(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-04
(45)【発行日】2025-03-12
(54)【発明の名称】レーザ加工装置、ウェーハ加工システム及びレーザ加工装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20250305BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20250305BHJP
B23K 26/364 20140101ALI20250305BHJP
【FI】
H01L21/78 B
B23K26/00 P
B23K26/00 M
B23K26/364
B23K26/00 N
(21)【出願番号】P 2020120672
(22)【出願日】2020-07-14
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【氏名又は名称】松浦 憲政
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】相川 力
(72)【発明者】
【氏名】岩城 智
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-230903(JP,A)
【文献】特開2003-285189(JP,A)
【文献】特開2013-173160(JP,A)
【文献】特開2013-169556(JP,A)
【文献】国際公開第2006/093264(WO,A1)
【文献】特開平9-29472(JP,A)
【文献】特開2019-141902(JP,A)
【文献】特開2007-284288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B23K 26/00
B23K 26/364
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハに対してレーザ光学系を前記ウェーハのストリートに沿った加工送り方向に相対移動させつつ前記レーザ光学系からレーザ光を前記ストリートに照射することで前記ストリートに沿って加工溝を形成するレーザ加工装置において、
前記加工溝の形成中、前記レーザ光学系から前記ストリートに照射される前記レーザ光の加工点の観察像を繰り返し取得する観察像取得部と、
前記観察像取得部が前記観察像を取得するごとに、前記観察像に基づき、前記レーザ光の照射により前記加工点で発生するプラズマの輝度を検出する輝度検出部と、
前記輝度と、前記レーザ光のエネルギーと、前記加工溝の加工状態と、の対応関係を示す対応情報を取得する対応情報取得部と、
前記輝度検出部が前記輝度を検出するごとに、前記輝度と既知の前記レーザ光のエネルギーとに基づき前記対応情報を参照して前記加工状態を判別する加工状態判別部と、
を備え
、
前記対応情報取得部が、前記輝度と、前記レーザ光のエネルギーと、前記加工溝の深さ及び前記加工点の温度を含む前記加工状態と、の対応関係を示す前記対応情報を取得するレーザ加工装置。
【請求項2】
前記レーザ光学系が、前記ウェーハの表面からの前記加工点の深さ位置、及び前記加工溝の形成により発生する除去物の除去量の少なくともいずれか1つが異なる複数の加工条件で選択的に前記加工溝の形成が可能であり、
前記加工条件を選択する加工条件選択部を備え、
前記対応情報取得部が、複数の前記加工条件に対応する複数の前記対応情報の中から前記加工条件選択部が選択した前記加工条件に対応する前記対応情報を取得する請求項
1に記載のレーザ加工装置。
【請求項3】
ウェーハに対してレーザ光学系を前記ウェーハのストリートに沿った加工送り方向に相対移動させつつ前記レーザ光学系からレーザ光を前記ストリートに照射することで前記ストリートに沿って加工溝を形成するレーザ加工装置において、
前記加工溝の形成中、前記レーザ光学系から前記ストリートに照射される前記レーザ光の加工点の観察像を繰り返し取得する観察像取得部と、
前記観察像取得部が前記観察像を取得するごとに、前記観察像に基づき、前記レーザ光の照射により前記加工点で発生するプラズマの輝度を検出する輝度検出部と、
前記輝度と、前記レーザ光のエネルギーと、前記加工溝の加工状態と、の対応関係を示す対応情報を取得する対応情報取得部と、
前記輝度検出部が前記輝度を検出するごとに、前記輝度と既知の前記レーザ光のエネルギーとに基づき前記対応情報を参照して前記加工状態を判別する加工状態判別部と、
を備え、
前記レーザ光学系が、前記ウェーハの表面からの前記加工点の深さ位置、及び前記加工溝の形成により発生する除去物の除去量の少なくともいずれか1つが異なる複数の加工条件で選択的に前記加工溝の形成が可能であり、
前記加工条件を選択する加工条件選択部を備え、
前記対応情報取得部が、複数の前記加工条件に対応する複数の前記対応情報の中から前記加工条件選択部が選択した前記加工条件に対応する前記対応情報を取得するレーザ加工装置。
【請求項4】
前記ストリートに沿って互いに材質の異なる複数の領域が存在する場合に、前記対応情報取得部が、前記領域ごとの前記材質に対応した複数の前記対応情報を取得し、
前記加工点の位置情報を取得する位置情報取得部を備え、
前記加工状態判別部が、前記位置情報取得部が取得した前記位置情報と既知の前記ウェーハの設計情報とに基づき、前記加工点の位置での前記材質に対応する前記対応情報を用いて、前記加工状態の判別を行う請求項1から
3のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項5】
ウェーハに対してレーザ光学系を前記ウェーハのストリートに沿った加工送り方向に相対移動させつつ前記レーザ光学系からレーザ光を前記ストリートに照射することで前記ストリートに沿って加工溝を形成するレーザ加工装置において、
前記加工溝の形成中、前記レーザ光学系から前記ストリートに照射される前記レーザ光の加工点の観察像を繰り返し取得する観察像取得部と、
前記観察像取得部が前記観察像を取得するごとに、前記観察像に基づき、前記レーザ光の照射により前記加工点で発生するプラズマの輝度を検出する輝度検出部と、
前記輝度と、前記レーザ光のエネルギーと、前記加工溝の加工状態と、の対応関係を示す対応情報を取得する対応情報取得部と、
前記輝度検出部が前記輝度を検出するごとに、前記輝度と既知の前記レーザ光のエネルギーとに基づき前記対応情報を参照して前記加工状態を判別する加工状態判別部と、
を備え、
前記ストリートに沿って互いに材質の異なる複数の領域が存在する場合に、前記対応情報取得部が、前記領域ごとの前記材質に対応した複数の前記対応情報を取得し、
前記加工点の位置情報を取得する位置情報取得部を備え、
前記加工状態判別部が、前記位置情報取得部が取得した前記位置情報と既知の前記ウェーハの設計情報とに基づき、前記加工点の位置での前記材質に対応する前記対応情報を用いて、前記加工状態の判別を行うレーザ加工装置。
【請求項6】
1又は複数の請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載のレーザ加工装置と、
前記対応情報を記憶する記憶部を有するサーバと、
を備え、
前記対応情報取得部が、前記記憶部から前記対応情報を取得するウェーハ加工システム。
【請求項7】
ウェーハに対してレーザ光学系を前記ウェーハのストリートに沿った加工送り方向に相対移動させつつ前記レーザ光学系からレーザ光を前記ストリートに照射することにより前記ストリートに沿って加工溝を形成するレーザ加工装置の制御方法において、
前記加工溝の形成中、前記レーザ光学系から前記ストリートに照射される前記レーザ光の加工点の観察像を繰り返し取得する観察像取得ステップと、
前記観察像取得ステップで前記観察像を取得するごとに、前記観察像に基づき、前記レーザ光の照射により前記加工点で発生するプラズマの輝度を検出する輝度検出ステップと、
前記輝度と、前記レーザ光のエネルギーと、前記加工溝の加工状態と、の対応関係を示す対応情報を取得する対応情報取得ステップと、
前記輝度検出ステップで前記輝度を検出するごとに、前記輝度と既知の前記レーザ光のエネルギーとに基づき前記対応情報を参照して前記加工状態を判別する加工状態判別ステップと、
を有
し、
前記対応情報取得ステップでは、前記輝度と、前記レーザ光のエネルギーと、前記加工溝の深さ及び前記加工点の温度を含む前記加工状態と、の対応関係を示す前記対応情報を取得するレーザ加工装置の制御方法。
【請求項8】
ウェーハに対してレーザ光学系を前記ウェーハのストリートに沿った加工送り方向に相対移動させつつ前記レーザ光学系からレーザ光を前記ストリートに照射することにより前記ストリートに沿って加工溝を形成するレーザ加工装置の制御方法において、
前記加工溝の形成中、前記レーザ光学系から前記ストリートに照射される前記レーザ光の加工点の観察像を繰り返し取得する観察像取得ステップと、
前記観察像取得ステップで前記観察像を取得するごとに、前記観察像に基づき、前記レーザ光の照射により前記加工点で発生するプラズマの輝度を検出する輝度検出ステップと、
