(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-05
(45)【発行日】2025-03-13
(54)【発明の名称】レジスト組成物及びレジストパターンの製造方法並びにめっき造形物の製造方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/023 20060101AFI20250306BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20250306BHJP
G03F 7/039 20060101ALI20250306BHJP
G03F 7/032 20060101ALI20250306BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20250306BHJP
【FI】
G03F7/023
G03F7/004 503A
G03F7/039 601
G03F7/032
G03F7/20 521
(21)【出願番号】P 2021024160
(22)【出願日】2021-02-18
【審査請求日】2024-01-04
(31)【優先権主張番号】P 2020028862
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉原 昌子
(72)【発明者】
【氏名】西村 崇
(72)【発明者】
【氏名】中西 潤次
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-098155(JP,A)
【文献】特開2006-328241(JP,A)
【文献】特開2008-083528(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1790026(KR,B1)
【文献】国際公開第2021/105054(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0137036(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/023
G03F 7/004
G03F 7/039
G03F 7/032
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キノンジアジドスルホニル基を有する化合物(I)、酸不安定基を有する構造単位を含む樹脂(A1)、アルカリ可溶性樹脂(A2)及び酸発生剤(B)を含有するレジスト組成物
であって、
キノンジアジドスルホニル基を有する化合物(I)が、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、式(IV)で表される化合物及び式(V)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
[式(II)中、
R
11
~R
14
は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1~18の炭化水素基、式(a)で表される基、式(b)で表される基又は式(c)で表される基を表す。該炭素数1~18の炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又は-NR
d1
-に置き換わっていてもよい。
R
d1
は、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
R
15
~R
30
は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、式(a)で表される基、式(b)で表される基又は式(c)で表される基を表す。
R
11
~R
30
のうち少なくとも1つは式(a)で表される基、式(b)で表される基又は式(c)で表される基である。]
[式(III)中、
R
31
~R
39
は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルキル基、式(a)で表される基、式(b)で表される基又は式(c)で表される基を表す。R
31
~R
39
のうち少なくとも1つは式(a)で表される基、式(b)で表される基又は式(c)で表される基である。
P
1
~P
5
は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~18の炭化水素基を表し、該炭素数1~18の炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又は-NR
d2
-に置き換わっていてもよく、P
1
及びP
2
は、互いに結合してそれらが結合する2つの炭素原子と共に環を形成してもよい。P
4
及びP
5
は、互いに結合してそれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。
R
d2
は、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。]
[式(IV)中、
R
40
~R
53
は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルキル基、式(a)で表される基、式(b)で表される基又は式(c)で表される基を表す。R
40
~R
53
のうち少なくとも1つは式(a)で表される基、式(b)で表される基又は式(c)で表される基である。
n
a
は、1~5のいずれかの整数を表す。n
a
が2以上のいずれかの整数である場合、複数のR
49
~R
52
は互いに同一であっても異なっていてもよい。]
[式(V)中、
R
f1
、R
f2
及びR
g1
~R
g8
は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルキル基、式(a)で表される基、式(b)で表される基又は式(c)で表される基を表す。R
f1
、R
f2
及びR
g1
~R
g8
のうち少なくとも1つは式(a)で表される基、式(b)で表される基又は式(c)で表される基である。
P
6
は、1価の炭素数6~12の芳香族炭化水素基又は2価の炭素数6~12の芳香族炭化水素基を表す。該芳香族炭化水素基は、ヒドロキシ基及び炭素数1~6のアルキル基よりなる群から選択される少なくとも1種で置換されていてもよい。
P
7
は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~18の炭化水素基を表し、該炭素数1~18の炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又は-NR
d3
-に置き換わっていてもよい。P
6
及びP
7
は互いに結合して環を形成してもよい。
n
v
は、1又は2を表す。
R
d3
は、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。]
[式(a)及び式(b)中、*は結合手を表す。]
[式(c)中、*は結合手を表す。]
酸不安定基を有する構造単位を含む樹脂(A1)が、式(a1-1)で表される構造単位又は式(a1-2)で表される構造単位を含む樹脂である、或いは、式(a3A)で表される構造単位又は式(a3B)で表される構造単位を含む樹脂である、レジスト組成物。
[式(a1-1)中、
R
a1
、R
a2
及びR
a3
は、互いに独立に、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数3~20の脂環式炭化水素基を表す。或いは、R
a1
及びR
a2
は、互いに結合してそれらが結合する炭素原子とともに炭素数3~20の環を形成しており、且つR
a3
は、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数3~20の脂環式炭化水素基を表す。
R
a4
は、水素原子又はメチル基を表す。]
[式(a1-2)中、
R
a1’
及びR
a2’
は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表し、R
a3’
は、炭素数1~20の炭化水素基を表す。或いは、R
a1’
は、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表し、且つR
a2’
及びR
a3’
は互いに結合してそれらが結合する炭素原子及び酸素原子とともに炭素数3~20の複素環を形成している。該炭素数1~20の炭化水素基及び該炭素数3~20の複素環に含まれるメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子で置き換わってもよい。
R
a5
は、水素原子又はメチル基を表す。
R
a6
は、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルコキシ基を表す。
mは、0~4の整数を表す。mが2以上のとき、複数のR
a6
は互いに同一でも異なっていてもよい。]
[式(a3A)中、R
a1
、R
a2
及びR
a3
は、互いに独立に、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数3~20の脂環式炭化水素基を表す。或いは、R
a1
及びR
a2
は、互いに結合してそれらが結合する炭素原子とともに炭素数3~20の環を形成しており、且つR
a3
は、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数3~20の脂環式炭化水素基を表す。R
ab
は、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルコキシ基を表す。pは0、1、2又は3を表す。pが2又は3のとき、R
ab
は同一であっても、異なっていてもよい。]
[式(a3B)中、R
a1’
及びR
a2’
は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表し、R
a3’
は、炭素数1~20の炭化水素基を表す。或いは、R
a1’
は、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表し、且つR
a2’
及びR
a3’
は、互いに結合してそれらが結合する炭素原子及び酸素原子とともに炭素数3~20の複素環を形成している。該炭素数1~20の炭化水素基及び該炭素数3~20の複素環に含まれるメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子で置き換わってもよい。R
ab
は、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルコキシ基を表す。pは0、1、2又は3を表す。pが2又は3のとき、R
ab
は同一であっても、異なっていてもよい。]
【請求項2】
アルカリ可溶性樹脂(A2)が、カルボキシ基又はヒドロキシ基を有する構造単位を含み、酸不安定基を有する構造単位を含まない樹脂である請求項
1に記載のレジスト組成物。
【請求項3】
クエンチャー(C)をさらに含有する請求項1
又は2に記載のレジスト組成物。
【請求項4】
レジストパターンの製造方法であって、
(1)請求項1~
3のいずれかに記載のレジスト組成物を、金属表面を有する基板の該金属表面上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光する工程、及び
(4)露光後の組成物層を現像する工程
を含む製造方法。
【請求項5】
めっき造形物の製造方法であって、
(1)請求項1~
3のいずれかに記載のレジスト組成物を、金属表面を有する基板の該金属表面上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光する工程、
(4)露光後の組成物層を現像する工程、
(5)得られたレジストパターンを鋳型として、めっき造形物を形成する工程、及び
(6)レジストパターンを剥離する工程
を含む製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト組成物及びレジストパターンの製造方法並びにめっき造形物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ナフトキノンジアジドスルホニル基を有する化合物を含有するレジスト組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のような従来のレジスト組成物を用いて得られるレジストパターンを用いてめっき処理した場合に、めっき造形物を精度よく形成するにはさらなる改善の余地があった。
そこで、本発明は、めっき処理に対して十分な耐性を有し精度良くレジストパターンを形成できるレジスト組成物を提供することを課題とする。また、当該レジスト組成物を用いたレジストパターンの製造方法を提供することをも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、キノンジアジドスルホニル基を有する化合物と、酸不安定基を有する構造単位を含む樹脂と、アルカリ可溶性樹脂と、酸発生剤とを含有するレジスト組成物が上記課題を解決できることを見出した。
本発明は、以下の発明を提供する。
[1]
キノンジアジドスルホニル基を有する化合物(I)、酸不安定基を有する構造単位を含む樹脂(A1)、アルカリ可溶性樹脂(A2)及び酸発生剤(B)を含有するレジスト組成物。
[2]
キノンジアジドスルホニル基を有する化合物(I)が、式(a)で表される基、式(b)で表される基又は式(c)で表される基を有する化合物である[1]に記載のレジスト組成物。
[式(a)及び式(b)中、*は結合手を表す。]
[式(c)中、*は結合手を表す。]
[3]
キノンジアジドスルホニル基を有する化合物(I)が、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、式(IV)で表される化合物及び式(V)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である[2]に記載のレジスト組成物。
[式(II)中、
R
11~R
14は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1~18の炭化水素基、式(a)で表される基、式(b)で表される基又は式(c)で表される基を表す。該炭素数1~18の炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又は-NR
d1-に置き換わっていてもよい。
R
d1は、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
R
15~R
30は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、式(a)で表される基、式(b)で表される基又は式(c)で表される基を表す。
R
11~R
30のうち少なくとも1つは式(a)で表される基、式(b)で表される基又は式(c)で表される基である。]
[式(III)中、
R
31~R
39は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルキル基、式(a)で表される基、式(b)で表される基又は式(c)で表される基を表す。R
31~R
39のうち少なくとも1つは式(a)で表される基、式(b)で表される基又は式(c)で表される基である。
P
1~P
5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~18の炭化水素基を表し、該炭素数1~18の炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又は-NR
d2-に置き換わっていてもよく、P
1及びP
2は、互いに結合してそれらが結合する2つの炭素原子と共に環を形成してもよい。P
4及びP
5は、互いに結合してそれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。
R
d2は、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。]
[式(IV)中、
R
40~R
53は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルキル基、式(a)で表される基、式(b)で表される基又は式(c)で表される基を表す。R
40~R
53のうち少なくとも1つは式(a)で表される基、式(b)で表される基又は式(c)で表される基である。
n
aは、1~5のいずれかの整数を表す。n
aが2以上のいずれかの整数である場合、複数のR
49~R
52は互いに同一であっても異なっていてもよい。]
[式(V)中、
R
f1、R
f2及びR
g1~R
g8は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルキル基、式(a)で表される基、式(b)で表される基又は式(c)で表される基を表す。R
f1、R
f2及びR
g1~R
g8のうち少なくとも1つは式(a)で表される基、式(b)で表される基又は式(c)で表される基である。
P
6は、1価の炭素数6~12の芳香族炭化水素基又は2価の炭素数6~12の芳香族炭化水素基を表す。該芳香族炭化水素基は、ヒドロキシ基及び炭素数1~6のアルキル基よりなる群から選択される少なくとも1種で置換されていてもよい。
P
7は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~18の炭化水素基を表し、該炭素数1~18の炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又は-NR
d3-に置き換わっていてもよい。P
6及びP
7は互いに結合して環を形成してもよい。
n
vは、1又は2を表す。
R
d3は、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。]
[4]
酸不安定基を有する構造単位を含む樹脂(A1)が、式(10)で表される基又は式(20)で表される基を有する構造単位を含む樹脂である[1]~[3]のいずれかに記載のレジスト組成物。
[式(10)中、R
a1、R
a2及びR
a3は、互いに独立に、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数3~20の脂環式炭化水素基を表す。或いは、R
a1及びR
a2は、互いに結合してそれらが結合する炭素原子とともに炭素数3~20の環を形成しており、且つR
a3は、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数3~20の脂環式炭化水素基を表す。ma及びnaは、それぞれ独立に、0又は1を表し、ma及びnaの少なくとも一方は1を表す。*は結合手を表す。]
[式(20)中、R
a1’及びR
a2’は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表し、R
a3’は、炭素数1~20の炭化水素基を表す。或いは、R
a1’は、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表し、且つR
a2’及びR
a3’は、互いに結合してそれらが結合する炭素原子及びXとともに炭素数3~20の複素環を形成している。該炭素数1~20の炭化水素基及び該炭素数3~20の複素環に含まれるメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子で置き換わってもよい。Xは、酸素原子又は硫黄原子を表す。na’は、0又は1を表す。*は結合手を表す。]
[5]
酸不安定基を有する構造単位を含む樹脂(A1)が、式(a1-1)で表される構造単位又は式(a1-2)で表される構造単位を含む樹脂である[1]~[4]のいずれかに記載のレジスト組成物。
[式(a1-1)中、
R
a1、R
a2及びR
a3は、互いに独立に、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数3~20の脂環式炭化水素基を表す。或いは、R
a1及びR
a2は、互いに結合してそれらが結合する炭素原子とともに炭素数3~20の環を形成しており、且つR
a3は、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数3~20の脂環式炭化水素基を表す。
R
a4は、水素原子又はメチル基を表す。]
[式(a1-2)中、
R
a1’及びR
a2’は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表し、R
a3’は、炭素数1~20の炭化水素基を表す。或いは、R
a1’は、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表し、且つR
a2’及びR
a3’は互いに結合してそれらが結合する炭素原子及び酸素原子とともに炭素数3~20の複素環を形成している。該炭素数1~20の炭化水素基及び該炭素数3~20の複素環に含まれるメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子で置き換わってもよい。
R
a5は、水素原子又はメチル基を表す。
R
a6は、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルコキシ基を表す。
mは、0~4の整数を表す。mが2以上のとき、複数のR
a6は互いに同一でも異なっていてもよい。]
[6]
酸不安定基を有する構造単位を含む樹脂(A1)が、式(a3A)で表される構造単位又は式(a3B)で表される構造単位を含む樹脂である[1]~[4]のいずれかに記載のレジスト組成物。
[式(a3A)中、R
a1、R
a2及びR
a3は、互いに独立に、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数3~20の脂環式炭化水素基を表す。或いは、R
a1及びR
a2は、互いに結合してそれらが結合する炭素原子とともに炭素数3~20の環を形成しており、且つR
a3は、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数3~20の脂環式炭化水素基を表す。R
abは、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルコキシ基を表す。pは0、1、2又は3を表す。pが2又は3のとき、R
abは同一であっても、異なっていてもよい。]
[式(a3B)中、R
a1’及びR
a2’は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表し、R
