(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-26
(45)【発行日】2025-03-06
(54)【発明の名称】硬化性組成物、硬化物の製造方法、その硬化物、およびそれを用いた接着剤
(51)【国際特許分類】
C08F 2/48 20060101AFI20250227BHJP
C08G 59/24 20060101ALI20250227BHJP
C09J 4/02 20060101ALI20250227BHJP
C09J 163/00 20060101ALI20250227BHJP
【FI】
C08F2/48
C08G59/24
C09J4/02
C09J163/00
(21)【出願番号】P 2019510210
(86)(22)【出願日】2018-03-29
(86)【国際出願番号】 JP2018013513
(87)【国際公開番号】W WO2018181846
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-12
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】P 2017071052
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【氏名又は名称】渡耒 巧
(72)【発明者】
【氏名】松土 和彦
(72)【発明者】
【氏名】関 新之介
(72)【発明者】
【氏名】板野 和幸
(72)【発明者】
【氏名】長坂 一輝
【合議体】
【審判長】藤原 浩子
【審判官】加藤 幹
【審判官】松本 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-65199(JP,A)
【文献】特開2013-185133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F
C08G
C09J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジカル重合性成分(A)50~80質量部、ラジカル重合開始剤(B)1~10質量部、カチオン重合性成分(C)20~50質量部およびカチオン重合開始剤(D)1~10質量部を含有し、前記ラジカル重合性成分(A)と前記カチオン重合性成分(C)との合計が100質量部である硬化性組成物であって、
前記カチオン重合性成分(C)が、炭素原子数11以上であるアルコールのグリシジルエーテルを含有し、
前記炭素原子数11以上であるアルコールのグリシジルエーテルが、炭素原子数11以上である飽和縮合環を有するアルコールのグリシジルエーテルを含み、該炭素原子数11以上である飽和縮合環を有するアルコールのグリシジルエーテルが、前記ラジカル重合性成分(A)と前記カチオン重合性成分(C)との合計100質量部に対して、25~45質量部であり、
前記ラジカル重合性成分(A)が、炭素原子数2~60であるアルコールのアクリル酸エステルあるいは炭素原子数2~60であるアルコールのメタクリル酸エステル(A1)を含有し、
前記ラジカル重合性成分(A)において、前記炭素原子数2~60であるアルコールのアクリル酸エステルあるいは炭素原子数2~60であるアルコールのメタクリル酸エステル(A1)の割合が50~100質量%であり、
さらに、前記炭素原子数2~60であるアルコールのアクリル酸エステルあるいは炭素原子数2~60であるアルコールのメタクリル酸エステル(A1)が、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート
およびテトラヒドロフルフリルメタクリレー
トからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする硬化性組成物。
【請求項2】
請求項1記載の硬化性組成物を、活性エネルギー線を照射することにより硬化させることを特徴とする硬化物の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の硬化性組成物を、加熱により硬化させることを特徴とする硬化物の製造方法。
【請求項4】
請求項1記載の硬化性組成物の硬化物。
【請求項5】
請求項1記載の硬化性組成物からなる接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性組成物、硬化物の製造方法、その硬化物、およびそれを用いた接着剤に関し、詳しくは、粘性が小さく、密着性に優れた硬化物が得られる硬化性組成物、硬化物の製造方法、その硬化物、およびそれを用いた接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
硬化性組成物は、インキ、塗料、各種コーティング剤、接着剤、光学部材等の分野において用いられており、カチオン重合性成分およびラジカル重合性成分を含有するエネルギー線硬化性組成物およびその硬化物が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、初期硬化性および接着性を向上させた偏光板用接着剤組成物が提案されている。また、特許文献2では、高い表面硬度を保持したまま、カール性が低減され、透明性に優れた硬化物を与える活性エネルギー線硬化性組成物が提案されている。さらに、特許文献では、硬化性、接着性、および耐水性に優れ、IT関連製品の製造に好適に使用することができる接着剤組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-037477号公報
【文献】特開2016-102193号公報
【文献】国際公開2014/178239号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これら特許文献1~3で提案されているような硬化性組成物は、粘度およびその硬化物の基材に対する密着性は必ずしも十分でなく、さらなる改善が望まれているのが現状である。
【0006】
そこで、本発明の目的は、粘性が小さく、密着性に優れた硬化物が得られる硬化性組成物、硬化物の製造方法、その硬化物、およびそれを用いた接着剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解消するために鋭意検討した結果、所定の組成を有する組成物が上記課題を解消しできることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の硬化性組成物は、ラジカル重合性成分(A)50~80質量部、ラジカル重合開始剤(B)1~10質量部、カチオン重合性成分(C)20~50質量部およびカチオン重合開始剤(D)1~10質量部を含有し、前記ラジカル重合性成分(A)と前記カチオン重合性成分(C)との合計が100質量部である硬化性組成物であって、
前記カチオン重合性成分(C)が、炭素原子数11以上であるアルコールのグリシジルエーテルを含有し、
前記炭素原子数11以上であるアルコールのグリシジルエーテルが、炭素原子数11以上である飽和縮合環を有するアルコールのグリシジルエーテルを含み、該炭素原子数11以上である飽和縮合環を有するアルコールのグリシジルエーテルが、前記ラジカル重合性成分(A)と前記カチオン重合性成分(C)との合計100質量部に対して、25~45質量部であり、
前記ラジカル重合性成分(A)が、炭素原子数2~60であるアルコールのアクリル酸エステルあるいは炭素原子数2~60であるアルコールのメタクリル酸エステル(A1)を含有し、
前記ラジカル重合性成分(A)において、前記炭素原子数2~60であるアルコールのアクリル酸エステルあるいは炭素原子数2~60であるアルコールのメタクリル酸エステル(A1)の割合が50~100質量%であり、
さらに、前記炭素原子数2~60であるアルコールのアクリル酸エステルあるいは炭素原子数2~60であるアルコールのメタクリル酸エステル(A1)が、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレートおよびテトラヒドロフルフリルメタクリレートからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の硬化物の製造方法は、本発明の硬化性組成物を、活性エネルギー線を照射することにより硬化させること、または加熱により硬化させることを特徴とするものである。
【0011】
さらに、本発明の硬化物は、本発明の硬化性組成物からなることを特徴とするものである。
【0012】
さらにまた、本発明の接着剤は、本発明の硬化性組成物からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、粘性が小さく、密着性に優れた硬化物が得られる硬化性組成物、硬化物の製造方法、その硬化物、およびそれを用いた接着剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の硬化性組成物について詳細に説明する。
本発明の硬化性組成物は、ラジカル重合性成分(A)50~80質量部、ラジカル重合開始剤(B)1~10質量部、カチオン重合性成分(C)20~50質量部およびカチオン重合開始剤(D)1~10質量部を含有し、ラジカル重合性成分(A)とカチオン重合性成分(C)との合計が100質量部である。本発明の硬化性組成物においては、カチオン重合性成分(C)が、炭素原子数11以上であるアルコールのグリシジルエーテルを含有する。このような組成とすることで、粘性が小さく、密着性に優れた硬化物が得られる硬化性組成物となる。
【0015】
ラジカル重合性成分(A)は、活性エネルギー線照射または加熱により活性化したラジカル重合開始剤により高分子化または架橋反応する化合物であれば特に制限されず公知のものを用いることができる。例えば炭素原子数2~60であるアルコールのアクリレートまたは炭素原子数2~60であるアルコールのメタクリレート(A1)、フェノール化合物のアクリル酸エステルまたはフェノール化合物のメタクリル酸エステル(A2)の他、アクリルアミドまたはメタクリルアミド、ビニル化合物、ポリオレフィン、アリルウレタン化合物、不飽和ポリエステル化合物、スチレン系化合物等が挙げられる。
【0016】
