(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】軸方向位置合わせ組立体、およびそのような位置合わせ組立体を備えた荷電粒子顕微鏡
(51)【国際特許分類】
H01J 37/04 20060101AFI20250212BHJP
【FI】
H01J37/04 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021084285
(22)【出願日】2021-05-19
【審査請求日】2023-10-02
(32)【優先日】2020-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501233536
【氏名又は名称】エフ イー アイ カンパニ
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】プレウン,ドナ
(72)【発明者】
【氏名】キャスペル マリア シュミット
【審査官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04730138(US,A)
【文献】実開昭48-098057(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2009/0039280(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向位置合わせ組立体(100)であって、
-
円筒形の外側ジャケット(103)を備え、第1の位置合わせ軸(A1)を有する、第1の本体(101)と、
-
円筒形の内側ジャケット(203)を備え、第2の位置合わせ軸(A2)を有する、第2の本体(201)であって、前記内側ジャケット(203)が、前記外側ジャケット(103)に面し、また前記内側ジャケットと前記外側ジャケットとの間に、
環状の環状凹部(401)が形成されるように、前記第1の本体(101)に対して位置付けられている、第2の本体(201)と、
-前記環状凹部(401)内に位置付けられている複数の弾性要素(301、302)であって、各弾性要素(301、302)が、前記第1の本体(101)の前記外側ジャケット(103)
および前記第2の本体(201)の前記内側ジャケット(203)に接触し、前記第1の位置合わせ軸(A1)と前記第2の位置合わせ軸(A2)とを位置合わせするために、前記外側ジャケット(103)
および前記内側ジャケット(203)に力を及ぼす、複数の弾性要素(301、302)と、を備え、
前記軸方向位置合わせ組立体(100)が、前記複数の弾性要素(301、302)を保持するためのホルダ(311、411)を備え、
前記ホルダ(311)は、前記弾性要素(301、302)の移動を前記第1の位置合わせ軸(A1)および前記第2の位置合わせ軸(A2)に対して平行な方向へのみ制限することによって、前記第1の位置合わせ軸(A1)および前記第2の位置合わせ軸(A2)に対して平行な方向に前記弾性要素(301、302)を収めるためのケージを備える、軸方向位置合わせ組立体(100)。
【請求項2】
前記弾性要素(301、302)は、前記外側ジャケット(103)と前記内側ジャケット(203)との間の公称距離を超過する公称寸法を有する、請求項1に記載の軸方向位置合わせ組立体(100)。
【請求項3】
前記弾性要素(301、302)が、
球形の要素(301、302)を備える、請求項1または2に記載の軸方向位置合わせ組立体(100)。
【請求項4】
前記弾性要素(301、302)が、プラスチック材料から成っている、請求項1~3いずれか1項に記載の軸方向位置合わせ組立体(100)。
【請求項5】
前記第1の本体が、第1の当接表面(105)を有し、前記第2の本体が、前記第1の当接表面に接続されている第2の当接表面(205)を有する、請求項1~4いずれか1項に記載の軸方向位置合わせ組立体(100)。
【請求項6】
前記第1の当接表面(105)および第2の当接表面(205)のうちの少なくとも1つが、前記第1の位置合わせ軸(A1)および/または前記第2の位置合わせ軸(A2)に対して平行な成分である面法線を有する、請求項5に記載の軸方向位置合わせ組立体(100)。
【請求項7】
前記第1の当接表面(105)および第2の当接表面(205)のうちの少なくとも1つが、前記外側ジャケット(103)および/または前記内側ジャケット(203)に対して直交して位置付けられている、請求項5または6に記載の軸方向位置合わせ組立体(100)。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか一項に記載の軸方向位置合わせ組立体(100)を備える、荷電粒子顕微鏡。
【請求項9】
前記第1の本体が、磁極片(1101、1102)である、請求項
8に記載の荷電粒子顕微鏡。
【請求項10】
第1の本体と第2の本体とを軸方向に位置合わせする方法であって、
-
円筒形の外側ジャケット(103)を備え、第1の位置合わせ軸(A1)を有する、第1の本体(101)を提供するステップと、
