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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-04
(45)【発行日】2025-03-12
(54)【発明の名称】真空処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20250305BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20250305BHJP
【FI】
H01L21/302 101D
H05H1/46 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021010840
(22)【出願日】2021-01-27
(65)【公開番号】P2022114542
(43)【公開日】2022-08-08
【審査請求日】2023-07-10
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中谷 侑亮
(72)【発明者】
【氏名】園田 靖
(72)【発明者】
【氏名】田中 基裕
(72)【発明者】
【氏名】高崎 晃一
(72)【発明者】
【氏名】川那辺 哲雄
【審査官】小▲高▼ 孔頌
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-186404(JP,A)
【文献】特開2018-093226(JP,A)
【文献】特開2002-294453(JP,A)
【文献】特開2017-112217(JP,A)
【文献】特開平06-163465(JP,A)
【文献】特開昭61-032415(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0047595(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0131136(US,A1)
【文献】特開平05-283372(JP,A)
【文献】特開2010-278207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料台に載置された試料が真空処理され差圧が生じる2つの空間を有する処理室を備える真空処理装置において、
前記試料台へのイオンの入射を遮蔽し前記2つの空間の間に配置された遮蔽板のコンダクタンスの実測値を基に前記差圧が推定され、
前記推定された差圧を用いて前記2つの空間の平均圧力が算出され、
前記遮蔽板の粘性流領域におけるコンダクタンスの算出式または分子流領域におけるコンダクタンスの算出式が所定の式を基に選択され、
前記選択された粘性流領域におけるコンダクタンスの算出式または分子流領域におけるコンダクタンスの算出式を用いて算出されたコンダクタンスにより前記差圧が算出され、
前記算出された差圧を用いて前記処理室の圧力が制御される制御部をさらに備え、
前記所定の式は、前記真空処理に用いられるガスの粘性と、前記ガスの分子量と、前記遮蔽板の厚さと、前記遮蔽板の貫通孔のサイズと、前記真空処理の温度とを基に決定された式であるとともに前記粘性流領域におけるコンダクタンスの算出式と前記分子流領域におけるコンダクタンスの算出式との交点における圧力より前記平均圧力が大きいかどうかを判定するための式であることを特徴とする真空処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の真空処理装置において、
前記試料が含まれる前記空間の圧力が前記制御部により制御されることを特徴とする真空処理装置。
【請求項3】
請求項に記載の真空処理装置において、
マイクロ波の高周波電力を供給する高周波電源と、前記処理室内に磁場を形成する磁場形成機構をさらに備えることを特徴とする真空処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程においては、半導体装置に含まれるコンポーネントの微細化や集積化への対応が求められている。例えば、集積回路やナノ電気機械システムにおいて、構造物のナノスケール化がさらに推進されている。
【0003】
通常、半導体デバイスの製造工程において、微細パターンを成形するためにリソグラフィ技術が用いられる。この技術は、レジスト層の上にデバイス構造のパターンを適用し、レジスト層のパターンによって露出した基板を選択的にエッチング除去するものである。その後の処理工程において、エッチング領域内に他の材料を堆積させれば、集積回路を形成できる。
【0004】
特に近年では、半導体デバイスに対し、市場からの省電力・高速化の要求が高まり、デバイス構造の複雑化・高集積化の傾向が顕著である。例えばロジックデバイスにおいては、積層させたナノワイヤでチャネルを構成したGAA(Gate All Around)の適用が検討されており、GAAのエッチング工程では、従来の異方性エッチングによる垂直加工に加え、ナノワイヤ形成のため等方性エッチングによる側方への加工が必要となる。
【0005】
ここで、異方性エッチングとは、イオンによりラジカルの反応を促進する、イオンアシスト反応を利用したエッチングであり、等方性エッチングとは、ラジカルのみによる表面反応を主体としたエッチングである。したがって、プラズマエッチング装置には、イオンとラジカルの両方を照射してエッチングを行う機能と、ラジカルのみを照射してエッチングを行う機能の両方が必要になりつつある。