上記炭素原子数2~60であるアルコールのアクリレートあるいは炭素原子数2~60であるアルコールのメタクリレート(A1)としては、分子中に少なくとも1個の水酸基を持つ芳香族または脂肪族アルコール、およびそのアルキレンオキサイド付加体とアクリル酸またはメタクリル酸とを反応させて得られるアクリレートまたはメタクリレートが挙げられ、具体的には、2-エチルヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、イソアミルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソオクチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボニルアクリレート、ベンジルアクリレート、1,3-ブタンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ε-カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、イソボニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、1,3-ブタンジオールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ε-カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等が挙げられる。なお、これらのアクリレートまたはメタクリレートのうち、多価アルコールのポリアクリレート類または多価アルコールのポリメタクリレート類が特に好ましい。ここで、炭素原子数2~60であるアルコールのアクリレートあるいは炭素原子数2~60であるアルコールのメタクリレートとは、アルコールにアクリル基またはメタクリル基を付与したアクリレートとして炭素原子数が2~60であることを意味する。
【0017】
上記炭素原子数2~60であるアルコールのアクリレートあるいは炭素原子数2~60であるアルコールのメタクリレート(A1)としては、市販品を用いることもでき、例えば、NKエステルAM-90G、NKエステルAM-130G、NKエステルA-SA、NKエステルS-1800A、NKエステル701A、NKエステルA-200、NKエステルA-400、NKエステルA-600、NKエステルA-1000、NKエステルA-DCP、NKエステルA-DOD-N、NKエステルA-HD-N、NKエステルAPG-100、NKエステルAPG-200、NKエステルAPG-400、NKエステルAPG-700、NKエステルA-PTMG-65、NKエステルA-9300、NKエステルA-9300-1CL、NKエステルA-GLY-20E、NKエステルA-TMM-3L、NKエステルA-TMM-3LM-N、NKエステルA-TMPT、NKエステルAD-TMP、NKエステルATM-35E、NKエステルA-TMMT、NKエステルA-9550、NKエステルA-DPH、NKエステルM-90G、NKエステルM-230G、NKエステルS、NKエステルSA、NKエステル1G、NKエステル2G、NKエステル3G、NKエステル4G、NKエステル9G、NKエステル14G、NKエステル23G、NKエステルDCP、NKエステルDOD-N、NKエステルHD-N、NKエステルNOD-N、NKエステルNPG、NKエステル1206PE、NKエステル701、NKエステル9PG、NKエステルTMPT(新中村化学(株)社製);HEA、HPA、4-HBA、AIB、TBA、NOAA、INAA、ビスコート#197、IDAA、LA、STA、ISTA(大阪有機化学工業(株)社製)、ライトアクリレートIAA、ライトアクリレートL-A、ライトアクリレートS-A、ライトアクリレートEC-A、ライトアクリレートMTG-A、ライトアクリレートEHDG-AT、ライトアクリレート130A、ライトアクリレートDPM-A、ライトアクリレートIB-XA、ライトエステルHOA(N)、ライトエステルHOP-A(N)、ライトアクリレートHOB-A、HOA-MS(N)、ライトアクリレートHOA-HH(N)、ライトアクリレート3EG-A、ライトアクリレート4EG-A、ライトアクリレート9EG-A、ライトアクリレート14EG-A、ライトアクリレートPTMGA-250、ライトアクリレートNP-A、ライトアクリレートMPD-A、ライトアクリレート1,6HX-A、ライトアクリレート1,9ND-A、ライトアクリレートDCP-A、ライトアクリレートHPP-A、ライトエステルG-201P、ライトアクリレートTMP-A、ライトアクリレートPE-3A、ライトアクリレートPE-4A、ライトアクリレートDPE-6A(共栄社化学(株)社製);KAYARAD NPGDA、KAYARAD PEG400DA、KAYARAD FM-400、KAYARAD R-167、KAYARAD HX-220、KAYARAD HX-620、KAYARAD R-604、KAYARAD R-684、KAYARAD GPO-303、KAYARAD TMPTA、KAYARAD PET-30(日本化薬(株)社製)等が挙げられる。
【0018】
上記フェノール化合物のアクリル酸エステルまたはフェノール化合物のメタクリル酸エステル(A2)としては、フェノール、クレゾール、ブチルフェノール、レゾルシノール、ハイドロキノン、カテコール等、少なくとも1個の芳香族環を有するフェノール化合物、またはそのアルキレンオキサイド付加物のモノ/ポリアクリレートまたはメタクリレート、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、またはこれらにさらにアルキレンオキサイドを付加した化合物のジアクリレートまたはジメタクリレート等が挙げられる。
【0019】
上記フェノール化合物のアクリル酸エステルまたはフェノール化合物のメタクリル酸エステル(A2)としては、市販のものを用いることができ、例えば、NKエステルA-LEN-10、NKエステルAMP-20GY、NKエステルA-B1206PE、NKエステルABE-300、NKエステルA-BPE-10、NKエステルA-BPE-20、NKエステルA-BPE-30、NKエステルA-BPE-4、NKエステルA-BPEF、NKエステルA-BPE-3、NKエステルPHE-1G、NKエステルBPE-80N、NKエステルBPE-100、NKエステルBPE-200、NKエステルBPE-500、NKエステルBPE-900、NKエステルBPE-1300N(新中村化学(株)社製);ライトアクリレートPO-A、ライトアクリレートP2H-A、ライトアクリレートP-200A(共栄社化学(株)社製);KAYARAD R-128H、KAYARAD R-551、KAYARAD R-712(日本化薬(株)社製)等が挙げられる。
【0020】
上記ラジカル重合性成分(A)において、硬化物の硬化性および密着性が向上するので、(A1)成分の割合が50~100質量%であるのが好ましく、60~100質量%であるのがさらに好ましい。(A2)成分の割合は、0~50質量%であるのが好ましく、0~30質量%であるのがさらに好ましい。
【0021】
本発明の硬化性組成物において、硬化性および硬化物の密着性が向上するので、ラジカル重合性成分(A)とカチオン重合性成分(C)との合計100質量部に対して、ラジカル重合性成分(A)は50~80質量部であるのが好ましく、50~65質量部がさらに好ましい。
【0022】
本発明に用いられるラジカル重合開始剤(B)としては、光ラジカル重合開始剤または熱ラジカル重合開始剤が挙げられる。
【0023】
上記光重合開始剤としては、アセトフェノン系化合物、ベンジル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ビスイミダゾール系化合物、アクリジン系化合物、アシルホスフィン系化合物、オキシムエステル化合物等を好ましいものとして挙げることができる。
【0024】
上記アセトフェノン系化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、4’-イソプロピル-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2-ヒドロキシメチル-2-メチルプロピオフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、p-ターシャリブチルジクロロアセトフェノン、p-ターシャリブチルトリクロロアセトフェノン、p-アジドベンザルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパノン-1、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン等が挙げられる。
【0025】
上記ベンジル系化合物としては、ベンジル等が挙げられる。
【0026】
上記ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラーケトン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィド等が挙げられる。
【0027】
上記チオキサントン系化合物としては、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-イソプロピルチオ キサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等が挙げられる。
【0028】
上記ビスイミダゾール系化合物としては、ヘキサアリールビスイミダゾール(HABI、トリアリール-イミダゾールの二量体)を用いることができ、具体的には、例えば、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス(4-エトキシカルボニルフェニル)-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-ブロモフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス(4-エトキシカルボニルフェニル)-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-ブロモフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジブロモフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4,6-トリブロモフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,4,5,2’,4’,5’-ヘキサフェニルビスイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’-ビス(2-ブロモフェニル)-4,5,4’,5’-テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラキス(3-メトキシフェニル)ビスイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラキス(3,4,5-トリメトキシフェニル)-ビスイミダゾール、2,5,2’,5’-テトラキス(2-クロロフェニル)-4,4’-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)ビスイミダゾール、2,2’-ビス(2,6-ジクロロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’-ビス(2-ニトロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’-ジ-o-トリル-4,5,4’,5’-テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’-ビス(2-エトキシフェニル)-4,5,4’,5’-テトラフェニルビスイミダゾールおよび2,2’-ビス(2,6-ジフルオロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラフェニルビスイミダゾール、5’-テトラ(p-ヨードフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(o-クロロフェニル-4,4’,5,5’-テトラ(m-メトキシフェニル)ビイミダゾール)、2,2’-ビス(p-メチルチオフェニル)-4,5,4’,5’-ジフェニル-1,1’-ビイミダゾール、ビス(2,4,5-トリフェニル)-1,1’-ビイミダゾール、5,5’-テトラ(p-クロルナフチル)ビイミダゾール、等や特公昭45-37377号公報に開示される1,2’-、1,4’-、2,4’-で共有結合している互変異性体、WO00/52529号公報に記載の化合物等が挙げられる。
