(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-12
(45)【発行日】2025-02-20
(54)【発明の名称】ネガ型感光性樹脂組成物及び硬化膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/032 20060101AFI20250213BHJP
G03F 7/031 20060101ALI20250213BHJP
G03F 7/38 20060101ALI20250213BHJP
C08G 63/688 20060101ALI20250213BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20250213BHJP
【FI】
G03F7/032 502
G03F7/031
G03F7/38 511
C08G63/688
G03F7/20 521
(21)【出願番号】P 2020133721
(22)【出願日】2020-08-06
【審査請求日】2023-05-15
(31)【優先権主張番号】P 2019218735
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】引田 二郎
(72)【発明者】
【氏名】染谷 和也
(72)【発明者】
【氏名】塩田 大
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-531311(JP,A)
【文献】国際公開第2016/010036(WO,A1)
【文献】特開2019-032512(JP,A)
【文献】特開2017-173765(JP,A)
【文献】特開2017-223954(JP,A)
【文献】特開2016-218353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/032
G03F 7/031
G03F 7/38
C08G 63/688
G03F 7/20
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(a1)で表される構成単位を有する樹脂(A)と、下記式(b1)で表される光重合開始剤(B)とを含む、ネガ型感光性樹脂組成物。
【化1】
(式(a1)中、R
1a及びR
2aは、それぞれ独立に、炭素原子数1以上20以下でありヘテロ原子を含んでいてもよいアルキル基、炭素原子数6以上20以下でありヘテロ原子を含んでいてもよいアリール基、-R
4aSR
5a又は-R
6aC(=O)R
7aを表し、
R
3aは、炭素原子数1以上20以下でありヘテロ原子を含んでいてもよい4価の芳香族炭化水素基又は脂環族炭化水素基を表し、
Aは、下記式(a2)で表される2価の基を表し、
j1及びj2は、それぞれ独立に、1以上6以下の整数を表し、
R
4aは、単結合、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基、又は炭素原子数6以上15以下のアリーレン基を表し、
Sは硫黄原子を表し、
R
5aは、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、又は炭素原子数6以上15以下のアリール基を表し、
R
6aは、単結合、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基、又は炭素原子数6以上10以下のアリーレン基を表し、
R
7aは、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数1以上10以下のアルケニル基、又は炭素原子数6以上15以下のアリール基を表す。)
【化2】
(式(a2)中、
R
8a及びR
9aは、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキル基を表し、
R
10a及びR
11aは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、
k1及びk2は、それぞれ独立に、0以上4以下の整数を表し、
m1及びm2は、それぞれ独立に、0以上3以下の整数を表す。)
【化3】
(式(b1)中、
R
1bは、水素原子、ニトロ基又は1価の有機基を表し、
R
2b及びR
3bは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子を表し、R
2bとR
3bとは相互に結合して環を形成してもよく、
R
4bは1価の有機基を表し、
R
5bは、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上11以下のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基を表し、
pは、0以上4以下の整数であり、
qは、0又は1である。)
【請求項2】
さらに、密着増強剤(C)を含む、請求項1に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記密着増強剤(C)の含有量は、樹脂(A)100質量部を基準として、0.01~10質量部である、請求項2に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項4】
さらに、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項
1~4のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物の硬化物からなる、硬化膜。
【請求項6】
請求項
1~4のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布して塗布膜を形成する工程と、
前記塗布膜を露光する工程と、を含む、硬化膜の製造方法。
【請求項7】
前記塗布膜を露光する工程の後、前記露光後の前記塗布膜を加熱する工程を含む、
請求項6に記載の硬化膜の製造方法。
【請求項8】
前記塗布膜を露光する工程は、塗布膜を、位置選択的に露光する工程であり、
露光後の前記塗布膜を現像する工程を、さらに含む、
請求項6に記載の硬化膜の製造方法。
【請求項9】
前記塗布膜を露光する工程の後、前記現像する工程の前に、前記露光後の前記塗布膜を加熱する工程を含む、
請求項8に記載の硬化膜の製造方法。
【請求項10】
前記露光後の前記塗布膜を加熱する工程における加熱温度は、85℃以上100℃以下である、請求項
7又は9に記載の硬化膜の製造方法。
【請求項11】
前記基板が、フレキシブル性を有する基板である、請求項
6~10のいずれか1項に記載の硬化膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネガ型感光性樹脂組成物と、当該ネガ型感光性樹脂組成物を用いる硬化膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜トランジスタ型液晶表示装置(TFT-LCD)、有機発光素子(OLED)、タッチスクリーンパネル(TSP)等に適用されるディスプレイ用感光性樹脂組成物は、UV(紫外線)の照射によって硬化反応や光分解反応を起こしてパターンを形成する方法により、ポジ型感光材とネガ型感光材に分けられる。ポジ型感光材では、UV照射された領域で光分解反応が起き現像液に溶解することで、パターンが形成される。ネガ型感光材では、UV照射された領域は光硬化反応が起き現像液に溶けず、UV照射されていない領域は現像液に溶解することで、パターンが形成される。
【0003】
感光性樹脂組成物は、工程に適用される熱処理に対する耐性や、化学的エッチング及びガスエッチング工程に対する耐性を確保することが非常に重要であり、特に最近では、ディスプレイの光効率を増加させるために、高い透過度及び高屈折の特性が重要視されている。感光性樹脂組成物の高耐熱性、耐化学性(エッチング耐性)、高透過性及び高屈折の特性を確保するためには、何よりも感光材を構成する組成物の中でバインダーの構造及び特性が非常に重要である。このような理由から、感光性樹脂組成物の代表的なバインダー樹脂として使用されるアクリル系感光性樹脂をはじめ、ノボラック樹脂系、ポリイミドなどのバインダー樹脂に、感光性を付与することについて、研究が活発に行われてきた。しかし、従来使用されているアクリル系感光性樹脂及びノボラック樹脂などを用いた感光性樹脂組成物は、300℃以上の高温熱処理工程での耐熱性が悪いため、ガス放出(outgassing)による不純物が発生して、ディスプレイの汚染が深刻である。なお、高温熱処理によって透過度が低下して、ディスプレイの光効率特性を劣化させるという問題がある。
【0004】
例えば、特許文献1には、アクリル系化合物とアクリレート化合物の共重合体をバインダー樹脂として使用し、多官能性モノマーとしてアクリレート系化合物を使用して製造された感光性樹脂組成物が開示されている。しかし、露光部と非露光部間の溶解度差が不十分であるため現像特性に優れず、現像過程中に残されているはずのバインダー樹脂が現像溶液に一部溶解して10μm以下の微細パターンが得られ難いという問題がある。
【0005】
また、特許文献2及び特許文献3には、ポリイミド前駆体としてのポリアミック酸と溶解抑制剤であるナフトキノンジアジド化合物とを含有させて熱安定性を高めた感光性フォトレジスト組成物が開示されているが、高解像度のパターンを形成するに当たり、露光部と非露光部間の溶解速度の差が不十分であるという問題がある。
【0006】
さらに、感光性樹脂組成物は、下部層及び上部層との密着性が良好であり、使用目的に合わせた様々な工程条件下で高解像度の微細パターンを形成できる広い工程マージンを有する必要があり、感光材として高感度特性が要求されるので、このような特性を向上させるための研究も盛んに行われている。
【0007】
上述した問題を解決するための技術として、特許文献4には、耐熱性に優れ、高透過、高屈折の特性を有する特定構造の重合体を、バインダー樹脂として用いたネガ型感光性樹脂組成物やポジ型感光性樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第4139391号
【文献】特開昭52-13315号公報
【文献】特開昭62-135824号公報
【文献】特開2018-531311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、ディスプレイを作製するにあたり、感光性樹脂組成物を用いて感光性樹脂層を形成した後に、異なる層を積層する場合がある。例えば、感光性樹脂組成物を用いて形成された高屈折率層上に低屈折率層を積層することにより、光取出し効率を向上させる光取出し膜を製造する場合がある。このような積層プロセスは、樹脂等の成分を溶剤に溶解した組成物を用いて行われるが、低屈折率層が積層される高屈折率層が溶剤への耐性を有していない場合は、積層プロセスによって高屈折率層の膜厚が担保できないという懸念や、高屈折率層の屈折率等の特性が低下するという懸念がある。
【0010】
しかしながら、特許文献4に記載されたネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合、形成される感光性樹脂層(硬化膜)の耐溶剤性が悪く、このため、上記積層プロセスを適用すると所望の感光性樹脂層を実現できないという問題がある。
【0011】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであって、高い溶剤耐性を有する硬化膜を形成することができるネガ型感光性樹脂組成物、当該ネガ型感光性樹脂組成物の硬化物からなる硬化膜、及び、前述のネガ型感光性樹脂組成物を用いる硬化膜の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、特定構造の樹脂(A)と、特定構造の光重合開始剤(B)とを含むネガ型感光性樹脂組成物により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【0013】
