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7640034金属焼結接合用めっき皮膜及びその製造方法、並びに、半導体実装基板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-25
(45)【発行日】2025-03-05
(54)【発明の名称】金属焼結接合用めっき皮膜及びその製造方法、並びに、半導体実装基板
(51)【国際特許分類】
   C23C 18/36 20060101AFI20250226BHJP
   C23C 18/44 20060101ALI20250226BHJP
【FI】
C23C18/36
C23C18/44
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024541892
(86)(22)【出願日】2024-07-03
(86)【国際出願番号】 JP2024024010
【審査請求日】2024-07-11
(31)【優先権主張番号】P 2023177387
(32)【優先日】2023-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591021028
【氏名又は名称】奥野製薬工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 寛生
(72)【発明者】
【氏名】長村 治紀
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 佳
(72)【発明者】
【氏名】謝 明君
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 克昭
(72)【発明者】
【氏名】陳 伝▲トウ▼
(72)【発明者】
【氏名】張 政
(72)【発明者】
【氏名】末武 愛士
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-188109(JP,A)
【文献】特開2023-058312(JP,A)
【文献】特開2002-256444(JP,A)
【文献】特開平10-284640(JP,A)
【文献】国際公開第2023/053558(WO,A1)
【文献】特開2015-017296(JP,A)
【文献】特開2004-137589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 18/00-18/54
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜を有する金属焼結接合用めっき皮膜であって、
前記(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜のリン含有量は、無電解ニッケル-リンめっき皮膜を100質量%として4質量%以下であ
更に、前記(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜上に、(B)無電解銀めっき皮膜を有する、
ことを特徴とする、金属焼結接合用めっき皮膜。
【請求項2】
前記(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜の硫黄含有量は、無電解ニッケル-リンめっき皮膜を100質量%として0.0005質量%未満である、請求項1に記載の金属焼結接合用めっき皮膜。
【請求項3】
前記(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜の硫黄含有量は、無電解ニッケル-リンめっき皮膜を100質量%として0.0001質量%以下である、請求項1に記載の金属焼結接合用めっき皮膜。
【請求項4】
前記(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜の厚みは、0.1~20μm以下である、請求項1に記載の金属焼結接合用めっき皮膜。
【請求項5】
前記(B)無電解銀めっき皮膜の厚みは、0.02~2μmである、請求項に記載の金属焼結接合用めっき皮膜。
【請求項6】
前記(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜と、前記(B)無電解銀めっき皮膜との間に、更に、(C)バリアメタル層を有する、請求項に記載の金属焼結接合用めっき皮膜。
【請求項7】
前記(C)バリアメタル層は、無電解パラジウムめっき皮膜、又は、無電解パラジウム-リンめっき皮膜である、請求項に記載の金属焼結接合用めっき皮膜。
【請求項8】
銀及び/又は銅を含有する金属焼結材用である、請求項1に記載の金属焼結接合用めっき皮膜。
【請求項9】
基板上に金属焼結接合用めっき皮膜を形成する金属焼結接合用めっき皮膜の製造方法であって、
(1)基板の表面に、無電解ニッケル-リンめっき液を接触させて、前記基板上に(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜を形成する工程1を有し、
更に、(2)前記無電解ニッケル-リンめっき皮膜の表面に、無電解銀めっき液を接触させて、前記(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜上に、(B)無電解銀めっき皮膜を形成する工程2を有し、
前記(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜のリン含有量は、無電解ニッケル-リンめっき皮膜を100質量%として4質量%以下である、
ことを特徴とする金属焼結接合用めっき皮膜の製造方法。
【請求項10】
基板上に、(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜、及び、前記(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜上に、(B)無電解銀めっき皮膜を有する金属焼結接合用めっき皮膜が積層され、
前記金属焼結接合用めっき皮膜の上に、金属焼結材層を介して半導体素子を有し、
前記(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜のリン含有量は、無電解ニッケル-リンめっき皮膜を100質量%として4質量%以下である、
ことを特徴とする半導体実装基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、めっき皮膜及びその製造方法、並びに、半導体実装基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、SiC、GaN等のワイドバンドギャップパワー半導体素子を搭載した次世代パワーモジュールが用いられている。このような次世代パワーモジュールは、例えば、200℃以上の高温環境下での動作が可能となるため、周辺部材についても高い耐熱性が要求される。
【0003】
従来、半導体素子を基板に接合する際にはんだが使用されているが、耐熱性、耐冷熱衝撃性が劣るという問題がある。
【0004】
はんだに代わる接合技術として、銀や銅粒子を使用した金属焼結接合が着目されている。しかしながら、金属焼結接合を行うためには基板等の接合を行う部材の表面処理が必要となり、また、その表面処理により形成される皮膜にも耐熱性が要求される。
【0005】
本発明者は、銀焼結接合、又は、銅焼結接合に適した表面処理としては、無電解ニッケル合金めっきが適していることを見出した。無電解ニッケル合金めっきとしては、無電解ニッケル-リンめっき、無電解ニッケル-ホウ素めっき等があり、特に無電解ニッケル-リンめっき皮膜が幅広い分野で実用化されている。
【0006】
しかしながら、一般的に使用されるリン含有量6~12質量%の無電解ニッケル-リンめっき皮膜は(特許文献1参照)耐熱性、耐冷熱衝撃性が劣り、高温環境下において使用する際にクラックが生じるため、次世代パワーモジュールの周辺部材としての使用ができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2023-090169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、耐熱性、及び、耐冷熱衝撃性に優れており、金属焼結接合用として適しためっき皮膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜を有するめっき皮膜において、(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜のリン含有量が特定の範囲である金属焼結接合用めっき皮膜によれば、上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、下記のめっき皮膜及びその製造方法、並びに、半導体実装基板に関する。
1.(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜を有する金属焼結接合用めっき皮膜であって、
前記(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜のリン含有量は、無電解ニッケル-リンめっき皮膜を100質量%として4質量%以下である、
ことを特徴とする、金属焼結接合用めっき皮膜。
2.前記(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜の硫黄含有量は、無電解ニッケル-リンめっき皮膜を100質量%として0.0005質量%未満である、項1に記載の金属焼結接合用めっき皮膜。
3.前記(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜の硫黄含有量は、無電解ニッケル-リンめっき皮膜を100質量%として0.0001質量%以下である、項1又は2に記載の金属焼結接合用めっき皮膜。
4.前記(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜の厚みは、0.1~20μm以下である、項1~3のいずれかに記載の金属焼結接合用めっき皮膜。
5.更に、前記(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜上に、(B)無電解銀めっき皮膜、又は、無電解金めっき皮膜を有する、項1~4のいずれかに記載の金属焼結接合用めっき皮膜。
6.前記(B)無電解銀めっき皮膜、又は、無電解金めっき皮膜の厚みは、0.02~2μmである、項5に記載の金属焼結接合用めっき皮膜。
7.前記(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜と、前記(B)無電解銀めっき皮膜、又は、無電解金めっき皮膜との間に、更に、(C)バリアメタル層を有する、項5又は6に記載の金属焼結接合用めっき皮膜。
8.前記(C)バリアメタル層は、無電解パラジウムめっき皮膜、又は、無電解パラジウム-リンめっき皮膜である、項7に記載の金属焼結接合用めっき皮膜。
9.銀及び/又は銅を含有する金属焼結材用である、項1~9のいずれかに記載の金属焼結接合用めっき皮膜。
10.基板上に金属焼結接合用めっき皮膜を形成する金属焼結接合用めっき皮膜の製造方法であって、
(1)基板の表面に、無電解ニッケル-リンめっき液を接触させて、前記基板上に(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜を形成する工程1を有し、
前記(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜のリン含有量は、無電解ニッケル-リンめっき皮膜を100質量%として4質量%以下である、
ことを特徴とする金属焼結接合用めっき皮膜の製造方法。
11.更に、(2)前記無電解ニッケル-リンめっき皮膜の表面に、無電解銀めっき液、又は、無電解金めっき液を接触させて、前記(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜上に、(B)無電解銀めっき皮膜、又は、無電解金めっき皮膜を形成する工程2を有する、項10に記載の製造方法。
12.基板上に、(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜を有する金属焼結接合用めっき皮膜が積層され、
前記金属焼結接合用めっき皮膜の上に、金属焼結材層を介して半導体素子を有し、
前記(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜のリン含有量は、無電解ニッケル-リンめっき皮膜を100質量%として4質量%以下である、
ことを特徴とする半導体実装基板。
【発明の効果】
【0011】
本発明の金属焼結接合用めっき皮膜は、耐熱性、及び、耐冷熱衝撃性に優れている。このため、次世代パワーモジュールに使用される金属焼結接合用として、好適に用いることができる。また、本発明のめっき皮膜の製造方法は、耐熱性、及び、耐冷熱衝撃性に優れており、金属焼結接合用として好適に用いることができるめっき皮膜を製造することができる。更に、本発明の半導体実装基板は、耐熱性、及び、耐冷熱衝撃性に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0013】