a3’は、炭素数1~20の炭化水素基を表す。或いは、R
a1’は、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表し、且つR
a2’及びR
a3’は、互いに結合してそれらが結合する炭素原子及び酸素原子とともに炭素数3~20の複素環を形成している。該炭素数1~20の炭化水素基及び該炭素数3~20の複素環に含まれるメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子で置き換わってもよい。R
abは、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルコキシ基を表す。pは0、1、2又は3を表す。pが2又は3のとき、R
abは同一であっても、異なっていてもよい。]
[7]
アルカリ可溶性樹脂(A2)が、カルボキシ基又はヒドロキシ基を有する構造単位を含み、酸不安定基を有する構造単位を含まない樹脂である[1]~[6]のいずれかに記載のレジスト組成物。
[8]
クエンチャー(C)をさらに含有する[1]~[7]のいずれかに記載のレジスト組成物。
[9]
レジストパターンの製造方法であって、
(1)[1]~[8]のいずれかに記載のレジスト組成物を、金属表面を有する基板の該金属表面上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光する工程、及び
(4)露光後の組成物層を現像する工程
を含む製造方法。
[10]
めっき造形物の製造方法であって、
(1)[1]~[8]のいずれかに記載のレジスト組成物を、金属表面を有する基板の該金属表面上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光する工程、
(4)露光後の組成物層を現像する工程、
(5)得られたレジストパターンを鋳型として、めっき造形物を形成する工程、及び
(6)レジストパターンを剥離する工程
を含む製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明のレジスト組成物を用いることにより、レジストパターンを精度よく形成することができ、さらに、当該レジストパターンは、めっき造形物を精度よく形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】レジストパターンのラインアンドスペースパターンにおける線幅の最大値aと最小値bを模式的に表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書では、特に断りのない限り、化合物の構造式の説明において、「脂肪族炭化水素基」は直鎖状又は分岐状の脂肪族炭化水素基を意味し、「脂環式炭化水素基」は脂環式炭化水素の環から価数に相当する数の水素原子を取り去った基を意味する。「芳香族炭化水素基」は芳香環に炭化水素基が結合した基をも包含する。立体異性体が存在する場合は、全ての立体異性体を包含する。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種」を意味し、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート及びメタクリレートの少なくとも1種」を意味する。
本明細書中に記載する基において、直鎖構造と分岐構造の両方をとり得るものについては、そのいずれも含む意味に解釈される。
本明細書において、「レジスト組成物の固形分」とは、レジスト組成物の総量から、後述する溶剤(E)を除いた成分の合計を意味する。
【0009】
1.レジスト組成物
本発明のレジスト組成物は、キノンジアジドスルホニル基を有する化合物(以下、「化合物(I)」という場合がある。)と、酸不安定基を有する構造単位を含む樹脂(以下、「樹脂(A1)」という場合がある。)と、アルカリ可溶性樹脂(以下、「樹脂(A2)」という場合がある。)と、酸発生剤(以下、「酸発生剤(B)」という場合がある。)とを含有する。
本発明のレジスト組成物は、化合物(I)と樹脂(A1)と樹脂(A2)と酸発生剤(B)に加えて、さらにクエンチャー(以下、「クエンチャー(C)」という場合がある。)及び/又は溶剤(以下、「溶剤(E)」という場合がある。)を含有していることが好ましい。
【0010】
<化合物(I)>
本発明の化合物(I)は、キノンジアジドスルホニル基を有する化合物である。
化合物(I)は、光未照射(未露光)部では、樹脂(A2)の親水性基と相互作用することにより、樹脂(A2)の現像液(アルカリ水溶液)に対する溶解を抑制することができ、光照射(露光)部では、キノンジアジド基が分解してカルボキシ基を生じることにより、カルボン酸を発生し、樹脂(A2)の現像液(アルカリ水溶液)に対する溶解を促進することができる。また、光未照射(未露光)部では、現像液(アルカリ水溶液)の存在下で樹脂(A2)を架橋することにより、現像液(アルカリ水溶液)やめっき液に対し耐性を有するものとなるため、めっき造形物の精度が向上する。
【0011】
化合物(I)は、分子内に1個以上のキノンジアジドスルホニル基を有するものであれば特に限定はない。化合物(I)の分子内に存在するキノンジアジドスルホニル基を全て水素原子に置き換えて得られる化合物の分子量が3000以下になることが好ましく、2000以下になることがより好ましく、1500~400となることがさらに好ましい。
【0012】
キノンジアジドスルホニル基を有する化合物としては、ナフトキノンジアジドスルホニル基を有する化合物、ベンゾキノンジアジドスルホニル基を有する化合物、アントラキノンジアジドスルホニル基を有する化合物等が挙げられ、ナフトキノンジアジドスルホニル基を有する化合物、ベンゾキノンジアジドスルホニル基を有する化合物が好ましい。ナフトキノンジアジドスルホニル基を有する化合物としては、1,2-ナフトキノンジアジドスルホニル基を有する化合物であることが好ましく、式(a)で表される基又は式(b)で表される基を有する化合物であることがより好ましく、式(a)で表される基を有する化合物であることがさらに好ましい。ベンゾキノンジアジドスルホニル基を有する化合物としては、1,2-ベンゾキノンジアジドスルホニル基を有する化合物であることが好ましく、式(c)で表される基を有する化合物であることがより好ましい。
[式(a)及び式(b)中、*は結合手を表す。]
[式(c)中、*は結合手を表す。]
【0013】
キノンジアジドスルホニル基を有する化合物の分子内に存在するキノンジアジドスルホニル基を全て水素原子に置き換えて得られる化合物としては、フェノール性水酸基を有する芳香族化合物であることが好ましい。キノンジアジドスルホニル基を有する化合物としては、フェノール性水酸基を有する芳香族化合物をキノンジアジドスルホン酸エステル化した化合物であることが好ましい。キノンジアジドスルホニル基を有する化合物としては、式(II)で表される化合物(以下、「化合物(II)」という場合がある。)、式(III)で表される化合物(以下、「化合物(III)」という場合がある。)、式(IV)で表される化合物(以下、「化合物(IV)」という場合がある。)及び式(V)で表される化合物(以下、「化合物(V)」という場合がある。)からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
[式(II)中、
R
11~R
14は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1~18の炭化水素基、式(a)で表される基、式(b)で表される基又は式(c)で表される基を表す。該炭素数1~18の炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又は-NR
d1-に置き換わっていてもよい。
R
d1は、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
R
15~R
30は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、式(a)で表される基、式(b)で表される基又は式(c)で表される基を表す。
R
11~R
30のうち少なくとも1つは式(a)で表される基、式(b)で表される基又は式(c)で表される基である。]
[式(III)中、
R
31~R
39は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルキル基、式(a)で表される基、式(b)で表される基又は式(c)で表される基を表す。R
31~R
39のうち少なくとも1つは式(a)で表される基、式(b)で表される基又は式(c)で表される基である。
P
1~P
5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~18の炭化水素基を表し、該炭素数1~18の炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又は-NR
d2-に置き換わっていてもよく、P
1及びP
2は、互いに結合してそれらが結合する2つの炭素原子と共に環を形成してもよい。P
4及びP
5は、互いに結合してそれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。
R
d2は、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。]
[式(IV)中、
R
40~R
53は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルキル基、式(a)で表される基、式(b)で表される基又は式(c)で表される基を表す。R
40~R
53のうち少なくとも1つは式(a)で表される基、式(b)で表される基又は式(c)で表される基である。
n
aは、1~5のいずれかの整数を表す。n
aが2以上のいずれかの整数である場合、複数のR
49~R
52は互いに同一であっても異なっていてもよい。]
[式(V)中、
R
f1、R
f2及びR
g1~R
g8は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルキル基、式(a)で表される基、式(b)で表される基又は式(c)で表される基を表す。R
f1、R
f2及びR
g1~R
g8のうち少なくとも1つは式(a)で表される基、式(b)で表される基又は式(c)で表される基である。
P
6は、1価の炭素数6~12の芳香族炭化水素基又は2価の炭素数6~12の芳香族炭化水素基を表す。該芳香族炭化水素基は、ヒドロキシ基及び炭素数1~6のアルキル基よりなる群から選択される少なくとも1種で置換されていてもよい。
P
7は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~18の炭化水素基を表し、該炭素数1~18の炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又は-NR
d3-に置き換わっていてもよい。P
6及びP
7は互いに結合して環を形成してもよい。
n
vは、1又は2を表す。
R
d3は、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。]
【0014】
炭素数1~18の炭化水素基としては、炭素数1~18の鎖式炭化水素基(炭素数1~18の直鎖状又は分岐状の飽和鎖式炭化水素基(アルキル基)、炭素数2~18の直鎖状又は分岐状の不飽和鎖式炭化水素基(アルケニル基、アルキニル基)等を含む)、炭素数3~18の単環式又は多環式の脂環式炭化水素基(炭素数3~18の飽和脂環式炭化水素基、炭素数3~18の不飽和脂環式炭化水素基等を含む)、炭素数6~18の芳香族炭化水素基などが挙げられ、これらの基のうち2種以上を組合せたものでもよい。
炭素数1~18のアルキル基は、直鎖状又は分岐状のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t-又はsec-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が挙げられる。なかでも、直鎖のアルキル基が好ましい。
炭素数2~18のアルケニル基は、直鎖状又は分岐状のいずれでもよく、例えば、エテニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、メチルプロペニル基、メチルブテニル基、ブテニル基、イソブテニル基、tert-ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、イソオクテニル基、ノネニル基等が挙げられる。
炭素数2~18のアルキニル基は、直鎖状又は分岐状のいずれでもよく、例えば、エチニル基、プロピニル基、イソプロピニル基、ブチニル基、イソブチニル基、tert-ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、オクチニル基、ノニニル基等が挙げられる。
該炭素数1~18の鎖式炭化水素基は、好ましくは炭素数1~16であり、より好ましくは炭素数1~12であり、さらに好ましくは炭素数1~8であり、より一層好ましくは炭素数1~6であり、さらに一層好ましくは炭素数1~4である。
炭素数3~18の単環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基等の単環式の飽和脂環式炭化水素基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基等の単環式の不飽和脂環式炭化水素基等が挙げられる。炭素数3~18の多環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基等の多環式の飽和脂環式炭化水素基等が挙げられる。該炭素数3~18の脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数3~16であり、より好ましくは炭素数3~12であり、さらに好ましくは炭素数3~10である。
炭素数6~18の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基、フェナントリル基等が挙げられる。該炭素数6~18の芳香族炭化水素基は、好ましくは炭素数6~14であり、より好ましくは炭素数6~10である。
【0015】
炭素数1~6のアルキル基としては、上述した炭素数1~18のアルキル基のうちから炭素数1~6のアルキル基に相当する基を選択することができる。
【0016】
P1及びP2が互いに結合してそれらが結合する2つの炭素原子と共に形成する環、並びにP4及びP5が互いに結合してそれらが結合する炭素原子と共に形成する環としては、それぞれ独立に、炭素数3~18の単環又は多環の脂環式炭化水素環等が挙げられる。これらの環としては、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環等のシクロアルカン環;デカヒドロナフタレン環、アダマンタン環、ノルボルナン環等が挙げられる。該炭素数3~18の脂環式炭化水素環は、好ましくは炭素数3~16であり、より好ましくは炭素数3~12であり、さらに好ましくは炭素数3~10である。
【0017】
P7における炭素数1~18の炭化水素基の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~12のアルコキシ基、炭素数2~4のアシル基、炭素数2~4のアシルオキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子であることが好ましい。
炭素数1~12のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
炭素数2~4のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が挙げられる。
炭素数2~4のアシルオキシ基としては、例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基等が挙げられる。
【0018】
化合物(II)の具体例としては、例えば、式(II-1)~(II-3)で表される化合物が挙げられる。
ここで、R
s2は、それぞれ独立に、上述した式(a)で表される基、式(b)で表される基、式(c)で表される基又はヒドロキシ基を表す。各化合物におけるR
s2のうち少なくとも1つは式(a)で表される基、式(b)で表される基又は式(c)で表される基である。
【0019】
化合物(III)の具体例としては、例えば、式(III-1-1)~(III-3-8)で表される化合物が挙げられる。
【0020】
【0021】
ここで、R
t1は、それぞれ独立に、上述した式(a)で表される基、式(b)で表される基、式(c)で表される基又はヒドロキシ基を表す。各化合物におけるR
t1のうち少なくとも1つは式(a)で表される基、式(b)で表される基又は式(c)で表される基である。
【0022】
化合物(IV)の具体例としては、例えば、式(IV-1-1)~(IV-5-2)で表される化合物が挙げられる。
【0023】
ここで、R
t1、R
t3、R
t6、R
t7、R
t9、R
t10及びR
t13は、それぞれ独立に、上述した式(a)で表される基、式(b)で表される基、式(c)で表される基又はヒドロキシ基を表す。各化合物におけるR
t1、R
t3、R
t6、R
t7、R
t9、R
t10及びR
t13のうち少なくとも1つは式(a)で表される基、式(b)で表される基又は式(c)で表される基である。
【0024】
化合物(V)の具体例としては、例えば、式(V-1-1)~(V-3-1)で表される化合物が挙げられる。
ここで、R
vは、それぞれ独立に、上述した式(a)で表される基、式(b)で表される基、式(c)で表される基又はヒドロキシ基を表す。各化合物におけるR
vのうち少なくとも1つは式(a)で表される基、式(b)で表される基又は式(c)で表される基である。
【0025】
化合物(I)は、例えば、特開平2-84650号公報、特開平3-185447号公報、特開平3-191351号公報、特開平5-323597号公報、特開平8-245461号公報、特開平9-110762号公報等の記載に準じて製造することができる。化合物(I)は、例えば、フェノール性水酸基を有する芳香族化合物(例えば、上述した化合物(II)~(V)の分子内のキノンジアジドスルホニル基を全て水素原子に置き換えた化合物等)と、キノンジアジドスルホニルハライド(例えば、1,2-ナフトキノンジアジドスルホニルクロリド、1,2-ベンゾキノンジアジドスルホニルクロリド等のキノンジアジドスルホニルクロリド、1,2-ナフトキノンジアジドスルホニルブロミド、1,2-ベンゾキノンジアジドスルホニルブロミド等のキノンジアジドスルホニルブロミド等)とを、弱アルカリの存在下で反応させ、完全エステル化又は部分エステル化することにより製造することができる。
フェノール性水酸基を有する芳香族化合物は、市場より容易に入手でき、また、公知の方法により製造することができる。
【0026】
化合物(I)の含有量は、レジスト組成物の固形分中、好ましくは0.05質量%以上25質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上20質量%以下であり、さらに好ましくは0.5質量%以上15質量%以下であり、さらにより好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
レジスト組成物中の化合物(I)の含有量は、例えば液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段で測定できる。
化合物(I)としては、化合物(III)及び化合物(IV)が好ましく、化合物(III)がより好ましい。
【0027】
<樹脂(A1)>
樹脂(A1)は、酸不安定基を有する構造単位(以下「構造単位(a1)」という場合がある)を含む。
酸不安定基とは、酸との接触により脱離し得る基(脱離基という場合がある)を含む基を意味する。樹脂(A1)が酸と接触することにより、酸不安定基から脱離基が脱離して、親水性基(例えば、ヒドロキシ基(フェノール性水酸基等)又はカルボキシ基)が形成される。樹脂(A1)は、酸との接触によりアルカリ水溶液への溶解性が増大する。つまり、樹脂(A1)は、酸との接触前はアルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸との接触後にアルカリ水溶液に可溶となることが好ましい。
樹脂(A1)は、上記の特性を有する範囲において、酸不安定基を有する構造単位に加え、さらに、酸不安定基を有さない構造単位(以下「構造単位(a2)」という場合がある)など、当該分野で公知の構造単位を含んでいてもよい。
【0028】
酸不安定基に含まれる脱離基を脱離させる酸としては、例えば、カルボン酸、スルホン酸等が挙げられる。本発明の組成物では、フォトリソグラフィー工程において、後述する酸発生剤(B)に光照射(露光)して生成するカルボン酸化合物、スルホン酸化合物等が挙げられる。
【0029】
酸不安定基としては、例えば、式(10)で表される基、式(20)で表される基等が挙げられる。
[式(10)中、R
a1、R
a2及びR
a3は、互いに独立に、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数3~20の脂環式炭化水素基を表す。或いは、R
a1及びR
a2は、互いに結合してそれらが結合する炭素原子とともに炭素数3~20の環を形成しており、且つR
a3は、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数3~20の脂環式炭化水素基を表す。ma及びnaは、それぞれ独立に、0又は1を表し、ma及びnaの少なくとも一方は1を表す。*は結合手を表す。]
【0030】
[式(20)中、R
a1’及びR
a2’は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表し、R
a3’は、炭素数1~20の炭化水素基を表す。或いは、R
a1’は、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表し、且つR
a2’及びR
a3’は、互いに結合してそれらが結合する炭素原子及びXとともに炭素数3~20の複素環を形成している。該炭素数1~20の炭化水素基及び該炭素数3~20の複素環に含まれるメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子で置き換わってもよい。Xは、酸素原子又は硫黄原子を表す。na’は、0又は1を表す。*は結合手を表す。]
【0031】
