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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】複合ウェーハの加工方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20250218BHJP
   H01L 25/07 20060101ALN20250218BHJP
   H01L 25/065 20230101ALN20250218BHJP
   H01L 25/18 20230101ALN20250218BHJP
【FI】
H01L21/78 F
H01L21/78 C
H01L25/08 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020207654
(22)【出願日】2020-12-15
(65)【公開番号】P2022094648
(43)【公開日】2022-06-27
【審査請求日】2023-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】バン ヒョンジン
(72)【発明者】
【氏名】キム テヒ
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-126933(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0110842(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
H01L 25/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面に交差する複数のストリートが設定された半導体ウェーハと、
該第1面の背面となる該半導体ウェーハの第2面側を封止する封止樹脂層と、
を有する複合ウェーハの加工方法であって、
該複合ウェーハの該封止樹脂層側にテープを貼着するテープ貼着ステップと、
該テープを介して該複合ウェーハを保持テーブルで保持して該複合ウェーハの反りを矯正する保持ステップと、
該保持テーブルで保持された該複合ウェーハの該半導体ウェーハの該第1面を撮像し各該ストリートの各位置を検出するストリート検出ステップと、
該ストリート検出ステップで検出したそれぞれの該ストリートに沿って第1切削ブレードで少なくとも該半導体ウェーハを完全切断する深さの第1の溝を形成し該反りを解放するハーフカットステップと、
該ハーフカットステップを実施した後、再び該第1面を撮像し各該第1の溝の各位置を溝の画像によるパターンマッチングにより検出する溝検出ステップと、
該溝検出ステップで検出した各該第1の溝の各位置に沿って該第1の溝の幅より薄い第2切削ブレードで該複合ウェーハを切断して個々のチップパッケージへと分割するフルカットステップと、を備えた複合ウェーハの加工方法。
【請求項2】
該溝検出ステップは、
該第1の溝が交差するエリアを撮像し、十字状の影を含む画像をターゲットパターンとして登録するステップと、
複数箇所で撮像した各撮像画像と、該ターゲットパターンとを、パターンマッチングし、該第1の溝が交差する箇所の座標を検出するステップと、
を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の複合ウェーハの加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハの裏面が樹脂封止された複合ウェーハの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウェーハと樹脂層とを有する複合ウェーハの加工において、半導体ウェーハと樹脂層を段階的に切削するステップカットによるダイシングを行い、チップに分割することが知られている。
【0003】
半導体ウェーハの部分の切削には半導体ウェーハ用の切削ブレードが用いられ、樹脂層の部分の切削には樹脂用の切削ブレードが用いられる。樹脂層の切削には、一般に、半導体ウェーハを加工する切削ブレードよりも粗い砥粒径の切削ブレードの利用が適するとされている。
【0004】
また、ステップカットにより切削加工が行われる際には、複合ウェーハのハンドリングを容易にするために、複合ウェーハと環状フレームをテープに貼着してウェーハユニットとし、ウェーハユニットの状態でハンドリングがなされる。
【0005】
他方、複数の半導体デバイスを一つのパッケージに集積する手法の一つに、複数の半導体デバイスチップを縦方向に積層して実装する三次元実装が知られており、特許文献1においては、その積層方法の一つであるCOW(Chip On Wafer)について開示されている。
【0006】