本発明の第1の態様は、下記式(a1)で表される構成単位を有する樹脂(A)と、下記式(b1)で表される光重合開始剤(B)とを含む、ネガ型感光性樹脂組成物。
【化1】
(式(a1)中、R
1a及びR
2aは、それぞれ独立に、炭素原子数1以上20以下でありヘテロ原子を含んでいてもよいアルキル基、炭素原子数6以上20以下でありヘテロ原子を含んでいてもよいアリール基、-R
4aSR
5a又は-R
6aC(=O)R
7aを表し、
R
3aは、炭素原子数1以上20以下でありヘテロ原子を含んでいてもよい4価の芳香族炭化水素基又は脂環族炭化水素基を表し、
Aは、下記式(a2)で表される2価の基を表し、
j1及びj2は、それぞれ独立に、1以上6以下の整数を表し、
R
4aは、単結合、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基、又は炭素原子数6以上15以下のアリーレン基を表し、
Sは硫黄原子を表し、
R
5aは、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、又は炭素原子数6以上15以下のアリール基を表し、
R
6aは、単結合、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基、又は炭素原子数6以上10以下のアリーレン基を表し、
R
7aは、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数1以上10以下のアルケニル基、又は炭素原子数6以上15以下のアリール基を表す。)
【化2】
(式(a2)中、
R
8a及びR
9aは、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキル基を表し、
R
10a及びR
11aは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、
k1及びk2は、それぞれ独立に、0以上4以下の整数を表し、
m1及びm2は、それぞれ独立に、0以上3以下の整数を表す。)
【化3】
(式(b1)中、
R
1bは、水素原子、ニトロ基又は1価の有機基を表し、
R
2b及びR
3bは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子を表し、R
2bとR
3bとは相互に結合して環を形成してもよく、
R
4bは1価の有機基を表し、
R
5bは、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上11以下のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基を表し、
pは、0以上4以下の整数であり、
qは、0又は1である。)
【0014】
本発明の第2の態様は、第1の態様にかかるネガ型感光性樹脂組成物の硬化物からなる、硬化膜である。
【0015】
本発明の第3の態様は、第1の態様にかかるネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布して塗布膜を形成する工程と、
前記塗布膜を露光する工程と、を含む、硬化膜の製造方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、高い溶剤耐性を有する硬化膜を形成することができるネガ型感光性樹脂組成物、当該ネガ型感光性樹脂組成物の硬化物からなる硬化膜、及び、前述のネガ型感光性樹脂組成物を用いる硬化膜の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
≪ネガ型感光性樹脂組成物≫
ネガ型感光性樹脂組成物は、下記式(a1)で表される構成単位を有する樹脂(A)と、下記式(b1)で表される光重合開始剤(B)とを含む。
ネガ型感光性樹脂組成物は、必要に応じて、密着増強剤(C)、光重合性化合物(D)、溶剤(S)や、その他の成分を含んでいてもよい。
【0018】
以下、ネガ型感光性樹脂組成物が含む、必須又は任意の成分と、ネガ型感光性樹脂組成物の製造方法とについて説明する。
【0019】
<樹脂(A)(バインダー樹脂)>
樹脂(A)は、下記式(a1)で表される構成単位を有する。
【化4】
(式(a1)中、R
1a及びR
2aは、それぞれ独立に、炭素原子数1以上20以下でありヘテロ原子を含んでいてもよいアルキル基、炭素原子数6以上20以下でありヘテロ原子を含んでいてもよいアリール基、-R
4aSR
5a又は-R
6aC(=O)R
7aを表し、
R
3aは、炭素原子数1以上20以下でありヘテロ原子を含んでいてもよい4価の芳香族炭化水素基又は脂環族炭化水素基を表し、
Aは、下記式(a2)で表される2価の基を表し、
j1及びj2は、それぞれ独立に、1以上6以下の整数を表し、
R
4aは、単結合、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基、又は炭素原子数6以上15以下のアリーレン基を表し、
Sは硫黄原子を表し、
R
5aは、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、又は炭素原子数6以上15以下のアリール基を表し、
R
6aは、単結合、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基、又は炭素原子数6以上10以下のアリーレン基を表し、
R
7aは、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数1以上10以下のアルケニル基、又は炭素原子数6以上15以下のアリール基を表す。)
【化5】
(式(a2)中、
R
8a及びR
9aは、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキル基を表し、
R
10a及びR
11aは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、
k1及びk2は、それぞれ独立に、0以上4以下の整数を表し、
m1及びm2は、それぞれ独立に、0以上3以下の整数を表す。)
【0020】
上記式(a2)の構造から確認できるように、樹脂(A)は、その構成単位中に、ビスフェニルフルオレン構造を基本構造として有する。
【0021】
式(a1)中、ヘテロ原子は、炭素原子と水素原子を除いた元素を意味する。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子が挙げられる。これらのヘテロ原子は、複数含まれていてもよい。ヘテロ原子は、好ましくは硫黄原子であり、この場合、耐熱性、耐化学性、高透過性、高屈折および光学特性に特に優れた効果がある。
【0022】
式(a1)中、R1a及びR2aとしてのヘテロ原子を含んでいてもよいアルキル基の炭素原子数は、1以上20以下であり、好ましくは2以上15以下であり、より好ましくは2以上10以下である。ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基等が挙げられる。
R1a及びR2aとしてのヘテロ原子を含んでいてもよいアリール基の炭素原子数は、6以上20以下であり、好ましくは6以上15以下であり、より好ましくは6以上10以下である。ヘテロ原子を含んでいてもよいアリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、フリル基、チエニル基等が挙げられる。
【0023】
R4aとしての炭素原子数1以上10以下のアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。
R4aとしての炭素原子数6以上15以下のアリーレン基の具体例としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
R5aとしての炭素原子数1以上10以下のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基等が挙げられる。
R5aとしての炭素原子数6以上15以下のアリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
R1a及びR2aが、-R4aSR5aであると、耐熱性、高透過及び高屈折の特性に特に優れた効果がある。
【0024】
R6aとしての炭素原子数1以上10以下のアルキレン基の具体例としては、R4aについて例示したアルキレン基と同様の基が挙げられる。
R6aとしての炭素原子数6以上10以下のアリーレン基の具体例としては、R4aについて例示したアリーレン基と同様の基が挙げられる。
R7aとしての炭素原子数1以上10以下のアルキル基の具体例としては、R5aについて例示したアルキル基と同様の基が挙げられる。
R7aとしての炭素原子数6以上15以下のアリール基の具体例としては、R5aについて例示したアリール基と同様の基が挙げられる。
R7aとしての炭素原子数1以上10以下のアルケニル基の具体例としては、ビニル基、及びアリル基等が挙げられる。
【0025】
R3aとしてのヘテロ原子を含んでいてもよい4価の脂環族炭化水素基の炭素原子数は、1以上20以下であり、好ましくは4以上10以下であり、より好ましくは4以上6以下である。
R3aとしてのヘテロ原子を含んでいてもよい4価の芳香族炭化水素基の炭素原子数は、1以上20以下であり、好ましくは6以上15以下であり、より好ましくは6以上12以下である。
このようなR3aを有する構造であると、耐熱性、高透過及び高屈折の特性に優れた効果がある。
R3aの具体例としては、後述するテトラカルボン酸二無水物に由来する、4価の基が挙げられる。
【0026】
j1及びj2は、それぞれ独立に、1以上6以下の整数であり、好ましくは1以上3以下の整数であり、より好ましくは1以上2以下の整数である。
【0027】
式(a2)中、R8a及びR9aは、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基(-OH)、メルカプト基(-SH)、アミノ基(-NH2)、ニトロ基(-NO2)、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキル基である。
R8a及びR9aとしてのハロゲン原子の具体例としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
R8a及びR9aとしてのアルキル基は、例えば、炭素原子数1以上10以下のアルキル基である。その具体例としては、R5aについて例示したアルキル基と同様の基が挙げられる。
R8a及びR9aは、水素原子であることが好ましい。
【0028】
R10a及びR11aとしてのアルキル基は、例えば炭素原子数1以上10以下のアルキル基である。その具体例としては、R5aについて例示したアルキル基と同様の基が挙げられる。
R10a及びR11aとしてのアリール基は、例えば炭素原子数6以上15以下のアリール基である。その具体例としては、R5aについて例示したアリール基と同様の基が挙げられる。
【0029】
k1及びk2は、それぞれ独立に、0以上4以下の整数であり、好ましくは0以上2以下の整数である。
m1及びm2は、それぞれ独立に、0以上3以下の整数であり、好ましくは1以上2以下の整数である。
【0030】
樹脂(A)が有する式(a1)で表される構成単位の数は特に限定されない。樹脂(A)が有する式(a1)で表される構成単位数は、例えば1以上30以下の整数、好ましくは1以上10以下の整数である。この範囲内で耐熱性、高透過及び高屈折の特性に特に優れた効果がある。
【0031】
樹脂(A)の質量平均分子量は、例えば、1,000~100,000g/mol、好ましくは2,000~50,000g/mol、より好ましくは3,000~10,000g/molであり得る。この範囲内で耐熱性に優れており、感光材の現像速度及び現像液による現像が容易であり、これによりパターン形成が容易となり、高い残膜率を示すという効果がある。
