(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-04
(45)【発行日】2025-03-12
(54)【発明の名称】光源装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20250305BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20250305BHJP
F21V 9/30 20180101ALI20250305BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20250305BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20250305BHJP
【FI】
F21S2/00 310
F21V23/00 113
F21V9/30
F21V8/00 300
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2022545616
(86)(22)【出願日】2021-08-06
(86)【国際出願番号】 JP2021029325
(87)【国際公開番号】W WO2022044774
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2024-07-09
(31)【優先権主張番号】P 2020142924
(32)【優先日】2020-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100184985
【氏名又は名称】田中 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100218981
【氏名又は名称】武田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】金澤 龍也
(72)【発明者】
【氏名】岡久 英一郎
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/198596(WO,A1)
【文献】特開2016-018594(JP,A)
【文献】特開2015-005393(JP,A)
【文献】特開2010-102049(JP,A)
【文献】米国特許第04281896(US,A)
【文献】特開2015-065144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 23/00
F21V 9/30
F21V 8/00
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1反射面及び第2反射面を含む複数の反射面と、前記第1反射面と前記第2反射面との間を繋ぐ第1透過面を含む1または複数の透過面と、を有する反射部材と、
前記反射部材が配される方向に進み、前記第1反射面に入射する第1の光を出射する第1発光素子と、前記反射部材が配される方向に進み、前記第2反射面に入射する第2の光を出射する第2発光素子と、を含む複数の発光素子と、
前記反射部材が配される方向に進み、前記第1透過面を透過した前記第1の光が照射される第1受光面が設けられた第1光検出器と、
を備える光源装置(但、前記複数の発光素子から出射されて前記反射部材へと向かう光に対して、相対的に前記複数の反射面の位置を移動させることで、前記複数の反射面に照射される光と前記1または複数の透過面を透過する光の割合を変化させる移動機構を備える光源装置を除く)。
【請求項2】
前記反射部材が配される方向に進む前記第1の光の光軸及び第2の光の光軸は、第1の距離を空けて平行に進み、前記第1反射面によって反射された前記第1の光の光軸及び前記第2反射面によって反射された前記第2の光の光軸は、前記第1の距離よりも短い第2の距離を空けて平行に進む、請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記第1の光及び第2の光を含む、前記複数の発光素子から出射された複数の光をコリメートする1以上のコリメートレンズをさらに備え、
前記複数の反射面に、コリメートされた前記複数の光が入射する請求項1または2に記載の光源装置。
【請求項4】
第2受光面が設けられた第2光検出器をさらに備え、
前記第1光検出器は、前記反射部材が配される方向に進む前記第1の光の光軸を通る仮想的な直線である第1直線が通過する位置に設けられ、
前記第2光検出器は、前記反射部材によって反射された前記第1の光の光軸を通る仮想的な直線である第2直線が通過する位置に設けられる、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項5】
前記第1光検出器は、前記第2直線が通過しない位置に設けられ、
前記第2光検出器は、前記第1直線が通過しない位置に設けられる請求項4に記載の光源装置。
【請求項6】
前記複数の発光素子から出射され、前記反射部材によって反射された前記複数の光を集光する集光レンズと、
