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特許7633217変換用配管、基板処理装置、基板処理方法および半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-10
(45)【発行日】2025-02-19
(54)【発明の名称】変換用配管、基板処理装置、基板処理方法および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20250212BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20250212BHJP
   F16L 23/14 20060101ALI20250212BHJP
   F16L 27/12 20060101ALI20250212BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
H01L21/31 B
H01L21/318 C
F16L23/14
F16L27/12 A
C23C16/44 E
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022146798
(22)【出願日】2022-09-15
(65)【公開番号】P2024042227
(43)【公開日】2024-03-28
【審査請求日】2024-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】庄司 拓人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 良輔
(72)【発明者】
【氏名】坂田 雅和
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-145600(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0125465(US,A1)
【文献】特開2012-174725(JP,A)
【文献】特開2016-012701(JP,A)
【文献】特開2010-080923(JP,A)
【文献】特開2000-223430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/318
F16L 23/14
F16L 27/12
C23C 16/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を出し入れ可能な開口を有する反応管と、
側面から上昇又は下降しながら外向きに伸びる排気ポートを有すると共に、前記反応管の開口に接続される筒状のインレットと、
前記排気ポートに接続される変換用配管と、を備え、
前記変換用配管は、
長手方向に延びる平行な2辺を含む、前記排気ポートに対応する形状の第1開口を有し、第1の相手側の開口と着脱可能な接続を提供する第1接続部と、
略円形の第2開口を有し、第2の相手側の開口と接続可能に構成される第2接続部と、
多面体の形状に形成された内部空間を有し、前記第1開口と前記第2開口とを流体連通させる管と、を備える基板処理装置
【請求項2】
前記第1開口は略長方形であり、前記多面体は、前記第1接続部とは4角形状に接続され、前記第2接続部とは5角形以上との多角形状で接続される請求項1に記載の基板処理装置
【請求項3】
前記第1開口と前記第2開口は互いに逆向きに開口するように平行に形成される請求項1に記載の基板処理装置
【請求項4】
前記第1接続部は平坦なシール面で前記第1の相手側と直接接続される第1フランジを有する請求項1に記載の基板処理装置
【請求項5】
前記変換用配管は、平坦なシール面で前記第2の相手側の開口と直接接続される第2フランジと、前記第2接続部の前記第2開口と前記第2フランジとを流体連通状態で接続するベローズと、を更に備える請求項1に記載の基板処理装置
【請求項6】
前記多面体は、前記第1接続部に接続する開いた面と、前記第2接続部に接続する開いた面の他に、4つ以上の台形の面と、前記台形の面のそれぞれの間に配置される2つ以上の3角形の面と、を有する請求項1に記載の基板処理装置
【請求項7】
前記第2接続部に接続する開いた面は8角形であり、前記3角形の面は4個ある請求項6に記載の基板処理装置
【請求項8】
前記台形の面は台形の輪郭を有する平板又は曲板で形成され、前記3角形の面は3角の輪郭を有する平板又は曲板で形成され、前記管は前記台形の面と前記3角形の面の辺同士を溶接して構成される請求項6に記載の基板処理装置
【請求項9】
前記第2接続部は、8角形の輪郭と、その内側に設けられた円形の第2開口と有する板と、前記第2開口に接続し前記第2の相手側に向かって伸びる円管と、を備える請求項1に記載の基板処理装置
【請求項10】
前記管は、前記第1開口又は前記第2開口に垂直な面で分割された少なくとも2つの殻を気密に接合して構成される請求項1に記載の基板処理装置
【請求項11】
前記少なくとも2つの殻は、ニッケル合金製であり、平板を曲げ加工して形成される請求項10に記載の基板処理装置
【請求項12】
前記第1開口に垂直にその中心を通る第1直線と、前記第2開口に垂直にその中心を通る第2直線は一致しない請求項1に記載の基板処理装置
【請求項13】
前記第1直線と、前記第2直線は、互いに平行で、前記第1開口の長手方向と垂直な方向に離間している請求項12に記載の基板処理装置
【請求項14】
前記第2開口は前記第1開口の面積以上の面積を有し、
前記管は、前記第1接続部に接続する開いた面と、前記第2接続部に接続する開いた面との間で、流路断面積を連続的に変化させる請求項1に記載の基板処理装置
【請求項15】
記第2開口は排気装置に接続される請求項1に記載の基板処理装置
【請求項16】
前記反応管のケーシングを更に備え、
前記変換用配管の全部が前記ケーシング内に収納され、或いは前記第2接続部が前記ケーシングの面と同一面をなす請求項に記載の基板処理装置。
【請求項17】
請求項の基板処理装置を用いた半導体装置の製造方法。
【請求項18】
基板を出し入れ可能な開口を有する反応管の開口に接続される筒状のインレットの側面から上昇又は下降しながら外向きに伸びる排気ポートに接続される変換用配管であって、
長手方向に延びる平行な2辺を含む、前記排気ポートに対応する形状の第1開口を有し、第1の相手側の開口と着脱可能な接続を提供する第1接続部と、
