IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京エレクトロン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-表示方法、制御装置 図1
  • 特許-表示方法、制御装置 図2
  • 特許-表示方法、制御装置 図3
  • 特許-表示方法、制御装置 図4
  • 特許-表示方法、制御装置 図5
  • 特許-表示方法、制御装置 図6
  • 特許-表示方法、制御装置 図7
  • 特許-表示方法、制御装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-21
(45)【発行日】2025-03-04
(54)【発明の名称】表示方法、制御装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20250225BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20250225BHJP
【FI】
H01L21/68 A
G05B19/418 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021033651
(22)【出願日】2021-03-03
(65)【公開番号】P2022134502
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】青井 良太
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-008834(JP,A)
【文献】特開平11-297785(JP,A)
【文献】特開2003-037148(JP,A)
【文献】特開2008-310467(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0228306(US,A1)
【文献】米国特許第06967114(US,B2)
【文献】特開2012-060168(JP,A)
【文献】国際公開第2018/179353(WO,A1)
【文献】特開2009-010030(JP,A)
【文献】特開2009-231809(JP,A)
【文献】特開2008-227029(JP,A)
【文献】特開2013-137793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レシピに基づき、基板処理装置が処理を実行した第1履歴情報を記憶部に保存する工程と、
前記処理の実行を指示する1ロット分のジョブの実行指示を受け付けた第2履歴情報を前記記憶部に保存する工程と、
複数の前記ジョブを纏めて実行を指示する制御ジョブの実行指示を受け付けた第3履歴情報を前記記憶部に保存する工程と、
前記第1履歴情報に基づき、直前のプロセスの終了時刻から次のプロセスの開始時刻までの経過時間であり前記処理が行われていない第1アイドル時間、及び、前記第2履歴情報に基づき、前記1ロット分のジョブの終了から次の1ロット分のジョブの実行開始までの、1ロット分のジョブ間の時間を示す第2アイドル時間を算出する工程と、
前記第3履歴情報に基づき、前記制御ジョブの終了から次の前記制御ジョブの実行開始までの時間を示す第3アイドル時間を算出する工程と
前記第1アイドル時間、前記第2アイドル時間、及び、前記第3アイドル時間を選択可能に表示させ、これらのうち表示する1つ以上のアイドル時間の選択を受け付ける工程と
前記選択を受け付ける工程で選択を受け付けた、前記第1アイドル時間、前記第2アイドル時間、及び、前記第3アイドル時間の1つ以上を表示する工程と、
を有する表示方法。
【請求項2】
前記第1アイドル時間、前記第2アイドル時間、又は、前記第3アイドル時間が閾値以上になった場合、閾値以上となった前記第1アイドル時間、前記第2アイドル時間、又は、前記第3アイドル時間を強調して表示する請求項に記載の表示方法。
【請求項3】
前記処理は、基板の処理又はクリーニングの工程を含む請求項1又は2に記載の表示方法。
【請求項4】
前記第1履歴情報は、プラズマ励起ON、及び、プラズマ励起OFFの履歴情報を含み、前記第1アイドル時間は、プラズマ励起OFFから次のプラズマ励起ONまでの時間である請求項1又は2に記載の表示方法。
【請求項5】
前記第1履歴情報は、前記基板処理装置にて行われる、前記基板のチャージ、前記処理、前記基板のディスチャージを実行した履歴情報を含む請求項に記載の表示方法。
【請求項6】
前記第2履歴情報は、外部コンピュータから前記ジョブの実行指示を受け付けた履歴情報を含む請求項1~のいずれか1項に記載の表示方法。
【請求項7】
前記第3履歴情報は、外部コンピュータから前記制御ジョブの実行指示を受け付けた履歴情報を含む請求項1又は2に記載の表示方法。
【請求項8】
処理を実行する基板処理装置と通信する制御装置であって、
レシピに基づき、基板処理装置が処理を実行した第1履歴情報を記憶部に保存する工程と、
前記処理の実行を指示する1ロット分のジョブの実行指示を受け付けた第2履歴情報を前記記憶部に保存する工程と、
複数の前記ジョブを纏めて実行を指示する制御ジョブの実行指示を受け付けた第3履歴情報を前記記憶部に保存する工程と、
前記第1履歴情報に基づき、直前のプロセスの終了時刻から次のプロセスの開始時刻までの経過時間であり前記処理が行われていない第1アイドル時間、及び、前記第2履歴情報に基づき、前記1ロット分のジョブの終了から次の1ロット分のジョブの実行開始までの、1ロット分のジョブ間の時間を示す第2アイドル時間を算出する工程と、
前記第3履歴情報に基づき、前記制御ジョブの終了から次の前記制御ジョブの実行開始までの時間を示す第3アイドル時間を算出する工程と
前記第1アイドル時間、前記第2アイドル時間、及び、前記第3アイドル時間を選択可能に表示させ、これらのうち表示する1つ以上のアイドル時間の選択を受け付ける工程と