式(10)で表されるRa1~Ra3の炭素数1~8のアルキル基は、直鎖状又は分岐状のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。Ra1~Ra3の炭素数1~8のアルキル基は、好ましくは炭素数1~6であり、より好ましくは炭素数1~4である。
Ra1~Ra3の炭素数3~20の脂環式炭化水素基は、単環式又は多環式のいずれでもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、下記の基(*は結合手を表す。)等が挙げられる。
【0032】
R
a1~R
a3の炭素数3~20の脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数3~18であり、より好ましくは炭素数3~16であり、さらに好ましくは炭素数3~12である。
【0033】
R
a1及びR
a2が互いに結合してそれらが結合する炭素原子と共に炭素数3~20の環を形成する場合の-C(R
a1)(R
a2)(R
a3)としては、例えば、下記の基が挙げられる。該炭素数3~20の環は、好ましくは炭素数3~18であり、より好ましくは炭素数3~16であり、さらに好ましくは炭素数3~12である。*は-O-との結合手を表す。
R
a1は、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数3~18の脂環式炭化水素基であるか、R
a2と結合してそれら
が結合する炭素原子とともに炭素数3~18の環を形成していることが好ましく、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数3~12の脂環式炭化水素基であるか、R
a2と結合してそれらが結合する炭素原子とともに炭素数3~12の環を形成していることがより好ましい。
R
a2は、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数3~18の脂環式炭化水素基であるか、R
a1と結合してそれらが結合する炭素原子とともに炭素数3~18の環を形成していることが好ましく、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数3~12の脂環式炭化水素基であるか、R
a1と結合してそれらが結合する炭素原子とともに炭素数3~12の環を形成していることがより好ましい。
R
a3は、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数3~18の脂環式炭化水素基であることが好ましく、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数3~12の脂環式炭化水素基であることがより好ましい。
maは、好ましくは0である。naは、好ましくは1である。
【0034】
式(10)で表される基としては、例えば、R
a1、R
a2及びR
a3がそれぞれ独立に炭素数1~3のアルキル基である基(好ましくはtert-ブトキシカルボニル基);R
a1及びR
a2がそれぞれ独立に炭素数1~3のアルキル基であり、且つR
a3がシクロペンチル基又はシクロヘキシル基である基;R
a1及びR
a2が互いに結合してそれらが結合する炭素原子とともにシクロペンタン環又はシクロヘキサン環を形成し、且つR
a3が炭素数1~3のアルキル基である基等が挙げられる。
式(10)で表される基の具体例としては、例えば、以下の基が挙げられる。
【0035】
式(20)で表される基のR
a1’~R
a3’の炭素数1~20の炭化水素基としては、炭素数1~20の鎖式炭化水素基(アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基等)、炭素数3~20の脂環式炭化水素基及び炭素数6~20の芳香族炭化水素基等、並びに、これらが組合せられた炭素数4~20の基が挙げられる。
炭素数1~20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等が挙げられる。
炭素数2~20のアルケニル基としては、エテニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、tert-ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、イソオクテニル基、ノネニル基等が挙げられる。
炭素数2~20のアルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、イソプロピニル基、ブチニル基、イソブチニル基、tert-ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、オクチニル基、ノニニル基等が挙げられる。
該炭素数1~20の鎖式炭化水素基は、好ましくは炭素数1~18であり、より好ましくは炭素数1~16であり、さらに好ましくは炭素数1~12であり、より一層好ましくは炭素数1~8であり、さらに一層好ましくは炭素数1~6である。
炭素数3~20の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基等の単環式の脂環式炭化水素基;デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基等の多環式の脂環式炭化水素基が挙げられる。該炭素数3~20の脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数3~18であり、より好ましくは炭素数3~16であり、さらに好ましくは炭素数3~12である。
炭素数6~20の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基、フェナントリル基等のアリール基等が挙げられる。芳香族炭化水素基はさらに置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、炭素数6~10のアリールオキシ基が挙げられる。該炭素数6~20の芳香族炭化水素基は、好ましくは炭素数6~18であり、より好ましくは炭素数6~14であり、さらに好ましくは炭素数6~10である。
上記の基が組合せられた炭素数4~20の基のうち、アルキル基と脂環式炭化水素基とが組合せられた基(炭素数4~20の基)としては、例えば、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、メチルノルボルニル基、イソボルニル基、2-アルキルアダマンタン-2-イル基、1-(アダマンタン-1-イル)アルカン-1-イル基等が挙げられる。
アルキル基と芳香族炭化水素基とが組合せられた基(炭素数7~20の基)としては、例えば、アラルキル基、アルキル基を有する芳香族炭化水素基であり、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、トリチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、p-メチルフェニル基、p-tert-ブチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、2,6-ジエチルフェニル基、2-メチル-6-エチルフェニル基等が挙げられる。
脂環式炭化水素基と芳香族炭化水素基とが組合せられた基(炭素数9~20の基)としては、例えば、脂環式炭化水素基を有する芳香族炭化水素基、芳香族炭化水素基を有する脂環式炭化水素基であり、具体的には、p-シクロヘキシルフェニル基、p-アダマンチルフェニル基、フェニルシクロヘキシル基等が挙げられる。
R
a2’及びR
a3’が互いに結合してそれらが結合する炭素原子及びXとともに炭素数3~20の複素環を形成する場合、-C(R
a1’)(R
a2’)-X-R
a3’としては、例えば、下記の基が挙げられる。該炭素数3~20の複素環は、好ましくは炭素数3~18であり、より好ましくは炭素数3~16であり、さらに好ましくは炭素数3~12である。*は、結合手を表す。
R
a1’は、水素原子又は炭素数1~18の炭化水素基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1~12の炭化水素基であることがより好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。
R
a2'は、水素原子又は炭素数1~18の炭化水素基であるか、R
a3’と結合してそれらが結合する炭素原子及びXとともに炭素数3~18の複素環を形成していることが好ましく、水素原子又は炭素数1~12の炭化水素基であるか、R
a3’と結合してそれらが結合する炭素原子及びXとともに炭素数3~12の複素環を形成していることがより好ましく、炭素数1~12の炭化水素基であることがさらに好ましく、メチル基又はエチル基であることがさらにより好ましい。
R
a3’は、炭素数1~18の炭化水素基であるか、R
a2'と結合してそれらが結合する炭素原子及びXとともに炭素数3~18の複素環を形成していることが好ましく、炭素数1~12の炭化水素基であるか、R
a2’と結合してそれらが結合する炭素原子及びXとともに炭素数3~12の複素環を形成していることがより好ましい。
上記の炭化水素基としては、炭素数1~18のアルキル基、炭素数3~18の脂環式炭化水素基、炭素数6~18の芳香族炭化水素基又はこれらが組合せられた炭素数4~18の基が挙げられる。これらの基は、上記に列挙されたものから任意に選択することができる。
Xは、好ましくは酸素原子である。
na’は、好ましくは0である。
【0036】
式(20)で表される基の具体例としては、例えば、以下の基が挙げられる。
【0037】
式(10)で表される基としては、具体的に、式(1)で表される基及び式(1')で表される基等が挙げられる。
[式(1)及び式(1')中、R
a1、R
a2及びR
a3は、互いに独立に、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数3~20の脂環式炭化水素基を表す。或いは、R
a1及びR
a2は、互いに結合してそれらが結合する炭素原子とともに炭素数3~20の環を形成しており、且つR
a3は、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数3~20の脂環式炭化水素基を表す。*は結合手を表す。]
式(20)で表される基としては、具体的に、式(2)で表される基及び式(2')で表される基等が挙げられる。
[式(2)及び式(2')中、R
a1’及びR
a2’は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表し、R
a3’は、炭素数1~20の炭化水素基を表す。或いは、R
a1’は、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表し、且つR
a2’及びR
a3’は、互いに結合してそれらが結合する炭素原子及び酸素原子とともに炭素数3~20の複素環を形成している。該炭素数1~20の炭化水素基及び該炭素数3~20の複素環に含まれるメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子で置き換わってもよい。*は結合手を表す。]
【0038】
<酸不安定基を有する構造単位(a1)>
酸不安定基を有する構造単位(a1)を含む樹脂(A1)は、例えば、構造単位(a1)を導くエチレン性不飽和化合物を含むモノマー成分を重合して製造することができる。構造単位(a1)に含まれる酸不安定基としては、上記の式(10)で表される基及び/又は式(20)で表される基が好ましい。
樹脂(A1)は、構造単位(a1)の1種のみを有していてもよく、複数種を有していてもよい。
【0039】
構造単位(a1)としては、式(a1-1)で表される構造単位(以下「構造単位(a1-1)」という場合がある)及び式(a1-2)で表される構造単位(以下「構造単位(a1-2)」という場合がある)が好ましい。
【0040】
[式(a1-1)及び式(a1-2)中、
R
a1、R
a2及びR
a3は、互いに独立に、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数3~20の脂環式炭化水素基を表す。或いは、R
a1及びR
a2は、互いに結合してそれらが結合する炭素原子とともに炭素数3~20の環を形成しており、且つR
a3は、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数3~20の脂環式炭化水素基を表す。
R
a1’及びR
a2’は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表し、R
a3’は、炭素数1~20の炭化水素基を表す。或いは、R
a1’は、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表し、且つR
a2’及びR
a3’は互いに結合してそれらが結合する炭素原子及び酸素原子とともに炭素数3~20の複素環を形成している。該炭素数1~20の炭化水素基及び該炭素数3~20の複素環に含まれるメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子で置き換わってもよい。
R
a4及びR
a5は、互いに独立に、水素原子又はメチル基を表す。
R
a6は、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルコキシ基を表す。
mは、0~4の整数を表す。mが2以上のとき、複数のR
a6は互いに同一であっても異なっていてもよい。]
【0041】
式(a1-1)において、Ra4は、メチル基であることが好ましい。
Ra1は、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数3~18の脂環式炭化水素基であるか、Ra2と結合してそれらが結合する炭素原子とともに炭素数3~18の環を形成していることが好ましく、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数3~12の脂環式炭化水素基であるか、Ra2と結合してそれらが結合する炭素原子とともに炭素数3~12の環を形成していることがより好ましい。
Ra2は、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数3~18の脂環式炭化水素基であるか、Ra1と結合してそれらが結合する炭素原子とともに炭素数3~18の環を形成していることが好ましく、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数3~12の脂環式炭化水素基であるか、Ra1と結合してそれらが結合する炭素原子とともに炭素数3~12の環を形成していることがより好ましい。
Ra3は、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数3~18の脂環式炭化水素基であることが好ましく、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数3~12の脂環式炭化水素基であることがより好ましい。
式(a1-2)において、Ra5は、水素原子であることが好ましい。
Ra1’は、水素原子又は炭素数1~18の炭化水素基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1~12の炭化水素基であることがより好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。
Ra2'は、水素原子又は炭素数1~18の炭化水素基であるか、Ra3’と結合してそれらが結合する炭素原子及び酸素原子とともに炭素数3~18の複素環を形成していることが好ましく、水素原子又は炭素数1~12の炭化水素基であるか、Ra3’と結合してそれらが結合する炭素原子及び酸素原子とともに炭素数3~12の複素環を形成していることがより好ましく、炭素数1~12の炭化水素基であることがさらに好ましく、メチル基又はエチル基であることがさらにより好ましい。
Ra3’は、炭素数1~18の炭化水素基であるか、Ra2'と結合してそれらが結合する炭素原子及び酸素原子とともに炭素数3~18の複素環を形成していることが好ましく、炭素数1~12の炭化水素基であるか、Ra2’と結合してそれらが結合する炭素原子及び酸素原子とともに炭素数3~12の複素環を形成していることがより好ましい。
上記の炭化水素基としては、炭素数1~18のアルキル基、炭素数3~18の脂環式炭化水素基、炭素数6~18の芳香族炭化水素基又はこれらが組合せられた炭素数4~18の基が挙げられる。これらの基は、上記に列挙されたものから任意に選択することができる。前記炭化水素基は、好ましくは炭素数1~18のアルキル基、炭素数3~18の脂環式炭化水素基、又は炭素数7~18のアラルキル基である。前記アルキル基及び前記脂環式炭化水素基は無置換が好ましい。前記芳香族炭化水素基が置換基を有する場合、その置換基としては炭素数6~10のアリールオキシ基が好ましい。
Ra6の炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。該炭素数1~6のアルキル基は、炭素数1~4のアルキル基が好ましく、炭素数1~3のアルキル基がより好ましい。
Ra6の炭素数1~6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられる。該炭素数1~6のアルコキシ基は、炭素数1~4のアルコキシ基が好ましく、炭素数1~3のアルコキシ基がより好ましい。
Ra6は、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1~3のアルキル基又は炭素数1~3のアルコキシ基であることがより好ましく、メチル基、エチル基、メトキシ基又はエトキシ基であることがさらに好ましく、メチル基又はメトキシ基であることがさらにより好ましい。
mは、0~2であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることがさらに好ましい。
式(a1-2)において、-O-C(Ra1’)(Ra2’)-O-Ra3’で示される基は、ベンゼン環の3位又は4位(ベンゼン環に結合している主鎖に対してm-位又はp-位)に結合していることが好ましく、ベンゼン環の4位(p-位)に結合していることがより好ましい。
【0042】
構造単位(a1-1)としては、例えば、式(a1-1-1)~式(a1-1-17)のいずれかで表される構造単位が挙げられる。
【0043】
【0044】
構造単位(a1-2)としては、例えば、式(a1-2-1)~式(a1-2-14)のいずれかで表される構造単位が挙げられる。
【0045】
上記構造単位においては、Ra5に相当する水素原子がメチル基で置き換わった構造単位も、構造単位(a1-2)の具体例として挙げることができる。
構造単位(a1-2)は、式(a1-2-2)、式(a1-2-3)、式(a1-2-4)、式(a1-2-9)、式(a1-2-14)で表される構造単位が好ましく、式(a1-2-2)、式(a1-2-3)、式(a1-2-4)、式(a1-2-9)で表される構造単位がより好ましい。
【0046】
酸不安定基を有する構造単位を含む樹脂(A1)は、構造単位(a1-2)を含む樹脂であることが好ましい。
樹脂(A1)が構造単位(a1-1)及び/又は構造単位(a1-2)を含む場合、これらの構造単位の合計の含有割合は、樹脂(A1)の全構造単位に対して、3~80モル%が好ましく、5~60モル%がより好ましく、10~55モル%がさらに好ましく、15~50モル%がより一層好ましく、20~45モル%がさらに一層好ましい。
【0047】
<酸不安定基を有さない構造単位(a2)>
樹脂(A1)は、酸不安定基を有する構造単位(a1)及び必要に応じ酸不安定基を有さない構造単位(a2)を含んでいてもよい。構造単位(a1)及び構造単位(a2)を含む樹脂(A1)は、例えば、構造単位(a1)を導くエチレン性不飽和化合物と構造単位(a2)を導くエチレン性不飽和化合物とを含むモノマー成分を重合して製造することができる。構造単位(a1)に含まれる酸不安定基としては、上記の式(10)で表される基及び/又は式(20)で表される基が好ましい。
樹脂(A1)において、酸不安定基を有さない構造単位(a2)を1種のみを含んでいてもよく、複数種を含んでいてもよい。
【0048】
構造単位(a2)としては、例えば、式(a2-1)~式(a2-3)のいずれかで表される構造単位(以下、式番号に応じて「構造単位(a2-1)」等という場合がある。)が挙げられる。
[式(a2-1)、式(a2-2)及び式(a2-3)中、
R
a7、R
a8及びR
a9は、互いに独立に、水素原子又はメチル基を表す。
R
a10は、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルコキシ基を表す。
m’は0~4の整数を表す。m’が2以上のとき、複数のR
a10は互いに同一であっても異なっていてもよい。
R
a11は、水素原子又は炭素数1~12の炭化水素基を表す。ただし、酸素原子と結合する炭素原子が第3級の炭素原子である基を除く。
R
a12は、炭素数1~6のアルキル基を表す。ただし、酸素原子と結合する炭素原子が第3級の炭素原子である基を除く。
L
a1は、炭素数2~6のアルカンジイル基を表す。ただし、酸素原子と結合する炭素原子が第3級の炭素原子である基を除く。
nは、1~30の整数を表す。nが2以上のとき、複数のL
a1は互いに同一であっても異なっていてもよい。]
【0049】
R
a10で示される炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。該炭素数1~6のアルキル基は、好ましくは炭素数1~4であり、より好ましくは炭素数1~3である。
R
a10で示される炭素数1~6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられる。該炭素数1~6のアルコキシ基は、好ましくは炭素数1~4であり、より好ましくは炭素数1~3である。
R
a11で示される炭素数1~12の炭化水素基として、炭素数1~12の鎖式炭化水素基(アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基等)、炭素数3~12の脂環式炭化水素基、炭素数6~12の芳香族炭化水素基及びこれらを組合せることにより形成される炭素数4~12の基等が挙げられる。
炭素数1~12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等が挙げられる。
炭素数2~12のアルケニル基としては、エテニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、tert-ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、イソオクテニル基、ノネニル基等が挙げられる。
