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▶ 株式会社荏原製作所の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-19
(45)【発行日】2025-02-28
(54)【発明の名称】めっき装置およびめっき装置用抵抗体
(51)【国際特許分類】
   C25D 17/10 20060101AFI20250220BHJP
   C25D 17/00 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
C25D17/10 A
C25D17/00 H
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024566800
(86)(22)【出願日】2024-06-27
(86)【国際出願番号】 JP2024023430
【審査請求日】2024-11-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】富田 正輝
(72)【発明者】
【氏名】芹沢 祐太郎
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-182332(JP,A)
【文献】米国特許第6251238(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0044236(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 17/00-17/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
めっき装置において、アノードとめっきする対象物を保持するホルダとの間に配置される、電場調整用のめっき装置用抵抗体であって、
前記めっき装置用抵抗体は、板状の本体を有し、前記板状の本体は、上面、下面、および前記上面と前記下面とを連通する複数の貫通孔を有し、
前記めっき装置用抵抗体は、さらに、前記本体の内部に配置されている挿入体を有し、 前記挿入体は複数の貫通孔を有し、
前記挿入体は、前記挿入体の前記複数の貫通孔が、前記本体の複数の貫通孔と連通する第1位置と、前記挿入体の前記複数の貫通孔が、前記本体の複数の貫通孔と連通しない第2位置と、の間で移動可能である、
めっき装置用抵抗体。
【請求項2】
請求項1に記載のめっき装置用抵抗体であって、
前記挿入体の前記複数の貫通孔は、前記挿入体の上面および下面を連通する、
めっき装置用抵抗体。
【請求項3】
請求項2に記載のめっき装置用抵抗体であって、
前記挿入体は、円弧板状の第1挿入体と、円弧板状の第2挿入体と、を有し、
前記めっき装置用抵抗体はさらに、前記第1挿入体と前記第2挿入体との間を連結する弾性部材を有し、
前記弾性部材は、前記第1挿入体および前記第2挿入体に、前記第1位置の方向へバイアス力を付与するように構成されている、
めっき装置用抵抗体。
【請求項4】
請求項3に記載のめっき装置用抵抗体であって、さらに、
前記第1挿入体および前記第2挿入体を、前記弾性部材のバイアス力に逆らって前記第2位置へ向けて移動させる付勢部材を有する、
めっき装置用抵抗体。
【請求項5】
請求項3に記載のめっき装置用抵抗体であって、
前記挿入体は、円弧板状の第3挿入体と、円弧板状の第4挿入体と、を有し、
前記めっき装置用抵抗体はさらに、前記第3挿入体と前記第4挿入体との間を連結する第2弾性部材を有し、
前記第2弾性部材は、前記第3挿入体および前記第4挿入体に、前記第1位置の方向へバイアス力を付与するように構成されている、
めっき装置用抵抗体。
【請求項6】
請求項1に記載のめっき装置用抵抗体であって、
前記挿入体は前記複数の貫通孔を有する円柱形状の部材であり、前記板状の本体の側面から内部に挿入されており、前記円柱形状の部材の中心軸について回転することで、前記第1位置と前記第2位置との間で移動可能である、
めっき装置用抵抗体。
【請求項7】
請求項6に記載のめっき装置用抵抗体であって、
前記板状の本体は円板形状であり、
前記挿入体は、複数の前記円柱形状の部材を有し、前記複数の円柱形状の部材が、前記板状の本体の半径方向に挿入されている、
めっき装置用抵抗体。
【請求項8】
請求項7に記載のめっき装置用抵抗体であって、
前記複数の円柱形状の部材は、異なる長手方向の寸法を備える、
めっき装置用抵抗体。
【請求項9】
めっき装置であって、
めっき槽と、
前記めっき槽に配置されるアノードと、
めっきする対象物を保持するためのホルダと、
前記アノードと前記ホルダとの間に配置される、電場調整用の抵抗体と、を有し、
前記抵抗体は、
板状の本体を有し、前記板状の本体は、上面、下面、および前記上面と前記下面とを連通する複数の貫通孔を有し、
前記抵抗体は、さらに、前記本体の内部に配置されている挿入体を有し、前記挿入体は複数の貫通孔を有し、
前記挿入体は、前記挿入体の前記複数の貫通孔が、前記本体の複数の貫通孔と連通する第1位置と、前記挿入体の前記複数の貫通孔が、前記本体の複数の貫通孔と連通しない第2位置と、の間で移動可能である、
めっき装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、めっき装置およびめっき装置用抵抗体に関する。
【背景技術】
【0002】
電解めっき法を用いためっき装置の一例として、基板(例えば半導体ウエハ)とアノードとを互いに水平方向に対向させるいわゆるディップ方式のめっき装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、電解めっき法を用いためっき装置の別の一例として、カップ式のめっき装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。カップ式のめっき装置は、被めっき面を下方に向けて基板ホルダに保持された基板をめっき液に浸漬させ、基板とアノードとの間に電圧を印加することによって、基板の表面に導電膜(めっき膜)を析出させる。
【0003】
こうしためっき装置では、一般に、基板は、その周縁部に電気接点を有する。電気接点からの距離が異なることにより、めっき処理時には基板の周縁部と中央部とに電位差が生じてめっき電流に偏りが生じ得る。このため、従来、基板に形成されるめっき膜の厚さの均一性を高めるために、基板とアノードとの間に電場調整用の抵抗体を配置することが知られている。また、電場調整をより広く自由にするため、抵抗体の孔の大きさを可変とするめっき装置が提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第7462125号公報
【文献】特許第7079388号公報
【文献】特許第7204060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
めっき装置では、電気接点との距離関係に加えて、基板に形成されているレジストパターンによってめっき膜の厚さに偏りが生じる場合がある。つまり、基板の被めっき面にレジスト開口が形成されていない領域(非開口領域)がある程度含まれていると、非開口領域にはめっき電流が流れず、非開口領域の周辺部にめっき電流が集中してめっき膜の厚さが大きくなる。具体的な一例として、基板において概ね十字型の領域にのみレジスト開口が形成される場合、十字型の外側の領域にはレジスト開口が形成されておらず電流が流れないため、めっき膜の厚さの均一性が損なわれ得る。ここで、例えば特許文献1では、アノードと基板との間の電場を調整するために、アノード開口の寸法を調整可能なアノードマスクが用いられている。しかしながら、従来の構成は、電気接点などのめっき装置の構成に起因するめっき膜厚のバラつきに対応するために設計されたものであり、基板のレジストパターンに起因するめっき膜厚のバラつきに十分に対応することができない場合があった。めっき膜の厚さを均一にするために非開口領域にダミーの開口を形成することも考えられるが、ダミーの開口を形成するための処理が生じるとともに、ダミー開口に不要なめっきが形成されるため、めっき処理にかかるコストを増加させてしまう。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものである。その目的の一つは、めっき対象物に形成されるめっき膜の厚さの均一性を向上させることができるめっき装置を提案することである。
