(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】多価カルボン酸含有薬液耐性保護膜
(51)【国際特許分類】
H01L 21/312 20060101AFI20250212BHJP
G03F 7/11 20060101ALI20250212BHJP
C08K 5/092 20060101ALI20250212BHJP
C08L 101/06 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
H01L21/312 A
G03F7/11 503
G03F7/11 502
C08K5/092
C08L101/06
(21)【出願番号】P 2021553612
(86)(22)【出願日】2020-10-27
(86)【国際出願番号】 JP2020040162
(87)【国際公開番号】W WO2021085397
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】P 2019195504
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 貴文
【審査官】小▲高▼ 孔頌
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-217306(JP,A)
【文献】国際公開第2018/203464(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/013956(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/312
G03F 7/11
C08K 5/092
C08L 101/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)カルボキシ基を少なくとも
4つ含む化合物、
(B)樹脂又はモノマー、及び
溶媒を含む、半導体用ウェットエッチング液に対する保護膜形成組成物。
【請求項2】
(A)カルボキシ基を少なくとも3つ含む化合物、
(B)ジエポキシ化合物(C)と2官能以上のプロトン発生化合物(D)との反応生成物(B1)、又は、多官能エポキシ化合物とプロトン発生化合物との反応によって得られるモノマー(B2)、及び
溶媒を含む、半導体用ウェットエッチング液に対する保護膜形成組成物。
【請求項3】
上記カルボキシ基を少なくとも4つ含む化合物(A)が、環構造を有する、請求項1に記載の半導体用ウェットエッチング液に対する保護膜形成組成物。
【請求項4】
上記カルボキシ基を少なくとも3つ含む化合物(A)が、環構造を有する、請求項2に記載の半導体用ウェットエッチング液に対する保護膜形成組成物。
【請求項5】
上記環構造が、炭素原子数6乃至40の芳香族環、炭素原子数3乃至10の脂肪族環及び複素環の中から選ばれる、請求項3に記載の半導体用ウェットエッチング液に対する保護膜形成組成物。
【請求項6】
上記環構造が、炭素原子数6乃至40の芳香族環、炭素原子数3乃至10の脂肪族環及び複素環の中から選ばれる、請求項4に記載の半導体用ウェットエッチング液に対する保護膜形成組成物。
【請求項7】
上記炭素原子数6乃至40の芳香族環が、ベンゼン、ナフタレン及び式(1):
【化1】
(式(1)中、Xは、直接結合、-CH
2
-、-C(CH
3
)
2
-、-CO-、-SO
2
-及び-C(CF
3
)
2
-から選ばれる2価の有機基であり、
R
1
及びR
2
は、各々独立して炭素原子数1乃至4のアルキル基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子及び炭素原子数1乃至4のアルコキシ基から選ばれる1価の有機基であり、n
1
及びn
2
は各々独立して1乃至5の整数を表し、n
1
+n
2
が3乃至10の整数であり、m
1
及びm
2
は各々独立して0乃至5の整数を表し、m
1
+m
2
が0乃至7の整数である。)で表される化合物から選ばれる、請求項5に記載の半導体用ウェットエッチング液に対する保護膜形成組成物。
【請求項8】
上記炭素原子数6乃至40の芳香族環が、ベンゼン、ナフタレン及び式(1):
【化1】
(式(1)中、Xは、直接結合、-CH
2
-、-C(CH
3
)
2
-、-CO-、-SO
2
-及び-C(CF
3
)
2
-から選ばれる2価の有機基であり、
R
1
及びR
2
は、各々独立して炭素原子数1乃至4のアルキル基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子及び炭素原子数1乃至4のアルコキシ基から選ばれる1価の有機基であり、n
1
及びn
2
は各々独立して1乃至5の整数を表し、n
1
+n
2
が3乃至10の整数であり、m
1
及びm
2
は各々独立して0乃至5の整数を表し、m
1
+m
2
が0乃至7の整数である。)で表される化合物から選ばれる、請求項6に記載の半導体用ウェットエッチング液に対する保護膜形成組成物。
【請求項9】
上記樹脂又はモノマー(B)が、該樹脂の単位構造内又はモノマー分子内に少なくとも1つのヒドロキシ基を有する、請求項1に記載の半導体用ウェットエッチング液に対する保護膜形成組成物。
【請求項10】
上記ジエポキシ化合物(C)と2官能以上のプロトン発生化合物(D)との反応生成物(B1)、又は、多官能エポキシ化合物とプロトン発生化合物との反応によって得られるモノマーが、該反応生成物の単位構造内又はモノマー分子内に少なくとも1つのヒドロキシ基を有する、請求項2に記載の半導体用ウェットエッチング液に対する保護膜形成組成物。
【請求項11】
さらに、架橋剤、架橋触媒及び界面活性剤からなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項1乃至10何れか1項に記載の半導体用ウェットエッチング液に対する保護膜形成組成物。
【請求項12】
上記半導体用ウェットエッチング液が、過酸化水素水を含む、請求項1乃至10何れか1項に記載の半導体用ウェットエッチング液に対する保護膜形成組成物。
【請求項13】
上記過酸化水素水が、酸性過酸化水素水である、請求項12に記載の半導体用ウェットエッチング液に対する保護膜形成組成物。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の保護膜形成組成物からなる塗布膜の焼成物であることを特徴とする半導体用ウェットエッチング液に対する保護膜。
【請求項15】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の保護膜形成組成物を半導体基板上に塗布し焼成してレジスト下層膜としての保護膜を形成する工程、該保護膜上にレジスト膜を形成し、次いで露光、現像してレジストパターンを形成する工程を含み、半導体の製造に用いることを特徴とするレジストパターン付き基板の製造方法。
【請求項16】