前記輝度と、前記レーザ光のエネルギーと、前記加工溝の加工状態と、の対応関係を示す対応情報を取得する対応情報取得ステップと、
前記輝度検出ステップで前記輝度を検出するごとに、前記輝度と既知の前記レーザ光のエネルギーとに基づき前記対応情報を参照して前記加工状態を判別する加工状態判別ステップと、
を有し、
前記レーザ光学系が、前記ウェーハの表面からの前記加工点の深さ位置、及び前記加工溝の形成により発生する除去物の除去量の少なくともいずれか1つが異なる複数の加工条件で選択的に前記加工溝の形成が可能であり、
前記加工条件を選択する加工条件選択ステップを有し、
前記対応情報取得ステップでは、複数の前記加工条件に対応する複数の前記対応情報の中から前記加工条件選択ステップで選択した前記加工条件に対応する前記対応情報を取得するレーザ加工装置の制御方法。
【請求項9】
ウェーハに対してレーザ光学系を前記ウェーハのストリートに沿った加工送り方向に相対移動させつつ前記レーザ光学系からレーザ光を前記ストリートに照射することにより前記ストリートに沿って加工溝を形成するレーザ加工装置の制御方法において、
前記加工溝の形成中、前記レーザ光学系から前記ストリートに照射される前記レーザ光の加工点の観察像を繰り返し取得する観察像取得ステップと、
前記観察像取得ステップで前記観察像を取得するごとに、前記観察像に基づき、前記レーザ光の照射により前記加工点で発生するプラズマの輝度を検出する輝度検出ステップと、
前記輝度と、前記レーザ光のエネルギーと、前記加工溝の加工状態と、の対応関係を示す対応情報を取得する対応情報取得ステップと、
前記輝度検出ステップで前記輝度を検出するごとに、前記輝度と既知の前記レーザ光のエネルギーとに基づき前記対応情報を参照して前記加工状態を判別する加工状態判別ステップと、
を有し、
前記ストリートに沿って互いに材質の異なる複数の領域が存在する場合に、前記対応情報取得ステップでは、前記領域ごとの前記材質に対応した複数の前記対応情報を取得し、
前記加工点の位置情報を取得する位置情報取得ステップを有し、
前記加工状態判別ステップでは、前記位置情報取得ステップで取得した前記位置情報と既知の前記ウェーハの設計情報とに基づき、前記加工点の位置での前記材質に対応する前記対応情報を用いて、前記加工状態の判別を行うレーザ加工装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハのレーザ加工を行うレーザ加工装置、ウェーハ加工システム及びレーザ加工装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体デバイスの製造分野では、シリコン等の基板の表面にガラス質材料からなる低誘電率絶縁体被膜(Low-k膜)と回路を形成する機能膜とを積層した積層体により複数のデバイスを形成しているウェーハ(半導体ウェーハ)が知られている。このようなウェーハは、複数のデバイスが格子状のストリートによって格子状に区画されており、ウェーハをストリートに沿って分割することにより個々のデバイスが製造される。
【0003】
ウェーハを複数のデバイス(チップ)に分割する方法として、高速回転するブレードを用いる方法、ウェーハの内部にストリートに沿ってレーザ加工領域を形成してこのレーザ加工領域が形成されることにより強度が低下したストリートに沿って外力を加える方法が知られている。しかしながら、Low-k膜が適用されたウェーハの場合、Low-k膜の素材とウェーハの素材とが異なるため、前者の方法ではブレードによりLow-k膜と基板とを同時に切削することが困難である。また、後者の方法ではストリート上にLow-k膜が存在する場合に良好な品質で個々のデバイスに分割することが困難である。
【0004】
そこで、特許文献1及び特許文献2には、ウェーハに対してレーザ光学系をストリートに沿った加工送り方向に相対移動させつつレーザ光学系からレーザ光を前記ストリートに照射することでストリートに沿って加工溝を形成するレーザ加工装置が開示されている。このレーザ加工装置によれば、ストリートに沿って加工溝を形成することでストリート上からLow-k膜等を除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-182019号公報
【文献】特開2006-140311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1に記載のレーザ加工装置等を用いてストリートに沿って加工溝を形成するレーザ加工(アブレーション溝加工)を行う場合には、加工溝の加工状態をリアルタイムで確認することが望ましい。この場合には、レーザ加工装置に設けられている顕微鏡(カメラ)を用いてレーザ光の加工点の観察を行うことが考えられるが、顕微鏡を用いた表面観察で得られる加工溝の情報は限られている。このため、従来では、加工溝の加工状態をリアルタイムで確認することができず、レーザ加工後のウェーハを割断してウェーハの加工状態を確認する必要があった。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、加工溝の加工状態をリアルタイムで確認可能なレーザ加工装置、ウェーハ加工システム及びレーザ加工装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的を達成するためのレーザ加工装置は、ウェーハに対してレーザ光学系をウェーハのストリートに沿った加工送り方向に相対移動させつつレーザ光学系からレーザ光をストリートに照射することでストリートに沿って加工溝を形成するレーザ加工装置において、加工溝の形成中、レーザ光学系からストリートに照射されるレーザ光の加工点の観察像を繰り返し取得する観察像取得部と、観察像取得部が観察像を取得するごとに、観察像に基づき、レーザ光の照射により加工点で発生するプラズマの輝度を検出する輝度検出部と、輝度と、レーザ光のエネルギーと、加工溝の加工状態と、の対応関係を示す対応情報を取得する対応情報取得部と、輝度検出部が輝度を検出するごとに、輝度と既知のレーザ光のエネルギーとに基づき対応情報を参照して加工状態を判別する加工状態判別部と、を備える。
【0009】
このレーザ加工装置によれば、加工点ごとのプラズマの輝度の検出結果に基づき、加工点ごとのレーザ加工の加工状態をリアルタイムに判別することができる。
【0010】
本発明の他の態様に係るレーザ加工装置において、観察像取得部が、レーザ光の波長域の光を遮断する光学素子と、光学素子を通して加工点を撮影する観察光学系と、を含む。これにより、プラズマの輝度の検出結果に含まれるレーザ光の散乱光の影響(ノイズ)を抑えることができるので、加工点ごとの加工溝の加工状態の判別をより高精度に行うことができる。
【0011】
本発明の他の態様に係るレーザ加工装置において、対応情報取得部が、輝度と、レーザ光のエネルギーと、加工溝の深さ及び加工点の温度を含む加工状態と、の対応関係を示す対応情報を取得する。これにより、加工点ごとのレーザ加工の加工状態(加工溝の深さ及び加工点の温度)をリアルタイムに判別することができる。
【0012】
本発明の他の態様に係るレーザ加工装置において、レーザ光学系が、ウェーハの表面からの加工点の深さ位置、及び加工溝の形成により発生する除去物の除去量の少なくともいずれか1つが異なる複数の加工条件で選択的に加工溝の形成が可能であり、加工条件を選択する加工条件選択部を備え、対応情報取得部が、複数の加工条件に対応する複数の対応情報の中から加工条件選択部が選択した加工条件に対応する対応情報を取得する。これにより、加工条件ごとに加工溝の加工状態を判別することができるので、加工溝の加工状態をより正確に判別することができる。
【0013】
本発明の他の態様に係るレーザ加工装置において、ストリートに沿って互いに材質の異なる複数の領域が存在する場合に、対応情報取得部が、領域ごとの材質に対応した複数の対応情報を取得し、加工点の位置情報を取得する位置情報取得部を備え、加工状態判別部が、位置情報取得部が取得した位置情報と既知のウェーハの設計情報とに基づき、加工点の位置での材質に対応する対応情報を用いて、加工状態の判別を行う。これにより、ストリートの表面に材質が異なる複数の領域が存在している場合であっても加工溝の加工状態の判別を正確に行うことができる。
【0014】
本発明の他の態様に係るレーザ加工装置において、加工溝の形成が行われている間、加工状態判別部の判別結果に基づき、レーザ光学系が出射するレーザ光のエネルギーを制御して、加工状態を一定に維持するレーザ加工制御部を備える。これにより、加工溝の加工品質を向上させることができる。
【0015】
本発明の目的を達成するためのウェーハ加工システムは、前述のレーザ加工装置と、対応情報を記憶する記憶部を有するサーバと、を備え、対応情報取得部が、記憶部から対応情報を取得する。
【0016】