【0007】
一実施形態によれば、めっき装置用の抵抗体が提供され、かかるめっき装置用抵抗体は、めっき装置において、アノードとめっきする対象物を保持するホルダとの間に配置される、電場調整用のめっき装置用抵抗体であって、前記めっき装置用抵抗体は、板状の本体を有し、前記板状の本体は、上面、下面、および前記上面と前記下面とを連通する複数の貫通孔を有し、前記めっき装置用抵抗体は、さらに、前記本体の内部に配置されている挿入体を有し、前記挿入体は複数の貫通孔を有し、前記挿入体は、前記挿入体の前記複数の貫通孔が、前記本体の複数の貫通孔と連通する第1位置と、前記挿入体の前記複数の貫通孔が、前記本体の複数の貫通孔と連通しない第2位置と、の間で移動可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態のめっき装置の全体構成を示す斜視図である。
図2】一実施形態のめっき装置の全体構成を示す平面図である。
図3】一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図である。
図4A】一実施形態による、図3に示されるめっきモジュールに使用することができる抵抗体を概略的に示す横断面図である。
図4B図4Aに示される抵抗体を概略的に示す縦断面図である。
図5A】一実施形態による、図3に示されるめっきモジュールに使用することができる抵抗体を概略的に示す横断面図である。
図5B図5Aに示される抵抗体を概略的に示す縦断面図である。
図6】一実施形態による、図3に示されるめっきモジュールに使用することができる抵抗体を概略的に示す横断面図である。
図7】一実施形態による、図3に示されるめっきモジュールに使用することができる抵抗体を概略的に示す横断面図である。
図8】一実施形態による、図3に示されるめっきモジュールに使用することができる抵抗体を概略的に示す横断面図である。
図9A】一実施形態による、図3に示されるめっきモジュールに使用することができる抵抗体の一部を概略的に示す斜視図である。
図9B図9Aに示される抵抗体の一部を示す断面斜視図である。
図9C図9Aに示される抵抗体の一部を示す断面斜視図である。
図10】一実施形態による挿入体の配置を示す上面図である。
図11】一実施形態による挿入体の配置を示す上面図である。
図12】制御モジュールによる抵抗体、アノードマスク、および遮蔽体の動作レシピを設定する方法の一例を示すフローチャートである。
図13】一実施形態の基板の被めっき面に形成されているレジストパターンを模式的に示す図である。
図14】制御モジュールによる抵抗体、アノードマスク、および遮蔽体の動作レシピをめっき処理中に設定する方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0010】
<めっき装置の全体構成>
図1は、本実施形態のめっき装置の全体構成を示す斜視図である。図2は、本実施形態のめっき装置の全体構成を示す平面図である。図1、2に示すように、めっき装置1000は、ロードポート100、搬送ロボット110、アライナ120、プリウェットモジュール200、プリソークモジュール300、めっきモジュール400、洗浄モジュール500、スピンリンスドライヤ600、搬送装置700、および、制御モジュール800を備える。
【0011】
ロードポート100は、めっき装置1000に図示していないFOUPなどのカセットに収納された基板を搬入したり、めっき装置1000からカセットに基板を搬出するためのモジュールである。本実施形態では4台のロードポート100が水平方向に並べて配置されているが、ロードポート100の数および配置は任意である。搬送ロボット110は、基板を搬送するためのロボットであり、ロードポート100、アライナ120、および搬送装置700の間で基板を受け渡すように構成される。搬送ロボット110および搬送装置700は、搬送ロボット110と搬送装置700との間で基板を受け渡す際には、図示していない仮置き台を介して基板の受け渡しを行うことができる。
【0012】
アライナ120は、基板のオリエンテーションフラットやノッチなどの位置を所定の方向に合わせるためのモジュールである。本実施形態では2台のアライナ120が水平方向に並べて配置されているが、アライナ120の数および配置は任意である。プリウェットモジュール200は、めっき処理前の基板の被めっき面を純水または脱気水などの処理液で濡らすことで、基板表面に形成されたパターン内部の空気を処理液に置換する。プリウェットモジュール200は、めっき時にパターン内部の処理液をめっき液に置換することでパターン内部にめっき液を供給しやすくするプリウェット処理を施すように構成される。本実施形態では2台のプリウェットモジュール200が上下方向に並べて配置されているが、プリウェットモジュール200の数および配置は任意である。
【0013】
プリソークモジュール300は、例えばめっき処理前の基板の被めっき面に形成したシード層表面等に存在する電気抵抗の大きい酸化膜を硫酸や塩酸などの処理液でエッチング除去してめっき下地表面を洗浄または活性化するプリソーク処理を施すように構成される。本実施形態では2台のプリソークモジュール300が上下方向に並べて配置されているが、プリソークモジュール300の数および配置は任意である。めっきモジュール400は、基板にめっき処理を施す。本実施形態では、上下方向に3台かつ水平方向に4台並べて配置された12台のめっきモジュール400のセットが2つあり、合計24台のめっきモジュール400が設けられているが、めっきモジュール400の数および配置は任意である。
【0014】
洗浄モジュール500は、めっき処理後の基板に残るめっき液等を除去するために基板に洗浄処理を施すように構成される。本実施形態では2台の洗浄モジュール500が上下方向に並べて配置されているが、洗浄モジュール500の数および配置は任意である。スピンリンスドライヤ600は、洗浄処理後の基板を高速回転させて乾燥させるためのモジュールである。本実施形態では2台のスピンリンスドライヤが上下方向に並べて配置されているが、スピンリンスドライヤの数および配置は任意である。搬送装置700は、めっき装置1000内の複数のモジュール間で基板を搬送するための装置である。制御モジュール800は、めっき装置1000の複数のモジュールを制御するように構成され、例えばオペレータとの間の入出力インターフェースを備える一般的なコンピュータまたは専用コンピュータから構成することができる。
【0015】
めっき装置1000による一連のめっき処理の一例を説明する。まず、ロードポート100にカセットに収納された基板が搬入される。続いて、搬送ロボット110は、ロードポート100のカセットから基板を取り出し、アライナ120に基板を搬送する。アライナ120は、基板のオリエンテーションフラットやノッチなどの位置を所定の方向に合わせる。搬送ロボット110は、アライナ120で方向を合わせた基板を搬送装置700へ受け渡す。
【0016】
搬送装置700は、搬送ロボット110から受け取った基板をプリウェットモジュール200へ搬送する。プリウェットモジュール200は、基板にプリウェット処理を施す。搬送装置700は、プリウェット処理が施された基板をプリソークモジュール300へ搬送する。プリソークモジュール300は、基板にプリソーク処理を施す。搬送装置700は、プリソーク処理が施された基板をめっきモジュール400へ搬送する。めっきモジュール400は、基板にめっき処理を施す。
