(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-17
(45)【発行日】2025-02-26
(54)【発明の名称】電気接点領域用のバリア層
(51)【国際特許分類】
H10D 30/66 20250101AFI20250218BHJP
H10D 30/01 20250101ALI20250218BHJP
H10D 12/00 20250101ALI20250218BHJP
【FI】
H10D30/66 103Q
H10D30/66 103R
H10D30/66 102G
H10D30/66 101T
H10D30/66 102S
H10D30/01 301F
H10D30/66 103S
H10D30/66 101F
H10D12/00 101A
(21)【出願番号】P 2022565975
(86)(22)【出願日】2021-04-26
(86)【国際出願番号】 US2021029099
(87)【国際公開番号】W WO2021222070
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-12-05
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】ウルフスピード インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WOLFSPEED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リヒテンヴァルナー、ダニエル ジェンナー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ブラント、エドワード ロバート
【審査官】志津木 康
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/051530(WO,A1)
【文献】特開平09-074199(JP,A)
【文献】特開2001-274386(JP,A)
【文献】特開2017-028219(JP,A)
【文献】特開2013-004636(JP,A)
【文献】特開2016-006854(JP,A)
【文献】特開2012-069838(JP,A)
【文献】国際公開第2008/099597(WO,A1)
【文献】特開2003-332576(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10D 30/66
H10D 30/01
H10D 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスであって、
アクティブ領域及び非アクティブ領域を備える半導体層構造であって、前記アクティブ領域は、複数のユニット・セルを備え、前記非アクティブ領域は、前記半導体層構造上のゲート・パッド、及び前記ゲート・パッド上にあり且つ前記ゲート・パッドに電気的に接続されたゲート・ボンド・パッドを備える、半導体層構造と、
前記ゲート・パッドと前記ゲート・ボンド・パッドとの間の分離層と、
前記ゲート・パッドと前記分離層との間のバリア層であって、当該バリア層は前記ゲート・パッドの上部表面及び側壁上にある、バリア層と
を備える、半導体デバイス。
【請求項2】
前記バリア層は、第1のバリア層であり、前記半導体デバイスは、
前記ゲート・パッド上にあり且つ前記第1のバリア層上にある第2のバリア層
をさらに備え、
前記分離層の少なくとも一部分は、前記第1のバリア層と前記第2のバリア層との間にある、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記バリア層は、複数の層を備え、
前記バリア層は、チタン(Ti)及び/又はタンタル(Ta)を含む、請求項1から2までのいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記バリア層は、第1のバリア層であり、前記半導体デバイスは、
前記アクティブ領域上にあり且つ前記ゲート・ボンド・パッドに電気的に接続されたゲート・フィンガーと、
前記ゲート・フィンガー上の第2のバリア層と
をさらに備え、
前記第2のバリア層は、前記ゲート・フィンガーの上部表面及び側壁上にある、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記バリア層は、第1のバリア層であり、前記半導体デバイスは、
前記半導体層構造上のソース接点と、
前記ソース接点の側壁及び底部表面上の第2のバリア層と、
前記半導体層構造と前記第2のバリア層との間の第3のバリア層と
をさらに備える、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
半導体デバイスであって、
半導体層構造と、
並列に電気的に接続される複数のユニット・セル・トランジスタであって、各ユニット・セル・トランジスタは、前記半導体層構造の上部表面上に第1の方向に延在するゲート・フィンガーを備え、前記ゲート・フィンガーは、第2の方向に沿って互いから離間する、複数のユニット・セル・トランジスタと、
前記ゲート・フィンガーのそれぞれの上側表面及び対向する側壁上の補助ゲート電極バリア層と
を備え
、
前記半導体層構造は、非アクティブ領域及びアクティブ領域を備え、
前記アクティブ領域は、前記複数のユニット・セル・トランジスタを備え、
前記非アクティブ領域は、
前記半導体層構造上のゲート・パッドと、
前記ゲート・パッド上にあり且つ前記ゲート・パッドに電気的に接続されたゲート・ボンド・パッドと、
前記ゲート・パッドと前記ゲート・ボンド・パッドとの間の分離層と、
前記ゲート・パッドと前記分離層との間の補助ゲート・パッド・バリア層と
を備える、半導体デバイス。
【請求項7】
前記ゲート・フィンガーは、ポリシリコンを含み、
前記補助ゲート電極バリア層は、チタン(Ti)及び/又はタンタル(Ta)を含む、請求項
6に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
前記補助ゲート・パッド・バリア層と前記ゲート・ボンド・パッドとの間のゲート・パッド・バリア層をさらに備える、請求項
6に記載の半導体デバイス。
【請求項9】
半導体デバイスであって、
半導体層構造と、
並列に電気的に接続される複数のユニット・セル・トランジスタであって、各ユニット・セル・トランジスタは、前記半導体層構造の上部表面上に第1の方向に延在するゲート・フィンガーを備え、前記ゲート・フィンガーは、第2の方向に沿って互いから離間する、複数のユニット・セル・トランジスタと、
前記ゲート・フィンガーのそれぞれの上側表面及び対向する側壁上の補助ゲート電極バリア層と、
前記ゲート・フィンガー上の分離層
と、
を備え、
前記補助ゲート電極バリア層は、前記分離層と前記ゲート・フィンガーとの間にある
、半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年4月30日に出願された米国特許出願第16/863,642号の優先権を主張し、その全体の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、半導体デバイスに関し、より詳細には、パワー半導体スイッチング・デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(「MOSFET」:Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)は、スイッチング・デバイスとして使用することができるよく知られているタイプの半導体トランジスタである。MOSFETは、チャネル領域によって分離されるソース領域及びドレイン領域、並びにチャネル領域に隣接して配設されるゲート電極を含む3端子デバイスである。MOSFETは、ゲート電極にゲート・バイアス電圧を印加することによってオン又はオフすることができる。MOSFETがオンされる(すなわち、MOSFETがその「オン状態(on-state)」になる)と、電流が、MOSFETのチャネル領域を通ってソース領域とドレイン領域との間で伝導する。バイアス電圧がゲート電極から取り除かれる(又は、閾値レベル未満に減少する)と、電流は、チャネル領域を通って伝導するのを停止する。例として、n型MOSFETは、n型ソース及びドレイン領域及びp型チャネルを有する。n型MOSFETは、したがって、「n-p-n」設計を有する。n型MOSFETは、n型ソース領域及びドレイン領域を電気的に接続するp型チャネル領域内に導電性n型反転層を作成するのに十分である、ゲート・バイアス電圧がゲート電極に印加され、それにより、ソース領域とドレイン領域との間の大量のキャリア伝導を可能にすると、オンする。
【0004】
パワーMOSFETのゲート電極は、典型的には、酸化シリコン・パターン等の薄いゲート絶縁パターンによってチャネル領域から分離される。MOSFETのゲート電極は、ゲート絶縁パターンによってチャネル領域から絶縁されるため、MOSFETをそのオン状態に維持するために又はMOSFETをそのオン状態とそのオフ状態との間で切り換えるために、最小ゲート電流が必要とされる。ゲートがチャネル領域とキャパシタを形成するため、ゲート電流は、スイッチング中に小さく保たれる。そのため、最小の充電及び放電電流のみが、スイッチング中に必要とされ、複雑でないゲート・ドライブ回路部を可能にする。