略円形の第2開口を有し、第2の相手側の開口と接続可能に構成される第2接続部と、
多面体の形状に形成された内部空間を有し、前記第1開口と前記第2開口とを流体連通させる管と、を備える変換用配管。
【請求項19】
基板を出し入れ可能な開口を有する反応管の中に基板を搬入する工程と、
前記反応管の開口に接続される筒状のインレットの側面から上昇又は下降しながら外向きに伸びる排気ポートに接続される変換用配管から、前記反応管内を真空排気する工程と、を備え、
真空排気する工程では、
長手方向に延びる平行な2辺を含む、前記排気ポートに対応する形状の第1開口を有し、第1の相手側の開口と着脱可能な接続を提供する第1接続部と、
略円形の第2開口を有し、第2の相手側の開口と接続可能に構成される第2接続部と、
多面体の形状に形成された内部空間を有し、前記第1開口と前記第2開口とを流体連通させる管と、を備える前記変換用配管が用いられる、基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、変換用配管、基板処理装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一工程として、基板を処理する反応管内に処理ガスが流され、反応管に複数の配管で構成される排気管を介して連結された真空ポンプにより処理されたガスが排出されることがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-104034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
排気管を構成する配管の構造によってはガス流れの淀みが発生して副生成物が堆積しやすくなり、パーティクルが発生することがある。
【0005】
本開示は、排気管におけるガス流れの淀みの発生を低減することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、
長手方向に延びる平行な2辺を含む第1開口を有し、第1の相手側の開口と着脱可能な接続を提供する第1接続部と、
略円形の第2開口を有し、第2の相手側の開口と接続可能に構成される第2接続部と、
多面体の形状に形成された内部空間を有し、前記第1開口と前記第2開口とを流体連通させる管と、
を備える技術が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、排気管におけるガス流れの淀みの発生を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の一態様で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉202部分を縦断面図で示す図である。
図2図2は、本開示の一態様で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉202部分を図1のA-A線断面図で示す図である。
図3図3は、本開示の一態様における排気ポート、変換用配管および排気管の斜視図である。
図4図4は、本開示の一態様における変換用配管の断面図である。
図5図5(a)は、比較例の変換用配管におけるガス流れシミュレーション結果を示す図である。図5(b)は、本開示の一態様の変換用配管におけるガス流れシミュレーション結果を示す図である。
図6図6は、本開示の一態様で好適に用いられる基板処理装置のコントローラ121の概略構成図であり、コントローラ121の制御系をブロック図で示す図である。
図7図7は、本開示の一態様におけるプロセスフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本開示の一態様>
以下、本開示の一態様について、主に、図1図7を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0010】
(1)基板処理装置の構成
図1に示すように、処理炉202は温度調整部(加熱部)としてのヒータ207を有する。ヒータ207は円筒形状であり、保持板に支持されることにより垂直に据え付けられている。ヒータ207は、ガスを熱で活性化(励起)させる活性化機構(励起部)としても機能する。
【0011】
ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応管203が配設されている。反応管203は、例えば石英(SiO)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料により構成され、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。反応管203の下方には、反応管203と同心円状に、マニホールド(インレット)209が配設されている。マニホールド209は、例えばステンレス鋼(SUS)等の金属材料により構成され、上端および下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド209の上端部は、反応管203の下端部に係合しており、反応管203を支持するように構成されている。マニホールド209と反応管203との間には、シール部材としてのOリング220aが設けられている。反応管203はヒータ207と同様に垂直に据え付けられている。主に、反応管203とマニホールド209とにより処理容器(反応容器)が構成される。処理容器の筒中空部には処理室201が形成される。処理室201は、基板としてのウエハ200を収容可能に構成されている。この処理室201内でウエハ200に対する処理が行われる。
【0012】
処理室201内には、第1~第3供給部としてのノズル249a~249cが、マニホールド209の側壁を貫通するようにそれぞれ設けられている。ノズル249a~249cを、それぞれ第1~第3ノズルとも称する。ノズル249a~249cは、例えば石英またはSiC等の耐熱性材料により構成されている。ノズル249a~249cには、ガス供給管232a~232cがそれぞれ接続されている。ノズル249a~249cはそれぞれ異なるノズルであり、ノズル249a,249cのそれぞれは、ノズル249bに隣接して設けられている。
【0013】