【0017】
搬送装置700は、めっき処理が施された基板を洗浄モジュール500へ搬送する。洗浄モジュール500は、基板に洗浄処理を施す。搬送装置700は、洗浄処理が施された基板をスピンリンスドライヤ600へ搬送する。スピンリンスドライヤ600は、基板に乾燥処理を施す。搬送装置700は、乾燥処理が施された基板を搬送ロボット110へ受け渡す。搬送ロボット110は、搬送装置700から受け取った基板をロードポート100のカセットへ搬送する。最後に、ロードポート100から基板を収納したカセットが搬出される。
【0018】
<めっきモジュールの構成>
次に、めっきモジュール400の構成を説明する。本実施形態における24台のめっきモジュール400は同一の構成であるので、1台のめっきモジュール400のみを説明する。
【0019】
図3は、本実施形態のめっきモジュール400の構成を概略的に示す縦断面図である。図3に示すように、めっきモジュール400は、めっき液を収容するためのめっき槽410を備える。めっき槽410は、上面が開口した円筒形の内槽と、内槽の上縁からオーバーフローしためっき液を溜められるように内槽の周囲に設けられた図示しない外槽と、を含んで構成される。
【0020】
めっきモジュール400は、被めっき面Wf-aを下方に向けた状態で基板Wfを保持するための基板ホルダ440を備える。また、基板ホルダ440は、図示していない電源から基板Wfに給電するための給電接点(図示せず)を備える。一実施形態では、給電接点は、基板Wfの外縁部に接触し、基板Wfの外縁部に給電するようになっている。めっきモジュール400は、基板ホルダ440を昇降させるための昇降機構442を備える。また、一実施形態では、めっきモジュール400は、基板ホルダ440を鉛直軸まわりに回転させる回転機構448を備える。昇降機構442および回転機構448は、例えばモータなどの公知の機構によって実現することができる。
【0021】
めっきモジュール400は、めっき槽410の内部を上下方向に隔てるメンブレン420を備える。めっき槽410の内部はメンブレン420によってカソード領域422とアノード領域424に仕切られる。カソード領域422とアノード領域424にはそれぞれめっき液が充填される。なお、本実施形態ではメンブレン420が設けられる一例を示したが、メンブレン420は設けられなくてもよい。
【0022】
めっき槽410のアノード領域424の底面にはアノード430が設けられる。アノード430は、一例として、基板Wfの板面と概略等しい寸法の板面を有する円形形状の部材である。また、アノード領域424には、アノード430と基板Wfとの間の電場を調整するためのアノードマスク426が配置される。アノードマスク426は、アノード430近傍に設けられ、例えば誘電体材料からなる略板状の電場遮蔽物である。アノードマスク426は、アノード430と基板Wfとの間に流れる電流が通過する開口を有する。本実施形態では、アノードマスク426は、開口寸法を変更可能に構成され、制御モジュール800によって開口寸法が調整される。ここで、開口寸法は、開口が円形である場合には直径を意味し、開口が多角形である場合には一辺の長さまたは最長となる開口幅を意味する。なお、アノードマスク426における開口寸法の変更は、公知の機構を採用することができる。また、本実施形態では、アノードマスク426が設けられる一例を示したが、アノードマスク426は設けられなくてもよい。さらに、上記したメンブレン420は、アノードマスク426の開口に設けられてもよい。
【0023】
めっきモジュール400は、基板Wfとアノード430との間に配置された抵抗体450を備える。本実施形態では、抵抗体450は、カソード領域422に配置されている。抵抗体450は、電場を調整することにより基板Wfの被めっき面Wf-aにおけるめっき処理の均一化を図るための部材である。抵抗体450によってアノード430と基板Wfとの間の抵抗値が大きくなって電場が広がりにくくなり、その結果、基板Wfの被めっき面Wf-aに形成されるめっき膜厚の分布を均一にすることができる。したがって、基板Wfと抵抗体450との間の距離が大きくなると、基板Wfと抵抗体450との間の電場の広がることができる空間が大きくなる。このため、抵抗体450は、基板Wfの被めっき面Wf-aの近傍に配置されることが好ましい。抵抗体450については、後に詳細に説明する。
【0024】
また、めっきモジュール400は、基板ホルダ440に保持された基板Wfと抵抗体450との間に配置されたパドル480と、パドル480をめっき液内で移動させてめっき液を攪拌するためのパドル攪拌機構482と、を備える。パドル480は、限定するものではないが、例えばハニカム状の多数の穴が形成された板部材によって構成することができる。パドル攪拌機構は、例えばモータなどの公知の機構によって実現することができる。パドル攪拌機構482は、基板Wfの被めっき面Wf-aに沿ってパドル480を往復運動させることにより、基板Wfの被めっき面Wf-a近傍のめっき液を攪拌するように構成される。ただし、こうした例に限定されず、パドル攪拌機構482は、一例として被めっき面Wf-aに対して垂直にパドル480を往復運動させるように構成されてもよい。また、本実施形態では、パドル480およびパドル攪拌機構482が設けられる一例を示したが、パドル480およびパドル攪拌機構482は設けられなくてもよい。
【0025】
また、カソード領域422には、基板Wfの被めっき面Wf-aに形成されるめっき膜に関するパラメータを検出するためのセンサ460が設けられている。本実施形態では、めっき膜に関するパラメータは、めっき膜の膜厚、またはめっき膜の形成速度を推定するための物理量を意味する。センサ460は、被めっき面Wf-aに面するように配置される。本実施形態では、センサ460は、基板Wfの半径方向に沿って検出位置を変更可能なように移動可能に構成されている。ただし、こうした例に限定されず、被めっき面Wf-aに面するセンサ460が複数設けられてもよい。また、一実施形態では、センサ460の検出端部は、抵抗体450の内部に配置される。ただし、こうした例に限定されず、センサ460は、例えば抵抗体450外部の他の場所に設けられてもよい。
【0026】
センサ460による検出信号は、制御モジュール800に入力される。本実施形態では、センサ460として、図示しない検知電極を有する電位センサが用いられている。なお、センサ460の検知電極は、被めっき面Wf-aに面するように配置されてもよいし、被めっき面Wf-aに面するように配置された導管であってその内部がめっき液で満たされる導管内に配置されてもよい。また、センサ460として電位センサが用いられる場合、めっき槽410内に少なくとも1つの参照用の電位センサ462が設けられるとよい。参照用の電位センサ462は、基板Wfとアノード430との間の領域外に配置されるとよい。換言すれば、参照用の電位センサ462は、基板Wfの被めっき面Wf-aに垂直な方向から見て、基板Wfおよびアノード430と重ならない位置に設けられるとよい。制御モジュール800は、電位センサであるセンサ460と参照用の電位センサ462との電位差に基づいて、被めっき面Wf-aに形成されるめっき膜の形成速度を推定し、めっき膜の厚さを測定することができる。これは、めっき処理におけるめっき電流と電位とが相関することに基づく。ただし、センサ460としては、めっき膜に関するパラメータを検出できるものであればよく、電位センサに代えてまたは加えて、白色共焦点式などの光学距離センサ、磁場センサ、または渦電流式センサなどの他のセンサが採用されてもよい。なお、本実施形態ではめっき膜に関するパラメータを検出するためのセンサ460が設けられる一例を示したが、センサ460は設けられなくてもよい。