なお、本発明の金属焼結接合用めっき皮膜においては、(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜が基板上に積層された状態で、基板と接触している側とは反対側の面の方向を「上」又は「表面」と称し、その反対側、すなわち(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜の基板と接する側の面の方向を「下」又は「裏面」と称することがある。
【0014】
1.金属焼結接合用めっき皮膜
本発明の金属焼結接合用めっき皮膜(以下、単に「めっき皮膜」とも示す。)は、(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜(以下、「(A)層」とも示す。)を有するめっき皮膜であって、前記(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜のリン含有量は、無電解ニッケル-リンめっき皮膜を100質量%として4質量%以下であるめっき皮膜である。本発明のめっき皮膜は、上記(A)層を有するので、(A)層が基板の酸化を抑制することができ、金属焼結材を介して半導体素子を固定しつつ半導体素子から生じる熱を放熱することができ、半導体素子の実装に適している。また、本発明のめっき皮膜は、(A)層のリン含有量が無電解ニッケル-リンめっき皮膜を100質量%として4質量%以下であることにより、耐熱性、及び、耐冷熱衝撃性に優れており、金属焼結接合用として好適に用いることができる。
【0015】
以下、本発明の金属焼結接合用めっき皮膜を構成する各めっき皮膜について詳細に説明する。
【0016】
((A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜)
本発明の金属焼結接合用めっき皮膜は、(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜を有する。
【0017】
無電解ニッケル-リンめっき皮膜のリン含有量は、無電解ニッケル-リンめっき皮膜を100質量%として4質量%以下である。リン含有量が4質量%を超えると、耐熱性、及び、耐冷熱衝撃性が劣り、めっき皮膜にクラックが発生するため、金属焼結材との接合性が不十分であり、半導体素子の実装に適さない。リン含有量は、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。また、リン含有量の下限は特に限定されず、0.1質量%、0.2質量%、0.5質量%であってもよい。無電解ニッケル-リンめっき皮膜のリン含有量は、無電解ニッケル-リンめっきの組成やめっき条件の変更により低下させることができる。
【0018】
(A)層は、硫黄含有量が、(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜を100質量%として0.0005質量%未満が好ましく、0.0002質量%以下がより好ましく、0.0001質量%以下が更に好ましく、特に好ましくは、硫黄を含有しておらず、0質量%である。(A)層の硫黄含有量が上記範囲であることにより、本発明のめっき皮膜の耐熱性、及び、耐冷熱衝撃性がより向上し、クラックの発生を抑制することができるため、金属焼結材を介した半導体素子の実装に適している。(A)層を形成するための無電解ニッケル-リンめっき液の組成中における二価の硫黄を含有する原料を低減させることにより、上記硫黄含有量を低下させることができる。
【0019】
(A)層の厚みは特に限定されないが、0.1~20μmが好ましく、0.2~10μmがより好ましく、0.5~5μmが更に好ましい。
【0020】
((B)無電解銀めっき皮膜、又は、無電解金めっき皮膜)
本発明の金属焼結接合用めっき皮膜は、(A)層の上に、(B)無電解銀めっき皮膜、又は、無電解金めっき皮膜(以下、「(B)層」とも示す。)を有していてもよい。本発明の金属焼結接合用めっき皮膜が(B)層を有することにより、金属焼結材との接合性がより向上し、金属焼結材を介して半導体素子を固定しつつ半導体素子から生じる熱を放熱することができ、半導体素子の実装により適している。
【0021】
(B)層の厚みは特に限定されず、金属焼結材を介して半導体素子をより固定することができ、且つ、半導体素子を固定しつつ半導体素子から生じる熱をより放熱し易い観点から、0.02~2μmが好ましい。
【0022】
(B)層が無電解銀めっき皮膜である場合、(B)層の厚みは0.02~1μmが好ましく、0.05~0.5μmがより好ましい。また、(B)層が無電解金めっき皮膜である場合、(B)層の厚みは0.02~1μmが好ましく、0.03~0.2μmがより好ましい。
【0023】
((C)バリアメタル層)
本発明の金属焼結接合用めっき皮膜は、(A)層と(B)層との間に、更に、(C)バリアメタル層(以下、「(C)層」とも示す。)を有していてもよい。本発明の金属焼結接合用めっき皮膜が(C)層を有することにより、下地金属の表面拡散、及び、無電解銀めっき又は無電解金めっきによるニッケル-リンめっき皮膜の腐食をより抑制することができるため、金属焼結材との接合性がより向上する。
【0024】
(C)層としては特に限定されず、公知のめっき皮膜が挙げられる。(C)層としては、例えば、無電解パラジウムめっき皮膜、無電解パラジウム-リンめっき皮膜、無電解プラチナめっき皮膜、無電解コバルト-リンめっき皮膜、無電解コバルト-ホウ素めっき皮膜等が挙げられる。これらの中でも、下地金属の表面拡散、及び、無電解銀めっき又は無電解金めっきによるニッケル-リンめっき皮膜の腐食をより抑制することができる観点から、無電解パラジウムめっき皮膜、無電解パラジウム-リンめっき皮膜が好ましい。
【0025】
(C)層が、例えば無電解パラジウム-リンめっき皮膜のように、リンを含有する場合、(C)層中のリン含有量は、(C)層を100質量%として0.1~2.0質量%が好ましく、0.5~1.5質量%がより好ましい。(C)層中のリン含有量が上記範囲であることにより、下地金属の表面拡散、及び、無電解銀めっき又は無電解金めっきによるニッケル-リンめっき皮膜の腐食をより抑制することができる。
【0026】
(金属焼結接合用めっき皮膜の特性)
本発明の金属焼結接合用めっき皮膜の厚みは特に限定されず、1~10μmが好ましく、1.5~8μmがより好ましく、2~5μmが更に好ましい。金属焼結接合用めっき皮膜の厚みが上記範囲であることにより、実装された半導体をより強固に固定することができ、且つ、酸化がより抑制される。
【0027】
以上説明した本願発明の金属焼結結合用めっき皮膜は、上述の構成であるので、耐熱性、及び、耐冷熱衝撃性に優れている。このため、次世代パワーモジュールに使用される金属焼結接合用として、好適に用いることができる。本発明の金属焼結結合用めっき皮膜は、特に、銀焼結接合、又は、銅焼結接合に好適に用いることができる。すなわち、本発明の金属焼結結合用めっき皮膜は、銀及び/又は銅を含有する金属焼結材用として用いるのに適している。
【0028】
2.金属焼結接合用めっき皮膜の製造方法
本発明の金属焼結接合用めっき皮膜の製造方法は、基板上に金属焼結接合用めっき皮膜を形成する金属焼結接合用めっき皮膜の製造方法であって、(1)基板の表面に、無電解ニッケル-リンめっき液を接触させて、前記基板上に(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜を形成する工程1を有し、前記(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜のリン含有量は、無電解ニッケル-リンめっき皮膜を100質量%として4質量%以下であることを特徴とする製造方法である。本発明の製造方法によれば、耐熱性、及び、耐冷熱衝撃性に優れており、金属焼結接合用として好適に用いることができる本発明の金属焼結接合用めっき皮膜を製造することができる。
【0029】
以下、各工程について説明する。
【0030】
(工程1)
工程1は、基板の表面に、無電解ニッケル-リンめっき液を接触させて、前記基板上に(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜を形成する工程である。
【0031】
工程1で用いられる基板(被めっき物)としては、半導体、回路等の電子部品に用いられる基板が挙げられる。このような基板としては、プリント配線基板、セラミック基板、シリコン基板、金属基板等が挙げられる。具体的にはSiC、GaN、Siなどの半導体チップ(主に裏面電極)や金属リードフレーム、またはDBC(Direct Bonded Copper)基板、DBA(Direct Bonded Aluminum)基板、AMB(Active Metal Brazing)基板などの絶縁放熱回路基板(セラミック基板)、ヒートシンク等の放熱基板が挙げられる。被めっき物の被めっき部分の材質としては銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等が挙げられる。
【0032】
工程1で用いられる無電解ニッケル-リンめっき液は、工程1で製造される無電解ニッケル-リンめっき皮膜のリン含有量を、無電解ニッケル-リンめっき皮膜を100質量%として4質量%以下に調整できれば特に限定されない。このような無電解ニッケル-リンめっき液としては、例えば、水溶性ニッケル化合物、還元剤、及び、錯化剤を含有し、必要に応じてその他の添加剤を含有する無電解ニッケル-リンめっき液が挙げられる。以下、このような無電解ニッケル-リンめっき液について例示的に説明する。
【0033】
(水溶性ニッケル化合物)
本発明の製造方法において用いられる無電解ニッケル-リンめっき液に含まれる水溶性ニッケル化合物としては特に限定されず、無電解ニッケル-リンめっき液に用いられる公知のニッケル化合物を用いることができる。水溶性ニッケル化合物は、好ましくは、例えば、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、次亜リン酸ニッケル、炭酸ニッケル等の水溶性ニッケル無機塩;酢酸ニッケル、リンゴ酸ニッケル等の水溶性ニッケル有機塩等、並びにその水和物等である。
【0034】
水溶性ニッケル化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
無電解ニッケル-リンめっき液における水溶性ニッケル化合物の濃度は、無電解ニッケル-リンめっき皮膜を形成できる範囲内であれば特に制限されず、適宜調整することができる。水溶性ニッケル化合物の濃度は、好ましくは、ニッケル金属として、例えば、0.01g/L~100g/L程度、より好ましくは、0.5~50g/L、更に好ましくは、1g/L~10g/Lとする。水溶性ニッケル化合物の濃度が、ニッケル金属として、0.01g/L未満であると析出速度が遅くなる場合があり、100g/Lを超えると浴安定性が低下する場合があるため、上記した範囲とすることが好ましい。
【0036】
(還元剤)
還元剤は、次亜リン酸及び次亜リン酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0037】
還元剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
無電解ニッケル-リンめっき液における還元剤(次亜リン酸、次亜リン酸塩、及びその水和物等)の濃度は、好ましくは、0.5g/L~40g/L程度であり、より好ましくは、1g/L~20g/L程度であり、更に好ましくは2g/L~15g/L程度である。濃度の上限が上記範囲であることにより、形成される無電解ニッケル-リンめっき皮膜のリン含有量を4質量%以下に調整し易くなる。また、濃度の下限が上記範囲であることにより、無電解ニッケル-リンめっきの析出性をより安定させることができる。
【0039】
(錯化剤)
無電解ニッケル-リンめっき液は、好ましくは、錯化剤として、グリシン、グルコン酸塩等を含む。グルコン酸塩は、好ましくは、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等である。
【0040】
他の錯化剤は、好ましくは、ギ酸、酢酸等のモノカルボン酸又はこれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等);マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸等のジカルボン酸又はこれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等);リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸又はこれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等);エチレンジアミンジ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸又はこれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等);アラニン、アルギニン等のアミノ酸等である。
