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特許7640002液晶組成物並びにこれを用いた液晶表示素子、センサ、液晶レンズ、光通信機器及びアンテナ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-25
(45)【発行日】2025-03-05
(54)【発明の名称】液晶組成物並びにこれを用いた液晶表示素子、センサ、液晶レンズ、光通信機器及びアンテナ
(51)【国際特許分類】
   C09K 19/18 20060101AFI20250226BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20250226BHJP
   G02F 1/137 20060101ALI20250226BHJP
   H01Q 3/30 20060101ALI20250226BHJP
   H01Q 13/20 20060101ALI20250226BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20250226BHJP
【FI】
C09K19/18
G02F1/13 500
G02F1/137 500
G02F1/13 505
H01Q3/30
H01Q13/20
H01Q21/06
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2024555173
(86)(22)【出願日】2024-06-20
(86)【国際出願番号】 JP2024022335
【審査請求日】2024-09-17
(31)【優先権主張番号】P 2023109970
(32)【優先日】2023-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100186646
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】林 正直
(72)【発明者】
【氏名】野呂 大樹
(72)【発明者】
【氏名】梅津 安男
(72)【発明者】
【氏名】高崎 美花
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-183381(JP,A)
【文献】特表2019-512023(JP,A)
【文献】特表2018-523006(JP,A)
【文献】特開2016-037607(JP,A)
【文献】国際公開第2024/134973(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 19/00-19/60
G02F 1/13
H01Q 3/00-25/04
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(i)及び(ii)
【化1】
(一般式(i)及び(ii)中、
i1 及びR ii1 は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~20のアルキル基を表し、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH-は、それぞれ独立して、-O-で置換されていてもよく、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH-CH-は、それぞれ独立して、-CH=CH-で置換されていてもよく、
酸素原子と酸素原子が直接結合することはなく、
i1及びYii1は、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子を表す。)
で表される化合物からなる群から選ばれる化合物の1種又は2種以上と、
下記一般式(iii)
【化2】
(一般式(iii)中、
iii1は、水素原子又は炭素原子数1~20のアルキル基を表し、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH-は、それぞれ独立して、-O-で置換されていてもよく、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH-CH-は、それぞれ独立して、-CH=CH-及び/又は-CF=CF-で置換されていてもよく、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよいが、
酸素原子と酸素原子が直接結合することはなく、
iii1は、下記一般式(Aiii1-1)~(Aiii1-5)
【化3】
(一般式(Aiii1-1)~(Aiii1-5)中、
白点はRiii1への結合手を表し、
黒点は-C≡C-への結合手を表し、
iii1は、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルキル基又は炭素原子数1~6のアルコキシ基のいずれかを表し、
当該アルキル基又はアルコキシ基における1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよく、
iii1が複数ある場合は、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。)
で表される基からなる群から選ばれる基を表し、
iii1は、ハロゲン原子を表す。)
で表される化合物の1種又は2種以上と、
下記一般式(o-1)
【化4】
(一般式(o-1)中、
o1は、水素原子又は炭素原子数1~20のアルキル基を表し、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH-は、それぞれ独立して、-O-で置換されていてもよく、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH-CH-は、それぞれ独立して、-CH=CH-及び/又は-CF=CF-で置換されていてもよく、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよいが、
酸素原子と酸素原子が直接結合することはなく、
o1は、下記一般式(Ao1/2/3/4/5-1)~(Ao1/2/3/4/5-5)
【化5】
(式(Ao1/2/3/4/5-1)~(Ao1/2/3/4/5-5)中、
白点はシクロヘキサン環構造への結合手を表し、
黒点は-C≡C-への結合手を表し、
o1/2/3/4/5は、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルキル基又は炭素原子数1~6のアルコキシ基のいずれかを表し、
当該アルキル基又はアルコキシ基における1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよく、
o1/2/3/4/5が複数ある場合は、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。)
で表される基からなる群から選ばれる基を表し、
o1は、水素原子又はハロゲン原子を表す。)
で表される化合物の1種又は2種以上とを含有する液晶組成物であって、
前記一般式(i)及び(ii)で表される化合物の液晶組成物100質量%中の合計含有量が25質量%以上であり、
前記一般式(iii)で表される化合物の液晶組成物100質量%中の合計含有量が20質量%以上である液晶組成物。
【請求項2】
一般式(o-1)で表される化合物の液晶組成物100質量%中の合計含有量が、1~60質量%である請求項1に記載の液晶組成物。
【請求項3】
前記一般式(i)及び(ii)で表される化合物として、下記構造式(i-5)、(i-6)、(ii-5)、(ii-6)及び(ii-7)
【化6】
で表される化合物からなる群から選ばれる化合物の1種又は2種以上を含有する請求項1又は2に記載の液晶組成物。
【請求項4】
25℃、589nmにおけるΔnが0.40以上、及び/又は、液晶相上限温度(Tni)が170℃以下である、請求項1又は2に記載の液晶組成物。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の液晶組成物を用いた、液晶表示素子。
【請求項6】
アクティブマトリクス方式又はパッシブマトリクス方式で駆動する、請求項5に記載の液晶表示素子。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の液晶組成物の液晶分子の配向方向を可逆的に変えることにより誘電率を可逆的にスイッチングする液晶表示素子。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の液晶組成物を用いた、センサ。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の液晶組成物を用いた、液晶レンズ。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の液晶組成物を用いた、光通信機器。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の液晶組成物を用いた、アンテナ。
【請求項12】
請求項11に記載のアンテナであって、
複数のスロットを備えた第1基板と、
前記第1基板と対向し、給電部が設けられた第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた第1誘電体層と、
前記複数のスロットに対応して配置される複数のパッチ電極と、
前記パッチ電極が設けられた第3基板と、
前記第1基板と前記第3基板との間に設けられた液晶層とを備え、
前記液晶層が、請求項1又は2に記載の液晶組成物を含有するアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶組成物並びにこれを用いた液晶表示素子、センサ、液晶レンズ、光通信機器及びアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ用途に多く用いられている液晶の新規用途として、自動車等の移動体と通信衛星との間で、電波の送受信を行う液晶を用いたアンテナが注目されている。従来、衛星通信は、パラボラアンテナを用いているが、自動車等の移動体で用いる場合、随時パラボラアンテナを衛星方向へ向けなければならず、大きな可動部が必要であった。しかし液晶を用いたアンテナは、パネル内部の液晶が動作することにより電波の送受信方向を変える事が出来るため、アンテナ自体を動かす必要が無くアンテナの形状も平面にすることが出来る。また、グローバルな大容量かつ高速通信を実現するため、多数の低軌道衛星による低軌道衛星コンステレーションの検討が進んでいる。地上からでは常に移動しているように見える低軌道衛星を追従するには、電波の送受信方向を容易に変えることができる液晶アンテナは有用である。
