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特許7642797三次元ウェハ構造向けビニング増強欠陥検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-28
(45)【発行日】2025-03-10
(54)【発明の名称】三次元ウェハ構造向けビニング増強欠陥検出方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20250303BHJP
   G01N 21/956 20060101ALI20250303BHJP
【FI】
H01L21/66 N
G01N21/956 A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023514952
(86)(22)【出願日】2021-08-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-26
(86)【国際出願番号】 US2021047831
(87)【国際公開番号】W WO2022051171
(87)【国際公開日】2022-03-10
【審査請求日】2024-05-17
(31)【優先権主張番号】63/074,487
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/356,473
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ チュアン
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ ウェイフェン
【審査官】庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-516307(JP,A)
【文献】特開平10-185763(JP,A)
【文献】特表2020-501154(JP,A)
【文献】特開2012-063209(JP,A)
【文献】特表2016-530525(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0271595(US,A1)
【文献】特表2021-516448(JP,A)
【文献】特表2020-500422(JP,A)
【文献】特開2018-025565(JP,A)
【文献】特表2019-505766(JP,A)
【文献】特開2017-032589(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0300890(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01N 21/956
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
プロセッサにて画像を受け取り、但しその画像は半導体ウェハの三次元構造のものであり、
前記プロセッサを用い前記画像の一次元射影を生成することで一次元曲線を形成させ、
前記プロセッサを用い前記画像の前記一次元曲線をもとにマスクを生成し、
前記プロセッサを用い前記マスクで以て前記画像上の欠陥を検出し、且つ
前記プロセッサを用い前記欠陥のロケーションベースビニングを実行する方法。
【請求項2】
請求項1の方法であって、前記画像が広帯域プラズマ検査システムにより生成される方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記三次元構造が三次元NAND構造である方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記マスクの生成に際し、
前記プロセッサを用い前記一次元曲線の自己相関を実行することで周期を特定し、且つ
前記プロセッサを用い自己畳込みと前記周期の裁定とを実行することでトレンチ中心を特定する方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記トレンチ中心を基準として用いる方法であり、前記プロセッサを用い前記マスク画像においてトレンチ、エッジホール、トランジションホール及びセンタホール領域を特定する方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記欠陥を、前記マスクのある領域内の画素群のなかから検出する方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記欠陥の検出に際し、更に、それら欠陥のうち1個の所在個所の周辺にあるパッチを抽出する方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、更に、前記プロセッサを用い近隣のトレンチ中心までの距離を特定する方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、前記ロケーションベースビニングが対トレンチ中心距離である方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、前記ロケーションベースビニングにより、チャネルホールからなる様々なロー上にある前記欠陥を対応するビンへと仕分ける方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法を実行せよとプロセッサに命令するよう構成されたプログラムが格納されている非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項12】
システムであって、
半導体ウェハを保持するよう構成されたステージと、
前記ステージ上の前記半導体ウェハに光ビームを差し向けるよう構成された光源と、
前記ステージ上の前記半導体ウェハからの反射光を受光するよう構成された検出器と、
前記検出器と電子通信するプロセッサと、
を備え、前記検出器が、
前記半導体ウェハの画像を受け取り、
前記画像の一次元射影を生成することで一次元曲線を形成させ、
前記画像の前記一次元曲線をもとにマスクを生成し、
前記マスクで以て前記画像上の欠陥を検出し、且つ
前記欠陥のロケーションベースビニングを実行するよう、
構成されているシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムであって、前記光源が広帯域プラズマ光源であるシステム。
【請求項14】
請求項12に記載のシステムであって、前記マスクの生成に際し、
前記一次元曲線の自己相関を実行することで周期を特定し、且つ
自己畳込みと前記周期の裁定とを実行することでトレンチ中心を特定するシステム。
【請求項15】
