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特許7639013無限選択性を有する高アスペクト比エッチング
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-21
(45)【発行日】2025-03-04
(54)【発明の名称】無限選択性を有する高アスペクト比エッチング
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20250225BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L21/302 101B
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2022549012
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-03
(86)【国際出願番号】 US2021015650
(87)【国際公開番号】W WO2021162871
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2024-01-24
(31)【優先権主張番号】62/975,899
(32)【優先日】2020-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベラウ・レオニド
(72)【発明者】
【氏名】ハドソン・エリック・エー.
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-094970(JP,A)
【文献】特開2015-211139(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0096504(US,A1)
【文献】特開2016-105465(JP,A)
【文献】特開2015-073096(JP,A)
【文献】特開平04-176868(JP,A)
【文献】特開2000-311890(JP,A)
【文献】特開平07-169747(JP,A)
【文献】特開平10-053883(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0178899(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する方法であって、前記基板が、下地材料とマスクとを含み、前記下地材料が、少なくとも1層の酸化ケイ素を含み、前記マスクが、前記下地材料の上に配置され、かつ前記下地材料にフィーチャがエッチングされる位置を画定するようにパターニングされており、前記方法は、
a.反応チャンバ内でプラズマを生成することと、
b.前記反応チャンバ内で前記基板を前記プラズマに曝露して、
(i)前記下地材料に前記フィーチャをエッチングすることと、
(ii)前記マスク上に上部マスクプロテクタ層を堆積することであって、前記上部マスクプロテクタ層が、選択的な垂直方向の指向性堆積で前記マスクの上に形成されることと
を同時に行うことと、
を含み、
前記上部マスクプロテクタ層は、グラファイト型カーボンリッチポリマーを含む、方法。
【請求項2】
基板を処理する方法であって、前記基板が、下地材料とマスクとを含み、前記下地材料が、少なくとも1層の酸化ケイ素を含み、前記マスクが、前記下地材料の上に配置され、かつ前記下地材料にフィーチャがエッチングされる位置を画定するようにパターニングされており、前記方法は、
a.反応チャンバ内でプラズマを生成することと、
b.前記反応チャンバ内で前記基板を前記プラズマに曝露して、
(i)前記下地材料に前記フィーチャをエッチングすることと、
(ii)前記マスク上に上部マスクプロテクタ層を堆積することであって、前記上部マスクプロテクタ層が、選択的な垂直方向の指向性堆積で前記マスクの上に形成されることと
を同時に行うことと、
を含み、
前記上部マスクプロテクタ層は、C x Br y z 系材料、C x Cl y z 系材料、C x y z 系材料、又はそれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の方法であって、
前記上部マスクプロテクタ層は、前記マスクと比較して、前記下地材料に関するエッチング選択性が無限大となるように、エッチング中の浸食から前記マスクを保護する、方法。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の方法であって、
前記反応チャンバ内で前記プラズマを生成することは、前記反応チャンバ内に反応混合物を流すことと、前記反応混合物から前記プラズマを生成することとを含み、
前記反応混合物は、(1)水素(H2)と、(2)フルオロメタン(CH3F)、ジフルオロメタン(CH22)、及びトリフルオロメタン(CHF3)からなる群より選択される少なくとも1つの反応物とを含む、方法。
【請求項5】
請求項に記載の方法であって、
前記反応混合物は、非フッ素ハロゲン源をさらに含む、方法。
【請求項6】
請求項に記載の方法であって、
前記非フッ素ハロゲン源は、HBr、Cl2、SiCl4、及びCF3Iからなる群より選択される少なくとも1つの反応物を含む、方法。
【請求項7】
請求項に記載の方法であって、
前記反応混合物は、三フッ化窒素(NF3)、ヘキサフルオロブタジエン(C46)、オクトフルオロプロパン(C38)、オクタフルオロシクロブタン(C48)、六フッ化硫黄(SF6)、テトラフルオロメタン(CF4)、及びメタン(CH4)からなる群より選択される1つ又は複数の添加剤をさらに含む、方法。
【請求項8】
請求項に記載の方法であって、
(i)前記反応チャンバ内の圧力は、(b)の間、10~80mTに維持され、
(ii)前記基板は、(b)の間、0℃から-100℃の温度に維持される基板ホルダ上で支持され、
(iii)イオンエネルギーは、(b)の間、前記基板の表面において1~10kVであり、
(iv)前記プラズマを生成するために使用されるRFエネルギーは、3~50kWの電力レベルで(b)の間にパルス化され、かつ
(v)前記プラズマは、容量結合プラズマである、
方法。
【請求項9】
請求項1または請求項2に記載の方法であって、前記プラズマは、容量結合プラズマである、方法。
【請求項10】
請求項1または請求項2に記載の方法であって、
前記マスクは、前記上部マスクプロテクタ層が前記マスクの上に形成される前に、3500nm以下の厚さを有する、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
(b)でエッチングされる前記フィーチャは、20以上の深さ対幅のアスペクト比を有し、かつ100nm以上の最終深さを有する、方法。
【請求項12】
請求項1または請求項2に記載の方法であって、
(b)でエッチングされる前記フィーチャは、凹型円筒及び凹型トレンチの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項13】
請求項1または請求項2に記載の方法であって、
前記選択的な垂直方向の指向性堆積は、前記下地材料に前記フィーチャがエッチングされる前記位置の上に前記上部マスクプロテクタ層を形成せずに、前記マスクが存在する領域において前記上部マスクプロテクタ層の形成をもたらす、方法。
【請求項14】
請求項1または請求項2に記載の方法であって、
前記下地材料は、前記少なくとも1層の酸化ケイ素と少なくとも1層の窒化ケイ素とを含む、方法。
【請求項15】
請求項1または請求項2に記載の方法であって、前記下地材料が、酸化ケイ素とポリシリコンの交互層を含み、前記少なくとも1層の酸化ケイ素が酸化ケイ素の前記交互層のうちの1つである、方法。
【請求項16】
基板を処理するための装置であって、
前記装置は、
a.反応チャンバと、
b.前記反応チャンバ内に配置された基板支持体と、
c.前記反応チャンバ内でプラズマを生成するように構成されたプラズマ発生装置と、
d.前記反応チャンバへの1つ又は複数の入口と、
e.少なくとも1つのプロセッサを有するコントローラと、
を含み、
前記コントローラは、
i.前記基板が前記反応チャンバ内に配置され、前記基板が下地材料と前記下地材料の上に配置されたマスクとを含んでおり、前記下地材料には誘電体材料が含まれ、
ii.前記反応チャンバ内で前記プラズマが生成され、
iii.前記反応チャンバ内で前記基板を前記プラズマに曝露することにより、
(i)前記基板上の前記下地材料にフィーチャをエッチングするとともに
(ii)前記マスク上に上部マスクプロテクタ層が堆積され、前記上部マスクプロテクタ層が選択的な垂直方向の指向性堆積により、前記マスクの上に形成される、
よう構成されており、
前記コントローラは、前記上部マスクプロテクタ層がグラファイト型カーボンリッチポリマーを含むように(e)(ii)を実行させるよう構成されている、装置。
【請求項17】
基板を処理するための装置であって、
前記装置は、
a.反応チャンバと、
b.前記反応チャンバ内に配置された基板支持体と、
c.前記反応チャンバ内でプラズマを生成するように構成されたプラズマ発生装置と、
d.前記反応チャンバへの1つ又は複数の入口と、
e.少なくとも1つのプロセッサを有するコントローラと、
を含み、
前記コントローラは、
i.前記基板が前記反応チャンバ内に配置され、前記基板が下地材料と前記下地材料の上に配置されたマスクとを含んでおり、前記下地材料には誘電体材料が含まれ、
ii.前記反応チャンバ内で前記プラズマが生成され、
iii.前記反応チャンバ内で前記基板を前記プラズマに曝露することにより、
(i)前記基板上の前記下地材料にフィーチャをエッチングするとともに
(ii)前記マスク上に上部マスクプロテクタ層が堆積され、前記上部マスクプロテクタ層が選択的な垂直方向の指向性堆積により、前記マスクの上に形成される、
よう構成されており、
前記コントローラは、前記上部マスクプロテクタ層がC x Br y z 系材料、C x Cl y z 系材料、C x y z 系材料、又はそれらの組み合わせを含むように(e)(ii)を実行させるよう構成されている、装置。
【請求項18】
請求項16または請求項17に記載の装置であって、
前記プラズマ発生装置は、容量結合プラズマを生成するように構成されている、装置。
【請求項19】
請求項16に記載の装置であって、
前記コントローラは、前記プラズマが反応混合物から生成されるように、前記反応混合物を前記反応チャンバ内に流すことによって(e)(ii)を実行させるよう構成されており、
前記反応混合物は、(1)水素(H2)と、(2)フルオロメタン(CH3F)、ジフルオロメタン(CH22)、及びトリフルオロメタン(CHF3)からなる群より選択される少なくとも1つの反応物とを含む、装置。