一般に、自動車等の自動運転には、高精度3Dマップ情報の大量データダウンロードが必要である。しかし、液晶を用いたアンテナであれば、当該アンテナを自動車に組み込むことにより、通信衛星から大量データダウンロードが、機械的な可動部が無くても可能となる。衛星通信で用いられる周波数帯は、約13GHz帯であり、今までの液晶ディスプレイ用途で使用している周波数と大きく異なる。そのため、液晶への要求物性も大きく異なり、アンテナ用の液晶に要求されるΔnは例えば0.4程度、動作温度範囲は例えば-20~120℃となる。
また、自動車等の移動体の自動運転用センサとして、液晶を用いた赤外線レーザー画像認識・測距装置も注目されている。この用途の液晶に要求されるΔnは例えば0.3~0.6、動作温度範囲は例えば10~100℃となる。
更に、0.2以上の高いΔnを示す液晶組成物を構成する液晶性化合物は相溶性が低いものが多いことが知られている。したがって、相溶性の高い液晶性化合物を選択することも重要である。
これに対して、アンテナ用の液晶の技術としては、例えば、特許文献1が挙げられる。
また、非特許文献1では、高周波デバイスの構成成分として液晶材料の使用が提唱されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-37607号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】ドルフィ(D.Dolfi),「エレクトロニクスレター(Electronics Letters)」,(英国),1993年,29巻,10号,p.926-928
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
Δnが大きい液晶組成物は、π共役が伸びた化合物を多用するため、液晶組成物のTniが高くなる傾向にあり、このような液晶組成物を溶解させる際には高温に加熱する必要があるため、液晶組成物が加熱劣化する恐れがある。また保存安定性にも懸念があり、室温でも液晶組成物が固化し易い。
本発明は、大きいΔnを有するがTniが高くなりすぎない、すなわち、ΔnとTniのバランスに優れ、室温での保存性が良好な液晶組成物並びにこれを用いた液晶表示素子、センサ、液晶レンズ、光通信機器及びアンテナを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討した結果、3つのベンゼン環環構造と、環構造間の連結基として-C≡C-と、イソチオシアネート基(-NCS)とを有する一般式(i)及び(ii)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物の1種又は2種以上と、環構造間の連結基として-C≡C-と、イソチオシアネート基(-NCS)とを有する一般式(iii)で表される化合物の1種又は2種以上とを含有する液晶組成物において、前記一般式(i)及び(ii)で表される化合物と前記一般式(iii)で表される化合物の含有量を所定の量とすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決する本発明の構成の一例としては、以下の通りである。
【0007】
項1.下記一般式(i)及び(ii)
【0008】
【化1】
(一般式(i)及び(ii)中、
i1及びRii1は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~20のアルキル基を表し、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH-は、それぞれ独立して、-O-で置換されていてもよく、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH-CH-は、それぞれ独立して、-CH=CH-及び/又は-CF=CF-で置換されていてもよく、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよいが、
酸素原子と酸素原子が直接結合することはなく、
i1及びYii1は、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子を表す。)
で表される化合物からなる群から選ばれる化合物の1種又は2種以上と、
下記一般式(iii)
【0009】
【化2】
(一般式(iii)中、
iii1は、水素原子又は炭素原子数1~20のアルキル基を表し、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH-は、それぞれ独立して、-O-で置換されていてもよく、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH-CH-は、それぞれ独立して、-CH=CH-及び/又は-CF=CF-で置換されていてもよく、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよいが、
酸素原子と酸素原子が直接結合することはなく、
iii1は、下記一般式(Aiii1-1)~(Aiii1-5)
【0010】
【化3】
(一般式(Aiii1-1)~(Aiii1-5)中、
白点はRiii1への結合手を表し、
黒点は-C≡C-への結合手を表し、
iii1は、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルキル基又は炭素原子数1~6のアルコキシ基のいずれかを表し、
当該アルキル基又はアルコキシ基における1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよく、
iii1が複数ある場合は、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。)
で表される基からなる群から選ばれる基を表し、
iii1は、水素原子又はハロゲン原子を表す。)
で表される化合物の1種又は2種以上とを含有する液晶組成物であって、
前記一般式(i)及び(ii)で表される化合物の液晶組成物100質量%中の合計含有量が25質量%以上であり、
前記一般式(iii)で表される化合物の液晶組成物100質量%中の合計含有量が20質量%以上である液晶組成物。
【0011】
項2.更に、下記一般式(o-1)~(o-5)
【0012】
【化4】
(一般式(o-1)~(o-5)中、
o1、Ro2、Ro3、Ro4及びRo5は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~20のアルキル基を表し、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH-は、それぞれ独立して、-O-で置換されていてもよく、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH-CH-は、それぞれ独立して、-CH=CH-及び/又は-CF=CF-で置換されていてもよく、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよいが、
酸素原子と酸素原子が直接結合することはなく、
o1、Ao2、Ao3、Ao4及びAo5は、それぞれ独立して、下記一般式(Ao1/2/3/4/5-1)~(Ao1/2/3/4/5-5)
【0013】
【化5】
(式(Ao1/2/3/4/5-1)~(Ao1/2/3/4/5-5)中、
白点はシクロヘキサン環構造、-CH=CH-又は-C≡C-への結合手を表し、
黒点は-C≡C-又はベンゼン環構造への結合手を表し、
o1/2/3/4/5は、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルキル基又は炭素原子数1~6のアルコキシ基のいずれかを表し、
当該アルキル基又はアルコキシ基における1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよく、
o1/2/3/4/5が複数ある場合は、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。)
で表される基からなる群から選ばれる基を表し、
o1、Yo2、Yo3、Yo4及びYo5は、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子を表す。)
で表される化合物からなる群から選ばれる化合物の1種又は2種以上を含む項1に記載の液晶組成物。
【0014】
項3.前記一般式(i)及び(ii)で表される化合物として、下記構造式(i-5)、(i-6)、(ii-5)、(ii-6)及び(ii-7)
【0015】
【化6】
で表される化合物からなる群から選ばれる化合物の1種又は2種以上を含有する項1又は2に記載の液晶組成物。
【0016】
項4.25℃、589nmにおけるΔnが0.40以上、及び/又は、液晶相上限温度(Tni)が170℃以下である、項1~3のいずれか一項に記載の液晶組成物。
【0017】
項5.項1~4のいずれか一項に記載の液晶組成物を用いた、液晶表示素子。
【0018】
項6.アクティブマトリクス方式又はパッシブマトリクス方式で駆動する、項5に記載の液晶表示素子。
【0019】
項7.項1~4のいずれか一項に記載の液晶組成物の液晶分子の配向方向を可逆的に変えることにより誘電率を可逆的にスイッチングする液晶表示素子。
【0020】
項8.項1~4のいずれか一項に記載の液晶組成物を用いた、センサ。
【0021】
項9.項1~4のいずれか一項に記載の液晶組成物を用いた、液晶レンズ。
【0022】
項10.項1~4のいずれか一項に記載の液晶組成物を用いた、光通信機器。
【0023】
項11.項1~4のいずれか一項に記載の液晶組成物を用いた、アンテナ。
【0024】
項12.項11に記載のアンテナであって、
複数のスロットを備えた第1基板と、
前記第1基板と対向し、給電部が設けられた第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた第1誘電体層と、
前記複数のスロットに対応して配置される複数のパッチ電極と、
前記パッチ電極が設けられた第3基板と、
前記第1基板と前記第3基板との間に設けられた液晶層とを備え、
前記液晶層が、項1~4のいずれか一項に記載の液晶組成物を含有するアンテナ。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、3つのベンゼン環環構造と、環構造間の連結基として-C≡C-と、イソチオシアネート基(-NCS)とを有する一般式(i)及び(ii)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物の1種又は2種以上と、環構造間の連結基として-C≡C-と、イソチオシアネート基(-NCS)とを有する一般式(iii)で表される化合物の1種又は2種以上とを含有する液晶組成物において、前記一般式(i)及び(ii)で表される化合物と前記一般式(iii)で表される化合物の含有量を所定の量とすることにより、ΔnとTniのバランス、室温での保存安定性に優れた液晶組成物を提供することができ、該液晶組成物は、液晶表示素子、センサ、液晶レンズ、光通信機器及びアンテナに有用である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(一般式(i)及び(ii)で表される化合物)
