(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-06
(45)【発行日】2025-03-14
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置及び基板支持部
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20250307BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20250307BHJP
H05H 1/46 20060101ALN20250307BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/302 101R
H01L21/302 101B
H01L21/68 R
H05H1/46 M
(21)【出願番号】P 2021105368
(22)【出願日】2021-06-25
【審査請求日】2024-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西 遼太
(72)【発明者】
【氏名】石川 聡
(72)【発明者】
【氏名】平田 元気
【審査官】小▲高▼ 孔頌
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-093173(JP,A)
【文献】特開2019-149422(JP,A)
【文献】特開2019-062175(JP,A)
【文献】特表2019-519927(JP,A)
【文献】国際公開第2020/153449(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/683
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理容器と、
前記プラズマ処理容器内に配置され、基台の上部に支持面を備える基板支持部と、を有し、
前記基板支持部は、
前記支持面に前記基台側から伝熱ガスを供給する伝熱ガス供給孔と、
前記伝熱ガス供給孔内
のうち、前記支持面
に設けられたセラミック板の開口に配置され、炭化ケイ素で構成される第1の部材と、
前記伝熱ガス供給孔内の前記第1の部材の下側に
、前記第1の部材との間及び前記セラミック板の下面との間に隙間を有さないように接して配置され、ポーラス樹脂で構成される第2の部材と、
前記伝熱ガス供給孔内の前記第2の部材の下側に配置され、PTFE(polytetrafluoroethylene)で構成される第3の部材と、を備える、
プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記第2の部材は、前記伝熱ガス供給孔の内壁との間に隙間を有さないように配置される、
請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記第1の部材は、少なくとも、前
記セラミック板の厚さに対応する長さである、
請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記セラミック板は、内部に電極を有する静電チャックである、
請求項3に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記伝熱ガス供給孔は、前記セラミック板における内径が、前記基台における内径より小さく構成され、
前記第2の部材の上面は、前記セラミック板の下面における前記伝熱ガス供給孔の外周部を囲むように、前記セラミック板の下面と接している、
請求項3又は4に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記第1の部材は、前記伝熱ガス供給孔の内壁との間に隙間を有するように配置される、
請求項1~5のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記第3の部材は、前記伝熱ガス供給孔の内壁との間に隙間を有するように配置される、
請求項1~6のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記伝熱ガスは、前記第3の部材と前記伝熱ガス供給孔の内壁との間の隙間、前記第2の部材の内部、及び、前記第1の部材と前記伝熱ガス供給孔の内壁との間の隙間を通って、前記支持面に供給される、
請求項7に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記第1の部材の下面は、前記第2の部材の上面と接しており、
前記第2の部材の下面は、前記第3の部材の上面と接している、
請求項1~8のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
前記第1の部材の下部は、前記第2の部材を貫通して前記第3の部材の上部に固定されている、
請求項1~8のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
前記第1の部材の下部は、前記第2の部材の内部で固定されている、
請求項1~8のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項12】
ポーラス樹脂は、PI(polyimide)、PTFE、PCTFE(polychlorotrifluoroethylene)、PFA(perfluoroalkoxyalkane resin)、PEEK(polyetheretherketone)、PEI(polyetherimide)、POM(poly oxymethylene, polyacetal, polyformaldehyde)、MC(methyl cellulose)、PC(polycarbonate)、又は、PPS(poly phenylene sulfone)である、