【請求項20】
請求項19に記載の装置であって、
前記反応混合物は、非フッ素ハロゲン源をさらに含む、装置。
【請求項21】
請求項20に記載の装置であって、
前記非フッ素ハロゲン源は、HBr、Cl2、SiCl4、及びCF3Iからなる群より選択される少なくとも1つの反応物を含む、装置。
【請求項22】
請求項21に記載の装置であって、
前記反応混合物は、三フッ化窒素(NF3)、ヘキサフルオロブタジエン(C46)、オクトフルオロプロパン(C38)、オクタフルオロシクロブタン(C48)、六フッ化硫黄(SF6)、テトラフルオロメタン(CF4)、及びメタン(CH4)からなる群より選択される1つ又は複数の添加剤をさらに含む、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
参照による援用
PCT願書が、本出願の一部として、本明細書と同時に提出されている。同時に提出されたPCT願書に特定されるように、本出願がその利益又は優先権を主張する各出願は、その全体がすべての目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造中にしばしば利用されるプロセスの1つは、誘電体材料へのエッチングされた円筒や他の凹型フィーチャの形成である。このようなプロセスが行われ得る文脈例として、限定されるものではないが、DRAM及び3D NAND構造体などのメモリ用途が挙げられる。半導体産業が発展し、デバイスの寸法が小さくなるにつれて、特に狭い幅及び/又は深い深度を有する高アスペクト比のフィーチャゆえに、このようなフィーチャを均一な方法でエッチングすることがますます困難になる。
【0003】
ここで提供される背景技術の説明は、本開示の文脈を大まかに提示することを目的とする。この背景技術の項で説明される範囲内における、現時点で名前を挙げられている発明者らによる研究、並びに出願の時点で先行技術として別途みなされ得ない説明の態様は、明示又は暗示を問わず、本開示に対抗する先行技術として認められない。
【発明の概要】
【0004】
基板を処理するための方法及び装置が本明細書に記載される。特に、本明細書における実施形態は、基板をエッチングし、同時に、選択的な垂直方向の指向性堆積で形成される上部マスクプロテクタ層を堆積することに関する。
【0005】
本明細書における実施形態の一態様では、基板を処理する方法が提供され、基板は、誘電体材料とマスクとを含み、誘電体材料は、少なくとも1層の酸化ケイ素を含み、マスクは、誘電体材料の上に配置され、かつ誘電体材料にフィーチャがエッチングされる位置を画定するようにパターニングされており、前記方法が、(a)反応チャンバ内でプラズマを生成することと、(b)反応チャンバ内で基板をプラズマに曝露して、(i)誘電体材料にフィーチャをエッチングすることと、(ii)マスク上に上部マスクプロテクタ層を堆積することとを同時に行うことを含み、上部マスクプロテクタ層は、選択的な垂直方向の指向性堆積でマスクの上に形成される。
【0006】
様々な実施形態において、マスクはエッチング中に消費されず、それにより誘電体材料に関するエッチング選択性は、マスクと比較して、無限大となる。様々な実施形態において、上部マスクプロテクタ層は、マスクと比較して、誘電体材料に関するエッチング選択性が無限大となるように、エッチング中の浸食からマスクを保護する。上部マスクプロテクタ層は、いくつかの構成物のうちの1つを有してもよい。場合によっては、上部マスクプロテクタ層は、グラファイト型カーボンリッチポリマーを含む。これら又は他の場合では、上部マスクプロテクタ層は、CxBryz系材料、CxClyz系材料、Cxyz系材料、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0007】
プラズマを生成することは、反応チャンバ内に反応混合物を流し、反応混合物からプラズマを生成することを含んでもよい。様々な実施形態において、反応混合物は、(1)水素(H2)と、(2)フルオロメタン(CH3F)、ジフルオロメタン(CH22)、及びトリフルオロメタン(CHF3)からなる群より選択される少なくとも1つの反応物とを含んでもよい。これら又は他の実施形態では、非フッ素ハロゲン源をさらに含んでもよい。非フッ素ハロゲン源は、HBr、Cl2、SiCl4、及びCF3Iからなる群より選択される1つ又は複数の反応物を含んでもよい。これら又は他の実施形態では、反応混合物は、三フッ化窒素(NF3)、ヘキサフルオロブタジエン(C46)、オクトフルオロプロパン(C38)、オクタフルオロシクロブタン(C48)、六フッ化硫黄(SF6)、テトラフルオロメタン(CF4)、及びメタン(CH4)からなる群より選択される1つ又は複数の添加剤をさらに含んでもよい。
【0008】
特定の場合において、特定の反応条件が使用されてもよい。例えば、反応チャンバ内の圧力は、(b)の間、約10~80mTに維持されてもよい。これら又は他の実施形態では、基板は、(b)の間、約0℃から-100℃の温度に維持される基板ホルダ上で支持されてもよい。これら又は他の実施形態では、イオンエネルギーは、(b)の間、基板の表面において約1~10kVであってもよい。これら又は他の実施形態では、プラズマを生成するために使用されるRFエネルギーは、約3~50kWの電力レベルで(b)の間にパルス化されてもよい。これら又は他の実施形態では、プラズマは容量結合プラズマであってもよい。
【0009】
様々な実施形態において、マスクは、特定の厚さを有してもよい。一例では、マスクは、上部マスクプロテクタ層がマスクの上に形成される前に、約3500nm以下の厚さを有してもよい。これら又は他の実施形態では、(b)でエッチングされるフィーチャは、約20以上の深さ対幅のアスペクト比を有し、かつ約100nm以上の最終深さを有してもよい。いくつかの場合では、(b)でエッチングされるフィーチャは、凹型円筒を含む。いくつかの場合では、(b)でエッチングされるフィーチャは凹型トレンチを含む。いくつかの場合では、(b)でエッチングされるフィーチャは、凹型円筒及び凸型トレンチの少なくとも1つを含む。
【0010】
様々な実施形態において、選択的な垂直方向の指向性堆積は、誘電体材料にフィーチャがエッチングされる位置の上に上部マスクプロテクタ層を形成せずに、マスクが存在する領域において上部マスクプロテクタ層の形成をもたらす。
【0011】
誘電体材料は、用途に応じていくつかの異なる形態で提供されてもよい。一例では、誘電体材料は、少なくとも1層の酸化ケイ素と少なくとも1層の窒化ケイ素とを含む。酸化ケイ素及び窒化ケイ素は、交互層内に設けられてもよい。この構造は、ONONスタックと呼ばれることもあり、特定の実装において3D NANDデバイスを作成する際に使用される場合がある。他の場合では、酸化ケイ素は、2つ以上の窒化ケイ素層の間に挟まれていてもよい。この構造は、DRAMデバイスを作成する際に使用される場合がある。いくつかの他の場合では、誘電体材料は、ポリシリコンの層と交互になった酸化ケイ素の層として提供されてもよい。この構造は、特定の実装に従い3D NANDデバイスを作成する際に使用される場合がある。
【0012】
本明細書の実施形態の他の態様では、基板を処理するための装置が提供され、装置は、(a)反応チャンバと、(b)反応チャンバ内に配置された基板支持体と、(c)反応チャンバ内でプラズマを生成するように構成されたプラズマ発生装置と、(d)反応チャンバへの1つ又は複数の入口と、(e)少なくとも1つのプロセッサ及び1つのメモリを有するコントローラとを含み、少なくとも1つのコントローラ及び1つのメモリは、互いに通信可能に接続されており、メモリは、(i)基板が反応チャンバ内に配置され、(ii)反応チャンバ内でプラズマが生成され、(iii)反応チャンバ内で基板をプラズマに曝露することにより、(i)基板上の誘電体材料にフィーチャをエッチングするとともに、(ii)誘電体材料の上に配置されたマスク上に上部マスクプロテクタ層が堆積され、上部マスクプロテクタ層が選択的な垂直方向の指向性堆積によりマスクの上に形成されるよう、少なくとも1つのコントローラを制御するためのコンピュータ実行命令を記憶する。
【0013】
いくつかの実施形態において、プラズマ発生装置は、容量結合プラズマを生成するように構成されてもよい。様々な場合では、コントローラは、上部マスクプロテクタ層がグラファイト型カーボンリッチポリマーを含むように(e)(ii)を実行させるよう構成されてもよい。これら又は他の実施形態では、上部マスクプロテクタ層は、CxBryz系材料、CxClyz系材料、Cxyz系材料、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。これら又は他の実施形態では、コントローラは、プラズマが反応混合物から生成されるように、反応混合物を反応チャンバ内に流すことによって(e)(ii)を実行させるよう構成されてもよく、反応混合物は、(1)水素(H2)と、(2)フルオロメタン(CH3F)、ジフルオロメタン(CH22)、及びトリフルオロメタン(CHF3)からなる群より選択される少なくとも1つの反応物とを含む。これら又は他の実施形態では、反応混合物は、非フッ素ハロゲン源をさらに含んでもよい。非フッ素ハロゲン源は、HBr、Cl2、SiCl4、及びCF3Iからなる群より選択される少なくとも1つの反応物を含んでもよい。これら又は他の実施形態では、反応混合物は、三フッ化窒素(NF3)、ヘキサフルオロブタジエン(C46)、オクトフルオロプロパン(C38)、オクタフルオロシクロブタン(C48)、六フッ化硫黄(SF6)、テトラフルオロメタン(CF4)、及びメタン(CH4)からなる群より選択される1つ又は複数の添加剤をさらに含んでもよい。
【0014】
これら及び他の態様は、図面を参照して以下でさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A図1Aは、エッチングプロセスを受ける半導体基板を示し、従来のエッチング法で起こる一般的なマスク侵食問題を例示する。
図1B図1Bは、エッチングプロセスを受ける半導体基板を示し、従来のエッチング法で起こる一般的なマスク侵食問題を例示する。
図1C図1Cは、エッチングプロセスを受ける半導体基板を示し、従来のエッチング法で起こる一般的なマスク侵食問題を例示する。
【0016】
図2A図2Aは、本明細書の一実施形態に係るエッチングプロセスを受ける半導体基板を例示し、ここで上部マスクプロテクタ層はエッチング中にマスク層上に堆積される。
図2B図2Bは、本明細書の一実施形態に係るエッチングプロセスを受ける半導体基板を例示し、ここで上部マスクプロテクタ層はエッチング中にマスク層上に堆積される。
