(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-14
(45)【発行日】2025-02-25
(54)【発明の名称】無塵冷水分散性調製物
(51)【国際特許分類】
A23L 5/00 20160101AFI20250217BHJP
A23L 5/43 20160101ALI20250217BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20250217BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20250217BHJP
A61K 8/26 20060101ALI20250217BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20250217BHJP
A61K 8/29 20060101ALI20250217BHJP
A61K 8/27 20060101ALI20250217BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20250217BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20250217BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20250217BHJP
A23K 40/30 20160101ALI20250217BHJP
A23K 20/20 20160101ALI20250217BHJP
【FI】
A23L5/00 C
A23L5/00 F
A23L5/43
A23L33/10
A61K8/02
A61K8/26
A61K8/25
A61K8/29
A61K8/27
A61K8/92
A61K9/14
A61K47/02
A23K40/30 A
A23K20/20
(21)【出願番号】P 2020572651
(86)(22)【出願日】2019-05-29
(86)【国際出願番号】 EP2019063894
(87)【国際公開番号】W WO2020001906
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-05-27
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイアー-ベーム,キャスリン
(72)【発明者】
【氏名】ハビッヒ,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーグナー,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ペレティーア,ヴォルフ
(72)【発明者】
【氏名】ドブラー,ヴァルター
(72)【発明者】
【氏名】ショールディング,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】コルター,カール
【審査官】関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-255931(JP,A)
【文献】特開平05-200273(JP,A)
【文献】特表2013-500280(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0118208(US,A1)
【文献】米国特許第04486435(US,A)
【文献】特開2014-097935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 5/
A23L 33/
A61K 8/
A61K 9/
A23K
B01J 13/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上の層で被覆された、非水溶性又は僅かにのみ水溶性の活性物質(複数可)を含む粒子であって、最外層が、少なくとも1種の分散剤が吸収された1種以上の疎水性粉末化剤を主成分として含み、
非水溶性又は僅かにのみ水溶性の活性物質とは、水、0.1M塩酸水溶液、リン酸緩衝水溶液pH7.2、又は0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液の少なくとも1種における25℃での飽和溶解度が、1重量%未満である物質を意味し、
粒子における少なくとも1種の分散剤の比率が、1重量%~4.5重量%の範囲内であり、
少なくとも1種の分散剤が、
MCTオイルである、粒子。
【請求項2】
25℃で0.1秒後に測定された、1種の分散剤及び/又は複数種の分散剤の、純粋な粉末化剤製のペレットの表面に対する接触角が、75°以下である、請求項1に記載の被覆粒子。