炭素数2~12のアルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、イソプロピニル基、ブチニル基、イソブチニル基、tert-ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、オクチニル基、ノニニル基等が挙げられる。
該炭素数1~12の鎖式炭化水素基は、好ましくは炭素数1~10であり、より好ましくは炭素数1~8であり、さらに好ましくは炭素数1~6である。
炭素数3~12の脂環式炭化水素基は、単環式及び多環式のいずれでもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基及び下記の基(*は結合手を表す。)等が挙げられる。
該炭素数3~12の脂環式炭化水素基は、好ましくは炭素数3~10であり、より好ましくは炭素数3~8である。
炭素数6~12の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。該炭素数6~12の芳香族炭化水素基は、好ましくは炭素数6~10である。
上記の基を組合せることにより形成される炭素数4~12の基として、アルキル基と脂環式炭化水素基とを組合せた基(炭素数4~12の基)としては、例えば、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、メチルノルボルニル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ノルボルニルエチル基等が挙げられる。
アルキル基と芳香族炭化水素基とを組合せた基(炭素数7~12の基)としては、例えば、アラルキル基、アルキル基を有する芳香族炭化水素基であり、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、トリチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、p-メチルフェニル基、p-tert-ブチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、2,6-ジエチルフェニル基、2-メチル-6-エチルフェニル基等が挙げられる。
脂環式炭化水素基と芳香族炭化水素基とを組合せた基(炭素数9~12の基)としては、例えば、脂環式炭化水素基を有する芳香族炭化水素基、芳香族炭化水素基を有する脂環式炭化水素基であり、具体的には、p-シクロヘキシルフェニル基、フェニルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0050】
Ra12で示される炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基等が挙げられる。該炭素数1~6のアルキル基は、好ましくは炭素数1~4であり、より好ましくは炭素数1~3である。
【0051】
La1の炭素数2~6のアルカンジイル基としては、直鎖状又は分岐状のいずれでもよく、例えば、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、エタン-1,1-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、ペンタン-2,4-ジイル基、2-メチルプロパン-1,3-ジイル基、ペンタン-1,4-ジイル基、2-メチルブタン-1,4-ジイル基等が挙げられる。該炭素数2~6のアルカンジイル基は、好ましくは炭素数2~4であり、より好ましくは炭素数2~3である。
【0052】
Ra7は、水素原子が好ましい。
Ra8及びRa9は、互いに独立に、メチル基であることが好ましい。
Ra10は、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1~3のアルキル基又は炭素数1~3のアルコキシ基であることがより好ましく、例えば、メチル基、エチル基、メトキシ基又はエトキシ基であることがさらに好ましく、メチル基又はメトキシ基であることがさらにより好ましい。
m’は、0~2であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることがさらに好ましい。
Ra11は、水素原子又は炭素数1~10の炭化水素基であることが好ましく、水素原子、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数3~10の脂環式炭化水素基であることがより好ましく、水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数3~8の脂環式炭化水素基であることがさらに好ましい。ただし、酸素原子と結合する炭素原子が第3級の炭素原子である基を除く。
La1は、炭素数2~4のアルカンジイル基(例えば、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基)であることが好ましく、炭素数2~3のアルカンジイル基(例えば、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基)であることがより好ましく、エタン-1,2-ジイル基であることがさらに好ましい。
nは、1~20の整数であることが好ましく、1~16の整数であることがより好ましく、1~14の整数であることがさらに好ましく、1~10の整数であることがより一層好ましく、1~6の整数であることがさらに一層好ましい。
Ra12は、炭素数1~4のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~3のアルキル基であることがより好ましい。ただし、酸素原子と結合する炭素原子が第3級の炭素原子である基を除く。
【0053】
構造単位(a2-1)としては、式(a2-1-1)、式(a2-1-2)、式(a2-1-3)又は式(a2-1-4)で表される構造単位が好ましい。また、構造単位(a2-1)を導くモノマーは、例えば、特開2010-204634号公報に記載されている。
【0054】
【0055】
構造単位(a2-2)を導くモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル等の単環式(メタ)アクリル酸エステル;
アダマンチル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート等の多環式(メタ)アクリル酸エステル;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アリールエステルが挙げられる。
【0056】
構造単位(a2-3)を導くモノマーとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノプロピルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ペンタエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ヘプタエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、オクタエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート等の(ポリ)エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート((ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート)等の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
【0057】
さらに、構造単位(a2)を導くモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のカルボン酸類、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、スチレン、α-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メトキシスチレン、4-イソプロポキシスチレン等のスチレン類等が挙げられる。
【0058】
構造単位(a2)は、例えば、式(a2-4)で表される構造単位であってもよい。
[式(a2-4)中、
R
a13は、水素原子又はメチル基を表す。
R
a14は、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルコキシ基を表す。
R
a15は、炭素数1~12の炭化水素基を表す。ただし、酸素原子と結合する炭素原子が第3級の炭素原子である基を除く。該炭素数1~12の炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置換されてもよい。ただし、酸素原子に結合するメチレン基及び該メチレン基に結合するメチレン基は、酸素原子に置換されない。
m”は0~4の整数を表す。m”が2以上のとき、複数のR
a14は互いに同一であっても異なっていてもよい。
m'''は0~4の整数を表す。m'''が2以上のとき、複数のR
a15は互いに同一であっても異なっていてもよい。
ただし、m”とm'''の合計は、5以下である。]
【0059】
Ra15における炭化水素基は、酸素原子との結合手が3級炭素原子とならない基、つまり、その結合炭素に水素原子等の炭素原子以外の原子が1つ以上結合されている基が挙げられる。また、Ra15における炭化水素基は、酸素原子に結合するメチレン基及び該メチレン基に結合するメチレン基が酸素原子に置換されない基、つまり、アセタール構造を含まない基が挙げられる。
従って、式(a2-4)で表される構造単位は、構造単位(a1-2)は含まない。
【0060】
Ra14の炭素数1~6のアルキル基及び炭素数1~6のアルコキシ基としては、Ra10と同様の基が挙げられる。
Ra15の炭素数1~12の炭化水素基としては、Ra11と同様の基が挙げられる。
【0061】
Ra13は、水素原子であることが好ましい。
Ra14は、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1~3のアルキル基又は炭素数1~3のアルコキシ基であることがより好ましく、例えば、メチル基、エチル基、メトキシ基又はエトキシ基であることがさらに好ましく、メチル基又はメトキシ基であることがさらにより好ましい。
Ra15は、なかでも、炭素数1~10の炭化水素基、あるいは、該炭化水素基に含まれるメチレン基が酸素原子又はカルボニル基に置き換わった基であることが好ましく、炭素数1~8の直鎖状又は分岐状のアルキル基、炭素数3~10の脂環式炭化水素基、炭素数6~10の芳香族炭化水素基又はこれらを組合せて形成される炭素数6~10の基、あるいは、これら基に含まれるメチレン基が酸素原子又はカルボニル基に置き換わった基であることがより好ましく、炭素数1~5の直鎖状又は分岐状のアルキル基、炭素数5~10の脂環式炭化水素基、フェニル基又はこれらを組合せて形成される炭素数6~10の基、あるいは、これら基の酸素原子に隣接するメチレン基がカルボニル基に置き換わった基であることがさらに好ましい。
m”は、0~2であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることがさらに好ましい。
m'''は、0~3であることが好ましく、0~2であることがより好ましく、0又は1であることがさらに好ましい。
ただし、m”とm'''の合計は、5以下である。
【0062】
構造単位(a2-4)としては、例えば、式(a2-4-1)~式(a2-4-10)で表される構造単位が挙げられる。
【0063】
式(a2-4-1)~式(a2-4-10)でそれぞれ表される構造単位において、Ra13に相当する水素原子がメチル基で置き換わった構造単位も、構造単位(a2-4)の具体例として挙げることができる。
【0064】
樹脂(A1)が構造単位(a2-1)、構造単位(a2-2)、構造単位(a2-3)、構造単位(a2-4)を含む場合、これらの合計含有率は、樹脂(A1)の全構造単位に対して、1~90モル%が好ましく、1~85モル%がより好ましく、5~80モル%がさらに好ましく、5~75モル%が特に好ましい。
【0065】
樹脂(A1)が構造単位(a2)を含む場合、構造単位(a1)と構造単位(a2)との含有比〔構造単位(a1):構造単位(a2)〕はモル基準で、好ましくは10:90~80:20であり、より好ましくは15:85~60:40であり、さらに好ましくは、15:85~45:55である。
【0066】
樹脂(A1)が含む構造単位の組合せとしては、式(A1-1)~式(A1-46)で表されるものが挙げられる。
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
上記構造式においては、R
a5等に相当する水素原子がメチル基で又はメチル基が水素原子で置き換わった構造単位も、上記構造単位の具体例として挙げることができる。また、1つの樹脂において、水素原子及びメチル基を有する構造単位が混在していてもよい。
【0074】
樹脂(A1)は、好ましくは構造単位(a1)と構造単位(a2)とを含む樹脂であり、より好ましくは、構造単位(a1-1)及び/又は構造単位(a1-2)と構造単位(a2)とを含む樹脂である。
【0075】
樹脂(A1)は、側鎖にカルボキシ基及びフェノール性水酸基から選ばれる少なくとも1種を含有する樹脂と、1分子中に少なくとも2個以上のビニルオキシ基を含有する化合物とを反応させて得られる樹脂(以下「樹脂(A1b)」という場合がある)であってもよい。
樹脂(A1b)は、フェノール性水酸基を含有する樹脂と、1分子中に2個以上のビニルオキシ基を含有する化合物とを反応させて得られる樹脂が好ましい。このような樹脂としては、例えば、構造単位(a2-1)を含む樹脂と、1分子中に2個以上のビニルオキシ基を含有する化合物とを反応させて得ることができる。また、フェノール性水酸基を含有する樹脂として、後述するノボラック樹脂を用い、このノボラック樹脂と、前述のビニルオキシ基含有化合物とを反応させて得られた樹脂でもよい。さらに、構造単位(a2-1)を含む樹脂と、ノボラック樹脂とを混合し、得られた樹脂混合物に、前述のビニルオキシ基含有化合物を反応させて得られた樹脂でもよい。また、構造単位(a2-1)を含む樹脂及び前述のビニルオキシ基含有化合物を反応させて得られた樹脂と、ノボラック樹脂及び前述のビニルオキシ基含有化合物を反応させて得られた樹脂を併用してもよい。
【0076】
樹脂(A1b)の合成において、カルボキシ基及びフェノール性水酸基に対して、1分子中に少なくとも2個以上のビニルオキシ基を含有する化合物の使用量比[カルボキシ基及びフェノール性水酸基:ビニルオキシ基]は、モル基準で、好ましくは60:40~99:1であり、より好ましくは70:30~95:5である。
【0077】
樹脂(A1b)としては、例えば、特開2008-134515号公報、特開2008-46594号公報記載の樹脂が挙げられる。
【0078】
1分子中に少なくとも2個以上のビニルオキシ基を有する化合物としては、例えば、1,4-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル等が挙げられる。
【0079】
樹脂(A1b)が、構造単位(a2-1)を含む樹脂と、ノボラック樹脂とを混合し、得られた樹脂混合物に、ビニルオキシ基含有化合物を反応させて得られた樹脂である場合、当該ノボラック樹脂の含有率は、樹脂(A1b)の総量に対して、30~70質量%である。
【0080】
樹脂(A1)は、上述した構造単位(a1)に相当するエチレン性不飽和化合物と、必要に応じ構造単位(a2)に相当するエチレン性不飽和化合物とを含むモノマー成分を公知の重合法(例えばラジカル重合法)で重合することにより製造できる。
樹脂(A1)の重量平均分子量は、好ましくは3,000以上、より好ましくは4,000以上であり、好ましくは600,000以下、より好ましくは500,000以下である。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析により、標準ポリスチレン基準の換算値として求められるものである。この分析の詳細な分析条件は、本願の実施例に記載する。
【0081】
樹脂(A1)の含有率は、レジスト組成物に含まれる樹脂の総量に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上であり、好ましくは95質量%以下、より好ましくは85質量%以下であり、さらに好ましくは70質量%以下である。
【0082】
樹脂(A1)は、酸の作用により開裂し得る基を含む酸不安定基が導入されたノボラック樹脂(以下「樹脂(A1c)」という場合がある)であってもよい。この樹脂は、後述するノボラック樹脂のフェノール性水酸基の一部又は全部を、酸の作用により開裂し得る基を含む酸不安定基で保護したもの、又は、後述するノボラック樹脂のフェノール性水酸基の一部又は全部が、酸の作用により開裂し得る基を含む酸不安定基で置換されたものをいう。この樹脂は、酸不安定基(酸との接触により脱離し得る基を含む基)を有するノボラック樹脂ともいう。
ノボラック樹脂は、例えば、フェノール性水酸基を有する芳香族化合物(以下、単に「フェノール化合物」という)とアルデヒドとを酸触媒下で付加縮合させることにより得られる樹脂である。
フェノール化合物としては、例えば、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-エチルフェノール、m-エチルフェノール、p-エチルフェノール、o-ブチルフェノール、m-ブチルフェノール、p-ブチルフェノール、2,5-ジエチルフェノール、3,5-ジエチルフェノール、2,3,5-トリエチルフェノール、2,3-キシレノール、2,4-キシレノール、2,5-キシレノール、2,6-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール、2,3,5-トリメチルフェノール、3,4,5-トリメチルフェノール、p-フェニルフェノール、2-メチルレゾルシノール、4-メチルレゾルシノール、5-メチルレゾルシノール、2-メトキシフェノール、3-メトキシフェノール、4-メトキシフェノール、2,3-ジメトキシフェノール、2,5-ジメトキシフェノール、3,5-ジメトキシフェノール、2-メトキシレゾルシノール、ヒドロキノン、4-tert-ブチルカテコール、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、フロログリシノール、ヒドロキシジフェニル、ビスフェノールA、没食子酸、没食子酸エステル、α-ナフトール、β-ナフトール、1,3-ジヒドロキシナフタレン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、キシレノールとヒドロキシベンズアルデヒドとの縮合により得られるポリヒドロキシトリフェニルメタン系化合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2以上を組合せて用いてもよい。
なかでも、フェノール化合物としては、例えば、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、2,3-キシレノール、2,5-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール、2,3,5-トリメチルフェノール、2-tert-ブチルフェノール、3-tert-ブチルフェノール、4-tert-ブチルフェノール、2-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2-tert-ブチル-5-メチルフェノールが好ましい。
【0083】
アルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、アクロレイン及びクロトンアルデヒドのような脂肪族アルデヒド;シクロヘキサンアルデヒド、シクロペンタンアルデヒド又はフリルアクロレインのような脂環式アルデヒド;フルフラール、ベンズアルデヒド、o-、m-又はp-メチルベンズアルデヒド、p-エチルベンズアルデヒド、2,4-、2,5-、3,4-又は3,5-ジメチルベンズアルデヒド、o-、m-又はp-ヒドロキシベンズアルデヒド、o-、m-又はp-ニトロベンズアルデヒドのような芳香族アルデヒド;フェニルアセトアルデヒド又はケイ皮アルデヒドのような芳香脂肪族アルデヒド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2以上を組合せて用いてもよい。なかでも、工業的に入手しやすいことから、ホルムアルデヒドが好ましい。
【0084】
付加縮合時の触媒は、例えば、塩酸、硫酸、過塩素酸及び燐酸のような無機酸、蟻酸、酢酸、蓚酸、トリクロロ酢酸及びp-トルエンスルホン酸のような有機酸、酢酸亜鉛、塩化亜鉛及び酢酸マグネシウムのような二価金属塩などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2以上を組合せて用いてもよい。触媒の使用量は、通常、アルデヒド1モルに対して0.01~1モルである。
【0085】
縮合反応は、常法に従って行うことができる。例えば、60~150℃の範囲の温度で2~30時間程度行われる。当該縮合反応は、溶媒の存在下で行ってもよい。当該溶媒としては、例えば、エチルセロソルブ、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン等が挙げられる。反応終了後、例えば、必要に応じて反応混合物に水に不溶な溶媒を加え、反応混合物を水で洗浄した後、濃縮することにより、ノボラック樹脂を取り出すことができる。また、反応終了後、酸触媒を除去するために塩基性化合物を添加して中和し、中和塩を水洗により除去してもよい。
【0086】
前記のノボラック樹脂においては、その重量平均分子量は、好ましくは3,000以上、より好ましくは4,000以上、さらに好ましくは5,000以上であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは50,000以下、さらに好ましくは10,000以下、より一層好ましくは9,000以下、さらに一層好ましくは8,000以下である。
本願明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析により、標準ポリスチレン基準の換算値として求められるものである。この分析の詳細な分析条件は、本願の実施例に記載する。
【0087】
