(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】マスクレスリソグラフィの方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20250304BHJP
【FI】
G03F7/20 501
(21)【出願番号】P 2022542384
(86)(22)【出願日】2020-12-28
(86)【国際出願番号】 EP2020087921
(87)【国際公開番号】W WO2021155994
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2023-12-21
(32)【優先日】2020-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ズウェット,アーウィン,ジョン
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/004664(WO,A1)
【文献】特開2005-300804(JP,A)
【文献】特開2006-350034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン形成された放射ビームによって基板を露光させる方法であって、
放射ビームを提供することと、
個別制御可能素子のアレイによって前記放射ビームに付与することと、
傾斜軸を中心として異なる位置間で前記個別制御可能素子を傾斜させることによって、前記放射ビームから、パターン形成された放射ビームを生成することと、
前記パターン形成された放射ビームを基板に向けて投影することと、
前記個別制御可能素子の前記傾斜軸はスキャン方向に実質的に垂直であるところ、前記基板を前記パターン形成された放射ビームに露光させるべく、前記パターン形成された放射ビームを横切って前記スキャン方向で基板をスキャンすることと、を備え
、
前記個別制御可能素子は、前記スキャン方向とは異なる方向に沿って配置された矩形のミラーであり、
前記傾斜軸は、前記ミラーの対角線に沿って配向される、方法。
【請求項2】
前
記アレイのうち1つの
前記個別制御可能素子の傾斜角度の変動は、前記
個別制御
可能素子によって付与されると共に前記基板に向けて投影される前記パターン形成された放射ビームの一部の前記スキャン方向での位置的な変動しか引き起こさない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記個別制御可能素子は、前記
個別制御可能素子によって付与される前記放射ビームの一部を前記基板に向けて投影させるオン位置と、前記
個別制御可能素子によって付与される前記放射ビームの前記一部を前記基板から遠ざかるように投影させるオフ位置と、に位置決めされ得る、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記オン位置における前
記アレイのうち1つの
前記個別制御可能素子の傾斜角度の変動は、前記一部の位置的な変動を引き起こす、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
基板に適用される放射ドーズ量を制御することを更に備える、請求項1に記載の方法であって、
前記放射ビームを所定の経時的なプロファイルに従って変調することであって、前記プロファイルは前記放射ビームの複数の異なる強度レベルを備えることと、
前記傾斜軸を中心として異なる位置間で前記個別制御可能素子を傾斜させることにより、前記パターン形成された変調された放射ビームを生成するように、前
記アレイによって、前記変調された放射ビームに付与することと、
前記パターン形成された変調された放射ビームを前記基板に向けて投影することと、
前記基板を前記パターン形成された放射ビームに露光させるべく、前記パターン形成された放射ビームを横切って前記スキャン方向で前記基板をスキャンし、それによって前記基板の一部を前記パターン形成された変調された放射ビームに露光させることと、を備えており、
前記変調された放射ビームに付与するステップは、
前記基板の前記一部を一連の前記複数の異なる強度レベルに露光させるべく、前記基板の前記一部に必要な放射ドーズ量と前記所定の経時的なプロファイルとに基づいて、前
記アレイのうち1つの
前記個別制御可能素子の傾斜シーケンスを決定することを備える、方法。
【請求項6】
前記一部が露光される、前記一連の前記複数の異なる強度レベルの合計は、前記必要な放射ドーズ量に実質的に対応する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記所定の
経時的なプロファイルの前記複数の異なる強度レベルは、前記所定の
経時的なプロファイルの中心又はその付近で比較的高い強度レベルを有するように配置される、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
パターン形成された放射ビームを基板上に投影するシステムであって、
個別制御可能素子のアレイであって、傾斜軸を中心として異なる位置間で前記個別制御可能素子を傾斜させることによって、放射ビームに付与して、パターン形成された放射ビームを生成するように構成された、アレイと、
基板を保持するように構成されると共に、前記基板を前記パターン形成された放射ビームに露光させるべく、前記パターン形成された放射ビームを横切ってスキャン方向で基板をスキャンするように構成されたステージ装置と、を備えており、
前記個別制御可能素子の前記傾斜軸は、前記スキャン方向に実質的に垂直であ
り、
前記個別制御可能素子は、前記スキャン方向とは異なる方向に沿って配置された矩形のミラーであり、
前記傾斜軸は、前記ミラーの対角線に沿って配向される、システム。
【請求項9】
前
記アレイのうち1つの
前記個別制御可能素子の傾斜角度の変動は、前記
個別制御可能素子によって付与されると共に前記基板に向けて投影される前記パターン形成された放射ビームの一部の前記スキャン方向の位置的な変動しか引き起こさない、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前
記アレイは、2D傾斜ミラーアレイのようなプログラマブルミラーアレイを備える、請求項8又は9に記載のシステム。
【請求項11】
請求項8に記載のシステムであって
、
前記放射ビームを所定の経時的なプロファイルに従って変調するように構成され
た放射ビーム変調器であって、前記プロファイルは前記放射ビームの複数の異なる強度レベルを備える、放射ビーム変調
器を更に備えており、
前
記アレイは、
前記傾斜軸を中心として異なる位置間で前記個別制御可能素子を傾斜させることによって、前記変調された放射ビームに付与して、パターン形成された変調された放射ビームを生成するように構成されており、
前記システムは更に、
基板を保持するように構成されると共に、前記基板を前記パターン形成された放射ビームに露光させ、それによって前記基板の一部を前記パターン形成された変調された放射ビームに露光させるべく、前記パターン形成された変調された放射ビームを横切って前記スキャン方向で前記基板をスキャンするように構成されたステージ装置と、
前記基板の前記一部を一連の前記複数の異なる強度レベルに露光させるべく、前記基板の前記一部に必要な放射ドーズ量と前記所定の経時的なプロファイルとに基づいて、前
記アレイのうち1つの
前記個別制御可能素子の傾斜シーケンスを決定するように構成された制御ユニットと、
を備える、システム。
【請求項12】
請求項8から11の何れか一項に記載のシステムを備える、リソグラフィ装置。
【請求項13】
前記放射ビームを提供するように構成された放射源を更に備える、請求項
12に記載のリソグラフィ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は2020年2月7日に提出された欧州出願第20156258.4号の優先権を主張するものであり、同出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本開示はマスクレスリソグラフィの方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板又は基板の一部に適用する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)、フラットパネルディスプレイ、及び微細なフィーチャを有する他のデバイス又は構造の製造に使用可能である。従来のリソグラフィ装置では、マスク又はレチクルとも称され得るパターニングデバイスを使用して、IC、フラットパネルディスプレイ、又は他のデバイスの個々の層に対応する回路パターンを生成することができる。このパターンは、例えば基板に設けた放射感応性材料(レジスト)層への結像によって、基板(例えばシリコンウェーハ又はガラス板)(の一部)に転写され得る。
【0004】
[0004] 回路パターンの代わりに、パターニングデバイスを使用して、他のパターン、例えばカラーフィルタパターン又はドットのマトリックスを生成することができる。パターニングデバイスは、従来のマスクに代えて、回路又は他の適用可能なパターンを生成する個別アドレス可能素子のアレイを備えるパターニングアレイを備えていてもよい。従来のマスクベースシステムと比較したそのような「マスクレス」システムの利点は、パターンをより迅速に且つより少ないコストで提供及び/又は変更できるということである。
【0005】
[0005] よって、マスクレスシステムは、プログラマブルパターニングデバイス(例えば空間光変調器、コントラストデバイス等)を含む。プログラマブルパターニングデバイスは、個別アドレス可能素子のアレイを用いて所望のパターン形成されたビームを形成するように(例えば電子的又は光学的に)プログラムされる。プログラマブルパターニングデバイスのタイプには、マイクロミラーアレイ、液晶ディスプレイ(LCD)アレイ、回折格子ライトバルブアレイなどが含まれる。
【発明の概要】
【0006】
[0006] マスク又はレチクルの代わりにプログラマブルパターニングデバイスを含むリソグラフィカル装置の性能を向上させることが望ましい。
【0007】
[0007] 本発明の一態様によれば、
放射ビームを提供することと、
個別制御可能素子のアレイによって放射ビームに付与することと、
傾斜軸を中心として異なる位置間で個別制御可能素子を傾斜させることによって、放射ビームから、パターン形成された放射ビームを生成することと、
パターン形成された放射ビームを基板に向けて投影することと、
個別制御可能素子の傾斜軸はスキャン方向に実質的に垂直であるところ、基板をパターン形成された放射ビームに露光させるべく、パターン形成された放射ビームを横切ってスキャン方向で基板をスキャンすることと、
を備える、パターン形成された放射ビームによって基板を露光させる方法が提供される。
【0008】
[0008] 本発明の別の一態様によれば、パターン形成された放射ビームを基板上に投影するシステムが提供され、システムは、
個別制御可能素子のアレイであって、傾斜軸を中心として異なる位置間で個別制御可能素子を傾斜させることによって、放射ビームに付与して、パターン形成された放射ビームを生成するように構成された、アレイと、
基板を保持するように構成されると共に、基板をパターン形成された放射ビームに露光させるべく、パターン形成された放射ビームを横切ってスキャン方向で基板をスキャンするように構成されたステージ装置と、を備えており、
個別制御可能素子の傾斜軸は、スキャン方向に実質的に垂直である。
【0009】
[0009] 本発明の別の一態様によれば、パターン形成された放射ビームを基板上に投影するシステムが提供され、システムは、
個別制御可能素子のアレイであって、傾斜軸を中心として異なる位置間で個別制御可能素子を傾斜させることによって、放射ビームに付与して、パターン形成された放射ビームを生成するように構成された、アレイと、
基板を保持するように構成されると共に、基板をパターン形成された放射ビームに露光させるべく、パターン形成された放射ビームを横切ってスキャン方向で基板をスキャンするように構成されたステージ装置と、
マイクロレンズアレイを備える投影システムと、を備えており、
マイクロレンズアレイは、
放射スポットの第1の二次元パターン及び放射スポットの第1の二次元パターンを基板上に投影するように構成されており、
スキャン方向に垂直な方向の第1の二次元パターンの幅はスキャン方向に垂直な方向の第2の二次元パターンの幅に実質的に対応し、
スキャン方向の第1の二次元パターンの長さはスキャン方向の第2の二次元パターンの長さに実質的に対応し、第1の二次元パターンと第2の二次元パターンとはスキャン方向で互いに離隔している。
【0010】
[0010] 本発明の別の一態様によれば、基板に適用される放射ドーズ量を制御する方法が提供され、方法は、
放射ビームを所定の経時的なプロファイルに従って変調することであって、プロファイルは放射ビームの複数の異なる強度レベルを備えることと、
傾斜軸を中心として異なる位置間で個別制御可能素子を傾斜させることにより、パターン形成された変調された放射ビームを生成するように、個別制御可能素子のアレイによって、変調された放射ビームに付与することと、
パターン形成された変調された放射ビームを基板に向けて投影することと、
基板をパターン形成された放射ビームに露光させるべく、パターン形成された放射ビームを横切ってスキャン方向で基板をスキャンし、それによって基板の一部をパターン形成された変調された放射ビームに露光させることと、を備えており、
変調された放射ビームに付与するステップは、
基板の一部を一連の複数の異なる強度レベルに露光させるべく、基板の一部に必要な放射ドーズ量と所定の経時的なプロファイルとに基づいて、制御可能素子のアレイのうち1つの素子の傾斜シーケンスを決定することを備える。
【0011】
[0011] 本発明の別の一態様によれば、パターン形成された放射ビームを基板上に投影するシステムが提供され、システムは、
個別制御可能素子のアレイであって、傾斜軸を中心として異なる位置間で個別制御可能素子を傾斜させることによって、放射ビームに付与して、パターン形成された放射ビームを生成するように構成された、アレイと、
放射ビームを所定の経時的なプロファイルに従って変調するように構成された放射ビーム変調器であって、プロファイルは放射ビームの複数の異なる強度レベルを備える、放射ビーム変調器と、を備えており、
個別制御可能素子のアレイは、傾斜軸を中心として異なる位置間で個別制御可能素子を傾斜させることによって、パターン形成された変調された放射ビームを生成するべく、変調された放射ビームに付与するように構成されており、
システムは更に、
基板を保持するように構成されると共に、基板をパターン形成された放射ビームに露光させ、それによって基板の一部をパターン形成された変調された放射ビームに露光させるべく、パターン形成された変調された放射ビームを横切ってスキャン方向で基板をスキャンするように構成されたステージ装置と、