ガス供給管232a~232cには、ガス流の上流側から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)241a~241cおよび開閉弁であるバルブ243a~243cがそれぞれ設けられている。ガス供給管232aのバルブ243aよりも下流側には、ガス供給管232d,232fがそれぞれ接続されている。ガス供給管232bのバルブ243bよりも下流側には、ガス供給管232e,232gがそれぞれ接続されている。ガス供給管232cのバルブ243cよりも下流側には、ガス供給管232hが接続されている。ガス供給管232d~232hには、ガス流の上流側から順に、MFC241d~241hおよびバルブ243d~243hがそれぞれ設けられている。ガス供給管232a~232hは、例えば、SUS等の金属材料により構成されている。
【0014】
図2に示すように、ノズル249a~249cは、反応管203の内壁とウエハ200との間における平面視において円環状の空間に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の配列方向上方に向かって立ち上がるようにそれぞれ設けられている。すなわち、ノズル249a~249cは、ウエハ200が配列されるウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うようにそれぞれ設けられている。平面視において、ノズル249bは、処理室201内に搬入されるウエハ200の中心を挟んで後述する排気口209aと一直線上に対向するように配置されている。ノズル249a,249cは、ノズル249bと排気口209aの中心とを通る直線Lを、反応管203の内壁(ウエハ200の外周部)に沿って両側から挟み込むように配置されている。直線Lは、ノズル249bとウエハ200の中心とを通る直線でもある。すなわち、ノズル249cは、直線Lを挟んでノズル249aと反対側に設けられているということもできる。ノズル249a,249cは、直線Lを対称軸として線対称に配置されている。ノズル249a~249cの側面には、ガスを供給するガス供給孔250a~250cがそれぞれ設けられている。ガス供給孔250a~250cは、それぞれが、平面視において排気口209aと対向(対面)するように開口しており、ウエハ200に向けてガスを供給することが可能となっている。ガス供給孔250a~250cは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられている。
【0015】
ガス供給管232aからは、窒化ガスが、MFC241a、バルブ243a、ノズル249aを介して処理室201内へ供給される。
【0016】
ガス供給管232bからは、原料ガスが、MFC241b、バルブ243b、ノズル249bを介して処理室201内へ供給される。
【0017】
ガス供給管232cからは、エッチングガスが、MFC241c、バルブ243c、ノズル249cを介して処理室201内へ供給される。
【0018】
ガス供給管232dからは、酸化ガスが、MFC241d、バルブ243d、ガス供給管232a、ノズル249aを介して処理室201内へ供給される。
【0019】
ガス供給管232eからは、還元ガスが、MFC241e、バルブ243e、ガス供給管232b、ノズル249bを介して処理室201内へ供給される。
【0020】
ガス供給管232f~232hからは、不活性ガスが、それぞれMFC241f~241h、バルブ243f~243h、ガス供給管232a~232c、ノズル249a~249cを介して処理室201内へ供給される。不活性ガスは、パージガス、キャリアガス、希釈ガス等として作用する。
【0021】
主に、ガス供給管232a、MFC241a、バルブ243aにより、窒化ガス供給系が構成される。主に、ガス供給管232b、MFC241b、バルブ243bにより、原料ガス供給系が構成される。主に、ガス供給管232c、MFC241c、バルブ243cにより、エッチングガス供給系が構成される。主に、ガス供給管232d、MFC241d、バルブ243dにより、酸化ガス供給系が構成される。主に、ガス供給管232e、MFC241e、バルブ243eにより、還元ガス供給系が構成される。主に、ガス供給管232f~232h、MFC241f~241h、バルブ243f~243hにより、不活性ガス供給系が構成される。
【0022】
上述の各種供給系のうち、いずれか、或いは、全ての供給系は、バルブ243a~243hやMFC241a~241h等が集積されてなる集積型供給システム248として構成されていてもよい。集積型供給システム248は、ガス供給管232a~232hのそれぞれに対して接続されている。集積型供給システム248は、ガス供給管232a~232h内への各種物質(各種ガス)の供給動作、すなわち、バルブ243a~243hの開閉動作やMFC241a~241hによる流量調整動作等が、後述するコントローラ121によって制御されるように構成されている。集積型供給システム248は、一体型、或いは、分割型の集積ユニットとして構成されている。集積型供給システム248は、ガス供給管232a~232h等に対して集積ユニット単位で着脱を行うことができ、集積型供給システム248のメンテナンス、交換、増設等を、集積ユニット単位で行うことが可能なように構成されている。
【0023】
マニホールド209の側壁には、処理室201内の雰囲気を排気する排気口209aが設けられている。図2に示すように、排気口209aは、平面視において、ウエハ200を挟んでノズル249a~249c(ガス供給孔250a~250c)と対向(対面)する位置に設けられている。排気口209aは、反応管203の側壁の下部より上部に沿って、すなわち、ウエハ配列領域に沿って設けられていてもよい。排気口209aには後述する排気ポート211および変換用配管212を介して排気管231が接続されている。排気管231には、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245および圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ244を介して、真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されている。APCバルブ244は、真空ポンプ246を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室201内の真空排気および真空排気停止を行うことができる。APCバルブ244は、さらに、真空ポンプ246を作動させた状態で、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、処理室201内の圧力を調整することができるように構成されている。主に、排気管231、APCバルブ244、圧力センサ245により、排気系が構成される。真空ポンプ246を排気系に含めてもよい。
