(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-21
(45)【発行日】2025-03-04
(54)【発明の名称】検査装置のセットアップ方法及び検査装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20250225BHJP
【FI】
H01L21/66 B
H01L21/66 J
(21)【出願番号】P 2021023945
(22)【出願日】2021-02-18
【審査請求日】2023-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 真二郎
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-150224(JP,A)
【文献】特開平09-199553(JP,A)
【文献】特開2014-238371(JP,A)
【文献】特開2003-270304(JP,A)
【文献】特開昭60-213040(JP,A)
【文献】特開平01-125837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01R 1/06
G01R 31/26
G01R 31/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置台に載置された基板上のチップに形成された電極パッドにプローブを接触させて基板を検査する検査装置のセットアップ方法であって、
前記検査装置に取り付けられたプローブカードの前記プローブを含む第1の画像を取得するステップと、
前記第1の画像に基づいて算出される前記プローブの位置を含むプローブ情報と、事前に準備した前記プローブカードに対応するプローブ情報又はパッド情報とに基づいて、前記プローブカードの重心及び角度を含む第1の情報を算出するステップと、
前記載置台に載置された前記基板上の前記電極パッドを含む第2の画像を取得するステップと、
前記第2の画像に基づいて算出される前記電極パッドの位置を含むパッド情報と、事前に準備した前記基板に対応するパッド情報とに基づいて、前記チップの重心及び前記基板の角度を含む第2の情報を算出するステップと、
前記第1の情報及び前記第2の情報を出力するステップと、
を有する、検査装置のセットアップ方法。
【請求項2】
前記プローブ情報は、プローブカードの中心からの距離及び基準ピン属性の少なくとも1つを含む、
請求項1に記載の検査装置のセットアップ方法。
【請求項3】
前記パッド情報は、パッド形状、パッドサイズ、チップ中心からの距離及び基準パッド属性の少なくとも1つを含む、
請求項1又は2に記載の検査装置のセットアップ方法。
【請求項4】
前記第1の情報は、前記第1の画像に基づいて算出される前記プローブの位置を含むプローブ情報と、事前に準備した前記プローブカードに対応するプローブ情報又はパッド情報との間の一致度を含む、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の検査装置のセットアップ方法。
【請求項5】
前記第2の情報は、前記第2の画像に基づいて算出される前記電極パッドの位置を含むパッド情報と、事前に準備した前記基板に対応するパッド情報との間の一致度を含む、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の検査装置のセットアップ方法。
【請求項6】
前記第2の情報は、前記基板の中心と該基板上のチップの重心との位置関係を含む、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の検査装置のセットアップ方法。
【請求項7】
基板上のチップに形成された電極パッドにプローブを接触させて基板を検査する検査装置であって、
前記基板を載置する載置台と、
前記電極パッドと接触可能なプローブを含むプローブカードと、
制御部と、
を有し、
前記制御部は、
前記プローブカードの前記プローブを含む第1の画像を取得するステップと、
前記第1の画像に基づいて算出される前記プローブの位置を含むプローブ情報と、事前に準備した前記プローブカードに対応するプローブ情報又はパッド情報とに基づいて、前記プローブカードの重心及び角度を含む第1の情報を算出するステップと、
前記載置台に載置された前記基板上の前記電極パッドを含む第2の画像を取得するステップと、
前記第2の画像に基づいて算出される前記電極パッドの位置を含むパッド情報と、事前に準備した前記基板に対応するパッド情報とに基づいて、前記チップの重心及び前記基板の角度を含む第2の情報を算出するステップと、
前記第1の情報及び前記第2の情報を出力するステップと、
を実行するように構成される、
