(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-21
(45)【発行日】2025-03-04
(54)【発明の名称】切削装置
(51)【国際特許分類】
B24B 45/00 20060101AFI20250225BHJP
B24B 49/10 20060101ALI20250225BHJP
B24B 27/06 20060101ALI20250225BHJP
B23Q 17/00 20060101ALI20250225BHJP
B23Q 3/155 20060101ALI20250225BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20250225BHJP
【FI】
B24B45/00 A
B24B49/10
B24B27/06 M
B23Q17/00 B
B23Q3/155 K
B23Q3/155 E
H01L21/78 F
(21)【出願番号】P 2021101356
(22)【出願日】2021-06-18
【審査請求日】2024-04-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】蘇 志博
(72)【発明者】
【氏名】寺田 一貴
【審査官】マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-098536(JP,A)
【文献】特開平04-176573(JP,A)
【文献】特開2010-214564(JP,A)
【文献】特開平09-183071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 45/00
B24B 49/10
B24B 27/06
B23Q 17/00
B23Q 3/155
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を切削する切削装置であって、
スピンドルと、該スピンドルの先端部に固定されるブレードマウントとを有し、該ブレードマウントに装着される切削ブレードで該被加工物を切削する切削ユニットと、
該ブレードマウントからの該切削ブレードの取り外しと、該ブレードマウントへの該切削ブレードの装着とを行うブレード交換ユニットと、
判定部と、
報知部と、を備え、
該ブレードマウントは、
雄ねじ部を有し該切削ブレードに設けられた貫通孔に挿入されるボス部と、
該ボス部の端部から突出し該切削ブレードを支持するフランジ部と、
該雄ねじ部に螺合され該切削ブレードを該フランジ部と挟持する固定ナットと、を含み、
該ブレード交換ユニットは、
該切削ブレードを保持するブレード保持部と、
該固定ナットを保持する固定ナット保持部と、
該ブレード保持部及び該固定ナット保持部に連結された回転部と、
該固定ナット保持部を回転させるモータと、
該ブレード保持部及び該固定ナット保持部を移動させる移動部と、を含み、
該回転部は、該回転部の内部を通る直線を回転軸として回転し、
該ブレード保持部及び該固定ナット保持部は、該回転軸の周りに互いに離隔した状態で、該回転軸に対して外側を向くように配置され、
該判定部は、該固定ナット保持部によって保持され該ボス部に対面する初期位置に位置付けられた該固定ナットを該モータによって回転させて該雄ねじ部に螺合させる際、該固定ナットが該切削ブレードの固定に適した固定位置に到達したか否かを判定し、
該報知部は、該判定部による判定の結果を報知することを特徴とする切削装置。
【請求項2】
該判定部は、該固定ナットの回転が開始してから該モータのトルクが閾値に達するまでの時間に基づいて、該固定ナットが該固定位置に到達したか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の切削装置。
【請求項3】
該判定部は、該固定ナットの回転が開始してから該モータのトルクが閾値に達するまでの間における該固定ナットの回転数に基づいて、該固定ナットが該固定位置に到達したか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の切削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物を切削する切削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のデバイスが形成されたウェーハを分割して個片化することにより、デバイスをそれぞれ備える複数のデバイスチップが製造される。また、複数のデバイスチップを所定の基板上に実装し、実装されたデバイスチップを樹脂でなる封止材(モールド樹脂)で被覆することにより、パッケージ基板が得られる。パッケージ基板を分割して個片化することにより、パッケージ化された複数のデバイスチップをそれぞれ備える複数のパッケージデバイスが製造される。デバイスチップやパッケージデバイスは、携帯電話、パーソナルコンピュータ等の様々な電子機器に組み込まれる。
【0003】
ウェーハ、パッケージ基板等の被加工物を分割する際には、切削装置が用いられる。切削装置は、被加工物を保持するチャックテーブルと、被加工物に切削加工を施す切削ユニットとを備える。切削ユニットは、スピンドルと、スピンドルの先端部に固定されるブレードマウントとを備えており、ブレードマウントに被加工物を切削する環状の切削ブレードが装着される。
【0004】
切削装置で被加工物を切削する際には、固定ナットによって切削ブレードがブレードマウントに固定される(特許文献1参照)。そして、ブレードマウントに切削ブレードが装着された状態でスピンドルを回転させ、回転する切削ブレードをチャックテーブルによって保持された被加工物に切り込ませることにより、被加工物が切削され、分割される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
切削ユニットに装着された切削ブレードは、被加工物の加工によって摩耗するため、定期的に交換される。切削ブレードを交換する際は、まず、切削ブレードを固定している固定ナットを緩めて取り外し、使用済みの切削ブレードをブレードマウントから取り外す。その後、交換用の切削ブレード(未使用の切削ブレード)をブレードマウントに装着し、固定ナットで固定する。
【0007】
切削ブレードの交換を手作業で行うと、手間がかかる上、作業中に切削ブレードや固定ナットが誤って落下するおそれがある。そこで、切削装置には、切削ブレードを自動で着脱して交換するブレード交換ユニットが搭載されることがある。ブレード交換ユニットは、切削ブレードを保持する複数のブレード保持部と、固定ナットを保持する固定ナット保持部とを備えている。
【0008】
ブレード交換ユニットで切削ユニットに切削ブレードを装着する際には、まず、ブレード保持部によって保持された切削ブレードがブレードマウントに装着される。次に、固定ナット保持部によって保持された固定ナットが、ブレードマウントの正面に位置付けられる。その後、固定ナット保持部を回転させると、固定ナットが回転してブレードマウントに螺合し、切削ブレードがブレードマウントと固定ナットとによって挟持される。
【0009】
しかしながら、固定ナットをブレードマウントの正面に位置付ける際、様々な要因によって固定ナットが意図せずブレードマウントに対して僅かに傾いた状態で配置されることがある。この場合、固定ナットを回転させても固定ナットがブレードマウントに適切に螺合せず、固定ナットを切削ブレードの固定に適した位置(固定位置)まで締め付けることが困難になる。
【0010】
切削ブレードが固定位置に到達しないと、切削ブレードがブレードマウントに確実に固定されていない状態となる。そして、切削ブレードの固定が不十分な状態のままで被加工物の切削加工が続行されると、被加工物の加工不良や切削ブレードの破損が発生するおそれがある。
【0011】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、切削ブレードの固定が不十分な状態で切削加工が実施されることを防止可能な切削装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によれば、被加工物を切削する切削装置であって、スピンドルと、該スピンドルの先端部に固定されるブレードマウントとを有し、該ブレードマウントに装着される切削ブレードで該被加工物を切削する切削ユニットと、該ブレードマウントからの該切削ブレードの取り外しと、該ブレードマウントへの該切削ブレードの装着とを行うブレード交換ユニットと、判定部と、報知部と、を備え、該ブレードマウントは、雄ねじ部を有し該切削ブレードに設けられた貫通孔に挿入されるボス部と、該ボス部の端部から突出し該切削ブレードを支持するフランジ部と、該雄ねじ部に螺合され該切削ブレードを該フランジ部と挟持する固定ナットと、を含み、該ブレード交換ユニットは、該切削ブレードを保持するブレード保持部と、該固定ナットを保持する固定ナット保持部と、該ブレード保持部及び該固定ナット保持部に連結された回転部と、該固定ナット保持部を回転させるモータと、該ブレード保持部及び該固定ナット保持部を移動させる移動部と、を含み、該回転部の内部を通る直線を回転軸として回転し、該ブレード保持部及び該固定ナット保持部は、該回転軸の周りに互いに離隔した状態で、該回転軸に対して外側を向くように配置され、該判定部は、該固定ナット保持部によって保持され該ボス部に対面する初期位置に位置付けられた該固定ナットを該モータによって回転させて該雄ねじ部に螺合させる際、該固定ナットが該切削ブレードの固定に適した固定位置に到達したか否かを判定し、該報知部は、該判定部による判定の結果を報知する切削装置が提供される。
【0013】
なお、好ましくは、該判定部は、該固定ナットの回転が開始してから該モータのトルクが閾値に達するまでの時間に基づいて、該固定ナットが該固定位置に到達したか否かを判定する。また、好ましくは、該判定部は、該固定ナットの回転が開始してから該モータのトルクが閾値に達するまでの間における該固定ナットの回転数に基づいて、該固定ナットが該固定位置に到達したか否かを判定する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様に係る切削装置は、初期位置に位置付けられた固定ナットを回転させてブレードマウントのボス部に設けられた雄ねじ部に螺合させる際、固定ナットが切削ブレードの固定に適した固定位置に到達したか否かを判定する判定部を備える。これにより、切削装置で被加工物を加工する際に、切削ブレードが固定ナットによって適切に固定されているか否かを確認することが可能となる。その結果、切削ブレードの固定が不十分な状態で切削加工が実施されることを回避でき、被加工物の加工不良や切削ブレードの破損の発生が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図6】
図6(A)は交換装置を示す側面図であり、
図6(B)は交換装置を示す正面図である。
【
図7】
図7(A)はブレード保持部を示す正面図であり、
図7(B)はブレード保持部を示す断面図である。
【
図8】
図8(A)は交換用ブレード保持ステップにおける交換装置を示す模式図であり、
図8(B)は固定ナット取り外しステップにおける交換装置を示す模式図であり、
図8(C)は第1退避ステップにおける交換装置を示す模式図であり、
図8(D)は使用済み切削ブレード保持ステップにおける交換装置を示す模式図である。
【
図9】
図9(A)は第2退避ステップにおける交換装置を示す模式図であり、
図9(B)は切削ブレード装着ステップにおける交換装置を示す模式図であり、
図9(C)は第3退避ステップにおける交換装置を示す模式図であり、
図9(D)は固定ナット装着ステップにおける交換装置を示す模式図である。
【
図10】ブレードマウントと固定ナット保持部とを示す一部断面正面図である。
【
図11】
図11(A)は固定ナットが固定位置に到達した状態のブレードマウント及び固定ナット保持部を示す一部断面正面図であり、
図11(B)は固定ナットが固定位置に到達していない状態のブレードマウント及び固定ナット保持部を示す一部断面正面図である。
【
図12】
図12(A)は固定ナットが固定位置に到達する場合における固定ナットの回転時間とモータのトルクとの関係を示すグラフであり、
図12(B)は固定ナットが固定位置に到達しない場合における固定ナットの回転時間とモータのトルクとの関係を示すグラフである。
【
図14】固定ナットの螺合状態の判定方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の一態様に係る実施形態を説明する。まず、本実施形態に係る切削装置の構成例を説明する。