請求項14に記載のシステムであって、前記トレンチ中心を基準として用いるシステムであり、前記マスク画像においてトレンチ、エッジホール、トランジションホール及びセンタホール領域を特定するシステム。
【請求項16】
請求項12に記載のシステムであって、前記欠陥を、前記マスクのある領域内の画素群のなかから検出するシステム。
【請求項17】
請求項12に記載のシステムであって、前記欠陥の検出に際し、更に、それら欠陥のうち1個の所在個所の周辺にあるパッチを抽出するシステム。
【請求項18】
請求項17に記載のシステムであって、更に、近隣のトレンチ中心までの距離を特定するシステム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムであって、前記ロケーションベースビニングが対トレンチ中心距離であるシステム。
【請求項20】
請求項12に記載のシステムであって、前記ロケーションベースビニングにより、チャネルホールからなる様々なロー上の前記欠陥を対応するビンへと仕分けるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件開示は半導体ウェハ上にある欠陥の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
[関連出願への相互参照]
本願では、2020年9月4日付米国仮特許出願第63/074487号に基づく優先権を主張し、参照によりその開示内容を本願に繰り入れる。
【0003】
半導体製造業界の発展につれ歩留まり管理、とりわけ計量及び検査システムに対する要請が強まっている。限界寸法が縮まり続けているのに、業界にはより短時間で高歩留まり高付加価値生産を達成することが求められている。歩留まり問題を察知してからそれを正すまでの合計時間を縮めることで、半導体製造業者にとっての投資収益率が高まる。
【0004】
半導体デバイス、例えば論理及び記憶デバイスを製造する際には、通常、多数の製造プロセスを用い半導体ウェハを処理することで、それら半導体デバイスの様々なフィーチャ(外形特徴)及び複数の階層が形成される。例えばリソグラフィなる半導体製造プロセスにおいては、半導体ウェハ上に配置されたフォトレジストへと、レティクルからパターンが転写される。半導体製造プロセスの更なる例には、これに限られるものではないが化学機械研磨(CMP)、エッチング、堆積及びイオンインプランテーションがある。1枚の半導体ウェハ上に作成され配列をなしている複数個の半導体デバイスを分け、個別の半導体デバイスにすることができる。
【0005】
検査プロセスは半導体製造中の様々な工程にて用いられており、それによりウェハ側の欠陥を検出することで、その製造プロセスにおける歩留まりの向上、ひいては利益の増進を促進することができる。検査は、常に、半導体デバイス例えば集積回路(IC)の製造の重要部分とされてきた。しかしながら、半導体デバイスの寸法が縮小されるにつれ、小さめな欠陥でもそれらデバイスに不調が引き起こされうることから、許容しうる半導体デバイスの首尾よい製造のために検査がかつてなく重要になってきている。例えば、半導体デバイスの寸法縮小につれ、比較的小さな欠陥でさえもそれら半導体デバイスに不要な誤差を引き起こしうることから、より小サイズの欠陥の検出が必要になってきている。
【0006】
より小さな半導体デバイスを求める需要が増大し続けているため、ピッチ分割技術に関わる複数個の処理工程並びにリソグラフィに関わるコストの急上昇が原因で、半導体デバイス例えばメモリを縮小させることがより難しくなってきている。垂直メモリ、例えば3D NANDメモリには、メモリ密度向上に資する有望な傾向があると見られている。3D NANDの実装に際しては、メモリ構造をプレーナ(平板的)な様式にて向き設定するのではなく、トランジスタ(ビット)が垂直に構築される。ビットの個数の増大は、プレーナ法と比し少なめの処理工程、緩やかなリソグラフィサイズ、並びに低めの製造コストで以て達成することができる。
【0007】
3D NANDはホール(孔)付の諸層を有している。半導体製造業者は、通常、それらのチャネルホールからなるロー(行)のうち何れに欠陥があるのかを懸念する。欠陥がホールにありチャネルに近めであると、より問題含みとなりうる。多くの検査システムは分解能不足であり、欠陥がどこに所在しているのかを特定することができない。改善された半導体ウェハ検査システムを求める需要が、垂直半導体デバイス、例えば3D NANDメモリその他の垂直スタックの実装との関連で存在している。従来は画像ベーススーパーセル(IBS)等の方法を用い、3D NAND構造上の欠陥を見つけるようにしていた。しかしながら、IBSでは、通常、局所的及び大域的なグレイレベル(GL)変動を扱えず、仕分け過誤が入り込むこととなっていた。その結果はノイズに影響されうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許出願公開第2017/0167862号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そのため、改善された欠陥検出方法及びシステムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1実施形態では方法が提供される。本方法では、プロセッサにて画像を受け取る。その画像は半導体ウェハの三次元構造のものであり、広帯域プラズマ検査システムにより生成することができる。そのプロセッサを用いその画像の一次元射影を生成することで一次元曲線が形成される。そのプロセッサを用いその画像の一次元曲線をもとにマスクが生成される。そのプロセッサを用いそのマスクで以てその画像上の欠陥が検出される。そのプロセッサを用いそれら欠陥のロケーションベースビニング(所在個所依拠ビン分け)が実行される。
【0011】
その三次元構造を三次元NAND構造とすることができる。
【0012】
そのマスクの生成に際し、そのプロセッサを用いその一次元曲線の自己相関を実行することで周期を特定することができ、そのプロセッサを用い自己畳込みとその周期の裁定とを実行することでトレンチ(溝)中心を特定することができる。そのトレンチ中心を基準として用いることができる。そのプロセッサを用いそのマスク画像にてトレンチ、エッジホール、トランジションホール及びセンタホール領域を特定することができる。
【0013】
それらの欠陥を、そのマスクのある領域内の画素群の中から検出することができる。それら欠陥の検出に際し、更に、それら欠陥のうち1個の所在個所の周辺にあるパッチを抽出することができる。本方法にて更に、そのプロセッサを用い近隣のトレンチ中心までの距離を特定することができる。そのロケーションベースビニングをトレンチ中心までの距離とすることができる。
【0014】
そのロケーションベースビニングにより、チャネルホールからなる様々なロー上の諸欠陥を対応するビンへと仕分けることができる。