【0029】
上記アクリジン系化合物としては、アクリジン、9-フェニルアクリジン、9-(p-メチルフェニル)アクリジン、9-(p-エチルフェニル)アクリジン、9-(p-iso-プロピルフェニル)アクリジン、9-(p-n-ブチルフェニル)アクリジン、9-(p-tert-ブチルフェニル)アクリジン、9-(p-メチキシフェニル)アクリジン、9-(p-エトキシフェニル)アクリジン、9-(p-アセチルフェニル)アクリジン、9-(p-ジメチルアミノフェニル)アクリジン、9-(p-シアノフェニルフェニル)アクリジン、9-(p-クロルシフェニル)アクリジン、9-(p-ブロモフェニル)アクリジン、9-(m-メチルフェニル)アクリジン、9-(m-n-プロピルフェニル)アクリジン、9-(m-iso-プロピルフェニル)アクリジン、9-(m-n-ブチルフェニル)アクリジン、9-(m-tert-ブチルフェニル)アクリジン、9-(m-メチキシフェニル)アクリジン、9-(m-エトキシフェニル)アクリジン、9-(m-アセチルフェニル)アクリジン、9-(m-ジメチルアミノフェニル)アクリジン、9-(m-ジエチルアミノフェニル)アクリジン、9-(シアノフェニル)アクリジン、9-(m-クロルフェニル)アクリジン、9-(m-ブロモフェニル)アクリジン、9-メチルアクリジン、9-エチルアクリジン、9-n-プロピルアクリジン、9-iso-プロピルアクリジン、9-シアノエチルアクリジン、9-ヒドロキシエチルアクリジン、9-クロロエチルアクリジン、9-ブロモアクリジン、9-ヒドロキシアクリジン、9-ニトロアクリジン、9-アミノアクリジン、9-メトキシアクリジン、9-エトキシアクリジン、9-n-プロポキシアクリジン、9-iso-プロポキシアクリジン、9-クロロエトキシアクリジン、4,6-ビス(ジメチルアミノ)アクリジン、10-酢酸アクリジン、10-メチルアセテートアクリジン、3,6-ジメチルアクリジン、7,13-ジメチルアクリジン、7,13-ビス(ジメチルアミノ)アクリジン、3,6-ジメチル-10-酢酸アクリジン、3,5-ジメチル-10-メチルアセテートアクリジン、7,13-ジメチル-10-酢酸アクリジン、7,13-ジメチル-10-メチルアセテートアクリジン、1,7-ビス(9-アクリジニル)ヘプタン、1,5-ビス(9-アクリジニル)ペンタン、1,3-ビス(9-アクリジニル)プロパン、2,7-ジベンゾイル-9-フェニルアクリジン、2,7-ビス(α-ヒドロキシベンジル)-9-フェニルアクリジン、2,7-ビス(α-アセトキシベンジル)-9-フェニルアクリジン、2,7-ジメチル-9-(4-メチルフェニル)アクリジン、2,7-ジメチル-9-フェニルアクリジン、2,7-ビス(3,4-ジメチル-ベンゾイル)-9-(3,4-ジメチルフェニル)アクリジン、2,7-ビス(α-アセトキシ-4-tert-ブチルベンジル)-9-(4-tert-ブチルフェニル)アクリジン、2,7-ジメチル-9-(3,4-ジクロロフェニル)アクリジン、2,7-ジメチル-9-(4-ベンゾイルフェニル)アクリジン、2,7-ビス(2-クロロベンゾイル)-9-(2-クロロフェニル)アクリジン、2-(α-ヒドロキシ-3-ブロモベンジル)-6-メチル-9-(3-ブロモフェニル)アクリジン、2,5-ビス(4-tert-ブチルベンゾイル)-9-(4-tert-ブチルフェニル)アクリジン、1,4-ビス(2,7-ジメチル-9-アクリジニル)ベンゼン、2,7-ビス(α-フェニルアミノカルボニルオキシ-3,4-ジメチルベンジル)-9-(3,4-ジメチルフェニル)アクリジンおよび2,7-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-4’-フルオロジフェニルメチル)-9-(4-フルオロフェニル)アクリジン、9,10-ジヒドロアクリジン、1-メチルアクリジン、4-メチルアクリジン、2,3-ジメチルアクリジン、1-フェニルアクリジン、4-フェニルアクリジン、1-ベンジルアクリジン、4-ベンジルアクリジン、1-クロロアクリジン、2,3-ジクロロアクリジン、10-ブチル-2-クロロアクリジン-9(10H)-オン、10-プロピル-2-クロロアクリジン-9(10H)-オン、10-ブチル-2-クロロアクリジン-9(10H)-オン1,2-ビス(9-アクリジニル)エタン、1,3-ビス(9-アクリジニル)プロパン、1,4-ビス(9-アクリジニル)ブタン、1,6-ビス(9-アクリジニル)ヘキサン、1,7-ビス(9-アクリジニル)ヘプタン、1,8-ビス(9-アクリジニル)オクタン、1,9-ビス(9-アクリジニル)ノナン、1,10-ビス(9-アクリジニル)デカン、1,11-ビス(9-アクリジニル)ウンデカン、1,12-ビス(9-アクリジニル)ドデカン、1,14-ビス(9-アクリジニル)テトラデカン、1,16-ビス(9-アクリジニル)ヘキサデカン、1,18-ビス(9-アクリジニル)オクタデカン、1,20-ビス(9-アクリジニル)エイコサン、1,3-ビス(9-アクリジニル)-2-チアプロパン、1,5-ビス(9-アクリジニル)-3-チアペンタン7-メチル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-エチル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-プロピル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-ブチル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-ペンチル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-ヘキシル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-ヘプチル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-オクチル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-ノニル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-デシル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-ウンデシル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-ドデシル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-トリデシル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-テトラデシル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-ペンタデシル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-ヘキサデシル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-ヘプタデ シル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-オクタデシル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-ノナデシル-ベンゾ〔c〕アクリジン、1,1-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)メタン、1,2-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)エタン、1,3-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)プロパン、1,4-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ブタン、1,5-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ペンタン、1,6-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ヘキサン、1,7-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ヘプタン、1,8-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)オクタン、1,9-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ノナン、1,10-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)デカン、1,11-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ウンデカン、1,12-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ドデカン、1,13-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)トリデカン、1,14-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)テトラデカン、1,15-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ペンタデカン、1,16-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ヘキサデカン、1,17-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ヘプタデカン、1,18-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)オクタデカン、1,19-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ノナデカン、1,20-