表面に無機膜が形成されていてもよい半導体基板上に、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の保護膜形成組成物を用いて保護膜を形成し、前記保護膜上にレジストパターンを形成し、前記レジストパターンをマスクとして前記保護膜をドライエッチングし前記無機膜又は前記半導体基板の表面を露出させ、ドライエッチング後の前記保護膜をマスクとして、半導体用ウェットエッチング液を用いて前記無機膜又は前記半導体基板をウェットエッチング及び/又は洗浄する工程を含む半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造におけるリソグラフィープロセスにおいて、特に半導体用ウェットエッチング液に対する耐性に優れた保護膜を形成するための組成物に関する。また、前記保護膜を適用したレジストパターン付き基板の製造方法、及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造において、基板とその上に形成されるレジスト膜との間にレジスト下層膜を設け、所望の形状のレジストパターンを形成するリソグラフィープロセスは広く知られている。レジストパターンを形成した後に基板の加工を行うが、その工程としてはドライエッチングが主に用いられるが、基板種によってはウェットエッチングが用いられる場合がある。特許文献1及び2には、特定の化合物を含む過酸化水素水溶液に対する保護膜形成組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/052130号公報
【文献】国際公開第2018/203464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レジスト下層膜をエッチングマスクとして用い、下地基板の加工をウェットエッチングで行う場合、レジスト下層膜には下地基板加工時にウェットエッチング液に対する良好なマスク機能(すなわち、マスクされている部分は基板を保護できる)が求められている。
【0005】
このような場合、該レジスト下層膜は基板に対する保護膜として用いられることになる。さらに、ウェットエッチング後に不要な該保護膜をドライエッチングで除去する場合、該保護膜は下地基板にダメージが生じないように、ドライエッチングで速やかに除去できるようなエッチング速度の速い(高エッチングレート)保護膜が求められている。
【0006】
さらには、いわゆる段差基板に対しても被覆性が良好で、埋め込み後の膜厚差が小さく、平坦な膜を形成し得る保護膜形成組成物も求められている。
【0007】
従来、ウェットエッチング薬液の一種であるSC-1(アンモニア-過酸化水素溶液)に対する耐性を発現させるためには、低分子化合物(例えばガリック酸)を添加剤として適用する手法が用いられていたが、上記の課題を解決するには限界があった。
【0008】
本発明の目的は、上記の課題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は以下を包含する。
[1]
(A)カルボキシ基を少なくとも3つ含む化合物、
(B)樹脂又はモノマー、及び
溶媒を含む、半導体用ウェットエッチング液に対する保護膜形成組成物。
【0010】
[2]
上記カルボキシ基を少なくとも3つ含む化合物(A)が、環構造を有する、[1]に記載の半導体用ウェットエッチング液に対する保護膜形成組成物。好ましくは、上記少なくとも3つのカルボキシ基は上記環構造に直接、又は炭素原子数1乃至4のアルキレン基を介して結合している。
【0011】
[3]
上記環構造が、炭素原子数6乃至40の芳香族環、炭素原子数3乃至10の脂肪族環及び複素環の中から選ばれる、[2]に記載の半導体用ウェットエッチング液に対する保護膜形成組成物。
【0012】
[4]
上記炭素原子数6乃至40の芳香族環が、ベンゼン、ナフタレン及び式(1):
【化1】
(式(1)中、Xは、直接結合、-CH
2-、-C(CH
3)
2-、-CO-、-SO
2-及び-C(CF
3)
2-から選ばれる2価の有機基であり、
R
1及びR
2は、各々独立して炭素原子数1乃至4のアルキル基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子及び炭素原子数1乃至4のアルコキシ基から選ばれる1価の有機基であり、n
1及びn
2は各々独立して1乃至9の整数を表し、n
1+n
2が3乃至10の整数であり、m
1及びm
2は各々独立して0乃至7の整数を表し、m
1+m
2が0乃至7の整数である。)で表される化合物から選ばれる、[3]に記載の半導体用ウェットエッチング液に対する保護膜形成組成物、又は、
上記カルボキシ基を少なくとも3つ含む化合物(A)が、
(i) 上記炭素原子数6乃至40の芳香族環がベンゼン、又はナフタレンである化合物、及び
(ii) 式(1):
【化2】
(式(1)中、Xは、直接結合、-CH
2-、-C(CH
3)
2-、-CO-、-SO
2-及び-C(CF
3)
2-から選ばれる2価の有機基であり、
R
1及びR
2は、各々独立して炭素原子数1乃至4のアルキル基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子及び炭素原子数1乃至4のアルコキシ基から選ばれる1価の有機基であり、n
1及びn
2は各々独立して1乃至9の整数を表し、n
1+n
2が3乃至10の整数であり、m
1及びm
2は各々独立して0乃至7の整数を表し、m
1+m
2が0乃至7の整数である。)で表される化合物
から選ばれる、[3]に記載の半導体用ウェットエッチング液に対する保護膜形成組成物。
【0013】
[5]
上記樹脂又はモノマー(B)が、該樹脂の単位構造内又はモノマー分子内に少なくとも1つのヒドロキシ基を有する、[1]に記載の半導体用ウェットエッチング液に対する保護膜形成組成物。
【0014】
[6]
さらに、架橋剤、架橋触媒及び界面活性剤からなる群より選択される少なくとも一種を含む、[1]乃至[5]何れか1に記載の半導体用ウェットエッチング液に対する保護膜形成組成物。
【0015】
[7]
上記半導体用ウェットエッチング液が、過酸化水素水を含む、[1]乃至[6]何れか1に記載の半導体用ウェットエッチング液に対する保護膜形成組成物。
【0016】
[8]
上記過酸化水素水が、酸性過酸化水素水である、[7]に記載の半導体用ウェットエッチング液に対する保護膜形成組成物。
【0017】
[9]
[1]乃至[8]のいずれか1に記載の保護膜形成組成物からなる塗布膜の焼成物であることを特徴とする半導体用ウェットエッチング液に対する保護膜。
【0018】
[10]
[1]乃至[8]のいずれか1項に記載の保護膜形成組成物を半導体基板上に塗布し焼成してレジスト下層膜としての保護膜を形成する工程、該保護膜上にレジスト膜を形成し、次いで露光、現像してレジストパターンを形成する工程を含み、半導体の製造に用いることを特徴とするレジストパターン付き基板の製造方法。
【0019】
[11]
表面に無機膜が形成されていてもよい半導体基板上に、[1]乃至[8]のいずれか1項に記載の保護膜形成組成物を用いて保護膜を形成し、前記保護膜上にレジストパターンを形成し、前記レジストパターンをマスクとして前記保護膜をドライエッチングし前記無機膜又は前記半導体基板の表面を露出させ、ドライエッチング後の前記保護膜をマスクとして、半導体用ウェットエッチング液を用いて前記無機膜又は前記半導体基板をウェットエッチング及び/又は洗浄する工程を含む半導体装置の製造方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明の保護膜形成組成物は、半導体製造におけるリソグラフィープロセスにおいて、例えば下記の特性をバランス良く有していることが要求される。(1)下地基板加工時にウェットエッチング液に対する良好なマスク機能を有すること、(2)さらに高ドライエッチング速度、及び(3)段差基板の平坦化性に優れること。これら(1)~(3)の性能をバランスよく有することで、半導体基板の微細加工を容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<保護膜形成組成物>
