を使用する場合は、制御部90は、ノズル移動機構60の旋回モータ62aに指令を発して、液体ノズル20を基板Wの中心部上方に移動させる。その結果、液体ノズル保持アーム61aが軸心CP上に位置する。
図4に示す実施形態を使用する場合は、乾燥流体ノズル保持アーム61bおよび不活性ガスノズル保持アーム61cは、待避位置(基板保持部10の外側)に位置する。
【0055】
基板Wの表面2の中心部に供給された液体は、遠心力により基板Wの表面2全体に広がり、基板Wの裏面3の中心部に供給された液体は、遠心力により基板Wの裏面3全体に広がる。基板Wの裏面3の中心部に供給された不活性ガスは、遠心力により基板Wの裏面3全体に広がる。一実施形態では、ステップ1-1の工程において、液体ノズル20は、軸心CP上(中心Oの真上)に位置していてもよく、液体ノズル20は液体を基板Wの中心Oに噴射してもよい。
【0056】
第2裏面ノズル72から不活性ガスを噴射することにより、液体ノズル20および第1裏面ノズル71から供給された液体が第2裏面ノズル72に流入するのを防止することができる。一実施形態では、ステップ1-1で裏面3に供給される不活性ガスの流量は5L/minである。一実施形態では、基板Wの裏面3に供給される不活性ガスの流量は、後述する基板Wの表面2に供給される不活性ガスの流量よりも常に小さくされるように予め設定されている。
【0057】
具体的には、制御部90は、基板保持部10の回転モータ12に指令を発して液体供給速度で基板Wを回転させながら、液体供給機構24の液体流量制御弁23および第1裏面側供給機構69の第1裏面側流量制御弁79に指令を発して、液体を、液体供給時間、基板Wの中心部上方に位置させた液体ノズル20および第1裏面ノズル71から基板Wの表面2および裏面3のそれぞれに供給させる。さらに制御部90は、液体供給速度で基板Wを回転させながら、第2裏面側供給機構70の第2裏面側流量制御弁80に指令を発して不活性ガスを第2裏面ノズル72から基板Wの裏面3に供給させる。
【0058】
制御部90は、記憶装置90aに電気的に格納されたプログラムに含まれる命令に従って動作する。すなわち、制御部90は、基板保持部10の回転モータ12に指令を発して液体供給速度で基板Wを回転させながら、液体供給機構24の液体流量制御弁23および第1裏面側供給機構69の第1裏面側流量制御弁79に指令を発して、液体を、液体供給時間、基板Wの中心部上方に位置させた液体ノズル20および第1裏面ノズル71から基板Wの表面2および裏面3のそれぞれに供給させるステップと、液体供給速度で基板Wを回転させながら、第2裏面側供給機構70の第2裏面側流量制御弁80に指令を発して、不活性ガスを、第2裏面ノズル72から基板Wの裏面3に供給させるステップを実行する。
【0059】
一実施形態では、基板Wの表面2に供給される液体の流量は0.8L/minである。このときの液体供給速度は、35min-1、25min-1、または20min-1である。液体の供給流量が0.8L/minであり、かつ液体供給速度が35min-1のときの液体供給時間は3.75秒である。液体の供給流量が0.8L/minであり、かつ液体供給速度が25min-1のときの液体供給時間は7.5秒である。液体の供給流量が0.8L/minであり、かつ液体供給速度が20min-1のときの液体供給時間は11.25秒である。
【0060】
さらに一実施形態では、基板Wの表面2に供給される液体の流量は1L/minである。このときの液体供給速度は、35min-1、25min-1、または20min-1である。液体の供給流量が1L/minであり、かつ液体供給速度が35min-1のときの液体供給時間は3秒である。液体の供給流量が1L/minであり、かつ液体供給速度が25min-1のときの液体供給時間は6秒である。液体の供給流量が1L/minであり、かつ液体供給速度が20min-1のとき液体供給時間は9秒である。
【0061】
さらに一実施形態では、基板Wの表面2に供給される液体の流量は2L/minである。このときの液体供給速度は、35min-1、25min-1、または20min-1である。液体の供給流量が2L/minであり、かつ液体供給速度が35min-1のときの液体供給時間は1.5秒である。液体の供給流量が2L/minであり、かつ液体供給速度が25min-1のときの液体供給時間は3秒である。液体の供給流量が2L/minであり、かつ液体供給速度が20min-1のとき液体供給時間は4.5秒である。
【0062】
ステップ1-2およびステップ1-3では、
図8および
図9に示すように、基板処理装置1は、所定の液膜形成速度で基板Wを所定時間(総液膜形成時間)回転させる。ステップ1-2では、
図8に示すように、基板処理装置1は、第2裏面ノズル72からの不活性ガスの供給を継続しながら、液体ノズル20および第1裏面ノズル71からの液体の供給を停止し、所定の液膜形成速度で基板Wを所定時間(第1液膜形成時間)回転させる。具体的には、制御部90は、第2裏面ノズル72から不活性ガスを裏面3に供給させながら、液体流量制御弁23および第1裏面側流量制御弁79に指令を発して液体の供給を停止させ、基板保持部10の回転モータ12に指令を発して上記液膜形成速度で基板Wを第1液膜形成時間回転させる。ここで、液膜形成速度とは、基板Wの表面2上に液体の膜を形成するための基板Wの回転速度である。液膜形成速度は、液体供給速度と同じか、または液体供給速度よりも遅い速度である。一実施形態では、液膜形成速度は、20min
-1であり、第1液膜形成時間は3秒である。一実施形態では、ステップ1-2で裏面3に供給される不活性ガスの流量は5L/minである。
【0063】
制御部90は、記憶装置90aに電気的に格納されたプログラムに含まれる命令に従って動作する。すなわち、制御部90は、液体流量制御弁23および第1裏面側流量制御弁79に指令を発して液体の供給を停止させ、回転モータ12に指令を発して上記液膜形成速度で基板Wを第1液膜形成時間回転させるステップを実行する。上記ステップは、第2裏面ノズル72から不活性ガスが裏面3に供給されている状態で実行される。
【0064】
ステップ1-2の液膜状態では、基板Wの表面2の液膜に作用する遠心力が液体と基板の上面との間で作用する表面張力よりも小さいか、あるいは遠心力と表面張力とがほぼ拮抗している。基板Wの回転速度の減速により、基板W上の液体に作用する遠心力が弱まり、基板W上から排出される液体の量が減少する。
【0065】
ステップ1-3では、
図9に示すように、基板処理装置1は、第2裏面ノズル72からの不活性ガスの供給を継続しながら、引き続き液膜形成速度で基板Wを所定時間(第2液膜形成時間)回転させる。
【0066】
一実施形態では、ステップ1-3で裏面3に供給される不活性ガスの流量は5L/minであり、第2液膜形成時間は2秒である。総液膜形成時間は、第1液膜形成時間と、第2液膜形成時間とを合わせた時間である。
【0067】