【請求項3】
疎水性粉末化剤による粒子表面の被覆度が、少なくとも70%である、請求項1
又は2に記載の被覆粒子。
【請求項4】
疎水性粉末化剤による粒子表面の被覆度が、少なくとも80%である、請求項1
又は2に記載の被覆粒子。
【請求項5】
疎水性粉末化剤が、疎水化微細酸化物である、請求項1から
4のいずれか一項に記載の被覆粒子。
【請求項6】
疎水性微細酸化物が、アルミニウム、ケイ素、亜鉛、及びチタンの疎水化酸化物からなる群から選択される、請求項
5に記載の被覆粒子。
【請求項7】
疎水化酸化物が、疎水化シリカである、請求項
6に記載の被覆粒子。
【請求項8】
疎水性粉末化剤が、少なくとも80m
2/gの表面積を有する、請求項
5から
7のいずれか一項に記載の被覆粒子。
【請求項9】
疎水性粉末化剤が、20μm以下の平均粒子サイズを有する、請求項
5から
8のいずれか一項に記載の被覆粒子。
【請求項10】
疎水性粉末化剤が、10nm~20μmの平均粒子サイズを有する、請求項
9に記載の被覆粒子。
【請求項11】
粒子100g中の疎水化シリカ含有量と粒子100g中のMCTオイル含有量との重量比が、0.2~1.2である、請求項1から
10のいずれか一項に記載の被覆粒子。
【請求項12】
請求項1から
11のいずれか一項に記載の被覆粒子からなる調製物であって、30秒後の塵値が10未満である、調製物。
【請求項13】
請求項1から
11のいずれか一項に記載の粒子を製造する方法であって、以下のステップ:
a)50℃から200℃の間の温度で、10秒未満の時間内に、非水溶性若しくは僅かにのみ水溶性の活性物質(複数可)を、揮発性の水混和性有機溶媒に、若しくは水と水混和性有機溶媒との混合物に、任意選択的に高圧下で、溶解させるステップ、
b)0℃から50℃の間の温度で、a)の後で得られた溶液を、コロイドの水性若しくはコロイド状分散溶液と、迅速に混合するステップであって、非水溶性若しくは僅かにのみ水溶性の活性物質(複数可)が、コロイド状分散形態で沈殿する、ステップ、
c)疎水性粉末化剤を追加的に使用して、コロイド分散液を噴霧し、溶媒の大部分を除去して次いで乾燥させることによってこれを乾燥粉末へ変えるステップ、及び
d)少なくとも1種の分散剤を、乾燥粉末へ適用するステップ、
又は、
a2)30~150℃の温度で、非水溶性若しくは僅かにのみ水溶性の活性物質(複数可)を、揮発性の水非混和性有機溶媒に、任意選択的に高圧下で、溶解させるステップ、
b2)a)の後で得られた溶液を、コロイドの水性若しくはコロイド状分散溶液と混合して、エマルジョンを生成するステップ、
c2)エマルジョンから有機溶媒を除去し、生成された懸濁液/分散液に疎水性粉末化剤を添加し、水を除去して次いで乾燥させることによってこれを乾燥粉末へ変えるステップ、及び
d2)少なくとも1種の分散剤を乾燥粉末へ適用するステップ
を含む、方法。
【請求項14】
請求項1から
11のいずれか一項に記載の被覆粒子及び請求項
12に記載の調製物の、食品サプリメント、食品、動物飼料、パーソナルケア製品、及び医薬品の形態での使用(ただし、ヒトを治療する方法を除く)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷水中で分散性である無塵調製物、並びにその製造及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
非水溶性又は僅かにのみ水溶性の活性物質を含む調製物(本発明によれば、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE及びビタミンK、及びそれらの誘導体を含む調製物、並びにカロテノイドを含む調製物、並びにこうした調製物の混合物も含む)の製造における難点は、噴霧凝集によって実施される最終の乾燥工程の間に、調製物が、平均粒子サイズが約150μmの、ブラックベリー状で、脆く、高度に分枝した、大量の塵を生じる構造を形成し、機械的応力により、非常に脆い構造の破壊を介して、その高い微粉分率(粒子<100μm)が更に一層増すことである。
【発明の概要】
【0003】
この背景に対して、本発明の目的は、冷水中で分散性である、主として無塵の粒子からなる調製物を提供することであった。
【0004】
この目的は、粒子からなる調製物によって成し遂げられ、粒子は、主要な構成要素として1種以上の疎水性粉末化剤を含むとともに活性物質含有粒子コアを包む、少なくとも1種のシェル層を有する。粒子におけるこのシェル層の比率は、好ましくは、0.5重量%~8重量%の範囲内、より好ましくは、0.8重量%~6重量%の範囲内、特に好ましくは、1重量%~5重量%の範囲内である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