本願の保護膜形成組成物は、(A)カルボキシ基を少なくとも3つ以上含む化合物、
(B)樹脂又はモノマー、及び溶媒を含む、半導体用ウェットエッチング液に対する保護膜形成組成物、である。
(A)カルボキシ基を少なくとも3つ以上含む化合物は、3乃至6つのカルボキシ基を含むことが好ましく、3又は4つのカルボキシ基を含むことが特に好ましい。
【0022】
上記(A)カルボキシ基を少なくとも3つ以上含む化合物が、環構造を有することが好ましい。
【0023】
上記環構造が、炭素原子数6乃至40の芳香族環、炭素原子数3乃至10の脂肪族環及び複素環の中から選ばれることが好ましい。
【0024】
上記「炭素原子数6乃至40の芳香環」としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、アセナフテン、フルオレン、トリフェニレン、フェナレン、フェナントレン、インデン、インダン、インダセン、ピレン、クリセン、ペリレン、ナフタセン、ペンタセン、コロネン、ヘプタセン、ベンゾ[a]アントラセン、ジベンゾフェナントレン、ジベンゾ[a,j]アントラセン等が挙げられる。
【0025】
上記「炭素原子数3乃至10の脂肪族環」としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロへプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、スピロビシクロペンタン、ビシクロ[2.1.0]ペンタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、トリシクロ[3.2.1.02,7]オクタン、スピロ[3,4]オクタン等が挙げられる。
【0026】
上記炭素原子数6乃至40の芳香族環が、ベンゼン、ナフタレンから選ばれるか、上記化合物(A)が、式(1):
【化3】
(式(1)中、Xは、直接結合、-CH
2-、-C(CH
3)
2-、-CO-、-SO
2-及び-C(CF
3)
2-から選ばれる2価の有機基であり、
R
1及びR
2は、各々独立して炭素原子数1乃至4のアルキル基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子及び炭素原子数1乃至4のアルコキシ基から選ばれる1価の有機基であり、n1及びn2は各々独立して1乃至9の整数を表し、n1+n2が3乃至10の整数であり、m1及びm2は各々独立して0乃至7の整数を表し、m1+m2が0乃至7の整数である。)で表される化合物から選ばれることが好ましい。
【0027】
炭素原子数1乃至4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、シクロブチル基、1-メチル-シクロプロピル基、2-メチル-シクロプロピル基等が挙げられる。
【0028】
炭素原子数1乃至4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基等が挙げられる。
【0029】
上記「複素環」としては、フラン、ピロール、ピラン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チオフェン、チアゾール、チアジアゾール、イミダゾリジン、チアゾリジン、イミダゾリン 、ジオキサン、モルホリン、ジアジン、チアジン、トリアゾール、テトラゾール、ジオキソラン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、プリン、キノリン、イソキノリン、キヌクリジン、クロメン、チアントレン、フェノチアジン、フェノキサジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、カルバゾール及びトリアジンが挙げられる。
【0030】
上記トリアジンは、トリアジンオンを含む化合物、トリアジンジオンを含む化合物又はトリアジントリオンを含む化合物であってよいが、トリアジントリオンを含む化合物が好ましい。
【0031】
本願の少なくとも3つ以上のカルボキシ基を有する化合物としては、例えば下記式(A-1)乃至(A-25)を例示することができるが、これらに限定されるわけではない。
【化4】
【0032】
<樹脂、モノマー>
本発明の保護膜形成組成物は、上記(B)樹脂又はモノマーを必須成分として含む。
【0033】
前記樹脂として、重量平均分子量1000を超える(すなわち1001以上であってよい)ポリマーを用いることができる。当該ポリマーは特に限定されないが、例えば、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリイミド、ノボラック樹脂、マレイミド樹脂、アクリル樹脂及びメタクリル樹脂が挙げられる。前記ポリマーの重量平均分子量の上限は、例えば、100,000または50,000である。
【0034】
さらに、前記樹脂は、単位構造内に少なくとも1つ以上のヒドロキシ基を有することが好ましい。
【0035】
前記単位構造内に少なくとも1つ以上のヒドロキシ基を有する樹脂としては、例えば、ジエポキシ化合物(C)と2官能以上のプロトン発生化合物(D)との反応生成物(B1)である下記(2)の単位構造を有する樹脂であってもよい。
【0036】
上記反応生成物は、下記式(2):
【化5】
(式(2)中、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7及びR
8は、それぞれ独立に水素原子、メチル基又はエチル基を表し、Q
1は2つの炭素原子間の二価の有機基を表し、m
3及びm
4はそれぞれ独立に0又は1を表す。)
で表される単位構造を含むものであってよい。
【0037】
前記式(2)のQ
1が、下記式(3):
【化6】
(式(3)中、Q
2は直接結合、-O-、-S-又は-S-S-で中断されていてもよい炭素原子数1乃至10のアルキレン基、炭素原子数2乃至6のアルケニレン基、又は炭素原子数3乃至10の脂環式炭化水素環若しくは炭素原子数6乃至14の芳香族炭化水素環を少なくとも1つ有する二価の有機基を表し、前記二価の有機基は、炭素原子数1乃至6のアルキル基、炭素原子数2乃至6のアルケニル基、炭素原子数2乃至6のアルキニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、メチリデン基、炭素原子数1乃至6のアルコキシ基、炭素原子数1乃至6のアルコキシカルボニル基及び炭素原子数1乃至6のアルキルチオ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基で置換されていてもよい。Z
1及びZ
2はそれぞれ-COO-、-O-、-S-のいずれかを表す。)
で表されてもよい。
【0038】
前記式(2)のQ
1が下記式(4):
【化7】
(式(4)中、Q
3は下記式(5)、式(6)又は式(7)を表す。)
【化8】
(式(5)、式(6)及び式(7)中、R
9、R
10、R
11、R
12及びR
13はそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1乃至6のアルキル基、炭素原子数3乃至6のアルケニル基、ベンジル基又はフェニル基を表し、前記フェニル基は、炭素原子数1乃至6のアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数1乃至6のアルコキシ基及び炭素原子数1乃至6のアルキルチオ基からなる群から選ばれる少なくとも1つで置換されていてもよく、R