ステップ1-3において、本実施形態では、ステップ1-2と同じ液膜形成速度で基板Wを第2液膜形成時間回転させているが、一実施形態では、ステップ1-3では、ステップ1-2の基板Wの回転速度(第1液膜形成速度)よりも遅い速度(第2液膜形成速度)で基板Wを回転させてもよい。
【0068】
ステップ1-1を実施することにより、洗浄後の基板に付着していた液体(純水などの洗浄液)は、ステップ1-1で供給される液体に混合する。さらに、ステップ1-1~ステップ1-3により、基板Wの表面2上に(基板Wの表面2の全面に)、洗浄後の基板に付着していた液体を含む均一な液体の膜が形成される。基板W上に液体の膜を形成することにより、洗浄後の基板Wに付着した液体によるウォーターマークの形成を防止することができる。また、ステップ1-2およびステップ1-3で説明したように基板Wを比較的低速で回転させることにより、ウォーターマークの発生をより確実に防止することができる。
【0069】
ステップ1-4では、
図10に示すように、基板処理装置1は、第2裏面ノズル72からの不活性ガスの供給を継続しながら、所定の薄膜形成速度で基板Wを所定時間(薄膜形成時間)回転させる。具体的には、制御部90は、第2裏面ノズル72からの不活性ガスの供給を継続しながら、基板保持部10の回転モータ12に指令を発して上記薄膜形成速度で基板Wを薄膜形成時間回転させる。ここで、薄膜形成速度とは、基板Wの表面2上の液体の膜の中央部を薄くするための基板Wの回転速度である。薄膜形成速度は、液膜形成速度よりも速い速度である。具体的には、薄膜形成速度は、液膜形成速度よりも5倍~25倍速い速度である。一実施形態では、薄膜形成速度は、100min
-1であり、薄膜形成時間は2秒であり、ステップ1-4における不活性ガスの供給流量は5L/minである。
【0070】
制御部90は、記憶装置90aに電気的に格納されたプログラムに含まれる命令に従って動作する。すなわち、制御部90は、基板保持部10の回転モータ12に指令を発して上記薄膜形成速度で基板Wを薄膜形成時間回転させるステップを実行する。上記ステップは、第2裏面ノズル72から不活性ガスが裏面3に供給されている状態で実行される。
【0071】
ステップ1-4の薄膜領域形成工程は、基板Wの液体の大部分が除去されて液膜の中央部に、非常に薄い超薄膜(液体の薄膜)が残存する円形の薄膜領域を形成する工程である。基板W上の液膜に比較的強い遠心力が作用し、基板Wの表面2の中央部に存在する液体が径方向外方に押し退けられることにより、基板Wの表面2の中央部に円形の薄膜領域が形成される。
【0072】
ステップ1-4を実施することにより、基板処理装置1は、基板Wの表面2上の液体を遠心力により徐々に基板Wの半径方向外側に移動させる。結果として、表面2上の液体の膜の中央部が薄くなり、上記膜の周縁部が厚くなる。
【0073】
ステップ1-5では、
図11に示すように、基板処理装置1は、不活性ガスの供給流量を変更し、所定の第2の速度(振り切り速度)で基板Wを所定時間(振り切り時間)回転させる。具体的には、制御部90は、第2裏面側流量制御弁80に指令を発して不活性ガスの供給量を変更させる。制御部90は、第2裏面ノズル72から不活性ガスを裏面3に供給させながら、基板保持部10の回転モータ12に指令を発して上記第2の速度で基板Wを振り切り時間回転させる。ここで、第2の速度とは、基板Wの表面2上の液体の膜を振り切るための基板Wの回転速度である。第2の速度は、第1の速度よりも速い速度である。
【0074】
制御部90は、記憶装置90aに電気的に格納されたプログラムに含まれる命令に従って動作する。すなわち、制御部90は、第2裏面側流量制御弁80に指令を発して不活性ガスの供給量を変更させるステップと、基板保持部10の回転モータ12に指令を発して第2の速度で基板Wを振り切り時間回転させるステップを実行する。上記各ステップは、第2裏面ノズル72から不活性ガスが裏面3に供給されている状態で実行される。
【0075】
一実施形態では、第2の速度は、500min-1であり、振り切り時間は1秒であり、ステップ1-5における不活性ガスの供給流量は2L/minである。ステップ1-5では、基板Wを第2の速度で回転させることにより、基板Wの表面2上の液体の膜を振り切る。結果として、表面2上の液体の膜が除去され、基板Wの表面2が露出する。
【0076】
ステップ1-5により、表面2上の液体の膜が除去されるが、例えば、基板Wが親水性の性質を有しているときなどにおいては、表面2上の液体は完全に除去されず、液体の一部が表面2上に残留(吸着)することがある。以下のステップ1-6~ステップ1-9の工程では、基板Wの表面2上に乾燥流体を供給し、乾燥流体を表面2上に残留した液体と混合させることにより、液体を乾燥流体とともに蒸発させる。すなわち、基板Wの表面2を乾燥させる。
【0077】
ステップ1-6では、
図12に示すように、基板処理装置1は、所定の第3の速度(乾燥流体供給速度)で基板Wを回転させながら、乾燥流体としての液状のIPA(以下、液状IPAと呼ぶ)を所定時間(乾燥流体供給時間)乾燥流体ノズル30から基板Wの表面2に供給する。さらに基板処理装置1は、不活性ガスの供給流量を変更する。ステップ1-6では、アーム61は軸心CP上に位置している。具体的には、乾燥流体ノズル30は基板Wの中心部上方に位置しており、乾燥流体ノズル30は、液状IPAを基板Wの中心部に噴射する。本実施形態では、乾燥流体ノズル30は軸心CP上に位置しており、乾燥流体ノズル30は、液状IPAを基板Wの中心Oに噴射する。
【0078】
図3および
図4に示す実施形態を使用する場合は、乾燥流体ノズル保持アーム61bが軸心CP上に位置する。
図4に示す実施形態を使用する場合は、液体ノズル保持アーム61aおよび不活性ガスノズル保持アーム61cは、待避位置(基板保持部10の外側)に位置する。
図4に示す実施形態を使用する場合、制御部90は、ステップ1-6の前に、旋回モータ62aに指令を発して液体ノズル20および液体ノズル保持アーム61aを上記待避位置に移動させ、旋回モータ62bに指令を発して乾燥流体ノズル30を基板Wの中心部上方(軸心CP上)に移動させる。
図4に示す実施形態を使用する場合、ステップ1-6以降の工程では、液体ノズル20および液体ノズル保持アーム61aは上記待避位置に位置する。
【0079】
本実施形態では、乾燥流体として液状IPAを使用しているが、一実施形態では、液状IPA以外の液体の有機溶剤を使用してもよい。乾燥流体として使用される液体の有機溶剤は、水と混合し、水よりも早く蒸発する性質を有している(例えば、エチルアルコール、メチルアルコール、アセトン、フッ素系溶剤)。
【0080】
より具体的には、制御部90は、基板保持部10の回転モータ12に指令を発して第3の速度で基板Wを回転させながら、乾燥流体流量制御弁33に指令を発して、液状IPAを、乾燥流体供給時間、基板Wの中心部上方に位置させた乾燥流体ノズル30から基板Wの表面2に供給させる。さらに制御部90は、第2裏面側流量制御弁80に指令を発して不活性ガスの供給量を変更させる。ここで第3の速度とは、ステップ1-6において基板Wに乾燥流体を供給するときの基板Wの回転速度である。