【0006】
例えば、エッチング深さを高精度に制御する原子層エッチングでは、ラジカルのみを試料に照射する第1ステップと、イオンを試料に照射する第2ステップとを交互に繰り返して、エッチング深さを制御する方法が検討されている。このエッチング方法は、第1ステップで試料表面にラジカルを吸着させた後、第2ステップで希ガスのイオンを照射して試料表面に吸着したラジカルを活性化させることでエッチング反応を生じさせて、エッチング深さを高精度に制御するものである。
【0007】
また、例えば多品種少量生産の量産工場において、イオンとラジカルの両方を照射する異方性エッチングと、ラジカルのみを照射する等方性エッチングの両方の機能を有するエッチング装置を設置することで、1台のエッチング装置で複数の工程を実行でき、それにより省スペースの実現とともに、設備コストを大幅に低減できる。
【0008】
このように、半導体デバイス加工で用いられるプラズマエッチング装置には、イオンとラジカルの両方を照射してエッチングを行う機能と、ラジカルのみを照射してエッチングを行う機能の両方が求められるようになっている。
【0009】
このような要求に対して、特許文献1において、イオンの入射を遮蔽する遮蔽板をチャンバ内に設置し、前記遮蔽板の下方でプラズマを生成することでイオンとラジカルの両方を照射するプラズマ処理を実行し、あるいは前記遮蔽板の上方でプラズマを生成することでラジカルのみによる処理を実行することが可能な装置が提案されている。
【0010】
また、特許文献2ではF、CF、COの中から適当にプラズマ分子を選択し、所定の波長の発光強度を測定することで、隔たり板により圧力センサーから隔離された半導体プロセス中のエッチングチャンバー内の真の圧力を従来より精密に監視し、エッチングプロセスを精密に制御して製品の歩留まりを大幅に向上する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2018-093226号公報
【文献】特開2000-133640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、イオンとラジカルの両方を照射してエッチングを行う工程と、ラジカルのみを照射してエッチングを行う工程の双方を同一チャンバ内で高精度に実施するには、遮蔽板により分割された2つの空間において、遮蔽板のコンダクタンスによる圧力差を考慮する必要がある。
【0013】
ところが、特許文献1では、遮蔽板の下部にしか圧力測定器が接続されておらず、遮蔽板の上部空間の圧力を測定していないため、遮蔽板の上下における圧力差が考慮されないという課題がある。
【0014】
また、特許文献2の技術では、発光強度の変化が圧力以外のチャンバ内環境の変化に左右される可能性があり、正確に圧力を推定できない恐れがあるという課題がある。
【0015】
本発明は、遮蔽板に対し圧力計が接続されていない側の空間においても所望の圧力で真空処理を実施し、プロセス安定性を向上させるができる真空処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、代表的な本発明にかかる真空処理装置の一つは、
試料台に載置された試料が真空処理され差圧が生じる2つの空間を有する処理室を備える真空処理装置において、
前記試料台へのイオンの入射を遮蔽し前記2つの空間の間に配置された遮蔽板のコンダクタンスの実測値を基に前記差圧が推定され、
前記推定された差圧を用いて前記2つの空間の平均圧力が算出され、
前記遮蔽板の粘性流領域におけるコンダクタンスの算出式または分子流領域におけるコンダクタンスの算出式が所定の式を基に選択され、
前記選択された粘性流領域におけるコンダクタンスの算出式または分子流領域におけるコンダクタンスの算出式を用いて算出されたコンダクタンスにより前記差圧が算出され、
前記算出された差圧を用いて前記処理室の圧力が制御される制御部をさらに備え、
前記所定の式は、前記真空処理に用いられるガスの粘性と、前記ガスの分子量と、前記遮蔽板の厚さと、前記遮蔽板の貫通孔のサイズと、前記真空処理の温度とを基に決定された式であるとともに前記粘性流領域におけるコンダクタンスの算出式と前記分子流領域におけるコンダクタンスの算出式との交点における圧力より前記平均圧力が大きいかどうかを判定するための式であることにより達成される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、遮蔽板に対して圧力計が接続されていない側の空間においても所望の圧力で真空処理を実施でき、プロセス安定性を向上できる真空処理装置を提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施形態に係る真空処理装置の概略全体構成断面図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る遮蔽板を示す平面図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る真空処理方法を示すフローチャートである。