図1は、切削装置2を示す斜視図である。なお、
図1において、X軸方向(加工送り方向、第1水平方向、前後方向)とY軸方向(割り出し送り方向、第2水平方向、左右方向)とは、互いに垂直な方向である。また、Z軸方向(鉛直方向、上下方向、高さ方向)は、X軸方向及びY軸方向と垂直な方向である。
【0017】
切削装置2は、切削装置2を構成する各構成要素を支持又は収容する基台4を備える。基台4の前方側の角部には、エレベータ6が設けられている。エレベータ6は、昇降台8と、昇降台8をZ軸方向に沿って移動(昇降)させる昇降機構(不図示)とを備えている。昇降台8上には、切削装置2による切削加工の対象となる複数の被加工物11を収容可能なカセット10が載置される。
【0018】
カセット10は、互いに対向する一対の側面を有する。また、カセット10の各側面には、カセット10の高さ方向に沿って所定の間隔で配置された複数のガイドレール10aが固定されている。カセット10の両側面に固定された同じ高さ位置にある一対のガイドレール10aにより、被加工物11を含むフレームユニット(被加工物ユニット)17が支持される。
【0019】
例えば被加工物11は、シリコン等の半導体材料でなる円盤状のウェーハであり、互いに概ね平行な表面及び裏面を含む。また、被加工物11は、互いに交差するように格子状に配列された複数の分割予定ライン(ストリート)によって、複数の矩形状の領域に区画されている。分割予定ラインによって区画された領域の表面(上面)側にはそれぞれ、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)、LED(Light Emitting Diode)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイス等のデバイスが形成されている。被加工物11を分割予定ラインに沿って切削して分割することにより、デバイスをそれぞれ備える複数のデバイスチップが製造される。
【0020】
ただし、被加工物11の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。例えば被加工物11は、シリコン以外の半導体(GaAs、InP、GaN、SiC等)、ガラス、セラミックス、樹脂、金属等でなるウェーハであってもよい。また、被加工物11に形成されるデバイスの種類、数量、形状、構造、大きさ、配置等にも制限はなく、被加工物11にはデバイスが形成されていなくてもよい。さらに、被加工物11は、CSP(Chip Size Package)基板、QFN(Quad Flat Non-leaded package)基板等のパッケージ基板であってもよい。
【0021】
被加工物11の裏面(下面)側には、被加工物11よりも直径が大きい円形のテープ(ダイシングテープ)13が貼付される。テープ13としては、円形に形成されたフィルム状の基材と、基材上に設けられた粘着層(糊層)とを有するシート等を用いることができる。例えば、基材はポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタラート等の樹脂でなり、粘着層はエポキシ系、アクリル系、又はゴム系の接着剤等でなる。また、粘着層には、紫外線の照射によって硬化する紫外線硬化型の樹脂を用いてもよい。
【0022】
テープ13の外周部は、環状のフレーム15に貼付される。フレーム15はSUS(ステンレス鋼)等の金属等でなり、フレーム15の中央部にはフレーム15を厚さ方向に貫通する円柱状の開口が設けられている。なお、フレーム15の開口の直径は被加工物11の直径よりも大きく、被加工物11はフレーム15の開口の内側に配置される。
【0023】
テープ13の中央部が被加工物11に貼付されるとともにテープ13の外周部がフレーム15に貼付されると、被加工物11がテープ13を介してフレーム15によって支持される。これにより、被加工物11、テープ13、フレーム15を含むフレームユニット17が構成される。そして、1又は複数のフレームユニット17がカセット10に収容される。
【0024】
基台4の上面側のうちエレベータ6にX軸方向において隣接する領域には、円柱状の開口4aが設けられている。開口4aの内部には、被加工物11を洗浄する洗浄ユニット12が配置されている。洗浄ユニット12は、被加工物11を保持するスピンナテーブル14と、スピンナテーブル14の上方に設けられ純水等の洗浄液を供給するノズル(不図示)とを備える。
【0025】
スピンナテーブル14には、スピンナテーブル14をZ軸方向に概ね平行な回転軸の周りで回転させるモータ等の回転駆動源(不図示)が接続されている。スピンナテーブル14によって被加工物11を保持した状態で、スピンナテーブル14を回転させつつノズルから洗浄液を被加工物11に供給することにより、被加工物11が洗浄される。なお、洗浄液としては、液体(純水等)と気体(エアー等)とが混合された気液混合流体等を用いることもできる。
【0026】
洗浄ユニット12の上方には、フレームユニット17を支持する一対のガイドレール16がX軸方向に沿って設けられている。一対のガイドレール16には、一対のガイドレール16をY軸方向に沿って互いに接近及び離隔するように移動させる移動機構(不図示)が接続されている。一対のガイドレール16でフレームユニット17を挟み込むことにより、フレームユニット17のY軸方向における位置が調整される。
【0027】
基台4の上面側の、ガイドレール16にY軸方向で隣接する領域には、長手方向がX軸方向に沿うように形成された直方体状の開口4bが設けられている。開口4bの内部には、平板状のテーブルカバー18が設けられている。また、テーブルカバー18のX軸方向における両側には、X軸方向に伸縮可能な蛇腹状の防塵防滴カバー20が設けられている。
【0028】
テーブルカバー18上には、被加工物11を保持するチャックテーブル(保持テーブル)22が設けられている。チャックテーブル22の上面は、水平方向(XY平面方向)と概ね平行な平坦面であり、被加工物11を保持する保持面を構成している。また、チャックテーブル22の周囲には、フレーム15を把持して固定する複数のクランプ24が設けられている。
【0029】
例えばチャックテーブル22は、ステンレス鋼等の金属でなる円柱状の枠体(不図示)を備える。また、枠体の中央部の上面側には円形の凹部が形成されており、この凹部にはポーラスセラミックス等の多孔質材料でなる円盤状のポーラス部材が嵌め込まれている。チャックテーブル22の保持面は、ポーラス部材、チャックテーブル22の内部に設けられた流路(不図示)、バルブ(不図示)等を介して、エジェクタ等の吸引源(不図示)に接続されている。
【0030】
例えばフレームユニット17は、被加工物11の表面側が上方に露出し、被加工物11の裏面側(テープ13側)がチャックテーブル22の保持面と対向するように、チャックテーブル22上に配置される。また、フレーム15が複数のクランプ24によって固定される。この状態で、チャックテーブル22の保持面に吸引源の負圧を作用させると、被加工物11がテープ13を介してチャックテーブル22によって吸引保持される。
【0031】
また、テーブルカバー18上には、一対のサブテーブル(保持テーブル)26がチャックテーブル22に隣接して設けられている。一対のサブテーブル26は、チャックテーブル22の後方側に、Y軸方向において互いに離隔した状態で配置されている。
【0032】
サブテーブル26の上面は、切削加工のセットアップ、検査、評価等に用いられる板状の部材(ボード)を保持する平坦な保持面を構成する。例えば、サブテーブル26の保持面は矩形状に形成され、サブテーブル26の内部に設けられた流路(不図示)、バルブ(不図示)等を介して、エジェクタ等の吸引源(不図示)に接続されている。サブテーブル26によって、後述のドレッシングボードや検査用ボードが保持される。
【0033】
テーブルカバー18の下方には、移動ユニット(不図示)及び回転駆動源(不図示)が設けられている。移動ユニットは、ボールねじ式の移動機構等によって構成され、チャックテーブル22及びサブテーブル26をテーブルカバー18とともにX軸方向に沿って移動させる。また、回転駆動源は、モータ等によって構成され、チャックテーブル22をZ軸方向に概ね平行な回転軸の周りで回転させる。
【0034】
開口4bの前方側(開口4aと隣接する領域)は、被加工物11の搬入及び搬出が行われる搬送領域に相当する。また、開口4bの後方側は、被加工物11の加工が行われる加工領域に相当する。移動ユニットによってチャックテーブル22及びサブテーブル26をX軸方向に沿って移動させることにより、チャックテーブル22及びサブテーブル26を搬送領域又は加工領域に位置付けることができる。
【0035】
加工領域の上方には、被加工物11が切削される空間を形成する加工室(カバー)28が設けられている。
図1では、加工室28の輪郭を二点鎖線で示している。加工室28は、例えば金属等によって直方体状に形成され、加工領域を覆うように配置される。また、加工室28の搬送領域側の側面には、後述の交換装置100(
図4等参照)が通過可能な出入口(開口)28aが設けられている。そして、加工室28の内側には、被加工物11を切削する一対の切削ユニット30が設けられている。
【0036】
図2は、切削ユニット30を示す分解斜視図である。切削ユニット30には、環状の切削ブレード36が装着される。切削ユニット30は、切削ブレード36を回転させて被加工物11に切り込ませることにより、被加工物11を切削する。
【0037】
切削ユニット30は、筒状のハウジング32を備える。ハウジング32には、Y軸方向に沿って配置された円柱状のスピンドル34が収容されている。スピンドル34の先端部(一端側)はハウジング32の外部に露出しており、スピンドル34の先端部にはねじ穴34aが設けられている。また、スピンドル34の基端部(他端側)には、モータ等の回転駆動源が接続されている。
【0038】
スピンドル34の先端部には、切削ブレード36が装着される。スピンドル34の先端部に装着された切削ブレード36は、回転駆動源からスピンドル34を介して伝達される動力によって回転する。例えば切削ブレード36は、金属等でなる環状の基台38と、基台38の外周縁に沿って形成された環状の切り刃40とが一体となって構成されたハブタイプの切削ブレード(ハブブレード)である。切削ブレード36の中央部には、切削ブレード36(基台38)を厚さ方向に貫通する円柱状の貫通孔(開口)36aが設けられている。
【0039】
基台38は、互いに概ね平行な表面(第1面)38aと裏面(第2面)38bとを備える。基台38の表面38aは、切削ブレード36の着脱時に保持される被保持面に相当する。また、基台38の裏面38b側には切り刃40が設けられている。切り刃40は、基台38の外周縁から基台38の半径方向外側に向かって突出するように形成されている。例えば切り刃40は、ダイヤモンド等でなる砥粒がニッケルめっき層等の結合材によって固定された電鋳砥石によって構成される。
【0040】
スピンドル34の先端部には、ブレードマウント42が固定される。ブレードマウント42は、円柱状のボス部(支持軸)44と、ボス部44の端部(基端部)に接続された円盤状のフランジ部46とを含む。フランジ部46は、ボス部44の端部からボス部44の半径方向外側に向かって突出するように形成されている。すなわち、ボス部44は、フランジ部46の表面46aの中央部から突出するように形成されている。また、ボス部44及びフランジ部46には、ボス部44の中央部及びフランジ部46の中央部を貫通する円柱状の貫通孔(開口)42aが設けられている。
【0041】
ボス部44の先端部の外周面には、雄ねじ部(ねじ溝)44aが設けられている。また、フランジ部46の外周部には、フランジ部46の表面46aから突出する環状の凸部46bが設けられている。凸部46bの先端面は、表面46aと概ね平行な平坦面であり、切削ブレード36を支持する環状の支持面46cを構成している。
【0042】
また、ブレードマウント42は、切削ブレード36をブレードマウント42に固定する環状の固定ナット48を含む。固定ナット48は、ボス部44に形成されている雄ねじ部44aに螺合され、締結される。
【0043】
固定ナット48の中央部には、固定ナット48を厚さ方向に貫通する円柱状の貫通孔(開口)48aが設けられている。貫通孔48aは、ボス部44と概ね同径に形成されている。また、貫通孔48aで露出する固定ナット48の側面(内周面)には、ボス部44の雄ねじ部44aに対応する雌ねじ部(ねじ溝)が設けられている。さらに、固定ナット48には、固定ナット48を厚さ方向に貫通する複数(
図2では4個)の円柱状の貫通孔48bが、固定ナット48の周方向に沿って概ね等間隔に形成されている。