【0081】
制御部90は、記憶装置90aに電気的に格納されたプログラムに含まれる命令に従って動作する。すなわち、制御部90は、基板保持部10の回転モータ12に指令を発して第3の速度で基板Wを回転させながら、乾燥流体流量制御弁33に指令を発して、液状IPAを、乾燥流体供給時間、基板Wの中心部上方に位置させた乾燥流体ノズル30から基板Wの表面2に供給させるステップと、第2裏面側流量制御弁80に指令を発して不活性ガスの供給量を変更させるステップを実行する。上記ステップは、第2裏面ノズル72から不活性ガスが裏面3に供給されている状態で実行される。
【0082】
一実施形態では、第3の速度は、10min-1であり、ステップ1-6で供給される液状IPAの流量は100mL/minであり、乾燥流体供給時間は2秒であり、ステップ1-6における不活性ガスの供給流量は50L/minである。
【0083】
ステップ1-7では、
図13および
図14に示すように、基板処理装置1は、不活性ガスが第2裏面ノズル72から裏面3に継続して供給されている状態で、引き続き乾燥流体ノズル30から基板Wの表面2上に供給しながら(すなわち、乾燥流体ノズル30からの乾燥流体の供給を継続しながら)、所定の第4の速度で基板Wを回転させる。さらに、基板処理装置1は、液状IPAを乾燥流体ノズル30から基板Wの表面2上に供給しながらかつ第4の速度(乾燥速度)で基板Wを回転させながら、ノズル20,30,50を基板Wの中心部(基板Wの中心Oの上方)から基板Wの周縁部(基板Wの周縁部の上方)に向かって移動させる(基板Wの中心部から基板Wの半径方向外側に移動させる)。さらに、基板処理装置1は、ノズル20,30,50の移動開始と同時に、不活性ガスノズル50からの不活性ガスの供給を開始する(
図13参照)。ステップ1-7では、基板処理装置1は、ノズル20,30,50を基板Wの中心部から基板Wの周縁部に向かって移動させながら、液状IPAおよび不活性ガスのそれぞれを乾燥流体ノズル30および不活性ガスノズル50のそれぞれから基板Wの表面2上に供給する(
図14参照)。
【0084】
図4に示す実施形態を使用する場合は、ステップ1-6の後、制御部90は、旋回モータ62cに指令を発して、不活性ガスノズル50を、基板Wの中心部上方の乾燥流体ノズル30に隣接する位置まで移動させる。このとき、旋回モータ62cは、不活性ガスノズル50を、ステップ1-7における乾燥流体ノズル30の移動方向の上流側に移動させる。特に説明しない
図4に示す実施形態を使用した場合の工程は、
図1に示す実施形態を使用した場合の工程と同じであるのでその重複する説明を省略する。
図4に示す実施形態を使用した場合、基板処理装置1は、ノズル30,50を基板Wの中心部から基板Wの周縁部に向かって移動させる。
【0085】
すなわち、基板処理装置1は、液状IPAが基板Wの表面2上に供給され、かつ上記第4の速度で基板Wが回転している状態で、不活性ガスノズル50から基板Wの表面2上に不活性ガスを供給する。一実施形態では、不活性ガスノズル50が中心Oの上方(例えば、軸心CP上)に移動したときに、不活性ガスノズル50からの不活性ガスの供給を開始してもよい。ここで第4の速度とは、ステップ1-7における基板Wの回転速度であり、かつ基板Wを乾燥させるための基板Wの回転速度である。本実施形態では、不活性ガスノズル50から噴射される不活性ガスとして窒素が使用される。
【0086】
より具体的には、制御部90は、不活性ガスが第2裏面ノズル72から裏面3に継続して供給されている状態で、引き続き液状IPAを乾燥流体ノズル30から基板Wの表面2上に供給させながら、基板保持部10の回転モータ12に指令を発して第4の速度で基板Wを回転させる。さらに、制御部90は、液状IPAを乾燥流体ノズル30から基板Wの表面2上に供給させながらかつ第4の速度で基板Wを回転させながら、ノズル移動機構60の旋回モータ62(
図4の実施形態を使用する場合は、旋回モータ62b,62c)に指令を発して、ノズル20,30,50(
図4の実施形態を使用する場合は、ノズル30,50)を基板Wの中心部(基板Wの中心Oの上方)から基板Wの周縁部(基板Wの周縁部の上方)に向かって移動させる(基板Wの中心部から基板Wの半径方向外側に移動させる)。さらに制御部90は、液状IPAが基板Wの表面2上に供給され、かつ第4の速度で基板Wが回転している状態で、不活性ガス流量制御弁53に指令を発して不活性ガスノズル50から基板Wの表面2上に不活性ガスを供給させる。言い換えれば、制御部90は、乾燥流体ノズル30の移動開始と同時に、または不活性ガスノズル50が中心Oの上方に移動したときに不活性ガス流量制御弁53に指令を発して不活性ガスノズル50から基板Wの表面2上への不活性ガスの供給を開始させる。
【0087】
制御部90は、記憶装置90aに電気的に格納されたプログラムに含まれる命令に従って動作する。すなわち、制御部90は、液状IPAを乾燥流体ノズル30から基板Wの表面2上に供給させながら、基板保持部10の回転モータ12に指令を発して第4の速度で基板Wを回転させるステップと、液状IPAを乾燥流体ノズル30から基板Wの表面2上に供給させながらかつ第4の速度で基板Wを回転させながら、旋回モータ62(または、旋回モータ62b,62c)に指令を発して、ノズル20,30,50(またはノズル30,50)を基板Wの中心部から基板Wの周縁部に向かって移動させるステップと、液状IPAが基板Wの表面2上に供給され、かつ第4の速度で基板Wが回転している状態で、不活性ガス流量制御弁53に指令を発して不活性ガスノズル50から基板Wの表面2上に不活性ガスを供給させるステップ(以下、本ステップを不活性ガス供給ステップと呼ぶ)を実行する。一実施形態では、不活性ガス供給ステップは、乾燥流体ノズル30の移動開始と同時に不活性ガス流量制御弁53に指令を発して不活性ガスノズル50から基板Wの表面2上への不活性ガスの供給を開始させるステップ、または不活性ガスノズル50が中心Oの上方に移動したときに不活性ガス流量制御弁53に指令を発して不活性ガスノズル50から表面2上への不活性ガスの供給を開始させるステップを含んでいる。上記ステップは、第2裏面ノズル72から不活性ガスが裏面3に供給されている状態で実行される。
【0088】