図4図4は、本発明の実施形態に係る構成を示すフローチャートのうちステップS103の詳細を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。本発明にかかる「真空処理」には、プラズマ処理が含まれる。
【0020】
[実施形態]
本発明の実施形態に係る真空処理装置の概略全体構成断面図を図1に示す。本実施形態の真空処理装置では、マイクロ波の高周波電力を供給する高周波電源であるマグネトロン103から誘電体窓111を介して真空処理室117に供給される2.45GHzのマイクロ波と、処理室内に磁場を形成する磁場形成機構であるソレノイドコイル108の作る磁場との電子サイクロトロン共鳴(ElectronCyclotronResonance、ECR)によって、真空処理室117内にプラズマを生成することができる。このような真空処理装置を、ECRプラズマ処理装置という。
【0021】
また、試料台115に載置した試料116に、整合器123を介して高周波電源124が接続されている。真空処理室117の内部は、バルブ121を介してポンプ122に接続されており、バルブ121の開度によって内部圧力を調節できるようになっている。
【0022】
また、本真空処理装置は、真空処理室117の内部に図2に示す誘電体製の遮蔽板113を有する。遮蔽板113には同じ孔径の貫通孔131が外周部に一様に配置されている。本実施形態で「一様」とは、径の差が等しい同心円(半径ゼロである場合を含む)を描いたときに、同じ円上に中心点を有する貫通孔131が周方向に等しいピッチで配置されていることをいう。遮蔽板113により、真空処理室117内を、第1の空間118と第2の空間119とに分割して(仕切って)おり、第2の空間119にのみ圧力計125が接続されている。このため第2の空間119の圧力は測定可能だが、第1の空間118は圧力測定が行われない。
【0023】
本実施形態で用いた真空処理装置は、マイクロ波の周波数が2.45GHzの場合、磁場強度0.0875Tの面付近でプラズマを生成できるという特性を有する。このため、プラズマ生成領域が遮蔽板113と誘電体窓111の間(第1の空間118)に位置するように磁場を調整すれば、遮蔽板113の誘電体窓111側でプラズマを生成でき、発生したイオンは遮蔽板113をほとんど通過できない(イオンを遮蔽する)ことから、ラジカルのみを試料116に照射することができる。この時、試料116では、ラジカルのみによる表面反応を主体とした等方性エッチングが進行する。
【0024】
これに対し、プラズマ生成領域が遮蔽板113と試料116の間(第2の空間119)に位置するように磁場を調整すれば、遮蔽板113より試料116側でプラズマを生成でき、イオンとラジカルの両方を試料116に供給できる。この時、試料116ではイオンによりラジカルの反応を促進する、イオンアシスト反応を利用した異方性エッチングが進行する。
【0025】
なお、遮蔽板113の高さ位置に対するプラズマ生成領域の高さ位置の調整あるいは切り替え(上方か下方か)、それぞれの高さ位置を保持する期間の調整等は、ソレノイドコイル108の磁場を制御する制御装置120を用いて行うことができる。
【0026】
図3は本発明の実施形態に係る真空処理方法を示すフローチャートである。以下、本フローチャートに沿って説明する。なお、本実施形態にかかる真空処理装置は、図3に示すフローチャートに従って処理を実行する制御装置(不図示)を備える。
【0027】
ステップS101において、真空処理レシピ作成を開始する。
ステップS102において、所望のガス種・ガス流量・圧力計が接続されていない第1の空間118の圧力p1を指定する。
ステップS103において、実測値のデータベースを基に、遮蔽板上下空間(第1の空間118と第2の空間119)の間に生じる差圧Δpを推定する。本ステップの詳細を、図4を用いて説明する。
【0028】
図4は本発明の実施形態に係る構成を示すフローチャートのうち、ステップS103の推定の詳細を説明する概略図である。
【0029】
図4は横軸に圧力、縦軸に遮蔽板のコンダクタンスを取ったグラフである。点線はArガスにおけるコンダクタンスの実測値であり、この実測値を含むデータベースを基にレシピに入力したガスBにおけるコンダクタンスを推定する。流体の流れは大きく分けて粘性流・中間流・分子流の3つに分けられる。これらは流体の平均自由工程λと遮蔽板113が有する貫通孔131の直径2aの大小関係で分類される。一般に平均自由工程λは、次式(数1)で表される。
【0030】
【数1】
【0031】
ここでRは気体定数、Tは温度、Nはアボガドロ数、Dは流体の分子直径、Pは圧力である。2a>>λが成り立つ時、粘性流となり、2a≒λが成り立つ時、中間流となり、2a<<λが成り立つ時、分子流となる。分子流と粘性流の領域についてはコンダクタンス計算式よりコンダクタンスを算出可能だが、中間流領域については近似式を求めるのが困難である。
【0032】
そこで、Arガスにおけるコンダクタンスの実測値に、以下の値(数2)を乗算することで、ガスBの分子流領域でのコンダクタンスを推定する。
【0033】
【数2】
【0034】
またArガスにおけるコンダクタンスの実測値に、以下の値(数3)を乗算することで、ガスBの粘性流領域でのコンダクタンスを推定する。
【0035】
【数3】
【0036】