ノボラック樹脂に導入された酸不安定基は、酸の作用により開裂し得る基を含むものであれば特に限定されるものではなく、酸不安定基として公知のものが挙げられる。酸不安定基は、上記のように縮合により得られたノボラック樹脂内のフェノール性水酸基の一部又は全部に導入されている。
【0088】
ノボラック樹脂のフェノール性水酸基に導入された酸不安定基としては、例えば、上述の式(10)で表される基又は式(20)で表される基等が挙げられる。好ましくは式(1’)で表される基又は式(2)で表される基である。
酸不安定基として具体的には、例えば、tert-ブトキシカルボニルオキシ基、1-メチルシクロペンタン-1-イルオキシカルボニルオキシ基、1-(シクロペンタン-1-イル)-1-メチルアルコキシカルボニルオキシ基、ブチルオキシエトキシ基、エトキシプロピルオキシ基、エトキシブチルオキシ基、テトラヒドロ-2-ピラニルオキシ基、テトラヒドロ-2-フリルオキシ基、メトキシエトキシ基、1-エトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシ基、シクロヘキシルオキシエトキシ基、1-(2-メチルプロポキシ)エトキシ基、1-(2-メトキシエトキシ)エトキシ基、1-(2-アセトキシエトキシ)エトキシ基、1-〔2-(1-アダマンチルオキシ)エトキシ〕エトキシ基、1-〔2-(1-アダマンタンカルボニルオキシ)エトキシ〕エトキシ基、3-オキソシクロヘキシルオキシ基、4-メチルテトラヒドロ-2-ピロン-4-イルオキシ基等が挙げられる。なかでも、エトキシエトキシ基、エトキシプロピルオキシ基、エトキシブチルオキシ基、イソプロピルオキシエトキシ基、シクロヘキシルオキシエトキシ基、1-(2-メチルプロポキシ)エトキシ基からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、エトキシエトキシ基、イソプロピルオキシエトキシ基及びシクロヘキシルオキシエトキシ基からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、1-エトキシエトキシ基がさらに好ましい。
【0089】
酸不安定基を有するノボラック樹脂(A1c)の一態様しては、例えば、式(a3A)で表される構造単位(以下「構造単位(a3A)」という場合がある)又は式(a3B)で表される構造単位(以下「構造単位(a3B)」という場合がある)を含む樹脂が挙げられる。
[式(a3A)中、R
a1、R
a2及びR
a3は、互いに独立に、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数3~20の脂環式炭化水素基を表す。或いは、R
a1及びR
a2は、互いに結合してそれらが結合する炭素原子とともに炭素数3~20の環を形成しており、且つR
a3は、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数3~20の脂環式炭化水素基を表す。R
abは、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルコキシ基を表す。pは0、1、2又は3を表す。pが2又は3のとき、R
abは同一であっても、異なっていてもよい。]
[式(a3B)中、R
a1’及びR
a2’は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表し、R
a3’は、炭素数1~20の炭化水素基を表す。或いは、R
a1’は、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表し、且つR
a2’及びR
a3’は、互いに結合してそれらが結合する炭素原子及び酸素原子とともに炭素数3~20の複素環を形成している。該炭素数1~20の炭化水素基及び該炭素数3~20の複素環に含まれるメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子で置き換わってもよい。R
abは、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルコキシ基を表す。pは0、1、2又は3を表す。pが2又は3のとき、R
abは同一であっても、異なっていてもよい。]
【0090】
Rabで示される炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。該炭素数1~6のアルキル基は、好ましくは炭素数1~4のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1~3のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。
Rabで示される炭素数1~6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられる。該炭素数1~6のアルコキシ基は、好ましくは炭素数1~4のアルコキシ基であり、より好ましくは炭素数1~3のアルコキシ基であり、さらに好ましくはメトキシ基である。
Rabは、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1~3のアルキル基又は炭素数1~3のアルコキシ基であることがより好ましく、メチル基、エチル基、メトキシ基又はエトキシ基であることがさらに好ましく、メチル基又はメトキシ基であることがさらにより好ましい。
pは、0~2であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。
【0091】
酸不安定基を有するノボラック樹脂(A1c)が含む構造単位の組み合わせとしては、例えば、式(A1c-1)~式(A1c-12)で表されるものが挙げられる。
【0092】
酸不安定基の導入割合(導入率)は、樹脂(A1c)のノボラック樹脂の有するフェノール性水酸基に対して5モル%以上であることが好ましく、10モル%以上であることがより好ましく、20モル%以上であることがさらに好ましい。また、80モル%以下であることが好ましく、70モル%以下であることがより好ましく、60モル%以下であることがさらに好ましい。さらに酸不安定基により最適な導入率がある。
樹脂(A1)が酸不安定基(2)を有する場合、酸不安定基(2)の導入割合は、上述したフェノール性水酸基に対して20モル%以上が好ましく、30モル%以上がより好ましい。樹脂(A1)が酸不安定基としてエトキシエトキシ基を有する場合、30~60モル%がさらに好ましく、プロピルオキシエトキシ基を有する場合、20~60モル%がさらに好ましく、シクロヘキシルオキシエトキシ基を有する場合、20~60モル%がさらに好ましい。この範囲とすることにより、この樹脂を用いたレジスト組成物でのパターン形成後の解像性、残膜率および耐熱性を効果的に確保することができる。
酸不安定基の導入割合は、例えば、1H-NMRで測定することができる。
【0093】
酸不安定基をノボラック樹脂のフェノール性水酸基に導入する方法は、当該分野で公知の方法が挙げられる。例えば、酸不安定基としてエトキシエトキシ基を導入する場合は、室温にて、酸触媒下で、ノボラック樹脂に所定量のエチルビニルエーテルを添加し、酸触媒下で所定時間反応させ、その後、ジエチルエーテルを添加し、水洗する方法等が挙げられる。
【0094】
樹脂(A1c)の重量平均分子量は、好ましくは3,000以上、より好ましくは4,000以上であり、好ましくは200,000以下、より好ましくは100,000以下である。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析により、標準ポリスチレン基準の換算値として求められるものである。この分析の詳細な分析条件は、本願の実施例に記載する。
【0095】
樹脂(A1c)の含有率は、レジスト組成物に含まれる樹脂の総量に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上であり、好ましくは95質量%以下、より好ましくは85質量%以下であり、さらに好ましくは70質量%以下である。
【0096】
<樹脂(A2)>
樹脂(A2)は、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。アルカリ可溶性樹脂とは、酸性基(親水性基という場合もある)を有し、アルカリ現像液に可溶な樹脂である。酸性基は、例えば、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基(フェノール性水酸基等)等である。
アルカリ可溶性樹脂としては、レジスト分野で公知のアルカリ可溶性樹脂が挙げられ、例えば、ノボラック樹脂、構造単位(a2-1)を含み構造単位(a1)を含まない樹脂、例えば、ヒドロキシスチレン由来の構造単位を含む樹脂、(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位を含む樹脂、及びポリアルキレングリコール等が挙げられる。好ましくは、ノボラック樹脂である。アルカリ可溶性樹脂は、酸不安定基を有さないことが好ましい。つまり、アルカリ可溶性樹脂は、酸性基を有する構造単位を含み、酸不安定基を有する構造単位を含まない樹脂であることが好ましい。アルカリ可溶性樹脂は、酸との接触によりアルカリ水溶液に対する溶解性が変化しないことが好ましい。アルカリ可溶性樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
樹脂(A2)において、酸性基を有する構造単位の合計含有率は、樹脂(A2)の全構造単位に対して、3~100モル%が好ましく、5~100モル%がより好ましく、10~100モル%がさらに好ましく、30~100モル%がより一層好ましく、50~100モル%がさらに一層好ましく、60~100モル%がさらにより一層好ましく、70~100モル%がとりわけ好ましく、80~100モル%が特に好ましい。
樹脂(A2)は、酸性基を有する構造単位の1種のみを含んでいてもよく、複数種を含んでいてもよい。
【0097】
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、実使用条件下において、アルカリ現像液で現像した時の残膜率が、0%以上90%以下である樹脂が挙げられる。当該残膜率は、0%以上85%以下であることが好ましく、0%以上80%以下であることがより好ましい。
【0098】
残膜率は、例えば、次のようにして測定することができる。樹脂を有機溶剤に溶解後、必要に応じ、フィルターを用いてろ過を行い、次いで、基板上にスピンコーター等を用いて塗布した後、加熱を行い、有機溶剤の除去を行う。得られた基板上の有機膜を膜厚計により測定し、2.38質量%のアルカリ水溶液で現像を行い、再度、膜厚計により、現像後の膜厚を測定する。このようにして得られた測定値に対し、現像後の膜厚を現像前の膜厚で除することで、残膜率を得ることができる。現像条件は、実使用条件である。例えば、現像温度は、5~60℃が挙げられ、現像時間は、5~600秒間が挙げられる。アルカリ現像液は、この分野で用いられる各種のアルカリ性水溶液が挙げられ、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドや(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液等が挙げられる。
【0099】
ノボラック樹脂とは、フェノール化合物とアルデヒドとを触媒の存在下に縮合させて得られる樹脂であり、例えば、前記樹脂(A1c)で記載したものから選択することができる。
ノボラック樹脂の一態様しては、例えば、式(a4)で表される構造単位(以下「構造単位(a4)」という場合がある)を含む樹脂が挙げられる。
[式(a4)中、R
acは、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルコキシ基を表す。p1は0、1、2又は3を表す。p1が2又は3のとき、R
acは同一であっても、異なっていてもよい。q1は1、2又は3を表す。ただし、p1とq1の合計は、4以下である。]
R
acの炭素数1~6のアルキル基及び炭素数1~6のアルコキシ基としては、R
abと同様の基が挙げられる。
R
acは、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1~3のアルキル基又は炭素数1~3のアルコキシ基であることがより好ましく、メチル基、エチル基、メトキシ基又はエトキシ基であることがさらに好ましく、メチル基又はメトキシ基であることがさらにより好ましい。
p1は、0~2であることが好ましく、1又は2であることがより好ましい。
q1は、1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
ノボラック樹脂は、その重量平均分子量が、好ましくは3,000以上、より好ましくは4,000以上、さらに好ましくは5,000以上、より一層好ましくは6,000以上であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは50,000以下、さらに好ましくは10,000以下、より一層好ましくは9,000以下、さらに一層好ましくは8,000以下である。この範囲とすることにより、現像後に薄膜化及び残渣の残存を有効に防止することができる。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析により、標準ポリスチレン基準の換算値として求められるものである。この分析の詳細な分析条件は、本願の実施例に記載する。
【0100】
ヒドロキシスチレン由来の構造単位を含む樹脂としては、例えば、ヒドロキシスチレン(p-ヒドロキシスチレン、m-ヒドロキシスチレン、o-ヒドロキシスチレン)、イソプロペニルフェノール(p-イソプロペニルフェノール、m-イソプロペニルフェノール、o-イソプロペニルフェノール)等のヒドロキシスチレン類等のフェノール性水酸基を有するモノマーに由来する構造単位を含む樹脂が挙げられ、具体的には、式(a2-1)で表される構造単位を含む樹脂が挙げられる。ヒドロキシスチレン由来の構造単位を含む樹脂は、上記のモノマーに由来する構造単位以外に、後述の(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位を含む樹脂において例示するモノマーに由来する構造単位を含んでいてもよい。
ヒドロキシスチレン由来の構造単位を含む樹脂とは、典型的にはポリ(ビニルフェノール)(ポリ(ヒドロキシスチレン))であり、好ましくは、ポリ(p-ビニルフェノール)(ポリ(p-ヒドロキシスチレン))である。具体的には、式(a2-1)で表される構造単位からなる樹脂が挙げられる。このようなポリ(ビニルフェノール)は、例えば、特開2010-204634号公報に記載されているモノマーを重合することにより得ることができる。
【0101】
(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位を含む樹脂としては、例えば、下記のような化合物をモノマーとして用い、このモノマーを1種又は2種以上組合せて、常法により重合して得られるものが挙げられる。つまり、(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位を含む樹脂は、下記のようなモノマーに由来する構造単位を含む樹脂が挙げられる。
(メタ)アクリル酸等のカルボキシ基を有するモノマー;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基を有するモノマー;
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ペンタエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ヘプタエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、オクタエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレートなどのポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート類(ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート類)等の複数のエーテル結合を有するモノマー。
【0102】
上述のモノマーと、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル類などの単環式(メタ)アクリル酸エステル類;アダマンチル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレートなどの多環式(メタ)アクリル酸エステル類;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アリールエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノプロピルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレートなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート類(アルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート類)等を組合せて使用してもよい。また、上記のモノマー以外にも、スチレン、α-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メトキシスチレン、4-イソプロポキシスチレンなどのスチレン類;クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸などのカルボン酸類;上述のヒドロキシスチレン由来の構造単位を含む樹脂において例示するヒドロキシスチレン類等を組合せて使用してもよい。上記のようなモノマーに由来する構造単位としては、式(a2-1)~式(a2-4)で表される構造単位も挙げられる。
ポリアルキレングリコールとは、アルコール類にアルキレンオキシドを付加重合させて得られる高分子である。アルコール類としては、例えば、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等が挙げられる。ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等が挙げられる。
【0103】
樹脂(A2)の含有量は、レジスト組成物に含まれる樹脂の総量に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下、さらにより好ましくは65質量%以下である。
【0104】
本発明のレジスト組成物は、化合物(I)、樹脂(A1)及び酸発生剤(B)を含むレジスト組成物に、さらに樹脂(A2)を含んでいる。樹脂(A2)は、化合物(I)との相互作用により、レジストの現像液(アルカリ水溶液)に対する溶解性を調整することができ、また、化合物(I)との架橋により、現像液(アルカリ水溶液)やめっき液に対し耐性を有するものとなるため、めっき造形物の精度を向上させることができる。
【0105】
レジスト組成物に含まれる樹脂(A1)及び樹脂(A2)の含有量の質量比((A1):(A2))は、通常、20:80~80:20であり、好ましくは30:70~70:30である。この範囲に設定すると、めっき造形物の精度をさらに向上させることができるため好適である。
【0106】
本発明のレジスト組成物における、樹脂(A1)及び樹脂(A2)の含有量は、レジスト組成物の固形分の総量に対して、好ましくは80質量%以上99質量%以下である。樹脂(A1)の含有量は、レジスト組成物の固形分の総量に対して、好ましくは1質量%以上98質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上90質量%以下である。樹脂(A2)の含有量は、レジスト組成物の固形分の総量に対して、好ましくは1質量%以上98質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上90質量%以下である。固形分及び本発明のレジスト組成物に含まれる各成分の含有量は、例えば、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィー等の公知の分析手段で測定することができる。
【0107】
<酸発生剤(B)>
酸発生剤(B)は、光照射(露光)により分解して酸を発生することができる化合物である。発生した酸は、樹脂(A1)の酸不安定基に含まれる脱離基を脱離させ、酸不安定基を親水性基(例えば、カルボキシ基、ヒドロキシ基(フェノール性水酸基等))に変換することができる。つまり、樹脂(A1)を含むレジスト組成物に露光することで、レジストを現像液(アルカリ水溶液)に対し可溶性にすることができる。
酸発生剤(B)は、非イオン系とイオン系とのいずれを用いてもよい。
非イオン系酸発生剤としては、例えば、有機ハロゲン化物、スルホネートエステル類(例えば2-ニトロベンジルエステル、芳香族スルホネート、オキシムスルホネート、N-スルホニルオキシイミド、スルホニルオキシケトン、ジアゾナフトキノン 4-スルホネート)、スルホン類(例えばジスルホン、ケトスルホン、スルホニルジアゾメタン)等が挙げられる。イオン系酸発生剤としては、例えば、オニウムカチオンを含むオニウム塩(例えばジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩)が代表的である。オニウム塩のアニオンとしては、スルホン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、スルホニルメチドアニオン等が挙げられる。
【0108】
酸発生剤(B)としては、特開昭63-26653号、特開昭55-164824号、特開昭62-69263号、特開昭63-146038号、特開昭63-163452号、特開昭62-153853号、特開昭63-146029号、米国特許第3,779,778号、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、欧州特許第126,712号等に記載の放射線によって酸を発生する化合物を使用することができる。また、公知の方法で製造した化合物を使用してもよい。酸発生剤(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0109】
非イオン系酸発生剤としては、式(B1)で表される基(*は結合手を表す)を有する化合物が好ましい。
[式(B1)中、
R
b1は、フッ素原子を有してもよい炭素数1~18の炭化水素基を表し、該炭素数1~18の炭化水素基に含まれるメチレン基は酸素原子又はカルボニル基で置換されてもよい。]