基板の一部を一連の複数の異なる強度レベルに露光させるべく、基板の一部に必要な放射ドーズ量と所定の経時的なプロファイルとに基づいて、制御可能素子のアレイのうち1つの素子の傾斜シーケンスを決定するように構成された制御ユニットと、
を備える。
【0012】
[0012] 本発明の別の一態様によれば、パターン形成された放射ビームを基板上に投影するシステムが提供され、システムは、
個別制御可能素子のアレイであって、傾斜軸を中心として異なる位置間で個別制御可能素子を傾斜させることによって、放射ビームに付与して、パターン形成された放射ビームを生成するように構成された、アレイと、
基板を保持するように構成されると共に、基板をパターン形成された放射ビームに露光させるべく、パターン形成された放射ビームを横切ってスキャン方向で基板をスキャンするように構成されたステージ装置と、
パターン形成された放射ビームを受光するように構成された投影システムと、を備えており、
投影システムは、
第1のマイクロレンズアレイと、
第2のマイクロレンズアレイと、
ピンホールアレイと、を備えており、
第1のマイクロレンズアレイは、パターン形成された放射ビームを受光してパターン形成された放射ビームを第2のマイクロレンズアレイ上に投影するように構成されており、
第2のマイクロレンズアレイは、受光したパターン形成された放射ビームを基板上に投影するように構成されており、
ピンホールアレイは、第1のマイクロレンズアレイと第2のマイクロレンズアレイとの間のパターン形成された放射ビームの光路内に配置されており、
ピンホールアレイは、基板上に投影された隣接する放射スポット間のクロストークを制限するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
[0013] 本明細書に組み込まれその一部を形成する添付の図面は、本発明の実施形態を図示すると共に、更に、明細書と併せて本発明の実施形態の原理を説明し、当業者がそれらの実施形態を作製して使用できるようにする働きをする。
【0014】
【
図1】[0014] 一実施形態によるリソグラフィ装置の一部の概略側面図を図示する。
【
図2】[0015] 一実施形態によるリソグラフィ装置の一部の概略上面図を図示する。
【
図3】[0016] 一実施形態によるリソグラフィ装置の一部の概略上面図を図示する。
【
図4】[0017] 放射スポットの二次元パターンを概略的に示す。
【
図5】[0018] 放射スポットの規則的二次元パターンを概略的に示す。
【
図6】[0018] 放射スポットの不規則的二次元パターンを概略的に示す。
【
図7】[0019] 制御可能素子の二次元アレイの上面図を概略的に示す。
【
図8】[0020] スキャン方向に実質的に垂直な傾斜軸を有することによって生成される放射スポットの不規則的パターンを図示する。
【
図9】[0021] 放射ドットの第1の二次元パターンと放射ドットの第2の二次元パターンとを備える放射ドットのパターンの上面図を概略的に示す。
【
図10】[0022] 本発明の第3の態様による方法のフローチャートを概略的に示す。
【
図11】[0023] 放射ビームに適用され得るプロファイル又は変調プロファイルを概略的に示す。
【
図12】[0024] Y方向又はスキャン方向に沿って伝搬する放射ビームを概略的に図示する。
【
図13a】[0025] 制御可能素子の傾斜シーケンス及び結果として生じる適用される放射プロファイルの例を概略的に示す。
【
図13b】[0025] 制御可能素子の傾斜シーケンス及び結果として生じる適用される放射プロファイルの例を概略的に示す。
【
図14】[0026] 本発明の第4の態様によるシステムにおいて適用可能な投影システムの一部を概略的に示す。
【0015】
[0027] 次に、添付の図面を参照して、1つ以上の実施形態を説明する。図面中、同じ参照番号は同一の又は機能的に類似の要素を表し得る。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0028] 本明細書においては、リソグラフィ装置、特にマスクレスリソグラフィ装置において使用されるシステム、基板に適用される放射ドーズ量を制御する方法、及びリソグラフィ装置の、種々の実施形態が説明される。マスクレスであるため、例えばIC又はフラットパネルディスプレイを露光させるために従来のマスクは必要とされない。
【0017】
[0029] 一実施形態においては、リソグラフィ装置は高可撓性である。一実施形態においては、リソグラフィ装置は、様々なサイズ、タイプ、及び特性の基板に対してスケーラブルである。よって、リソグラフィ装置は、単一のリソグラフィ装置によって又は大部分が共通のリソグラフィ装置プラットフォームを用いる複数のリソグラフィ装置を用いて、複数の用途(例えばIC、フラットパネルディスプレイ、パッケージング等)を可能にすることができる。
【0018】
[0030]
図1は、一実施形態によるリソグラフィ投影装置100の一部を概略的に図示する。装置100は、パターニングデバイス104と、オブジェクトホルダ106(オブジェクトテーブル、例えば基板テーブルなど)と、投影システム108とを含む。
【0019】
[0031] 一実施形態においては、パターニングデバイス104は、ビーム110にパターンを適用するための放射を変調するために、複数の個別アドレス可能素子102を備えている。一実施形態においては、複数の個別アドレス可能又は制御可能素子102の位置は、投影システム108に対して固定され得る。しかしながら、代替的な配置では、複数の個別アドレス可能又は制御可能素子102は、そのうちの1つ以上を特定のパラメータに従って(例えば投影システム108に対して)正確に位置決めするための位置決めデバイス(図示しない)に接続されてもよい。一実施形態においては、複数の個別制御可能素子は、アレイ、例えば二次元アレイで配置される。一実施形態においては、個別制御可能素子は、ミラーなどの反射要素である。本発明によれば、パターニングデバイスは、パターン形成された放射ビームを生成するべく、例えば放射源によって提供される放射ビームに付与するように構成され得る。一実施形態においては、パターニングデバイス104はプログラマブルミラーアレイを備えていてもよく、プログラマブルミラーアレイの個々のミラーの位置は制御可能である。特に、プログラマブルミラーアレイ、概してパターニングデバイスの、個々のミラーの配向は、個々のミラーを傾斜させることによって調整することができる。
【0020】
[0032] リソグラフィ装置100はオブジェクトホルダ106を備える。この実施形態においては、オブジェクトホルダは、基板114(例えばレジストコートシリコンウェーハ又はガラス基板)を保持するためのオブジェクトテーブル106を備えている。オブジェクトテーブル106は、最大で6自由度(例えばX及び/又はY方向)で移動可能であり得ると共に、所定のパラメータに従って基板114を正確に位置決めするための位置決めデバイス116に接続され得る。例えば、位置決めデバイス116は、基板114を投影システム108及び/又はパターニングデバイス104に対して正確に位置決めし得る。一実施形態においては、オブジェクトテーブル106の移動は、ロングストロークモジュール(粗動位置決め)と、任意選択的にはショートストロークモジュール(微動位置決め)とを備える、位置決めデバイス116によって実現され得る。両モジュールは
図1には明示されていない。類似のシステムが、個別アドレス可能素子102を位置決めするために用いられてもよく、したがって、例えば、個別アドレス可能素子102は最大で6自由度(例えばX及び/又はY方向)で移動可能であり、例えばオブジェクトテーブル106のスキャン方向と実質的に平行な方向でスキャンしたり、任意選択的にはスキャン方向に垂直な方向に進んだり(step)することができる。代替的/追加的には、ビーム110が移動可能であってもよく、その一方でオブジェクトテーブル106及び/又は個別アドレス可能素子102は必要な相対移動を提供するために固定位置を有し得る。そのような配置は、装置のサイズを制限する助けになるであろう。
【0021】
[0033] 例えばフラットパネルディスプレイの製造において適用可能であろう一実施形態においては、オブジェクトテーブル106は静止していてもよく、位置決めデバイス116が、基板114をオブジェクトテーブル106に対して(例えばオブジェクトテーブル上を)移動させるように構成される。例えば、オブジェクトテーブル106には、実質的に一定の速度で基板114全体をスキャンするためのシステムが設けられ得る。その場合、オブジェクトテーブル106には、平坦な最上面に複数の開口が設けられていてもよく、その開口を通じてガスが供給されて、基板114を支持することのできるガスクッションを提供する。これは従来、ガスベアリング機構と称されている。基板114は、基板114をビーム110の経路に対して正確に位置決めすることのできる1つ以上のアクチュエータ(図示しない)を用いて、オブジェクトテーブル106上を移動される。代替的には、基板114は、開口を通るガスの通過を選択的に開始及び停止することによって、オブジェクトテーブル106に対して移動されてもよい。一実施形態においては、オブジェクトホルダ106は基板が巻き取られるロールシステムであってもよく、位置決めデバイス116はロールシステムを回転させて基板をオブジェクトテーブル106上に提供するためのモータであり得る。
【0022】
[0034] 一実施形態においては、本発明によるリソグラフィ装置は、投影システム108(例えば石英、ガラス、プラスチック(例えばCOC)及び/又はCaF2レンズシステム又は光学素子、あるいはそのような材料から作製されたレンズ要素を備える反射屈折システム、あるいはミラーシステム、あるいはポリマの追加の層を有する光学素子(例えばガラス素子)、あるいは例えばポリマ層を用いて非球面に変形されることのできる平面及び球面を備える光学素子)を備えており、この投影システムは、個別アドレス可能素子102によって変調されたパターン形成されたビームを基板114のターゲット部分120(例えば1つ以上のダイ)に投影するために用いられ得る。投影システム108は、パターンが基板114上にコヒーレントに形成されるように、複数の個別アドレス可能素子102によって提供されるパターンを結像し得る。代替的には、投影システム108は二次ソースの画像を投影することができ、複数の複数の個別アドレス可能素子102の素子はそのシャッタとして作用する。
【0023】
[0035] これについて、投影システムは、1つの集束素子、又は複数の集束素子(本明細書においては概してレンズアレイと称される)、例えばマイクロレンズアレイ(MLAとして知られている)又はフレネルレンズアレイを、例えば二次ソースを形成してスポットを基板114上に結像するために、備え得る。一実施形態においては、レンズアレイ(MLAなど)は、少なくとも10個の集束素子、例えば少なくとも100個の集束素子、少なくとも1,000個の集束素子、少なくとも10,000個の集束素子、少なくとも100,000個の集束素子、又は少なくとも1,000,000個の集束素子を備える。一実施形態においては、パターニングデバイスにおける個別アドレス可能素子の数は、レンズアレイにおける集束素子の数に等しいか又はそれよりも大きい。一実施形態においては、レンズアレイは複数の集束素子を備えており、少なくとも1つの集束素子が、個別アドレス可能素子のアレイの個別アドレス可能素子のうち1つ以上と、例えば個別アドレス可能素子のアレイの個別アドレス可能素子のうち1つのみと、又は個別アドレス可能素子のアレイの個別アドレス可能素子のうち2つ以上、例えば3つ以上、5つ以上、10個以上、20個以上、25個以上、35個以上、もしくは50個以上と、光学的に関連付けられる。一実施形態においては、複数の光学素子のうち少なくとも1つの集束素子が、5,000個未満、例えば2,500個未満、1,000個未満、500個未満、又は100個未満の個別アドレス可能素子と光学的に関連付けられる。
【0024】
[0036] 一実施形態においては、レンズアレイは、各々が二次元アレイの複数の個別アドレス可能素子と光学的に関連付けられた2つ以上(例えば1,000個よりも多く、大多数、又はほとんど全て)の集束素子を備える。
【0025】
[0037] 一実施形態においては、パターニングデバイス104は、例えば1つ以上のアクチュエータの使用により、少なくとも基板に接離する方向で移動可能である。パターニングデバイスを基板に接離するように移動できることは、例えば基板又はレンズアレイを移動させずに焦点調整すること(例えば非平坦基板上での局所的な焦点調整)を可能にする。
【0026】
[0038] 一実施形態においては、レンズアレイはプラスチックの集束素子を備え(これは射出成形など作製が容易、及び/又は手頃な値段であり得る)、その場合、例えば、放射の波長は約400nm以上(例えば405nm)である。一実施形態においては、放射の波長は約350nm~500nmの範囲、例えば約375~425nmの範囲から選択される。一実施形態においては、レンズアレイは石英又はガラスの集束素子を備える。
【0027】
[0039] 一実施形態においては、集束素子の各々又は集束素子のうち複数は(例えば1つ以上の非対称面を有する)非対称レンズであり得る。対称は、複数の集束素子の各々について同じであってもよいし、又は複数の集束素子のうち1つ以上の集束素子については複数の集束素子のうち1つ以上の別の集束素子についてと異なっていてもよい。非対称レンズは、楕円形の放射出力を円形の投影スポットに変換すること又はその逆を容易にし得る。
【0028】
[0040] 一実施形態においては、集束素子は、システムに低い開口数(NA)を実現させるべく、放射を焦点から外して基板上に投影するように配置された高いNAを有している。より高いNAのレンズは、入手可能な低いNAのレンズよりも経済的で、より普及しており、及び/又はより良い品質であり得る。一実施形態においては低いNAは0.3以下であり、一実施形態においては0.18,0.15,又はそれよりも小さい。したがって、より高いNAのレンズは、システムの設計NAよりも大きい、例えば0.3よりも大きい、0.18よりも大きい、又は0.15よりも大きいNAを有する。
【0029】
[0041] 一実施形態においては、投影システム108はパターニングデバイス104から分離しているが、そうでなくてもよい。投影システム108はパターニングデバイス108と一体であってもよい。例えば、レンズアレイブロック又はプレートがパターニングデバイス104に取り付けられても(一体であっても)よい。一実施形態においては、レンズアレイは個々の空間的に分離した小型レンズの形態であってもよく、以下でより詳細に述べるように、各小型レンズはパターニングデバイス104の1つ以上の個別アドレス可能素子に取り付けられる(一体である)。