好適な疎水性粉末化剤は、本発明に従って疎水化された微細酸化物であり、特に、ここでは、元素であるケイ素、アルミニウム、若しくはチタンの疎水化酸化物、又は上記元素の混合酸化物、又は上記酸化物の混合物である。ここで好ましいのは、疎水化されたヒュームドシリカ又は沈降シリカであり、特に、ここでは、疎水化沈降シリカである。
【0006】
本発明による疎水化酸化物、特に、ここでは、元素であるケイ素、アルミニウム、又はチタンの疎水化酸化物、それらの混合酸化物、及び上記酸化物の混合物は、少なくとも80m2/gのBET値及び/又は20μm以下の平均粒子径d50を有する。平均粒子径は、一般に、10nmから20μmの間である。
【0007】
本発明によれば好ましいのは、少なくとも80m2/gのBET値及び/又は、20μm以下の平均粒子径d50を有する、疎水化されたヒュームドシリカ又は沈降シリカであり、特に、ここでは、疎水化沈降シリカ、例えば、100m2/gのBET値及び10μmの平均粒子径d50(ISO13320-1に準拠してレーザー回折によって測定)を有するSipernat D-17である。
【0008】
疎水性粉末化剤のシェル層は、好ましくは、粒子コアを完全に包むように適用される。SEM画像分析によれば、粒子の被覆度は、少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%であり、粒子コアは、140~400μmの平均粒子径を有する。
【0009】
SEM画像は、Zeiss Ultra55装置を使用して生成した。検出器:二次電子(8kV)を用いた凹凸像。
【0010】
試料調製:
a)表面の調製:固定:Leit C-Tab、コーティング:約12nmのPt
b)断面の調製:固定:エポキシ樹脂(Struers製のEpoFix、No.40200029)への埋め込み、室温でのウルトラミクロトームによる切断、コーティング:およそ1炭素フィラメント
【0011】
疎水性粉末化剤を含むシェル層を、粒子コア上に直接、又は下層にある1つ以上の更なるシェル層の上に、適用することができる。
【0012】
製造により、15未満の低い塵数(ダスト数)、しかし好ましくは10未満の塵数、より好ましくは8未満の塵数を特徴とする、主として無塵の粒子がもたらされる。被覆粒子の塵数は、Palas GmbH、Karlsruhe、Germany製のDustView II塵測定装置を使用して測定される。
【0013】
測定に使用される装置は、ハッチを備えた試料漏斗、縦管(ダウンパイプ)、及び取り外し可能な塵ボックスを備えた塵チャンバーからなる。
【0014】
塵数の測定において、材料に所定の応力を加えた(自然落下及び衝撃)後に形成された発塵固形分を、定量的に記録する。
【0015】
発塵固形分は光ビームの減衰をもたらし、この減衰は光度測定で検出されるため、評価は光電子工学的に実施される。測定値は、制御ユニットで記録され、評価される。以下の測定値が、制御ユニットに数値として示される。
1. 0.5秒後の測定値(最大値)
2. 30秒後の測定値(塵値(ダスト値))
3. 塵数(最大値と塵値の合計)
【0016】
塵数は、以下のように判断される:
塵数25~100 発塵~強い発塵
塵数12~25 弱い発塵~発塵
塵数8~12 弱い発塵
塵数<8 ほぼ無塵~無塵。
【0017】
疎水性粉末化剤でコーティングした後で得られた粒子は、塵を含まない基準を満たすが、その疎水性コーティングゆえに、水分散性ではない。
【0018】
粒子を冷水中で分散性にするために、本発明によれば、粉末化剤の疎水性シェル層に、更なる物質(以下、分散剤と称する)を適用すること、及びこれを疎水性シェル層に均一に適用することが必要である。分散剤は、疎水性シェル層によって吸収されるが、適用される量に応じて、更なるシェル層を形成することもある。
【0019】
分散剤(こうした分散剤の混合物も勿論使用することができる)は、75°以下、好ましくは70°以下、より好ましくは60°以下の粒子の広がり(°)をもたらし、この広がりは、純粋な粉末化剤のペレット上で、本発明の場合、Sipernat D17のペレット上で実施される、25℃で、0.1秒後の接触角測定によって決定される。
【0020】
主成分である分散剤又は分散剤混合物に加えて、更なる物質を、分散剤に加えることができる。しかし、使用される場合、選択された物質は、純粋な主成分と比較して15%を超えて接触角を増加させてはならない。
【0021】