【0032】
また、樹脂(A)の分散度(質量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、例えば、1.0~5.0の範囲、好ましくは1.5~4.0の範囲であり得る。この範囲内で耐熱性に優れており、感光材の現像速度及び現像液による現像が容易であり、これによりパターン形成が容易となり、高い残膜率を示すという効果がある。
【0033】
なお、本明細書における質量平均分子量や、数平均分子量、分散度は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)法により測定することができる。
【0034】
このような特定の樹脂(A)を詳しくは後述の特定の光重合開始剤(B)と共に含むネガ型感光性樹脂組成物とすることにより、後述する実施例に示すように、高い耐溶剤性を有する硬化膜を形成することができる。また、解像性にも優れたネガ型感光性樹脂組成物とすることができる。また、樹脂(A)として、高屈折率を有する樹脂や、耐熱性、耐化学性、高透過性等の高機能性を有する樹脂を選択し得るため、樹脂(A)を含むネガ型感光性樹脂組成物は、高屈折率を有する硬化膜や、耐熱性、耐化学性、高透過性等の高機能性を有する硬化膜を形成することができる。
【0035】
樹脂(A)は、例えば、特許文献4に記載の方法により製造することができる。
具体的には、樹脂(A)は、下記式(1)で表される化合物から下記式(2)で表されるヒドロキシ基を含む化合物(モノマー)を合成した後、テトラカルボン酸二無水物と重合反応させることにより、合成することができる。
【化6】
(式(1)中、R
8a~R
11a、k1、k2、m1及びm2は、それぞれ式(a2)におけるR
8a~R
11a、k1、k2、m1及びm2と同様であり、R
12a及びR
13aは、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、ヘテロ原子を含む炭素原子数1以上20以下の脂肪族アルキル基または脂環族アルキル基、またはヘテロ原子を含む炭素原子数6以上20以下のアリール基を表す。)
【化7】
(式(2)中、R
8a~R
11a、k1、k2、m1及びm2は、それぞれ式(a2)におけるR
8a~R
11a、k1、k2、m1及びm2と同様であり、R
1a、R
2a、j1及びj2は、それぞれ式(a1)におけるR
1a、R
2a、j1及びj2と同様である。)
【0036】
式(1)中、ヘテロ原子は、炭素原子と水素原子を除いた元素を意味する。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子が挙げられる。これらのヘテロ原子は、複数含まれていてもよい。例えば、R12a及びR13aは、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、ニトロ基や、シアノ基の形態で、ヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0037】
R12a及びR13aとしてのヘテロ原子を含む脂肪族アルキル基又は脂環族アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下であり、好ましくは1以上10以下であり、より好ましくは3以上8以下であり、特に好ましくは3以上5以下である。ヘテロ原子を含む脂肪族アルキル基又は脂環族アルキル基の具体例としては、炭素原子数1以上5以下の、ヒドロキシアルキル基又はチオアルキル基が挙げられる。
R12a及びR13aとしてのヘテロ原子を含むアリール基の炭素原子数は、6以上20以下であり、好ましくは6以上15以下であり、より好ましくは6以上10以下であり、特に好ましくは7以上10以下である。
R12a及びR13aは、ヒドロキシ基であることが好ましい。
【0038】
テトラカルボン酸二無水物として、下記式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0039】
【化8】
(式(3)中、R
3aは、式(a1)におけるR
3aと同様である。)
【0040】
テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン酸二無水物、9,9-ビス{4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル}フルオレン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6-ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物等の芳香族環のテトラカルボン酸二無水物、または1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物等の脂環族のテトラカルボンカルボン酸二無水物、または3,3',4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0041】
重合反応は、例えば、2時間~24時間、または4時間~12時間の間に100~130℃、または110~120℃で実施することができる。
【0042】
テトラカルボン酸二無水物は、例えば、上記式(2)で表されるヒドロキシ基を含む化合物100質量部を基準として、5~40質量部、10~30質量部、または10~20質量部で用いてもよい。
【0043】
樹脂(A)の製造において、例えば、上述の重合反応開始後、末端封止剤を加えて反応させてもよい。末端封止剤により樹脂(A)の質量平均分子量のコントロールが容易となる。
この末端封止剤の反応(末端封止反応)は、例えば、30分~4時間、または1時間~3時間の間に100~130℃、または110~120℃で実施することができる。
【0044】
前記末端封止剤は、例えば、上記式(2)で表されるヒドロキシ基を含む化合物100質量部を基準として2~10質量部、2~5質量部、または3~5質量部で投入されてもよい。
【0045】
末端封止剤としては、有機酸、有機酸無水物、アミド酸が挙げられる。
末端封止剤としては、芳香族カルボン酸無水物が好ましく、具体例としてはフタル酸無水物が挙げられる。芳香族カルボン酸無水物を末端封止剤として用いることにより、樹脂(A)は、耐熱性、高透過及び高屈折の特性に、特に優れた効果がある。
【0046】
末端封止剤を用いた場合は、樹脂(A)の末端構造は、末端封止剤に由来する構造になり得る。
また、樹脂(A)の末端構造は、上記式(2)で表されるヒドロキシ基を含む化合物やテトラカルボン酸二無水物等の原料のうち、過剰に加えられた原料に由来する構造になり得る。
より具体的には、樹脂(A)の末端構造は、例えば、以下の構造1~構造4であり得、樹脂(A)の質量平均分子量を適宜コントロールできる。樹脂(A)を構成する樹脂の分子鎖における複数の末端の構造は、互いに異なっていてもよい。
構造4についての下記OXは、構造3における水酸基と、上記の末端封止剤とが反応して生成する基である。以下の末端構造の中では、現像特性の点で、構造4が好ましい。構造4としては、フタル酸無水物やテトラヒドロフタル酸無水物のようなジカルボン酸無水物等の有機酸無水物に由来するOXを有する構造が好ましい。
構造1:式(a1)で表される構造中の左端のカルボニルオキシ基に水素原子が結合した構造
構造2:構造1中の複数のカルボキシ基のうちの2つがカルボン酸無水物基となった構造
構造3:-CHR2a-(CH2)j2-O-A-O-(CH2)j1-CH(OH)-R1aで表される構造
構造4:-CHR2a-(CH2)j2-O-A-O-(CH2)j1-CH(OX)-R1aで表される構造
【0047】
<光重合開始剤(B)>
ネガ型感光性樹脂組成物に含まれる光重合開始剤(B)は、下記式(b1)で表される光重合開始剤である。光重合開始剤とは、可視光線、紫外線、遠紫外線、荷電粒子線、X線等により、上述の樹脂(A)の重合を開始し得る活性種を発生する成分を意味する。
【化9】
(式(b1)中、
R
1bは、水素原子、ニトロ基又は1価の有機基を表し、
R
2b及びR
3bは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子を表し、R
2bとR
3bとは相互に結合して環を形成してもよく、
R
4bは1価の有機基を表し、
R
5bは、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上11以下のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基を表し、
pは、0以上4以下の整数であり、
qは、0又は1である。)
【0048】
式(b1)中、R1bは、水素原子、ニトロ基又は1価の有機基である。R1bは、式(b1)中のフルオレン環上で、-(CO)q-で表される基に結合する6員芳香環とは、異なる6員芳香環に結合する。式(b1)中、R1bのフルオレン環に対する結合位置は特に限定されない。式(b1)で表される化合物が1以上のR1bを有する場合、式(b1)で表される化合物の合成が容易であること等から、1以上のR1bのうちの1つがフルオレン環中の2位に結合するのが好ましい。R1bが複数である場合、複数のR1bは同一であっても異なっていてもよい。
【0049】
R1bが有機基である場合、R1bは、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から適宜選択される。R1bが有機基である場合の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン-1-イル基、及びピペラジン-1-イル基等が挙げられる。
【0050】
R1bがアルキル基である場合、アルキル基の炭素原子数は、1~20が好ましく、1~6がより好ましい。また、R1bがアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。R1bがアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、R1bがアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
【0051】
R1bがアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素原子数は、1~20が好ましく、1~6がより好ましい。また、R1bがアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。R1bがアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec-ペンチルオキシ基、tert-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec-オクチオキシル基、tert-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、R1bがアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
【0052】
R1bがシクロアルキル基又はシクロアルコキシ基である場合、シクロアルキル基又はシクロアルコキシ基の炭素原子数は、3~10が好ましく、3~6がより好ましい。R1bがシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。R1bがシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
【0053】