【0044】
ねじ50を、ブレードマウント42の貫通孔42aを介してスピンドル34のねじ穴34aに挿入し、ねじ穴34aに螺合させて締め付けることにより、ブレードマウント42がスピンドル34の先端部に固定される。また、切削ブレード36の貫通孔36aにボス部44を挿入すると、切削ブレード36がブレードマウント42に装着される。この状態で、ボス部44の雄ねじ部44aに固定ナット48を螺合させて締め付けると、切削ブレード36がフランジ部46の支持面46cと固定ナット48とによって挟持され、ブレードマウント42に固定される。
【0045】
なお、切削ユニット30には、ワッシャータイプの切削ブレード(ワッシャーブレード)が装着されてもよい。ワッシャーブレードは、砥粒がメタルボンド、レジンボンド、ビトリファイドボンド等の結合材で固定された環状の切り刃のみによって構成される。
【0046】
切削ブレード36は、
図1に示す一対の切削ユニット30にそれぞれに装着される。すなわち、切削装置2は、一対の切削ブレード36が互いに対面するように配置される、所謂フェイシングデュアルスピンドルタイプの切削装置である。ただし、切削装置2が備える切削ユニット30の数は1組であってもよい。
【0047】
一対の切削ユニット30にはそれぞれ、チャックテーブル22によって保持された被加工物11等を撮像する撮像ユニット52が装着されている。例えば撮像ユニット52は、可視光を受光して電気信号に変換する撮像素子を備える可視光カメラや、赤外線を受光して電気信号に変換する撮像素子を備える赤外線カメラ等によって構成される。撮像ユニット52の撮像によって得られた画像に基づいて、被加工物11と切削ユニット30との位置合わせ等が行われる。
【0048】
さらに、基台4の上方には、被加工物11を搬送する第1搬送ユニット54が設けられている。第1搬送ユニット54には、第1搬送ユニット54をX軸方向及びY軸方向に沿って移動させる移動機構(不図示)が接続されている。また、第1搬送ユニット54はエアシリンダを備えており、エアシリンダはZ軸方向に沿って昇降するロッドを内蔵している。
【0049】
エアシリンダのロッドの下端部には、フレームユニット17を保持する保持ユニット54aが固定されている。例えば保持ユニット54aは、フレーム15の上面側を吸引して保持する複数の吸引パッドを備える。また、保持ユニット54aのエレベータ6側の端部には、フレームユニット17の端部(フレーム15の端部)を把持する把持機構54bが設けられている。
【0050】
保持ユニット54aの上方には、被加工物11を搬送する第2搬送ユニット56が設けられている。第2搬送ユニット56には、第2搬送ユニット56をX軸方向及びY軸方向に沿って移動させる移動機構(不図示)が接続されている。また、第2搬送ユニット56はエアシリンダを備えており、エアシリンダはZ軸方向に沿って昇降するロッドを内蔵している。エアシリンダのロッドの下端部には、フレームユニット17を保持する保持ユニット56aが固定されている。保持ユニット56aの構成は、第1搬送ユニット54の保持ユニット54aと同様である。
【0051】
また、チャックテーブル22の側方には、切削ユニット30に装着された切削ブレード36(
図2参照)の交換を行うブレード交換ユニット58が設けられている。ブレード交換ユニット58は、ブレードマウント42(
図2参照)からの切削ブレード36の取り外しと、ブレードマウント42への切削ブレード36の装着とを行う。なお、ブレード交換ユニット58の詳細については後述する。
【0052】
基台4のブレード交換ユニット58側の縁部には、板状のカバー60が設けられている。カバー60の一端部は、基台4の縁に沿って配置されたヒンジ62を介して基台4に接続されており、カバー60はヒンジ62を中心に回転可能となっている。
【0053】
切削ユニット30による被加工物11の加工が行われる際には、カバー60は
図1に実線で示すように、Z軸方向に沿って立った状態(開状態)となる。一方、ブレード交換ユニット58による切削ブレード36の交換が行われる際には、カバー60は
図1に二点鎖線で示すように、X軸方向及びY軸方向に沿って横たわった状態(閉状態)となる。
【0054】
基台4の開口4bの前方には、切削装置2で使用される各種の用具を保管するストックユニット64が設けられている。ストックユニット64は、切削ブレード36等の用具が載置される回転式の載置台66を備える。
【0055】
図3は、ストックユニット64を示す斜視図である。例えば載置台66は、円盤状に形成された板状の部材である。載置台66の上面は、水平方向(XY平面方向)と概ね平行な平坦面であり、各種の用具が載置される載置面66aを構成している。
【0056】
例えば、載置台66の載置面66a上には交換用の切削ブレード36(未使用の切削ブレード36)が載置される。具体的には、載置台66の載置面66a上には、切削ブレード36を保管する複数のブレード保管部68が固定されている。例えばブレード保管部68は、切削ブレード36を収容可能なプラスチック製のケース(ブレードケース)によって構成され、載置台66の載置面66a上に固定されている。複数のブレード保管部68は、載置台66の周方向に沿って概ね等間隔に配置される。
【0057】
図3には一例として、円形の底面と、底面の外周部から底面と垂直な方向に突出する環状の側壁とを備えるブレード保管部68を図示している。ブレード保管部68の中央部には、底面から突出する柱状の凸部68aが設けられている。ブレード保管部68で切削ブレード36を保管する際には、切削ブレード36の貫通孔36aに凸部68aが挿入されるように、切削ブレード36がブレード保管部68内に配置される。
【0058】
載置台66の中央部の下面側には、モータ等の回転駆動源(不図示)から伝達される動力によって回転する回転部(シャフト)70が連結されている。回転駆動源で回転部70を回転させると、載置台66がZ軸と概ね平行な回転軸の周りを回転する。
【0059】
載置台66の下側には、切削ブレード36に付された識別マークを読み取る読み取りユニット72が設けられている。例えば切削ブレード36には、切削ブレード36に関する情報を含む識別マークが付されている。そして、切削ブレード36は、識別マークが付された面が載置面66aと対向するようにブレード保管部68に収容される。
【0060】
識別マークの例としては、バーコードや2次元コードが挙げられる。なお、識別マークは、切削ブレード36に直接印字されていてもよいし、識別マークが印字されたシールを切削ブレード36に貼り付けてもよい。例えば、切削ブレード36に付される識別マークには、切削ブレード36の種類(ハブタイプ又はワッシャータイプ)、外径、内径、厚さ、砥粒の材質及び粒径、結合材の材質、シリアル番号等の情報が含まれる。
【0061】
読み取りユニット72は、例えば可視光カメラ、赤外線カメラ等によって構成され、載置台66及びブレード保管部68を介して、切削ブレード36に付された識別マークを読み取る。そのため、載置台66及びブレード保管部68の材質は、読み取りユニット72の種類に応じて選択される。
【0062】
例えば、読み取りユニット72が可視光カメラである場合、載置台66及びブレード保管部68の全体又は一部が、可視光が透過する部材によって構成される。具体的には、載置台66としては、プラスチック、ガラス(例えば、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス)等の透明体でなる基板を用いることができる。また、ブレード保管部68としては、プラスチック等の透明体でなるケースを用いることができる。
【0063】
ただし、載置台66及びブレード保管部68の材質は、読み取りユニット72の種類に応じて適宜変更できる。例えば、読み取りユニット72が赤外線カメラである場合には、載置台66及びブレード保管部68は赤外線が透過する部材によって構成される。
【0064】
読み取りユニット72は、一のブレード保管部68の直下に配置される。そして、読み取りユニット72の直上に配置されたブレード保管部68に保管されている切削ブレード36に付された識別マークが、読み取りユニット72によって読み取られる。また、載置台66を回転させることにより、読み取りユニット72の直上に配置されるブレード保管部68を変更することができる。これにより、載置台66に載置されている任意の切削ブレード36に付された識別マークの読み取りが可能となる。
【0065】
なお、読み取りユニット72は載置台66の上側に設けられていてもよい。この場合、切削ブレード36は、識別マークが付された面が上方に露出するようにブレード保管部68に収容される。
【0066】
また、
図1に示すように、切削装置2は情報を表示する表示部(表示ユニット、表示装置)74を備える。表示部74は、各種のディスプレイによって構成され、切削装置2に関する各種の情報(加工条件、加工状況、被加工物11の画像等)を表示する。
【0067】
表示部74としては、例えばタッチパネルが用いられる。この場合、表示部74には切削装置2を操作するための操作画面が表示され、切削装置2のオペレーターは表示部74のタッチ操作によって切削装置2に情報を入力できる。すなわち、表示部74は、切削装置2に各種の情報を入力するための入力部(入力ユニット、入力装置)としても機能し、ユーザーインターフェースとして用いられる。ただし、入力部は、表示部74とは別途独立して設けられたマウス、キーボード等であってもよい。
【0068】
また、切削装置2は表示灯(警告灯)76を備える。例えば表示灯76は、切削装置2で異常が発生した際に所定の色又はパターンで点灯する。また、切削装置2には、音又は音声を発するスピーカー(不図示)が搭載されていてもよい。
【0069】
表示部74に表示された情報、表示灯76の点灯色又は点灯パターンに対応する情報、スピーカーが発する情報は、オペレーターに報知される。すなわち、表示部74、表示灯76及びスピーカーは、オペレーターに情報を報知する報知部(報知ユニット、報知装置)に相当する。
【0070】
さらに、切削装置2は、切削装置2を制御する制御部(制御ユニット、制御装置)78を備える。制御部78は、切削装置2を構成する各構成要素(エレベータ6、洗浄ユニット12、ガイドレール16、チャックテーブル22、クランプ24、サブテーブル26、切削ユニット30、撮像ユニット52、第1搬送ユニット54、第2搬送ユニット56、ブレード交換ユニット58、ストックユニット64、表示部74、表示灯76等)に接続されている。制御部78は、切削装置2の各構成要素の動作を制御するための制御信号を生成し、切削装置2の稼働を制御する。
【0071】
例えば制御部78は、コンピュータによって構成される。具体的には、制御部78は、切削装置2の稼働に必要な演算を行うCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、切削装置2の稼働に用いられる各種の情報(データ、プログラム等)を記憶するROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリとを含んで構成される。
【0072】
上記の切削装置2によって、被加工物11の切削加工が行われる。被加工物11を加工する際は、まず、加工の対象となる被加工物11を含むフレームユニット17が、カセット10に収容される。そして、カセット10がエレベータ6の昇降台8上に載置される。
【0073】
カセット10に収容されたフレームユニット17は、第1搬送ユニット54によってカセット10から搬出される。具体的には、第1搬送ユニット54は把持機構54bでフレーム15の端部を把持した状態で、カセット10から離れるようにX軸方向に沿って移動する。これにより、フレームユニット17がカセット10から引き出され、一対のガイドレール16上に配置される。そして、フレームユニット17が一対のガイドレール16によって挟み込まれ、フレームユニット17の位置合わせが行われる。
【0074】
次に、第1搬送ユニット54は保持ユニット54aでフレーム15の上面側を保持し、フレームユニット17を搬送領域に配置されたチャックテーブル22上に搬送する。そして、チャックテーブル22は、被加工物11の裏面側(テープ13側)を吸引保持した状態で搬送領域から加工領域に移動する。これにより、被加工物11が加工室28の内側に配置される。
【0075】
そして、撮像ユニット52で被加工物11を撮像することによって取得された画像に基づいて被加工物11と切削ユニット30との位置合わせが行われた後、被加工物11が切削ユニット30によって切削される。例えば、被加工物11は、切削ブレード36(
図2参照)によって分割予定ラインに沿って切削され、複数のデバイスチップに分割される。
【0076】