-
円筒形の内側ジャケット(203)を備え、第2の位置合わせ軸(A2)を有する、第2の本体(201)を提供するステップと、
-複数の弾性要素(301、302)を提供するステップと、を含み、
-前記内側ジャケット(203)が、前記外側ジャケット(103)に面し、また前記内側ジャケット(203)と前記外側ジャケット(103)との間に、
環状の環状凹部(401)が形成されるように、前記第2の本体(201)を前記第1の本体(201)に対して位置付けるステップと、
-各弾性要素(301、302)が、前記第1の本体(101)の前記外側ジャケット(103)
および前記第2の本体(201)の前記内側ジャケット(203)に接触し、前記第1の位置合わせ軸(A1)と前記第2の位置合わせ軸(A2)とを位置合わせするために、前記外側ジャケット(103)
および前記内側ジャケット(203)に力を及ぼすような前記複数の弾性要素(301、302)を前記環状凹部(401)に位置付けるステップと、
前記複数の弾性要素(301、302)を保持するためのホルダ(311、411)を提供するステップであって、前記ホルダ(311)は、前記弾性要素(301、302)の移動を前記第1の位置合わせ軸(A1)および前記第2の位置合わせ軸(A2)に対して平行な方向へのみ制限することによって、前記第1の位置合わせ軸(A1)および前記第2の位置合わせ軸(A2)に対して平行な方向に前記弾性要素(301、302)を収めるためのケージを備える、ステップと、をさらに含む、方法。
【請求項11】
前記複数の弾性要素(301、302)を保持するためのホルダ(311)を提供するステップを含み、前記ホルダ(311)に前記複数の弾性要素(301、302)を位置付けるステップを含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の弾性要素(301、302)が、最初に前記外側ジャケット(103)および前記内側ジャケット(203)のうちの1つに接触し、その後、前記外側ジャケット(103)および前記内側ジャケット(203)のうちのもう1つに接触する状態にされる、請求項
10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の位置合わせ軸(A1)および前記第2の位置合わせ軸(A2)に主に平行な方向に、前記第2の本体(201)に対して前記第1の本体(101)を移動させるステップを含む、請求項
12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
概要
本発明は、第1の軸方向位置合わせ軸を有する第1の本体と、第2の軸方向位置合わせ軸を有する第2の本体と、を備える、軸方向位置合わせ組立体に関し、軸方向位置合わせ組立体が、前記第1と第2の軸方向位置合わせ軸とを実質的に互いに位置合わせするように配置されている。
【0002】
本発明はまた、このような軸方向位置合わせ組立体を備える荷電粒子顕微鏡に関する。
【0003】
荷電粒子顕微鏡は、よく知られており、微視的な物体を撮像するための技術として、特に電子顕微鏡の形式で重要性を増している。歴史的に見て、電子顕微鏡の基本的な種類は、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)、走査透過型電子顕微鏡(STEM:Scanning Transmission Electron Microscope)などのいくつかの周知の装置種に、また、例えば、イオンビームミリングまたはイオンビーム誘起蒸着(IBID: Ion-Beam-Induced Deposition)などのサポートを可能にする、さらに「機械加工」集束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)を採用する、いわゆる「デュアルビーム」装置(例えば、FIB-SEM)など、様々な亜種に進化してきた。 当業者であれば、荷電粒子顕微鏡のさまざま様々な種類を熟知しているであろう。当業者ならば、異種の荷電粒子顕微鏡法に精通しているであろう。
【0004】
SEMでは、走査型電子ビームが試料に照射されると、二次電子、後方散乱電子、X線およびカソードルミネセンス(赤外、可視および/または紫外の光子)の形式で、「補助」放射線の放射が試料から発生する。この放出放射線の1つ以上の成分が、サンプル分析のために検出および使用され得る。
【0005】
TEMでは、電子ビームを試料に透過させて、ビームが試料を透過したときの試料と電子との相互作用から画像を形成する。この画像を拡大して、蛍光スクリーン、写真フィルムの層、または電荷結合デバイス(CCD)に取り付けられたシンチレータなどのセンサなどの撮像デバイスに焦点を合わせる。シンチレータは、顕微鏡内の一次電子を光子に変換し、CCDがそれを検出することができるようにする。
【0006】