検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検査装置のセットアップ方法及び検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プローブカードの初期針位置合わせを、手作業によることなく自動で行わせることを可能にするプローブカードの針位置合わせ方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、検査装置を自動でセットアップできる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による検査装置のセットアップ方法は、載置台に載置された基板上のチップに形成された電極パッドにプローブを接触させて基板を検査する検査装置のセットアップ方法であって、前記検査装置に取り付けられたプローブカードの前記プローブを含む第1の画像を取得するステップと、前記第1の画像に基づいて算出される前記プローブの位置を含むプローブ情報と、事前に準備した前記プローブカードに対応するプローブ情報又はパッド情報とに基づいて、前記プローブカードの重心及び角度を含む第1の情報を算出するステップと、前記載置台に載置された前記基板上の前記電極パッドを含む第2の画像を取得するステップと、前記第2の画像に基づいて算出される前記電極パッドの位置を含むパッド情報と、事前に準備した前記基板に対応するパッド情報とに基づいて、前記チップの重心及び前記基板の角度を含む第2の情報を算出するステップと、前記第1の情報及び前記第2の情報を出力するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、検査装置を自動でセットアップできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】装置コントローラのハードウェア構成の一例を示す図
【
図4】実施形態の検査装置のセットアップ方法の一例を示すフローチャート
【
図5】プローブカードをセットアップする工程の一例を示すフローチャート
【
図6】プローブカードをセットアップする工程を説明するための図
【
図7】プローブカードをセットアップする工程において表示装置が出力する画像の一例を示す図
【
図8】ウエハをセットアップする工程の一例を示すフローチャート
【
図9】ウエハをセットアップする工程を説明するための図
【
図10】ウエハをセットアップする工程を説明するための図
【
図11】ウエハをセットアップする工程において表示装置が出力する画像の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一又は対応する部材又は部品については、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
〔検査装置〕
図1~
図3を参照し、実施形態の検査装置の一例について説明する。実施形態の検査装置は、基板に形成された複数の被検査デバイス(DUT:Device Under Test)の各々に電気信号を与えて種々の電気特性を検査する装置である。以下では、基板が半導体ウエハ(以下単に「ウエハ」という。)であり、被検査デバイスが半導体チップ(以下単に「チップ」という。)である場合を例に挙げて説明する。半導体チップは、電極パッドを含む。
【0010】
検査装置1は、ローダ部10、検査部20及びコントローラ30を有する。
【0011】
ローダ部10は、ロードポート11、アライナ12及び基板搬送機構13を有する。ロードポート11は、ウエハWを収容したカセットCを載置する。アライナ12は、ウエハWの位置合わせを行う。基板搬送機構13は、ウエハWを、ロードポート11に載置されたカセットCと、アライナ12と、後述する載置台21との間で搬送する。
【0012】
ローダ部10では、まず、基板搬送機構13は、カセットCに収容されたウエハWを、アライナ12に搬送する。続いて、アライナ12は、ウエハWの位置合わせを行う。続いて、基板搬送機構13は、アライナ12において位置合わせされたウエハWを、検査部20に設けられた載置台21に搬送する。
【0013】
検査部20は、ローダ部10に隣接して配置されている。検査部20は、載置台21、昇降回転機構22、XYステージ23、プローブカード24及びアライメント機構25を有する。
【0014】
載置台21は、ウエハWを載置する載置面21aを有する。載置台21は、検査部20の底部に対して、水平方向(X方向及びY方向)及び鉛直方向(Z方向)にそれぞれ移動自在、かつ、鉛直軸周り(θ方向)に回転自在に設けられている。載置台21は、真空チャックを含み、載置面21aに載置されたウエハWを吸着して保持する。
【0015】