11とR
12は互いに結合して炭素原子数3乃至6の環を形成していてもよい。)
で表されてよい。
【0039】
前記式(2)で表され、m3及びm4が1を表す構造単位を形成するジエポキシ化合物(C)としては、例えば、下記式(C-1)乃至式(C-51)で表されるエポキシ基を2つ有するジグリシジルエーテル、ジグリシジルエステルを有する化合物を例示することができるが、これらの例に限定されるわけではない。
【0040】
【0041】
前記式(2)で表され、m3及びm4が0で表される構造単位を形成する2官能以上のプロトン発生化合物(D)としては、例えば、下記式(D-1)乃至式(D-47)で表されるカルボキシル基、ヒドロキシフェニル基又はイミド基を2つ有する化合物、及び酸二無水物を例示することができるが、これらの例に限定されるわけではない。
【0042】
【0043】
また、ジエポキシ化合物(C)と2官能以上のプロトン発生化合物(D)との反応生成物(B1)の単位構造は、例えば下記式(B1-1)乃至式(B1-38)を例示することができるが、これらの例に限定されるわけではない。
【0044】
【0045】
また、前記単位構造内に少なくとも1つ以上のヒドロキシ基を有する樹脂としては、分子内に互いに隣接する2つのヒドロキシ基を少なくとも1組含む構造を末端に有する樹脂であってもよい。
【0046】
前記分子内に互いに隣接する2つの水酸基を少なくとも1組含む構造は、1,2-エタンジオール構造であってもよい。
【0047】
前記1,2-エタンジオール構造が、式(8):
【化18】
(式(8)中、Xは-COO-、-O-、-S-又は-NR
17-のいずれかを表し、R
17は水素原子又はメチル基を表す。Yは置換されてもよい炭素原子数1乃至4のアルキレン基を表す。R
14、R
15及びR
16はそれぞれ水素原子、置換されてもよい炭素原子数1乃至10のアルキル基又は炭素原子数6乃至40のアリール基であり、R
14はR
15又はR
16と一緒になって環を形成してもよい。)
で表される構造を含まれてもよい。
【0048】
R14はR15又はR16と一緒になって環を形成している具体例としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン等が挙げられる。
【0049】
上記環を形成する場合、例えばシクロペンタン-1、2-ジオール、シクロヘキサン-1、2-ジオール、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン-1、2-ジオール等の化合物を重合体末端に反応させることで誘導される。
【0050】
前記式(8)中、R14、R15及びR16が水素原子であってよい。
前記式(8)中、Yがメチレン基であってよい。
前記式(8)中、Xが-S-であってよい。
【0051】
1,2-エタンジオール構造を有する前記ポリマーの末端を形成する化合物としては、例えば、下記式(E-1)乃至式(E-4)で表される化合物を例示することができる。
【化19】
【0052】
また、1,2-エタンジオール構造を有する前記ポリマーの末端を形成する構造は、例えば下記式(B1-39)乃至式(B1-50)を例示することができるが、これらの例に限定されるわけではない。
【化20】
【0053】
前記モノマーとして、分子量1000以下のモノマーを用いることができる。前記モノマーの分子量は、好ましくは200乃至1,000であり、より好ましくは500乃至1,000である。
【0054】
さらに、前記モノマーは、モノマー分子内に少なくとも1つ以上のヒドロキシ基を有することが好ましい。
【0055】
前記モノマー内に少なくとも1つ以上のヒドロキシ基を有するモノマー(B2)としては、例えば、下記式(B2-1)乃至式(B2-8)を例示することができるが、これらの例に限定されるわけではない。
【0056】
尚、前記モノマー内に少なくとも1つ以上のヒドロキシ基を有するモノマー(B2)は、例えば多官能エポキシ化合物とプロトン発生化合物との反応によって得ることができる。
【化21】
【0057】
<溶媒>
本発明の保護膜形成組成物は、上記各成分を、有機溶剤に溶解させることによって調製でき、均一な溶液状態で用いられる。
【0058】
本発明に係る保護膜形成組成物の溶媒としては、上記(B)樹脂又はモノマーを溶解できる溶媒であれば、特に制限なく使用することができる。特に、本発明に係る保護膜形成組成物は均一な溶液状態で用いられるものであるため、その塗布性能を考慮すると、リソグラフィー工程に一般的に使用される溶媒を併用することが推奨される。
【0059】
前記有機溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、4-メチル-2-ペンタノール、2―ヒドロキシイソ酪酸メチル、2―ヒドロキシイソ酪酸エチル、エトキシ酢酸エチル、酢酸2-ヒドロキシエチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2-ヘプタノン、メトキシシクロペンタン、アニソール、γ-ブチロラクトン、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、及びN,N-ジメチルアセトアミドが挙げられる。これらの溶剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0060】
これらの溶媒の中でプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、及びシクロヘキサノン等が好ましい。特にプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが好ましい。
【0061】
[架橋剤]
本発明のレジスト下層膜形成組成物は架橋剤成分を含むことができる。その架橋剤としては、メラミン系、置換尿素系、またはそれらのポリマー系等が挙げられる。好ましくは、少なくとも2個の架橋形成置換基を有する架橋剤であり、メトキシメチル化グリコールウリル、ブトキシメチル化グリコールウリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグワナミン、ブトキシメチル化ベンゾグワナミン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、メトキシメチル化チオ尿素、またはメトキシメチル化チオ尿素等の化合物である。また、これらの化合物の縮合体も使用することができる。
【0062】
また、上記架橋剤としては耐熱性の高い架橋剤を用いることができる。耐熱性の高い架橋剤としては分子内に芳香族環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環)を有する架橋形成置換基を含有する化合物を用いることができる。
【0063】
この化合物は下記式(2-1)の部分構造を有する化合物や、下記式(2-2)の繰り返し単位を有するポリマー又はオリゴマーが挙げられる。
【化22】
【0064】
上記R18、R19、R20、及びR21は水素原子又は炭素数1乃至10のアルキル基であり、これらのアルキル基は上述の例示を用いることができる。
【0065】
n3は1≦n3≦6-n4、n4は1≦n4≦5、n5は1≦n5≦4-n6、n6は1≦n6≦3を満たす。
【0066】
