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特許7633094弱いラベル付けを使用した半導体試料内の欠陥の検出
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】弱いラベル付けを使用した半導体試料内の欠陥の検出
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20250212BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20250212BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20250212BHJP
   G01N 23/2251 20180101ALI20250212BHJP
   G01N 21/956 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
H01L21/66 J
G06T7/00 350C
G06T7/00 610B
G06T1/00 305A
G01N23/2251
G01N21/956 A
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021093501
(22)【出願日】2021-06-03
(65)【公開番号】P2021190716
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2024-05-31
(31)【優先権主張番号】16/892,139
(32)【優先日】2020-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504144253
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ イスラエル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】イラド ペレグ
(72)【発明者】
【氏名】ラン シュレイェン
(72)【発明者】
【氏名】ボアズ コーエン
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/050992(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0105500(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0300338(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G06T 7/00
G06T 1/00
G01N 23/2251
G01N 21/956
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体試料上の関心パターン(POI)を分類するシステムであって、プロセッサおよびメモリ回路(PMC)を備え、前記PMCは、
前記試料上の前記POIの高分解能画像を示すデータを取得し、
欠陥性関連分類に応じて前記POIを分類するために使用可能なデータを生成するように構成され、
前記生成は、少なくとも複数の訓練サンプルで、訓練された機械学習モデルを利用し、各訓練サンプルは、
試料上のそれぞれの訓練パターンであって、前記POIに類似している、それぞれの訓練パターンを高分解能試験ツールで走査することによって、高分解能訓練画像を捕捉し、
前記高分解能訓練画像に、前記それぞれの訓練パターンの低分解能検査から誘導されたラベルを関連付けることによって取得される、システム。
【請求項2】
前記高分解能試験ツールが、走査電子顕微鏡(SEM)画像である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数の訓練サンプルの各訓練サンプルに関連付けられたそれぞれの前記ラベルが、前記それぞれの訓練パターンの光学検査から誘導される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記POIの低分解能画像を捕捉し、前記低分解能画像の光学検査を利用して、前記欠陥性関連分類に応じて前記POIを分類するように構成された、1つまたは複数の低分解能試験ツールと、
前記1つまたは複数の低分解能試験ツールによる欠陥ありという前記POIの分類に応答して、前記POIの前記高分解能画像を捕捉するように構成された、1つまたは複数の高分解能試験ツールと
をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記機械学習モデルが、ニューラルネットワークを含み、前記ニューラルネットワークが、
前記POIの前記高分解能画像を示す入力データを考慮して、特徴マップを出力するように構成された第1の一連の1つまたは複数のニューラルネットワーク層と、
前記特徴マップの入力を考慮して、少なくとも1つの画素ブロック毎分類スコアを示すデータを生成するように構成された第2の一連の1つまたは複数のニューラルネットワーク層とを含み、
各画素ブロック毎分類スコアが、前記POIのうち、前記高分解能画像のそれぞれの画素ブロックの画素によって表される領域に属し、前記画素ブロック毎分類スコアが、それぞれの前記領域の欠陥性の可能性を示し、
前記欠陥性関連分類に応じて前記POIを分類するために使用可能なデータを生成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記機械学習モデルが、
a)前記複数の訓練サンプルのうちの第1の訓練サンプルの第1のPOIの第1の高分解能訓練画像に前記第1の一連の1つまたは複数のニューラルネットワーク層を適用することであって、前記第1のPOIが、欠陥性を示すラベルに関連付けられ、前記ニューラルネットワークの現在の訓練状態に応じて、疑い特徴マップを生成する、適用することと、
b)前記疑い特徴マップに前記第2の一連の1つまたは複数のニューラルネットワーク層を適用することであって、前記ニューラルネットワークの前記現在の訓練状態に応じて、少なくとも1つの疑い画素ブロック毎分類スコアを示すデータを生成し、
各疑い画素ブロック毎分類スコアが、前記第1のPOIのうち、前記第1の高分解能訓練画像のそれぞれの画素ブロックの画素によって表される領域に属し、前記疑い画素ブロック毎分類スコアが、それぞれの前記領域の欠陥性の可能性を示す、適用することと、
c)前記複数の訓練サンプルのうちの第2の訓練サンプルの第2のPOIの第2の高分解能訓練画像に前記第1の一連の1つまたは複数のニューラルネットワーク層を適用することであって、前記第2のPOIが、非欠陥性を示すラベルに関連付けられ、前記ニューラルネットワークの前記現在の訓練状態に応じて、基準特徴マップを生成する、適用することと、
a)前記基準特徴マップに前記第2の一連の1つまたは複数のニューラルネットワーク層を適用することであって、前記ニューラルネットワークの前記現在の訓練状態に応じて、少なくとも1つの基準画素ブロック毎スコアを示すデータを生成し、
d)各基準画素ブロック毎分類スコアが、前記第2のPOIのうち、前記第2の高分解能訓練画像のそれぞれの画素ブロックの画素によって表される領域に属し、前記基準画素ブロック毎分類スコアが、それぞれの前記領域の欠陥性の可能性を示す、適用することと、
e)損失関数に応じて、前記第1および第2の一連の1つまたは複数のニューラルネットワーク層のうちの少なくとも1つの層の少なくとも1つの重みを調整することであって、前記損失関数が少なくとも、
前記疑い特徴マップおよび前記基準特徴マップから誘導される距離メトリック、
前記少なくとも1つの疑い画素ブロック毎分類スコア、ならびに
前記少なくとも1つの基準画素ブロック毎分類スコアに応じる、調整することと、
f)前記複数の訓練サンプルのうちの1つまたは複数の追加の第1および第2の訓練サンプルに対して、a)~e)を繰り返すこととで訓練されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1および第2の一連の1つまたは複数のニューラルネットワーク層が、畳み込み層である、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記PMCが、前記少なくとも1つの画素ブロック毎分類スコアの各々と欠陥性閾値とを比較し、前記POIに欠陥があるかどうかの指示を提供するようにさらに構成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
前記PMCが、前記POIに欠陥があるかどうかの前記指示に応じてオペレータに警報するようにさらに構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
半導体試料上の関心パターン(POI)を前記パターンの高分解能画像から分類する方法であって、プロセッサおよびメモリ回路(PMC)によって実行される方法であり、前記方法は、
前記試料上のPOIの高分解能画像を示すデータを受け取ることと、
欠陥性関連分類に応じて前記POIを分類するために使用可能なデータを生成することとを含み、
前記生成することが、少なくとも複数の訓練サンプルで訓練された機械学習モデルを利用し、各訓練サンプルが、