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)エイコサン、7-フェニル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-(2-クロルフェニル)-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-(4-メチルフェニル)-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-(4-ニトロフェニル)-ベンゾ〔c〕アクリジン、1,3-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ベンゼン、1,4-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)ベンゼン、7-〔1-プロペン-3-イル(ベンゾ〔c〕アクリジン)〕、7-〔1-エチルペンチル-(ベンゾ〔c〕アクリジン)〕、7-〔8-ヘプタデセニル-(ベンゾ〔c〕アクリジン)〕、7,8-ジフェニル-1,14-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)テトラデカン、1,2-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)エチレン、1-メチル-1,2-ビス(7-ベンゾ〔c〕アクリジニル)エチレン、7-スチリル-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-(1-プロペニル)-ベンゾ〔c〕アクリジン、7-(1-ペンテニル)-ベンゾ〔c〕アクリジン、9-(2-ピリジル)アクリジン,9-(3-ピリジル)アクリジン,9-(4-ピリジル)アクリジン,9-(4-ピリミジニル)アクリジン,9-(2-ピラジニル)アクリジン,9(5-メチル-2-ピラジニル)アクリジン,9-(2-キノリニル)アクリジン,9-(2-ピリジル)-2-メチル-アクリジン,9-(2-ピリジル)-2-エチルアクリジン,9-(3-ピリジル)-2-メチル-アクリジン,9-(3-ピリジル)-2,4-ジエチル-アクリジン、3,6-ジアミノ-アクリジンスルフォン酸塩、3,6-ビス-(ジメチルアミノ)-アクリジンスルフォン酸塩、3,6-ジアミノ-10-メチル-アクリジニウムクロライド、9-アクリジンカルボン酸等が挙げられる。
【0030】
上記アシルホスフィン系化合物としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(Lucirin TPO;BASF社製)、イソブチリル-メチルホスフィン酸メチルエステル、イソブチリル-フェニルホスフィン酸メチルエステル、ピバロイル-フェニルホスフィン酸メチルエステル、2-エチルヘキサノイル-フェニルホスフィン酸メチルエステル、ピバロイル-フェニルホスフィン酸イソプロピルエステル、p-トルイル-フェニルホスフィン酸メチルエステル、o-トルイル-フェニルホスフィン酸メチルエステル、2,4-ジメチルベンゾイル-フェニルホスフィン酸メチルエステル、p-三級ブチルベンゾイル-フェニルホスフィン酸イソプロピルエステル、アクリロイル-フェニルホスフィン酸メチルエステル、イソブチリル-ジフェニルホスフィンオキサイド、2-エチルヘキサノイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、o-トルイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、p-三級ブチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、3-ピリジルカルボニル-ジフェニルホスフィンオキサイド、アクリロイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイル-フェニルホスフィン酸ビニルエステル、アジポイル-ビス-ジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、p-トルイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、4-(三級ブチル)-ベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、2-メチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、2-メチル-2-エチルヘキサノイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、1-メチル-シクロヘキサノイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイル-フェニルホスフィン酸メチルエステルおよびピバロイル-フェニルホスフィン酸イソプロピルエステル、4-オクチルフェニルホスフィンオキサイド、テレフタロイル-ビス-ジフェニルホスフィンオキサイド、1-メチル-シクロヘキシルカルボニルジフェニルホスフィンオキサイド、バーサトイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,4-ジイソブトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(Irgacure819;BASF社製)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジクロル-3,4,5-トリメトキシベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジクロル-3,4,5-トリメトキシベンゾイル)-4-エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2-メチル-1-ナフトイル)-2,5-ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2-メチル-1-ナフトイル)-4-エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2-メチル-1-ナフトイル)-2-ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2-メチル-1-ナフトイル)-4-プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2-メチル-1-ナフトイル)-2,5-ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2-メトキシ-1-ナフトイル)-4-エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2-クロル-1-ナフトイル)-2,5-ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,4-ジオクチルオキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,4-ジイソプロポキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,4-ジヘキシルオキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2-プロポキシ-4-メチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,4-ジイソペンチルオキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジクロロベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジクロルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-ビフェニリルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジクロロベンゾイル)-2-ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジクロロベンゾイル)-1-ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド(CGI403)、6-トリメチルベンゾイル-エチル-フェニル-フォスフィネート(SPEEDCURE TPO-L;Lambson社製)等が挙げられる。
【0031】
上記オキシムエステル化合物としては、例えば、エタノン-1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)、1-〔9-エチル-6-ベンゾイル-9H-カルバゾール-3-イル-オクタン-1-オンオキシム-O-アセテート、1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-エタン-1-オンオキシム-O-ベンゾエート、1-〔9-n-ブチル-6-(2-エチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-エタン-1-オンオキシム-O-ベンゾエート、エタノン-1-〔9-エチル-6-(2-メチル-4-テトラヒドロフラニルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-〔9-エチル-6-(2-メチル-4-テトラヒドロピラニルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-〔9-エチル-6-(2-メチル-5-テトラヒドロフラニルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-〔9-エチル-6-{2-メチル-4-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-〔9-エチル-6-(2-メチル-4-テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)等が挙げられる。
【0032】
上記熱ラジカル重合開始剤としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(メチルイソブチレ-ト)、2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)等のアゾ系開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシピバレート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等の過酸化物系開始剤、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩等が挙げられる。これらは一種または二種以上を混合して用いることができる。