式(2-1)で表される化合物は以下の式(2-3)~式(2-19)で例示される。
【化23】
【0067】
上記化合物は旭有機材工業(株)、本州化学工業(株)の製品として入手することができる。例えば上記架橋剤の中で式(2-15)の化合物は旭有機材工業(株)、商品名TMOM-BPとして入手することができる。
【0068】
架橋剤の添加量は、使用する塗布溶剤、使用する下地基板、要求される溶液粘度、要求される膜形状などにより変動するが、保護膜形成組成物の全固形分に対して通常0.001乃至80質量%、好ましくは 0.01乃至50質量%、さらに好ましくは0.1乃至40質量%である。これら架橋剤は自己縮合による架橋反応を起こすこともあるが、本発明の上記のポリマー中に架橋性置換基が存在する場合は、それらの架橋性置換基と架橋反応を起こすことができる。
【0069】
[架橋触媒]
本発明の保護膜形成組成物は、任意成分として、架橋反応を促進させるために、架橋触媒を含有することができる。当該架橋触媒としては、酸性化合物、塩基性化合物に加え、熱により酸又は塩基が発生する化合物を用いることができるが、架橋酸触媒であることが好ましい。酸性化合物としては、スルホン酸化合物又はカルボン酸化合物を用いることができ、熱により酸が発生する化合物としては、熱酸発生剤を用いることができる。
【0070】
スルホン酸化合物又はカルボン酸化合物として、例えば、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート、ピリジニウム-p-トルエンスルホネート、ピリジニウム-4-ヒドロキシベンゼンスルホナート、サリチル酸、カンファースルホン酸、5-スルホサリチル酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、4-フェノールスルホン酸、ピリジニウム-4-フェノールスルホネート、ベンゼンジスルホン酸、1-ナフタレンスルホン酸、4-ニトロベンゼンスルホン酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸が挙げられる。
【0071】
熱酸発生剤として、例えば、K-PURE〔登録商標〕CXC-1612、同CXC-1614、同TAG-2172、同TAG-2179、同TAG-2678、同TAG2689(以上、King Industries社製)、及びSI-45、SI-60、SI-80、SI-100、SI-110、SI-150(以上、三新化学工業株式会社製)が挙げられる。
【0072】
これら架橋触媒は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、塩基性化合物としては、アミン化合物又は水酸化アンモニウム化合物を用いることができ、熱により塩基が発生する化合物としては、尿素を用いることができる。
【0073】
アミン化合物として、例えば、トリエタノールアミン、トリブタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリノルマルプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリノルマルブチルアミン、トリ-tert-ブチルアミン、トリノルマルオクチルアミン、トリイソプロパノールアミン、フェニルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、及びジアザビシクロオクタン等の第3級アミン、ピリジン及び4-ジメチルアミノピリジン等の芳香族アミンが挙げられる。また、ベンジルアミン及びノルマルブチルアミン等の第1級アミン、ジエチルアミン及びジノルマルブチルアミン等の第2級アミンもアミン化合物として挙げられる。これらのアミン化合物は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0074】
水酸化アンモニウム化合物としては、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリエチルアンモニウム、水酸化セチルトリメチルアンモニウム、水酸化フェニルトリメチルアンモニウム、水酸化フェニルトリエチルアンモニウムが挙げられる。
【0075】
また、熱により塩基が発生する化合物としては、例えば、アミド基、ウレタン基又はアジリジン基のような熱不安定性基を有し、加熱することでアミンを生成する化合物を使用することができる。その他、尿素、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルフェニルアンモニウムクロリド、ベンジルドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、コリンクロリドも熱により塩基が発生する化合物として挙げられる。
【0076】
前記保護膜形成組成物が架橋触媒を含む場合、その含有量は、保護膜形成組成物の全固形分に対して、通常0.0001乃至20質量%、好ましくは0.01乃至15質量%、さらに好ましくは0.1乃至10質量%である。
【0077】
[界面活性剤]
本発明の保護膜形成組成物は、任意成分として、半導体基板に対する塗布性を向上させるために界面活性剤を含有することができる。前記界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトップ〔登録商標〕EF301、同EF303、同EF352(三菱マテリアル電子化成株式会社製)、メガファック〔登録商標〕F171、同F173、同R-30、同R-40、同R-40-LM(DIC株式会社製)、フロラードFC430、同FC431(住友スリーエム株式会社製)、アサヒガード〔登録商標〕AG710、サーフロン〔登録商標〕S-382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(旭硝子株式会社製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業株式会社製)を挙げることができる。これらの界面活性剤は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。前記保護膜形成組成物が界面活性剤を含む場合、その含有量は、保護膜形成組成物の全固形分に対して、通常0.0001乃至10質量%、好ましくは0.01乃至5質量%である。
【0078】
[保護膜形成組成物]
本発明に係る保護膜形成組成物の固形分は通常0.1乃至70質量%、好ましくは0.1乃至60質量%とする。固形分は保護膜形成組成物から溶媒を除いた全成分の含有割合である。固形分中におけるポリマーの割合は、1乃至100質量%、1乃至99.9質量%、50乃至99.9質量%、50乃至95質量%、50乃至90質量%の順で好ましい。
【0079】
[半導体用ウェットエッチング液に対する保護膜、レジストパターン付き基板及び半導体装置の製造方法]
以下、本発明に係る保護膜形成組成物を用いたレジストパターン付き基板の製造方法及び半導体装置の製造方法について説明する。
【0080】
本発明に係るレジストパターン付き基板は、上記した保護膜形成組成物を半導体基板上に塗布し、焼成することにより製造することができる。
【0081】
本発明の保護膜形成組成物が塗布される半導体基板としては、例えば、シリコンウエハ、ゲルマニウムウエハ、及びヒ化ガリウム、リン化インジウム、窒化ガリウム、窒化インジウム、窒化アルミニウム等の化合物半導体ウエハが挙げられる。
【0082】