切削加工が完了すると、チャックテーブル22は搬送領域へ移動する。そして、第2搬送ユニット56は保持ユニット56aでフレーム15の上面側を保持し、フレームユニット17をチャックテーブル22から洗浄ユニット12へ搬送する。そして、洗浄ユニット12によって被加工物11の洗浄が行われる。
【0077】
被加工物11の洗浄が完了すると、第1搬送ユニット54は保持ユニット54aでフレーム15を保持し、フレームユニット17を一対のガイドレール16上へ搬送する。そして、フレームユニット17が一対のガイドレール16によって挟み込まれ、フレームユニット17の位置合わせが行われる。その後、第1搬送ユニット54は把持機構54bでフレーム15を把持した状態でカセット10側に向かって移動し、フレームユニット17をカセット10に収容する。
【0078】
なお、切削ブレード36(
図2参照)によって被加工物11を加工する際には、切削ブレード36の形状の修正や切削ブレード36の切れ味の確保等を目的として、切削ブレード36の先端部を意図的に摩耗させるドレッシングを実施してもよい。このドレッシングは、切削ブレード36をドレッシングボードに切り込ませることによって行われる。例えばドレッシングボードは、グリーンカーボランダム(GC)、ホワイトアランダム(WA)等でなる砥粒を、レジンボンド、ビトリファイドボンド等の結合材で固定することによって形成される。
【0079】
ドレッシングを実施すると、切削ブレード36の結合材がドレッシングボードと接触して摩耗し、切削ブレード36の形状がスピンドル34と同心状に整えられるとともに(真円出し)、砥粒が結合材から適度に露出する(目立て)。ドレッシングが施された切削ブレード36を用いることにより、切削加工の質が向上する。
【0080】
また、切削ブレード36によって被加工物11を加工する際には、切削ブレード36を検査用ボードに切り込ませ、切削ブレード36の形状の検査や位置の修正が行われることがある。例えば、切削ブレード36を検査用ボードに切り込ませ、検査用ボードに形成された溝(切削溝)を観察することにより、切削ブレード36の先端部が所望の形状となっているか否かが検査される。また、検査用ボードに形成された切削溝の長さに基づいて、切削ブレード36の下端の位置(切り込み深さ)が算出され、切削ブレード36の高さ位置の調整が行われる。
【0081】
検査用ボードとしては、例えばシリコンでなる板状の部材(シリコンボード)が用いられる。ただし、検査用ボードの材質は、切削ブレード36によって検査用ボードを切削可能であれば制限はない。検査用ボードの材質の例は、被加工物11と同様である。
【0082】
ドレッシングボード及び検査用ボードは、一対のサブテーブル26によって保持され、切削ブレード36によって切削される。なお、一方のサブテーブル26には一方の切削ユニット30に装着された切削ブレード36によって切削されるドレッシングボード又は検査用ボードが保持され、他方のサブテーブル26には他方の切削ユニット30に装着された切削ブレード36によって切削されるドレッシングボード又は検査用ボードが保持される。すなわち、一対のサブテーブル26は、一対の切削ユニット30に対応して設けられている。
【0083】
制御部78のメモリには、切削装置2の一連の動作を記述するプログラムが記憶されている。そして、オペレーターが切削装置2に被加工物11、ドレッシングボード、又は検査用ボードの切削を指示すると、制御部78はプログラムを読み出して実行し、切削装置2の各構成要素の動作を制御するための制御信号を順次生成する。
【0084】
切削ユニット30に装着された切削ブレード36は、被加工物11を切削することによって徐々に摩耗するため、定期的に交換される。切削装置2においては、ブレード交換ユニット58によって切削ブレード36の交換が自動で実施される。
【0085】
図4は、ブレード交換ユニット58を示す斜視図である。ブレード交換ユニット58は、移動部80と、切削ブレード36の交換を行う交換装置(交換機構)100とを備える。移動部80は、交換装置100を移動させて任意の位置に位置付ける移動機構(移動ユニット)であり、交換装置100をZ軸方向に沿って移動(昇降)させる昇降機構82と、交換装置100を水平方向(XY平面方向)に沿って移動させる多関節アーム86とを備える。
【0086】
昇降機構82は、Z軸方向に沿って配置された平板状の支持部材84を備え、多関節アーム86を支持部材84に沿ってZ軸方向に移動させる。例えば昇降機構82は、支持部材84の下部に設けられ出力軸(シャフト)に駆動プーリーが固定されたモータ(不図示)と、支持部材84の上部に設けられた従動プーリー(不図示)とを備える。駆動プーリーと従動プーリーとには1本の歯付無端ベルト(不図示)が架けられ、歯付無端ベルトには金属等でなる第1支持具88Aが固定される。
【0087】
モータの出力軸を第1の方向に回転させると、第1支持具88Aが上昇し、第1の方向とは逆の第2の方向に回転させると第1支持具88Aが下降する。これにより、第1支持具88AがZ軸方向に沿って昇降する。
【0088】
ただし、昇降機構82の構成は、第1支持具88Aの昇降が可能であれば制限はない。例えば昇降機構82は、ボールねじ式の昇降機構であってもよい。ボールねじ式の昇降機構は、Z軸方向に沿って配置された一対のガイドレール(不図示)を有する。また、一対のガイドレールには、平板状の移動プレート(不図示)がガイドレールに沿ってスライド可能な状態で取り付けられる。
【0089】
移動プレートの表面(第1面)側には、第1支持具88Aが固定される。また、移動プレートの裏面(第2面)側には、ナット部(不図示)が設けられている。このナット部は、一対のガイドレールと概ね平行に配置されたボールねじに螺合される。ボールねじの一端部にはパルスモータ(不図示)が連結されており、このパルスモータを回転させると第1支持具88AがZ軸方向に沿って昇降する。
【0090】
第1支持具88Aには、モータ等の回転駆動源を有する第1回転機構90Aが固定されている。この回転駆動源は、回転軸がZ軸方向に概ね平行に配置されるように設けられている。第1回転機構90Aには、水平方向(XY平面方向)に沿って配置された第1アーム92Aの一端部が取り付けられている。
【0091】
第1アーム92Aの他端部には、第2回転機構90Bが取り付けられている。第2回転機構90Bは、回転軸がZ軸方向に概ね平行に配置されたモータ等の回転駆動源を有する。第2回転機構90Bには、水平方向(XY平面方向)に沿って配置された第2アーム92Bの一端部が取り付けられている。
【0092】
第2アーム92Bの他端部には、第3回転機構90Cが取り付けられている。第3回転機構90Cは、回転軸がZ軸方向に概ね平行に配置されたモータ等の回転駆動源を有する。第3回転機構90Cには、金属製の第2支持具88Bが取り付けられている。そして、第2支持具88Bには、切削ブレード36の交換を行う交換装置100が装着されている。
【0093】
切削装置2で被加工物11の切削が行われる際は、交換装置100は支持部材84に隣接する位置(退避位置)に配置される(
図1参照)。そして、切削ブレード36の交換が実施される際には、交換装置100は、昇降機構82によってZ軸方向に沿って昇降するとともに、多関節アーム86によって水平方向(XY平面方向)に沿って移動し、任意の位置に位置付けられる。
【0094】
次に、交換装置100の構成例について説明する。
図5は、交換装置100を示す斜視図である。また、
図6(A)は交換装置100を示す側面図であり、
図6(B)は交換装置100を示す正面図である。なお、
図6(B)では、後述の連結部材114a,114bの図示を省略している。以下、主に
図5を参照して交換装置100の構成を説明する。
【0095】
交換装置100は、切削ブレード36及び固定ナット48(
図2参照)の着脱を行う着脱ユニット102を備える。また、着脱ユニット102には、着脱ユニット102を回転させる回転機構104が連結されている。
【0096】
回転機構104は、着脱ユニット102に連結される回転部(シャフト)106と、回転部106を、回転部106の内部を通る回転軸106aの周りで回転(自転)させるモータ(回転駆動源、不図示)とを備える。モータは、回転部106を回転軸106aの周りで双方向(第1の方向と、第1の方向とは逆方向の第2の方向)に回転させる。回転部106が回転すると、回転部106に連結された着脱ユニット102が回転部106に連動して回転軸106aの周りで回転する。
【0097】
着脱ユニット102は、回転機構104の回転部106に連結された枠体110を備える。枠体110は、金属等でなり互いに概ね平行に配置された一対の板状の支持部材112a,112bを備える。
【0098】
支持部材112a,112bの間には、直方体状の連結部材114a,114bが設けられている。連結部材114aは、支持部材112a,112bの一端部(回転部106側)に固定され、連結部材114bは、支持部材112a,112bの他端部(回転部106とは反対側)に固定されている。すなわち、支持部材112a,112bは、連結部材114a,114bを介して互いに連結されている。
【0099】
枠体110には、切削ブレード36を切削ユニット30に装着するための固定ナット48(
図2参照)を保持して回転させる固定ナット着脱ユニット120が装着されている。固定ナット着脱ユニット120は、固定ナット48を保持する固定ナット保持部122と、固定ナット保持部122に連結された柱状の回転部(シャフト)124(
図6(B)参照)とを備える。
【0100】
回転部124は、筒状のハウジング126に収容されている。回転部124の一端側(先端部)はハウジング126から露出しており、回転部124の一端側に固定ナット保持部122が接続される。また、回転部124の他端側(基端部)には、固定ナット保持部122及び回転部124を回転させるモータ(回転駆動源)128が連結されている。
【0101】
モータ128は、回転部124を、回転部124の内部を通る回転軸124aの周りで双方向(第1の方向と、第1の方向とは逆方向の第2の方向)に回転(自転)させる。回転部124が回転すると、回転部124に連結された固定ナット保持部122が回転部124に連動して回転軸124aの周りを回転する。
【0102】
なお、支持部材112aの中央部には、支持部材112aを厚さ方向に貫通する開口(不図示)が設けられており、支持部材112bの中央部には、支持部材112bを厚さ方向に貫通する開口(不図示)が設けられている。そして、ハウジング126から露出する回転部124の一端側は、支持部材112aの開口に挿入され、支持部材112aから枠体110の外側に向かって突出する。また、回転部124の他端側は、ハウジング126の端部とともに支持部材112bの開口に挿入され、支持部材112bから枠体110の外側に向かって突出する。
【0103】
回転部124の一端側は、枠体110の外側で固定ナット保持部122に連結される。また、回転部124の他端側は、枠体110の外側でモータ128に連結される。これにより、枠体110が固定ナット保持部122とモータ128とによって挟まれ、固定ナット着脱ユニット120が枠体110に装着される。そして、固定ナット着脱ユニット120は、固定ナット保持部122の回転軸(回転軸124a)が回転部106の回転軸106aと垂直な方向に沿うように配置される。
【0104】
固定ナット保持部122は、回転部124の一端側に固定された円柱状の回転部材130を備える。回転部材130は、ばね等によって支持部材112aとは反対側に向かって付勢されており、外力が付与されると支持部材112a側に向かって移動する。
【0105】
また、回転部材130は、支持部材112aとは反対側に位置する表面130aを備える。そして、回転部材130には、表面130aから突出する複数(
図5では4個)の保持ピン132が、表面130aの周方向に沿って概ね等間隔に設けられている。
【0106】
保持ピン132は、固定ナット48の貫通孔48b(
図2参照)に対応して形成されており、貫通孔48bに挿入可能となっている。なお、保持ピン132の数、大きさ、配置等は、貫通孔48bに応じて適宜設定される。
【0107】
回転部材130の周囲には、固定ナット48を把持する複数(
図5では4個)の把持部材134が、回転部材130の周方向に沿って概ね等間隔に配置されている。把持部材134はそれぞれ柱状に形成されており、把持部材134の基端部(一端側)は回転部材130の外周面に固定されている。
【0108】
把持部材134の先端部(他端側)は回転部材130の表面130aから突出しており、この先端部には、回転部材130の中心側に向かって屈曲した爪部134aが形成されている。また、把持部材134は、ばね等によって回転部材130の半径方向外側に向かって付勢されており、外力が付与されると爪部134aが回転部材130の半径方向内側に向かって移動する。