R1bが飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、2~21が好ましく、2~7がより好ましい。R1bが飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n-ブタノイル基、2-メチルプロパノイル基、n-ペンタノイル基、2,2-ジメチルプロパノイル基、n-ヘキサノイル基、n-ヘプタノイル基、n-オクタノイル基、n-ノナノイル基、n-デカノイル基、n-ウンデカノイル基、n-ドデカノイル基、n-トリデカノイル基、n-テトラデカノイル基、n-ペンタデカノイル基、及びn-ヘキサデカノイル基等が挙げられる。R1bが飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n-ブタノイルオキシ基、2-メチルプロパノイルオキシ基、n-ペンタノイルオキシ基、2,2-ジメチルプロパノイルオキシ基、n-ヘキサノイルオキシ基、n-ヘプタノイルオキシ基、n-オクタノイルオキシ基、n-ノナノイルオキシ基、n-デカノイルオキシ基、n-ウンデカノイルオキシ基、n-ドデカノイルオキシ基、n-トリデカノイルオキシ基、n-テトラデカノイルオキシ基、n-ペンタデカノイルオキシ基、及びn-ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
【0054】
R1bがアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2~20が好ましく、2~7がより好ましい。R1bがアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n-ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec-ブチルオキシカルボニル基、tert-ブチルオキシカルボニル基、n-ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec-ペンチルオキシカルボニル基、tert-ペンチルオキシカルボニル基、n-ヘキシルオキシカルボニル基、n-ヘプチルオキシカルボニル基、n-オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec-オクチオキシルカルボニル基、tert-オクチルオキシカルボニル基、n-ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n-デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0055】
R1bがフェニルアルキル基である場合、フェニルアルキル基の炭素原子数は、7~20が好ましく、7~10がより好ましい。また、R1bがナフチルアルキル基である場合、ナフチルアルキル基の炭素原子数は、11~20が好ましく、11~14がより好ましい。R1bがフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、及び4-フェニルブチル基が挙げられる。R1bがナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α-ナフチルメチル基、β-ナフチルメチル基、2-(α-ナフチル)エチル基、及び2-(β-ナフチル)エチル基が挙げられる。R1bが、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、R1bは、フェニル基、又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
【0056】
R1bがヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、縮合する環の数は3以下である。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。R1bがヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
【0057】
R1bがヘテロシクリルカルボニル基である場合、ヘテロシクリルカルボニル基に含まれるヘテロシクリル基は、R1bがヘテロシクリル基である場合と同様である。
【0058】
R1bが1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数3~10のシクロアルキル基、炭素原子数2~21の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7~20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11~20のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、R1bと同様である。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、n-ペンチルアミノ基、n-ヘキシルアミノ基、n-ヘプチルアミノ基、n-オクチルアミノ基、n-ノニルアミノ基、n-デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n-ブタノイルアミノ基、n-ペンタノイルアミノ基、n-ヘキサノイルアミノ基、n-ヘプタノイルアミノ基、n-オクタノイルアミノ基、n-デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α-ナフトイルアミノ基、及びβ-ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
【0059】
R1bに含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、炭素原子数2~7の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2~7のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2~7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1~6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1~6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。R1bに含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1~4が好ましい。R1bに含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0060】
以上説明した基の中でも、感度が向上する傾向がある点で、R1bとしては、ニトロ基、又はR6b-CO-で表される基が好ましい。R6bは、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。R6bとして好適な基の例としては、炭素原子数1~20のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。R6bとして、これらの基の中では、2-メチルフェニル基、チオフェン-2-イル基、及びα-ナフチル基が特に好ましい。
また、透明性が良好となる傾向がある点で、R1bとしては水素原子が好ましい。なお、R1bが水素原子であり且つR4bが後述の式(R4-2)で表される基であると透明性はより良好となる傾向がある。
【0061】
式(b1)中、R2b及びR3bは、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子である。R2bとR3bとは相互に結合して環を形成してもよい。これらの基の中では、R2b及びR3bとして、置換基を有してもよい鎖状アルキル基が好ましい。R2b及びR3bが置換基を有してもよい鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基は直鎖アルキル基でも分岐鎖アルキル基でもよい。
【0062】
R2b及びR3bが置換基を持たない鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1~20が好ましく、1~10がより好ましく、1~6が特に好ましい。R2b及びR3bが鎖状アルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、R2b及びR3bがアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
【0063】
R2b及びR3bが置換基を有する鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1~20が好ましく、1~10がより好ましく、1~6が特に好ましい。この場合、置換基の炭素原子数は、鎖状アルキル基の炭素原子数に含まれない。置換基を有する鎖状アルキル基は、直鎖状であるのが好ましい。
アルキル基が有してもよい置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。置換基の好適な例としては、シアノ基、ハロゲン原子、環状有機基、及びアルコキシカルボニル基が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。これらの中では、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。環状有機基としては、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。シクロアルキル基の具体例としては、R1bがシクロアルキル基である場合の好適な例と同様である。芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。ヘテロシクリル基の具体例としては、R1bがヘテロシクリル基である場合の好適な例と同様である。R1bがアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基の炭素原子数は、1~10が好ましく、1~6がより好ましい。
【0064】
鎖状アルキル基が置換基を有する場合、置換基の数は特に限定されない。好ましい置換基の数は鎖状アルキル基の炭素原子数に応じて変わる。置換基の数は、典型的には、1~20であり、1~10が好ましく、1~6がより好ましい。
【0065】
R2b及びR3bが環状有機基である場合、環状有機基は、脂環式基であっても、芳香族基であってもよい。環状有機基としては、脂肪族環状炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。R2b及びR3bが環状有機基である場合に、環状有機基が有してもよい置換基は、R2b及びR3bが鎖状アルキル基である場合と同様である。
【0066】
R2b及びR3bが芳香族炭化水素基である場合、芳香族炭化水素基は、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が炭素-炭素結合を介して結合して形成される基であるか、複数のベンゼン環が縮合して形成される基であるのが好ましい。芳香族炭化水素基が、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が結合又は縮合して形成される基である場合、芳香族炭化水素基に含まれるベンゼン環の環数は特に限定されず、3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1が特に好ましい。芳香族炭化水素基の好ましい具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。
【0067】
R2b及びR3bが脂肪族環状炭化水素基である場合、脂肪族環状炭化水素基は、単環式であっても多環式であってもよい。脂肪族環状炭化水素基の炭素原子数は特に限定されないが、3~20が好ましく、3~10がより好ましい。単環式の環状炭化水素基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基、及びアダマンチル基等が挙げられる。