前記集光レンズにより集光された前記複数の光が入射する光ファイバをさらに備える請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項7】
前記光ファイバに入射した前記複数の光を波長変換する波長変換部材をさらに備える請求項6に記載の光源装置。
【請求項8】
前記反射部材は、前記複数の反射面と、前記1または複数の透過面とが交互に設けられ、階段状の形状が形成されている請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項9】
第1反射面及び第2反射面を含む複数の反射面を有する、1または複数の反射部材と、
前記反射部材が配される方向に進み、前記第1反射面に入射する第1の光を出射する第1発光素子と、前記反射部材が配される方向に進み、前記第2反射面に入射する第2の光を出射する第2発光素子と、を含む複数の発光素子と、
前記反射部材が配される方向に進み、前記第1反射面と前記第2反射面との間に存在する透過領域であって、前記第1反射面よりも前記第1の光を透過する前記透過領域を透過した前記第1の光が照射される第1受光面が設けられた第1光検出器と、
を備える光源装置
(但、前記複数の発光素子から出射されて前記反射部材へと向かう光に対して、相対的に前記複数の反射面の位置を移動させることで、前記複数の反射面に照射される光と前記透過領域を透過する光の割合を変化させる移動機構を備える光源装置を除く)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の光源と、複数の光源からの光を反射する階段状の反射面を有する階段ミラーと、反射された光を集光するレンズ部と、を備える光源装置が開示されている。この特許文献1に開示されている発明は、階段ミラーを備えた簡素かつ安価な光源装置を提供することを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の光源から出射される光の出力状態を検知することができる光源装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態における光源装置は、第1反射面及び第2反射面を含む複数の反射面と、前記第1反射面と前記第2反射面との間を繋ぐ第1透過面を含む1または複数の透過面と、を有する反射部材と、前記反射部材が配される方向に進み、前記第1反射面に入射する第1の光を出射する第1発光素子と、前記反射部材が配される方向に進み、前記第2反射面に入射する第2の光を出射する第2発光素子と、を含む複数の発光素子と、前記反射部材が配される方向に進み、前記第1透過面を透過した前記第1の光が照射される第1受光面が設けられた第1光検出器と、を備える。
【0006】
本開示の実施形態によれば、光の出力状態を検知することができる光源装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る光源装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る光源装置の筐体内部に配置される各構成要素、及び、出射光の光路を説明する模式図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る光源装置において、反射部材による光学作用を説明するための拡大図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る光源装置の筐体内部における戻り光の光路を説明する模式図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る反射部材の斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る発光装置の斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る発光装置のパッケージ内部に配置される各構成要素を説明するための斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る発光装置の上面図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る発光装置のパッケージ内部に配置される構成要素を説明するための上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書または特許請求の範囲において、三角形や四角形などの多角形に関しては、多角形の隅に角丸め、面取り、角取り、丸取り等の加工が施された形状も含めて、多角形と呼ぶものとする。また、隅(辺の端)に限らず、辺の中間部分に加工が施された形状も同様に、多角形と呼ぶものとする。つまり、多角形をベースに残しつつ、部分的な加工が施された形状は、本明細書及び特許請求の範囲で記載される“多角形”の解釈に含まれるものとする。
【0009】