COW(Chip On Wafer)の実装方法では、半導体ウェーハの裏面側にバンプ等を介して複数の半導体デバイスを積層してマウントし、樹脂で封止して複合ウェーハを形成する。そして、このように形成された複合ウェーハについてストリート(分割予定ライン)を検出し、上述したように2種類の切削ブレードを利用してダイシングを行うことでチップに分割される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2012-134231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上に説明したCOWの実装方法により形成される複合ウェーハでは、半導体ウェーハと封止樹脂の両者の熱膨張率が違うため、樹脂封止工程等での加熱によって全体的に反りが生じている場合が多い。
【0009】
このように反りが生じた複合ウェーハが切削加工の際にテープに貼着され、平坦な保持テーブルに保持された際には、その反りが矯正され平坦化されることになる。ところが、このように平坦化された状態で検出されたストリート(分割予定ライン)に沿って半導体ウェーハの部分を切削ブレードで切削し溝を形成すると、複合ウェーハの反りが解放されて、切削加工前に検出されていたストリートの位置からずれた箇所に溝が配置されることになる。
【0010】
そして、この状態で樹脂用の切削ブレードで樹脂部分をフルカットすると、切削加工前に検出されていたストリートの位置とはずれた位置を切削加工してしまい、デバイス部分を損傷してしまうおそれがある。
【0011】
以上に鑑み、本願発明は、半導体ウェーハと樹脂層を積層した複合ウェーハをステップ加工する方法において、新規な技術を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0013】
本発明の一態様によれば、
第1面に交差する複数のストリートが設定された半導体ウェーハと、
該第1面の背面となる該半導体ウェーハの第2面側を封止する封止樹脂層と、
を有する複合ウェーハの加工方法であって、
該複合ウェーハの該封止樹脂層側にテープを貼着するテープ貼着ステップと、
該テープを介して該複合ウェーハを保持テーブルで保持して該複合ウェーハの反りを矯正する保持ステップと、
該保持テーブルで保持された該複合ウェーハの該半導体ウェーハの該第1面を撮像し各該ストリートの各位置を検出するストリート検出ステップと、
該ストリート検出ステップで検出したそれぞれの該ストリートに沿って第1切削ブレードで少なくとも該半導体ウェーハを完全切断する深さの第1の溝を形成し該反りを解放するハーフカットステップと、
該ハーフカットステップを実施した後、再び該第1面を撮像し各該第1の溝の各位置を検出する溝検出ステップと、
該溝検出ステップで検出した各該第1の溝の各位置に沿って該第1の溝の幅より薄い第2切削ブレードで該複合ウェーハを切断して個々のチップパッケージへと分割するフルカットステップと、を備えた複合ウェーハの加工方法とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、半導体ウェーハを完全切断するハーフカットステップを実施して第1の溝を形成して複合ウェーハの反りを解放した後、第1の溝の実際の位置を検出し、検出した第1の溝に沿って複合ウェーハをフルカットする。これにより、実際のストリートの位置に対応する第1の溝の位置と一致する位置を正確にフルカットすることができ、位置ずれによってデバイス部分を損傷することなく、チップパッケージに分割することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(A)は複合ウェーハの一例について示す図である。(B)は複合ウェーハに反りが生じている状態について示す図である。
図2】複合ウェーハの断面について示す図である。
図3】複合ウェーハの切削加工に用いる切削装置の一例について示す図である。
図4】本発明の加工方法の一実施形態のフローを示すフローチャートである。
図5】ウェーハユニットの構成について示す図である。
図6】保持テーブルに複合ウェーハが保持された状態について示す図である。
図7】(A)(B)は第1方向に伸びるストリートの検出について説明する図である。(C)(D)は第2方向に伸びるストリートの検出について説明する図である。
図8】ストリート検出用のターゲットパターン等の登録について説明する図である。
図9】ハーフカットステップについて説明する図である。
図10】ハーフカットステップにおいて半導体ウェーハが切断される様子ついて説明する図である。
図11】(A)(B)は第1方向に伸びる第1の溝の検出について説明する図である。(C)(D)は第2方向に伸びる第1の溝の検出について説明する図である。
図12】フルカットステップにおいて樹脂を切削し第2の溝を形成する様子について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1(A)は、本発明の加工対象となる複合ウェーハWについて示す図である。
複合ウェーハWは、表面となる第1面10aに交差する複数のストリート3が設定された半導体ウェーハ10と、第1面10aの背面となる半導体ウェーハ10の第2面10b側を封止する封止樹脂層20と、を有して構成される。