【0109】
さらに、回転部材130の周囲には、中空の円柱状に形成されたカバー136が設けられている。カバー136は、回転部材130とは独立して回転軸124aの周りで回転可能に構成されており、回転部材130と複数の把持部材134の基端側とを囲むように配置されている。回転部材130の表面130aがカバー136の内側(支持部材112a側)に向かって押圧されると、回転部材130を付勢するばね等が縮み、回転部材130が複数の把持部材134とともにカバー136の内側に押し込まれる。
【0110】
回転部材130が押圧されてカバー136の内側に押し込まれると、複数の把持部材134の先端側(爪部134a側)がカバー136の内壁と接触して押圧され、把持部材134を付勢するばね等が縮む。これにより、複数の把持部材134の先端側が回転部材130の半径方向内側に向かって移動する。そして、複数の把持部材134は、その長さ方向がカバー136の内壁に沿うように配置された状態となる(閉状態)。このとき、把持部材134の爪部134aは、例えば回転部材130の外周縁よりも回転部材130の半径方向内側に配置される。
【0111】
一方、回転部材130に対する押圧が解除されると、回転部材130がカバー136の外側に向かって移動し、把持部材134の先端側がカバー136の内壁によって押圧された状態が解除される。これにより、複数の把持部材134の先端側が回転部材130の半径方向外側に向かって移動する。そして、複数の把持部材134の先端側が、閉状態の際よりも回転部材130の半径方向外側に配置された状態となる(開状態)。このとき、把持部材134の爪部134aは、例えば回転部材130の外周縁よりも回転部材130の半径方向外側に配置される。
【0112】
さらに、回転部材130の外周面には、回転部材130の外周面から突出する複数(例えば4個)のピン138が設けられている。また、カバー136には、カバー136を外周面から内周面(内壁)まで貫通する複数(例えば4個)の開口136aが設けられている。そして、ピン138の先端部はそれぞれ、開口136aに挿入される。
【0113】
開口136aの支持部材112aとは反対側に位置する端部は、段差状に形成されており、第1ピン受け部136bと第2ピン受け部136cとを含む。第2ピン受け部136cは、第1ピン受け部136bよりも回転部材130の表面130aから離れた位置(支持部材112a側)に配置されている。
【0114】
固定ナット保持部122は、初期状態ではピン138が第1ピン受け部136bに接触した状態となっている。そして、回転部材130が押圧されてカバー136の内側に押し込まれると、ピン138が第1ピン受け部136bから離れる。この状態で回転部124を第1の方向に回転させると、ピン138が第1ピン受け部136b側から第2ピン受け部136c側に移動する。
【0115】
その後、回転部材130の押圧が解除されると、ピン138が第2ピン受け部136cと接触し、第2ピン受け部136cによって支持された状態となる。これにより、回転部材130がカバー136の内側に押し込まれた状態が維持され、複数の把持部材134が閉状態に維持される。
【0116】
一方、カバー136の内側に押し込まれた状態の回転部材130が、さらに押圧されてカバー136の内側に押し込まれると、ピン138が第2ピン受け部136cから離れる。この状態で回転部124を第1の方向とは反対の第2の方向に回転させると、ピン138が第2ピン受け部136c側から第1ピン受け部136b側に移動する。
【0117】
その後、回転部材130の押圧が解除されると、ピン138が第1ピン受け部136bと接触し、第1ピン受け部136bによって支持された状態となる。これにより、回転部材130はカバー136の内側から押し出され、複数の把持部材134が開状態となる。
【0118】
上記の固定ナット着脱ユニット120は、固定ナット48を保持して回転する。具体的には、まず、保持ピン132が固定ナット48の貫通孔48b(
図2参照)に挿入されるように、回転部材130の表面130aが固定ナット48と接触する。この状態で回転部材130がカバー136の内側に押し込まれると、複数の把持部材134が閉状態となり、爪部134aが固定ナット48の外周面と接触して固定ナット48を把持する。
【0119】
複数の把持部材134によって固定ナット48が保持された状態で、モータ128で回転部124(
図6(B)参照)を回転させると、回転部124に連結された回転部材130が回転し、把持部材134によって保持された固定ナット48も回転する。
【0120】
固定ナット着脱ユニット120で固定ナット48を保持して回転させることにより、切削ユニット30に装着された切削ブレード36の交換を行う際の、固定ナット48の取り外し及び締め付けを自動で行うことができる。
【0121】
例えば、切削ユニット30のブレードマウント42に装着された固定ナット48(
図2参照)を取り外す際は、まず、昇降機構82及び多関節アーム86(
図4参照)によって交換装置100を移動させ、加工室28の出入口28a(
図1参照)を介して交換装置100を加工室28の内部に配置する。そして、回転機構104によって着脱ユニット102を回転させ、固定ナット保持部122をブレードマウント42と対向させる。
【0122】
その後、固定ナット保持部122をブレードマウント42側に移動させる。これにより、ブレードマウント42に装着されている固定ナット48に、回転部材130の表面130a側が押し付けられる。このとき、回転部材130が備える複数の保持ピン132は、固定ナット48の貫通孔48bに挿入される。
【0123】
そして、回転部材130が固定ナット48によって押圧されて回転部材130がカバー136の内側に押し込まれ、複数の把持部材134が閉状態となる。これにより、固定ナット48が複数の把持部材134の爪部134aによって把持される。
【0124】
次に、モータ128によって回転部124(
図6(B)参照)を回転させ、回転部材130を回転軸124aの周りで第1の方向(固定ナット48を緩める方向)に回転させる。これにより、複数の把持部材134によって把持された固定ナット48が回転して緩み、ブレードマウント42のボス部44から取り外される。なお、回転部材130がカバー136の内側に押し込まれた状態で第1の方向に回転すると、ピン138が第1ピン受け部136b側から第2ピン受け部136c側に移動する。
【0125】
その後、固定ナット保持部122をブレードマウント42から離れる方向に移動させる。このとき、ピン138が第2ピン受け部136cによって支持されることにより、回転部材130はカバー136の内側に押し込まれた状態が維持される。これにより、複数の把持部材134が固定ナット48を把持した状態(閉状態)が維持される。
【0126】
一方、切削ユニット30のブレードマウント42に固定ナット48を取り付ける際は、まず、固定ナット48を保持した状態の固定ナット保持部122をブレードマウント42と対向させ、固定ナット保持部122をブレードマウント42側に移動させる。これにより、固定ナット保持部122よって保持されている固定ナット48がブレードマウント42のボス部44の先端部に位置付けられるとともに、回転部材130がカバー136の内側に押し込まれる。
【0127】
次に、モータ128によって回転部124(
図6(B)参照)を回転させ、回転部材130を回転軸124aの周りで第1の方向とは逆方向の第2の方向(固定ナット48を締める方向)に回転させる。これにより、固定ナット48が回転してブレードマウント42のボス部44に形成された雄ねじ部44aに締め付けられ、ブレードマウント42に装着される。なお、回転部材130がカバー136の内側に押し込まれた状態で第2の方向に回転すると、ピン138が第2ピン受け部136c側から第1ピン受け部136b側に移動する。
【0128】
その後、固定ナット保持部122をブレードマウント42から離れる方向に移動させる。このとき、ピン138が第1ピン受け部136bによって支持される。そして、回転部材130がカバー136の内側から押し出され、複数の把持部材134による固定ナット48の把持が解除される。
【0129】
なお、複数の把持部材134を閉状態又は開状態に維持する方法は、上記に限定されない。例えば、回転部材130にピン138を設ける代わりに、カバー136をカバー136の高さ方向に沿って移動させるアクチュエーターを着脱ユニット102に設けてもよい。例えばアクチュエーターは、エアシリンダ等によって構成され、支持部材112aに固定される。このアクチュエーターによってカバー136を移動させることにより、複数の把持部材134の閉状態と開状態とを自由に切り替えることができる。
【0130】
支持部材112a,112bの間には、金属等でなる環状部材140が設けられている。環状部材140は、ハウジング126(回転部124)を囲み、且つ、ハウジング126と接触しないように、支持部材112a,112bと概ね平行な状態で配置されている。
【0131】
環状部材140は、複数の弾性体(弾性部材)142aを介して支持部材112aに連結されるとともに、複数の弾性体(弾性部材)142bを介して支持部材112bに連結されている。すなわち、環状部材140は弾性体142a,142bによって吊られ、支持部材112a,112bと接触していない状態で保持される(
図6(B)参照)。
【0132】
例えば弾性体142a,142bは、ばね、ゴム等の伸縮可能な部材でなる。環状部材140に外力が付与されると、弾性体142a,142bの伸縮によって環状部材140は任意の方向に移動又は回転する。
【0133】
環状部材140の外周面には、切削ブレード36を保持するブレード保持部(第1ブレード保持部)150A及びブレード保持部(第2ブレード保持部)150Bが連結されている。ブレード保持部150A,150Bは、樹脂、金属等でなる円盤状の部材であり、環状部材140とは反対側を向く円形状の表面150a側で切削ブレード36を保持する。ブレード保持部150A,150Bは、ブレード保持部150Aの表面150aとブレード保持部150Bの表面150aとが枠体110の外側を向き、枠体110を挟んで互いに対向するように配置されている。
【0134】
ブレード保持部150A,150Bはそれぞれ、回転機構104の回転部106の周方向(回転方向)において、固定ナット保持部122と90°離れるように配置される。そして、固定ナット保持部122と、ブレード保持部150Aの表面150aと、ブレード保持部150Bの表面150aとは、回転部106の回転軸106aの周りに互いに離隔した状態で、回転軸106aとは反対側を向くように配置されている。
【0135】
次に、ブレード保持部150A,150Bの構成例について説明する。
図7(A)はブレード保持部150Aを示す正面図であり、
図7(B)はブレード保持部150Aを示す断面図である。なお、以下ではブレード保持部150Aの構成及び機能について説明するが、ブレード保持部150Bの構成及び機能もブレード保持部150Aと同じである。
【0136】
ブレード保持部150Aは、樹脂、金属等でなる円盤状の枠体152を備える。枠体152は、互いに概ね平行な表面(第1面)152aと裏面(第2面)152bとを備える。枠体152の表面152a側が、ブレード保持部150Aの表面150a側に相当する。枠体152の表面152a側の中央部には、円形の第1溝(第1凹部)152cが設けられている。なお、第1溝152cの直径は、切削ブレード36の基台38の表面38aの直径よりも大きい(
図7(B)参照)。
【0137】
さらに、第1溝152cの底部の中央部には、円形の第2溝(第2凹部)152dが設けられている。そして、第2溝152dの底部には、環状の第3溝(第3凹部)152eが、第2溝152dの外周に沿って所定の幅で形成されている。
【0138】
第3溝152eには、環状の弾性部材154が嵌め込まれている。弾性部材154は、ゴム、樹脂等の弾性変形が可能な弾性材料でなる。弾性部材154は、第3溝152eの内側に埋め込まれた基部154aと、基部154aから突出する一対のリップ部154bとを含む。一方のリップ部154bは、枠体152の半径方向外側に位置する第3溝152eの側壁に沿って配置されている。また、他方のリップ部154bは、枠体152の半径方向内側に位置する第3溝152eの側壁に沿って配置されている。
【0139】
一対のリップ部154bは、基部154aから離れるほど互いに離隔するように、枠体152の表面152aに対して傾斜している。すなわち、一対のリップ部154bはそれぞれ、第3溝152eの幅方向において、第3溝152eの内側から外側に向かって配置されている。また、一対のリップ部154bの先端は、枠体152の厚さ方向において、枠体152の表面152aから突出している。