一実施形態では、第4の速度は、500min-1であり、ステップ1-7で供給される液状IPAの流量は100mL/minであり、ステップ1-7の工程を実施する時間(乾燥時間)は、28.3秒または30秒である。ステップ1-7における不活性ガスノズル50からの不活性ガスの供給流量は150L/minであり、第2裏面ノズル72からの不活性ガスの供給流量は50L/minである。さらに一実施形態では、ステップ1-7の実施中、第4の速度を徐々に増加させてもよい。一実施形態では、ステップ1-7の実施中、第4の速度を10min-1から1000min-1に増加させてもよい(回転加速度35rpm/s)。一実施形態においては、不活性ガスノズル50から供給される不活性ガスは、乾燥流体ノズル30から吐出される乾燥流体よりも単位時間当たりの流体供給量が多くなるように構成される。
【0089】
本実施形態では、基板処理装置1は、ステップ1-7において、ノズル20,30,50(またはノズル30,50)を基板Wの中心部(基板Wの中心Oの上方)から基板Wの周縁部(基板Wの周縁部の上方)に向かって1回移動させる。一実施形態では、基板処理装置1は、ノズル20,30,50(またはノズル30,50)が基板の周縁部(周縁部上方)に移動した後、ノズル20,30,50(またはノズル30,50)を再び基板Wの中心部上方に移動させてもよい。さらに一実施形態では、基板処理装置1は、ノズル20,30,50(またはノズル30,50)を基板Wの中心部と周縁部の間を複数回往復させてもよい。アーム61(またはアーム61b,61c)の角速度、すなわちノズル20,30,50(またはノズル30,50)の移動速度は、処理許容な時間および回数から算出される。
【0090】
一実施形態では、基板処理装置1は、乾燥流体ノズル30が基板Wの周縁部上方(例えば、乾燥流体ノズル30から噴射される液状IPAの最も外側の部分が基板Wの端部に衝突する位置)に位置したときに、所定時間(周縁部乾燥時間)乾燥流体ノズル30の移動を停止して(乾燥流体ノズル30が基板Wの周縁部上方に位置したときに、乾燥流体ノズル30の移動を停止し、基板Wの周縁部に周縁部乾燥時間だけ液状IPAを供給して)基板Wの周縁部を乾燥させてもよい。具体的には、制御部90は、乾燥流体ノズル30が基板Wの周縁部上方に位置したときに、ノズル移動機構60に指令を発して、周縁部乾燥時間乾燥流体ノズル30の移動を停止させて基板Wの周縁部を乾燥させてもよい。制御部90は、記憶装置90aに電気的に格納されたプログラムに含まれる命令に従って動作する。すなわち、制御部90は、乾燥流体ノズル30が基板Wの周縁部上方に位置したときに、ノズル移動機構60に指令を発して、周縁部乾燥時間乾燥流体ノズル30の移動を停止させて前記基板の周縁部を乾燥させるステップを実行してもよい。一実施形態では、上記周縁部乾燥時間は、1秒~10秒である。
【0091】
また、基板Wの周縁部上方にノズル20,30,50のいずれもが存在しない場合、基板W端部に当たる気流と基板Wに当たらない気流の混在により引き起こされる気流の乱れによって、液状IPAの液滴等が、ランダムに処理室7内で飛散し、基板処理装置1(例えば、隔壁6の内壁)が汚染されることがあるが、乾燥流体ノズル30が基板Wの周縁部上方に存在することにより、液状IPAの液滴等の飛散がより確実に防止され、基板処理装置1の汚染をより有効に防止することができる。
【0092】
ステップ1-8では、乾燥流体ノズル30が基板Wの端部(基板Wの端部の真上)に移動したときに、液状IPAの供給を停止する(
図15参照)。具体的には、制御部90は、乾燥流体ノズル30が基板Wの端部に移動したときに、乾燥流体流量制御弁33に指令を発して液状IPAの供給を停止させる。制御部90は、記憶装置90aに電気的に格納されたプログラムに含まれる命令に従って動作する。すなわち、制御部90は、乾燥流体ノズル30が基板Wの端部に移動したときに、乾燥流体流量制御弁33に指令を発して液状IPAの供給を停止させるステップを実行する。周縁部乾燥時間乾燥流体ノズル30の移動を停止させて基板Wの周縁部を乾燥させる場合は、制御部90は、周縁部乾燥時間経過後、乾燥流体流量制御弁33に指令を発して液状IPAの供給を停止させる。
【0093】
ステップ1-9では、不活性ガスノズル50が基板Wの端部(基板Wの端部の真上)に移動したときに、不活性ガスの供給を停止する(
図16参照)。具体的には、制御部90は、不活性ガスノズル50が基板Wの端部に移動したときに、不活性ガス流量制御弁53に指令を発して不活性ガスの供給を停止させる。制御部90は、記憶装置90aに電気的に格納されたプログラムに含まれる命令に従って動作する。すなわち、制御部90は、不活性ガスノズル50が基板Wの端部に移動したときに、不活性ガス流量制御弁53に指令を発して不活性ガスの供給を停止させるステップを実行する。
【0094】
ステップ1-6~ステップ1-9により、基板Wの表面2の全体に液状IPAを供給することができる。したがって、基板Wの表面2上の吸着水分までも残留することなく取り除くことができる。結果として、基板Wの表面2上に液体が残留することなく基板を乾燥させることができる。
【0095】
液状IPAが供給された位置に、不活性ガスを供給することで、液体の蒸発(基板Wの乾燥)を促進することができる。不活性ガスノズル50は、乾燥流体の噴射位置の後方に不活性ガスを噴射する。
図5を参照して説明した実施形態では、不活性ガスノズル50は乾燥流体ノズル30に隣接して配置されており、乾燥流体ノズル30と同じ軌跡を描いて乾燥流体ノズル30の後を追って移動する。したがって、
図5に示すように乾燥流体ノズル30および不活性ガスノズル50を配置することで、液状IPAが供給された後、すぐに液状IPAが供給された位置に不活性ガスが供給され、液体の蒸発(基板Wの乾燥)がさらに促進される。
【0096】
本実施形態では、ステップ1-5において表面2上の液体の膜を除去してから、液状IPAを供給する。したがって、液体の蒸発に必要な乾燥流体の量を減らすことができ、コストダウンを図ることができる。
【0097】
ステップ1-10では、
図17に示すように、基板処理装置1は、不活性ガスが第2裏面ノズル72から裏面3に継続して供給されている状態で、不活性ガスノズル50を基板Wの中心部上方に移動させ、所定の第5の速度(仕上げ乾燥速度)で基板Wを所定時間(仕上げ乾燥時間)回転させる。一例として、基板処理装置1は、不活性ガスノズル50を中心Oの真上(軸心CP上)に移動させる。さらに、基板処理装置1は、第5の速度で基板Wを回転させながら、不活性ガスノズル50から基板Wの表面2上へ不活性ガスを供給する。具体的には、不活性ガスノズル50は、不活性ガスを基板Wの中心部に噴射して、不活性ガスを基板Wの中心部に供給する。ステップ1-10により、液体の蒸発がさらに促進され、基板Wがより確実に乾燥される。
【0098】
具体的には、制御部90は、不活性ガスが第2裏面ノズル72から裏面3に継続して供給されている状態で、ノズル移動機構60の旋回モータ62(
図4の実施形態を使用する場合は旋回モータ62c)に指令を発して不活性ガスノズル50を基板Wの中心部上方に移動させ、基板保持部10の回転モータ12に指令を発して第5の速度で基板Wを回転させる。制御部90は、第5の速度で基板Wを回転させながら、不活性ガス供給機構54の不活性ガス流量制御弁53に指令を発して不活性ガスノズル50から基板Wの中心部に不活性ガスを供給させる。