試料上のそれぞれの訓練パターンであって、前記POIに類似している、訓練パターンを高分解能試験ツールで走査することによって、高分解能訓練画像を捕捉し、
前記それぞれの訓練パターンを、前記それぞれの訓練パターンの低分解能検査から誘導されたラベルに関連付けることによって取得される、方法。
【請求項11】
前記機械学習モデルが、ニューラルネットワークを含み、前記ニューラルネットワークが、
前記POIの前記高分解能画像を示す入力データを考慮して、特徴マップを出力するように構成された第1の一連の1つまたは複数のニューラルネットワーク層と、
前記入力特徴マップを考慮して、少なくとも1つの画素ブロック毎分類スコアを示すデータを生成するように構成された第2の一連のニューラルネットワーク層とを含み、
各画素ブロック毎分類スコアが、前記POIのうち、前記高分解能画像のそれぞれの画素ブロックの画素によって表される領域に属し、前記画素ブロック毎分類スコアが、それぞれの前記領域の欠陥性の可能性を示し、
前記欠陥性関連分類に応じて前記POIを分類するために使用可能なデータを生成する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記機械学習モデルが、
a)前記複数の訓練サンプルのうちの第1の訓練サンプルの第1のPOIの第1の高分解能訓練画像に前記第1の一連のニューラルネットワーク層を適用することであって、前記第1のPOIが、欠陥性を示すラベルに関連付けられ、前記ニューラルネットワークの現在の訓練状態に応じて、疑い特徴マップを生成する、適用することと、
b)前記疑い特徴マップに前記第2の一連のニューラルネットワーク層を適用することであって、前記ニューラルネットワークの前記現在の訓練状態に応じて、少なくとも1つの疑い画素ブロック毎分類スコアを示すデータを生じさせ、
各疑い画素ブロック毎分類スコアが、前記第1のPOIのうち、前記第1の高分解能訓練画像のそれぞれの画素ブロックの画素によって表される領域に属し、前記疑い画素ブロック毎分類スコアが、それぞれの前記領域の欠陥性の可能性を示す、適用することと、
c)前記複数の訓練サンプルのうちの第2の訓練サンプルの第2のPOIの第2の高分解能訓練画像に前記第1の一連のニューラルネットワーク層を適用することであって、前記第2のPOIが、非欠陥性を示すラベルに関連付けられ、前記ニューラルネットワークの前記現在の訓練状態に応じて、基準特徴マップを生成する、適用することと、
d)前記基準特徴マップに前記第2の一連のニューラルネットワーク層を適用することであって、前記ニューラルネットワークの前記現在の訓練状態に応じて、少なくとも1つの基準画素ブロック毎分類スコアを示すデータを生成し、
各基準画素ブロック毎分類スコアが、前記第2のPOIのうち、前記第2の高分解能訓練画像のそれぞれの画素ブロックの画素によって表される領域に属し、前記基準画素ブロック毎分類スコアが、それぞれの前記領域の欠陥性の可能性を示す、適用することと、
e)損失関数に応じて、前記第1および第2の一連のニューラルネットワーク層のうちの少なくとも1つの層の少なくとも1つの重みを調整することであって、前記損失関数が少なくとも、
前記疑い特徴マップおよび前記基準特徴マップから誘導される距離メトリック、
前記少なくとも1つの疑い画素ブロック毎分類スコア、ならびに
前記少なくとも1つの基準画素ブロック毎分類スコアを利用する、調整することと、
f)前記複数の訓練サンプルのうちの1つまたは複数の追加の第1および第2の訓練サンプルに対して、a)~e)を繰り返すこととを含む方法で訓練されている、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの画素ブロック毎分類スコアの各スコアと欠陥性閾値とを比較し、前記POIに欠陥があるかどうかの指示を提供することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記POIに欠陥があるかどうかの前記指示に応じてオペレータに警報することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの画素ブロック毎分類スコアに応じて欠陥バウンディングボックスを判定することをさらに含む、請求項11に記載の分類する方法。
【請求項16】
プログラム命令を含む非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体に記憶されたコンピュータプログラムあって、前記プログラム命令が、
プロセッサによって読み取られたとき、前記プロセッサに、POIの高分解能画像を示す入力データを考慮して、欠陥性関連分類に応じて前記POIを分類するために使用可能なデータを生成するために、機械学習モデルを訓練する方法を実行させ、前記方法が、
a)複数の訓練サンプルを取得することであって、各訓練サンプルが、
試料上のそれぞれの訓練パターンであって、前記POIに類似している、訓練パターンを高分解能試験ツールで走査することによって高分解能訓練画像を捕捉し、
前記それぞれの訓練パターンを、前記それぞれの訓練パターンの低分解能検査から誘導されたラベルに関連付けることによって取得されることと、
b)前記複数の訓練サンプルで前記機械学習モデルを訓練することとを含む、コンピュータプログラム
【請求項17】
前記機械学習モデルが、ニューラルネットワークを含み、前記ニューラルネットワークが、
前記POIの前記高分解能画像を示す入力データを考慮して、特徴マップを出力するように構成された第1の一連の1つまたは複数のニューラルネットワーク層と、
前記特徴マップの入力を考慮して、少なくとも1つの画素ブロック毎分類スコアを示すデータを生成するように構成された第2の一連のニューラルネットワーク層とを含み、
各画素ブロック毎分類スコアが、前記POIのうち、前記高分解能画像のそれぞれの画素ブロックの画素によって表される領域に属し、前記画素ブロック毎分類スコアが、それぞれの前記領域の欠陥性の可能性を示し、
前記欠陥性関連分類に応じて前記POIを分類するために使用可能なデータを生成する、請求項16に記載のコンピュータプログラム
【請求項18】
前記機械学習モデルを前記訓練することが、
a)前記複数の訓練サンプルのうちの第1の訓練サンプルの第1のPOIの第1の高分解能訓練画像に第1の一連のニューラルネットワーク層を適用することであって、前記第1のPOIが、欠陥性を示すラベルに関連付けられ、前記ニューラルネットワークの現在の訓練状態に応じて、疑い特徴マップを生成する、適用することと、
b)前記疑い特徴マップに第2の一連のニューラルネットワーク層を適用することであって、前記ニューラルネットワークの前記現在の訓練状態に応じて、少なくとも1つの疑い画素ブロック毎分類スコアを示すデータを生成し、
各疑い画素ブロック毎分類スコアが、前記第1のPOIのうち、前記第1の高分解能訓練画像のそれぞれの画素ブロックの画素によって表される領域に属し、前記疑い画素ブロック毎分類スコアが、それぞれの前記領域の欠陥性の可能性を示す、適用することと、
c)前記複数の訓練サンプルのうちの第2の訓練サンプルの第2のPOIの第2の高分解能訓練画像に前記第1の一連のニューラルネットワーク層を適用することであって、前記第2のPOIが、非欠陥性を示すラベルに関連付けられ、前記ニューラルネットワークの前記現在の訓練状態に応じて基準特徴マップを生成する、適用することと、
d)前記基準特徴マップに前記第2の一連のニューラルネットワーク層を適用することであって、前記ニューラルネットワークの前記現在の訓練状態に応じて、少なくとも1つの基準画素ブロック毎分類スコアを示すデータを生成し、
各基準画素ブロック毎分類スコアが、前記第2のPOIのうち、第2の高分解能画像のそれぞれの画素ブロックの画素によって表される領域に属し、前記基準画素ブロック毎分類スコアが、それぞれの前記領域の欠陥性の可能性を示す、適用することと、
e)損失関数に応じて、前記第1および第2の一連のニューラルネットワーク層のうちの少なくとも1つの層の少なくとも1つの重みを調整することであって、前記損失関数が少なくとも、
前記疑い特徴マップおよび前記基準特徴マップから誘導される距離メトリック、
前記少なくとも1つの疑い画素ブロック毎分類スコア、ならびに
前記少なくとも1つの基準画素ブロック毎分類スコアを利用する、調整することと、
f)前記複数の訓練サンプルのうちの1つまたは複数の追加の第1および第2の訓練サンプルに対して、a)~e)を繰り返すこととを含む、請求項17に記載のコンピュータプログラム
【請求項19】
前記距離メトリックが、前記疑い特徴マップと前記基準特徴マップとの間のユークリッド差に応じて計算された差分マップである、または、前記疑い特徴マップと前記基準特徴マップとの間のコサイン類似度に応じて計算された差分マップである、請求項18に記載のコンピュータプログラム
【請求項20】