分散剤の接触角は、Sipernat D17のペレット上で測定する。室温で液体である物質は、RT(25℃)で測定し、RTで高粘性又は半固体である物質は、60℃に加熱し、次いでRTで測定する。このために、試料物質の小滴を、使い捨て注射器(ニードル径1.65mm)を使用して、RTで高さ1.5cmからペレット上に落とす。小滴とペレットとの間に形成される接触角を、Dataphysics製のOCAH150 plusを使用して測定する。これは、液滴法を使用して行われ、測定データを楕円フィッティングによって評価する。
【0022】
分散剤又は分散剤混合物を疎水性シェル層に適用することによって、得られる粒子の塵数が更に減ることになる。製造により、10未満の塵数、しかし好ましくは8未満の塵数、より好ましくは5未満の塵数を特徴とする粒子がもたらされる。
【0023】
意外なことに、本発明による分散剤として好適なものは、特に、前述の広がりに加えて、0.5~13のHLB値、好ましくは1~12.5のHLB値、より好ましくは1~5.5のHLB値を有する物質である。特に好ましい分散剤は、MCTオイル及び/又はモノラウリン酸プロピレングリコール(Lauroglycol FCC)、すなわち、冷水中の分散性を高めるとは予想されない疎水性物質、及び/又は特性において両親媒性であるLutensolである。
【0024】
調製物の粒子全体における分散剤の比率は、好ましくは0.5重量%~6重量%の範囲内、より好ましくは1重量%~4.5重量%の範囲内、特に好ましくは1.5重量%~3重量%の範囲内である。
【0025】
製造された被覆粒子の平均直径d50は、好ましくは、<400μmである。特定の一実施形態において、140μm≦d50≦300μm、より好ましくは、150μm≦d50≦275μmである。使用された顆粒の粒度分布曲線の累積分布のd10値は、好ましくは>90μmである。特定の一実施形態において、90μm≦d10≦125μm、より好ましくは、95μm≦d10≦110μmである。使用された顆粒の粒度分布曲線の累積分布のd90値は、好ましくは<550μmである。特定の一実施形態において、275μm≦d90≦540μm、より好ましくは、285μm≦d90≦500μmである。
【0026】
比較として、最終の乾燥工程が噴霧凝集によって実施され、ブラックベリー状で、脆く、高度に分枝した構造を形成する発塵調製物の粒子サイズは、d10=84μm、d50=137μm、及びd90=217μmである。
【0027】
本発明に関しては、粒子の粒子サイズは、Malvern製のMastersizer 2000装置を使用して、レーザー回折によって測定した。
【0028】
ケイ素含有疎水性粉末化剤、例えばSipernat D-17を使用し、分散剤としてMCTオイルを使用して適用する場合、g/100g Si及び%MCTの商から計算されるSi/MCT比は、0.2~1.2の範囲内、好ましくは0.25~1.0の範囲内であり、より好ましくは0.35~0.9の値を有する。Si含有量は、ICP-OES(誘導結合プラズマ発光分光分析法)(装置:Varian Vista 725-ES IP-OES(放射))によって、251nm及び611nmのSi波長で測定される。
【0029】
本発明による粒子の更なる利点は、起泡しないこと、又は感知し得る程度まで起泡しないことであり、これは、粒子の分散中に形成される気泡が、いかに迅速に崩壊するかを測定することによって証明される。測定では、250mlビーカーに、脱塩水90gを入れ、これを、水浴中で、公称温度25℃で、熱平衡化する。次いで、適当な粒子10gを磁気撹拌しながら加え、液体表面に固形物がもはや見えなくなるまで撹拌し続ける。次いで、磁気撹拌機を取り出し、混合物を、Ultra-Turraxを用いて、設定1(4000rpm)で2分間完全に混合する。ここで、液体と空気の両方が、シャフトのスロットを通じて、分散器具中を確実に通過するように注意する。Ultra-Turraxで混合した直後に、泡沫状溶液を250mlのメスシリンダーに移し、初期容量を測定する。移した時間の10分後、並びに1時間後、2時間後、3時間後、及び4時間後に、更に読み取る。全充填高さ、すなわち、気泡及び液体の全容量を、液体の容量で割ることによって、起泡率を計算する。分散中にあまり安定しない気泡を形成することが、本発明による粒子の特徴である。気泡は、ちょうど1時間放置した後、ほぼ完全に崩壊し、その結果、1時間後に測定された起泡率は1.2以下である。
【0030】
本発明のために、非水溶性又は僅かにのみ水溶性の活性物質は、以下の媒体:水、0.1M塩酸水溶液、リン酸緩衝水溶液pH7.2、0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液の少なくとも1種におけるRT(25℃)での飽和溶解度が、1重量%未満である物質を意味するものと理解されるべきである。
【0031】