【0033】
本発明の硬化性組成物において、硬化性および硬化物の密着性が向上するので、ラジカル重合開始剤(B)は、ラジカル重合性成分(A)とカチオン重合性成分(C)との合計100質量部に対して1~10質量部であるのが好ましく、2~5質量部であるのがさらに好ましい。
【0034】
カチオン重合性成分(C)は、活性エネルギー線照射または加熱により活性化したカチオン重合開始剤により高分子化または、架橋反応を起こす化合物であり、必須成分である炭素原子数11以上であるアルコールのグリシジルエーテルの他、芳香族エポキシ化合物(C1)、脂肪族エポキシ化合物(C2)、脂環式エポキシ化合物(C3)、オキセタン化合物(C4)、ビニルエーテル化合物(C5)の他、下式(I)で表される単量体から得られるポリマー、下記式(II)で表される単量体から得られるポリマー、下記式(I)で表される単量体から選択される二種以上の単量体から得られるポリマー、下記式(II)で表される単量体から選択される二種以上の単量体からな得られるポリマー、または下記式(I)で表される単量体および下記式(II)で表される単量体から得られるポリマーの群より選択される重量平均分子量1,000~30,000であるポリマー(C6)(以下、ポリマー(C6)ともいう)等を用いることができる。
【0035】
(式中、Xは、炭素原子数1~7のアルキル基、炭素原子数1~7のアルコキシ基、炭素原子数6~12のアリール基、炭素原子数6~12のアリールオキシ基もしくは炭素原子数6~10の脂環式炭化水素基、またはこれらの基中の水素原子が、エポキシ基、オキセタン基、水酸基およびカルボキシル基からなる群より選択される1種以上の基で置換されたものである。)
【0036】
(式中、R
1は、水素原子、メチル基またはハロゲン原子を表し、X’は、炭素原子数1~7のアルキル基、炭素原子数6~12のアリール基もしくは炭素原子数6~10の脂環式炭化水素基、またはこれらの基中の水素原子が、エポキシ基、オキセタン基、水酸基およびカルボキシル基からなる群より選択される1種以上の基で置換されたものである。)
【0037】
上記炭素原子数11以上であるアルコールのグリシジルエーテルとしては、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエンジメタノールジグリシジルエーテル等の多価アルコールのグリシジルエーテル、またプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル等が挙げられる。ここで、炭素原子数11以上であるアルコールのグリシジルエーテルとは、アルコールにグリシジル基を付与したグリシジルエーテルにおいて、残基の部分の炭素原子数が11以上であることを意味する。炭素原子数11以上であるアルコールのグリシジルエーテルとしては、飽和縮合環を有するものが、硬化物の硬化性および密着性が向上するので好ましい。
【0038】
上記炭素原子数11以上であるアルコールのグリシジルエーテルとしては、市販品のものを用いることができ、例えば、デナコールEX-171、デナコールEX-192、デナコールEX-830、デナコールEX-832、デナコールEX-841、デナコールEX-861、デナコールEX-931(ナガセケムテックス(株)社製);エポライトM-1230、エポライト400E、エポライト400P、(共栄社化学(株)社製)、アデカグリシロールED-506、アデカレジンEP-4088S((株)ADEKA社製)等が挙げられる。
【0039】
芳香族エポキシ化合物(C1)とは、芳香環を含むエポキシ化合物を指す。芳香族エポキシ化合物(C1)の具体例としては、フェノール、クレゾール、ブチルフェノール等、少なくとも1個の芳香族環を有する多価フェノールまたは、そのアルキレンオキサイド付加物のモノ/ポリグリシジルエーテル化物、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、またはこれらにさらにアルキレンオキサイドを付加した化合物のグリシジルエーテル化物やエポキシノボラック樹脂;レゾルシノールやハイドロキノン、カテコール等の2個以上のフェノール性水酸基を有する芳香族化合物のモノ/ポリグリシジルエーテル化物;フェニルジメタノールやフェニルジエタノール、フェニルジブタノール等のアルコール性水酸基を2個以上有する芳香族化合物のグリシジルエーテル化物;フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の2個以上のカルボン酸を有する多塩基酸芳香族化合物のグリシジルエステル、安息香酸のグリシジルエステル、スチレンオキサイドまたはジビニルベンゼンのエポキシ化物等が挙げられる。
【0040】
芳香族エポキシ化合物(C1)としては、市販品のものを用いることができ、例えば、デナコールEX-146、デナコールEX-147、デナコールEX-201、デナコールEX-203、デナコールEX-711、デナコールEX-721、オンコートEX-1020、オンコートEX-1030、オンコートEX-1040、オンコートEX-1050、オンコートEX-1051、オンコートEX-1010、オンコートEX-1011、オンコート1012(ナガセケムテックス(株)社製);オグソールPG-100、オグソールEG-200、オグソールEG-210、オグソールEG-250(大阪ガスケミカル(株)社製);HP4032、HP4032D、HP4700(DIC(株)社製);ESN-475V(東都化成(株)社製);YX8800(三菱化学社(株)製);マープルーフG-0105SA、マープルーフG-0130SP(日油(株)社製);エピクロンN-665、エピクロンHP-7200(DIC(株)社製);EOCN-1020、EOCN-102S、EOCN-103S、EOCN-104S、XD-1000、NC-3000、EPPN-501H、EPPN-501HY、EPPN-502H、NC-7000L(日本化薬(株)社製);アデカレジンEP-4000、アデカレジンEP-4005、アデカレジンEP-4100、アデカレジンEP-4901((株)ADEKA社製);TECHMORE VG-3101L((株)プリンテック社製)等が挙げられる。芳香族エポキシ化合物(C1)としては、多官能のものが、硬化性に優れるため好ましい。
【0041】
脂肪族エポキシ化合物(C2)とは、芳香族エポキシ化合物(C1)や後述の脂環式エポキシ化合物(C3)に分類されないエポキシ化合物を指す。脂肪族エポキシ化合物(C2)の具体例としては、脂肪族アルコールのグリシジルエーテル化物、アルキルカルボン酸のグリシジルエステル等の単官能エポキシ化合物や、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル等の多官能エポキシ化合物が挙げられる。代表的な化合物として、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等の多価アルコールのグリシジルエーテル、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステルが挙げられる。さらに、脂肪族高級アルコールのモノグリシジさらにルエーテルや高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシ化ポリブタジエン等が挙げられる。脂肪族エポキシ化合物(C2)としては、上記炭素原子数11以上であるアルコールのグリシジルエーテル以外の脂肪族アルコールのグリシジルエーテル化物あるいは脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物が、粘度、塗工性および反応性が向上するので好ましい。
【0042】
脂肪族エポキシ化合物(C2)としては、市販品のものを用いることができ、例えば、デナコールEX-121、デナコールEX-171、デナコールEX-192、デナコールEX-211、デナコールEX-212、デナコールEX-313、デナコールEX-314、デナコールEX-321、デナコールEX-411、デナコールEX-421、デナコールEX-512、デナコールEX-521、デナコールEX-611、デナコールEX-612、デナコールEX-614、デナコールEX-622、デナコールEX-810、デナコールEX-811、デナコールEX-850、デナコールEX-851、デナコールEX-821、デナコールEX-830、デナコールEX-832、デナコールEX-841、デナコールEX-861、デナコールEX-911、デナコールEX-941、デナコールEX-920、デナコールEX-931(ナガセケムテックス(株)社製);エポライトM-1230、エポライト40E、エポライト100E、エポライト200E、エポライト400E、エポライト70P、エポライト200P、エポライト400P、エポライト1500NP、エポライト1600、エポライト80MF、エポライト100MF(共栄社化学(株)社製)、アデカグリシロールED-503、アデカグリシロールED-503G、アデカグリシロールED-506、アデカグリシロールED-523T、アデカレジンEP-4088S((株)ADEKA社製)等が挙げられる。
【0043】
脂環式エポキシ化合物(C3)とは、飽和環に結合基を介さず直接オキシラン環が結合しているものを指す。脂環式エポキシ化合物(C3)の具体例としては、少なくとも1個の脂環式環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル化物またはシクロヘキセンやシクロペンテン環含有化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキセンオキサイドやシクロペンテンオキサイド含有化合物が挙げられる。例えば、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-1-メチルシクロヘキシル-3,4-エポキシ-1-メチルヘキサンカルボキシレート、6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、プロパン-2,2-ジイル-ビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、2,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロパン、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ-2-エチルヘキシル、1-エポキシエチル-3,4-エポキシシクロヘキサン、1,2-エポキシ-2-エポキシエチルシクロヘキサン、α-ピネンオキシド、リモネンジオキシド等が挙げられる。
【0044】
脂環式エポキシ化合物(C3)としては、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートまたは3,4-エポキシ-1-メチルシクロヘキシル-3,4-エポキシ-1-メチルヘキサンカルボキシレートが、密着性向上の観点から好ましい。
【0045】