【0015】
非一時的コンピュータ可読媒体に、第1実施形態の方法を実行せよとプロセッサに命令するよう構成されているプログラムを、格納することができる。
【0016】
第2実施形態ではシステムが提供される。本システムは、半導体ウェハを保持するよう構成されたステージと、そのステージ上の半導体ウェハに光ビームを差し向けるよう構成された光源と、そのステージ上の半導体ウェハからの反射光を受光するよう構成された検出器と、その検出器と電子通信するプロセッサとを有する。その光源を広帯域プラズマ光源とすることができる。その検出器は、その半導体ウェハの画像を受け取り、その画像の一次元射影を生成することで一次元曲線を形成させ、その画像の一次元曲線をもとにマスクを生成し、そのマスクで以てその画像上の欠陥を検出し、且つそれら欠陥のロケーションベースビニングを実行するよう、構成される。
【0017】
そのマスクの生成に際し、その一次元曲線の自己相関を実行することで周期を特定することができ、自己畳込みとその周期の裁定とを実行することでトレンチ中心を特定することができる。
【0018】
そのトレンチ中心を基準として用いることができる。そのマスク画像にてトレンチ、エッジホール、トランジションホール及びセンタホール領域を特定することができる。
【0019】
それらの欠陥を、そのマスクのある領域内の画素群のなかから検出することができる。それら欠陥の検出に際し、更に、それら欠陥のうち1個の所在個所の周辺にあるパッチを抽出することができる。本方法にて更に、近隣のトレンチ中心までの距離を特定することができる。そのロケーションベースビニングをトレンチ中心までの距離とすることができる。
【0020】
そのロケーションベースビニングにより、チャネルホールからなる様々なロー上の諸欠陥を対応するビンへと仕分けることができる。
【0021】
本件開示の性質及び目的についてのより遺漏なき理解のためには、後掲の詳細記述と併せ、以下の添付図面を参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】3D NAND構造の例示図である。
図2A】フレーム画像が描かれている図である。
図2B図2Aに対応する水平射影が描かれている図である。
図2C図2Aに対応するマスク画像が描かれている図である。
図3】本件開示に係る方法実施形態のフローチャートである。
図4】計画的な見逃し欠陥の例が描かれている図である。
図5】本件開示の方法実施形態とIBSとを比べるヒストグラムが描かれている図である。
図6】本件開示に係るシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
特定の諸実施形態により特許請求の範囲記載の主題につき記述するが、本件開示の技術的範囲内には、本願中で説明される諸利益及び諸特徴が全ては提供されない諸実施形態を含め、他の諸実施形態も存在している。本件開示の技術的範囲から離隔することなく様々な構造的、論理的、処理ステップ的及び電子的改変を施すことができる。従って、本件開示の技術的範囲は専ら別項の特許請求の範囲への参照によって定まる。
【0024】
広帯域プラズマ(BBP)検査システム、レーザ検査システムその他の光学検査システムを、3D NAND欠陥検出に用いることができる。感度を向上させるため、半導体製造業者にて、専ら同じ領域内の欠陥全てを報告するのに代え、トレンチ上に所在する欠陥と、チャネルホールからなる様々なロー上に所在するそれらとを、区別することが必要とされることがありうる。トレンチ付近のホールを見逃すことの方が、通常はトレンチ上の粒子を見逃すことより大きな衝撃であるし、センタホールはダミーホールであって一般に他のホールほど肝要でない。
【0025】
本願開示の諸実施形態によれば、アプリオリ(先験的)情報(例.周期性、対称性等)の使用により、オートフォーカス(自動合焦)問題及びGL変動の影響を克服することができる。裁定法を実施することで、トレンチ所在個所の識別を正確化することができる。フレーム横断的借入論理を用いることで、大域的GL変動を許容化することができる。画像画素を、それらからトレンチ中心までの距離に基づきセグメント化することができる。個別感度を、欠陥検出のため各セグメント化に適用することができる。欠陥所在個所からトレンチ中心までの距離を、そのレシピにおける欠陥ビニングのため計算することができる。IBSと比べ、本願開示の諸実施形態はウェハプロセス変動及びノイズに対しロバスト(頑健)であり、しかも幾ばくかのオートフォーカス問題を許容化することができる。仕分け純度もIBSより良好とすることができる。IBSでは近隣画素に依拠し画像を仕分けるので、局所的グレイレベル変動がビニング性能に影響することとなる。本願開示の諸実施形態ではケアエリア(注意エリア)全体、即ちよりロバストであり局所的変動を許容化しうるところの画素が用いられる。
【0026】
3D NAND構造画像の例が、様々なフィーチャと併せ図1に示されている。諸ビンが描かれており、ビン0が背景を表している。ホールの各ローは100nm~200nm高とすることができる。3D NAND画像は、通常、水平方向においては均一に近い一方、垂直方向においては周期的且つ対称的であり、そのことが図2A中のフレーム画像に示されている。図2A中の画像は、BBP検査システムその他の検査システムにより提供することができる。図2A中の画像の水平射影を用いることで、図2Bに示されている通り周期的且つ対称的な曲線を作り出すことができ、それにより図2Cのマスク画像がもたらされる。この構造では欠陥検出の複雑性が増しかねない。本願開示の諸実施形態を用い、相互相関を助力としてそのピッチ及びトレンチ中心を識別することができる。画像画素を、それらからトレンチ中心までの距離に基づきセグメント化することができる。個別感度を、欠陥検出のため各セグメント化に適用することができる。欠陥所在個所からトレンチ中心までの距離を、定量的な欠陥ビニングのため計算することができる。
【0027】
図3は方法100のフローチャートである。方法100の諸ステップのうち幾つか又は全てにてプロセッサを用いることができる。
【0028】
方法100では画像101が用いられる。画像101は半導体ウェハの三次元構造、例えば3D NAND構造のものである。その画像の例、例えば図1に示されているそれは、電子ビーム式検査システムその他の種類の検査システムから得ることができる。
【0029】
102では、その画像、例えば図2Aに示されているそれの一次元射影を生成することで、一次元曲線、例えば図2Bに示されているそれが形成される。その一次元射影においてはある方向に沿い全画素が積算されているので、それをもとにグレイレベル分布を特定することができる。その一次元曲線はその一次元射影のグレイレベルを表している。
【0030】
