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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】半導体製造プロセスのための性能予測子
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20250218BHJP
   H01L 21/00 20060101ALI20250218BHJP
【FI】
H01L21/302 101B
H01L21/00
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022544044
(86)(22)【出願日】2021-01-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-16
(86)【国際出願番号】 US2021015121
(87)【国際公開番号】W WO2021154747
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2023-12-28
(31)【優先権主張番号】62/966,378
(32)【優先日】2020-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サウラニ・カピル・ウメシュ
(72)【発明者】
【氏名】ダネク・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ヴェランキ・ラヴィ
(72)【発明者】
【氏名】ゴピナス・サンジェイ
(72)【発明者】
【氏名】コーエン・デヴィッド・ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ローマン・サッサン
(72)【発明者】
【氏名】スリラマン・サラヴァナプリヤン
(72)【発明者】
【氏名】ハスケル・ベンジャミン・アレン
(72)【発明者】
【氏名】ブローガン・リー・ジェイ.
【審査官】小▲高▼ 孔頌
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-537240(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0016643(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0356807(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0058813(US,A1)
【文献】国際公開第2018/204410(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
複数の機械学習(ML)モデルを得ることであって、各前記モデルは、半導体製造ツールの動作についての性能測定基準を予測することに関連し、各前記MLモデルは、前記MLモデルについての入力を定義する複数の特徴を利用することと、
1つまたは複数のプロセッサによって、前記半導体製造ツールで製品を製造するためのプロセス定義を受信することと、
前記1つまたは複数のプロセッサによって、前記複数のMLモデルからの1つまたは複数のMLモデルを利用して、前記半導体製造ツールで使用される前記プロセス定義の性能を推定することと、
ディスプレイ上に、前記製品の前記製造の前記性能の前記推定を示す結果を提示することと
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記複数の機械学習(ML)モデルから1つのMLモデルを作成することを含み、
前記複数の機械学習(ML)モデルから1つのMLモデルを作成することは、
前記MLモデルについての訓練データを得ることであって、前記訓練データは、前記MLモデルについての前記特徴の値を提供することと、
MLアルゴリズムを訓練して前記MLモデルを得ることと
を含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記MLモデルについての前記訓練データを得ることは、
前記半導体製造ツールで実験を実施することと、
前記実験のために前記特徴の値を測定することと、
前記訓練データについての測定された前記値を使用することと
を含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記MLモデルについての前記訓練データを得ることは、
二次MLモデルを訓練し、計測データについての低次元化モデル(ROM)を作り出すことと、
追加の訓練データとして前記二次MLモデルの出力を利用することと
をさらに含む、方法。
【請求項5】
請求項2に記載の方法であって、
前記MLモデルについての前記訓練データを得ることは、
前記半導体製造ツールの前記動作について物理ベースのシミュレーションを実施することによって前記訓練データを得ること
を含む、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記複数のMLモデルは、チャンバモデル、処理マトリックスモデル、基板スケールモデル、ウエハ特徴モデル、原子論的モデル、および電子状態モデルを含む、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
チャンバMLモデルは、設計寸法を含む入力およびチャンバのジオメトリの定義を含む出力を用いて、前記半導体製造ツール内の前記チャンバの前記ジオメトリを推定するためのものである、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
処理マトリックスMLモデルは、電場、磁場B、電流密度、化学物質、反応断面積、反応経路、材料性質、RF周波数、RF電圧、温度、およびRFバイアスの1つまたは複数を含む入力を用いて、処理中の基板の環境の挙動を分析するためのものであり、プラズマMLモデルの出力は、荷電種密度およびフラックス、両極性場、電子温度、電子エネルギー分布関数(EEDF)、イオンエネルギー角度分布(IEAD)、オンウエハフラックス、電荷密度(表面および容積)ソース、ならびに種の損失または生成項の1つまたは複数を含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
基板レベルMLモデルは、無線周波数(RF)電圧、電場、ソース項、反応衝突断面積、溶液濃度、および反応経路の1つまたは複数を含む入力を用いて、前記基板に近いシースの性能を分析するためのものであり、シースMLモデルの出力は、ウエハ表面上のフラックス、イオンエネルギーおよび角度分布、伝導および変位電流、イオン通過時間、表面機能化、ならびに電荷密度の1つまたは複数を含む、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
ウエハ特徴MLモデルは、設計レイアウト、マスク層、および初期ステップの1つまたは複数を含む入力を用いて、ウエハ特徴のレイアウトを分析するためのものであり、前記ウエハ特徴MLモデルの出力は、前記ウエハ特徴のジオメトリ記述を含む、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
ウエハ化学物質MLモデルは、オンウエハフラックス、材料性質、反応経路、反応速度、イオン角度収率、エッチング閾値、付着係数、および適応係数の1つまたは複数を含む入力を用いて、ウエハ特徴の化学物質を分析するためのものであり、前記ウエハ化学物質MLモデルの出力は、ジオメトリ進化およびフロントトラッキング、前記ウエハ特徴内の種の分布、ならびにウエハ特徴内のイオンエネルギーおよび角度の分布の1つまたは複数を含む、方法。
【請求項12】
システムであって、
命令を含むメモリと、
1つまたは複数のコンピュータプロセッサであって、前記命令は、前記1つまたは複数のコンピュータプロセッサによって実行されると、前記システムに、
複数の機械学習(ML)モデルを得ることであって、各モデルは、半導体製造ツールの動作についての性能測定基準を予測することに関連し、各MLモデルは、前記MLモデルについての入力を定義する複数の特徴を利用することと、
前記半導体製造ツールで製品を製造するためのプロセス定義を受信することと、
前記複数のMLモデルからの1つまたは複数のMLモデルを利用して、前記半導体製造ツールで使用される前記プロセス定義の性能を推定することと、
ディスプレイ上に、前記製品の前記製造の前記性能の前記推定を示す結果を提示すること
を含む動作を実施させる1つまたは複数のコンピュータプロセッサと
を備える、システム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムであって、さらに、
前記複数の機械学習(ML)モデルから1つのMLモデルを作成することを含み、
前記複数の機械学習(ML)モデルから1つのMLモデルを作成することは、
前記MLモデルについての訓練データを得ることであって、前記訓練データは、前記MLモデルについての前記特徴の値を提供することと、
MLアルゴリズムを訓練して前記MLモデルを得ることと
を含む、システム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムであって、
前記MLモデルについての前記訓練データを得ることは、
前記半導体製造ツールで実験を実施することと、
前記実験のために前記特徴の値を測定することと、
前記訓練データについての測定された前記値を使用することと、
前記半導体製造ツールについての物理ベースのシミュレーションを実施することによって追加の訓練データを得ることと
を含む、システム。
【請求項15】
請求項12に記載のシステムであって、
チャンバMLモデルは、設計寸法を含む入力およびチャンバのジオメトリの定義を含む出力を用いて、前記半導体製造ツール内の前記チャンバの前記ジオメトリを推定するためのものである、システム。
【請求項16】
請求項12に記載のシステムであって、
処理マトリックスMLモデルは、電場、磁場B、電流密度、化学物質、反応断面積、反応経路、材料性質、温度、質量輸送、RF周波数、RF電圧、およびRFバイアスの1つまたは複数を含む入力を用いて、処理中の基板の環境の挙動を分析するためのものであり、前記処理マトリックスMLモデルの出力は、荷電種密度およびフラックス、両極性場、電子温度、電子エネルギー分布関数(EEDF)、イオンエネルギー角度分布(IEAD)、オンウエハフラックス、電荷密度(表面および容積)ソース、ならびに種の損失または生成項の1つまたは複数を含む、システム。
【請求項17】
機械によって実行されると、前記機械に、
複数の機械学習(ML)モデルを得ることであって、各前記モデルは、半導体製造ツールの動作についての性能測定基準を予測することに関連し、前記各MLモデルは、前記MLモデルについての入力を定義する複数の特徴を利用することと、
前記半導体製造ツールで製品を製造するためのプロセス定義を受信することと、
前記複数のMLモデルからの1つまたは複数のMLモデルを利用して、前記半導体製造ツールで使用される前記プロセス定義の性能を推定することと、
ディスプレイ上に、前記製品の前記製造の前記性能の前記推定を示す結果を提示すること
を含む動作を実施させる、機械可読記憶媒体。
【請求項18】
請求項17に記載の機械可読記憶媒体であって、
前記機械に、さらに、前記複数の機械学習(ML)モデルから1つのMLモデルを作成することを実施させ、
前記複数の機械学習(ML)モデルから1つのMLモデルを作成することは、
前記MLモデルについての訓練データを得ることであって、前記訓練データは、前記MLモデルについての前記特徴の値を提供することと、
MLアルゴリズムを訓練して前記MLモデルを得ることと
を含む、機械可読記憶媒体。
【請求項19】
請求項18に記載の機械可読記憶媒体であって、
前記MLモデルについての前記訓練データを得ることは、