また、多角形に限らず、台形や円形や凹凸など、特定の形状を表す言葉についても同様である。また、その形状を形成する各辺を扱う場合も同様である。つまり、ある辺において、隅や中間部分に加工が施されていたとしても、“辺”の解釈には加工された部分も含まれる。なお、部分的な加工のない“多角形”や“辺”を、加工された形状と区別する場合は“厳密な”を付して、例えば、“厳密な四角形”などと記載するものとする。
【0010】
また、本明細書または特許請求の範囲において、ある名称によって特定される要素が複数あり、それぞれを区別して表現する場合に、要素のそれぞれの頭に“第1”、“第2”などの序数詞を付記することがある。また、同一の序数詞が付された要素が本明細書と特許請求の範囲の両方に現れている場合に、明細書と特許請求の範囲との間で、同一の要素を指さない場合がある。
【0011】
例えば、明細書において“第1”、“第2”、“第3”と付記されて区別される3つの要素があり、明細書の“第1”及び“第3”の2つの要素のみを対象として特許請求の範囲を記載する場合に、特許請求の範囲においては、この2つの要素が“第1”、“第2”と付記されて区別されることがある。このとき、特許請求の範囲において“第1”と付記される要素は、明細書において“第1”又は“第3”と付記される要素の一方であり、特許請求の範囲において“第2”と付記される要素は、本明細書において明細書において“第1”又は“第3”と付記される要素の他方である。
【0012】
また、本明細書または特許請求の範囲において、特定の方向または位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」及びそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。それらの用語は、参照した図面における相対的な方向または位置をわかり易さのために用いているに過ぎない。参照した図面における「上」、「下」等の用語による相対的な方向または位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品、製造装置等において、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。
【0013】
以下に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を説明する。ただし、示される形態は、本発明の技術思想が具体化されたものではあるが、本発明を限定するものではない。また、以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、重複した説明は適宜省略することがある。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、理解の便宜を図るために誇張していることがある。
【0014】
<実施形態>
実施形態に係る光源装置1を説明する。
図1乃至
図9は、光源装置1の例示的な一形態を説明するための図面である。
図1は、光源装置1の斜視図である。
図2は、光源装置1の筐体10の内部空間に配置される複数の構成要素を説明するための模式図である。また、ハッチングされた領域は発光装置20から出射された光を示している。
図3は、
図2で示される出射光の光学作用に関し、反射部材30による部分を拡大した図である。
図4は、筐体10の内部空間における、戻り光の光路を説明するための模式図である。また、ハッチングされた領域は戻り光を示している。
【0015】
図5は、反射部材30の斜視図である。
図6は、発光装置20の斜視図である。
図7は、発光装置20のパッケージ21の内部空間に配置される1以上の構成要素を説明するための斜視図である。
図8は、発光装置20の上面図である。また、ハッチングされた領域は発光装置20から出射された光を示している。
図9は、
図7の斜視図を上面からみた上面図である。
【0016】
光源装置1は、筐体10、1以上の発光装置20、反射部材30、集光レンズ40、1または複数の光検出器50、及び、光ファイバ60を含む複数の構成要素を備える。なお、これらと異なる構成要素をさらに有していてもよく、また、同じ構成要素をさらに有していてもよい。
【0017】
まず、各構成要素について説明する。
(筐体10)
筐体10は、底面と、1または複数の側面と、底面の上方に位置する上面と、を有する。また、筐体10によって、底面、1または複数の側面、及び、上面に囲われる内部空間が形成される。この内部空間に、他の構成要素を配置することができる。
【0018】
また、筐体10には、1または複数の開口11が形成されている。例えば、開口11は、筐体10の上面に形成される。また例えば、開口11は、筐体10の側面に形成される。図示される光源装置1では、筐体10の上面及び側面にそれぞれ開口11が形成されている。また、筐体10は、主要な光を筐体10の外部へと出射させる出射口12が形成される。例えば、出射口12は、筐体10の側面に形成される。
【0019】
また、上面に設けられる開口11は、出射口12が形成された側面よりも、その反対側の側面に近い位置に形成される。また、出射口12は、開口11が形成された側面とは反対側の側面に形成することができる。また、側面に形成される開口11及び出射口12は、筐体10の底面に平行な仮想的な直線がこれらを通過する位置に、それぞれ設けられている。