本発明の他の態様に係るウェーハ加工システムにおいて、少なくとも1つのレーザ加工装置が、ストリートに沿った加工点ごとに、加工点に形成された加工溝の少なくとも深さを含む溝形状を取得する溝形状取得部と、輝度検出部の検出結果及び溝形状取得部の取得結果に基づき、加工点ごとの輝度及び溝形状の実測情報をサーバへ出力する実測情報出力部と、を備え、サーバが、実測情報出力部から出力された実測情報に基づき、対応情報を生成して記憶部に記憶させる対応情報生成部を備える。これにより、新規のウェーハWのレーザ加工(加工状態のモニタリング)に容易に対応することができる。
【0017】
本発明の目的を達成するためのレーザ加工装置の制御方法は、ウェーハに対してレーザ光学系をウェーハのストリートに沿った加工送り方向に相対移動させつつレーザ光学系からレーザ光をストリートに照射することによりストリートに沿って加工溝を形成するレーザ加工装置の制御方法において、加工溝の形成中、レーザ光学系からストリートに照射されるレーザ光の加工点の観察像を繰り返し取得する観察像取得ステップと、観察像取得ステップで観察像を取得するごとに、観察像に基づき、レーザ光の照射により加工点で発生するプラズマの輝度を検出する輝度検出ステップと、輝度と、レーザ光のエネルギーと、加工溝の加工状態と、の対応関係を示す対応情報を取得する対応情報取得ステップと、輝度検出ステップで輝度を検出するごとに、輝度と既知のレーザ光のエネルギーとに基づき対応情報を参照して加工状態を判別する加工状態判別ステップと、を有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、加工溝の加工状態をリアルタイムで確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施形態のレーザ加工装置の概略図である。
【
図2】レーザ加工装置による加工対象のウェーハの平面図である。
【
図3】第1実施形態の制御装置の機能ブロック図である。
【
図4】ストリートに沿った加工溝の形成を説明するための説明図である。
【
図5】ストリートに沿った加工溝の形成を説明するための説明図である。
【
図6】プラズマの輝度と加工溝の深さとの関係を説明するための説明図である。
【
図7】第1実施形態のレーザ加工装置によるウェーハのストリートごとのレーザ加工処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】第2実施形態のレーザ加工装置の概略図である。
【
図9】各ストリートのレーザ加工の加工条件の例を示した説明図である。
【
図10】第3実施形態のレーザ加工装置の制御装置の機能ブロック図である。
【
図11】第4実施形態のレーザ加工装置によりレーザ加工が施されるストリートの拡大図である。
【
図12】第4実施形態のレーザ加工装置の制御装置の機能ブロック図である。
【
図13】第4実施形態のレーザ加工装置によるウェーハのストリートごとのレーザ加工処理の流れを示すフローチャートである。
【
図14】第5実施形態のレーザ加工装置によるウェーハのストリートごとのレーザ加工処理の流れを示すフローチャートである。
【
図15】第5実施形態のレーザ加工装置の効果を説明するための説明図である。
【
図16】第6実施形態のウェーハ加工システムの構成を示したブロック図である。
【
図17】レーザ加工装置によるストリートに沿った2条の縁切り溝及び中抜き溝の形成を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態のレーザ加工装置の構成]
図1は、第1実施形態のレーザ加工装置10の概略図である。
図1に示すように、レーザ加工装置10は、ウェーハW(例えばシリコンウェーハ)を複数のチップ4(
図2参照)に分割する割断プロセスの前工程として、ウェーハWに対してレーザ加工(アブレーション溝加工)を施す。なお、図中のXYZ方向は互いに直交し、このうちX方向及びY方向は水平方向であり、Z方向は鉛直方向(ウェーハWの厚み方向)である。またθ方向は、Z方向を回転軸とする回転方向である。
【0021】
図2は、レーザ加工装置10による加工対象のウェーハWの平面図である。
図2に示すように、ウェーハWは、シリコン等の基板の表面にLow-k膜と回路を形成する機能膜とを積層した積層体である。ウェーハWは格子状に配列された複数のストリートCH(分割予定ラインともいう)によって複数の領域に区画されている。この区画された各領域にはチップ4(デバイス)が設けられている。レーザ加工装置10は、ストリートCHごとにストリートCHに沿ってレーザ加工を行うことで、ストリートCH上のLow-k膜等を除去して加工溝9(アブレーション溝又はレーザグルーブともいう)を形成する。
【0022】
図1に戻って、レーザ加工装置10は、ベース12と、XYZθステージ14と、吸着ステージ16と、加工ユニット18と、モニタ20と、制御装置22と、を備える。
【0023】
ベース12上には、XYZθステージ14が設けられている。XYZθステージ14は、ベース12上においてXYZ方向に移動自在で且つθ方向に回転自在に設けられている。このXYZθステージ14は、アクチュエータ及びモータ等により構成される移動機構24(
図3参照)によりXYZ方向に移動されると共にθ方向に回転される。
【0024】
吸着ステージ16は、XYZθステージ14上に設けられている。この吸着ステージ16は、ウェーハWの裏面を吸着保持する。これにより、ウェーハWは、上述のLow-k膜等が形成されている側の表面が後述の加工ユニット18と対向するようにXYZθステージ14に保持される。移動機構24によりXYZθステージ14をXYZθ方向に移動させることで、吸着ステージ16上のウェーハWに対して加工ユニット18がXYZθ方向に相対移動される。
【0025】
加工ユニット18は、レーザ光学系25及び観察光学系30を備える。この加工ユニット18は、吸着ステージ16のZ方向上方側の位置(ウェーハWに対向する位置)に配置されており、後述の制御装置22により制御される。
【0026】
レーザ光学系25は、ウェーハWのストリートCHに向けてレーザ光Lを照射する。このレーザ光学系25は、レーザ光源26(レーザ発振器)、コリメートレンズ27、ハーフミラー28、及び集光レンズ29(コンデンスレンズ)を含む。
【0027】
レーザ光源26は、レーザ光L(例えばパルスレーザ光)をコリメートレンズ27に向けて出射する。レーザ光Lの条件は、例えば、光源:UV(紫外線)-パルスレーザ、波長:400nm以下、繰り返し周波数:1~100kHz、及び平均出力:0.5~10ワットであるが、この条件に特に限定されるものではない。
【0028】
コリメートレンズ27は、レーザ光源26から入射したレーザ光Lを平行光束に変換した後、このレーザ光Lをハーフミラー28に向けて出射する。
【0029】
ハーフミラー28は、集光レンズ29の光軸上に配置されており、コリメートレンズ27から入射したレーザ光Lの一部を集光レンズ29に向けて反射する。また、ハーフミラー28は、後述のハーフミラー33から入射した後述の照明光ILの一部を透過して集光レンズ29に向けて出射すると共に、集光レンズ29から入射した照明光ILの反射光の一部を透過してハーフミラー33に向けて出射する。
【0030】
集光レンズ29は、ハーフミラー28から入射したレーザ光L及び照明光ILをウェーハWのストリートCH上に集光させる。
【0031】
観察光学系30は、レーザ光学系25と同軸に設けられており、ウェーハWのレーザ加工前にはウェーハWに形成されている後述のアライメント基準を撮影する。また、観察光学系30は、ウェーハWのストリートCHのレーザ加工中にはその加工点SPを撮影する。
【0032】
観察光学系30は、ハーフミラー28及び集光レンズ29をレーザ光学系25と共用すると共に、照明光源31、コリメートレンズ32、ハーフミラー33、集光レンズ34、及び顕微鏡35等を備える。
【0033】
照明光源31は、例えば可視光の波長域(赤外光又は近赤外光の波長域でも可)の照明光ILをコリメートレンズ32に向けて出射する。
【0034】
コリメートレンズ32は、照明光源31から入射した照明光ILを平行光束に変換した後、この照明光ILをハーフミラー33に向けて出射する。
【0035】
ハーフミラー33は、集光レンズ29の光軸上に配置されており、コリメートレンズ32から入射した照明光ILの一部をハーフミラー28に向けて反射する。これにより、照明光ILが、ハーフミラー28及び集光レンズ29を介して、ウェーハWの表面上に集光される。また、ハーフミラー33は、ウェーハWから集光レンズ29及びハーフミラー28を介して入射した照明光ILの反射光の一部を透過して集光レンズ34に向けて出射する。
【0036】
集光レンズ34は、ハーフミラー33から入射した照明光ILの反射光を顕微鏡35に集光させる。
【0037】
顕微鏡35は、いわゆるデジタルカメラであり、照明光IL及び後述のプラズマ60(