前記半導体製造ツールで実験を実施することと、
前記実験のために前記特徴の値を測定することと、
前記訓練データについての測定された前記値を使用することと、
前記半導体製造ツールについての物理ベースのシミュレーションを実施することによって追加の訓練データを得ることと
を含む、機械可読記憶媒体。
【請求項20】
請求項17に記載の機械可読記憶媒体であって、
チャンバMLモデルは、設計寸法を含む入力およびチャンバのジオメトリの定義を含む出力を用いて、前記半導体製造ツール内の前記チャンバの前記ジオメトリを推定するためのものである、機械可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<優先権の主張>
本出願は、2020年1月27日に出願された米国特許出願番号第62/966,378号の優先権の利益を主張し、上記の出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書で開示される主題は、一般に、半導体製造ツールにおける堆積、エッチング、および洗浄プロセスの性能を予測するための方法、システム、および機械可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
ここで提供される背景の説明は、本開示の内容を概ね提示することを目的とする。この背景技術のセクションで説明されている範囲内における、現時点で名前を挙げられている発明者らによる研究、ならびに出願の時点で先行技術として別途みなされ得ない説明の態様は、明示または暗示を問わず、本開示に対抗する先行技術として認められない。
【0004】
基板上の種相(例えば、気相、水相、または有機溶媒和相中、固体状態)と関連する表面動力学との間の物理的および化学的メカニズムをよりよく理解するために、典型的には、半導体プロセスリアクタおよびデバイス特徴の高忠実度モデリングおよびシミュレーションに多大な努力が費やされる。このようなシステムの十分な理解および予測可能性は、製品設計の改善、ならびにプロセス条件の最適化、例えば、半導体製造ツールのパラメータの調節にとって非常に重要である。
【発明の概要】
【0005】
例示的な方法、システム、およびコンピュータプログラムは、半導体製造機器動作の性能を予測することを対象とする。例は、可能な変形形態を単に代表するものである。別段明示的に述べられていない限り、構成要素および機能は任意選択であり、組み合わせもしくは細分化されてもよく、動作は順序が異なってもよく、または組み合わせもしくは細分化されてもよい。以下の説明では、説明の目的で、例示的な実施形態の完全な理解を提供するために多くの具体的な詳細が記載されている。しかし、当業者には、本主題がこれらの具体的な詳細がなくても実践することができることは明らかであろう。
【0006】
ハイブリッドモデルとしても知られる物理ベースのモデルとデータ駆動型モデルのハイブリッドは、直接結合されていない、または非線形依存性を有する可能性のある(実験またはシミュレーションデータセットで生成された)様々な要因と応答変数との間の関係を構築する機会を提供する。異なるモデル(高忠実度シミュレーション、データ駆動型モデル、低次元化モデルなど)がこれらの関係を構築するために使用されるので、効果的なハイブリッドモデルが以前には知られていない関係を識別することができる。これらのハイブリッドモデルは、高忠実度の物理ベースのシミュレーションよりも計算が安価であり、広い範囲の空間および時間スケールに及ぶことができる。ハイブリッドモデルが実験データで増強されると、結果の予測値は、シミュレーションが実験データから変化する原因となる不確実性および仮定が排除されるか、またはそれらの影響が減少するにつれて改善される。このアプローチは、プロジェクトの設計、製作、および試験段階の間に費やされる時間を短縮することを目的としており、結果としてソリューションの迅速化および製品コストの削減をもたらす。
【0007】
提示された実施形態は、物理ベースのシミュレーション(例えば、高忠実度CFDシミュレーション、原子論的シミュレーション)、近似方法(例えば、低次元化モデル、近似モデル)、実験データ、および他のデータソース(個々のモデルまたはスタックモデルのいずれかとして)から生成された様々な切断されたデータセットを利用して、半導体特徴の処理に対する集合的な影響を決定する。これらのソースから得られたデータは、機械学習(ML)技法を使用して分析され、プロセス挙動および予想される結果をよりよく予測することができる。ML技法は、統計モデリング、深層ニューラルネットワーク、リカレントニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、クリギング、動的モード分解、適切な直交分解などの任意の組み合わせを含み、物理制約付きデータ駆動型モデルを生成する。
【0008】
1つの方法は、機械学習(ML)モデルを得るための動作を含み、各モデルは、半導体製造ツールの動作についての性能測定基準を予測することに関連する。さらに、各MLモデルは、MLモデルについての入力を定義する特徴を利用する。方法は、半導体製造ツールで製品を製造するためのプロセス定義を受信するための動作をさらに含む。1つまたは複数のMLモデルを利用して、半導体製造ツールで使用されるプロセス定義の性能を推定する。加えて、方法は、ディスプレイ上に、製品の製造の性能の推定を示す結果を提示することを含む。
【0009】
別の一般的な態様は、命令を含むメモリと、1つまたは複数のコンピュータプロセッサとを含むシステムに関するものである。命令は、1つまたは複数のコンピュータプロセッサによって実行されると、1つまたは複数のコンピュータプロセッサに、機械学習(ML)モデルを得ることであって、各モデルは、半導体製造ツールの動作についての性能測定基準を予測することに関連することを含む動作を実施させる。さらに、各MLモデルは、MLモデルについての入力を定義する特徴を利用する。半導体製造ツールで製品を製造するためのプロセス定義が受信され、1つまたは複数のMLモデルが半導体製造ツールで使用されるプロセス定義の性能を推定するために利用される。加えて、プロセスの性能の推定を示す結果がディスプレイ上に提示される。
【0010】
さらに別の一般的な態様では、機械可読記憶媒体(例えば、非一時的記憶媒体)は、機械によって実行されると、機械に、機械学習(ML)モデルを得ることであって、各モデルは、半導体製造ツールの動作についての性能測定基準を予測することに関連することを含む動作を実施させる命令を含む。さらに、各MLモデルは、MLモデルについての入力を定義する特徴を利用する。半導体製造ツールで製品を製造するためのプロセス定義が受信され、1つまたは複数のMLモデルが半導体製造ツールで使用されるプロセス定義の性能を推定するために利用される。加えて、プロセスの性能の推定を示す結果がディスプレイ上に提示される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
様々な添付の図面は、本開示の例示的な実施形態を示すにすぎず、その範囲を限定するものと見なされるべきではない。
【0012】
図1図1は、半導体製造のための機器およびプロセスの設計の複雑さを示す図である。
【0013】
図2図2は、いくつかの例示的な実施形態による、エッチングチャンバである。
【0014】
図3図3は、いくつかの例示的な実施形態による、半導体製造における複数のレベルでの特徴モデリングを示す図である。
【0015】
図4A図4Aは、いくつかの例示的な実施形態による、プロセス挙動を予測するための複数の機械学習モデル間の相互作用を示す図である。
【0016】
図4B図4Bは、いくつかの例示的な実施形態による、異なるレベルでのモデリングアルゴリズムの例を示す表である。
【0017】
図5図5は、いくつかの例示的な実施形態による、機械学習(ML)プログラムの訓練および使用を示す図である。
【0018】
図6図6は、いくつかの例示的な実施形態による、プラズマ低次元化モデル(ROM)シミュレーションについてのプロセスを示す図である。
【0019】
図7図7は、いくつかの例示的な実施形態による、シミュレーションおよび実験を使用したプラズマROMについてのプロセスを示す図である。
【0020】
図8図8は、いくつかの例示的な実施形態による、MLモデルに対する入力のいくつかを示す図である。
【0021】
図9図9は、MLモデルによって使用されるいくつかの例示的な特徴を含む表である。
図10図10は、MLモデルによって使用されるいくつかの例示的な特徴を含む表である。
【0022】
図11図11は、いくつかの例示的な実施形態による、MLを使用するシャワーヘッドの設計を示す図である。
【0023】
図12図12は、損傷シミュレーションを実施するための、いくつかの例示的な実施形態による、半導体製造機器動作の性能を予測するための方法のフローチャートである。
【0024】
図13図13は、本明細書に記載の1つまたは複数の例示的なプロセスの実施形態を実施または制御することができる機械の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
用途に応じて、応力モデリング、熱モデリング、計算流体力学(CFD)、プラズマモデリング、モンテカルロシミュレーションなど、いくつかの種類のモデリング技法が存在する。これらのモデルは、種の濃度、温度プロファイル、プラズマ密度および関連する分布、流れの圧力および速度場を予測し、関連する無次元数の計算などを行う。
【0026】
対象のドメインに応じて、空間スケールはナノメートルからメートルの範囲であり得、時間間隔はピコ秒から数分であり得、これは非常に広い範囲の空間および時間スケールを意味する。複数の設計条件を試験する必要があり、動作範囲をマッピングする必要があるため、物理ベース、化学物質ベース、または量子ベースの方法を使用してこれらのシステムをモデル化することは非常に費用がかかり、産業環境から扱いにくい場合がある。例えば、個々のプロセスの実行には1週間以上かかる場合があり、設計の反復段階では、設計技術者は、設計を完成させる前にこのようなモデリング作業を2つまたは3つだけ使用するように制限される場合がある。
【0027】
さらに、物理ベースのモデルの忠実度は、一般に、モデルについての入力パラメータまたは境界条件を正確に予測または特徴付ける能力に依存する。多くの場合、そのようなパラメータは直接測定することができず、実験結果から推測しなければならない。このような課題は、例えば、半導体ウエハプロセス機器で一般的なプラズマ環境をモデル化しようとする場合に特に深刻である。そのようなプラズマは、設計上、およびプロセス機器チャンバ内の生成物または副生成物の蓄積または除去の両方のために時間変動し、測定プローブをプラズマ環境に含めることは、検査されるプラズマの特性に望ましくない影響を与える可能性がある。また、例として、熱接触抵抗または放射率などの表面または界面特性の測定は、物理ベースの高忠実度モデルを完全に知らせるのに十分な解像度では不可能または非現実的である可能性がある。
【0028】
複雑なシステムの挙動を予測するために、純粋なデータ駆動型モデル(例えば、機械学習モデル)が利用されることがある。データ駆動型モデルは本質的に統計的であり、予測される物理システムの知識を明示的に必要としない。しかし、そのようなモデルは、一般に、訓練データの量が増加するにつれて改善された予測値を示し、有用なモデルを達成するために大規模な実験またはシミュレートされたデータセットの生成を必要とする。特に、モデルの目的が新規プロセスの挙動を予測することである場合、そのような大規模なデータセットの作成は、非現実的または不可能である可能性がある。
【0029】
より優れた、かつより高速な半導体機器および半導体製造プロセスを設計するために、半導体製造プロセスにおける様々な要素の挙動を迅速に予測することができる信頼性の高い方法およびシステムが必要とされている。
【0030】