【0005】
バイポーラ・ジャンクション・トランジスタ(「BJT:bipolar junction transistor」)は、同様にスイッチング・デバイスとして日常的に使用されるよく知られている別のタイプの半導体トランジスタである。BJTは、半導体材料内で互いに非常に接近して形成される2つのp-n接合を含む。動作時、電荷キャリアは、p-n接合のうちの1つのp-n接合に隣接する半導体材料の第1の領域(エミッタ)に入る。電荷キャリアのほとんどは、他のp-n接合に隣接する半導体材料の第2の領域(コレクタ)からデバイスを出る。コレクタ及びエミッタは、同じ導電型を有する半導体材料の領域内に形成される。ベースとして知られる、半導体材料の比較的薄い第3の領域は、コレクタとエミッタとの間に位置決めされ、コレクタ及びエミッタの導電型と逆の導電型を有する。そのため、BJTの2つのp-n接合は、コレクタがベースに接するところで及びベースがエミッタに接するところで形成される。BJTのベースを通して小電流を流すことによって、比例的に大きい電流が、エミッタからコレクタに通過する(pass)。
【0006】
BJTは、トランジスタのベースを通して電流を流すことによって、BJTが「オン(on)」される(すなわち、エミッタとコレクタとの間に電流が流れるように、BJTがバイアスされる)点で電流制御式デバイスである。例えば、n-p-nBJT(すなわち、n型コレクタ及びエミッタ領域及びp型ベース領域を有するBJT)において、トランジスタは、典型的には、ベース-エミッタp-n接合を順方向バイアスするためにベースに正電圧を印加することによってオンされる。デバイスがこうしてバイアスされると、トランジスタのベースに流入する正孔電流はエミッタに注入される。正孔は、「多数キャリア(majority carrier)」と呼ばれる。その理由は、ベースがp型領域であり、正孔が、そのような領域内の「通常の(normal)」電荷キャリアであるからである。エミッタ内への正孔電流に応答して、電子が、エミッタからベースに注入され、そこで、電子はコレクタに向かって拡散する。これらの電子は、「少数キャリア(minority carrier)」と呼ばれる。その理由は、電子が、p型ベース領域内の通常の電荷キャリアでないからである。デバイスは、エミッタ-コレクタ電流が電子と正孔電流の両方を含むため、「バイポーラ(bipolar)」デバイスと呼ばれる。
【0007】
BJTは、デバイスをそのオン状態に維持するために比較的大きい電流を必要とする場合がある。したがって、ハイ・パワーBJTが要求することができる比較的大きいベース電流を供給するために、比較的複雑な外部ドライブ回路が必要とされる場合がある。さらに、BJTのスイッチング速度は、電流伝導のバイポーラ的性質によって、パワーMOSFETのスイッチング速度より著しく遅いとすることができる。
【0008】
よく知られている第3のタイプの半導体スイッチング・デバイスは、絶縁ゲート型バイポーラ・トランジスタ(「IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor」)であり、絶縁ゲート型バイポーラ・トランジスタは、パワーMOSFETの高インピーダンス・ゲートをパワーBJTの小さいオン状態伝導損失と組み合わせるデバイスである。IGBTは、例えば、入力に高電圧nチャネルMOSFET及び出力にBJTを含むダーリントン・ペアとして実装することができる。BJTのベース電流は、MOSFETのチャネルを通して供給され、それにより、簡略化された外部ドライブ回路を可能にする。
【0009】
ハイ・パワー半導体スイッチング・デバイスについての需要増加が存在し、そのデバイスは、その「オン(on)」状態で大電流を流し、その逆遮断状態で大電圧(例えば、数百又はさらに数千ボルト)を遮断することができる。高い電流密度を維持し、そのような高い電圧を遮断するために、パワーMOSFET及びIGBTは、典型的には、肉厚の半導体層構造の対向する側面にソース及びドレインを有する縦構造を有して、より高い電圧レベルを遮断する。パワーが非常に高い用途において、半導体スイッチング・デバイスは、典型的には、例えば、炭化シリコン(「SiC」)等のワイド・バンドギャップ半導体材料システム(本明細書で、用語「ワイド・バンドギャップ半導体(wide band-gap semiconductor)」は、少なくとも1.4eVのバンドギャップを有する任意の半導体を包含する)を使用して形成され、炭化シリコンは、例えば、高電界絶縁破壊強度、高熱伝導率、高電子移動度、高溶融点、及び高飽和電子ドリフト速度を含む幾つかの有利な特性を有する。例えば、シリコン等の他の半導体材料を使用して形成されるデバイスと比べて、炭化シリコンを使用して形成される電子デバイスは、高い温度で、高いパワー密度で、高い速度で、高いパワー・レベルで、及び/又は高い放射密度下で動作する能力を有することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の幾つかの実施例によれば、半導体デバイスは、アクティブ領域及び非アクティブ領域を備える半導体層構造であって、アクティブ領域は複数のユニット・セルを備え、非アクティブ領域は、半導体層構造上のゲート・パッド及びゲート・パッド上にあり且つゲート・パッドに電気的に接続されたゲート・ボンド・パッドを備える、半導体層構造と、ゲート・パッドとゲート・ボンド・パッドとの間の分離層と、ゲート・パッドと分離層との間のバリア層とを含む。
【0012】
幾つかの実施例において、バリア層は第1のバリア層であり、半導体デバイスは、ゲート・パッド上にあり且つ第1のバリア層上にある第2のバリア層をさらに含む。
【0013】
幾つかの実施例において、分離層の少なくとも一部分は、第1のバリア層と第2のバリア層との間にある。
【0014】
幾つかの実施例において、バリア層は複数の層を備える。
【0015】
幾つかの実施例において、バリア層はチタン(Ti)及び/又はタンタル(Ta)を含む。
【0016】
幾つかの実施例において、バリア層は第1のバリア層であり、半導体デバイスは、アクティブ領域上にあり且つゲート・ボンド・パッドに電気的に接続されたゲート・フィンガーと、ゲート・フィンガー上の第2のバリア層と
をさらに含む。
【0017】
幾つかの実施例において、第2のバリア層は、ゲート・フィンガーの上部表面及び側壁上にある。
【0018】
幾つかの実施例において、バリア層は第1のバリア層であり、半導体デバイスは、半導体層構造上のソース接点と、ソース接点の側壁及び底部表面上の第2のバリア層と、半導体層構造と第2のバリア層との間の第3のバリア層と
をさらに含む。
【0019】
本発明の幾つかの実施例によれば、半導体デバイスは、半導体基板と、半導体基板上のゲート・パッドと、ゲート・パッド上にあり且つゲート・パッドに電気的に接続されたゲート・ボンド・パッドと、半導体基板の上部表面に垂直な第1の方向におけるゲート・ボンド・パッドの底部部分とゲート・パッドとの間の第1のバリア層と、第1の方向におけるゲート・パッドと第1のバリア層との間の第2のバリア層とを含む。
【0020】
幾つかの実施例において、第2のバリア層は、半導体基板の上部表面に平行な第2の方向における幅を有し、この幅は、第2のバリア層とゲート・ボンド・パッドの底部部分との間にある第1のバリア層の部分の幅を超える。
【0021】
幾つかの実施例において、第2のバリア層の厚さは、第2の方向における、第2のバリア層の幅に沿って実質的に均一である。
【0022】
幾つかの実施例において、ゲート・ボンド・パッドは、対向する側壁を有する接触穴を介してゲート・パッドに結合され、第1のバリア層の一部分は接触穴の対向する側壁上にあり、半導体基板の上部表面に平行な第2の方向における、第2のバリア層の幅は、第2の方向における接触穴の幅より大きい。
【0023】
幾つかの実施例において、半導体デバイスは分離層をさらに含み、分離層の一部分は、第2のバリア層とゲート・ボンド・パッドとの間にある。
【0024】
幾つかの実施例において、第2のバリア層は複数の層を備える。
【0025】
幾つかの実施例において、第2のバリア層はチタン(Ti)及び/又はタンタル(Ta)を含む。
【0026】
幾つかの実施例において、第2のバリア層は、ゲート・パッドの上部表面及び側壁上にある。
【0027】
幾つかの実施例において、第2のバリア層の材料は、第1のバリア層の材料と異なる。
【0028】
幾つかの実施例において、半導体デバイスは、アクティブ領域及び非アクティブ領域を備える半導体層構造であって、ゲート・パッドは非アクティブ領域上にある、半導体層構造と、アクティブ領域上にあり且つゲート・パッドに電気的に接続されたゲート・フィンガーと、ゲート・フィンガー上の第3のバリア層とをさらに含む。
【0029】
幾つかの実施例において、第3のバリア層は、ゲート・フィンガーの上部表面及び側壁上にある。
【0030】
本発明の幾つかの実施例によれば、半導体デバイスは、半導体基板と、半導体基板上のゲート・パッドと、ゲート・パッド上の分離層と、分離層及びゲート・パッド上の第1のバリア層と、第1の方向におけるゲート・パッドと第1のバリア層との間の第2のバリア層であって、第2のバリア層は、第2の方向における幅を有し、この幅は、第2の方向における第1のバリア層の幅を超える、第2のバリア層とを含む。