ある例によれば、本アルゴリズムに従い、その画像においてトレンチに対し平行な全ての画素につきグレイレベルの平均を求めることで、その一次元射影を生成することができる。その一次元射影を、平均値出力を用い一次元曲線へと変換することができる。各ローは平均値出力を1個ずつ有している。全てのローからの値により、その一次元曲線を形成することができる。
【0031】
103では、その一次元曲線の自己相関を実行することで周期が特定される。自己相関関数の一例にEq.6中のものがある。一次元曲線の自己相関により、ユニークなトレンチ・ホールピッチの周期長を特定することができる。一次元曲線の自己相関により、トレンチ中心の候補を提供することもできる。
【0032】
ある例によれば、自己相関により原プロファイルからオフセットプロファイルまでのピッチが特定される。その原プロファイルを一次元射影プロファイルとすることができる。そのオフセットプロファイルをプロファイルR[k]とすることができる。ピーク値を調べピークトゥピーク値を特定することができる。これには正規化相互相関(NCC)を含めることができる。
【0033】
104では、自己畳込みとその周期の裁定とを実行することでトレンチ中心が特定される。裁定法を用いることで、それら候補がトレンチ中心であるのかセンタホールローであるのかを判別することができる。例えば、プロファイルを裏返して、自己畳込み中にトレンチ中心を見つけることができる。裁定では暗又は明ピークを中心として用いることができ、またそれを半導体製造業者からの情報に基づき行うことができる。例えば、ユーザが、ユーザインタフェースにて暗ピーク又は明ピークを選択することができる。
【0034】
自己相関103及び自己畳込み104の一例を提供する。個々のn∈Zでx[n]=x[n+T]となる正の整数Tが存在していれば、実数値離散信号x[n]はT周期性である。個々のn∈Zでx[n]=x[M-n]となる整数Mが存在していれば、その信号x[n]はM対称性である。この場合、M/2は対称中心の一つであり、必ずしもユニークではない。
【0035】
信号がT周期性且つM対称性であれば、それは(M+jT)対称性でもある;但しjは任意の整数である。一定整数jでは全てのn∈Zでx[n]=x[M-n]=x[M+jT-n]となる。そのためx[n]も(M+jT)対称性である。これは、周期的且つ対称的な信号内に、半サイクル間隔で以て一連の対称中心が含まれることを意味している。
【0036】
離散信号x[n]に係るラグkでの自己相関関数は、
【数1】
と定義することができる。離散信号x[n]に係るラグkでの自己畳込み関数は、
【数2】
と定義することができ、これはx[n]とその反転x[-n]との相互相関であると見ることができる。従って以下の諸等式が成り立つ。
【数3】
x[n]がM対称性であれば、Vx[k]がk=Mにて大域的最大値に達する。Eq.3
(x[n])(x[k-n])=1/2・(x[n]+x[k-n]-(x[n]-x[k-n])) (Eq.3)
が用いられるときには、何れのkでもV[k]はV[M]を上回りえない。このことがEq.4に示されている。
【数4】
そのため、その信号の対称中心を、それ自体の自己畳込み関数におけるピークをもとに特定することができる。
【0037】
x[n]がT周期性且つM対称性であれば、自己畳込み関数V[k]は個々のj∈Zでk=M+jTにて大域的最大値に達する。これを三次元構造に係るピッチ検出に用いることができる。
【0038】
周期及びトレンチ中心が識別されたら、106にて、その画像の一次元曲線をもとにマスク画像、例えば図2C中のそれが生成される。このマスク画像は、所定幅のトレンチエリア及び各ホール領域に依拠するものとすることができる。即ち、そのトレンチ中心を基準として用いることができる。図1に示されている通り、そのマスク画像においてトレンチ、エッジホール、トランジションホール及びセンタホール領域を特定することができる。図1ではトランジションホール及びセンタホールが破線で以て括られている。エッジホールはトレンチに最も近い外側ローをなす一群のホールであり、センタホールは中央にある一群のホールであり、トランジションホールはエッジホール・センタホール間にある。ある例によれば、トレンチ中心が特定された後に、一周期内で、感度閾値に基づきそのトレンチ中心を諸サブ領域へとセグメント化することで、そのマスク画像が生成される。
【0039】
ある例によれば、半導体製造業者が、その半導体構造その他のデザインを踏まえ、そのマスクの様々な領域における感度を指定することができる。即ち、そのマスクにて、諸画素からなる領域を、具体的な感度と結び付けて示すことができる。半導体製造業者は、各サブ領域にて相独立な閾値が用いられうるよう、サブ領域毎にBBP検査システム上での感度を設定することができる。
【0040】
101の画像の諸画素を、個別セグメント化の検出のため、106のマスクに依拠しセグメント化することができる。
【0041】
107ではそのマスクで以てその画像上の欠陥が検出される。例えば、そのマスクのある領域内の諸画素のなかから所望感度で以て欠陥を検出することができる。それら欠陥の検出に際し、それら欠陥のうち1個の所在個所の周辺にあるパッチを抽出することができる。ある例によれば、そのパッチサイズが、BBP検査システム向けの32×32画素とされる。欠陥から近隣トレンチ中心までの距離を特定することができる。トレンチ中心が計算された後、欠陥毎に、欠陥ピーク所在個所を見つけることもできる。距離はそれら二値間の差分である。その距離を欠陥ビニングに用いることができる。ある例によれば、パッチ差分画像における局所的最大点により欠陥を表すことができる。
【0042】
108では欠陥所在個所を計算することができる。109では、分布に基づきロケーションベースビニングを実行することができる。そのロケーションベースビニングの結果をヒストグラム、例えば図3に示されているそれへと転化させることができる。ある例によれば、トレンチ中心までの距離に対する欠陥の分布が最終的なビニング結果とされる。それを用い注目欠陥の所在個所を特定することができる。
【0043】
その動作を以下の例に従い詳述する。x[n]を実数値離散信号とする。個々の
【数5】
でx[n]=x[n+T]となる正の整数Tが存在していればこれはT周期性であり、個々の
【数6】
でx[n]=x[M-n]となる整数Mが存在していればこれはM対称性である。この場合、M/2は対称中心のうち一つである(必ずしもユニークではない)。信号がT周期性且つM対称性であることは確認可能である。それは個々の
【数7】
で(M+jT)対称性でもある。結果として、周期的且つ対称的な信号内には、半周期間隔で以て一連の対称中心が含まれる。
【0044】