【0030】
[0042] 任意選択的には、リソグラフィ装置は、放射(例えば紫外(UV)放射)を複数の個別アドレス可能素子102に供給するための放射システムを備え得る。一実施形態においては、そのような放射システムは、放射源から放射を受けるように構成された照明システム(イルミネータ)を含む。照明システムは、以下の要素のうち1つ以上を含む。放射送達システム(例えば適当な誘導ミラー)、放射調節デバイス(例えばビームエキスパンダ)、放射の角度強度分布を設定するための調整デバイス(概して、イルミネータの瞳面における強度分布の少なくとも外側及び/又は内側半径範囲(一般的にそれぞれσ-outer及びσ-innerと称される)が調整可能である)、積分器、及び/又はコンデンサ。照明システムを用いて、個別アドレス可能素子102に提供されるであろう放射を、その断面が所望の均一性及び強度分布を有するように調節してもよい。照明システムは放射を複数のサブビームに分割するように配置されてもよく、複数のサブビームは、例えば、各々が複数の個別アドレス可能素子のうち1つ以上に関連付けられ得る。例えば二次元回折格子を用いて、放射をサブビームに分割してもよい。本明細書においては、「放射のビーム」及び「放射ビーム」という用語は、ビームが放射の複数のそのようなサブビームで構成される状況を含むが、これに限られない。
【0031】
[0043] 放射システムは、複数の個別アドレス可能素子102への又は複数の個別アドレス可能素子102による供給用の放射を生成するための放射源(例えばエキシマレーザ)も含み得る。例えば放射源がエキシマレーザであるときには、放射源とリソグラフィ装置100とは別個のエンティティであってもよい。そのような事例では、放射源はリソグラフィ装置100の一部を形成するものとは考えられず、放射は放射源からイルミネータに伝えられる。他の事例において、例えば放射源が水銀ランプであるときには、放射源はリソグラフィ装置100の一体部分であってもよい。
【0032】
[0044] 一実施形態においては、ある実施形態では複数の個別アドレス可能素子102であり得る放射源は、少なくとも5nm、例えば少なくとも10nm、少なくとも50nm、少なくとも100nm、少なくとも150nm、少なくとも175nm、少なくとも200nm、少なくとも250nm、少なくとも275nm、少なくとも300nm、少なくとも325nm、少なくとも350nm、又は少なくとも360nmの波長を有する放射を提供することができる。一実施形態においては、放射は、最大で450nm、例えば最大で425nm、最大で375nm、最大で360nm、最大で325nm、最大で275nm、最大で250nm、最大で225nm、最大で200nm、又は最大で175nmの波長を有する。一実施形態においては、放射は、436nm、405nm、365nm、355nm、248nm、193nm、157nm、126nm、及び/又は13.5nmを含む波長を有する。一実施形態においては、放射はおよそ365nm又はおよそ355nmの波長を含む。一実施形態においては、放射は、例えば365nm、405nm、及び436nmを包含する広帯域の波長を含む。355nmのレーザ源が用いられてもよい。一実施形態においては、放射は約405nmの波長を有する。
【0033】
[0045] リソグラフィ装置100の動作中、放射は、放射システム(照明システム及び/又は放射源)からパターニングデバイス104(例えば複数の個別アドレス可能素子)に入射し、パターニングデバイス104によって変調される。
【0034】
[0046] パターン形成されたビーム110は、複数の個別アドレス可能素子102によって作り出された後、投影システム108を通過し、これがビーム110を基板114のターゲット部分120に集束させる。
【0035】
[0047] 位置決めデバイス116(及び任意選択的には基部136上の位置センサ134(干渉ビーム138を受ける干渉測定デバイス、リニアエンコーダ、又は静電容量センサなど))の助けを借りて、基板114は、例えば様々なターゲット部分120をビーム110の経路内に位置決めするように、正確に移動され得る。使用される場合には、複数の個別アドレス可能素子102用の位置決めデバイスを用いて、例えばスキャンの最中に、ビーム110の経路に対する複数の個別アドレス可能素子102の位置を正確に補正することができる。
【0036】
[0048] 本明細書においては、一実施形態によるリソグラフィ装置100が、基板上のレジストを露光させるように構成されているものとして説明されるが、装置100は、レジストレスリソグラフィにおいて使用されるパターン形成されたビーム110を投影するために用いられてもよい。
【0037】
[0049] リソグラフィ装置100は反射型の(例えば反射型の個別アドレス可能素子を採用する)ものであってもよい。代替的には、装置は、透過型の(例えば透過型の個別アドレス可能素子を採用する)ものであってもよい。
【0038】
[0050] 図示の装置100は、以下のような1つ以上のモードで使用することができる。
【0039】
[0051] 1.ステップモードでは、パターン形成された放射ビーム110全体が1回でターゲット部分120に投影される間、個別アドレス可能素子102及び基板114は基本的に静止状態に維持される(すなわち、単一静的露光)。基板114はその後、別のターゲット部分120がパターン形成された放射ビーム110に露光され得るように、X方向及び/又はY方向にシフトされる。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズが、単一静的露光で結像されるターゲット部分120のサイズを限定する。
【0040】
[0052] 2.スキャンモードでは、パターン放射ビーム110がターゲット部分120に投影される間、個別アドレス可能素子102及び基板114は同期的にスキャンされる(すなわち、単一動的露光)。個別アドレス可能素子に対する基板の速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び画像反転特性によって決定され得る。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズが単一動的露光でのターゲット部分の(非スキャン方向の)幅を限定し、スキャン動作の長さがターゲット部分の(スキャン方向の)長さを決定する。
【0041】
[0053] 3.パルスモードでは、個別アドレス可能素子102は基本的に静止状態に維持され、パターン全体が(例えばパルス放射源によって又は個別アドレス可能素子をパルス化することによって提供される)パルシングを用いて基板114のターゲット部分120に投影される。基板114は、パターン形成されたビーム110に基板114を横切って1本のラインをスキャンさせるように、基本的に一定のスピードで移動される。個別アドレス可能素子によって提供されるパターンは必要に応じてパルスとパルスとの間で更新され、パルスは、基板114上の必要な場所で連続するターゲット部分120が露光されるようにタイミングをとられる。その結果、パターン形成されたビーム110は、基板114のストリップの全部のパターンを露光するように基板114を横切ってスキャンし得るこのプロセスは、ライン毎に基板114全体が露光されるまで繰り返される。
【0042】
[0054] 4.連続スキャンモードでは、基板114が変調された放射のビームBに対して実質的に一定のスピードでスキャンされると共に、パターン形成されたビーム110が基板114を横切ってスキャンし露光させるにつれて個別アドレス可能素子のアレイ上のパターンが更新される点を除き、パルスモードと基本的に同じである。個別アドレス可能素子のアレイ上のパターンの更新に同期された、実質的に均一な放射源又はパルス放射源が用いられ得る。
【0043】
[0055] 上述した使用モードの組み合わせ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
【0044】
[0056]
図2は、基板(例えば300mmウェーハ)と共に使用される一実施形態によるリソグラフィ装置の一部の概略上面図を図示する。
図2に示されるように、リソグラフィ装置100は、基板114を保持するための基板テーブル106を備える。基板テーブル106と関連付けられているのは、基板テーブル106を少なくとも矢印123で図示されるX方向で移動させるための位置決めデバイス116である。任意選択的には、位置決めデバイス116は、基板テーブル106をY方向及び/又はZ方向で移動させ得る。位置決めデバイス116は、基板テーブル106をX方向、Y方向、及び/又はZ方向を中心として回転させることもできる。したがって、位置決めデバイス116は最大で6自由度の運動を提供し得る。一実施形態においては、基板テーブル106はX方向の運動のみを提供する。その利点は、より低いコスト及びより少ない複雑性である。
【0045】
[0057] リソグラフィ装置100は更に、フレーム160上に配置された複数の個別アドレス可能素子102を備える。フレーム160は、基板テーブル106及びその位置決めデバイス116から機械的に隔離され得る。機械的隔離は、例えば、フレーム160を接地すること又は基板テーブル106及び/又はその位置決めデバイス116のフレームとは別個の堅固な基部に接続することによって提供され得る。追加的又は代替的には、フレーム160とフレームが接続される構造物との間に、その構造物が地面であれ、堅固な基部であれ、又は基板テーブル106及び/又はその位置決めデバイス116を支持するフレームであれ、ダンパが提供されてもよい。
【0046】
[0058] この実施形態においては、個別アドレス可能素子102の各々は、放射放出ダイオード、例えばLEDである。簡潔にするため、
図2には、Y方向に沿って延在し(且つX方向に離間した)3行の個別アドレス可能素子102が示されており、各行は、この実施形態においては、基板の幅を横切って延在するのに十分な列を有している。フレーム160上にはより多数の行の個別アドレス可能素子102が配置されてもよい。一実施形態においては、個別アドレス可能素子102の各々は、複数の放射ビームを提供するように構成されている。一実施形態においては、
図2に図示される個別アドレス可能素子102の各々は、複数の個別アドレス可能素子102を備える(よって、
図2において102と標識される各円は、複数の個別アドレス可能素子102を表す)。一実施形態においては、1つ以上の行の個別アドレス可能素子102が、
図2に示されるように、個別アドレス可能素子102の隣接する行からY方向にずらされる。一実施形態においては、個別アドレス可能素子102は実質的に静止状態である。すなわち、投影の最中、それほど又は全く移動しない。
【0047】
[0059] リソグラフィ装置100、とりわけ個別アドレス可能素子102は、本明細書においてより詳細に説明されるように、画素格子結像を提供するように配置されてもよい。しかしながら、一実施形態においては、リソグラフィ装置100は画素格子結像を提供しなくてもよい。むしろ、リソグラフィ装置100は、基板上への投影に対して個々の画素を形成するのではなく基板上への投影に対して実質的に連続画像を形成するように、個別アドレス可能素子102の放射を基板上に投影し得る。
【0048】
[0060]
図2に図示されるリソグラフィ装置100の要素150は、アライメントセンサ、レベルセンサ、又はその両方を備え得る。例えば、一実施形態においては、リソグラフィ装置100はアライメントセンサ150を備える。アライメントセンサは、基板114と、例えば基板114の露光の前及び/又は最中の個別アドレス可能素子102との間のアライメントを判定するために用いられる。アライメントセンサ150の結果は、リソグラフィ装置100のコントローラによって、例えば、アライメントを向上させるように基板テーブル106を位置決めするべく位置決めデバイス116を制御するために用いられ得る。追加的又は代替的には、コントローラは、例えば、センサ150からの信号に応答して、個別アドレス可能素子102と関連付けられた位置決めデバイスを、個別アドレス可能素子102のうち1つ以上を位置決めして(例えば、要素102のうち1つ以上を1つ以上の他の要素102に対して位置決めすることを含む)アライメントを向上させるように、及び/又は、センサ150からの信号に応答して、個別アドレス可能素子102と関連付けられたデフレクタを、ビームのうち1つ以上を位置決めして(例えば、ビームのうち1つ以上を1つ以上の他のビームに対して位置決めすることを含む)アライメントを向上させるように、制御し得る。一実施形態においては、アライメントセンサ150は、アライメントを実施するためにパターン認識機能/ソフトウェアを含み得る。
【0049】
[0061] 一実施形態においては、リソグラフィ装置100は、追加的又は代替的に、レベルセンサ150を備える。レベルセンサ150は、基板106が個別アドレス可能素子102からのパターンの投影に水平であるかどうかを判定するために用いられる。レベルセンサ150は、基板114の露光の前及び/又は最中に水平を判定することができる。レベルセンサ150の結果は、リソグラフィ装置100のコントローラによって、例えば、レベリングを向上させるように基板テーブル106を位置決めするべく位置決めデバイス116を制御するために用いられ得る。追加的又は代替的には、コントローラは、例えば、センサ150からの信号に応答して、投影システム108(例えばレンズアレイ)と関連付けられた位置決めデバイスを、投影システム108の要素を位置決めして(例えばレンズアレイのレンズ又はより小さなレンズアレイであって、例えばレンズアレイのレンズ又はより小さなレンズアレイを、レンズアレイの別のレンズ又は別のより小さなレンズアレイに対して位置決めすることを含む)レベリングを向上させるように制御し得る。一実施形態においては、レベルセンサは、基板106において超音波ビームを投影することによって動作してもよく、及び/又は基板106において放射の電磁ビームを投影することによって動作してもよい。
【0050】
[0062] 一実施形態においては、アライメントセンサ及び/又はレベルセンサからの結果は、個別アドレス可能素子102によって提供されるパターンを変更するために用いられ得る。パターンは、例えば、個別アドレス可能素子102と基板114との間の光学部品(あれば)、基板114の位置決めにおける不規則性、基板114の不均一性等によって生じ得るディストーションを補正するために変更され得る。よって、アライメントセンサ及び/又はレベルセンサからの結果は、非線形ディストーション補正を行うように投影パターンを変更するために用いられ得る。非線形ディストーション補正は、例えば、一貫した線形又は非線形ディストーションを有さないかもしれない可撓性ディスプレイに有用であろう。