図2C図2Cは、本明細書の一実施形態に係るエッチングプロセスを受ける半導体基板を例示し、ここで上部マスクプロテクタ層はエッチング中にマスク層上に堆積される。
【0017】
図3図3は、本明細書に記載される様々な実施形態に係る、基板をエッチングする方法を説明するフローチャートを示す。
【0018】
図4A図4Aは、特定の実施形態に係るエッチングリアクタを示す。
図4B図4Bは、特定の実施形態に係るエッチングリアクタを示す。
図4C図4Cは、特定の実施形態に係るエッチングリアクタを示す。
【0019】
図5A図5Aは実験結果を示し、図5Aはエッチング前の基板を例示し、図5Bは従来方法によるエッチング後の基板を例示し、図5Cは本明細書に記載される方法によるエッチング後の基板を例示する。
図5B図5Bは実験結果を示し、図5Aはエッチング前の基板を例示し、図5Bは従来方法によるエッチング後の基板を例示し、図5Cは本明細書に記載される方法によるエッチング後の基板を例示する。
図5C図5Cは実験結果を示し、図5Aはエッチング前の基板を例示し、図5Bは従来方法によるエッチング後の基板を例示し、図5Cは本明細書に記載される方法によるエッチング後の基板を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の説明において、多くの具体的詳細が、提示される実施形態の十分な理解を提供するために明記される。開示される実施形態は、これらの具体的詳細の一部又は全てを用いずに実施されてもよい。他の例では、周知のプロセス動作は、開示される実施形態を不必要に不明瞭にすることのないように、詳細には説明されない。開示される実施形態が具体的な実施形態と共に説明される一方で、開示される実施形態に限定することを意図していないことが理解されよう。
【0021】
I.誘電体材料に高アスペクト比フィーチャをエッチングする技術
ある種の半導体デバイスの製造は、基板上に設けられた1つ又は複数の誘電体材料にフィーチャをエッチングすることを含む。誘電体材料は、1つの材料の単層又は複数の材料のスタックである場合もある。場合によっては、スタックは、誘電体材料(例えば、窒化ケイ素と酸化ケイ素、又は酸化ケイ素とポリシリコン)の交互層を含む。エッチングされたフィーチャの一例は、円筒であり、これは高アスペクト比を有する場合がある。エッチングされたフィーチャの他の例は、トレンチであり、これも同様に高アスペクト比を有する。このようなフィーチャのアスペクト比が増加し続けるにつれて、誘電体材料へのフィーチャのエッチングがますます困難になる。
【0022】
基板上に高アスペクト比のフィーチャをエッチングするために、まず基板を特定の用途に望ましい状態に調製する。これは、以下にさらに記載されるように、基板上に誘電体材料の1つ又は複数の層を堆積することを含んでもよい。このような誘電体層は、フィーチャがエッチングされる層を含む。誘電体材料が基板上に堆積された後、マスク層が堆積され、その後基板上にパターニングされる。パターニングされたマスク層は、基板上にフィーチャがエッチングされる場所を画定する役割を果たす。とりわけ、フィーチャは、マスク層が除去された領域にエッチングされる。一方、マスクが残っている領域は、エッチングの間、保護される。
【0023】
図1A-1Cは共に、高アスペクト比フィーチャのエッチング中に生じ得る1つの課題を例示する。図1Aは、エッチング前の基板100を示す。基板100は、その上に下地材料102及びマスク104を有する。下地材料102は、酸化ケイ素及び/又は窒化ケイ素などの誘電体材料の1つ又は複数の層を含んでもよい。特定の例では、下地材料102は、以下でさらに議論されるように、酸化ケイ素と窒化ケイ素との交互層を含む。別の特定の例では、下地材料102は、酸化ケイ素とポリシリコンとの交互層を含む。他の層及び/又は構造が、場合によってはさらに存在してもよい。マスク104は、非晶質炭素などの灰化可能なハードマスク材料であってもよい。図1Aに示すように、マスク104はパターニングされている。図1Bは、フィーチャ106が下地材料102にエッチングされているときの基板100を例示する。上述したように、フィーチャ106は、マスク104が存在しない領域で形成される。しかしながら、マスク104は、エッチング条件の厳しさにより、エッチング中に実質的に侵食される。そのため、図1Bのマスク104は、図1Aのマスク104よりもかなり薄い。図1Cは、エッチング後の(又は図1Bと比較してエッチングのさらに進んだ)基板100を例示する。ここでは、マスク104は完全に侵食されてなくなっている。この時点で、マスク104が侵食されてなくなった後のエッチング状態に対して下地材料102の上部が露出しているため、フィーチャ106をこれ以上深くエッチングすることは困難であるか、又は不可能である。このように、さらなるエッチングは、フィーチャ106の底部と下地材料102の上部/露出部分との両方を侵食することになり、フィーチャ106がこれ以上深くなることを防止する。
【0024】
図1A-1Cに関連して記載される問題は、エッチング選択性に関する。エッチング選択性は、ある材料は他の材料よりも素早くエッチングされるという事実に関係している。図1A-1Cの文脈では、マスク104と比較して、下地材料102が選択的にエッチングされることが望ましい。言い換えれば、下地材料102がマスク104よりも速くエッチングされることが望ましい。
【0025】
特定のエッチングプロセスと材料のセットとに対するエッチング選択性は、次のように数値的に定義できる。すなわち、(材料Aを通してエッチングされた厚さ)/(材料Bを通してエッチングされた厚さ)。例えば、2μmの下地材料と0.5μmのマスクをエッチングすることになるエッチングプロセスは、エッチング選択性4(例えば、2μm/0.5μm=4)を有すると理解され、これはエッチング選択性4:1として表されることもある。エッチング選択性が十分に高くない場合、フィーチャが所望の最終深さに達する前にマスク層が侵食されてなくなる。
【0026】
高アスペクト比のフィーチャのエッチング中に発生する別の問題は、不均一なエッチングプロファイルである。言い換えれば、フィーチャは、まっすぐ下向きに、又は垂直方向にエッチングされない。代わりに、フィーチャの側壁はしばしば弓状になり、エッチングされたフィーチャの中間部分がフィーチャの上部及び/又は下部よりも広くなる(すなわち、横方向にさらにエッチングされる)。このようにフィーチャの中間部分付近が過剰にエッチングされると、残りの材料の構造的及び/又は電子的完全性が損なわれ得る。外側に弓状に曲がったフィーチャの部分は、全フィーチャ深さの比較的小さな部分、又は比較的大きな部分を占めることもある。外側に弓状に曲がったフィーチャの部分は、フィーチャの限界寸法が最大となる部分である。一般に、フィーチャの最大CDは、フィーチャの他の部分、例えばフィーチャの底部又はその近傍のCDとほぼ同じであることが望ましい。残念ながら、アスペクト比が約5と低い場合でも、弓型形状の形成が見られる。
【0027】
これら及び他の制限により、従来のエッチング法は、実際には、比較的低いアスペクト比のフィーチャの形成に限られていた。しかし、いくつかの最近の用途では、従来の技術で実現できるものよりも高いアスペクト比の円筒又は他の凹型フィーチャを必要とする。
【0028】
II.文脈及び応用
本明細書における様々な実施形態において、フィーチャは、表面上に誘電体材料を有する基板(典型的には半導体ウェハ)にエッチングされる。エッチングプロセスは通常はプラズマベースのエッチングプロセスである。
【0029】
フィーチャは、基板表面の凹部である。フィーチャは、限定されないが、円筒、楕円、長方形、正方形、その他の多角形の凹部、トレンチなどを含む多くの異なる形状を有することができる。
【0030】
アスペクト比とは、あるフィーチャの深さとそのフィーチャの限界寸法(通常は幅又は直径)とを比較したものである。例えば、深さ2μm、幅50nmの円筒のアスペクト比は40:1であり、単に40と表記されることが多い。フィーチャは、その深さに対して不均一な限界寸法を持つことがあるため、アスペクト比は、測定場所によって変化し得る。例えば、エッチングされた円筒は、時には、上部及び底部よりも広い中間部を有することもある。このより広い中間部は、前述のように弓型形状と呼ばれることもある。円筒の上部(すなわちネック)での限界寸法に基づいて測定されたアスペクト比は、円筒のより広い中間部/弓型形状での限界寸法に基づいて測定されたアスペクト比より高くなる。本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、アスペクト比はフィーチャの開口部に近い限界寸法に基づいて測定される。
【0031】
本開示の方法を通じて形成されるフィーチャは、高アスペクト比のフィーチャであってもよい。いくつかの用途において、高アスペクト比のフィーチャは、少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約80、又は少なくとも約100のアスペクト比を有するフィーチャである。開示される方法を通じて形成されるフィーチャの限界寸法は、約200nm以下、例えば約100nm以下、約50nm以下、又は約20nm以下であってもよい。
【0032】
フィーチャがエッチングされる下地材料は、様々な場合において誘電体材料を含んでもよい。材料の例として、限定されないが、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭窒化ケイ素、及びこれらの材料の任意の組み合わせからの積層物が挙げられる。特定の材料例として、SiO2、SiN、SiC、SiCNなどの定比及び不定比配合物が挙げられる。エッチングされる1つ又は複数の材料は、他の元素、例えば、様々な場合において水素をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、エッチングされる窒化物材料及び/又は酸化物材料は、水素を含む組成を有する。本明細書で使用される場合、酸化ケイ素材料、窒化ケイ素材料などは、そのような材料の定比バージョンと不定比バージョンとの両方を含み、そのような材料は、上記のように、他の元素を含んでもよいことが理解される。場合によっては、下地材料は、限定されないがポリシリコンを含む、他の材料の層を含んでもよい。
【0033】
開示される方法の1つの応用は、DRAMデバイスの形成の文脈におけるものである。この場合、フィーチャは、主に酸化ケイ素にエッチングされてもよい。基板は、例えば、1層、2層、又はそれ以上の窒化ケイ素層をさらに含んでもよい。一例では、基板は、2つの窒化ケイ素層の間に挟まれた酸化ケイ素層を含み、酸化ケイ素層の厚さは約800~1800nmであり、窒化ケイ素層の1つ又は複数は約20~600nmの厚さである。エッチングされたフィーチャは、約1~3μmの間、例えば約1.5~2μmの最終深さを有する円筒であってもよい。円筒は、約10~50nmの間、例えば約15~30nmの幅を有してもよい。円筒がエッチングされた後、そこにキャパシタメモリセルを形成できる。