【0140】
基部154aのうち、一対のリップ部154bの間の空間と重なる領域には、基部154aを貫通する複数の貫通孔154cが設けられている。例えば
図7(A)に示すように、基部154aには6つの貫通孔154cが、弾性部材154の周方向に沿って概ね等間隔に形成される。貫通孔154cの一端側は枠体152の表面152a側で開口しており、貫通孔154cの他端側は第3溝152eの底部に設けられた環状の第4溝(第4凹部)152fに連結されている。
【0141】
第4溝152fには、チューブ、パイプ等によって構成される流路156の一端側が接続されている。また、流路156の他端側は、バルブ158を介して吸引源160に接続されている。例えば、バルブ158は開閉が電気的に制御される電磁弁によって構成され、吸引源160はエジェクタによって構成される。バルブ158を開くと、吸引源160の負圧が、枠体152の第4溝152f及び弾性部材154の貫通孔154cを介して、一対のリップ部154bの間の空間に作用する。
【0142】
また、流路156のうち第4溝152fとバルブ158との間の領域には、流路156の圧力を測定する圧力測定器(圧力センサ)162が接続されている。例えば圧力測定器162は、ゲージ圧(絶対圧と大気圧との差)に基づいて流路156の内部の負圧を測定する。圧力測定器162によって測定された流路156の圧力値は、制御部78(
図1参照)に出力され、記憶される。
【0143】
切削ブレードの交換を実施する際には、ブレードマウント42(
図2参照)に装着されている切削ブレード(使用済みの切削ブレード)36、又は、ストックユニット64(
図1参照)に保管されている交換用の切削ブレード(未使用の切削ブレード)36が、ブレード保持部150Aによって保持される。
【0144】
ブレード保持部150Aで切削ブレード36を保持する際は、まず、バルブ158を開き、吸引源160の負圧を一対のリップ部154bの間の空間に作用させる。そして、ブレード保持部150Aの表面150a側を切削ブレード36に対向させた状態で、ブレード保持部150Aを切削ブレード36の基台38に近づける。基台38の表面38aが一対のリップ部154bの先端に接触すると、一対のリップ部154bの間の空間が密閉され、吸引源160の負圧によって減圧される。これにより、切削ブレード36がブレード保持部150Aによって吸引保持される。
【0145】
なお、ブレード保持部150Aによって所望の対象物が適切に保持されているか否かは、圧力測定器162によって流路156の圧力を測定することによって判別することができる。例えば、ブレード保持部150Aで切削ブレード36を保持すると、一対のリップ部154bの間の空間が密閉される。そのため、ブレード保持部150Aが切削ブレード36を保持している状態での流路156の圧力P1と、ブレード保持部150Aが切削ブレード36と接触していない状態での流路156の圧力P2(>P1)とは異なる。そのため、圧力測定器162によって測定された圧力と、予め設定された閾値Pth(Pa<Pth<P2)とを比較することにより、切削ブレード36がブレード保持部150Aによって保持されているか否かを判別できる。
【0146】
上記の判別は、例えば、制御部78(
図1参照)に予め閾値P
thを記憶しておき、圧力測定器162によって測定された圧力と閾値P
thとを比較する処理を制御部78に実行させることによって実施できる。この場合、制御部78には、測定された圧力と閾値P
thとを比較する処理が記述されたプログラムが記憶される。そして、制御部78はプログラムを読み出して実行することにより、測定された圧力と閾値P
thとの比較を行う。
【0147】
上記のように、ブレード保持部150Aによって切削ブレード36が保持される。なお、ブレード保持部150Bによって切削ブレード36が保持される場合の手順も、ブレード保持部150Aの場合と同様である。
【0148】
また、枠体152の表面152a側のうち、第4溝152fの内側の領域には、円柱状の第5溝(第5凹部)152gが設けられている。そして、第5溝152gの直径は、ブレードマウント42のボス部44(
図2参照)の直径よりも大きく設定される。これにより、ブレード保持部150A,150Bを切削ユニット30に近づけた際、ボス部44の先端部が第5溝152gに挿入され、ブレード保持部150A,150Bと切削ユニット30との接触が回避される。
【0149】
なお、ブレード保持部150A,150Bには、必ずしも弾性部材154が設けられていなくてもよい。例えば、弾性部材154の代わりに、径の異なる2つのOリングが同心円状に配置されてもよい。この場合、一方のOリングは枠体152の半径方向外側に位置する第3溝152eの側壁に沿って設けられ、他方のOリングは枠体152の半径方向内側に位置する第3溝152eの側壁に沿って設けられる。
【0150】
ここで、
図5及び
図6(B)に示すように、ブレード保持部150A,150Bは、弾性体142a,142bを介して回転機構104の回転部106に連結されている。これにより、ブレード保持部150A,150Bはそれぞれ、表面150a側が傾動可能な状態に維持される。すなわち、ブレード保持部150A,150Bに外力が付与された際、表面150aは任意の方向に自在に傾くことが可能となっている。
【0151】
そのため、ブレード保持部150A,150Bの表面150a側に上記の切削ブレード36が接触した際、ブレード保持部150A,150Bは、表面150aが切削ブレード36の表面38aと平行に配置されるように傾く。これにより、ブレード保持部150A,150Bの表面150a側が切削ブレード36と適切に接触し、切削ブレード36が確実に吸引保持される。
【0152】
上記の交換装置100によって、切削ブレード36の交換が行われる。切削ブレード36の交換は、切削ユニット30に装着されている使用済みの切削ブレード36を取り外し、その後、交換用の切削ブレード36を切削ユニット30に装着することによって行われる。交換用の切削ブレード36は、予めストックユニット64(
図1参照)にストックされている。
【0153】
次に、切削装置2の切削ユニット30に装着された切削ブレード36を交換するブレードの交換方法の具体例について説明する。切削ブレード36を交換する際は、交換装置100の固定ナット保持部122及びブレード保持部150A,150B(
図5等参照)を移動部80(
図4参照)によって移動させ、切削ブレード36及び固定ナット48の着脱を行う。
【0154】
まず、ストックユニット64が備える載置台66(
図3参照)の載置面66a上に、交換用の切削ブレード36を載置する(準備ステップ)。具体的には、載置台66の載置面66a上に固定された複数のブレード保管部68にそれぞれ、交換用の切削ブレード36(未使用の切削ブレード36)を収容する。
【0155】
次に、載置台66の載置面66a上に載置された交換用の切削ブレード36を、交換装置100のブレード保持部150Bによって保持する(交換用ブレード保持ステップ)。
図8(A)は、交換用ブレード保持ステップにおける交換装置100を示す模式図である。
【0156】
交換用ブレード保持ステップでは、まず、交換装置100を昇降機構82及び多関節アーム86(
図4参照)によって移動させ、ストックユニット64の載置台66上に配置する。また、回転機構104(
図5等参照)によって枠体110を回転させ、ブレード保持部150Bを載置台66の載置面66aと対向させる。
【0157】
次に、交換装置100を下降させ、載置台66の載置面66a上に配置された交換用の切削ブレード36にブレード保持部150Bを接触させる。そして、ブレード保持部150Bによって交換用の切削ブレード36を吸引保持する。
【0158】
その後、交換装置100を上昇させ、ブレード保持部150Bを載置台66の載置面66aから離れる方向に移動させる。これにより、交換用の切削ブレード36がブレード保持部150Bによって持ち上げられる。
【0159】
なお、交換用ブレード保持ステップでは、交換用の切削ブレード36に付された識別マークを読み取りユニット72(
図3参照)によって読み取ってもよい。この場合には、識別マークに含まれる情報が制御部78(
図1参照)に出力される。そして、制御部78は、識別マークに含まれる情報に基づいてブレード保持部150Bによって保持される交換用の切削ブレード36を選択する。
【0160】
次に、切削ユニット30のブレードマウント42に装着されている固定ナット48を、ブレードマウント42から取り外す(固定ナット取り外しステップ)。
図8(B)は、固定ナット取り外しステップにおける交換装置100を示す模式図である。
【0161】
固定ナット取り外しステップでは、まず、交換装置100を昇降機構82及び多関節アーム86(
図4参照)によって移動させ、交換装置100を加工室28(
図1参照)内に配置する。また、交換装置100の固定ナット保持部122を、切削ブレード36及び固定ナット48が装着された状態のブレードマウント42と対向させる。
【0162】
そして、ブレードマウント42に装着されている固定ナット48を、固定ナット保持部122によって保持して回転させる。具体的には、複数の把持部材134(
図5等参照)によって固定ナット48を把持した状態で、回転部材130(
図5等参照)をモータ128によって回転させることにより、固定ナット48を第1の方向(固定ナット48が緩む方向)に回転させる。その結果、固定ナット48が緩み、ブレードマウント42から取り外される。
【0163】
次に、固定ナット保持部122とブレードマウント42とを離隔させる(第1退避ステップ)。
図8(C)は、第1退避ステップにおける交換装置100を示す模式図である。
【0164】
第1退避ステップでは、多関節アーム86(
図4参照)によって交換装置100をブレードマウント42とは反対側に向かって移動させる。これにより、固定ナット保持部122が固定ナット48を保持した状態でブレードマウント42から離れる方向に移動する。
【0165】
次に、切削ユニット30のブレードマウント42に装着されている切削ブレード36を、交換装置100のブレード保持部150Aによって保持する(使用済み切削ブレード保持ステップ)。
図8(D)は、使用済み切削ブレード保持ステップにおける交換装置100を示す模式図である。
【0166】
使用済み切削ブレード保持ステップでは、まず、回転機構104の回転部106(
図5等参照)を回転させることにより、ブレード保持部150Aの表面150a側(
図7(A)等参照)をブレードマウント42と対向させる。そして、交換装置100をブレードマウント42側に移動させ、ブレードマウント42に装着されている使用済みの切削ブレード36にブレード保持部150Aを接触させる。そして、ブレード保持部150Aによって使用済みの切削ブレード36を吸引保持する。
【0167】
次に、ブレード保持部150Aとブレードマウント42とを離隔させる(第2退避ステップ)。
図9(A)は、第2退避ステップにおける交換装置100を示す模式図である。
【0168】
第2退避ステップでは、多関節アーム86(
図4参照)によって交換装置100をブレードマウント42とは反対側に向かって移動させる。これにより、ブレード保持部150Aが使用済みの切削ブレード36を保持した状態でブレードマウント42から離れる方向に移動し、使用済みの切削ブレード36がブレードマウント42から取り外される。
【0169】
次に、交換装置100のブレード保持部150Bによって保持されている交換用の切削ブレード36を、ブレードマウント42に装着する(切削ブレード装着ステップ)。
図9(B)は、切削ブレード装着ステップにおける交換装置100を示す模式図である。
【0170】
切削ブレード装着ステップでは、まず、回転機構104の回転部106(
図5等参照)を回転させることにより、交換用の切削ブレード36を保持しているブレード保持部150Bの表面150a(
図7(A)等参照)側をブレードマウント42と対向させる。
【0171】
そして、交換装置100をブレードマウント42側に移動させ、交換用の切削ブレード36の貫通孔36a(
図2参照)にブレードマウント42のボス部44(
図2参照)が挿入されるように、交換用の切削ブレード36を配置する。この状態で、ブレード保持部150Bによる交換用の切削ブレード36の吸引保持を解除すると、交換用の切削ブレード36がブレードマウント42に装着される。
【0172】
次に、ブレード保持部150Bとブレードマウント42とを離隔させる(第3退避ステップ)。