【0051】
[0063] リソグラフィ装置100の動作中、基板114は、例えばロボットハンドラ(図示しない)を用いて、基板テーブル106上にロードされる。基板114はその後、フレーム160及び個別アドレス可能素子102の下で、矢印123で示されるX方向で変位される。基板114は、レベルセンサ及び/又はアライメントセンサ150によって測定され、その後、個別アドレス可能素子102を用いてパターンに露光される。例えば、基板114は、基板が移動中であり個別アドレス可能素子102がパターニングデバイス104において少なくとも部分的に又は完全に「オン」又は「オフ」に切り替えられる間に、投影システム108の焦点面(像面)を通じてスキャンされる。パターニングデバイス104のパターンに対応するフィーチャが基板114上に形成される。一実施形態においては、基板114は、正のX方向で全部がスキャンされ、その後負のX方向で全部がスキャンされ得る。そのような一実施形態においては、負のX方向のスキャンのために、個別アドレス可能素子102の反対側に追加的なレベルセンサ及び/又はアライメントセンサ150が必要とされるかもしれない。
【0052】
[0064]
図3は、例えばフラットパネルディスプレイ(例えばLCD、OLEDディスプレイ等)の製造において基板を露光させるための、一実施形態によるリソグラフィ装置の一部の概略上面図を図示する。
図2に示されるリソグラフィ装置100と同様、リソグラフィ装置100は、フラットパネルディスプレイ基板114を保持するための基板テーブル106と、基板テーブル106を最大で6自由度で移動させるための位置決めデバイス116と、個別アドレス可能素子102と基板114との間のアライメントを判定するためのアライメントセンサ150と、基板114が個別アドレス可能素子102からのパターンの投影に水平であるかどうかを判定するためのレベルセンサ150とを備える。
【0053】
[0065] リソグラフィ装置100は更に、フレーム160上に配置された複数の個別アドレス可能素子102を備える。この実施形態においては、個別アドレス可能素子102の各々は、放射放出ダイオード、例えばLEDである。簡潔にするため、
図3には、Y方向に沿って延在する3行の個別アドレス可能素子102が示され、基板の幅をカバーするのに十分な列を有している。フレーム160上にはより多数の行の個別アドレス可能素子102が配置されてもよい。一実施形態においては、個別アドレス可能素子102の各々は、複数の放射ビームを提供するように構成されている。一実施形態においては、
図3に図示される個別アドレス可能素子102の各々は、複数の個別アドレス可能素子102を備える(よって、
図3において102と標識される各円は、複数の個別アドレス可能素子102を表す)。更に、一実施形態においては、多数の行の個別アドレス可能素子102が、
図3に示されるように、個別アドレス可能素子102の1つ以上の隣接する行からY方向にずらされる。リソグラフィ装置100、とりわけ個別アドレス可能素子102は、画素格子結像を提供するように配置され得る。一実施形態においては、個別アドレス可能素子102は実質的に静止状態である。すなわち、投影の最中、それほど移動しない。
【0054】
[0066] リソグラフィ装置100の動作中、パネルディスプレイ基板114は、例えばロボットハンドラ(図示しない)を用いて、基板テーブル106上にロードされる。基板114はその後、フレーム160及び個別アドレス可能素子102の下で、矢印123で示されるX方向で変位される。基板114は、レベルセンサ及び/又はアライメントセンサ150によって測定され、その後、個別アドレス可能素子102を用いてパターンに露光される。1つ以上のレンズを用いて個別アドレス可能素子102からのパターニングビームを基板に投影してもよい。
【0055】
[0067] 上述したように、複数の個別アドレス可能素子102は投影システム108のレンズと光学的に関連付けられる。一実施形態においては、複数の個別アドレス可能素子102からのパターニングビームは、投影システム108の関連するレンズの視野を実質的にカバーする。一実施形態においては、複数の個別アドレス可能素子102は集合的に二次元エミッタアレイを形成し、各アレイは投影システム108の単一のレンズと関連付けられる。そのため、一実施形態においては、複数のエミッタアレイが提供され、各アレイは投影システム108の(XY平面内に延在する)レンズアレイの単一のレンズと関連付けられる。よって、一実施形態においては、単一のレンズが、個別アドレス可能素子102のアレイに対する投影システム108の全部又は一部を形成する。
【0056】
[0068] 従来のリソグラフィでは、マスク又はレチクルには基板上に投影されるべきパターンが設けられる。そのような配置では、マスク又はレチクルは、放射ビームに付与してパターン形成された放射ビームを形成するために用いられる。放射ビームを横切ってマスク又はレチクルを、及びパターン形成された放射ビームを横切って基板を同期的にスキャンすることによって、基板はマスク又はレチクルのパターンに露光される。マスクレスリソグラフィでは、放射ビームは、典型的には個別制御可能素子のアレイ、例えば傾斜させることのできる個別制御可能ミラーによって付与される。素子を個別に傾斜させることによって、パターン形成された放射ビームが生成され得る。基板はそのようなパターン形成された放射ビームを横切ってスキャンされ得る。そのようなスキャンの際、パターン形成された放射ビームのパターンは、基板上に所望のパターンを投影するように継続的に調整され得る。
【0057】
[0069] 本発明は、マスクレスリソグラフィシステム又は装置のための種々の改良を提供する。そうした改良は、例えば、上述のリソグラフィ装置において実装され得る。
【0058】
[0070] 本発明の第1の態様によれば、マスクレスリソグラフィ装置において使用されるシステムが提供され、そのシステムは、傾斜軸を中心として異なる位置間で個別制御可能素子を傾斜させることによって、放射ビームに付与して、パターン形成された放射ビームを生成するように構成された個別制御可能素子のアレイを備える。そのような個別制御可能素子のアレイは、プログラマブルミラーアレイ又は同様のものの一部を形成し得る。
【0059】
[0071] そのような実施形態においては、制御可能素子は例えばミラーであり得る。
【0060】
[0072] 一実施形態においては、アレイは、例えば個別に制御されることが可能なミラーの二次元アレイであり得る。本発明の第1の態様によるシステムは更に、基板を保持するように構成されると共に、基板をパターン形成された放射ビームに露光させるべく、パターン形成された放射ビームを横切ってスキャン方向で基板をスキャンするように構成された、ステージ装置を備える。パターン形成された放射ビームを生成するために、制御可能素子、例えばミラーは、2つの異なる位置に位置決めされ得るように制御され得る。そのような配置においては、制御可能素子は、例えば第1の位置又は第2の位置に至らされてもよく、第1の位置にあるときには、素子は放射ビームの一部を基板に向けて又は投影システムに向けて投影し、第2の位置にあるときには、素子は一部を基板又は投影システムから遠ざかるように投影する。そのような実施形態においては、第1の位置は「オン」位置と称されてもよく、その一方で第2の位置は「オフ」位置と称されてもよい。
【0061】
[0073] 概して、パターン形成された放射ビームは、基板上に投影されると、パターン又は放射スポットをもたらす。全ての制御可能素子が第1の位置に至らされる制御可能素子の二次元アレイの事例では、これは基板上の放射スポットの二次元パターンをもたらすであろう。そのようなパターンが
図4に概略的に示されている。
【0062】
[0074]
図4は、例えば、制御可能素子の二次元アレイを「オン」位置に位置決めすること、及び付与された放射ビームを投影システム又はレンズなどを介して基板上に投影することによって生成され得る、放射スポット400の二次元パターンを概略的に示している。理想的には、x方向の隣接するスポット間の距離xが全てのスポットについて等しく、且つy方向の隣接するスポット間の距離yが全てのスポットについて等しい、放射スポットの規則的な格子パターンが得られるべきである。典型的には、隣接するスポット間の距離x及びyは、放射スポットの直径又は断面よりも大きい。
【0063】
[0075] 基板の各部分又は場所を露光させることができるように、基板は、放射スポットのパターンの下で、放射スポットが配向されているX方向及びY方向から僅かにずれた方向に変位又はスキャンされてもよい。
【0064】
[0076] 特に、
図4に図示されるように、X方向のスポットの数、隣接するスポット間の距離y、及びスポットのサイズに基づいて、各部分又は場所が放射スポットによってスキャンされるようにスキャン方向SDが選択され得る。特に、基板が放射スポットのアレイに対して方向SDに沿ってスキャンされる場合には、線500は放射スポットの軌道を示す。見てわかるように、選択されたスキャン方向によって、基板の全エリアがスキャンされ得る。特に、異なる放射スポットのスキャン軌道は、基板が放射スポット400のアレイを横切ってスキャンされるとき、X方向に間隙のないパターンが得られるようなものとなる。当業者には理解されるであろう通り、制御可能素子の位置を調整すると共に同期させ、それによって素子が「オン」位置にあるのか又は「オフ」位置にあるのか及び基板のスキャン移動を制御することによって、マスクレスな手法で、基板を任意のパターンで照射することができる。
【0065】
[0077] 実用では放射スポットの規則的な格子パターンは実現されないであろうことが、発明者によって観察されている。むしろ、放射スポットは概して所望の又は期待される規則的な格子パターンに対して変位されるであろうことが観察できる。
図5及び6は、放射スポットの不規則的パターンの影響を概略的に示す。特に、
図5は規則的パターンの放射スポット600の詳細なパターンを、スキャン方向SDに沿ったスポットの左行の放射スポット600の対応する軌道610と共に、概略的に示している。
図6は、
図5に示されるのと同じ放射スポット600のパターンを示しており、左行の2つの放射スポットが所望の位置に対して変位されている。具体的には、放射スポット600.1の実際の位置は円620.1によって示される場所にあり、その一方で放射スポット600.2の実際の位置は円620.2によって示される場所にある。放射スポット600.1はこのようにアレイの右上の角に向かって変位され、その一方で放射スポット600.1はアレイの左下の角に向かってずれる位置を有する。これらのずれる位置の結果として、放射スポットの軌道も変位している。特に、放射スポット600.1の軌道610.1は放射スポット600.3の軌道610.3に近づくように移動していることがわかり、その一方で放射スポット600.2の軌道610.2は放射スポット600.4の軌道610.4に近づくように移動していることがわかる。その結果、方向SDに沿ったスキャン動作の際には、放射スポット600.1及び放射スポット600.3によってカバーされるエリアの重複、並びに放射スポット600.2及び放射スポット600.4によってカバーされるエリアの重複があるであろう。そのような重複は、特定の場所に適用される実際の放射ドーズ量に関する不確実性をもたらすので、望ましくない。また、放射スポット600.1及び600.2の軌道の間に間隙が生じており、そのため、方向SDに沿ったスキャン動作の際にどの放射スポットによってもカバーされないであろうエリアが生じることが指摘できる。結果として、基板を所望の放射パターンに露光させることが可能でなくなるかもしれない。
【0066】
[0078]
図6に図示されるように、スポット600.1及び600.2の放射スポット位置で発生するずれは、表示されるX方向及び表示されるY方向の両方の成分を有し、Y方向はスキャン方向に実質的に対応している。
【0067】
[0079] 発生する位置ずれは、既知の制御可能素子のアレイ、例えばプログラマブルミラーアレイ又は同様のものが構築される手法に帰せられ得ることが考案されている。
【0068】
[0080]
図7は、位置が制御可能であり、それによって放射ビームのうち受光された部分の偏向を制御する制御可能素子、特にミラー710の、二次元アレイ700の上面図を概略的に示している。図示される実施形態においては、ミラー700は、X’方向及びY’方向に沿って配置された実質的に矩形のミラーである。基板にパターン形成するために用いられるときには、上述のように、アレイ700は典型的には、例えば
図4,5,及び6に図示されるように、X’方向に沿って配置されたミラーが基板上にX方向に沿ったスポットのアレイを提供するように、及びY’方向に沿って配置されたミラーが基板上にY方向に沿ったスポットのアレイを提供するように、配向される。
【0069】
[0081] ミラー710の位置を変更するためには、ミラーは典型的には傾斜される。典型的には、ミラー、概して制御可能素子の傾斜軸720は、
図7に図示されるように、素子の対角線に沿って配向される。よって、ミラー710.1を第1の位置、例えば「オン」位置に至らせるためには、ミラー710.1は、傾斜軸720を中心として、第1の角度、傾斜される。同様に、ミラー710.1を第2の位置、例えば「オフ」位置に至らせるためには、ミラー710.1は、傾斜軸720を中心として、第1の角度とは異なる第2の角度、傾斜される。「オン」位置においてアレイ700のミラー710が傾斜される傾斜角度は、全てのミラーについて同じではないかもしれないことが観察されている。よって、ミラー710が「オン」位置に位置決めされるときに得られる傾斜角度は異なり得る。その結果、放射ビームのうちミラーによって偏向された部分はずれる方向に偏向され得、基板上に得られるパターン又は放射スポットを、例えば
図6に図示されるように、不規則的なものにする。
【0070】
[0082] そのような不規則的なパターンの悪影響は、スキャン方向に対する制御可能素子710のアレイ700の配向を調整することによって緩和され得ることが、発明者によって推測されている。特に、本発明の第1の態様によれば、個別制御可能素子のアレイを、素子の傾斜軸がスキャン方向に実質的に垂直になるように配置することが提案される。
【0071】
[0083] アレイの個別制御可能素子の傾斜軸を基板のスキャン方向に実質的に垂直になるように配向することによって、制御可能素子の傾斜角度の変動は、スキャン方向での放射スポットのパターンの不規則性しか生じさせないであろう。これは
図8に図示されている。
【0072】
[0084]