【0031】
幾つかの実施例において、半導体デバイスは、ゲート・パッド上にあり且つ対向する側壁を有する分離層内の接触穴を介してゲート・パッドに電気的に接続されたゲート・ボンド・パッドをさらに含み、第1のバリア層は、接触穴の対向する側壁の間で第2の方向に延在する第1の部分を備え、第2の方向における第2のバリア層の幅は、第2の方向における第1のバリア層の第1の部分の幅を超える。
【0032】
幾つかの実施例において、分離層の部分は、第2のバリア層とゲート・ボンド・パッドとの間にある。
【0033】
幾つかの実施例において、分離層は、第2のバリア層の上部表面上にあり、且つ第1のバリア層の側壁上にある。
【0034】
本発明の幾つかの実施例によれば、半導体デバイスは、半導体層構造と、並列に電気的に接続される複数のユニット・セル・トランジスタであって、各ユニット・セル・トランジスタは、半導体層構造の上部表面上に第1の方向に延在するゲート・フィンガーを備え、ゲート・フィンガーは、第2の方向に沿って互いから離間する、複数のユニット・セル・トランジスタと、ゲート・フィンガーのそれぞれの上側表面上の補助ゲート電極バリア層と
を含む。
【0035】
幾つかの実施例において、ゲート・フィンガーはポリシリコンを含む。
【0036】
幾つかの実施例において、補助ゲート電極バリア層はチタン(Ti)及び/又はタンタル(Ta)を含む。
【0037】
幾つかの実施例において、補助ゲート電極バリア層は、ゲート・フィンガーのそれぞれの対向する側壁上にもある。
【0038】
幾つかの実施例において、半導体層構造は、非アクティブ領域及びアクティブ領域を備え、アクティブ領域は複数のユニット・セル・トランジスタを備える。非アクティブ領域は、半導体層構造上のゲート・パッドと、ゲート・パッド上にあり且つゲート・パッドに電気的に接続されたゲート・ボンド・パッドと、ゲート・パッドとゲート・ボンド・パッドとの間の分離層と、ゲート・パッドと分離層との間の補助ゲート・パッド・バリア層と
を含む。
【0039】
幾つかの実施例において、補助ゲート・パッド・バリア層は、ゲート・パッドの上部表面及び側壁上にある。
【0040】
幾つかの実施例において、半導体デバイスは、補助ゲート・パッド・バリア層とゲート・ボンド・パッドとの間にゲート・パッド・バリア層をさらに含む。
【0041】
幾つかの実施例において、補助ゲート電極バリア層は複数の層を備える。
【0042】
幾つかの実施例において、半導体デバイスは、半導体層構造上のソース接点と、ソース接点の側壁及び底部表面上のソース・バリア層と、半導体層構造とソース・バリア層との間の補助ソース・バリア層と
をさらに含む。
【0043】
幾つかの実施例において、半導体デバイスは、ゲート・フィンガー上の分離層をさらに含み、補助ゲート電極バリア層は分離層とゲート・フィンガーとの間にある。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本発明の実施例による、複数のパワー・スイッチング・デバイスを含む半導体ウェハの概略平面図である。
【
図2A】
図1の半導体ウェハ上に含まれるパワー・スイッチング・デバイスのうちの1つの概略平面図である。
【
図2B】ソース及びゲート金属被覆が除去された状態の、
図2Aのパワー・スイッチング・デバイスの概略平面図である。
【
図3A】従来デバイスの、アクティブ領域内のユニット・セル構造及び非アクティブ領域内のゲート・パッドを示す、
図2BのラインA-A’に沿って切り取った概略断面図である。
【
図4A】本明細書で説明する幾つかの実施例による半導体デバイスを示す図である。
【
図4C】本明細書で説明する幾つかの実施例によるさらなる半導体デバイスを示す図である。
【
図5A】本明細書で説明する幾つかの実施例によるさらなる半導体デバイスを示す図である。
【
図5B】本明細書で説明する幾つかの実施例によるさらなる半導体デバイスを示す図である。
【
図6A】本明細書で説明する幾つかの実施例によるさらなる半導体デバイスを示す図である。
【
図6C】本明細書で説明する幾つかの実施例によるさらなる半導体デバイスを示す図である。
【
図6D】本明細書で説明する幾つかの実施例によるさらなる半導体デバイスを示す図である。
【
図6E】本明細書で説明する幾つかの実施例によるさらなる半導体デバイスを示す図である。
【
図7】本明細書で説明する幾つかの実施例による半導体デバイスを製造する方法を示す図である。
【
図8】本明細書で説明する幾つかの実施例による半導体デバイスを製造する方法を示す図である。
【
図9A】本明細書で説明する幾つかの実施例による半導体デバイスを製造する方法を示す図である。
【
図9B】本明細書で説明する幾つかの実施例による半導体デバイスを製造する方法を示す図である。
【
図9C】本明細書で説明する幾つかの実施例による半導体デバイスを製造する方法を示す図である。
【
図9D】本明細書で説明する幾つかの実施例による半導体デバイスを製造する方法を示す図である。
【
図10】本明細書で説明する幾つかの実施例による半導体デバイスを製造する方法を示す図である。
【
図11】本明細書で説明する幾つかの実施例による半導体デバイスを製造する方法を示す図である。
【
図12】本明細書で説明する幾つかの実施例による半導体デバイスを製造する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
パワー炭化シリコンMOSFETは、5,000ボルト以上の電圧遮断等の高電圧遮断を必要とする用途のために今日、使用されている。実例によれば、少なくとも10kVの電圧を遮断することになる10A/cm2以上の電流密度の定格を持つ炭化シリコンMOSFETが市販されている。そのようなデバイスを形成するために、複数の「ユニット・セル(unit cell)」が、典型的には形成され、各ユニット・セルは、MOSFETトランジスタを含む。ハイ・パワー用途において、多数(例えば、数百又は数千)のこれらのユニット・セルは、典型的には単一半導体基板上に設けられ、ユニット・セルの全てについてのゲート電極として働くゲート電極パターンが半導体基板の上部側面上に形成される。半導体基板の対向する(底部)側面は、デバイスのユニット・セルの全てについての共通ドレインとして働く。複数のソース接点は、半導体層構造内のソース領域上に形成され、ゲート電極パターン内の開口内で露出する。これらのソース接点は同様に、共通ソースとして役立つために互いに電気的に接続される。結果得られるデバイスは、3つの端子、すなわち、数百又は数千の個々のユニット・セル・トランジスタについての端子として働く、共通ソース端子、共通ドレイン端子、及び共通ゲート電極を有する。上記説明はn型MOSFETについてのものであり、ドレイン及びソースの場所はp型MOSFETについて逆であることになることが認識されるであろう。
【0046】
パワーMOSFETのゲート電極パターンは、デバイスのアクティブ領域を通して延在する複数の細長いゲート・フィンガーを含むパターニングされた導電性層を形成することによって実装することができる。パターニングされた導電性層は、ポリシリコン層及び/又はドープ・シリコン(Si)等の半導体層を備えることができる。パターニングされた導電性層は、デバイスの非アクティブ領域内にゲート・パッドを含むこともでき、各ゲート・フィンガーは、直接的に又は1つ又は複数のゲート・バス及び/又は導電性ビヤによってゲート・パッドに接続することができる。
【0047】
本開示は、層間の導電率及び付着を同時に修正しながら、デバイス層と金属被覆層との間の拡散バリア保護を改善するアプローチを説明する。これは、パワー・トランジスタ(例えば、MOSFET又はIGBT)におけるゲート接点領域を改善するのに特に有用とすることができる。
【0048】
本明細書で説明する実施例は、ゲート・パッド及び/又はゲート電極(典型的には、ドープ済みSi又はシリサイド材料)、ソース接点、及び/又は、パワー・デバイス内で電流又は温度検知デバイス等のさらなる接点を必要とする他の層等の、導電性層の上部に材料層(例えば、TiN、他の窒化金属、及び/又は、金属間化合物)を付加することができる。材料層は、材料層の上の接点領域(絶縁性及び/又は導電性層)に対して拡散バリア、強化伝導層、及び/又は付着層の特性を有することができる。
【0049】
金属層で使用されるような金属は、典型的には、大量の不純物を有し、大量の不純物は、半導体又は金属-絶縁体-半導体界面に有害に影響を及ぼす可能性がある。したがって、改善されたバリア性能は、半導体デバイスのために有用であり得る。
【0050】
本発明の態様は、ここで、本発明の例の実施例が示される添付の図を参照してより詳細に論じられる。
【0051】
図1は、本発明の実施例による、複数のパワー・スイッチング・デバイスを含むウェハ10の概略平面図である。