【0068】
R2b及びR3bがヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、縮合する環の数は3以下である。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0069】
R2bとR3bとは相互に結合して環を形成してもよい。R2bとR3bとが形成する環からなる基は、シクロアルキリデン基であるのが好ましい。R2bとR3bとが結合してシクロアルキリデン基を形成する場合、シクロアルキリデン基を構成する環は、5員環~6員環であるのが好ましく、5員環であるのがより好ましい。
【0070】
R2bとR3bとが結合して形成する基がシクロアルキリデン基である場合、シクロアルキリデン基は、1以上の他の環と縮合していてもよい。シクロアルキリデン基と縮合していてもよい環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、及びピリミジン環等が挙げられる。
【0071】
以上説明したR2b及びR3bの中でも好適な基の例としては、式-A1-A2で表される基が挙げられる。式中、A1は直鎖アルキレン基であり、A2は、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、環状有機基、又はアルコキシカルボニル基である。
【0072】
A1の直鎖アルキレン基の炭素原子数は、1~10が好ましく、1~6がより好ましい。A2がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシ基の炭素原子数は、1~10が好ましく、1~6がより好ましい。A2がハロゲン原子である場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。A2がハロゲン化アルキル基である場合、ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。ハロゲン化アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。A2が環状有機基である場合、環状有機基の例は、R2b及びR3bが置換基として有する環状有機基と同様である。A2がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の例は、R2b及びR3bが置換基として有するアルコキシカルボニル基と同様である。
【0073】
R2b及びR3bの好適な具体例としては、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、及びn-オクチル基等のアルキル基;2-メトキシエチル基、3-メトキシ-n-プロピル基、4-メトキシ-n-ブチル基、5-メトキシ-n-ペンチル基、6-メトキシ-n-ヘキシル基、7-メトキシ-n-ヘプチル基、8-メトキシ-n-オクチル基、2-エトキシエチル基、3-エトキシ-n-プロピル基、4-エトキシ-n-ブチル基、5-エトキシ-n-ペンチル基、6-エトキシ-n-ヘキシル基、7-エトキシ-n-ヘプチル基、及び8-エトキシ-n-オクチル基等のアルコキシアルキル基;2-シアノエチル基、3-シアノ-n-プロピル基、4-シアノ-n-ブチル基、5-シアノ-n-ペンチル基、6-シアノ-n-ヘキシル基、7-シアノ-n-ヘプチル基、及び8-シアノ-n-オクチル基等のシアノアルキル基;2-フェニルエチル基、3-フェニル-n-プロピル基、4-フェニル-n-ブチル基、5-フェニル-n-ペンチル基、6-フェニル-n-ヘキシル基、7-フェニル-n-ヘプチル基、及び8-フェニル-n-オクチル基等のフェニルアルキル基;2-シクロヘキシルエチル基、3-シクロヘキシル-n-プロピル基、4-シクロヘキシル-n-ブチル基、5-シクロヘキシル-n-ペンチル基、6-シクロヘキシル-n-ヘキシル基、7-シクロヘキシル-n-ヘプチル基、8-シクロヘキシル-n-オクチル基、2-シクロペンチルエチル基、3-シクロペンチル-n-プロピル基、4-シクロペンチル-n-ブチル基、5-シクロペンチル-n-ペンチル基、6-シクロペンチル-n-ヘキシル基、7-シクロペンチル-n-ヘプチル基、及び8-シクロペンチル-n-オクチル基等のシクロアルキルアルキル基;2-メトキシカルボニルエチル基、3-メトキシカルボニル-n-プロピル基、4-メトキシカルボニル-n-ブチル基、5-メトキシカルボニル-n-ペンチル基、6-メトキシカルボニル-n-ヘキシル基、7-メトキシカルボニル-n-ヘプチル基、8-メトキシカルボニル-n-オクチル基、2-エトキシカルボニルエチル基、3-エトキシカルボニル-n-プロピル基、4-エトキシカルボニル-n-ブチル基、5-エトキシカルボニル-n-ペンチル基、6-エトキシカルボニル-n-ヘキシル基、7-エトキシカルボニル-n-ヘプチル基、及び8-エトキシカルボニル-n-オクチル基等のアルコキシカルボニルアルキル基;2-クロルエチル基、3-クロル-n-プロピル基、4-クロル-n-ブチル基、5-クロル-n-ペンチル基、6-クロル-n-ヘキシル基、7-クロル-n-ヘプチル基、8-クロル-n-オクチル基、2-ブロモエチル基、3-ブロモ-n-プロピル基、4-ブロモ-n-ブチル基、5-ブロモ-n-ペンチル基、6-ブロモ-n-ヘキシル基、7-ブロモ-n-ヘプチル基、8-ブロモ-n-オクチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5-ヘプタフルオロ-n-ペンチル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
【0074】
R2b及びR3bとして、上記の中でも好適な基は、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、2-メトキシエチル基、2-シアノエチル基、2-フェニルエチル基、2-シクロヘキシルエチル基、2-メトキシカルボニルエチル基、2-クロロエチル基、2-ブロモエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5-ヘプタフルオロ-n-ペンチル基である。
【0075】
R4bの好適な有機基の例としては、R1bと同様に、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン-1-イル基、及びピペラジン-1-イル基等が挙げられる。これらの基の具体例は、R1bについて説明したものと同様である。また、R4bとしてはシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェノキシアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基も、好ましい。フェノキシアルキル基、及びフェニルチオアルキル基が有していてもよい置換基は、R1bに含まれるフェニル基が有していてもよい置換基と同様である。
【0076】
有機基の中でも、R4bとしては、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又はシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基が好ましい。アルキル基としては、炭素原子数1~20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1~8のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1~4のアルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。置換基を有していてもよいフェニル基の中では、メチルフェニル基が好ましく、2-メチルフェニル基がより好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるシクロアルキル基の炭素原子数は、5~10が好ましく、5~8がより好ましく、5又は6が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1~8が好ましく、1~4がより好ましく、2が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基の中では、シクロペンチルエチル基が好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1~8が好ましく、1~4がより好ましく、2が特に好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基の中では、2-(4-クロロフェニルチオ)エチル基が好ましい。
【0077】
また、R4bとしては、-A3-CO-O-A4で表される基も好ましい。A3は、2価の有機基であり、2価の炭化水素基であるのが好ましく、アルキレン基であるのがより好ましい。A4は、1価の有機基であり、1価の炭化水素基であるのが好ましい。
【0078】
A3がアルキレン基である場合、アルキレン基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。A3がアルキレン基である場合、アルキレン基の炭素原子数は1~10が好ましく、1~6がより好ましく、1~4が特に好ましい。
【0079】
A4の好適な例としては、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数7~20のアラルキル基、及び炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基が挙げられる。A4の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、α-ナフチルメチル基、及びβ-ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0080】
-A3-CO-O-A4で表される基の好適な具体例としては、2-メトキシカルボニルエチル基、2-エトキシカルボニルエチル基、2-n-プロピルオキシカルボニルエチル基、2-n-ブチルオキシカルボニルエチル基、2-n-ペンチルオキシカルボニルエチル基、2-n-ヘキシルオキシカルボニルエチル基、2-ベンジルオキシカルボニルエチル基、2-フェノキシカルボニルエチル基、3-メトキシカルボニル-n-プロピル基、3-エトキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-プロピルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-ブチルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-ペンチルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-ヘキシルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-ベンジルオキシカルボニル-n-プロピル基、及び3-フェノキシカルボニル-n-プロピル基等が挙げられる。
【0081】
以上、R
4bについて説明したが、R
4bとしては、下記式(R4-1)又は(R4-2)で表される基が好ましい。
【化10】
(式(R4-1)及び(R4-2)中、R
7b及びR
8bはそれぞれ有機基であり、rは0~4の整数であり、R
7b及びR
8bがベンゼン環上の隣接する位置に存在する場合、R
7bとR
8bとが互いに結合して環を形成してもよく、sは1~8の整数であり、tは1~5の整数であり、uは0~(t+3)の整数であり、R
9bは有機基である。)
【0082】