図1は、半導体製造のための機器およびプロセスの設計の複雑さを示している。半導体を製造するには、半導体を作製するための機器とプロセスの両方を設計しなければならない。製品仕様102に基づいて、機器およびプロセスは、製品が生産108に持ち込まれる前に設計される。
【0031】
機器設計104は、典型的には、チャンバ、シャワーヘッド、台座、電源などのジオメトリなど、半導体製造機器の構成要素の多くを設計すること110を含む。構成要素が設計された後、システムが動作112で試験され、性能が測定される。典型的には、試験結果が製品を作製する目的に対して満足できるものになるまで、構成要素の設計110を完成させるために複数のサイクルが存在する。
【0032】
設計チームの課題の1つは、プロセスが決定される前に、機器(例えば、チャンバ)を設計しなければならないことである。したがって、機器は、所与の製品についての特定の要件ではなく、一般的なニーズを満たすように設計される。場合によっては、設計プロセスは機器設計104へのフィードバックを生成することができ、機器はプロセスの試験に基づいて再設計される。しかし、新しいプロセス設計に従って機器を再設計することは、費用と時間がかかってしまう。
【0033】
プロセス設計106側では、ワークフロー、流体の流れ、チャンバに対する温度設定、チャンバ内の圧力、異なるステップの持続時間、適用される無線周波数(RF)電力、化学物質の濃度、電気的バイアスなどのプロセスの定義を含む、レシピ118が設計される114。レシピの設計は、設計の専門家が過去の経験に基づいてレシピを定義する技術である。
【0034】
レシピ118が設計された後、レシピ118は、半導体製造機器で試験116される。しかし、生産108中に製品を生成するための満足できるレシピ118を見つけるために、典型的には、レシピ設計114および試験116の複数のサイクルが必要とされる。
【0035】
機器設計104とプロセス設計106は両方とも費用がかかり、反復ごとに数週間、数ヶ月、または数年などの長い時間がかかる傾向がある。設計を加速するために、半導体製造機器で実際の試験を行うことなく試験を実施するようにシミュレーションが使用されることがある。
【0036】
例えば、基板上の均一性を予測するために、台座およびシャワーヘッドは、チャンバの要素の物理的側面に基づいて予測を行う物理ベースのモデルを使用して、それらの間の相互作用を予測するためにモデル化される。しかし、物理モデルは実行に長い時間がかかり、シミュレーションを使用して条件を試験するには数時間から数日かかる場合がある。
【0037】
物理ベースのシミュレーションは、物理法則を使用して要素の挙動を予測し、システム内で保存方程式、境界、またはメッシュノードを解くことを含み得る。物理ベースのシミュレーションは、典型的には、チャンバ内で何が起こっているかを観察するなど、プロセスの進化および結果を観察することができない場合に使用される。
【0038】
分析的定式化に基づいて製造プロセスの出力を記述する挙動モデルも存在する。1つの例示的なシミュレーションツールは、挙動モデルによってシミュレートされた予想される挙動に基づいて半導体プロセスのボクセルモデルを提供する、Lam ResearchのSEMulator3D(登録商標)である。挙動モデルは、チャンバ内の粒子の挙動を直接シミュレートするのではなく、動作の結果(例えば、基板上の堆積厚さ)を測定する。
【0039】
均一な堆積(ブランケットウエハで検証)および共形堆積(パターン化されたウエハで検証)についての課題を解決するための現在のアプローチは、非常に実験的なものである。モデリングおよびシミュレーションは、構成要素の設計および充填性能の予測のための現在のワークフローに役立ち得るが、これらはしばしば時間がかかり(例えば、第一原理/物理ベースの計算方法は、マルチフィジックス問題およびメッシュサイズに依存し、多くの場合、シミュレーションごとに数日または数週間かかる)、すべての関連する物理学に常に対処するとは限らず(例えば、システムの複雑さおよび最新、最先端の技術は明確に定義された物理学を常に持っているとは限らない)、挙動ベースのシミュレーション(例えば、すべての挙動がモデリングソフトウェアで捕捉されるわけではない)などの非物理的方法に基づくことができ、一般に較正のための実験データを必要とする。
【0040】
特徴性能予測のための挙動モデルシミュレーションが、プロセスでは採用されている。しかし、これらのモデルは、モデルが実験データに基づいて較正され、非物理的パラメータを採用して特徴のジオメトリを最適化するという事実によって制限される。挙動モデルを完全なシステムに使用することはできず、挙動は構造ごとに異なる可能性があり、モデルについてのデータを捕捉するための追加の試験を意味する様々な較正が必要になる。
【0041】
利用可能な実験データには、制限も存在する。実験からのデータは、ウエハ上および特徴内で見られるものの最終的なグラウンドトゥルースであるが、データに基づくこれらのモデルは、得られた学習を他のシステムに転送することを可能にしない。例えば、巨視的パラメータ(例えば、大気圧、ウエハ温度、流量)は、システムの基本的な学習を定義する基本的な流れ場、電荷密度、フラックス輸送、および他の微視的パラメータの捕捉を考慮していない。場合によっては、実験データとシミュレーションデータとの間に直接観測可能な相関関係がなく、そのような学習を他の設計に拡張することはできない。
【0042】
要約すると、現在の方法は別々に異なるアプローチ(モデリング、挙動ベースのシミュレーション、実験)を採用しており、これらの別々のデータソースから「学び」、「洞察」を他のチャンバ設計に拡張する方法を有していない。実験データは、多くの場合、いくつかの費用のかかる設計の反復を必要とする唯一の信頼性の高い結果であり、その結果、製品のリリースサイクルが長くなる。
【0043】
図2は、一実施形態による、エッチングチャンバ200である。2つの電極間の電場を励起することは、エッチングチャンバ内で無線周波数(RF)ガス放電を得る方法の1つである。振動電圧が電極間に印加されると、得られる放電は容量結合プラズマ(CCP)放電と呼ばれる。
【0044】
プラズマ202は、電子中性衝突によって引き起こされる様々な分子の解離によって生成される多種多様な化学反応性副生成物を得るために、安定した供給原料ガスを利用して生成することができる。エッチングの化学的側面は、中性ガス分子およびそれらの解離副生成物とエッチング対象表面の分子の反応、ならびに排出可能な揮発性分子の発生を伴う。プラズマが生成されると、陽イオンは、チャンバ壁からプラズマを分離する空間電荷シースを横切ってプラズマから加速され、ウエハ表面から材料を除去するのに十分なエネルギーでウエハ表面に衝突する。これは、イオン衝撃またはイオンスパッタリングとして知られている。しかし、一部の産業プラズマは、純粋に物理的な手段によって表面を効率的にエッチングするのに十分なエネルギーを有するイオンを発生しない。
【0045】
コントローラ216は、RF発生器218、ガス源222、およびガスポンプ220など、チャンバ200内の異なる要素を制御することによってチャンバ200の動作を管理する。一実施形態では、CF4およびC-C48などのフルオロカーボンガスが、その異方性および選択的エッチング能力のために誘電体エッチングプロセスで使用されるが、本明細書で説明される原理は、他のプラズマ生成ガスに適用することができる。フルオロカーボンガスは、より小さな分子ラジカルおよび原子ラジカルを含む化学反応性副生成物に容易に解離する。これらの化学反応性副生成物は誘電体材料をエッチング除去し、これは、一実施形態では、低kデバイス用のSiO2またはSiOCHであり得る。
【0046】
チャンバ200は、上部電極204および下部電極208を有する処理チャンバを示している。上部電極204は、RF発生器(図示せず)に接地または結合されてもよく、下部電極208は、整合ネットワーク214を介してRF発生器218に結合される。RF発生器218は、1つ、2つ、または3つの異なるRF周波数でRF電力を提供する。特定の動作のためのチャンバ200の所望の構成に従って、3つのRF周波数の少なくとも1つをオンまたはオフにすることができる。図2に示す実施形態では、RF発生器218は、2MHz、27MHz、および60MHzの周波数を提供するが、他の周波数も可能である。
【0047】
チャンバ200は、上部電極204上にあり、ガス源222によって提供されるガスをチャンバ200に入力するガスシャワーヘッドと、ガスポンプ220によってガスがチャンバ200から排出されることを可能にする穿孔閉じ込めリング212とを含む。いくつかの例示的な実施形態では、ガスポンプ220はターボ分子ポンプであるが、他のタイプのガスポンプが利用されてもよい。
【0048】
基板206がチャンバ200内に存在するとき、ケイ素フォーカスリング210は、基板206の表面上での均一なエッチングのためにプラズマ202の底面に均一なRF場が存在するように、基板206の隣に位置する。図2の実施形態は、上部電極204が対称RF接地電極224によって囲まれている三極管リアクタ構成を示す。絶縁体226は、上部電極204から接地電極224を絶縁する誘電体である。
【0049】
各周波数は、ウエハ製造プロセスにおける特定の目的のために選択することができる。図2の例では、RF電力が2MHz、27MHz、および60MHzで提供され、2MHzのRF電力はイオンエネルギー制御を提供し、27MHzおよび60MHzの電力は化学物質のプラズマ密度および解離パターンの制御を提供する。各RF電力をオンまたはオフにすることができるこの構成は、基板またはウエハ上で超低イオンエネルギーを使用する特定のプロセス、およびイオンエネルギーが低くなければならない(200または200eV未満)特定のプロセス(例えば、低k材料のソフトエッチング)を可能にする。
【0050】
別の実施形態では、超低エネルギーおよび非常に高い密度を得るために、上部電極204上で60MHzのRF電力が使用される。この構成により、基板206がチャンバ200内にないときに、高密度プラズマによるチャンバ洗浄が可能になる一方、静電チャック(ESC)表面でのスパッタリングが最小限に抑えられる。基板206が存在しないときはESC表面が露出され、したがって表面上のいかなるイオンエネルギーも避けるべきであり、これが洗浄中に底部の2MHzおよび27MHzの電源がオフになり得る理由である。
【0051】
図3は、いくつかの例示的な実施形態による、半導体製造における複数のレベルでの特徴モデリングを示している。本明細書に提示される実施形態は、半導体製造機器の挙動および性能を予測するツールを構築する方法を説明する。
【0052】
物理エンティティの挙動を予測するためのこのタイプのツールは、デジタルツインと呼ばれ、本明細書ではシステムモデルとも呼ばれる。デジタルツインは、生きているまたは生きていない物理エンティティのデジタルレプリカであり、様々な目的に使用することができる潜在的および実際の物理的資産(物理ツイン)、プロセス、人、場所、システム、およびデバイスのデジタルレプリカを指す。デジタルツインは、物理モデルと対応する仮想モデルまたは仮想対応物との間の接続を強調し、この接続は、センサを使用してリアルタイムデータを生成することによって補強することができる。
【0053】
デジタルツインは、複数のソースから自身を学習および更新し、そのほぼリアルタイムのステータス、作業条件、または位置を表す。この学習システムは、それ自体から(例えば、その動作条件の様々な側面を伝達するセンサデータを使用して)、人間の専門家(例えば、設計技術者)から、他の機械から、およびそれが一部であり得る環境から学習する。デジタルツインはまた、過去の機械使用からの履歴データを統合してそのデジタルモデルに織り込む。
【0054】