図1を参照すると、ウェハ10は、絶縁層及び/又は絶縁層上に形成された金属層等の他の材料層を有する半導体層構造を含む薄い平坦構造とすることができる。半導体層構造は、半導体基板及び/又は複数の他の半導体層を含むことができる。複数のパワー・スイッチング・デバイス100はウェハ10を使用して形成することができる。スイッチング・デバイス100は、行及び列で形成することができ、互いから離間することができるため、ウェハ10は、後に、パッケージング及び試験のために個々のスイッチング・デバイス100を分離するために、単一化(例えば、ダイシング)することができる。ウェハ10は、幾つかの実施例において、その上に1つ又は複数の炭化シリコン層が(例えば、エピタキシャル成長によって)形成されている炭化シリコン基板を備えることができる。他の半導体層(例えば、ポリシリコン層)、絶縁層、及び/又は金属層は、炭化シリコン半導体層構造上に形成されて、パワー・スイッチング・デバイス100を形成することができる。炭化シリコン基板及びその上に形成された炭化シリコン層は、幾つかの実施例において4H炭化シリコンとすることができる。
【0052】
図2Aは、
図1の半導体ウェハ10上に含まれるパワー・スイッチング・デバイス100のうちの1つの概略平面図である。
図2Bは、ソース及びゲート金属被覆が除去された状態の、
図2Aのパワー・スイッチング・デバイス100の概略平面図である。以下の説明において、パワー・スイッチング・デバイス100がn型パワーMOSFET100であると仮定される。
【0053】
図2Aに示すように、保護層110は、パワーMOSFET100の上部表面のかなりの部分を覆う。保護層110は、例えば、ポリアミドで形成することができる。種々のボンド・パッドは、保護層110内の開口112を通して露出することができる。ボンド・パッドは、ゲート・ボンド・パッド120及び1つ又は複数のソース・ボンド・パッド122を含むことができる。
図2Aに示すゲート・ボンド・パッド120及びソース・ボンド・パッド122の構成、形状、及び構造は、単に実例であり、本明細書で説明する実施例はそれに限定されない。2つのソース・ボンド・パッド122-1、122-2が
図2Aに示される。
図2Aに見る(visible)ことができないが、ドレイン接点及び/又はボンド・パッド124はMOSFET100の底部側面上に設けることができる。ボンド・パッド120、122、124は、熱圧縮又ははんだ付け等の従来技法によって、ボンド・ワイヤがそれに容易に取り付けられることができる、アルミニウム等の金属で形成することができる。以下でより詳細に論じるように、MOSFET100の半導体層構造に接続するソース接点が設けられる。ソース接点は、MOSFET100の上側表面の大部分(例えば、ゲート・ボンド・パッド120が占めるMOSFET100の下側表面の部分を除く全て)にわたって延在するソース金属パターン123の下側部分とすることができる。ソース・ボンド・パッド122-1、122-2は、保護層110内の開口112によって露出されるソース金属パターン123の部分を構成することができる。ゲート・ボンド・パッド120及びソース・ボンド・パッド122-1、122-2を、他の回路要素の端子等の外部電圧源(図示せず)に接続するために使用することができるボンド・ワイヤ20が
図2Aに示される。
【0054】
図2Bに示すように、MOSFET100は、アクティブ領域102及び非アクティブ領域104を含む半導体層構造を含む。アクティブ領域102は、動作可能トランジスタ(例えば、本明細書で論じたユニット・セル・トランジスタ)を含むデバイスのエリアであり、一方、非アクティブ領域104は、そのような動作可能トランジスタを含まないエリアである。MOSFET100のユニット・セル・トランジスタ200は、アクティブ領域102内に形成される。1つのユニット・セル200の場所は、文脈を与えるために
図2B内のボックス200で示される。
【0055】
アクティブ領域102は、幾つかの実施例において、一般に、ソース金属パターン123の下のエリアに対応することができる。非アクティブ領域104は、ゲート・パッド部分106及び終端部分108を含む。非アクティブ領域104のゲート・パッド部分106は、ゲート・パッド132の下にある半導体層構造の部分にほぼ対応することができる。非アクティブ領域104の終端部分108は、MOSFET100の周辺部の周りに延在することができ、ガード・リング及び/又は接合終端拡張部等の1つ又は複数の終端構造を含むことができ、1つ又は複数の終端構造は、デバイスの縁部の周りで起こる場合がある電界集中を低減することができる。終端構造(ガード・リング109として示す)は、MOSFET100の周辺部に沿って電界を分散させることができ、電界集中を低減する。縁部終端構造は、「アバランシェ絶縁破壊(avalanche breakdown)」として知られる現象が起こる逆遮断電圧を増加させるに役立つことができ、その現象において、電界の増加が、半導体デバイス内で電荷キャリアのランナウェイ発生(runaway generation)をもたらし、デバイスを損傷するか又はさらにデバイスを破壊する場合がある電流の急激な増加をもたらす。
【0056】
図2Bにさらに示すように、ゲート電極パターン130が設けられることができ、ゲート電極パターン130は、ゲート・パッド132、複数のゲート・フィンガー134、及び、ゲート・フィンガー134をゲート・パッド132に電気的に接続する1つ又は複数のゲート・バス136を含む。ゲート電極パターン130のゲート・パッド132は、非アクティブ領域104のゲート・パッド部分106内のゲート・ボンド・パッド120の下にあることができ、ゲート・フィンガー134は、アクティブ領域102にわたって(例えば、水平に)延在することができる。絶縁層(図示せず)は、ゲート・フィンガー134及びゲート・バス(複数可)136を覆うことができる。ソース金属パターン123は、ゲート・フィンガー134及び絶縁層を覆って設けることができ、ソース金属層のソース接点は、ゲート・フィンガー134の間の開口内の半導体層構造内の対応するソース領域に接触する。
【0057】
図3Aは、従来デバイスの、アクティブ領域内のユニット・セル構造及び非アクティブ領域内のゲート・パッドを示す、
図2BのラインA-A’に沿って切り取った概略断面図である。
図3Bは、
図3Aの部分Aの概略断面図である。
図3Cは、
図3Aの部分Bの概略断面図である。
【0058】
図3Aを参照すると、MOSFETデバイス100は、MOSFET100のアクティブ領域102の一部であるユニット・セル200を含むことができる。ユニット・セル200は、並列に電気的に配設される複数のユニット・セル200のうちの1つのユニット・セルとすることができる。
【0059】
パワーMOSFET100、したがって、ユニット・セル200は、n型ワイド・バンドギャップ半導体基板210を含むことができる。基板210は、例えば、単結晶4H炭化シリコン半導体基板を備えることができる。基板210は、n型不純物を高濃度にドープされているとすることができる(すなわち、n+炭化シリコン基板)。不純物は、例えば、窒素又はリンを含むことができる。基板210のドーピング濃度は、例えば、1×1018原子/cm3と1×1021原子/cm3との間とすることができるが、他のドーピング濃度が使用されることができる。基板210は、任意の適切な厚さ(例えば、100ミクロン厚と500ミクロン厚との間)とすることができる。
【0060】
低濃度にドープされた(n-)n型炭化シリコン・ドリフト領域220は基板210上に設けることができる。n型炭化シリコン・ドリフト領域220は、例えば、炭化シリコン基板210上でのエピタキシャル成長によって形成することができる。n型炭化シリコン・ドリフト領域220は、例えば、1×1016~5×1017ドーパント/cm3のドーピング濃度を有することができる。n型炭化シリコン・ドリフト領域220は、肉厚領域とすることができ、例えば、3~100ミクロンの基板210の上の垂直高さを有する。n型炭化シリコン・ドリフト領域220の上側部分は、幾つかの実施例において、n型炭化シリコン・ドリフト領域220の下側部分より高濃度にドープされているn型炭化シリコン電流分散層を備えることができる。
【0061】
n型炭化シリコン・ドリフト領域220の上側部分は、pウェル240を形成するためにイオン注入によるドープp型とすることができる。pウェル240は、例えば、5×1016/cm3と5×1019/cm3との間のドーピング濃度を有することができる。各pウェル240の上側部分242は、p型ドーパントをより高濃度にドープすることができる。各pウェル240の上側部分242は、例えば、2×1018/cm3と1×1020/cm3との間のドーピング濃度を有することができる。pウェル240(それのより高濃度にドープした上側部分242を含む)はイオン注入によって形成することができる。当業者に知られているように、n型又はp型ドーパント等のイオンは、イオン注入ターゲット・チャンバ内で、所望のイオン種をイオン化し、半導体層の表面に向かうイオン・ビームとして所定の運動エネルギーでイオンを加速することによって、半導体層又は領域内に注入することができる。所定の運動エネルギーに基づいて、所望のイオン種は、特定の深さまで半導体層に貫入することができる。
【0062】
アクティブ領域102において、高濃度にドープされた(n+)n型炭化シリコン・ソース領域250は、pウェル240のより高濃度にドープされた部分242に直接隣接し且つそれに接触するpウェル240の上側部分内に形成することができる。n型ソース領域250は、イオン注入によって形成することもできる。高濃度にドープされた(n+)n型炭化シリコン領域250は、ユニット・セル・トランジスタ200用のソース領域として働く。ドリフト領域220及び基板210は共に、ユニット・セル・トランジスタ200用の共通ドレイン領域として働く。