【0020】
(発光装置20)
発光装置20は、パッケージ21、1または複数の発光素子22、1または複数のサブマウント23、1または複数の反射部材24、及び、1または複数のコリメートレンズ25を含む、複数の構成要素を備える。ここで、符号によっても区別できるが、便宜上、反射部材30を第1反射部材30、反射部材24を第2反射部材24と呼んで区別する。
【0021】
パッケージ21の内部には、発光装置20の他の構成要素が配置される、封止された空間が形成されている。パッケージ21は、例えば、凹部を形成する基部と、凹部に蓋をする蓋部と、で構成することができる。パッケージ21内部に形成された封止空間には、1または複数の発光素子22が配置される。またさらに、1または複数の第2反射部材24が配置されてもよい。また、1または複数の発光素子22は、1または複数のサブマウント23に載置されてもよい。
【0022】
発光素子22は、半導体レーザ素子である。なお、発光素子22は、半導体レーザ素子に限らず、発光ダイオードなどであってもよい。発光素子22が半導体レーザ素子である場合、パッケージ21内部の空間は、気密された状態で封止され得る。これにより、集塵による光の品質劣化を抑制できる。
【0023】
発光素子22は、パッケージ21の底面に配置され、側方に光を出射する。そのため、発光素子22の光の出射面は、側面に位置する。なお、上方に光を出射するように、光の出射面を上面に位置させてもよい。また、複数の面に、光の出射面が設けられてもよい。
【0024】
発光素子22において最も面積の大きな面が、上面または下面に位置するように配置される。発光素子22が半導体レーザ素子である場合、側面に出射面を設けることで、このように配置することができる。これにより、発光素子22から発生する熱が、パッケージ21を伝って放熱され易くなる。また、サブマウント23を間に挟むことで、さらに放熱性を向上させることもできる。
【0025】
発光素子22の出射面から出射された光は、第2反射部材24の反射面に照射される。第2反射部材24によって反射された光は、上方に進み、パッケージ21の外部へと出射される。パッケージ21の外部へと出射された光は、コリメートレンズ25を通過して、コリメート光となって発光装置20の外部へと出射される。
【0026】
1または複数のコリメートレンズ25は、パッケージ21の上方に配置される。また、パッケージ21に固定される。コリメートレンズ25は、入射した光をコリメートされた光に変えるためのレンズ面を有する。1のレンズ面が、1の発光素子22からの光をコリメートするように設計される。コリメートレンズ25が複数の発光素子22からの光をコリメートする場合、レンズ面も複数になる。なお、発光装置20は、コリメートレンズ25を備えていなくてもよい。例えば、コリメートレンズ25は、発光装置20の一部の構成要素としてではなく、発光装置20とは別個の構成要素として、光源装置1に備わっていてもよい。
【0027】
図示される発光装置20は、複数の発光素子22、複数のサブマウント23、複数の第2反射部材24、及び、1のコリメートレンズ25を備える構成を例示している。また、複数の発光素子22は並べて配置されており、複数の発光素子22が並ぶ方向と同じ方向に、複数の第2反射部材24も並べて配置されている。また同様に、コリメートレンズ25が有する複数のレンズ面も同じ方向に並べて配置されている。これにより、発光装置20からは、複数のコリメート光が並んで出射される。
【0028】
(発光素子22)
ここで、発光素子22の一例である半導体レーザ素子について説明を補足する。半導体レーザ素子から出射される光(レーザ光)は拡がりを有し、光の出射端面と平行な面において楕円形状のファーフィールドパターン(以下「FFP」という。)を形成する。FFPとは、出射端面から離れた位置における出射光の形状や光強度分布である。
【0029】
ここで、FFPの楕円形状の中心を通る光、言い換えると、FFPの光強度分布においてピーク強度の光を、光軸を進む光、と呼ぶものとする。また、光軸を進む光の光路を、その光の光軸、と呼ぶものとする。また、FFPの光強度分布において、ピーク強度値に対して1/e2以上の強度を有する光を、主要部分の光と呼ぶものとする。
【0030】
半導体レーザ素子から出射される光のFFPの楕円形状において、楕円の短径方向をFFPの遅軸方向、長径方向をFFPの速軸方向というものとする。半導体レーザ素子を構成する、活性層を含んだ複数の層は、FFPの速軸方向に積層される。
【0031】
また、FFPの光強度分布に基づき、主要部分の光に相当する角度を、その半導体レーザ素子の光の拡がり角というものとする。楕円形状のFFPにおいては、速軸方向の光の拡がり角の方が、遅軸方向の光の拡がり角よりも大きくなる。
【0032】
(第1反射部材30)
第1反射部材30は、複数の反射面31を有する。この複数の反射面31は、同一平面上になく、かつ、互いに平行である。また、複数の反射面31は、第1反射部材30の同じ面側に設けられる。また、この複数の反射面31は、この反射面31に平行な平面に垂直な方向から見た平面視で、互いに重ならない位置に設けられている。なお、一部で重なっていてもよい。