前記選択を受け付ける工程で選択を受け付けた、前記第1アイドル時間、前記第2アイドル時間、及び、前記第3アイドル時間の1つ以上を表示する工程と、を含む処理を行うCPU、
を有する制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示方法、及び、制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置は、ウェハに対して成膜処理、エッチング処理、酸化拡散処理、アニール、及び、改質処理等の各種の処理を行う。基板処理装置は、複数枚のウェハを処理容器内にチャージ(ロード)し、処理容器内のコンディションが条件を満たすと基板処理を開始する。
【0003】
基板処理装置において、ウェハがストッカに滞留される時間が基板品質に影響する場合があることが知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、滞留時間をカセットごとに管理して適切な警報を発することが可能な処理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-37148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、基板処理装置のアイドル状態をユーザーが容易に把握できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑み、本開示は、レシピに基づき、基板処理装置が処理を実行した第1履歴情報を記憶部に保存する工程と、前記処理の実行を指示する1ロット分のジョブの実行指示を受け付けた第2履歴情報を前記記憶部に保存する工程と、複数の前記ジョブを纏めて実行を指示する制御ジョブの実行指示を受け付けた第3履歴情報を前記記憶部に保存する工程と、前記第1履歴情報に基づき、直前のプロセスの終了時刻から次のプロセスの開始時刻までの経過時間であり前記処理が行われていない第1アイドル時間、及び、前記第2履歴情報に基づき、前記1ロット分のジョブの終了から次の1ロット分のジョブの実行開始までの、1ロット分のジョブ間の時間を示す第2アイドル時間を算出する工程と、前記第3履歴情報に基づき、前記制御ジョブの終了から次の前記制御ジョブの実行開始までの時間を示す第3アイドル時間を算出する工程と前記第1アイドル時間、前記第2アイドル時間、及び、前記第3アイドル時間を選択可能に表示させ、これらのうち表示する1つ以上のアイドル時間の選択を受け付ける工程と、前記選択を受け付ける工程で選択を受け付けた、前記第1アイドル時間、前記第2アイドル時間、及び、前記第3アイドル時間の1つ以上を表示する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
基板処理装置のアイドル状態をユーザーが容易に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示に係るプラズマ処理装置の制御システムを示す図である。
図2】本開示に係るプラズマ処理装置の一例を模式的に示す断面図である。
図3】本開示に係るプラズマ処理装置の処理容器を水平面から見た断面図である。
図4】本開示に係る各アイドル時間について説明する図の一例である。
図5】本開示に係るECにより表示される選択画面の一例を示す図である。
図6】本開示に係るアイドル時間の表示例を示す図である。
図7】本開示に係るECがプロセス、ジョブ、及び、制御ジョブに関する時刻を記録する処理を説明するフローチャート図の一例である。
図8】本開示に係るECがアイドル時間を表示する手順を示すフローチャート図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一又は対応する部材又は部品については、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
[システム構成例]
図1は、本開示に係るプラズマ処理装置の制御システム70を示している。プラズマ処理装置100A~100D(以下、任意のプラズマ処理装置を「プラズマ処理装置100」と記すことがある)における全体の制御は制御システム70によって行われる。プラズマ処理装置100については図2図3にて詳細に説明する。
【0011】
図1に示したように、制御システム70は、主要な構成として、プラズマ処理装置100に対応して設けられた個別の制御部の一例である4つのMC(モジュールコントローラ;ModuleController)60A,60B,60C,60D(以下、「MC60」と記すことがある)と、プラズマ処理装置100全体を制御するEC(装置コントローラ;EquipmentController)301と、EC301に接続されたユーザーインターフェース501とを備えている。MC60は、プラズマ処理装置100に配備される。なお、MC60は、例えば、ロードロック室(不図示)などにも配備することが可能であり、これらもEC301の下で統括されるが、ここでは図示及び説明を省略する。EC301及びMC60は制御装置の一例である。
【0012】
EC301と各MC60は、システム内LAN(Local Area Network)503により接続されており、EC301と各MC60は通信できる。システム内LAN503は、スイッチングハブ(HUB)505を有している。このスイッチングハブ505は、EC301からの制御信号に応じてEC301の接続先としてのMC60A~60Dの切り替えを行う。
【0013】
EC301は、各MC60を統括してプラズマ処理装置100全体の動作を制御する統括制御部である。EC301は、CPU(中央演算装置)303と、揮発性メモリとしてのRAM305と、記憶部としてのハードディスク装置(HDD)307とを有している。なお、記憶部としては、ハードディスク装置307に限らず、他の不揮発性メモリを用いることもできる。
【0014】