したがって、本発明に従って使用するのに好適な、非水溶性又は僅かにのみ水溶性の活性物質には、多くの活性物質及び有効物質、特に、医薬用又は化粧用の活性物質、食品サプリメント又は食事療法剤(dietary agent)又は食品添加物用の活性物質が含まれる。
【0032】
本発明のための難溶性(僅かに水溶性)の物質の例は、ピロキシカム、クロトリマゾール、カルバマゼピン、17-β-エストラジオール、スルファチアゾール、フェノフィブレート、ベンゾカイン、リドカイン、ジメチンデン、ビペリデン、ビサコジル、クリオキノール、ドロペリドール、ハロペリドール、ニフェジピン、ニトレンジピン、テトラサイクリン、フェニトイン、グラフェニン、フロクタフェニン、インドメタシン、ケトプロフェン、イブプロフェン、ジピリダモール、メフェナム酸、アミオダロン、フェロジピン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ダナゾール、フロセミド、トルブタミド、リトナビル、ロピナビル、ナプロキセン、スピロノラクトン、プロパフェノン、プロゲステロン、パクリタキセル、ドセタキセル、テオフィリン、ヒドロコルチゾン、β-カロテン、カンタキサンチン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、ルテイン、リコペン、カプサンチン、カプソルビン、α-クリプトキサンチン及びβ-クリプトキサンチン、シトラナキンサンチン、ビキシン、エキネノン、β-アポ-4-カロテナール、β-アポ-8-カロテナール、β-アポ-8-カロテンエステル、ビタミンA、酢酸トコフェロール、リボフラビン、ビタミンQ10、ビタミンD、ビタミンK、ジスルフィラム、ニモジピン、クロロチアジド、クロルプロパミド、ジクマロール、クロラムフェニコール、ジゴキシン、ロニダミン、ピゾチフェン、アトバコン、アンプレナビル、ベキサロテン、カルシトリオール、クロファジミン、ドキセルカルシフェロール、ドロナビノール、デュタステリド、エトポシド、ロラタジン、リスペリドン、サキナビル、シロリムス、バルプロ酸、アムホテリシン、アルプロスタジル、カルムスチン、クロルジアゼポキシド、フェノルドパム、メルファラン、メトカルバモール、オキシテトラサイクリン、ドセタキセル、フルベストラント、プロポフォール、ボリコナゾール、ジプラシドン、リュープロレリン酢酸塩、Viadur、バルルビシン、トラマドール、セレコキシブ、エトドラク、ロフェコキシブ、オキサプロジン、レフルノミド、ジクロフェナク、ナブメトン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、テトラヒドロカンナビノール、カプサイシン、ケトロラク、アルベンダゾール、イベルメクチン、アミオダロン、ジロートン、ザフィルルカスト、サルブタモール、モンテルカスト、アジスロマイシン、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、リファブチン、リファペンチン、トロバフロキサシン、バクロフェン、リトナビル、サキナビル、ネルフィナビル、エファビレンツ、ジクマロール、チロフィバン、シロスタゾール、チクロピジン、クロピドグレル、オプレルベキン、パロキセチン、セルトラリン、ベンラファキシン、ブプロピオン、クロミプラミン、ミグリトール、レパグリニド、グリメピリド、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、トログリタゾン、グリブリド、グリピジド、グリベンクラミド、フォスフェニトイン、チアガビン、トピラマート、ラモトリギン、ビガバトリン、アムホテリシンB、ブテナフィン、テルビナフィン、イトラコナゾール、フルコナゾール、ミコナゾール、ケトコナゾール、メトロニダゾール、グリセオフルビン、ニトロフラントイン、リシノプリル、ベナゼプリル、ニフェジピン、ニソルジピン、テルミサルタン、イルベサルタン、エプロサルタン、バルサルタン、カンデサルタン、ミノキシジル、テラゾシン、ハロファントリン、メフロキン、ジヒドロエルゴタミン、エルゴタミン、フロバトリプタン、ピゾチフェン、スマトリプタン、ゾルミトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、アミノグルテチミド、ブスルファン、シクロスポリン、ミトキサントロン、イリノテカン、エトポシド、テニポシド、パクリタキセル、タクロリムス、シロリムス、タモキシフェン、カンプトテシン、トポテカン、ニルタミド、ビカルタミド、トレミフェン、アトバコン、メトロニダゾール、フラゾリドン、パリカルシトール、ベンゾナテート、ミダゾラム、ゾルピデム、ガバペンチン、ゾピクロン、ジゴキシン、ベクロメタゾン、ブデソニド、ベタメタゾン、プレドニゾロン、シサプリド、シメチジン、ロペラミド、ファモチジン、ランソプラゾール、ラベプラゾール、ニザチジン、オメプラゾール