【0017】
図1(B)に示すように、半導体ウェーハ10と封止樹脂層20のそれぞれの熱膨張率が違うことにより、複合ウェーハWには反りが生じている。この例では、封止樹脂層20の熱膨張率が大きいことにより、下側の封止樹脂層20が伸び、上側の半導体ウェーハ10が縮むようにして、全体としてウェーハの中心が下側に膨らむような反りが生じた状態となっている。
【0018】
図2は、複合ウェーハWの断面図であり、COW(Chip On Wafer)の形態による実装がされた状態を示している。半導体ウェーハ10にはデバイスDが形成され、デバイスDの表面側にバンプBが配置されている。また、デバイスDの裏面側には、バンプを介してデバイスチップCが複数積層される。積層された各デバイスチップCは、樹脂Rにより封止がされ、封止樹脂層20が形成される。
【0019】
図3は、複合ウェーハWの切削加工に用いる切削装置の一例について示す図である。
切削装置50は、2つの切削ユニット51,52を有し、デュアルダイサーとして構成され、後述するように二段階のステップカットを行うことができる。なお、1つの切削ユニットを備える切削装置を2つ用い、各切削装置で順に切削することでステップカットが行われることとしてもよい。
【0020】
切削装置50の基台55には保持テーブル60が配設される。保持テーブル60は、図示せぬ移動機構により加工送り方向であるX軸方向に往復移動するように構成される。また、図示せぬ回転機構により、水平面内で回転するように構成される。
【0021】
保持テーブル60には、複合ウェーハWがテープTに貼着されたウェーハユニットUが順次供給され、保持テーブル60の保持面62aにおいて、複合ウェーハWがテープTを介して吸引保持される。
【0022】
基台55上には門型形状のコラム56が立設されており、コラム56には、第1切削ユニット51及び第二切削ユニット52をそれぞれY軸方向及びZ軸方向に移動可能に支持する移動機構57,58が設けられる。各切削ユニット51,52には、図示せぬモータにより回転駆動される切削ブレード51a,52aが設けられる。
【0023】
次に、本発明にかかる複合ウェーハの加工方法の実施例について説明する。図4は、加工方法の一実施形態のフローを示すフローチャートである。以下順に各ステップについて説明する。
【0024】
<テープ貼着ステップ>
図5に示すように、複合ウェーハWの封止樹脂層20側にテープTを貼着するステップである。
【0025】
本実施例では、テープTの粘着層に対し、複合ウェーハWの封止樹脂層20を貼着させる。また、複合ウェーハWの周囲を囲むように環状のフレームFがテープTに貼着され、複合ウェーハWとフレームFが一体化されたウェーハユニットUが構成される。
【0026】
<保持ステップ>
図6に示すように、テープTを介して複合ウェーハWを保持テーブル60で保持して複合ウェーハWの反りを矯正するステップである。
【0027】
図6に示すように、保持テーブル60は、表面に平坦な保持面62aを形成する多孔質プレート62と、クランプ機構64と、を有して構成される。
【0028】
多孔質プレート62は、吸引路65と制御バルブ66を介して吸引源67に接続されており、制御バルブ66を開くことで保持面62aに負圧が生じる。
【0029】
クランプ機構64は、ウェーハユニットUのフレームFを挟持し、ウェーハユニットU全体を保持テーブル60にて保持した状態とする。
【0030】
以上の構成において、保持面62aに負圧を生じさせると、テープTを介して複合ウェーハWが保持面62a側に引き寄せられ、平坦な保持面62aに沿うように平坦化される。これにより、複合ウェーハWに存在していた反りが矯正される。
【0031】
<ストリート検出ステップ>
図6及び図7に示すように、保持テーブル60で保持された複合ウェーハWの半導体ウェーハ10の第1面10aを撮像し各ストリート3の各位置を検出するステップである。
【0032】
このストリート検出ステップを行うために、図2に示す切削装置50のコントローラ100に、予めストリート検出用のターゲットパターンと、ターゲットパターンからストリートまでの位置関係と、が登録される。
【0033】
具体的には、図8に示すように、ターゲットパターンPtは、各デバイスDに形成される特徴的なキーパターンPkと同一のパターンであり、ストリート検出の際には、各デバイスDのキーパターンPkが、登録されたターゲットパターンPtとパターンマッチングされて検出される。また、キーパターンPkから第1方向F1に伸びるストリート3の中心(分割予定ライン)までの規定距離d1と、キーパターンPkから第2方向F2に伸びるストリート3の中心(分割予定ライン)までの規定距離d2も、合わせて登録される。
【0034】
ストリート検出ステップでは、図6に示すように、撮像カメラ70により、保持テーブル60の上方から半導体ウェーハ10の第1面10aを撮像する。撮像画像に基づいて、パターンマッチングによりキーパターンPk(図8)を検出するとともに、規定距離d1,d2(図8)からストリート3の位置(ストリート3の中心の位置)を検出する。