式(R4-1)中のR7b及びR8bについての有機基の例は、R1bと同様である。R7bとしては、アルキル基又はフェニル基が好ましい。R7bがアルキル基である場合、その炭素原子数は、1~10が好ましく、1~5がより好ましく、1~3が特に好ましく、1が最も好ましい。つまり、R7bはメチル基であるのが最も好ましい。R7bとR8bとが結合して環を形成する場合、当該環は、芳香族環でもよく、脂肪族環でもよい。式(R4-1)で表される基であって、R7bとR8bとが環を形成している基の好適な例としては、ナフタレン-1-イル基や、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-5-イル基等が挙げられる。上記式(R4-1)中、rは0~4の整数であり、0又は1であるのが好ましく、0であるのがより好ましい。
【0083】
上記式(R4-2)中、R9bは有機基である。有機基としては、R1bについて説明した有機基と同様の基が挙げられる。有機基の中では、アルキル基が好ましい。アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。アルキル基の炭素原子数は1~10が好ましく、1~5がより好ましく、1~3が特に好ましい。R9bとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基であることがより好ましい。
【0084】
上記式(R4-2)中、tは1~5の整数であり、1~3の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。上記式(R4-2)中、uは0~(t+3)であり、0~3の整数が好ましく、0~2の整数がより好ましく、0が特に好ましい。上記式(R4-2)中、sは1~8の整数であり、1~5の整数が好ましく、1~3の整数がより好ましく、1又は2が特に好ましい。
【0085】
式(b1)中、R5bは、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1~11のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基である。R5bがアルキル基である場合に有してもよい置換基としては、フェニル基、ナフチル基等が好ましく例示される。また、R5bがアリール基である場合に有してもよい置換基としては、炭素原子数1~5のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が好ましく例示される。
【0086】
式(b1)中、R5bとしては、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、ナフチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
【0087】
光重合開始剤(B)の含有量は、ネガ型感光性樹脂組成物の固形分の合計100質量部に対して0.001~30質量部であることが好ましく、0.1~20質量部がより好ましく、0.5~10質量部がさらに好ましい。
また、光重合開始剤(B)の含有量は、樹脂(A)と光重合開始剤(B)との総和に対し、0.1~50質量%であることが好ましく、0.5~30質量%であることがより好ましく、0.5~10質量%であることがさらに好ましい。
【0088】
式(b1)で表される光重合開始剤(B)は単独で用いても2種以上用いてもよく、2種以上使用する場合、以下の(i)~(iii)が好ましい。
(i)R1bが水素原子である化合物とR1bがニトロ基である化合物との組み合わせ
(ii)R4bが式(R4-1)である化合物とR4bが式(R4-2)である化合物との組み合わせ
(iii)R4bが式(R4-1)又は式(R4-2)である化合物とR4bが炭素原子数1~4のアルキル基である化合物
中でも、感度及び硬化物の透過率等の特性向上の点で、上記(i)の組み合わせが好ましく、上記(i)と、(ii)又は(iii)とを満たす組み合わせがより好ましい。
【0089】
上記(i)~(iii)の組み合わせによる各化合物の配合比(質量比)は、目的の感度等の特性に合わせて適宜調整すればよい。例えば、1:99~99:1が好ましく、10:90~90:10がより好ましく、30:70~70;30がさらに好ましい。
【0090】
式(b1)で表される化合物の好適な具体例としては、以下の化合物1~化合物41が挙げられる。
【化11】
【0091】
【0092】
なお、ネガ型感光性樹脂組成物は、光重合開始剤(B)以外の重合開始剤を含んでいてもよい。
光重合開始剤(B)以外の重合開始剤としては、例えば、光重合開始剤(B)以外のオキシムエステル系化合物、ビイミダゾール系化合物、ベンゾイン系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α-ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、ホスフィン系化合物、トリアジン系化合物等を挙げることができる。
【0093】
光重合開始剤(B)以外のオキシムエステル系化合物としては、例えば、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(0-アセチルオキシム)、1,3-オクタンジオン-1[(4-フェニルチオ)フェニル]2-ベンゾイル-オキシム等を挙げることができる。
【0094】
アセトフェノン系化合物としては、例えば、α-ヒドロキシケトン系化合物、α-アミノケトン系化合物およびこれら以外の化合物を挙げることができる。
【0095】
α-ヒドロキシケトン系化合物の具体的な例としては、1-フェニル-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-i-プロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどを挙げることができ、α-アミノケトン系化合物の具体的な例としては、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1などを挙げることができ、これら以外の化合物の具体的な例としては、2,2-ジメトキシアセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノンなどを挙げることができる。
これらのアセトフェノン系化合物を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。これらのアセトフェノン系化合物を使用することにより、薄膜の強度をより一層良好にすることが可能である。
【0096】
また、ビイミダゾール系化合物の具体的な例としては、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス(4-エトキシカルボニルフェニル)-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-ブロモフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス(4-エトキシカルボニルフェニル)-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-ブロモフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジブロモフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4,6-トリブロモフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾールなどを挙げることができる。
【0097】
上記ビイミダゾール化合物のうち、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾールなどが好ましく、特に好ましくは2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾールである。
【0098】
<密着増強剤(C)>
密着増強剤(C)は、基板との接着力を向上させる作用を有する成分であり、例えば、カルボキシル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、イソシアネート基、エポキシ基、メルカプト基等の反応性官能基を有するシランカップリング剤が好ましい。具体的には、例えば、トリメトキシシリル安息香酸、3-((メタ)アクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、(3-イソシアナトプロピル)トリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン及び2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランのうちから選択された1種またはそれ以上である。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリロイル」とは、「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の両者を意味する。また、「(メタ)アクリルレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両者を意味し、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」の両者を意味する。
【0099】
密着増強剤(C)としては、上記シランカップリング剤一部重複するが、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、(メタ)アクリレート系化合物、ビニル化合物や、メルカプト系化合物が挙げられ、より好ましくはエポキシ系化合物である。エポキシ系化合物としては、例えば、エポキシ基を有する有機シラン化合物が挙げられ、より具体的な例としてはエポキシ基を有する炭素原子数1以上5以下のアルコキシシランが挙げられる。
【0100】
密着増強剤(C)の含有量は、樹脂(A)100質量部を基準として、例えば0~10質量部であり、0.01~10質量部、0.02~1質量部、または0.05~0.1質量部であることが好ましく、この範囲内で基板との接着力に優れた効果がある。
【0101】
<光重合性化合物(D)>
ネガ型感光性樹脂組成物は、光重合性化合物(D)を含んでいても含んでいなくてもよい。
光重合性化合物(D)は特に限定されないが、例えば、エチレン性不飽和結合を有する架橋性化合物が挙げられる。
エチレン性不飽和結合を有する架橋性化合物は、一般的に少なくとも2つ以上のエチレン系二重結合を有する架橋性単位体であり、例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、トリメチルロールプロパントリアクリレート、トリメチルロールプロパントリメタクリレート、テトラメチルロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチルロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、カルドエポキシジアクリレートおよびこれらのポリ(poly-)化合物(ポリエチレングリコールジアクリレート)等の多作用性(メタ)アクリル系モノマー及びオリゴマー類;
多価アルコール類と1塩基酸または多塩基酸を縮合して得られるポリエステルプレポリマーに(メタ)アクリル酸を反応して得られるポリエステル(メタ)アクリレート、ポリオール基と2つのイソシアネート基を有する化合物を反応させた後、(メタ)アクリル酸を反応して得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールまたはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾール型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエステル、脂肪族または脂環式エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応して得られるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂が挙げられる。また、露光感度等を考慮すると、光重合性化合物(D)として多官能性(メタ)アクリル系モノマーを使用することが好ましい。