【0063】
n型炭化シリコン基板210、n型炭化シリコン・ドリフト領域220、pウェル240、242、及びpウェル内に形成されたn型ソース領域250は共に、MOSFETデバイス100の半導体層構造を構成することができる。
【0064】
ゲート絶縁パターン260は、半導体層構造の上側表面上で、pウェル240及びn型ソース領域250の間のドリフト領域220の露出部分を覆って、且つ、pウェル240の縁部及びn型ソース領域250の縁部上に延在して形成することができる。ゲート絶縁パターン260は、例えば、酸化シリコン層を備えることができるが、他の絶縁材料が使用されることができる。ゲート・フィンガー134は、ゲート絶縁パターン260上に形成される。ゲート・フィンガー134が、ゲート・パッド132、複数のゲート・フィンガー134、及び1つ又は複数のゲート・バス136を含む連続ゲート電極パターン130(
図2B参照)の一部とすることができることが認識されるであろう。幾つかの実施例において、このゲート電極パターン130は、例えば、半導体パターン(例えば、ポリシリコン)及び/又は金属ゲート・パターンを備えることができる。
【0065】
ソース接点280は、pウェルのn型ソース領域250及びより高濃度にドープされた部分242上に形成することができる。
図2A~
図2Bを参照して上記で説明したように、ソース接点280は、炭化シリコン半導体層構造の上側表面にわたって延在する連続ソース金属パターン123の一部とすることができる。ソース金属パターン123(並びに、ゲート・フィンガー270をソース金属パターン123から電気的に分離する絶縁層)の残りの部分は、図面を簡略化するために
図3Aに示されない。ソース接点280は、例えば、ニッケル、チタン、タングステン、又はアルミニウム、或いは、これらの又は同様の材料の合金又は薄層積層体等の金属を含むことができる。上記で説明したように、ドレイン接点124は、基板210の下側表面上に形成することができる。ドレイン接点124は、炭化シリコン基板に対する抵抗接点を形成するため、例えば、ソース接点280と同様の材料を含むことができる。電圧がゲート・フィンガー134に印加されると、電流は、n型ソース領域250から、ゲート・フィンガー134の下にあるドリフト領域220を通って流れることができる。
【0066】
MOSFET100が、n型デバイスであって、ソース接点280がその上側表面上にあり、ドレイン接点124がその下側表面上にある、n型デバイスとして示されるが、p型デバイスにおいて、これらの場所が反転することが認識されるであろう。したがって、以下の説明(特許請求の範囲を含む)の所定の部分において、ソース接点及びドレイン接点は、一般的にソース接点又はドレイン接点を指すことができる。
【0067】
図3Aに示すように、非アクティブ領域のゲート・パッド部分106において、pウェル244は、非アクティブ領域のゲート・パッド部分106のほとんど又は全ての下に延在する。pウェル244は、ゲート・パッド部分106の下で各水平方向にかなりの距離、例えば、各方向に100~300ミクロンの距離だけ延在することができる。電界絶縁層264は、非アクティブ領域104のゲート・パッド部分106内でpウェル244上に形成される。幾つかの実施例において、電界絶縁層264は、例えば、垂直方向に(すなわち、基板210の主表面に垂直な方向に)600~800ナノメートルの厚さを有することができる。ゲート・パッド132は、電界絶縁層264上に形成される。
図2Bを参照して上記で論じたように、ゲート・パッド132及びゲート・フィンガー134は、連続ゲート電極パターン130の一部とすることができる。
【0068】
幾つかの実施例において、さらなるソース接点284は、電界絶縁層264に貫入して、pウェル244に接触する。さらなるソース接点284は、その全体の内容が参照により本明細書に組み込まれる、2017年9月8日に出願された、「Power Switching Devices with DV/DT Capability and Methods of Making such Devices」という名称の、Zhang等の米国特許出願第15/699,149号において論じられるように、MOSFETデバイス100の変位電流を管理するのを支援することができる。幾つかの実施例において、さらなるソース接点284は省略されることができる。
【0069】
分離層230は、ゲート・フィンガー134及び/又はゲート・パッド132上に形成することができる。分離層230は、ゲート電極パターン130(ゲート・フィンガー134及びゲート・パッド132を含む)をソース金属パターン123(ソース接点280及びさらなるソース接点284を含む)から分離するのに役立つことができる。
【0070】
ゲート・バリア層310は、ゲート・ボンド・パッド120とゲート・パッド132との間に配設することができる。ゲート・バリア層310は、金属被覆バリア層及び/又は付着層として役立つことができる。同様に、ソース・バリア層320は、ソース接点280とソース/ドレイン領域250との間及び/又はさらなるソース接点284とpウェル244との間に配設することができる。ゲート・バリア層310及び/又はソース・バリア層320は、それぞれの接点から、バリア層がそれを覆って配置される下にある材料内への拡散を低減及び/又は防止することができる。例えば、ゲート・バリア層310は、ゲート・ボンド・パッド120の金属からゲート・パッド132のポリシリコンへの金属材料の拡散を低減することができる。ポリシリコン内に拡散する元素は、ゲート酸化物及び/又はアクティブ領域内にさらに拡散することができ、MOSFETデバイス100の性能を損なう。
【0071】
図3B及び3Cを参照すると、従来のデバイスにおいて、ゲート接点及び/又はソース接点は、接触穴375を形成するためにデバイス(例えば、分離層230)の一部分をエッチングすることによって形成される。バリア層(例えば、ゲート・バリア層310及び/又はソース・バリア層320)は、接触穴375内に形成することができる。接点用の金属は、その後、バリア層上に形成することができる。しかしながら、バリア層の形成に関連する段差被覆のために、接触穴375の角は不十分な被覆を有する場合がある。例えば、
図3Bを参照すると、ゲート・バリア層310の領域385は、接触穴375の角においてゲート・ボンド・パッド120とゲート・パッド132との間で薄いとすることができる。同様に、
図3Cを参照すると、ソース・バリア層320の領域386は、接触穴375の角領域においてソース接点280とソース領域250との間で薄いとすることができる。ソース及びゲート接触穴375の角領域385、386の厚さのせいで、従来のデバイスは、ゲート・ボンド・パッド120及び/又はソース接点280の金属層からの拡散を受け易いとすることができる。
【0072】
図4Aは、本明細書で説明する幾つかの実施例による半導体デバイス400を示す。
図4Bは、
図4Aの部分Aの概略断面図である。
図4Cは、本明細書で説明する幾つかの実施例によるさらなる半導体デバイス400’を示す。
図3A~
図3Cの要素と同じか又は同様である
図4A~
図4Cの要素の説明は、簡潔のために省略される。したがって、
図4A~
図4Cの説明は、上記で説明したデバイスに関する差に焦点を当てる。
【0073】
図4A及び4Bを参照すると、本明細書で説明する幾つかの実施例によるMOSFETデバイス400は、従来のデバイスと比較してさらなるバリア層を含むことができる。例えば、MOSFETデバイス400は、補助ゲート・パッド・バリア層410及び補助ゲート電極バリア層420を含むことができる。
【0074】
補助ゲート・パッド・バリア層410は、ゲート・パッド132上に形成することができ、ゲート・パッド132の上側表面132a上とすることができ、幾つかの実施例においては、上側表面132aを覆うことができる。
図4Bにおいて、補助ゲート・パッド・バリア層410は、ゲート・バリア層310に対して補助ゲート・パッド・バリア層410を識別するのを支援するために別個のシェーディングで示されるが、この別個のシェーディングは、補助ゲート・パッド・バリア層410又はゲート・バリア層310の構成を制限することを意図されない。補助ゲート・パッド・バリア層410は、ゲート・バリア層310に加えて設けることができる。結果として、バリア層は、デバイスをゲート・ボンド・パッド120から分離する分離層230の上に(例えば、ゲート・バリア層310の形態で)及びその下に(例えば、補助ゲート・パッド・バリア層410の形態で)存在することになる。幾つかの実施例において、ゲート・バリア層310は、(例えば、垂直方向に)ゲート・ボンド・パッド120とゲート・パッド132との間にあるMOSFETデバイス400の部分内で補助ゲート・パッド・バリア層410上にある及び/又はそれに接触することができる。幾つかの実施例において、分離層230は、補助ゲート・パッド・バリア層410とゲート・バリア層310及び/又はゲート・ボンド・パッド120との間にあるとすることができる。幾つかの実施例において、分離層230は、補助ゲート・パッド・バリア層410の一部分の上部表面上にあり且つゲート・バリア層310の側壁上とすることができる。