いくつかの例示的な実施形態では、半導体製造機器のためのデジタルツインは、第一原理物理ベースのシミュレーション、おおよその経験的方法(低次元化モデル、おおよそのモデルなど)、実験データ、および他のデータソース(例えば、チャンバセンサ)から生成された様々な切断されたデータセットを利用する。さらに、デジタルツインは、統計モデリング、深層ニューラルネットワーク、リカレントニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワークなどのML技法を採用して、予測的であり、高忠実度であり、かつ正確な物理制約付きデータ駆動型の代理ハイブリッドモデルを生成する。
【0055】
デジタルツインは、例えば、ウエハエッチング均一性に対するエッチングチャンバ設計の影響を分析するために適用することができる。例えば、チャンバフローシミュレーションは、流体流れ場、圧力場、濃度勾配などに関する情報を提供する。プラズマシミュレーションは、ウエハへの荷電種密度およびフラックス、ならびに対象のプロセスウィンドウにおけるプラズマパラメータを提供する。
【0056】
実験データは、上流のシミュレーションデータおよび入力に相関させることができる部分的なセンサ情報を提供し、出力変数を含み、これは、ブランケットウエハ上のオンウエハ均一性および/またはウエハ全体の特徴プロファイル特性(例えば、深さ、限界寸法(CD)、傾斜、選択性、マスク損失)である。個々に、高忠実度シミュレーションは、オンウエハ実験性能測定基準と正確に一致するとは予想されず、実験データだけでは、流れ場、プラズマ性質などのチャンバの物理的特性は提供されない。ハイブリッドモデルソリューションは、これらの切り離されているが関連するデータセットからの洞察を提供するのに役立ち、製品設計、エンジニアリング、および開発を支援することができる。
【0057】
システムハイブリッドモデルは、機器の異なる側面をカバーする別々のサブモデルを含むことができ、これらのサブモデルは、図4Aを参照して以下で説明するように互いに相互作用することができる。
【0058】
図3を参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、サブモデルは、チャンバモデル302、プラズマモデル304、シースモデル306、ウエハ特徴モデル308、原子論的モデル310、および電子状態モデル312を含む。各モデルは、それぞれの特徴および訓練データを使用して、それぞれの挙動を予測する。モデルの構築についてのさらなる詳細は、図5を参照して以下に提供され、それぞれの特徴についてのさらなる詳細は、図9図10を参照して以下に提供される。さらに、サブモデルの各々は、別々のモデルに分割することもできる。
【0059】
チャンバモデル302は、チャンバのジオメトリ、流量、熱情報、構造情報、および電磁気学などのチャンバ関連の現象を予測するためのものである。プラズマモデル304は、電磁気場、プラズマ化学物質、および反応データなどのプラズマ性能を予測するためのものである。
【0060】
シースモデル306は、RF電圧、電磁気場、反応照合断面、および反応経路などのシースデータを予測するためのものである。ウエハ特徴モデル308は、レイアウト(例えば、設計レイアウト、マスク層)および化学物質(例えば、オンウエハフラックス、材料性質)を含むウエハ特徴を予測するためのものである。
【0061】
原子論的モデル310は、格子構造、種分布、および拡散係数を含む原子動力学などの原子レベルでの現象を予測する。電子状態モデル312は、エネルギー状態およびクラスタ構成など、エネルギー計算のための状態を予測するためのものである。
【0062】
提示された実施形態は、所与のシステムまたはプロセス上の特定の問題に対して分離して生成された異なるモデル間の構成関係を決定するという利点を提供する。これらの別々のデータセットを組み合わせて、半導体製造における設計およびプロセス最適化に使用することができるシステムモデルを構築する。
【0063】
これらのモデルは、異なる空間スケール(例えば、メートルからナノメートルのオーダー)および時間スケール(例えば、パルスシステムなどの過渡プロセスから平衡下の定常状態条件まで)を包含する。システムモデルは、システムの設計および試験が以前の方法論よりもはるかに速く実施されるので、コストの節約(例えば、化学物質の使用、符号反復の削減)ならびに開発時間の節約をもたらす(例えば、新しいリアクタおよびプロセスの設計時間を18~24ヶ月から1年未満に短縮する)。
【0064】
図4Aは、いくつかの例示的な実施形態による、プロセス挙動を予測するための複数の機械学習モデル間の相互作用を示している。システムモデル402は、異なるレベルの予測における複数のMLモデルML1~ML13を備える。各レベルは、互いに、および他の層のMLモデルと相互作用することができる1つまたは複数のMLモデルを含む。いくつかの例示的な実施形態では、モデルは、挙動モデルおよび物理ベースのモデルを含む。
【0065】
モデルは、入力404(例えば、圧力、温度、流れ)を含み、挙動に関連する出力を生成する。システムモデル402の出力は、システム挙動408である。入力404はまた、センサから得られた計測406のデータを含み得る。さらに、入力404はまた、モデル化されるプロセスの適用前に、到来する基板からの計測406のデータを含むこともできる。計測406は、実験の測定値を提供し、層の厚さ、抵抗率、膜性質データなどの項目を含む。画像分析を使用して実験結果を調べることができるが、他のタイプの計測406を使用することもできる。
【0066】
計測406は、撮像法(例えば、走査型電子顕微鏡法(SEM))、透過型電子顕微鏡法(TEM))、典型的な厚さ測定(例えば、X線蛍光(XRF)、エリプソメトリー)、シート抵抗、表面抵抗率、応力測定、および層厚、組成、粒子配向などを決定するために使用される他の分析方法の1つまたは複数を含む。これらの他の分析方法は、X線回折(XRD)、X線反射率(XRR)、X線光電子分光法(XPS)、歳差運動電子回折(PED)、電子エネルギー損失分光法(EELS)、エネルギー分散型X線分光法(EDS)、二次イオン質量分析法(SIMS)などの1つまたは複数を含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、生の計測データ406は、各計測ソース用の専用のMLアルゴリズムによって、またはいくつかの実施形態では、複数の計測ソースから入力を得るMLアルゴリズムで調整され得る。半導体産業における計測ソースは膨大な量のデータを発生する可能性があり、個々のソースからの有用なデータを区別することはしばしば困難な問題である。多くのソースからのデータをまとめて考慮する必要がある場合、困難は指数関数的に拡大する。到来する計測データを調整するために専用のMLアルゴリズムをタスク化することは、より効率的なシステムモデル402の構築を可能にする。各計測調整アルゴリズムの出力はROMであり、システムモデルにおける各構成要素MLは、それ自体の動作に関連する出力パラメータのみを選択することができる。
【0068】
いくつかの例示的な実施形態では、計測は時系列データを含み、これは、チャンバ内の圧力が製造プロセス中に経時的にどのように変化するかなど、所与のパラメータに対して経時的に得られたセンサ測定値を含む。
【0069】
入力404は、圧力、流量、電力、温度などの制御を含むことができ、すべてのこれら入力404は、チャンバモデル302の挙動に影響を及ぼす。チャンバモデル302のレベルでは、流れ場、イオン密度、中性子密度などが存在する。次に電場、電流密度、化学物質などの項目を含むプラズマモデル304のレベルが存在する。プラズマが存在しない場合、チャンバ内に異なる種が存在する。さらに、バイアスに電力が供給される場合において、プラズマ堆積がある際にはシースが存在し、再分配機能を修正するために制御が使用される。
【0070】
さらに、ウエハ特徴が観察可能になるウエハ特徴モデル308のレベルが存在する。典型的には、モデルは単一のレベルに対して提供されるが、一部のモデルは複数のレベルを含む場合がある。各モデルは、それぞれの予測を得るために特定の特徴を考慮に入れる。モデルの出力は、同じレベルまたは他のレベルで動作する他のモデルに使用することができる。
【0071】
チャンバ設計中、様々なオプションを探索することができ(例えば、シャワーヘッドの穴の分布、ウエハとシャワーヘッドとの間のギャップを変更する)、目標は、均一なプロファイルを有するなど、ウエハに関する特定の測定基準を達成することである。設計者は、チャンバの構成(例えば、チャンバノブ、ジオメトリ)およびレシピを開発し、システムモデル402は、ウエハの性能に関する測定基準を含むシステム挙動408の予測を行う。システムモデル402は、ウエハに関する性能だけでなく、チャンバ内で何が起こっているかについての情報も識別することができる(例えば、プラズマ、温度が高すぎるまたは低すぎるなど)。
【0072】
性能が満足できるものでない場合、設計者は、一度に1つまたは複数の変数(例えば、圧力、化学物質、タイミング)を変更するなどして、特定のパラメータを変更し、プロセスを繰り返して効果を確認することができる。しかし、MLモデルを使用すると、このプロセスは、結果を数週間または数か月待つことなく迅速(数分または数時間)となる。システムモデル402は、変更をハードウェアまたはプロセスレシピに加える際の性能への影響を評価することができる。
【0073】
モデルを組み合わせることの1つの利点は、所与のシステム/サブシステム/プロセス上の特定の問題に対して分離して生成された複数のモデル間の相関関係を見つけ、これらの別々のデータセットを組み合わせて、対象の特徴における設計およびプロセス最適化に使用することができるシステムモデル402を構築することである。
【0074】
そのような技法を使用して、異なる空間スケール(チャンバ~mオーダーから特徴~nmオーダー)および時間スケール(パルスシステムなどの過渡プロセスから平衡下の定常状態条件まで)からモデルを構築することが可能である。これにより、設計条件に基づく最終的な所望の状態(例えば、プロセスフィル)への影響をよりよく理解することができる。チャンバレベルのシミュレーションからウエハ上の表面動力学への経路が直接的ではないため、複雑な堆積チャンバで正確にこれを行うことはできなかった。システムモデル402を使用することにより、プロセスの観点からウエハおよび化学物質が節約され、費用のかかる設計反復が最小限に抑えられる。
【0075】
図4Bは、いくつかの例示的な実施形態による、異なるレベルでのモデリングアルゴリズムの例を示す表412である。異なるエリアは、エッチング/原子層エッチング、エレクトロフィル、プラズマ強化(PE)化学気相堆積(CVD)および原子層堆積(ALD)、洗浄および剥離、物理気相堆積、ならびに化学/機械研磨を含む。実施形態のいくつかはエッチングに関して説明されているが、同じ原理が他のエリアに適用されてもよい。
【0076】
図5は、いくつかの例示的な実施形態による、機械学習プログラムの訓練および使用を示している。いくつかの例示的な実施形態では、機械学習アルゴリズムまたはツールとも呼ばれる機械学習プログラム(MLP)を利用して、ジョブ検索などの検索に関連する動作を実施する。
【0077】
機械学習(ML)は、データの分析で見つけられたパターンに基づいて推論を行うことによって、明示的にプログラムされることなく、コンピュータシステムにタスクを実施する能力を提供するアプリケーションである。機械学習は、既存のデータから学習し、新しいデータについて予測を行うことができる、本明細書ではツールとも呼ばれるアルゴリズムの研究および構築を探索する。そのような機械学習アルゴリズムは、出力または評価514として表されるデータ駆動型の予測または決定を行うために、例示的な訓練データ506からMLモデル510を構築することによって動作する。例示的な実施形態はいくつかの機械学習ツールに関して提示されるが、本明細書に提示される原理は他の機械学習ツールに適用されてもよい。
【0078】