前記損失関数が、前記第1の高分解能画像の画素群に関連付けられた注釈データをさらに利用し、前記注釈データが、前記第1のPOIのうち、前記画素群によって表される領域の欠陥性を示す、請求項18に記載のコンピュータプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する主題は、一般にウエハ試料の試験の分野に関し、より詳細には試料内の欠陥を検出することに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、製造されたデバイスの超大規模集積に伴う高い密度および性能が要求され、ミクロン以下の特徴、トランジスタおよび回路速度の増大、ならびに信頼性の改善が必要とされている。そのような要求により、高い精度および均一性を有するデバイス特徴の形成が必要とされており、これには、まだ半導体ウエハの形態にある間にデバイスの自動試験を含む、製造プロセスの入念な監視が必要である。
【0003】
非限定的な例として、ランタイム試験では、2段階の手順を用いることができ、たとえば試料の検査に続いて、潜在的な欠陥の採取箇所が検討される。第1の段階中、速い速度および比較的低い分解能で、試料の表面が検査される。第1の段階では、試料上で欠陥の確率が高い疑わしい箇所を示すために、欠陥マップが作成される。第2の段階中、疑わしい箇所のうちの少なくともいくつかが、比較的高い分解能でより徹底的に分析される。いくつかの場合、両方の段階を同じ検査ツールによって実施することができ、いくつかの他の場合、これら2つの段階が異なる検査ツールによって実施される。
【0004】
半導体製造中の様々なステップで、試料上の欠陥を検出および分類するために、試験プロセスが使用される。試験の有効性は、プロセスの自動化、たとえば自動欠陥分類(ADC)、自動欠陥レビュー(ADR)などによって高めることができる。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に開示する主題の一態様によれば、半導体試料上の関心パターン(POI)を分類するシステムが提供され、システムは、プロセッサおよびメモリ回路(PMC)を備え、PMCは、
試料上のPOIの高分解能画像を示すデータを取得し、
欠陥性関連分類に応じてPOIを分類するために使用可能なデータを生成するように構成され、
生成は、少なくとも複数の訓練サンプルに応じて訓練された機械学習モデルを利用し、各訓練サンプルは、
試料上のそれぞれの訓練パターンを走査することによって捕捉された高分解能訓練画像を含み、それぞれの訓練パターンは、POIに類似しており、
それぞれの訓練パターンは、それぞれの訓練パターンの低分解能検査から誘導されたラベルに関連付けられる。
【0006】
上記の特徴に加えて、本明細書に開示する主題のこの態様によるシステムは、技術的に可能な任意の所望の組合せまたは順列で、以下に挙げる特徴(i)~(xiii)のうちの1つまたは複数を含むことができ、
(i)複数の訓練サンプルの各訓練サンプルの高分解能訓練画像が、走査電子顕微鏡(SEM)画像であり、
(ii)複数の訓練サンプルの各訓練サンプルのラベルが、それぞれの訓練パターンの光学検査から誘導され、
(iii)機械学習モデルは、ニューラルネットワークを含み、ニューラルネットワークは、
POIの高分解能画像を示す入力データを考慮して、特徴マップを出力するように構成された第1の一連の1つまたは複数のニューラルネット層と、
入力特徴マップを考慮して、少なくとも1つの画素ブロック毎分類スコアを示すデータを出力するように構成された第2の一連のニューラルネット層とを含み、各画素ブロック毎分類スコアは、POIのうち、高分解能画像のそれぞれの画素ブロックの画素によって表される領域に属し、画素ブロック毎分類スコアは、それぞれの領域の欠陥性の可能性を示し、
それによって欠陥性関連分類に応じてPOIを分類するために使用可能なデータを生じさせ、
機械学習モデルは、
a)複数の訓練サンプルのうちの第1の訓練サンプルの第1のPOIの第1の高分解能画像に第1の一連のニューラルネットワーク層を適用することであって、第1のPOIが、欠陥性を示すラベルに関連付けられ、それによってニューラルネットワークの現在の訓練状態に応じて、疑い特徴マップを生じさせる、適用することと、
b)疑い特徴マップに第2の一連のニューラルネットワーク層を適用することであって、それによってニューラルネットワークの現在の訓練状態に応じて、少なくとも1つの疑い画素ブロック毎スコアを示すデータを生じさせ、
各疑い画素ブロック毎スコアが、第1のPOIのうち、第1の高分解能画像のそれぞれの画素ブロックの画素によって表される領域に属し、疑い画素ブロック毎スコアが、それぞれの領域の欠陥性の可能性を示す、適用することと、
c)複数の訓練サンプルのうちの第2の訓練サンプルの第2のPOIの第2の高分解能画像に第1の一連のニューラルネットワーク層を適用することであって、第2のPOIが、非欠陥性を示すラベルに関連付けられ、それによってニューラルネットワークの現在の訓練状態に応じて、基準特徴マップを生じさせる、適用することと、
d)基準特徴マップに第2の一連のニューラルネットワーク層を適用することであって、それによってニューラルネットワークの現在の訓練状態に応じて、少なくとも1つの基準画素ブロック毎スコアを示すデータを生じさせ、
各基準画素ブロック毎スコアが、第2のPOIのうち、第2の高分解能画像のそれぞれの画素ブロックの画素によって表される領域に属し、基準画素ブロック毎スコアが、それぞれの領域の欠陥性の可能性を示す、適用することと、
e)損失関数に応じて、第1および第2の一連のニューラルネットワーク層のうちの少なくとも1つの層の少なくとも1つの重みを調整することであって、損失関数が少なくとも、
疑い特徴マップおよび基準特徴マップから誘導される距離メトリック、少なくとも1つの疑い画素ブロック毎スコア、ならびに少なくとも1つの基準画素ブロック毎スコアを利用する、調整することと、
f)複数の訓練サンプルのうちの1つまたは複数の追加の第1および第2の訓練サンプルに対して、a)~e)を繰り返すこととに応じて訓練されており、
(iv)ニューラルネットワーク層は、畳み込み層であり、
(v)距離メトリックは、疑い特徴マップと基準特徴マップとの間のユークリッド差に応じ、
(vi)距離メトリックは、疑い特徴マップと基準特徴マップとの間のコサイン類似度に応じ、
(vii)追加の第2の訓練サンプルは、同じ訓練サンプルであり、
(viii)損失関数は、
第1の高分解能画像の画素群に関連付けられた注釈データをさらに利用し、注釈データは、第1のPOIのうち、画素群によって表される領域の欠陥性を示し、
(ix)注釈データは、高分解能画像の人間による注釈から誘導され、
(x)プロセッサによって、少なくとも1つの画素ブロック毎分類スコアの各スコアと欠陥性閾値とを比較し、それによってPOIに欠陥があるかどうかの指示を生じさせ、
(xi)プロセッサによって、POIに欠陥があるかどうかの指示に応じてオペレータに警報し、
(xii)プロセッサによって、少なくとも1つの画素ブロック毎分類スコアに応じて欠陥バウンディングボックスを判定し、
(xiii)システムは、
POIの低分解能画像を捕捉し、低分解能画像の光学検査を利用して、欠陥性関連分類に応じてPOIを分類するように構成された低分解能試験ツールと、
低分解能ツールによる欠陥ありというPOIの分類に応答して、POIの高分解能画像を捕捉するように構成された高分解能試験ツールとをさらに備える。
【0007】
本明細書に開示する主題の別の態様によれば、半導体試料上の関心パターン(POI)をパターンの高分解能画像から分類する方法が提供され、この方法は、
プロセッサによって、試料上のPOIの高分解能画像を示すデータを受け取ることと、プロセッサによって、欠陥性関連分類に応じてPOIを分類するために使用可能なデータを生成することとを含み、生成することは、少なくとも複数の訓練サンプルに応じて訓練された機械学習モデルを利用し、各訓練サンプルは、
試料上のそれぞれの訓練パターンを走査することによって捕捉された高分解能訓練画像を含み、訓練パターンは、POIに類似しており、
それぞれの訓練パターンは、それぞれの訓練パターンの低分解能検査から誘導されたラベルに関連付けられる。
【0008】
開示する主題のこの態様は、任意選択で、技術的に可能な任意の所望の組合せまたは順列で、必要な変更を加えて、システムに関して上に挙げた特徴(i)~(xii)のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0009】
本明細書に開示する主題の別の態様によれば、処理およびメモリ回路によって可読の非一時的プログラムストレージデバイスが提供され、非一時的プログラムストレージデバイスは、パターンの高分解能画像から半導体試料上の関心パターン(POI)を分類する方法を実行するように、処理およびメモリ回路によって実行可能なコンピュータ可読命令を有形に実施し、この方法は、
試料上のPOIの高分解能画像を示すデータを受け取ることと、欠陥性関連分類に応じてPOIを分類するために使用可能なデータを生成することとを含み、
生成は、少なくとも複数の訓練サンプルに応じて訓練された機械学習モデルを利用し、各訓練サンプルは、
試料上のそれぞれの訓練パターンを走査することによって捕捉された高分解能訓練画像を含み、訓練パターンは、POIに類似しており、
それぞれの訓練パターンは、それぞれの訓練パターンの低分解能検査から誘導されたラベルに関連付けられる。
【0010】
開示する主題のこの態様は、任意選択で、技術的に可能な任意の所望の組合せまたは順列で、必要な変更を加えて、システムに関して上に挙げた特徴(i)~(xii)のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0011】