【0027】
カソード領域422には、アノード430から基板Wfに流れる電流を遮蔽するための遮蔽体470が設けられる。本実施形態では、遮蔽体470は、パドル480と同一の高さに設けられているが、こうした例には限定されない。遮蔽体470は、例えば誘電体材料からなる略板状の部材である。遮蔽体470は、基板Wfの被めっき面Wf-aとアノード430との間に介在する遮蔽位置と、被めっき面Wf-aとアノード430との間から退避した退避位置とに移動可能に構成される。言い換えると、遮蔽体470は、被めっき面Wf-aの下方である遮蔽位置と、被めっき面Wf-aの下方から離れた退避位置とに移動可能に構成される。遮蔽体470の位置は、制御モジュール800からの指令を受けた駆動機構472により制御される。駆動機構472は、モータまたはソレノイドなどの公知の機構により実現できる。
【0028】
<抵抗体> 本実施形態の抵抗体450について詳細に説明する。図4Aは、一実施形態による、図3に示される抵抗体450を概略的に示す横断面図である。図4Bは、図4Aに示される抵抗体450を概略的に示す縦断面図である。本実施形態の抵抗体450は、円板形状の本体452、本体452の内部に配置されている円弧板状の第1挿入体456A、および第2挿入体456B、を備えている。換言すれば、本体452は内部に円環形状の空間455を備えており、円環形状の空間455に円弧板状の第1挿入体456Aおよび第2挿入体456Bが配置されている。本体452と2個の挿入体456A,456Bとは、めっき液よりも電気抵抗率が高い部材であり、誘電体であることが好ましい。なお、本体452と挿入体456A,456Bとは、同一素材で形成されてもよいし、異なる素材で形成されてもよい。
【0029】
一実施形態において、本体452は、めっき槽410に対して固定され、上方から見て基板Wfより少し大きい円形の板状の部材である。なお、本体452は、一例として、めっき槽410内において上下に移動可能に構成されてもよい。図4A、4Bに示されるように、本体452には、本体452の上面452-aおよび下面452-bとを連通する複数の貫通孔453が形成されている。換言すれば、本体452には、基板ホルダ440側とアノード430側とに開口する複数の貫通孔453が形成されている。図4Aにおいては、貫通孔453は破線で示されている。複数の貫通孔453のそれぞれは、同一寸法の貫通孔であり、周方向の長さが径方向の長さの2倍程度である長孔形状の開口を画定する。ただし、こうした例に限定されず、複数の貫通孔453のそれぞれは、上方から見て、真円形状であってもよいし、他の任意の形状であってもよく、それぞれ異なる寸法の貫通孔であってもよい。また、一実施形態では、複数の貫通孔453は、同心であり且つ径が異なる2以上の仮想的な基準円(図4A中、一点鎖線を参照)上に配置される。この場合、一実施形態では、隣り合う基準円上に配置される複数の貫通孔453は、互いに基準円における角度位置がずれた位置に配置される。言い換えれば、隣り合う基準円上に配置される貫通孔453同士は、径方向に延びる直線上に貫通孔453の中心が並ばず、周方向にずれて配置される。ただし、複数の貫通孔453の配置は、こうした例に限定されず、径方向に延びる直線上に並んで配置されてもよいし、一部の領域にだけ上述の貫通孔453の配置を採用してもよい。なお、図4Aにおいては、図示の明瞭化のために複数の貫通孔453をまばらに図示しているが、実際の設計においては、本体452における貫通孔453はより多く形成される。
【0030】
図4Aに示されるように、第1挿入体456Aおよび第2挿入体456Bは、上方から見て円弧板状の部材である。上述のように、第1挿入体456A,第2挿入体456Bは、本体452の内部に形成された円環形状の空間455内に配置されている。また、第1挿入体456A,第2挿入体456Bは、上方から見て、基板Wfまたはアノード430と同心に配置される。一実施形態では、第1挿入体456Aおよび第2挿入体456Bは、上方から見て、基板Wfまたはアノード430よりも小さい寸法を有し、基板Wfまたはアノード430の周縁部よりも中央側に配置される(図3参照)。後述するように、第1挿入体456A,第2挿入体456Bは、それぞれ、本体452の内部に形成された円環形状の空間455内で円周方向に移動可能である。
【0031】
第1挿入体456Aには、第1挿入体456Aの上面および下面を連通する貫通孔457Aが形成されている。換言すれば、第1挿入体456Aには、基板ホルダ440側とアノード430側とに開口する複数の貫通孔457Aが形成されている。図4Aにおいては、貫通孔457Aは実線で示されている。一実施形態では、複数の貫通孔457Aは、同心であり且つ径が異なる2以上の仮想的な基準円(図4A中、一点鎖線を参照)上に配置される。言い換えれば、複数の貫通孔457Aは、第1挿入体456Aの径方向に分散するように配置される。この場合、一実施形態では、隣り合う基準円上に配置される複数の貫通孔457Aは、互いに基準円における角度位置がずれた位置に配置される。言い換えれば、隣り合う基準円上に配置される貫通孔457A同士は、径方向に延びる直線上に貫通孔457Aの中心が並ばず、周方向にずれて配置される。ただし、複数の貫通孔457Aは、こうした例に限定されず、径方向に延びる直線上に並んで配置されてもよい。また、一実施形態では、複数の貫通孔457Aのそれぞれは、本体452の貫通孔453と同一の寸法の開口を画定する。すなわち、図4Aに示される実施形態においては、第1挿入体456Aの複数の貫通孔457Aは、本体452の貫通孔453と同様に、周方向の長さが径方向の長さの2倍程度である長孔形状の開口を画定する。ただし、第1挿入体456Aの複数の貫通孔457Aは、上方から見て、長孔形状であることに限定されず、真円形状であってもよいし、他の任意の形状であってもよい。一例として、第1挿入体456Aの複数の貫通孔457Aは、本体452の貫通孔453よりも円周方向により長い寸法の開口を画定する長孔形状としてもよい。一実施形態において、貫通孔457Aは、本体452の貫通孔453と同一の分布となるように配置されている。すなわち、複数の貫通孔457Aは、本体452の複数の貫通孔453とそれぞれ重なりあうことが可能に構成されている。図4Aは、複数の貫通孔457Aが本体452の複数の貫通孔453とそれぞれ重なりあった状態を示している。なお、図4Aにおいては、図示の明瞭化のために複数の貫通孔457A,Bをまばらに図示しているが、実際の設計においては、挿入体456A,Bにおける貫通孔457A,Bはより多く形成される。
【0032】
第2挿入体A456Bには、基板ホルダ440側とアノード430側とに開口する複数の貫通孔457Bが形成されている。第2挿入体456B、および第2挿入体456Bの貫通孔457Bの寸法は、第1挿入体456Aと同一であるので説明を省略する。
【0033】
図4Aに示されるように、第1挿入体456Aおよび第2挿入体456Bは、それぞれの一方の端部において、弾性部材454により連結されている。また、一実施形態による抵抗体450は、図4A、5Aに示されるように、第1挿入体456Aおよび第2挿入体456Bを、本体452の円環状の空間455内で円周方向に移動させるための付勢部材490を備える。図4Aに示されるように、付勢部材490はくさび形状の部材であり、第1挿入体456Aおよび第2挿入体456Bと同じ厚みを備える板状の部材である。図示のように、付勢部材490は、第1挿入体456Aおよび第2挿入体456Bにおける、弾性部材454が配置される端部と反対側の端部に配置されている。また、付勢部材490には、第1挿入体456Aおよび第2挿入体456Bと同様に、複数の貫通孔494が設けられている。付勢部材490には駆動機構492が連結されており、付勢部材490は駆動機構492により半径方向に移動可能に構成されている。付勢部材490を半径方向に移動させるための駆動機構492は任意のものとすることができ、たとえば、カム機構や、ボールネジを採用することができる。