【0034】
開示される方法の別の応用は、垂直NAND(VNAND、3D NANDとも呼ばれる)デバイスの形成の文脈におけるものである。この場合、フィーチャがエッチングされる材料は、反復層構造を有してもよい。例えば、材料は、酸化物(例えば、SiO2)と窒化物(例えば、SiN)との交互層、又は酸化物(例えば、SiO2)とポリシリコンとの交互層を含んでもよい。交互層は、材料のペアを形成する。場合によっては、ペアの数は、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約120、少なくとも約240、又は少なくとも約380であってもよい。様々な場合において、ペアの数は、約10~60(例えば、約20~120の個別層)、又は約100~200、又は約200~400であってもよい。現在のデバイス寸法に基づき、酸化物層は、約20~50nmの間、例えば約30~40nmの厚さであってもよい。窒化物層又はポリシリコン層は、約20~50nmの間、例えば約30~40nmの厚さであってもよい。デバイスの寸法が縮小し続けるにつれて、これらの層はより薄くなり、例えば、各層の厚さが10nm未満にさえ達することもある。本明細書に記載される技術は、これらの実施形態においても、無限の選択性を達成することが期待される。交互層にエッチングされたフィーチャは、約2~15μmの間、例えば約4~7μmの深さを有してもよい。フィーチャは、約50~450nmの間、例えば約50~100nmの幅を有してもよい。高さ、アスペクト比、厚さ、幅、及び深さなどの、本明細書で提供される寸法/パラメータの詳細は、例示及び説明のみのためのものである。本明細書に記載される開示に基づき、様々な寸法/パラメータがさらに適用又は使用されてもよいことを理解されたい。
【0035】
III.エッチングプロセス
様々な実施形態において、エッチングプロセスは、(多くの場合、シャワーヘッドを介して)化学エッチング剤を反応チャンバに流し、特にエッチング剤からプラズマを生成し、基板をプラズマに曝露することを含む反応性イオンエッチングプロセスである。プラズマは、エッチング剤化合物を中性種とイオン種(例えば、CF、CF2、CF3などの帯電物質又は中性物質)とに分離する。プラズマは、多くの場合、容量結合プラズマであるが、他のタイプのプラズマを適宜使用してもよい。プラズマ中のイオンは基板に向けられ、衝撃又はイオン誘起化学反応によって下地材料をエッチング除去させる。
【0036】
エッチングプロセスを行うのに使用され得る装置の例として、カリフォルニア州フリーモントのLam Research Corporationから入手可能な反応性イオンエッチングリアクタのFLEX(商標)及びVANTEX(商標)製品ファミリが挙げられる。
【0037】
本明細書に開示される方法は、その上に誘電体材料を有する半導体基板をエッチングするのに特に有用である。上述したように、誘電体材料の例として、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭窒化ケイ素、及びこれらの材料の任意の組み合わせからの積層物が挙げられる。特定の材料例として、SiO2、SiN、SiC、SiCNなどの定比及び不定比配合物が挙げられる。上述のように、エッチングされる下地材料は、材料の複数の種類/層を含んでもよい。特定の場合において、下地材料は、SiNとSiO2との交互層、又はポリシリコンとSiO2との交互層として提供されてもよい。基板は、典型的には、フィーチャがエッチングされる場所を画定する、重ね合わせマスク層を有する。本明細書の様々な実施形態において、マスク層は、非晶質炭素などの灰化可能なハードマスク材料である。
【0038】
上述したように、エッチング選択性と弓型形状の形成に関する問題は、典型的には、凹型フィーチャをエッチングするときに達成可能なアスペクト比を制限する。しかしながら、本発明者らは、高アスペクト比のフィーチャが、無限の選択性で、かつ実質的な弓型形状を形成することなく、うまくエッチング可能であることを発見した。例えば、本明細書の方法は、従来の方法のようにエッチング中にマスク層を侵食するのではなく、マスク層の上に選択的な垂直方向の指向性堆積を行うので、無限の選択性を提供する。その結果、マスク層は侵食から保護され、それにより、下地材料におけるフィーチャのエッチングを所望の深さまで継続できる。本明細書で使用される場合、選択的な垂直方向の指向性堆積は、露出した水平面(例えば、マスク層の水平上面)に選択的に材料を堆積させる堆積プロセスであり、材料は水平面に垂直な垂直方向に蓄積される。エッチングされるフィーチャの下面は、露出した水平面とはみなされない。
【0039】
エッチング中にマスク層の上に蓄積される材料は、上部マスクプロテクタと呼ばれることもあり、エッチング中に形成されるそのような材料の層は、上部マスクプロテクタ層と呼ばれることもある。この材料は、エッチングプロセス中に形成され、マスク層、及びマスク層の下の下地材料を保護するように作用する。
【0040】
上部マスクプロテクタ層は、例えば関連する層の位置が異なるため、フィーチャの側壁上に形成される可能性のある保護側壁層とは異なる。例えば、保護側壁層はフィーチャの側壁上に形成されるが、上部マスクプロテクタ層はマスク層の上に形成される。側壁への堆積は、特に、フィーチャを閉じたり狭めたりし、かつさらなるエッチングを妨げるのに十分なほど広範囲に及ぶ場合、問題になり得る。有利なことに、本明細書に記載される選択的な垂直方向の指向性堆積は、マスク又は下地材料の垂直面(例えば、側壁)上に堆積しないので、エッチングプロセスを停止しかねない程度にフィーチャを狭めるリスクを回避する。
【0041】
さらに、基板が能動的かつ連続的にエッチングされている間に、上部マスクプロテクタ層が形成されることを強調する必要がある。対照的に、保護側壁層が存在する多くの場合では、保護側壁層は、エッチングステップとは別の堆積ステップで堆積される(例えば、堆積ステップとエッチングステップは同時に行われない)。同様に、上部マスクプロテクタ層は、マスク層上に追加の材料を堆積するために別の堆積ステップで堆積される場合もあるマスクシュリンク層とは別である。上部マスクプロテクタ層はまた、特定のエッチングプロセス中に側壁に蓄積される場合もある従来のCxy系の側壁ポリマーとは別のものである。そのような従来のCxy系の側壁ポリマーは、上部マスクプロテクタ層が堆積されるのと同時にエッチング中に蓄積される場合もある。ただし、従来のCxy系の側壁ポリマーは、本明細書に記載の上部マスクプロテクタ層と比較して異なる位置に堆積される。具体的には、従来のCxy系の側壁ポリマーは、フィーチャの側壁に堆積されるが、上部マスクプロテクタ層は、マスク層の上面のみに堆積される。言い換えれば、従来のCxy系の側壁ポリマーは、典型的に、垂直面に堆積するが、上部マスクプロテクタ層はマスク層の水平上面にのみに堆積する。多くの場合、従来のCxy系の側壁ポリマーは、フィーチャの側壁に沿って(例えば、フィーチャの深さ全体に沿って、又は少なくともフィーチャの上部/開口部付近に沿って)コンフォーマルに堆積される。
【0042】
とりわけ、上部マスクプロテクタ層が選択的な垂直方向の指向性堆積プロセス(エッチング中に行われる)で堆積されるため、マスク層に設けられたパターンが維持される。言い換えれば、上部マスクプロテクタ層は、マスクが存在する領域では、マスク層の水平上面に垂直に蓄積される。上部マスクプロテクタは、側壁などの垂直面には蓄積されない。このように、堆積プロセスは、水平なマスク表面にのみ堆積するという点で選択的である。マスクが存在しない領域(例えば、フィーチャがエッチングされる場所を画定するためのパターンの一部としてマスクが除去された領域)では、上部マスクプロテクタ層は形成されない。マスク層の水平上面へのこの選択的な堆積は、エッチングされるフィーチャが開いたままで、エッチング中に閉鎖されることがないことを保証する。さらに、本明細書に記載される方法は、エッチングされたフィーチャ内に大きな弓型形状を形成しない。
【0043】
図2A-2Cは、本明細書に記載される実施形態に係る、エッチングを受けるときの部分的に製造された半導体基板を示す。図2Aは、エッチング前の基板200を示す。基板200は、下地材料202とマスク204とを含む。図1A-1Cと比較して、下地材料202は下地材料102に類似しており、マスク204はマスク104に類似している。一つの違いは、マスク204がマスク104より薄くてもよいことである。本明細書の方法は無限の選択性を提供するので、マスクは、エッチング結果を損なうことなく非常に薄くすることができる。図2Bは、フィーチャ206を形成するために実行される、本明細書に記載されるエッチングプロセス中の基板200を例示する。図2A及び2Bを比較することによって、マスク204がエッチングプロセス中に侵食されていないことが分かる。代わりに、図2Bに例示されるように、上部マスクプロテクタ層208がマスク204の上に形成され、それによって、エッチング中にマスク204が侵食されるのを防ぐ。図2Cは、エッチング後の(又は図2Bと比較してエッチングプロセスのさらに進んだ)基板200を示す。ここで、マスク204は、エッチング前とエッチング中とを比較して、依然として同じ厚さであることが分かる。図2Cに示すように、フィーチャ206がより深くエッチングされるにつれて、上部マスクプロテクタ層208の厚さが大きくなっている。このプロセスは、下地材料202が特定の深さまでエッチングされる一方で、マスク204はエッチングされないので、無限のエッチング選択性を示す。ここで、選択性は次のように計算される。(下地材料のエッチング深さ)/(マスクのエッチング深さ、これは0である)。分母が0であり、0で割った数値は無限大となるため、エッチング選択性は無限大と見なされる。
【0044】