図4参照)の全波長域に対して感度を有する撮像素子(不図示)を備えている。顕微鏡35は、集光レンズ34により集光された照明光ILの反射光を撮像してウェーハWの各部の観察像36(撮影画像データ)を制御装置22へ出力する。ストリートCH上に集光されるレーザ光Lの加工点SP(集光点、スポット)に集光レンズ29の焦点を合わせた状態で顕微鏡35によりウェーハWを撮影した観察像36に基づき、ウェーハWのレーザ加工の状態を確認することができる。さらに本実施形態では、この加工点SPの観察像36に基づき、詳しくは後述するが、加工溝9の深さ及び加工点SPの温度を含む加工溝9の加工状態を判別する。さらにまた、ウェーハWのレーザ加工前に、ウェーハWの表面上のアライメント基準に集光レンズ29の焦点を合わせた状態で顕微鏡35によりウェーハWを撮影した観察像36に基づきアライメント検出を行うことができる。
【0038】
制御装置22は、移動機構24、レーザ光学系25、及び観察光学系30等のレーザ加工装置10の各部の動作を統括的に制御して、加工ユニット18のアライメント、ストリートCHごとのレーザ加工、加工点SPの観察像36の取得、及び加工溝9の加工状態の判別等を実行する。
【0039】
[制御装置の構成]
図3は、第1実施形態の制御装置22の機能ブロック図である。
図3に示すように、制御装置22には、既述のモニタ20、移動機構24、レーザ光学系25、及び観察光学系30の他に、操作部38及び記憶部39が接続されている。
【0040】
操作部38は、公知のキーボード、マウス、及び操作ボタン等が用いられ、オペレータによる各種操作の入力を受け付ける。
【0041】
記憶部39には、図示は省略するが、レーザ加工装置10の制御プログラム、及び制御装置22による加工溝9の加工状態の判別結果等が記憶されている。また、記憶部39には、詳しくは後述するが、制御装置22による加工溝9の加工状態の判別に用いられる対応情報62が予め格納されている。
【0042】
制御装置22は、例えばパーソナルコンピュータのような演算装置により構成され、各種のプロセッサ(Processor)及びメモリ等から構成された演算回路を備える。各種のプロセッサには、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、及びプログラマブル論理デバイス[例えばSPLD(Simple Programmable Logic Devices)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、及びFPGA(Field Programmable Gate Arrays)]等が含まれる。なお、制御装置22の各種機能は、1つのプロセッサにより実現されてもよいし、同種または異種の複数のプロセッサで実現されてもよい。
【0043】
制御装置22は、記憶部39から読み出した不図示の制御プログラムを実行することで、検出制御部40、レーザ加工制御部42、撮影制御部44、観察像取得部46、輝度検出部48、加工状態判別部50、及び表示制御部52として機能する。以下、本実施形態において「~部」として説明するものは「~回路」、「~装置」、又は「~機器」であってもよい。すなわち、「~部」として説明するものは、ファームウェア、ソフトウェア、及びハードウェアまたはこれらの組み合わせのいずれで構成されていてもよい。
【0044】
検出制御部40は、レーザ加工装置10の各部を制御して、吸着ステージ16に保持されているウェーハWの各ストリートCHの位置(XY面内での向きを含む)を検出するアライメント検出を実行する。
【0045】
最初に検出制御部40は、移動機構24及び観察光学系30を制御して、ウェーハWのアライメント基準の観察像36を取得(撮影)する。ここでいうアライメント基準とは、レーザ加工装置10がウェーハWのストリートCHの位置を認識するための基準であり、例えば、ストリートCH、及びアライメントマーク(図示は省略)等の公知の基準が用いられる。なお、アライメント基準は、顕微鏡35で撮影可能であれば、ウェーハWの内部、表面、及び裏面等の任意の位置に設けられていてもよい。
【0046】
検出制御部40は、アライメント基準の観察像36を取得する場合、移動機構24を駆動して、集光レンズ29の光軸を観察光学系30によりウェーハWのアライメント基準を撮影可能に位置に相対移動させる。この移動後に検出制御部40は、顕微鏡35にアライメント基準を含むウェーハWの撮影を実行させる。これにより、顕微鏡35によりウェーハWのアライメント基準の観察像36が取得され、この観察像36が顕微鏡35から検出制御部40に出力される。
【0047】
検出制御部40は、顕微鏡35から入力されたアライメント基準の観察像36に基づき、この観察像内のアライメント基準を公知の画像認識法で検出することにより、ウェーハWの各ストリートCHの位置を検出する。
【0048】
レーザ加工制御部42は、移動機構24及びレーザ光学系25を制御して、ストリートCHごとに、ストリートCHに沿って加工溝9を形成するレーザ加工を実行する。
【0049】
具体的にレーザ加工制御部42は、検出制御部40によるアライメント検出結果に基づき、移動機構24を駆動してXYZθステージ14をθ方向に回転させることにより、加工対象のストリートCHをX方向(加工送り方向)に平行にする。次いで、レーザ加工制御部42は、検出制御部40によるアライメント検出結果に基づき、移動機構24を駆動してXYZθステージ14の位置調整を行うことで、集光レンズ29の光軸を加工対象のストリートCHの一端に位置合わせするアライメントを実行する。
【0050】
図4及び
図5は、ストリートCHに沿った加工溝9の形成を説明するための説明図である。
図4及び
図5に示すように、レーザ加工制御部42は、上述のアライメント完了後、レーザ光学系25を制御して、レーザ光LをウェーハWの加工対象のストリートCH上に集光させることで、レーザ光Lの加工点SPに加工溝9を形成する。
【0051】
次いで、レーザ加工制御部42は、移動機構24を駆動して、XYZθステージ14をX方向に移動させる。これにより、ストリートCH上にレーザ光Lを集光させた状態で、ウェーハWに対してレーザ光学系25がX方向に相対移動される、すなわち第1番目のストリートCHに沿ってレーザ光学系25がウェーハWに対してX方向に相対移動される。その結果、加工対象のストリートCHに沿って加工溝9が形成される。
【0052】
この際に、レーザ光Lの加工点SPでは、レーザ光Lの熱によりストリートCHの表層(Low-k膜等)が溶融及び気化を経て電離した状態となる所謂プラズマ化することで、プラズマ60が発生する。このプラズマ60の輝度は、パルスレーザであるレーザ光Lの1ショット当たりでストリートCHから除去(プラズマ化)されるLow-k膜等の除去物の除去量(加工溝9の深さ)に応じて変化する。そして、1ショット当たりの除去物の除去量は、レーザ光Lのエネルギー(J)と相関がある。従って、加工点SPごとのプラズマ60の輝度と、除去物の除去量(加工溝9の深さ)と、レーザ光Lのエネルギーとの間には相関がある。
【0053】
なお、レーザ光Lのエネルギーの他に、レーザ光L(加工点SP)のスポット径、ウェーハWの表面からの加工点SPの深さ位置(Z方向位置)、及びストリートCHの材質も影響を及ぼすが、第1実施形態では説明の煩雑化を防止するため、これらは一定であるものとして説明を行う。
【0054】
図6は、プラズマ60の輝度(プラズマ輝度)と加工溝9の深さとの関係を説明するための説明図である。
図6の符号6Aに示すように、ストリートCH上の加工点SPからの除去物の除去量が増加するほど、この加工点SPで発生するプラズマ60の輝度が高くなる。また逆に、ストリートCH上の加工点SPからの除去物の除去量が減少するほど、この加工点SPで発生するプラズマ60の輝度が低くなる。さらに、レーザ光Lのエネルギーを増減させると、加工点SPごとのプラズマ60の輝度及び除去物の除去量は変化する。このため、加工点SPごとのプラズマ60の輝度及びレーザ光Lのエネルギーは、加工点SPごとの除去物の除去量、すなわち加工溝9の深さを示す指標となる。
【0055】
従って本実施形態では、プラズマ60の輝度と、レーザ光Lのエネルギーと、除去物の除去量(加工溝9の深さ)との対応関係を示す後述の対応情報62(
図3参照)を予め求めておく。これにより、本実施形態では、
図6の符号6Bに示すように、ストリートCH(X方向)に沿った加工点SPごとのプラズマ60の輝度と既知のレーザ光Lのエネルギーとに基づき、対応情報62を参照することで、加工点SPごとの加工溝9の深さを求める。また、ストリートCHに沿った加工点SPごとの加工溝9の深さに基づき、ストリートCHに沿って形成された加工溝9の全体の底面形状も得られる。
【0056】
さらに、プラズマ60の輝度は、加工点SPの温度とも相関がある。このため、上述の対応情報62として、プラズマ60の輝度と、レーザ光Lのエネルギーと、加工点SPの温度との対応関係を合わせて求めておくことで、ストリートCHに沿った加工点SPごとのプラズマ60の輝度と既知のレーザ光Lのエネルギーとに基づき、加工点SPごとの加工溝9の深さ及び加工温度を求めることができる。
【0057】
図3に戻って、撮影制御部44は、レーザ光学系25によるストリートCHのレーザ加工(加工溝9の形成)が行われている間、観察光学系30を制御して、顕微鏡35によるレーザ光Lの加工点SPの撮影とその観察像36の出力とを繰り返し実行させる。なお、本実施形態のレーザ光Lはパルスレーザであるので、撮影制御部44がレーザ光Lの発光トリガに同期して加工点SPの撮影及び観察像36の出力を実行することが好ましい。これにより、ストリートCHに沿った加工点SPごとに、加工点SPのリアルタイムな観察像36が得られる。