図8は、個別制御可能素子の二次元アレイを「オン」位置に位置決めすること、及び付与された放射ビームを例えば投影システム又はレンズを介して基板上に投影することによって生成される、放射スポットのパターン800を図示する。図示されるパターンにおいて、ドット800は放射スポットの規則的な所望のパターンを表す。放射ビームの一部を偏向させる素子の傾斜角度の変動が対応する放射ビームのスキャン方向SDでの変位を引き起こすように個別制御可能素子の傾斜軸が配向されることが、更に推定される。図示される例においては、放射スポット800.1及び800.2を生成する素子の傾斜角度のずれが推定される。特に、放射スポット800.1の実際の位置は円820.1によって示される場所にあり、その一方で放射スポット800.2の実際の位置は円820.2によって示される場所にある。見てわかるように、放射スポット820.1及び820.2の実際の場所は、規則的な格子パターン800と関連する軌道810上に依然として残っており、放射スポット820.1及び820.2は、所望の場所に対して、スキャン方向に沿って変位されるに過ぎない。その結果、
図6に示される例とは対照的に、異なる放射スポットの軌道の位置は変更されない。
【0073】
[0085] よって、
図6を参照して説明した悪影響は、
図8のパターンについては発生しないであろう。
【0074】
[0086] 個別制御可能素子のアレイの傾斜角度をスキャン方向に実質的に垂直になるように配向することによって、個別制御可能素子のアレイの制御可能素子の傾斜角度の変動は、対応する放射スポットのスキャン方向での位置的な変動しか引き起こさないという効果が得られる。
【0075】
[0087] 位置的な変動、例えば位置800.1と820.1との間の差がわかっているのであれば、対応する制御可能素子のタイミング又はタイミングシーケンスを調整することによって、パターン形成又は露光プロセスに対する放射スポットの変位の影響を考慮に入れられることも更に指摘できる。
【0076】
[0088] よって、本発明の第1の態様によるシステムは、以下の特徴を備えることによって特徴付けられ得る。
個別制御可能素子のアレイであって、傾斜軸を中心として異なる位置間で個別制御可能素子を傾斜させることによって、放射ビームに付与して、パターン形成された放射ビームを生成するように構成された、アレイ、
基板を保持するように構成されると共に、基板をパターン形成された放射ビームに露光させるべく、パターン形成された放射ビームを横切ってスキャン方向で基板をスキャンするように構成されたステージ装置、及び
個別制御可能素子の傾斜軸はスキャン方向に実質的に垂直であること。
【0077】
[0089]
図4から8を参照して上述したように、スキャン方向に対する傾斜軸の特定の配向は、所望のパターンに基板をより正確に露光させることを可能にする。
【0078】
[0090] 放射ビームに付与しパターン形成された放射ビームを生成するための個別制御可能素子のアレイの適用に関しては、そのようなアレイは市販されており、例えば、数百行及び数百列の制御可能素子を備え得ることが指摘できる。そのようなアレイが基板を露光させるために適用され、パターン形成された放射ビームがマイクロレンズアレイを用いて基板上に投影される場合、マイクロレンズアレイがアレイの各制御可能素子について対応するレンズ又は小型レンズを有するものと推定すると、多数の利用可能な制御可能素子は、望ましくない大きなマイクロレンズアレイをもたらし得る。よって、本発明の第2の態様によれば、パターン形成された放射ビームを基板上に投影するシステムが提案され、そのシステムは、パターン形成された放射ビームを生成する個別制御可能素子のアレイと、マイクロレンズアレイを備える投影システムとを含む。本発明の第2の態様によれば、個別制御可能素子のアレイの一部のみがパターン形成された放射ビームを生成するために用いられる。そのような一部は、例えば
図4及び8に図示されるように、基板をスキャン方向で、生成された放射スポットのパターンを横切ってスキャンすることによって、基板上に所望のパターンを生成するように適用され得る。このようにして、ステップアンドスキャンアプローチにより、基板上の所望のエリアに所望のパターンが提供され得る。
【0079】
[0091] 制御可能素子のアレイの一部のみが用いられるそのようなアプローチは、露光プロセスのために画素率の低減をもたらす必要がないことが指摘できる。制御可能素子のアレイの一部のみが用いられると、パターン率、すなわち制御可能素子が制御される率は増加し得る。
【0080】
[0092] 本発明の第2の態様の一実施形態においては、パターン形成された放射ビームを基板上に投影するシステムが提供され、そのシステムは、放射スポットの少なくとも2つの二次元パターンを基板上に同時に投影するように構成されている。
【0081】
[0093] そのような実施形態においては、システム、特にシステムのマイクロレンズアレイは、放射スポットの第1の二次元パターン及び放射スポットの第1の二次元パターンを基板上に同時に投影するように構成されていてもよく、パターンはスキャン方向で離間している。
【0082】
[0094] そのような実施形態においては、基板の2つの別々の部分が同時にスキャンされ所望のパターンを提供され得る。
【0083】
[0095] そのような実施形態においては、スキャン方向に垂直な方向の第1の二次元パターンの幅が、スキャン方向に垂直な方向の第2の二次元パターンの幅に実質的に対応するように選択され得る。また、スキャン方向の第1の二次元パターンの長さがスキャン方向の第2の二次元パターンの長さに実質的に対応し得る。
【0084】
[0096]
図9は、基板上に適用され得るそのような放射パターンを概略的に示す。
【0085】
[0097]
図9は、本発明によるシステムを用いて生成され得る放射ドット900のパターンの上面図を概略的に示しており、放射ドット900のパターンは、放射ドットの第1の二次元パターン900.1と放射ドットの第2の二次元パターン900.2とを備えている。パターン900.1及び900.2は、例えば、Y方向の長さLを有し得ると共に、Y方向の長さGを有する間隙によって分離され得る。
【0086】
[0098] パターン900.1及び900.2は、例えば複数の、例えば50から200行の範囲内、例えば100行の、放射ドットの行を備え得る。間隙長さGは、例えば長さLと等しくてもよく、又はLよりも大きく、例えばLの倍数であってもよい。間隙長さGは、例えば長さLの2倍であってもよい。
【0087】
[0099]
図9は更にスキャン方向SDを概略的に示しており、基板はそれに沿って放射ドットのパターン900を横切って変位され得る。パターン900を横切って基板をスキャンすることによって、基板のうちのあるエリアが所望の放射パターンに露光され得る。一実施形態においては、放射パターン900は、2つよりも多くの二次元パターン、例えば5つ以上のパターンを備えていてもよい。パターン900の全長Ltは数cmに及んでもよく、例えば5cmよりも大きく、パターン900の幅Wも数cmに及んでもよく、例えば10cmよりも大きい。
【0088】
[00100] 本発明の第3の態様によれば、基板に適用される放射ドーズ量を制御する方法が提供される。基板がパターンに露光されるとき、特定の場所に適用される放射ドーズ量を正確に制御することは有利であり得、放射ドーズ量は、例えば、ゼロと最大値との間で実質的に継続的に変動し得る。本発明の第3の態様による方法によれば、変調された放射ビームと、変調された放射ビームに付与することのできる個別制御可能素子のアレイとが利用される。
【0089】
[00101] 特に、その方法は、
図10のフローチャートに示される以下のステップを備える。
【0090】
[00102] 第1のステップ1010において、基板に適用される放射ドーズ量を制御する方法は、放射ビームを所定の経時的なプロファイルに従って変調することを備えており、プロファイルは放射ビームの複数の異なる強度レベルを備える。本発明の意味においては、放射ビームを所定の経時的なプロファイルに従って変調することとは、所定の経時的なプロファイル又はパターンに従って放射ビームの強度を変調することを指す。そのような変調は実質的に継続的に繰り返されてもよく、すなわちプロファイル又はパターンは繰り返される。
【0091】
[00103] 第2のステップ1020において、本発明による方法は、傾斜軸を中心として異なる位置間で個別制御可能素子を傾斜させることにより、パターン形成された変調された放射ビームを生成するように、個別制御可能素子のアレイによって、変調された放射ビームに付与することを備える。本発明による方法の第2のステップ1020において、変調された放射ビームはパターン形成された変調された放射ビームに変換され、個別制御可能素子のアレイは、所定の経時的なパターンに従った変調の際に、変調された放射ビームを基板又は投影システムに向けて選択的に偏向させるために用いられる。本発明の第3の態様によれば、制御可能素子のアレイによって、変調された放射ビームに付与するステップ1020は、基板の一部を一連の複数の異なる強度レベルに露光させるべく、基板の特定の部分又は場所に必要な放射ドーズ量と所定の経時的なプロファイルとに基づいて、制御可能素子のアレイのうち1つの素子の傾斜シーケンスを決定することを備える。引き続き詳述するように、これは、基板上の特定の場所を利用可能な様々な強度レベルの任意の所望の組み合わせで露光させることを可能にし、ひいてはその場所において適用される放射ドーズ量の正確な制御ができるようにする。
【0092】
[00104] 第3のステップ1030において、本発明による方法は、パターン形成された変調された放射ビームを基板に向けて投影することを備える。
【0093】
[00105] 第4のステップ1040において、本発明による方法は、基板をパターン形成された放射ビームに露光させるべく、パターン形成された放射ビームを横切ってスキャン方向で基板をスキャンし、それによって基板の一部をパターン形成された変調された放射ビームに露光させることを備えている。基板の一部は、変調された、すなわち所定のプロファイルに従って変動する強度を有し、且つ制御可能素子のアレイによって付与された、放射ビームに露光されるので、一部によって受光される放射ドーズ量は、詳細に制御することができる。
【0094】
[00106] よって、変調された放射ビームに付与する素子の適当な制御によって、変調されたビームのどの部分が実際に基板上に適用されるのかを制御することができる。前述したように、制御可能素子のアレイによって、変調された放射ビームに付与するステップにあたっては、基板の一部を一連の複数の異なる強度レベルに露光させるべく、制御可能素子のアレイのうち1つの素子の傾斜シーケンス。そうすることによって、基板の一部は、放射ビームが変調されるプロファイルにおいて利用可能な一連の異なる強度レベルを受けるであろう。その結果、放射ドーズ量、すなわち一部が曝される積算放射は、所望の放射ドーズ量に沿って制御され得る。これは以下のように説明され得る。
【0095】
[00107]
図11は、放射ビームに適用され得るプロファイル又は変調プロファイル1100を概略的に示す。概略的に示されるプロファイル1100は、時間的期間Tにわたって適用される8つの異なる強度レベルを備える。図示されるプロファイル1100において、最も高い強度レベルはプロファイルの中央付近で発生し、最も低い強度レベルはプロファイルのエッジに配置される。そのような強度プロファイルの適用は、適用されるドーズ量のより正確な制御を可能にすることが観察されている。
【0096】
[00108] 放射ビームがそのようなプロファイル1100に従って変調され、基板がそのような変調された放射ビームを横切ってスキャンされると、基板上の特定の場所が、図示されるプロファイルに従って、変動する強度に曝される。
【0097】
[00109] これは、Y方向又はスキャン方向に沿って伝搬する放射ビーム1200を概略的に図示する
図12に図示されている。
図12は、放射ビーム1200を横切る基板のスキャンの際の3つの時間的瞬間t1,t2,t3における放射ビーム1200の位置を概略的に図示しており、放射ビーム1200はスキャン方向に幅Wbを有する。
図12において、Y1は、放射ビーム1200の下でスキャン又は変位される基板の特定の場所又は部分を表す。
t=t1においては、基板の場所又は部分Y1は放射ビーム1200の前面1200.1と位置合わせされる。
t=t2においては、基板の場所又は部分Y1は放射ビーム1200の中央と実質的に位置合わせされる。
t=t3においては、基板の場所又は部分Y1は放射ビーム1200の背面1200.2と位置合わせされ、基板上の更なる場所Y2が放射ビームの前面と位置合わせされる。
【0098】
[00110] 放射ビーム1100が
図11に示される変調パターンに従って変調された場合、場所Y1は、経時的なパターンの合計又は積分に対応する放射ドーズ量に曝されているであろう。
【0099】
[00111] そのような変調されたプロファイル1100の合計又は積分は、基板上の特定の部分又は場所に適用され得る最大放射ドーズ量に対応すると考えることができる。
【0100】
[00112] 特定の場所、例えばY2において、より低い放射ドーズ量が必要とされる場合、本発明の第3の態様による方法及びシステムは、制御可能素子のアレイによって、変調された放射ビーム1100に付与すること、及び基板の一部を一連の複数の異なる強度レベルのみに露光させるべく、制御可能素子のアレイのうち1つの素子の傾斜シーケンスを決定することにより、そのようなより低い放射ドーズ量を実現することを可能にする。
【0101】
[00113] 例えば、
図12に示される場所Y2は最大放射ドーズ量の半分しか必要としないと推定する。そうするために、場所Y2が放射ビーム1100を横切ってスキャンされるときには、放射ビームが期間Tのうち選択された部分の間だけ衝突するように、制御可能素子、例えばミラーの傾斜シーケンスを決定することができる。言い換えれば、特定の場所をスキャンする放射ビームに付与する制御可能素子を選択的に「オン」位置又は「オフ」位置に至らせることができるので、その特定の場所を一連の利用可能な放射又は放射レベルのみに露光させ、ひいてはその場所において適用される放射ドーズ量全体に影響を及ぼすことができる。
【0102】
[00114]
図13a及び13bは、制御可能素子の傾斜シーケンス及び結果として生じる適用される放射プロファイルの2つの例を概略的に示す。
【0103】
[00115]
図13aの例において、放射ビームに付与する制御可能素子の傾斜シーケンスは、強度が最高値であるときにのみ「オン」状態である。期間Tの残りの部分の間、素子は「オフ」状態であり、基板上に放射は投影されない。これは実際の強度プロファイル1300をもたらし、その結果、プロファイル1100の放射ドーズ量のおよそ半分である放射ドーズ量がもたらされる。
【0104】
[00116]
図13bの例においては、制御可能素子は、期間Tのうち部分T1及びT2の間は「オン」状態であり、期間Tの残りの部分の間は「オフ」状態である。これは実際の強度プロファイル1310をもたらし、その結果、やはりプロファイル1100の放射ドーズ量のおよそ半分である放射ドーズ量がもたらされる。