いくつかの場合では、例えば、上部マスクプロテクタ層が完全に形成される前のエッチングのごく初期に、エッチング中にマスクの僅少量が消費されることがある。しかし、このようなマスクの消費は、マスク層上の上部マスクプロテクタ層の成長によって速やかに緩和され、一旦、上部マスクプロテクタ層が形成されると、その下のマスク層のさらなるエッチングはない。さらに、形成される上部マスクプロテクタ層の量/厚さは、除去され得る元のマスクの僅少な量/厚さよりも大きい。図2Cに示すように、上部マスクプロテクタ層は、本質的に上部マスクプロテクタ層の上端までマスクの高さを拡張する。このように、(a)エッチング中に消費されるマスクの厚さが開始時のマスクの厚さの20%未満であり、(b)エッチング後、最終的な上部マスクプロテクタ層とマスクとを合わせた厚さが開始時のマスクの厚さと少なくとも同じである限り、エッチング中に生じるマスクの任意の僅少のエッチングは、エッチング選択性の算出時に考慮されるべきではない。例えば、エッチング前に500nmの厚さのマスクで始まり、エッチング後に10nm以上の厚さの上部マスクプロテクタ層を有する490nmの厚さのマスクで終わる基板は、無限のエッチング選択性を有すると理解される。この例では、マスクのエッチングが僅少(10nm、すなわち2%)であったが、マスクとして機能する10nm以上の厚さの上部マスクプロテクタ層の形成により、そのようなマスク消費は緩和された。この例では、エッチング中に消費されたマスクの厚さ(10nm)は、エッチング中に堆積された上部マスクプロテクタ層の厚さ(10nm)に等しかったが、本明細書のほとんどの実施形態では、エッチング中に堆積される上部マスクプロテクタ層の厚さは、上記のように、少なくとも部分的には、行われるエッチングが僅少であるので、エッチング中に消費されるマスクの厚さよりも大きい。このような場合、下地材料上の材料の終了時の厚さ(例えば、最終的なマスクと上部マスクプロテクタ層とを合わせた厚さ)は、下地材料上の材料の開始時の厚さ(例えば、エッチング前のマスクの厚さ)よりも厚い。このような無限の選択性は、高アスペクト比のフィーチャをエッチングするのに非常に有利である。
【0045】
図3は、本明細書の様々な実施形態に係る高アスペクト比フィーチャをエッチングする方法を説明するフローチャートを例示する。方法は、動作301で始まり、ここで基板が反応チャンバに入れられる。反応チャンバの一例は、図4A-4Cを参照して以下に説明される。基板は、場合によっては、静電チャックなどの基板支持体に搭載されてもよい。方法は動作303に続き、ここで反応混合物がチャンバに流される。反応混合物は、それぞれが1つ又は複数の目的を果たし得る様々な反応物を含んでもよい。反応混合物は、以下でさらに議論されるエッチングの化学作用を含む。
【0046】
次に、動作305において、プラズマをチャンバ内で衝突させる。プラズマは、典型的には、容量結合プラズマである。基板はプラズマに曝露されてもよい。動作307において、基板がエッチングされる。基板は、プラズマ中のイオン及び/又はラジカルによりエッチングされてもよい。次に、動作309において、プラズマが消され、基板がチャンバから取り出される。基板は、反応チャンバからの除去後、さらなる処理に供されてもよい。例えば、基板は灰化リアクタに移送されてもよく、灰化リアクタにおいて、上部マスクプロテクタ層及びマスクが灰化手順で基板から除去されてもよい。動作311において、反応チャンバは随意に洗浄されてもよい。洗浄は、基板が存在しない間に行われてもよい。洗浄は、例えば、プラズマの形態で提供されることもある洗浄化学作用にチャンバ表面を曝露することを含んでもよい。動作313において、処理すべき追加の基板があるかどうかが判定される。もしある場合は、方法は、新しい基板上で動作301から繰り返される。そうでなければ、方法は完了する。
【0047】
図3に示された動作は、必ずしも示された順序で行われるとは限らない。一部の動作は時間的に重なってもよく、又は、一部の動作は図示されたものと比較して早い時間若しくは遅い時間に行われてもよい。
【0048】
IV.処理条件
本明細書に記載される実施形態を実施する際に制御され得る処理条件が多数存在する。例えば、反応チャンバに提供される反応混合物は、特定の反応物を含んでもよい。様々な実施形態において、反応混合物は、(1)水素(H2)と、(2)フルオロメタン(CH3F)、ジフルオロメタン(CH22)、及びトリフルオロメタン(CHF3)からなる群より選択される少なくとも1つの反応物とを含む。様々な実施形態において、反応混合物は、1つ又は複数の非フッ素ハロゲン源(例えば、HBrなどの臭素源;Cl2、SiCl4などの塩素源;CF3Iなどのヨウ素源)をさらに含んでもよい。反応混合物はまた、1つ又は複数の不活性ガス(例えば、Ar、Krなど)を含んでもよい。場合によっては、反応混合物は、三フッ化窒素(NF3)、オクトフルオロプロパン(C38)、ヘキサフルオロブタジエン(C46)、オクタフルオロシクロブタン(C48)、六フッ化硫黄(SF6)、テトラフルオロメタン(CF4)、及びメタン(CH4)からなる群より選択される1つ又は複数の添加剤を含んでもよい。プラズマは反応混合物から形成され、得られた種が、エッチングされる下地材料(例えば、多くの場合では酸化ケイ素と窒化ケイ素、又は酸化ケイ素とポリシリコン)と相互作用する。この相互作用により、本明細書で上部マスクプロテクタ層として記載される材料が形成され、上部マスクプロテクタ層は、エッチングプロセス中に選択的な垂直方向の指向性堆積で形成される。上部マスクプロテクタ層は、グラファイト型カーボンリッチポリマーであってもよい。上部マスクプロテクタ層のカーボンリッチポリマーは、フッ素を含んでもよく、反応混合物中の非フッ素ハロゲン源に由来する非フッ素ハロゲンをさらに含んでもよい。例えば、非フッ素ハロゲン源が臭素を含む場合、上部マスクプロテクタ層は、CxBryz系材料を含んでもよい。非フッ素ハロゲン源が塩素を含む場合、上部マスクプロテクタ層は、CxClyz系材料を含んでもよい。非フッ素ハロゲン源がヨウ素を含む場合、上部マスクプロテクタ層は、Cxyz系材料を含んでもよい。
【0049】
様々な実施形態において、反応混合物中の様々な反応物の流量が制御されてもよい。様々な場合において、H2の流量は、約10~400sccmであってもよく、又は約20~400sccmであってもよい。これら又は他の場合において、CH3Fの流量は、約0~200sccmであってもよい。これら又は他の場合において、CH22の流量は、約0~200sccmであってもよい。これら又は他の場合において、CHF3の流量は、約0~200sccmであってもよい。CH3F+CH22+CHF3の合計流量は、約20~300sccmであってもよい。場合によっては、NF3の流量は、約0~100sccmであってもよい。これら又は他の場合において、SF6の流量は、約0~20sccmであってもよい。これら又は他の場合において、CF4の流量は、約0~100sccmであってもよい。これら又は他の場合において、非フッ素ハロゲン源の流量は、約0~100sccmであってもよい。これら又は他の場合において、C38の流量は、約0~50sccmであってもよい。これら又は他の場合において、C48の流量は、約0~50sccmであってもよい。これら又は他の場合において、C46の流量は、約0~50sccmであってもよい。C38+C48+C46の合計流量は、約0~50sccmであってもよい。これら又は他の場合において、CH4の流量は、約0~100sccmであってもよい。本明細書に記載される反応物/添加剤のいずれも、少なくとも約1sccm、又は少なくとも約5sccm、又は少なくとも約10sccmの速度で流されてもよい。本明細書に記載の流量範囲の多くは最小0sccmを含むが、これらの種は反応混合物中に存在してもしなくてもよく、存在する場合には、少なくとも約1sccm、又は少なくとも約5sccm、又は少なくとも約10sccmの速度で流れてもよいことが理解される。これらの速度は、約50リットルのリアクタ容積において適切であり、適宜調整できる。
【0050】
反応チャンバ内の圧力がエッチング中に制御されてもよい。様々な実施形態において、圧力は、約10~80mTorr、又は約15~40mTorrであってもよい。反応チャンバ内で基板を支持するために使用される基板ホルダの温度は、制御されてもよい。そのような基板ホルダの温度は、エッチング中の基板の温度に影響を与えるが、基板の実際の温度は、プラズマ条件などの追加の要因によっても影響を受ける。特定の実施形態では、基板ホルダは、プラズマへの曝露前及び/又は曝露中に低温に冷却されてもよい。この低温は、約0°C以下であってもよい。いくつかの実施形態において、この低温は、約-100°Cと低くてもよい。
【0051】
反応チャンバに提供される基板は、図1A-1C及び図2A-2Cに関連して上述したように、下地材料(典型的には1つ又は複数の誘電体材料を含む)及び上を覆うマスクを含む特定の構造を有する。様々な実施形態において、下地材料は、上述したDRAM又は3D NAND構造を含んでもよい。本明細書に記載される方法は、エッチング中にマスクが侵食されないため、無限のエッチング選択性をもたらし、したがってマスクは、これらの用途で典型的に使用される従来のマスクよりも実質的に薄くすることができる。様々な実施形態において、マスクは、約100~1000nmの厚さを有してもよい。場合によっては、マスクは、少なくとも約100nmの厚さ、又は少なくとも約300nmの厚さ、又は少なくとも約500nmの厚さである。これら又は他の場合、マスクは、約1000nm以下、又は約500nm以下、又は約300nm以下の厚さを有してもよい。このようなマスクの厚さは、少なくとも約3000nm、又は少なくとも約15000nmの最終深さ、及び/又は少なくとも約20、又は少なくとも約200のアスペクト比を有するフィーチャをエッチングするのに適切である場合がある。もちろん、従来の厚さ(例えば、>3μmのマスク厚)を有するマスクも、場合によっては使用できる。
【0052】
プラズマ生成条件は、基板表面で特定の条件を提供するように制御されてもよい。様々な実施形態において、基板における最大イオンエネルギーは、例えば約1~10kVなど、比較的高くてもよい。最大イオンエネルギーは、電極サイズ、電極配置、及びチャンバ形状の詳細と組み合わせて、印加されるRF電力によって決定される。様々な場合において、2周波RF電力が、プラズマを生成するために使用される。したがって、RF電力は、第1の周波数成分(例えば、約400kHz)と第2の周波数成分(例えば、約60MHz)とを含んでもよい。各周波数成分で異なる電力が提供されてもよい。例えば、第1の周波数成分(例えば、約400kHz)は、約3~50kWの間又は約3~15kWの間、例えば約5kWの電力で提供されてもよく、第2の周波数成分(例えば、約60MHz)は、異なる電力で、例えば約0.5~5kWの間、例えば約4kWの電力で提供されてもよい。これらの電力レベルは、RF電力が単一の300mmウェハに供給されることを想定している。電力レベルは、追加の基板及び/又は他のサイズの基板に対して、基板面積に基づいて線形に調整できる(それによって、基板に供給される電力密度が均一に維持される)。他の態様では、3周波RF電力が、プラズマを生成するために使用されてもよい。様々な態様において、印加されたRF電力は、1~20,000Hzの繰り返し率でパルス化されてもよい。RF電力は、2つの非ゼロ値間(例えば、より高い電力状態とより低い電力状態との間)又はゼロと非ゼロ値との間(例えば、オフ状態とオン状態との間)でパルス化されてもよい。RF電力が2つの非ゼロ値間でパルス化される場合、上述の電力は、より高い電力状態に関連し、より低い電力状態は、約600W以下のRF電力に対応し得る。