また、EC301は、LAN601を介してプラズマ処理装置100が設置されている工場全体の製造工程を管理するMES(Manufacturing Execution System)としてのホストコンピュータ603に接続されている。ホストコンピュータ603は制御システム70と連携して工場における種々の工程に関するリアルタイム情報を基幹業務システム(図示省略)にフィードバックすると共に、工場全体の負荷等を考慮して工程に関する判断を行う。
【0015】
また、EC301には、ユーザーインターフェース501が接続されている。ユーザーインターフェース501は、工程管理者がプラズマ処理装置100を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、プラズマ処理装置100の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ、EC301に指令を行うメカニカルスイッチ等を有している。
【0016】
EC301は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体(以下、単に記憶媒体と記す。)507に対して情報を記録し、また記憶媒体507より情報を読み取ることができるようになっている。EC301が基板処理に使用する制御プログラム及びレシピは、例えば、記憶媒体507に格納された状態のものを記憶部としてのハードディスク装置307にインストールすることによって利用することが可能になる。レシピには、半導体を製造するための手順が記憶されている。特に、例えばプラズマ処理装置100に所望の処理(プロセス)を実行させるための条件(温度、圧力、ガスの種類、ガス流量、時間など)が記憶されたレシピを「プロセスレシピ」という。
【0017】
記憶媒体507としては、例えば、CD-ROM、ハードディスク、フレキシブルディスク、フラッシュメモリ、DVD等を使用することができる。また、上記のレシピは、サーバーなどの他の装置から、ネットワークを介してEC301がダウンロードして利用することも可能である。
【0018】
EC301では、チャージ、プロセス(例えば成膜処理)、ディスチャージ(クーリングを含む)の手順を示すレシピ及びプロセスレシピを含むプログラム(ソフトウェア)をCPU303がハードディスク装置307や記憶媒体507から読み出す。そして、EC301は、読み出したレシピ及びプロセスレシピに基づき各MC60にプラズマ処理装置100A~100Dの各部を制御させる。
【0019】
MC60は、各プラズマ処理装置100A~100Dの動作を制御する個別の制御部として設けられている。MC60Aはプラズマ処理装置100Aを、MC60Bはプラズマ処理装置100Bを、MC60Cはプラズマ処理装置100Cを、MC60Dはプラズマ処理装置100Dを、それぞれ個別に制御する。
【0020】
[プラズマ処理装置]
図2及び図3を参照し、プラズマ処理装置100の構成例について説明する。図2は、本開示に係るプラズマ処理装置100の一例を模式的に示す断面図である。
【0021】
プラズマ処理装置100は、下端が開口された有天井の円筒体状の処理容器1を有する。処理容器1の全体は、例えば石英により形成されている。処理容器1内の上端近傍には、石英により形成された天井板2が設けられており、天井板2の下側の領域が封止されている。処理容器1の下端の開口には、円筒体状に成形された金属製のマニホールド3がOリング等のシール部材4を介して連結されている。
【0022】
マニホールド3は、処理容器1の下端を支持しており、マニホールド3の下方から多数枚(例えば、25枚~150枚)のウェハWを多段に載置したボート5が処理容器1内に挿入される。このように処理容器1内には、上下方向に沿って間隔を有して多数枚のウェハWが略水平に収容される。ボート5は、例えば石英により形成されている。ボート5は、3本のロッド6を有し(図3参照)、ロッド6に形成された溝(図示せず)により多数枚のウェハWが支持される。ウェハWは、例えば半導体ウェハであってよい。また、ウェハWを基板という場合がある。
【0023】
ボート5は、石英により形成された保温筒7を介してテーブル8上に載置されている。テーブル8は、マニホールド3の下端の開口を開閉する金属(ステンレス)製の蓋体9を貫通する回転軸10上に支持される。
【0024】
回転軸10の貫通部には、磁性流体シール11が設けられており、回転軸10を気密に封止し、且つ回転可能に支持している。蓋体9の周辺部とマニホールド3の下端との間には、処理容器1内の気密性を保持するためのシール部材12が設けられている。
【0025】
回転軸10は、例えばボートエレベータ等の昇降機構(図示せず)に支持されたアーム13の先端に取り付けられており、ボート5と蓋体9とは一体として昇降し、処理容器1内に対して挿脱される。なお、テーブル8を蓋体9側へ固定して設け、ボート5を回転させることなくウェハWの処理を行うようにしてもよい。
【0026】
プラズマ処理装置100は、処理容器1内へ処理ガス、パージガス等の所定のガスを供給するガス供給部20を有する。
【0027】
ガス供給部20は、ガス供給管21~24を有する。ガス供給管21~23は、例えば石英により形成されており、マニホールド3の側壁を内側へ貫通して上方へ屈曲されて垂直に延びる。ガス供給管21~23の垂直部分には、ボート5の基板支持範囲に対応する上下方向の長さに亘って、それぞれ複数のガス孔21a~23aが所定間隔で形成されている。各ガス孔21a~23aは、水平方向にガスを吐出する。ガス供給管24は、例えば石英により形成されており、マニホールド3の側壁を貫通して設けられた短い石英管からなる。なお、図示の例では、ガス供給管21は2本、ガス供給管22~24はそれぞれ1本設けられている。
【0028】
ガス供給管21は、その垂直部分が処理容器1内に設けられている。ガス供給管21には、ガス配管を介して原料ガス供給源から例えばTSA(トリシリルアミン(SiH3)3N)が供給される。ガス配管には、流量制御器及び開閉弁が設けられている。これにより、TSAは、原料ガス供給源からガス配管及びガス供給管21を介して、所定の流量で処理容器1内に供給される。