本明細書に開示する主題の別の態様によれば、処理およびメモリ回路によって可読の非一時的プログラムストレージデバイスが提供され、非一時的プログラムストレージデバイスは、POIの高分解能画像を示す入力データを考慮して、少なくとも1つの画素ブロック毎分類スコアを示すデータを生成するために、ニューラルネットワークを訓練する方法を実行するように、処理およびメモリ回路によって実行可能なコンピュータ可読命令を有形に実施し、各画素ブロック毎分類スコアは、POIのうち、高分解能画像のそれぞれの画素ブロックの画素によって表される領域に属し、画素ブロック毎分類スコアは、それぞれの領域の欠陥性の可能性を示し、それによって欠陥性関連分類に応じてPOIを分類するために使用可能なデータを生じさせ、訓練は、少なくとも複数の訓練サンプルを利用し、各訓練サンプルは、
試料上のそれぞれの訓練パターンを走査することによって捕捉された高分解能訓練画像を含み、訓練パターンは、POIに類似しており、
それぞれの訓練パターンは、それぞれの訓練パターンの低分解能検査から誘導されたラベルに関連付けられ、
この方法は、
a)複数の訓練サンプルのうちの第1の訓練サンプルの第1のPOIの第1の高分解能画像に第1の一連のニューラルネットワーク層を適用することであって、第1のPOIが、欠陥性を示すラベルに関連付けられ、それによってニューラルネットワークの現在の訓練状態に応じて、疑い特徴マップを生じさせる、適用することと、
b)疑い特徴マップに第2の一連のニューラルネットワーク層を適用することであって、それによってニューラルネットワークの現在の訓練状態に応じて、少なくとも1つの疑い画素ブロック毎スコアを示すデータを生じさせ、
各疑い画素ブロック毎スコアが、第1のPOIのうち、第1の高分解能画像のそれぞれの画素ブロックの画素によって表される領域に属し、疑い画素ブロック毎スコアが、それぞれの領域の欠陥性の可能性を示す、適用することと、
c)複数の訓練サンプルのうちの第2の訓練サンプルの第2のPOIの第2の高分解能画像に第1の一連のニューラルネットワーク層を適用することであって、第2のPOIが、非欠陥性を示すラベルに関連付けられ、それによってニューラルネットワークの現在の訓練状態に応じて、基準特徴マップを生じさせる、適用することと、
d)基準特徴マップに第2の一連のニューラルネットワーク層を適用することであって、それによってニューラルネットワークの現在の訓練状態に応じて、少なくとも1つの基準画素ブロック毎スコアを示すデータを生じさせ、
各基準画素ブロック毎スコアが、第2のPOIのうち、第2の高分解能画像のそれぞれの画素ブロックの画素によって表される領域に属し、基準画素ブロック毎スコアが、それぞれの領域の欠陥性の可能性を示す、適用することと、
e)損失関数に応じて、第1および第2の一連のニューラルネットワーク層のうちの少なくとも1つの層の少なくとも1つの重みを調整することであって、損失関数が少なくとも、
疑い特徴マップおよび基準特徴マップから誘導される距離メトリック、少なくとも1つの疑い画素ブロック毎スコア、ならびに少なくとも1つの基準画素ブロック毎スコアを利用する、調整することと、
f)複数の訓練サンプルのうちの1つまたは複数の追加の第1および第2の訓練サンプルに対して、a)~e)を繰り返すこととを含む。
【0012】
開示する主題のこの態様は、任意選択で、技術的に可能な任意の所望の組合せまたは順列で、必要な変更を加えて、システムに関して上に挙げた特徴(i)~(ix)のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0013】
本発明を理解し、本発明を実際にどのように実施することができるかを見るために、実施形態について、添付の図面を参照して、非限定的な例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本明細書に開示する主題の特定の実施形態による試験システムの概略的なブロック図である。
図2】本明細書に開示する主題の特定の実施形態によって光学検査から誘導される弱いラベルに応じて半導体試料上の関心パターン(POI)を分類する例示的な方法を説明する流れ図である。
図3】本明細書に開示する主題の特定の実施形態によってPOIのSEM画像(または他の高分解能画像)を示すデータを受け取り、欠陥性関連分類によってPOIを分類するために使用可能な画素ブロック毎スコアを示すデータを生成するために使用可能な機械学習モデルの例示的な層を示す図である。
図4】本明細書に開示する主題のいくつかの実施形態によってPOIの入力SEM画像を受け取り、次いでPOIを分類するために使用可能な画素ブロック毎スコアを示すデータを生成することができるように、機械学習モデルを訓練する例示的な方法を示す図である。
図5】本明細書に開示する主題のいくつかの実施形態による例示的な機械学習モデルおよび訓練データの流れである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の詳細な説明では、本開示の徹底的な理解を提供するために、多数の具体的な詳細について述べる。しかし、これらの具体的な詳細がなくても本明細書に開示する主題を実施することができることが、当業者には理解されよう。他の事例では、本明細書に開示する主題を曖昧にしないために、よく知られている方法、手順、構成要素、および回路について詳細には説明しない。
【0016】
具体的に別段の記載がない限り、以下の議論から明らかなように、本明細書全体にわたって、「訓練する」、「取得する」、「生成する」、「演算する」、「利用する」、「供給する」、「提供する」、「重ね合わせる」、「適用する」、「調整する」などの用語を利用する議論は、データを他のデータに操作および/または変形するプロセッサの動作および/またはプロセスを指し、前記データは、電子量などの物理量として表され、かつ/または前記データは、物理的対象を表すことが理解されよう。「プロセッサ」という用語は、コンピュータ、サーバ、チップ、ハードウェアプロセッサなど、メモリ内に記憶されている命令に基づいてタスクを実行することができるデータ処理回路を有する任意の演算ユニットまたは電子ユニットを含む。この用語は、単一のプロセッサまたは複数のプロセッサを包含し、複数のプロセッサは、同じ地理的区間に位置することができ、または少なくとも部分的に異なる区間に位置することができ、かつともに通信することが可能である。
【0017】
本明細書に使用される「非一時的メモリ」および「非一時的媒体」という用語は、本明細書に開示する主題に好適なあらゆる揮発性または不揮発性コンピュータメモリを含むように発展的に解釈されるべきである。
【0018】
本明細書で使用される「欠陥」という用語は、試料上または試料内に形成されるあらゆる種類の異常または望ましくない特徴を含むように発展的に解釈されるべきである。
【0019】
本明細書で使用される「試料」という用語は、半導体集積回路、磁気ヘッド、フラットパネルディスプレイ、および他の半導体製品を製造するために使用されるあらゆる種類のウエハ、マスク、および他の構造、組合せ、ならびに/またはそれらの部分を含むように発展的に解釈されるべきである。
【0020】
本明細書で使用される「試験」という用語は、あらゆる種類の計測関連動作、ならびにその製造中の試料内の欠陥の検出および/または分類に関連する動作を含むように発展的に解釈されるべきである。試験は、試験すべき試料の製造中または製造後に非破壊試験ツールを使用することによって提供される。非限定的な例として、試験プロセスは、同じまたは異なる検査ツールを使用して試料またはその部分に関して提供されるランタイム走査(単一または複数の走査)、サンプリング、検討、測定、分類、および/または他の動作を含むことができる。同様に、試験は、試験すべき試料の製造前に提供することができ、たとえば、試験方策および/または他の設定動作を生成することを含むことができる。具体的に別段の記載がない限り、本明細書で使用される「試験」という用語またはその派生語は、検査領域の分解能またはサイズに関して限定されないことに留意されたい。非限定的な例として、様々な非破壊試験ツールには、走査電子顕微鏡、原子間力顕微鏡、光学検査ツールなどが含まれる。
【0021】
本明細書に開示する主題の実施形態は、何らかの特定のプログラミング言語を参照して説明したものではない。本明細書に記載するように、様々なプログラミング言語を使用して、本明細書に開示する主題の教示を実施することができることが理解されよう。
【0022】
本発明は、本発明の1つまたは複数の方法を実行するためにコンピュータによって可読のコンピュータプログラムを企図する。本発明は、本発明の1つまたは複数の方法を実行するためにコンピュータによって実行可能な命令のプログラムを有形に実施する機械可読メモリをさらに企図する。
【0023】