本発明に係る液晶組成物は、3つのベンゼン環環構造と、環構造間の連結基として-C≡C-と、イソチオシアネート基(-NCS)とを有する下記一般式(i)及び(ii)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物の1種又は2種以上を液晶組成物100質量%中25質量%以上含む。
【0027】
【化7】
【0028】
一般式(i)及び(ii)中、Ri1及びRii1は、水素原子又は炭素原子数1~20のアルキル基を表す。
炭素原子数1~20のアルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、直鎖状のアルキル基であることが好ましい。
炭素原子数1~20のアルキル基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH-は、それぞれ独立して、-O-で置換されていてもよい。
また、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH-CH-は、それぞれ独立して、-CH=CH-及び/又は-CF=CF-で置換されていてもよい。
また、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
但し、当該アルキル基が所定の基により置換される場合においては、酸素原子と酸素原子が直接結合することはない。
例えば、Ri1及びRii1は、当該アルキル基中の1つの-CH-が-O-に置換されることにより、炭素原子数1~19のアルコキシ基を表すことができる。
当該アルコキシ基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基であり、直鎖状のアルコキシ基であることが好ましい。
当該アルコキシ基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
また、Ri1及びRii1は、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH-CH-が、-CH=CH-に置換されることにより、炭素原子数2~20のアルケニル基を表すことができる。
当該アルケニル基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルケニル基であり、直鎖状のアルケニル基であることが好ましい。
当該アルケニル基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
また、Ri1及びRii1は、当該アルキル基中の1つの-CH-が-O-に置換され、且つ一つ又は2つ以上の-CH-CH-が、-CH=CH-に置換されることにより、炭素原子数2~19のアルケニルオキシ基を表すことができる。
当該アルケニルオキシ基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルケニルオキシ基であり、直鎖状のアルケニルオキシ基であることが好ましい。
当該アルケニルオキシ基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
また、Ri1及びRii1は、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子が、ハロゲン原子に置換されることにより、炭素原子数1~20のハロゲン化アルキル基を表すことができる。
当該ハロゲン化アルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状のハロゲン化アルキル基であり、直鎖状のハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
当該ハロゲン化アルキル基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
また、Ri1及びRii1は、当該アルキル基中の1つの-CH-が-O-に置換され、且つ当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子が、ハロゲン原子に置換されることにより、炭素原子数1~19のハロゲン化アルコキシ基を表すことができる。
当該ハロゲン化アルコキシ基は、直鎖状、分岐状又は環状のハロゲン化アルコキシ基であり、直鎖状のハロゲン化アルコキシ基であることが好ましい。
当該ハロゲン化アルコキシ基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
i1及びRii1における炭素原子数1~20のアルキル基(置換されたものも含む)の具体例としては、式(Ri1/ii1-1)~(Ri1/ii1-31)で表される基等が挙げられる。
【0029】
【化8】
【0030】
式(Ri1/ii1-1)~(Ri1/ii1-31)中、黒点はベンゼン環構造への結合手を表す。
なお、Ri1及びRii1としては、Δn、他の液晶化合物との相溶性の観点から、炭素原子数2~6の直鎖状のアルキル基が好ましい。
また、Ri1及びRii1としては、液晶性及び粘性の観点から、炭素原子数2~6の直鎖状のアルケニル基が好ましい。
【0031】
一般式(i)及び(ii)中、Yi1及びYii1は、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子を表す。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
誘電率異方性(Δε)、相溶性の観点から、Yi1及びYii1は、フッ素原子が好ましい。
【0032】
一般式(i)で表される化合物としては、下記構造式(i-1)~(i-6)で表される化合物等が挙げられ、溶解性、低粘性の観点から、構造式(i-5)及び(i-6)で表される化合物が好ましい。
【0033】
【化9】
【0034】
一般式(ii)で表される化合物としては、下記構造式(ii-1)~(ii-7)で表される化合物等が挙げられ、溶解性、低粘性の観点から、構造式(ii-5)及び(ii-6)で表される化合物が好ましい。
【0035】
【化10】
【0036】
一般式(i)又は構造式(i-1)~(i-6)で表される化合物の液晶組成物に用いる種類は、1種又は2種以上、好ましくは1~10種、好ましくは1~5種、好ましくは1~3種である。
【0037】
一般式(i)又は構造式(i-1)~(i-6)で表される化合物の液晶組成物100質量%中の合計含有量の下限値は、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることが好ましい。
【0038】
一般式(i)又は構造式(i-1)~(i-6)で表される化合物の液晶組成物100質量%中の合計含有量の上限値は、50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることが好ましく、35質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることが好ましい。
【0039】
一般式(ii)又は構造式(ii-1)~(ii-7)で表される化合物の液晶組成物に用いる種類は、1種又は2種以上、好ましくは1~10種、好ましくは1~5種、好ましくは1~3種である。
一般式(ii)又は構造式(ii-1)~(ii-7)で表される化合物の液晶組成物100質量%中の合計含有量の下限値は、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることが好ましい。
【0040】
一般式(ii)又は構造式(ii-1)~(ii-7)で表される化合物の液晶組成物100質量%中の合計含有量の上限値は、50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることが好ましく、35質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることが好ましい。
【0041】
一般式(i)及び(ii)で表される化合物(下位概念を含む)の液晶組成物100質量%中の合計含有量は、25質量%以上であり、25~50質量%であることが好ましく、30~45質量%であることが好ましい。
25質量%未満の場合には、液晶組成物のΔnを大きく確保することができない場合がある。
【0042】
一般式(i)及び(ii)で表される化合物(下位概念を含む)は、公知の合成方法を用いて合成することができ、以下、いくつか例示する。
(製法1)下記一般式(s-5)で表される化合物の製造
【0043】
【化11】
【0044】
式中、Ri1及びYi1は、前記一般式(i)におけるRi1及びYi1と同じ意味を表す。
まず、一般式(s-1)で表される化合物に1-ブロモ-4-ヨードベンゼンを反応させることにより、一般式(s-2)で表される化合物を得ることができる。
反応方法としては、例えばパラジウム触媒及び塩基を用いた鈴木カップリング反応が挙げられる。
パラジウム触媒の具体例としては[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、酢酸パラジウム(II)、ジクロロビス[ジ-tert-ブチル(p-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等が挙げられる。
塩基としては炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸カリウム等が挙げられる。
次いで、一般式(s-2)で表される化合物を一般式(s-3)で表される化合物と反応させることにより、一般式(s-4)で表される化合物を得ることができる。
反応方法としては、例えばパラジウム触媒、銅触媒及び塩基を用いた薗頭カップリング反応が挙げられる。
パラジウム触媒の具体例としては[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、酢酸パラジウム(II)、ジクロロビス[ジ-tert-ブチル(p-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等が挙げられる。
金属触媒として酢酸パラジウム(II)を使用する場合、トリフェニルホスフィン、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル等の配位子を添加してもよい。