【0041】
錯化剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0042】
無電解ニッケル-リンめっき液における錯化剤の濃度は、特に限定的ではなく、適宜調整することができる。無電解ニッケル-リンめっき浴は、錯化剤を、好ましくは、1g/L~100g/L程度含み、より好ましくは、2g/L~50g/L程度含み、更に好ましくは、5g/L~30g/L程度含む。錯化剤の濃度が、1g/L未満であると浴安定性が低下する場合があり、100g/Lを超えると析出速度が低下する場合があるため、上記した範囲とすることが好ましい。
【0043】
(安定剤、硫黄系添加剤、pH調整剤、界面活性剤等)
上記無電解ニッケル-リンめっき液は、上述の成分の他、必要に応じて、無電解ニッケル-リンめっき液に用いられる公知の添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、安定剤、硫黄系添加剤、pH調整剤、界面活性剤等である。
【0044】
安定剤は、例えば、鉛化合物(例えば、硝酸鉛、酢酸鉛等)、カドミウム化合物(例えば、硝酸カドミウム、酢酸カドミウム等)、タリウム化合物(例えば、硫酸タリウム、硝酸タリウム等)、アンチモン化合物(例えば、塩化アンチモン、酒石酸アンチモニルカリウム等)、テルル化合物(例えば、テルル酸、塩化テルル等)、クロム化合物(例えば、酸化クロム、硫酸クロム等)、鉄化合物(例えば、硫酸鉄、塩化鉄等)、マンガン化合物(例えば、硫酸マンガン、硝酸マンガン等)、ビスマス化合物(例えば、硝酸ビスマス、酢酸ビスマス等)、スズ化合物(例えば、硫酸スズ、塩化スズ等)、セレン化合物(例えば、セレン酸、亜セレン酸等)、シアン化物(例えば、メチルシアニド、イソプロピルシアニド等)、ヨウ素化合物(例えば、ヨウ化カリウム等)等が挙げられる。
【0045】
安定剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0046】
無電解ニッケル-リンめっき液における安定剤の濃度としては、特に限定的ではなく、例えば、0.1mg/L~500mg/L程度とすることができる。無電解ニッケル-リンめっき液の安定性を向上させる目的で、安定剤の濃度を0.1mg/L程度以上とすることが好ましい。安定剤の濃度が500mg/Lを超えると、めっき皮膜が形成されない箇所(未析出箇所)が発生する場合があるため、上記した範囲とすることが好ましい。
【0047】
硫黄系添加剤は、好ましくは、例えばチオ尿素等の二価の硫黄系化合物が使用される。無電解ニッケル-リンめっき皮膜の硫黄含有量をより低下させる観点から、必要最低限又は未添加とするのが好ましい。
【0048】
pH調整剤は、好ましくは、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等のアルカリを用いる。
【0049】
無電解ニッケル-リンめっき液のpHは、好ましくは、3~12程度であり、より好ましくは、4~9程度である。めっき浴のpHは上記したpH調整剤を用いて調整することができる。pHが、3未満であると未析出が発生する場合があり、12を超えると浴安定性が低下する場合があるため、上記した範囲とすることが好ましい。
【0050】
界面活性剤としては、ノニオン性、アニオン性、カチオン性、両性等の各種界面活性剤を用いることができる。例えば、芳香族又は脂肪族スルホン酸アルカリ塩、芳香族又は脂肪族スルホン酸アルカリ金属塩等が挙げられる。界面活性剤は、1種単独又は2種以上混合して用いることができる。界面活性剤を2種以上混合して用いる場合、その混合比率は特に限定的ではなく、適宜決定することができる。
【0051】
無電解ニッケル-リンめっき液における界面活性剤の濃度としては特に限定的ではなく、例えば0.01mg/L~1000mg/L程度とすることができる。無電解ニッケル-リンめっき液のピット防止の効果をより一層向上させる目的で、界面活性剤の濃度を0.01mg/L程度以上とすることが好ましい。界面活性剤の濃度が1000mg/L以下であると、発泡による析出性の低下がより一層抑制される。
【0052】
(無電解ニッケル-リンめっき方法)
工程1では、基板の表面に、上記無電解ニッケル-リンめっき液を接触させる。
【0053】
無電解めっき液に、基板の表面を接触させる方法は、特に限定的ではなく、常法に従って行うことができる。工程1では、好ましくは、例えば、被めっき物である基板を無電解ニッケル-リンめっき液に浸漬する方法等が挙げられる。
【0054】
めっき処理条件(例えば、液温、めっき処理時間等)については、無電解ニッケル-リンめっき皮膜が形成される条件であれば特に制限されず、適宜決定することができる。
【0055】
工程1における無電解ニッケル-リンめっき液の液温は、無電解ニッケル-リンめっき液の組成等に応じて適宜決定することができる。例えば、めっき工程における無電解ニッケル-リンめっき液の液温は、好ましくは、25℃程度以上とすることができ、より好ましくは、40℃~100℃程度であり、更に好ましくは、45℃~95℃程度である。液温が25℃未満であるとめっき皮膜の析出速度が遅く、生産効率が低下する場合があるため、上記した範囲とすることが好ましい。
【0056】
工程1における処理時間は、特に限定的ではなく、被めっき物に必要な膜厚の無電解めっき皮膜が形成されるまでの時間とすることができる。めっき工程における処理時間は、具体的には、めっき浴の組成、被めっき物の種類等に応じて適宜決定することができ、例えば、好ましくは、1分~120分程度、より好ましくは、3分~60分とすることができる。
【0057】
工程1により基板上に形成される無電解ニッケル-リンめっき皮膜は、上記本発明の金属焼結接合用めっき皮膜が有する(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜であり、リン含有量が、無電解ニッケル-リンめっき皮膜を100質量%として4質量%以下である。工程1により基板上に形成される(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜についての特性等は、上記本発明の金属焼結接合用めっき皮膜において、(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜について説明した特性等と同一である。
【0058】
(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜中のリン含有量を4質量%以下に調整する方法としては、(i)無電解ニッケル-リンめっき液中の還元剤の含有量を調整する方法が挙げられる。無電解ニッケル-リンめっき液中の還元剤の含有量が多くなると形成される無電解ニッケル-リンめっき皮膜のリン含有量が増加し、無電解ニッケル-リンめっき液中の還元剤の含有量が少なくなると無電解ニッケル-リンめっき皮膜のリン含有量が減少する。また、上記調整方法としては、(ii)工程1において、無電解ニッケル-リンめっき液のpHを調整する方法が挙げられる。pHが低くなると形成される無電解ニッケル-リンめっき皮膜のリン含有量が増加し、pHが高くなると無電解ニッケル-リンめっき皮膜のリン含有量が減少する。更に、上記調整方法としては、(iii)工程1における無電解ニッケル-リンめっき液の液温を調整する方法が挙げられる。液温が高くなると形成される無電解ニッケル-リンめっき皮膜のリン含有量が減少し、液温が低くなると無電解ニッケル-リンめっき皮膜のリン含有量が増加する。
【0059】
(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜中の硫黄含有量を調整する方法としては、無電解ニッケル-リンめっき液中の、例えばチオ尿素等の二価の硫黄系化合物の含有量を調整する方法が挙げられる。無電解ニッケル-リンめっき液中の二価の硫黄系化合物の含有量が多くなると形成される無電解ニッケル-リンめっき皮膜の硫黄含有量が増加し、無電解ニッケル-リンめっき液中の二価の硫黄系化合物の含有量が少なくなると無電解ニッケル-リンめっき皮膜の硫黄含有量が減少する。
【0060】
以上説明した工程1により、基板上に(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜が形成される。
【0061】
(工程2)
本発明の製造方法は、工程1の後に、更に、(2)前記無電解ニッケル-リンめっき皮膜の表面に、無電解銀めっき液、又は、無電解金めっき液を接触させて、前記(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜上に、(B)無電解銀めっき皮膜、又は、無電解金めっき皮膜を形成する工程2を有していてもよい。
【0062】
工程2で用いられる無電解銀めっき液、又は、無電解金めっき液としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。以下、工程2で用いられる無電解銀めっき液、及び、無電解金めっき液について説明する。
【0063】
[無電解銀めっき液]
無電解銀めっき液としては特に限定されず、例えば、還元析出型、置換還元析出型、置換析出型等の無電解銀めっき液を用いることができる。還元析出型、置換還元析出型の無電解銀めっき液としては、銀化合物、還元剤、及び、錯化剤を含有し、必要に応じてその他の添加剤を含有する無電解銀めっき液を用いることができる。また、置換析出型の無電解銀めっきとしては、銀化合物、錯化剤を含有し、必要に応じてその他の添加剤を含有する無電解銀めっき液を用いることができる。以下、このような無電解銀めっき液について例示的に説明する。
【0064】
(銀化合物)
銀化合物としては、水溶性の銀化合物であれば特に限定されず、無電解銀めっき液に用いられる公知の銀化合物を用いることができる。銀化合物としては、例えば、硝酸銀、硫酸銀、ヨウ化銀等の無機塩;酢酸銀、メタンスルホン酸銀等の有機酸塩等が挙げられる。
【0065】
銀化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0066】
無電解銀めっき液における銀化合物の濃度は、無電解銀めっき皮膜を形成できる範囲内であれば特に制限されず、適宜調整することができる。銀化合物の濃度は、好ましくは、銀金属として、例えば、0.01g/L~20g/L程度、より好ましくは、0.1~10g/L、更に好ましくは、0.2g/L~5g/Lとする。銀化合物の濃度が、銀金属として、0.01g/L未満であると析出速度が遅くなる場合があり、20g/Lを超えると浴安定性が低下する場合があるため、上記した範囲とすることが好ましい。
【0067】
(還元剤)
還元剤は、水溶性アルデヒド化合物、水溶性ヒドラジン誘導体、水素化ホウ素化合物、次亜リン酸、亜リン酸、アスコルビン酸およびそれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。また、置換析出型の無電解銀めっき液である場合、還元剤を含有していなくてもよい。
【0068】
還元剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい
【0069】
無電解銀めっき液における還元剤の濃度は、好ましくは、0.5g/L~15g/L程度であり、より好ましくは、1g/L~13g/L程度であり、更に好ましくは1.5g/L~10g/L程度である。
【0070】
(錯化剤)
無電解銀めっき液は、好ましくは、錯化剤として、アミド化合物、イミド化合物、チオ硫酸化合物、亜硫酸化合物、含イオウ化合物(チオ硫酸化合物、亜硫酸化合物以外の含イオウ化合物)、含窒素化合物( アミド化合物、イミド化合物以外の含窒素化合物)等を含み、より好ましくは、アミド化合物、イミド化合物を含む。
【0071】
アミド化合物としては、例えば、ベンズアミド、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、N-ビニルピロリドン、ピロリドン、N-ブチルピロリドン、5-メチルピロリドン、N-メチルピペリジノン等の環状アミド化合物; アセトアミド、ホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-N-フェニルホルムアミド、N,N-ジフェニルホルムアミド等の鎖状アミド化合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、鎖状アミド化合物が好ましく、アセトアミド、ホルムアミドがより好ましい。
【0072】