荷電粒子顕微鏡は、共通の軸方向位置合わせ軸に対して正確に位置合わせされる必要がある、いくつかのモジュールを備える。この共通の軸方向位置合わせ軸は、多くの場合、電子-光学軸である。正確な位置合わせが必要なモジュールには、電磁レンズなどの光学モジュール、特にこれらの電磁レンズの磁極片が含まれる。例えば、上部の磁極片と下部の磁極片の位置合わせに必要な公差は、1μm程度の大きさになり得る。これらの厳密な公差は、他の機械システムでも要求されることがある。
【0007】
本開示の目的は、これらの要求される公差を提供するか、または少なくとも既存の軸方向位置合わせ組立体を改善する、軸方向位置合わせ組立体を提供することである。特に、このような軸方向位置合わせ組立体を組み込むことにより、改善された荷電粒子顕微鏡を提供することが目的である。
【0008】
この目的のために、請求項1に定義される、軸方向位置合わせ組立体が提供される。
【0009】
本明細書において定義の、軸方向位置合わせ組立体は、実質的に円筒形の外側ジャケットを備える第1の本体を備える。第1の本体は、第1の位置合わせ軸を備える。第1の位置合わせ軸は、一般に、前記円筒形の外側ジャケットによって定義される円筒の縦軸に対応する。第1の本体は、例えば、電磁レンズの磁極片などの荷電粒子顕微鏡の光学モジュールであってもよい。第1の本体は、第1の位置合わせ軸に対して中心に位置する中空ボアを備え得る。第1の本体の他の実施形態もまた、当然のことながら考えられる。
【0010】
本明細書において定義の、軸方向位置合わせ組立体は、実質的に円筒形の内側ジャケットを備える第2の本体を備える。第2の本体は、第2の位置合わせ軸を備える。第2の位置合わせ軸は、前記円筒形の内側ジャケットによって画定される(仮想)円筒の長手方向軸に概ね対応している。前記第2の本体は、前記第1の本体の前記内側ジャケットが前記第2の本体の前記外側ジャケットに面するように、前記第1の本体に対して位置付けられる。言い換えれば、第1の本体は、少なくとも一部が、前記仮想円筒によって画定される円筒状の間隙の中に位置付けられている。第1の本体の大きさおよび寸法と、円筒形間隙の大きさおよび寸法とは、前記内側ジャケットと前記外側ジャケットとの間に環状凹部が形成されるようになっている。したがって、前記内側ジャケットと前記外側ジャケットとの間には、実質的に環状凹部が形成されている。前記凹部は、少なくとも数十ミリメートル、あるいは数十マイクロメートルの公称幅であってもよい。
【0011】
また、本明細書において定義の、軸方向位置合わせ組立体はまた、前記環状凹部内に位置付けられる複数の弾性要素を備える。これらの弾性要素は、これらの弾性要素の少なくとも1つの寸法が環状凹部の公称サイズを超えていれば、原則的にどのような形状でもよい。実用的な実施形態では、弾性要素は実質的に球形であり、球形の弾性要素の直径は、環状凹部の公称サイズ、すなわち内側ジャケットと外側ジャケットとの間の距離を超えている。本明細書において定義の、複数の弾性要素の各々は、前記第1の本体の前記外側ジャケットおよび前記第2の本体の前記内側ジャケットと接触している。弾性要素は、前記外側ジャケットに、また前記内側ジャケットに力を及ぼし、これにより、第1の位置合わせ軸と前記第2の位置合わせ軸とが位置合わせされ、こうして第1の本体は第2の本体に位置合わせされる。
【0012】
外側円筒形ジャケットおよび内側円筒形ジャケットによって形成された環状凹部に弾性要素を使用することで、2つの本体および弾性要素に生じ得る大きな寸法と形状の偏差にも関わらず、2つの本体の良好な中央合わせ、すなわち軸方向位置合わせが確保される。
【0013】
プラスチックボールを使用する軸方向組立が出願人名でNL10257037Cから知られていることが分かる。本開示では、位置合わせされる必要がある2つの本体には、対応するV形環状溝が提供されている。実質的に長方形の環状溝からの2つのV形環状溝には4つの当接表面があるように、2つの本体が互いに対して方向付けられる。溝にプラスチックボールを提供し、例えば締め付け力を使用して2つの本体を互いへ押すことによって、球形ボールは、環状溝の4つの当接表面の各々に接触し、2つの本体の軸方向位置合わせが確実になる。
【0014】
この知られている軸方向位置合わせ組立体の欠点の1つは、このV溝設計では2つの本体を「一緒に引っ張る」必要があることである。2つの本体を互いに固定し、プラスチックボールを4つの当接表面に押し付けることで、位置合わせ組立体が機能することができる。ボールを変形させるための締め付け力は相当なものである。締め付け力を弱めるための1つの選択肢は、「柔らかい」ボール、すなわちより簡単に圧縮され得るボールを使用するということであるが、これには、2つの本体を位置合わせするのに使用される力を弱めるという否定的副作用がある。
【0015】
本明細書において定義の軸方向位置合わせ組立体では、外側ジャケットと内側ジャケットを利用して、弾性要素が提供されている環状凹部を形成する。これは、本発明による軸方向位置合わせ組立体が、4つの当接表面の存在を必要とせず、軸方向締め付け力の使用を必要としないので、NL10257037Cに記載の位置合わせ組立体よりも好都合である。これにより、さらに約1μmの公差を提供することができる、改良型の軸方向位置合わせ組立体が提供される。これにより、本発明の目的が達成される。