【0105】
[00117] 当業者には理解されるであろう通り、適当な一連の異なる強度レベルと、制御可能素子の傾斜シーケンスとによって、特定の場所における適用される放射ドーズ量の正確な制御を実現することができる。本発明の第3の態様による方法は、所謂グレースケーリングの一例と考えることができる。本発明によれば、グレースケーリングは、放射ビームの強度を変調することと、その変調の際に、利用可能な放射強度を選択的に適用するように制御可能素子を制御することとの両方によって、実現される。
【0106】
[00118] 基板上の各場所が所望の放射を受けたことを保証するためには、隣接する放射スポット間のクロストークが可能な限り回避されることを確保するのも重要である。本発明の意味においては、放射スポット間のクロストークとは、特定の制御可能素子によって付与されると共にマイクロレンズアレイの特定の小型レンズによって特定の放射スポットに向けて集束されるが隣接する放射スポットにおける放射レベルに部分的に影響を及ぼす放射を指す。
【0107】
[00119] 理解されるであろう通り、クロストークの発生は、基板上の特定の部分又は場所において適用される実際の放射ドーズ量を制御することをより困難にする。
【0108】
[00120] 従来の個別制御可能素子のアレイ、例えばプログラマブルミラーアレイを、マイクロレンズアレイと組み合わせて適用すると、望ましくないレベルのクロストークが依然として発生し得ることが観察されている。そのようなクロストークの発生を更に低減させるために、本発明の第4の態様によるシステムを適用することができる。本発明の第4の態様によれば、パターン形成された放射ビームを基板上に投影するシステムが提供され、そのシステムは、傾斜軸を中心として異なる位置間で個別制御可能素子を傾斜させることによって、放射ビームに付与して、パターン形成された放射ビームを生成するように構成された個別制御可能素子のアレイを備える。
【0109】
[00121] 本発明によるシステムは更に、基板を保持するように構成されると共に、基板をパターン形成された放射ビームに露光させるべく、パターン形成された放射ビームを横切ってスキャン方向で基板をスキャンするように構成された、ステージ装置を備える。そのようなステージ装置は、例えば、パターン形成された放射ビームに対して基板を位置決めする1つ以上の位置決めデバイスを備え得る。そうするために、ステージ装置は、パターン形成された放射ビームと基板との相対位置を特徴付ける測定信号を提供する位置測定システムも備えていてもよい。本発明の第4の態様によるシステムは更に、パターン形成された放射ビームを受光するように構成された投影システムを備えており、投影システムは、
第1のマイクロレンズアレイと、
第2のマイクロレンズアレイと、
ピンホールアレイと、を備えており、
第1のマイクロレンズアレイは、個別制御可能素子のアレイによって生成されたパターン形成された放射ビームを受光してパターン形成された放射ビームを第2のマイクロレンズアレイに投影するように構成されており、第2のマイクロレンズアレイは、受光したパターン形成された放射ビームを基板上に投影するように構成されており、ピンホールアレイは、第1のマイクロレンズアレイと第2のマイクロレンズアレイとの間のパターン形成された放射ビームの光路内に配置されている。本発明によれば、ピンホールアレイは、基板上に投影された隣接する放射スポット間のクロストークを制限するように構成されている。
第2のマイクロレンズアレイ及びピンホールアレイの適用によって、隣接する放射スポット間のクロストークは実質的に低減され得る。
【0110】
[00122]
図14は、本発明の第4の態様によるシステムにおいて適用可能な投影システム1400の一部を概略的に示す。
【0111】
[00123]
図14は、パターン形成された放射ビームの一部1420を受光するように構成された第1のマイクロレンズ1410を示し、一部は、例えば、制御可能素子のアレイのうち1つの制御可能素子によって生成される。図示される第1のマイクロレンズ1410は放射の受光した一部1420を第2のマイクロレンズ1430に向けて投影するように構成されており、その第2のマイクロレンズ1430は、受光した放射を収束させ、それによって放射スポット1440を形成するように構成されている。図示される投影システム1400の一部は更に、ピンホールアレイの一部であるピンホール1450を備え、ピンホールは、第1のマイクロレンズ1410によって放出される放射の空間フィルタリングを提供するように構成されている。図示される実施形態においては、ピンホール1450は、第1のマイクロレンズ1410の焦点1460の近くに配置される。
【0112】
[00124] 上述したシステムは、リソグラフィ装置、とりわけマスクレスリソグラフィ装置において有利に適用され得る。
【0113】
[00125] 本発明の種々の態様は有利に組み合わせられてもよいことも指摘できる。
【0114】
[00126] 一実施形態においては、個別アドレス可能素子102及び/又はパターニングデバイス104を制御するために、コントローラが提供される。コントローラは、個別アドレス可能素子のうち1つ以上によって放出される放射のパワーを制御し得る。コントローラは、個別アドレス可能素子のうち1つ以上によって放出される放射の強度を変調し得る。コントローラは、個別アドレス可能素子のアレイの全部又は一部にわたる強度均一性を制御/調整し得る。コントローラは、個別アドレス可能素子の放射出力を、結像誤差、例えばエタンデュ及び光学収差(例えばコマ収差、非点収差等)を補正するように調整し得る。
【0115】
[00127] 一実施形態においては、放射にパターン形成することは、所望のフィーチャ内の基板上のレジスト層のうちのあるエリアに伝送される放射が十分に高い強度であって、そのエリアは露光の際にドーズ量閾値を上回る放射ドーズ量を受けるが、基板上の他のエリアはゼロ又は有意に低い放射強度を提供することによりドーズ量閾値を下回る放射ドーズ量を受けるように、パターニングデバイス104を制御することによって、行われ得る。
【0116】
[00128] 実用では、所望のフィーチャの縁部における放射ドーズ量は、たとえフィーチャ境界線の一方の側で最大放射強度を提供し他方の側で最小放射強度を提供するように設定されたとしても、所与の最大ドーズ量からゼロドーズ量に急変はしないであろう。その代わりに、回折効果によって、放射ドーズ量のレベルは移行区域を横切って降下し得る。レジストの現像後に最終的に形成される所望のフィーチャの境界線の位置は、そのとき、受光されるドーズ量が放射ドーズ量閾値を下回る位置によって決定される。移行区域を横切る放射ドーズ量の降下のプロファイル、及びひいてはフィーチャ境界線の厳密な位置は、放射を、基板上のフィーチャ境界線上又はその付近の点に、最大又は最小強度レベルでのみならず最大強度レベルと最小強度レベルとの間の強度レベルでも提供することによって、より厳密に制御され得る。これは一般に「グレースケーリング」又は「グレーレベリング」と称される。
【0117】
[00129] グレースケーリングは、基板に提供される放射強度が2つの値(つまり最大値と最小値だけ)にしか設定できないリソグラフィシステムにおいて可能であるよりも優れた、フィーチャ境界線の位置の制御を提供し得る。一実施形態においては、少なくとも3つの異なる放射強度値、例えば少なくとも4つの放射強度値、少なくとも8つの放射強度値、少なくとも16の放射強度値、少なくとも32の放射強度値、少なくとも64の放射強度値、少なくとも100の放射強度値、少なくとも128の放射強度値、又は少なくとも256の放射強度値が投影され得る。本発明の第3の態様による方法は、そのようなグレースケーリングを可能にする方法と考えることができる。本発明によるグレースケーリング方法は、パターニングデバイスの個別制御可能素子の傾斜又は偏向シーケンスを適用することによって、特定の場所において選択的に適用され得る複数の異なる放射強度レベルを適用する。また、グレースケーリングは、複数のプログラマブル素子及び/又はデフレクタをグループ化すること、並びに所与の時刻にオン又はオフに切り替えられるグループ内の素子及び/又はデフレクタの数を制御することによって行われ得る。
【0118】
[00130] 一例において、パターニングデバイスは、(a)提供される放射が、対応する画素の強度分布に対して最小又はゼロ寄与でさえある、黒状態、(b)提供される放射が最大の寄与をする、最白状態、及び(c)提供される放射が中間的な寄与をする、中間の複数の状態、を含む一連の状態を有し得る。これらの状態は、通常のビームパターン形成/印刷に用いられる通常セットと、欠陥素子の影響を補償するために用いられる補償セットとに分けられる。通常セットは、黒状態と、中間状態の第1のグループとを備える。この第1のグループはグレー状態として説明され、グレー状態は、対応する画素強度に、最小黒値から特定の通常最大値まで、累増的な寄与を提供するように選択可能である。補償セットは、中間状態のうち残りの第2のグループを、最白状態と一緒に備える。この中間状態の第2のグループは白状態として説明され、白状態は、通常最大値よりも大きく、最白状態に対応する真の最大値まで累増する寄与を提供するように選択可能である。中間状態の第2のグループは白状態として説明されるが、これは単に通常の露光ステップと補償的な露光ステップとの区別を容易にするためであることは理解されるであろう。代替的には、複数の状態の全体が、グレースケール印刷を可能にするように選択可能な、黒と白との間のグレー状態のシーケンスとして説明され得る。
【0119】
[00131] グレースケーリングは、上述したものに追加的又は代替的な目的で用いられ得ることが理解されるべきである。例えば、露光後の基板の処理は、受光される放射ドーズ量レベルに応じて、基板の領域の2つよりも多くの潜在的応答があるように調整され得る。例えば、基板のうち第1の閾値を下回る放射ドーズ量を受ける部分は第1の手法で応答し、基板のうち第1の閾値は上回るが第2の閾値を下回る放射ドーズ量を受ける部分は第2の手法で応答し、基板のうち第2の閾値を上回る放射ドーズ量を受ける部分は第3の手法で応答する。したがって、グレースケーリングは、2つよりも多くの所望のドーズ量レベルを有する基板を横切る放射ドーズ量プロファイルを提供するために用いられ得る。一実施形態においては、放射ドーズ量プロファイルは、少なくとも2つの所望のドーズ量レベル、例えば少なくとも3つの所望の放射ドーズ量レベル、少なくとも4つの所望の放射ドーズ量レベル、少なくとも6つの所望の放射ドーズ量レベル、又は少なくとも8つの所望の放射ドーズ量レベルを有する。
【0120】
[00132] 放射ドーズ量プロファイルは、上述するような単に各点において受けられる放射の強度を制御することによる以外の方法によって制御され得ることが、更に理解されるべきである。例えば、各点によって受けられる放射ドーズ量は、代替的又は追加的には、その点の露光の持続時間を制御することによって制御され得る。更なる一例として、各点は、潜在的には複数の連続露光で放射を受け得る。したがって、各点によって受けられる放射ドーズ量は、代替的又は追加的には、その複数の連続露光のうち選択されたサブセットを用いてその点を露光させることによって制御され得る。
【0121】
[00133] また、グレースケーリングに関する上記の議論はフォトリソグラフィに焦点を当てているが、同様の概念は、本明細書に述べられる材料堆積に適用されてもよい。例えば、パワーレベル及び/又は流速が、材料堆積に関連付けられたグレースケーリングを提供するように制御され得る。
【0122】
[00134] 基板上にパターンを形成するためには、露光プロセスの際の各ステージにおいて、パターニングデバイスを必須状態(requisite state)に設定することが必要である。したがって、必須状態を表す制御信号が、パターニングデバイスに伝送されなければならない。望ましくは、リソグラフィ装置は、制御信号を生成するコントローラを含む。基板上に形成されるべきパターンは、ベクトル定義のフォーマット、例えばGDSIIで、リソグラフィ装置に提供され得る。設計情報を制御信号に変換するために、コントローラは1つ以上のデータ操作デバイスを含み、データ操作デバイスの各々は、パターンを表すデータストリームに対して処理ステップを実施するように構成されている。データ操作デバイスは集合的に「データパス」と称され得る。
【0123】
[00135] データパスのデータ操作デバイスは、以下の機能のうち1つ以上を実施するように構成され得る。ベクトルベースの設計情報をビットマップパターンデータに(及びその後、必要放射ドーズ量マップ(つまり基板を横切る必要放射ドーズ量プロファイル)に)又は必要放射ドーズ量マップに変換すること、必要放射ドーズ量マップを各個別アドレス可能素子の必要放射強度値に変換すること、及び各個別アドレス可能素子の必要放射強度値を対応する制御信号に変換すること。
【0124】
[00136] 一実施形態においては、制御信号は、個別アドレス可能素子102及び/又は1つ以上の他のデバイス(例えばセンサ)に、有線又は無線通信によって供給され得る。また、個別アドレス可能素子102から及び/又は1つ以上の他のデバイス(例えばセンサ)からの信号が、コントローラに伝達され得る。制御信号と同じように、電力が、個別アドレス可能素子102及び/又は1つ以上の他のデバイス(例えばセンサ)に、有線又は無線手段によって供給され得る。例えば、有線の実施形態においては、電力は、信号を運ぶものと同じであろうと異なろうと、1本以上の線によって供給され得る。電力を伝送するために、摺動接点配置が提供されてもよい。無線の実施形態においては、電力はRFカップリングによって送達され得る。
【0125】
[00137] 先の議論は個別アドレス可能素子102及び/又は1つ以上の他のデバイス(例えばデフレクタ及び/又はセンサ)に供給される制御信号に焦点を当てていたが、これらは、追加的又は代替的には、適切な構成を通じた、個別アドレス可能素子102から及び/又は1つ以上の他のデバイス(例えばセンサ)からコントローラへの信号の伝送を含むと理解されるべきである。よって、通信は、一方向(例えば個別アドレス可能素子102及び/又は1つ以上の他のデバイス(例えばセンサ)へのみあるいは個別アドレス可能素子102及び/又は1つ以上の他のデバイス(例えばセンサ)からのみ)又は二方向(すなわち個別アドレス可能素子102及び/又は1つ以上の他のデバイス(例えばセンサ)から及び個別アドレス可能素子102及び/又は1つ以上の他のデバイス(例えばセンサ)へ)であり得る。
【0126】