なお、窒素原子は、二重結合を有していてもよい。
【0110】
Rb1のフッ素原子を有してもよい炭素数1~18の炭化水素基における炭素数1~18の炭化水素基としては、炭素数1~18の直鎖状又は分岐状の鎖式炭化水素基、炭素数3~18の脂環式炭化水素基、炭素数6~18の芳香族炭化水素基、及びこれらの基を組合せた炭素数4~18の基が挙げられる。
炭素数1~18の直鎖状又は分岐状の鎖式炭化水素基としては、炭素数1~18のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。このうち、直鎖状のものが好ましい。
炭素数3~18の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、アダマンチル基等が挙げられる。
炭素数6~18の芳香族炭化水素基としては、炭素数6~18のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基、フェナントリル基等のアリール基が挙げられる。
上記の基を組合せた炭素数4~18の基のうち、鎖式炭化水素基と脂環式炭化水素基とが組合せられた基(炭素数4~18の基)としては、例えば、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、メチルノルボルニル基、イソボルニル基、2-アルキルアダマンタン-2-イル基、1-(アダマンタン-1-イル)アルカン-1-イル基等が挙げられる。
鎖式炭化水素基と芳香族炭化水素基とが組合せられた基(炭素数7~18の基)としては、例えば、アラルキル基、アルキル基を有する芳香族炭化水素基であり、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、トリチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、p-メチルフェニル基、p-tert-ブチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、2,6-ジエチルフェニル基、2-メチル-6-エチルフェニル基等が挙げられる。
脂環式炭化水素基と芳香族炭化水素基とが組合せられた基(炭素数9~18の基)としては、例えば、脂環式炭化水素基を有する芳香族炭化水素基、芳香族炭化水素基を有する脂環式炭化水素基であり、具体的には、p-シクロヘキシルフェニル基、p-アダマンチルフェニル基、フェニルシクロヘキシル基等が挙げられる。
Rb1で示される炭素数1~18の炭化水素基のうち、好ましくは炭素数1~10のアルキル基又は炭素数6~10の芳香族炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1~8のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1~4のアルキル基である。
【0111】
R
b1における炭素数3~18の脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基が酸素原子又はカルボニル基で置換された基としては、例えば、式(Y1)~式(Y12)で表される基が挙げられる。好ましくは、式(Y7)~式(Y9)で表される基であり、より好ましくは、式(Y9)で表される基である。
【0112】
フッ素原子を有する炭素数1~18の炭化水素基としては、上記の炭素数1~18の炭化水素基に含まれる1以上の水素原子がフッ素原子に置換された基であり、具体的には、例えば、フルオロメチル基、フルオロエチル基、フルオロプロピル基、フルオロブチル基、フルオロペンチル基、フルオロヘキシル基、フルオロヘプチル基、フルオロオクチル基、フルオロノニル基、フルオロデシル基等のフルオロアルキル基;フルオロシクロプロピル基、フルオロシクロブチル基、フルオロシクロペンチル基、フルオロシクロヘキシル基、フルオロシクロヘプチル、フルオロシクロオクチル基、フルオロアダマンチル基等のフルオロシクロアルキル基;フルオロフェニル基、フルオロナフチル基、フルオロアントリル基等のフルオロアリール基等が挙げられる。
【0113】
フッ素原子を有する炭素数1~18の炭化水素基としては、好ましくはフッ素原子を有する炭素数1~10のアルキル基、又はフッ素原子を有する炭素数6~10の芳香族炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1~8のペルフルオロアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1~4のペルフルオロアルキル基である。
【0114】
式(B1)で表される基を有する化合物としては、例えば、式(b1)~式(b3)で表される化合物が挙げられる。好ましくは式(b1)、式(b2)で表される化合物であり、より好ましくは式(b1)で表される化合物である。
[式(b1)~式(b3)中、
R
b1は、上記と同じ意味を表す。
R
b2’、R
b3及びR
b4は、互いに独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数1~8のアルコキシ基を表す。
環W
b1は、炭素数6~14の芳香族炭化水素環、又は炭素数6~14の芳香族複素環を表す。
xは、0~2のいずれかの整数を表す。xが2の場合、複数のR
b2’は同一であっても異なっていてもよい。]
【0115】
炭素数1~8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられ、好ましくはメチル基である。
炭素数1~8のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基等が挙げられ、好ましくはメトキシ基である。
【0116】
炭素数6~14の芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられる。
炭素数6~14の芳香族複素環としては、環を構成する原子数が6~14
の環が挙げられ、好ましくは下記の環が挙げられる。
環W
b1は、好ましくはナフタレン環である。
【0117】
式(b1)で表される化合物としては、式(b4)~式(b7)のいずれかで表される化合物が好ましく、式(b4)で表される化合物がより好ましい。
[式(b4)~式(b7)中、
R
b1は、上記と同じ意味を表す。
R
b2、R
b5、R
b6及びR
b7は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1~8のアルキル基を表す。]
【0118】
炭素数1~8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられ、好ましくはメチル基である。
【0119】
式(b1)で表される化合物としては、例えば、式(b1-1)~式(b1-14)で表される化合物等が挙げられる。好ましくは、式(b1-6)又は式(b1-7)で表される化合物である。
【0120】
【0121】
式(b2)で表される化合物としては、例えば、下記式で表される化合物等が挙げられる。
【0122】
式(b3)で表される化合物としては、例えば、下記式で表される化合物等が挙げられる。
【0123】
イオン系酸発生剤としては、式(b8)又は式(b9)で表される化合物が好ましい。
[式(b8)及び式(b9)中、
A
b1及びA
b2は、互いに独立に、酸素原子又は硫黄原子を表す。
R
b8、R
b9、R
b10及びR
b11は、互いに独立に、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数6~12の芳香族炭化水素基を表す。
X1
―及びX2
-は、有機アニオンを表す。]
【0124】
炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。
炭素数6~12の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基、フェナントリル基等のアリール基等が挙げられる。芳香族炭化水素基はさらに置換基を有していてもよく、置換基を有する芳香族炭化水素基としては、例えば、アラルキル基、アルキル基を有する芳香族炭化水素基であり、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、トリチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、p-メチルフェニル基、p-tert-ブチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、2,6-ジエチルフェニル基、2-メチル-6-エチルフェニル基等が挙げられる。
Rb8、Rb9、Rb10及びRb11は、それぞれ、好ましくは炭素数6~12の芳香族炭化水素基であり、より好ましくはフェニル基である。
【0125】
X1
-及びX2
-で表される有機アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン等が挙げられ、好ましくはスルホン酸アニオンであり、より好ましくは式(b10)で表されるスルホン酸アニオンである。
[式(b10)中、
R
b12は、フッ素原子を有してもよい炭素数1~18の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれるメチレン基は酸素原子又はカルボニル基で置換されてもよい。]
R
b12としては、式(B1)中のR
b1と同様の基が挙げられる。
【0126】
式(b8)で表される化合物として、下記の化合物等が挙げられる。
【0127】
式(b9)で表される化合物として、例えば、下記の化合物等が挙げられる。
【0128】
本発明のレジスト組成物においては、酸発生剤の含有率は、樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上40質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上30質量部以下、さらに好ましくは1質量部以上20質量部以下であり、さらよりに好ましくは1質量部以上5質量部以下である。本発明のレジスト組成物は、酸発生剤(B)の1種を単独で含有してもよく、複数種を含有してもよい。
【0129】
<溶剤(D)>
溶剤(D)の含有率は、通常レジスト組成物中45質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上であり、通常99.9質量%以下、好ましくは99質量%以下であり、より好ましくは90質量%以下である。溶剤(E)の含有率は、例えば液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィー等の公知の分析手段で測定できる。
【0130】
溶剤(D)としては、例えば、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルエステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘプタノン及びシクロヘキサノン等のケトン類;γ-ブチロラクトン等の環状エステル類等を挙げることができる。溶剤(D)の1種を単独で含有してもよく、2種以上を含有していてもよい。
【0131】
<クエンチャー(C)>
本発明のレジスト組成物は、クエンチャー(以下「クエンチャー(C)」という場合がある)を含有していてもよい。
クエンチャー(C)は、露光により酸発生剤から発生する酸を捕捉する作用を有する化合物である。クエンチャー(C)としては、塩基性の含窒素有機化合物が挙げられる。 塩基性の含窒素有機化合物としては、アミン及びアンモニウム塩が挙げられる。アミンとしては、脂肪族アミン(第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンを含む)、芳香族アミン等が挙げられる。
【0132】
アミンとしては、例えば、式(C1)又は式(C2)で表される化合物が挙げられる。
[式(C1)中、R
c1、R
c2及びR
c3は、互いに独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数3~10の脂環式炭化水素基又は炭素数6~10の芳香族炭化水素基を表し、該炭素数1~6のアルキル基及び該炭素数3~10の脂環式炭化水素基は、ヒドロキシ基、アミノ基及び炭素数1~6のアルコキシ基からなる群より選択される少なくとも1種を有していてもよく、該炭素数6~10の芳香族炭化水素基は、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基及び炭素数3~10の脂環式炭化水素基からなる群より選択される少なくとも1種を有していてもよい。]
【0133】
式(C1)における炭素数1~6のアルキル基、炭素数3~10の脂環式炭化水素基、炭素数6~10の芳香族炭化水素基、炭素数1~6のアルコキシ基は、上述したものと同様のものが挙げられる。
【0134】
式(C1)で表される化合物としては、例えば、1-ナフチルアミン、2-ナフチルアミン、アニリン、ジイソプロピルアニリン、2-,3-又は4-メチルアニリン、4-ニトロアニリン、N-メチルアニリン、N,N-ジメチルアニリン、ジフェニルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、ジブチルメチルアミン、メチルジペンチルアミン、ジヘキシルメチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、ジヘプチルメチルアミン、メチルジオクチルアミン、メチルジノニルアミン、ジデシルメチルアミン、エチルジブチルアミン、エチルジペンチルアミン、エチルジヘキシルアミン、エチルジヘプチルアミン、エチルジオクチルアミン、エチルジノニルアミン、エチルジデシルアミン、トリス〔2-(2-メトキシエトキシ)エチル〕アミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’-ジアミノ-1,2-ジフェニルエタン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチルジフェニルメタン等が挙げられる。好ましくはジイソプロピルアニリンが挙げられ、特に好ましくは2,6-ジイソプロピルアニリンが挙げられる。
【0135】
[式(C2)中、
環W
1は、環を構成する原子に窒素原子を含む複素環、又は、置換もしくは無置換のアミノ基を有するベンゼン環を表し、該複素環及び該ベンゼン環は、ヒドロキシ基及び炭素数1~4のアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していてもよい。
A
1は、フェニル基又はナフチル基を表す。
ncは、2又は3を表し、複数のA
1は、同一でも異なっていてもよい。]
【0136】
前記の置換又は無置換のアミノ基は、-N(R4)(R5)で表され、R4及びR5は、互いに独立に、水素原子、炭素数1~10の鎖式炭化水素基、炭素数3~10の脂環式炭化水素基又は炭素数6~14の芳香族炭化水素基を表す。
炭素数1~10の鎖式炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の炭素数1~10のアルキル基が挙げられる。
炭素数3~10の脂環式炭化水素基としては、式(10)中のRa1~Ra3におけるものと同様の基が挙げられる。
炭素数6~14の芳香族炭化水素基としては、式(20)中のRa1’~Ra3’におけるものと同様の基が挙げられる。
【0137】
環を構成する原子に窒素原子を含む複素環は、芳香環でも非芳香環でもよく、窒素原子とともに他のヘテロ原子(例えば、酸素原子、硫黄原子)を有していてもよい。該複素環が有する窒素原子の数は、例えば、1~3個である。該複素環としては、例えば、式(Y13)~式(Y28)のいずれかで表される環が挙げられる。環に含まれる水素原子の一つがとれて、A
1との結合手となる。
【0138】
環W1は、好ましくは環を構成する原子に窒素原子を含む複素環であり、より好ましくは、環を構成する原子に窒素原子を含む5員環又は6員環の芳香族複素環であり、さらに好ましくは、式(Y20)~式(Y25)のいずれかで表される環である。
【0139】
式(C2)で表される化合物として、例えば、式(C2-1)~式(C2-11)のいずれかで表される化合物が挙げられる。好ましくは式(C2-2)~式(C2-8)のいずれかで表される化合物である。
【0140】
クエンチャー(C)の含有率は、レジスト組成物の固形分中、好ましくは0.0001~5質量%であり、より好ましくは0.0001~4質量%であり、さらに好ましくは0.001~3質量%であり、より一層好ましくは0.01~1.0質量%であり、さらに一層好ましくは0.1~0.7質量%である。
【0141】
<密着性向上剤(E)>
密着性向上剤(E)は、基板又は配線等に用いられる金属等に対して腐食を防止し及び/又は密着性を向上し得るものであれば特に限定されない。金属の腐食を防止することにより、防錆の作用を発揮する。また、これらの作用とともに、基板又は金属等とレジスト組成物との密着性を向上させることができる。
密着性向上剤(E)としては、例えば、含硫黄化合物、芳香族ヒドロキシ化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物及び含ケイ素系化合物等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0142】
含硫黄化合物としては、例えば、スルフィド結合及び/又はメルカプト基を有する化合物であればよい。含硫黄化合物は、鎖状の化合物であってもよいし、環状構造を有する化合物であってもよい。
鎖状の化合物としては、例えば、ジチオジグリセロール[S(CH2CH(OH)CH2(OH))2]、ビス(2,3-ジヒドロキシプロピルチオ)エチレン[CH2CH2(SCH2CH(OH)CH2(OH))2]、3-(2,3-ジヒドロキシプロピルチオ)-2-メチル-プロピルスルホン酸ナトリウム[CH2(OH)CH(OH)CH2SCH2CH(CH3)CH2SO3Na]、1-チオグリセロール[HSCH2CH(OH)CH2(OH)]、3-メルカプト-1-プロパンスルホン酸ナトリウム[HSCH2CH2CH2SO3Na]、2-メルカプトエタノール[HSCH2CH2(OH)]、チオグリコール酸[HSCH2CO2H]、3-メルカプト-1-プロパノール[HSCH2CH2CH2]等が挙げられる。
【0143】
含硫黄化合物は、スルフィド結合とメルカプト基とを有する化合物であることが好ましく、スルフィド結合とメルカプト基とを有する複素環化合物であることがより好ましい。該複素環化合物は、スルフィド結合を環構成に有する複素環化合物であることがより好ましい。含硫黄化合物において、スルフィド結合及びメルカプト基の数は、特に限定されず、いずれも1以上であればよい。
複素環化合物における複素環は、単環及び多環のいずれでもよく、飽和及び不飽和のいずれの環であってもよい。複素環は、さらに硫黄原子以外のヘテロ原子を含むことが好ましい。ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子が挙げられ、好ましくは窒素原子が挙げられる。
複素環としては、炭素数2~12の複素環が好ましく、炭素数2~6の複素環がより好ましい。複素環は、単環であることが好ましい。複素環は不飽和であることが好ましい。複素環は、不飽和であり単環であることが好ましい。
【0144】
複素環としては、例えば、下記の複素環が挙げられる。
【0145】
含硫黄化合物は、ポリマーであってもよい。このポリマーは、スルフィド結合とメルカプト基とを側鎖に有する構造を含むことが好ましい。スルフィド結合とメルカプト基とを有する構造(以下、ユニット(1)という場合がある)と、主鎖とは、アミド結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合等の連結基で結合していることが好ましい。
【0146】
ポリマーは、ホモポリマーであってもよいし、コポリマーであってもよい。
ポリマーがコポリマーの場合、上述した酸不安定基を有する構造単位(a1)、酸不安定基を有さない構造単位(a2)等を含んでいてもよい。
前記のホモポリマー及びコポリマーの重量平均分子量は、通常3000以上、好ましくは5000以上であり、通常100,000以下、好ましくは50,000以下である。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析により、標準ポリスチレン基準の換算値として求められる。
含硫黄化合物がポリマーである場合、スルフィド結合とメルカプト基とを有する構造単位の含有量は、含硫黄化合物のポリマーの全構造単位に対して、通常0.1~50モル%であり、好ましくは0.5~30モル%であり、より好ましくは1~20モル%である。
【0147】
含硫黄化合物は、例えば、式(IA)で表される化合物又は式(IB)で表される構造単位を有するポリマーであることが好ましい。
[式(IA)中、
R
i11は、水素原子、炭素数1~10の鎖式炭化水素基、炭素数6~14の芳香族炭化水素基、炭素数3~18の脂環式炭化水素基、-SR
11で表される基、又は-NR
12R
13で表される基を表す。
R
11、R
12及びR
13は、互いに独立に、水素原子、炭素数1~10の鎖式炭化水素基、炭素数6~14の芳香族炭化水素基、炭素数3~10の脂環式炭化水素基、又は炭素数2~12のアシル基を表し、これら鎖式炭化水素基、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基、及びアシル基は、ヒドロキシ基を有していてもよい。
R
i12及びR
i13は、互いに独立に、水素原子、炭素数1~10の鎖式炭化水素基、炭素数6~14の芳香族炭化水素基、又は炭素数3~18の脂環式炭化水素基を表す。
A及びBは、互いに独立に、窒素原子又は炭素原子を表す。
n1及びm1は、互いに独立に、0又は1を表す。ただし、Aが窒素原子である場合、n1は0を表し、Aが炭素原子である場合、n1は1を表し、Bが窒素原子である場合、m1は0を表し、Bが炭素原子である場合、m1は1を表す。]
【0148】
炭素数1~10の鎖式炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の炭素数1~10のアルキル基が挙げられる。
炭素数6~14の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基、フェナントリル基等の炭素数6~14のアリール基等が挙げられる。芳香族炭化水素基はさらに置換基を有していてもよく、置換基を有する芳香族炭化水素基としては、例えば、アラルキル基、アルキル基を有する芳香族炭化水素基であり、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、トリチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、p-メチルフェニル基、p-tert-ブチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、2,6-ジエチルフェニル基、2-メチル-6-エチルフェニル基等が挙げられる。