【0016】
以下に、好都合な実施形態をさらに述べることとする。
【0017】
ある実施形態では、弾性要素は、実質的に球形の要素を含む。球形要素を使用することによって、具体的には、球形弾性要素に実質的に等方性の弾力性がある場合、弾性要素を正しい方法で方向付ける必要が軽減される。球形要素は、良好な寸法公差で作り出され得る。さらに、球形要素の使用により、弾性要素は、環状凹部内で転がることができ、軸方向位置合わせ性質を助ける最低限(ゼロまで)の接線方向残留力を弾性要素に及ぼすことにつながる。
【0018】
ある実施形態では、弾性要素の寸法および個数が、第1の本体の外側ジャケットの寸法に適合されている。弾性要素の個数が可能な限り多いのが好ましいが、弾性要素の寸法は、すべての構成要素(第1の本体、第2の本体、および弾性要素)に必要な公差を上げることになるので、あまり小さくならないようにする必要がある。弾性要素の寸法は、第1の本体の半径の1%~10%の範囲、好ましくは5%であり得る。この割合により、約125個の弾性要素が第1の本体の外側円筒形ジャケットに確実に嵌合し得る。例として、第1の本体は、約100mmの半径、および約4mmの半径の合計120個の球形弾性要素を備え得る。この場合、割合は4%(=4/100)である。
【0019】
ある実施形態では、コイルバネに弾性要素を作り上げる巻きが備わっている。コイルバネは、取り付ける必要のある部品が減るのにつれて、簡単になる軸方向位置合わせ組立体の組み立て方法をもたらすことができる。
【0020】
ある実施形態では、弾性要素は、ポリオキシメチレンなどのプラスチック材料から成っている。代替として、ゴム製要素も使用されてもよい。
【0021】
ある実施形態では、第1の本体には第1の当接表面があり、第2の本体には、軸方向位置合わせ組立体の接続状態で、前記第1の当接表面に接続されている第2の当接表面がある。第1の当接表面は、第1の位置合わせ軸に対して実質的に平行に方向付けられ得る法線を備える。第2の当接表面は、第2の位置合わせ軸に対して実質的に平行に方向付けられ得る法線を備える。第1の本体の法線と第2の本体の法線とは、反対方向に方向付けられる。
【0022】
ある実施形態では、第1の当接表面および第2の当接表面のうちの少なくとも1つが、前記第1の位置合わせ軸および/または第2の位置合わせ軸に対して平行な成分である面法線を備える。第1の当接表面は、第1の本体の外側円筒形ジャケットに対して実質的に直交し得る。第2の当接表面は、円筒形内側ジャケットに対して実質的に直交し得る。したがって、第1の当接表面および第2の当接表面のうちの少なくとも1つが、外側ジャケットおよび/または内側ジャケットに対して直交して位置付けられている。
【0023】
ある実施形態では、軸方向位置合わせ組立体は、複数の弾性要素を保持するためのホルダを備える。ホルダは、外側円筒形ジャケットと内側円筒形ジャケットとの間に形成されている凹部に提供され得る。ホルダにより複数の弾性要素によるホルダの事前加工が可能になるので、ホルダは、軸方向組立体の事実上の製造を可能にする。次に、弾性要素を有するホルダは、第1の本体と第2の本体との間に挿入され得る。代替として、ホルダは、第2の本体の内側円筒形ジャケットの隣に位置付けられてもよく、第1の本体が所定位置に位置付けられてもよい。
【0024】
ある実施形態では、ホルダは、具体的には前記位置合わせ軸に対して平行な方向に、前記弾性要素を収めるためのケージを含む。
【0025】
ある態様によれば、本明細書において定義の軸方向位置合わせ組立体を備える荷電粒子顕微鏡が提供される。
【0026】
ある実施形態では、前記第1の本体は、レンズの磁極片である。
【0027】
ある態様によれば、第1の本体と第2の本体とを軸方向に位置合わせする方法が提供され、前記方法は、
-実質的に円筒形の外側ジャケットを備え、第1の位置合わせ軸を有する、第1の本体を提供するステップと、
-実質的に円筒形の内側ジャケットを備え、第2の位置合わせ軸を有する、第2の本体を提供するステップと、
-複数の弾性要素を提供するステップと、を含み、
【0028】
-前記内側ジャケットが前記外側ジャケットに面し、また前記内側ジャケットと前記外側ジャケットとの間に、実質的に環状の凹部が形成されるように、前記第2の本体を前記第1の本体に対して位置付けるステップと、
-各弾性要素が前記第1の本体の前記外側ジャケットに、また前記第2の本体の前記内側ジャケットに接触し、前記第1の位置合わせ軸と前記第2の位置合わせ軸とを位置合わせするように、前記外側ジャケットに、また前記内側ジャケットにある力を及ぼすように、前記環状凹部に前記複数の弾性要素を位置付けるステップと、をさらに含む。
【0029】
本明細書において定義の方法が様々に並べ替えられ得ることが分かる。上記のステップは、必ずしも述べられた順番で行われる必要はない。第1の本体、第2の本体、および弾性要素の位置付けは、
-最初に第1の本体、次に第2の本体、最後に弾性要素を位置付けすることと、