【0058】
観察像取得部46は、レーザ光学系25によるストリートCHのレーザ加工(加工溝9の形成)が行われている間、顕微鏡35と接続するインタフェースとして機能する。この観察像取得部46は、顕微鏡35による加工点SPの撮影が実行されるごとに、加工点SPの観察像36を顕微鏡35から繰り返し取得して輝度検出部48へ出力する。
【0059】
輝度検出部48は、観察像取得部46から加工点SPの観察像36が入力されるごとに、観察像36に基づき加工点SPで発生したプラズマ60の輝度を検出する。
【0060】
最初に輝度検出部48は、観察像36の画素ごとの輝度値に基づき、観察像36内に含まれるプラズマ60の像領域を判別する。プラズマ60の像領域の輝度値は観察像36内の他の領域の輝度値よりも高くなるので、輝度検出部48は、例えば観察像36内において輝度値が所定の閾値以上となる領域をプラズマ60の像領域として判別する。
【0061】
次いで、輝度検出部48は、例えばプラズマ60の像領域内の画素の輝度値の積算値を「プラズマ60の輝度」として検出する。既述の通り、顕微鏡35の撮像素子はプラズマ60の全波長域に対して感度を有するので、輝度検出部48は、プラズマ60の全波長域の光を輝度に変換した結果に基づきプラズマ60の輝度を検出することができる。
【0062】
そして、輝度検出部48は、加工点SPごとのプラズマ60の輝度を検出するごとに、その検出結果を加工状態判別部50へ出力する。
【0063】
なお、輝度検出部48が、プラズマ60の像領域内の画素の輝度値の積算値を「プラズマ60の輝度」として検出する代わりに、輝度値の最大値又は平均値を「プラズマ60の輝度」として検出してもよい。
【0064】
加工状態判別部50は、輝度検出部48から入力される加工点SPごとのプラズマ60の輝度検出結果と、既知のレーザ光Lのエネルギーとに基づき、加工点SPごとの加工溝9の加工状態(加工溝9の深さ、温度)を判別する。
【0065】
最初に加工状態判別部50は、記憶部39から対応情報62を取得する。この場合に加工状態判別部50は、本発明の対応情報取得部として機能する。なお、加工状態判別部50は、レーザ加工装置10の記憶部39から対応情報62を取得する代わりに、インターネット等を介してレーザ加工装置10の外部から対応情報62を取得してもよい。
【0066】
対応情報62は、プラズマ60の輝度と、レーザ光Lのエネルギーと、加工点SPの加工溝9の深さ及び温度との対応関係を示す情報であり、予め実験又はシミュレーション等に基づき生成されて記憶部39に記憶されている。この対応情報62は、除去量演算式62Aと溝深さ演算式62Bと温度演算式62Cとを含む。なお、本実施形態の対応情報62は演算式(数式)で構成されているが、上述の対応関係を示すデータテーブル等を用いてもよい。
【0067】
除去量演算式62Aは、プラズマ60の輝度と、レーザ光Lのエネルギーと、加工点SPにおける除去物の除去量との対応関係を示す演算式である。この除去量演算式62Aは、除去量を「A」とし且つエネルギーを「B」とし且つプラズマ60の輝度を「C」とした場合に、例えば数式[αA+a=βB+b=γC+c]で示される。ここでα、β、γはそれぞれA、B、Cにかかる係数であり、a、b、cはそれぞれ切片である。エネルギー「B」は既知であり、プラズマ60の輝度「C」は輝度検出部48に検出されているので、「B」及び「C」を上述の除去量演算式62Aにインプットすることで加工点SPにおける除去物の除去量「A」が求められる。
【0068】
溝深さ演算式62Bは、加工点SPにおける除去物の除去量「A」と加工溝9の深さとの対応関係を示す演算式である。この溝深さ演算式62Bとしては、例えば除去量「A」と加工点SPの面積(スポット径)とを変数として加工溝9の深さを導出可能な式が用いられる。なお、除去量演算式62A及び溝深さ演算式62Bを用意する代わりに、エネルギー「B」、プラズマ60の輝度「C」、及び加工点SPの面積等から加工溝9の深さを直接的に演算可能な式を用いてもよい。
【0069】
温度演算式62Cは、プラズマ60の輝度と、レーザ光Lのエネルギーと、加工点SPの温度との対応関係を示す演算式である。この温度演算式62Cは、上述の除去量演算式62Aと同様に、エネルギー「B」及びプラズマ60の輝度「C」を変数として、加工点SPの温度を導出可能な式が用いられる。
【0070】
加工状態判別部50は、輝度検出部48から入力されたプラズマ60の輝度「C」と既知のレーザ光Lのエネルギー「B」とに基づき、除去量演算式62Aを用いて加工点SPにおける除去物の除去量「A」を演算する。次いで、加工状態判別部50は、加工点SPにおける除去物の除去量「A」の演算結果と、既知の加工点SPの面積とに基づき、溝深さ演算式62Bを用いて加工点SPにおける加工溝9の深さを演算する。
【0071】
また、加工状態判別部50は、輝度検出部48から入力されたプラズマ60の輝度「C」と既知のレーザ光Lのエネルギー「B」とに基づき、温度演算式62Cを用いて加工点SPの温度を演算する。
【0072】
以下、加工状態判別部50は、輝度検出部48から新たな加工点SPのプラズマ60の輝度「C」が入力されるごとに、加工点SPにおける加工溝9の深さ及び温度の演算を繰り返し実行する。これにより、ストリートCHに沿った加工点SPごとの加工溝9の深さ及び温度が求められる。また、加工点SPごとの加工溝9の深さの演算結果に基づき、ストリートCHに沿った加工溝9の底面形状の安定性を評価することができる。
【0073】
また、加工点SPのプラズマ60の輝度と、加工点SPにおける加工溝9の深さ及び温度との間には関連性があるので、ストリートCHに沿った加工点SPごとのプラズマ60の輝度の分散値から加工点SPごとの加工溝9の深さ及び温度の安定性を評価することもできる。
【0074】
表示制御部52は、モニタ20の表示を制御する。表示制御部52は、顕微鏡35から出力された観察像36と、加工状態判別部50による加工点SPごとの加工溝9の加工状態の判別結果と、をモニタ20に表示させる。
【0075】
[第1実施形態の作用]
図7は、本発明の制御方法に係る第1実施形態のレーザ加工装置10によるウェーハWのストリートCHごとのレーザ加工処理の流れを示すフローチャートである。
【0076】
図7に示すように、加工対象のウェーハWが吸着ステージ16に吸着保持されると、制御装置22の検出制御部40が作動する。検出制御部40は、移動機構24及び観察光学系30を制御して、ウェーハWのアライメント基準の観察像36を取得する。そして、検出制御部40は、観察像36を解析して、ウェーハWの各ストリートCHの位置を検出するアライメント検出を行う(ステップS1)。
【0077】
アライメント検出が完了するとレーザ加工制御部42が作動する。そして、レーザ加工制御部42が、検出制御部40によるアライメント検出結果に基づき、移動機構24を駆動して、集光レンズ29の光軸を第1番目のストリートCHの一端に位置合わせするアライメントを実行する(ステップS2)。
【0078】
次いで、レーザ加工制御部42は、レーザ光学系25から第1番目のストリートCHの一端上に対してレーザ光Lを照射(集光)させることで、加工溝9を形成する(ステップS3)。この際にレーザ光Lの加工点SPでは、レーザ光Lの熱によりストリートCHの表層(Low-k膜等)がプラズマ化することで、プラズマ60が発生する。
【0079】
次いで、レーザ加工制御部42は、移動機構24を駆動して、XYZθステージ14をX方向に移動させることで、ウェーハWに対してレーザ光学系25をX方向に相対移動させる(ステップS4)。これにより、第1番目のストリートCHに沿ってレーザ加工、すなわち加工溝9の形成が開始される。
【0080】
また、レーザ加工開始に合わせて、撮影制御部44及び観察像取得部46が作動する。これにより、撮影制御部44が例えばレーザ光Lの発光トリガに同期して観察光学系30の顕微鏡35を制御してレーザ光Lの加工点SPの撮影を実行すると共に、観察像取得部46が顕微鏡35からの加工点SPの観察像36の取得と輝度検出部48への出力とを実行する(ステップS5、本発明の観察像取得ステップに相当)。
【0081】
加工点SPの観察像36の入力を受けた輝度検出部48は、この観察像36内からプラズマ60の像領域を判別して、例えばこの像領域内の画素の輝度値に基づきプラズマ60の輝度を検出する(ステップS6、本発明の輝度検出ステップに相当)。そして、輝度検出部48は、プラズマ60の輝度検出結果を加工状態判別部50へ出力する。
【0082】
プラズマ60の輝度検出結果の入力を受けた加工状態判別部50は、最初に記憶部39から対応情報62を取得する(ステップS7、本発明の対応情報取得ステップに相当)。そして、加工状態判別部50は、プラズマ60の輝度検出結果と既知のレーザ光Lのエネルギーとに基づき、対応情報62を用いて、加工点SPの加工溝9の加工状態(加工溝9の深さ、温度)を判別する(ステップS8、本発明の加工状態判別ステップに相当)。