データ表現は、識別された特徴およびそれらの値についての構造を含む、コンピュータシステム上に格納するためのデータを編成する方法を指す。MLでは、2次元以上のベクトルまたは行列でデータを表すことが典型的である。大量のデータおよび多くの特徴を扱う場合、訓練がデータ内の相関関係を識別することができるように、データ表現が重要である。
【0079】
MLには、教師ありMLと教師なしMLの2つの共通モードが存在する。教師ありMLは、事前の知識(例えば、入力を出力または結果に相関させる例)を使用して、入力と出力との間の関係を学習する。教師ありMLの目標は、いくつかの訓練データが与えられた場合に訓練入力と出力との間の関係を最もよく近似する関数を学習することであり、これによりMLモデルは、入力が与えられたときに同じ関係を実装して対応する出力を生成することができる。教師なしMLは、分類もラベル付けもされていない情報を使用して、アルゴリズムがガイダンスなしでその情報に作用することを可能にするMLアルゴリズムの訓練である。教師なしMLは、データ内の構造を自動的に識別することができるため、探索的分析に有用である。
【0080】
教師ありMLについての一般的なタスクは、分類問題および回帰問題である。カテゴリ化問題とも呼ばれる分類問題は、項目をいくつかのカテゴリ値の1つに分類することを目的としている(例えば、この物体はリンゴかオレンジか?)。回帰アルゴリズムは、いくつかの項目を定量化することを目的としている(例えば、スコアをいくつかの入力の値に提供することによって)。一般的に使用される教師ありMLアルゴリズムのいくつかの例は、ロジスティック回帰(LR)、単純ベイズ、ランダムフォレスト(RF)、ニューラルネットワーク(NN)、深層ニューラルネットワーク(DNN)、行列因子分解、およびサポートベクターマシン(SVM)である。
【0081】
教師なしMLについてのいくつかの一般的なタスクは、クラスタリング、表現学習、および密度推定を含む。一般的に使用される教師なしMLアルゴリズムのいくつかの例は、K平均法クラスタリング、主成分分析、およびオートエンコーダである。
【0082】
訓練データ506は、特徴502についての値の例を含む。いくつかの例示的な実施形態では、訓練データ506は、特徴502についての値の例を有するラベル付きデータと、プラズマ性質、ガス密度、ガス流、エッチング速度、エッチング均一性などの結果を示すラベルとを含む。
【0083】
いくつかの例示的な実施形態では、訓練データ506は、半導体製造機器で実験を実施することによって得られ、実験から得られたデータは、ML訓練508のために使用される。さらに、訓練データ506はまた、シミュレーション(例えば、物理ベースのシミュレーション、挙動ベースのシミュレーション)を実施することによって得られてもよく、シミュレーションからの結果(例えば、ウエハ上のエッチングの均一性、ウエハ上の均一な堆積)は、ML訓練508のために使用される。
【0084】
機械学習アルゴリズムは、訓練データ506を利用して、結果に影響を及ぼす識別された特徴502間の相関関係を見つける。特徴502は、観察されている現象の個々の測定可能な性質である。特徴の概念は、線形回帰などの統計技法で使用される説明変数の概念に関連している。パターン認識、分類、および回帰におけるMLの効果的な動作には、有益であり、識別的であり、かつ独立した特徴を選択することが重要である。特徴は、数値特徴、文字列、およびグラフなど、異なるタイプであってもよい。MLモデル510によって使用される特徴502についてのさらなる詳細は、図9および図10を参照して以下に提供される。
【0085】
訓練508中、MLアルゴリズムは、訓練508のために定義された識別された特徴502および構成パラメータ504に基づいて訓練データ506を分析する。訓練508の結果は、評価を発生するために入力を取ることが可能なMLモデル510である。
【0086】
いくつかの実施形態では、例示的なMLモデルは、図3および図4を参照して上記で説明したように、半導体製造プロセスの異なるレベルで推定値を提供する。
【0087】
MLアルゴリズムを訓練することは、データ相関関係を見つけるために大量のデータ(例えば、数ギガバイトから1テラバイト以上)を分析することを伴う。MLアルゴリズムは、訓練データ506を利用して、結果または評価514に影響を及ぼす識別された特徴502間の相関関係を見つける。いくつかの例示的な実施形態では、訓練データ506は、1つまたは複数の識別された特徴502および1つまたは複数の結果に関する既知のデータであるラベル付きデータを含む。
【0088】
MLアルゴリズムは、通常、MLアルゴリズムがデータ内の最良の相関関係であると識別するものを見つける前に、多くの可能な関数およびパラメータを探索する。したがって、訓練には大量のコンピューティングリソースおよび時間が必要になる場合がある。
【0089】
多くのMLアルゴリズムは構成パラメータ504を含み、MLアルゴリズムが複雑になるほど、ユーザに利用可能なパラメータが多くなる。構成パラメータ504は、最良のMLモデルを検索する際のMLアルゴリズムの変数を定義する。訓練パラメータは、モデルパラメータおよびハイパーパラメータを含む。モデルパラメータは訓練データから学習されるが、ハイパーパラメータは訓練データから学習されず、代わりにMLアルゴリズムに提供される。
【0090】
モデルパラメータのいくつかの例には、最大モデルサイズ、訓練データにおけるパスの最大数、データシャッフルタイプ、回帰係数、決定木の分割位置などが挙げられる。ハイパーパラメータは、ニューラルネットワーク内の隠れ層の数、各層における隠れノードの数、学習率(場合によっては学習率についての様々な適応スキームを使用)、正則化パラメータ、非線形活性化関数のタイプなどを含むことができる。ハイパーパラメータの正しい(または最良の)セットを見つけることは、大量のコンピュータリソースを必要とする非常に時間のかかるタスクになる可能性がある。
【0091】
MLモデル510が評価を実施するために使用される場合、入力512がMLモデル510に提供され、MLモデル510は出力として評価514を生成する。例えば、シャワーヘッドについてのガス流分布を分析する場合、出力は、ウエハの表面全体にわたるガス密度の時系列を示すことができる。
【0092】
例えば、ウエハ上の深いトレンチを充填するときに完全な被覆を検出するためのMLモデル510は、トレンチに関する被覆のレベルを示す推定値を提供することができ、100%は被覆を意味し、それ未満は充填物に空隙が存在することを意味する。
【0093】
特徴抽出は、大規模なデータセットを記述するために必要なリソースの量を削減するプロセスである。複雑なデータの分析を実施するとき、主要な問題の1つは、関与する変数の数に起因するものである。多数の変数を用いた分析は、一般に、大量のメモリおよび計算能力を必要とし、分類アルゴリズムが訓練サンプルに過適合し、新しいサンプルに対して不十分に一般化する可能性がある。特徴抽出は、所望の目的のために十分な精度でデータを記述しながら、これらの大規模なデータセットの問題を回避するために変数の組み合わせを構築することを含む。
【0094】
いくつかの例示的な実施形態では、特徴抽出は、測定データの初期セットから開始し、有益で冗長でないことを意図した導出値(特徴)を構築し、その後の学習および一般化ステップを容易にする。さらに、特徴抽出は、大きなベクトル(場合によっては非常にまばらなデータを伴う)を、同じまたは同様の量の情報を捕捉する小さなベクトルに削減するなど、次元削減に関連する。
【0095】
いくつかの例示的な実施形態では、特徴抽出は、(図9および図10で説明されるように)特徴の値を得て、必要に応じてそれらの値をベクトルまたは行列に変換することを含む。場合によっては、ベクトルまたは行列は、よりコンパクトな方法で情報をMLモデル510に提供するために、それらの次元を削減するように処理される。さらに、複数の入力からのベクトルを単一のベクトルに連結するなどして、複数の特徴からのデータを組み合わせることができる。
【0096】
図6は、いくつかの例示的な実施形態による、プラズマ低次元化モデル(ROM)シミュレーションについてのプロセスを示している。例示的な実施形態は、プラズマ性質を参照して説明されているが、同じ原理が熱プロセスなどの他のエリアに適用されてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、目標は、物理ベースのシミュレーション、挙動ベースのシミュレーション、ウエハデータログ(WDL)(センサから生成された時系列情報を含む)、およびMLモデルを使用して、半導体製造チャンバについて本明細書ではデジタルツインとも呼ばれる低次元化モデル(ROM)を導出することである
【0097】
ROMは、システムの挙動を捕捉する複雑なモデルを簡略化したものであり、技術者は最小限の計算リソースを使用してシステムの支配的な効果を迅速に研究することができる。ROMは、技術者がより短い設計サイクルを達成してより高品質の製品を生産することを可能にする。
【0098】
チャンバノブ602は、シミュレーション604への入力として使用される構成可能なパラメータである。チャンバノブ602は、圧力、流量、変圧器結合プラズマ(TCP)、バイアス、変圧器結合容量性同調(TCCT)、化学物質情報など、製造プロセスのための構成可能なパラメータのいずれかを含む。
【0099】
シミュレーション604のために、実験計画法(DOE)マトリックスが作成される。DOEは、パラメータまたはパラメータのグループの値を制御する要因を評価するための制御された試験の計画、実施、分析、および解釈を取り扱う応用統計の一分野である。DOEは、様々な実験状況で使用することができる強力なデータ収集および分析ツールである。
【0100】
いくつかの例示的な実施形態では、シミュレーション604は物理ベースのシミュレーションであるが、他の実施形態では、挙動ベースのシミュレーションなど、他のタイプのシミュレーションを利用することができる。典型的には、複数のシミュレーションが実施され、その結果は、物理量データならびにシミュレーション604で得られた導出値を含む出力606である。例えば、シミュレーションは、流れ場、イオン密度、エネルギー分布、種分布などを含む予測を生成することができる。
【0101】
シミュレーション604の結果は、ROM608を作成するためのML訓練508用の訓練データとして使用される。ROM608は、チャンバノブ602の構成を入力として受信し、特定の設計およびプロセスの性能に関する予測を生成する。
【0102】
例えば、シャワーヘッドについて2つの設計が検討されている。各設計は、例えば、それぞれのコンピュータ支援設計(CAD)ジオメトリ(例えば、シャワーヘッドの穴の数および分布)およびガス流によって定義され得る。2つの設計がROM608に入力され、結果が得られる。次に、シャワーヘッドの改善のために検討されている性能パラメータを比較して、どのシャワーヘッド設計がより優れているかを確認する。
【0103】
ROM608を使用して性能を比較することは、チャンバでの実際の実験を必要としないので、結果は、各設計について結果を得るために数日または数週間待つ必要なく、非常に迅速に(例えば、数分または数時間)得られる。設計の試験が非常に高速であるため、設計技術者は、満足できる設計が見つかるまで、一度に1つまたは複数のパラメータを微調節することによって複数の設計を試験することが可能である。
【0104】
加えて、ROM608は、シミュレーション604によって生成された結果を、同じチャンバノブ602の構成を使用するときにROM608によって生成された予測610と比較することによって検証することができる(例えば、予測を定式化する際のその精度をチェックすることができる)。このようにして、予測610がシミュレーション604の結果と実質的に同様になるまで、ROM608を継続的に強化することができる。一般に、ROM608は、多くの関連する変数で複雑な数学的方程式を解く必要があるシミュレーション604(例えば、物理ベースのシミュレーション)よりもはるかに高速であることに留意されたい。したがって、正確なROM608を有することは、開発プロセスを大幅に加速する。