これを念頭に、図1に注目されたい。図1は、本明細書に開示する主題の特定の実施形態による試験システムの機能ブロック図を示す。図1に示す試験システム100は、試料製造プロセスの一部として、試料(たとえば、ウエハおよび/またはその部分などの半導体試料)の試験に使用することができる。図示の試験システム100は、1つまたは複数の試料の画像を使用して計測関連および/または欠陥関連の情報を自動的に判定することが可能なコンピュータベースのシステム103を備える。システム103は、1つもしくは複数の低分解能試験ツール101および/または1つもしくは複数の高分解能試験ツール102および/または他の試験ツールに動作可能に接続することができる。試験ツールは、試料の画像を捕捉し、かつ/または捕捉した画像を検討し、かつ/または捕捉した画像に関連する測定を可能にしもしくは実現するように構成される。システム103は、データリポジトリ109にさらに動作可能に接続することができる。データリポジトリ109は、手動注釈入力デバイス110に動作可能に接続することができ、そこから手動注釈データを受け取ることができる。
【0024】
システム103は、プロセッサおよびメモリ回路(PMC)104を含む。PMC104は、以下に記載する様々な実施形態にさらに詳述するように、システム103を動作させるために必要な処理を提供するように構成されており、プロセッサ(別個には図示せず)およびメモリ(別個には図示せず)を備える。図1で、PMC104は、ハードウェアベースの入力インターフェース105およびハードウェアベースの出力インターフェース106に動作可能に接続される。
【0025】
PMC104のプロセッサは、PMC内に含まれる非一時的コンピュータ可読メモリで実施されるコンピュータ可読命令に応じていくつかの機能モジュールを実行するように構成することができる。以下、そのような機能モジュールを、PMC内に含まれるものとして参照する。PMC104内に含まれる機能モジュールは、機械学習ユニット(MLユニット)112を含むことができる。MLユニット112は、機械学習モデル/機械学習アルゴリズムを使用するデータ処理を可能にし、試料の画像に基づくアプリケーション関連データを出力するように構成することができる。
【0026】
MLユニット112は、教師ありまたは教師なしの機械学習モデル(たとえば、ディープニューラルネットワーク(DNN)向け)を含むことができる。MLユニット112の機械学習モデルは、それぞれのDNNアーキテクチャに応じて組織化された層を含むことができる。非限定的な例として、これらのDNN層は、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)アーキテクチャ、回帰型ニューラルネットワークアーキテクチャ、再帰型ニューラルネットワークアーキテクチャ、敵対的生成ネットワーク(GAN)アーキテクチャなどに応じて組織化することができる。任意選択で、これらの層の少なくともいくつかは、複数のDNNサブネットワークで組織化することができる。機械学習モデルの各層は、当技術分野で典型的に次元、ニューロン、またはノードと呼ばれる複数の基本計算要素(CE)を含むことができる。いくつかの実施形態では、機械学習モデルをニューラルネットワークとすることができ、各層はニューラルネットワーク層である。いくつかの実施形態では、機械学習モデルを畳み込みニューラルネットワークとすることができ、各層は畳み込み層である。
【0027】
概して、所与の層の計算要素を、前の層および/または次の層のCEに接続することができる。前の層のCEと次の層のCEとの間の各接続は、重み値に関連付けられる。所与のCEが、それぞれの接続を介して前の層のCEから入力を受け取ることができ、所与の各接続は、重み値に関連付けられており、この重み値を、所与の接続の入力に適用することができる。重み値は、接続の相対的な強度、したがってそれぞれの入力が所与のCEの出力に与える相対的な影響を判定することができる。所与のCEは、活性化値(たとえば、入力の加重合計)を演算し、演算した活性化に活性化関数を適用することによって、出力をさらに導出するように構成することができる。活性化関数は、たとえば、恒等関数、確定関数(たとえば、線形、シグモイド、閾値など)、確率関数、または他の好適な関数とすることができる。
【0028】
それぞれの接続を介して、所与のCEからの出力を次の層のCEへ伝送することができる。同様に、上記のように、CEの出力における各接続を重み値に関連付けることができ、この重み値をこのCEの出力に適用してから、次の層のCEの入力として受け取ることができる。重み値に加えて、接続およびCEに閾値(制限関数を含む)を関連付けることができる。
【0029】
機械学習モデルの重み値および/または閾値は、訓練前に最初に選択することができ、訓練されたMLネットワークの最適な1組の重み値および/または閾値を実現するように、訓練中にさらに反復して調整または修正することができる。各反復後、機械学習モデルによって作成された実際の出力と、それぞれの訓練データセットに関連付けられたターゲット出力との間の差(損失関数とも呼ばれる)を判定することができる。この差をエラー値と呼ぶことができる。エラー値を示す費用もしくは損失関数が所定の値より小さくなったとき、または追加の反復による性能の改善が制限されるとき、訓練が完了したと判定することができる。任意選択で、機械学習モデルネットワーク全体を訓練する前に、機械学習モデルサブネットワーク(もしあれば)の少なくともいくつかを別個に訓練することができる。
【0030】
本明細書では、ニューラルネットワークの重み/閾値を調整するために使用される1組の機械学習モデル入力データを訓練セットと呼ぶ。
【0031】
システム103は、入力インターフェース105を介して入力データを受け取るように構成することができ、入力データは、試験ツールによって作成されるデータ(および/またはその導関数および/またはそれに関連付けられたメタデータ)、ならびに/または1つもしくは複数のデータリポジトリ109および/もしくは別の関連データデポジトリで作成および/もしくは記憶されるデータを含むことができる。入力データは、画像(たとえば、捕捉された画像、捕捉された画像から導出された画像、シミュレートされた画像、合成画像など)、および関連付けられたスカラデータ(たとえば、メタデータ、手作業/手動の画像注釈、自動属性など)を含むことができることに留意されたい。画像データは、試料の関心層および/または試料の1つもしくは複数の他の層に関連するデータを含むことができることにさらに留意されたい。
【0032】
入力データ(たとえば、低分解能画像データおよび/または高分解能画像データ、任意選択でたとえば設計データ、合成データ、検査データなどの他のデータとともに)を処理したとき、システム103は、出力インターフェース106を介して、結果(たとえば、命令関連データ)を試験ツールのいずれかへ送り、結果(たとえば、欠陥属性、欠陥分類など)をストレージシステム107に記憶し、GUI108を介して結果を描画し、かつ/または外部システム(たとえば、FABの収益管理システム(YMS))へ送ることができる。GUI108は、システム103に関連するユーザ指定入力を可能にするようにさらに構成することができる。
【0033】
非限定的な例として、1つまたは複数の低分解能試験ツール101(たとえば、光学検査システム、低分解能SEMなど)は、試料を試験することができる。低分解能試験ツール101は、その結果得られる低分解能画像データ(試料の低分解能画像を示すことができる)をシステム103へ伝送することができる(直接、または1つもしくは複数の中間システムを介して)。別法または追加として、高分解能ツール102は、試料を試験することができる(たとえば、低分解能画像に基づいて検討のために選択された潜在的な欠陥箇所の一部を、走査電子顕微鏡(SEM)または原子間力顕微鏡(AFM)によって後に検討することができる)。高分解能ツール102は、その結果得られる高分解能画像データ(試料の高分解能画像を示すことができる)をシステム103へ伝送することができる(直接、または1つもしくは複数の中間システムを介して)。
【0034】
画像データは、関連付けられたメタデータ(たとえば、画素サイズ、欠陥タイプのテキスト記述、画像捕捉プロセスのパラメータなど)とともに受け取って処理することができることに留意されたい。
【0035】
いくつかの実施形態では、画像データは、注釈データとともに受け取って処理することができる。非限定的な例として、検討する人間が、領域(たとえば、手でマークした長円形領域)を選択してそれを欠陥ありとしてマークすることができ、または欠陥性を示すラベルによってマークすることができる。後述するように、手動または他の注釈データを訓練中に利用することができる。
【0036】
本明細書に開示する主題の教示は、図1に示すシステムによって拘束されるものではなく、均等でありかつ/または修正された機能を別の方法で統合または分割することができ、ソフトウェアとファームウェアおよび/またはハードウェアとの任意の適当な組合せで実施することができることが、当業者には容易に理解されよう。
【0037】
本開示の範囲を何ら限定するものではないが、試験ツールは、光学撮像機械、電子ビーム検査機械などの様々なタイプの検査機械として実施することができることにも留意されたい。いくつかの場合、同じ試験ツールが、低分解能画像データおよび高分解能画像データを提供することができる。いくつかの場合、少なくとも1つの試験ツールが、計測能力を有することができる。
【0038】