【0053】
タイミングは、異なる実施形態間で異なる場合がある。典型的には、より深く、より高いアスペクト比を有するフィーチャは、より浅く、より低いアスペクト比を有するフィーチャと比較して、エッチングに時間がかかる。このように、基板がプラズマに曝露される持続時間は、フィーチャの所望の深さに依存する場合があり、より深いフィーチャは、より長いプラズマ曝露持続時間を必要とする。様々な実施形態において、基板は、約10~120分の持続時間の間、プラズマに曝露されてもよい。同様に、総エッチング深さは、特定の用途に依存する。いくつかの場合(例えば、DRAM)では、総エッチング深さは、約1.5~2μmであってもよい。他の場合(例えば、VNAND)では、総エッチング深さは少なくとも約3μm、例えば少なくとも約4μmであってもよい。これら又は他の場合では、総エッチング深さは、約15μm以下であってもよい。
【0054】
V.利点
本明細書に記載される実施形態は、多くの利点をもたらす。例えば、上部マスクプロテクタ層の選択的な垂直方向の指向性堆積は、無限のエッチング選択性をもたらす。これは、エッチング中にマスクが消費されないことを意味する。むしろ、上部マスクプロテクタ層がマスクの上に形成され、それによって、エッチングの間、マスクはその完全な開始時の厚さで、無傷のままであることが保証される。
【0055】
特に、無限のエッチング選択性により、従来の方法でこれまで達成可能であったよりも、より深く、高いアスペクト比のフィーチャを形成できる。エッチング中にマスク層が消費されるリスクがないため、より深いフィーチャが形成され得る。マスク消費の問題及び高アスペクト比のフィーチャの形成に対するその限界は、上記で図1A-1Cに関連して議論されている。そのような問題は、開示された方法では発生しない。
【0056】
開示された実施形態によって達成される無限のエッチング選択性の別の利点は、マスク材料の量(例えば、マスクの厚さ)を、従来のエッチング技術に必要なものと比較して減らすことができることである。マスク材料のこの減少は、実質的な時間及びコストの節約につながるため、有益である。例えば、より薄いマスクはより厚いマスクよりも早く形成され、同様に、より早くパターニング/現像することができる。そのため、より薄いマスクは、マスクの調製に使用される特定の処理装置のスループットの増加をもたらす。さらに、より薄いマスクは、必要な材料が少ないため、堆積にかかるコストが低い。これらの利点は併せて、従来のエッチング技術に対する大きな予想外の改善を意味する。
【0057】
VI.装置
本明細書に記載される方法は、任意の好適な装置によって実行されてもよい。好適な装置は、プロセス動作を達成するためのハードウェアと、本実施形態に従ってプロセス動作を制御するための命令を有するシステムコントローラとを含む。例えば、いくつかの実施形態では、ハードウェアは、プロセスツールに含まれる1つ又は複数のプロセスステーションを含んでもよい。
【0058】
図4A-4Cは、本明細書に記載されるエッチング動作を実行するために使用され得る、調節可能なギャップ容量結合閉込めRFプラズマリアクタ400の実施形態を例示する。示されるように、真空チャンバ402は、下部電極406を収容する内部空間を取り囲むチャンバハウジング404を含む。チャンバ402の上部では、上部電極408が下部電極406から垂直に間隔を空けて配置されている。上部電極408及び下部電極406の平面表面は、実質的に平行であり、かつ電極間の垂直方向に対して直交している。好ましくは、上部電極408及び下部電極406は、円形であり、垂直軸と同軸である。上部電極408の下面は、下部電極406の上面に面している。間隔をおいて対向する電極表面は、その間に調節可能なギャップ410を画定する。動作中、下部電極406は、RF電源(整合)420によってRF電力を供給される。RF電力は、RF供給導管422、RFストラップ424、及びRF電力部材426を介して下部電極406に供給される。接地シールド436は、より均一なRFフィールドを下部電極406に提供するために、RF電力部材426を取り囲んでもよい。ウェハは、ウェハポート482から挿入されて、処理のために下部電極406上のギャップ410内で支持され、プロセスガスがギャップ410に供給されて、RF電力によってプラズマ状態に励起される。上部電極408に電力を供給する、或いは上部電極408を接地させることもできる。
【0059】
図4A-4Cに示す実施形態では、下部電極406は、下部電極支持プレート416上で支持される。下部電極406と下部電極支持プレート416との間に介在する絶縁体リング414は、下部電極406を支持プレート416から絶縁する。
【0060】
RFバイアスハウジング430は、下部電極406をRFバイアスハウジングボウル432上に支持する。ボウル432は、RFバイアスハウジング430のアーム434によって、チャンバ壁プレート418の開口部を介して導管支持プレート438に接続される。好ましい実施形態では、RFバイアスハウジングボウル432及びRFバイアスハウジングアーム434は、1つの構成要素として一体的に形成されるが、アーム434及びボウル432は、共にボルト止め又は接合された2つの別個の構成要素とすることもできる。
【0061】
RFバイアスハウジングアーム434は、下部電極406の裏側の空間において、真空チャンバ402の外部から真空チャンバ402の内部に、気体冷却剤、液体冷却剤、RFエネルギー、リフトピン制御用ケーブル、電気的な監視及び動作信号などの、RF電力及び設備を通すための1つ又は複数の中空通路を含む。RF供給導管422は、RFバイアスハウジングアーム434から絶縁されており、RFバイアスハウジングアーム434は、RF電源420へのRF電力の戻り経路を提供する。設備導管440は、設備構成要素のための通路を提供する。ギャップ410は、好ましくは、閉込めリングアセンブリ又はシュラウド(図示せず)により囲まれる。真空チャンバ402の内部は、真空ポータル480を介した真空ポンプへの接続により、低圧に維持される。
【0062】
導管支持プレート438は、作動機構442に取り付けられている。サーボ機械モータ、ステッピングモータなどの作動機構442は、例えば、ボールねじなどのねじ歯車446とボールねじを回転させるためのモータとによって垂直リニアベアリング444に取り付けられている。ギャップ410の大きさを調節するための動作中、作動機構442は、垂直リニアベアリング444に沿って移動する。図4Aは、作動機構442がリニアベアリング444に対して高い位置にあり、その結果、ギャップ410aが小さくなっている配置を例示する。図4Bは、作動機構442がリニアベアリング444に対して中間位置にあるときの配置を例示する。示されるように、下部電極406、RFバイアスハウジング430、導管支持プレート438、RF電源420はすべて、チャンバハウジング404及び上部電極408に対して低く移動しており、その結果、ギャップ410bは中程度のサイズとなる。
【0063】
図4Cは、作動機構442がリニアベアリングに対して低い位置にあるときの、大きなギャップ410cを例示する。好ましくは、上部電極408及び下部電極406は、ギャップ調節の間、同軸のままであり、かつギャップを横切る上部電極及び下部電極の対向面は、平行のままである。
【0064】
この実施形態は、例えば、300mmウェハ又はフラットパネルディスプレイなどの大径基板にわたって均一なエッチングを維持するために、マルチステップのプロセスレシピ(BARC、HARC、及びSTRIPなど)中のCCPチャンバ402内の下部電極406と上部電極408との間のギャップ410を調節することを可能にする。特に、このチャンバは、下部電極406と上部電極408との間に調節可能なギャップを設けるための線形運動を可能にする機械的配置に係るものである。
【0065】
図4Aは、近位端で導管支持プレート438に、遠位端でチャンバ壁プレート418の段付きフランジ428にシールされた、横方向にたわんだベローズ450を例示する。段付きフランジの内径は、RFバイアスハウジングアーム434が通過するチャンバ壁プレート418の開口部412を画定する。ベローズ450の遠位端は、クランプリング452によって固定される。
【0066】
横方向にたわんだベローズ450は真空シールを提供し、同時にRFバイアスハウジング430、導管支持プレート438、及び作動機構442の垂直方向の移動を可能にする。RFバイアスハウジング430、導管支持プレート438、及び作動機構442は、カンチレバーアセンブリと呼ぶこともできる。好ましくは、RF電源420は、カンチレバーアセンブリと共に移動し、導管支持プレート438への取り付けが可能である。図4Bは、カンチレバーアセンブリが中間位置にあるときのニュートラル位置にあるベローズ450を示す。図4Cは、カンチレバーアセンブリが低位置にあるときに、横方向にたわんだベローズ450を示す。
【0067】
ラビリンスシール448は、ベローズ450とプラズマ処理チャンバハウジング404の内部との間に粒子バリアを提供する。固定シールド456は、ラビリンス溝460(スロット)を提供するように、チャンバ壁プレート418においてチャンバハウジング404の内側内壁に不動に取り付けられており、可動シールドプレート458が、カンチレバーアセンブリの垂直移動に対応するためにラビリンス溝460(スロット)内を垂直方向に移動する。可動シールドプレート458の外側部分は、下部電極406の全ての垂直位置でスロット内に留まる。
【0068】
図示された実施形態では、ラビリンスシール448は、ラビリンス溝460を画定するチャンバ壁プレート418内の開口部412の周縁でチャンバ壁プレート418の内面に取り付けられた固定シールド456を含む。可動シールドプレート458は、RFバイアスハウジングアーム434に取り付けられ、かつ径方向に延在しており、RFバイアスハウジングアーム434は、チャンバ壁プレート418の開口部412を通過する。可動シールドプレート458は、固定シールド456から第1のギャップだけ離間し、かつチャンバ壁プレート418の内面から第2のギャップだけ離間しながら、ラビリンス溝460内に延び、カンチレバーアセンブリの垂直移動を可能にする。ラビリンスシール448は、ベローズ450から剥離された粒子の移動が真空チャンバ内部405に入るのを阻止し、かつプロセスガスプラズマからのラジカルがベローズ450に移動するのを阻止する(ベローズ450において、ラジカルは、その後に剥離される堆積物を形成し得る)。