【0035】
ストリート3の位置の検出は、図7(A)(B)に示すように、第1方向F1に伸びる全てのストリート、及び、第2方向F2に伸びる全てのストリートについて、それぞれ検出される。具体的には、図7(A)に示すように、例えば、第1方向F1に伸びるストリート3aについて、撮像カメラ70によりX軸方向の一端側を撮像した後、図7(B)に示すように、複合ウェーハWをX軸方向に移動して他端側を撮像する。複数箇所で撮像した各撮像においてパターンマッチングによりキーパターンを検出し、各キーパターンから規定距離にある点を結ぶようにして、ストリートのY軸方向座標を確定し、コントローラ100(図3)に記憶する。なお、確定したストリートが加工送り方向であるX軸方向と平行でなくずれている場合には、ずれ角度も記憶されることとしてもよい。
【0036】
以上のようにして、第1方向F1に伸びるストリート3aについて、その位置(Y軸方向座標)とずれ角度が検出された後、撮像カメラ70をY軸方向に移動させ、同様にして隣りにあるストリート3bについて位置とずれ角度の検出を行う。第1方向F1に伸びる全てのストリートについて位置等を検出した後は、図7(C)(D)に示すように、複合ウェーハWを90度回転させ、第2方向F2に伸びるストリート3c,3d等について同様に位置等を検出する。
【0037】
以上のようにして、第1方向F1、第2方向F2に伸びる全てのストリートについて、個別に位置やずれ角度が検出され、記憶される。
【0038】
<ハーフカットステップ>
図9及び図10に示すように、ストリート検出ステップで検出したそれぞれのストリート3に沿って第1切削ブレード51aで少なくとも半導体ウェーハ10を完全切断する深さの第1の溝M1を形成し複合ウェーハWの反りを解放するステップである。
【0039】
具体的には、切削対象となるストリートについて、当該ストリートの位置とずれ角度(加工送り方向であるX軸方向とのずれ角度)を参照し、第1切削ブレード51aと保持テーブル60を適宜移動して、第1切削ブレード51aの厚み方向の中心位置を当該ストリートの位置(Y軸方向座標)一致させるとともに、保持テーブル60を回転させて当該ストリートの方向と加工送り方向(X軸方向)が平行になるようにする。
【0040】
次いで、第1切削ブレード51aを半導体ウェーハ10を完全切断する高さ位置に位置付けるとともに高速回転させ、保持テーブル60を加工送りすることで、ストリート3に沿って第1の溝M1(図10)を形成する。
【0041】
上述のストリート検出ステップを終えた段階では、複合ウェーハWにおいて第2方向F2に伸びるストリートが、X軸方向と平行とされており、まずは、第2方向F2に伸びるストリートについて第1の溝M1が形成される。
【0042】
具体的には、第2方向F2に伸びるあるストリート3について第1の溝M1を形成した後、Y軸方向において隣りにあるストリート3について位置とずれ角度を参照し、同様にして第1の溝M1を形成する。第2方向F2に伸びる全てのストリート3について第1の溝M1を形成した後は、保持テーブルを90度回転させて第1方向F1に伸びる全てのストリート3について同様に第1の溝M1を形成する。
【0043】
なお、ストリート検出ステップを終えた後に複合ウェーハWを90度回転させるとともに、第1方向F1に伸びるストリートについて先に第1の溝を形成し、次に第2方向F2に伸びるストリートについて第1の溝を形成することとしてもよい。
【0044】
以上のように、各ストリートについて個別に位置とずれ角度を参照し切削加工を行うことで、複合ウェーハWに反りが生じていた場合であっても、各ストリートの実際の位置と一致する位置に正確に溝加工を行うことができる。
【0045】
そして、半導体ウェーハ10が第1の溝M1によって完全に切断されることで、半導体ウェーハ10が反ることによって生じていた内部応力が開放され、複合ウェーハW全体に生じていた反りを解消することができる。なお、第1切削ブレード51aは封止樹脂層20に到達することで、樹脂Rの一部が切削されることとなる。
【0046】
<溝検出ステップ>
ハーフカットステップを実施した後、再び半導体ウェーハ10の第1面10aを撮像し各第1の溝M1の各位置を検出するステップである。
【0047】
具体的には、撮像カメラ70(図6)により、半導体ウェーハ10の第1面10aに形成された第1の溝M1を撮像し、図11(A)~(D)に示すように、第1方向F1、第2方向F2に伸びる各第1の溝M1について、位置位置とずれ角度(加工送り方向であるX軸方向とのずれ角度)を検出する。
【0048】
上述のハーフカットステップを終えた段階では、複合ウェーハWにおいて第1方向F1に伸びるストリートが、X軸方向と平行とされており、まずは、第1方向F1に伸びるストリートについて第1の溝M1の検出が行われる。
【0049】