昇降回転機構22は、載置台21を、鉛直方向(Z方向)に移動自在(昇降自在)、かつ鉛直軸周り(θ方向)に回転自在に支持する。昇降回転機構22は、例えばステッピングモータを含む。
【0016】
XYステージ23は、昇降回転機構22を、水平方向(X方向及びY方向)に移動自在に支持する。XYステージ23は、昇降回転機構22を介して、該昇降回転機構22に支持された載置台21を水平方向に移動させる。XYステージ23は、例えばステッピングモータを含む。
【0017】
プローブカード24は、載置台21の上方に配置されている。プローブカード24の載置台21側には、複数のプローブ24aが形成されている。プローブカード24は、ヘッドプレート24bに着脱自在に取り付けられている。プローブカード24には、テストヘッドTを介してテスタ(図示せず)が接続されている。
【0018】
アライメント機構25は、上部カメラ25a、ガイドレール25b、アライメントブリッジ25c及び下部カメラ25dを有する。
【0019】
上部カメラ25aは、アライメントブリッジ25cの中央に下向きに取り付けられており、アライメントブリッジ25cと一体となって水平方向(Y方向)に移動する。上部カメラ25aは、載置台21上のウエハWのアライメントを行うために設けられており、載置台21上のウエハWを含む画像を取得する。上部カメラ25aは、例えばCCDカメラ、CMOSカメラである。
【0020】
ガイドレール25bは、アライメントブリッジ25cを水平方向(Y方向)に移動可能に支持する。
【0021】
アライメントブリッジ25cは、左右一対のガイドレール25bによって支持されており、ガイドレール25bに沿って水平方向(Y方向)に移動する。
【0022】
下部カメラ25dは、載置台21の側部に上向きに取り付けられており、載置台21と一体となって水平方向(X方向及びY方向)に移動する。下部カメラ25dは、プローブカード24に形成された複数のプローブ24aの位置を検出するために設けられており、複数のプローブ24aを含む画像を取得する。下部カメラ25dは、例えばCCDカメラ、CMOSカメラである。
【0023】
係るアライメント機構25では、上部カメラ25aは、アライメントブリッジ25cを介して、待機位置とプローブカード24の中心の真下(以下「プローブセンタ」という。)との間を移動する。プローブセンタに位置する上部カメラ25aは、アライメントの際、載置台21が水平方向(X方向及びY方向)に移動する間に載置台21に載置されたウエハW上の各チップの電極パッドを含む画像を取得し、取得した画像をコントローラ30に出力する。また、下部カメラ25dは、載置台21を介して、プローブセンタに移動する。プローブセンタに位置する下部カメラ25dは、アライメントの際、プローブカード24に形成された複数のプローブ24aを含む画像を取得し、取得した画像をコントローラ30に出力する。
【0024】
コントローラ30は、載置台21の下方に設けられ、検査装置1の全体の動作を制御する。また、コントローラ30は、後述する検査装置1のセットアップ方法を実施する。
図3に示されるように、コントローラ30は、それぞれバス38で相互に接続されているドライブ装置31、補助記憶装置32、メモリ装置33、CPU34、インタフェース装置35、表示装置36等を有するコンピュータである。
【0025】
コントローラ30での処理を実現するプログラムは、CD-ROM等の記録媒体37によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体37がドライブ装置31にセットされると、プログラムが記録媒体37からドライブ装置31を介して補助記憶装置32にインストールされる。ただし、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体37より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータからダウンロードするようにしてもよい。
【0026】
補助記憶装置32は、各種の情報を格納する。各種の情報は、例えばインストールされたプログラム、後述する検査装置1のセットアップ方法において用いられるセットアップ準備情報、及び後述する検査装置1のセットアップ方法において出力される情報を含む。
【0027】
メモリ装置33は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置32からプログラムを読み出して格納する。
【0028】
CPU34は、メモリ装置33に格納されたプログラムに従って検査装置1に係る機能を実行する。
【0029】
インタフェース装置35は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。
【0030】
表示装置36は、各種の情報を表示すると共に、オペレータ等による操作を受け付ける操作部としても機能する。