、セチリジン、シンナリジン、デクスクロルフェニラミン、ロラタジン、クレマスチン、フェキソフェナジン、クロルフェニラミン、アシトレチン、タザロテン、カルシポトリオール、カルシトリオール、タルグレチン、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、イソトレチノイン、トレチノイン、カルシフェジオール、フェノフィブラート、プロブコール、ゲムフィブロジル、セリバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、チザニジン、ダントロレン、二硝酸イソソルビド、ジヒドロタキステロール、必須脂肪酸、コデイン、フェンタニル、メタドン、ナルブフィン、ペンタゾシン、クロミフェン、ダナゾール、ジヒドロエピアンドロステロン、メドロキシプロゲステロン、プロゲステロン、リメキソロン、酢酸メゲストロール、エストラジオール、フィナステリド、ミフェプリストン、l-チロキシン、タムスロシン、メトキサレン、タクリン、ドネペジル、ラロキシフェン、ベルテポルフィン、シブトラミン、ピリドスチグミン、及びそれらの異性体、誘導体、塩、又は混合物である。
【0033】
特に好ましいのは、カロテノイドβ-カロテン、カンタキサンチン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、ルテイン、リコペン、カプサンチン、カプソルビン、α-クリプトキサンチン及びβ-クリプトキサンチン、シトラナキンサンチン、ビキシン、エキネノン、β-アポ-4-カロテナール、β-アポ-8-カロテナール、β-アポ-8-カロテンエステル、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンK、及び酢酸トコフェロール、並びにそれらの異性体、誘導体、塩、又は混合物である。
【0034】
本発明の調製物における、非水溶性又は僅かにのみ水溶性の活性物質の含有量は、調製物の乾燥質量に対して、0.1重量%~60重量%の範囲内、好ましくは0.2重量%~50重量%の範囲内、特に好ましくは0.5重量%~25重量%の範囲内、極めて特に好ましくは、1重量%~20重量%の範囲内である。
【0035】
カロテノイドβ-カロテン、カンタキサンチン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、ルテイン、リコペン、カプサンチン、カプソルビン、α-クリプトキサンチン及びβ-クリプトキサンチン、シトラナキンサンチン、ビキシン、エキネノン、β-アポ-4-カロテナール、β-アポ-8-カロテナール、β-アポ-8-カロテンエステル、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンK、及び酢酸トコフェロール、並びにそれらの異性体、誘導体、塩、又は混合物の場合、本発明の調製物における含有量は、特に好ましくは、0.5重量%~25重量%、極めて特に好ましくは、1重量%~20重量%である。
【0036】
非水溶性又は僅かにのみ水溶性の活性物質を含む調製物の安定性を増すために、保護コロイド、軟化剤、及び/又は安定剤を、活性物質配合物に取り入れることが有利である。
【0037】
使用される保護コロイドは、植物ゴム、変性植物ゴム、ゼラチン、修飾ゼラチン、デンプン、加工デンプン、リグノスルホン酸塩、キトサン、カラギーナン、カゼイン、カゼイン塩、乳漿タンパク質、ゼイン、変性セルロース、ペクチン、変性ペクチン、植物タンパク質、及び変性植物タンパク質、又はそれらの混合物である。しかし、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びアルギン酸塩も使用し得る。
【0038】
調製物の機械的安定性を増すために、軟化剤、例えば、糖若しくは糖アルコール、例えば、スクロース、グルコース、ラクトース、転化糖、ソルビトール、マンニトール、グリセロール、パラチノース、又はそれらの混合物を、コロイドに添加することが好都合である。
【0039】
コロイド及び軟化剤と、カロテノイド溶液との比は、一般に、3重量%~20重量%の活性物質、10重量%~50重量%のコロイド、20重量%~70重量%の軟化剤を含む乾燥生成物を得るように選択される。
【0040】
酸化分解に対する活性物質の安定性を増すために、1種以上の安定剤、例えば、α-トコフェロール、t-ブチル-ヒドロキシトルエン、t-ブチル-ヒドロキシアニソール、アスコルビン酸、没食子酸プロピル、又はエトキシキンを、配合物の乾燥質量に対して、0重量%~10重量%、好ましくは、0.5重量%~8重量%添加することが有利であり得る。
【0041】