炭素数3~18の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基等の単環式の脂環式炭化水素基及び、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基などの多環式の脂環式炭化水素基が挙げられる。
【0149】
R11は、炭素数1~10の鎖式炭化水素基又は炭素数2~12のアシル基であることが好ましく、R12及びR13は、互いに独立に、水素原子、炭素数1~10の鎖式炭化水素基、炭素数6~14の芳香族炭化水素基、又は炭素数2~12のアシル基であることが好ましい。
炭素数2~12のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ヘキシルカルボニル基、ヘプチルカルボニル基、オクチルカルボニル基、デシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
【0150】
Ri11は、水素原子又はメルカプト基であることがより好ましい。
Ri12及びRi13は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
A及びBは、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、両方が窒素原子であることがより好ましい。
【0151】
[式(IB)中、
R
i21及びR
i31は、互いに独立に、水素原子、炭素数1~10の鎖式炭化水素基、炭素数6~14の芳香族炭化水素基又は炭素数3~18の脂環式炭化水素基を表す。
A
1及びB
1は、互いに独立に、窒素原子又は炭素原子を表す。
n2及びm2は、互いに独立に、0又は1を表す。但し、A
1が窒素原子である場合、n2は0を表し、A
1が炭素原子である場合、n2は1を表し、B
1が窒素原子である場合、m2は0を表し、B
1が炭素原子である場合、m2は1を表す。
R
i4水素原子又はメチル基を表す。
X
i1は、硫黄原子及びNH基を表す。
L
i1は、炭素数1~20の2価の炭化水素基を表す。該炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。]
【0152】
Ri21及びRi31の炭素数1~10の鎖式炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の炭素数1~10のアルキル基が挙げられ、好ましくは炭素数1~4のアルキル基が挙げられる。
Ri21及びRi31の炭素数6~14の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基、フェナントリル基等の炭素数6~14のアリール基等が挙げられ、好ましくは炭素数6~10のアリール基が挙げられる。芳香族炭化水素基はさらに置換基を有していてもよく、置換基を有する芳香族炭化水素基としては、例えば、アラルキル基、アルキル基を有する芳香族炭化水素基であり、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、トリチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、p-メチルフェニル基、p-tert-ブチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、2,6-ジエチルフェニル基、2-メチル-6-エチルフェニル基等が挙げられる。
Ri21及びRi31の炭素数3~18の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の炭素数3~18のシクロアルキル基の単環式の脂環式炭化水素基;及び、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基等の多環式の脂環式炭化水素基が挙げられ、好ましくは炭素数5~10の脂環式炭化水素基が挙げられる。
Ri21及びRi31は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基であることが好ましい。
【0153】
Li1で表される炭素数1~20の2価の炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基、ドデカン-1,12-ジイル基、トリデカン-1,13-ジイル基、テトラデカン-1,14-ジイル基、ペンタデカン-1,15-ジイル基、ヘキサデカン-1,16-ジイル基及びヘプタデカン-1,17-ジイル基、エタン-1,1-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、ペンタン-2,4-ジイル基、2-メチルプロパン-1,3-ジイル基、2-メチルプロパン-1,2-ジイル基、ペンタン-1,4-ジイル基、2-メチルブタン-1,4-ジイル基等のアルカンジイル基;
シクロブタン-1,3-ジイル基、シクロペンタン-1,3-ジイル基、シクロヘキサン-1,4-ジイル基、シクロオクタン-1,5-ジイル基等のシクロアルカンジイル基である単環式の2価の脂環式飽和炭化水素基;
ノルボルナン-1,4-ジイル基、ノルボルナン-2,5-ジイル基、アダマンタン-1,5-ジイル基、アダマンタン-2,6-ジイル基等の多環式の2価の脂環式飽和炭化水素基等;
フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基等のアリーレン基が挙げられる。
Li1は、好ましくはエステル結合を含む炭素数2~14のアルカンジイル基又は炭素数6~10のアリーレン基と炭素数1~11のアルカンジイル基とを組合せた基である。
【0154】
式(IB)で表される構造単位は、好ましくは式(IB-1)で表される構造単位又は式(IB-2)で表される構造単位である。
[式(IB-1)中、
R
i22及びR
i32は、互いに独立に、水素原子、炭素数1~10の鎖式炭化水素基、炭素数6~14の芳香族炭化水素基又は炭素数3~18の脂環式炭化水素基を表す。
A
2及びB
3は、互いに独立に窒素原子又は炭素原子を表す。
n3及びm3は、互いに独立に、0又は1を表す。但し、A
2が窒素原子である場合、n3は0を表し、A
2が炭素原子である場合、n3は1を表し、B
2が窒素原子である場合、m3は0を表し、B
2が炭素原子である場合、m3は1を表す。
X
i11は、硫黄原子及びNH基を表す。
L
i2は、炭素数1~18の2価の炭化水素基を表す。該炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置換されてもよい。
R
i5は、水素原子又はメチル基を表す。
式(IB-2)中、
R
i23及びR
i33は、互いに独立に、水素原子、炭素数1~10の鎖式炭化水素基、炭素数6~14の芳香族炭化水素基又は炭素数3~18の脂環式炭化水素基を表す。
A
3及びB
3は、互いに独立に、窒素原子又は炭素原子を表す。
n4及びm4は、互いに独立に、0又は1を表す。但し、A
3が窒素原子である場合、n4は0を表し、A
3が炭素原子である場合、n4は1を表し、B
3が窒素原子である場合、m4は0を表し、B
3が炭素原子である場合、m4は1を表す。
X
i12は、硫黄原子及びNH基を表す。
L
i3は、炭素数1~14の2価の炭化水素基を表す。該炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置換されてもよい。
R
i7は、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルコキシ基を表す。
R
i6は、水素原子又はメチル基を表す。
mxは、0~4の整数を表す。]
【0155】
Ri22、Ri32、Ri23及びRi33で表される炭素数1~10の鎖式炭化水素基としては、Ri21及びRi31で表される炭素数1~10の鎖式炭化水素基と同じものが挙げられる。
Ri22、Ri32、Ri23及びRi33で表される炭素数6~14の芳香族炭化水素基としては、Ri21及びRi31で表される炭素数6~14の芳香族炭化水素基と同じものが挙げられる。
Ri22、Ri32、Ri23及びRi33で表される炭素数3~18の脂環式炭化水素基としては、Ri21及びRi31で表される炭素数3~18の脂環式炭化水素基と同じものが挙げられる。
【0156】
Li2で表される炭素数1~18の2価の炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基、ドデカン-1,12-ジイル基、トリデカン-1,13-ジイル基、テトラデカン-1,14-ジイル基、ペンタデカン-1,15-ジイル基、ヘキサデカン-1,16-ジイル基、ヘプタデカン-1,17-ジイル基、エタン-1,1-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、ペンタン-2,4-ジイル基、2-メチルプロパン-1,3-ジイル基、2-メチルプロパン-1,2-ジイル基、ペンタン-1,4-ジイル基、2-メチルブタン-1,4-ジイル基等のアルカンジイル基;
シクロブタン-1,3-ジイル基、シクロペンタン-1,3-ジイル基、シクロヘキサン-1,4-ジイル基、シクロオクタン-1,5-ジイル基等のシクロアルカンジイル基である単環式の2価の脂環式飽和炭化水素基;
ノルボルナン-1,4-ジイル基、ノルボルナン-2,5-ジイル基、アダマンタン-1,5-ジイル基、アダマンタン-2,6-ジイル基等の多環式の2価の脂環式飽和炭化水素基等;
フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基等のアリーレン基が挙げられる。
Li2は、好ましくは炭素数1~14のアルカンジイル基であり、より好ましくは炭素数1~11のアルカンジイル基である。
【0157】
Li3で表される炭素数1~14の2価の炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基、ドデカン-1,12-ジイル基、エタン-1,1-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、ペンタン-2,4-ジイル基、2-メチルプロパン-1,3-ジイル基、2-メチルプロパン-1,2-ジイル基、ペンタン-1,4-ジイル基、2-メチルブタン-1,4-ジイル基等のアルカンジイル基;
シクロブタン-1,3-ジイル基、シクロペンタン-1,3-ジイル基、シクロヘキサン-1,4-ジイル基、シクロオクタン-1,5-ジイル基等のシクロアルカンジイル基である単環式の2価の脂環式飽和炭化水素基;
ノルボルナン-1,4-ジイル基、ノルボルナン-2,5-ジイル基、アダマンタン-1,5-ジイル基、アダマンタン-2,6-ジイル基等の多環式の2価の脂環式飽和炭化水素基等が挙げられる。
Li3は、好ましくは炭素数1~14のアルカンジイル基であり、より好ましくは炭素数1~11のアルカンジイル基である。
フェニル基における主鎖と結合している位置を基準として、Li3は、p位に結合していることが好ましい。
【0158】
Ri7で表される炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
Ri7で表される炭素数1~6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
【0159】
含硫黄化合物としては、例えば、式(I-1)で表される化合物~式(I-26)で表される化合物のいずれかで表される化合物が挙げられる。なかでも、好ましくは式(I-1)で表される化合物~式(I-13)で表される化合物であり、より好ましくは式(I-1)で表される化合物、式(I-4)で表される化合物及び式(I-11)で表される化合物である。
【0160】
【0161】
含硫黄化合物としては、例えば、式(I-27)~式(I-38)で表される構造単位のうちのいずれか1つの構造単位からなるホモポリマー又はこれらの構造単位の1以上を含むコポリマーが挙げられる。
好ましくは、式(I―27)~式(I―36)で表される構造単位の1以上を含むコポリマーであり、より好ましくは式(I―33)で表される構造単位を含むコポリマーである。
【0162】
このようなコポリマーとしては、例えば、式(I-39)~式(I-48)で表される構造単位からなるコポリマーが挙げられる。なかでも、好ましくは、式(I-39)~式(I-44)で表される構造単位を有するポリマーが好ましい。
【0163】
【0164】
【0165】
含硫黄化合物は、公知の方法(例えば、特開2010-79081号公報)により合成したものであってもよいし、市販品でもよい。含硫黄化合物を含むポリマーは、市販品(例えば、ビスムチオール(東京化成工業(株)製等)でもよいし、公知の方法(例えば、特開2001-75277号公報)により合成したものであってもよい。
【0166】
芳香族ヒドロキシ化合物としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、ピロカテコール(=1,2-ジヒドロキシベンゼン)、tert-ブチルカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、1,2,4-ベンゼントリオール、サリチルアルコール、p-ヒドロキシベンジルアルコール、o-ヒドロキシベンジルアルコール、p-ヒドロキシフェネチルアルコール、p-アミノフェノール、m-アミノフェノール、ジアミノフェノール、アミノレゾルシノール、p-ヒドロキシ安息香酸、o-ヒドロキシ安息香酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、2,5-ジヒドロキシ安息香酸、3,4-ジヒドロキシ安息香酸、3,5-ジヒドロキシ安息香酸、没食子酸等が挙げられる。
【0167】
ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、式(IX)で表される化合物が挙げられる。
[式(IX)中、
R
1及びR
2は、互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~10の炭化水素基、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ホルミル基、スルホニルアルキル基又はスルホ基を表す。
Qは、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1~10の炭化水素基、アリール基又は**-R
3X-N(R
4X)(R
5X)を表し、前記炭化水素基は、構造中にアミド結合、エステル結合を有していてもよい。
R
3Xは、炭素数1~6のアルカンジイル基を表す。**は、環に含まれる窒素原子との結合手を表す。
R
4X及びR
5Xは、互いに独立に、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のヒドロキシアルキル基、炭素数2~6のアルコキシアルキル基を表す。]
【0168】
R1、R2及びQの炭素数1~10の炭化水素基は、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、炭素数6~10の芳香族炭化水素基のいずれでもよく、飽和及び/又は不飽和結合を有していてもよい。
炭素数1~10の脂肪族炭化水素基としては、アルキル基が好ましく、該アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、メチルペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基等が挙げられる。
炭素
数6~10の芳香族炭化水素基としては、アリール基が好ましく、該アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基、フェナントリル基等が挙げられる。芳香族炭化水素基はさらに置換基を有していてもよく、置換基を有する芳香族炭化水素基としては、例えば、アラルキル基、アルキル基を有する芳香族炭化水素基であり、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、トリチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、p-メチルフェニル基、p-tert-ブチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、2,6-ジエチルフェニル基、2-メチル-6-エチルフェニル基等が挙げられる。
炭素数1~10の炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基等が挙げられる。
R3Xの炭素数1~6のアルカンジイル基としては、直鎖状又は分岐状のいずれでもよく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基等が挙げられる。
R4X及びR5Xの炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
R4X及びR5Xの炭素数1~6のヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ジヒドロキシエチル基等が挙げられる。
R4X及びR5Xの炭素数2~6のアルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、メトキシエチル基、ジメトキシエチル基等が挙げられる。
【0169】
本発明のレジスト組成物をCuが形成された基板に適用する場合、式(IX)中、Qが**-R3X-N(R4X)(R5X)で表される化合物が好ましい。なかでも、R4X及びR5Xの少なくとも一方が炭素数1~6のアルキル基である場合、ベンゾトリアゾール系化合物は、水溶性に乏しくなるが、この化合物を溶解させることができる他成分が存在する場合、好ましく用いられる。
【0170】
また、本発明のレジスト組成物を無機材料層(例えば、ポリシリコン膜、アモルファスシリコン膜、等)を有する基板に適用する場合、式(IX)中、Qとしては、水溶性の基を示すものが好ましい。具体的には、水素原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のヒドロキシアルキル基、ヒドロキシ基等が好ましい。これにより、基板の防食性をより効果的に発揮することができる。
【0171】
ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、ベンゾトリアゾール、5,6-ジメチルベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、1-メチルベンゾトリアゾール、1-アミノベンゾトリアゾール、1-フェニルベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシメチルベンゾトリアゾール、1-ベンゾトリアゾールカルボン酸メチル、5-ベンゾトリアゾールカルボン酸、1-メトキシ-ベンゾトリアゾール、1-(2,2-ジヒドロキシエチル)-ベンゾトリアゾール、1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)ベンゾトリアゾール、あるいは2,2’-{[(4-メチル-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メチル]イミノ}ビスエタノール、2,2’-{[(5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メチル]イミノ}ビスエタノール、2,2’-{[(4-メチル-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メチル]イミノ}ビスエタン、2,2’-{[(4-メチル-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メチル]イミノ}ビスプロパン等が挙げられる。
【0172】
トリアジン系化合物としては、式(II)で表される化合物が挙げられる。
[式(II)中、
R
6、R
7及びR
8は、互いに独立に、ハロゲン、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、置換されていてもよい炭素数1~10の炭化水素基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10の炭化水素基置換アミノ基を表す。]
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
炭素数1~10の炭化水素基は、上記と同様のものが挙げられる。
炭素数1~10のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。
【0173】
トリアジン系化合物としては、例えば、1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリチオール等が挙げられる。
【0174】
含ケイ素系化合物としては、例えば、式(IIA)で表される化合物が挙げられる。
[式(IIA)中、
R
j1は、炭素数1~5の脂肪族炭化水素基又は炭素数1~5のメルカプトアルキル基を表す。
R
j2~R
j4は、互いに独立に、炭素数1~5の脂肪族炭化水素基、炭素数1~5のアルコキシ基、メルカプト基又は炭素数1~5のメルカプトアルキル基を表し、R
j2~R
j4のうちの少なくとも一つはメルカプト基又は炭素数1~5のメルカプトアルキル基である。
t
iは、1~10の整数を表す。]
【0175】
炭素数1~5の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等の炭素数1~5のアルキル基が挙げられる。
炭素数1~5のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。
炭素数1~5のメルカプトアルキル基としては、例えば、メチルメルカプト基、エチルメルカプト基、プロピルメルカプト基等が挙げられる。
【0176】
Rj1は、メチル基、エチル基、炭素数1~3のメルカプトアルキル基であることが好ましく、メチル基、メルカプトプロピル基(特に、3-メルカプトプロピル基)であることがより好ましい。