【0029】
ガス供給管22は、その垂直部分が後述するプラズマ生成空間に設けられている。ガス供給管22には、ガス配管を介してアンモニアガス供給源からアンモニア(NH3)ガスが供給される。ガス配管には、流量制御器及び開閉弁が設けられている。これにより、NH3ガスは、アンモニアガス供給源からガス配管及びガス供給管22を介して、所定の流量でプラズマ生成空間に供給され、プラズマ生成空間においてプラズマ化されて処理容器1内に供給される。また、ガス供給管22には、ガス配管を介して水素ガス供給源から水素(H2)ガスが供給される。ガス配管には、流量制御器及び開閉弁が設けられている。これにより、H2ガスは、水素ガス供給源からガス配管及びガス供給管22を介して、所定の流量でプラズマ生成空間に供給され、プラズマ生成空間においてプラズマ化されて処理容器1内に供給される。
【0030】
ガス供給管23は、その垂直部分が後述するプラズマ生成空間に設けられている。ガス供給管23には、ガス配管を介して塩素ガス供給源から塩素(Cl2)ガスが供給される。ガス配管には、流量制御器及び開閉弁が設けられている。これにより、Cl2ガスは、塩素ガス供給源からガス配管及びガス供給管23を介して、所定の流量でプラズマ生成空間に供給され、プラズマ生成空間においてプラズマ化されて処理容器1内に供給される。
【0031】
ガス供給管24には、ガス配管を介してパージガス供給源からパージガスが供給される。ガス配管には、流量制御器及び開閉弁が設けられている。これにより、パージガスは、パージガス供給源からガス配管及びガス供給管24を介して、所定の流量で処理容器1内に供給される。パージガスとしては、例えば窒素(N2)、アルゴン(Ar)等の不活性ガスを利用できる。なお、パージガスは、ガス供給管21~23の少なくとも1つから供給されるようにしてもよい。
【0032】
処理容器1の側壁の一部には、プラズマ生成機構30が形成されている。プラズマ生成機構30は、NH3ガスをプラズマ化して窒化のための活性種を生成する。プラズマ生成機構30は、H2ガスをプラズマ化して水素(H)ラジカルを生成する。プラズマ生成機構30は、Cl2ガスをプラズマ化して塩素(Cl)ラジカルを生成する。
【0033】
プラズマ生成機構30は、プラズマ区画壁32、一対のプラズマ電極33、給電ライン34、RF電源35及び絶縁保護カバー36を有する。
【0034】
プラズマ区画壁32は、処理容器1の外壁に気密に溶接されている。プラズマ区画壁32は、例えば石英により形成される。プラズマ区画壁32は断面凹状をなし、処理容器1の側壁に形成された開口31を覆う。開口31は、ボート5に支持されている全てのウェハWを上下方向にカバーできるように、上下方向に細長く形成される。プラズマ区画壁32により規定されると共に処理容器1内と連通する内側空間、すなわち、プラズマ生成空間には、ガス供給管22,23が配置されている。ガス供給管21は、プラズマ生成空間の外の処理容器1の内側壁に沿ったウェハWに近い位置に設けられている。図示の例では、開口31を挟む位置に2本のガス供給管21が配置されているが、これに限定されず、例えば2本のガス供給管21の一方のみが配置されていてもよい。
【0035】
一対のプラズマ電極33は、それぞれ細長い形状を有し、プラズマ区画壁32の両側の壁の外面に、上下方向に沿って対向配置されている。各プラズマ電極33の下端には、給電ライン34が接続されている。
【0036】
給電ライン34は、各プラズマ電極33とRF電源35とを電気的に接続する。図示の例では、給電ライン34は、一端が各プラズマ電極33の短辺の側部である下端に接続されており、他端がRF電源35と接続されている。
【0037】
RF電源35は、各プラズマ電極33の下端に給電ライン34を介して接続され、一対のプラズマ電極33に例えば13.56MHzのRF電力を供給する。これにより、プラズマ区画壁32により規定されたプラズマ生成空間内に、RF電力が印加される。ガス供給管22から吐出されたNH3ガスは、RF電力が印加されたプラズマ生成空間内においてプラズマ化され、これにより生成された窒化のための活性種が開口31を介して処理容器1の内部へと供給される。ガス供給管22から吐出されたH2ガスは、RF電力が印加されたプラズマ生成空間内においてプラズマ化され、これにより生成された水素ラジカルが開口31を介して処理容器1の内部へと供給される。ガス供給管23から吐出されたCl2ガスは、RF電力が印加されたプラズマ生成空間内においてプラズマ化され、これにより生成された塩素ラジカルが開口31を介して処理容器1の内部へと供給される。
【0038】
絶縁保護カバー36は、プラズマ区画壁32の外側に、該プラズマ区画壁32を覆うようにして取り付けられている。絶縁保護カバー36の内側部分には、冷媒通路(図示せず)が設けられており、冷媒通路に冷却されたN2ガス等の冷媒を流すことによりプラズマ電極33が冷却される。プラズマ電極33と絶縁保護カバー36との間には、プラズマ電極33を覆うようにシールド(図示せず)が設けられていてもよい。シールドは、例えば金属等の良導体により形成され、接地される。
【0039】
開口31に対向する処理容器1の側壁部分には、処理容器1内を真空排気するための排気口40が設けられている。排気口40は、ボート5に対応して上下に細長く形成されている。処理容器1の排気口40に対応する部分には、排気口40を覆うように断面U字状に成形された排気口カバー部材41が取り付けられている。排気口カバー部材41は、処理容器1の側壁に沿って上方に延びている。排気口カバー部材41の下部には、排気口40を介して処理容器1を排気するための排気配管42が接続されている。排気配管42には、処理容器1内の圧力を制御する圧力制御バルブ43及び真空ポンプ等を含む排気装置44が接続されており、排気装置44により排気配管42を介して処理容器1内が排気される。