銅触媒の具体例としてはヨウ化銅(I)が挙げられる。
塩基の具体例としてはトリエチルアミン等が挙げられる。
更に、一般式(s-4)で表される化合物をチオホスゲン、二硫炭、1,1-チオカルボニルジイミダゾール及び1,1‘-チオカルボニルージ-2(1H)ピリドン等のNCS化剤と反応させることにより、目的物である一般式(s-5)で表される化合物を得ることができる。
(製法2)下記一般式(s-10)で表される化合物の製造
【0045】
【化12】
【0046】
式中、Rii1及びYii1は、前記一般式(ii)におけるRii1及びYii1と同じ意味を表す。
まず、一般式(s-6)で表される化合物にトリメチルシリルアセチレンを反応させた後、アルコール溶媒中にて炭酸カリウムと反応させることにより、一般式(s-7)で表される化合物を得ることができる。
トリメチルシリルアセチレンと反応には、パラジウム触媒、銅触媒及び塩基を用いた薗頭カップリング反応が挙げられる。
パラジウム触媒及び塩基の具体例としては上記のものが挙げられる。
次いで、一般式(s-7)で表される化合物を一般式(s-8)で表される化合物と反応させることにより一般式(s-9)で表される化合物を得ることができる。
反応方法としては例えばパラジウム触媒、銅触媒及び塩基を用いた薗頭カップリング反応が挙げられる。
パラジウム触、銅触媒媒及び塩基の具体例としては上記のものが挙げられる。
更に、一般式(s-9)で表される化合物をチオホスゲン、二硫炭、1,1-チオカルボニルジイミダゾール及び1,1‘-チオカルボニルージ-2(1H)ピリドン等のNCS化剤と反応させることにより、目的物である一般式(s-10)で表される化合物を得ることができる。
【0047】
(一般式(iii)で表される化合物)
本発明に係る液晶組成物は、環構造間の連結基として-C≡C-と、イソチオシアネート基(-NCS)とを有する一般式(iii)で表される化合物の1種又は2種以上を液晶組成物100質量%中20質量%以上含む。
【0048】
【化13】
【0049】
一般式(iii)中、Riii1は、炭素原子数1~20のアルキル基を表す。
当該アルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、直鎖状のアルキル基であることが好ましい。
当該アルキル基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
当該アルキル基中の1つ又2つ以上の-CH-は、それぞれ独立して、-O-で置換されていてもよい。
また、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH-CH-は、-CH=CH-及び/又は-CF=CF-で置換されてもよい。
また、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子に置換されていてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
但し、当該アルキル基が所定の基により置換される場合においては、酸素原子と酸素原子が直接結合することはない。
例えば、Riii1は、当該アルキル基中の1つの-CH-が-O-に置換されることにより、炭素原子数1~19のアルコキシ基を表すことができる。
当該アルコキシ基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基であり、直鎖状のアルコキシ基であることが好ましい。
当該アルコキシ基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
また、Riii1は、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH-CH-が、-CH=CH-に置換されることにより、炭素原子数2~20のアルケニル基を表すことができる。
当該アルケニル基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルケニル基であり、直鎖状のアルケニル基であることが好ましい。
当該アルケニル基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
また、Riii1は、当該アルキル基中の1つの-CH-が-O-に置換され、且つ一つ又は2つ以上の-CH-CH-が、-CH=CH-に置換されることにより、炭素原子数2~19のアルケニルオキシ基を表すことができる。
当該アルケニルオキシ基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルケニルオキシ基であり、直鎖状のアルケニルオキシ基であることが好ましい。
当該アルケニルオキシ基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
また、Riii1は、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子が、ハロゲン原子に置換されることにより、炭素原子数1~20のハロゲン化アルキル基を表すことができる。
当該ハロゲン化アルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状のハロゲン化アルキル基であり、直鎖状のハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
当該ハロゲン化アルキル基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
また、Riii1は、当該アルキル基中の1つの-CH-が-O-に置換され、且つ当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子が、ハロゲン原子に置換されることにより、炭素原子数1~19のハロゲン化アルコキシ基を表すことができる。
当該ハロゲン化アルコキシ基は、直鎖状、分岐状又は環状のハロゲン化アルコキシ基であり、直鎖状のハロゲン化アルコキシ基であることが好ましい。
当該ハロゲン化アルコキシ基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
iii1における炭素原子数1~20のアルキル基(置換されたものも含む)の具体例としては、式(Riii1-1)~(Riii1-30)で表される基等が挙げられる。
【0050】
【化14】
【0051】
式(Riii1-1)~(Riii1-30)中、黒点はAiii1への結合手を表す。
iii1としては、溶解性の観点から、炭素原子数1~8の直鎖状のアルキル基、炭素原子数2~6の直鎖状のアルケニル基が好ましい。
【0052】
一般式(ii)中、Aiii1は、下記一般式(Aiii1-1)~(Aiii1-5)で表される基からなる群から選ばれる基を表す。
【0053】
【化15】
【0054】
一般式(Aiii1-1)~(Aiii1-5)中、白点はRiii1への結合手を表し、黒点は-C≡C-への結合手を表す。
【0055】
一般式(Aiii1-1)~(Aiii1-5)中、Siii1は、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルキル基又は炭素原子数1~6のアルコキシ基のいずれかを表す。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
炭素原子数1~6のアルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、直鎖状のアルキル基であることが好ましい。
炭素原子数1~6のアルコキシ基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基であり、直鎖状のアルコキシ基であることが好ましい。
当該アルキル基又はアルコキシ基における1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
iii1における炭素原子数1~6のアルキル基及び炭素原子数1~6のアルコキシ基の具体例としては、式(Siii1-1)~(Siii1-16)で表される基等が挙げられる。
【0056】
【化16】
【0057】
式(Siii1-1)~(Siii1-16)中、黒点はベンゼン環構造への結合手を表す。
なお、Siii1が複数ある場合は、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0058】
より具体的には、一般式(Aiii1-2)は、下記式(Aiii1-2-1)~(Aiii1-2-4)のいずれかを表すことが好ましい。
【0059】
【化17】
【0060】
一般式(Aiii1-2-1)~(Aiii1-2-4)中、白点はRiii1への結合手を表し、黒点は-C≡C-への結合手を表す。
【0061】
より具体的には、一般式(Aiii1-3)は、下記式(Aiii1-3-1)~(Aiii1-3-4)のいずれかを表すことが好ましい。
【0062】
【化18】
【0063】
一般式(Aiii1-3-1)~(Aiii1-3-4)中、白点はRiii1への結合手を表し、黒点は-C≡C-への結合手を表す。
【0064】
より具体的には、一般式(Aiii1-4)は、下記式(Aiii1-4-1)~(Aiii1-4-4)のいずれかを表すことが好ましい。
【0065】
【化19】
【0066】
一般式(Aiii1-4-1)~(Aiii1-4-4)中、白点はRiii1への結合手を表し、黒点は-C≡C-への結合手を表す。
【0067】
より具体的には、一般式(Aiii1-5)は、下記式(Aiii1-5-1)~(Aiii1-5-4)のいずれかを表すことが好ましい。
【0068】
【化20】
【0069】
一般式(Aiii1-5-1)~(Aiii1-5-4)中、白点はRiii1への結合手を表し、黒点は-C≡C-への結合手を表す。
【0070】
一般式(iii)中、Yiii1は、水素原子又はハロゲン原子を表す。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
誘電率異方性(Δε)、相溶性の観点から、Yiii1は、フッ素原子が好ましい。
【0071】
一般式(iii)で表される化合物としては、低粘性の観点から下記一般式(iii-1)で表される化合物であることが好ましい。
【0072】
【化21】
【0073】
一般式(iii-1)中、Riii1は、上記一般式(iii)中のRiii1と同じ意味を表す。
一般式(iii-1)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(iii-1.1)~(iii-1.7)で表される化合物等が挙げられ、Δnの観点からは、構造式(iii-1.5)及び(iii-1.6)で表される化合物が好ましく、溶解性、低粘性の観点からは、構造式(iii-1.1)及び(iii-i-8)で表される化合物が好ましい。