[00138] 一実施形態においては、パターンを提供するための制御信号は、基板上のパターンの適切な供給及び/又は実現に影響し得る要因を考慮するように変更され得る。例えば、制御信号には、個別アドレス可能素子102、レンズ等のうち1つ以上の加熱を考慮するように、補正が適用され得る。そのような加熱は、個別アドレス可能素子102、レンズ等の指示方向の変化や、放射の均一性の変化等を引き起こし得る。一実施形態においては、例えばセンサからの、個別アドレス可能素子102及び/又は他の要素に関連付けられた、測定された温度及び/又は膨張/収縮が、そうでなければパターンを形成するために提供されたであろう制御信号を変更するために用いられ得る。よって、例えば、露光の際、個別アドレス可能素子102の温度は変動し得、その変動は、単一の一定の温度において提供されたであろう投影パターンの変化を引き起こす。したがって、制御信号は、そのような変動を考慮するように変更され得る。同様に、一実施形態においては、アライメントセンサ及び/又はレベルセンサ150からの結果は、個別アドレス可能素子102によって提供されるパターンを変更するために用いられ得る。パターンは、例えば、個別アドレス可能素子102と基板114との間の光学部品(あれば)によって生じ得るディストーション、基板114の位置決めにおける不規則性、基板114の不均一性等を補正するように変更され得る。
【0127】
[00139] 一実施形態においては、制御信号の変化は、測定されたパラメータ(例えば、測定された温度、レベルセンサによって測定された距離など)によって生じる所望のパターンついての物理的/光学的結果の理論に基づいて決定され得る。一実施形態においては、制御信号の変化は、測定されたパラメータによって生じる所望のパターンついての物理的/光学的結果の実験的又は経験的モデルに基づいて決定され得る。一実施形態においては、制御信号の変化は、フィードフォワード的及び/又はフィードバック的に適用され得る。
【0128】
[00140] 一実施形態においては、リソグラフィ装置は、1つ以上の個別アドレス可能素子102によって基板に向けて伝送される又は伝送されるべき放射の特性を測定するためのセンサ118を備え得る。そのようなセンサは、スポットセンサ又は透過イメージセンサであり得る。センサは、例えば、個別アドレス可能素子102からの放射の強度、個別アドレス可能素子102からの放射の均一性、個別アドレス可能素子102からの放射のスポットの断面サイズもしくは面積、及び/又は個別アドレス可能素子102からの放射のスポットの(XY平面における)場所を決定するために用いられ得る。
【0129】
[00141] 本文では特定のデバイス又は構造(例えば集積回路又はフラットパネルディスプレイ)の製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているかもしれないが、本明細書で説明するリソグラフィ装置及びリソグラフィ方法には他の用途もあり得ることが理解されるべきである。用途は、集積回路、集積光学システム、磁気ドメインメモリのガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、LCD、OLEDディスプレイ、薄膜磁気ヘッド、微小電気機械デバイス(MEMS)、微小光電気機械システム(MOEMS)、DNAチップ、パッケージング(例えばフリップチップ、再配線等)、可撓性のディスプレイ又は電子機器(紙のように巻回可能、折り曲げ可能であり得ると共に変形がなく、適合的で、起伏が多く、薄く、及び/又は軽量なままであり得るディスプレイ又は電子機器、例えばフレキシブルプラスチックディスプレイ)等の製造を含むがこれらに限られない。また、例えばフラットパネルディスプレイにおいては、本発明の装置及び方法を用いて、種々の層、例えば薄膜トランジスタ層及び/又はカラーフィルタ層の生成を補助することができる。よって、本明細書における装置のバリエーションは、例えばロールトゥロール技術及び/又はガラス担体上の箔を用いる、例えばプラスチック又は金属箔などのフレキシブル基板上を含め、種々の電子的及びその他のデバイス又はパターンの製造において用いられ得る。
【0130】
[00142] そのような代替的な用途の文脈において、当業者には、本明細書における「ウェーハ」又は「ダイ」という用語の使用は、それぞれ「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが認識されるであろう。本明細書で参照される基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(例えば通常はレジストの層を基板に適用し、露光されたレジストを現像するツール)又はメトロロジもしくはインスペクションツールで処理され得る。適用可能な場合には、本明細書の開示は、以上及びその他の基板プロセスツールに適用されてもよい。更に、基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0131】
[00143] フラットパネルディスプレイ基板は形状が矩形であってもよい。このタイプの基板を露光させるように設計されたリソグラフィ装置は、矩形の基板の全幅をカバーするか又は幅の一部(例えば幅の半分)をカバーする露光領域を提供し得る。基板は露光領域の下でスキャンされ得、その一方でパターニングデバイスがパターン形成されたビームを同期的に提供する。このようにして、所望のパターンの全部又は一部が基板に転写される。露光領域が基板の全幅をカバーする場合には、露光は単一のスキャンで完了され得る。露光領域が、例えば基板の幅の半分をカバーする場合には、基板は最初のスキャンの後で短手方向に移動され得、基板の残りを露光させるために更なるスキャンが一般的に実施される。
【0132】
[00144] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板(の一部)にパターンを生成するためなど、放射ビームの断面を変調するために使用可能な任意のデバイスを指すものとして、広義に解釈されるべきである。放射ビームに付与されるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又は所謂アシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しないかもしれないことに留意されたい。同様に、最終的に基板上に生成されるパターンは、個別アドレス可能素子のアレイによって任意の一瞬に形成されるパターンに対応しないかもしれない。これは、基板の各部分に形成される最終的なパターンが、個別アドレス可能素子のアレイによって提供されるパターン及び/又は基板の相対位置が変化する所与の期間又は所与の露光回数を超えて構築される配置の場合であろう。一般に、基板のターゲット部分に生成されるパターンは、ターゲット部分、例えば集積回路又はフラットパネルディスプレイ(例えばフラットパネルディスプレイのカラーフィルタ層又はフラットパネルディスプレイの薄膜トランジスタ層)に生成されているデバイスの特定の機能層に相当するであろう。そのようなパターニングデバイスの例は、例えば、レチクル、プログラマブルミラーアレイ、レーザダイオードアレイ、発光ダイオードアレイ、回折格子ライトバルブ、及びLCDアレイを含む。パターンが電子機器(コンピュータなど)の助けを借りてプログラム可能であるパターニングデバイス、例えば、放射ビームの一部の位相を放射ビームの隣接する部分に対して変調することによって放射ビームにパターンを付与する複数のプログラマブル素子を有する電子的にプログラム可能なパターニングデバイスを含め、各々が放射ビームの一部の強度を変調することのできる複数のプログラマブル素子を備えるパターニングデバイス(例えば、前の文で言及したレチクル以外の全てのデバイス)は、本明細書においては集合的に「コントラストデバイス」と称される。一実施形態においては、パターニングデバイスは、少なくとも10個のプログラマブル素子、例えば少なくとも100個、少なくとも1000個、少なくとも10000個、少なくとも100000個、少なくとも1000000個、又は少なくとも10000000個のプログラマブル素子を備える。これらのデバイスのうちいくつかの実施形態について、以下でより詳細に述べる。
【0133】
[00145] プログラマブルミラーアレイ。プログラマブルミラーアレイは、粘弾性制御層と反射面とを有するマトリックスアドレス可能面を備え得る。そのような装置の背後にある基本原則は、例えば、反射面のアドレスされたエリアが入射放射を回折放射として反射する一方で、アドレスされていないエリアは入射放射を非回折放射として反射する、というものである。適切な空間フィルタを用いると、非回折放射を反射されたビームから濾過することができ、回折放射のみが残って基板に到達する。このようにして、ビームは、マトリックスアドレス可能面のアドレシングパターンに従ってパターン形成されることになる。代替案としては、フィルタは回折放射を濾過してもよく、非回折放射が残って基板に到達する。回折光学MEMSデバイスのアレイも対応して用いられ得る。回折光学MEMSデバイスは、入射放射を回折放射として反射する回折格子を形成するように互いに対して変形され得る複数の反射リボンを備え得る。プログラマブルミラーアレイの更なる一実施形態は、ごく小さいミラーのマトリックス配列を採用し、ミラーの各々が、適当な局所化された電界を印加することによって、又は圧電作動手段を使用することによって、軸を中心として個別に傾斜され得る。傾斜の程度が各ミラーの状態を定義する。ミラーは、素子が不良でないときには、コントローラからの適切な制御信号によって制御可能である。各非不良素子は、投影された放射パターンにおける対応する画素の強度を調整するように、一連の状態のうちいずれか1つを採用するべく制御可能である。ここでも、ミラーはマトリックスアドレス可能であり、したがって、アドレスされたミラーは、到来する放射ビームをアドレスされていないミラーとは異なる方向に反射する。このようにすれば、反射されたビームは、マトリックスアドレス可能なミラーのアドレシングパターンに従ってパターン形成され得る。必要なマトリックスアドレシングは、適当な電子手段を用いて実施され得る。ここで参照されるミラーアレイについての更なる情報は例えば、米国特許第5,296,891号明細書及び第5,523,193号明細書、並びにPCT特許出願公開第98/38597号及び第98/33096号から集めることができ、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0134】
[00146] プログラマブルLCDアレイ。そのような構造の一例は米国特許第5,229,872号明細書に記載されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0135】
[00147] リソグラフィ装置は、1つ以上のパターニングデバイス、例えば1つ以上のコントラストデバイスを備え得る。例えばそれは、個別アドレス可能素子の複数のアレイを有していてもよく、その各々が互いに独立して制御される。そのような配置においては、個別アドレス可能素子のアレイのうちいくつか又は全部が、共通の照明システム(又は照明システムの一部)、個別アドレス可能素子のアレイの共通の支持構造、及び/又は共通の投影システム(又は投影システムの一部)のうち少なくとも1つを有し得る。
【0136】
[00148] フィーチャのプリバイアス処理、光近接補正フィーチャ、位相変動技術、及び/又は多重露光技術が用いられる場合、例えば、個別アドレス可能素子のアレイに「表示される」パターンは、基板の層又は基板上の層に最終的に転写されるパターンと実質的に異なり得る。同様に、最終的に基板上に生成されるパターンは、任意の一瞬に個別アドレス可能素子のアレイ上に形成されるパターンに対応しないかもしれない。これは、基板の各部分に形成される最終的なパターンが、個別アドレス可能素子のアレイ上のパターン及び/又は基板の相対位置が変化する所与の期間又は所与の露光回数を超えて構築される配置の場合であろう。
【0137】
[00149] 投影システム及び/又は照明システムは、放射のビームを誘導し、整形し、又は制御するための、例えば屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、又はその他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらの任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。
【0138】
[00150] リソグラフィ装置は、2つ(例えばデュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のパターニングデバイステーブル)を、あるいは1つ以上の基板テーブルを基板を保持しない別のテーブル(例えば洗浄及び/又は測定等のためのテーブル)と組み合わせて、有するタイプであってもよい。そのような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルが並行して用いられてもよいし、又は1つ以上の他のテーブルが露光に用いられている間に1つ以上のテーブルで準備ステップが実行されてもよい。
【0139】
[00151] リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を充填するように、基板の少なくとも一部が、水などの比較的高い屈折率を有する「液浸液」で覆われ得るタイプのものであってもよい。液浸液は、例えばパターニングデバイスと投影システムとの間など、リソグラフィ装置の他の空間に適用することもできる。液浸技術は、投影システムのNAを増大させるために使用される。本明細書で用いられる「液浸」という用語は、基板などの構造が液体に沈められなければならないという意味ではなく、露光の際に投影システムと基板との間に液体が位置しているというほどの意味である。
【0140】
[00152] また、装置には、流体と基板の照射された部分との相互作用を可能にするため(例えば、基板に選択的に化学物質を取り付けるため又は基板の表面構造を選択的に変形するため)の流体処理セルが設けられてもよい。
【0141】