【0083】
また、加工状態判別部50は、加工状態の判別結果を、表示制御部52を介してモニタ20に表示させる。
【0084】
以下、X方向に沿った第1番目のストリートCHのレーザ加工が行われている間、このストリートCHに沿った加工点SPごとに、観察像36の取得と、プラズマ60の輝度検出と、対応情報62を用いた加工溝9の加工状態の判別と、加工状態の判別結果の表示と、が繰り返し実行される(ステップS9でNO)。これにより、オペレータは、ウェーハWを割断することなく加工点SPごとの加工溝9の深さをリアルタイムに評価することができ、さらに加工点SPごとの加工溝9の深さに基づきこの加工溝9の底面形状をリアルタイムに評価することができる。また、オペレータは、加工点SPごとの温度の判別結果に基づき、温度によるダメージをリアルタイムに評価することができる。
【0085】
第1番目のストリートCHのレーザ加工が完了すると(ステップS9でYES)、レーザ加工制御部42が移動機構24によるレーザ光学系25の相対移動とレーザ光学系25からのレーザ光Lの照射とを停止させると共に、撮影制御部44が観察光学系30による撮影を停止させる(ステップS10)。
【0086】
次いで、第2番目のストリートCHのレーザ加工が開始される(ステップS11でNO)。以下同様に、第2番目以降のストリートCHごとにステップS2からステップS10までの処理が繰り返し実行される(ステップS11でYES)。これにより、各ストリートCHに沿った加工点SPごとに、観察像36の取得と、プラズマ60の輝度検出と、加工溝9の加工状態の判別と、加工状態の判別結果の表示と、が繰り返し実行される。
【0087】
[第1実施形態の効果]
以上のように第1実施形態のレーザ加工装置10では、ストリートCHごとのレーザ加工中にストリートCHに沿って移動する加工点SPごとのプラズマ60の輝度の検出結果に基づき、加工点SPごとのレーザ加工の加工状態(加工溝9の深さ及び温度)をリアルタイムに判別(モニタリング)することができる。その結果、加工点SPごとの加工溝9の深さと、加工溝9の底面形状の安定性と、温度によるダメージと、をリアルタイムに評価することができる。
【0088】
[第2実施形態]
図8は、第2実施形態のレーザ加工装置10の概略図である。上記第1実施形態では、顕微鏡35により撮影された加工点SPの観察像36からプラズマ60の輝度を検出している。この際にプラズマ60の波長域はブロードであるので、プラズマ60の波長域にレーザ光Lの波長域が含まれており、第1実施形態の輝度検出部48によるプラズマ60の輝度の検出結果には、加工点SPでのレーザ光Lの散乱光の影響も含まれる。そこで、第2実施形態のレーザ加工装置10は、プラズマ60の輝度の検出結果に含まれるレーザ光Lの散乱光の影響を抑える。
【0089】
第2実施形態のレーザ加工装置10は、フィルタ65が設けられている点を除けば第1実施形態のレーザ加工装置10と基本的に同じ構成である。このため、上記第1実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0090】
フィルタ65は、本発明の光学素子に相当するものであり、集光レンズ34と顕微鏡35との間の光路上に設けられている。なお、フィルタ65の配置位置は、ウェーハWから顕微鏡35に至る光路上の位置であって且つレーザ光源26からウェーハWに至るレーザ光Lの光路を除いた位置であれば特に限定はされない。また、フィルタ65が顕微鏡35に設けられていてもよい。
【0091】
フィルタ65は、レーザ光Lの波長域の光を遮断する、すなわちレーザ光Lの波長域の光が顕微鏡35に入射することを防止する。このフィルタ65としては、ハイパスフィルタ、ローパスフィルタ、及びバンドパスフィルタ等の特定の波長域の光を透過或いは遮断する公知の各種フィルタ(二種以上を組み合わせても可)が用いられる。また、フィルタ65の代わりにダイクロイックミラー或いはダイクロイックプリズム等を用いてもよい。
【0092】
第2実施形態の顕微鏡35は、各ストリートCHのレーザ加工が行われている間、フィルタ65を通して加工点SPの撮影を行う。これにより、顕微鏡35の撮像素子によるレーザ光Lの波長域の光の撮像が防止される。その結果、第2実施形態の輝度検出部48は、プラズマ60の全波長域の中でレーザ光Lの波長域を除いた波長域の光に基づきプラズマ60の輝度を検出することができる。
【0093】
以上のように第2実施形態では、顕微鏡35に入射するレーザ光Lの波長域の光をフィルタ65により遮断することで、プラズマ60の輝度の検出結果に含まれるレーザ光Lの散乱光の影響(ノイズ)を抑えることができる。その結果、加工点SPごとの加工溝9の加工状態の判別をより高精度に行うことができる。
【0094】
なお、フィルタ65を集光レンズ34と顕微鏡35との間の光路上に常時配置する代わりに、不図示のアクチュエータにより集光レンズ34と顕微鏡35との間の光路に挿脱自在に設けてもよい。これにより、例えばアライメント検出等の各ストリートCHのレーザ加工以外の場合には、フィルタ65を上述の光路から退避させることができる。
【0095】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態のレーザ加工装置10について説明を行う。上記各実施形態では、各ストリートCHのレーザ加工を行う場合に、レーザ光Lのエネルギー以外の加工条件が同一であるものとして説明を行ったが、第3実施形態のレーザ加工装置10は複数の加工条件で選択的に各ストリートCHのレーザ加工を行う。
【0096】
図9は、各ストリートCHのレーザ加工の加工条件の例を示した説明図である。
図9に示すように、第3実施形態のレーザ加工装置10は、例えば、ウェーハWの表面からの加工点SPの深さ位置(Z方向位置)と、加工溝9の形成により発生する除去物の除去量との少なくともいずれか一方が異なる3つの第1加工条件~第3加工条件で選択的に各ストリートCHのレーザ加工を行う。
【0097】
図9の符号IXAに示すように、第1加工条件では、加工点SPの深さ位置がウェーハWの表面付近に設定され、且つ除去物の除去量が多くなる(すなわち加工溝9の深さが深くなる)ように設定されている。この第1加工条件では、他の加工条件よりもプラズマ60の輝度が増加する。
【0098】
図9の符号IXBに示すように、第2加工条件では、加工点SPの深さ位置が第1加工条件よりも深い位置(ウェーハWの内部)に設定され、且つ除去物の除去量が多くなるように設定されている。この第2加工条件では、第1加工条件よりもプラズマ60がウェーハWの内部に入り込むため、観察光学系30で観察されるプラズマ60の輝度は第1加工条件よりも減少する。
【0099】
図9の符号IXCに示すように、第3加工条件では、加工点SPの深さ位置がウェーハWの表面付近に設定され、且つ除去物の除去量が少なくなる(すなわち加工溝9の深さが浅くなる)ように設定されている。この第3加工条件では、他の加工条件よりもプラズマ60の輝度が減少する。
【0100】
なお、レーザ光L(加工点SP)のスポット径及びストリートCH(ウェーハW)の材質等も加工条件に含めることにより、加工条件の数を4以上に増加させてもよい。
【0101】
このようにレーザ光Lのエネルギー以外の加工条件が異なる場合においても観察光学系30で観察されるプラズマ60の輝度は変化する。このため、仮に各加工条件でのレーザ光Lのエネルギーとプラズマ60の輝度とが同一であったとしても、加工条件ごとに加工点SPに形成される加工溝9の深さ及び加工点SPの温度は互いに異なる。そこで、第3実施形態のレーザ加工装置10では、加工条件ごとに異なる対応情報62を用いて加工点SPごとの加工溝9の加工状態を判別する。
【0102】
図10は、第3実施形態のレーザ加工装置10の制御装置22の機能ブロック図である。
図10に示すように、第3実施形態のレーザ加工装置10は、記憶部39に複数の加工条件(第1加工条件~第3加工条件)にそれぞれ対応した複数の対応情報62が記憶されている点を除けば、上記各実施形態のレーザ加工装置10と基本的に同じ構成であるので、上記各実施形態と機能又は構成上同一のものについては同一符号を付してその説明は省略する。
【0103】
各対応情報62は、加工条件ごとの「プラズマ60の輝度」と「レーザ光Lのエネルギー」と「加工点SPの加工溝9の深さ及び温度」との対応関係を示す情報であり、予め実験又はシミュレーション等に基づき加工条件ごとに生成されて記憶部39に記憶されている。
【0104】
第3実施形態の操作部38は、加工条件を選択する選択操作を受け付ける。この場合に、操作部38は本発明の加工条件選択部として機能する。
【0105】
第3実施形態のレーザ加工制御部42は、操作部38で選択された加工条件(加工点SPの深さ位置等)に従って、移動機構24及びレーザ光学系25を制御して、加工対象のストリートCHに沿って加工溝9を形成する。
【0106】