-最初に第1の本体、次に弾性要素、最後に第2の本体を位置付けすることと、
-最初に第2の本体、次に第1の本体、最後に弾性要素を位置付けすることと、
最初に第2の本体、次に弾性要素、最後に第-1の本体を位置付けすることと、
-最初に弾性要素、次に第1の本体、最後に第2の本体を位置付けすることと、
-最初に弾性要素、次に第2の本体、最後に第1の本体を位置付けすることと、を含み得る。
【0030】
ある実施形態では、方法は、前記複数の弾性要素を保持するためのホルダを提供するステップと、前記ホルダに前記複数の弾性要素を位置付けるステップと、を含む。前に定義した通り、ホルダを提供するステップは、いくつかの方法で行われ得る。例えば、ホルダと弾性要素との組み合わせが第1の本体または第2の本体のうちのいずれか1つに接触する状態にされる前に、複数の弾性要素が前記ホルダに位置付けられる。
【0031】
ある実施形態では、前記複数の弾性要素が、外側ジャケットおよび内側ジャケットのうちの1つに接触する状態にされ、その後、外側ジャケットおよび内側ジャケットのうちのもう1つに接触する状態にされる。
【0032】
ある実施形態では、方法は、前記第2の本体に対して、前記第1および第2の位置合わせ軸に対して主に平行な方向に、前記第1の本体を移動させるステップを含み得る。
【0033】
ここで、本発明は、例示的な実施形態および添付の概略図を基にして詳細に明らかにされるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の第1の実施形態による、荷電粒子顕微鏡の縦断面図を示す。
【
図2】本発明の第2の実施形態による、荷電粒子顕微鏡の縦断面図を示す。
【
図3】本明細書において定義の軸方向組立体の第1の本体および第2の本体を貫通する長手方向断面図を示す。
【
図4a】本明細書において定義の軸方向組立体を貫通する長手方向断面図を示す。
【
図4b】
図4aの軸方向組立体のクローズアップ図を示す。
【
図5】本明細書において定義の軸方向組立体のある実施形態を示す。
【
図6】具体的には荷電粒子顕微鏡用に使用する際の本明細書において定義の軸方向組立体のさらなる実施形態を示す。
【0035】
図1(縮尺どおりではない)は、本発明の実施形態による、荷電粒子顕微鏡Mの実施形態の非常に概略的な図である。より具体的には、この図は、この場合、TEM/STEM(本発明の背景では、例えば、SEM(
図2参照)またはイオンベースの顕微鏡であることが同じくらい有効であり得るが)である透過型顕微鏡Mのある実施形態を示す。
図1では、真空筐体2内で、電子源4が、電子光学軸B’に沿って伝播し、電子光学発光体6を渡り、試料S(例えば、(局所的に)薄化/平面化され得る)の選択部分に電子を方向付ける/集中させる働きをする、電子ビームBを生み出す。偏向器8もまた図示されており、これは、(とりわけ)ビームBの走査運動をもたらすために使用することができる。
【0036】
試料Sは、ホルダHが(取り外し可能に)装着されたクレードルを移動させる位置付けデバイス/ステージAによって、複数の自由度で位置付けされ得る試料ホルダHに保持され、例えば、試料ホルダHは、(数ある中でも)XY平面で移動され得るフィンガを備え得る(描写のデカルト座標系を参照、通常、Zに平行な運動およびX/Yを中心とする傾斜も可能である)。このような移動により、試料Sの様々な部分が、軸B’に沿って移動する(Z方向に)電子ビームBによって照明/撮像/検査されることが可能になる(かつ/または電子ビーム走査の代替として、走査運動が行われることが可能になる)。所望される場合、オプションの冷却デバイス(描写せず)が、試料ホルダHとの密接な熱接触状態にされ、それによって試料ホルダH(およびそれ上の試料S)を例えば極低温に維持することができる。
【0037】
電子ビームBは、(例えば)2次電子、後方散乱電子、X線、および光放射(カソードルミネッセンス)を含む様々なタイプの「誘導」放射線を試料Sから放出させるように、試料Sと相互作用する。所望される場合、例えば、シンチレータ/光電子増倍管またはEDXもしくはEDS(エネルギー分散型X線分光)モジュールを組み合わせたものであり得る分析デバイス22の助けを借りて、これらの放射線のタイプのうちの1つ以上を検出することができ、このような場合には、SEMと基本的に同じ原理を使用して画像を構築することができる。しかしながら、代替的にまたは補足的に、試料Sを横断(通過)し、試料Sから出射/放出され、軸線B´に沿って(実質的には、とはいえ、概して、ある程度偏向/散乱しながら)伝搬し続ける電子を調査することができる。このような透過電子束は、通常、様々な静電/磁気レンズ、逸らせ板、コレクタ(スティグメータなど)などを備える撮像システム(投射レンズ)24に入る。標準的な(非散乱)TEMモードでは、この撮像システム24は、所望される場合、それを軸B’の道の外に出させるように、引っ込められ/引き出され得る(矢印26’で概略的に示されるように)電子束を蛍光スクリーン26に集めることができる。スクリーン26上に撮像システム24によって、試料Sの(一部の)画像(またはディフラクトグラム)が形成されるようになり、これは、筐体2の壁の好適な部分に位置するビューイングポート28を通して見ることができる。スクリーン26用の引き込み機構は、例えば、事実上、機械式および/または電気式であり得、ここでは描写されていない。