【0034】
図4Aは、弾性部材454に力が与えられていない状態を示している。図4Aに示される、第1挿入体456Aおよび第2挿入体456Bの位置を本明細書では「第1位置」と称する。第1位置において、抵抗体450の本体452の複数の貫通孔453と、第1挿入体456Aの複数の貫通孔457Aおよび第2挿入体456Bの複数の貫通孔457Bとは連通するように整合した状態である。図4Bは、抵抗体450の本体452の複数の貫通孔453と、第1挿入体456Aの複数の貫通孔457Aおよび第2挿入体456Bの複数の貫通孔457Bとは連通するように整合した状態を示す縦断面図である。また、第1位置において、付勢部材490の複数の貫通孔494は、抵抗体450の本体452の複数の貫通孔453と連通するように整合している。なお、図4Aにおいては、図示の明瞭化のために、付勢部材490が1つの貫通孔494を備えるものとして図示されているが、実際の設計においては、付勢部材490に複数の貫通孔494を設けてよい。
【0035】
図4Aに示される第1位置の状態から、付勢部材490が駆動機構492により半径方向の内側に移動させられると、第1挿入体456Aおよび第2挿入体456Bは、それぞれ円周方向に移動し、弾性部材454が圧縮される。駆動機構492は、付勢部材490を、弾性部材454により第1挿入体456Aおよび第2挿入体456Bに付与される力に抗して、第1挿入体456Aおよび第2挿入体456Bを円周方向に移動させる、ともいえる。図5Aは、第1挿入体456Aおよび第2挿入体456Bが円周方向に移動し、弾性部材454に力が与えられている状態を示している。図5Aに示される、第1挿入体456Aおよび第2挿入体456Bの位置を本明細書では「第2位置」と称する。第2位置において、抵抗体450の本体452の複数の貫通孔453と、第1挿入体456Aの複数の貫通孔457Aおよび第2挿入体456Bの複数の貫通孔457Bとは連通しない状態である。換言すれば、第2位置において、抵抗体450の本体452の複数の貫通孔453は、第1挿入体456Aおよび第2挿入体456Bに塞がれている。図5Bは、抵抗体450の本体452の複数の貫通孔453と、第1挿入体456Aの複数の貫通孔457Aおよび第2挿入体456Bの複数の貫通孔457Bとは連通していない状態を示す縦断面図である。また、第2位置において、付勢部材490の複数の貫通孔494は、抵抗体450の本体452の複数の貫通孔453と連通しない。換言すれば、抵抗体450の本体452の複数の貫通孔453は、付勢部材490に塞がれている。
【0036】
図5Aに示される第2位置から、付勢部材490が半径方向外側に移動することで、弾性部材454に付与された圧縮力が、第1挿入体456Aおよび第2挿入体456Bを第1位置に向かって移動させる。換言すれば、弾性部材454は、第1挿入体456Aおよび第2挿入体456Bを第1位置の方向へバイアス力を付与している、とも言える。図4Aに示される第1位置は、抵抗体450の本体452の複数の貫通孔453と、第1挿入体456Aの複数の貫通孔457Aおよび第2挿入体456Bの複数の貫通孔457Bとが整合しており、本体452の複数の貫通孔453が完全に開放された状態であり、第2位置は、抵抗体450の本体452の複数の貫通孔453が、第1挿入体456Aおよび第2挿入体456Bにより完全に塞がれた状態である。一実施形態においては、第1挿入体456Aおよび第2挿入体456Bは、第1位置と第2位置との間の任意の位置をとることができ、本体452の複数の貫通孔453が、第1挿入体456Aおよび第2挿入体456Bにより部分的に塞がれた状態にすることができる。一実施形態において、付勢部材490の半径方向位置により、第1挿入体456Aおよび第2挿入体456Bを第1位置と第2位置との間の任意の位置に配置することができる。つまり、付勢部材490の半径方向位置により、抵抗体450の本体452の複数の貫通孔453の開口量を調整することができる。
【0037】
なお、一実施形態において、第1挿入体456Aおよび第2挿入体456Bの半径方向の寸法に関して、第1挿入体456Aおよび第2挿入体456Bの内径は、本体452または基板Wfの直径の50%~70%であり、好ましくは55%~65%である。また、一実施形態において、第1挿入体456Aおよび第2挿入体456Bの外径は、本体452または基板Wfの直径の70%~90%であり、好ましくは80%~90%である。上記の、第1挿入体456Aおよび第2挿入体456Bの内径および外径は、本体452の内部の円環形状の空間455の内径および外径であるともいえる。一実施形態において、第1挿入体456Aおよび第2挿入体456Bの半径方向の寸法は、後述する図13に示される中間領域B2に一致するように定められてもよい。
【0038】
また、一実施形態では、本体452には、センサ460の少なくとも一部を収容するための溝459が形成されている。一実施形態において、溝459は、基板ホルダ440側とアノード430側とに貫通しているが、一例としてアノード430側は閉じていてもよい。また、図4図5では、溝459は、第1挿入体456Aおよび第2挿入体456Bを収容するための円環形状の空間455よりも外周側に形成されて、円環形状の空間455と径方向に離隔されているが、一例として円環形状の空間455および溝459は互いに連通していてもよい。また、一実施形態では、溝459は、上方から見て本体452の外周縁から内側に延びている。一実施形態では、図3に示されるように、センサ460は、本体452の上面452-aよりも上方に突出しないように溝459内に配置される。上記したように、抵抗体450は、被めっき面Wf-aの近傍に配置されることが好ましく、めっき膜に関するパラメータを検出するためのセンサ460も、基板Wfの被めっき面Wf-aの近くに配置されることが好ましい。センサ460が溝459内に配置されることにより、抵抗体450と基板Wfの被めっき面Wf-aとの距離を小さくすることができ、めっき膜の膜厚に関するパラメータを好適に検出することができる。加えて、本実施形態では、抵抗体450と基板Wfとの間にパドル480が配置されている。センサ460が溝459内に配置されることにより、パドル480による攪拌のための移動を制限することなく、センサ460とパドル480との干渉を防止できる。
【0039】
図6は、図3に示されるめっきモジュール400に採用することができる、一実施形態による抵抗体450を概略的に示す横断面図である。図6に示される実施形態における抵抗体450は、挿入体が二重に配置されている。図6に示されるように、抵抗体450の本体452は、外側の円環形状の空間455Aおよび内側の円環形状の空間455Bを備えている。外側の円環形状の空間455Aには、第1挿入体456Aおよび第2挿入体456Bが配置されている。また、内側の円環形状の空間455Bには、第3挿入体456Cおよび第4挿入体456Dが配置されている。図6に示される実施形態による、第1挿入体456A、第2挿入体456B、第3挿入体456C、および第4挿入体456Dは、半径方向の幅以外は、図4、5に示される、第1挿入体456Aおよび第2挿入体456Bと同様の構造を備える。第1挿入体456A、第2挿入体456B、第3挿入体456C、および第4挿入体456Dは、それぞれ、複数の貫通孔457A~Dを備える。ただし、図示の明瞭化のために、図6には複数の貫通孔457A~Dは図示されていない。
【0040】