第3実施形態の加工状態判別部50は、操作部38で選択された加工条件に対応する対応情報62を記憶部39から取得する。以下、加工状態判別部50は、上記各実施形態と同様に、輝度検出部48から新たな加工点SPのプラズマ60の輝度検出結果が入力されるごとに、この輝度検出結果と既知のレーザ光Lのエネルギーとに基づき、先に取得した対応情報62を用いて、加工点SPの加工溝9の加工状態を判別する。
【0107】
以上のように第3実施形態では、加工条件ごとに異なる対応情報62を用いて加工溝9の加工状態を判別することができるので、加工溝9の加工状態をより正確に判別することができる。
【0108】
[第4実施形態]
図11は、第4実施形態のレーザ加工装置10によりレーザ加工が施されるストリートCHの拡大図である。上記各実施形態ではストリートCHの表面がLow-K膜等により同一の材質(例えば二酸化ケイ素等)で形成されているが、
図11に示すように、ストリートCHの表面の一部に、TEG(Test Element Group)などのパターン66がアルミニウム等の金属により形成されている場合がある。この場合にストリートCHの表面には、Low-K膜等(二酸化ケイ素等)が露出している領域と、パターン66(アルミニウム等)が形成されている領域と、を含む材質が異なる複数の領域が存在している。そして、これら材質ごとに、レーザ光Lのエネルギーと、プラズマ60の輝度と、加工点SPにおける加工溝9の加工状態(加工溝9の深さ及び加工点SPの温度)との関係が異なる。
【0109】
そこで、第4実施形態のレーザ加工装置10は、ストリートCHの表面の材質ごとに異なる対応情報62を用いて加工点SPごとの加工溝9の加工状態を判別する。
【0110】
図12は、第4実施形態のレーザ加工装置10の制御装置22の機能ブロック図である。
図12に示すように、第4実施形態のレーザ加工装置10は、制御装置22に位置検出センサ70が接続され、且つ制御装置22が前述の各部の他に位置情報取得部72として機能し、且つ記憶部39に設計情報74及び複数の対応情報63が記憶されている点を除けば上記各実施形態のレーザ加工装置10と基本的に同じ構成である。このため、上記各実施形態と機能又は構成上同一のものについては同一符号を付してその説明は省略する。
【0111】
図12に示すように、位置検出センサ70は、例えばXYZθステージ14に設けられており、XYZθステージ14のXYZθ方向の位置を検出してその位置検出結果を位置情報取得部72へ出力する。
【0112】
位置情報取得部72は、レーザ光学系25によるストリートCHのレーザ加工が行われている間、位置検出センサ70から入力されたXYZθステージ14の位置検出結果に基づき、ストリートCH上での加工点SPの相対位置を示すX方向位置を繰り返し検出し、加工点SPのX方向位置を加工状態判別部50へ繰り返し出力する。なお、位置情報取得部72による加工点SPのX方向位置の検出は、レーザ光Lの発光トリガに同期して実行されること、すなわち既述の加工点SPの撮影に同期して実行されることが好ましい。
【0113】
設計情報74は、ウェーハWの各ストリートCHのX方向位置ごと(領域ごと)の材質を示した情報である。位置情報取得部72による加工点SPのX方向位置の検出結果と、設計情報74とを照合することで、加工点SPの位置でのストリートCHの表面の材質を判別することができる。
【0114】
各対応情報63は、ストリートCHの材質ごとの「プラズマ60の輝度」と「レーザ光Lのエネルギー」と「加工点SPの加工溝9の深さ及び温度」との対応関係を示す情報であり、予め実験又はシミュレーション等に基づき加工条件ごとに生成されて記憶部39に記憶されている。
【0115】
第4実施形態の加工状態判別部50は、レーザ光学系25によるストリートCHのレーザ加工が行われている間、位置情報取得部72から入力される加工点SPのX方向位置の検出結果に基づき、設計情報74を参照して加工点SPの位置でのストリートCHの表面の材質を判別し、この材質に対応した対応情報63を記憶部39から取得する。そして、加工状態判別部50は、輝度検出部48から入力されたプラズマ60の輝度検出結果と既知のレーザ光Lのエネルギーとに基づき、先に取得した対応情報63を用いて、加工点SPの加工溝9の加工状態を判別する。
【0116】
以下、加工状態判別部50は、加工点SPごとに、加工点SPのX方向位置の検出と、ストリートCHの表面の材質の判別と、対応情報63の取得と、加工点SPの加工溝9の加工状態の判別と、を繰り返し実行する。
【0117】
図13は、第4実施形態のレーザ加工装置10によるウェーハWのストリートCHごとのレーザ加工処理の流れを示すフローチャートである。なお、ステップS1からステップS6までの処理は、上記第1実施形態(
図7参照)と同一であるので、ここでは具体的な説明は省略する。
【0118】
図13に示すように加工対象のストリートCHに沿ってレーザ加工が開始されると、既述のステップS5,S6と並行して位置情報取得部72が、位置検出センサ70の位置検出結果に基づきレーザ光Lの発光トリガに同期して加工点SPのX方向位置を検出して、この加工点SPのX方向位置を加工状態判別部50へ出力する(ステップS6A)。
【0119】
次いで、加工状態判別部50が、位置情報取得部72から入力される加工点SPのX方向位置の検出結果に基づき、設計情報74を参照して加工点SPの位置でのストリートCHの表面の材質を判別し(ステップS6B)、この加工点SPの材質に対応した対応情報63を記憶部39から取得する(ステップS7A)。そして、加工状態判別部50は、ステップS6でのプラズマ60の輝度検出結果と既知のレーザ光Lのエネルギーとに基づき、対応情報63を用いて、加工点SPの加工溝9の加工状態を判別する(ステップS8)。
【0120】
以下、ストリートCHに沿った加工点SPごとに、ステップS5からステップS8までの処理が繰り返し実行される。これにより、加工点SPごとにその材質に対応した対応情報63に基づいて加工状態判別部50による加工溝9の加工状態の判別が実行される。これ以降の処理は上記第1実施形態と基本的に同じであるので、ここでは具体的な説明は省略する。
【0121】
以上のように第4実施形態では、加工点SPの位置ごとに加工点SPの材質を判別して、加工点SPの材質に対応した対応情報63を用いて加工溝9の加工状態の判別を行うことにより、ストリートCHの表面に材質が異なる複数の領域が存在している場合であっても加工溝9の加工状態の判別を正確に行うことができる。
【0122】
[第5実施形態]
次に本発明の第5実施形態のレーザ加工装置10について説明する。上記各実施形態のレーザ加工装置10は加工点SPごとの加工溝9の加工状態を判別しているが、第5実施形態のレーザ加工装置10は加工点SPごとの加工溝9の加工状態の判別結果に基づきその加工状態が一定に維持されるようにレーザ加工のフィードバック制御を行う。
【0123】
なお、第5実施形態のレーザ加工装置10は、上記各実施形態のレーザ加工装置10と基本的に同じ構成であるので、上記各実施形態と機能又は構成上同一のものについては同一符号を付してその説明は省略する。
【0124】
図14は、第5実施形態のレーザ加工装置10によるウェーハWのストリートCHごとのレーザ加工処理の流れを示すフローチャートである。なお、ステップS1からステップS6までの処理は、上記各実施形態(
図7及び
図13参照)と同一であるので、ここでは具体的な説明は省略する。
【0125】
図14に示すように、ステップS8において加工状態判別部50が加工点SPの加工溝9の加工状態を判別すると、レーザ加工制御部42が加工溝9の加工状態、例えば加工溝9の深さが一定に維持されるようにレーザ光学系25から出射されるレーザ光Lのエネルギーを制御するフィードバック制御を行う(ステップS8A)。なお、レーザ光Lのエネルギーの制御とは、レーザ光Lの出力(ワット)及び時間(sec)の少なくとも一方を増減させることで、レーザ光Lのエネルギー(J)を増減させることである。
【0126】
例えばレーザ加工制御部42は、加工溝9の深さ等が所定の設計値未満である場合にはレーザ光学系25から出射されるレーザ光Lのエネルギー(J)を増加させる。また逆にレーザ加工制御部42は、加工溝9の深さ等が設計値よりも大きくなる場合にはレーザ光学系25から出射されるレーザ光Lのエネルギー(J)を減少させる。
【0127】
以下、レーザ加工制御部42は、加工対象のストリートCHのレーザ加工が終了するまでの間、加工状態判別部50が加工点SPの加工溝9の深さを判別するごとに、上述のフィードバック制御を繰り返し実行する(ステップS9)。なお、これ以降の処理については上記各実施形態と基本的に同じであるので、ここでは具体的な説明は省略する。
【0128】
図15は、第5実施形態のレーザ加工装置10の効果を説明するための説明図である。なお、
図15の符号XVAは上述のフィードバック制御を行わない場合の加工点SPごとの加工溝9の例示であり、符号XVBは上述のフィードバック制御を行った場合の加工点SPごとの加工溝9の例示である。
【0129】