【0024】
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、例えばSUS等の金属材料により構成され、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220bが設けられている。シールキャップ219の下方には、後述するボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217に接続されている。回転機構267は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は、反応管203の外部に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115は、シールキャップ219を昇降させることで、ウエハ200を処理室201内外に搬入および搬出(搬送)する搬送装置(搬送機構)として構成されている。
【0025】
マニホールド209の下方には、シールキャップ219を降下させボート217を処理室201内から搬出した状態で、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシャッタ219sが設けられている。シャッタ219sは、例えばSUS等の金属材料により構成され、円盤状に形成されている。シャッタ219sの上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220cが設けられている。シャッタ219sの開閉動作(昇降動作や回動動作等)は、シャッタ開閉機構115sにより制御される。
【0026】
基板支持具としてのボート217は、複数枚、例えば25~200枚のウエハ200を、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で垂直方向に整列させて多段に支持するように、すなわち、間隔を空けて配列させるように構成されている。ボート217は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される。ボート217の下部には、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される断熱板218が多段に支持されている。
【0027】
反応管203内には、温度検出器としての温度センサ263が設置されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となる。温度センサ263は、反応管203の内壁に沿って設けられている。
【0028】
(排気ポート)
図1に示すように、マニホ-ルド209の側壁に設けられる排気口209aには排気ポ-ト211が接続されている。排気ポ-ト211はマニホールド209から上昇しながら外向きに伸びている。なお、排気ポ-ト211はマニホールド209から下降しながら外向きに伸びてもよい。ここで、マニホ-ルド209と排気ポ-ト211とは溶接により接合されている。排気ポ-ト211のマニホ-ルド209とは反対側の端部は変換用配管212を介して排気管231に接続されている。排気ポ-ト211を設けることにより、変換用配管212との接続が容易になる。
【0029】
排気口209aは、例えば、横方向に長い四角形状(長方形状、略長方形)に形成されており、具体的には長方形の四隅に、それぞれ円弧が外側になるように四分円が形成されている。すなわち、長方形状または略長方形は長手方向に延びる平行な2辺を含む。図3に示すように、排気ポート211は、長方形状の断面形状を有する筒状体211aと、変換用配管212側の長方形状の開口に設けられているフランジ211bとから構成されている。筒状体211aの排気口209a側の開口の形状(筒状体211aの断面形状)は、排気口209aと適合するように形成されている。
【0030】
(変換用配管)
変換用配管の構造について図3および図4を用いて説明する。変換用配管212は、第1接続部101と、第2接続部102と、管103と、ベローズ104と、で構成されている。第1接続部101は長方形状の断面形状を有する。第2接続部102は8角形の断面形状および円形の断面形状を有する。管103は多面体の形状に形成され、第1接続部101および第2接続部102の互いに異なる断面部同士を接合する。ベローズ104は第2接続部102と排気管231とを接続する。変換用配管212は、排気ポ-ト211(第1の相手)側の第1開口101aと排気管231(第2の相手)側の開口104aとの断面形状が異なるように形成されている。
【0031】
第1開口101aの形状(第1接続部101の断面形状)は略長方形であり、排気ポ-ト211のフランジ211b側の開口と適合することができる。第1接続部101には、平坦なシール面で排気ポート211のフランジ211bと接続されるための第1フランジ101bが設けられている。なお、排気ポート211のフランジ211bと第1フランジ101bと間の固定は四隅のボルトで行われ、その接続面にはシール材としてガスケット(メタル中空Oリング)又は通常のOリングが設けられる。第1接続部101は排気ポート211と気密性を保ちながら着脱可能に接続される。
【0032】
第2接続部102は、8角形の輪郭および略円形の第2開口102aを有する枠状体(板)102bと、第2開口102aに接続され排気管231側に向かって伸びる円管102cと、で構成されている。ここで、枠状体102bと円管102cとは溶接により接合されている。枠状体102bは管103側に8角形状の開口102dを有し、開口102dの断面積は第2開口102aの断面積よりも大きい。枠状体102bは、円管102c側に、開口102dと第2開口102aとの段差を埋める壁を有する。円管102cの開口の形状(円管102cの断面形状)は第2開口102aと適合するよう形成される。このような構成により、第2接続部102は、管103およびベローズ104と接続することができる。
【0033】