図4の実施形態を使用する場合は、制御部90は、不活性ガスノズル50を基板Wの中心部上方に移動させる前、または不活性ガスノズル50を基板Wの中心部上方に移動させながら、旋回モータ62bに指令を発して乾燥流体ノズル保持アーム61bおよび乾燥流体ノズル30を上記待避位置に移動させる。
【0099】
制御部90は、記憶装置90aに電気的に格納されたプログラムに含まれる命令に従って動作する。すなわち、制御部90は、ノズル移動機構60の旋回モータ62(または旋回モータ62c)に指令を発して不活性ガスノズル50を基板Wの中心部上方に移動させるステップと、回転モータ12に指令を発して第5の速度で基板Wを回転させるステップと、第5の速度で基板Wが回転している状態で、不活性ガス流量制御弁53に指令を発して不活性ガスノズル50から基板Wの中心部に不活性ガスを供給させるステップを実行する。上記ステップは、第2裏面ノズル72から不活性ガスが裏面3に供給されている状態で実行される。
【0100】
一実施形態では、第5の速度は、1800min-1であり、ステップ1-10で不活性ガスノズル50から供給される不活性ガスの流量は150L/minであり、第2裏面ノズル72から供給される不活性ガスの流量は50L/minであり、仕上げ乾燥時間は、10秒である。仕上げ乾燥時間経過後、制御部90は、不活性ガス流量制御弁53および第2裏面ノズル72に指令を発して不活性ガスの供給を停止させる。さらに、制御部90は、回転モータ12に指令を発して基板Wの回転を停止させる。これにより、基板の乾燥が終了する。
【0101】
一実施形態では、
図18に示すように、ノズル移動機構60は、乾燥流体を温めるためのヒーター65をさらに備えていてもよい。
図18に示す実施形態では、ヒーター65は乾燥流体ノズル30に隣接して配置されている。ヒーター65で乾燥流体ノズル30を温めることにより、乾燥流体ノズル30から噴射される乾燥流体を温めることができる。これにより、IPAなどの有機溶剤の蒸発時間を早くすることができる。一実施形態では、図示しない加温装置により有機溶剤を直接温めてもよい。
【0102】
さらに一実施形態では、基板Wを温めてもよい。一実施形態では、基板Wを温めるために、基板保持部10がヒーター65を備えていてもよく、基板Wの下方にヒーター65が配置されていてもよい。さらに一実施形態では、第2裏面側供給ライン76は不活性ガス供給源に代えて図示しない温水供給源に接続されていてもよく、基板処理装置1は、第2裏面ノズル72から不活性ガスに代えて温水を裏面3に供給するように構成されていてもよい。基板Wを温めることによっても有機溶剤の乾燥時間を早くすることができる。
【0103】
図19は、基板処理装置1の他の実施形態を模式的に示す斜視図である。特に説明しない本実施形態の構成は、
図1、
図2、および
図5を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
図19に示すように、本実施形態の基板処理装置1は、乾燥流体生成装置35をさらに備えており、乾燥流体供給ライン31の端部は乾燥流体生成装置35に接続されている。乾燥流体生成装置35は、液状の乾燥流体(有機溶剤)を気化するための装置である。乾燥流体生成装置35で生成された気体の乾燥流体は、乾燥流体生成装置35から乾燥流体供給ライン31を通って乾燥流体ノズル30に供給される。本実施形態においても
図3および
図4の構成を適用することができる。
【0104】
図20は、乾燥流体生成装置35の模式図である。乾燥流体生成装置35は、液状の乾燥流体(有機溶剤)と、キャリアガスを混合するための気液混合部36と、気液混合部36から排出される乾燥流体とキャリアガスとの混合流体を加熱するヒーター37とを備えている。液状の有機溶剤およびキャリアガスが気液混合部36に流入することによって、有機溶剤とキャリアガスとの混合流体が生成される。乾燥流体生成装置35は、上記混合流体をヒーター37で加熱することにより、気体状の有機溶剤を生成する。キャリアガスの一例としてヘリウムが使用される。
【0105】
乾燥流体生成装置35からは比較的高濃度の気体状の有機溶剤を含んだ気体(気体状の乾燥流体)が出力される。一実施形態では、乾燥流体中の有機溶剤の含有率(濃度)は8%~30%である。このように、乾燥流体を比較的高濃度の気体状の有機溶剤を含んだ気体とすることで、表面2上の液体の蒸発を促進することができる。本実施形態でも、換気機構8および排気ダクト9によって空気のダウンフローが形成される。したがって、蒸発した液体を積極的に基板W上から除去できることでさらなる蒸発促進につながり、さらに乾燥流体に比較的高濃度の有機溶剤を含んでいても、爆発を防止することができる。
【0106】
一実施形態では、基板処理装置1は、乾燥流体供給ライン31を加温するための加温装置を備えていてもよい。乾燥流体生成装置35からは加熱された乾燥流体が出力されるため、乾燥流体供給ライン31を加温することによって、乾燥流体供給ライン31の結露を防ぐことができる。
【0107】
次に、基板Wの他の処理方法について説明する。
図21は、基板Wの処理方法の他の実施形態を示すフローチャートである。本実施形態の乾燥流体は、乾燥流体生成装置35などによって生成される気体状のIPA(気化IPA)を高濃度に含んだ気体である。以下に説明する本実施形態の処理方法で使用される乾燥流体を単に気化IPAと呼ぶ。以下に説明する処理方法の一実施形態では、特に説明しない場合、
図19および
図20を参照して説明した基板処理装置1が使用される。
【0108】
一実施形態では、乾燥流体は、IPA以外の気体状の有機溶剤(例えば、アルコールを含んだフッ素系溶剤)を高濃度に含んだ気体であってもよい。乾燥流体として使用される気体の有機溶剤は、水と混合し、水よりも早く蒸発する性質を有している。
【0109】
ステップ2-1~ステップ2-4は、
図7乃至
図10を参照して説明した工程(ステップ1-1~ステップ1-4)と同じであるのでその重複する説明を省略する。
【0110】
特に説明しないステップ2-5の詳細は、ステップ1-5と同じであるのでその重複する説明を省略する。一実施形態では、ステップ2-5における第2の速度は、300min
-1であり、振り切り時間は3.1秒であり、ステップ2-5における不活性ガスの供給流量は2L/minである。ステップ2-5では、
図22に示すように、基板Wを第2の速度で回転させることにより、基板Wの表面2上の液体の膜がステップ2-4を実施後の状態からさらに薄膜化される。より具体的には、ステップ1-4で説明した基板Wの表面2の中央部の円形の薄膜領域がさらに大きくかつ薄くなる。一実施形態では、ステップ2-5において、第2の速度および/または振り切り時間を調整することで、ステップ1-5と同様に、基板Wの表面2上の液体の膜を振り切って、液膜を除去し、表面2を露出させてもよい。表面2の露出は、表面2の一部の露出(例えば、表面2の中央部の露出)であってもよく、表面2の全体の露出であってもよい。