【0074】
【化22】
【0075】
一般式(iii)、一般式(iii-1)又は構造式(iii-1.1)~(iii-1.8)で表される化合物の液晶組成物に用いる種類は、1種又は2種以上、好ましくは1~10種、好ましくは1~5種、好ましくは1~3種である。
【0076】
一般式(iii)、一般式(iii-1)又は構造式(iii-1.1)~(iii-1.8)で表される化合物の液晶組成物100質量%中の合計含有量の下限値は、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることが好ましい。
【0077】
一般式(iii)、一般式(iii-1)又は構造式(iii-1.1)~(iii-1.8)で表される化合物の液晶組成物100質量%中の合計含有量の上限値は、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることが好ましい。
【0078】
一般式(iii)で表される化合物(下位概念を含む)の液晶組成物100質量%中の合計含有量は、20質量%以上であり、20~55質量%であることが好ましく、25~55質量%であることが好ましく、35~50質量%であることが好ましい。
20質量%未満の場合には、他の化合物の含有量が増加することにより、Tniが高くなりすぎてしまう場合がある。
【0079】
一般式(iii)で表される化合物(下位概念を含む)は、公知の合成方法を用いて合成することができる。
【0080】
(その他の化合物)
本発明に係る液晶組成物は、Δn及び/又はΔεの観点から、下記一般式(o-1)~(o-5)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物の1種又は2種以上を含んでもよい。
【0081】
【化23】
【0082】
一般式(o-1)~(o-5)中、Ro1、Ro2、Ro3、Ro4及びRo5は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~20のアルキル基を表す。
当該アルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、直鎖状のアルキル基であることが好ましい。
当該アルキル基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
当該アルキル基中の1つ又2つ以上の-CH-は、それぞれ独立して、-O-で置換されていてもよい。
また、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH-CH-は、-CH=CH-及び/又は-CF=CF-で置換されてもよい。
また、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子に置換されていてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
但し、当該アルキル基が所定の基により置換される場合においては、酸素原子と酸素原子が直接結合することはない。
例えば、Ro1、Ro2、Ro3、Ro4及びRo5は、当該アルキル基中の1つの-CH-が-O-に置換されることにより、炭素原子数1~19のアルコキシ基を表すことができる。
当該アルコキシ基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基であり、直鎖状のアルコキシ基であることが好ましい。
当該アルコキシ基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
また、Ro1、Ro2、Ro3、Ro4及びRo5は、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH-CH-が、-CH=CH-に置換されることにより、炭素原子数2~20のアルケニル基を表すことができる。
当該アルケニル基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルケニル基であり、直鎖状のアルケニル基であることが好ましい。
当該アルケニル基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
また、Ro1、Ro2、Ro3、Ro4及びRo5は、当該アルキル基中の1つの-CH-が-O-に置換され、且つ一つ又は2つ以上の-CH-CH-が、-CH=CH-に置換されることにより、炭素原子数2~19のアルケニルオキシ基を表すことができる。
当該アルケニルオキシ基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルケニルオキシ基であり、直鎖状のアルケニルオキシ基であることが好ましい。
当該アルケニルオキシ基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
また、Ro1、Ro2、Ro3、Ro4及びRo5は、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子が、ハロゲン原子に置換されることにより、炭素原子数1~20のハロゲン化アルキル基を表すことができる。
当該ハロゲン化アルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状のハロゲン化アルキル基であり、直鎖状のハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
当該ハロゲン化アルキル基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
また、Ro1、Ro2、Ro3、Ro4及びRo5は、当該アルキル基中の1つの-CH-が-O-に置換され、且つ当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子が、ハロゲン原子に置換されることにより、炭素原子数1~19のハロゲン化アルコキシ基を表すことができる。
当該ハロゲン化アルコキシ基は、直鎖状、分岐状又は環状のハロゲン化アルコキシ基であり、直鎖状のハロゲン化アルコキシ基であることが好ましい。
当該ハロゲン化アルコキシ基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
o1、Ro2、Ro3、Ro4及びRo5における炭素原子数1~20のアルキル基(置換されたものも含む)の具体例としては、式(Ro1/2/3/4/5-1)~(Ro1/2/3/4/5-31)で表される基等が挙げられる。
【0083】
【化24】
【0084】
式(Ro1/2/3/4/5-1)~(Ro1/2/3/4/5-31)中、黒点はシクロヘキサン環構造又はベンゼン環構造への結合手を表す。
o1、Ro2、Ro3、Ro4及びRo5としては、溶解性の観点から、炭素原子数1~6の直鎖状のアルキル基、炭素原子数2~6の直鎖状のアルケニル基が好ましい。
【0085】
一般式(o-1)~(o-5)中、Ao1、Ao2、Ao3、Ao4及びAo5は、それぞれ独立して、下記一般式(Ao1/2/3/4/5-1)~(Ao1/2/3/4/5-5)で表される基からなる群から選ばれる基を表す。
【0086】
【化25】
【0087】
一般式(Ao1/2/3/4/5-1)~(Ao1/2/3/4/5-5)中、白点はシクロヘキサン環構造、-CH=CH-又は-C≡C-への結合手を表し、黒点は-C≡C-又はベンゼン環構造への結合手を表す。
【0088】
一般式(Ao1/2/3/4/5-1)~(Ao1/2/3/4/5-5)中、So1/2/3/4/5は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルキル基又は炭素原子数1~6のアルコキシ基のいずれかを表す。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
炭素原子数1~6のアルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、直鎖状のアルキル基であることが好ましい。
炭素原子数1~6のアルコキシ基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基であり、直鎖状のアルコキシ基であることが好ましい。
当該アルキル基又はアルコキシ基における1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
o1/2/3/4/5における炭素原子数1~6のアルキル基及び炭素原子数1~6のアルコキシ基(置換されたものも含む)の具体例としては、式(So1/2/3/4/5-1)~(So1/2/3/4/5-16)で表される基等が挙げられる。
【0089】
【化26】
【0090】
式(So1/2/3/4/5-1)~(So1/2/3/4/5-16)中、黒点はベンゼン環構造への結合手を表す。
なお、So1/2/3/4/5が複数ある場合は、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0091】
より具体的には、一般式(Ao1/2/3/4/5-2)は、下記式(Ao1/2/3/4/5-2-1)~(Ao1/2/3/4/5-2-4)のいずれかを表すことが好ましい。
【0092】
【化27】
【0093】
一般式(Ao1/2/3/4/5-2-1)~(Ao1/2/3/4/5-2-4)中、白点はシクロヘキサン環構造、-CH=CH-又は-C≡C-への結合手を表し、黒点は-C≡C-又はベンゼン環構造への結合手を表す。
【0094】
より具体的には、一般式(Ao1/2/3/4/5-3)は、下記式(Ao1/2/3/4/5-3-1)~(Ao1/2/3/4/5-3-4)のいずれかを表すことが好ましい。
【0095】
【化28】
【0096】
一般式(Ao1/2/3/4/5-3-1)~(Ao1/2/3/4/5-3-4)中、白点はシクロヘキサン環構造、-CH=CH-又は-C≡C-への結合手を表し、黒点は-C≡C-又はベンゼン環構造への結合手を表す。
【0097】
より具体的には、一般式(Ao1/2/3/4/5-4)は、下記式(Ao1/2/3/4/5-4-1)~(Ao1/2/3/4/5-4-4)のいずれかを表すことが好ましい。
【0098】
【化29】
【0099】
一般式(Ao1/2/3/4/5-4-1)~(Ao1/2/3/4/5-4-4)中、白点はシクロヘキサン環構造、-CH=CH-又は-C≡C-への結合手を表し、黒点は-C≡C-又はベンゼン環構造への結合手を表す。
【0100】
より具体的には、一般式(Ao1/2/3/4/5-5)は、下記式(Ao1/2/3/4/5-5-1)~(Ao1/2/3/4/5-5-4)のいずれかを表すことが好ましい。
【0101】
【化30】
【0102】