【0040】
処理容器1の周囲には、円筒体状の加熱機構50が設けられている。加熱機構50は、処理容器1及びその内部のウェハWを加熱する。昇降機構によりウェハWを多段に載置したボート5が処理容器1内に収容されることを、「チャージ」という。チャージ後、所望のガスを供給し、ウェハWを加熱しながら成膜処理が施される。その後、処理中に加熱されたウェハWを冷却するクーリングが実行され、ボート5が昇降機構により下降し、処理容器1外にウェハWを出す。ウェハWを冷却し(クーリング)、ボート5を処理容器1外に出すことを「ディスチャージ」という。チャージ→プロセスレシピ実行(ウェハWの処理)→ディスチャージ(クーリングを含む)は、レシピにより予めその手順が設定され、そのうちのウェハWの処理は、プロセスレシピに設定された手順に従い実行される。
【0041】
本開示では、チャージ→プロセスレシピ実行→ディスチャージの各工程の開始及び終了のログが第1履歴情報として記憶される。つまり、第1履歴情報は、プロセスに関するログ情報の一例であり、プラズマ処理装置100にて行われる、基板のチャージ、基板の処理、基板のディスチャージを実行した履歴情報を含み、例えばEC301に記憶される。
【0042】
なお、プロセスレシピ実行の指示により行われるウェハWの処理は、基板処理装置が実行する処理の一例である。基板処理装置が実行する処理には、成膜処理、エッチング処理等の各種のウェハ処理、及び処理容器1内のクリーニング処理等、プラズマ処理装置100が行うすべての処理が含まれる。
【0043】
本開示では、MC60は、例えばプラズマ処理装置100の各部の動作の制御することにより、プラズマ処理装置100が実行する成膜処理を制御する。MC60は、例えばコンピュータ等であってよい。プラズマ処理装置100の各部の動作を行うコンピュータのプログラムは、記憶媒体に記憶されている。記憶媒体は、例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、フラッシュメモリ、DVD等であってよい。
【0044】
MC60は、EC301から実行が要求された1ロットのウェハWについて、EC301に記憶されたレシピ及びプロセスレシピに基づき、チャージ、ウェハWの処理、及び、ディスチャージを実行する。以下、プロセスレシピを含めて「レシピ」ともいう。
【0045】
MC60は、レシピに基づき実行したボート5に多段に載置した複数枚のウェハWの処理、つまり、1ロットの処理の開始/終了、チャージ開始/終了、ウェハ処理の実行開始/終了、及び、ディスチャージ開始/終了などのログをEC301に通知する。また、MC60は、プラズマ処理装置100の装置名、終了状態(異常の有無)、プロセスジョブID、プロセスレシピ名等をEC301に通知する。よって、EC301では、プラズマ処理装置100で行われた動作及びウェハW処理の詳細なログ(履歴情報)をRAM305等の記憶部に記録できる。ただし、MC60自身がログを自身の記憶部に記録してもよいし、EC301とMC60の両方がログを記録してもよい。
【0046】
一方、EC301は、ホストコンピュータ603から送信された、プラズマ処理装置100にジョブの実行を指示する「ジョブの実行指示」を受け付ける。ジョブの実行指示は、1ロットのウェハW処理の実行を指示するものであるが、1ロットには1枚又は複数枚のウェハWが含まれてよく、一度に処理されるウェハWの枚数は限定されない。受け付けたジョブの実行指示は、EC301及びHUB505を経由し、いずれかのプラズマ処理装置100を制御するMC60により受け付けられる。ジョブの実行指示を受け付けたMC60は、1ロットのジョブの実行を開始し、これに応じてプラズマ処理装置100は、レシピに基づき、チャージ、ウェハWの処理、及び、ディスチャージを実行する。本開示では、ジョブの実行指示のログが、第2履歴情報として記憶される。
【0047】
さらに、EC301は、ホストコンピュータ603から送信された、プラズマ処理装置100に複数のジョブを纏めて実行を指示する「制御ジョブ(コントロールジョブ)の実行指示」を受け付ける。制御ジョブの実行指示は、EC301及びHUB505を経由し、いずれかのプラズマ処理装置100を制御するMC60により受け付けられる。制御ジョブの実行指示を受け付けたMC60は、複数ロットのジョブの実行を開始し、これに応じてプラズマ処理装置100は、複数ロットについて、レシピに基づき、チャージ、ウェハWの処理、及び、ディスチャージを実行する。本開示では、制御ジョブの実行指示のログが、第3履歴情報として記憶される。
【0048】
つまり、第2履歴情報及び第3履歴情報は、システムに関するログ情報の一例であり、例えばEC301に記憶される。第2履歴情報は、ホストコンピュータ603等の外部コンピュータからジョブの実行指示を受け付けた履歴情報を含み、第3履歴情報は、外部コンピュータから制御ジョブの実行指示を受け付けた履歴情報を含む。第3履歴情報は記憶されなくてもよい。
【0049】
[アイドル時間について]
次に、アイドル時間について説明する。アイドル時間とは、一般に、プロセス又はシステムが稼働していない時間ともいえるが、様々な観点から複数の異なるアイドル時間を定義できる。そして、アイドル時間がウェハWの処理の品質に大きく影響することが知られている。一例としては、プラズマ処理装置100がプロセスレシピを開始する時の処理容器内の状態は同一のプロセスでは概ね同じであることが要求される。しかし、あるプラズマ処理装置100においてウェハ処理前のアイドル時間が長いと、その装置の処理容器内の状態が変動し、その影響で処理されたウェハWの品質が低下する場合がある。
【0050】
係る場合、アイドル時間を監視しておくことで、ユーザーはウェハWの処理の品質の低下の事実とその原因の調査が容易になる。しかし、これまで、ユーザーがアイドル時間を知るには、ユーザー自身がプラズマ処理装置100のログを表計算ソフトなどで読み込み、ユーザーがコンピュータ等を操作してアイドル時間を算出する必要があった。