【0038】
スクリーン26上の画像を視認することの代替として、代わりに、撮像システム24から出ていく電子束の集束深度が概して極めて深い(例えば、約1メートル)という事実を利用することができる。その結果、様々な他のタイプの分析装置(以下のような)をスクリーン26の下流で使用することができる。
-TEMカメラ30。カメラ30の位置で、電子束は、静止画像(または、ディフラクトグラム)を形成することができ、静止画像は、コントローラ/プロセッサ20により処理することができ、例えば、フラットパネル表示のような表示デバイス14に表示することができる。必要ではない場合、カメラ30は、後退/回収(矢印30´で概略的に示すように)されて、カメラを軸線B´から外れるようにすることができる。
-STEMカメラ32。カメラ32からの出力は、試料S上のビームBの(X、Y)走査位置の関数として記録することができ、X、Yの関数としてのカメラ32からの出力の「マップ(map)」である画像を構築することができる。カメラ32は、カメラ30に特徴的に存在する画素のマトリックスとは対照的に、例えば、20mmの直径を有する単一の画素を含むことができる。さらに、カメラ32は、概して、カメラ30(例えば、102画像/秒)よりもはるかに高い取得レート(例えば、106ポイント/秒)を有する。繰り返しになるが、必要ではない場合、カメラ32は、軸B’の邪魔にならないように(このような引っ込めは、例えば、ドーナツ形アニュラーダークフィールドカメラ32の場合は必要ではないと考えられ、このようなカメラでは、カメラが使用されていない場合、中央穴によって、束通路が可能になり得る)、引っ込められ/引き出され得る(矢32’で概略的に示される通りに)。
-カメラ30または32を使用して撮像を行うことの代替として、例えば、EELSモジュールとすることができる分光装置34を呼び出すこともできる。
【0039】
部品30、32、および34の順序/位置は厳密ではなく、多くの可能な変形が考えられることに留意されたい。例えば、分光装置34は、撮像システム24と一体化することもできる。
【0040】
図示の実施形態では、顕微鏡Mは、通常参照番号40で示される、引き込み式X線コンピュータ断層撮影(CT:Computed Tomography)モジュールをさらに備える。コンピュータ断層撮影(断層撮像とも称される)では、電子源および(直径方向に対向する)検出器を使用して、様々な視点からの試料の洞察力のある観察を得るように、様々な視線に沿って試料を調べる。
【0041】
コントローラ(コンピュータプロセッサ)20は、図示される様々な構成要素に、制御線(バス)20’を介して接続されることに留意されたい。このコントローラ20は、アクションを同期させる、設定値を提供する、信号を処理する、計算を実行する、およびメッセージ/情報を表示デバイス(図示せず)に表示するなどの様々な機能を提供することができる。言うまでもなく、コントローラ20(概略的に描写された)は、所望される通りに、筐体2の内側にあっても外側にあってもよく、一体構造であっても複合構造であってもよい。
【0042】
当業者は、筐体2の内部が厳密な真空状態に保持される必要はないことを理解するであろう。例えば、いわゆる「環境TEM/STEM」では、所与のガスの背景雰囲気が、筐体2内に意図的に導入/維持される。当業者であれば、実際に、可能であれば、採用された電子ビームが透過するが、電子源4、試料ホルダH、スクリーン26、カメラ30、カメラ32、分光装置34などの構造体を収容するように外に広がっている、小型チューブ(例えば、1cm程度の寸法の)の形態を採って、軸B´を基本的に抱え込むように、筐体2の体積を制限するのに好都合であり得ることも理解するであろう。
【0043】
ここで
図2を参照すると、本発明による装置の別の実施形態が示されている。
図2(縮尺どおりではない)は、本発明による荷電粒子顕微鏡Mの非常に概略的な描写であり、より具体的には、この場合、SEMである、非透過型顕微鏡Mの実施形態を示す(ただし、本発明の文脈では、例えば、イオンベース顕微鏡も同様に有効であり得る)。図では、
図1の項目に対応する部品は、同一の参照符号を使用して示され、ここでは別個に説明されない。(とりわけ)以下の部品が
図1に加えられる。
-2a:真空ポート、これは、真空室2の内部へ/から項目(構成要素、試料)を取り込む/取り除くように開くことができ、またはそれに加えて、例えば、補助デバイス/モジュールが装着され得る。顕微鏡Mは、所望される場合、複数のこのようなポート2aを備えることができる。
-10a、10b:発光体6における概略的に描写されたレンズ/光学素子
-12:必要に応じて、試料ホルダHまたは少なくとも試料Sが、接地に対してある電位にバイアス(浮遊)されることを可能にする電圧源。