【0033】
第1反射部材30は、階段状の外形を有しており、連続する段のそれぞれにおいて、反射面31が形成される。また、第1反射部材30は、反射面31から連続する透過面32を有する。第1反射部材30には、1または複数の透過面32が形成されている。
【0034】
第1反射部材30の階段部分において、複数の反射面31と、1または複数の透過面32とが交互に設けられる。また、1または複数の透過面32には、2つの反射面31の間を繋ぐ透過面32が含まれる。この透過面32は、2つの反射面31の両方と連続する。またさらに、第1反射部材30は複数の透過面32を有し、複数の透過面32には、反射面31と同じ平面上において、反射面31から連続する透過面32が含まれていてもよい。
【0035】
ここで、第1反射部材30において階段状に段差を形成する複数の平面を段差面と呼ぶものとする。第1反射部材30は、段差を形成する複数の段差面を含む、ということができる。連続する段の一方を下段とし、他方を上段とすると、複数の段差面には、少なくとも、下段における上面、上段における上面、及び、両方の上面と交わる側面、が含まれる。
【0036】
ここでさらに、段差面における上面を段差上面33と呼び、側面を段差側面34と呼ぶものとする。階段状の段差を形成するには、2以上の段差上面33と1以上の段差側面34を要する。段差側面34は、連続する段の両方の段差上面33と交わる。また、段差上面33と段差側面34は、互いに垂直に交わる。なお、ここでの垂直は、±2度以内の差を含む。
【0037】
第1反射部材30は、段差上面33の反対側に位置する底面を有する。複数の段差面は、底面を基準にして、階段状の形状を形成する。また、最上段の段差上面33と交わる段差側面34の反対側でこの段差上面33と交わる外側面、及び、最下段の段差上面33と交わる段差側面34の反対側でこの段差上面33と交わる外側面、を有する。複数の段差面は、この2つの外側面の間にある。
【0038】
複数の反射面31は、複数の段差上面33に設けられる。連続する段の段差上面33に、それぞれ反射面31が設けられる。また、段差側面34はそれぞれ、光を透過する透過面32となっている。例えば、概形(主要な形)を形成する透光性の母材の全表面の一部に反射面31を設けることで、反射面31と透過面32を有する第1反射部材30を作ることができる。例えば、誘電体多層膜によって反射膜31が形成される。反射面31は、段差上面33の一部または全部に形成される。透過面32は、段差側面34の一部または全部に形成される。
【0039】
なお、反射面31は、特定の波長の光に対して、反射率が90%以上である。また、好ましくは、反射率が95%以上である。また、さらに好ましくは、反射率は99%以上である。反射面31により反射された光が光源装置1の主要な出射光になる場合、反射率が高い方がより多くの光を取り込むことができる。一方で、透過面32を通過する光の他にも、透過光が必要な場合には、反射面31の反射率を下げることで、反射面を通過する光を利用することもできる。反射面31の反射率は、高い方が好ましいが、透過光として利用したい光のバランスを考慮して、適宜設定されればよく、上記した反射率の数値条件は、少なくとも有用と考えられる条件である。
【0040】
透過面32は、同じ特定の波長の光に対する透過率が、反射面31における透過率よりも大きい。具体的な一例として、透過面32は、同じ特定の波長の光に対する透過率が、反射面31における透過率よりも20%以上大きい。また、透過面32は、同じ特定の波長の光に対して、透過率が50%以上であり得る。
【0041】
なお、段差上面33に反射面31を設ける過程で、反射面31の形成に用いた材料の一部が段差側面34にも形成されることが考えられる。このような場合であっても、第1反射部材30の段差側面34には、段差上面33の反射面31と同等の反射率の特性を有する反射面が形成されてはおらず、反射面31よりも光を透過することができる。つまり、第1反射部材30は、段差上面33及び段差側面34に全体的に反射面31が設けられた同じ外形の反射部材と比べると、より多くの光を透過することができるといえる。
【0042】
ここで、段差が形成される方向を段差方向と呼ぶものとする。例えば、段差上面33における段差方向は、この段差上面33と交わる段差側面34に最短距離で到達する方向である。段差側面34における段差方向は、この段差側面34と交わる段差上面33に最短距離で到達する方向である。図示される光源装置1の例では、段差上面33と平行な平面上で、段差上面33と段差側面34との交線に垂直な方向が、段差上面33における段差方向であり、段差側面34と平行な平面上で、段差上面33と段差側面34との交線に垂直な方向が、段差上面34における段差方向である。
【0043】
反射面31の段差方向の長さの方が、透過面32の段差方向の長さよりも大きい。透過面32の段差方向の長さは、反射面31の段差方向の長さの1/3以下である。また、段差上面33の段差方向の長さの方が、この段差上面33と交わる段差側面34の段差方向の長さよりも大きい。段差上面33の段差方向の長さは、この段差上面33と交わる段差側面34の段差方向の長さの3倍以上である。