イミド化合物としては、特に限定されず、例えば、ヒダントイン、5,5-ジメチルヒダントイン、1-メチルヒダントイン、1,3-ジメチルヒダントイン、グルタルイミド、スクシンイミド等の環状イミド化合物が好ましく、ヒダントイン、5 ,5 -ジメチルヒダントイン、1-メチルヒダントイン、スクシンイミド、1 ,3-メチルヒダントイン、グルタルイミドがより好ましく、1-メチルヒダントイン、スクシンイミドが更に好ましい。
【0073】
錯化剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0074】
無電解銀めっき液における錯化剤の濃度は、特に限定的ではなく、適宜調整することができる。無電解銀めっき液は、錯化剤を、好ましくは、1g/L~100g/L程度含み、より好ましくは、2g/L~50g/L程度含み、更に好ましくは、5g/L~30g/L程度含む。錯化剤の濃度が、1g/L未満であると浴安定性が低下する場合があり、100g/Lを超えると析出速度が低下する場合があるため、上記した範囲とすることが好ましい。
【0075】
(安定剤、pH調整剤、界面活性剤等)
上記無電解銀めっき液は、上述の成分の他、必要に応じて、無電解銀めっき液に用いられる公知の添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、安定剤、pH調整剤、界面活性剤等である。
【0076】
安定剤は、例えば、鉛化合物(例えば、硝酸鉛、酢酸鉛等)、カドミウム化合物(例えば、硝酸カドミウム、酢酸カドミウム等)、タリウム化合物(例えば、硫酸タリウム、硝酸タリウム等)、アンチモン化合物(例えば、塩化アンチモン、酒石酸アンチモニルカリウム等)、テルル化合物(例えば、テルル酸、塩化テルル等)、クロム化合物(例えば、酸化クロム、硫酸クロム等)、鉄化合物(例えば、硫酸鉄、塩化鉄等)、マンガン化合物(例えば、硫酸マンガン、硝酸マンガン等)、ビスマス化合物(例えば、硝酸ビスマス、酢酸ビスマス等)、スズ化合物(例えば、硫酸スズ、塩化スズ等)、セレン化合物(例えば、セレン酸、亜セレン酸等)、シアン化物(例えば、メチルシアニド、イソプロピルシアニド等)、ヨウ素化合物(例えば、ヨウ化カリウム等)等が挙げられる。
【0077】
安定剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0078】
無電解銀めっき液における安定剤の濃度としては、特に限定的ではなく、例えば、0.1mg/L~500mg/L程度とすることができる。無電解銀めっき液の安定性を向上させる目的で、安定剤の濃度を0.1mg/L程度以上とすることが好ましい。安定剤の濃度が500mg/Lを超えると、めっき皮膜が形成されない箇所(未析出箇所)が発生する場合があるため、上記した範囲とすることが好ましい。
【0079】
pH調整剤は、好ましくは、例えば、硝酸、硫酸、リン酸等の酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等のアルカリを用いる。
【0080】
無電解銀めっき液のpHは、好ましくは、1~12程度であり、より好ましくは、1.5~11程度である。めっき浴のpHは上記したpH調整剤を用いて調整することができる。pHが、1未満であると未析出が発生する場合があり、12を超えると浴安定性が低下する場合があるため、上記した範囲とすることが好ましい。
【0081】
界面活性剤としては、ノニオン性、アニオン性、カチオン性、両性等の各種界面活性剤を用いることができる。例えば、芳香族又は脂肪族スルホン酸アルカリ塩、芳香族又は脂肪族スルホン酸アルカリ金属塩等が挙げられる。界面活性剤は、1種単独又は2種以上混合して用いることができる。界面活性剤を2種以上混合して用いる場合、その混合比率は特に限定的ではなく、適宜決定することができる。
【0082】
無電解銀めっき液における界面活性剤の濃度としては特に限定的ではなく、例えば0.01mg/L~1000mg/L程度とすることができる。無電解銀めっき液のピット防止の効果をより一層向上させる目的で、界面活性剤の濃度を0.01mg/L程度以上とすることが好ましい。界面活性剤の濃度が1000mg/L以下であると、発泡による析出性の低下がより一層抑制される。
【0083】
(無電解銀めっき方法)
工程2において、無電解ニッケル-リンめっき皮膜上に、無電解銀めっき皮膜を形成する方法としては特に限定されず、工程1で形成された無電解ニッケル-リンめっき皮膜の表面に、無電解銀めっき液を接触させる方法が挙げられる。
【0084】
無電解銀めっき液に、無電解ニッケル-リンめっき皮膜の表面を接触させる方法は、特に限定的ではなく、常法に従って行うことができる。工程2では、好ましくは、例えば、無電解ニッケル-リンめっき皮膜が形成された基板を無電解銀めっき液に浸漬する方法等が挙げられる。
【0085】
めっき処理条件(例えば、液温、めっき処理時間等)については、無電解銀めっき皮膜が形成される条件であれば特に制限されず、適宜決定することができる。
【0086】
工程2における無電解銀めっき液の液温は、無電解銀めっき液の組成等に応じて適宜決定することができる。例えば、めっき工程における無電解銀めっき液の液温は、好ましくは、25℃程度以上とすることができ、より好ましくは、30℃~80℃程度であり、更に好ましくは、40℃~75℃程度である。液温が25℃未満であるとめっき皮膜の析出速度が遅く、生産効率が低下する場合があるため、上記した範囲とすることが好ましい。
【0087】
工程2における処理時間は、特に限定的ではなく、必要な膜厚の無電解銀めっき皮膜が形成されるまでの時間とすることができる。めっき工程における処理時間は、具体的には、無電解銀めっき液の組成等に応じて適宜決定することができ、例えば、好ましくは、1分~40分程度、より好ましくは、3分~20分とすることができる。
【0088】
工程2により形成される無電解銀めっき皮膜は、上記本発明の金属焼結接合用めっき皮膜において有していてもよい(B)層としての無電解銀めっき皮膜である。工程2により基板上に形成される無電解銀めっき皮膜についての特性等は、上記本発明の金属焼結接合用めっき皮膜において、(B)層として説明した特性等と同一である。
【0089】
[無電解金めっき液]
無電解金めっき液としては特に限定されず、例えば、還元析出型、置換還元析出型、置換析出型等の無電解金めっき液を用いることができる。還元析出型、置換還元析出型の無電解金めっき液としては、金化合物、還元剤、及び、錯化剤を含有し、必要に応じてその他の添加剤を含有する無電解金めっき液を用いることができる。また置換析出型の無電解金めっきとしては、金化合物、錯化剤を含有し、必要に応じてその他の添加剤を含有する無電解金めっき液を用いることができる。以下、このような無電解金めっき液について例示的に説明する。
【0090】
(金化合物)
金化合物としては、水溶性の金化合物であれば特に限定されず、無電解金めっき液に用いられる公知の金化合物を用いることができる。金化合物としては、例えば、亜硫酸金カリウム、亜硫酸金ナトリウム、亜硫酸金アンモニウム、シアン化金カリウム、シアン化金ナトリウム、シアン化金アンモニウム等が挙げられる。
【0091】
金化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0092】
無電解金めっき液における金化合物の濃度は、無電解金めっき皮膜を形成できる範囲内であれば特に制限されず、適宜調整することができる。金化合物の濃度は、好ましくは、金金属として、例えば、0.01g/L~10g/L程度、より好ましくは、0.2~5g/L、更に好ましくは、0.5g/L~2g/Lとする。金化合物の濃度が、金金属として、0.01g/L未満であると析出速度が遅くなる場合があり、10g/Lを超えるとコスト高となるため、上記した範囲とすることが好ましい。
【0093】
(還元剤)
還元剤についても特に限定的ではなく、公知の無電解金めっき液で用いられているものと同様の還元剤を使用できる。例えば、抱水ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、中性硫酸ヒドラジン、マレイン酸ヒドラジン、これらの塩等のヒドラジン類; ヒドロキシルアミン類及びその塩等; アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、イソプロピルヒドラジン硫酸塩等のヒドラジン誘導体; アスコルビン酸、その塩( ナトリウム、カリウム、アンモニウム塩等);トリメチルアミンボラン(TMAB)、ジメチルアミンボラン(DMAB)等の水素化ホウ素化合物; チオ尿素; 次亜リン酸、その塩(ナトリウム、カリウム、アンモニウム塩等)等を用いることができる。
【0094】
還元剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また置換析出型の無電解金めっきである場合、還元剤を含有していなくてもよい。
【0095】
無電解金めっき液における還元剤の濃度は、好ましくは、1g/L~15g/L程度であり、より好ましくは、2g/L~13g/L程度であり、更に好ましくは3g/L~10g/L程度である。
【0096】
(錯化剤)
錯化剤については特に限定されず、公知の無電解金めっき液で用いられる錯化剤を使用できる。例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム等の亜硫酸塩;シアン化ナトリウム、シアン化カリウム等のシアン化物;チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウム等のチオ硫酸塩;リン酸、ホウ酸等の無機酸、その塩類(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等);クエン酸、グルコン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸等のヒドロキシカルボン酸、その塩類(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等);エチレンジアミン、トリエタノールアミン等のアミン化合物;グリシン、アラニン、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロトリ酢酸等のアミノカルボン酸、その塩類(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等);アミノトリメチレンホスホン酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタ( メチレンホスホン酸) 等のホスホン酸、その塩類(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等を用いることができる。
【0097】
錯化剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0098】
無電解金めっき液における錯化剤の濃度は、特に限定的ではなく、適宜調整することができる。無電解金めっき液は、錯化剤を、好ましくは、1g/L~100g/L程度含み、より好ましくは、2g/L~50g/L程度含み、更に好ましくは、5g/L~30g/L程度含む。錯化剤の濃度が、1g/L未満であると浴安定性が低下する場合があり、100g/Lを超えると析出速度が低下する場合があるため、上記した範囲とすることが好ましい。
【0099】
(安定剤、pH調整剤、界面活性剤等)
上記無電解金めっき液は、上述の成分の他、必要に応じて、無電解金めっき液に用いられる公知の添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、安定剤、pH調整剤、界面活性剤等である。
【0100】
安定剤は、例えば、鉛化合物(例えば、硝酸鉛、酢酸鉛等)、カドミウム化合物(例えば、硝酸カドミウム、酢酸カドミウム等)、タリウム化合物(例えば、硫酸タリウム、硝酸タリウム等)、アンチモン化合物(例えば、塩化アンチモン、酒石酸アンチモニルカリウム等)、テルル化合物(例えば、テルル酸、塩化テルル等)、クロム化合物(例えば、酸化クロム、硫酸クロム等)、鉄化合物(例えば、硫酸鉄、塩化鉄等)、マンガン化合物(例えば、硫酸マンガン、硝酸マンガン等)、ビスマス化合物(例えば、硝酸ビスマス、酢酸ビスマス等)、スズ化合物(例えば、硫酸スズ、塩化スズ等)、セレン化合物(例えば、セレン酸、亜セレン酸等)、シアン化物(例えば、メチルシアニド、イソプロピルシアニド等)、ヨウ素化合物(例えば、ヨウ化カリウム等)等が挙げられる。
【0101】
安定剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0102】
無電解金めっき液における安定剤の濃度としては、特に限定的ではなく、例えば、0.1mg/L~500mg/L程度とすることができる。無電解金めっき液の安定性を向上させる目的で、安定剤の濃度を0.1mg/L程度以上とすることが好ましい。安定剤の濃度が500mg/Lを超えると、めっき皮膜が形成されない箇所(未析出箇所)が発生する場合があるため、上記した範囲とすることが好ましい。
【0103】
pH調整剤は、好ましくは、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等のアルカリを用いる。