ここで数2、および数3中のMArはアルゴンの分子量、MはガスBの分子量、ηArはアルゴンの粘性係数、ηはガスBの粘性係数である。
【0037】
これらの推定したコンダクタンスのグラフの交点よりも低圧側では分子流での推定値を使用し、高圧側では粘性流での推定値を使用する。これによりガスBを用いた場合のコンダクタンスCを推定する。
【0038】
差圧Δpは次式(数4)のとおり、ガス流量QをコンダクタンスCで除算することにより求められる。
【0039】
【数4】
【0040】
なお、ガスBは単体のガス(Arを含む)を用いても複数のガスの混合ガスを用いても良い。例えば2種のガスi、ガスjの混合ガスを用いる場合は、式(数5)により分子量を算出し、式(数6)から式(数8)より粘性係数を算出する。
【0041】
【数5】
【0042】
【数6】
【0043】
【数7】
【0044】
【数8】
【0045】
ここでM、Mはそれぞれガスi、ガスjの分子量、y、yはそれぞれガスi、ガスjのモル分率、η、ηはそれぞれガスi、ガスjの粘性係数である。ここでは2種のガスを用いる場合について説明したが、3種以上の混合ガスを用いても良い。3種以上の混合ガスの場合は式(数5)には第3項以降を追加し、式(数6)についてはある2種のガスの混合ガスでの計算結果に3種目以降のガスのパラメータを追加することを繰り返せば良い。
【0046】
図3のフローチャートにおいて、ステップS104において、ステップS103で推定した差圧Δpから、遮蔽板上下空間(第1の空間118と第2の空間119)の平均圧力pを算出する。その後、ステップS201で、次式(数9)が成立するかどうかを判別する。
【0047】
【数9】
【0048】
ここで、Lは遮蔽板厚、aは貫通孔131の半径、Kは後述するクラウジング係数である。
【0049】
なお、式(数9)は、後述の粘性流領域のコンダクタンス算出式と、分子流領域のコンダクタンス算出式の交点の圧力よりも平均圧力が大きいかどうかを判定する式であり、数9の右辺が所定の圧力閾値となる。
【0050】
式(数9)が成立する場合、ステップS105で粘性流領域のコンダクタンス算出式よりコンダクタンスを算出する。なお、粘性流領域のコンダクタンス算出式は次式(数10)で表される。
【0051】
【数10】
【0052】
一方、式(数9)が成立しない場合、ステップS106で分子流領域のコンダクタンス算出式よりコンダクタンスを算出する。なお、分子流領域のコンダクタンス算出式は次式(数11)で表される。
【0053】
【数11】
【0054】
ここでC1は分子流領域でのオリフィスのコンダクタンスと呼ばれ、次式(数12)で表される。
【0055】
【数12】
【0056】
ここで、Aは貫通孔131の総面積である。
また、式(数11)中のKはクラウジング係数と呼ばれ、次式(数13)で表される。
【0057】
【数13】
【0058】
ここでxは次式(数14)のとおり、遮蔽板厚Lと貫通孔131の直径2aの比である。
【0059】
【数14】
【0060】
式(数9)は、式(数10)の右辺と式(数11)の右辺を等号で結び、平均圧力pについて解いた結果得られるものである。
【0061】
ステップS107において、ステップS105あるいはステップS106で算出したコンダクタンスC’から、第1の空間118と第2の空間119との差圧Δp’を算出する。差圧Δp’は次式(数15)のとおり、流量QをコンダクタンスC’で除算することにより求められる。
【0062】
【数15】
【0063】
ステップS108において、レシピ上の圧力値を、圧力計が接続されていない第1の空間118の所望の圧力p1から、ステップS107で算出した差圧Δp’を減算もしくは加算した値p2に置き換える。この時、第1の空間118が第2の空間119に対し、ガス流れの上流に位置する場合、レシピ上の圧力値を所望の第1の空間118の圧力から差圧Δp’を減算した値に置き換え、下流に位置する場合、加算した値に置き換える。
【0064】
ステップS109において、真空処理シーケンスを開始する。
ステップS110において、第2の空間119に接続された圧力計125の値を読み取る。
【0065】
その後、ステップS202で、圧力計125の値がステップS108で置き換えた値p2に到達したかどうかを判定する。圧力計125の値が値p2に到達していないと判定した場合、ステップS111において、圧力計125の実測値とステップS108で置き換えた値p2の差を算出し、その差に応じて圧力制御弁の開度をフィードバック制御し(試料116を含む空間の圧力制御を行い)、ステップS110へと戻る。
【0066】
一方、圧力計125の値が値p2に到達したと判定した場合、ステップS112に進み真空処理を開始し、所定の真空処理時間が経過後、ステップS113に進み真空処理を終了する。以上が本発明の実施形態に係る構成を示すフローチャートの説明である。
【0067】
上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0068】
103…マグネトロン、108…ソレノイドコイル、111…誘電体窓、113…遮蔽板、115…試料台、116…試料、117…真空処理室、118…第1の空間、119…第2の空間、120…制御装置、121…バルブ、122…ポンプ、123…整合器、124…高周波電源、125…圧力計、131…遮蔽板113の貫通孔
図1
図2
図3
図4