ベローズ104は、第2接続部102の円管102cに接続される円形筒状体104cと、排気管231に接続される円形筒状体104dと、円形筒状体104cと円形筒状体104dとを伸縮および曲折可能に接続する接続部104eと、で構成されている。ここで、円形筒状体104cと円管102c、円形筒状体104cと接続部104eおよび接続部104eと円形筒状体104dは、それぞれ溶接により接合されている。
【0034】
円形筒状体104cの第2接続部102側の開口の形状(円形筒状体104cの断面形状)は、円管102cの開口と適合するように形成されている。また、円形筒状体104dは、断面形状が円形の排気管231と接続されるため、開口104aの形状が排気管231と同一の構成の円形に形成されている。この開口104aには、平坦なシール面で排気管231と接続されるための第2フランジ104bが設けられている。
【0035】
ベローズ104は、第2接続部102の第2開口102aと開口104aとを流体連通状態で接続する。すなわち、第2開口102aは排気管231と接続可能に構成される。これにより、第2開口102aは真空ポンプ246に接続される。なお、排気管231と第2フランジ104bとの固定はクロークランプ213で行われ、その接続面にはシール材としてガスケット(メタル中空Oリング)又は通常のOリングが設けられる。これにより、ベローズ104は排気管231と気密性を保ちながら着脱可能に接続される。また、ベローズ104は伸縮性があるので、変換用配管212と排気管231との接続が容易になる。
【0036】
管103は多面体の形状に形成された内部空間103aを有する。多面体は、第1接続部101に接続する開いた面103bと、第2接続部102に接続する開いた面103cの他に、6つの台形の面と、台形の面のそれぞれの間に配置される4つの3角形の面と、を有する。ここで、第1接続部101に接続する開いた面103bの形状は4角形状に形成されている。これにより、4角形状の第1開口101aと適合することができる。第2接続部102に接続する開いた面103cの形状は8角形状に形成されている。これにより、8角形状の開口102dと適合することができる。台形の面および3角形の面を組み合わせた多面体により、形状変換が可能になる。なお、例えば、第2接続部102に接続する開いた面103cの形状が6角形状の場合は、3角形の面は2つになる。
【0037】
管103は第1接続部101および第2接続部102と溶接により接合されている。台形の面103dと台形の面103eとの間に3角形の面103jが配置され、台形の面103fと台形の面103gとの間に3角形の面103kが配置され、台形の面103gと台形の面103hとの間に3角形の面103lが配置され、台形の面103iと台形の面103dとの間に3角形の面103mが配置される。
【0038】
管103は、ニッケルを主成分とした合金の平板を機械曲げ加工して、半割の管(殻)を二つ作り、それらを溶接して気密に接合して構成してもよい。この場合、一の半割の管は台形の面103d,103e,103iおよび3角形の面103j,103mで構成され、他の半割の管は台形の面103f,103g,103hおよび3角形の面103k,103lで構成される。台形の面103eと台形の面103fとの接続面および台形の面103iと台形の面103hとの接続面を含む面は第1開口101a又は第2開口102aに垂直な面である。このように構成することにより、曲げ角は90度以下となり、溶接は全て管の外側から溶接可能であり、施工性が良い。
【0039】
なお、台形の面103e,103fを一つの台形の輪郭を有する平板又は曲板で形成し、台形の面103h,103iを一つの台形の輪郭を有する平板又は曲板で形成してもよい。この場合は、管103は4つの台形の面と4つの3角形の面で構成される。他の台形の面103d,103gを台形の輪郭を有する平板又は曲板で形成され、3角形の面103j~103mは3角の輪郭を有する平板又は曲板で形成され、管103は台形の面と3角形の面の辺同士を溶接して構成される。
【0040】
上述した構成により、管103は、第1開口101aと第2開口102aとを流体連通させる。また、第1開口101aは処理室201に接続され、第2開口102aは真空ポンプ246に接続される。これにより、処理室201と真空ポンプ246は流体連通される。
【0041】
なお、第1開口101aと第2開口102aは管103に対して互いに逆向きに開口するように平行に形成される。また、第1開口101aに垂直にその中心を通る第1直線(管軸)111と、第2開口102aに垂直にその中心を通る第2直線(管軸)112は一致しない。これにより、オフセット変換ができる。第1直線111と、第2直線112は、互いに平行で、第1開口101aの長手方向と垂直な方向(上下方向)に離間している。これにより、上下方向にオフセット変換ができる。第1開口101aの中心と第2開口102aの中心を結ぶ線が伸びる方向と上昇しながら外向きに伸びている排気ポート211の中心線が伸びる方向とのずれを小さくすることができる。
【0042】
また、第2開口102aは第1開口101aの面積以上の面積を有しており、管103は、第1接続部101に接続する開いた面103bと、第2接続部102に接続する開いた面103cとの間で、流路断面積を連続的に変化させる。
【0043】
図3に示すように、変換用配管212は第2接続部102が反応管203のケーシング214の1面と同一面をなすように配置されてもよいし、変換用配管212の全部がケーシング214内に収納されてもよい。これにより、変換用配管212の移動を制限することができる。
【0044】
(比較例)
比較例における変換用配管は、排気ポート211側の開口は排気ポート211の長方形状の開口と同じ形状を有し、排気管231側に向かうにつれて広がる開口を有する角型配管で構成される。この場合、角型配管と丸型配管との断面積との差である壁面の面積が大きく、図5(a)の破線円Aで示すように、ガス流れの淀みが発生しやすくなる。この淀みによって残留ガスによる副生成物が堆積しやすくなり、パーティクル(PC)発生の懸念がある。
【0045】
そこで、実施形態では、変換用配管212において、長方形状の開口を有する第1接続部から円形状の開口を有する第2接続部への接続を、四角形状から五角形以上の多角形状(例えば、八角形状)へ切り替わる形状にする。これにより、第2接続部102に形成される壁面の面積は角型配管と丸型配管とにより形成される壁面の面積よりも小さくなる。この結果、図5(b)の破線円Bに示すように、ガス流れの淀みを低減することが可能となる。これにより、残留ガスによる副生成物の付着を低減することとなり、PC発生を低減することが可能となる。