一般式(Ao1/2/3/4/5-5-1)~(Ao1/2/3/4/5-5-4)中、白点はシクロヘキサン環構造、-CH=CH-又は-C≡C-への結合手を表し、黒点は-C≡C-又はベンゼン環構造への結合手を表す。
【0103】
一般式(o-1)~(o-5)中、Yo1、Yo2、Yo3、Yo4及びYo5は、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子を表す。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
誘電率異方性(Δε)、相溶性の観点から、Yo1、Yo2、Yo3、Yo4及びYo5は、フッ素原子が好ましい。
【0104】
一般式(o-1)で表される化合物としては、下記一般式(o-1-1)で表される化合物であることが好ましい。
【0105】
【化31】
【0106】
一般式(o-1-1)中、Ro1は、上記一般式(o-1)中のRo1と同じ意味を表す。
一般式(o-1-1)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(o-1-1.1)~(o-1-1.7)で表される化合物等が挙げられる。
【0107】
【化32】
【0108】
一般式(o-2)で表される化合物としては、下記一般式(o-2-1)で表される化合物であることが好ましい。
【0109】
【化33】
【0110】
一般式(o-2-1)中、Ro2は、上記一般式(o-2)中のRo2と同じ意味を表す。
一般式(o-2-1)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(o-2-1.1)~(o-2-1.7)で表される化合物等が挙げられる。
【0111】
【化34】
【0112】
一般式(o-3)で表される化合物としては、下記一般式(o-3-1)で表される化合物であることが好ましい。
【0113】
【化35】
【0114】
一般式(o-3-1)中、Ro3は、上記一般式(o-3)中のRo3と同じ意味を表す。
一般式(o-3-1)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(o-3-1.1)~(o-3-1.7)で表される化合物等が挙げられる。
【0115】
【化36】
【0116】
一般式(o-4)で表される化合物としては、下記一般式(o-4-1)で表される化合物であることが好ましい。
【0117】
【化37】
【0118】
一般式(o-4-1)中、Ro4は、上記一般式(o-4)中のRo4と同じ意味を表す。
一般式(o-4-1)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(o-4-1.1)~(o-4-1.7)で表される化合物等が挙げられる。
【0119】
【化38】
【0120】
一般式(o-5)で表される化合物としては、下記一般式(o-5-1)で表される化合物であることが好ましい。
【0121】
【化39】
【0122】
一般式(o-5-1)中、Ro5は、上記一般式(o-5)中のRo5と同じ意味を表す。
一般式(o-5-1)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(o-5-1.1)~(o-5-1.7)で表される化合物等が挙げられる。
【0123】
【化40】
【0124】
一般式(o-1)、一般式(o-1-1)又は構造式(o-1-1.1)~(o-1-1.7)で表される化合物の液晶組成物に用いる種類は、1種又は2種以上、好ましくは1~10種、好ましくは1~5種、好ましくは1~3種である。
【0125】
一般式(o-1)、一般式(o-1-1)又は構造式(o-1-1.1)~(o-1-1.7)で表される化合物の液晶組成物100質量%中の合計含有量は、1~60質量%であることが好ましく、5~55質量%であることが好ましく、10~50質量%であることが好ましい。
【0126】
一般式(o-2)、一般式(o-2-1)又は構造式(o-2-1.1)~(o-2-1.7)で表される化合物の液晶組成物に用いる種類は、1種又は2種以上、好ましくは1~10種、好ましくは1~5種、好ましくは1~3種である。
【0127】
一般式(o-2)、一般式(o-2-1)又は構造式(o-2-1.1)~(o-2-1.7)で表される化合物の液晶組成物100質量%中の合計含有量は、5~45質量%であることが好ましく、10~40質量%であることが好ましく、15~35質量%であることが好ましい。
【0128】
一般式(o-3)、一般式(o-3-1)又は構造式(o-3-1.1)~(o-3-1.7)で表される化合物の液晶組成物に用いる種類は、1種又は2種以上、好ましくは1~10種、好ましくは1~5種、好ましくは1~3種である。
【0129】
一般式(o-3)、一般式(o-3-1)又は構造式(o-3-1.1)~(o-3-1.7)で表される化合物の液晶組成物100質量%中の合計含有量は、1~15質量%であることが好ましく、1~10質量%であることが好ましく、3~7質量%であることが好ましい。
【0130】
一般式(o-4)、一般式(o-4-1)又は構造式(o-4-1.1)~(o-4-1.7)で表される化合物の液晶組成物に用いる種類は、1種又は2種以上、好ましくは1~10種、好ましくは1~5種、好ましくは1~3種である。
【0131】
一般式(o-4)、一般式(o-4-1)又は構造式(o-4-1.1)~(o-4-1.7)で表される化合物の液晶組成物100質量%中の合計含有量は、1~15質量%であることが好ましく、1~10質量%であることが好ましく、3~7質量%であることが好ましい。
【0132】
一般式(o-5)、一般式(o-5-1)又は構造式(o-5-1.1)~(o-5-1.7)で表される化合物の液晶組成物に用いる種類は、1種又は2種以上、好ましくは1~10種、好ましくは1~5種、好ましくは1~3種である。
【0133】
一般式(o-5)、一般式(o-5-1)又は構造式(o-5-1.1)~(o-5-1.7)で表される化合物の液晶組成物100質量%中の合計含有量は、5~35質量%であることが好ましく、10~30質量%であることが好ましく、15~25質量%であることが好ましい。
【0134】
一般式(o-1)~(o-5)で表される化合物(下位概念を含む)は、公知の合成方法を用いて合成することができる。
【0135】
(液晶組成物)
本発明に係る液晶組成物は、例えば、上述の一般式(i)で表される化合物及び一般式(ii)で表される化合物で表される化合物からなる群から選ばれる化合物、一般式(iii)で表される化合物、必要に応じて上述のその他の化合物、添加物を混合することにより、製造することができる。
【0136】
添加物としては、安定剤、色素化合物、重合性化合物、アゾトラン化合物、イソチオシアネート化合物(NCS化合物)等が挙げられる。
【0137】
安定剤としては、例えば、ヒドロキノン類、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール類、ピロガロール類、チオフェノール類、ニトロ化合物類、β-ナフチルアミン類、β-ナフトール類、ニトロソ化合物類、ヒンダードフェノール類、ヒンダードアミン類等が挙げられる。
ヒンダードフェノール類としては、下記の構造式(XX-1)~(XX-3)で表されるヒンダードフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
【0138】
【化41】
【0139】
ヒンダードアミン類としては、下記の構造式(YY-1)~(YY-2)で表されるヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。
【0140】
【化42】
【0141】
安定剤を使用する場合における安定剤の液晶組成物に用いる種類は、1種又は2種以上、好ましくは1~10種、好ましくは1~8種、好ましくは1~6種、好ましくは1~4種、好ましくは1~2種である。
安定剤を使用する場合における安定剤の液晶組成物100質量%中の合計含有量は、0.005~1質量%であることが好ましく、0.02~0.50質量%であることが好ましく、0.03~0.35質量%であることが好ましい。
【0142】
また、液晶組成物に用いる化合物の組み合わせとしては、溶解性、Δn及び/又はTniの観点から、
1)一般式(i)で表される化合物(下位概念を含む)と、一般式(iii)で表される化合物(下位概念を含む)との組み合わせ、
2)一般式(i)で表される化合物(下位概念を含む)と、一般式(iii)で表される化合物(下位概念を含む)と、一般式(o-1)で表される化合物(下位概念を含む)との組み合わせ、
3)一般式(i)で表される化合物(下位概念を含む)と、一般式(iii)で表される化合物(下位概念を含む)と、一般式(o-2)で表される化合物(下位概念を含む)との組み合わせ、
4)一般式(i)で表される化合物(下位概念を含む)と、一般式(iii)で表される化合物(下位概念を含む)と、一般式(o-5)で表される化合物(下位概念を含む)との組み合わせ、
5)一般式(ii)で表される化合物(下位概念を含む)と、一般式(iii)で表される化合物(下位概念を含む)との組み合わせ、
6)一般式(ii)で表される化合物(下位概念を含む)と、一般式(iii)で表される化合物(下位概念を含む)と、一般式(o-2)で表される化合物(下位概念を含む)との組み合わせ、
7)一般式(i)で表される化合物(下位概念を含む)と、一般式(ii)で表される化合物(下位概念を含む)と、一般式(iii)で表される化合物(下位概念を含む)との組み合わせ、
8)一般式(i)で表される化合物(下位概念を含む)と、一般式(ii)で表される化合物(下位概念を含む)と、一般式(iii)で表される化合物(下位概念を含む)と、一般式(o-1)で表される化合物(下位概念を含む)との組み合わせ、
9)一般式(i)で表される化合物(下位概念を含む)と、一般式(ii)で表される化合物(下位概念を含む)と、一般式(iii)で表される化合物(下位概念を含む)と、一般式(o-2)で表される化合物(下位概念を含む)との組み合わせ、
10)一般式(i)で表される化合物(下位概念を含む)と、一般式(ii)で表される化合物(下位概念を含む)と、一般式(iii)で表される化合物(下位概念を含む)と、一般式(o-3)で表される化合物(下位概念を含む)との組み合わせ、
が好ましい。
【0143】
<液晶組成物の特性値>
液晶相上限温度(Tni)は、液晶組成物がネマチック相から等方相へ相転移する温度である。
niは、液晶組成物をスライドガラスとカバーガラスで挟持したプレパラートを作成し、ホットステージ上で加熱しながら偏光顕微鏡観察することで測定する。
また、示差走査熱量測定(DSC)により測定することもできる。
単位は「℃」を用いる。
niが高いほど高温でもネマチック相を維持することができ、駆動温度範囲を広く取ることができるが、製造時に加熱溶解させるため高温過ぎると液晶を加熱劣化させることや、高温溶解設備が必要なため好ましくない。またTniが高い程、低温での保存安定性が乏しくなる傾向であるため、高Tniと保存安定性の両立は難しい。