図1に示す試験システムは、分散された演算環境で実施することができ、図1に示す上記の機能モジュールを、いくつかの局所および/または遠隔デバイスにわたって分散させることができ、通信ネットワークを介してリンクさせることができることに留意されたい。別の実施形態では、試験ツール101および/もしくは102、データリポジトリ109、手動注釈入力110、ストレージシステム107、ならびに/またはGUI108のうちの少なくともいくつかは、試験システム100の外部に位置し、入力インターフェース105および出力インターフェース106を介してシステム103とデータ通信して動作することができることにさらに留意されたい。システム103は、試験ツールとともに使用される独立型コンピュータとして実施することができる。別法として、システムのそれぞれの機能は、1つまたは複数の試験ツールと少なくとも部分的に一体化することができる。
【0039】
次に図2に注目されたい。図2は、本明細書に開示する主題の特定の実施形態によってパターンの高分解能画像からの半導体試料上の関心パターン(POI)を分類する例示的なプロセッサベースの方法について説明する流れ図を示す。
【0040】
半導体製造プロセスを監視する際、製造される試料に関する様々なデータおよびメトリック、より具体的には試料上のパターンに関するデータおよびメトリックを判定することが望ましいことがある。これらのデータ/メトリックには、パターンの欠陥状態(たとえば、欠陥あり/欠陥なし)、欠陥の領域(たとえば、欠陥パターンを表す高分解能画像の画素群の識別)、および欠陥性の判定の精度に関する確実性レベルを含むことができる。
【0041】
これらのデータは、たとえば高分解能画像の人間による注釈によって判定することができる。しかし、そのような注釈は、コストおよび時間がかかる。
【0042】
本明細書に開示する主題のいくつかの実施形態では、「弱いラベル」を有する訓練サンプルを含む訓練セットを使用して訓練された機械学習モデルを使用して、高分解能画像の領域の欠陥性が判定され、すなわち「弱いラベル」を有する訓練サンプルとは、(たとえば)画像全体に当てはまる関連付けられたラベルを有し、たとえば光学検査などの低分解能の分類方法から導出された画像である。本開示の文脈で、「訓練する」とは、機械学習モデルを構成する任意の好適な方法を含むことができ、これには図4を参照して後述する方法などの訓練方法を含み、弱いラベルを有するサンプルなどを使用する訓練セットを使用して訓練された別のモデルの設定に基づいて、モデルのパラメータを設定する。
【0043】
これらの方法のいくつかの利点の中には、容易に達成可能なサンプルに基づいて、注釈データを必要とすることなく、画素領域欠陥性の正確な評価を提供することができることが含まれる。
【0044】
システム103(たとえば、PMC104)は、試料上のPOIの高分解能画像(走査電子顕微鏡(SEM)画像など)を示すデータを受け取ることができる(200)。
【0045】
試験システム100は、システム103(たとえば、PMC104)が画像を受け取ることを可能にするように構成することができる。いくつかの実施形態では、低分解能試験ツール101は、1群の1つもしくは複数の試料(たとえば、ウエハまたはダイ)または試料の部分の低分解能画像を捕捉し、その際にこれらの試料上の関心パターンの低分解能画像を捕捉するように構成することができる。低分解能試験ツール101は、低分解能画像の光学検査(たとえば、当技術分野では知られているような)を利用して、欠陥性関連分類(たとえば、欠陥あり/欠陥なし)に応じて試料のパターンを分類するようにさらに構成することができる。高分解能ツール102は、1つまたは複数の低分解能試験ツール101による欠陥ありというPOIの分類に応答して、関心パターン(POI)の高分解能画像を捕捉(たとえば、SEMを使用)するように構成することができる。高分解能ツール102は、POIの捕捉された高分解能画像をシステム103に提供するようにさらに構成することができる。
【0046】
次いで、コンピュータベースのシステム103(たとえば、PMC104)は、高分解能画像の少なくとも1つの画素ブロックの各々に対して、欠陥性関連分類(POIの一領域またはPOI全体の欠陥性/非欠陥性など)に応じてPOIを分類するために使用可能なスコアを示すデータを生成することができる(210)。
【0047】
より具体的には、いくつかの実施形態では、たとえば図3図5を参照して後述する方法を使用して、コンピュータベースのシステム103(たとえば、PMC104)が、欠陥性関連分類に応じてPOIを分類するために使用可能なデータを生成することができる。いくつかの実施形態では、生成されるデータは、1つまたは複数のスコア(たとえば、スコアのマトリックス)を示し、各スコアは、高分解能画像の画素ブロックから導出され、POIのうち、画素ブロックの画素によって表される領域の欠陥性の可能性(たとえば、欠陥性の可能性の推定)を示す。以下、そのようなマトリックスを「グレードマップ」と呼ぶ。
【0048】
いくつかの実施形態では、システム103(たとえば、MLモデル112)によって生成されるグレードマップは、POIの入力高分解能画像と同じ寸法を有し、マトリックスのエントリはスカラ値(たとえば、0~1)であり、POIの入力画像のそれぞれの画素がPOIの欠陥領域に対応する可能性を示す。いくつかの他の実施形態では、生成されたグレードマップは、POIの画像より小さく(たとえば、1024×1024の画像から512×512のマトリックスを生成することができ、各マトリックスエントリは、それぞれ2×2の画素ブロックのスコアを含む)、この場合、マトリックスのスカラ値は、POI画像のそれぞれの画素ブロック(たとえば、2×2もしくは4×4のブロック、または別の寸法の画素ブロック)がPOIの欠陥領域に対応する可能性を示す。本明細書の「画素ブロック」という用語は、単一の画素ならびに様々な寸法の水平および/または垂直の画素群を含むことができることに留意されたい。
【0049】
いくつかの実施形態では、システム103(たとえば、MLユニット112)は、「弱いラベル」を有する1組の訓練例(たとえば、画像全体に当てはまる関連付けられたラベルを有する画像)に応じて訓練された機械学習モデルを利用することによって、グレードマップを生成する。より具体的には、いくつかのそのような実施形態では、各訓練例は、POIに類似した訓練パターンを走査することによって捕捉された高分解能画像(または高分解能画像を示すデータ)である。いくつかの実施形態では、訓練パターンに関連付けられたラベルは、それぞれの訓練パターンの光学検査(または他の低分解能試験ツール)から導出される。たとえば、光学検査ツールが、パターンを検査し、検査したパターンと基準パターンとを比較し、検査されたパターンを「欠陥あり」または「欠陥なし」としてラベル付けすることができる。機械学習モデルを訓練する例示的な方法について、図4を参照して後述する。
【0050】
ウエハまたはダイは、パターンの複数の事例がウエハまたはダイ上で繰り返されるように製造することができ、次いでウエハまたはダイは、後に多くのデバイス事例に分離される。本開示では、1つのPOIが別のPOIに類似しているという文脈で、「類似」という用語は、単一ウエハダイ上のパターンの複数の事例、ならびに同じウエハまたはダイの複数の事例にまたがるパターンの複数の事例などを含むように広く解釈されるべきである。
【0051】
いくつかの実施形態では、システム103(たとえば、MLユニット112)は、それにもかかわらず欠陥性関連分類に応じてPOIを分類するために使用可能な画素毎(または画素ブロック毎)スコアを示すグレードマップ以外のデータ構造を生成することができる。
【0052】
任意選択で、システム103(たとえば、PMC104)は、次に(たとえば)グレードマップ内の値の各々(または対応する代替データ表現)を欠陥性閾値(たとえば、0~1のスケールで0.5)と比較し(220)、それによってPOIに欠陥があるかどうかの指示を生じさせ、また欠陥性関連分類(たとえば、欠陥あり/欠陥なし)に応じてPOIを分類することができる。
【0053】
任意選択で、システム103(たとえば、PMC104)は、グレードマップ内に欠陥性閾値を満たすスコアが存在する場合、措置をとることができる。任意選択で、この措置は、POIに欠陥があるかどうか(または一連のPOIもしくは複数のPOIに欠陥があることなど)の指示に応じて、オペレータに警報すること(230)を含むことができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、グレードマップを利用して、他の欠陥性関連分類に応じてPOIを分類することができる。たとえば、システム103(たとえば、PMC104)は、出力された画素ブロック毎スコアに応じて欠陥に対するバウンディングボックスを判定することができる。
【0055】
本明細書に開示する主題の教示は、図2に示す流れ図に拘束されないことに留意されたい。この流れ図について、図1または図3のシステムの要素を参照して説明したが、これは何ら拘束するものではなく、本明細書に記載するもの以外の要素によって動作を実行することができることにも留意されたい。
【0056】
次に、図3に注目されたい。図3は、本明細書に開示する主題の特定の実施形態によってたとえばPMC104(より具体的には、たとえばMLユニット112)によってPOIのSEM画像(または他の高分解能画像)を示すデータを受け取り、画像の少なくとも1つの画素ブロックの各々に対して、欠陥性関連分類によってPOIを分類するために使用可能なスコアを示すデータを生成するために使用可能な機械学習モデルの例示的な層を示す。