自己相関及び自己畳込みとの関わりでは、相互相関関数を用いその周期性及び対称性を検出することができる。注記されることに、周期的且つ対称的な信号であれば、それ自体と複数周期毎に重なることとなる。従って、その信号とそれ自体との相互相関関数が、一周期間隔で以て一連の点にて最大値に達することとなる。この種の相互相関関数のことを自己相関関数と呼ぶ。更に、その信号は、それを反転したものとも複数周期毎に重なることとなる。即ち、信号とそれを反転したものとの相互相関関数に一連のピークが含まれることとなり、そのそれぞれが原信号の対称中心に対応している。この種の相互相関関数が自己畳込み関数として定義される。要するに、その周期性及び対称性を、それぞれその自己相関関数及び自己畳込み関数をもとに判別することができる。
【0045】
その射影データがx[0],x[1],…,x[N‐1]により与えられるとする。その平均及び分散を、Eq.5に従い以下の通り定義することができる。
【数8】
【0046】
正のラグkにおける自己相関及び自己畳込みの推定値を、Eq.6を用い得ることができる。
【数9】
【0047】
負のラグkに関する式も同様に定義することができる。Eq.7を用い自己相関関数R[k]及び自己畳込み関数V[k]を正規化するのが好都合であろう。
[k]=R[k]/σ,ν[k]=V[k]/σ (Eq.7)
【0048】
自己相関及び自己畳込みなる語でその正規化版を表すことがありうる。
【0049】
その周期性及び対称性を、自己相関関数及び自己畳込み関数をもとに推論することができる。まず、所与閾値より高い全てのピークを見つけることができる。その上で、そのピッチを、それらピークの平均間隔として識別することができる。
【0050】
ピッチTが得られたら、更にトレンチ中心を特定することができる。自己畳込み関数のピークがm<m<…<mL-1にて生ずるとする。ウェハノイズの存在が原因で、予期されるピークのうち幾つかが見逃されることがある。Mとして、
【数10】
が幾つかの未知な
【数11】
に関し成り立つものを、見つけることができる。従って、M,j,…,jL-1
に関する以下の最適化問題となる。
【数12】
【0051】
一般性を損ねることなく、Mを[-T/2,T/2)の範囲内に制約することができる。問題たるEq.8の最適解Mは、以下の候補集合
【数13】
に属するものでありうる;但し
【数14】
であり、Δ=T/Lであり、またq∈[0,T)がTに対するmの剰余である。従って、その候補集合を対象とした目的関数の値を比較し、そのミニマイザMを見つけることができる。
【0052】
3D NAND画像に示されている通り、明中心であれ暗中心であれ、トレンチ中心については半ピッチ曖昧性が現れうる。正しいトレンチ中心を特定するには裁定が必要であろう。射影データのみをもとにトレンチ極性を判別するのは難しかろう。裁定には少なくとも三通りのやり方がある。一つ目は、観測で得られた輝度を用いるものである。二つ目は、通常はホール領域が多めのウェハノイズを有していることを踏まえて水平分散を用いるものである。三つめは、ウェハパターンとマッチさせるべくテンプレートを予め定めておくものである。層対層、ウェハ対ウェハ及びダイ対ダイの変動が存在しうるので、裁定法を経験的に選択して個々別々の層に適用するとよい。
【0053】
得られたトレンチ中心を基準として用いることができる。トレンチ、エッジホール、トランジションホール及びセンタホール領域を、そのマスク画像にて相応比率で以て反復的に1個ずつ満たすことができる。そのマスク画像を用い、セグメント化マルチダイ自動閾値処理(MDAT)検出を実行することで、セグメント化毎に欠陥を検出することができる。
【0054】
大域的GL変動が存在しているときには、幾つかのフレームにて、ピッチ及びトレンチ中心の誤りに煩わされることがある。借入論理を実施することで、他のフレームからピッチ値及びトレンチ中心値が得られるようにするとよい。そうすれば、周期及びトレンチ中心の値を近隣フレームから借り入れることが可能となる。その借入に際してはフレーム対フレームオフセットを考慮した方がよい。
【0055】
実験的に、BBP検査システムを用いウェハを対象にして方法100を試験した。性能をIBSと比較した。図4に示されている通り、そのウェハ上には計画的な(プログラミングされた)ホール見逃し欠陥がある。図4中の各ドットはチャネルホールである。見逃し欠陥がロー1~5に存在しており、図4ではそれらが白抜き円で示されている。目的は、諸欠陥を個別ローから区別することにある。
【0056】
プロトタイプ開発に際しては、ビニングされる欠陥の属性として、欠陥からトレンチ中心までの距離が計算される。図5中のヒストグラムが示すところによれば、本願開示の諸実施形態(「新ビニングアルゴリズム」)では明瞭なカットライン(区切り線)を見つけて二種類の欠陥を仕分けることができるのに対し、IBSを用いると二種類の欠陥の分布間に大きな重複が生じる。そのヒストグラム上のカットラインが明瞭であるため、本願開示の諸実施形態を用いることで全体的なビニング正確性が改善される。
【0057】
ウェハレイアウトについてのアプリオリ情報(例.周期性、対称性等)を用いることで、オートフォーカス問題及びGL変動の影響を克服することができる。本願開示の諸実施形態によれば、チャネルホールからなる様々なロー上の欠陥を対応するビンへと正しく仕分けることができ、半導体製造業者を助けてチューニング感度の増強と欠陥率監視の精密化を達成させることでウェハ歩留まり制御をより良好にすることができる。
【0058】
システム200の一実施形態が図6に示されている。本システム200は光学ベースサブシステム201を有している。大略、光学ベースサブシステム201は、試料202に光を差し向け(或いはその上を光で走査し)その試料202からの光を検出することで試料202に係る光学ベース出力を生成するよう、構成されている。ある実施形態によれば、試料202にウェハが包含される。そのウェハには、本件技術分野で既知なあらゆるウェハが包含されうる。別の実施形態によれば、試料202にレティクルが包含される。そのレティクルには、本件技術分野で既知なあらゆるレティクルが包含されうる。
【0059】
図6に示されている実施形態のシステム200では、光学ベースサブシステム201が、試料202に光を差し向けるよう構成された照明サブシステムを有している。この照明サブシステムは少なくとも1個の光源を有している。例えば、図6に示されている通り、照明サブシステムは光源203を有している。ある実施形態によれば、照明サブシステムが一通り又は複数通りの入射角、例えば一通り又は複数通りの斜め角及び/又は一通り又は複数通りの直交角を含む入射角にて試料202に光を差し向けるよう、構成される。例えば、図6に示されている通り、光源203からの光が、光学素子204、次いでレンズ205を介し、ある斜め入射角にて試料202に差し向けられる。この斜め入射角には何れの好適な斜め入射角を含めることもでき、またそれを、例えば試料202の特性により変えることもできる。