Rj2~Rj4は、互いに独立に、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基であることが好ましく、メチル基、メトキシ基であることがより好ましい。ただし、これらのうちの少なくとも1つは、メルカプト基又は炭素数1~3のメルカプトアルキル基であることが好ましく、メルカプト基又はメルカプトプロピル基であることがより好ましい。
Rj2及びRj3は、互いに同一であっても異なってもよいが、生産性の観点からは同一であることが好ましい。
【0177】
式(IIA)の化合物としては、例えば、以下の式(II-1)~式(II-7)で表される化合物が挙げられる。
なかでも、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が好ましい。
【0178】
密着性向上剤(E)の含有量は、レジスト組成物の固形分の総量に対して、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.002質量%以上、さらに好ましくは0.005質量%以上、特に好ましくは0.008質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは4質量%以下であり、さらにより好ましくは3質量%以下、とりわけ好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下である。この範囲とすることにより、高精度のレジストパターンを形成することができるレジスト組成物とすることができ、レジストパターンと基板との密着性を確保することができる。
【0179】
<その他の成分>
本発明のレジスト組成物は、必要に応じて、上述の成分以外の成分(以下「その他の成分(F)」という場合がある。)を含有していてもよい。その他の成分(F)に特に限定はなく、レジスト分野で公知の添加剤、例えば、増感剤、溶解抑止剤、界面活性剤、安定剤、染料等を利用できる。
その他の成分(F)を用いる場合、その含有量は、その他の成分(F)の種類に応じて適宜選択する。
【0180】
2.レジスト組成物の調製
本発明のレジスト組成物は、化合物(I)、樹脂(A1)、樹脂(A2)及び酸発生剤(B)、並びに、必要に応じて、樹脂(A1)及び樹脂(A2)以外の樹脂、クエンチャー(C)、溶剤(D)、密着性向上剤(E)及びその他の成分(F)を混合することにより調製することができる。混合順は任意であり、特に限定されるものではない。混合する際の温度は、10~40℃から、樹脂等の種類や樹脂等の溶剤(D)に対する溶解度等に応じて適切な温度を選ぶことができる。混合時間は、混合温度に応じて、0.5~24時間の中から適切な時間を選ぶことができる。なお、混合手段も特に制限はなく、攪拌混合等を用いることができる。
各成分を混合した後は、孔径0.003~50μm程度のフィルターを用いてろ過することが好ましい。
【0181】
3.レジストパターンの製造方法
本発明のレジストパターンの製造方法は、
(1)本発明のレジスト組成物を、金属表面を有する基板の該金属表面上に塗布する工程、
(2)塗布後のレジスト組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光する工程及び
(4)露光後の組成物層を現像する工程を含む。
【0182】
レジスト組成物を基板上に塗布するには、スピンコーター等、通常、用いられる装置によって行うことができる。基板としては、シリコンウェハ等の無機基板が挙げられ、基板上には予め半導体素子(例えば、トランジスタ、ダイオード等)等が形成されていてもよい。本発明のレジスト組成物をバンプ形成に用いる場合、基板としては、さらに導電材料が積層されているものが好ましい。導電材料としては、金、銅、ニッケル、スズ、パラジウム及び銀からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属、又は当該群より選ばれる少なくとも一種の金属を含む合金が挙げられ、好ましくは銅又は銅を含む合金が挙げられる。 レジスト組成物を塗布する前に、基板を洗浄してもよく、基板上に反射防止膜等が形成されていてもよい。
塗布後の組成物を乾燥することにより、溶剤を除去し、組成物層を形成する。乾燥は、例えば、ホットプレート等の加熱装置を用いて溶剤を蒸発させること(いわゆるプリベーク)により行うか、あるいは減圧装置を用いて行う。加熱温度は、50~200℃であることが好ましく、加熱時間は、30~600秒間であることが好ましい。また、減圧乾燥する際の圧力は、1~1.0×105Pa程度であることが好ましい。
乾燥後、得られた組成物の膜厚は、好ましくは、1~150μmであり、より好ましくは、1.5~100μmである。
得られた組成物層に、通常、露光機を用いて露光する。露光光源としては、波長345~436nmの光を放射する光源(g線(波長:436nm)、h線(波長:405nm)、i線(波長:365nm))、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F2エキシマレーザ(波長157nm)のような紫外域のレーザ光を放射するもの、固体レーザ光源(YAG又は半導体レーザ等)からのレーザ光を波長変換して遠紫外域または真空紫外域の高調波レーザ光を放射するもの、電子線や、超紫外光(EUV)を照射するもの等、種々のものを用いることができる。尚、本明細書において、これらの放射線を照射することを総称して「露光」という場合がある。露光の際、通常、求められるパターンに相当するマスクを介して露光が行われる。露光光源が電子線の場合は、マスクを用いずに直接描画により露光してもよい。
露光後の組成物層を、樹脂(A1)の酸不安定基における脱離反応を促進するために加熱処理(いわゆるポストエキスポジャーベーク)を加えてもよい。加熱温度は、通常50~200℃程度、好ましくは70~150℃程度である。加熱時間としては、通常、40~400秒、好ましくは50~350秒である。
【0183】
加熱後の組成物層を、通常、現像装置を用いて、現像液を利用して現像する。現像方法としては、ディップ法、パドル法、スプレー法、ダイナミックディスペンス法等が挙げられる。現像温度は、例えば、5~60℃であることが好ましく、現像時間は、例えば、5~600秒間であることが好ましい。現像液の種類を以下のとおりに選択することにより、ポジ型レジストパターン又はネガ型レジストパターンを製造できる。
【0184】
本発明のレジスト組成物からポジ型レジストパターンを製造する場合は、現像液としてアルカリ現像液を用いる。アルカリ現像液は、この分野で用いられる各種のアルカリ性水溶液であればよい。例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドや(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液等が挙げられる。アルカリ現像液には、界面活性剤が含まれていてもよい。
現像後レジストパターンを超純水で洗浄し、次いで、基板及びパターン上に残った水を除去することが好ましい。
本発明のレジスト組成物からネガ型レジストパターンを製造する場合は、現像液として有機溶剤を含む現像液(以下「有機系現像液」という場合がある)を用いる。
有機系現像液に含まれる有機溶剤としては、2-ヘキサノン、2-ヘプタノン等のケトン溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルエステル溶剤;酢酸ブチル等のエステル溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル溶剤;N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド溶剤;アニソール等の芳香族炭化水素溶剤等が挙げられる。
有機系現像液中、有機溶剤の含有率は、90質量%以上100質量%以下が好ましく、95質量%以上100質量%以下がより好ましく、実質的に有機溶剤のみであることがさらに好ましい。
中でも、有機系現像液としては、酢酸ブチル及び/又は2-ヘプタノンを含む現像液が好ましい。有機系現像液中、酢酸ブチル及び2-ヘプタノンの合計含有率は、50質量%以上100質量%以下が好ましく、90質量%以上100質量%以下がより好ましく、実質的に酢酸ブチル及び/又は2-ヘプタノンのみであることがさらに好ましい。
有機系現像液には、界面活性剤が含まれていてもよい。また、有機系現像液には、微量の水分が含まれていてもよい。
現像の際、有機系現像液とは異なる種類の溶剤に置換することにより、現像を停止してもよい。
現像後のレジストパターンをリンス液で洗浄することが好ましい。リンス液としては、レジストパターンを溶解しないものであれば特に制限はなく、一般的な有機溶剤を含む溶液を使用することができ、好ましくはアルコール溶剤又はエステル溶剤である。
洗浄後は、基板及びパターン上に残ったリンス液を除去することが好ましい。
【0185】
本発明のレジスト組成物を用いて得られるレジストを露光することにより、精度の高い形状のレジストパターンを形成することができる。
【0186】
4.めっき造形物の製造方法
上記の方法により形成されたレジストパターンを鋳型として、めっきにより電極材料を堆積させ、レジストパターンを剥離することにより、バンプ及び再配線等のめっき造形物を形成することができる。
本発明のめっき造形物の製造方法は、
(5)レジストパターンを鋳型として、めっき造形物を形成する工程、及び
(6)レジストパターンを剥離する工程を含む。
導電層等を有する基板上に形成されたレジストパターンを鋳型として、公知の方法により、めっき液を用いて導電材料を堆積させ、めっき造形物を形成する。
めっき液としては、銅めっき液、金めっき液、ニッケルめっき液、はんだめっき液、銀錫めっき液等が挙げられる。
めっき造形物を形成した後、公知の方法により、剥離液を用いてレジストパターンを除去する。
剥離液としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールアルキルエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のジエチレングリコールジアルキルエーテル;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルアセテート; プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトンなどのケトン;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジオキサンのような環式エーテル;および2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、オキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、蟻酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
上記の方法により、バンプ及び再配線等のめっき造形物を形成することができる。
なお、めっき造形物を形成する際、導電層とめっき造形物との密着性を向上させるために、導電層表面にアッシング処理等を施してもよい。アッシング処理方法としては、酸素プラズマを用いる方法等が挙げられる。
【0187】
本発明のレジストパターンを用いて得られるめっき造形物は、めっき浴中での膨潤が少ないため、めっき造形物を精度良く形成できる。
【0188】
5.用途
本発明のレジスト組成物は、厚膜のレジストフィルムの製造に有用である。例えば、膜厚1~150μmのレジストフィルムを製造するために有用である。
また、本発明のレジスト組成物は、めっき工程によるバンプや再配線の製造に有用である。バンプ及び再配線は、レジスト組成物を用いて製造する場合、通常、以下の手順より形成することができる。これにより、特に優れたパターン形状のレジストパターンを製造できる。
まず、半導体素子等が形成されたウェハ上に、導電材料(シードメタル)を積層して導電層を形成する。その後、導電層上に本発明のレジスト組成物によりレジストパターンを形成する。次いで、レジストパターンを鋳型として、メッキにより電極材料(例えば、Cu、Ni、はんだ等)を堆積させ、レジストパターンと、レジストパターンの下に残存する導電層をエッチング等により除去することにより、バンプ及び再配線を形成することができる。導電層を除去した後、必要に応じて、熱処理によって電極材料を溶融させたものをバンプとしてもよい。
【実施例】
【0189】
実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。例中、含有量ないし使用量を表す「%」及び「部」は、特記しないかぎり質量基準である。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで下記条件により求めた値である。
装置:HLC-8120GPC型(東ソー社製)
カラム:TSKgel Multipore HXL-M x 3 + guardcolumn(東ソー社製)
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:1.0mL/min
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:100μl
分子量標準:標準ポリスチレン(東ソー社製)
【0190】
合成例1〔樹脂(A1)-1の合成〕
ポリ-p-ヒドロキシスチレン(S-4P;丸善石油化学(株)製)20部をメチルイソブチルケトン240部に室温で溶解し、エバポレーターで濃縮した。還流冷却管、攪拌器、温度計を備えた四つ口フラスコに、濃縮後の樹脂溶液及びp-トルエンスルホン酸2水和物0.003部を加えた。得られた混合物を20~25℃に保持したまま、得られた混合物にエチルビニルエーテル5.05部を10分間かけて滴下した。混合物を、20~25℃で、2時間攪拌した。得られた反応混合物をメチルイソブチルケトン200部で希釈し、イオン交換水で洗浄、分液を5回行った。得られた有機層を、エバポレーターを用いて45部まで濃縮したのち、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150部を加えて、再度濃縮を行い、樹脂(A1)-1のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液78部(固形分29%)を得た。樹脂(A1)-1は、下記の構造単位を有する樹脂である。樹脂(A1)-1の重量平均分子量は1.16×10
4であった。ポリ-p-ヒドロキシスチレンにおけるヒドロキシ基がエトキシエトキシ基で置換された割合は40.9%であった。
【0191】
合成例2〔樹脂(A1)-2合成〕
フラスコに、フェノールノボラック樹脂(群栄化学社製PSM-4326)120部及びメチルイソブチルケトン960部加えて溶解した。得られたフェノールノボラック樹脂溶液をイオン交換水で5回洗浄、分液した。得られた有機層を、327.3部になるまで、濃縮した。得られた樹脂溶液における樹脂含有濃度は、35.2%であった。
フラスコに、得られた樹脂溶液56.8部、メチルイソブチルケトン76.52部及びp-トルエンスルホン酸一水和物0.0036部を加えた。この混合物に、エチルビニルエーテル8.81部を滴下し、室温で3時間反応させた。この反応溶液にイオン交換水を加えて攪拌し、静置し、分液により有機層を取り出した。このイオン交換水による洗浄をさらに4回繰り返し、合計5回の洗浄を行った。その後、有機層を取り出して濃縮した。その後、水分及びメチルイソブチルケトンを共沸させて除去するため、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加え、さらに濃縮し、57.44部の樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液は、フェノールノボラック樹脂のヒドロキシ基が部分的に1-エトキシエチル化された樹脂の溶液であり、この樹脂を
1H-NMRで分析したところ、フェノールノボラック樹脂のヒドロキシ基の53.0%が1-エトキシエチルエーテルに置換されていた。また、樹脂溶液の濃度は、乾燥重量減少法を用いて測定したところ、45.0%であった。この樹脂を樹脂(A1)-2とする。樹脂(A1)-2は、下記の構造単位を有する樹脂である。樹脂(A1)-2の重量平均分子量は7.2×10
3であった。
【0192】
合成例3〔樹脂(A2)-1の合成〕
攪拌器、還流冷却管、温度計を備えた四つ口フラスコに、2,5-キシレノール413.5部、サリチルアルデヒド103.4部、p-トルエンスルホン酸20.1部、及びメタノール826.9部を加え、還流するまで昇温し、4時間保温した。冷却後メチルイソブチルケトン1320部を加えて常圧で1075部溶媒を留去した。そこにm-クレゾール762.7部と2-tert-ブチル-5-メチルフェノール29.0部とを加え65℃まで昇温し、37%ホルマリン水溶液678部を、滴下終了時に87℃になるように温度調節をしながら1.5時間かけて滴下した。得られた混合物を87℃で10時間保温し、メチルイソブチルケトン1115部を加え、イオン交換水で3回分液して洗浄を行った。得られた混合物にメチルイソブチルケトン500部を加えて全量が3435部になるまで減圧濃縮を行った。得られた混合物にメチルイソブチルケトン3796部とn-ヘプタン4990部とを加え60℃に昇温して1時間攪拌した。その後、分液を行い下層の樹脂を含む層を取り出し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート3500部で希釈し、濃縮を行い、樹脂(A2)-1のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液1690部(固形分43%)を得た。ノボラック樹脂(A2)-1の重量平均分子量は7×103であった。また、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で現像した時の残膜率は、74%であった。該残膜率は、発明の詳細な説明の<樹脂(A2)>の項に記載された方法により測定した。
【0193】
<レジスト組成物の調製>
表1に示す各成分を混合して溶解することにより得られた混合物を孔径0.5μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し、レジスト組成物を調製した。
【0194】
【0195】
<樹脂>
(A1)-1:樹脂(A1)-1
(A1)-2:樹脂(A1)-2
(A2)-1:樹脂(A2)-1
【0196】
<酸発生剤(B)>
(B)-1:N-ヒドロキシナフタルイミドトリフラート(NAI-105;みどり化学(株)製)
(B)-2:下記式で表される化合物(PAG-103;BASF製)
【0197】
<化合物(I)>
(I)-1:特開平3-185447号公報記載の方法で合成
(I)-2:特開平9-110762号公報記載の方法で合成
なお、R
t1、R
t6、R
t7、R
t9、R
t10がヒドロキシ基である以下の化合物1モルに対して、スルホニルクロライドが2モル反応しており、ほぼ100%反応が進んだ。従って、主に、R
t1、R
t6、R
t7、R
t9、R
t10の内の2つのヒドロキシ基における水素原子が1,2-ナフトキノンジアジドスルホニル基に置換した2置換体であることが確認された(MS:M+:1080)。
(I)-3:特開平8-245461号公報記載の方法で合成
なお、R
t1、R
t7、R
t9、R
t10がヒドロキシ基である以下の化合物1モルに対して、スルホニルクロライドが2モル反応しており、ほぼ100%反応が進んだ。従って、主に、R
t1、R
t7、R
t9、R
t10の内の2つのヒドロキシ基における水素原子が1,2-ナフトキノンジアジドスルホニル基に置換した2置換体であることが確認された(MS:M+:960)。
<クエンチャー(C)>
(C)-1:2,4,5-トリフェニルイミダゾール (東京化成工業(株)製)
<溶剤(D)>
(D)-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0198】
実施例1~6、比較例1、2
(レジスト組成物のi線露光評価)
4インチのシリコンウェハ上に銅が蒸着された基板に、上記のレジスト組成物をプリベーク後の膜厚が、1.5μmとなるようにスピンコートした。
その後、ダイレクトホットプレート上で、100℃で180秒間プリベークして組成物層を形成した。
次いで、ウェハ上に形成された組成物層に、i-線ステッパー(NSR-2005i9C;(株)ニコン製、NA=0.5)を用い、露光量を段階的に変化させて1:1ラインアンドスペースパターン(線幅1μm)を形成するためのマスクを介して露光した。
露光後、ホットプレート上にて、90℃で60秒間ポストエキスポジャーベークを行い、さらに2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で180秒間のパドル現像を行うことにより、レジストパターンを得た。
現像後に得られたレジストパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、線幅1μmのラインアンドスペースパターンが得られる露光量を実効感度とした。
【0199】
<解像度評価>
実効感度において得られたレジストパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、解像できたラインアンドスペースパターンの線幅の最小値を測定した。
【0200】
<定在波効果によるラフネス評価>
実効感度において得られた線幅0.6μmのラインアンドスペースパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡で観察し、
図1に示すaとbの線幅を測長し、b/aで導かれる計算値が、0.8未満の場合は「C」、0.8以上0.9未満の場合は「B」、0.9以上の場合は「A」、とした。aは、所定のラインにおける、最も長い部分の線幅(線幅の最大値)(μm)であり、bは、所定のラインにおける、最も短い部分の線幅(線幅の最小値)(μm)である。表に示す結果は、観察した中で、b/aの値が最も小さいラインについての結果である。
【0201】
<めっき耐性評価>
上記i線露光評価で得られた実行感度で、パターン付きウェハを作製後、Cuめっき液に、5分、15分、30分浸漬させた。
浸漬後のパターン付きウェハを光学顕微鏡で観察し、線幅1μmのラインアンドスペースパターンを観察した。
浸漬時間15分でパターン倒れがあるものを「C」、浸漬時間15分でパターン倒れがなく30分でパターン倒れがあるものを「B」、浸漬時間30分でパターン倒れがないものを「A」とした。
【0202】
【産業上の利用可能性】
【0203】
本発明のレジスト組成物は、良好な形状とめっき耐性を有するレジストパターンを製造することができ、半導体の微細加工に好適であり、産業上極めて有用である。