【0111】
特に説明しないステップ2-6の詳細は、ステップ1-6と同じであるのでその重複する説明を省略する。ステップ2-6では、
図23に示すように制御部90は、第3の速度で基板Wを回転させながら、乾燥流体流量制御弁33に指令を発して、気化IPAを、乾燥流体供給時間、基板Wの中心部上方に位置させた乾燥流体ノズル30から基板Wの表面2に供給させる。具体的には、ステップ2-6では、
図23に示すように、基板処理装置1は、ステップ2-5で形成された薄膜に気化IPAを供給する。ステップ2-5で液膜を除去した場合、基板処理装置1は、液体の膜が除去された基板Wの表面2上に気化IPAを供給する。
【0112】
一実施形態では、ステップ2-6における第3の速度は、300min-1であり、ステップ2-6で供給される気化IPAの流量は5g/minであり、乾燥流体供給時間は3秒であり、ステップ2-6における不活性ガスの供給流量は2L/minである。一実施形態では、ステップ2-6における第3の速度は、100min-1から300min-1に増加させもよい(回転加速度100rpm/s)。具体的には、第3の速度を100min-1から300min-1に100rpm/sの回転加速度で加速させながら、2秒間基板Wの中心部上方に乾燥流体ノズル30が静止した状態で基板Wの表面2に気化IPAを供給し、基板Wの表面2に2秒間気化IPAを供給した後、第3の速度を300min-1に固定した状態で1秒間基板Wの表面2に気化IPA供給する。すなわち、第3の速度を、100min-1から300min-1に増加させる場合も乾燥流体供給時間は3秒である。
【0113】
ステップ2-6では、形成された薄膜に(または、液体の膜が除去された表面2上に)乾燥流体(気化IPA)を供給する。結果として、ステップ2-5で基板W上に残留(吸着)した液体は、気化IPAと混合し、気化IPAとともに蒸発する。また、形成された薄膜に(または、液体の膜が除去された表面2上に)気化IPAを供給することによって、液体の蒸発に必要な乾燥流体の量を減らすことができる。
【0114】
特に説明しないステップ2-7の工程は、ステップ1-7と同様であるのでその重複する説明を省略する。ステップ2-7では、不活性ガスノズル50から基板Wの表面2上に不活性ガスを供給しない点で、ステップ1-7とは異なっている。すなわち、基板処理装置1は、ノズル20,30,50を基板Wの中心部から基板Wの周縁部に向かって移動させながら、気化IPAのみを基板Wの表面2上に供給する。
図4に示す実施形態を使用する場合、不活性ガスノズル保持アーム61cは、待避位置(基板保持部10の外側)に位置し、基板処理装置1は、乾燥流体ノズル30を基板Wの中心部から基板Wの周縁部に向かって移動させながら、気化IPAを基板Wの表面2上に供給する。
【0115】
本実施形態においても、ステップ1-7で説明したように、基板処理装置1は、乾燥流体ノズル30が基板の周縁部(周縁部上方)に移動した後、乾燥流体ノズル30を再び基板Wの中心部に移動させてもよく、乾燥流体ノズル30を基板Wの中心部と周縁部の間を複数回往復させてもよい。一実施形態では、ステップ1-7で説明したように、基板処理装置1は、乾燥流体ノズル30が基板Wの周縁部上方に位置したときに、所定時間(周縁部乾燥時間)乾燥流体ノズル30の移動を停止して(乾燥流体ノズル30が基板Wの周縁部上方に位置したときに、乾燥流体ノズル30の移動を停止し、基板Wの周縁部に周縁部乾燥時間だけ気化IPAを供給して)基板Wの周縁部を乾燥させてもよい。
【0116】
一実施形態では、ステップ1-7と同様の工程を実施してもよい。すなわち、一実施形態では、基板処理装置1は、ノズル20,30,50(
図4の実施形態を使用する場合は、ノズル30,50)を基板Wの中心部から基板Wの周縁部に向かって移動させながら、気化IPAおよび不活性ガスのそれぞれを乾燥流体ノズル30および不活性ガスノズル50のそれぞれから基板Wの表面2上に供給する。一実施形態では、ノズル20,30,50(またはノズル30,50)の移動開始と同時に、不活性ガスノズル50からの不活性ガスの供給を開始してもよく、不活性ガスノズル50が中心Oの上方(例えば、軸心CP上)に移動したときに、不活性ガスノズル50からの不活性ガスの供給を開始してもよい。
【0117】
一実施形態では、ステップ2-7における第4の速度は、ステップ2-7の実施中、300min-1から1800min-1に増加させもよい(回転加速度50rpm/s)。さらに一実施形態では、ステップ2-7の工程を実施する時間(乾燥時間)は、30秒であり、ステップ2-6で供給される気化IPAの供給流量は5g/minであり、第2裏面ノズル72からの不活性ガスの供給流量は50L/minである。
【0118】
特に説明しないステップ2-8の工程は、ステップ1-8と同様であるのでその重複する説明を省略する。ステップ2-7でステップ1-7と同様の工程を実施した場合は、ステップ1-9と同様の工程も実施する。一実施形態では、乾燥流体ノズル30が基板Wの端部に移動したときに、制御部90は、旋回モータ62に指令を発してノズル20,30,50の移動を停止させ、不活性ガス流量制御弁53に指令を発して基板Wの周縁部に不活性ガスを供給してもよい。
図4に示す実施形態を使用する場合は、制御部90は、乾燥流体ノズル30が基板Wの端部に移動したときに、乾燥流体ノズル30の移動を継続させながら、旋回モータ62cに指令を発して、不活性ガスノズル50を基板Wの周縁部上方に移動させる。制御部90は、不活性ガスノズル50を基板Wの周縁部上方に移動させた後、不活性ガス流量制御弁53に指令を発して基板Wの周縁部に不活性ガスを供給する。
【0119】
本実施形態でも不活性ガスノズル50から供給される不活性ガスとして窒素が使用される。一実施形態では、不活性ガスノズル50から基板Wの周縁部に不活性ガスが供給されているときの基板Wの回転速度(第4の速度)は、1800min-1であり、不活性ガスノズル50からの不活性ガスの供給時間は、1秒であり、不活性ガスノズル50からの不活性ガスの供給流量は100L/minであり、第2裏面ノズル72からの不活性ガスの供給流量は50L/minである。
【0120】
表面2上に液体が残留している場合、液体は気化IPAと共に蒸発する。ステップ2-6~ステップ2-8により、基板Wの表面2の全体に気化IPAを供給することができる。したがって、基板W上の吸着水分までも残留することなく取り除くことができる。結果として、基板Wの表面2上に液体が残留することなく基板を乾燥させることができる。
【0121】
特に説明しないステップ2-9は、ステップ1-10と同じであるのでその重複する説明を省略する。一実施形態では、第5の速度は、1800min-1であり、ステップ2-8で不活性ガスノズル50から供給される不活性ガスの流量は100L/minであり、第2裏面ノズル72から供給される不活性ガスの流量は50L/minであり、仕上げ乾燥時間は、5秒である。