【0060】
光学ベースサブシステム201は、別々の時点では別々の入射角にて試料202に光を差し向けるよう、構成することもできる。例えば、光学ベースサブシステム201を、照明サブシステムに備わる1個又は複数個の素子の一通り又は複数通りの特性を変化させることで、図6に示されているそれとは異なる入射角にて試料202に光を差し向けうるように、構成することができる。その種のある例によれば、光学ベースサブシステム201を、光源203、光学素子204及びレンズ205を動かせるよう、ひいては光を試料202へと別の斜め入射角又は直交(又は近直交)入射角にて差し向けうるよう、構成することができる。
【0061】
幾つかの例によれば、光学ベースサブシステム201を、同時に複数通りの入射角にて試料202に光を差し向けるよう構成することができる。例えば、照明サブシステムに複数個の照明チャネルを設けることができ、それら照明チャネルのうち1個に、図6に示されている通り光源203、光学素子204及びレンズ205を設けることができ、且つそれら照明チャネルのうち別の1個(図示せず)に、それに類する素子群を設けることができ、またそれらを別様にも同様にも構成することができ、或いは少なくとも1個の光源と恐らくは1個又は複数個の他部材、例えば本願詳述のそれらを設けることもできる。そうした光を他方の光と同時に試料へと差し向ける場合、別々の入射角にて試料202に差し向けられる光に備わる一通り又は複数通りの特性(例.波長、偏波等々)を異ならせることで、それら別々の入射角での試料202の照明によりもたらされる光をその検出器(群)にて互いに弁別可能とすることができる。
【0062】
別のある例によれば、照明サブシステムに光源を1個だけ設け(例.図6に示されている光源203)、その光源からの光をその照明サブシステムに備わる1個又は複数個の光学素子(図示せず)により(例.波長、偏波等々に基づき)別々の光路へと振り分けるように、することができる。その後はそれら別々の光路それぞれの光を試料202へと差し向ければよい。複数個の照明チャネルを、光を試料202に同時に差し向けるよう構成してもよいし、別々の時点で差し向けるよう構成してもよい(例.別々の照明チャネルを用い試料を順次照明する際)。別のある例によれば、同一の照明チャネルを、別々の時点では別々の特性で以て試料202に光を差し向けるよう構成することができる。例えば、ある種の例によれば、光学素子204をスペクトルフィルタ(分光フィルタ)として構成し、その分光フィルタの特性を様々なやり方にて(例.その分光フィルタを交換することにより)変化させることで、別々の時点では別々の波長の光を試料202に差し向けうるようにすることができる。照明サブシステムは、別々又は同一の特性を有する光を別々又は同一の入射角にて順次又は同時に試料202に差し向けるのに適し、本件技術分野で既知な、他の何れの構成を有するものともすることができる。
【0063】
ある実施形態によれば、光源203を、BBP光源を有するものとすることができる。こうすることで、光源203により生成され試料202に差し向けられる光を、広帯域光を含むものとすることができる。とはいえ、光源には他のあらゆる好適な光源例えばレーザが含まれうる。そのレーザには本件技術分野にて既知であり好適なあらゆるレーザが含まれうるし、本件技術分野にて既知であり好適な何れの波長又は波長群にて光を生成するようにもそのレーザを構成することができる。加えて、そのレーザを、単色又は近単色の光を生成するよう構成することができる。こうすることで、そのレーザを狭帯域レーザとすることができる。光源203を、複数通りのとびとびな波長又は波帯にて光を生成する多色光源を有するものと、することもできる。
【0064】
光学素子204からの光は、レンズ205により試料202上へと集束させることができる。レンズ205は、図6では単一の屈折性光学素子として示されているが、ご理解頂ける通り、実際には、レンズ205を複数個の屈折性及び/又は反射性光学素子が備わるものとし、それらの協働でその光学素子から試料へと光が集束されるようにすることができる。図6に示され本願にて記述されている照明サブシステムには、他の何れの好適な光学素子(図示せず)も設けることができる。そうした光学素子の例には、これに限られるものではないが偏向部材(群)、分光フィルタ(群)、空間フィルタ(群)、反射性光学素子(群)、アポダイザ(群)、ビームスプリッタ(群)(例えばビームスプリッタ213)、アパーチャ(群)等があり、これには本件技術分野にて既知であり好適なあらゆる類種光学素子が含まれうる。加えて、光学ベースサブシステム201を、光学ベース出力を生成するのに用いられる照明の種類に基づき照明サブシステムの諸素子のうち1個又は複数個を改変するよう、構成してもよい。
【0065】
光学ベースサブシステム201に、光で試料202上を走査させるよう構成された走査サブシステムを設けることもできる。例えば、光学ベースサブシステム201に、光学ベース出力生成時に試料202が載置されるステージ206を設けることができる。その走査サブシステムを、何らかの好適な機械及び/又はロボットアセンブリ(ステージ206を有するもの)を有するものとすることができ、試料202を動かせるようそのアセンブリを構成することができ、ひいては光でその試料202上を走査可能とすることができる。これに加え又は代え、光学ベースサブシステム201を、その光学ベースサブシステム201に備わる1個又は複数個の光学素子により試料202上での幾ばくかの光走査が実行されうるように、構成してもよい。光による試料202上の走査は、例えば蛇状路沿い或いは螺旋路沿い等、何れの好適な様式で行ってもよい。
【0066】
光学ベースサブシステム201は、更に、1個又は複数個の検出チャネルを有している。その1個又は複数個の検出チャネルのうち少なくとも1個が検出器を有しており、その検出器が、そのサブシステムによる試料202の照明の結果その試料202からもたらされる光を検出するよう、且つその検出光に応じ出力を生成するよう、構成されている。例えば、図6に示されている光学ベースサブシステム201は2個の検出チャネルを有しており、そのうち1個が集光器207、素子208及び検出器209により、もう1個が集光器210、素子211及び検出器212により形成されている。図6に示されている通り、それら2個の検出チャネルは、別々の集光角にて光を集め検出するよう構成されている。ある種の例では、両検出チャネルが、散乱光を検出するよう構成され、またそれら検出チャネルが、試料202から別々の角度で散乱されてきた光を検出するよう構成される。とはいえ、検出チャネルのうち1個又は複数個を、試料202からの別種の光(例.反射光)を検出するよう構成してもよい。
【0067】