脂環式エポキシ化合物(C3)としては、市販品のものを用いることができ、例えば、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2000、セロキサ例えばイド3000((株)ダイセル社製)等が挙げられる。
【0046】
オキセタン化合物(C4)としては、3,7-ビス(3-オキセタニル)-5-オキサ-ノナン、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,2-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、1,4-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ヘキサン等の二官能脂肪族オキセタン化合物、3-エチル-3-[(フェノキシ)メチル]オキセタン、3-エチル-3-(ヘキシロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(ヒドロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(クロロメチル)オキセタン等の一官能オキセタン化合物等が挙げられる。これらは1種単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、多官能オキセタン化合物が、硬化物の硬化性および密着性が高くなるので好ましい。
【0047】
オキセタン化合物(C4)としては、市販品のものを用いることができ、例えば、アロンオキセタンOXT-121、OXT-221、EXOH、POX、OXA、OXT-101、OXT-211、OXT-212(東亞合成(株)社製)、エタナコールOXBP、OXTP(宇部興産(株)社製)等が挙げられる。
【0048】
ビニルエーテル化合物(C5)としては、例えば、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、n-ドデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、2-クロロエチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、1,6-シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、1,6-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等が挙げられる。
【0049】
ビニルエーテル化合物(C5)としては市販品を用いることもでき、例えば、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル(丸善石油化学(株)社製)が挙げられる。
【0050】
カチオン重合性成分(C)において、炭素原子数11以上であるアルコールのグリシジルエーテルの含有率は、硬化物の密着性と低透湿性が向上するので、ラジカル重合性成分(A)とカチオン重合性成分(C)との合計100質量部に対して、25~45質量部が好ましく、28~43質量部であるのがさらに好ましい。また、必須成分である炭素原子数11以上であるアルコールのグリシジルエーテルの他、芳香族エポキシ化合物(C1)、脂肪族エポキシ化合物(C2)、脂環式エポキシ化合物(C3)、オキセタン化合物(C4)、ビニルエーテル化合物(C5)、ポリマー(C6)の使用割合は、ラジカル重合性成分(A)とカチオン重合性成分(C)との合計100質量部に対して、芳香族エポキシ化合物(C1)1~20質量部、脂肪族エポキシ化合物(C2)20~40質量部、脂環式エポキシ化合物(C3)0~20質量部、オキセタン化合物(C4)10~30質量部、ビニルエーテル化合物(C5)0~20質量部、ポリマー(C6)0~15質量部であるのが、粘度、塗工性、反応性および硬化性が向上するので好ましい。なお、(A)成分と(C)成分の合計100質量部に対して(C)成分は20~50質量部である。
【0051】
ラジカル重合性成分(A)、カチオン重合性成分(C)に加えて、さらにエポキシ基およびエチレン性不飽和基を有する化合物を用いることもできる。これらの化合物としては、例えば、エポキシアクリレートまたはエポキシメタクリレートを挙げることができ、具体的には、従来公知の芳香族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と、アクリル酸またはメタクリル酸とを反応させて得られるアクリレートである。これらのエポキシアクリレートまたはエポキシメタクリレートのうち、特に好ましいものは、アルコール類のグリシジルエーテルのアクリレートまたはメタクリレートである。
【0052】
本発明の硬化性組成物に係るカチオン重合開始剤(D)とは、活性エネルギー線照射または加熱によりカチオン重合を開始させる物質を放出させることが可能な化合物であればどのようなものでも差し支えないが、好ましくは、活性エネルギー線の照射によってルイス酸を放出するオニウム塩である複塩、またはその誘導体である。かかる化合物の代表的なものとしては、下記一般式、
[A]r+[B]r-
で表される陽イオンと陰イオンの塩を挙げることができる。
【0053】
ここで陽イオン[A]r+はオニウムであることが好ましく、その構造は、例えば、下記一般式、
[(R2)aQ]r+
で表すことができる。
【0054】
さらにここで、R2は炭素原子数が1~60であり、炭素原子以外の原子をいくつ含んでいてもよい有機の基である。aは1~5なる整数である。a個のR2は各々独立で、同一でも異なっていてもよい。また、少なくとも1つは、芳香環を有する上記の如き有機の基であることが好ましい。QはS,N,Se,Te,P,As,Sb,Bi,O,I,Br,Cl,F,N=Nからなる群から選ばれる原子あるいは原子団である。また、陽イオン[A]r+中のQの原子価をqとしたとき、r=a-qなる関係が成り立つことが必要である(ただし、N=Nは原子価0として扱う)。
【0055】
また、陰イオン[B]r-は、ハロゲン化物錯体であることが好ましく、その構造は、例えば、下記一般式、
[LYb]r-
で表すことができる。
【0056】
さらにここで、Lはハロゲン化物錯体の中心原子である金属または半金属(Metalloid)であり、B,P,As,Sb,Fe,Sn,Bi,Al,Ca,In,Ti,Zn,Sc,V,Cr,Mn,Co等である。Yはハロゲン原子である。bは3~7なる整数である。また、陰イオン[B]r-中のLの原子価をpとしたとき、r=b-pなる関係が成り立つことが必要である。
【0057】
上記一般式の陰イオン[LYb]r-の具体例としては、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン(ClO4)-、テトラフルオロほう酸イオン(BF4)-、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF6)-、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6)-、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6)-、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6)-等の無機イオン;トリフルオロメタンスルホン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、ブタンスルホン酸イオン、フルオロスルホン酸イオン(FSO3)-、ベンゼンスルホン酸アニオン、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸イオン、カンファースルホン酸イオン、ノナフルオロブタンスルホン酸イオン、ヘキサデカフロロオクタンスルホン酸イオン等のスルホン酸イオン;テトラアリールほう酸イオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸イオン等のほう酸イオン;メタンカルボン酸イオン、エタンカルボン酸イオン、プロパンカルボン酸イオン、ブタンカルボン酸イオン、オクタンカルボン酸イオン、トリフルオロメタンカルボン酸イオン、ベンゼンカルボン酸イオン、p-トルエンカルボン酸イオン等のカルボン酸イオン;トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CF3SO3)-、メチル硫酸イオン(CH3OSO3)-、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドイオン、(CF3CF2)3PF3
-、((CF3)2C6H3)4B-、(C6F5)4Ga-、((CF3)2C6H3)4Ga-の他、下記群より選択されるものを挙げることができる。
【0058】
【0059】
また、陰イオン[B]r-は、下記一般式、
[LYb-1(OH)]r-
で表される構造のものも好ましく用いることができる。L,Y,bは上記と同様である。また、その他用いることのできる陰イオンとしては、過塩素酸イオン(ClO4)-、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CF3SO3)-、フルオロスルホン酸イオン(FSO3)-、トルエンスルホン酸陰イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸陰イオン、カンファースルフォネート、ノナフロロブタンスルフォネート、ヘキサデカフロロオクタンスルフォネート、テトラアリールボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を挙げることができる。
【0060】
本発明の硬化性組成物では、このようなオニウム塩の中でも、下記の(イ)~(ハ)の芳香族オニウム塩を使用することが特に有効である。これらの中から、その1種を単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
【0061】
(イ)フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、4-メトキシフェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、4-メチルフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート等のアリールジアゾニウム塩
【0062】
(ロ)ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4-メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のジアリールヨードニウム塩
【0063】
(ハ)下記群Iまたは群IIで表されるスルホニウムカチオンとヘキサフルオロアンチモンイオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン等のスルホニウム塩
【0064】
【0065】
【0066】