【0057】
機械学習モデルは、POIのSEM画像(または別のタイプの高分解能画像)310を入力として受け取るように構成された第1の一連の機械学習ネットワーク層320(たとえば、ニューラルネットワーク層または畳み込みニューラルネットワーク層)を含むことができる。次いで、第1の一連の機械学習ネットワーク層320は、SEM画像310に基づいて、特徴マップ330を生成することができる。
【0058】
特徴マップ330は、機械学習ネットワークの中間出力とすることができる。特に、上記で説明したように、機械学習ネットワークは、複数の層L1~LNを含むことができ、特徴マップ330は、層Ljの出力として取得することができ、ここで1<j<Nである(いくつかの実施形態では、層L1~Ljの中間層は、j<Nで、畳み込みニューラルネットワークを構成することができる)。上述したように、機械学習モデルでは、最後の層LNによって最終出力が提供されるまで、各層Ljが中間出力を提供し、この中間出力は次の層Lj+1に供給される。たとえば、SEM画像310が寸法X1、Y1、Z1を有し、ここで、
- X1は、第1の軸XによるSEM画像310の寸法に対応し、
- Y1は、第2の軸YによるSEM画像310の寸法に対応し、
- Z1は、各画素に関連付けられた値の数に対応し、Z1≧1であると仮定する。たとえば、3つの色(赤色、緑色、および青色)を使用する表現が使用される場合、Z1=3である。これは限定的ではなく、他の表現を使用することもできる(たとえば、SEM顕微鏡では、複数の異なるコレクタによって各画素に対する電子が収集され、各コレクタは異なる位置を有し、各チャネルが寸法に対応し、したがってZ1はチャネルの総数である)。
【0059】
いくつかの実施形態では、特徴マップ330は、寸法X2、Y2、Z2を有し、X2<X1、Y2<Y1、およびZ2>Z1である。Z2は、層Lj内に存在するフィルタの数に依存することができる。
【0060】
機械学習モデルは、特徴マップ330を入力として受け取るように構成された第2の一連のMLネットワーク層340(たとえば、ニューラルネットワーク層または畳み込みニューラルネットワーク層)を含むことができる。次いで、第2の一連のMLネットワーク層340は、特徴マップ330に基づいて、たとえば図2を参照して上述した説明に一致するグレードマップ350を生成することができる。
【0061】
本明細書に開示する主題の教示は、図3を参照して説明する機械学習モデル層に拘束されないことに留意されたい。均等でありかつ/または修正された機能を別の方法で統合または分割することができ、ソフトウェアとファームウェアおよび/またはハードウェアとの任意の適当な組合せで実施し、好適なデバイス上で実行することができる。
【0062】
次に図4に注目されたい。図4は、機械学習モデル(たとえば、図3を参照して上述した構造を有するニューラルネットワークを含む)を訓練する例示的な方法を示し、したがって機械学習モデルは、POIの入力された高分解能(たとえば、SEM)画像を受け取り、次いで画像の少なくとも1つの画素ブロックの各々に対して、POIのうち、画素ブロックの画素によって表される領域の欠陥性の可能性を示す画素ブロック毎分類スコアを示すデータを生成することができる。本明細書に開示する主題のいくつかの実施形態によれば、画素ブロック毎分類スコアは、欠陥性関連分類に応じてPOIを分類するために使用可能とすることができる。図4に示す方法についてのこの説明は、図5に示す訓練データの流れを参照する。
【0063】
いくつかの実施形態では、PMC104(たとえば、MLユニット112)が、訓練セットからの弱いラベル(たとえば、画像レベルのラベル)を有する訓練サンプル対を使用して機械学習モデルを訓練し、一方の訓練サンプル(疑い訓練サンプルと呼ぶ)は、欠陥ありとして以前にラベル付けされた(または欠陥ありであることが疑われた)POIの高分解能画像(たとえば、SEM走査)を含み、第2のサンプル(基準訓練サンプルと呼ぶ)は、基準POIの高分解能画像(たとえば、SEM走査)、すなわち欠陥なしとして以前にラベル付けされた(たとえば、以前の分類による)POIを含む。
【0064】
高分解能画像のラベル付けは、たとえば、それぞれのPOIの低分解能(たとえば光学)検査から導出することができる。別法として、高分解能画像のラベル付けは、人間による検査または別の好適な方法から導出することができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、訓練セットは完全に訓練サンプルからなり、光学検査または他の低分解能試験ツールから画像レベルのラベルが導出される。いくつかの実施形態では、訓練セットは、そのような訓練サンプルならびに他の訓練サンプルからなる。
【0066】
いくつかの実施形態では、画像レベルでラベル付けされた訓練サンプルのいくつかまたはすべてを、注釈データに関連付けることができる。注釈データは、たとえば、人間による注釈から誘導することができる(たとえば、人間が高分解能画像の領域の周りに長円をマークする)。
【0067】
注釈データは、高分解能画像の注釈が施された画素群によって表される試料パターンの一部分の欠陥性(いくつかの実施形態では、欠陥性のタイプ)を示すデータを含むことができる。この文脈で、「画素群」という用語は、単一の画素または画像全体を指すことができる。この文脈で、たとえば試料の一部分が実質上または完全に画素群によって描写される場合、このパターンの試料の一部分は、特有の画素群によって表されると見なすことができる。
【0068】
後述するように、いくつかの実施形態では、図4に示す訓練方法は、疑い特徴マップ(すなわち、欠陥ありまたは疑いとしてラベル付けされたPOIの画像から導出された特徴マップ)および基準特徴マップ(すなわち、欠陥なしとラベル付けされたPOIの画像から導出された特徴マップ)から誘導される距離メトリックから演算された損失関数に応じて、機械学習モデル層の重みを調整する。
【0069】
損失関数は、いくつかの実施形態では、POIの欠陥部分を表す画素から導出された特徴マップ領域に対する2つの特徴マップ間の差を最大にし、POIの非欠陥部分を表す画素から導出された特徴マップ領域に対する2つの特徴マップ間の差を最小にすることを求めることができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、損失関数は、それによって注意機構を構成する。第1の一連の機械学習モデル層は、意味領域を識別することができる特徴マップを生成することができ、第2の一連の機械学習モデル層は、欠陥性の可能性に関して領域をスコア化することができる。
【0071】
PMC104(たとえば、MLユニット112)は、欠陥性(たとえば、判定されたまたは疑われた欠陥性)を示すラベルに関連付けられたPOIの高分解能画像510に第1の一連のニューラルネットワーク層320を適用することができる(400)。いくつかの実施形態では、光学検査がPOIの欠陥性を示したため、欠陥性を示すラベルが画像に関連付けられた。次いで、第1の一連のニューラルネットワーク層320は、高分解能画像から特徴マップ530を生成することができる。特徴マップは、ニューラルネットワークの現在の訓練状態に応じて生成され、したがって訓練が進行するにつれて、その結果得られる特徴マップは、機械学習モデルの訓練の進行に応じて変化する。本明細書では、欠陥性を示すラベルに関連付けられた画像から生成される特徴マップを「疑い特徴マップ」と呼ぶ。
【0072】
次いで、PMC104(たとえば、MLユニット112)は、疑い特徴マップ530に第2の一連のニューラルネットワーク層340を適用することができる(410)。次いで、第2の一連のニューラルネットワーク層340が、グレードマップ560(たとえば、高分解能画像510の1つまたは複数の画素ブロックの各々に対するスコアであり、各スコアは、画素ブロックの画素によって表される第1のPOIの領域の欠陥性の可能性を示す)を生成することができる。画像の画素ブロックに対して出力されるスコアを、画素ブロック毎スコアと呼ぶことができ、したがってグレードマップを画素群ブロック毎スコアと呼ぶことができる。グレードマップは、ニューラルネットワークの現在の訓練状態に応じて生成され、したがって訓練が進行するにつれて、その結果得られるグレードマップは、機械学習モデルの訓練の進行に応じて変化する。本明細書では、疑い特徴マップから生成されるグレードマップを「疑いグレードマップ」と呼ぶ。
【0073】
次に、PMC104(たとえば、MLユニット112)は、非欠陥性を示すラベルに関連付けられたPOIの高分解能画像520に第1の一連のニューラルネットワーク層320を適用することができる(420)。いくつかの実施形態では、画像が欠陥なしであると判定され(たとえば、光学検査による)、または他の方法で欠陥なしであると判定もしくは推定されたため、このラベルが画像に関連付けられた。次いで、第1の一連のニューラルネットワーク層320は、高分解能画像520から特徴マップ540を生成することができる(機械学習モデルの現在の訓練状態に応じて計算される)。本明細書では、非欠陥性を示すラベルに関連付けられた画像から生成される特徴マップを「基準特徴マップ」と呼ぶ。
【0074】