【0031】
係る検査装置1では、アライメント機構25は、載置台21に載置されたウエハW上の各チップの電極パッドに、プローブカード24のプローブ24aが正確に接触するように、ウエハWとプローブカード24との間の位置合わせを行う。続いて、昇降回転機構22は、載置台21を上昇させて、プローブカード24のプローブ24aを対応する電極パッドに接触させる。続いて、コントローラ30は、テスタからの検査用信号をテストヘッドT及びプローブ24aを介してウエハW上の各チップに印加し、各チップの電気特性を検査する。
【0032】
ところで、検査装置1では、チップの検査を行うことに先立って、プローブカード24のプローブ24aと、該プローブ24aと接触するウエハW上のチップの電極パッドとの位置関係を登録する作業(以下「セットアップ」という。)が行われる。従来、セットアップの一部はオペレータ等により行われていた。そのため、オペレータ等の個人差(知見、能力等の差)によって、セットアップで生成されるデータ(以下「セットアップデータ」という。)にバラツキが生じていた。
【0033】
そこで、実施形態では、検査装置1のセットアップに用いられる情報(以下「セットアップ準備情報」という。)を予め装置内(例えば補助記憶装置32内)に準備し、コントローラ30がセットアップ準備情報を用いて自動で検査装置1のセットアップを実施する。これにより、オペレータ等が介在しないため、オペレータ等の個人差に左右されないセットアップデータが生成される。また、新しい種類のデバイス(チップ)に対して、セットアップから電気特性の測定まで自動で実施できる。
【0034】
以下では、セットアップ準備情報の一例について説明し、次いでコントローラ30が自動で実施する検査装置1のセットアップ方法の一例について説明する。
【0035】
〔セットアップ準備情報〕
セットアップ準備情報は、コントローラ30が自動で検査装置1のセットアップを実施するために事前に準備される。セットアップ準備情報は、ウエハパラメータ情報、パッド情報、プローブパラメータ情報及びプローブ情報を含む。
【0036】
ウエハパラメータ情報には、ウエハサイズ(6インチ、8インチ、12インチ等)、オリフラ位置(0度、90度、180度、270度等)、チップサイズ(X、Y)等の項目が含まれる。ウエハパラメータ情報は、ウエハWの種類ごとに生成される情報である。
【0037】
パッド情報には、パッド形状(丸、四角、八角等)、パッドサイズ(X、Y)、各電極パッドのチップ中心からの距離(X、Y)、基準パッド属性(四隅等)等の項目が含まれる。パッド情報は、ウエハW上のチップに形成された全ての電極パッドの情報を含む。パッド情報は、ウエハパラメータ情報と対応付けされた情報である。
【0038】
プローブパラメータ情報には、プローブカードタイプ(カンチレバー型、垂直型、MEMS型等)、針先サイズ(X、Y)等の項目が含まれる。プローブパラメータ情報は、プローブカード24の種類ごとに生成される情報である。
【0039】
プローブ情報には、各プローブ24aのプローブカード中心からの距離(X、Y)、基準ピン属性(四隅等)等の項目が含まれる。プローブ情報は、プローブパラメータ情報と対応付けされた情報である。
【0040】
ウエハパラメータ情報、パッド情報、プローブパラメータ情報及びプローブ情報は、例えば指定フォーマットのテキスト形式で保存されたファイルであってよい。なお、上述したウエハパラメータ情報、パッド情報、プローブパラメータ情報及びプローブ情報のそれぞれに含まれる項目は一例であり、上述したものに限定されない。
【0041】
〔検査装置のセットアップ方法〕
図4を参照し、実施形態の検査装置1のセットアップ方法の一例について説明する。実施形態の検査装置1のセットアップ方法は、例えばプローブカード24の種類やウエハWの種類を変更する際に、検査に先立って実施される。
【0042】
図4に示されるように、実施形態の検査装置1のセットアップ方法は、プローブカードをセットアップする工程S10と、ウエハをセットアップする工程S20とを有する。本実施形態では、まずプローブカードをセットアップする工程S10を実行し、次いでウエハをセットアップする工程S20を実行する場合を説明する。
【0043】
ただし、プローブカードをセットアップする工程S10及びウエハをセットアップする工程S20を実行する順序はこれに限定されない。例えば、ウエハをセットアップする工程S20を実行し、次いでプローブカードをセットアップする工程S10を実行してもよい。また例えば、プローブカードをセットアップする工程S10とウエハをセットアップする工程S20とを並行して実行してもよい。
【0044】
(プローブカードをセットアップする工程S10)
図5~
図7を参照し、プローブカードをセットアップする工程S10の一例について説明する。