図9(C)は、第3退避ステップにおける交換装置100を示す模式図である。
【0173】
第3退避ステップでは、多関節アーム86(
図4参照)によって交換装置100をブレードマウント42とは反対側に向かって移動させる。これにより、ブレード保持部150Bがブレードマウント42から離れる方向に移動し、ブレードマウント42に装着された交換用の切削ブレード36から離れる。
【0174】
次に、固定ナット保持部122によって保持されている固定ナット48を、ブレードマウント42に装着する(固定ナット装着ステップ)。
図9(D)は、固定ナット装着ステップにおける交換装置100を示す模式図である。
【0175】
固定ナット装着ステップでは、まず、回転機構104の回転部106(
図5等参照)を回転させることにより、固定ナット48を保持している固定ナット保持部122をブレードマウント42と対向させる。また、交換装置100をブレードマウント42側に移動させ、固定ナット48をブレードマウント42のボス部44(
図2参照)の先端部に位置付ける。
【0176】
そして、回転部材130(
図5等参照)をモータ128によって回転させることにより、複数の把持部材134(
図5等参照)によって把持されている固定ナット48を、第2の方向(固定ナット48が締まる方向)に回転させる。その結果、固定ナット48がブレードマウント42のボス部44(
図2参照)に締め付けられ、ブレードマウント42に装着される。これにより、切削ブレード36がブレードマウント42と固定ナット48とによって挟持され、スピンドル34の先端部に固定される。
【0177】
以上の手順により、ブレードマウント42に装着されている切削ブレード36の交換が行われる。そして、ブレード保持部150Aによって保持されている使用済みの切削ブレード36は、ストックユニット64のブレード保管部68に載置される。
【0178】
なお、ブレードマウント42と交換装置100との接近及び離隔は、切削ユニット30(ブレードマウント42)を移動させることによって実施してもよい。例えば、第1退避ステップ、第2退避ステップ、及び第3退避ステップでは、切削ユニット30を交換装置100から離れるようにY軸方向に沿って移動させることにより、交換装置100とブレードマウント42とを互いに離隔させてもよい。
【0179】
次に、固定ナット48がブレードマウント42に装着される際(固定ナット装着ステップ、
図9(D)参照)における、交換装置100の動作の詳細について説明する。
図10は、切削ユニット30のブレードマウント42と交換装置100の固定ナット保持部122とを示す一部断面正面図である。ブレードマウント42には、切削ブレード36が装着されている。また、固定ナット保持部122は固定ナット48を保持しており、固定ナット48は切削ブレード36と接触して切削ブレード36を支持する支持面48cを備えている。
【0180】
固定ナット48をブレードマウント42に装着する際には、まず、固定ナット保持部122によって保持された固定ナット48が、ブレードマウント42のボス部44に対面する初期位置に位置付けられる。例えば固定ナット48は、ボス部44の先端部に接触するように、ボス部44の先端面と同心円状に位置付けられる。初期位置に位置付けられた固定ナット48の支持面48cのY軸方向(ボス部44の長さ方向)における位置を、位置Piとする。
【0181】
次に、モータ128の動力によって固定ナット保持部122及び固定ナット48を回転させる。これにより、固定ナット48はボス部44の雄ねじ部44aに螺合し、回転しながらフランジ部46側に移動する。なお、固定ナット48は、切削ブレード36の固定に適した固定位置に到達するまで回転する。具体的には、固定ナット48は支持面48cが切削ブレード36(基台38の表面38a)に接触するまで回転してボス部44に締め付けられる。
【0182】
図11(A)は、固定ナット48が固定位置に到達した状態のブレードマウント42及び固定ナット保持部122を示す一部断面正面図である。固定位置に位置付けられた固定ナット48の支持面48cのY軸方向(ボス部44の長さ方向)における位置を、位置Pfとする。
【0183】
固定ナット保持部122を回転させ、固定ナット48を固定位置に到達するまでフランジ部46側に進行させると、支持面48cが位置Piから位置Pfに移動し、切削ブレード36がフランジ部46と固定ナット48とによって挟持される。これにより、切削ブレード36がブレードマウント42に固定される。
【0184】
なお、固定ナット48を初期位置に位置付ける際、移動部80(
図4参照)の経年劣化等の様々な要因によって、固定ナット48が意図せずボス部44の先端面に対して僅かに傾いた状態、すなわち、固定ナット48の径方向とボス部44の径方向とがずれた状態で配置されることがある。この場合、固定ナット48を回転させても固定ナット48がボス部44の雄ねじ部44aに適切に螺合せず、固定ナット48の締め付けが阻害されることがある。
【0185】
図11(B)は、固定ナットが固定位置に到達していない状態のブレードマウント42及び固定ナット保持部122を示す一部断面正面図である。固定ナット48がボス部44の先端面に対して傾斜した状態で固定ナット48が回転すると、ボス部44の雄ねじ部44aと固定ナット48の雌ねじ部とが適切に噛み合わず、固定ナット48の回転が妨げられる。その結果、固定ナット48が固定位置に到達する前に固定ナット48の回転が停止してしまう。
【0186】
固定ナット48が固定位置に到達しないと、切削ブレード36がブレードマウント42に確実に固定されていない状態となる。そして、切削ブレード36の固定が不十分な状態のままで被加工物11の切削加工が続行されると、被加工物11の加工不良や切削ブレード36の破損が発生しやすくなる。
【0187】
そこで、本実施形態においては、固定ナット48が切削ブレード36の固定に適した固定位置に到達したか否かの判定が行われる。これにより、切削ブレード36の固定が不十分であることに気づかないまま被加工物11の加工が開始されることを防止できる。
【0188】
固定ナット48が固定位置に到達したか否かは、固定ナット48の回転時間や回転数に基づいて判定できる。例えば、固定ナット48及び固定ナット保持部122を回転させるモータ128(
図10等参照)のトルクが所定の閾値に達するまでの固定ナット48の回転時間又は回転数に基づいて、固定ナット48が固定位置に到達したか否かが判定される。
【0189】
図12(A)は、固定ナット48が固定位置に到達する場合における固定ナット48(固定ナット保持部122)の回転時間とモータ128のトルクとの関係を示すグラフである。固定ナット48が初期位置に配置された状態で(
図10参照)、固定ナット保持部122をモータ128によって回転させると、固定ナット48が所定の回転速度で回転し始める(時刻t
0)。そして、固定ナット48がボス部44の雄ねじ部44aに到達して固定ナット48と雄ねじ部44aとが噛み合うまで(時刻t
1)、モータ128のトルクが徐々に増加する。
【0190】
その後、固定ナット48は雄ねじ部44aと噛み合った状態で回転しながらフランジ部46側に移動し、切削ブレード36に接近する。そして、時刻t
1から所定の時間が経過すると、固定ナット48の支持面48cが切削ブレード36に接触し、切削ブレード36がフランジ部46と固定ナット48とによって挟まれる(
図11(A)参照)。その結果、モータ128のトルクが急増する(時刻t
2)。
【0191】
ここで、時刻t1におけるトルクの値と時刻t2におけるトルクの値との間の値(例えば、時刻t2の直前におけるトルクの値)、又は、時刻t2におけるトルクの値が、トルクの閾値Tthに設定される。また、固定ナット48の回転が開始してからモータ128のトルクが閾値Tthに達するまでの時間が、固定ナット48の回転時間の基準値(基準時間tref)に設定される。そして、固定ナット48が初期位置に正しく配置され、ボス部44の雄ねじ部44aに正常に螺合する場合には、固定ナット48の回転が開始してから基準時間trefが経過すると、モータ128のトルクが閾値Tthに達する。
【0192】
図12(B)は、固定ナット48が固定位置に到達しない場合における固定ナット48(固定ナット保持部122)の回転時間とモータ128のトルクとの関係を示すグラフである。固定ナット48がボス部44の先端面に対して傾いた状態でボス部44の雄ねじ部44aに螺合した場合にも、固定ナット48の回転開始(時刻t
0)から固定ナット48と雄ねじ部44aとが噛み合うまで(時刻t
1)、
図12(A)と同様にモータ128のトルクが徐々に増加する。
【0193】
しかしながら、固定ナット48がボス部44の雄ねじ部44aに不適切に螺合するため、固定ナット48が雄ねじ部44aに到達した後、固定ナット48の回転が妨げられる。その結果、固定ナット48が固定位置に到達して切削ブレード36に接触する前に、固定ナット48の回転が停止する。その結果、固定ナット48の回転が開始してから基準時間trefを経過する前に、モータ128のトルクが急増して閾値Tthに達する(時刻t3)。
【0194】
従って、固定ナット48の回転が開始してからモータ128のトルクが閾値Tthに達するまでの時間(ナット回転時間)を計測し、ナット回転時間と予め設定された基準時間trefとを比較することにより、固定ナット48が切削ブレード36の固定に適した固定位置に到達したか否かを判定できる。
【0195】
なお、ナット回転時間の代わりに、固定ナット48の回転が開始してからモータ128のトルクが閾値に達するまでの間における固定ナット48の回転数(ナット回転数)を計測してもよい。この場合には、固定ナット48の回転数の基準値(基準回転数R
ref)が予め設定される。基準回転数R
refは、固定ナット48がボス部44の雄ねじ部44aに正常に螺合している場合において(
図11(A)参照)、固定ナット48の回転が開始してからモータ128のトルクが閾値T
thに達するまでの間に固定ナット48が回転した回数に相当する。
【0196】
固定ナット48が初期位置に正しく配置され、ボス部44の雄ねじ部44aに正常に螺合する場合には、固定ナット48の回転数が基準回転数Rrefに達した際に、モータ128のトルクが閾値Tthに達する。一方、固定ナット48がボス部44の先端面に対して僅かに傾いた状態で配置されると、固定ナット48が雄ねじ部44aに不適切に螺合し、固定ナット48の回転数が基準回転数Rrefに達する前に、モータ128のトルクが閾値Tthに達する。そのため、ナット回転数と基準回転数Rrefとを比較することにより、固定ナット48が切削ブレード36の固定に適した固定位置に到達したか否かを判定できる。
【0197】
固定ナット保持部122の動作及び固定ナット48の位置の判定は、制御部78によって制御される。
図13は、制御部78を示すブロック図である。なお、
図13には制御部78の機能的な構成を示すブロックに加えて、切削装置2の一部の構成要素(表示部74、表示灯76、交換装置100のモータ128)を示すブロックを図示している。制御部78は、固定ナット48が切削ブレード36の固定に適した固定位置に到達したか否かを判定する判定部200と、判定部200による判定に用いられる情報(データ、プログラム等)を記憶する記憶部202とを含む。
【0198】
固定ナット48を回転させてボス部44の雄ねじ部44aに螺合させる際には、モータ128から制御部78にモータ128のトルクの値が逐次入力される。また、記憶部202は、モータ128のトルクの閾値T
th(
図12(A)及び
図12(B)参照)を記憶する閾値記憶部202aを含む。
【0199】
判定部200は、モータ128のトルクと閾値Tthとを比較するトルク比較部200aを含む。トルク比較部200aには、モータ128からトルクの測定値が入力されるとともに、閾値記憶部202aからトルクの閾値Tthが入力される。そして、トルク比較部200aはトルクの測定値と閾値Tthとを比較することにより、モータ128のトルクが閾値Tthに達しているか否かを判定する。
【0200】
また、判定部200は、時間を計測する計測部200bと、固定ナット48の螺合状態を判定する螺合判定部200cとを含む。さらに、記憶部202は、螺合状態の判定に用いられる基準値を記憶する基準値記憶部202bを含む。例えば基準値記憶部202bには、基準時間t
ref(
図12(A)及び
図12(B)参照)が判定値として記憶される。
【0201】
固定ナット48の回転が開始すると、計測部200bは固定ナット48の回転が開始してから経過した時間を計測する。そして、計測部200bによって計測された時間(計測時間)が螺合判定部200cに入力される。また、基準値記憶部202bから螺合判定部200cに基準時間trefが入力される。