図6に詳示されている通り、両検出チャネルは図上で紙面内に位置しており、照明サブシステムも図上で紙面内に位置している。即ち、本実施形態では、どちらの検出チャネルも入射面内に配置(例.芯決め)されている。とはいえ、検出チャネルのうち1個又は複数個を入射面外に配置することもできる。例えば、集光器210、素子211及び検出器212により形成されている検出チャネルを、入射面外に散乱された光を集め検出するよう構成することができる。こうした検出チャネルは従って「サイド」チャネルと通称することができ、そうしたサイドチャネルを入射面に対し略垂直な平面内で芯決めすることができる。
【0068】
図6に示す実施形態の光学ベースサブシステム201は2個の検出チャネルを有しているが、光学ベースサブシステム201が別の個数の検出チャネル(例.単一の検出チャネル又は2個以上の検出チャネル)を有していてもよい。その種のある例によれば、集光器210、素子211及び検出器212で形成されている検出チャネルが上述の如く1個のサイドチャネルを形成する一方で、入射面の逆側に位置する別のサイドチャネルとして形成される付加的な検出チャネル(図示せず)を、その光学ベースサブシステム201に設けることができる。その場合、光学ベースサブシステム201に、集光器207、素子208及び検出器209を有する検出チャネルを設け、試料202の表面に直交し又はそれに近い(複数の)散乱角にて光を集め検出するようその検出チャネルを入射面内で芯決めし且つ構成することもできる。この検出チャネルは従って「トップ」チャネルと通称することができ、またその光学ベースサブシステム201に上述の如く構成された2個以上のサイドチャネルを設けることもできる。即ち、光学ベースサブシステム201を、少なくとも3個のチャネル(即ち1個のトップチャネルと2個のサイドチャネル)を有するものとし、それら少なくとも3個のチャネルそれぞれを、自身の集光器を有するものとし、そのそれぞれを、他の集光器の何れとも異なる散乱角の光を集めるよう構成することができる。
【0069】
更に上述の通り、光学ベースサブシステム201内の各検出チャネルを、散乱光を検出するよう構成することができる。従って、図6に示されている光学ベースサブシステム201を、試料202に係る暗視野(DF)出力の生成用に構成することができる。とはいえ、それに加え又は代えて、光学ベースサブシステム201に、試料202に係る明視野(BF)出力の生成用に構成された検出チャネル(群)を設けることもできる。言い換えれば、光学ベースサブシステム201に、試料202から鏡面反射されてきた光を検出するよう構成された少なくとも1個の検出チャネルを、設けることができる。従って、本願記載の光学ベースサブシステム201は、DF単独、BF単独又はDF・BF両者での撮像用に構成することができる。各集光器が図6では単一の屈折性光学素子として示されているが、ご理解頂ける通り、各集光器が、1個又は複数個の屈折性光学ダイ及び/又は1個又は複数個の反射性光学素子を有していてもよい。
【0070】
その1個又は複数個の検出チャネルが、本件技術分野にて既知であり好適な何れの検出器を有していてもよい。例えば、それら検出器のなかに、光電子増倍管(PMT)、電荷結合デバイス(CCD)、時間遅延積分(TDI)カメラその他、本件技術分野にて既知であり好適なあらゆる検出器を含めることができる。それら検出器のなかに、非撮像型検出器も撮像型検出器も含めることもできる。この構成において、それら検出器を非撮像型検出器にする場合、各検出器を、散乱光に備わるある種の特性、例えば強度を検出するよう構成しうるものの、その特性をその撮像面における位置の関数として検出するよう構成することはできない。その場合、その光学ベースサブシステムの各検出チャネル内に設けられている検出器それぞれにより生成される出力は、信号やデータではありえても、画像信号や画像データではありえない。この種の例にて、プロセッサ例えばプロセッサ214を、それら検出器の非撮像出力をもとに試料202の画像を生成するよう構成することもできる。とはいえ、別の諸例に従い、それら検出器を、撮像信号又は画像データを生成するよう構成された撮像型検出器として構成するのでもよい。このように、光学ベースサブシステムは、様々なやり方で光学画像その他、本願記載の光学ベース出力を生成するよう構成することができる。
【0071】
なお、図6を本願に設けたのは、本願記載の諸システム実施形態に組み込むことができ或いは本願記載の諸システム実施形態にて用いられる光学ベース出力を生成することができる光学ベースサブシステム201の構成を、大まかに描出するためである。商用の出力獲得システムを設計する際に通常行われている通り、本願記載の構成を有する光学ベースサブシステム201を、その光学ベースサブシステム201の性能を最適化すべく改変することもできる。加えて、本願記載の諸システムを、既存システムを用い(例.既存システムに本願記載の機能を付加することで)実施することもできる。その種の幾つかのシステム向けに、本願記載の諸方法を、(例.そのシステムの他の機能に加え)そのシステムのオプション的機能として提供することもできる。これに代え、本願記載のシステムを完全に新規なシステムとして設計することもできる。
【0072】
プロセッサ214は、システム200の諸部材に何らかの好適な要領にて(例.1個又は複数個の伝送媒体、例えば有線及び/又は無線伝送媒体を含むそれを介し)結合させることができ、ひいてはそのプロセッサ214にて出力を受け取れるようにすることができる。プロセッサ214は、その出力を用い多数の機能を実行するよう構成することができる。システム200にて、そのプロセッサ214から命令その他の情報を受け取ることができる。プロセッサ214及び/又は電子データ格納ユニット215にて、オプション的に、ウェハ検査システム、ウェハ計量システム又はウェハレビューシステム(描出せず)と電子通信し、付加的な情報を受け取ることや命令を送ることもできる。例えば、プロセッサ214及び/又は電子データ格納ユニット215が走査型電子顕微鏡と電子通信することができる。
【0073】
本願記載のプロセッサ214その他のシステム(群)又はその他のサブシステム(群)は、パーソナルコンピュータシステム、イメージコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、ネットワーク機器、インターネット機器その他のデバイスを初め、様々なシステムの一部分とすることができる。そのサブシステム(群)又はシステム(群)には、本件技術分野にて既知であり好適な何れのプロセッサ、例えば並列プロセッサも設けることができる。加えて、そのサブシステム(群)又はシステム(群)に、スタンドアロンであれネットワーク接続されたツールであれ、高速な処理及びソフトウェアを伴うプラットフォームを設けることができる。
【0074】