【0102】
光重合性化合物(D)が含まれる場合、光重合性化合物(D)は、樹脂(A)100質量部に対して0.1~200質量部で含まれることが好ましく、1~30質量部で含まれることがより好ましく、5~10質量部で含まれることがさらに好ましいい。
【0103】
<溶剤(S)>
溶剤(S)としては有機溶媒や水が挙げられる。有機溶媒としては、一般的なネガ型感光性樹脂組成物に使用されるアセテート系、エーテル系、グリコール系、ケトン系、アルコール系およびカーボネート系等の有機溶媒であって、樹脂(A)を溶解させるものであれば特に限定されない。有機溶媒しては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PEGMEA)、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、エチレングリコール、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、3-エトキシプロピオン酸、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン(NMP)、N-メチルカプロラクタム等が挙げられる。
【0104】
溶剤(S)の含有量は、ネガ型感光性樹脂組成物100質量部に対して、例えば20~95質量部、好ましくは30~90質量部、より好ましくは50~80質量部である。この範囲内で従来のコーティング方法を用いても薄膜形成が容易であり、コーティング後に所望の厚さの薄膜を容易に得ることができる。
【0105】
<その他の成分>
ネガ型感光性樹脂組成物は、必要に応じて、添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤の例としては、安定剤、熱架橋剤、光硬化促進剤、界面活性剤、塩基クエンチャー、酸化防止剤、接着助剤、消泡剤等があり、必要に応じて単独または混合して使用することができる。
【0106】
界面活性剤は、基板に対するコーティング性と塗布性、均一性および汚れ除去を向上させる作用を有する成分である。界面活性剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤が挙げられ、好ましくはシリコン系界面活性剤である。シリコン系界面活性剤としては、例えば、ポリエーテル変性ポリシロキサンが挙げられ、より具体的な例としては、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0107】
界面活性剤の含有量は、樹脂(A)100質量部を基準として、例えば0.01~5質量部であり、0.02~1質量部、または0.05~0.1質量部であることが好ましい。
【0108】
安定剤としては、例えば、熱安定剤、光安定剤が挙げられる。
【0109】
熱安定剤は、一般的にネガ型感光性樹脂組成物に使用可能な熱安定剤を使用することができ、特に限定されるものではないが、例えば、形成される硬化物(有機膜)の後熱処理工程中に透過度の低下を抑制して残留有機膜の透過度を高めることができる熱安定剤が挙げられる。熱安定剤としては、フェノール系熱安定剤、ホスファイト系熱安定剤、ラクトン系熱安定剤が挙げられる。好ましい熱安定剤としては、例えば、下記式(4)~(6)で表される化合物が挙げられる。
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
光安定剤は、一般的にネガ型感光性樹脂組成物に使用可能な光安定剤を使用することができ、例えば、形成される硬化物(例えば有機絶縁膜)の耐光性を極大化させることができる光安定剤が挙げられる。光安定剤としては、ベンゾトリアゾール系光安定剤、トリアジン系光安定剤、ベンゾフェノン系光安定剤、ヒンダードアミノエーテル系光安定剤、ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。
【0114】
≪ネガ型感光性樹脂組成物の製造方法≫
上記ネガ型感光性樹脂組成物は、一般的な方法で製造することができ、例えば、上記の各成分を混合し、必要に応じてフィルターを用いて濾過することにより製造できる。
【0115】
≪硬化膜及び硬化膜の製造方法≫
上記ネガ型感光性樹脂組成物を用いて、TFT-LCD、OLED、タッチスクリーンパネル等のディスプレイ等に用いられ得る硬化膜を製造することができる。製造される硬化膜は、必要に応じてパターン化されていてもよい。
上記ネガ型感光性樹脂組成物を用いて硬化膜を製造する方法を以下に説明する。
【0116】
まず、上記ネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布して塗布膜を形成する。
塗布膜を形成する基板は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、シリコン基板、ガラス基板や金属表面を有する基板が挙げられる。金属表面を構成する金属種としては、銅、金、アルミニウムが好ましく、銅がより好ましい。
また、上記ネガ型感光性樹脂組成物は、硬化膜を形成する際に、加熱温度を低くすることができるため、耐熱性が低い基板を用いることができる。耐熱性が低い基板としては、例えばフレキシブル性を有する基板(例えば可撓性を有する基板)が挙げられる。フレキシブル性を有する基板としては、プラスチック基板、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル;ポリイミド;ポリカーボネート;ポリアミド;ポリアセタール;ポリフェニレンオキサイド;ポリフェニレンサルファイド;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ノルボルネン系モノマーの単独重合体(付加重合体や開環重合体等)、ノルボルネンとエチレンの共重合体等のノルボルネン系モノマーとオレフィン系モノマーの共重合体(付加重合体や開環重合体等の環状オレフィンコポリマー等)、これらの誘導体等の環状ポリオレフィン;ビニル系重合体(例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン樹脂(ABS樹脂)等);ビニリデン系重合体(例えば、ポリ塩化ビニリデン等);トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;メラミン樹脂;ユリア樹脂;マレイミド樹脂;シリコーン等の各種プラスチック材料で構成されたプラスチック基板が挙げられる。
【0117】
上記ネガ型感光性樹脂組成物の塗布方法は、特に限定されず、公知の方法を用いてもよい。例えば、スピンコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング、スクリーンコーティング、スプレーコーティング、フローコーティング、スクリーンプリンティング、インクジェット、ドロップキャスティング等のコーティング方法が挙げられる。
【0118】
形成される塗布膜の膜厚は、塗布方法、ネガ型感光性樹脂組成物の固形分の濃度、粘度等によって変わり、特に限定されないが、通常、乾燥後、膜厚が0.5~100μmになるように塗布できる。
【0119】
必要に応じて、塗布膜を乾燥させてもよい。乾燥方法は特に限定されないが、真空、赤外線照射や加熱により溶媒を揮発させる方法が挙げられる。
【0120】
次に、塗布膜を露光する。露光工程では、エキシマレーザー、遠紫外線、紫外線、可視光線、電子線、X線又はg線(波長436nm)、i線(波長365nm)、h線(波長405nm)又はこれらの混合光線等のエネルギー線を照射する。露光では、接触式、近接式、投影式等の露光法等を用いてもよい。
照射するエネルギー線量は、ネガ型感光性樹脂組成物の組成によっても異なるが、例えば140mJ/cm2以下であり、好ましくは5~100mJ/cm2、より好ましくは10~60mJ/cm2である。
塗布膜を露光することにより、硬化反応が生じ、硬化物(硬化膜)が形成される。
【0121】
露光は、位置選択的な露光であってもよい。位置選択的な露光は、例えば、ネガ型のマスクを介して行う。位置選択的な露光を行うことにより、パターン化された硬化膜を形成することができる。
【0122】
塗布膜が位置選択的に露光された場合、露光後の塗布膜を、現像液により現像することによって、所望の形状にパターニングされた硬化膜を得ることができる。
現像方法は、特に限定されず、例えば、浸漬法、スプレー法等を用いることができる。
現像液は、ネガ型感光性樹脂組成物の組成に応じて適宜選択される。現像液としてアルカリ水溶液を用いてもよいが、これは有機溶媒よりも環境親和的かつ経済的である。アルカリ現像液としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の水酸化4級アンモニウムの水溶液、アンモニア、エチルアミン、プロピルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン系水溶液を挙げることができる。
【0123】
露光後の塗布膜を、加熱(ポストエクスポージャーベーク(PEB)又はポストベーク)してもよい。加熱温度は特に限定されないが、例えば80℃以上250℃以下であり、好ましくは80℃以上200℃以下、より好ましくは80℃以上150℃以下、さらに好ましくは85℃以上100℃以下である。耐熱性が低い基板を用いた場合、高温で加熱すると、基板に悪影響を及ぼす恐れがあるため耐熱性が低い基板を使用し難いが、低温で加熱することにより、耐熱性が低い基板を使用することができる。
塗布膜が位置選択的に露光された場合、上記加熱(PEB)は、塗布膜を露光する工程の後、現像する工程の前に行うことが好ましい。
耐熱性が高い基板が用いられている場合、PEB工程後の現像する工程の後に、又は、露光後PEB工程を行わずに現像する工程の後に、さらに80℃以上250℃以下で加熱(ポストベーク)を行ってもよい。
【0124】
上記製造方法で製造される硬化膜(硬化物)は、上記ネガ型感光性樹脂組成物を用いて形成されているため、高い耐溶剤性を有する。上記ネガ型感光性樹脂組成物を用いて形成された硬化膜は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PEGMEA)やN-メチルピロリドン(NMP)等の有機溶媒に対して、高い耐性を有する。したがって、樹脂等の成分を溶剤に溶解した組成物を用いて、上記硬化膜上に他の層を形成して積層材料を製造する用途や、溶剤を含む接着剤が適用される用途に、好適に用いられる。
【0125】
また、上記ネガ型感光性樹脂組成物は優れた解像性を有するため、微細なパターンを有する、パターン化された硬化膜を製造することができる。例えば、線幅が20μm以下、好ましくは10μm以下である微細なパターンを有する、パターン化された硬化膜を製造することができる。
【0126】
また、樹脂(A)を含む上記ネガ型感光性樹脂組成物を用いることにより、高屈折率を有する硬化膜や、耐熱性、耐化学性、高透過性等の高機能性を有する硬化膜を製造することができる。例えば、高屈折率を有する硬化膜は、低屈折率膜との積層体にすることにより、光取出し効率に優れた光取出し膜となる。また、耐熱性に優れた硬化膜は、テーパ角やガス放出を最小限に抑えることができる。
【0127】
このような硬化膜や、パターン化された硬化膜は、例えば、半導体素子、LCD用素子、OLED用素子、太陽電池用素子、フレキシブルディスプレイ用素子、タッチスクリーン製造用素子またはナノインプリントリソグラフィ用素子等の素子の作製や、コーティング材料に適用可能である。