図5は、プローブカードをセットアップする工程S10の一例を示すフローチャートである。
図6は、プローブカードをセットアップする工程S10を説明するための図であり、1チップを検査する際に用いられるプローブ24aの位置情報を示す。
【0045】
まず、ステップS11において、プローブカード24に設けられたプローブ24aの針先画像を取得する。本実施形態において、コントローラ30は、XYステージ23を制御して、下部カメラ25dをプローブカード24の下方に移動させる。続いて、コントローラ30は、下部カメラ25dを制御して、プローブカード24に設けられた全てのプローブ24aの針先位置を含む画像(針先画像)を取得させる。
【0046】
次いで、ステップS12において、針先認識処理を実行する。本実施形態において、コントローラ30は、下部カメラ25dが取得した針先画像に基づいて公知の画像処理を行い、全てのプローブ24aの針先位置を認識する。また、コントローラ30は、全てのプローブ24aに対してプローブカード24の中心からの距離(X、Y)を含むプローブ情報を生成する。
【0047】
次いで、ステップS13において、生成したプローブ情報と事前に準備したプローブ情報とに基づいてセットアップデータを生成する。本実施形態において、
図6に示されるように、コントローラ30は、生成したプローブ情報に含まれるプローブ位置と、事前に準備したプローブ情報に含まれるプローブ位置とを比較する。
【0048】
コントローラ30は、両者を比較した結果、生成したプローブ情報には存在するが、事前に準備したプローブ情報には存在しないプローブがある場合、該プローブは誤認識である(誤情報である)と判断する。また、コントローラ30は、生成したプローブ情報から誤情報を削除する。なお、
図6において、生成したプローブ情報には存在するが、事前に準備したプローブ情報には存在しないプローブを斜線の丸印で示す。
【0049】
また、コントローラ30は、両者を比較した結果、生成したプローブ情報には存在しないが、事前に準備したプローブ情報には存在するプローブがある場合、該プローブは生成したプローブ情報において見えないプローブである(不足情報である)と判断する。また、コントローラ30は、生成したプローブ情報に不足情報を追加する。なお、
図6において、生成したプローブ情報には存在しないが、事前に準備したプローブ情報には存在するプローブを白抜きの丸印で示す。
【0050】
このようにして、コントローラ30は、プローブ情報を修正する。また、コントローラ30は、修正したプローブ情報に基づいて、プローブカード24の重心及びプローブカード24の角度を算出する。また、コントローラ30は、生成したプローブ情報と事前に準備したプローブ情報との間の一致度を算出してもよい。
【0051】
図6に示される例では、事前に準備したプローブ情報におけるプローブの全数は64個であり、誤情報の数が3個であり、不足情報の数が5個であることから、コントローラ30は、一致度が0.875(56/64)であると算出する。コントローラ30は、例えば算出した一致度が予め定めた閾値以上である場合に、生成したプローブ情報と事前に準備したプローブ情報とが一致すると判定する。なお、プローブカードの重心、プローブカードの角度、及び一致度は、セットアップデータの一例である。
【0052】
次いで、ステップS14において、ステップS13にて生成したセットアップデータを出力する。本実施形態において、コントローラ30は、プローブカード24の重心、プローブカード24の角度、及び一致度を含むセットアップデータを出力する。また、コントローラ30は、プローブカードをセットアップする工程S10を実行した結果を含む画像を表示装置40に表示させてもよい。これにより、オペレータ等は表示装置40に表示される画像を確認することで、プローブカード24のセットアップが正常に実行されたか否かを判断できる。
【0053】
図7は、プローブカードをセットアップする工程S10において表示装置40が出力する画像の一例を示す図である。
図7に示されるように、表示装置40が出力する画像G10は、プローブ画像表示部G11及び操作ボタン表示部G12を含む。
【0054】
プローブ画像表示部G11は、プローブカード24に形成されたプローブ24aを含む画像を表示する。
図7の例では、異なる4つの位置A~Dで取得されたプローブ24aの画像G11a~G11dが表示されている。異なる4つの位置A~Dは、コントローラ30が自動で認識する位置であってもよく、オペレータ等により事前に指定された位置であってもよい。
【0055】
操作ボタン表示部G12は、オペレータ等による操作を受け付けるための画像を表示する。
図7の例では、セットアップ結果を保存する操作を受け付けるための「Save Setup」の画像G12a及びセットアップ結果を破棄する操作を受け付けるための「Throw Setup」の画像G12bが表示されている。