乳化剤、例えば、パルミチン酸アスコルビル、脂肪酸のポリグリセロールエステル、脂肪酸のソルビタンエステル、脂肪酸のプロピレングリコールエステル、又はレシチンを、使用される活性物質に対して、0重量%~200重量%、好ましくは5重量%~150重量%、より好ましくは10重量%~80重量%の濃度で、追加的に用いてよい。
【0042】
生理学的に許容される油、例えば、ゴマ油、トウモロコシ穀粒油、綿実油、大豆油、若しくは落花生油、又は中鎖植物性脂肪酸のエステルを、活性物質に対して、0重量%~500重量%、好ましくは10重量%~300重量%、より好ましくは20重量%~100重量%の濃度で、追加的に用いることが有利であり得る場合もある。
【0043】
本発明は、本発明の調製物を製造する方法も提供する。
【0044】
方法は、以下のステップ:
a)50℃から200℃の間の温度で、任意選択的に高圧下で、10秒未満の時間内に、非水溶性若しくは僅かにのみ水溶性の活性物質(複数可)を、揮発性の水混和性有機溶媒に、若しくは水と水混和性有機溶媒との混合物に、溶解させるステップ、
b)0℃から50℃の間の温度で、a)の後で得られた溶液を、コロイドの、水性溶液若しくはコロイド状分散溶液と迅速に混合するステップであって、非水溶性若しくは僅かにのみ水溶性の活性物質(複数可)が、コロイド状分散形態で沈殿する(precipitated in colloidally dispersed form)、ステップ、
c)疎水性粉末化剤を追加的に使用して、コロイド分散液を噴霧し、溶媒の大部分を除去して次いで乾燥させることによってこれを乾燥粉末へ変えるステップ、及び
d)少なくとも1種の分散剤を、自由流動粒子へ適用するステップ、
又は、
a2)30~150℃の温度で、任意選択的に高圧下で、非水溶性若しくは僅かにのみ水溶性の活性物質(複数可)を、揮発性の、水非混和性有機溶媒に溶解させるステップ、
b2)a)の後で得られた溶液を、コロイドの、水性溶液若しくはコロイド状分散溶液と混合して、エマルジョンを生成するステップ、
c2)エマルジョンから有機溶媒を除去し、生成された懸濁液/分散液に疎水性粉末化剤を添加し、水を除去して次いで乾燥させることによってこれを乾燥粉末へ変えるステップ、及び
d2)少なくとも1種の分散剤を自由流動粒子へ適用するステップ、
を含む。
【0045】
本発明の方法を実行するのに好適な溶媒は、主に、水混和性、熱安定性、揮発性であり、炭素、水素、及び酸素のみを含む溶媒、例えば、アルコール、エーテル、エステル、ケトン、及びアセタールである。好ましいのは、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタン-1,2-ジオール1-メチルエーテル、プロパン-1,2-ジオール1-n-プロピルエーテル、又はアセトンを使用することである。一般に、水と少なくとも10%混和性であり、200℃未満の沸点を有し、及び/又は10個よりも少ない炭素原子を有する溶媒を使用することが好都合である。
【0046】
使用される保護コロイドの種類及び量に応じて、プロセスステップb)又はb2)の後で、濃い有色の粘性液体が得られる。溶媒は、例えば水非混和性溶媒による抽出によって、又は沸点に応じて、それ自体既知の方法、例えば蒸留(任意選択的に、減圧下での蒸留)によって、除去してよい。この場合において、イソプロパノールを使用する場合に得られる共沸混合物を、水を除去することなく、溶媒として直接使用することが、好都合且つ可能であることが分かった。しかし、噴霧乾燥又は噴霧造粒によって、水の除去に並行して溶媒を除去することが好ましい。
【0047】
本発明の粉状調製物は、とりわけ、食品調製物への添加剤(例えば、飲料等の食品を着色するための食品調製物への添加剤)として、医薬用調製物及び化粧用調製物を製造するための手段として、並びに食品サプリメント調製物(例えば、ヒト及び動物領域における複合ビタミン調製物)を製造するための手段として、好適である。
【0048】
本発明は、前述の、本発明の粉状配合物の、動物飼料、食品、食品サプリメント、パーソナルケア製品、又は医薬組成物への添加剤としての使用を更に提供する。
【0049】
本発明は、同様に、本発明の粉状調製物を含む、動物飼料、食品、食品サプリメント、パーソナルケア製品、又は医薬組成物を提供する。
【実施例】
【0050】
本発明は、以下の実施例によって説明されるが、これは、本発明を全く制限するものではない。
【0051】
[例]
1. アスタキサンチン、パルミチン酸アスコルビル、及びトコフェロールを、水とイソプロパノールとの共沸混合物中に、100℃~200℃の温度及び20バール(2MPa)から100バール(10MPa)の間の圧力で、10秒未満の時間内に溶解させる。
2. カゼイン酸ナトリウム、グルコースシロップ、アスコルビン酸ナトリウム、及び防腐剤を水に溶解させる。