【0075】
補助ゲート・パッド・バリア層410の存在は、ゲート・ボンド・パッド120とゲート・パッド132との間の低部角領域385におけるバリア層被覆を改善することができる。例えば、補助ゲート・パッド・バリア層410は、補助ゲート・パッド・バリア層410とゲート・ボンド・パッド120の底部部分との間にあるゲート・バリア層310の部分(例えば、ゲート・ボンド・パッド120をゲート・パッド132に接続する接触穴の側壁間に延在するゲート・バリア層310の部分)の幅を超える、基板210の上部表面に(例えば、水平方向に)平行な方向における幅を有することができる。そのため、底部角領域385におけるゲート・バリア層310の堆積が理想的でない場合でも、下の層(ここでは、ゲート・パッド132)は、接点金属内の任意の元素から保護することができる。
【0076】
補助ゲート電極バリア層420は、MOSFETデバイス400のアクティブ領域102内のゲート・フィンガー134上に設けることもできる。補助ゲート・パッド・バリア層410の場合と同様に、補助ゲート電極バリア層420は、ゲート電極界面であって、その上部に材料を有する、ゲート電極界面において拡散することができる元素に対する拡散バリアの目的をはたすことができる、層導電率を改善することができる、及び/又は、ゲート・フィンガー134のゲート・フィンガー134の上部の誘電体層に対する付着を強化することができる。
【0077】
補助ゲート電極バリア層420が存在すると、バリア層は、ゲート・フィンガー134をソース金属パターン123から分離する分離層230の下に(例えば、補助ゲート電極バリア層420の形態で)及びその上に(例えば、ソース・バリア層320の形態で)存在することになる。幾つかの実施例において、補助ゲート電極バリア層420は、ゲート・フィンガー134の上側表面134aと分離層230との間にあるとすることができる。
【0078】
補助ゲート・パッド・バリア層410及び/又は補助ゲート電極バリア層420は、0.5nm厚~500nm厚の連続又は近接層を生成するために種々の方法で塗布することができる。幾つかの実施例において、補助ゲート・パッド・バリア層410及び/又は補助ゲート電極バリア層420の厚さは、実質的に均一とすることができる。補助ゲート・パッド・バリア層410及び/又は補助ゲート電極バリア層420は、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、並びに、他の窒化金属及び/又は例えば、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、及び同様なものを含む金属間化合物を含むことができる。補助ゲート・パッド・バリア層410及び/又は補助ゲート電極バリア層420は、単一層(TiN、TaN、又は、良好な熱力学安定性を有し、電気伝導性である同様の材料)、又は、種々の積層シーケンスでの、種々の元素又は化合物材料の多層積層体とすることができる。したがって、
図4A~
図4Bは、補助ゲート・パッド・バリア層410及び補助ゲート電極バリア層420について単一層を示すが、示す構造は、複数の層を備える構造を示すことも意図される。幾つかの実施例において、導電性酸化物が、誘電体層に対する付着が重要であるところで使用されることができる。当業者によって理解されるように、使用される材料は、処理及びアプリケーションに依存することになる。補助ゲート・パッド・バリア層410及び/又は補助ゲート電極バリア層420の使用は、拡散バリア、導電率、及び/又は付着の特性を改善するために必要に応じて適用することができる。
【0079】
幾つかの実施例において、補助ゲート・パッド・バリア層410のために使用される材料及び/又は構成は、補助ゲート電極バリア層420のために使用される材料及び/又は構成と異なるとすることができる。幾つかの実施例において、補助ゲート・パッド・バリア層410のために使用される材料及び/又は構成は、ゲート・バリア層310のために使用される材料及び/又は構成と異なるとすることができる。幾つかの実施例において、補助ゲート電極バリア層420のために使用される材料及び/又は構成は、ゲート・バリア層310のために使用される材料及び/又は構成と異なるとすることができる。
【0080】
幾つかの実施例において、補助ゲート・パッド・バリア層410は存在することができ、補助ゲート電極バリア層420は省略することができる。例えば、
図4Cは、補助ゲート電極バリア層420が存在しないMOSFETデバイス400’を示す。
【0081】
図5A及び5Bは、本明細書で説明する幾つかの実施例によるさらなる半導体デバイスを示す。上記で説明した図の要素と同じか又は同様である
図5A及び5Bの要素の説明は、簡潔のために省略されることになる。したがって、
図5A及び5Bの説明は、上記で説明したこれらのデバイスに関する差に焦点を当てることになる。
【0082】
図5Aを参照すると、幾つかの実施例によるMOSFETデバイス500において、補助ゲート・パッド・バリア層410’は、ゲート・パッド132の上部表面132a上に延在し、且つ1つ又は複数の側面132b上に延在することができる。そのため、補助ゲート・パッド・バリア層410’は、ゲート・パッド132の上部及び側部表面上に途切れなく延在することができる。
【0083】
同様に、補助ゲート電極バリア層420’は、ゲート・フィンガー134の1つ又は複数の側壁134b上に延在することができる。そのため、補助ゲート電極バリア層420’は、ゲート・フィンガー134の上部及び側部表面上に途切れなく延在することができる。
【0084】
補助ゲート・パッド・バリア層410’及び/又は補助ゲート電極バリア層420’の使用は、ゲート・パッド132及びゲート・フィンガー134の拡散バリアを増加させることができる。さらに、補助ゲート・パッド・バリア層410’及び/又は補助ゲート電極バリア層420’は、それぞれのゲート・パッド132及び/又はゲート・フィンガー134との付着を改善することができる。
【0085】
上記で説明したように、幾つかの実施例において、補助ゲート・パッド・バリア層410’は存在することができ、補助ゲート電極バリア層420’は省略することができる。例えば、
図5Bは、補助ゲート電極バリア層420’が存在しないMOSFETデバイス500’を示す。
【0086】
図6Aは、本明細書で説明する幾つかの実施例によるさらなる半導体デバイス600を示す。
図6Bは、
図6Aの部分Bの概略断面図である。
図6C~
図6Eは、本明細書で説明する幾つかの実施例によるさらなる半導体デバイスを示す。上記で説明した図の要素と同じか又は同様である
図6A~
図6Eのこれらの要素の説明は、簡潔のために省略されることになる。したがって、
図6A~
図6Eの説明は、上記で説明したこれらのデバイスに関する差に焦点を当てることになる。
【0087】
図6A及び6Bを参照すると、MOSFETデバイス600は、補助ソース・バリア層620を含むことができる。補助ソース・バリア層620は、半導体構造上に形成することができ、pウェルのn型ソース領域250及び/又はより高濃度にドープされた部分242上に形成することができる。補助ソース・バリア層620は、ソース・バリア層320に加えて設けることができる。
図6Bにおいて、補助ソース・バリア層620は、ソース・バリア層320に対して補助ソース・バリア層620を識別するのを支援するために別個のシェーディングで示されるが、この別個のシェーディングは、補助ソース・バリア層620又はソース・バリア層320の構成を制限することを意図されない。幾つかの実施例において、ソース・バリア層320は、ソース接点280と、pウェルの高濃度にドープされたn型ソース領域250及びより高濃度にドープされた部分242を含む半導体構造との間にあるMOSFETデバイス600の部分内で補助ソース・バリア層620上にある及び/又はそれに接触することができる。
【0088】
図6Bに示すように、幾つかの実施例において、補助ソース・バリア層620は、ソース接点280の側壁上にあるソース・バリア層320を超えて延在することができる。幾つかの実施例において、分離層230の一部分は、補助ソース・バリア層620の一部分とソース・バリア層320との間にあるとすることができる。補助ソース・バリア層620の使用は、ソース接点280と、pウェルのn型ソース領域250及び/又はより高濃度にドープされた部分242を含む半導体構造との間にさらなる拡散保護を提供することができる。例えば、ソース接点280の角の領域686は、補助ソース・バリア層620の使用を通して強化することができる。
【0089】
図6Aを参照すると、MOSFETデバイス600は、
図4A~
図4Cに示す補助ゲート・パッド・バリア層410及び/又は補助ゲート電極バリア層420と共に補助ソース・バリア層620の使用を含むことができるが、本発明はそれに限定されない。幾つかの実施例において、補助ソース・バリア層620は、補助ゲート・パッド・バリア層410及び補助ゲート電極バリア層420の一方又は両方と独立に使用することができる。
【0090】
図6Cは、補助ソース・バリア層620が、
図5A及び
図5Bに関して本明細書で論じた補助ゲート・パッド・バリア層410’及び補助ゲート電極バリア層420’と共に使用される実施例を示す。
図6A~