図6に示されるように、第1挿入体456Aおよび第2挿入体456Bは、それぞれの一方の端部において、弾性部材454Aにより連結されており、第3挿入体456Cおよび第4挿入体456Dは、それぞれの一方の端部において、弾性部材454Bにより連結されている。また、図6に示されているように、第1挿入体456A、第2挿入体456B、第3挿入体456C、および第4挿入体Dを、本体452の円環状の空間455A、B内で円周方向に移動させるための付勢部材490を備える。図6に示される付勢部材490は、図4、5に示される付勢部材490と同様の構成とすることができる。図6に示される実施形態において、第1挿入体456A、第2挿入体456B、第3挿入体456C、および第4挿入体Dは、それぞれの複数の貫通孔457A~Dが、本体452の複数の貫通孔453の連通する第1位置と、連通しない第2位置との間を移動可能である。また、付勢部材490は複数の貫通孔494を備え、貫通孔490は、本体452の複数の貫通孔453と連通する位置、および連通しない位置との間を移動可能である。図6に示される状態において、付勢部材490の複数の貫通孔494は、本体452の複数の貫通孔453と連数するように整合している。
【0041】
図7は、付勢部材490が半径方向内側に途中まで移動し、第1挿入体456Aおよび第2挿入体456Bのそれぞれの複数の貫通孔457A,Bが、本体452の複数の貫通孔453と連通し、一方で、第3挿入体456Cおよび第4挿入体456Dのそれぞれの複数の貫通孔457C,Dが、本体452の複数の貫通孔453と連通していない状態を示している。また、図7に示される位置において、付勢部材490の複数の貫通孔494は、第1挿入体456Aおよび第2挿入体Bが配置されている半径位置において、本体452の複数の貫通孔453と連通せずに、付勢部材490が本体452の貫通孔453を塞ぐように構成されるようにしてもよい。図8は、付勢部材490が半径方向内側にさらに移動し、第1挿入体456A、第2挿入体456B、第3挿入体456Cおよび第4挿入体456Dのそれぞれの複数の貫通孔457A~Dが、いずれも本体452の複数の貫通孔453と連通していない状態を示している。また、図8に示される位置において、付勢部材490の複数の貫通孔494は、第1挿入体456A、第2挿入体B、第3挿入体C、および第4挿入体Dが配置されている半径位置において、本体452の複数の貫通孔453と連通せずに、付勢部材490が本体452の貫通孔453を塞ぐように構成されるようにしてもよい。
【0042】
一実施形態において、第1挿入体456A、第2挿入体456B、第3挿入体456C、および第4挿入体Dの半径方向の寸法に関して、第3挿入体456Cおよび第4挿入体456Dの内径は、本体452または基板Wfの直径の50%~70%であり、好ましくは55%~65%である。また、一実施形態において、第1挿入体456Aおよび第2挿入体456Bの外径は、本体452または基板Wfの直径の70%~90%であり、好ましくは80%~90%である。一実施形態において、第1挿入体456A、第2挿入体456B、第3挿入体456C、および第4挿入体Dの半径方向の寸法は、後述する図13に示される中間領域B2に一致するように定められてもよい。
【0043】
図9Aは、図3に示されるめっきモジュール400に採用することができる、一実施形態による、抵抗体450の一部を概略的に示す斜視図である。図9Bおよび図9Cは、図9Aに示される抵抗体450の一部を示す断面斜視図である。本実施形態の抵抗体450は、既述の実施形態と同様に円板形状の本体452、および本体452の内部に配置されている円柱形状の挿入体560を備えている。換言すれば、本体452は内部に円筒形状の空間455を備えており、円筒形状の空間455に円柱形状の挿入体560が配置されている。挿入体560は、本体452の外周縁から半径方向内側に向かって円筒形状の空間455に挿入されている。本体452と挿入体560とは、めっき液よりも電気抵抗率が高い部材であり、誘電体であることが好ましい。なお、本体452と挿入体560とは、同一素材で形成されてもよいし、異なる素材で形成されてもよい。
【0044】
図9Aに示される実施形態において、本体452は、基板ホルダ440側(上面側)とアノード430側(下面側)とに開口する複数の貫通孔453が形成されている。なお、図9Aにおいては、図示の明瞭化のために、本体452の複数の貫通孔453は、挿入体560と関連する部分にだけ図示されているが、複数の貫通孔453は、本体452の全体に渡って形成されている。図9Aにおいては、複数の貫通孔453のそれぞれは、同一寸法の貫通孔であり、上方から見て、真円形状である。ただし、こうした例に限定されず、複数の貫通孔453のそれぞれは、図4、5の実施形態と同様に、周方向の長さが径方向の長さの2倍程度である長孔形状の開口を画定するものとしてもよいし、他の任意の形状であってもよく、それぞれ異なる寸法の貫通孔であってもよい。
【0045】
図9Aに示されるように、挿入体560は円柱形状の部材である。図9Bに示されるように、挿入体560には、基板ホルダ440側とアノード430側とに開口する複数の貫通孔562が形成されている。図9Bに示される実施形態において、挿入体560の複数の貫通孔562は、本体452の複数の貫通孔453と同一寸法の開口を備え、また、同一の分布を備えている。図9Aに示されるように、挿入体560は駆動機構564に連結されており、本体452の内部において回転可能に構成されている。駆動機構564はモータなどを備える任意の駆動機構を採用することができる。図9Aに示されるように、挿入体560の複数の貫通孔562は、挿入体560の軸方向(本体452の半径方向)の一部の領域に形成されている。挿入体560の貫通孔562が形成されている領域の軸方向(本体452の半径方向)の寸法は、任意とすることができるが、一例として、図4図8の実施形態における挿入体456A~Dの半径方向の寸法とすることができる。また、一実施形態において、挿入体560の貫通孔562が形成されている領域の軸方向(本体452の半径方向)の寸法は、後述する図13に示される中間領域B2に一致するように定められてもよい。
【0046】
図9Bは、本体452の複数の貫通孔453と、挿入体560の複数の貫通孔562とが連通するように整合している状態を示している。図9Bに示される挿入体560の位置を本明細書では「第1位置」と称する。図9Cは、挿入体560が90度回転されて、本体452の複数の貫通孔453と、挿入体560の複数の貫通孔562とが連通しない状態を示している。図9Cに示される挿入体560の位置を本明細書では「第2位置」と称する。換言すれば、第2位置において、抵抗体450の本体452の複数の貫通孔453は、挿入体560に塞がれている。なお、挿入体560を第1位置からわずかに回転させることで、本体452の複数の貫通孔453と、挿入体560の複数の貫通孔562とが一部だけ整合して、本体452の複数の貫通孔453が、挿入体560により部分的に塞がれた状態にすることができる。
【0047】
図10は、一実施形態による挿入体560の配置を示す図である。図10に示されるように、一実施形態において、挿入体560は本体452の外周縁に均等な間隔で複数配置されている。また、図10に示される実施形態において、複数の挿入体560は、同一の構成である。図10に示される実施形態において、複数の挿入体560は、それぞれ独立して回転可能に構成することができる。複数の挿入体560のそれぞれを独立して第1位置および第2位置との間で回転移動させることで、複数の貫通孔453の開口量を調整することができる。なお、一実施形態として、複数の挿入体560を同期して回転させるように構成してもよい。
【0048】