【0044】
(集光レンズ40)
集光レンズ40は、入射した光を、所定の点または領域に集めるためのレンズである。集光レンズ40は、例えば、平凸レンズである。
【0045】
(光検出器50)
光検出器50は、光を受光する受光面を有する。光検出器50の表面上に受光面が設けられる。また、光検出器50は、受光面に入射した光の強度または光量に応じて電気信号を出力する光電変換素子である。光検出器50は、例えば、フォトダイオードである。
【0046】
(光ファイバ60)
光ファイバ60は、入射口と出射口とを繋ぐファイバを有する。入射口から入射した光は、ファイバ内部を伝搬して、出射口から出射される。光ファイバ60は、例えば、入射口におけるコアの直径が400μm以下である。また、入射口におけるコアの直径が200μm以下であることが好ましい。コアの径を小さくできると、光源装置1や、光源装置1と接続する他の装置を含めた複合装置全体を小型化することができる。
【0047】
(光源装置1)
次に、光源装置1について説明する。光源装置1において、筐体10の内部空間に、1以上の発光装置20が配置される。発光装置20は、筐体10の底面の上に配置される。発光装置20は、コリメートレンズ25が筐体10の上面側を向くように配置される。発光装置20は、上方に向けて光を出射する。コリメートされた光が上方に出射される。
【0048】
1以上の発光装置20から出射される光には、複数の発光素子22から出射された光が含まれる。複数の発光素子22から出射された光は、互いの光軸が平行となって、上方に出射される。なお、ここでの平行は、±2度以内の差を含む。また、複数の発光素子22から出射された光は、遅軸方向に並んで、上方に出射される。
【0049】
上面視で、筐体10の上面に設けられた開口11に、1以上の発光装置20の少なくとも一部が含まれる。側面視で、筐体10の側面に設けられた開口11に、1以上の発光装置20は含まれない。つまり、1以上の発光装置20は、筐体10の側面に設けられた開口11よりも低い位置に配置される。言い換えると、筐体10の側面に設けられた開口11は、1以上の発光装置20よりも高い位置に形成される。
【0050】
光源装置1において、筐体10の内部空間に、第1反射部材30が配置される。第1反射部材30は、1以上の発光装置20の上方に配置される。発光装置20から出射された光は、第1反射部材30が配される方向に進む。発光装置20から出射された光は、第1反射部材30の反射面31によって反射される。また、発光装置20から出射された光の一部は、第1反射部材30の透過面32を透過する。
【0051】
光源装置1において、上述した第1反射部材30の反射面31における反射率の条件、及び、透過面32における透過率の条件は、発光素子22から出射された光、または、発光素子22から出射された光のうちのピーク波長の光を、特定の波長の光として成り立つ。
【0052】
光源装置1において、複数の発光素子22から出射された複数の光は、複数の反射面31に照射され、複数の反射面31により反射される。複数の発光素子22の中には、出射された光が反射面31及び透過面32に入射する1以上の発光素子22が含まれる。複数の発光素子22のそれぞれから出射された光軸を進む光は、それぞれ異なる反射面31に照射される。
【0053】
第1反射部材30は、反射面31が、この反射面31に向かって進む光の光軸に対して斜めに傾くように配置される。反射面31によって反射された光は、出射口12が形成された側面のある方向に進む。
【0054】
複数の発光素子22から出射された光の光軸間の距離は、第1反射部材30が配される方向に進む地点よりも、第1反射部材30によって反射された光が進む地点の方が短い。つまり、階段状の第1反射部材30によって反射されることで、互いの光軸を近付けることができる。これによって、複数の発光素子22からの光をより小さな領域に集めることができる。なお、この観点から、段差側面34の段差方向の長さは小さいことが好ましく、透過面32の段差方向の長さも、反射面31の段差方向の長さより小さいことが好ましい。
【0055】
透過面32に照射された光は、透過面32を通過して、第1反射部材30の底面から出射される。第1反射部材30の底面から出射される光は上方に進む。なお、第1反射部材30の外側面から出射される光を含んでいてもよい。
【0056】
第1反射部材30における階段状の段差の数は、1または複数の発光素子22から出射された光が照射される第1反射部材30の反射面31の数よりも1少ない。また、第1反射部材30における反射面31の数と、第1反射部材30の反射面31に照射される光を出射する発光素子22の数は同じである。
【0057】
図示される光源装置1の例では、1以上の発光装置20から出射される全ての光が、第1反射部材30の反射面31及び透過面32に入射する。また、反射面31は、この反射面31に向かって進む光の光軸に対して45度に傾いている。第1反射部材30の4段の段差のそれぞれに、反射面31が設けられている。