[00153] 一実施形態においては、基板は実質的に円形の形状を有しており、任意選択的にはその周縁の一部に沿ってノッチ及び/又は平坦化された縁部を備える。一実施形態においては、基板は多角形状、例えば矩形の形状を有する。基板が実質的に円形の形状を有する実施形態は、基板が少なくとも25mm、例えば少なくとも50mm、少なくとも75mm、少なくとも100mm、少なくとも125mm、少なくとも150mm、少なくとも175mm、少なくとも200mm、少なくとも250mm、又は少なくとも300mmの直径を有する実施形態を含む。一実施形態においては、基板は、最大で500mm、最大で400mm、最大で350mm、最大で300mm、最大で250mm、最大で200mm、最大で150mm、最大で100mm、又は最大で75mmの直径を有する。基板が多角形、例えば矩形である実施形態は、基板の少なくとも1辺、例えば少なくとも2辺又は少なくとも3辺が少なくとも5cm、例えば少なくとも25cm、少なくとも50cm、少なくとも100cm、少なくとも150cm、少なくとも200cm、又は少なくとも250cmの長さを有する実施形態を含む。一実施形態においては、基板の少なくとも1辺が最大で1000cm、例えば最大で750cm、最大で500cm、最大で350cm、最大で250cm、最大で150cm、又は最大で75cmの長さを有する。一実施形態においては、基板は、約250~350cmの長さと約250~300cmの幅とを有する矩形基板である。基板の厚さは変動してもよく、ある程度は、例えば基板材料及び/又は基板寸法に依存し得る。一実施形態においては、厚さは少なくとも50μm、例えば少なくとも100μm、少なくとも200μm、少なくとも300μm、少なくとも400μm、少なくとも500μm、又は少なくとも600μmである。ある実施形態においては、基板の厚さは最大で5000μm、例えば最大で3500μm、最大で2500μm、最大で1750μm、最大で1250μm、最大で1000μm、最大で800μm、最大で600μm、最大で500μm、最大で400μm、又は最大で300μmである。本明細書で参照される基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に適用し、露光されたレジストを現像するツール)で処理され得る。基板の特性は、露光前又は露光後に、例えばメトロロジツール及び/又はインスペクションツールで測定され得る。
【0142】
[00154] 一実施形態においては、基板にはレジスト層が設けられる。一実施形態においては、基板はウェーハ、例えば半導体ウェーハである。一実施形態においては、ウェーハ材料は、Si,SiGe,SiGeC,SiC,Ge,GaAs,InP,及びInAsからなるグループから選択される。一実施形態においては、ウェーハはIII/V化合物半導体ウェーハである。一実施形態においては、ウェーハはシリコンウェーハである。一実施形態においては、基板はセラミック基板である。一実施形態においては、基板はガラス基板である。ガラス基板は、例えばフラットパネルディスプレイ及び液晶ディスプレイパネルの製造において有用であろう。一実施形態においては、基板はプラスチック基板である。一実施形態においては、基板は(人間の裸眼には)透明である。一実施形態においては、基板は着色されている。一実施形態においては、基板には色がない。一実施形態においては、基板は一時的なガラス担体上にプラスチック箔を備える。これは、ガラスディスプレイと同様のやり方で処理されるガラス基板上のポリイミドなどの被覆層を含み得るが、ガラスは、例えばUVレーザステップを用いた処理の後、望ましくはロバスト性の増大及び取り扱いの容易さのために残りの箔を保護ブラスチックでラミネートした後に、除去される。
【0143】
[00155] パターニングデバイス104は、一実施形態においては基板114の上方にあるものとして説明及び/又は図示されるが、代わりに又は追加的には基板114の下に位置していてもよい。また、一実施形態においては、パターニングデバイス104と基板114とは隣り合っていてもよく、例えば、パターニングデバイス104及び基板114は垂直に延在し、パターンは水平に投影される。一実施形態においては、パターニングデバイス104は、基板114の少なくとも2つの対向する辺を露光させるように提供される。例えば、少なくとも基板114の対向する各辺に、それらの辺を露光させるために、少なくとも2つのパターニングデバイス104があってもよい。一実施形態においては、基板114の1つの辺を投影するための単一のパターニングデバイス104と、その単一のパターニングデバイス104からのパターンを基板114の別の辺に投影するための適切な光学部品(例えばビーム誘導ミラー)とがあってもよい。
【0144】
[00156] 実施形態は更に、以下の条項を用いて記載することもできる。
1.パターン形成された放射ビームによって基板を露光させる方法であって、
放射ビームを提供することと、
個別制御可能素子のアレイによって放射ビームに付与することと、
傾斜軸を中心として異なる位置間で個別制御可能素子を傾斜させることによって、放射ビームから、パターン形成された放射ビームを生成することと、
パターン形成された放射ビームを基板に向けて投影することと、
個別制御可能素子の傾斜軸はスキャン方向に実質的に垂直であるところ、基板をパターン形成された放射ビームに露光させるべく、パターン形成された放射ビームを横切ってスキャン方向で基板をスキャンすることと、
を備える、方法。
2.個別制御可能素子のアレイのうち1つの制御可能素子の傾斜角度の変動は、制御素子によって付与されると共に基板に向けて投影されるパターン形成された放射ビームの一部のスキャン方向での位置的な変動しか引き起こさない、条項1に記載の方法。
3.個別制御可能素子は、素子によって付与される放射ビームの一部を基板に向けて投影させるオン位置と、素子によって付与される放射ビームの一部を基板から遠ざかるように投影させるオフ位置とに位置決めされ得る、条項2に記載のシステム。
4.オン位置における個別制御可能素子のアレイのうち1つの制御可能素子の傾斜角度の変動は、一部の位置的な変動を引き起こす、条項3に記載の方法。
5.パターン形成された放射ビームを基板上に投影するシステムであって、
個別制御可能素子のアレイであって、傾斜軸を中心として異なる位置間で個別制御可能素子を傾斜させることによって、放射ビームに付与して、パターン形成された放射ビームを生成するように構成された、アレイと、
基板を保持するように構成されると共に、基板をパターン形成された放射ビームに露光させるべく、パターン形成された放射ビームを横切ってスキャン方向で基板をスキャンするように構成されたステージ装置と、を備えており、
個別制御可能素子の傾斜軸は、スキャン方向に実質的に垂直である、システム。
6.個別制御可能素子のアレイのうち1つの制御可能素子の傾斜角度の変動は、制御可能素子によって付与されると共に基板に向けて投影されるパターン形成された放射ビームの一部のスキャン方向の位置的な変動しか引き起こさない、条項5に記載のシステム。
7.個別制御可能素子のアレイは、2D傾斜ミラーアレイのようなプログラマブルミラーアレイを備える、条項5又は6に記載のシステム。
8.条項5から7のいずれかに記載のシステムを備える、リソグラフィ装置。
9.放射ビームを提供するように構成された放射源を更に備える、条項8に記載のリソグラフィ装置。
10.パターン形成された放射ビームを基板上に投影するシステムであって、
個別制御可能素子のアレイであって、傾斜軸を中心として異なる位置間で個別制御可能素子を傾斜させることによって、放射ビームに付与して、パターン形成された放射ビームを生成するように構成された、アレイと、
基板を保持するように構成されると共に、基板をパターン形成された放射ビームに露光させるべく、パターン形成された放射ビームを横切ってスキャン方向で基板をスキャンするように構成されたステージ装置と、
マイクロレンズアレイを備える投影システムと、を備えており、
マイクロレンズアレイは、
放射スポットの第1の二次元パターン及び放射スポットの第2の二次元パターンを基板上に投影するように構成されており、
スキャン方向に垂直な方向の第1の二次元パターンの幅はスキャン方向に垂直な方向の第2の二次元パターンの幅に実質的に対応し、
スキャン方向の第1の二次元パターンの長さはスキャン方向の第2の二次元パターンの長さに実質的に対応し、第1の二次元パターンと第2の二次元パターンとはスキャン方向で互いに離隔している、システム。
11.個別制御可能素子は、素子によって付与される放射ビームの一部を基板に向けて投影させるオン位置と、素子によって付与される放射ビームの一部を基板から遠ざかるように投影させるオフ位置とに位置決めされ得る、条項10に記載のシステム。
12.個別制御可能素子のアレイは、放射スポットの第1の二次元パターンを生成するように構成された第1の位置と、放射スポットの第2の二次元パターンを生成するように構成された第2の位置とを備える、条項11に記載のシステム。
13.条項10から12のいずれかに記載のシステムを備える、リソグラフィ装置。
14.基板に適用される放射ドーズ量を制御する方法であって、
放射ビームを所定の経時的なプロファイルに従って変調することであって、プロファイルは放射ビームの複数の異なる強度レベルを備えることと、
傾斜軸を中心として異なる位置間で個別制御可能素子を傾斜させることにより、パターン形成された変調された放射ビームを生成するように、個別制御可能素子のアレイによって、変調された放射ビームに付与することと、
パターン形成された変調された放射ビームを基板に向けて投影することと、
基板をパターン形成された放射ビームに露光させるべく、パターン形成された放射ビームを横切ってスキャン方向で基板をスキャンし、それによって基板の一部をパターン形成された変調された放射ビームに露光させることと、を備えており、
変調された放射ビームに付与するステップは、
基板の一部を一連の複数の異なる強度レベルに露光させるべく、基板の一部に必要な放射ドーズ量と所定の経時的なプロファイルとに基づいて、制御可能素子のアレイのうち1つの素子の傾斜シーケンスを決定することを備える、方法。
15.一部が露光される一連の複数の異なる強度レベルの合計は、必要な放射ドーズ量に実質的に対応する、条項14に記載の方法。
16.所定のプロファイルの複数の異なる強度レベルは、所定のプロファイルの中心又はその付近で比較的高い強度レベルを有するように配置される、条項14又は15に記載の方法。
17.パターン形成された放射ビームを基板上に投影するシステムであって、
個別制御可能素子のアレイであって、傾斜軸を中心として異なる位置間で個別制御可能素子を傾斜させることによって、放射ビームに付与して、パターン形成された放射ビームを生成するように構成された、アレイと、
放射ビームを所定の経時的なプロファイルに従って変調するように構成された放射ビーム変調器であって、プロファイルは放射ビームの複数の異なる強度レベルを備える、放射ビーム変調器と、を備えており、
個別制御可能素子のアレイは、傾斜軸を中心として異なる位置間で個別制御可能素子を傾斜させることによって、変調された放射ビームに付与して、パターン形成された変調された放射ビームを生成するように構成されており、
システムは更に、
基板を保持するように構成されると共に、基板をパターン形成された放射ビームに露光させ、それによって基板の一部をパターン形成された変調された放射ビームに露光させるべく、パターン形成された変調された放射ビームを横切ってスキャン方向で基板をスキャンするように構成されたステージ装置と、
基板の一部を一連の複数の異なる強度レベルに露光させるべく、基板の一部に必要な放射ドーズ量と所定の経時的なプロファイルとに基づいて、制御可能素子のアレイのうち1つの素子の傾斜シーケンスを決定するように構成された制御ユニットと、
を備える、システム。
18.条項17に記載のシステムを備える、リソグラフィ装置。
19.パターン形成された放射ビームを基板上に投影するシステムであって、
個別制御可能素子のアレイであって、傾斜軸を中心として異なる位置間で個別制御可能素子を傾斜させることによって、放射ビームに付与して、パターン形成された放射ビームを生成するように構成された、アレイと、
基板を保持するように構成されると共に、基板をパターン形成された放射ビームに露光させるべく、パターン形成された放射ビームを横切ってスキャン方向で基板をスキャンするように構成されたステージ装置と、
パターン形成された放射ビームを受光するように構成された投影システムと、を備えており、
投影システムは、
第1のマイクロレンズアレイと、
第2のマイクロレンズアレイと、
ピンホールアレイと、を備えており、
第1のマイクロレンズアレイはパターン形成された放射ビームを受光してパターン形成された放射ビームを第2のマイクロレンズアレイ上に投影するように構成されており、第2のマイクロレンズアレイは受光したパターン形成された放射ビームを基板上に投影するように構成されており、ピンホールアレイは第1のマイクロレンズアレイと第2のマイクロレンズアレイとの間のパターン形成された放射ビームの光路内に配置されており、ピンホールアレイは基板上に投影された隣接する放射スポット間のクロストークを制限するように構成されている、システム。
【0145】
[00157] 本明細書の説明において、「レンズ」という用語は、参照されるレンズと同じ機能を提供する任意の屈折型、反射型、及び/又は回折型の光学素子を包含するものとして一般的に理解されるべきである。例えば、結像レンズは、光パワーを有する従来の回折レンズの形態、光パワーを有するシュヴァルツシルト反射型システムの形態、及び/又は光パワーを有するゾーンプレートの形態で具現化され得る。また、結像レンズは、結果として得られる効果が集光ビームを生成することであれば、非結像光学部品を備えていてもよい。
【0146】
[00158] 以上、具体的な実施形態を説明したが、本発明は説明されたものとは異なる手法でも実践され得ることは理解されるであろう。例えば、本発明の一実施形態は、上記で開示したような方法を述べる機械読み取り可能命令の1つ以上のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又はそのようなコンピュータプログラムを記憶したデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気又は光ディスク)の形態をとることができる。
【0147】
[00159] また、特定の実施形態及び例を説明してきたが、当業者には、本発明は、具体的に開示された実施形態を超えて、本発明の他の代替的な実施形態及び/又は使用、並びにその自明な変形及び均等物に及ぶことが理解されるであろう。そして、本発明のいくつかのバリエーションを図示及び詳細に説明してきたが、当業者には、本開示に基づいて、本発明の範囲内にある他の変形が、容易に明らかになるであろう。例えば、実施形態の具体的な特徴及び態様の様々な組み合わせ又は部分的組み合わせが行われ得ると共に依然として本発明の範囲内に該当し得ることが考えられる。したがって、開示される実施形態の種々の特徴及び態様は、開示される発明の変動するモードを形成するために、互いに組み合わされ又は置換されてもよいことが理解されるべきである。一実施形態においては、米国特許出願公開第2011-0188016号明細書及びPCT特許出願公開第2010/032224号に開示される1つ以上の特徴又は態様が本明細書に開示される1つ以上の特徴又は態様と組み合わされ又は置換されてもよく、米国特許出願公開第2011-0188016号明細書及びPCT特許出願公開第2010/032224号の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。