【0046】
図6に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。また、コントローラ121には、外部記憶装置123を接続することが可能となっている。
【0047】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理における各手順をコントローラ121によって、基板処理装置に実行させ、所定の結果を得ることができるように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、プロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。また、プロセスレシピを、単に、レシピともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0048】
I/Oポート121dは、上述のMFC241a~241h、バルブ243a~243h、圧力センサ245、APCバルブ244、真空ポンプ246、温度センサ263、ヒータ207、回転機構267、ボートエレベータ115、シャッタ開閉機構115s等に接続されている。
【0049】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピを読み出すことが可能なように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、MFC241a~241hによる各種物質(各種ガス)の流量調整動作、バルブ243a~243hの開閉動作等を制御することが可能なように構成されている。また、CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、APCバルブ244の開閉動作および圧力センサ245に基づくAPCバルブ244による圧力調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作等を制御することが可能なように構成されている。また、CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、回転機構267によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作、シャッタ開閉機構115sによるシャッタ219sの開閉動作等を制御することが可能なように構成されている。
【0050】
コントローラ121は、外部記憶装置123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。外部記憶装置123は、例えば、HDD等の磁気ディスク、CD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやSSD等の半導体メモリ等を含む。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0051】
(2)基板処理工程
上述の基板処理装置を用い、半導体装置の製造工程の一工程として、基板を処理する方法、すなわち、基板としてのウエハ200の表面に所定の膜を形成する例について図7を用いて説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0052】
本実施形態における成膜処理では、下記の工程を非同時に行うサイクルを所定回数(1回以上)行うことで、ウエハ200に膜を形成する。
(a)処理室201内のウエハ200に対して原料ガスを供給する工程(S641)
(b)処理室201内から原料ガス(残留ガス)を除去する工程(S642)
(c)処理室201内のウエハ200に対して酸化ガスを供給する工程(S643)
(d)処理室201内から酸化ガス(残留ガス)を除去する工程(S644)
(e)処理室201内のウエハ200に対して窒化ガスを供給する工程(S645)
(f)処理室201内から窒化ガス(残留ガス)を除去する工程(S646)
【0053】
本明細書において用いる「ウエハ」という用語は、ウエハそのものを意味する場合や、ウエハとその表面に形成された所定の層や膜との積層体を意味する場合がある。本明細書において用いる「ウエハの表面」という言葉は、ウエハそのものの表面を意味する場合や、ウエハ上に形成された所定の層等の表面を意味する場合がある。本明細書において「ウエハ上に所定の層を形成する」と記載した場合は、ウエハそのものの表面上に所定の層を直接形成することを意味する場合や、ウエハ上に形成されている層等の上に所定の層を形成することを意味する場合がある。本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0054】
(S61:ウエハチャージ、S62:ボートロード)
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、シャッタ開閉機構115sによりシャッタ219sが移動させられて、マニホールド209の下端開口が開放される(シャッタオープン)。その後、図1に示すように、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内へ搬入(ボートロード)される。この状態で、シールキャップ219は、Oリング220bを介してマニホールド209の下端をシールした状態となる。このようにして、ウエハ200は、処理室201内に搬入されることとなる。
【0055】
(S63:減圧真空引き)
ボートロードが終了した後、処理室201内、すなわち、ウエハ200が存在する空間が所望の圧力(真空度)となるように、真空ポンプ246によって真空排気(減圧排気)される。この際、処理室201内の圧力は圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ244がフィードバック制御される。また、処理室201内のウエハ200が所望の処理温度(第1温度)となるように、ヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合がフィードバック制御される。また、回転機構267によるウエハ200の回転を開始する。処理室201内の排気、ウエハ200の加熱および回転は、いずれも、少なくともウエハ200に対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。