【0105】
図7は、いくつかの例示的な実施形態による、シミュレーションおよび実験を使用したプラズマROMについてのプロセスを示している。例示的な実施形態は、プラズマ性質を参照して説明されているが、同じ原理が熱プロセスなどの他のエリアに適用されてもよい。図6を参照して上述した方法は、半導体製造ツールを使用して実施される実際の実験702を使用することによって強化することができる。もちろん、実際の実験を使用することは、シミュレーション604よりも費用がかかり、設定および実行により多くの時間を必要とする。実験データを使用すると、予測結果の品質が改善される。
【0106】
実験702から生じる実験出力704はまた、ROM608を得るためにML訓練508用の追加のデータとして使用されてもよい。さらに、実験702中に得られたセンサ706からのデータは、訓練のために、およびROM608への入力として使用することができる。次いで、ROM608は、入力として使用されるチャンバノブ602に基づいて予測710を行う。したがって、ROM608は、実験702およびシミュレーション604から導出された訓練データ506から恩恵を受ける。さらに、実験702からのデータは、予測710の出力で検証される807。
【0107】
シミュレーション604と同様に、実験からの結果を使用して、ROM608の予測710を検証することができる。検証に基づいて、ROM 608は、ML訓練508中に使用する構成についてのハイパーパラメータを変更することなどによって微調節され得る。
【0108】
例えば、ウエハ上の膜の不均一性に対する設計の影響の研究は、流体流れ場、圧力場、濃度勾配などに関する情報を有するシミュレーションデータを含む。実験データは、上流のシミュレーションデータおよび入力に相関させることができる部分的なセンサ情報を含むが、主に出力変数を含み、これは、300mmウエハにわたる膜の不均一性またはステップ被覆の変動である。
【0109】
いくつかの実施態様では、プロセスの理解に基づく挙動モデルを使用することができる。チャンバセンサ情報およびプロセスレシピ条件などの他のデータ入力を提供し、モデルをさらに強化することができる。生成されたモデルは、異なる目的のために計算された既存のデータセットの一部であり、モデルは、新しい実験およびシミュレーションデータに基づいてオンライン学習が可能である。それ自体では、高忠実度シミュレーションは、不均一性マッチングなどのウエハ上の実験性能と一致させることができず、それ自体では、実験データは、流れ場、フラックスなどのシステムの物理的特性を理解することができなかった。ROM608の使用は、これらの切り離されたデータセットからの学習を支援し、将来のシステムに対する設計エンジニアリングを助ける。
【0110】
さらに、他の用途には、高温シャワーヘッド/台座用途に見られるような共役熱伝達を伴う熱流体システムの設計最適化、湿式処理チャンバにおける質量輸送およびバイアス最適化、プラズマ駆動プロセスシステム、または他の原子層堆積用途が挙げられる。
【0111】
図8は、いくつかの例示的な実施形態による、MLモデルに対する入力のいくつかを示している。システムモデリングに使用されるアルゴリズム802についてのデータとして、いくつかの入力が使用される。入力は、レシピ情報およびオンウエハ結果から得られた実験データ804、ハードウェア試験から生じる実験データ806、半導体製造動作中に得られたチャンバセンサデータ808、チャンバスケールシミュレーション810、特徴スケールシミュレーション812、原子論的/量子シミュレーション814、特徴スケールにおける挙動ベースのモデル816、ならびに低次元化モデル608を含む。
【0112】
結果は、機器およびプロセスの性能を予測する物理制約付きMLモデル818である。物理制約付きMLモデル818により、設計者はチャンバに対する制御を設定して所望の結果を得ることができ、これは、ウエハ性質上の予測可能性が向上し、開発時間が短縮されることを意味する。
【0113】
図9および図10は、MLモデルによって使用されるいくつかの例示的な特徴を含む表を示す。第1の列は、スケール(例えば、図3を参照して上述した階層のレベル)を示し、第2の列は、観測されている現象を示し、第3の列は、入力を表し、第4の列は、出力を表す。各行は、それぞれのMLモデルを表す。
【0114】
第1のモデルは、チャンバの設計寸法(例えば、チャンバ直径、ウエハ直径)を含む入力を伴うチャンバのジオメトリのためのものである。出力は、CADファイルまたはジオメトリ形状のメッシュなどのいくつかの他のジオメトリ記述の形式であることができるチャンバに対する特定のジオメトリ設計を含む。
【0115】
次のモデルは、チャンバ内の流れのためのものである。入力は、少なくとも、流量、チャンバ圧力、化学物質、および流動過渡現象を含む。出力は、少なくとも、圧力および速度場、チャンバ全体の種濃度、および拡散フラックスを含む。
【0116】
次のモデルは、チャンバ内の熱研究のためのものであり、入力は、少なくとも、熱フラックス、熱伝達係数、熱伝導率、熱容量、および接触面積を含む。出力は、チャンバ全体の温度情報、熱フラックス(例えば、放射、伝導、および対流)、および熱損失である。
【0117】
次のモデルは、チャンバの構造分析のためのものであり、入力は、少なくとも、構造負荷、反応、公差、温度、勾配、および圧力を含む。出力は、構造応力、ひずみ、たわみ、クリープ率、疲労、および弾性/可塑性を含む。
【0118】
チャンバについての最終モデルは、チャンバ内の電磁気推定のためのものであり、入力は、少なくとも、電圧、電流、周波数、インダクタンス、静電容量、およびインピーダンスを含む。出力は、電場、磁場B、誘導電流密度、および電力密度を含む。
【0119】
プラズマモデルは、プラズマ挙動を分析するためのものであり、入力は、少なくとも、電場、磁場B、電流密度、化学物質、反応断面積、反応経路、材料性質(例えば、伝導率、誘電率、放出係数)、RF周波数、RF電圧、およびRFバイアスを含む。出力は、荷電種密度およびフラックス、両極性場、電子温度、電子エネルギー分布関数(EEDF)、イオンエネルギー角度分布(IEAD)、オンウエハフラックス、電荷密度(表面および容積)ソース、ならびに種の損失項を含む。
【0120】
上述のように、あるモデルからの一部の出力は、他のモデルへの入力として使用することができる。例えば、チャンバ電磁気モデルからの出力は、プラズマ挙動モデル(例えば、電場、磁場B、電流密度)に対する入力として使用することができる。
【0121】
図10の第1のモデルは、シースの性能を分析するためのものであり、入力は、少なくとも、RF電圧、電場、ソース項、反応衝突断面積、および反応経路を含む。出力は、表面上のフラックス、イオンエネルギーおよび角度分布、伝導および変位電流、イオン通過時間、ならびに電荷密度を含む。
【0122】
次のモデルは、ウエハ特徴のレイアウトのためのものであり、入力は、少なくとも、用途の設計レイアウト、マスク層、および初期ステップを含む。出力は、CADファイルまたはメッシュ構成などの特徴のジオメトリ記述を含む。
【0123】
次のモデルは、特徴の化学物質のためのものであり、入力は、少なくとも、オンウエハフラックス、材料性質、反応経路、反応速度、イオン角度収率、エッチング閾値、付着係数、および適応係数を含む。出力は、ジオメトリ進化およびフロントトラッキング、特徴内の種の分布、特徴内のイオンエネルギーおよび角度の分布を含む。
【0124】
次のモデルは、原子論的レベルでの動力学のためのものであり、入力は、格子構造、材料ID、および原子間ポテンシャルを含む。出力は、格子レイアウト、種分布、動径分布関数、拡散係数、および反応動力学を含む。
【0125】
表の最後のモデルは、電子状態のためのものであり、エネルギー計算のための統計を予測する。入力は、少なくとも、材料/種ID、クラスタ構成、および電子構造情報を含む。出力は、エネルギー状態、クラスタ構成、反応エネルギー論、反応経路、結合角度、および結合長を含む。
【0126】
図11は、いくつかの例示的な実施形態による、MLを使用するシャワーヘッド1102の設計を示している。例えば、シャワーヘッド1102は、低フッ素タングステンリアクタで使用するためのものであるが、他のタイプのリアクタで使用することもできる。
【0127】
一例では、シャワーヘッドの設計は、充填空隙、WF6ガス消費量、およびRs NU に関する要件を満たしていなかった。ガス消費量が少ないと、ウエハあたりの消耗品コスト(CoC)が削減される。さらに、台座からシャワーヘッドまでのギャップは、430℃などの高温では自動ギャップシステム(AGS)によって正確に設定することができなかった。さらに、台座からシャワーヘッドまでの平面性は、AGSウエハが台座の外縁で測定されないので、AGSウエハを使用して正確に設定することができなかった。これは、ツールごとの変動およびプロセスへの影響につながる。シャワーヘッドの改善された設計が必要であった。
【0128】
シャワーヘッド1102は、熱不安定性を提示した。設計チームはシャワーヘッド1102の変数を手動で変更しようとしたが、そのプロセスは遅く面倒であり、多大な労力と長い開発時間を必要とした。DOEが、計算に長い時間を必要とするシミュレーションから学習するために使用された。設計プロセスはシミュレーションを使用して改善されたが、依然として時間がかかり、実際の実験の結果はシミュレーションからの結果と実際には一致しなかった。これが、シャワーヘッドについてのMLモデルが設計プロセスをスピードアップすることができる理由である。また、MLモデルは、追加のデータが利用可能になるにつれて改善することができるので、MLモデルの精度は経時的に改善され、シャワーヘッド1102の設計を改善および加速することができる。
【0129】
シャワーヘッドMLについての特徴は、シャワーヘッド1102の複数のファセットをカバーするように定義され(いくつかの例示的なエリアを示す図中の矢印)、以下の1つまたは複数を含む:
【0130】
-プレート間の接触コンダクタンス;
【0131】
-マニホールドとバックプレートとの間の接触コンダクタンス、ギャップコンダクタンス、および放射;
【0132】
-エッジリング1110とマニホールドとの間の接触コンダクタンス、ギャップコンダクタンス、および放射;
【0133】
-台座リングとシャワーヘッドエッジとの間のギャップコンダクタンスおよび放射;
【0134】
-シャワーヘッドバックプレートとマニホールドとの間の接触コンダクタンスおよびギャップコンダクタンス;
【0135】
-台座範囲と台座との間の接触コンダクタンス、ギャップコンダクタンス、および放射;
【0136】
-ウエハとシャワーヘッドとの間およびウエハと台座との間の放射およびギャップコンダクタンス;
【0137】
-シャワーヘッドの空隙におけるギャップ伝導;
【0138】
-台座の外面および台座リングに対する周囲エリアへの放射;
【0139】
-シャワーヘッドの表面とエッジリングとの間のギャップ伝導および放射;
【0140】
-エッジリングの外面に対する周囲エリアへの放射;および
【0141】
-マニホールドの外面に対する周囲エリアへの放射。
【0142】
さらに、図示のゾーンZ1~Z4などのゾーンがシャワーヘッド内で定義され、各ゾーンに関連するパラメータが、ゾーン上の温度または伝導率などの特徴として使用される。
【0143】
入力として異なるパラメータを変化させ、複数の実験が実施される。入力は、シャワーヘッドの穴の数、穴の分布、使用される異なるタイプのガス、ガスの圧力、送給サイクルなどを含むことができる。結果は、入力と共に、シャワーヘッドモデルに対する訓練データとして使用される。結果は、その表面全体にわたるウエハの厚さを含み得る。
【0144】
次に、シャワーヘッドモデルを使用して、様々な入力に基づいてシャワーヘッドの性能に関するそれぞれの出力を推定する。出力は、ウエハに沿って測定された均一性、ならびにチャンバ内のセンサから得られた計測データを含むことができる。