また、その他好ましいものとしては、(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)〔(1,2,3,4,5,6-η)-(1-メチルエチル)ベンゼン〕-アイアン-ヘキサフルオロホスフェート等の鉄-アレーン錯体や、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(エチルアセトナトアセタト)アルミニウム、トリス(サリチルアルデヒダト)アルミニウム等のアルミニウム錯体とトリフェニルシラノール等のシラノール類との混合物;チオフェニウム塩、チオラニウム塩、ベンジルアンモニウム、ピリジニウム塩、ヒドラジニウム塩等の塩;ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン等のポリアルキルポリアミン類;1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-3,6-ジエチルシクロヘキサン、イソホロンジアミン等の脂環式ポリアミン類;m-キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族ポリアミン類;上記ポリアミン類と、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ビスフェノールA-ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF-ジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類またはカルボン酸のグリシジルエステル類等の各種エポキシ樹脂とを常法によって反応させることによって製造されるポリエポキシ付加変性物;上記有機ポリアミン類と、フタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸等のカルボン酸類とを常法によって反応させることによって製造されるアミド化変性物;上記ポリアミン類とホルムアルデヒド等のアルデヒド類およびフェノール、クレゾール、キシレノール、第三ブチルフェノール、レゾルシン等の核に少なくとも一個のアルデヒド化反応性場所を有するフェノール類とを常法によって反応させることによって製造されるマンニッヒ化変性物;多価カルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2-メチルコハク酸、2-メチルアジピン酸、3-メチルアジピン酸、3-メチルペンタン二酸、2-メチルオクタン二酸、3,8-ジメチルデカン二酸、3,7-ジメチルデカン二酸、水添ダイマー酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸類;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸類;トリメリト酸、トリメシン酸、ひまし油脂肪酸の三量体等のトリカルボン酸類;ピロメリット酸等のテトラカルボン酸類等)の酸無水物;ジシアンジアミド、イミダゾール類、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、アミンイミド等を挙げることができる。
【0067】
これらの中でも、実用面と光感度向上の観点から、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、鉄-アレーン錯体を用いることが好ましく、下記構造を有する芳香族スルホニウム塩を、カチオン重合開始剤(D)100質量%に対して、少なくとも0.1質量%以上含有することがさらに好ましい。
【0068】
本発明の硬化性組成物において、カチオン重合開始剤(D)の使用割合は、ラジカル成分(A)とカチオン重合成分(C)との合計100質量部に対して1~10質量部、好ましくは2~5質量部である。少なすぎると硬化が不十分となりやすく、多すぎると硬化物の吸水率や硬化物強度等の諸物性に悪影響を与える場合がある。
【0069】
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて、さらに、増感剤および/または増感助剤を用いることができる。増感剤は、カチオン重合開始剤(D)が示す極大吸収波長よりも長い波長に極大吸収を示し、カチオン重合開始剤(D)による重合開始反応を促進させる化合物である。また増感助剤は、増感剤の作用を一層促進させる化合物である。
【0070】
増感剤および増感助剤としては、アントラセン系化合物、ナフタレン系化合物等が挙げられる。
【0071】
アントラセン系化合物としては、例えば、下式(IIIa)で表されるものが挙げられる。
【0072】
ここで、式(IIIa)中、R
3およびR
4は、各々独立に水素原子、炭素原子数1~6のアルキル基または炭素原子数2~12のアルコキシアルキル基を表し、R
5は水素原子または炭素原子数1~6のアルキル基を表す。
【0073】
式(IIIa)で表されるアントラセン系化合物の具体例を挙げると、次のような化合物がある。
【0074】
例えば、9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセン、9,10-ジイソプロポキシアントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジペンチルオキシアントラセン、9,10-ジヘキシルオキシアントラセン、9,10-ビス(2-メトキシエトキシ)アントラセン、9,10-ビス(2-エトキシエトキシ)アントラセン、9,10-ビス(2-ブトキシエトキシ)アントラセン、9,10-ビス(3-ブトキシプロポキシ)アントラセン、2-メチル-または2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、2-メチル-または2-エチル-9,10-ジエトキシアントラセン、2-メチル-または2-エチル-9,10-ジプロポキシアントラセン、2-メチル-または2-エチル-9,10-ジイソプロポキシアントラセン、2-メチル-または2-エチル-9,10-ジブトキシアントラセン、2-メチル-または2-エチル-9,10-ジペンチルオキシアントラセン、2-メチル-または2-エチル-9,10-ジヘキシルオキシアントラセン等が挙げられる。
【0075】
ナフタレン系化合物としては、例えば、下式(IIIb)で表されるものが挙げられる。
【0076】
ここで、式(IIIb)中、R
6およびR
7は各々独立に炭素原子数1~6のアルキル基を表す。
【0077】
上記式(IIIb)で表されるナフタレン系化合物の具体例を挙げると、次のような化合物がある。
【0078】
例えば、4-メトキシ-1-ナフトール、4-エトキシ-1-ナフトール、4-プロポキシ-1-ナフトール、4-ブトキシ-1-ナフトール、4-ヘキシルオキシ-1-ナフトール、1,4-ジメトキシナフタレン、1-エトキシ-4-メトキシナフタレン、1,4-ジエトキシナフタレン、1,4-ジプロポキシナフタレン、1,4-ジブトキシナフタレン等が挙げられる。
【0079】
カチオン重合性成分(C)に対する増感剤および増感助剤の使用割合は特に限定されず、本発明の目的を阻害しない範囲内で概ね通常の使用割合で使用すればよいが、例えば、カチオン重合性成分(C)100質量部に対して、増感剤および増感助剤それぞれ0.1~3質量部以上であるのが、硬化性向上の観点から好ましい。
【0080】
本発明の硬化性組成物には、必要に応じてシランカップリング剤を用いることができる。シランカップリング剤としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキル官能性アルコキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン等のアルケニル官能性アルコキシシラン、3-メタクリロキシブロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシブロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ官能性アルコキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシラン、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド等のチタンアルコキシド類、チタンジオクチロキシビス(オクチレングリコレート)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)等のチタンキレート類、ジルコウニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート等のジルコニウムキレート類、ジルコニウムトリブトキシモノステアレート等のジルコニウムアシレート類、メチルトリイソシアネートシラン等のイソシアネートシラン類等を用いることができる。
【0081】
シランカップリング剤の使用量は、特に限定されないが、通常、硬化性組成物中の固形物の全量100質量部に対して、0.01~20質量部の範囲である。
【0082】
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて熱可塑性有機重合体を用いることによって、硬化物の特性を改善することもできる。熱可塑性有機重合体としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレートエチルアクリレート共重合体、メチルメタクリレートグリシジルメタクリレート共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸-メチルメタクリレート共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート-ポリメチル(メタ)アクリレート共重合体、ポリビニルブチラール、セルロースエステル、ポリアクリルアミド、飽和ポリエステル等が挙げられる。
【0083】