-14:FPDまたはCRTなどのディスプレイ。
-22a、22b:(セグメント化電子検出器22a、中央開口22b(ビームBの通過を可能にする)の周りに配設された複数の独立した検出セグメント(例えば、四分円)を備える。このような検出器は、例えば、試料Sから出てくる出力(二次または後方散乱の)電子の束(の角度依存性)を調査するために使用され得る。
【0044】
図1および
図2に示される荷電粒子顕微鏡のいくつかの構成要素は、軸方向に位置合わせされている必要がある。しかし通常、2つ以上の構成要素が軸方向に位置合わせされている必要があることが求められることがある。このため、本開示は、軸方向位置合わせ組立体を提供する。
【0045】
ここで、
図3に移ると、第1の軸方向位置合わせ軸A1を有する第1の実質的に円筒形の本体101と第2の軸方向位置合わせ軸A2を有する第2の実質的に円筒形の本体201との組立体100が示されている。第1の本体101と第2の本体201とが、必ずしも円筒形である必要がないことが分かる。本明細書において定義の通り、第1の本体101は、実質的に円筒形の外側ジャケット103を備え、第1の位置合わせ軸A1を有する。本開示に照らすと、実質的に中実である第1の本体も考えられるが、第1の本体101には、
図3に示されるように、中央ボア104があってもよい。本明細書おいて定義の第2の本体201は、実質的に円筒形の内側ジャケット203を備え、第2の位置合わせ軸A2を有する。第2の本体201には、図示の実施形態では、第2の位置合わせ軸A2に向かって延在する環状突起202がある。
図4bに対してより詳細に説明すると、この環状突起202により、第1の本体101が第2の本体201の突起に座ることができる。さらに
図3を参照すると、前記内側ジャケット203が前記外側ジャケット103に面するように、第2の本体201が前記第1の本体101に対して位置付けられていることが分かる。前記内側ジャケット103と前記外側ジャケット203との間に、実質的に環状の凹部401が形成されている。
図3では、第1の軸A1が第2の軸A2に対して正しく位置合わせされていないことが分かる。環状凹部の寸法は、
図3の右側で小さくなっており、
図3の左側でわずかに広い。これら2つの本体の位置合わせは、課題を提起する。
【0046】
ここで
図4aに移ると、第1の本体101と第2の本体201とが前記環状凹部401内に位置付けられる複数の弾性要素301、302を提供することによって、それらの位置合わせ軸A1、A2に対して位置合わせされ得ることが分かる。複数の弾性要素301、302の各々は、前記第1の本体101の前記外側ジャケット103に、前記第2の本体201の前記内側ジャケット203に接触している。前記第1の位置合わせ軸A1と前記第2の位置合わせ軸A2とを位置合わせするように、弾性要素301、302の各々が、前記外側ジャケット103に、また前記内側ジャケット203にある力を及ぼすように、弾性要素301、302、ならびに第1の本体101および第2の本体201が形作られている。
【0047】
図3に示されるような正しく位置合わせされていない状態では、環状凹部401が図の右側で小さくなっていることが分かる。環状凹部401は、図の左側で大きくなっている。弾性要素301、302が実質的に同じである公称寸法を有する、複数の弾性要素301、302を環状凹部401内に提供することによって、凹部401のより狭い部分に位置している弾性要素302が凹部401のより広い部分に位置している弾性要素301よりも大いに圧縮されるようになる。より大きな圧縮により、凹部401のより狭い部分の弾性要素302は、凹部401のより広い部分の弾性要素301に比べて、円筒形ジャケット103、203により大きな力を及ぼすようになる。結果として生じた力は、より広い部分への方向に、第1の本体101を第2の本体201から押し離すようになる。これにより、凹部のより狭い部分は、広くなり、より広い部分は狭くなる。この力の釣り合いは、第1の本体101の位置合わせ軸A1が第2の本体201の位置合わせ軸A2に実質的に位置合わせされ、位置合わせ軸が一致して単一の位置合わせされた軸Aになるまで(
図4aに示されるように)続くようになる。
【0048】
図4bは、
図4aに示されるような軸方向位置合わせ組立体100の詳細を示す。ここでは、第1の本体101には第1の当接表面105があり、第2の本体201には第2の当接表面205があることが分かる。第1の当接表面105と第2の当接表面205とは、互いに主に平行である。第1の当接表面105と第2の当接表面205とは、第1および第2の本体101、201の対応する内側/外側ジャケット103、203に対して、主に直交している。
図4bでは、本明細書において定義の軸方向位置合わせ組立体が第1の本体101および第2の本体201に及ぼされる軸方向圧縮力を必要としないことが分かる。外側ジャケット103、内側ジャケット203、および弾性要素301の寸法付けによって、軸方向位置合わせ力が確立される。
【0049】