3. 2.からの混合物を、約1%のNaOHで処理する。
4. 1.及び2.からの調製物を、20℃から80℃の間の温度で混合すると、アスタキサンチンが沈殿し、カプセル化される/包まれる。
5. イソプロパノール及び水の一部を、大気圧未満の圧力で、多段蒸発で除去し、15~65重量パーセントの(懸濁液)分散液を形成する。
6. この分散液を、噴霧塔の頂上で疎水性シリカと共に噴霧し、疎水性シリカで包まれた細かい小滴を形成する。
7. 乾燥させるステップを、下流の流動床において実施する。
8.後続のステップにおいて、MCTオイルを噴霧する。
【0052】
本発明による最終生成物として得られる、被覆自由流動粒子は、2.4の塵値及び170μmのD50を有する。ケイ素含有量は1.4%であり、MCT含有量は2.4%であり、これは、Si(%)とMCT(%)との比0.58に対応する。Sipernat D17ペレットの表面に対して、0.1秒後に25℃で測定した粒子の接触角は、54°である。
本開示の態様として、以下のものを挙げることができる。
[1]
1種以上の層で被覆された、非水溶性又は僅かにのみ水溶性の活性物質(複数可)を含む粒子であって、最外層が、少なくとも1種の分散剤が吸収された1種以上の疎水性粉末化剤を主成分として含む、粒子。
[2]
25℃で0.1秒後に測定された、1種の分散剤及び/又は複数種の分散剤の、純粋な粉末化剤製のペレットの表面に対する接触角が、75°以下である、態様1に記載の被覆粒子。
[3]
1種の分散剤及び/又は複数種の分散剤が、0.5~13、より好ましくは1~12.5、特に好ましくは1~5のHLB値を有する、態様1又は2に記載の被覆粒子。
[4]
分散剤が、MCTオイル及び/又はLauroglycol及び/又はLutensolを含む、態様1から3のいずれか一つに記載の被覆粒子。
[5]
疎水性粉末化剤による粒子表面の被覆度が、少なくとも70%である、態様1から4のいずれか一つに記載の被覆粒子。
[6]
疎水性粉末化剤による粒子表面の被覆度が、少なくとも80%である、態様1から4のいずれか一つに記載の被覆粒子。
[7]
疎水性粉末化剤が、疎水化微細酸化物である、態様1から6のいずれか一つに記載の被覆粒子。
[8]
疎水性微細酸化物が、アルミニウム、ケイ素、亜鉛、及びチタンの疎水化酸化物からなる群から選択される、態様7に記載の被覆粒子。
[9]
疎水化酸化物が、疎水化シリカである、態様8に記載の被覆粒子。
[10]
疎水性粉末化剤が、少なくとも80m
2
/gの表面積を有する、態様7から9のいずれか一つに記載の被覆粒子。
[11]
疎水性粉末化剤が、20μm以下の平均粒子サイズを有する、態様7から10のいずれか一つに記載の被覆粒子。
[12]
疎水性粉末化剤が、10nm~20μmの平均粒子サイズを有する、態様11に記載の被覆粒子。
[13]
粒子100gに対する疎水化シリカとMCTオイルとの比が、0.2~1.2である、態様1から12のいずれか一つに記載の被覆粒子。
[14]
態様1から13のいずれか一つに記載の被覆粒子からなる調製物であって、30秒後の塵値が10未満である、調製物。
[15]
態様1から13のいずれか一つに記載の粒子を製造する方法であって、以下のステップ: a)50℃から200℃の間の温度で、任意選択的に高圧下で、10秒未満の時間内に、非水溶性若しくは僅かにのみ水溶性の活性物質(複数可)を、揮発性の水混和性有機溶媒に、若しくは水と水混和性有機溶媒との混合物に、溶解させるステップ、
b)0℃から50℃の間の温度で、a)の後で得られた溶液を、コロイドの、水性溶液若しくはコロイド状分散溶液と、迅速に混合するステップであって、非水溶性若しくは僅かにのみ水溶性の活性物質(複数可)が、コロイド状分散形態で沈殿する、ステップ、
c)疎水性粉末化剤を追加的に使用して、コロイド分散液を噴霧し、溶媒の大部分を除去して次いで乾燥させることによってこれを乾燥粉末へ変えるステップ、及び
d)少なくとも1種の分散剤を、自由流動粒子へ適用するステップ、
又は、
a2)30~150℃の温度で、任意選択的に高圧下で、非水溶性若しくは僅かにのみ水溶性の活性物質(複数可)を、揮発性の水非混和性有機溶媒に溶解させるステップ、
b2)a)の後で得られた溶液を、コロイドの、水性溶液若しくはコロイド状分散溶液と混合して、エマルジョンを生成するステップ、
c2)エマルジョンから有機溶媒を除去し、生成された懸濁液/分散液に疎水性粉末化剤を添加し、水を除去して次いで乾燥させることによってこれを乾燥粉末へ変えるステップ、及び
d2)少なくとも1種の分散剤を自由流動粒子へ適用するステップ
を含む、方法。
[16]
態様1から13のいずれか一つに記載の被覆粒子及び態様14に記載の調製物の、食品サプリメント、食品、動物飼料、パーソナルケア製品、及び医薬品の形態での使用。