本発明に係る液晶組成物の液晶相上限温度(Tni)は、液晶表示素子の外温のコントロールが可能な屋内や自動車内などで使用する場合や屋外で使用する場合に応じて適宜設定することができるが、駆動温度範囲の観点から、170℃以下であることが好ましく、110~170℃であることが好ましく、115℃~165℃であることが好ましい。
【0144】
液晶相下限温度(T→n)は、液晶組成物が他の相(ガラス相、スメクチック相、結晶相)からネマチック相へ相転移する温度である。
→nは、液晶組成物をガラスキャピラリーに充填し、-70℃の冷媒に浸漬させて液晶組成物を他の相に相転移させ、温度を上昇させながら観察することで測定する。
また、示差走査熱量測定(DSC)により測定することもできる。
単位は「℃」を用いる。
→nが低いほど低温でもネマチック相を維持することができるため、駆動温度範囲を広く取ることができる。
本発明に係る液晶組成物の液晶相下限温度(T→n)は、駆動温度の観点から、10℃以下であることが好ましく、-70~0℃であることが好ましく、-40~-5℃であることが好ましい。
【0145】
Δn(屈折率異方性)は、後述する光学センサで用いられる近赤外領域のΔnと相関する。
Δnが大きいほど対象とする波長の光の位相変調力が大きくなるため特に光学センサ類に好適である。
25℃、589nmにおけるΔnはアッベ屈折計を用いて液晶組成物の異常光屈折率(n)と常光屈折率(n)の差(n-n)から求める。
また、位相差測定装置から、Δnを求めることもできる。
位相差Re、液晶層の厚さd及びΔnとの間には、Δn=Re/dの関係が成り立つ。
セルギャップ(d)が約3.0μmで、アンチパラレルラビング処理を施したポリイミド配向膜付きガラスセルに液晶組成物を注入し、面内のReを位相差フィルム・光学材料検査装置RETS-100(大塚電子株式会社製)で測定する。
測定は温度25℃、589nmの条件で行い、単位はない。 本発明に係る液晶組成物の25℃、589nmにおけるΔnは、波長の光の位相変調力の観点から、0.40以上であることが好ましく、0.40~0.55であることが好ましく、0.41~0.50であることが好ましく、0.43~0.48であることが好ましい。
【0146】
回転粘度(γ)は、液晶分子の回転に関わる粘性率である。
γは、液晶組成物をセルギャップ約10μmのガラスセルに充填、電圧を50V印可し、LCM-2(東陽テクニカ製)を用いて測定することができる。
誘電率異方性が正の液晶組成物の場合は水平配向セル、誘電率異方性が負の液晶組成物の場合は垂直配向セルを使用する。
測定は温度25℃で行い、単位はmPa・sを用いる。
γが小さいほど液晶組成物の応答速度が速くなるためいずれの液晶表示素子においても好適である。
本発明に係る液晶組成物の25℃における液晶組成物の回転粘度(γ)は、応答速度の観点から、150~1200mPa・sであることが好ましく、200~900mPa・sであることが好ましく、250~700mPa・sであることが好ましい。
【0147】
高周波数領域における誘電率異方性は、高いほど目的周波数帯の電波に対する位相変調力が大きくなるため、特にアンテナ用途に好適である。
また、アンテナ用途では高周波数領域における誘電正接が小さいほど目的周波数帯のエネルギー損失が小さくなるため好適である。
本発明に係る液晶組成物においては、高周波数領域の特性を代表して10GHzにおける誘電率異方性Δε及び誘電正接の平均値tanδisoを測定した。
Δε=(εr∥-εr⊥)であり、tanδiso=(2εr⊥tanδ+εr∥tanδ)/(2εr⊥r∥)である。
ここで、「εr」は誘電定数、「tanδ」は誘電正接であり、添え字の「∥」は液晶の配向方向に対して並行方向、「⊥」は液晶の配向方向に対して垂直方向の成分であることを表す。
【0148】
Δε及びtanδisoは以下の方法により測定することができる。
まず、液晶組成物を、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の毛細管へと導入する。
ここで用いた毛細管は0.80mmの内半径及び0.835mmの外半径を有し、有効長は4.0cmである。
液晶組成物を封入した毛細管を、10GHzの共鳴周波数を有する空洞共振器(EMラボ株式会社製)の中心へと導入する。
この空洞共振器は30mmの直径、26mm幅の外形を有する。
そして信号を入力し、出力された信号の結果を、ネットワーク・アナライザ(キーサイト・テクノロジー株式会社製)を用いて記録する。
液晶組成物を封入しないPTFE毛細管の共鳴周波数等と液晶組成物を封入したPTFE毛細管の共鳴周波数等の差を用いて、10GHzにおける誘電定数(ε)及び損失角(δ)を決定する。
そして、得られたδの正接が誘電正接(tanδ)である。
なお、液晶組成物を封入したPTFE毛細管を用いた共鳴周波数等は、液晶分子の配向制御により、液晶分子の配向方向に垂直な特性成分の値及び平行な特性成分の値として求める。
液晶分子をPTFE毛細管の垂直方向(有効長方向に対して垂直)に配列させたり、平行方向(有効長方向に対して平行)に配列させたりするために、永久磁石又は電磁石の磁界を用いる。
磁界は、例えば、磁極間距離45mm、中央付近の磁界の強さは0.23テスラである。
液晶組成物を封入したPTFE毛細管を磁界に対して並行又は垂直に回転させることで所望の特性成分を得る。
測定は温度25℃で行い、Δε及びtanδiso共に単位はない。
【0149】
本発明に係る液晶組成物の25℃におけるΔεはより大きいことが好ましいが、GHz帯における位相変調力の観点から、0.90以上であることが好ましく、0.90~1.50であることが好ましく、0.95~1.40であることが好ましく、1.00~1.35であることが好ましい。
本発明に係る液晶組成物の25℃におけるtanδisoはより小さいことが好ましいが、GHz帯における損失の観点から、0.025以下であることが好ましく、0.001~0.025であることが好ましく、0.003~0.020であることが好ましく、0.005~0.017であることが好ましく、0.007~0.015であることが好ましく、0.008~0.013であることが好ましく、0.009~0.012が好ましい。
【0150】
(液晶表示素子、センサ、液晶レンズ、光通信機器及びアンテナ)
以下、本発明に係る液晶組成物を用いた液晶表示素子、センサ、液晶レンズ、光通信機器、アンテナについて説明する。
【0151】
本発明に係る液晶表示素子は、上述の液晶組成物を用いたことを特徴とし、好ましくはアクティブマトリクス方式又はパッシブマトリクス方式で駆動する。
また、本発明に係る液晶表示素子は、上述の液晶組成物の液晶分子の配向方向を可逆的に変えることにより誘電率を可逆的にスイッチングする液晶表示素子であることが好ましい。
【0152】
本発明に係るセンサは、上述の液晶組成物を用いたことを特徴とし、例えば、その態様として、電磁波、可視光又は赤外光を利用する測距センサ、温度変化を利用する赤外線センサ、コレステリック液晶のピッチ変化による反射光波長変化を利用する温度センサ、反射光波長変化を利用する圧力センサ、組成変化による反射光波長変化を利用する紫外線センサ、電圧、電流による温度変化を利用する電気センサ、放射線粒子の飛跡に伴った温度変化を利用する放射線センサ、超音波の機械的振動による液晶分子配列変化を利用する超音波センサ、温度変化による反射光波長変化又は電界による液晶分子配列変化を利用する電磁界センサ等が挙げられる。
測距センサとしては、光源を用いるLiDAR(Light Detection And Ranging)用であることが好ましい。
LiDARとしては、人工衛星用、航空機用、無人航空機(ドローン)用、自動車用、鉄道用、船舶用が好ましい。
自動車用としては、自動運転自動車用が特に好ましい。
光源はLED又はレーザであることが好ましく、レーザであることが好ましい。
LiDARに用いられる光は赤外光であることが好ましく、波長は800~2000nmであることが好ましい。
特に、905nm又は1550nmの波長の赤外レーザが好ましい。
用いる光検出器のコストや全天候における感度を重視する場合は905nmの赤外レーザが好ましく、人間の視覚に関する安全性を重視する場合には1550nmの赤外レーザが好ましい。
本発明に係る液晶組成物は、高いΔnを示すことから、可視光、赤外光及び電磁波領域での位相変調力が大きく、検出感度に優れたセンサを提供できる。
【0153】
本発明に係る液晶レンズは、上述の液晶組成物を用いたことを特徴とし、例えば、その態様の一つとして、第1の透明電極層と、第2の透明電極層と、前記第1の透明電極層及び前記第2の透明電極層の間に設けられた上述の液晶組成物を含む液晶層と、前記第2の透明電極層及び前記液晶層の間に設けられた絶縁層と、前記絶縁層及び前記液晶層の間に設けられた高抵抗層とを有する。
本発明に係る液晶レンズは、例えば、2D、3Dの切り替えレンズ、カメラの焦点調節用のレンズなどとして利用される。
【0154】
本発明に係る光通信機器は、上述の液晶組成物を用いたことを特徴とし、例えば、その態様の一つとして、反射層(電極)の上に、複数の画素の各々を構成する液晶が2次元状に配置された液晶層を有する構成のLCOS(Liquid crystal on silicon)が挙げられる。
本発明に係る光通信機器は、例えば、空間位相変調器として利用される。
【0155】
本発明に係るアンテナは、上述の液晶組成物を用いたことを特徴とする。
本発明に係るアンテナは、より具体的には、複数のスロットを備えた第1基板と、前記第1基板と対向し、給電部が設けられた第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた第1誘電体層と、前記複数のスロットに対応して配置される複数のパッチ電極と、前記パッチ電極が設けられた第3基板と、前記第1基板と前記第3基板との間に設けられた液晶層とを備え、前記液晶層が、上述の液晶組成物を含有する。
本発明に係る液晶組成物を用いることにより、熱等の外部刺激に対して高い信頼性を有するアンテナを提供することができる。
また、マイクロ波又はミリ波の電磁波に対してより大きな位相制御を可能とするアンテナを提供することができる。
本発明に係るアンテナは、衛星通信に使用されるKa帯周波数又はK帯周波数もしくはKu帯周波数において動作することが好ましい。
本発明に係るアンテナは、ラジアルラインスロットアレイと、パッチアンテナアレイとを組み合わせた構成であることが好ましい。
本発明に係るアンテナの構造としては、例えば国際公開第2021/157189号パンフレット等に記載されている事項等を参酌し、適用することができる。
【実施例
【0156】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例の組成物は各化合物を表中の割合で含有し、含有量は「質量%」で記載した。