図11は、一実施形態による挿入体560の配置を示す図である。図11に示されるように、一実施形態において、挿入体560は本体452の外周縁に均等な間隔で複数配置されている。図11に示される実施形態においては、複数の挿入体560は、異なる長さを備える。図11に示される実施形態において、異なる長さの挿入体560は、貫通孔562が形成されている領域の寸法や位置を異なるものとすることができる。そのため、図11に示される実施形態においては、異なる半径位置において、複数の貫通孔453の開口量を調整することができる。なお、図10,11において、図示の明瞭化のために貫通孔453、562は図示されていない。
【0049】
<めっき処理>
次に、本実施形態のめっきモジュール400におけるめっき処理についてより詳細に説明する。昇降機構442を用いて基板Wfをカソード領域422のめっき液に浸漬させることにより、基板Wfがめっき液に暴露される。めっきモジュール400は、この状態でアノード430と基板Wfとの間に電圧を印加することによって、基板Wfの被めっき面Wf-aにめっき処理を施すことができる。また、一実施形態では、回転機構448を用いて基板ホルダ440を回転させながらめっき処理が行われる。めっき処理により、基板Wf-aの被めっき面Wf-aに導電膜(めっき膜)が析出する。
【0050】
一実施形態において、制御モジュール(コントローラ)800は、駆動機構492、564を制御して抵抗体450(挿入体の位置)を調整することにより、基板Wf全体のめっき膜厚分布の均一性を向上させることができる。一例として、駆動機構492、564を用いた抵抗体450の調整は、めっき処理が開始される前に行われる。また、一例として、駆動機構492,564を用いた抵抗体450の調整は、めっき処理中に、センサ460による検出値に基づいてリアルタイムに行われる。
【0051】
図12は、制御モジュール800による抵抗体450、アノードマスク426、および遮蔽体470の動作レシピを設定する方法の一例を示すフローチャートである。図12に示す方法は、一例として、新規な基板ロットを処理するときに実行される。なお、制御モジュール800は、抵抗体450とアノードマスク426と遮蔽体470とのうちの一部のみの動作レシピを設定してもよい。ここで、抵抗体450の動作レシピは、挿入体456A~D,560の位置、つまり、本体452の貫通孔453の開口量を示すレシピである。また、アノードマスク426の動作レシピは、アノードマスク426の開口寸法を示すレシピである。また、遮蔽体470の動作レシピは、遮蔽体470の進退位置を示すレシピである。なお、動作レシピは、めっき装置1000の制御モジュール800により設定されるのに代えて、めっき装置1000外部のコンピュータにより設定されてめっき装置1000へと送信されるものとしてもよい。
【0052】
図12に示す例では、まず、制御モジュール800は、処理対象である基板Wfのレジストパターンを取得する(ステップS110)。レジストパターンは、めっき処理によって所望のめっきパターンが形成されるように、被めっき面Wf-aに形成されているレジスト層のパターンを意味する。レジストパターンの取得は、めっき装置1000に設けられたセンサによって基板Wfを検出することにより行われてもよい。一例として、めっき装置1000は、基板Wfの被めっき面Wf-aを撮像するカメラなどの図示しない撮像センサを備えるものとしてもよい。そして、制御モジュール800は、撮像センサによって検出される撮像データを取得し、撮像データを解析することにより被めっき面Wf-aのレジストパターンを取得してもよい。撮像データからのレジストパターンの取得は、撮像データの陰影または特徴点などに基づいて公知の手法を用いて行うことができる。また、制御モジュール800は、一例として有線若しくは無線の通信を介した外部入力によってレジストパターンを取得してもよい。
【0053】
そして、制御モジュール800は、取得されたレジストパターンに基づいて抵抗体450、アノードマスク426、および遮蔽体470の動作レシピを設定する(ステップS120)。具体的な一例として、制御モジュール800は、取得されたレジストパターンに基づいて基板Wfの被めっき面Wfの所定領域ごとのめっき成長係数を算出し、算出しためっき成長係数に基づいて各制御対象の動作レシピを設定する。ここで、めっき成長係数は、抵抗体450、アノードマスク426、および遮蔽体470のそれぞれが、最も電流を遮蔽しない状態におけるめっき膜の成長速度(形成速度)を示すパラメータである。めっき成長係数は、一例として、単位時間(例えば1秒)におけるめっき膜の形成量(例えばナノメートル)とすることができる。具体的な一例として、制御モジュール800は、レジストパターンに基づいて所定領域ごとのレジスト層の開口率を算出し、算出した開口率に基づいてめっき成長係数を算出することができる。これは、レジスト層の開口率が大きい領域ではめっきが堆積する面積およびめっき膜を一定量形成するためのめっき量が大きく、レジスト層の開口率が小さい領域よりも、めっき膜の成長速度が小さくなる傾向があることに基づく。
【0054】
図13は、一実施形態の基板Wfの被めっき面Wf-aに形成されているレジストパターンを模式的に示す図である。図13では、ハッチングを付した十字型の領域A1にのみレジスト開口が形成され、十字形の領域A1の外側の領域A2は、レジスト開口が形成されない非開口領域となっている。こうしたレジストパターンの基板Wfにめっき処理が施される場合、非開口領域である領域A2にはめっき電流が流れず、開口領域である領域A1にのみめっき電流が流れる。また、本実施形態では、回転機構448を用いて基板ホルダ440を回転させながらめっき処理が行われ、領域A1のうち特に周方向において領域A2が含まれる十字形の凸部領域は、めっき電流が集中してめっき膜厚が大きくなる。本明細書では、周方向に沿って見たときに、概ねすべてレジスト開口が形成されている領域を「中央領域B1」と呼ぶ(図13に示す例では、内側の一点鎖線C1で囲まれる円形領域)。また、周方向に沿って見たときに、レジスト開口が形成されている領域(開口領域A1)とレジスト開口が形成されていない領域(非開口領域A2)との両方が含まれ、且つ周方向において開口領域A1の面積が非開口領域A2の面積よりも大きい領域を「中間領域B2」と呼ぶ(図13に示す例では、一点鎖線C1,C2で囲まれる円環形状領域)。さらに、周方向に沿って見たときに、開口領域A1と非開口領域A2との両方が含まれ、且つ周方向において開口領域A1の面積が非開口領域A2の面積よりも小さい領域を「外周領域B3」と呼ぶ(図13に示す例では、一点鎖線C2,C3で囲まれる円環形状領域)。なお、図13に示す例では、被めっき面Wf-aの中央から外周側に向かって、中央領域B1、中間領域B2、外周領域B3の順に位置し、外周領域B3の外周側にはレジスト開口が形成されていない。ただし、こうした例には限定されず、基板Wfには任意のレジストパターンが形成されてよい。
【0055】
ここで、めっきモジュール400に備えられているアノードマスク426または遮蔽体470は、被めっき面Wf-aの外周縁付近についてめっき膜の形成速度を好適に調整することができる。しかしながら、図13に示されるような基板Wfがめっき処理される場合、外周縁付近よりも内周側となる領域(特に、中間領域B2)のめっき形成速度が相対的に大きくなってしまい、めっき膜の厚さの均一性が損なわれる場合がある。
【0056】