【実施例】
【0128】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[合成例1]
(モノマー合成)
1段階:2,2’-((((9H-フルオレン-9,9-ジイル)ビス(4,1-フェニレン))ビス(オキシ))ビス(メチレン))ビス(オキシラン)合成
【化16】
【0129】
ステップA:三口フラスコに還流凝縮器(reflux condenser)と温度計をセットした後、9,9-ビスフェノールフルオレン42.5gを入れ、2-(クロロ
メチル)オキシラン220mLを定量した後に注入した。テトラブチルアンモニウムブロマイド100mgを入れた後、撹拌しはじめ、温度を90℃に昇温した。未反応物の含有量が0.3%未満であることを確認した後、減圧蒸留した。
【0130】
ステップB:温度を30℃に下げた後、ジクロルメタンを注入し、NaOHを徐々に投入した。生成物が96%以上であることを、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)法で確認した後、5%HClを滴下して反応を終結した。反応物は、抽出して層分離した後、有機層を水で洗浄し、中性になるまで洗浄した。有機層はMgSO4で乾燥した後、回転蒸発器で減圧蒸留して濃縮した。濃縮された生成物にジクロルメタンを入れて40℃まで温度を上げながら撹拌すると共にメタノールを投入した後、溶液の温度を下げて撹拌した。生成された固体をろ過した後、常温で真空乾燥させて白色固体粉末52.7g(収率94%)を得、これに対する構造は1H NMRで確認した。
【0131】
CDCl3中の1H NMR:7.75(2H)、7.36から7.25(6H)、7.09(4H)、6.74(4H)、4.13(2H)、3.89(2H)、3.30(2H)、2.87(2H)、2.71(2H)。
【0132】
2段階:3,3’-(((9H-フルオレン-9,9-ジイル)ビス(4,1-フェニレン))ビス(オキシ))ビス(1-(フェニルチオ)プロパン-2-オル)(BTCPモノマー)合成
【化17】
【0133】
三口フラスコに還流凝縮器と温度計をセットした後、1段階の反応物(1000g)、チオフェノール524g、エタノール617gを入れて撹拌した。反応溶液にトリエチルアミン328gを徐々に滴下した。高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)法で出発物質が消えたことを確認した後、反応を終了した。反応完了後、エタノールを減圧蒸留して除去した。有機物をジクロルメタンに溶かした後、水で洗浄した後ジクロルメタンを減圧蒸留により除去した。濃縮された有機物は、酢酸エチルに溶かした後、エーテル溶媒を滴下し、30分間撹拌した。化合物を減圧蒸留して淡黄色油(pale yellow oil)945g(収率64%)を得、その構造は1H NMRで確認した。
【0134】
CDCl3中の1H NMR:7.82(2H)、7.38~6.72(20H)、6.51(4H)、4.00(2H)、3.97(2H)、3.89(2H)、3.20(2H)、3.01(2H)、2.64(2H)。
【0135】
(樹脂(A)(バインダー樹脂)の製造)樹脂A1の製造
【化18】
【0136】
三口フラスコに還流凝縮器と温度計をセットした後、50%のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶媒に溶けている2段階で合成したBTCPモノマー200gを入れ、115℃まで昇温させた。115℃で3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物31.1gを滴下した後、6時間の間115℃を維持しながら撹拌した。無水フタル酸7.35gを入れてさらに2時間撹拌した後、反応を終了した。冷却後、質量平均分子量3,500g/molであり、分散度が2.2である樹脂A1の溶液を得た。
【0137】
[合成例2]
(樹脂(A)の製造)樹脂A2の製造
【化19】
【0138】
三口フラスコに還流凝縮器と温度計をセットした後、50%PGMEA溶媒に溶けている2段階で合成したBTCPモノマー200gを入れ、115℃まで昇温させた。115℃で3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物28.4gを滴下した後、6時間の間115℃を維持しながら撹拌した。無水フタル酸7.35gを入れてさらに2時間撹拌した後、反応を終了した。冷却後、質量平均分子量が5,000g/molであり、分散度が2.4である樹脂A2の溶液を得た。
【0139】
光重合開始剤(B)として、化合物6を用いた。
【化20】
【0140】
[実施例1]
樹脂(A)としての樹脂A1を93質量部と、光重合開始剤(B)としての化合物6を5.6質量部と、密着増強剤(C)としての3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを0.93質量部と、界面活性剤としてシロキサン系界面活性剤(ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、BYK-310、ビックケミー社製)0.13質量部を、固形分濃度が20質量%になるように、溶剤(S)としてのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PEGMEA)に溶解して、ネガ型感光性樹脂組成物を製造した。
【0141】
[実施例2]
密着増強剤(C)の配合量を、3倍の質量部に変更したことを除いて、実施例1と同様な方法でネガ型感光性樹脂組成物を製造した。
【0142】
[実施例3]
密着増強剤(C)の配合量を、5倍の質量部に変更したことを除いて、実施例1と同様な方法でネガ型感光性樹脂組成物を製造した。
【0143】
[実施例4]
密着増強剤(C)として、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランの代わりに、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシランを用いたことを除いて、実施例3と同様な方法でネガ型感光性樹脂組成物を製造した。
【0144】
[実施例5]
樹脂(A)としての樹脂A1を85質量部と、光重合開始剤(B)としての化合物6を5質量部と、密着増強剤(C)としての3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを3質量部と、界面活性剤としてシロキサン系界面活性剤(ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、BYK-310、ビックケミー社製)0.2質量部と、光重合性化合物(D)としてのジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを6.5質量部とを、固形分濃度が20質量%になるように、溶剤(S)としてのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PEGMEA)に溶解して、ネガ型感光性樹脂組成物を製造した。
【0145】
[比較例1]
光重合開始剤(B)としての化合物6の代わりに、式(b1)に該当しない、下記式の構造のオキシムエステル系光重合開始剤を用いたことを除いて、実施例3と同様な方法でネガ型感光性樹脂組成物を製造した。
【化21】
【0146】
[比較例2]
光重合開始剤(B)としての化合物6の代わりに、式(b1)に該当しないオキシムエステル系光重合開始剤(1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-,2-(o-ベンゾイルオキシム)、Irgacure OXE01、BASFジャパン株式会社)を用いたことを除いて、実施例3と同様な方法でネガ型感光性樹脂組成物を製造した。
【0147】
[比較例3]
樹脂(A)として、樹脂A1の代わりに、樹脂A2を用いたことを除いて、比較例1と同様な方法でネガ型感光性樹脂組成物を製造した。
【0148】
[比較例4]
樹脂(A)として、樹脂A1の代わりに、樹脂A2を用いたことを除いて、比較例2と同様な方法でネガ型感光性樹脂組成物を製造した。
【0149】
[耐溶剤性の評価]
実施例1~5及び比較例1~4により得られたネガ型感光性樹脂組成物のそれぞれを、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる基板上に、スピンコーターに800~900rpmで15秒間塗布した後、ホットプレートで、85℃で180秒の間乾燥させて膜厚5μmの塗布膜を形成した。
乾燥後の塗布膜に、露光ギャップを25μmとして、プロキシミティ露光機(製品名:TME-150RTO、株式会社トプコン製)を使用して、紫外線を照射した。露光量は、30mJ/cm2とした。
露光後の塗布膜を、85℃にて300秒間ポストベークを行うことにより、硬化膜を得た。
得られた硬化膜を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PEGMEA)に26℃で300秒間浸漬した。
浸漬前及び浸漬後の硬化膜を5000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、以下の基準で耐溶剤性を評価した。
浸漬する溶剤をN-メチルピロリドン(NMP)とした評価も行った。
ポストベーク条件を100℃にて300秒間にした評価も行った。
結果を表1に示す。
また、実施例5により得られたネガ型感光性樹脂組成物については、ポストベークを行わないことの他は上記と同様にした耐溶剤性評価も行った。結果を実施例6として記載する。
(PEGMEA)
〇:浸漬前後で硬化膜に変化無し
×:浸漬前後で硬化膜に変化有り
(NMP)
〇:浸漬前後での硬化膜の厚さの変化率が10%未満
×:浸漬前後での硬化膜の厚さの変化率が10%以上
【0150】
[解像性の評価]
実施例1~5及び比較例1~4により得られたネガ型感光性樹脂組成物のそれぞれを、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる基板上に、スピンコーターに800~900rpmで15秒間塗布した後、ホットプレートで、85℃で180秒の間乾燥させて膜厚5μmの塗布膜を形成した。
乾燥後の塗布膜に、露光ギャップを25μmとして、幅10μmのパターンの形成されたネガ型マスクを介して、プロキシミティ露光機(製品名:TME-150RTO、株式会社トプコン製)を使用して、紫外線を照射した。露光量は、30mJ/cm2とした。
露光後の塗布膜を、85℃にて300秒間ベーク(PEB)を行った後、26℃の2.38質量%TMAH水溶液で30秒間現像を行うことにより、硬化膜を得た。
得られた硬化膜を、5000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、幅10μmのパターンが形成されていた場合を〇評価とし、幅10μmのパターンが形成されていなかった場合を×評価とした。
結果を表1に示す。
また、実施例5により得られたネガ型感光性樹脂組成物については、PEBを行わないことの他は上記と同様にした解像性の評価も行った。結果を実施例6として記載する。
【0151】
【0152】
実施例1~6によれば、式(a1)で表される構成単位を有する樹脂(A)と式(b1)で表される光重合開始剤(B)とを含むネガ型感光性樹脂組成物は、耐溶剤性に優れていることが分かる。また、これらのネガ型感光性樹脂組成物は解像性にも優れていることが分かる。
【0153】
他方、比較例1~4によれば、ネガ型感光性樹脂組成物が、式(a1)で表される構成単位を有する樹脂(A)を含むが式(b1)で表される光重合開始剤(B)を含まない場合、耐溶剤性が実施例1~6よりも劣ることが分かる。また、解像性も実施例1~6よりも悪いことが分かる。