【0122】
上述した基板Wの各処理方法は、一旦基板Wの全面(基板Wの表面2の全面)に液体の膜を形成した後に、第2の速度で基板Wを回転させることで、基板W上の液体の膜の中央部を薄膜化後、あるいは液膜除去後、乾燥流体を基板に供給する。結果として、基板上の吸着水分までも残留することなく取り除くことができる。したがって、上述した基板Wの各処理方法は、基板W上の吸着水分の残留を抑制して基板を乾燥させることができる。結果として、基板W上の残留吸着水分の除去率を改善させることができる。
【0123】
また、同一基板内の表面でも、疎水性領域と親水性領域の両方を存在させたり、あるいは、多様なプロセスを同一の半導体製造装置で実施させたいというニーズが顕在化する中で、乾燥処理に供される基板表面の性状が多様化しているため、多様な基板を連続的に従来の基板乾燥装置で乾燥処理すると、複数の基板毎に乾燥品質(リンスに用いた水分の除去割合)がばらついてしまうという懸念が新たに生じてきている。別の言い方をすれば、従来の基板乾燥方法では、事前にある程度の水分は基板から除去されており、事前に除去しきれなかった水分を乾燥気体で除去しようとしていたため、個々の基板毎にその除去の割合がバラバラになり、効率的な除去ができなかった。上述した各処理方法は、ある程度の水分が除去されていても個々の基板表面上の水分分布が個々の基板毎に相違していることに着目したものであり、一旦基板Wの全面に液体の膜を形成することで、個々の基板毎の上記水分分布のばらつきをなくすことができる。さらに、液膜を除去するための回転数(振り切り速度)を上げることで、個々の基板毎における液膜の中央部の薄膜化と液膜の除去のばらつきも抑制することができる。さらに、振り切り速度で基板Wを回転させた後、乾燥流体を供給することで、個々の基板毎おける水分除去の割合のばらつきを抑制することができる。
【0124】
上述した各ステップを制御部90に実行させるためのプログラムは、非一時的な有形物であるコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録され、記録媒体を介して制御部90に提供される。または、プログラムは、インターネットまたはローカルエリアネットワークなどの通信ネットワークを介して制御部90に入力されてもよい。この記録媒体は、基板Wを処理する基板処理装置1に用いられ、コンピュータ上で動作するプログラムを記録している。
【0125】
処理される基板の表面に凹凸パターンが形成されている場合、基板を高速で回転させて基板表面に形成された液膜を振り切ろうとすると、液体と上記凹凸パターンの凸部の側面との間で作用する表面張力により、凹凸パターンの凸部が倒壊することがある。特に、アスペクト比が大きい凹凸パターンの場合にこのような現象が起きやすい。したがって、上記のような凹凸パターンが表面に形成された基板を乾燥させる場合は、基板表面上に液膜が形成された状態で、上記液膜を振り切る前に、IPAなどの乾燥流体を液体に混合させて、液体を乾燥流体とともに蒸発させる(液体を乾燥流体で置換させる)必要がある。
【0126】
上述のように、本実施形態の基板Wは、化学機械研磨工程(CMP)によって研磨された基板であって、平坦化処理がなされた表面2を有している。基板処理装置1は、このような化学機械研磨工程によって表面が平坦化され、かつウェットな状態で処理に供された基板を処理する場合、基板を高速で回転させて基板上の液膜の中央部を薄膜化、または液膜を振り切って除去しても、上述した凸部の倒壊は生じない。したがって、CMP後の基板上に液膜を形成し、液膜の中央部を薄膜化、または液膜を振り切って除去した後に、乾燥流体を供給することができる。結果として、乾燥流体の使用量を抑制しつつ、基板上の吸着水分までも残留することなく取り除くことができる。
【0127】
図24は、基板処理装置1の他の実施形態を示す図である。
図24では、基板処理装置1の一部の構成要素が描かれている。
図24に示すように、基板処理装置1は、基板保持部10に保持される基板Wの周囲に配置されたカバー200をさらに備えている。カバー200は、基板Wと同心円状に配置された筒形状を有しており、基板保持部10の複数のチャック11に固定されている。カバー200は、回転する基板Wから遠心力により飛散した液体を受ける。
【0128】
カバー200は、基板Wの全周を囲むように、基板Wの半径方向外側に配置されている。制御部90が基板保持部10に指令を発して、チャック11に保持された基板Wが基板保持部10の軸心CP周りに回転すると、チャック11に固定されたカバー200は、基板Wと同一の回転方向で、かつ基板Wと同一の回転速度で回転する。
図24に示す実施形態では、カバー200は、変化する基板Wの回転速度と同一の回転速度で回転するため、結果として、カバー200は、回転する基板Wから飛散する液体を確実に捕集することができ、液体の跳ね返りによる、乾燥処理への悪影響を防止することができる。
【0129】
図25は、基板処理装置1のさらに他の実施形態を示す図である。
図25では、基板処理装置1の一部の構成要素が描かれている。
図25に示すように、基板処理装置1は、カバー200を回転させるカバー回転機構202を備えてもよい。
図25に示す実施形態では、カバー200は、基板保持部10のチャック11には固定されておらず、基板保持部10とは独立して設けられている。
【0130】
図25に示すように、カバー回転機構202は、カバーモータ201と、カバーモータ201の回転力をカバー200に伝達させる伝達装置205と、を備えている。より具体的には、伝達装置205は、カバーモータ201に固定された歯車204と、カバー200の外周面に取り付けられ、かつ歯車204と噛み合う歯203と、を備えている。カバーモータ201が回転すると、カバー200は、伝達装置205(すなわち、歯203および歯車204)を介して回転する。
【0131】
回転モータ12およびカバーモータ201は、制御部90に電気的に接続されている。制御部90は、カバー200が基板Wと同一の回転方向で、かつ基板Wと同一の回転速度で回転するように、回転モータ12およびカバーモータ201に指令を発する。このようにして、制御部90は、基板保持部10に保持された基板Wの回転に同期して、カバー200を回転させる。
【0132】
図25に示す実施形態では、伝達装置205は、歯203と歯車204との組み合わせであるが、伝達装置205の構成は、本実施形態には限定されない。一実施形態では、図示しないが、伝達装置205は、カバーモータ201に固定されたモータプーリと、カバー200の外周面に取り付けられたカバープーリと、モータプーリおよびカバープーリに掛け渡されたベルトと、の組み合わせであってもよい。
【0133】