表面に無機膜が形成された半導体基板を用いる場合、当該無機膜は、例えば、ALD(原子層堆積)法、CVD(化学気相堆積)法、反応性スパッタ法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、スピンコーティング法(スピンオングラス:SOG)により形成される。前記無機膜として、例えば、ポリシリコン膜、酸化ケイ素膜、窒化ケイ素膜、酸窒化ケイ素膜、BPSG(Boro-Phospho Silicate Glass)膜、窒化チタン膜、酸窒化チタン膜、窒化タングステン膜、窒化ガリウム膜、及びヒ化ガリウム膜が挙げられる。
【0083】
このような半導体基板上に、スピナー、コーター等の適当な塗布方法により本発明の保護膜形成組成物を塗布する。その後、ホットプレート等の加熱手段を用いてベークすることにより保護膜を形成する。ベーク条件としては、ベーク温度100℃乃至400℃、ベーク時間0.3分乃至60分間の中から適宜、選択される。好ましくは、ベーク温度120℃乃至350℃、ベーク時間0.5分乃至30分間、より好ましくは、ベーク温度150℃乃至300℃、ベーク時間0.8分乃至10分間である。形成される保護膜の膜厚としては、例えば0.001μm乃至10μm、好ましくは0.002μm乃至1μm、より好ましくは0.005μm乃至0.5μmである。ベーク時の温度が、上記範囲より低い場合には架橋が不十分となり、形成される保護膜の、レジスト溶剤又は塩基性過酸化水素水溶液に対する耐性が得られにくくなることがある。一方、ベーク時の温度が上記範囲より高い場合は、保護膜が熱によって分解してしまうことがある。
【0084】
露光は、所定のパターンを形成するためのマスク(レチクル)を通して行われ、例えば、i線、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV(極端紫外線)またはEB(電子線)が使用される。現像にはアルカリ現像液が用いられ、現像温度5℃乃至50℃、現像時間10秒乃至300秒から適宜選択される。アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n-プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジーn-ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第4級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類、等のアルカリ類の水溶液を使用することができる。さらに、上記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。これらの中で好ましい現像液は第四級アンモニウム塩、さらに好ましくはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド及びコリンである。さらに、これらの現像液に界面活性剤などを加えることもできる。アルカリ現像液に代えて、酢酸ブチル等の有機溶媒で現像を行い、フォトレジストのアルカリ溶解速度が向上していない部分を現像する方法を用いることもできる。
【0085】
次いで、形成したレジストパターンをマスクとして、前記保護膜をドライエッチングする。その際、用いた半導体基板の表面に前記無機膜が形成されている場合、その無機膜の表面を露出させ、用いた半導体基板の表面に前記無機膜が形成されていない場合、その半導体基板の表面を露出させる。
【0086】
[半導体用ウェットエッチング液]
さらに、ドライエッチング後の保護膜(その保護膜上にレジストパターンが残存している場合、そのレジストパターンも)をマスクとして、半導体用ウェットエッチング液を用いてウェットエッチングすることにより、所望のパターンが形成される。
【0087】
半導体用ウェットエッチング液としては、半導体用ウエハをエッチング加工するための一般的な薬液を使用することが出来、例えば酸性を示す物質、塩基性を示す物質何れも使用することができる。
【0088】
酸性を示す物質としては、例えば過酸化水素、フッ酸、フッ化アンモニウム、酸性フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウム、バッファードフッ酸、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸又はこれらの混合液が挙げられる。
【0089】
塩基性を示す物質としては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、トリエタノールアミン等の有機アミンと過酸化水素水とを混合し、pHを塩基性にした、塩基性過酸化水素水を挙げることができる。具体例としては、SC-1(アンモニア-過酸化水素溶液)が挙げられる。その他、pHを塩基性にすることができるもの、例えば、尿素と過酸化水素水を混合し、加熱により尿素の熱分解を引き起こすことでアンモニアを発生させ、最終的にpHを塩基性にするものも、ウェットエッチングの薬液として使用できる。
【0090】
これらの中でも、酸性過酸化水素水であることが好ましい。
【0091】
これらの薬液は、界面活性剤等の添加剤が含まれていてもよい。
【0092】
半導体用ウェットエッチング液の使用温度は25℃乃至90℃であることが望ましく、40℃乃至80℃であることがさらに望ましい。ウェットエッチング時間としては、0.5分乃至30分であることが望ましく、1分乃至20分であることがさらに望ましい。
【実施例】
【0093】
次に実施例を挙げ本発明の内容を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0094】
下記合成例で得られたポリマーの重量平均分子量の測定に用いた装置等を示す。
装置:東ソー株式会社製HLC-8320GPC
GPCカラム:Shodex〔登録商標〕・Asahipak〔登録商標〕(昭和電工(株))
カラム温度:40℃
流量:0.35mL/分
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
標準試料:ポリスチレン(東ソー株式会社)
【0095】
<合成例1>
レソルシノールジグリシジルエーテル(製品名:デナコールEX-201-IM、ナガセケムテックス株式会社製)10.00g、コハク酸6.09g、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド0.80gにプロピレングリコールモノメチルエーテル67.55gを加えた反応フラスコを窒素雰囲気下、100℃で27時間加熱撹拌した。得られた反応生成物は式(B1-27)に相当し、GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは3000であった。
【化24】
【0096】
<合成例2>
レソルシノールジグリシジルエーテル(製品名:デナコールEX-201-IM、ナガセケムテックス株式会社製、50.0重量%プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液)25.00g、コハク酸5.06g、1-チオグリセロール2.32g、テトラブチルホスホニウムブロミド1.36gにプロピレングリコールモノメチルエーテル72.49gを加えた反応フラスコを窒素雰囲気下、100℃で21時間加熱撹拌した。得られた反応生成物は式(B1-46)に相当し、GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは3300であった。