【0051】
そこで、本開示では、以下のようにいくつかのアイドル時間を定義しておき、複数のアイドル時間を表示し、ユーザーに提示できる表示方法を提案する。また、ユーザーが選択したアイドル時間のみを表示できる機能も含む。複数のアイドル時間は、EC301、各MC60、又はEC301又は各MC60に接続可能なモニタに表示できる。
(i) プロセスレシピ実行間のアイドル時間(第1アイドル時間の一例)
(ii) 1ロット分のジョブ間のアイドル時間(第2アイドル時間の一例)
(iii) Nロット分の複数ジョブ、すなわち制御ジョブ間のアイドル時間(第3アイドル時間の一例)
なお、本開示のプラズマ処理装置100は一度に多数枚(例えば、25枚~150枚)のウェハWを同時並行的に処理する、いわゆるバッチ処理型のプラズマ処理装置100であるが、枚葉型のプラズマ処理装置100でもアイドル時間は同様に定義される。
【0052】
図4は、各アイドル時間について説明する図の一例である。図4は、縦方向が時間の経過を表しており、上方から下方に時間が経過している。
【0053】
(i) プロセスレシピ実行間のアイドル時間A
プロセスレシピ実行間のアイドル時間は、1つのプロセスのend to startの経過時間である(前後のプロセスの間の時間)。すなわち、直前のプロセスの終了時刻から次のプロセスの開始時刻までの経過時間である。一例としては、MC60の制御により1つのプロセスが終了した時刻から次のプロセスを開始した時刻まである。
【0054】
プロセスレシピ実行間のアイドル時間の定義により、プロセスレシピの実行中を除く、図4で符号Aが付された時間がプロセスレシピ実行間のアイドル時間である。アイドル時間Aは、第1の履歴情報から算出できる。1つのプロセスは、1つの工程のみ含んでいてもよいし、複数の工程を含んでいてもよい。1つのプロセスは、例えば、ウェハWの処理を行うプロセスとして、成膜工程、クリーニング工程、エッチング工程、酸化拡散工程、アニール工程、及び、改質処理工程の一つ又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0055】
処理容器内の状態(チャンバーコンディション)は、基板品質に大きな影響を与えるので、このプロセスレシピ実行間のアイドル時間Aをユーザーに表示することで、ユーザーはトラブルの原因究明にアイドル時間Aを利用できる。
【0056】
また、プロセスレシピにプラズマを用いた処理が含まれる場合、プラズマ励起OFF → 次のプラズマ励起ONまでの時間がアイドル時間Aとなる場合がある。なお、「プラズマ励起OFF」とは、プロセスレシピに基づきRF電源35からプラズマ電極33にRF電力の供給を停止するタイミングをいい、「次のプラズマ励起ON」とは、次に、プロセスレシピに基づきRF電源35からプラズマ電極33にRF電力を供給するタイミングをいう。
【0057】
(ii) 1ロット分のジョブ間のアイドル時間B
1ロット分のジョブ間のアイドル時間は、1ロット分のウェハWのチャージ開始からディスチャージ終了までを1つのジョブと定義した場合のアイドル時間である。1つのジョブはチャージ、プロセスレシピ実行、及び、ディスチャージを含む。チャージには処理容器内の状態をプロセスレシピの実行に適した状態にする時間が含まれる。ディスチャージには処理容器内のクーリングが含まれる。したがって、1ロット分のジョブ間のアイドル時間は、1つ前のロットにおけるウェハWのディスチャージ終了によるジョブの終了をMC60がEC301に通知してから、次のロットの開始(例えば、EC301からのジョブ開始をMC60が受け付けること)までの時間である。ただし、EC301の替わりにMC60が本開示の表示制御を行う場合、1ロット分のジョブ間のアイドル時間は、1つ前のロットにおけるウェハWのディスチャージ終了のログをMC60が記憶してから、次のロットの開始(例えば、EC301からのジョブ開始をMC60が受け付けること)までの時間である。
【0058】
バッチ処理型のプラズマ処理装置100の場合、1ロットで多数枚のウェハWを処理できる。したがって、1ロット分のジョブ間のアイドル時間は、ロット処理とロット処理の間に着目したプラズマ処理装置100の空き時間である。
【0059】
1ロット分のジョブ間のアイドル時間の定義により、ジョブの実行中を除く、図4で符号Bを付した時間が1ロット分のジョブ間のアイドル時間である。アイドル時間Bは、第2の履歴情報から算出できる。
【0060】
図4の例では、3番目のアイドル時間Bが他のアイドル時間Bよりも顕著に長くなっている。よって、アイドル時間Bをユーザーに表示することで、ユーザーは、アイドル時間Bの推移から3番目のアイドル時間Bの前後になんらかのトラブルがあったかもしれないと推定できる。
【0061】
(iii) Nロット分の複数ジョブ間のアイドル時間C
Nロット分の複数ジョブ(制御ジョブ)間のアイドル時間は、Nロット分のウェハWの処理をプラズマ処理装置100が終了してから、次のNロット分のウェハWの処理を開始するまでのシステムの空き時間である。したがって、Nロット分の複数ジョブ間のアイドル時間は、一例としては、1つ前のNロットにおける最後のロットのウェハWのディスチャージ終了から(MC60からEC301へのジョブの終了通知)、次のNロットの実行開始(例えば、ユーザーによるNロットの実行開始操作)までの時間である。
【0062】
Nロット分の複数ジョブ間のアイドル時間の定義により、符号Cが付された、Nロットのプロセスの実行が終了してから、次のNロットのプロセスの実行開始が指示されるまでの時間が、Nロット分の複数ジョブ間のアイドル時間である。アイドル時間Cは、第3の履歴情報から算出できる。
【0063】
プロセスが何かの問題で遅延したなど、プロセス上のトラブルの原因究明にアイドル時間Aを使用できる。また、ホストコンピュータ603又はEC301からのジョブの要求が何かの問題で遅延したなど、システム上のトラブルの原因究明にアイドル時間Bやアイドル時間Cを使用できる。