この検出に際し、まず、図2に示す切削装置50のコントローラ100に、第1の溝を検出するためのターゲットパターンが登録される。具体的には、図11(A)に示すように、第1の溝M1が交差するエリアを撮像し、十字状の影を含む画像をターゲットパターンPmとして登録する。
【0050】
次いで、例えば、図11(A)に示すように第1方向F1に伸びる第1の溝M1aについて、撮像カメラ70によりX軸方向の一端側を撮像した後、図11(B)に示すように、複合ウェーハWをX軸方向に移動して他端側を撮像する。複数箇所で撮像した各撮像画像においてパターンマッチングにより第1の溝が交差する箇所の座標を検出し、当該座標を結ぶようにして、第1の溝M1aのY軸方向座標を確定し、コントローラ100(図2)に記憶する。なお、確定した第1の溝M1aが加工送り方向であるX軸方向と平行でなくずれている場合には、ずれ角度も記憶されることとしてもよい。
【0051】
以上のようにして、第1の溝M1aについて、その位置(Y軸方向座標)とずれ角度が検出された後、撮像カメラ70を移動させ、同様にして隣りにある第1の溝M1bについて位置とずれ角度の検出を行う。第1方向F1に伸びる全ての第1の溝について位置等を検出した後は、図11(C)(D)に示すように、複合ウェーハWを90度回転させ、第2方向F2に伸びる第1の溝M1c,M1d等について同様に位置等を検出する。
【0052】
以上のようにして、第1方向F1、第2方向F2に伸びる全ての第1の溝について、それぞれ個別に位置やずれ角度が検出され、記憶される。
【0053】
<フルカットステップ>
図12に示すように、溝検出ステップで検出した各第1の溝M1の各位置に沿って第1の溝M1の幅より薄い第2切削ブレード52aで複合ウェーハWを切断して個々のチップCpへと分割するステップである。
【0054】
具体的には、切削対象となる第1の溝M1について、当該第1の溝の位置とずれ角度(加工送り方向であるX軸方向とのずれ角度)を参照し、第2切削ブレード52aと保持テーブル60を適宜移動して、第2切削ブレード52aの厚み方向の中心位置を当該第1の溝と一致させるとともに、保持テーブル60を回転させて当該第1の溝の方向と加工送り方向(X軸方向)が平行になるようにする。
【0055】
次いで、第2切削ブレード52aをテープTに到達する高さ位置に位置付けるとともに高速回転させ、保持テーブルを加工送りすることで、第1の溝M1に沿って封止樹脂層20の樹脂Rを切削し、第2の溝M2を形成する。
【0056】
上述の溝検出ステップを終えた段階では、複合ウェーハWにおいて第2方向F2に伸びる第1の溝が、X軸方向と平行とされており、まずは、第2方向F2に伸びるストリートについて第2の溝M2が形成される。
【0057】
具体的には、第2方向F2に伸びるある第1の溝M1について第2の溝M2を形成した後、Y軸方向において隣りにある第1の溝M1について位置とずれ角度を参照し、同様にして第2の溝M2を形成する。第2方向F2に伸びる全ての第1の溝M1について第2の溝M2を形成した後は、保持テーブルを90度回転させて第1方向F1に伸びる全ての第1の溝M1について同様に第2の溝M2を形成する。
【0058】
なお、溝検出ステップを終えた後に複合ウェーハWを90度回転させるとともに、第1方向F1に伸びる第1の溝について先に第2の溝を形成し、次に第2方向F2に伸びる第1の溝について第2の溝を形成することとしてもよい。
【0059】
以上のようにして、各第1の溝M1について個別に位置とずれ角度を参照し切削加工を行うことで、各第1の溝M1の実際の位置と一致する位置に正確に溝加工を行うことができる。
【0060】
そして、複合ウェーハWが第2の溝M2によって完全に切断されることで、個々のチップパッケージCpに分割することができる。
【0061】
以上に説明した加工方法によれば、半導体ウェーハ10を完全切断するハーフカットステップを実施して第1の溝M1を形成して複合ウェーハWの反りを解放した後、第1の溝M1の実際の位置を検出し、検出した第1の溝M1に沿って複合ウェーハWをフルカットする。これにより、実際のストリートの位置に対応する第1の溝M1の位置と一致する位置を正確にフルカットすることができ、位置ずれによってデバイス部分を損傷することなく、チップパッケージに分割することができる。
【符号の説明】
【0062】
3 ストリート
10 半導体ウェーハ
10a 第1面
10b 第2面
20 封止樹脂層
50 切削装置
51 切削ユニット
51a 切削ブレード
52 第二切削ユニット
52a 切削ブレード
60 保持テーブル
62 多孔質プレート
62a 保持面
70 撮像カメラ
100 コントローラ
B バンプ
C デバイスチップ
Cp チップパッケージ
D デバイス
F フレーム
F1 第1方向
F2 第2方向
M1 第1の溝
M2 第2の溝
Pk キーパターン
Pm ターゲットパターン
Pt ターゲットパターン
R 樹脂
T テープ
U ウェーハユニット
W 複合ウェーハ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12