【化25】
【0097】
<試作例1>
前記式(B1-27)に相当する反応生成物の溶液(固形分は16.7重量%)5.09g、架橋触媒としてピリジニウム-トリフルオロメタンスルホナート0.03g、界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(製品名:メガファックR-40、DIC株式会社製)0.001g、添加剤として前記式(A-4)で表されるピロメリット酸0.03g、プロピレングリコールモノメチルエーテル12.95g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1.91gを加え、保護膜形成組成物の溶液を調製した。
【0098】
<試作例2>
前記式(B1-27)に相当する反応生成物の溶液(固形分は16.7重量%)5.09g、架橋触媒としてピリジニウム-トリフルオロメタンスルホナート0.03g、界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(製品名:メガファックR-40、DIC株式会社製)0.001g、添加剤として前記式(A-23)で表されるテトラヒドロフラン-2,3,4,5-テトラカルボン酸0.03g、プロピレングリコールモノメチルエーテル12.95g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1.91gを加え、保護膜形成組成物の溶液を調製した。
【0099】
<試作例3>
前記式(B1-46)に相当する反応生成物の溶液(固形分は16.2重量%)5.23g、架橋触媒としてピリジニウム-トリフルオロメタンスルホナート0.03g、界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(製品名:メガファックR-40、DIC株式会社製)0.001g、添加剤として前記式(A-4)で表されるピロメリット酸0.03g、プロピレングリコールモノメチルエーテル12.81g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1.91gを加え、保護膜形成組成物の溶液を調製した。
【0100】
<試作例4>
前記式(B1-46)に相当する反応生成物の溶液(固形分は16.2重量%)5.04g、架橋触媒としてピリジニウム-トリフルオロメタンスルホナート0.04g、界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(製品名:メガファックR-40、DIC株式会社製)0.001g、添加剤として前記式(A-4)で表されるピロメリット酸0.04g、プロピレングリコールモノメチルエーテル12.97g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1.91gを加え、保護膜形成組成物の溶液を調製した。
【0101】
<試作例5>
前記式(B1-46)に相当する反応生成物の溶液(固形分は16.2重量%)4.44g、架橋剤として3,3’,5,5’-テトラキス(メトキシメチル)-4,4’-ジヒドロキシビフェニル(製品名:TMOM-BP、本州化学工業株式会社製)0.14g、架橋触媒としてピリジニウム-4-ヒドロキシベンゼンスルホナート0.01g、界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(製品名:メガファックR-40、DIC株式会社製)0.001g、添加剤として前記式(A-4)で表されるピロメリット酸0.02g、プロピレングリコールモノメチルエーテル13.47g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1.91gを加え、保護膜形成組成物の溶液を調製した。
【0102】
<試作比較例1>
前記式(B1-46)に相当する反応生成物の溶液(固形分は16.7重量%)5.24g、架橋触媒としてピリジニウム-トリフルオロメタンスルホナート0.03g、界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(製品名:メガファックR-40、DIC株式会社製)0.001g、プロピレングリコールモノメチルエーテル12.83g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1.91gを加え、保護膜形成組成物の溶液を調製した。
【0103】
<試作比較例2>
前記式(B1-46)に相当する反応生成物の溶液(固形分は16.7重量%)5.09g、架橋触媒としてピリジニウム-トリフルオロメタンスルホナート0.03g、界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(製品名:メガファックR-40、DIC株式会社製)0.001g、添加剤として下記式(F-1)で表されるガリック酸0.03g、プロピレングリコールモノメチルエーテル12.95g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1.91gを加え、保護膜形成組成物の溶液を調製した。
【化26】
【0104】
<試作比較例3>
前記式(B1-46)に相当する反応生成物の溶液(固形分は16.7重量%)5.09g、架橋触媒としてピリジニウム-トリフルオロメタンスルホナート0.03g、界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(製品名:メガファックR-40、DIC株式会社製)0.001g、添加剤として下記式(F-2)で表されるN-アセトアセチルアントラニル酸0.03g、プロピレングリコールモノメチルエーテル12.95g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1.91gを加え、保護膜形成組成物の溶液を調製した。
【化27】
【0105】
<試作比較例4>
前記式(B1-46)に相当する反応生成物の溶液(固形分は16.7重量%)5.09g、架橋触媒としてピリジニウム-トリフルオロメタンスルホナート0.03g、界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(製品名:メガファックR-40、DIC株式会社製)0.001g、添加剤として下記式(F-3)で表されるピコリン酸0.03g、プロピレングリコールモノメチルエーテル12.95g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1.91gを加え、保護膜形成組成物の溶液を調製した。
【化28】
【0106】
<試作比較例5>
前記式(B1-46)に相当する反応生成物の溶液(固形分は16.7重量%)5.09g、架橋触媒としてピリジニウム-トリフルオロメタンスルホナート0.03g、界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(製品名:メガファックR-40、DIC株式会社製)0.001g、添加剤として下記式(F-4)で表される2,6-ピリジンジカルボン酸0.03g、プロピレングリコールモノメチルエーテル12.95g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1.91gを加え、保護膜形成組成物の溶液を調製した。
【化29】
【0107】