【0058】
光源装置1において、光検出器50が、第1反射部材30のさらに上方に配置される。この光検出器50は、例えば、筐体10の上面に設けられた開口11を塞ぐようにして、筐体10の上面に配置される。
【0059】
また、光源装置1において、さらに別の光検出器50が、第1反射部材30の側方に配置される。この光検出器50は、例えば、筐体10の側面に設けられた開口11を塞ぐようにして、筐体10の側面に配置される。なお、第1反射部材30の上方または側方のいずれかのみに、光検出器50が配置される光源装置1であってもよい。
【0060】
ここでは、これらの光検出器50を区別するため、第1反射部材30のさらに上方に配置される光検出器50については第1光検出器51と、筐体10の側面に配置される光検出器50については第2光検出器52と呼ぶものとする。
【0061】
第1光検出器51は、発光素子22から出射された光が、第1反射部材30を透過し、第1光検出器51の受光面に到達する位置に設けられる。また、第1光検出器51は、発光素子22から出射され、第1反射部材30が配される方向に進む光の光軸を通る仮想的な直線が通過する位置に設けられる。また、第2光検出器52は、この直線が通過しない位置に設けられる。
【0062】
第2光検出器52は、後述する戻り光が、第1反射部材30を透過し、第1光検出器51の受光面に到達する位置に設けられる。また、第2光検出器52は、発光素子22から出射され、第1反射部材30によって反射された光の光軸を通る仮想的な直線が通過する位置に設けられる。また、第1光検出器51は、この直線を通過しない位置に設けられる。
【0063】
第1光検出器51の受光面には、1以上の発光装置20から上方に出射され、第1反射部材30が配される方向に進み、透過面32を透過した光が照射される。また、第1光検出器51の受光面には、複数の発光素子22から出射され、透過面32を透過した光が照射される。この光が第1光検出器51の受光面によって検出されることで、発光装置20または発光素子22から出射される光の出力状態を検知することができる。例えば、複数の発光素子22のうちのいくつかが故障したことにより光源装置1から出射される光の出力が減少したことを迅速に知ることができる。
【0064】
光源装置1において、筐体10の内部空間に、集光レンズ40が配置される。集光レンズ40は、第1反射部材30の側方に配置される。また、集光レンズ40は、第1反射部材30と、出射口12との間に配置される。複数の発光素子22から出射され、第1反射部材30によって反射された複数の光が、集光レンズ40を通過して、出射口12に向かって集光される。
【0065】
光源装置1において、光ファイバ60が、集光レンズ40の側方に配置される。光ファイバ60は、例えば、筐体10の出射口12に取り付けられる。第1反射部材30によって反射され、集光レンズ40を通過した複数の光は、光ファイバ60に入射する。また、光ファイバ60の入射口から入射した光は、ファイバ内を伝搬して、出射口から出射される。
【0066】
例えば、光ファイバ60の出射口から出射された光は波長変換部材70に入射し、波長変換部材70によって波長変換された光が発光される。波長変換部材70は、
図4に例示するように、光ファイバ60に接続し、光源装置1に備わる一つの構成要素とすることができる。この場合、波長変換された光の一部が、光ファイバ60の出射口から入射して、光ファイバ60の入射口から筐体10の内部空間へと出射されることがある。ここでは、例示したように筐体10の外部から内部空間へと入ってくる光を、戻り光と呼ぶものとする。
【0067】
光源装置1では、第2光検出器52によって、この戻り光を受光することができる。この場合に、例えば、第1反射部材30の反射面31は、発光素子22から出射された光を反射する一方で、波長変換された光は透過する。このような反射面31によって、第1反射部材30へと入射する戻り光は、反射面31及び透過面32を透過する。第2光検出器52の受光面には、反射面31及び透過面32を透過した戻り光の少なくとも一部が照射される。この光が第2光検出器52の受光面によって検出されることで、波長変換部材70によって波長変換された光の出力状態を検知することができる。例えば、受光される光が減少したことで、波長変換部材70が破損などによって十分に機能しなくなっていることを迅速に知ることができる。また、筐体10の側面に設けられた開口11が、1以上の発光装置20よりも高い位置に形成されることで、より効果的に戻り光を受光することができる。
【0068】
例えば、複数の発光素子22はそれぞれ青色の光を出射し、波長変換部材70によって波長変換された光との混色により、白色の光を出射させることができる。このような混色を出射させたい場合には、発光素子22により出射される光と波長変換された光とのバランスが、品質維持に重要な要素となり得る。図示される光源装置1の例では、発光素子22や波長変換部材70に故障や破損が生じていないかを検知することに留まらず、高精度に光量バランスを調整するといった目的にも利用することが可能である。