【0056】
(S64:成膜処理)
処理室201内の温度が予め設定された処理温度に安定すると、次の6つのサブステップ、すなわち、S641、S642、S643、S644、S645及びS646を順次実行する。なおこの間、回転機構267により、回転軸255を介してボート217が回転されることで、ウエハ200が回転される。
【0057】
(S641:原料ガス供給)
このステップでは、処理室201内のウエハ200に対し、原料ガスを供給し、ウエハ200の最表面上に、第1の層を形成する。具体的には、バルブ243bを開き、ガス供給管232b内へ原料ガスを流す。原料ガスは、MFC241bにより流量調整され、ノズル249bのガス供給孔250bを介して処理室201内の処理領域へ供給され、排気口209a、排気ポート211および変換用配管212を介して排気管231から排気される。また同時にバルブ243gを開き、ガス供給管232g内へ不活性ガスを流す。不活性ガスは、MFC241gにより流量調整され、ノズル249bのガス供給孔250bを介して原料ガスと一緒に処理室201内の処理領域へ供給され、排気口209a、排気ポート211および変換用配管212を介して排気管231から排気される。また同時に不活性ガスは、ノズル249a,249cのガス供給孔250a,250cを介して処理室201内の処理領域へ供給され、排気口209a、排気ポート211および変換用配管212を介して排気管231から排気される。このとき、コントローラ121は、第1圧力を目標圧力とする定圧制御を行う。
【0058】
ここで、原料ガスとしては、例えば、シリコン(Si)含有ガスを用いることができる。具体的には、ヘキサクロロジシラン(SiCl、略称:HCDS)ガスを用いることができる。
【0059】
(S642:原料ガス排気)
第1の層が形成された後、バルブ243bを閉じ、原料ガスの供給を停止するとともに、APCバルブ244を全開にする制御を行う。これにより、処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくは第1の層の形成に寄与した後の原料ガスを処理室201内から排出する。なお、バルブ243gを開いたままとして、処理室201内へ供給された不活性ガスに、残留ガスをパージさせてもよい。ノズル249bからのパージガスの流量は、排気経路中で低蒸気圧ガスの分圧を飽和蒸気圧よりも下げるように、或いは、反応管203内での流速が拡散速度に打ち勝つ速度になるように設定される。
【0060】
(S643:酸化ガス供給)
ステップS642が終了した後、バルブ243dを開き、ガス供給管232d内に、酸化ガスを流し、処理室201内のウエハ200、すなわち、ウエハ200上に形成された第1の層に対して酸化ガスを供給する。酸化ガスは、MFC241dにより流量調整され、ノズル249aのガス供給孔250aを介して処理室201内の処理領域へ供給され、排気口209a、排気ポート211および変換用配管212を介して排気管231から排気される。また同時にバルブ243fを開き、ガス供給管232f内へ不活性ガスを流す。不活性ガスは、MFC241fにより流量調整され、ノズル249aのガス供給孔250aを介して酸化ガスと一緒に処理室201内の処理領域へ供給され、排気口209a、排気ポート211および変換用配管212を介して排気管231から排気される。また同時に不活性ガスは、ノズル410,430のガス供給孔410a,430aを介して処理室201内の処理領域へ供給され、排気口209a、排気ポート211および変換用配管212を介して排気管231から排気される。このとき、コントローラ121は、第2圧力を目標圧力とする定圧制御を行う。
【0061】
ここで、酸化ガスとしては、例えば酸素(O)で構成されるガスである。好ましくは、酸素単体で構成されるガスである。具体的には、酸素(O)ガスを用いることができる。
【0062】
(S644:酸化ガス排気)
酸化ガスの供給を開始してから所定時間経過後、バルブ243dを閉じ、酸化ガスの供給を停止するとともに、目標圧力を0とする定圧制御(つまり全開制御)を行う。これにより、処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくは第1の層の形成に寄与した後の酸化ガスを処理室201内から排出する。このとき、ステップS642と同様に、所定量の不活性ガスをパージガスとして処理室201内へ供給することができる。
【0063】
(S645:窒化ガス供給)
ステップS644が終了した後、バルブ243aを開き、ガス供給管232d内に、窒化ガスを流し、処理室201内のウエハ200、すなわち、ウエハ200上に形成された第1の層に対して窒化ガスを供給する。窒化ガスは、MFC241aにより流量調整され、ノズル249aのガス供給孔250aを介して処理室201内の処理領域へ供給され、排気口209a、排気ポート211および変換用配管212を介して排気管231から排気される。また同時にバルブ243fを開き、ガス供給管232f内へ不活性ガスを流す。不活性ガスは、MFC241fにより流量調整され、ノズル249aのガス供給孔250aを介して窒化ガスと一緒に処理室201内の処理領域へ供給され、排気口209a、排気ポート211および変換用配管212を介して排気管231から排気される。また同時に不活性ガスは、ノズル410,430のガス供給孔410a,430aを介して処理室201内の処理領域へ供給され、排気口209a、排気ポート211および変換用配管212を介して排気管231から排気される。このとき、コントローラ121は、第3圧力を目標圧力とする定圧制御を行う。第1圧力や第2圧力、第3圧力は、一例として100~5000Paである。
【0064】
ここで、窒化ガスとしては、例えば、アンモニア(NH)ガスを用いることができる。
【0065】
なお、本明細書における「100~5000Pa」のような数値範囲の表記は、下限値および上限値がその範囲に含まれることを意味する。よって、例えば、「100~5000Pa」とは「100Pa以上5000Pa以下」を意味する。他の数値範囲についても同様である。
【0066】
(S644:窒化ガス排気)