本発明の硬化性組成物には、特に制限されず通常用いられる上記(A)、(B)、(C)および(D)の各成分を溶解または分散しえる溶媒を用いることができ、例えば、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン等のケトン類;エチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸-n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、コハク酸ジメチル、テキサノール等のエステル系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、イソ-またはn-プロパノール、イソ-またはn-ブタノール、アミルアルコール等のアルコール系溶媒;エチレングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコールモノエチルアセテート、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート(PGMEA)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、エトキシエチルプロピオネート等のエーテルエステル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等のBTX系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;テレピン油、D-リモネン、ピネン等のテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(コスモ松山石油社)、ソルベッソ#100(エクソン化学社)等のパラフィン系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;プロピレンカーボネート、カルビトール系溶媒、アニリン、トリエチルアミン、ピリジン、酢酸、アセトニトリル、二硫化炭素、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられ、これらの溶媒は1種または2種以上の混合溶媒として使用することができる。
【0084】
本発明の硬化性組成物は、硬化性、接着性、液保存安定性が向上するので水分量が5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがさらに好ましい。水分が多すぎると、白濁したり成分が析出したりするおそれがあるので好ましくない。
【0085】
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて、さらに、紫外線吸収剤や、常温では不活性であり所定の温度への加熱・光照射・酸等により保護基が脱離し、活性化されて紫外線吸収能が発現する化合物を用いることもできる。
【0086】
また、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、ポリオール、無機フィラー、有機フィラー、顔料、染料等の着色剤、消泡剤、増粘剤、界面活性剤、レべリング剤、難燃剤、チクソ剤、希釈剤、可塑剤、安定剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、静電防止剤、流動調整剤、接着促進剤等の各種樹脂添加物等を添加することができる。
【0087】
本発明の硬化性組成物は、ロールコーター、カーテンコーター、各種の印刷、浸漬等の公知の手段で、支持基体上に適用される。また、一旦フィルム等の支持基体上に施した後、他の支持基体上に転写することもでき、その適用方法に制限はない。
【0088】
支持基体の材料としては、特に制限されず通常用いられるものを使用することができ、例えば、ガラス等の無機材料;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル;ポリアミド;ポリイミド;ポリウレタン;エポキシ樹脂;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ-1,4-シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン-1,2-ジフェノキシエタン-4,4’-ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル等のビニル化合物;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリオキシエチレン、ノルボルネン樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)等の高分子材料が挙げられる。
【0089】
なお、支持基体に、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を行ってもよい。
【0090】
本発明の硬化性組成物を活性エネルギー線の照射により硬化させる方法において、活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波等を挙げることができ、紫外線が経済的に最も好ましい。紫外線の光源としては、紫外線レーザー、水銀ランプ、キセノンレーザ、メタルハライドランプ等が挙げられる。
【0091】
本発明の硬化性組成物を加熱により硬化させる方法における条件は、70~250℃で1~100分である。プレベイク(PAB;Pre applied bake)した後、加圧して、ポストベイク(PEB;Post exposure bake)してもよいし、異なる数段階の温度でベイクしてもよい。加熱条件は各成分の種類および配合割合によって異なるが、例えば、70~180℃で、オーブンなら5~15分間、ホットプレートなら1~5分間である。その後、塗膜を硬化させるために180~250℃、好ましくは200~250℃で、オーブンなら30~90分間、ホットプレートなら5~30分間加熱処理することによって硬化膜を得ることができる。
【0092】
本発明の硬化性組成物またはその硬化物の具体的な用途としては、接着剤、メガネ、撮像用レンズに代表される光学材料、塗料、コーティング剤、ライニング剤、インキ、レジスト、液状レジスト、印刷版、カラーテレビ、PCモニタ、携帯情報端末、デジタルカメラ、有機EL、タッチパネル等の表示素子、絶縁ワニス、絶縁シート、積層板、プリント基盤、半導体装置用・LEDパッケージ用・液晶注入口用・有機EL用・光素子用・電気絶縁用・電子部品用・分離膜用等の封止剤、成形材料、パテ、ガラス繊維含浸剤、目止め剤、半導体用・太陽電池用等のパッシベーション膜、層間絶縁膜、保護膜、液晶表示装置のバックライトに使用されるプリズムレンズシート、プロジェクションテレビ等のスクリーンに使用されるフレネルレンズシート、レンチキュラーレンズシート等のレンズシートのレンズ部、またはこのようなシートを用いたバックライト等、マイクロレンズ等の光学レンズ、光学素子、光コネクター、光導波路、光学的造形用注型剤等を挙げることができる。
【0093】
表示装置としては、透明支持体に、必要に応じて下塗り層、反射防止層、偏光素子層、位相差層、複屈折率層、光散乱層、ハードコート層、潤滑層、保護層等の各層を設けたものが挙げられ、各層に本発明の硬化物からなるフィルムを用いることができる。
【実施例】
【0094】
以下、本発明を、実施例および比較例を用いて、より具体的に説明する。なお、実施例および比較例では部は質量部を意味する。
【0095】
[実施例1~11、比較例1~4]
下記の[表1]~[表3]に示す配合で各成分を十分に混合して、実施例1~11および比較例1~4の硬化性組成物を得た。得られた各硬化性組成物につき、下記の手順に従って、粘度および密着性に関する評価を行った。
【0096】
(粘度)
得られた各硬化性組成物について、25℃においてE型粘度計で粘度を測定した。結果を[表1]~[表3]に併記する。
【0097】
(密着性)
得られた各硬化性組成物を、一枚のコロナ放電処理を施したアクリルフィルム(住友化学(株)製:テクノロイ125S001)にそれぞれ塗布した後、もう一枚のコロナ放電処理を施したCOP(シクロオレフィンポリマー、日本ゼオン(株)製:品番ゼオノアフィルム14-060)フィルムとラミネーターを用いて貼り合わせ、無電極紫外光ランプを用いて1000mJ/cm2に相当する光をCOPフィルム越しに照射して接着して試験片を得た。得られた試験片につき、90度ピール試験を行った。初期密着力は露光から3分後の値、硬化後密着力は露光から6時間以上経過した後の値である。評価は下記基準に従って行った。
【0098】
<初期密着力>
○:0.5N/2cm超の接着力を示す。
×:0.5N/2cm以下の接着力を示す。
<硬化後密着力>
○:1.5N/2cm超の接着力を示す。
×:1.5N/2cm以下の接着力を示す。
【0099】
(透湿度)
得られた各硬化性組成物を、1枚のコロナ放電処理を施したアクリルフィルム(住友化学(株)社製:テクノロイ75S001)にそれぞれ塗布した後、無電極紫外光ランプを用いて500mJ/cm2に相当する光を照射して試験片を得た。さらに試験片を23℃(湿度50%)環境下で6時間以上放置した。得られた試験片の透湿度を、水蒸気透過率測定装置7002(ILLINOIS INSTRUMENTS,INC.製)で測定した。試験環境は40℃/90%RHとした。評価は下記基準に従って行った。なお、アクリルフィルム単体の透湿度は50g/m2/dayであった。
◎:≦40g/m2/dayを示す。
○:<50g/m2/dayを示す。
×:≧50g/m2/dayを示す。
【0100】
ラジカル重合性成分(A)としては、下記の化合物(A1-1)~(A1-5)および(A2-1)を用いた。
化合物A1-1:1,6-ヘキサンジオールジアクリレート
化合物A1-2:ビスコート#150(テトラヒドロフルフリルアクリレート;大阪有機(株)社製)
化合物A1-3:NKエステルA-DCP(トリシクロデカンジメタノールジアクリレート;新中村化学(株)社製)
化合物A1-4:NKエステルAPG-200(トリプロピレングリコールジアクリレート;新中村化学(株)社製)
化合物A1-5:A-9300S(多官能アクリレート;新中村化学工業(株)社製)
化合物A2-1:NKエステルBPE-500(エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート;新中村化学(株)社製)
【0101】
ラジカル重合開始剤(B)としては、下記の化合物(B-1)を用いた。
化合物B1-1:イルガキュア184(BASF社製)
【0102】
カチオン重合性成分(C)としては下記の化合物(C1-1)、(C2-1)~(C2-4)、(C3-1)および(C6-1)を用いた。
化合物C1-1:EP-4100(ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル:(株)ADEKA社製)
化合物C2-1:アデカレジンEP-4088L(炭素原子数11以上であるアルコールのジグリシジルエーテル;(株)ADEKA社製)
化合物C2-2:1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル
化合物C2-3:ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル
化合物C2-4:エピクロンHP-7200(ジシクロペンタジエン型グリシジルエーテル;DIC(株)社製)
化合物C3-1:セロキサイド2021P(脂環式エポキシ化合物;(株)ダイセル社製)
化合物C6-1:メチルメタクリレート70質量部とグリシジルメタクリレート30質量部の共重合体(重量平均分子量8000)
【0103】
カチオン重合開始剤(D)としては下記の化合物D-1を用いた。
化合物D-1:下記構造で表される2種の化合物の混合物のプロピレンカーボネート50%溶液
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
[表1]~[表3]より、本発明の硬化性組成物は、硬化性および硬化物の密着性に優れることがわかる。