これに対して、上述の実施形態のめっきモジュール400では、抵抗体450の内部に配置された挿入体456A~D,560を移動または回転させることにより本体452の貫通孔453の開口量を調整できるように構成されている。これにより、中間領域B2に流れる電流を調整して中間領域B2のめっき形成速度を調整することができる。一例として、図13の基板Wfにおいて、一点鎖線C1,C2で囲まれる中間領域B2のめっき形成速度が相対的に大きい場合、挿入体456A~D,560を移動または回転させることにより本体452の貫通孔453の開口量を小さくすることにより、当該中間領域B2に形成されるめっき膜厚を小さくすることができる。これにより、一例として図13に示されるような基板Wfにめっき処理を施すような場合にも、めっき膜の厚さの均一性を向上させることができる。加えて、本実施形態のめっきモジュール400は、アノードマスク426および遮蔽体470を備えている。これにより、中間領域B2については挿入体456A~D,560を移動または回転させることによりめっき形成速度を調整し、外周領域B3についてはアノードマスク426および遮蔽体470によってめっき形成速度を調整することができる。よって、抵抗体450、アノードマスク426、および遮蔽体470を制御して、基板Wfの領域ごとにめっき形成速度を調整し、めっき膜の厚さの均一性を向上させることができる。なお、抵抗体450の上述の各種の挿入体456A~Dの半径方向の寸法、および、挿入体560の貫通孔562が形成されている領域の半径方向の寸法を、中間領域B2と概ね同一の寸法にするなど、中間領域B2に基づいて寸法が定められてもよい。
【0057】
図14は、制御モジュール800による抵抗体450、アノードマスク426、および遮蔽体470の動作レシピをめっき処理中に設定する方法の一例を示すフローチャートである。図14に示す方法は、図12に示す方法に代えて、または図12に示される方法で設定された動作レシピを修正するように、めっき処理中に実行される。なお、制御モジュール800は、抵抗体450とアノードマスク426と遮蔽体470とのうちの一部のみの動作レシピを設定してもよい。
【0058】
制御モジュール800は、めっき処理を開始すると(ステップS210)、センサ460からめっき膜に関するパラメータをリアルタイムに取得する(ステップS220)。本実施形態では、基板Wfの回転を伴ってセンサ460によってめっき膜に関するパラメータが検出され、一実施形態では、被めっき面Wf-a上で径方向に沿った複数の地点でめっき膜に関するパラメータが検出される。制御モジュール800は、センサ460による検出値に基づいて被めっき面Wf-aにおけるめっき膜の膜厚分布を計算する(ステップS230)。続いて、制御モジュール800は、計算した膜厚分布に基づいて、抵抗体450、アノードマスク426、および遮蔽体470の動作レシピを設定する(ステップS240)。制御モジュール800は、めっき処理が終了するまで(ステップS250)、ステップS220~S240の処理を繰り返して制御対象の動作レシピを設定する。そして、制御モジュール800は、設定した動作レシピに基づいて抵抗体450、アノードマスク426、および遮蔽体470を制御する。このように、センサ460から取得されるめっき膜に関するパラメータに基づいて、抵抗体450などの動作レシピをめっき処理中に設定または修正することにより、めっき膜の厚さの均一性をより向上させることができる。
【0059】
本発明は、以下の形態としても記載することができる。
[形態1]形態1によれば、めっき装置において、アノードとめっきする対象物を保持するホルダとの間に配置される、電場調整用のめっき装置用抵抗体が提供され、かかるめっき装置用抵抗体は、板状の本体を有し、前記板状の本体は、上面、下面、および前記上面と前記下面とを連通する複数の貫通孔を有し、前記めっき装置用抵抗体は、さらに、前記本体の内部に配置されている挿入体を有し、前記挿入体は複数の貫通孔を有し、前記挿入体は、前記挿入体の前記複数の貫通孔が、前記本体の複数の貫通孔と連通する第1位置と、前記挿入体の前記複数の貫通孔が、前記本体の複数の貫通孔と連通しない第2位置と、の間で移動可能である。
【0060】
[形態2]形態2によれば、形態1によるめっき装置用抵抗体おいて、前記挿入体の前記複数の貫通孔は、前記挿入体の上面および下面を連通する。
【0061】
[形態3]形態3によれば、形態2によるめっき装置用抵抗体において、前記挿入体は、円弧板状の第1挿入体と、円弧板状の第2挿入体と、を有し、前記めっき装置用抵抗体はさらに、前記第1挿入体と前記第2挿入体との間を連結する弾性部材を有し、前記弾性部材は、前記第1挿入体および前記第2挿入体に、前記第1位置の方向へバイアス力を付与するように構成されている。
【0062】
[形態4]形態4によれば、形態3によるめっき装置用抵抗体において、さらに、前記第1挿入体および前記第2挿入体を、前記弾性部材のバイアス力に逆らって前記第2位置へ向けて移動させる付勢部材を有する。
【0063】
[形態5]形態5によれば、形態3によるめっき装置用抵抗体において、前記挿入体は、円弧板状の第3挿入体と、円弧板状の第4挿入体と、を有し、前記めっき装置用抵抗体はさらに、前記第3挿入体と前記第4挿入体との間を連結する第2弾性部材を有し、前記第2弾性部材は、前記第3挿入体および前記第4挿入体に、前記第1位置の方向へバイアス力を付与するように構成されている。
【0064】
[形態6]形態6によれば、形態1によるめっき装置用抵抗体おいて、前記挿入体は前記複数の貫通孔を有する円柱形状の部材であり、前記板状の本体の側面から内部に挿入されており、前記円柱形状の部材の中心軸について回転することで、前記第1位置と前記第2位置との間で移動可能である。
【0065】
[形態7]形態7によれば、形態6によるめっき装置用抵抗体おいて、前記板状の本体は円板形状であり、前記挿入体は、複数の前記円柱形状の部材を有し、前記複数の円柱形状の部材が、前記板状の本体の半径方向に挿入されている。
【0066】
[形態8]形態8によれば、形態7によるめっき装置用抵抗体おいて、前記複数の円柱形状の部材は、異なる長手方向の寸法を備える。
【0067】
[形態9]形態9によれば、めっき装置が提供され、かかるめっき装置は、めっき槽と、前記めっき槽に配置されるアノードと、めっきする対象物を保持するためのホルダと、前記アノードと前記ホルダとの間に配置される、電場調整用の抵抗体と、を有し、前記抵抗体は、板状の本体を有し、前記板状の本体は、上面、下面、および前記上面と前記下面とを連通する複数の貫通孔を有し、前記抵抗体は、さらに、前記本体の内部に配置されている挿入体を有し、前記挿入体は複数の貫通孔を有し、前記挿入体は、前記挿入体の前記複数の貫通孔が、前記本体の複数の貫通孔と連通する第1位置と、前記挿入体の前記複数の貫通孔が、前記本体の複数の貫通孔と連通しない第2位置と、の間で移動可能である。
【符号の説明】
【0068】
Wf-a…被めっき面
Wf…基板
400…めっきモジュール
410…めっき槽
420…メンブレン
422…カソード領域
424…アノード領域
430…アノード
440…基板ホルダ
442…昇降機構
448…回転機構
450…抵抗体
452…本体
453…貫通孔
456A~D…挿入体
457A~D…貫通孔
459…溝
460…センサ
470…遮蔽体
480…パドル
490…付勢部材
492…駆動機構
494…貫通孔
560…挿入体
562…貫通孔
564…駆動機構
800…制御モジュール
1000…めっき装置
【要約】
めっき対象物に形成されるめっき膜の厚さの均一性を向上させることができるめっき装置を提案する。
装置用抵抗体は、めっき装置において、アノードとめっきする対象物を保持するホルダとの間に配置される、電場調整用のめっき装置用抵抗体であって、前記めっき装置用抵抗体は、板状の本体を有し、前記板状の本体は、上面、下面、および前記上面と前記下面とを連通する複数の貫通孔を有し、前記めっき装置用抵抗体は、さらに、前記本体の内部に配置されている挿入体を有し、前記挿入体は複数の貫通孔を有し、前記挿入体は、前記挿入体の前記複数の貫通孔が、前記本体の複数の貫通孔と連通する第1位置と、前記挿入体の前記複数の貫通孔が、前記本体の複数の貫通孔と連通しない第2位置と、の間で移動可能である。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13
図14