【0104】
無電解金めっき液のpHは、好ましくは、3~12程度であり、より好ましくは、4~9程度である。めっき浴のpHは上記したpH調整剤を用いて調整することができる。pHが、3未満であると未析出が発生する場合があり、12を超えると浴安定性が低下する場合があるため、上記した範囲とすることが好ましい。
【0105】
界面活性剤としては、ノニオン性、アニオン性、カチオン性、両性等の各種界面活性剤を用いることができる。例えば、芳香族又は脂肪族スルホン酸アルカリ塩、芳香族又は脂肪族スルホン酸アルカリ金属塩等が挙げられる。界面活性剤は、1種単独又は2種以上混合して用いることができる。界面活性剤を2種以上混合して用いる場合、その混合比率は特に限定的ではなく、適宜決定することができる。
【0106】
無電解金めっき液における界面活性剤の濃度としては特に限定的ではなく、例えば0.01mg/L~1000mg/L程度とすることができる。無電解金めっき液のピット防止の効果をより一層向上させる目的で、界面活性剤の濃度を0.01mg/L程度以上とすることが好ましい。界面活性剤の濃度が1000mg/L以下であると、発泡による析出性の低下がより一層抑制される。
【0107】
(無電解金めっき方法)
工程2において、無電解ニッケル-リンめっき皮膜上に、無電解金めっき皮膜を形成する方法としては特に限定されず、工程1で形成された無電解ニッケル-リンめっき皮膜の表面に、無電解金めっき液を接触させる方法が挙げられる。
【0108】
無電解金めっき液に、無電解ニッケル-リンめっき皮膜の表面を接触させる方法は、特に限定的ではなく、常法に従って行うことができる。工程2では、好ましくは、例えば、無電解ニッケル-リンめっき皮膜が形成された基板を無電解金めっき液に浸漬する方法等が挙げられる。
【0109】
めっき処理条件(例えば、液温、めっき処理時間等)については、無電解金めっき皮膜が形成される条件であれば特に制限されず、適宜決定することができる。
【0110】
工程2における無電解金めっき液の液温は、無電解金めっき液の組成等に応じて適宜決定することができる。例えば、めっき工程における無電解金めっき液の液温は、好ましくは、25℃程度以上とすることができ、より好ましくは、40℃~90℃程度であり、更に好ましくは、45℃~85℃程度である。液温が25℃未満であるとめっき皮膜の析出速度が遅く、生産効率が低下する場合があるため、上記した範囲とすることが好ましい。
【0111】
工程2における処理時間は、特に限定的ではなく、必要な膜厚の無電解金めっき皮膜が形成されるまでの時間とすることができる。めっき工程における処理時間は、具体的には、無電解金めっき液の組成等に応じて適宜決定することができ、例えば、好ましくは、1分~40分程度、より好ましくは、3分~20分とすることができる。
【0112】
工程2により形成される無電解金めっき皮膜は、上記本発明の金属焼結接合用めっき皮膜において有していてもよい(B)層としての無電解金めっき皮膜である。工程2により形成される無電解金めっき皮膜についての特性等は、上記本発明の金属焼結接合用めっき皮膜において、(B)層として説明した特性等と同一である。
【0113】
以上説明した工程2により、(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜上に、(B)無電解銀めっき皮膜、又は、無電解金めっき皮膜が形成される。
【0114】
(バリアメタル層形成工程)
本発明の製造方法では、上記工程1と2との間に、更に、前記無電解ニッケル-リンめっき皮膜の表面に、バリアメタル層形成用めっき液を接触させて、前記(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜上に、(C)バリアメタル層を形成する、バリアメタル層形成工程を有していてもよい。バリアメタル層形成工程を有することにより、(A)層と(B)層との間に、(C)バリアメタル層を形成することができる。
【0115】
(C)バリアメタル層としては、特に限定されず、公知のめっき皮膜が挙げられる。(C)層としては、例えば、無電解パラジウムめっき皮膜、無電解パラジウム-リンめっき皮膜、無電解プラチナめっき皮膜、無電解コバルト-リンめっき皮膜、無電解コバルト-ホウ素めっき皮膜等が挙げられる。これらの中でも、下地金属の表面拡散、及び、無電解銀めっき又は無電解金めっきによる無電解ニッケル-リンめっき皮膜の腐食をより抑制することができる観点から、無電解パラジウムめっき皮膜、無電解パラジウム-リンめっき皮膜が好ましい。
【0116】
以下、バリアメタル層として、無電解パラジウムめっき皮膜、無電解パラジウム-リンめっき皮膜を形成するための無電解パラジウムめっき液、無電解パラジウム-リンめっき液について説明する。
【0117】
[無電解パラジウムめっき液、無電解パラジウム-リンめっき液]
無電解パラジウムめっき液、及び、無電解パラジウム-リンめっき液としては、例えば、パラジウム化合物、還元剤、及び、錯化剤を含有し、必要に応じてその他の添加剤を含有する無電解パラジウムめっき液、及び、無電解パラジウム-リンめっき液が挙げられる。以下、無電解パラジウムめっき液、及び、無電解パラジウム-リンめっき液について例示的に説明する。
【0118】
(パラジウム化合物)
パラジウム化合物としては、水溶性のパラジウム化合物であれば特に限定されず、無電解パラジウムめっき液、及び、無電解パラジウム-リンめっき液に用いられる公知のパラジウム化合物を用いることができる。パラジウム化合物としては、例えば、塩化パラジウム、硫酸パラジウム、酢酸パラジウム、テトラアンミンパラジウムジクロライド等が挙げられる。
【0119】
パラジウム化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0120】
無電解パラジウムめっき液、及び、無電解パラジウム-リンめっき液におけるパラジウム化合物の濃度は、これらのめっき皮膜を形成できる範囲内であれば特に制限されず、適宜調整することができる。パラジウム化合物の濃度は、好ましくは、パラジウム金属として、例えば、0.01g/L~10g/L程度、より好ましくは、0.2~5g/L、更に好ましくは、0.5g/L~2g/Lとする。パラジウム化合物の濃度が、パラジウム金属として、0.01g/L未満であると析出速度が遅くなる場合があり、10g/Lを超えると浴安定性が低下する場合があるため、上記した範囲とすることが好ましい。
【0121】
(還元剤)
無電解パラジウムめっき液に用いる還元剤としては、ギ酸、水溶性アルデヒド化合物、水溶性ヒドラジン誘導体、水素化ホウ素化合物を用いることが好ましい。また、無電解パラジウム-リンめっき液に用いる還元剤としては、次亜リン酸及び次亜リン酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)、亜リン酸及び亜リン酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0122】
還元剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0123】
無電解パラジウムめっき液、及び、無電解パラジウム-リンめっき液における還元剤の濃度は、好ましくは、1g/L~100g/L程度であり、より好ましくは、2g/L~50g/L程度であり、更に好ましくは5g/L~40g/L程度である。
【0124】
(錯化剤)
錯化剤については特に限定されず、公知の無電解パラジウムめっき液、及び、無電解パラジウム-リンめっき液で用いられている錯化剤を使用できる。錯化剤としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のアミン類、エチレンジアミンジ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸等のアミノポリカルボン酸又はこれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)、グリシン、アラニン、イミノジ酢酸、ニトリロトリ酢酸、L-グルタミン酸、L-グルタミン酸2酢酸、L-アスパラギン酸、タウリン等のアミノ酸又はこれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩)、アミノトリメチレンホスホン酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸又はこれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩)、酢酸等のモノカルボン酸又はこれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等);マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸等のジカルボン酸又はこれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等);リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸又はこれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等を用いることができる。
【0125】
錯化剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0126】
無電解パラジウムめっき液、及び、無電解パラジウム-リンめっき液における錯化剤の濃度は、特に限定的ではなく、適宜調整することができる。無電解パラジウムめっき液、及び、無電解パラジウム-リンめっき液は、錯化剤を、好ましくは、1g/L~100g/L程度含み、より好ましくは、2g/L~50g/L程度含み、更に好ましくは、5g/L~30g/L程度含む。錯化剤の濃度が、1g/L未満であると浴安定性が低下する場合があり、100g/Lを超えると析出速度が低下する場合があるため、上記した範囲とすることが好ましい。
【0127】
(安定剤、pH調整剤、界面活性剤等)
上記無電解パラジウムめっき液、及び、無電解パラジウム-リンめっき液は、上述の成分の他、必要に応じて、無電解パラジウムめっき液、及び、無電解パラジウム-リンめっき液に用いられる公知の添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、安定剤、pH調整剤、界面活性剤等である。
【0128】
安定剤は、例えば、鉛化合物(例えば、硝酸鉛、酢酸鉛等)、カドミウム化合物(例えば、硝酸カドミウム、酢酸カドミウム等)、タリウム化合物(例えば、硫酸タリウム、硝酸タリウム等)、アンチモン化合物(例えば、塩化アンチモン、酒石酸アンチモニルカリウム等)、テルル化合物(例えば、テルル酸、塩化テルル等)、クロム化合物(例えば、酸化クロム、硫酸クロム等)、鉄化合物(例えば、硫酸鉄、塩化鉄等)、マンガン化合物(例えば、硫酸マンガン、硝酸マンガン等)、ビスマス化合物(例えば、硝酸ビスマス、酢酸ビスマス等)、スズ化合物(例えば、硫酸スズ、塩化スズ等)、セレン化合物(例えば、セレン酸、亜セレン酸等)、シアン化物(例えば、メチルシアニド、イソプロピルシアニド等)、ヨウ素化合物(例えば、ヨウ化カリウム等)等が挙げられる。
【0129】
安定剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0130】
無電解パラジウムめっき液、及び、無電解パラジウム-リンめっき液における安定剤の濃度としては、特に限定的ではなく、例えば、0.1mg/L~500mg/L程度とすることができる。無電解パラジウムめっき液、及び、無電解パラジウム-リンめっき液の安定性を向上させる目的で、安定剤の濃度を0.1mg/L程度以上とすることが好ましい。安定剤の濃度が500mg/Lを超えると、めっき皮膜が形成されない箇所(未析出箇所)が発生する場合があるため、上記した範囲とすることが好ましい。
【0131】
pH調整剤は、好ましくは、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等のアルカリを用いる。
【0132】
無電解パラジウムめっき液、及び、無電解パラジウム-リンめっき液のpHは、好ましくは、3~12程度であり、より好ましくは、4~9程度である。めっき浴のpHは上記したpH調整剤を用いて調整することができる。pHが、3未満であると未析出が発生する場合があり、12を超えると浴安定性が低下する場合があるため、上記した範囲とすることが好ましい。
【0133】
界面活性剤としては、ノニオン性、アニオン性、カチオン性、両性等の各種界面活性剤を用いることができる。例えば、芳香族又は脂肪族スルホン酸アルカリ塩、芳香族又は脂肪族スルホン酸アルカリ金属塩等が挙げられる。界面活性剤は、1種単独又は2種以上混合して用いることができる。界面活性剤を2種以上混合して用いる場合、その混合比率は特に限定的ではなく、適宜決定することができる。
【0134】