【0064】
また、アイドル時間B、Cはスループットの目安となる場合がある。例えば、本来、1日に10ロット、基板処理可能なプラズマ処理装置100が8ロットしか処理できなかったとする。このようなスループットの低下の原因調査として、Nロット分の複数ジョブ間のアイドル時間C又は1ロット分のジョブ間のアイドル時間Bが有効になる。
【0065】
[表示するアイドル時間の選択]
ユーザーは図5に示すような、選択画面201で3つのアイドル時間のうち表示するアイドル時間を選択できる。図5は、EC301により表示される選択画面201の一例である。選択画面201は、「表示したいアイドル時間を選択してください。」というメッセージと共に、3つのアイドル時間の種類202~204が表示されている。各アイドル時間の種類にはチェックボタンが対応付けて表示されている。
【0066】
[アイドル時間の表示例]
ユーザーは1つ以上のチェックボタンを選択することで、表示したいアイドル時間をE301に入力できる。EC301は選択された1つ以上のアイドル時間を表示できる。
【0067】
図6は、アイドル時間の表示例を示す図である。図6の画面はログ表示画面である。なお、図6の各行は下から上に時間が経過している。本開示では、EC301はログ画面210においてアイドル時間を表示する。ログ画面210とは独立にアイドル時間を表示してもよいし、別の画面内でアイドル時間を表示してもよい。
【0068】
以上に説明した処理は、主にEC301が行ってもよいし、主にMC60が行ってもよいし、EC301が処理の一部を実行し、MC60が残りの処理を実行してもよい。なお、EC301又はMC60が直接、アイドル時間を表示するのでなく、例えばEC301がサーバー等に送信したログ情報に基づいて、任意の端末装置がWebブラウザ等でアイドル時間を表示してもよい。
【0069】
ログ画面210は、終了状態211、プロセスジョブID212、プロセスレシピ名213、処理開始時刻214、処理終了時刻215、実行時間216、アイドル時間A217、アイドル時間B218、及び、アイドル時間C219、の各項目を有している。各項目について説明する。
【0070】
・終了状態211は、プロセスが正常に終了したか否かを示す。異常があった場合は例えば異常コードなどが表示されてよい。
【0071】
・プロセスジョブID212は1ロットのジョブを識別する識別情報である。プロセスジョブIDが同じならプロセスレシピも同じである。ただし、プロセスレシピが同じでもプロセスジョブIDは異なる場合がある。図6では、プロセスジョブID=09,50,51のジョブが実行されている。プロセスジョブIDが同じ一連のジョブがNロットに相当する。
【0072】
・プロセスレシピ名213は、プラズマ処理装置100が実行したプロセスレシピの名称である。例えば、プロセスレシピのファイル名でよい。
【0073】
・処理開始時刻214は、プロセスの実行をMC60が開始した時刻である。基板の処理にプラズマを用いた処理が含まれる場合、プラズマ励起ONの時刻が記録される。
【0074】
・処理終了時刻215は、MC60がプロセスの実行を終了した時刻である。基板の処理にプラズマを用いた処理が含まれる場合、プラズマ励起OFFの時刻が記録される。
【0075】
・実行時間216は、処理終了時刻と処理開始時刻の差である。
【0076】
・アイドル時間Aは、上記の「プロセスレシピ実行間のアイドル時間A」である。アイドル時間Aは、1つ前のプロセスの処理終了時刻と、当該プロセスの処理開始時刻の差である。
【0077】
・アイドル時間Bは、上記の「1ロット分のジョブ間のアイドル時間B」である。すなわち、当該プロセスの前のプロセスを含む1ロットの終了時刻(不図示)と、当該プロセスを含む1ロットの開始時刻(不図示)の差である。MC60が1ロットの処理終了をEC301に通知してから、次の1ロットの開始(例えば、EC301からMC60が1ロットの処理開始指示を受け付ける)までの時間である。
【0078】
・アイドル時間Cは、上記の「Nロット分の複数ジョブ間のアイドル時間C」である。MC60がNロットの処理終了をEC301に通知してから、EC301が次のNロットの処理を開始する(例えば、ユーザーによるNロットの処理開始操作など)までの時間である。
【0079】
図6によれば、符号220と符号221で示すアイドル時間A~Cが他のアイドル時間に対し突出して長いことが分かる。
【0080】
符号220で示すアイドル時間A~Cは、Nロット分の処理が終了し、次のNロットの処理が開始されるタイミングである。これはプロセスジョブIDが切り替わっていることから分かる。ユーザーは、1つ前のNロットの処理が終了してから「29分15秒」の後に次のNロットの処理をEC301に指示した。そして、次のNロットの最初の1ロットが開始されるまでに、更に「33分55秒=1時間3分10秒-29分15秒」が経過している。これは、例えば処理対象のウェハWが収納されたカセットを移動するために要した時間などである。この結果、プロセスレシピ実行間のアイドル時間が「1時間50分48秒」と長くなっている。
【0081】
符号221で示すアイドル時間A~Cも、Nロット分の処理が終了し、次のNロットの処理が開始されるタイミングである。しかし、ユーザーは、1つ前のNロットの処理が終了してからすぐに(「0時間0分0秒」で)、次のNロットの処理をEC301に指示した。しかし、次のNロットの最初の1ロットが開始されるまでに、「59分33秒」が経過している。この結果、プロセスレシピ実行間のアイドル時間が「1時間40分02秒」と長くなっている。
【0082】
したがって、ユーザーは符号220と221で示すアイドル時間A~Cを参考にして、基板品質に影響が与えられるようなトラブルが発生した可能性があると判断できる。
【0083】