【0056】
オペレータ等は、プローブ画像表示部G11に表示される画像G11a~G11dを確認することで、プローブカード24のセットアップが正常に実行されたか否かを判断できる。また、オペレータ等は、操作ボタン表示部G12に表示される画像G12aを選択(例えばクリック、タッチ)することで、セットアップ結果を保存できる。また、オペレータ等は、操作ボタン表示部G12に表示される画像G12bを選択(例えばクリック、タッチ)することで、セットアップ結果を破棄できる。
【0057】
なお、
図7に示される画像G10は一例であって、該画像G10は更に別の情報を表示する表示部を含んでいてもよい。別の情報を表示する表示部としては、例えば画像G11a~G11dを拡大して示す画像を表示する拡大表示部が挙げられる。
【0058】
上記の例では、ステップS13において、生成したプローブ情報と事前に準備したプローブ情報とに基づいてセットアップデータを生成する場合を説明したが、これに限定されない。例えばステップS13において、生成したプローブ情報と事前に準備したパッド情報とに基づいてセットアップデータを生成してもよい。この場合、例えばコントローラ30は、まず事前に準備したパッド情報に基づいてプローブ情報を準備し、次いで生成したプローブ情報に含まれるプローブ位置と、パッド情報に基づいて準備したプローブ情報に含まれるプローブ位置とを比較する。
【0059】
(ウエハをセットアップする工程S20)
図8~
図11を参照し、ウエハをセットアップする工程S20の一例について説明する。
図8は、ウエハをセットアップする工程S20の一例を示すフローチャートである。
図9は、ウエハをセットアップする工程S20を説明するための図である。
図10は、ウエハをセットアップする工程S20を説明するための図であり、ウエハW上の1チップの複数の電極パッドの位置情報を示す。
【0060】
まず、ステップS21において、
図9(a)に示すように、ウエハ中心の位置合わせを行う。本実施形態において、コントローラ30は、XYステージ23を制御して、ウエハWが載置された載置台21を上部カメラ25aの下方に移動させる。続いて、コントローラ30は、上部カメラ25aを制御して、ウエハWの画像を取得させる。続いて、コントローラ30は、XYステージ23を制御して、上部カメラ25aが取得した画像に基づいてウエハWの中心が所定の位置に一致するように載置台21を水平方向に移動させる。
【0061】
次いで、ステップS22において、
図9(b)に示すように、自動パターン選択を行う。本実施形態において、コントローラ30は、ウエハWの中心が所定の位置に一致した状態で、上部カメラ25aを制御して、ウエハWの表面に形成された複数のチップCPを含むウエハWの画像を取得させる。続いて、コントローラ30は、上部カメラ25aが取得したウエハWの画像から所定の電極パッドEPを含むパターンPを認識し自動で選択する。
【0062】
次いで、ステップS23において、
図9(c)に示すように、ウエハWのθ方向の位置合わせを行う。本実施形態において、コントローラ30は、昇降回転機構22を制御して、ステップS22にて選択したパターンに基づいて、ウエハWの回転角度が所定の角度(例えば0度)となるように載置台21を回転させる。
【0063】
次いで、ステップS24において、ウエハ中心及びθ方向の位置合わせが行われたウエハW上のチップCPの画像を取得する。本実施形態において、コントローラ30は、上部カメラ25aを制御して、ウエハW上のチップCPの画像(チップ画像)を取得させる。
【0064】
次いで、ステップS25において、パッド認識処理を実行する。本実施形態において、コントローラ30は、上部カメラ25aが取得したチップ画像に基づいて公知の画像処理を行い、チップCPの全ての電極パッドEPの位置を認識する。また、コントローラ30は、全ての電極パッドEPに対してチップCPの中心からの距離(X、Y)を含むパッド情報を生成する。
【0065】
次いで、ステップS26において、生成したパッド情報と事前に準備したパッド情報とに基づいてセットアップデータを生成する。本実施形態において、
図10に示されるように、コントローラ30は、生成したパッド情報に含まれるパッド位置と、事前に準備したパッド情報に含まれるパッド位置とを比較する。
【0066】
コントローラ30は、両者を比較した結果、生成したパッド情報には存在するが、事前に準備したパッド情報には存在しない電極パッドがある場合、該電極パッドは誤認識である(誤情報である)と判断する。また、コントローラ30は、生成したパッド情報から誤情報を削除する。なお、
図10において、生成したパッド情報には存在するが、事前に準備したパッド情報には存在しない電極パッドを斜線の四角印で示す。