無電解パラジウムめっき液、及び、無電解パラジウム-リンめっき液における界面活性剤の濃度としては特に限定的ではなく、例えば0.01mg/L~1000mg/L程度とすることができる。無電解パラジウムめっき液、及び、無電解パラジウム-リンめっき液のピット防止の効果をより一層向上させる目的で、界面活性剤の濃度を0.01mg/L程度以上とすることが好ましい。界面活性剤の濃度が1000mg/L以下であると、発泡による析出性の低下がより一層抑制される。
【0135】
(バリアメタル層形成方法)
バリアメタル層形成工程において、無電解ニッケル-リンめっき皮膜上に、例えば、無電解パラジウムめっき皮膜、及び、無電解パラジウム-リンめっき皮膜を形成する方法としては特に限定されず、工程1で形成された無電解ニッケル-リンめっき皮膜の表面に、無電解パラジウムめっき液、及び、無電解パラジウム-リンめっき液を接触させる方法が挙げられる。
【0136】
無電解パラジウムめっき液、及び、無電解パラジウム-リンめっき液に、無電解ニッケル-リンめっき皮膜の表面を接触させる方法は、特に限定的ではなく、常法に従って行うことができる。バリアメタル層形成工程では、好ましくは、例えば、無電解ニッケル-リンめっき皮膜が形成された基板を無電解パラジウムめっき液、及び、無電解パラジウム-リンめっき液に浸漬する方法等が挙げられる。
【0137】
めっき処理条件(例えば、液温、めっき処理時間等)については、無電解パラジウムめっき層、及び、無電解パラジウム-リンめっき層が形成される条件であれば特に制限されず、適宜決定することができる。
【0138】
バリアメタル層形成工程における無電解パラジウムめっき液、及び、無電解パラジウム-リンめっき液の液温は、無電解パラジウムめっき液、及び、無電解パラジウム-リンめっき液の組成等に応じて適宜決定することができる。例えば、めっき工程における無電解パラジウムめっき液、及び、無電解パラジウム-リンめっき液の液温は、好ましくは、25℃程度以上とすることができ、より好ましくは、40℃~90℃程度であり、更に好ましくは、45℃~85℃程度である。液温が25℃未満であるとめっき皮膜の析出速度が遅く、生産効率が低下する場合があるため、上記した範囲とすることが好ましい。
【0139】
バリアメタル層形成工程における処理時間は、特に限定的ではなく、必要な膜厚の無電解パラジウムめっき層、又は、無電解パラジウム-リンめっき層が形成されるまでの時間とすることができる。めっき工程における処理時間は、具体的には、無電解パラジウムめっき液、又は、無電解パラジウム-リンめっき液の組成等に応じて適宜決定することができ、例えば、好ましくは、1分~40分程度、より好ましくは、3分~20分とすることができる。
【0140】
バリアメタル層形成工程により形成される無電解パラジウムめっき皮膜、及び、無電解パラジウム-リンめっき皮膜は、上記本発明の金属焼結接合用めっき皮膜において有していてもよい(C)層としてのバリアメタル層である。バリアメタル層形成工程により形成されるバリアメタル層についての特性等は、上記本発明の金属焼結接合用めっき皮膜において、(C)層として説明した特性等と同一である。
【0141】
以上説明したバリアメタル層形成工程により、前記(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜上に、(C)バリアメタル層が形成される。バリアメタル層形成工程を有することにより、(A)層と(B)層との間に、(C)バリアメタル層を形成することができる。
【0142】
3.半導体実装基板
本発明の半導体実装基板は、基板上に、(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜を有する金属焼結接合用めっき皮膜が積層され、前記金属焼結接合用めっき皮膜の上に、金属焼結材層を介して半導体素子を有し、前記(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜のリン含有量は、無電解ニッケル-リンめっき皮膜を100質量%として4質量%以下である半導体実装基板である。
【0143】
本発明の半導体実装基板は、基板上に、上述の本発明の金属焼結接合用めっき皮膜が形成されており、当該金属焼結接合用めっき皮膜上に金属焼結材層を介して半導体素子が接合されている。
【0144】
金属焼結接合用めっき皮膜の特性等は、上述の本発明の金属焼結接合用めっき皮膜の説明において説明した特性等と同一である。
【0145】
本発明の半導体実装基板において、半導体素子は、金属焼結材層を介して接合されている。
【0146】
金属焼結材層を形成するための焼結材としては、金属粉体、及び、有機溶剤を含む焼結材ペーストを用いることができる。
【0147】
焼結材ペーストに含まれる金属粉体としては特に限定されず、従来焼結材に用いられる公知の金属の粉体を用いることができる。このような金属としては、銀、銅、金等が挙げられ、これらの中でも、銅、銀の粉体が好ましく、銀の粉体がより好ましい。
【0148】
金属粉体の平均粒子径は特に限定されず、公知のサイズの金属粉体を用いることができる。金属粉体の平均粒子径は、好ましくは数μm~mmオーダー程度である。
【0149】
焼結材ペーストに含まれる有機溶剤としては特に限定されず、従来焼結材ペーストに用いられる公知の有機溶剤を用いることができる。このような有機溶剤としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、2-ブタノール、1-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール、1-ペンタノール、1-オクタノール、トルエン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、テルピネオール、ジエチレングリコールメチルエーテルアセテートテルピネオール、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等が挙げられ、これらの中でも、トルエン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、テルピネオール、ジエチレングリコールメチルエーテルアセテートテルピネオール等を好適に用いることができる。
【0150】
金属焼結接合の際の加熱温度は特に限定されず、通常金属焼結接合を行う際の加熱温度であればよく、100~450℃程度である。
【0151】
金属焼結接合の際の圧力は、無加圧、加圧のどちらであってもよい。加圧の場合、圧力は0.1MPa~50MPa程度が好ましく、0.2MPa~5MPa程度がより好ましい。
【0152】
本発明の半導体実装基板の構成としては、少なくとも基板上に、(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜を有する金属焼結接合用めっき皮膜が積層され、上記金属焼結接合用めっき皮膜の上に、金属焼結材層を介して半導体素子を有していればよい。すなわち、本発明の半導体実装基板の構成としては、少なくとも基板/金属焼結接合用めっき皮膜/金属焼結材層/半導体素子の構成となっていればよいが、更に、半導体素子側にも金属焼結接合用めっき皮膜を有する構成となっていてもよい。すなわち、本発明の半導体実装基板の構成としては、基板/金属焼結接合用めっき皮膜/金属焼結材層/金属焼結接合用めっき皮膜/半導体素子の構成となっていてもよく、より具体的には、基板/(A)層/金属焼結材層/(A)層/半導体素子の構成となっていてもよい。
【0153】
本発明の半導体実装基板は、基板上に本発明の金属焼結接合用めっき皮膜が形成されており、当該金属焼結接合用めっき皮膜の上に、金属焼結材層を介して半導体素子が接合されているので、耐熱性、及び、耐冷熱衝撃性に優れている。このような本発明の半導体実装基板は、高温環境下での動作が可能な次世代パワーモジュールとして好適に用いることができる。
【0154】
本発明の金属焼結接合用めっき皮膜は、上述の構成であるので、耐熱性、及び、耐冷熱衝撃性に優れている。このため、金属焼結接合用として好適に用いることができ、基板(例えば、DBC基板、DBA基板等の絶縁放熱回路基板)と基板(例えば、放熱板、ヒートシンク)との接合体の形成にも用いることができる。このような接合体の構成としては、基板(例えば、DBC基板、DBA基板等の絶縁放熱回路基板)/金属焼結接合用めっき皮膜/金属焼結材層/金属焼結接合用めっき皮膜/基板(例えば、放熱板、ヒートシンク)の構成が挙げられる。
【実施例
【0155】
以下に実施例及び比較例を示して本発明をより詳しく説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
【0156】
なお、各実施例及び比較例では、基板(被めっき物)として、銅バルク材(30×30×3mm)を使用した。基板には、脱脂及び酸活性処理を行い、パラジウム触媒を付与することにより前処理を行った。
【0157】
(実施例1)被めっき物:無電解ニッケル-リンめっき皮膜:無電解銀めっき皮膜
【0158】
無電解ニッケル-リンめっき皮膜の形成
被めっき物を下記配合の無電解ニッケル-リンめっき液に下記めっき条件で接触させて、被めっき物上に無電解ニッケル-リンめっき皮膜を形成した。
無電解ニッケル-リンめっきの配合
基本組成として硫酸ニッケル・6H2O 22.5g/L、次亜リン酸ナトリウム 20g/L、グリシン20g/L、酢酸鉛 0.5mg/L 、チオ尿素0.1mg/Lを配合し、その他微量添加剤を添加後、硫酸およびアンモニア水にてpHを6.5に調整
無電解ニッケル-リンめっきの条件
液温:90℃
めっき液との接触時間:20分間
【0159】
無電解銀めっき皮膜の形成
被めっき物上に形成された無電解ニッケル-リンめっき皮膜を下記配合の無電解銀めっき液に下記めっき条件で接触させて、無電解ニッケル-リンめっき皮膜上に無電解銀めっき皮膜を形成した。
無電解銀めっきの配合
基本組成として硝酸銀 1.7g/L、水溶性ヒドラジン誘導体 1.5g/L、1-メチルヒダントイン 20g/L、酢酸鉛 0.5mg/Lを配合し、その他微量添加剤を添加後、硝酸および水酸化ナトリウムにてpHを10に調整
無電解銀めっきの条件
液温:60℃
めっき液との接触時間:20分間
【0160】
以上により、被めっき物上に、以下の無電解ニッケル-リンめっき皮膜、及び、無電解銀めっき皮膜がこの順に形成された金属焼結接合用めっき皮膜を製造した。
・無電解ニッケル-リンめっき皮膜:リン含有量4質量%、硫黄含有量0.0003質量%、厚み4μm
・無電解銀めっき皮膜:厚み0.2μm
【0161】
(実施例2)被めっき物:無電解ニッケル-リンめっき皮膜:無電解銀めっき皮膜
実施例1の無電解ニッケル-リンめっきの配合およびめっき条件を下記に変更することにより、被めっき物上に、以下の無電解ニッケル-リンめっき皮膜、及び、無電解銀めっき皮膜がこの順に形成された金属焼結接合用めっき皮膜を製造した。
無電解ニッケル-リンめっきの配合
基本組成として硫酸ニッケル・6H2O 22.5g/L、次亜リン酸ナトリウム 10g/L、グリシン20g/L、酢酸鉛 0.5mg/L 、チオ尿素0.1mg/Lを配合し、その他微量添加剤を添加後、硫酸およびアンモニア水にてpHを6.5に調整
無電解ニッケル-リンめっきの条件
液温:90℃
めっき液との接触時間:25分間
・無電解ニッケル-リンめっき皮膜:リン含有量2質量%、硫黄含有量0.0003質量%、厚み4μm
・無電解銀めっき皮膜:厚み0.2μm
【0162】
(実施例3)被めっき物:無電解ニッケル-リンめっき皮膜:無電解銀めっき皮膜
実施例1の無電解ニッケル-リンめっきの配合およびめっき条件を下記に変更することにより、被めっき物上に、以下の無電解ニッケル-リンめっき皮膜、及び、無電解銀めっき皮膜がこの順に形成された金属焼結接合用めっき皮膜を製造した。
無電解ニッケル-リンめっきの配合
基本組成として硫酸ニッケル・6H2O 22.5g/L、次亜リン酸ナトリウム 8g/L、グリシン20g/L、酢酸鉛 0.5mg/L を配合し、その他微量添加剤を添加後、硫酸およびアンモニア水にてpHを6.5に調整
無電解ニッケル-リンめっきの条件
液温:90℃
めっき液との接触時間:25分間
・無電解ニッケル-リンめっき皮膜:リン含有量2質量%、硫黄含有量0.0001質量%、厚み4μm
・無電解銀めっき皮膜:厚み0.2μm
【0163】
(実施例4)被めっき物:無電解ニッケル-リンめっき皮膜:無電解銀めっき皮膜
実施例1の無電解ニッケル-リンめっきの配合およびめっき条件を下記に変更することにより、被めっき物上に、以下の無電解ニッケル-リンめっき皮膜、及び、無電解銀めっき皮膜がこの順に形成された金属焼結接合用めっき皮膜を製造した。
無電解ニッケル-リンめっきの配合
基本組成として硫酸ニッケル・6H2O 22.5g/L、次亜リン酸ナトリウム 8g/L、グリシン20g/L、酢酸鉛 0.5mg/L を配合し、その他微量添加剤を添加後、硫酸およびアンモニア水にてpHを6.5に調整
無電解ニッケル-リンめっきの条件
液温:90℃
めっき液との接触時間:3.5分間