また、化合物の記載は、以下の略号を用いる。
なお、シス体とトランス体を取りうる化合物は特に断りがない限りトランス体を表す。
<環構造>
【0157】
【化43】
【0158】
<末端構造>
【0159】
【表1】

(ただし、表中のnは自然数である。また、nで表されるアルキル基は直鎖状のアルキル基である。)
【0160】
<連結構造>
【0161】
【表2】
(ただし、表中のnは自然数である。また、nで表されるアルキレン基は直鎖状のアルキレン基である。)
【0162】
(ヒンダードフェノール系酸化防止剤)
【0163】
【化44】
【0164】
(ヒンダードアミン系光安定剤)
【0165】
【化45】
【0166】
(液晶組成物の調製)
表3に記載のLC-A~B並びにLC-01~08を調製した。
【0167】
【表3】
【0168】
(実施例1~14並びに比較例1~2)
LC-A~B並びにLC-01~08と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(XX-1)~(XX-3)と、ヒンダードアミン系光安定剤(YY-1)~(YY-2)とを用いて液晶組成物を調製し、その物性値を測定し、<保存性試験>を行った。結果を表4~5に示す。なお、比較例1においては、室温で結晶化したため、高周波数特性(Δε及びtanδiso)の測定は行っていない。
<保存性試験>
1mLのサンプル瓶(マルエム社製)に液晶組成物を0.5g秤量し150~250Paで10分間脱気による脱泡を実施した。その後乾燥窒素を用いてパージし、備え付けの蓋をした。これを25℃の温度制御式恒温槽(エスペック社製、SH-241)の中で2週間にわたって保存し、1週間ごとに目視にて液晶組成物の結晶化の発生を確認した。
【0169】
【表4】
【0170】
【表5】
【0171】
実施例1と比較例1~2より、前記一般式(i)及び(ii)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物の1種又は2種以上と前記一般式(iii)で表される化合物の1種又は2種以上を所定の量含有する液晶組成物は、ΔnとTniのバランスに優れ、室温での保存性が良好であることが確認され、Δε、tanδisoも良好な値を示した。
一方、比較例1~2より、前記一般式(i)及び(ii)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物の1種又は2種以上と前記一般式(iii)で表される化合物の1種又は2種以上を所定の量含有しない液晶組成物は、Δnが0.40未満と小さかったり、Tniが175℃以上と高かったりする結果となった。
また、比較例1においては、LC-Aを調整後4日後で結晶化したことが確認された。
更に、実施例2~14より、種々の化合物を用いた場合やヒンダードフェノール系酸化防止剤やヒンダードアミン系光安定剤を併用した場合においても、同様の効果が確認された。
以下、一般式(i)及び(ii)で表される化合物の合成について記載する。
(合成実施例1)式(I-1)で表される化合物の製造
【0172】
【化46】
【0173】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I-1-1)で表される化合物17g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム2.3g、炭酸カリウム20g、1-ブロモ-4-ヨードベンゼン29g、テトラヒドロフラン200mL、水40mLを加え、反応容器を70℃に加熱した。反応終了後、反応液に10質量%塩酸を注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、溶媒を留去し、ヘキサンによる分散洗浄を行うことによって、式(I-1-2)で表される化合物23gを得た。
次に、窒素雰囲気下、反応容器に式(I-1-2)で表される化合物23.0g、ヨウ化銅(I)0.7g、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド1.25g、トリエチルアミン50mL、N,N-ジメチルホルムアミド150mLを加えた。そして、85℃で加熱しながら、式(I-1-3)で表される化合物13gをN,N-ジメチルホルムアミド25mLに溶解させた溶液を滴下し、85℃で3時間攪拌した。反応終了後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、トルエンによる再結晶を行うことによって、式(I-1-4)で表される化合物22gを得た。
次に、反応容器に式(I-1-4)で表される化合物22g、ジクロロメタン100ml、1,1‘-チオカルボニル-ジ-2(1H)ピリドン16g加え、室温で反応させた。反応終了後、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン)及び再結晶(トルエン/ヘキサン=2/1)により精製を行うことによって、式(I-1)で表される化合物20.5gを得た。
MS(EI):m/z=401
(合成実施例2)式(I-2)で表される化合物の製造
【0174】
【化47】
【0175】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I-2-1)で表される化合物21.0g、ヨウ化銅(I)0.8g、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド1.4g、トリエチルアミン50mL、N,N-ジメチルホルムアミド150mLを加えた。そして、70℃で加熱しながら、トリメチルシリルアセチレン20gをN,N-ジメチルホルムアミド50mLに溶解させた溶液を滴下し、70℃で2時間攪拌した。反応終了後、反応液に10質量%塩酸を注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン)及び溶媒留去を行った。更に炭酸カリウム20gを加え、メタノール200mlを加えた後、反応容器を50℃に加熱し2時間反応させた。そして、反応液をトルエンで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン)及び溶媒留去し、式(I-2-2)で表される化合物14gを得た。
次に、窒素雰囲気下、反応容器に式(I-2-3)で表される化合物23.0g、ヨウ化銅(I)0.7g、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド1.25g、トリエチルアミン50mL、N,N-ジメチルホルムアミド150mLを加えた。そして、85℃で加熱しながら、式(I-2-2)で表される化合物14gをN,N-ジメチルホルムアミド25mLに溶解させた溶液を滴下し、85℃で3時間攪拌した。反応終了後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、トルエンによる再結晶を行うことによって、式(I-2-4)で表される化合物20gを得た。
次に、反応容器に式(I-2-4)で表される化合物20g、ジクロロメタン100ml、1,1‘-チオカルボニル-ジ-2(1H)ピリドン15g加え、室温で反応させた。反応終了後、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン)及び再結晶(トルエン/ヘキサン=2/1)により精製を行うことによって、式(I-2)で表される化合物18gを得た。
MS(EI):m/z=401
(合成実施例3)式(I-3)で表される化合物の製造
【0176】
【化48】
【0177】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I-3-1)で表される化合物22.5g、ヨウ化銅(I)0.8g、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド1.4g、トリエチルアミン50mL、N,N-ジメチルホルムアミド150mLを加えた。そして、70℃で加熱しながら、トリメチルシリルアセチレン20gをN,N-ジメチルホルムアミド50mLに溶解させた溶液を滴下し、70℃で2時間攪拌した。反応終了後、反応液に10質量%塩酸を注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン)及び溶媒留去を行った。更に炭酸カリウム20gを加え、メタノール200mlを加えた後、反応容器を50℃に加熱し2時間反応させた。そして、反応液をトルエンで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン)及び溶媒留去し、式(I-3-2)で表される化合物15gを得た。
次に、窒素雰囲気下、反応容器に式(I-3-3)で表される化合物22.5g、ヨウ化銅(I)0.7g、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド1.25g、トリエチルアミン50mL、N,N-ジメチルホルムアミド150mLを加えた。そして、85℃で加熱しながら、式(I-3-2)で表される化合物15gをN,N-ジメチルホルムアミド25mLに溶解させた溶液を滴下し、85℃で3時間攪拌した。反応終了後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、トルエンによる再結晶を行うことによって、式(I-3-4)で表される化合物22gを得た。
次に、反応容器に式(I-3-4)で表される化合物22g、ジクロロメタン100ml、1,1‘-チオカルボニル-ジ-2(1H)ピリドン16g加え、室温で反応させた。反応終了後、有機層を食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン)及び再結晶(トルエン/ヘキサン=2/1)により精製を行うことによって、式(I-3)で表される化合物19gを得た。
MS(EI):m/z=415
【産業上の利用可能性】
【0178】
本発明の液晶組成物は、液晶表示素子、センサ、液晶レンズ、光通信機器及びアンテナに利用することができる。
【要約】
本発明は、大きいΔnを有するがTniが高くなりすぎない、すなわち、ΔnとTniのバランスに優れ、室温での保存性が良好な液晶組成物並びにこれを用いた液晶表示素子、センサ、液晶レンズ、光通信機器及びアンテナを提供することを課題とする。
具体的には、一般式(i)及び(ii)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物の1種又は2種以上と、一般式(iii)で表される化合物の1種又は2種以上とを含有する液晶組成物において、前記一般式(i)及び(ii)で表される化合物と前記一般式(iii)で表される化合物を所定の量含有する液晶組成物である。