窒化ガスの供給を開始してから所定時間経過後、バルブ243aを閉じ、窒化ガスの供給を停止するとともに、目標圧力を0とする定圧制御(つまり全開制御)を行う。これにより、処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくは第1の層の形成に寄与した後の窒化ガスを処理室201内から排出する。このとき、ステップS642と同様に、所定量の不活性ガスをパージガスとして処理室201内へ供給することができる。原料ガス排気、酸化ガス排気若しくは窒化ガス排気における到達圧力は、100Pa以下であり、好ましくは10~50Paである。処理室201内の圧力は供給時と排気時とで10倍以上異なりうる。
【0067】
(S647:所定回数実施)
上述したS641からS647のステップを時間的にオーバーラップさせることなく順次行うサイクルを所定回数(n回、nは1以上の整数)行うことにより、ウエハ200上に、所定組成および所定膜厚の膜を形成することができる。例えば、原料ガスとしてHCDSガス、酸化ガスとしてOガスおよび窒化ガスとしてNHガスを用いるとシリコン酸窒化膜(SiON膜)が形成される。
【0068】
(ステップS65:パージ工程)
成膜工程が終了した後、ノズル249a~249cのそれぞれからパージガスとしての不活性ガスを処理室201内へ供給し、排気口209a、排気ポート211および変換用配管212を介して排気管231から排気する。これにより、処理室201内がパージされ、処理室201内に残留するガスや副生成物等が処理室201内から除去される(アフターパージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0069】
(S67:ボートアンロード、S68:ウエハディスチャージ)
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降され、マニホールド209の下端が開口される。そして、処理済のウエハ200が、ボート217に支持された状態でマニホールド209の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)される。ボートアンロードの後は、シャッタ219sが移動させられ、マニホールド209の下端開口がOリング220cを介してシャッタ219sによりシールされる(シャッタクローズ)。処理済のウエハ200は、反応管203の外部に搬出された後、ボート217より取り出される(ウエハディスチャージ)。
【0070】
(3)本態様による効果
本態様によれば、以下に示す1つ又は複数の効果が得られる。
【0071】
(a)変換用配管212の管103は多面体の形状に形成された内部空間を有し、略長方形の第1開口101aと略円形の第2開口102aとを流体連通させる。これにより、形状変換ができる。
【0072】
(b)変換用配管212の管103は多面体の形状に形成された内部空間を有し、略長方形の第1開口101aと略円形の第2開口102aとを流体連通させる。これにより、角型管から丸型管に変換する際の段差を少なくし、角部におけるガス流れの淀みを無くすことにより、角部への副生成物の堆積を防ぎ、PC発生を抑えられることが可能となる。
【0073】
(c)管103が多面体で構成されるため、複雑な曲面で構成する場合に比べ製作が容易になる。
【0074】
(d)管103が多面体で構成されるため、変換に必要な管の長さを短くできる。
【0075】
(e)変換用配管212の第1接続部101は相手側の開口(排気ポート211の開口)と着脱可能に接続される。これにより、マニホールド209と一体ではなく分離することができるので、マニホールド209の着脱の障害にならない。
【0076】
(f)管103は、第1開口101aに垂直にその中心を通る第1直線(管軸)111と第2開口102aに垂直にその中心を通る第2直線(管軸)112とは一致しないよう構成される。これにより、オフセット変換ができる。
【0077】
(g)第2接続部102の開口102dは第1開口101aの面積以上の面積を有し、管103は、第1開口101aに接続する開いた面103bと、第2接続部102の開口102dに接続する開いた面103cとの間で、流路断面積を連続的に変化させる。これにより、径変換ができる。
【0078】
(h)管103は、1つの配管で形状変換、径変換、オフセット変換を同時に行うことができる。これにより、複数の部材により段階的に変換する場合に比べ、流路の凹凸が少なくなりコンダクタンスを低減できる。また、配管加熱が低温になりやすい接続部が少なくなり、副生成物の堆積を低減できる。また、デッドスペースが少なくなる。
【0079】
(i)管103は径変換ができるので、排気管231の径を拡大することができる。これにより、排気効率が向上するので、処理室201内に流す原料ガスの流量を増加することができる。これにより、デバイス構造の3次元化やパターンの微細化が進み、より高い膜均一性が求められている微細化パターンのデバイスや3次元構造のデバイスの成膜処理が可能になる。
【0080】
<本開示の他の態様>
以上、本開示の態様を具体的に説明した。しかしながら、本開示は上述の態様に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0081】
上述の態様では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本開示は上述の態様に限定されず、例えば、一度に1枚または数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用できる。また、上述の態様では、ホットウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本開示は上述の態様に限定されず、コールドウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用できる。
【0082】
これらの基板処理装置を用いる場合においても、上述の態様における処理手順、処理条件と同様な処理手順、処理条件にて各処理を行うことができ、上述の態様及び変形例と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0083】
101・・・第1接続部
101a・・・第1開口
102・・・第2接続部
102a・・・第2開口
103・・・管
103a・・・内部空間
212・・・変換用配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7