・無電解ニッケル-リンめっき皮膜:リン含有量2質量%、硫黄含有量0.0001質量%、厚み0.5μm
・無電解銀めっき皮膜:厚み0.2μm
【0164】
(実施例5) 被めっき物:無電解ニッケル-リンめっき皮膜:無電解銀めっき皮膜
実施例2の無電解銀めっきの配合およびめっき条件を下記に変更することにより、被めっき物上に、以下の無電解ニッケル-リンめっき皮膜、及び、無電解銀めっき皮膜がこの順に形成された金属焼結接合用めっき皮膜を製造した。
無電解銀めっきの配合
基本組成として硝酸銀 1.7g/L、水溶性ヒドラジン誘導体 1.5g/L、1-メチルヒダントイン 20g/L、酢酸鉛 0.5mg/Lを配合し、その他微量添加剤を添加後、硝酸および水酸化ナトリウムにてpHを10に調整
無電解銀めっきの条件
液温:60℃
めっき液との接触時間:10分間
・無電解ニッケル-リンめっき皮膜:リン含有量2質量%、硫黄含有量0.0003質量%、厚み4μm
・無電解銀めっき皮膜:厚み0.1μm
【0165】
(実施例6) 被めっき物:無電解ニッケル-リンめっき皮膜:無電解金めっき皮膜
【0166】
無電解ニッケル-リンめっき皮膜の形成
被めっき物を下記配合の無電解ニッケル-リンめっき液に下記めっき条件で接触させて、被めっき物上に無電解ニッケル-リンめっき皮膜を形成した。
無電解ニッケル-リンめっきの配合
基本組成として硫酸ニッケル・6H2O 22.5g/L、次亜リン酸ナトリウム 20g/L、グリシン20g/L、酢酸鉛 0.5mg/L 、チオ尿素0.1mg/Lを配合し、その他微量添加剤を添加後、硫酸およびアンモニア水にてpHを6.5に調整
無電解ニッケル-リンめっきの条件
液温:90℃
めっき液との接触時間:20分間
【0167】
無電解金めっき皮膜の形成
被めっき物上に形成された無電解ニッケル-リンめっき皮膜を下記配合の無電解金めっき液に下記めっき条件で接触させて、無電解ニッケル-リンめっき皮膜上に無電解金めっき皮膜を形成した。
無電解金めっきの配合
基本組成としてシアン化金カリウム 1.8g/L、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム15g/Lを配合し、その他微量添加剤を添加後、硫酸およびアンモニア水にてpHを5.0に調整
無電解金めっきの条件
液温:85℃
めっき液との接触時間:10分間
【0168】
以上により、被めっき物上に、以下の無電解ニッケル-リンめっき皮膜、及び、無電解金めっき皮膜がこの順に形成された金属焼結接合用めっき皮膜を製造した。
・無電解ニッケル-リンめっき皮膜:リン含有量4質量%、硫黄含有量0.0003質量%、厚み4μm
・無電解金めっき皮膜:厚み0.05μm
【0169】
(実施例7)被めっき物:無電解ニッケル-リンめっき皮膜:無電解金めっき皮膜
実施例6の無電解ニッケル-リンめっきの配合およびめっき条件を下記に変更することにより、被めっき物上に、以下の無電解ニッケル-リンめっき皮膜、及び、無電解金めっき皮膜がこの順に形成された金属焼結接合用めっき皮膜を製造した。
無電解ニッケル-リンめっきの配合
基本組成として硫酸ニッケル・6H2O 22.5g/L、次亜リン酸ナトリウム 10g/L、グリシン20g/L、酢酸鉛 0.5mg/L 、チオ尿素0.1mg/Lを配合し、その他微量添加剤を添加後、硫酸およびアンモニア水にてpHを6.5に調整
無電解ニッケル-リンめっきの条件
液温:90℃
めっき液との接触時間:25分間
・無電解ニッケル-リンめっき皮膜:リン含有量2質量%、硫黄含有量0.0003質量%、厚み4μm
・無電解金めっき皮膜:厚み0.05μm
【0170】
(実施例8)被めっき物:無電解ニッケル-リンめっき皮膜:無電解パラジウムめっき皮膜-無電解銀めっき皮膜
【0171】
無電解ニッケル-リンめっき皮膜の形成
被めっき物を下記配合の無電解ニッケル-リンめっき液に下記条件で接触させて、被めっき物上に無電解ニッケル-リンめっき皮膜を形成した。
無電解ニッケル-リンめっきの配合
基本組成として硫酸ニッケル・6H2O 22.5g/L、次亜リン酸ナトリウム 10g/L、グリシン20g/L、酢酸鉛 0.5mg/L 、チオ尿素0.1mg/Lを配合し、その他微量添加剤を添加後、硫酸およびアンモニア水にてpHを6.5に調整
無電解ニッケル-リンめっきの条件
液温:90℃
めっき液との接触時間:25分間
【0172】
無電解パラジウムめっき皮膜の形成
被めっき物上に形成された無電解ニッケル-リンめっき皮膜を下記配合の無電解パラジウムめっき液に下記条件で接触させて、無電解ニッケル-リンめっき皮膜上に無電解パラジウムめっき皮膜を形成した。
無電解パラジウムめっきの配合
基本組成として塩化パラジウム 1.5g/L、ギ酸ナトリウム 10g/L、エチレンジアミン15g/Lを配合し、その他微量添加剤を添加後、塩酸およびアンモニア水にてpHを6.0に調整
無電解パラジウムめっきの条件
液温:55℃
めっき液との接触時間:10分間
【0173】
無電解銀めっき皮膜の形成
上述のようにして形成された無電解パラジウムめっき皮膜を下記配合の無電解銀めっき液に下記条件で接触させて、無電解パラジウムめっき皮膜上に無電解銀めっき皮膜を形成した。
無電解銀めっきの配合
基本組成として硝酸銀 1.7g/L、水溶性ヒドラジン誘導体 1.5g/L、1-メチルヒダントイン 20g/L、酢酸鉛 0.5mg/Lを配合し、その他微量添加剤を添加後、硝酸および水酸化ナトリウムにてpHを10に調整
無電解銀めっきの条件
液温:70℃
めっき液との接触時間:20分間
【0174】
以上により、被めっき物上に、以下の無電解ニッケル-リンめっき皮膜、無電解パラジウムめっき皮膜、及び、無電解銀めっき皮膜がこの順に形成された金属焼結接合用めっき皮膜を製造した。
・無電解ニッケル-リンめっき皮膜:リン含有量2質量%、硫黄含有量0.0003質量%、厚み4μm
・無電解パラジウムめっき皮膜:厚み0.1μm
・無電解銀めっき皮膜:厚み0.2μm
【0175】
(実施例9)被めっき物:無電解ニッケル-リンめっき皮膜:無電解パラジウムめっき皮膜:無電解金めっき皮膜
【0176】
無電解ニッケル-リンめっき皮膜の形成
被めっき物を下記配合の無電解ニッケル-リンめっき液に下記条件で接触させて、被めっき物上に無電解ニッケル-リンめっき皮膜を形成した。
無電解ニッケル-リンめっきの配合
基本組成として硫酸ニッケル・6H2O 22.5g/L、次亜リン酸ナトリウム 10g/L、グリシン20g/L、酢酸鉛 0.5mg/L 、チオ尿素0.1mg/Lを配合し、その他微量添加剤を添加後、硫酸およびアンモニア水にてpHを6.5に調整
無電解ニッケル-リンめっきの条件
液温:90℃
めっき液との接触時間:25分間
【0177】
無電解パラジウムめっき皮膜の形成
被めっき物上に形成された無電解ニッケル-リンめっき皮膜を下記配合の無電解パラジウムめっき液に下記条件で接触させて、無電解ニッケル-リンめっき皮膜上に無電解パラジウムめっき皮膜を形成した。
無電解パラジウムめっきの配合
基本組成として塩化パラジウム 1.5g/L、ギ酸ナトリウム 10g/L、エチレンジアミン15g/Lを配合し、その他微量添加剤を添加後、塩酸およびアンモニア水にてpHを6.0に調整
無電解パラジウムめっきの条件
液温:55℃
めっき液との接触時間:10分間
【0178】
無電解金めっき皮膜の形成
上述のようにして形成された無電解パラジウムめっき皮膜を下記配合の無電解金めっき液に下記条件で接触させて、無電解パラジウムめっき皮膜上に無電解金めっき皮膜を形成した。
無電解金めっきの配合
基本組成としてシアン化金カリウム 1.8g/L、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム15g/Lを配合し、その他微量添加剤を添加後、硫酸およびアンモニア水にてpHを5.0に調整
無電解金めっきの条件
液温:90℃
めっき液との接触時間:10分間
【0179】
以上により、被めっき物上に、以下の無電解ニッケル-リンめっき皮膜、無電解パラジウムめっき皮膜、及び、無電解金めっき皮膜がこの順に形成された金属焼結接合用めっき皮膜を製造した。
・無電解ニッケル-リンめっき皮膜:リン含有量2質量%、硫黄含有量0.0003質量%、厚み4μm
・無電解パラジウムめっき皮膜:厚み0.1μm
・無電解金めっき皮膜:厚み0.05μm
【0180】
(実施例10)被めっき物:無電解ニッケル-リンめっき皮膜:無電解パラジウム-リンめっき皮膜:無電解銀めっき皮膜
【0181】
無電解ニッケル-リンめっき皮膜の形成
被めっき物を下記配合の無電解Ni-Pめっき液に下記条件で接触させて、被めっき物上に無電解ニッケル-リンめっき皮膜を形成した。
無電解ニッケル-リンめっきの配合
基本組成として硫酸ニッケル・6H2O 22.5g/L、次亜リン酸ナトリウム 10g/L、グリシン20g/L、酢酸鉛 0.5mg/L 、チオ尿素0.1mg/Lを配合し、その他微量添加剤を添加後、硫酸およびアンモニア水にてpHを6.5に調整
無電解ニッケル-リンめっきの条件
液温:90℃
めっき液との接触時間:25分間
【0182】
無電解パラジウム-リンめっき皮膜の形成
被めっき物上に形成された無電解ニッケル-リンめっき皮膜を下記配合の無電解パラジウム-リンめっき液に下記条件で接触させて、無電解ニッケル-リンめっき皮膜上に無電解パラジウム-リンめっき皮膜を形成した。
無電解パラジウム-リンめっきの配合
基本組成として塩化パラジウム 1.5g/L、次亜リン酸ナトリウム 10g/L、エチレンジアミン15g/Lを配合し、その他微量添加剤を添加後、塩酸およびアンモニア水にてpHを6.0に調整
無電解パラジウム-リンめっきの条件
液温:60℃
めっき液との接触時間:10分間
【0183】
無電解銀めっき皮膜の形成
上述のようにして形成された無電解パラジウム-リンめっき皮膜を下記配合の無電解銀めっき液に下記条件で接触させて、無電解パラジウム-リンめっき皮膜上に無電解銀めっき皮膜を形成した。
無電解銀めっきの配合
基本組成として硝酸銀 1.7g/L、水溶性ヒドラジン誘導体 1.5g/L、1-メチルヒダントイン 20g/L、酢酸鉛 0.5mg/Lを配合し、その他微量添加剤を添加後、硝酸および水酸化ナトリウムにてpHを10に調整
無電解銀めっきの条件
液温:70℃
めっき液との接触時間:20分間
【0184】
以上により、被めっき物上に、以下の無電解ニッケル-リンめっき皮膜、無電解パラジウム-リンめっき皮膜、及び、無電解銀めっき皮膜がこの順に形成された金属焼結接合用めっき皮膜を製造した。
・無電解ニッケル-リンめっき皮膜:リン含有量2質量%、硫黄含有量0.0003質量%、厚み4μm
・無電解パラジウム-リンめっき皮膜:リン含有量1質量%、厚み0.1μm
・無電解銀めっき皮膜:厚み0.2μm
【0185】
(実施例11)被めっき物:無電解ニッケル-リンめっき皮膜:無電解パラジウム-リンめっき皮膜:無電解金めっき皮膜
【0186】
無電解ニッケル-リンめっき皮膜の形成
被めっき物を下記配合の無電解Ni-Pめっき液に下記条件で接触させて、被めっき物上に無電解ニッケル-リンめっき皮膜を形成した。
無電解ニッケル-リンめっきの配合
基本組成として硫酸ニッケル・6H2O 22.5g/L、次亜リン酸ナトリウム 10g/L、グリシン20g/L、酢酸鉛 0.5mg/L 、チオ尿素0.1mg/Lを配合し、その他微量添加剤を添加後、硫酸およびアンモニア水にてpHを6.5に調整
無電解ニッケル-リンめっきの条件
液温:90℃
めっき液との接触時間:25分間
【0187】
無電解パラジウム-リンめっき皮膜の形成
被めっき物上に形成された無電解ニッケル-リンめっき皮膜を下記配合の無電解パラジウム-リンめっき液に下記条件で接触させて、無電解ニッケル-リンめっき皮膜上に無電解パラジウム-リンめっき皮膜を形成した。
無電解パラジウム-リンめっきの配合
基本組成として塩化パラジウム 1.5g/L、次亜リン酸ナトリウム 10g/L、エチレンジアミン15g/Lを配合し、その他微量添加剤を添加後、塩酸およびアンモニア水にてpHを6.0に調整
無電解パラジウム-リンめっきの条件
液温:60℃
めっき液との接触時間:10分間
【0188】
無電解金めっき皮膜の形成
上述のようにして形成された無電解パラジウム-リンめっき皮膜を下記配合の無電解金めっき液に下記条件で接触させて、無電解パラジウム-リンめっき皮膜上に無電解金めっき皮膜を形成した。
無電解金めっきの配合
基本組成としてシアン化金カリウム 1.8g/L、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム15g/Lを配合し、その他微量添加剤を添加後、硫酸およびアンモニア水にてpHを5.0に調整
無電解金めっきの条件
液温:90℃
めっき液との接触時間:10分間
【0189】
以上により、被めっき物上に、以下の無電解ニッケル-リンめっき皮膜、無電解パラジウム-リンめっき皮膜、及び、無電解金めっき皮膜がこの順に形成された金属焼結接合用めっき皮膜を製造した。
・無電解ニッケル-リンめっき皮膜:リン含有量2質量%、硫黄含有量0.0003質量%、厚み4μm
・無電解パラジウム-リンめっき皮膜:リン含有量1質量%、厚み0.1μm