本明細書において定義の軸方向位置合わせ組立体100が、円筒形本体および環状凹部に対して説明されているのが分かる。円筒形本体の代わりに、他の回転対称次数が本明細書において定義の軸方向位置合わせ組立体に適用され得ることが分かる。例えば、三角形、四角形、多角形、および他の形状が本開示の範囲内にあり、上記の円筒形本体と同等であると考えられる。これらの例では、球形弾性要素が使用され得る。出願人は、これらの点について1つ以上の分割出願する権利を保有する。
【0050】
実施形態が球形弾性要素の使用を開示していることがさらに分かる。要素がうまく働くためにそれらが特定の方法で位置合わせされる必要がないので、これらは好都合である。ただし、他の形状も考えられる。
【0051】
図4bでは、当接表面105、205を直接に接触させることができるのが分かる。代替として、第1の本体101の当接表面105がシール要素の第1の側面に接触し、また第2の本体201の当接表面205がシール要素のもう一方の第2の側面に接触するような、第1の本体101と第2の本体201との間に、シール要素(図示せず)が提供され得る。シール要素は、比較的薄くてもよく、組立体の内側部分(中心軸Aの近くに位置する)と第1の本体の半径方向外側に位置する部分との間に圧力シールを確保することができる。ある実施形態では、シール要素は、ゴム製であり得る。他の実施形態では、シール要素は、金属製であり得る。これは、軸方向位置合わせ組立体の内側部分(すなわち、中心軸Aの近くに位置するスペース)が、(ほぼ)真空などの圧力が非常に低いことが所望される場合に好都合である。これにより、金属シール要素が、本明細書において定義の軸方向位置合わせ組立体に真空シールを提供することができる。これは、以下に説明するように、荷電粒子顕微鏡に使用されると好都合である。
【0052】
ここで
図5を見ると、軸方向位置合わせ組立体100の代替の実施形態が示されている。対応する要素が対応する参照符号を使用して特定されていることが分かる。T
図4aに示されるような軸方向位置合わせ組立体に対する主な違いは、弾性要素301、302を所定位置保持するためのホルダ311の使用である。ホルダ311は、ホルダ311に弾性要素301、302を加えることによって、2つの本体101、201の組み立ての前に準備される。ホルダ311は、球形弾性要素301、302を保持するためのカーゴであり得る。ホルダ311の他の実施形態も考えられる。
【0053】
図6は、本明細書において定義の組立体を使用して、全部で3つの本体1101、1102、201を位置合わせする荷電粒子顕微鏡の一部の実施形態を示す。ここでは、最も重要な位置合わせは、上部本体1101と下部本体1102との位置合わせであると考えられる。上部本体1101と下部本体1102とは、
図6に示される実施形態では、
図1または
図2に示される通りの荷電粒子顕微鏡などの荷電粒子顕微鏡用のレンズのそれぞれ上部磁極片と下部磁極片1102とである。本明細書において定義の軸方向位置合わせ組立体100は、TEMの上部対物磁極1101と下部対物磁極1102とを位置合わせする優れた方法を提供する。
【0054】
上部対物磁極と下部対物磁極との必要な位置合わせは、大きさが1μm程度であり、
図6に示されるような軸方向組立体で実現可能である。ここでは、上部本体1101は、上部環状凹部に球形弾性要素301を使用することによって、外側本体201に対して軸方向に位置合わせされ、下部本体1102は、下部環状凹部に球形弾性要素401を使用することによって、外側本体201に対し軸方向に位置合わせされている。これは、上部本体1101が下部本体1102に軸方向に位置合わせされることももたらす。弾性要素301、401は、
図6に示されるようなケージなどのそれぞれのホルダ311、411に提供され得る。
【0055】
本明細書において定義の軸方向位置合わせ組立体に対する測定では、数ミクロンの同心度が比較的簡単にもたらされ得る。
【0056】
前に述べた通り、本明細書において定義の軸方向位置合わせ組立体を使用して、超高真空(UHV:UltraHighVacuum)試料室を提供することができる。UHVを実現するには、金属シールおよび焼成の実現性が必要であると概ね認められている。先行技術から知られているような軸方向位置合わせ組立体では、2つの本体が、軸方向位置合わせがなされるように、互いに力を掛け合うことが必要とされる。金属シールの使用により、所望の軸方向位置合わせを得るために必要とされる軸方向圧縮力が大幅に高まると考えられる。対照的に、本明細書において定義の軸方向位置合わせ組立体は、軸方向位置合わせを得るのに軸方向力の使用を必要とせず、それにより、金属シールの使用を許す。例えば円筒形間隙におけるボールアレイの場合、本明細書において定義の軸方向位置合わせ組立体を使用すると、例えば、磁極片1101、1102と「内側対物ブロック」201との間の金属シールの圧縮を妨げないようになる。この場合、荷電粒子顕微鏡におけるUHV試料室が得られ得る。
【0057】
上に、本発明の実施形態を説明した。添付の特許請求の範囲によって、所望の保護が定義される。