図6Cは、補助ゲート電極バリア層420と共に使用される補助ソース・バリア層620を示す、しかしながら、本明細書で説明する実施例はそれに限定されない。
図6D~
図6Eは、補助ゲート電極バリア層420、420’が存在しない状態での、補助ゲート・パッド・バリア層410、410’を伴う補助ソース・バリア層620の使用を示す。
【0091】
したがって、補助ゲート・パッド・バリア層410’、補助ゲート・パッド・バリア層410、補助ゲート電極バリア層420’、補助ゲート電極バリア層420、及び補助ソース・バリア層620が、本明細書で説明する実施例の範囲から逸脱することなく、互いに独立に及び種々の組み合わせで使用されることができることが理解されるであろう。
【0092】
図7~
図12は、本明細書で説明する幾つかの実施例による半導体デバイスを製造する方法を示す。
【0093】
図7を参照すると、基板210が設けられ、ドリフト領域220が、エピタキシャル成長によって基板210上に形成される。幾つかの実施例において、基板210は高濃度にドープされた(n
+)n型炭化シリコンであり、ドリフト領域220は低濃度にドープされた(n
-)炭化シリコン・ドリフト領域220である。幾つかの実施例において、ドリフト層220の上側部分を構成するn型炭化シリコン電流分散層が形成されることができる。
【0094】
pウェル240は、最終デバイスのアクティブ領域102であることになるものの中に形成することができ、pウェル244は、最終デバイスの非アクティブ領域106であることになるものの中に形成することができる。アクティブ領域102において、各pウェル240の上側部分242は、p型ドーパントでより高濃度にドープすることができ、高濃度にドープされた(n+)n型炭化シリコン・ソース領域250は、pウェル240のより高濃度にドープされた部分242に直接隣接し且つそれに接触するpウェル240の上側部分内に形成することができる。高濃度にドープされた(n+)n型炭化シリコン領域250は、ユニット・セル・トランジスタ200用のソース領域として働く。幾つかの実施例において、イオン注入は、pウェル240、244及びn型ソース領域250を形成するために使用することができる。
【0095】
アクティブ領域102において、ゲート絶縁層は、半導体層構造の上側表面上に形成することができる。ゲート絶縁層は、パターニングされ、エッチングされて、ゲート絶縁パターン260を、ドリフト領域220の露出部分を覆って、且つ、pウェル240の縁部及びn型ソース領域250の縁部上に延在して形成することができる。非アクティブ領域106において、電界絶縁層264はpウェル244上に形成することができる。
【0096】
ポリシリコン等の導電性材料は、電界絶縁層264及びゲート絶縁パターン260上に形成することができる。導電性材料は、パターニングされ、エッチングされて、ゲート・パッド132及びゲート・フィンガー134を形成することができる。ゲート・パッド132及びゲート・フィンガー134は、互いに電気的に結合することができる。
【0097】
図8を参照すると、補助バリア層810は、ゲート・フィンガー134及びゲート・パッド132上に形成することができる。幾つかの実施例において、補助バリア層810は、ゲート・フィンガー134及びゲート・パッド132のそれぞれの側壁上で延在することができる。幾つかの実施例において、補助バリア層810は、pウェルのn型ソース領域250及びより高濃度にドープされた部分242上に形成することができる。
【0098】
補助バリア層810は、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、並びに、他の窒化金属及び/又は例えば、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、及び同様なものを含む金属間化合物を含むことができる。補助バリア層810は、単一層(TiN、TaN、又は、良好な熱力学安定性を有し、電気伝導性である同様の材料)、又は、種々の積層シーケンスでの、種々の元素又は化合物材料の多層積層体とすることができる。したがって、
図8は、補助バリア層810用の単一層を示すが、示す構造は、複数の層を備える構造を示すことも意図される。
【0099】
アクティブ・エリア102及び非アクティブ・エリア106を共に覆う(cover)ものとして示されるが、本開示の実施例がこの構成に限定されないことが理解されるであろう。幾つかの実施例において、補助バリア層810は、非アクティブ・エリア106内に形成することができるだけである。換言すれば、幾つかの実施例において、補助バリア層810は、ゲート・パッド132上に形成することができるだけである。
【0100】
補助バリア層810は、その後、標準的な技法を使用してパターニングされ、エッチングされて、本明細書で説明する種々の実施例による補助バリア層を形成することができる。例えば、
図9Aを参照すると、補助バリア層810は、パターニングされ、エッチングされて、ゲート・パッド132及びゲート・フィンガー134の上を除いて、補助バリア層810の全ての部分を除去することができる。こうして、
図4Aに示すような補助ゲート・パッド・バリア層410及び補助ゲート電極バリア層420が形成されることができる。幾つかの実施例において、電界絶縁層264の所定の部分は、補助ゲート・パッド・バリア層410を形成する部分(part)として除去することもできるが、本明細書で説明する実施例はそれに限定されない。
【0101】
図9Bを参照すると、補助バリア層810は、代替的に、パターニングされ、エッチングされて、ゲート・パッド132及びゲート・フィンガー134の上を除いて、補助バリア層810の全ての部分を除去することができる。
図9Bに示すように、エッチングは、ゲート・パッド132及びゲート・フィンガー134の側壁上の補助バリア層810の部分を残すために実施することができる。こうして、
図5Aに示すような補助ゲート・パッド・バリア層410’及び補助ゲート電極バリア層420’が形成されることができる。
【0102】
幾つかの実施例において、補助バリア層810又は別の層は、パターニングされ、エッチングされて、n型ソース領域250、pウェルのより高濃度にドープされた部分242、及び/又はpウェル244上に補助バリア層810の所定の部分を残すことができる。こうして、
図6Aに示すような補助ソース・バリア層620が形成されることができる。
図9Cは、補助バリア層810が、パターニングされ、エッチングされて、補助ゲート・パッド・バリア層410及び補助ゲート電極バリア層420と共に補助ソース・バリア層620を形成する実施例を示す。
図9Dは、補助バリア層810が、パターニングされ、エッチングされて、補助ゲート・パッド・バリア層410’及び補助ゲート電極バリア層420’と共に補助ソース・バリア層620を形成する実施例を示す。
【0103】
幾つかの実施例において、さらなるパターニング・ステップは、補助ソース・バリア層620を形成するために電界絶縁層264に対して実施することができる。例えば、再び
図8を参照すると、幾つかの実施例において、電界絶縁層264及び補助バリア層810の所定の部分は、パターニングされ、エッチングされて、n型ソース領域250、pウェルのより高濃度にドープされた部分242、及び/又はpウェル244の上側表面を露出させることができる。その後、さらなるバリア層材料は、露出エリアに堆積されて、補助ソース・バリア層620を形成することができる。幾つかの実施例において、補助ソース・バリア層620を形成するために使用されるバリア層材料は、補助ゲート・パッド・バリア層410及び補助ゲート電極バリア層420を形成するために使用される材料と同じとすることができるが、本明細書で説明する実施例はそれに限定されない。補助ゲート・パッド・バリア層410、補助ゲート電極バリア層420、及び補助ソース・バリア層620を形成するためのさらなるメカニズムは、当業者によって認識されることになり、本明細書で説明する実施例は、図に示す実施例に限定されない。
【0104】
補助バリア層の形成に続いて、さらなる処理は、本明細書で説明するMOSFETデバイスの1つ又は複数を作成するために実行することができる。
図10~
図12は、
図4Aに関して示したMOSFETデバイス400を形成するプロセスに主に焦点を当てる。しかしながら、本明細書で説明する処理が、本明細書で説明するデバイスのさらなる実施例を制限することなく達成するために、必要な変更を加えることができることが理解されるであろう。
【0105】
図10を参照すると、分離層230は、ゲート・フィンガー134、ゲート・パッド132、電界絶縁層264、補助ゲート・パッド・バリア層410、及び補助ゲート電極バリア層420上に形成することができる。分離層230は、IMD(:inter-metal dielectric、金属間誘電体)層又はILD(:inter-layer dielectric、層間誘電体)層とすることができる。幾つかの実施例において、分離層230は、電界絶縁層264と同じ又は同様の材料を含むことができるが、本明細書で説明する実施例は、それに限定されない。
【0106】