また、EC301は、3つのアイドル時間A~Cの少なくとも1つが閾値以上となった場合に、警報を出力してよい。EC301は、例えば、閾値以上となったアイドル時間の色や輝度を変えて強調する。また、EC301は、閾値以上となったアイドル時間とその種類を電子メール等で担当者に送信してもよい。
【0084】
また、3つのアイドル時間A~Cと、例えば膜質と相関するRI(Refractive Index)を機械学習などの手法で学習してもよい。
【0085】
[処理手順]
図7は、ECがプロセス、ジョブ、及び、Nロットの処理に関する時刻を記録する処理を説明するフローチャート図の一例である。
【0086】
EC301が、ホストコンピュータ603から送信された、Nロットの処理開始指示、すなわち制御ジョブの実行指示を受け付ける(S1)。EC301はNロットの処理開始指示を受け付けた時刻1を記録(保存)する。なお、ジョブ数に当たるN、プロセスレシピ名は、ユーザーが設定してもよいし、ホストコンピュータ603にて自動設定してもよい。
【0087】
続いて、EC301は1ロットずつMC60に実行指示を送信する。MC60は、1ロットの実行指示を受け付ける(S2)。EC301は各ロットの実行指示をMC60に送信した時刻、又は、MC60が1ロットの実行指示を受け付けた時刻を(MC60がEC301に実行指示を受け付けた旨を送信した時刻)、時刻2として記録(保存)する。
【0088】
MC60は1ロット分のウェハWのチャージを開始する(S3)。チャージが終了すると(処理容器内の状態が工程に適した状態になると)、MC60が、チャージが終了した旨をEC301に送信する。EC301はMC60にプロセスレシピの開始を指示し、MC60はプロセスレシピの実行を開始する(S4)。MC60はプロセスレシピを開始した旨をEC301に送信する。これによって、EC301はプロセスレシピの処理開始時刻を時刻3として記録(保存)する。MC60はEC301にチャージが終了した旨をEC301に送信することなく、プロセスレシピを開始してもよい。
【0089】
MC60はプロセスレシピに基づいて基板処理を実行する。1ロットのプロセス(基板処理)が終了すると(S5のYes)、MC60はプロセスレシピが終了した旨をEC301に送信する。EC301はプロセスの処理終了時刻を時刻4として記録(保存)する(S6)。
【0090】
EC301はMC60にディスチャージの開始を指示し、MC60はクーリング等を行い、1ロットのウェハWをディスチャージして1ロットの処理(1つのジョブ)を終了する(S7)。MC60は1ロットの処理が終了した旨をEC301に送信する。EC301は1ロットが終了した時刻5を記録(保存)する。
【0091】
EC301は1ロット分の処理が終了するごとに、Nロット全ての処理が終了したか否かを判断する(S8)。Nロットの処理が残っている場合は、EC301はステップS2から処理を実行する。
【0092】
Nロット全ての処理が終了した場合、EC301はNロットの処理が終了した時刻6を記録(保存)する(S9)。
【0093】
以上で、Nロット分について時刻1~6が記録される。EC301は次のNロットについても同様に時刻1~6を記録する。なお、時刻3,4は第1履歴情報の一例であり、時刻2,5は第2履歴情報の一例であり、時刻1,6は第3履歴情報の一例である。
【0094】
そして、ユーザーがログ画面を表示した場合、EC301は3つのアイドル時間(ユーザー操作に応じて0個から3つのアイドル時間)を表示する。図8は、EC301がアイドル時間を表示する表示方法を説明するフローチャート図の一例である。
【0095】
ユーザーはログ画面の表示に際し、ログ画面で表示するアイドル時間の種類を図5の選択画面201で設定できる。EC301は表示するアイドル時間の種類の選択を受け付ける(S11)。ユーザーがアイドル時間の種類を設定しない場合、デフォルトのアイドル時間が表示されてよい。そして、ユーザーはログ画面210の表示をEC301に指示する。
【0096】
以下では、3つのアイドル時間をEC301がユーザーインターフェース501に表示する場合を説明する。
【0097】
EC301は、各プロセスの時刻4から、次のロットにおけるプロセスの時刻3を減じた値を、プロセスレシピ実行間のアイドル時間として表示する(S12)。
【0098】
また、EC301は、各ロットの時刻5から、次のロットの時刻2を減じた値を、1ロット分のジョブ間のアイドル時間として表示する(S13)。
【0099】
また、EC301は、Nロットの時刻6から、次のNロットの時刻1を減じた値を、Nロット分の複数ジョブ間のアイドル時間として表示する(S14)。
【0100】
このような処理により、MC60は3つのアイドル時間を表示できる。
【0101】
[主な効果]
以上説明したように、本開示のEC301は、アイドル時間を表示するので、ユーザーがプラズマ処理装置100のログを表計算ソフトなどで読み込み、ユーザーがコンピュータ等を操作する必要を低減できる。また、3つの異なるアイドル時間を表示するので、どのアイドル時間が基板品質に影響を与えたのかをユーザーが検討できる。
【0102】
[その他]
以上、プラズマ処理装置100を上記実施形態により説明したが、本開示にかかるプラズマ処理装置100は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【0103】
本開示では、ウェハWを挙げて説明したが、プラズマ処理対象である被処理体は、ウェハWに限られず、LCD(Liquid Crystal Display)、FPD(Flat Panel Display)に用いられる各種基板等であっても良い。
【0104】
また、本開示ではEC301がログを記録する例を説明したが、MC60が一部又は全てのログを記録してもよい。
【符号の説明】
【0105】
1 処理容器
60 制御部
100 プラズマ処理装置
301 EC
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8