図26は、基板処理装置1を備えた基板処理システム100の一実施形態を示す模式図である。
図26に示すように、基板処理システム100は、略矩形状のハウジング101と、多数の基板を収容する基板カセットが載置されるロードポート102と、を備えている。ロードポート102は、ハウジング101に隣接して配置されている。ロードポート102には、オープンカセット、SMIF(Standard Manufacturing Interface)ポッド、またはFOUP(Front Opening Unified Pod)を搭載することができる。SMIF、FOUPは、内部に基板カセットを収納し、隔壁で覆うことにより、外部空間とは独立した環境を保つことができる密閉容器である。
【0134】
ハウジング101の内部には、複数(本実施形態では、4つ)の研磨ユニット104a~104dと、研磨後の基板を洗浄する第1洗浄ユニット106および第2洗浄ユニット108と、乾燥ユニット120とが収容されている。研磨ユニット104a~104dは、基板処理システムの長手方向に沿って配列され、洗浄ユニット106,108および乾燥ユニット120も基板処理システム100の長手方向に沿って配列されている。乾燥ユニット120は、上述した基板処理装置1を備えている。
【0135】
ロードポート102、研磨ユニット104a、および乾燥ユニット120に囲まれた領域には、第1基板搬送ロボット112が配置され、また研磨ユニット104a~104dと平行に、基板搬送ユニット114が配置されている。第1基板搬送ロボット112は、研磨前の基板をロードポート102から受け取って基板搬送ユニット114に渡すとともに、処理後(乾燥後)の基板を乾燥ユニット120から受け取ってロードポート102に戻す。基板搬送ユニット114は、第1基板搬送ロボット112から受け取った基板を搬送して、各研磨ユニット104a~104dとの間で基板の受け渡しを行う。各研磨ユニットは、研磨面に研磨液を供給しながら、基板を研磨面に摺接させることで、基板の表面を研磨する。
【0136】
第1洗浄ユニット106と第2洗浄ユニット108の間に位置して、これらの洗浄ユニット106,108および基板搬送ユニット114の間で基板を搬送する第2基板搬送ロボット116が配置され、第2洗浄ユニット108と基板処理装置1との間に位置して、これらの各ユニット108,120の間で基板を搬送する第3基板搬送ロボット118が配置されている。
【0137】
第1洗浄ユニット106として、薬液の存在下で、基板の表裏両面にロールスポンジを擦り付けて基板を洗浄する基板洗浄装置が使用されている。第2洗浄ユニット108として、二流体タイプの基板洗浄装置が使用されている。
【0138】
基板は、研磨ユニット104a~104dの少なくとも1つにより研磨される。研磨された基板は、第1洗浄ユニット106と第2洗浄ユニット108により洗浄され、さらに洗浄された基板は基板処理装置1により処理される。
【0139】
一実施形態では、基板処理システム100は、3つの洗浄ユニットを備えていてもよく、基板に含まれる欠陥(不純物および/またはウォーターマーク)を検出する欠陥検査装置(図示しない)をさらに備えてもよい。
【0140】
図26に示す例では制御部90は、乾燥ユニット120の外側のハウジング101の内部に配置されているが、一実施形態では、制御部90は、乾燥ユニット120内に配置されていてもよい。乾燥ユニット120内(基板処理装置1の近傍)に制御部90を配置することで、制御部90の負荷を減らし、通信遅延を抑制することができる。
【0141】
さらに一実施形態では、制御部90は、洗浄ユニット106,108内に配置されていてもよく、研磨ユニット104a~104d内に配置されていてもよい。さらに一実施形態では、基板処理システム100が設置される工場内の、ハウジング101の外側に配置されていてもよい。さらに一実施形態では、研磨部90は、複数のコンピュータから構成されており、上記複数のコンピュータは、工場内に分散して配置されていてもよい。
【0142】
別の言い方をすれば、制御部90を構成する少なくとも1台のコンピュータは、洗浄ユニット106,108内、洗浄ユニット106,108の近傍、または洗浄ユニット106,108から離れた基板処理システム100内に配置されていてもよい。さらに一実施形態では、半導体基板製造工場内の複数の基板処理システムの1ラインに制御部90を構成する少なくとも1台のコンピュータが配置されていてもよい。さらに一実施形態では、制御部90を構成する複数のコンピュータは複数の基板処理システムの複数のラインに配置されていてもよい。さらに一実施形態では、制御部90を構成する少なくとも1台のコンピュータは、工場内のライン制御・監視場所やライン制御・監視システム内に配置されていてもよい。さらに一実施形態では、半導体基板製造企業の複数の工場監視場所や工場監視システム内、あるいはCMP装置製造・設置企業内に配置されていてもよい。
【0143】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。たとえば、研削工程を経た基板の処理や、裏面研削(あるいは裏面研磨)処理を経た基板、あるいは、塗布装置による塗布処理を経た基板の乾燥処理に適用することができる。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明は、基板を処理する基板処理方法および基板処理装置に利用可能である。また、本発明は、このような基板処理方法を実行するためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に利用可能である。
【符号の説明】
【0145】
1 基板処理装置
2 表面
3 裏面
6 隔壁
6a クリーンエア取入口
7 処理室
8 換気機構
8A ファン
8B フィルター
9 排気ダクト
10 基板保持部
11 チャック
12 回転モータ
20 液体ノズル
21 液体供給ライン
23 液体流量制御弁
24 液体供給機構
30 乾燥流体ノズル
31 乾燥流体供給ライン
33 乾燥流体流量制御弁
34 乾燥流体供給機構
35 乾燥流体生成装置
36 気液混合部
37 ヒーター
50 不活性ガスノズル
51 不活性ガス供給ライン
53 不活性ガス流量制御弁
54 不活性ガス供給機構
60 ノズル移動機構
60a 液体ノズル移動機構
60b 乾燥流体ノズル移動機構
60c 不活性ガスノズル移動機構
61 アーム
61a 液体ノズル保持アーム
61b 乾燥流体ノズル保持アーム
61c 不活性ガスノズル保持アーム
62 旋回モータ
62a,62b,62c 旋回モータ
63 旋回軸
63a,63b,63c 旋回軸
65 ヒーター
69 第1裏面側供給機構
70 第2裏面側供給機構
71 第1裏面ノズル
72 第2裏面ノズル
75 第1裏面側供給ライン
76 第2裏面側供給ライン
79 第1裏面側流量制御弁
80 第2裏面側流量制御弁
90 制御部