プロセッサ214及び電子データ格納ユニット215は、システム200その他のデバイスの一部分とすること、例えばその内部に配置することができる。ある例によれば、プロセッサ214及び電子データ格納ユニット215をスタンドアロン制御ユニットの一部とし、或いは集中品質制御ユニット内に設けることができる。複数個のプロセッサ214又は電子データ格納ユニット215を用いてもよい。
【0075】
プロセッサ214は、実際、ハードウェア、ソフトウェア及びファームウェアのどのような組合せで実施することもできる。また、それの機能であり本願記載のものを、単一ユニットで実行することもでき、複数個の異なる部材間で分かち合うこともでき、それら部材それぞれを翻ってハードウェア、ソフトウェア及びファームウェアのどのような組合せで実施することもできる。プロセッサ214に様々な方法及び機能を実行・実施させるためのプログラムコード又は命令を、可読格納媒体内、例えば電子データ格納ユニット215内メモリやその他のメモリに格納することができる。
【0076】
システム200が複数個のプロセッサ214を有しているのであれば、それら別々なサブシステム同士を結合させることで、画像、データ、情報、命令等々をそれらサブシステム間で送り合えるようにするとよい。例えば、あるサブシステムを付加的なサブシステム(群)にあらゆる好適な伝送媒体により結合させることができ、またその媒体には本件技術分野で既知であり好適なあらゆる有線及び/又は無線伝送媒体を含めることができる。そうしたサブシステムのうち2個以上を、共有型コンピュータ可読格納媒体(図示せず)により実質結合させてもよい。
【0077】
プロセッサ214は、システム200の出力その他の出力を用い多数の機能を実行するよう構成することができる。例えば、プロセッサ214を、その出力を電子データ格納ユニット215その他の格納媒体に送るよう構成することができる。プロセッサ214は、本願記載の諸実施形態の何れに従い構成することもできる。プロセッサ214は、また、システム200の出力を用い、或いは他の源泉からの画像又はデータを用い、他の諸機能又は付加的ステップを実行するよう、構成することもできる。
【0078】
本願開示のシステム200及び諸方法の様々なステップ、機能及び/又は及び動作は、電子回路、論理ゲート、マルチプレクサ、プログラマブル論理デバイス、ASIC、アナログ若しくはディジタルコントローラ/スイッチ、マイクロコントローラ又は情報処理システムのうち1個又は複数個により実行される。諸方法例えば本願記載のそれらを実施するプログラム命令群を、キャリア媒体上で伝送させ又はそれに格納することができる。そのキャリア媒体には格納媒体、例えばリードオンリメモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気若しくは光ディスク、不揮発性メモリ、固体メモリ、磁気テープ等が包含されうる。キャリア媒体には伝送媒体、例えばワイヤ、ケーブル、無線伝送リンク等も包含されうる。例えば、本件開示の随所に記載の諸ステップを、単一のプロセッサ214により実行することも、それに代え複数個のプロセッサ214により実行することもできる。更に、システム200の様々なサブシステムに1個又は複数個の情報処理又は論理システムを組み込んでもよい。従って、上掲の記述は、本件開示に対する限定事項としてではなく、単なる例証として解されるべきである。
【0079】
ある例では、プロセッサ214がシステム200と通信する。プロセッサ214を用いたロケーションベースビニングにより、チャネルホールからなる様々なロー上の欠陥を対応するビンへと仕分けることができる。プロセッサ214は、半導体ウェハの画像を受け取り、その画像の一次元射影を生成することで一次元曲線を形成させ、その画像の一次元曲線をもとにマスクを生成し、そのマスクで以てその画像上の欠陥を検出し、そしてそれら欠陥のロケーションベースビニングを実行するよう構成される。
【0080】
マスクを生成する際に、その一次元曲線の自己相関を実行することで周期を特定することができ、自己畳込みとその周期の裁定とを実行することでトレンチ中心を特定することができる。そのトレンチ中心を基準として用いることができる。トレンチ、エッジホール、トランジションホール及びセンタホール領域を、そのマスク画像において特定することができる。
【0081】
欠陥を、そのマスクのうちある領域内にある画素のなかから検出することができる。欠陥を検出する際、更に、それら欠陥のうち1個の周辺にあるパッチを抽出することができる。近隣トレンチ中心までの距離を欠陥毎に特定することができる。例えば、それを、欠陥、パッチのエッジ、或いはパッチの中央から、近隣トレンチまでの距離とすることができる。ロケーションベースビニングをトレンチ中心までの距離とすることができる。
【0082】
付加的実施形態には、コントローラ上で実行可能なプログラム命令であり本願開示の如く欠陥検出用のコンピュータ実施方法を実行するためのそれを格納している、非一時的コンピュータ可読媒体に関するものがある。具体的には、図6に示されている通り、電子データ格納ユニット215その他の格納媒体のなかに、プロセッサ214上で実行可能なプログラム命令が入っている非一時的コンピュータ可読媒体を含めることができる。そのコンピュータ実施方法は、方法100を初め本願記載の何れの方法(群)の何れのステップ(群)を有するものともすることができる。
【0083】
それらプログラム命令は、就中、手続きベース技術、要素ベース技術及び/又はオブジェクト指向技術を初め、様々なやり方のうち何れで実現することもできる。例えば、それらプログラム命令を、ActiveX(登録商標)コントロール、C++オブジェクト、JavaBeans(登録商標)、Microsoft(登録商標)FoundationClasses(MFC)、ストリーミングSIMDエクステンション(SSE)その他のテクノロジ又は方法論を所望の如く用い実施することができる。
【0084】
本方法の各ステップは本願記載の通り実行することができる。それらの方法に、本願記載のプロセッサ及び/又はコンピュータサブシステム(群)又はシステム(群)により実行できる、他の何らかのステップ(群)を含めることもできる。それらのステップを1個又は複数個のコンピュータシステムにより実行することができ、それを本願記載の諸実施形態の何れに従い構成することもできる。加えて、上述の諸方法を、本願記載の諸システム実施形態のうち何れにより実行することもできる。
【0085】
1個又は複数個の具体的実施形態を基準にして本件開示につき記述してきたが、理解し得るように、本件開示の技術的範囲から離隔することなく本件開示の他の諸実施形態をなすことができる。即ち、本件開示は、添付する特許請求の範囲及びその合理的解釈によってのみ限定されるものと解される。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6