・無電解金めっき皮膜:厚み0.05μm
【0190】
(実施例12)被めっき物:無電解ニッケル-リンめっき皮膜
【0191】
無電解ニッケル-リンめっき皮膜の形成
被めっき物を下記配合の無電解ニッケル-リンめっき液に下記条件で接触させて、被めっき物上に無電解ニッケル-リンめっき皮膜を形成した。
無電解ニッケル-リンめっきの配合
基本組成として硫酸ニッケル・6H2O 22.5g/L、次亜リン酸ナトリウム 20g/L、グリシン20g/L、酢酸鉛 0.5mg/L 、チオ尿素0.1mg/Lを配合し、その他微量添加剤を添加後、硫酸およびアンモニア水にてpHを6.5に調整
無電解ニッケル-リンめっきの条件
液温:90℃
めっき液との接触時間:20分間
【0192】
以上により、被めっき物上に、以下の無電解ニッケル-リンめっき皮膜が形成された金属焼結接合用めっき皮膜を製造した。
・無電解ニッケル-リンめっき皮膜:リン含有量4質量%、硫黄含有量0.0003質量%、厚み4μm
【0193】
(実施例13)被めっき物:無電解ニッケル-リンめっき皮膜
【0194】
無電解ニッケル-リンめっき皮膜の形成
被めっき物を下記配合の無電解ニッケル-リンめっき液に下記条件で接触させて、被めっき物上に無電解ニッケル-リンめっき皮膜を形成した。
無電解ニッケル-リンめっきの配合
基本組成として硫酸ニッケル・6H2O 22.5g/L、次亜リン酸ナトリウム 10g/L、グリシン20g/L、酢酸鉛 0.5mg/L 、チオ尿素0.1mg/Lを配合し、その他微量添加剤を添加後、硫酸およびアンモニア水にてpHを6.5に調整
無電解ニッケル-リンめっきの条件
液温:90℃
めっき液との接触時間:25分間
【0195】
以上により、被めっき物上に、以下の無電解ニッケル-リンめっき皮膜が形成された金属焼結接合用めっき皮膜を製造した。
・無電解ニッケル-リンめっき皮膜:リン含有量2質量%、硫黄含有量0.0003質量%、厚み4μm
【0196】
(実施例14)被めっき物:無電解ニッケル-リンめっき皮膜
【0197】
無電解ニッケル-リンめっき皮膜の形成
被めっき物を下記配合の無電解ニッケル-リンめっき液に下記条件で接触させて、被めっき物上に無電解ニッケル-リンめっき皮膜を形成した。
無電解ニッケル-リンめっきの配合
基本組成として硫酸ニッケル・6H2O 22.5g/L、次亜リン酸ナトリウム 8g/L、グリシン20g/L、酢酸鉛 0.5mg/Lを配合し、その他微量添加剤を添加後、硫酸およびアンモニア水にてpHを6.5に調整
無電解ニッケル-リンめっきの条件
液温:90℃
めっき液との接触時間:25分間
【0198】
以上により、被めっき物上に、以下の無電解ニッケル-リンめっき皮膜が形成された金属焼結接合用めっき皮膜を製造した。
・無電解ニッケル-リンめっき皮膜:リン含有量2質量%、硫黄含有量0.0001質量%、厚み4μm
【0199】
(比較例1)被めっき物:無電解ニッケル-リンめっき皮膜:無電解銀めっき皮膜
【0200】
無電解ニッケル-リンめっき皮膜の形成
被めっき物を下記配合の無電解ニッケル-リンめっき液に下記めっき条件で接触させて、被めっき物上に無電解ニッケル-リンめっき皮膜を形成した。
無電解ニッケル-リンめっきの配合
基本組成として硫酸ニッケル・6H2O 22.5g/L、次亜リン酸ナトリウム 25g/L、リンゴ酸15g/L、酢酸鉛 0.5mg/L を配合し、その他微量添加剤を添加後、硫酸およびアンモニア水にてpHを4.5に調整
無電解ニッケル-リンめっきの条件
液温:90℃
めっき液との接触時間:20分間
【0201】
無電解銀めっき皮膜の形成
被めっき物上に形成された無電解ニッケル-リンめっき皮膜を下記配合の無電解銀めっき液に下記めっき条件で接触させて、無電解ニッケル-リンめっき皮膜上に無電解銀めっき皮膜を形成した。
無電解銀めっきの配合
基本組成として硝酸銀 1.7g/L、水溶性ヒドラジン誘導体 1.5g/L、1-メチルヒダントイン 20g/L、酢酸鉛 0.5mg/Lを配合し、その他微量添加剤を添加後、硝酸および水酸化ナトリウムにてpHを10に調整
無電解銀めっきの条件
液温:60℃
めっき液との接触時間:20分間
【0202】
以上により、被めっき物上に、以下の無電解ニッケル-リンめっき皮膜、及び、無電解銀めっき皮膜がこの順に形成された金属焼結接合用めっき皮膜を製造した。
・無電解ニッケル-リンめっき皮膜:リン含有量10質量%、硫黄含有量0.0001質量%、厚み4μm
・無電解銀めっき皮膜:厚み0.2μm
【0203】
(比較例2)被めっき物:無電解ニッケル-リンめっき皮膜:無電解銀めっき皮膜
比較例1の無電解ニッケル-リンめっきの配合およびめっき条件を下記に変更することにより、被めっき物上に、以下の無電解ニッケル-リンめっき皮膜、及び、無電解銀めっき皮膜がこの順に形成された金属焼結接合用めっき皮膜を製造した。
無電解ニッケル-リンめっきの配合
基本組成として硫酸ニッケル・6H2O 22.5g/L、次亜リン酸ナトリウム 25g/L、リンゴ酸15g/L、酢酸鉛 0.5mg/L、チオ尿素0.1mg/Lを配合し、その他微量添加剤を添加後、硫酸およびアンモニア水にてpHを4.8に調整
無電解ニッケル-リンめっきの条件
液温:85℃
めっき液との接触時間:20分間
・無電解ニッケル-リンめっき皮膜:リン含有量7質量%、硫黄含有量0.0001質量%、厚み4μm
・無電解銀めっき皮膜:厚み0.2μm
【0204】
(比較例3)被めっき物:無電解ニッケル-リンめっき皮膜:無電解銀めっき皮膜
比較例1の無電解ニッケル-リンめっきの配合およびめっき条件を下記に変更することにより、被めっき物上に、以下の無電解ニッケル-リンめっき皮膜、及び、無電解銀めっき皮膜がこの順に形成された金属焼結接合用めっき皮膜を製造した。
無電解ニッケル-リンめっきの配合
基本組成として硫酸ニッケル・6H2O 22.5g/L、次亜リン酸ナトリウム 25g/L、リンゴ酸15g/L、酢酸鉛 0.5mg/L、チオ尿素0.2mg/Lを配合し、その他微量添加剤を添加後、硫酸およびアンモニア水にてpHを4.5に調整
無電解ニッケル-リンめっきの条件
液温:85℃
めっき液との接触時間:20分間
・無電解ニッケル-リンめっき皮膜:リン含有量7質量%、硫黄含有量0.0003質量%、厚み4μm
・無電解銀めっき皮膜:厚み0.2μm
【0205】
(比較例4)被めっき物:無電解銀めっき皮膜
【0206】
無電解銀めっき皮膜の形成
被めっき物を下記配合の無電解銀めっき液に下記めっき条件で接触させて、被めっき物上に無電解銀めっき皮膜を形成した。
無電解銀めっきの配合
基本組成として硝酸銀 1.7g/L、水溶性ヒドラジン誘導体 1.5g/L、1-メチルヒダントイン 20g/L、酢酸鉛 0.5mg/Lを配合し、その他微量添加剤を添加後、硝酸および水酸化ナトリウムにてpHを10に調整
無電解銀めっきの条件
液温:60℃
めっき液との接触時間:20分間
【0207】
以上により、被めっき物上に、以下の無電解銀めっき皮膜が形成された金属焼結接合用めっき皮膜を製造した。
・無電解銀めっき皮膜:厚み0.2μm
【0208】
(比較例5)被めっき物:無電解銀めっき皮膜
【0209】
無電解銀めっき皮膜の形成
被めっき物を下記配合の無電解銀めっき液に下記めっき条件で接触させて、被めっき物上に無電解銀めっき皮膜を形成した。
無電解銀めっきの配合
基本組成として硝酸銀 1.7g/L、水溶性ヒドラジン誘導体 1.5g/L、1-メチルヒダントイン 20g/L、酢酸鉛 0.5mg/Lを配合し、その他微量添加剤を添加後、硝酸および水酸化ナトリウムにてpHを10に調整
無電解銀めっきの条件
液温:70℃
めっき液との接触時間:40分間
【0210】
以上により、被めっき物上に、以下の無電解銀めっき皮膜が形成された金属焼結接合用めっき皮膜を製造した。
・無電解銀めっき皮膜:厚み1.0μm
【0211】
(比較例6)被めっき物:無電解ニッケル-リンめっき皮膜
【0212】
無電解ニッケル-リンめっき皮膜の形成
被めっき物を下記配合の無電解ニッケル-リンめっき液に下記条件で接触させて、被めっき物上に無電解ニッケル-リンめっき皮膜を形成した。
無電解ニッケル-リンめっきの配合
基本組成として硫酸ニッケル・6H2O 22.5g/L、次亜リン酸ナトリウム 25g/L、リンゴ酸15g/L、酢酸鉛 0.5mg/Lを配合し、その他微量添加剤を添加後、硫酸およびアンモニア水にてpHを4.5に調整
無電解ニッケル-リンめっきの条件
液温:90℃
めっき液との接触時間:20分間
【0213】
以上により、被めっき物上に、以下の無電解ニッケル-リンめっき皮膜が形成された金属焼結接合用めっき皮膜を製造した。
・無電解ニッケル-リンめっき皮膜:リン含有量10質量%、硫黄含有量0.0001質量%、厚み4μm
【0214】
(比較例7)被めっき物:無電解ニッケル-リンめっき皮膜
【0215】
無電解ニッケル-リンめっき皮膜の形成
被めっき物を下記配合の無電解ニッケル-リンめっき液に下記条件で接触させて、被めっき物上に無電解ニッケル-リンめっき皮膜を形成した。
無電解ニッケル-リンめっきの配合
基本組成として硫酸ニッケル・6H2O 22.5g/L、次亜リン酸ナトリウム 25g/L、リンゴ酸15g/L、酢酸鉛 0.5mg/L、チオ尿素0.1mg/Lを配合し、その他微量添加剤を添加後、硫酸およびアンモニア水にてpHを4.8に調整
無電解ニッケル-リンめっきの条件
液温:85℃
めっき液との接触時間:20分間
【0216】
以上により、被めっき物上に、以下の無電解ニッケル-リンめっき皮膜が形成された金属焼結接合用めっき皮膜を製造した。
・無電解ニッケル-リンめっき皮膜:リン含有量7質量%、硫黄含有量0.0001質量%、厚み4μm
【0217】
(比較例8)被めっき物:無電解ニッケル-リンめっき皮膜
【0218】
無電解ニッケル-リンめっき皮膜の形成
被めっき物を下記配合の無電解ニッケル-リンめっき液に下記条件で接触させて、被めっき物上に無電解ニッケル-リンめっき皮膜を形成した。
無電解ニッケル-リンめっきの配合
基本組成として硫酸ニッケル・6H2O 22.5g/L、次亜リン酸ナトリウム 25g/L、リンゴ酸15g/L、酢酸鉛 0.5mg/L、チオ尿素0.2mg/Lを配合し、その他微量添加剤を添加後、硫酸およびアンモニア水にてpHを4.5に調整
無電解ニッケル-リンめっきの条件
液温:85℃
めっき液との接触時間:20分間
【0219】
以上により、被めっき物上に、以下の無電解ニッケル-リンめっき皮膜が形成された金属焼結接合用めっき皮膜を製造した。
・無電解ニッケル-リンめっき皮膜:リン含有量7質量%、硫黄含有量0.0003質量%、厚み4μm
【0220】
(比較例9)被めっき物のまま(銅バルク材)
【0221】
(評価方法)
実施例及び比較例について、下記評価を行った。
【0222】
銀焼結接合の接合強度測定用試料調製
各実施例及び比較例において製造した金属焼結接合用めっき皮膜に銀焼結材を介して半導体素子を実装した。具体的には、銀焼結材として、ミクロンサイズの銀フレーク(福田金属箔粉工業株式会社製)とエーテル溶剤(株式会社ダイセル製)とを混合したペースト材を使用した。半導体素子としては、チタン/銀スパッタ膜(0.1μm/1.0μm)を形成させたSiCダミーチップ(3mm×3mm×1mm)を使用した。基板上に形成した金属焼結接合用めっき皮膜と、チタン/銀スパッタ膜を形成させたSiCダミーチップとを、銀焼結材を用いて接合させることにより、銀焼結接合の評価用試料を調製した。なお、実施例1~11及び比較例1~5の接合条件は無加圧、大気雰囲気、250℃、30分とし、実施例12~14および比較例6~9の接合条件は1MPa加圧、大気雰囲気、250℃、30分とした。
【0223】
接合強度測定
上述した評価用試料について、ボンドテスター(Nordson DAGE社製4000Plus)によるシェア試験を行い、金属焼結接合用めっき皮膜と銀焼結材との接合強度を測定した。シェア試験は銀焼結接合した直後、及び、300℃・500hrの熱処理後に行い、初期接合性、及び、熱処理後の接合性を、下記評価基準に従って評価した。
30MPa以上:良好な接合強度
30Mpa未満:接合強度不十分
【0224】
結果を表1に示す。
【0225】
【表1】
【0226】
表1の結果から、実施例1~14では、初期接合性、及び、熱処理後の接合性が優れており、熱処理によっても接合強度が極端に低下していなことから、耐熱性、及び、耐冷熱衝撃性に優れており、金属焼結接合用として適しためっき皮膜となっていることが分かった。
【0227】
これ対して、比較例1~9では、熱処理後の接合性が初期接合性よりも大幅に低下しており、実施例1~14と比較すると耐熱性、及び、耐冷熱衝撃性に劣ることが分かった。
【要約】
耐熱性、及び、耐冷熱衝撃性に優れており、金属焼結接合用として適しためっき皮膜を提供する。
(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜を有する金属焼結接合用めっき皮膜であって、
前記(A)無電解ニッケル-リンめっき皮膜のリン含有量は、無電解ニッケル-リンめっき皮膜を100質量%として4質量%以下である、
ことを特徴とする、金属焼結接合用めっき皮膜。