【0069】
なお、青色の光は、その発光ピーク波長が420nm~494nmの範囲内にある光をいうものとする。青色の光を発する発光素子に、窒化物半導体を含む発光素子が挙げられる。窒化物半導体としては、例えば、GaN、InGaN、及びAlGaNを用いることができる。
【0070】
ここで、光源装置1に備わる複数の発光素子22に含まれる2つの発光素子22に基づいて、光の光学作用を説明する。ここでは、2つの発光素子22をそれぞれ、第1発光素子、第2発光素子とする。
【0071】
第1反射部材30の複数の反射面31には、第1発光素子から出射された光(第1の光)が入射する第1反射面と、第2発光素子から出射された光(第2の光)が入射する第2反射面とが含まれる。また、第1反射面及び第2反射面は、連続する段の段差上面33にそれぞれ設けられた反射面とすることができる。
【0072】
第1反射部材30は、第1反射面、第2反射面、及び、第1反射面と第2反射面との間を繋ぐ透過面32(第1透過面と呼ぶものとする)を有する。そして、第1の光または第2の光のうち少なくとも第1の光が、第1透過面を透過し、第1光検出器51の受光面に照射される。
【0073】
第2の光は、第1透過面と反対側で、第2反射面から連続する透過面32(第2透過面と呼ぶものとする)を透過し、第1光検出器51の受光面に照射される。第2透過面は、段差側面34に形成されるか、または、第2反射面と同じ平面上に形成される。
【0074】
第1反射部材30が配される方向に進む第1の光の光軸及び第2の光の光軸は、所定の距離を空けて平行に進む。この所定の距離を第1の距離とすると、第1反射面によって反射された第1の光の光軸及び第2反射面によって反射された第2の光の光軸は、第1の距離よりも短い距離(第2の距離と呼ぶものとする)空けて平行に進む。つまり、第1の距離よりも第2の距離の方が小さい。
【0075】
なお、段差形状の第1反射部材30を例にして説明したが、これに限らず、例えば、複数の反射部材を用いて、第1反射部材30が有する複数の反射面31と同様の配置を実現してもよい。つまり、光源装置1は、以下のような、1または複数の反射部材30を備えるということができる。
【0076】
1または複数の反射部材30は、第1反射面及び第2反射面を含む複数の反射面を有する。また、複数の反射面は、互いに平行な平面であり、かつ、この平面に垂直な方向にずれた配置となり得る。またさらに、第1反射面と第2反射面との間に設けられる透過領域が存在する。また、複数の反射面のうちの2つの反射面であって、それぞれの反射面に平行な2つの平面の間に他の反射面が存在しない関係を満たす2つの反射面の間に、透過領域が存在する。従って、複数の反射面との関係で、1または複数の透過領域が存在することになる。
【0077】
1または複数の透過領域は、その透過領域に係る2つの反射面の少なくともいずれかの反射面よりも、この反射面に照射される光を透過する透過率が高い。また、1または複数の透過領域は、その透過領域に係る2つの反射面のいずれよりも、2つの反射面に照射される光を透過する透過率が高い。なお、ここでの透過率の上限は100%を含み得るものであり、例えば、遮るものがなくそのまま光が直進するような透過領域の透過率は100%といえる。
【0078】
また、第1反射面と第2反射面との間に設けられる透過領域は、第1反射面に照射される光の光軸に平行かつ第1反射面の第2反射面に最も近い辺を通る仮想平面(第1仮想平面)と、第1反射面に照射される光の光軸に平行かつ第2反射面の第1反射面に最も近い辺を通る仮想平面(第2仮想平面)との間に存在し得る。第1反射面と第2反射面との間に設けられる透過領域以外の透過領域についても、透過領域と、この透過領域に係る2つの反射面との関係で、同様のことがいえる。
【0079】
以上、本発明に係る実施形態を説明してきたが、本発明に係る光源装置は、実施形態の光源装置に厳密に限定されるものではない。つまり、本発明は、実施形態により開示された光源装置の外形や構造に限定されなければ実現できないものではない。また、全ての構成要素を必要十分に備えることを必須とせずに適用され得るものである。例えば、特許請求の範囲に、実施形態により開示された光源装置の構成要素の一部が記載されていなかった場合、その一部の構成要素については、代替、省略、形状の変形、材料の変更などの当業者による設計の自由度を認め、その上で特許請求の範囲に記載された発明が適用されることを特定するものである。
【産業上の利用可能性】
【0080】
各実施形態に記載の発光装置は、照明、プロジェクタ、車載ヘッドライト、ヘッドマウントディスプレイ、ディスプレイ等に使用することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 光源装置
10 筐体
11 開口
12 出射口
20 発光装置
21 パッケージ
22 発光素子
23 サブマウント
24 反射部材
25 コリメートレンズ
30 反射部材
31 反射面
32 透過面
33 段差上面
34 段差側面
40 集光レンズ
50 光検出器
51 第1光検出器
52 第2光検出器
60 光ファイバ
70 波長変換部材