【0069】
図4Aは、カンチレバーアセンブリが高い位置にあるとき(小さなギャップ410a)に、RFバイアスハウジングアーム434の上方のラビリンス溝460内で高い位置にある可動シールドプレート458を示す。図4Cは、カンチレバーアセンブリが低い位置にあるとき(大きなギャップ410c)に、RFバイアスハウジングアーム434の上方のラビリンス溝460内で低い位置にある可動シールドプレート458を示す。図4Bは、カンチレバーアセンブリが中間位置にあるとき(中程度のギャップ410b)の、ラビリンス溝460内でニュートラル又は中間位置にある可動シールドプレート458を示す。ラビリンスシール448は、RFバイアスハウジングアーム434に関して対称であるように示されているが、他の実施形態では、ラビリンスシール448は、RFバイアスハウジングアーム434に関して非対称であってもよい。
【0070】
本願では、「半導体ウェハ」、「ウェハ」、「基板」、「ウェハ基板」、及び「部分的に製造された集積回路」という用語は、同じ意味で使用される。当業者であれば、「部分的に製造された集積回路」という用語が、シリコンウェハ上への集積回路製造の多くの段階のいずれかの間のシリコンウェハを指すことができることを理解するであろう。半導体デバイス産業で使用されるウェハ又は基板は、典型的に、200mm、又は300mm、又は450mmの直径を有する。以下の詳細な説明は、実施形態がウェハ上で実装されることを想定している。ただし、実施形態はそれほど限定的ではない。ワークピースは、様々な形状、サイズ、及び材料のものであってもよい。半導体ウェハ以外にも、開示された実施形態を利用し得る他のワークピースとして、プリント回路基板、磁気記録媒体、磁気記録センサ、ミラー、光学素子、マイクロメカニカルデバイスなどの様々な物品が挙げられる。
【0071】
VII.システムコントローラ
いくつかの実施形態では、コントローラはシステムの一部であり、システムは、上述の例の一部であり得る。このようなシステムは、1つ又は複数の処理ツール、1つ又は複数のチャンバ、1つ又は複数の処理用プラットフォーム、及び/又は特定の処理コンポーネント(ウェハ台座、ガス流システムなど)を含む半導体処理装置を含むことができる。これらのシステムは、半導体ウェハ又は基板の処理前、処理中、及び処理後にそれらの動作を制御するための電子機器と統合されてもよい。電子機器は、「コントローラ」と呼ばれることもあり、1つ又は複数のシステムの様々なコンポーネント又は子部品を制御してもよい。コントローラは、処理要件及び/又はシステムの種類に応じて、処理ガスの送達、温度設定(例えば、加熱及び/又は冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、高周波(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、液体送達設定、位置及び動作設定、ツールへのウェハの搬入出、並びに、特定のシステムに接続又は連動する他の移送ツール及び/又はロードロックへのウェハの搬入出を含む、本明細書に開示されるプロセスのいずれかを制御するようにプログラムされてもよい。
【0072】
大まかに言えば、コントローラは、命令を受信し、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどの、様々な集積回路、論理、メモリ、及び/又はソフトウェアを有する電子機器として定義され得る。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアの形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、及び/又はプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1つ又は複数のマイクロプロセッサ若しくはマイクロコントローラを含んでもよい。プログラム命令は、半導体ウェハに対して、半導体ウェハのために、又はシステムに対して、特定のプロセスを実行するための動作パラメータを定義する、様々な個々の設定(又はプログラムファイル)の形態でコントローラに通信される命令であってもよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態において、1つ又は複数の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、及び/又はウェハのダイの製造中に、1つ又は複数の処理ステップを達成するためにプロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってもよい。
【0073】
いくつかの実装において、コントローラは、システムに統合された、接続された、そうでなければシステムへネットワーク接続された、又はそれらの組み合わせであるコンピュータの一部であってもよく、又はそのようなコンピュータに接続されていてもよい。例えば、コントローラは、「クラウド」、すなわちファブホストコンピュータシステムの全体又は一部であってもよく、これによりウェハ処理の遠隔アクセスが可能になる。コンピュータは、製造動作の現在の進行状況を監視するために、過去の製造動作の履歴を調査するために、複数の製造動作の傾向又は性能基準を調査するために、現在の処理のパラメータを変更するために、処理ステップを設定して現在の処理を追跡するために、又は新たなプロセスを開始するために、システムへの遠隔アクセスを可能にしてもよい。いくつかの例では、遠隔コンピュータ(例えばサーバ)は、ネットワークを通じてシステムにプロセスレシピを提供でき、ネットワークはローカルネットワーク又はインターネットを含んでもよい。遠隔コンピュータは、パラメータ及び/又は設定の入力又はプログラミングを可能にするユーザインタフェースを含んでもよく、パラメータ及び/又は設定は次いで遠隔コンピュータからシステムへと伝達される。いくつかの例では、コントローラは、1つ又は複数の動作中に実施される処理ステップのそれぞれのパラメータを指定する、データの形式の命令を受け取る。パラメータは、実施されるプロセスの種類及びコントローラがインタフェース接続する又は制御するように構成されたツールの種類に特有のものであってもよいことを理解されたい。したがって、上述したように、コントローラは、共にネットワーク化され、本明細書に記載のプロセス及び制御などの共通の目的にむけて動作する1つ又は複数の個別のコントローラを含むことなどにより、分散されてもよい。そのような目的のための分散型コントローラの一例は、遠隔に設置され(プラットフォームレベルで、又は遠隔コンピュータの一部としてなど)、チャンバでのプロセスを協同で制御する1つ又は複数の集積回路と通信するチャンバ上の1つ又は複数の集積回路である。
【0074】
システムの例は、プラズマエッチングチャンバ又はモジュール、堆積チャンバ又はモジュール、スピンリンスチャンバ又はモジュール、金属メッキチャンバ又はモジュール、洗浄チャンバ又はモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバ又はモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバ又はモジュール、化学蒸着(CVD)チャンバ又はモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバ又はモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバ又はモジュール、イオン注入チャンバ又はモジュール、トラックチャンバ又はモジュール、灰化チャンバ又はモジュール、並びに半導体ウェハの製作及び/又は製造に関連し得る、又は使用し得る任意の他の半導体処理システムを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0075】
上述のように、ツールによって実行される1つ又は複数のプロセスステップに応じて、コントローラは、他のツール回路又はモジュール、他のツールコンポーネント、クラスタツール、他のツールインタフェース、隣接ツール、近隣ツール、工場全体に配置されたツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、又は半導体製造工場内のツール位置及び/又はロードポートへウェハの容器を搬入出する材料搬送に用いられるツールの、1つ又は複数と通信してもよい。
【0076】
上述した様々なハードウェア及び方法の実施形態は、例えば、半導体デバイス、ディスプレイ、LED、光起電力パネルなどの製作又は製造のために、リソグラフィパターニングツール又はプロセスと共に使用されてもよい。典型的には、必ずしもそうではないが、そのようなツール/プロセスは、共通の製造設備において一緒に使用されるか、又は実施される。
【0077】
膜のリソグラフィパターニングは、典型的には、以下のステップの一部又は全てを含み、各ステップは、いくつかの可能なツールを用いて実行される。(1)スピンオンツール又はスプレーオンツールを用いて、ワークピース(例えば、その上に形成された窒化ケイ素膜を有する基板)上にフォトレジストを塗布すること、(2)ホットプレート又は炉又は他の適切な硬化ツールを用いて、フォトレジストを硬化すること、(3)ウェハステッパーなどのツールを用いて、フォトレジストを可視光、又は紫外線、又はX線に曝露すること、(4)ウェットベンチ又はスプレー現像装置などのツールを使用して、レジストを現像してレジストを選択的に除去し、それによってパターニングすること、(5)ドライエッチング又はプラズマアシストエッチングツールを使用することにより、レジストパターンを下層膜又はワークピースに転写すること、及び(6)RF又はマイクロ波プラズマレジストストリッパなどのツールを用いて、レジストを除去すること。いくつかの実施形態では、灰化可能なハードマスク層(非晶質炭素層など)及び別の適切なハードマスク(反射防止層など)が、フォトレジストを塗布する前に堆積されてもよい。
【0078】
本明細書に記載された構成及び/又はアプローチは、本質的に例示的であり、多数の変形が可能であるため、これらの特定の実施形態又は実施例は、限定的な意味で考慮されるべきでないことが理解される。本明細書に記載される特定のルーチン又は方法は、任意の数の処理戦略のうちの1つ又は複数を表し得る。そのため、例示した様々な行為は、例示された順序で、他の順序で、並行して、又は場合によっては省略して、実行されてもよい。同様に、上述したプロセスの順序は変更されてもよい。
【0079】
本開示の主題は、本明細書に開示される様々なプロセス、システム及び構成、並びに他の特徴、機能、行為、及び/又は特性の全ての新規かつ非自明な組み合わせ及び部分的組み合わせ、並びにそれらの任意の及び全ての等価物を含む。