【0202】
モータ128のトルクが閾値Tthに達すると、トルク比較部200aはトルクが閾値Tthに達した旨を示す信号(閾値到達信号)を螺合判定部200cに出力する。そして、螺合判定部200cに閾値到達信号が入力されると、螺合判定部200cは、計測部200bによって計測された時間(計測時間)と、基準値記憶部202bに記憶されている基準時間trefとを比較する。
【0203】
計測時間が時間trefに達している場合には、螺合判定部200cは固定ナット48が切削ブレード36の固定に適した固定位置に到達していると判定する。一方、計測時間が時間tref未満である場合には、螺合判定部200cは固定ナット48が切削ブレード36の固定に適した固定位置に到達していないと判定する。このようにして、固定ナット48の螺合状態が判定部200によって判定される。
【0204】
判定部200(螺合判定部200c)による判定の結果、すなわち、固定ナット48が固定位置に到達しているか否かの情報は、制御部78に含まれる報知部204及び報知制御部206に出力される。そして、報知部204は、判定部200による判定の結果を外部のコンピュータ、サーバ等に送信することにより、判定結果を報知する。
【0205】
また、報知制御部206は、表示部74及び表示灯76を制御して、判定部200による判定の結果を表示部74及び表示灯76に報知させる。例えば報知制御部206は、表示部74に判定結果を示すメッセージ等を表示させるための制御信号を生成し、表示部74に出力する。また、報知制御部206は、表示灯76を判定結果に対応する色又はパターンで点灯させるための制御信号を生成し、表示灯76に出力する。また、前述の通り、切削装置2にはスピーカーが搭載されていてもよい。この場合には、報知制御部206は、スピーカーに判定結果を示す音又は音声を発させるための制御信号を生成し、スピーカーに出力する。これにより、表示部74、表示灯76及びスピーカーが、固定ナット48の螺合状態をオペレーターに報知する報知部として機能する。
【0206】
なお、判定部200は、固定ナット48の回転時間の代わりに、固定ナット48の回転数に基づいて螺合状態を判定することもできる。この場合、計測部200bは、固定ナット48の回転が開始してからモータ128のトルクが閾値に達するまでの間における固定ナット48の回転数をカウントし、螺合判定部200cに逐次出力する。なお、固定ナット48の回転数は、モータ128によって計測され、モータ128から螺合判定部200cに入力されてもよい。また、基準値記憶部202bには、固定ナット48の回転数の基準値(基準回転数Rref)が判定値として記憶される。
【0207】
トルク比較部200aから螺合判定部200cに閾値到達信号が入力されると、螺合判定部200cは、モータ128又は計測部200bによって計測された固定ナット48の回転数(計測回転数)と、基準値記憶部202bに記憶されている基準回転数Rrefとを比較する。そして、計測回転数が基準回転数Rrefに達している場合には、螺合判定部200cは固定ナット48が切削ブレード36の固定に適した固定位置に到達していると判定する。一方、計測回転数が基準回転数Rref未満である場合には、螺合判定部200cは固定ナット48が切削ブレード36の固定に適した固定位置に到達していないと判定する。
【0208】
なお、モータ128のトルクの値、モータ128の回転時間及び回転数、判定部200による判定の結果及び判定時刻は、記憶部202や外部のサーバ等に記憶されてもよい。これにより、固定ナット48の螺合状態に関する情報が蓄積され、被加工物11の加工不良や切削ブレード36の破損が生じた際における原因究明に活用することができる。
【0209】
図14は、固定ナット48の螺合状態の判定方法を示すフローチャートである。以下、主に
図13及び
図14を参照しつつ、固定ナット48の螺合状態を判定する手順について説明する。なお、以下で説明する固定ナット48の螺合状態の判定方法は、前述の固定ナット装着ステップ(
図9(D)参照)において実施される。
【0210】
固定ナット装着ステップでは、まず、固定ナット48を初期位置に配置する(ステップS1)。具体的には、移動部80(
図4参照)及び回転機構104(
図5等参照)によって固定ナット保持部122の位置が調節され、固定ナット保持部122によって保持された固定ナット48がブレードマウント42のボス部44の先端面と対向するように配置される(
図10参照)。
【0211】
次に、固定ナット48の回転を開始する(ステップS2)。具体的には、モータ128の動力によって固定ナット保持部122を回転させ、固定ナット保持部122によって保持されている固定ナット48を所定の回転速度で回転させる。
【0212】
固定ナット48の回転が開始すると、モータ128のトルクの計測も開始され(ステップS3)、トルクの計測値がトルク比較部200aに入力される。また、固定ナット48の回転が開始した後の固定ナット48の回転時間又は回転数(モータ128の回転時間又は回転数)が、モータ128又は計測部200bによって計測される。
【0213】
次に、モータ128のトルクと閾値Tthとがトルク比較部200aによって比較される(ステップS4)。そして、モータ128のトルクが閾値Tthに達していない場合は(ステップS4でNO)、固定ナット48の回転とモータ128のトルクの計測とが継続される。一方、モータ128のトルクが閾値に達している場合には(ステップS4でYES)、トルク比較部200aから螺合判定部200cに閾値到達信号が入力され、螺合判定部200cによって固定ナット48の螺合状態が判定される(ステップS5)。
【0214】
固定ナット48の螺合状態が正常であり、固定ナット48が切削ブレード36の固定に適した固定位置に到達していると判定されると(ステップS5でYES)、固定ナット48の螺合状態が正常である旨が、表示部74、表示灯76、報知部204等によって報知され(ステップS6)、固定ナット48の装着が完了する。
【0215】
一方、固定ナット48の螺合状態が異常であり、固定ナット48が切削ブレード36の固定に適した固定位置に到達していないと判定されると(ステップS5でNO)、固定ナット48の回転が緊急停止される(ステップS7)。これにより、ボス部44に適切に螺合していない固定ナット48の締め付けが継続されてボス部44の雄ねじ部44a及び固定ナット48の雌ねじ部が損傷することを回避できる。そして、固定ナット48の螺合状態が異常である旨が、表示部74、表示灯76、報知部204等によって報知される(ステップS8)。
【0216】
固定ナット48の螺合状態が異常であることが報知されると、固定ナット48の異常な螺合を解消する措置がとられる(ステップS9)。例えば、切削装置2のオペレーターは、切削ユニット30を点検し、必要に応じて固定ナット48を手作業で取り外す。なお、固定ナット保持部122を固定ナット48の締め付け時とは逆方向に回転させることにより、固定ナット48をボス部44から取り外してもよい。
【0217】
固定ナット48の異常な螺合が解消された後、改めて固定ナット48が初期位置に配置され(ステップS1)、固定ナット48の装着が再開される。また、固定ナット48がオペレーターの手作業によって取り外された場合には、オペレーターは続けて固定ナット48を手作業でボス部44に正しく螺合させてもよい。
【0218】
以上の通り、本実施形態に係る切削装置2は、初期位置に位置付けられた固定ナット48を回転させてブレードマウント42のボス部44に設けられた雄ねじ部44aに螺合させる際、固定ナット48が、切削ブレード36の固定に適した固定位置に到達したか否かを判定する制御部78(判定部200)を備える。これにより、切削装置2で被加工物11を加工する際に、切削ブレード36が固定ナット48によって適切に固定されているか否かを確認することが可能となる。その結果、切削ブレード36の固定が不十分な状態で切削加工が実施されることを回避でき、被加工物11の加工不良や切削ブレード36の破損の発生が防止される。
【0219】
なお、上記実施形態においては、モータ128のトルクと、固定ナット48の回転時間又は回転数とに基づいて固定ナット48の螺合状態が判定される場合について説明した。ただし、判定部200は他の情報に基づいて固定ナット48の螺合状態を判定することもできる。
【0220】
例えば、固定ナット48の回転は、ボス部44に正常に螺合した固定ナット48が固定位置に到達したとき、又は、ボス部44に適切に螺合していない固定ナット48が雄ねじ部44aに締め付けられた際に、強制的に停止される。そのため、固定ナット48の回転が開始してから停止するまで(モータ128の回転速度がゼロになるまで)の固定ナット48の回転時間又は回転数に基づいて、固定ナット48が切削ブレード36の固定に適した固定位置に到達したか否かを判定することもできる。
【0221】
また、固定ナット48の回転時間及び回転数に代わりに、固定ナット48の移動距離を計測してもよい。具体的には、固定ナット48の回転が開始すると、固定ナット48の進行距離(ボス部44の長さ方向における移動距離)がモータ128又は計測部200bによって計測される。そして、固定ナット48が固定位置に到達するために必要な固定ナット48の進行距離と、固定ナット48の実際の進行距離とが比較されることにより、固定ナット48が切削ブレード36の固定に適した固定位置に到達したか否かが判定される。
【0222】
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0223】
11 被加工物
13 テープ(ダイシングテープ)
15 フレーム
17 フレームユニット(被加工物ユニット)
2 切削装置
4 基台
4a,4b 開口
6 エレベータ
8 昇降台
10 カセット
10a ガイドレール
12 洗浄ユニット
14 スピンナテーブル
16 ガイドレール
18 テーブルカバー
20 防塵防滴カバー
22 チャックテーブル(保持テーブル)
24 クランプ
26 サブテーブル(保持テーブル)
28 加工室(カバー)
28a 出入口(開口)
30 切削ユニット
32 ハウジング
34 スピンドル
34a ねじ穴
36 切削ブレード
36a 貫通孔(開口)
38 基台
38a 表面(第1面)
38b 裏面(第2面)
40 切り刃
42 ブレードマウント
42a 貫通孔(開口)
44 ボス部(支持軸)
44a 雄ねじ部(ねじ溝)
46 フランジ部
46a 表面
46b 凸部
46c 支持面
48 固定ナット
48a 貫通孔(開口)
48b 貫通孔
48c 支持面
50 ねじ
52 撮像ユニット
54 第1搬送ユニット
54a 保持ユニット
54b 把持機構
56 第2搬送ユニット
56a 保持ユニット
58 ブレード交換ユニット
60 カバー
62 ヒンジ
64 ストックユニット
66 載置台
66a 載置面
68 ブレード保管部
68a 凸部
70 回転部(シャフト)
72 読み取りユニット
74 表示部(表示ユニット、表示装置)
76 表示灯(警告灯)
78 制御部(制御ユニット、制御装置)
80 移動部
82 昇降機構
84 支持部材
86 多関節アーム
88A 第1支持具
88B 第2支持具
90A 第1回転機構
90B 第2回転機構
90C 第3回転機構
92A 第1アーム
92B 第2アーム
100 交換装置(交換機構)
102 着脱ユニット
104 回転機構
106 回転部(シャフト)
106a 回転軸
110 枠体
112a,112b 支持部材
114a,114b 連結部材
120 固定ナット着脱ユニット
122 固定ナット保持部
124 回転部(シャフト)
124a 回転軸
126 ハウジング
128 モータ(回転駆動源)
130 回転部材
130a 表面
132 保持ピン
134 把持部材
134a 爪部
136 カバー
136a 開口
136b 第1ピン受け部
136c 第2ピン受け部
138 ピン
140 環状部材
142a,142b 弾性体(弾性部材)
150A ブレード保持部(第1ブレード保持部)
150B ブレード保持部(第2ブレード保持部)
150a 表面
152 枠体
152a 表面(第1面)
152b 裏面(第2面)
152c 第1溝(第1凹部)
152d 第2溝(第2凹部)
152e 第3溝(第3凹部)
152f 第4溝(第4凹部)
152g 第5溝(第5凹部)
154 弾性部材
154a 基部
154b リップ部
154c 貫通孔
156 流路
158 バルブ
160 吸引源
162 圧力測定器(圧力センサ)
200 判定部
200a トルク比較部
200b 計測部
200c 螺合判定部
202 記憶部
202a 閾値記憶部
202b 基準値記憶部
204 報知部
206 報知制御部