【0145】
このようにして、シャワーヘッド設計チームは、異なるシャワーヘッド構成のモデリングを迅速に実施し、どの構成が所与の製品要件に対して最良に機能するかを決定することができる。
【0146】
シャワーヘッドモデルの助けを借りて設計された結果として得られるシャワーヘッド1102は、減少したシャワーヘッド内部キャビティ容積、減少した台座-シャワーヘッド間の容積、小さくなった台座とシャワーヘッドとの間のギャップ、および異なるフェースプレート穴パターンを有する。これにより、均一性、温度要件などの必要な性能パラメータを満たしながら、ガス消費量が削減される。
【0147】
いくつかの例示的な実施形態では、シャワーヘッドギャップおよびウエハについての偏狭の測定値は、大気側に向かってシャワーヘッドに取り付けられたレーザを使用して得られた。レーザ光は、真空密封されたサファイア窓を通過した。さらに、レーザ光は台座表面から反射され、そのタイミングが距離を測定するために使用される。
【0148】
図12は、いくつかの例示的な実施形態による、半導体製造機器動作の性能を予測するための方法1200のフローチャートである。このフローチャートの様々な動作が順番に提示され説明されているが、当業者は、動作の一部またはすべてが異なる順序で実行され、組み合わせもしくは省略され、または並行して実行されてもよいことを理解するであろう。
【0149】
動作1202において、複数の機械学習(ML)モデルが得られ、各モデルは、半導体製造ツールの動作についての性能測定基準を予測することに関連し、各MLモデルは、MLモデルについての入力を定義する複数の特徴を利用する。
【0150】
動作1202から、方法1200は、1つまたは複数のプロセッサによって、半導体製造ツールで製品を製造するためのプロセス定義を受信するための動作1204に移動する。
【0151】
さらに、動作1204から、方法1200は動作1206に移動し、1つまたは複数のプロセッサが複数のMLモデルからの1つまたは複数のMLモデルを利用して、半導体製造ツールで使用されるプロセス定義の性能を推定する。
【0152】
動作1206から、方法1200は動作1208に移動し、プロセスの性能の推定を示す結果がディスプレイ上に提示される。
【0153】
一例では、複数の機械学習(ML)モデルから1つのMLモデルを作成することは、MLモデルについての訓練データを得ることであって、訓練データは、MLモデルについての特徴の値を提供することと、MLアルゴリズムを訓練してMLモデルを得ることとを含む。
【0154】
一例では、MLモデルについての訓練データを得ることは、半導体製造ツールで実験を実施することと、実験のために特徴の値を測定することと、訓練データについての測定された値を使用することとを含む。
【0155】
一例では、MLモデルについての訓練データを得ることは、半導体製造ツールの動作について物理ベースのシミュレーションを実施することによって訓練データを得ることを含む。
【0156】
一例では、複数のMLモデルは、チャンバモデル、プラズマモデル、シースモデル、ウエハ特徴モデル、原子論的モデル、および電子状態モデルを含む。
【0157】
一例では、チャンバMLモデルは、設計寸法を含む入力およびチャンバのジオメトリの定義を含む出力を用いて、半導体製造ツール内のチャンバのジオメトリを推定するためのものである。
【0158】
一例では、プラズマMLモデルは、電場、磁場B、電流密度、化学物質、反応断面積、反応経路、材料性質、RF周波数、RF電圧、およびRFバイアスの1つまたは複数を含む入力を用いて、プラズマ挙動を分析するためのものであり、プラズマMLモデルの出力は、1つまたは複数の荷電種密度およびフラックス、両極性場、電子温度、電子エネルギー分布関数(EEDF)、イオンエネルギー角度分布(IEAD)、オンウエハフラックス、電荷密度(表面および容積)ソース、ならびに種の損失項を含む。
【0159】
一例では、シースMLモデルは、無線周波数(RF)電圧、電場、ソース項、反応衝突断面積、および反応経路の1つまたは複数を含む入力を用いて、シースの性能を分析するためのものであり、シースMLモデルの出力は、ウエハ表面上のフラックス、イオンエネルギーおよび角度分布、伝導および変位電流、イオン通過時間、ならびに電荷密度の1つまたは複数を含む。
【0160】
一例では、ウエハ特徴MLモデルは、設計レイアウト、マスク層、および初期ステップの1つまたは複数を含む入力を用いて、ウエハ特徴のレイアウトを分析するためのものであり、ウエハ特徴MLモデルの出力は、ウエハ特徴のジオメトリ記述を含む。
【0161】
一例では、ウエハ化学物質MLモデルは、オンウエハフラックス、材料性質、反応経路、反応速度、イオン角度収率、エッチング閾値、付着係数、および適応係数の1つまたは複数を含む入力を用いて、ウエハ特徴の化学物質を分析するためのものであり、ウエハ化学物質MLモデルの出力は、ジオメトリ進化およびフロントトラッキング、ウエハ特徴内の種の分布、ならびにウエハ特徴内のイオンエネルギーおよび角度の分布の1つまたは複数を含む。
【0162】
図13は、本明細書に記載の1つまたは複数の例示的なプロセスの実施形態を実施または制御することができる機械1300の一例を示すブロック図である。代替の実施形態では、機械1300はスタンドアロンデバイスとして動作してもよく、または他の機械に接続(例えば、ネットワーク接続)されてもよい。ネットワーク展開では、機械1300は、サーバ-クライアントネットワーク環境において、サーバ機械、クライアント機械、またはその両方の性能で動作することができる。一例では、機械1300はピアツーピア(P2P)(または他の分散型)ネットワーク環境においてピア機械として作動することができる。さらに、単一の機械1300のみが示されているが、「機械」という用語は、クラウドコンピューティング、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)、または他のコンピュータクラスタ構成などを介して、本明細書で論じられる方法論のいずれか1つまたは複数を実施するための1セット(または複数セット)の命令を個々にまたは共同で実行する機械の任意の集合を含むとも解釈されるべきである。
【0163】
本明細書に記載の例は、ロジック、いくつかの構成要素、またはメカニズムを含み得るか、またはそれらによって動作することができる。回路セットは、ハードウェア(例えば、単純な回路、ゲート、ロジックなど)を含む有形のエンティティに実装された回路の集合である。回路セットのメンバシップは、時間の経過および基礎となるハードウェアの変動性に柔軟に対応することができる。回路セットは、単独でまたは組み合わせて、動作時に特定の動作を実施することができるメンバを含む。一例では、回路セットのハードウェアは、特定の動作を実行するように不変に設計されてもよい(例えば、ハードワイヤード)。一例では、回路セットのハードウェアは、特定の動作の命令を符号化するために物理的に修正された(例えば、磁気的、電気的、不変質量粒子の可動配置などによって)コンピュータ可読媒体を含む、可変的に接続された物理的構成要素(例えば、実行ユニット、トランジスタ、単純な回路)を含み得る。物理的構成要素を接続する際に、ハードウェア構成要素の基礎となる電気的性質が変更される(例えば、絶縁体から導体へ、またはその逆)。命令は、組み込みハードウェア(例えば、実行ユニットまたはローディングメカニズム)が、可変接続を介してハードウェア内に回路セットのメンバを作成し、動作時に特定の動作の一部を実行することを可能にする。したがって、コンピュータ可読媒体は、デバイスが動作しているときに回路セットの他の構成要素に通信可能に結合される。一例では、物理的構成要素のいずれかが、複数の回路セットの複数のメンバで使用され得る。例えば、動作中、実行ユニットは、ある時点で第1の回路セットの第1の回路で使用され、別の時点で第1の回路セット内の第2の回路によって、または第2の回路セット内の第3の回路によって再利用されてもよい。
【0164】
機械(例えば、コンピュータシステム)1300は、ハードウェアプロセッサ1302(例えば、中央処理装置(CPU)、ハードウェアプロセッサコア、またはそれらの任意の組み合わせ)、グラフィック処理ユニット(GPU)1303、メインメモリ1304、および静的メモリ1306を含むことができ、その一部またはすべては、相互リンク(例えば、バス)1308を介して互いに通信することができる。機械1300は、ディスプレイデバイス1310、英数字入力デバイス1312(例えば、キーボード)、およびユーザインターフェース(UI)ナビゲーションデバイス1314(例えば、マウス)をさらに含むことができる。一例では、ディスプレイデバイス1310、英数字入力デバイス1312、およびUIナビゲーションデバイス1314は、タッチスクリーンディスプレイであってもよい。機械1300は、大容量記憶デバイス(例えば、駆動ユニット)1316、信号生成デバイス1318(例えば、スピーカ)、ネットワークインターフェースデバイス1320、および1つまたは複数のセンサ1321(全地球測位システム(GPS)センサ、コンパス、加速度計、または別のセンサなど)をさらに含むことができる。機械1300は、1つまたは複数の周辺機器(例えば、プリンタ、カードリーダ)と通信するため、またはそのような周辺機器を制御するために、シリアル(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB))、パラレル、または他の有線または無線(例えば、赤外線(IR)、近距離無線通信(NFC))接続などの出力コントローラ1328を含んでもよい。
【0165】
大容量記憶デバイス1316は、機械可読媒体1322を含むことができる。この機械可読媒体1322には、本明細書に記載の技法または機能のいずれか1つまたは複数を具現化する、またはそれらによって利用されるデータ構造または命令1324(例えば、ソフトウェア)のセットが1つまたは複数セット格納される。また、命令1324は、機械1300による実行中、完全にまたは少なくとも部分的に、メインメモリ1304内、静的メモリ1306内、ハードウェアプロセッサ1302内、またはGPU1303内に存在してもよい。一例では、ハードウェアプロセッサ1302、GPU1303、メインメモリ1304、静的メモリ1306、または大容量記憶デバイス1316のいずれか1つ、またはその任意の組み合わせによって、機械可読媒体を構成してもよい。
【0166】
機械可読媒体1322は単一の媒体として示されているが、「機械可読媒体」という用語は、1つまたは複数の命令1324を格納するように構成された単一の媒体、または複数の媒体(例えば、集中型もしくは分散型データベース、ならびに/または関連するキャッシュおよびサーバ)を含むことができる。
【0167】
「機械可読媒体」という用語は、機械1300によって実行するための命令1324を格納、符号化、または搬送することができ、かつ機械1300に本開示の技法のいずれか1つまたは複数を実施させる任意の媒体、またはそのような命令1324によって使用されるデータ構造もしくはそのような命令1324に関連するデータ構造を格納、符号化、または搬送することができる任意の媒体を含むことができる。機械可読媒体の非限定的な例は、固体メモリ、光学媒体、および磁気媒体を含むことができる。一例では、大容量機械可読媒体は、不変(例えば、静止)質量を有する複数の粒子を有する機械可読媒体1322を含む。したがって、大容量機械可読媒体は、一時的に伝播する信号ではない。大容量機械可読媒体の特定の例は、半導体メモリデバイス(例えば、電気的にプログラム可能な読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM))およびフラッシュメモリデバイスなどの不揮発性メモリ、内蔵ハードディスクおよびリムーバブルディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、ならびにCD-ROMおよびDVD-ROMディスクを含むことができる。