【0080】
VIII.実験
図5A-5Cは共に、従来のエッチング技術の欠点と、開示された方法を通じて得られる新しい驚くべき結果との両方を例示する。これらの図は、互いに考慮され、比較されるべきである。図5Aは、エッチング前の基板を示す。基板は、下地材料502と、下地材料502の上にパターニングされたマスク504とを含む。図5Bは、従来の方法によるエッチング後の基板を示す。図5Cは、本明細書に記載される方法によるエッチング後の基板を示す。異なる基板の寸法(例えば、下地材料502の厚さ、マスク504の厚さ、基板直径など)は、処理前は同じであり、そのため、結果を容易に比較できる。さらに、結果はすべて同じ縮尺で示されており、比較をさらに容易にする。水平線520は、図5A-5Cの全てに渡って延びている。視覚的に明確にするために、図5Aは線520を黒で示し、図5B及び図5Cは線520を白で示す。線520は、エッチング前のマスク504の開始時の高さを表す。
【0081】
図5Bにおいて、矢印521は、従来の技術に従ってエッチングしたときに消費されたマスク504の厚さを示す。この場合、マスク504は、エッチング中に著しく侵食され、マスク材料の25%より多くが失われた。
【0082】
図5Cにおいて、矢印522は、本明細書に記載の実施形態を実施したときに、エッチング中にマスク504の上に堆積された上部マスクプロテクタ層508の厚さを示す。ここで、エッチング中にマスク504が消費されなかったことが分かる。その代わりに、堆積された上部マスクプロテクタ層508は、エッチング中に蓄積され、それによって、下にあるマスク504を侵食から保護する。エッチング中にマスクが消費されなかったので、結果として、エッチングの選択性は無限大となる。
【0083】
図5Cに示された結果は、驚くべきものであり、予期しないものであった。これまでのエッチング技術では、マスクは常にエッチング中に消費される。これは、エッチング中にある程度の堆積が起こっている場合(例えば、凹型フィーチャの側壁上のフルオロカーボン系ポリマー)であっても同様であった。以前は、いかなるそのような堆積も、図5Cに示される垂直方向の指向性堆積を引き起こすには不十分であった。このような以前の事例では、エッチング中の堆積によって、凹型フィーチャが狭くなり、材料が詰まって閉じてしまっただろう。そのような目詰まりは、図5Cの結果には見られない。さらに、図5Cに示されるエッチングされたフィーチャは、実質的な弓状になることなく、非常に直線的である。
【0084】
さらに、エッチング中の堆積が選択的であり、かつ水平なマスク表面に限定されていたため、この結果は予期しないものである。上述したように、従来のエッチング技術はしばしば、フィーチャの側壁上への材料の堆積をもたらす。そのような側壁への堆積は、図5Cの結果では観察されなかった。
【0085】
IX.結論
前述の実施形態は、理解を明確にする目的である程度詳細に記載されたが、添付の特許請求の範囲の範囲内で特定の変更及び変形が実施され得ることは明らかであろう。本実施形態のプロセス、システム、及び装置を実装する多くの代替的な方法があることに留意されたい。したがって、本実施形態は、例示的なものであって制限的なものではないと考えられ、本実施形態は、本明細書で与えられた詳細に限定されるものではない。本開示は、以下の形態により実現されてもよい。
[形態1]
基板を処理する方法であって、前記基板が、下地材料とマスクとを含み、前記下地材料が、少なくとも1層の酸化ケイ素を含み、前記マスクが、前記下地材料の上に配置され、かつ前記下地材料にフィーチャがエッチングされる位置を画定するようにパターニングされており、前記方法は、
a.反応チャンバ内でプラズマを生成することと、
b.前記反応チャンバ内で前記基板を前記プラズマに曝露して、
(i)前記下地材料に前記フィーチャをエッチングすることと、
(ii)前記マスク上に上部マスクプロテクタ層を堆積することであって、前記上部マスクプロテクタ層が、選択的な垂直方向の指向性堆積で前記マスクの上に形成されることと
を同時に行うことと、
を含む方法。
[形態2]
形態1に記載の方法であって、
前記上部マスクプロテクタ層は、前記マスクと比較して、前記下地材料に関するエッチング選択性が無限大となるように、エッチング中の浸食から前記マスクを保護する、方法。
[形態3]
形態1に記載の方法であって、
前記上部マスクプロテクタ層は、グラファイト型カーボンリッチポリマーを含む、方法。
[形態4]
形態1に記載の方法であって、
前記上部マスクプロテクタ層は、C x Br y z 系材料、C x Cl y z 系材料、C x y z 系材料、又はそれらの組み合わせを含む、方法。
[形態5]
形態1に記載の方法であって、
前記反応チャンバ内で前記プラズマを生成することは、前記反応チャンバ内に反応混合物を流すことと、前記反応混合物から前記プラズマを生成することとを含み、
前記反応混合物は、(1)水素(H 2 )と、(2)フルオロメタン(CH 3 F)、ジフルオロメタン(CH 2 2 )、及びトリフルオロメタン(CHF 3 )からなる群より選択される少なくとも1つの反応物とを含む、方法。
[形態6]
形態5に記載の方法であって、
前記反応混合物は、非フッ素ハロゲン源をさらに含む、方法。
[形態7]
形態6に記載の方法であって、
前記非フッ素ハロゲン源は、HBr、Cl 2 、SiCl 4 、及びCF 3 Iからなる群より選択される少なくとも1つの反応物を含む、方法。
[形態8]
形態5に記載の方法であって、
前記反応混合物は、三フッ化窒素(NF 3 )、ヘキサフルオロブタジエン(C 4 6 )、オクトフルオロプロパン(C 3 8 )、オクタフルオロシクロブタン(C 4 8 )、六フッ化硫黄(SF 6 )、テトラフルオロメタン(CF 4 )、及びメタン(CH 4 )からなる群より選択される1つ又は複数の添加剤をさらに含む、方法。
[形態9]
形態5に記載の方法であって、
(i)前記反応チャンバ内の圧力は、(b)の間、10~80mTに維持され、
(ii)前記基板は、(b)の間、0℃から-100℃の温度に維持される基板ホルダ上で支持され、
(iii)イオンエネルギーは、(b)の間、前記基板の表面において1~10kVであり、
(iv)前記プラズマを生成するために使用されるRFエネルギーは、3~50kWの電力レベルで(b)の間にパルス化され、かつ
(v)前記プラズマは、容量結合プラズマである、
方法。
[形態10]
形態1に記載の方法であって、前記プラズマは、容量結合プラズマである、方法。
[形態11]
形態1に記載の方法であって、
前記マスクは、前記上部マスクプロテクタ層が前記マスクの上に形成される前に、3500nm以下の厚さを有する、方法。
[形態12]
形態11に記載の方法であって、
(b)でエッチングされる前記フィーチャは、20以上の深さ対幅のアスペクト比を有し、かつ100nm以上の最終深さを有する、方法。
[形態13]
形態1に記載の方法であって、
(b)でエッチングされる前記フィーチャは、凹型円筒及び凹型トレンチの少なくとも1つを含む、方法。
[形態14]
形態1に記載の方法であって、
前記選択的な垂直方向の指向性堆積は、前記下地材料に前記フィーチャがエッチングされる前記位置の上に前記上部マスクプロテクタ層を形成せずに、前記マスクが存在する領域において前記上部マスクプロテクタ層の形成をもたらす、方法。
[形態15]
形態1に記載の方法であって、
前記下地材料は、前記少なくとも1層の酸化ケイ素と少なくとも1層の窒化ケイ素とを含む、方法。
[形態16]
形態1に記載の方法であって、前記下地材料が、酸化ケイ素とポリシリコンの交互層を含み、前記少なくとも1層の酸化ケイ素が酸化ケイ素の前記交互層のうちの1つである、方法。
[形態17]
基板を処理するための装置であって、
前記装置は、
a.反応チャンバと、
b.前記反応チャンバ内に配置された基板支持体と、
c.前記反応チャンバ内でプラズマを生成するように構成されたプラズマ発生装置と、
d.前記反応チャンバへの1つ又は複数の入口と、
e.少なくとも1つのプロセッサを有するコントローラと、
を含み、
前記コントローラは、
i.前記基板が前記反応チャンバ内に配置され、前記基板が下地材料と前記下地材料の上に配置されたマスクとを含んでおり、前記下地材料には誘電体材料が含まれ、
ii.前記反応チャンバ内で前記プラズマが生成され、
iii.前記反応チャンバ内で前記基板を前記プラズマに曝露することにより、
(i)前記基板上の前記下地材料にフィーチャをエッチングするとともに
(ii)前記マスク上に上部マスクプロテクタ層が堆積され、前記上部マスクプロテクタ層が選択的な垂直方向の指向性堆積により、前記マスクの上に形成される、
よう構成されている、装置。
[形態18]
形態17に記載の装置であって、
前記プラズマ発生装置は、容量結合プラズマを生成するように構成されている、装置。
[形態19]
形態17に記載の装置であって、
前記コントローラは、前記上部マスクプロテクタ層がグラファイト型カーボンリッチポリマーを含むように(e)(ii)を実行させるよう構成されている、装置。
[形態20]
形態17に記載の装置であって、
前記コントローラは、前記上部マスクプロテクタ層がC x Br y z 系材料、C x Cl y z 系材料、C x y z 系材料、又はそれらの組み合わせを含むように(e)(ii)を実行させるよう構成されている、装置。
[形態21]
形態19に記載の装置であって、
前記コントローラは、前記プラズマが反応混合物から生成されるように、前記反応混合物を前記反応チャンバ内に流すことによって(e)(ii)を実行させるよう構成されており、
前記反応混合物は、(1)水素(H 2 )と、(2)フルオロメタン(CH 3 F)、ジフルオロメタン(CH 2 2 )、及びトリフルオロメタン(CHF 3 )からなる群より選択される少なくとも1つの反応物とを含む、装置。
[形態22]
形態21に記載の装置であって、
前記反応混合物は、非フッ素ハロゲン源をさらに含む、装置。
[形態23]
形態22に記載の装置であって、
前記非フッ素ハロゲン源は、HBr、Cl 2 、SiCl 4 、及びCF 3 Iからなる群より選択される少なくとも1つの反応物を含む、装置。
[形態24]
形態23に記載の装置であって、
前記反応混合物は、三フッ化窒素(NF 3 )、ヘキサフルオロブタジエン(C 4 6 )、オクトフルオロプロパン(C 3 8 )、オクタフルオロシクロブタン(C 4 8 )、六フッ化硫黄(SF 6 )、テトラフルオロメタン(CF 4 )、及びメタン(CH 4 )からなる群より選択される1つ又は複数の添加剤をさらに含む、装置。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C