【0067】
また、コントローラ30は、両者を比較した結果、生成したパッド情報には存在しないが、事前に準備したパッド情報には存在する電極パッドがある場合、該電極パッドは生成したパッド情報において見えない電極パッドである(不足情報である)と判断する。また、コントローラ30は、生成したパッド情報に不足情報を追加する。なお、
図10において、生成したパッド情報には存在しないが、事前に準備したパッド情報には存在する電極パッドを白抜きの四角印で示す。
【0068】
このようにして、コントローラ30は、パッド情報を修正する。また、コントローラ30は、修正したパッド情報に基づいて、チップCPの重心及びウエハWの角度を算出する。また、コントローラ30は、修正したパッド情報に基づいて、ウエハWの中心とチップCPの重心との位置関係を算出してもよい。また、コントローラ30は、生成したパッド情報と事前に準備したパッド情報との間の一致度を算出してもよい。
図10に示される例では、事前に準備したパッド情報におけるパッドの全数は64個であり、誤情報である数が6個であり、不足情報である数が5個であることから、コントローラ30は、一致度が0.828(53/64)であると算出する。コントローラ30は、例えば算出した一致度が予め定めた閾値以上である場合に、生成したパッド情報と事前に準備したパッド情報とが一致すると判定する。なお、チップCPの重心、ウエハWの角度、ウエハWの中心とチップCPの重心との位置関係、及び一致度は、セットアップデータの一例である。
【0069】
次いで、ステップS27において、ステップS26にて生成したセットアップデータを出力する。本実施形態において、コントローラ30は、チップCPの重心、ウエハWの角度、ウエハWの中心とチップCPの重心との位置関係、及び一致度を含むセットアップデータを出力する。また、コントローラ30は、ウエハをセットアップする工程S20を実行した結果を含む画像を表示装置40に表示させてもよい。これにより、オペレータ等は、表示装置40に表示される画像を確認することで、ウエハWのセットアップが正常に実行されたか否かを判断できる。
【0070】
図11は、ウエハをセットアップする工程S20において表示装置40が出力する画像の一例を示す図である。
図11に示されるように、表示装置40が出力する画像G20は、パッド画像表示部G21及び操作ボタン表示部G22を含む。
【0071】
パッド画像表示部G21は、ウエハW上のチップの電極パッドを含む画像を表示する。
図11の例では、異なる5つの位置A~Eで取得された電極パッドの画像G21a~G21eが表示されている。異なる5つの位置A~Eは、コントローラ30が自動で認識する位置であってもよく、オペレータ等により事前に指定された位置であってもよい。
【0072】
操作ボタン表示部G22は、オペレータ等による操作を受け付けるための画像を表示する。
図11の例では、セットアップ結果を保存する操作を受け付けるための「Save Setup」の画像G22a及びセットアップ結果を破棄する操作を受け付けるための「Throw Setup」の画像G22bが表示されている。
【0073】
オペレータ等は、パッド画像表示部G21に表示される画像G21a~G21eを確認することで、ウエハWのセットアップが正常に実行されたか否かを判断できる。また、オペレータ等は、操作ボタン表示部G22に表示される画像G22aを選択(例えばクリック、タッチ)することで、セットアップ結果を保存できる。また、オペレータ等は、操作ボタン表示部G22に表示される画像G22bを選択(例えばクリック、タッチ)することで、セットアップ結果を破棄できる。
【0074】
なお、
図11に示される画像G20は一例であって、該画像G20は更に別の情報を表示する表示部を含んでいてもよい。別の情報を表示する表示部としては、例えば画像G21a~G21eを拡大して示す画像を表示する拡大表示部が挙げられる。
【0075】
なお、上記の実施形態において、上部カメラ25aはパッド情報検出部の一例であり、下部カメラ25dはプローブ情報検出部の一例である。
【0076】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0077】
上記の実施形態では、検査装置1が1つのローダ部10に対して1つの検査部20を有する場合を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、検査装置は1つのローダ部に対して複数の検査部を有する装置であってもよい。また、例えば検査装置は複数のローダ部と複数の検査部とを有する装置であってもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 検査装置
21 載置台
24 プローブカード
24a プローブ
W ウエハ