図15に示すように、第5実施形態のレーザ加工装置10では、加工点SPごとのプラズマ60の輝度の検出結果に基づき加工点SPごとの加工溝9の深さをリアルタイムに判別することで、レーザ光Lのエネルギーを制御して加工溝9の深さを一定に維持することができる。その結果、ストリートCHに沿った加工溝9の深さを一定に維持することができる。これにより、加工溝9の加工品質を向上させることができる。
【0130】
なお、加工溝9の加工状態として加工溝9の深さを一定に維持する代わりに或いはこの加工溝9の深さを一定に維持すると共に、加工点SPの加工温度を一定に維持してもよい。
【0131】
[第6実施形態]
図16は、本発明の第6実施形態のウェーハ加工システム100の構成を示したブロック図である。上記各実施形態ではレーザ加工装置10が単独で使用される場合を例に挙げて説明したが、第6実施形態では複数(1つでも可)のレーザ加工装置10がサーバ200に接続されており、サーバ200において対応情報62(対応情報63を含む)の生成及び各レーザ加工装置10への対応情報62の配信を行う。
【0132】
ウェーハ加工システム100は、複数のレーザ加工装置10とサーバ200とを含む。上記各実施形態と機能又は構成上同一のものについては同一符号を付してその説明は省略する。
【0133】
複数のレーザ加工装置10の中の少なくとも1つのレーザ加工装置10は、対応情報62の生成に用いられる実測情報84の生成機能を有している。この実測情報84は、ストリートCHに沿った加工点SPごとのX方向位置、プラズマ輝度の検出値、レーザ光Lのエネルギー、及び加工溝9の形状(実測値)等を含む。このレーザ加工装置10は、既述の各部の他に白色干渉計55を備え且つ制御装置22が位置情報取得部72、溝形状取得部80、及び実測情報出力部82として機能する点を除けば上記各実施形態のレーザ加工装置10と基本的に同じ構成である。
【0134】
白色干渉計55は、マイケルソン型等の公知のタイプが用いられる。白色干渉計55は、加工対象のストリートCHのレーザ加工が行われている間、ストリートCHに沿った加工点SPごとの加工溝9が形成されるごとに、例えば集光レンズ29を通して加工溝9の干渉画像(干渉縞像)を取得する(例えば特開2018-146391号公報参照)。この干渉画像に基づき加工点SPに形成された加工溝9の溝形状[加工溝9の底面の各部の高さ情報(深さ情報)]が得られる。
【0135】
溝形状取得部80は、加工対象のストリートCHのレーザ加工が行われている間、ストリートCHに沿った加工点SPごとに、白色干渉計55から取得した干渉画像に基づき加工溝9の溝形状を演算してその演算結果を実測情報出力部58へ出力する。以下同様に、溝形状取得部80は、全てのストリートCHのレーザ加工が実行されるごとに、ストリートCHに沿った各加工点SPにおける加工溝9の溝形状を演算してその演算結果を実測情報出力部58へ出力する。
【0136】
実測情報出力部82は、加工対象のストリートCHのレーザ加工が行われている間、加工点SPごとに、位置情報取得部72からの加工点SPのX方向位置と、輝度検出部48からのプラズマ60の輝度検出結果と、レーザ光学系25からレーザ光Lのエネルギー情報と、溝形状取得部80からの加工溝9の溝形状演算結果と、を取得する。そして、実測情報出力部82は、これらの取得結果に基づき実測情報84を生成する。これにより、ストリートCHに沿った加工点SPごとのX方向位置、プラズマ輝度、レーザ光Lのエネルギー、及び加工溝9の溝形状(実測値)の関係が得られる。
【0137】
以下同様に、実測情報出力部82は、全てのストリートCHのレーザ加工が実行されるごとに実測情報84を生成する。そして、実測情報出力部82は、ウェーハWのストリートCHごとの実測情報84をサーバ200へ出力する。
【0138】
サーバ200は、各種のプロセッサ及びメモリ等から構成された演算回路により構成されており、対応情報生成部202及び記憶部204として機能する。
【0139】
対応情報生成部202は、実測情報出力部82から入力されたウェーハWのストリートCHごとの実測情報84に基づき、このウェーハWの種類に対応した対応情報62を生成する。なお、ここでは、ウェーハWの種類に対応したプラズマ60の輝度とレーザ光Lのエネルギーと加工点SPの温度との関係は別途測定されているものとする。そして、対応情報生成部202は、生成した対応情報62をウェーハWの種類に関連付けた状態で記憶部204に記憶させる。
【0140】
記憶部204には、対応情報生成部202により生成された対応情報62がウェーハWの種類ごとに記憶されている。これにより、各レーザ加工装置10の加工状態判別部50は、サーバ200の記憶部204内に記憶されている対応情報62を用いて加工点SPごとの加工溝9の加工状態を判別することができる。なお、図示は省略するが、記憶部204内に既述の設計情報74をウェーハWの種類ごとに記憶させてもよい。
【0141】
以上のように第6実施形態では、レーザ加工装置10に加工溝9の形状の取得機能(白色干渉計55)を設けることにより対応情報62を生成することができる。これにより、新規のウェーハWのレーザ加工(加工状態のモニタリング)に容易に対応することができる。また、第6実施形態では、サーバ200の記憶部204内に対応情報62を記憶させることで、複数のレーザ加工装置10で対応情報62を共用することができる。
【0142】
上記第6実施形態では、白色干渉計55を用いて加工溝9の溝形状を取得しているが、各種干渉計、測距装置、レーザスキャナ、或いはステレオカメラ等の各種形状測定装置を用いて加工溝9の溝形状を取得してもよい。また、レーザ加工装置10に加工点SPの温度を測定する温度センサ(放射温度計等)を設けて、加工点SPごとに温度測定を行ってもよい。これにより、ウェーハWの種類に対応したプラズマ60の輝度とレーザ光Lのエネルギーと、加工点SPの温度との関係が得られ、この関係を示す対応情報62を生成することができる。
【0143】
上記第6実施形態では、サーバ200に対応情報生成部202が設けられているが、レーザ加工装置10の制御装置22に対応情報生成部202が設けられていてもよい。
【0144】
[その他]
図17は、レーザ加工装置10によるストリートCHに沿った2条の縁切り溝9A及び中抜き溝9Bの形成を説明するための説明図である。上記各実施形態のレーザ加工装置10は、ストリートCHに沿って1本の加工溝9を形成しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば
図17に示すように、2条のレーザ光L1を用いてストリートCHに沿って2条の縁切り溝9A(遮断溝)を形成する縁切り加工と、1本のレーザ光L2を用いて2条の縁切り溝9Aの間に中抜き溝9B(分割溝)を形成する中抜き加工と、を行うレーザ加工装置10にも本発明を適用可能である(上記特許文献1参照)。この場合にも各レーザ光L1,L2の加工点SPごとに2条の縁切り溝9A及び中抜き溝9Bの加工状態をリアルタイムに判別することができる。
【0145】
上記実施形態では、本発明の移動機構としてXYZθステージ14及び移動機構24を例に挙げて説明したが、加工ユニット18とウェーハWとを相対移動可能であればその構成は特に限定はされない。
【0146】
上記各実施形態では、レーザ光学系25の照射光軸と観察光学系30の観察光軸とが同軸であるが、観察光学系30の観察視野内に加工点SPが含まれていれば照明光軸と観察光軸とが異なっていてもよい。すなわち、レーザ光学系25と観察光学系30とが別体に設けられていてもよい。
【0147】
上記各実施形態では、制御装置22がレーザ加工装置10と別体に設けられていてもよい。この場合には制御装置22が本発明のレーザ加工装置に相当する。
【0148】
上記各実施形態では、加工点SPごとの加工溝9の加工状態として加工溝9の深さ及び加工点SPの温度を判別しているが、加工状態の種類については特に限定はされるものではない。
【符号の説明】
【0149】
4 チップ
9 加工溝
9A 縁切り溝
9B 中抜き溝
10 レーザ加工装置
12 ベース
14 XYZθステージ
16 吸着ステージ
18 加工ユニット
20 モニタ
22 制御装置
24 移動機構
25 レーザ光学系
26 レーザ光源
27 コリメートレンズ
28 ハーフミラー
29 集光レンズ
30 観察光学系
31 照明光源
32 コリメートレンズ
33 ハーフミラー
34 集光レンズ
35 顕微鏡
36 観察像
38 操作部
39 記憶部
40 検出制御部
42 レーザ加工制御部
44 撮影制御部
46 観察像取得部
48 輝度検出部
50 加工状態判別部
52 表示制御部
55 白色干渉計
58 実測情報出力部
60 プラズマ
62 対応情報
62A 除去量演算式
62B 溝深さ演算式
62C 温度演算式
63 対応情報
65 フィルタ
66 パターン
70 位置検出センサ
72 位置情報取得部
74 設計情報
80 溝形状取得部
82 実測情報出力部
84 実測情報
100 ウェーハ加工システム
200 サーバ
202 対応情報生成部
204 記憶部
CH ストリート
IL 照明光
L,L1,L2 レーザ光
SP 加工点
W ウェーハ