図11を参照すると、分離層230は、パターニングされ、エッチングされて、ソース接点用の接触穴1010及びゲート・ボンド・パッド用の接触穴1020を形成する。接触穴1020は、補助ゲート・パッド・バリア層410の所定の部分を露出させることができる。幾つかの実施例において、補助ゲート・パッド・バリア層410は、接触穴1020の側壁を超えて延在することができる。接触穴1010は、pウェル240のn型ソース領域250及び/又はより高濃度にドープされた部分242等の半導体構造の所定の部分を露出させることができる。補助ソース・バリア層620が存在する実施例(例えば、
図9C及び9D参照)において、接触穴1010は、補助ソース・バリア層620を露出させることができる。
【0107】
図12を参照すると、バリア層1210は、分離層230上に及び接触穴1010及び1020内に形成することができる。バリア層1210は、接触穴1010及び1020の側壁及び底部上にあるとすることができる。バリア層1210は、接触穴1020によって露出される補助ゲート・パッド・バリア層410の所定の部分上に形成することもできる。補助ソース・バリア層620が存在する実施例(例えば、
図9C及び9D参照)において、バリア層1210は、接触穴1010によって露出される補助ソース・バリア層620上に形成することができる。
【0108】
図4Aを再び参照すると、金属接点層は、アクティブ・エリア102及び非アクティブ・エリア104上に形成することができる。金属接点層は、パターニングされ、エッチングされて、ゲート・ボンド・パッド120及びソース金属パターン123を形成することができる。金属接点層のエッチングは、バリア層1210をゲート・バリア層310及びソース・バリア層320に分離することもできる。
【0109】
本明細書で開示する実施例によるパワー・スイッチング・デバイスは、著しく改善された性能を提供することができる。デバイスのアクティブ領域内への材料の拡散を低減すること、及び/又は、デバイスの金属層と他の導電性部分との間の付着性を増加させることによって、デバイスの全体構造は、改善することができ、欠陥は、低減及び/又は排除することができる。
【0110】
図に示される及び/又は本明細書で説明される、特定の層構造、ドーピング濃度、材料、導電型、及び同様なものが、特定の例の実施例の構造を詳細に示すために実例として提供されるだけであることが認識されるであろう。そのため、以下で論じる特定の詳細は本発明に対して制限的でない。
【0111】
本明細書で、本発明の実施例は、パワー・スイッチング・デバイスの1つ又は2つのユニット・セルを示す断面図に関して説明される。実際の実装態様が、典型的には、非常に多数のユニット・セルを含むことになることが認識されるであろう。しかしながら、本発明がそのようなデバイスに限定されないこと、及び、添付の特許請求の範囲が、例えば単一ユニット・セルを備えるMOSFET及び他のパワー・スイッチング・デバイスもカバーすることも認識されるであろう。さらに、本開示は炭化シリコン・デバイスに焦点を当てるが、本発明の実施例が、例えば、窒化ガリウム、セレン化亜鉛等の他のワイド・バンドギャップ半導体、或いは、任意の他のII~VI族又はIII~V族ワイド・バンドギャップ化合物半導体を使用して形成されたデバイスに対して適用性を有することもできることが認識されるであろう。
【0112】
上記図の一部はnチャネルMOSFETのユニット・セルの構造を示すが、本発明のさらなる実施例によれば、各デバイス内の半導体層のそれぞれの半導体層の極性が、対応するpチャネルMOSFETを提供するために反転されることができることが認識されるであろう。
【0113】
本発明は、本発明の実施例がそこに示される添付の図面を参照して上記で説明された。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書で述べる実施例に限定されるものと解釈されるべきでない。むしろ、これらの実施例は、本開示が、徹底的且つ完全であるように、且つ、当業者に本発明の範囲を完全に伝えるように提供される。図面において、層及び領域のサイズ及び相対的サイズは、明確にするために誇張することができる。要素又は層が、別の要素又は層「の上に(on)」存在する、それ「に接続される(connected to)」、又はそれ「に結合される(coupled to)」として言及されるとき、その要素又は層は、他の要素又は層に直接接続又は結合されることができる、或いは、介在する要素又は層が存在することができることが理解されるであろう。対照的に、要素が、別の要素又は層「の直接上に(directly on)」存在する、それ「に直接接続される(directly connected to)」、又はそれ「に直接結合される(directly coupled to)」として言及されるとき、介在する要素又は層は存在しない。本明細書で使用されるように、用語「及び/又は(and/or)」は、関連する列挙項目の1つ又は複数の任意の及び全ての組み合わせを含む。同様の数字は、全体を通して同様の要素を指す。
【0114】
種々の領域、層、及び/又は要素を説明するために、用語、第1及び第2が本明細書で使用されるが、これらの領域、層、及び/又は要素がこれらの用語によって制限されるべきでないことが理解されるであろう。これらの用語は、1つの領域、層、又は要素を別の領域、層、又は要素から区別するために使用されるだけである。そのため、以下で論じる第1の領域、層、又は要素は、第2の領域、層、又は要素と呼ぶことができ、同様に、本発明の範囲から逸脱することなく、第2の領域、層、又は要素は、第1の領域、層、又は要素と呼ぶことができる。
【0115】
「下側(lower)」又は「底部(bottom)」及び「上側(upper)」又は「上部(top)」等の相対的な用語は、図面に示すように、1つの要素の別の要素に対する関係を説明するために本明細書で使用することができる。相対的な用語が、図面に描かれる配向に加えて、デバイスの異なる配向を包含することを意図されることが理解されるであろう。例えば、図面内のデバイスがひっくり返っている場合、他の要素の「下側」側面の上に存在するものとして説明される要素は、他の要素の「上側」側面の上に配向することになる。したがって、例示的な用語「下側」は、図の特定の配向に応じて、「下側」及び「上側」の配向を共に包含することができる。同様に、図のうちの1つの図内のデバイスがひっくり返っている場合、他の要素「の下に(below)」又は「の下に(beneath)」あるとして説明される要素は、他の要素「の上で(above)」配向することになる。したがって、例示的な用語「の下に(below)」又は「の下に(beneath)」は、上に、及び、下に、の両方の配向を包含することができる。
【0116】
本明細書で使用する用語は、特定の実施例のみを説明するためのものであり、本発明を制限するためのものであることを意図されない。本明細書で使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈が別段に明確に指示しない限り、複数形も含むことを意図される。用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、及び/又は「含んでいる(including)」は、本明細書で使用するとき、述べた特徴、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ又は複数の他の特徴、要素、構成要素、及び/又はこれらの群の存在又は追加を除外しないことがさらに理解されるであろう。
【0117】
本発明の実施例は、概略図である断面図を参照して本明細書で説明される。したがって、例えば、製造技法及び/又は公差の結果としての図の形状からの変動が予測される。そのため、本発明の実施例は、本明細書で示される領域の特定の形状に限定されるものとして解釈されるべきでなく、例えば製造に起因する形状の逸脱を含む。例えば、長方形として示す被注入領域は、典型的には、被注入領域から未注入領域への2値変化ではなく、その縁部において、丸い又は湾曲した特徴部及び/又はイオン注入濃度の勾配を有することになる。そのため、図に示す領域は、本来概略的であり、それらの形状は、デバイスの領域の実際の形状を示すことを意図されず、本発明の範囲を制限することを意図されない。
【0118】
本明細書で開示される実施例が組み合わされることができることが理解されるであろう。そのため、第1の実施例に関して描かれる及び/又は説明される特徴は、第2の実施例にも含まれることができ、またその逆も同様である。
【0119】
上記実施例は特定の図を参照して説明されるが、本発明の幾つかの実施例が、さらなる及び/又は介在する層、構造、又は要素を含むことができる、及び/又は、特定の層、構造、又は要素が削除されることができることが理解される。本発明の少数の例示的な実施例が説明されたが、多くの修正が、本発明の新奇な教示及び利点から実質上逸脱することなく例示的実施例において可能であることを当業者は容易に認識するであろう。したがって、全てのそのような修正は、特許請求項に規定される本発明の範囲内に含まれることを意図される。したがって、上記が、本発明の例証であり、開示される特定の実施例に限定されるものとして解釈されないこと、及び、開示される実施例並びに他の実施例に対する修正が、添付の特許請求項の範囲内に含まれることを意図されることが理解される。本発明は、特許請求の範囲に含まれる特許請求の範囲の均等物と共に、以下特許請求の範囲によって規定される。