次いで、PMC104(たとえば、MLユニット112)は、基準特徴マップ540に第2の一連のニューラルネットワーク層340を適用することができる(430)。次いで、第2の一連のニューラルネットワーク層340が、機械学習モデルの現在の訓練状態に応じて計算される基準グレードマップ570(たとえば、基準画像520の1つまたは複数の画素ブロックの各々に対するスコアであり、各スコアは、画素ブロックの画素によって表される基準POIの領域の欠陥性の可能性を示す)を生成することができる。
【0075】
次いで、PMC104(たとえば、MLユニット112)は、損失関数に応じて第1の一連のニューラルネットワーク層320および第2の一連のニューラルネットワーク層340の重み(たとえば少なくとも1つの層の少なくとも1つの重み、またはたとえばすべての層のすべての重み)を調整することができる。たとえば、PMC104(たとえば、MLユニット112)は、損失関数590を演算することができ(440)、たとえば逆伝播を用いて、第1の一連のニューラルネットワーク層320および第2の一連のニューラルネットワーク層340の重みを調整することができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、損失関数590は、少なくとも距離メトリック(たとえば、基準特徴マップ540と疑い特徴マップ530との間の差を表す値または1群の値)、疑いグレードマップ560、および基準グレードマップ570を利用する。いくつかの実施形態では、距離メトリックは、後述するように、たとえばユークリッド距離またはコサイン類似度に基づく差分特徴マップとすることができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、差分特徴マップ550は、基準特徴マップ540と疑い特徴マップ530との間のユークリッド距離に応じることができる。たとえば、差分特徴マップ550は、基準特徴マップ540と疑い特徴マップ530との間のユークリッド距離を計算することによって演算することができる(すなわち、この場合、差分特徴マップ550は、各エントリが2つの特徴マップ内の対応するエントリ間の算術差になるマトリックスである)。
【0078】
他の実施形態では、差分特徴マップ550は、基準特徴マップ540内の値と疑い特徴マップ530内の対応する値との間のコサイン類似度に応じることができる。たとえば、差分特徴マップ550は、各エントリが基準特徴マップ540内の値と疑い特徴マップ530内の対応する値との間のコサイン類似度を計算することによって演算されるマトリックスとすることができる。
【0079】
他の実施形態では、差分特徴マップ550は、疑い特徴マップ530と基準特徴マップ540との間の差の異なる表現とすることができる。他の実施形態では、損失関数590は、疑い特徴マップ530と基準特徴マップ540との間の差を表す異なる距離メトリックを使用することができる。
【0080】
任意選択で、上述したように、いくつかの実施形態では、注釈データ580を利用可能とすることができる。注釈データは、それぞれのPOIの欠陥領域に対する対応関係を有する疑い画像510内の特有の画素群を示すデータを含むことができる。そのような実施形態では、損失関数590は、差分特徴マップ550、基準グレードマップ570、および疑いグレードマップ560とともに注釈データ580を利用することができる。
【0081】
PMC104(たとえば、MLユニット112)は、複数の訓練サンプルのうちの追加の訓練サンプル対に対する2つの一連のニューラルネットワーク層320、340の適用を繰り返すことができ(450)、サンプルの各対に対して、差分特徴マップ550、疑いグレードマップ560、および基準グレードマップ570などの距離メトリックを利用する損失関数に応じて、ニューラルネットワーク層の重みを調整することができる。たとえば、PMC104(たとえば、MLユニット112)が、すべての利用可能な疑い訓練サンプルを使用して訓練することができ、各疑い訓練サンプルとともに、PMC104(たとえば、MLユニット112)は、1組の訓練サンプルからの基準訓練サンプルを利用することができる。いくつかの実施形態では、PMC104(たとえば、MLユニット112)は、訓練の各反復で同じ基準訓練サンプルを利用する。
【0082】
本明細書に開示する主題の教示は、図4に示す流れ図に拘束されるものではなく、図示の動作を図示の順序以外で行うことができることに留意されたい。たとえば、連続して示されている動作400および420を、実質上同時にまたは逆の順序で実行することができる。この流れ図について、図1のシステム、図3のニューラルネットワーク層、および図5のデータの流れの要素を参照して説明したが、これは何ら拘束するものではなく、本明細書に記載するもの以外の要素によってこれらの動作を実行することができることにも留意されたい。
【0083】
本明細書に開示する主題の教示は、図5を参照して説明するデータの流れによって拘束されないことに留意されたい。均等でありかつ/または修正された機能を別の方法で統合または分割することができ、ソフトウェアとファームウェアおよび/またはハードウェアとの任意の適当な組合せで実施し、好適なデバイス上で実行することができる。
【0084】
上述したように、このようにして機械学習モデルを訓練することで(たとえば、疑い画像および基準画像の使用、ならびに差分特徴マップに基づく注意機構の利用)、高速訓練を可能にし、高い分類精度を提供することができる。
【0085】
重みの更新は、フィードフォワード/逆伝播方法などの技法を使用することができ、任意のオプティマイザ(たとえば、確率的勾配降下法(SGD)、ADAMなど)に依拠することができる。
【0086】
基準画像520は、試料(たとえば、ダイ、セルなど)の基準領域の画像であり、それぞれの画像データは、欠陥のない基準領域を表すことに留意されたい。基準画像は、基準(金製)ダイ、基準セル、または欠陥がないことが検証された他の領域から捕捉された画像とすることができる。別法または追加として、基準画像は、CADデータを使用してシミュレートすることができ、かつ/または捕捉後、基準領域内の欠陥(もしあれば)を除外するように増強させることができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、疑い画像510は基準画像520と同等であり(たとえば、ダイ対ダイ、セル対セル、ダイ対データベースなど)、半導体試料の第1の領域を示すことにさらに留意されたい。第1の画像は、第1の領域に関連する複数の欠陥を示すことが想定される。第1の画像は、第1の領域から捕捉された画像とすることができる。任意選択で、第1の画像は、さらに増強させることができ、かつ/または捕捉後に導入された合成欠陥を含む可能性がある。第1の領域は、基準領域に関する類似度基準を満たすように構成され、同じまたは異なる半導体試料に属することができる。類似度基準は、たとえば、第1の領域および基準領域が半導体試料(たとえば、類似のダイ、セルなど)の同じ物理的構成要素または類似の区間に対応することを定義することができる。
【0088】
いくつかの実施形態では、画像間の適合性を確実にするために、訓練サンプル内の少なくとも1つの基準画像520および第1の画像510が、重ね合わせ手順を受けなければならないことに留意されたい。異なる訓練サンプルの少なくとも一部が、同じ基準画像を含むことができることにさらに留意されたい。
【0089】
様々な実施形態において説明した様々な特徴は、すべての可能な技術的組合せにより組み合わせることができることに留意されたい。本発明は、本明細書に含まれる説明に記載されまたは図面に示される詳細にその適用が限定されるものではないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実行および実施することが可能である。したがって、本明細書で用いる用語および術語は、説明を目的とし、限定と見なされるべきではないことを理解されたい。したがって、本開示が基づく概念は、本明細書に開示する主題のいくつかの目的を実施するための他の構造、方法、およびシステムを設計するための基本として容易に利用することができることが、当業者には理解されよう。添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、前述した本発明の実施形態に様々な修正および変更を加えることができることが、当業者には容易に理解されよう。
【符号の説明】
【0090】
100 試験システム
101 低分解能試験ツール
102 高分解能試験ツール
103 コンピュータベースのシステム、システム
104 プロセッサおよびメモリ回路(PMC)
105 入力インターフェース
106 出力インターフェース
107 ストレージシステム
108 GUI
109 データリポジトリ
110 手動注釈入力デバイス
112 機械学習ユニット(MLユニット)
310 SEM画像
320 第1の一連の機械学習ネットワーク層
330 特徴マップ
340 第2の一連のMLネットワーク層
350 グレードマップ
510 高分解能画像、疑い画像、第1の画像
520 高分解能画像、基準画像
530 特徴マップ、疑い特徴マップ
540 特徴マップ、基準特徴マップ
550 差分特徴マップ
560 グレードマップ、疑いグレードマップ
570 基準グレードマップ
580 注釈データ
590 損失関数
図1
図2
図3
図4
図5