【0168】
さらに命令1324は、伝送媒体を使用し、ネットワークインターフェースデバイス1320を介して、通信ネットワーク1326を通じて送信または受信することができる。
【0169】
本明細書全体を通して、単一の事例として説明された構成要素、動作、または構造を複数の事例が実装してもよい。1つまたは複数の方法の個々の動作は別々の動作として図示し説明されているが、個々の動作の1つまたは複数が同時に実施されてもよく、各動作を例示された順序で実施する必要はない。例示的な構成において別々の構成要素として提示された構造および機能は、組み合わされた構造または構成要素として実装されてもよい。同様に、単一の構成要素として提示された構造および機能は、別々の構成要素として実装されてもよい。これらおよび他の変形、修正、追加、および改良は、本明細書の主題の範囲内に含まれる。
【0170】
例示された実施形態は、開示された教示を当業者が実践できるように十分詳細に説明されている。本開示の範囲から逸脱することなく構造的および論理的な置換および変更を行うことができるように、他の実施形態を使用してもよく、また、明細書に開示された教示から他の実施形態を導き出してもよい。したがって、この詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、様々な実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲と、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物のすべての範囲とによってのみ定義される。
【0171】
本明細書で使用される場合、「または」という用語は、包括的または排他的な意味で解釈され得る。さらに、単一の事例として本明細書で説明されたリソース、動作、または構造に対して複数の事例が提供されてもよい。加えて、様々なリソース、動作、モジュール、エンジン、およびデータストアの間の境界はいくぶん任意的であり、特定の動作は、特定の例示的な構成の場面で示されている。機能の他の割り当てが想定され、本開示の様々な実施形態の範囲内に含まれ得る。一般に、例示的な構成において別々のリソースとして提示された構造および機能は、組み合わされた構造またはリソースとして実装されてもよい。同様に、単一のリソースとして提示された構造および機能は、別々のリソースとして実装されてもよい。これらおよび他の変形、修正、追加、および改良は、添付の特許請求の範囲によって表される本開示の実施形態の範囲内に含まれる。したがって、明細書および図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で見なされるべきである。また、本開示は以下の形態としても実現できる。
[形態1]
方法であって、
複数の機械学習(ML)モデルを得ることであって、各前記モデルは、半導体製造ツールの動作についての性能測定基準を予測することに関連し、各前記MLモデルは、前記MLモデルについての入力を定義する複数の特徴を利用することと、
1つまたは複数のプロセッサによって、前記半導体製造ツールで製品を製造するためのプロセス定義を受信することと、
前記1つまたは複数のプロセッサによって、前記複数のMLモデルからの1つまたは複数のMLモデルを利用して、前記半導体製造ツールで使用される前記プロセス定義の性能を推定することと、
ディスプレイ上に、前記製品の前記製造の前記性能の前記推定を示す結果を提示することと
を含む、方法。
[形態2]
形態1に記載の方法であって、
前記複数の機械学習(ML)モデルから1つのMLモデルを作成することは、
前記MLモデルについての訓練データを得ることであって、前記訓練データは、前記MLモデルについての前記特徴の値を提供することと、
MLアルゴリズムを訓練して前記MLモデルを得ることと
を含む、方法。
[形態3]
形態2に記載の方法であって、
前記MLモデルについての前記訓練データを得ることは、
前記半導体製造ツールで実験を実施することと、
前記実験のために前記特徴の値を測定することと、
前記訓練データについての測定された前記値を使用することと
を含む、方法。
[形態4]
形態3に記載の方法であって、
前記MLモデルについての前記訓練データを得ることは、
二次MLモデルを訓練し、計測データについての低次元化モデル(ROM)を作り出すことと、
追加の訓練データとして前記二次MLモデルの出力を利用することと
をさらに含む、方法。
[形態5]
形態2に記載の方法であって、
前記MLモデルについての前記訓練データを得ることは、
前記半導体製造ツールの前記動作について物理ベースのシミュレーションを実施することによって前記訓練データを得ること
を含む、方法。
[形態6]
形態1に記載の方法であって、
前記複数のMLモデルは、チャンバモデル、処理マトリックスモデル、基板スケールモデル、ウエハ特徴モデル、原子論的モデル、および電子状態モデルを含む、方法。
[形態7]
形態1に記載の方法であって、
チャンバMLモデルは、設計寸法を含む入力およびチャンバのジオメトリの定義を含む出力を用いて、前記半導体製造ツール内の前記チャンバの前記ジオメトリを推定するためのものである、方法。
[形態8]
形態1に記載の方法であって、
処理マトリックスMLモデルは、電場、磁場B、電流密度、化学物質、反応断面積、反応経路、材料性質、RF周波数、RF電圧、温度、およびRFバイアスの1つまたは複数を含む入力を用いて、処理中の基板の環境の挙動を分析するためのものであり、プラズマMLモデルの出力は、荷電種密度およびフラックス、両極性場、電子温度、電子エネルギー分布関数(EEDF)、イオンエネルギー角度分布(IEAD)、オンウエハフラックス、電荷密度(表面および容積)ソース、ならびに種の損失または生成項の1つまたは複数を含む、方法。
[形態9]
形態1に記載の方法であって、
基板レベルMLモデルは、無線周波数(RF)電圧、電場、ソース項、反応衝突断面積、溶液濃度、および反応経路の1つまたは複数を含む入力を用いて、前記基板に近いシースの性能を分析するためのものであり、シースMLモデルの出力は、ウエハ表面上のフラックス、イオンエネルギーおよび角度分布、伝導および変位電流、イオン通過時間、表面機能化、ならびに電荷密度の1つまたは複数を含む、方法。
[形態10]
形態1に記載の方法であって、
ウエハ特徴MLモデルは、設計レイアウト、マスク層、および初期ステップの1つまたは複数を含む入力を用いて、ウエハ特徴のレイアウトを分析するためのものであり、前記ウエハ特徴MLモデルの出力は、前記ウエハ特徴のジオメトリ記述を含む、方法。
[形態11]
形態1に記載の方法であって、
ウエハ化学物質MLモデルは、オンウエハフラックス、材料性質、反応経路、反応速度、イオン角度収率、エッチング閾値、付着係数、および適応係数の1つまたは複数を含む入力を用いて、ウエハ特徴の化学物質を分析するためのものであり、前記ウエハ化学物質MLモデルの出力は、ジオメトリ進化およびフロントトラッキング、前記ウエハ特徴内の種の分布、ならびにウエハ特徴内のイオンエネルギーおよび角度の分布の1つまたは複数を含む、方法。
[形態12]
システムであって、
命令を含むメモリと、
1つまたは複数のコンピュータプロセッサであって、前記命令は、前記1つまたは複数のコンピュータプロセッサによって実行されると、前記システムに、
複数の機械学習(ML)モデルを得ることであって、各モデルは、半導体製造ツールの動作についての性能測定基準を予測することに関連し、各MLモデルは、前記MLモデルについての入力を定義する複数の特徴を利用することと、
前記半導体製造ツールで製品を製造するためのプロセス定義を受信することと、
前記複数のMLモデルからの1つまたは複数のMLモデルを利用して、前記半導体製造ツールで使用される前記プロセス定義の性能を推定することと、
ディスプレイ上に、前記製品の前記製造の前記性能の前記推定を示す結果を提示すること
を含む動作を実施させる1つまたは複数のコンピュータプロセッサと
を備える、システム。
[形態13]
形態12に記載のシステムであって、
前記複数の機械学習(ML)モデルから1つのMLモデルを作成することは、
前記MLモデルについての訓練データを得ることであって、前記訓練データは、前記MLモデルについての前記特徴の値を提供することと、
MLアルゴリズムを訓練して前記MLモデルを得ることと
を含む、システム。
[形態14]
形態13に記載のシステムであって、
前記MLモデルについての前記訓練データを得ることは、
前記半導体製造ツールで実験を実施することと、
前記実験のために前記特徴の値を測定することと、
前記訓練データについての測定された前記値を使用することと、
前記半導体製造ツールについての物理ベースのシミュレーションを実施することによって追加の訓練データを得ることと
を含む、システム。
[形態15]
形態12に記載のシステムであって、
チャンバMLモデルは、設計寸法を含む入力およびチャンバのジオメトリの定義を含む出力を用いて、前記半導体製造ツール内の前記チャンバの前記ジオメトリを推定するためのものである、システム。
[形態16]
形態12に記載のシステムであって、
処理マトリックスMLモデルは、電場、磁場B、電流密度、化学物質、反応断面積、反応経路、材料性質、温度、質量輸送、RF周波数、RF電圧、およびRFバイアスの1つまたは複数を含む入力を用いて、処理中の基板の環境の挙動を分析するためのものであり、前記処理マトリックスMLモデルの出力は、荷電種密度およびフラックス、両極性場、電子温度、電子エネルギー分布関数(EEDF)、イオンエネルギー角度分布(IEAD)、オンウエハフラックス、電荷密度(表面および容積)ソース、ならびに種の損失または生成項の1つまたは複数を含む、システム。
[形態17]
機械によって実行されると、前記機械に、
複数の機械学習(ML)モデルを得ることであって、各前記モデルは、半導体製造ツールの動作についての性能測定基準を予測することに関連し、前記各MLモデルは、前記MLモデルについての入力を定義する複数の特徴を利用することと、
前記半導体製造ツールで製品を製造するためのプロセス定義を受信することと、
前記複数のMLモデルからの1つまたは複数のMLモデルを利用して、前記半導体製造ツールで使用される前記プロセス定義の性能を推定することと、
ディスプレイ上に、前記製品の前記製造の前記性能の前記推定を示す結果を提示すること
を含む動作を実施させる、機械可読記憶媒体。
[形態18]
形態17に記載の機械可読記憶媒体であって、
前記複数の機械学習(ML)モデルから1つのMLモデルを作成することは、
前記MLモデルについての訓練データを得ることであって、前記訓練データは、前記MLモデルについての前記特徴の値を提供することと、
MLアルゴリズムを訓練して前記MLモデルを得ることと
を含む、機械可読記憶媒体。
[形態19]
形態18に記載の機械可読記憶媒体であって、
前記MLモデルについての前記訓練データを得ることは、
前記半導体製造ツールで実験を実施することと、
前記実験のために前記特徴の値を測定することと、
前記訓練データについての測定された前記値を使用することと、
前記半導体製造ツールについての物理ベースのシミュレーションを実施することによって追加の訓練データを得ることと
を含む、機械可読記憶媒体。
[形態20]
形態17に記載の機械可読記憶媒体であって、
チャンバMLモデルは、設計寸法を含む入力およびチャンバのジオメトリの定義を含む出力を用いて、前記半導体製造ツール内の前記チャンバの前記ジオメトリを推定するためのものである、機械可読記憶媒体。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
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図11
図12
図13