<試作比較例6>
前記式(B1-46)に相当する反応生成物の溶液(固形分は16.7重量%)5.09g、架橋触媒としてピリジニウム-トリフルオロメタンスルホナート0.03g、界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(製品名:メガファックR-40、DIC株式会社製)0.001g、添加剤として下記式(F-5)で表される2,3-ピラジンジカルボン酸0.03g、プロピレングリコールモノメチルエーテル12.95g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1.91gを加え、保護膜形成組成物の溶液を調製した。
【化30】
【0108】
<試作比較例7>
前記式(B1-46)に相当する反応生成物の溶液(固形分は16.2重量%)5.38g、架橋触媒としてピリジニウム-トリフルオロメタンスルホナート0.03g、界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(製品名:メガファックR-40、DIC株式会社製)0.001g、プロピレングリコールモノメチルエーテル12.68g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1.91gを加え、保護膜形成組成物の溶液を調製した。
【0109】
<試作比較例8>
前記式(B1-46)に相当する反応生成物の溶液(固形分は16.2重量%)5.23g、架橋触媒としてピリジニウム-トリフルオロメタンスルホナート0.03g、界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(製品名:メガファックR-40、DIC株式会社製)0.001g、添加剤として前記式(F-1)で表されるガリック酸0.03g、プロピレングリコールモノメチルエーテル12.81g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1.91gを加え、保護膜形成組成物の溶液を調製した。
【0110】
<試作比較例9>
前記式(B1-46)に相当する反応生成物の溶液(固形分は16.2重量%)5.28g、架橋触媒としてピリジニウム-トリフルオロメタンスルホナート0.04g、界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(製品名:メガファックR-40、DIC株式会社製)0.001g、プロピレングリコールモノメチルエーテル12.77g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1.91gを加え、保護膜形成組成物の溶液を調製した。
【0111】
<試作比較例10>
前記式(B1-46)に相当する反応生成物の溶液(固形分は16.2重量%)5.04g、架橋触媒としてピリジニウム-トリフルオロメタンスルホナート0.04g、界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(製品名:メガファックR-40、DIC株式会社製)0.001g、添加剤として前記式(F-1)で表されるガリック酸0.04g、プロピレングリコールモノメチルエーテル12.97g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1.91gを加え、保護膜形成組成物の溶液を調製した。
【0112】
<試作比較例11>
前記式(B1-46)に相当する反応生成物の溶液(固形分は16.2重量%)4.54g、架橋剤として3,3’,5,5’-テトラキス(メトキシメチル)-4,4’-ジヒドロキシビフェニル(製品名:TMOM-BP、本州化学工業株式会社製)0.15g、架橋触媒としてピリジニウム-4-ヒドロキシベンゼンスルホナート0.01g、界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(製品名:メガファックR-40、DIC株式会社製)0.001g、プロピレングリコールモノメチルエーテル13.38g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1.91gを加え、保護膜形成組成物の溶液を調製した。
【0113】
<試作比較例12>
前記式(B1-46)に相当する反応生成物の溶液(固形分は16.2重量%)4.44g、架橋剤として3,3’,5,5’-テトラキス(メトキシメチル)-4,4’-ジヒドロキシビフェニル(製品名:TMOM-BP、本州化学工業株式会社製)0.14g、架橋触媒としてピリジニウム-4-ヒドロキシベンゼンスルホナート0.01g、界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(製品名:メガファックR-40、DIC株式会社製)0.001g、添加剤として前記式(F-1)で表されるガリック酸0.02g、プロピレングリコールモノメチルエーテル13.47g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1.91gを加え、保護膜形成組成物の溶液を調製した。
【0114】
[酸性過酸化水素水への耐性試験]
酸性過酸化水素水への耐性評価として、試作例1乃至試作例5及び試作比較例1乃至試作比較例12で調製された保護膜形成組成物のそれぞれを50nm膜厚のTiN(窒化チタン)蒸着基板、30nm膜厚のTiN(窒化チタン)蒸着基板、30nm膜厚のTiON(酸窒化チタン)蒸着基板、30nm膜厚のWN(窒化タングステン)蒸着基板に塗布し、250℃、1分間加熱することで、膜厚110nmとなるように成膜した。得られた各基板上の保護膜を実施例1乃至実施例7及び比較例1乃至比較例16とした。各実施例及び比較例の詳細を表1に示す。
【0115】
【0116】
次に、85%リン酸、30%過酸化水素水を重量比1対1となるように混合し、酸性過酸化水素水を調製した。そして、60℃に加温したこの酸性過酸化水素水中に、前記の保護膜形成組成物を塗布した各蒸着基板を一定時間浸漬した。浸漬後、基板を水洗し、乾燥させた後、目視にて保護膜の状態を確認することで、基板から保護膜が剥離するまでの時間を測定した。保護膜浸漬直後から一部または全ての保護膜が剥離するまでに要した時間を「保護膜の剥離時間」とし、これを表[2-1]乃至表[2-6]に示す。尚、保護膜の剥離時間が長くなるほど、酸性過酸化水素水を用いたウェットエッチング液への耐性が高いと言える。
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
上記の結果から、表[2-1]乃至表[2-6]の各々において、蒸着基板種が異なる場合でも、各表中の比較例よりも実施例の方が酸性過酸化水素水に対する保護膜の剥離時間が長かった。すなわち、本願記載の多価カルボン酸を添加剤として含む保護膜形成組成物は、それを含まない保護膜形成組成物よりも酸性過酸化水素水を用いたウェットエッチング液に対して良好な耐性を示すと言える。すなわち、多価カルボン酸を添加剤として含む保護膜形成組成物は半導体用ウェットエッチングに対する保護膜として有用である。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明に係る保護膜形成組成物は、基板加工にウェットエッチング液を適用する際に耐性に優れ、高ドライエッチング速度を有するため、基板加工が容易であり、段差基板に塗布した場合平坦化性に優れる保護膜を提供するものである。