請求項1~11のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項13】
プラズマ処理容器内に配置され、基台の上部に支持面を備える基板支持部であって、
前記支持面に前記基台側から伝熱ガスを供給する伝熱ガス供給孔と、
前記伝熱ガス供給孔内
のうち、前記支持面
に設けられたセラミック板の開口に配置され、炭化ケイ素で構成される第1の部材と、
前記伝熱ガス供給孔内の前記第1の部材の下側に
、前記第1の部材との間及び前記セラミック板の下面との間に隙間を有さないように接して配置され、ポーラス樹脂で構成される第2の部材と、
前記伝熱ガス供給孔内の前記第2の部材の下側に配置され、PTFE(polytetrafluoroethylene)で構成される第3の部材と、を備える、
基板支持部。
【請求項14】
前記第2の部材は、前記伝熱ガス供給孔の内壁との間に隙間を有さないように配置される、
請求項13に記載の基板支持部。
【請求項15】
前記第1の部材は、少なくとも、前
記セラミック板の厚さに対応する長さである、
請求項13又は14に記載の基板支持部。
【請求項16】
前記セラミック板は、内部に電極を有する静電チャックである、
請求項15に記載の基板支持部。
【請求項17】
前記伝熱ガス供給孔は、前記セラミック板における内径が、前記基台における内径より小さく構成され、
前記第2の部材の上面は、前記セラミック板の下面における前記伝熱ガス供給孔の外周部を囲むように、前記セラミック板の下面と接している、
請求項15又は16に記載の基板支持部。
【請求項18】
前記第1の部材は、前記伝熱ガス供給孔の内壁との間に隙間を有するように配置される、
請求項13~17のいずれか1つに記載の基板支持部。
【請求項19】
前記第3の部材は、前記伝熱ガス供給孔の内壁との間に隙間を有するように配置される、
請求項13~18のいずれか1つに記載の基板支持部。
【請求項20】
前記伝熱ガスは、前記第3の部材と前記伝熱ガス供給孔の内壁との間の隙間、前記第2の部材の内部、及び、前記第1の部材と前記伝熱ガス供給孔の内壁との間の隙間を通って、前記支持面に供給される、
請求項19に記載の基板支持部。
【請求項21】
前記第1の部材の下面は、前記第2の部材の上面と接しており、
前記第2の部材の下面は、前記第3の部材の上面と接している、
請求項13~20のいずれか1つに記載の基板支持部。
【請求項22】
前記第1の部材の下部は、前記第2の部材を貫通して前記第3の部材の上部に固定されている、
請求項13~20のいずれか1つに記載の基板支持部。
【請求項23】
前記第1の部材の下部は、前記第2の部材の内部で固定されている、
請求項13~20のいずれか1つに記載の基板支持部。
【請求項24】
ポーラス樹脂は、PI(polyimide)、PTFE、PCTFE(polychlorotrifluoroethylene)、PFA(perfluoroalkoxyalkane resin)、PEEK(polyetheretherketone)、PEI(polyetherimide)、POM(poly oxymethylene, polyacetal, polyformaldehyde)、MC(methyl cellulose)、PC(polycarbonate)、又は、PPS(poly phenylene sulfone)である、
請求項13~23のいずれか1つに記載の基板支持部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ処理装置及び基板支持部に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理装置では、プラズマ処理を行うプラズマ処理容器内に、処理対象の基板を支持する基板支持部を有する。基板支持部には、基板支持部に置かれた基板の裏面と基板支持部の支持面との間に伝熱ガスを供給するための供給孔が形成されている。この供給孔では、プラズマ処理の際に異常放電が発生する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、伝熱ガス供給孔の異常放電を抑制することができるプラズマ処理装置及び基板支持部を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によるプラズマ処理装置は、プラズマ処理容器と、プラズマ処理容器内に配置され、基台の上部に支持面を備える基板支持部と、を有し、基板支持部は、支持面に基台側から伝熱ガスを供給する伝熱ガス供給孔と、伝熱ガス供給孔内の支持面側に配置され、炭化ケイ素で構成される第1の部材と、伝熱ガス供給孔内の第1の部材の下側に配置され、ポーラス樹脂で構成される第2の部材と、伝熱ガス供給孔内の第2の部材の下側に配置され、PTFE(polytetrafluoroethylene)で構成される第3の部材と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、伝熱ガス供給孔の異常放電を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本開示の第1実施形態におけるプラズマ処理システムの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の基板支持部の断面の一例を示す部分拡大図である。
【
図3】
図3は、参考例の伝熱ガス供給孔の断面の一例を示す部分拡大図である。
【
図4】
図4は、参考例のロッドの第2の部材の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態の伝熱ガス供給孔の断面の一例を示す部分拡大図である。
【
図6】
図6は、変形例1の伝熱ガス供給孔の断面の一例を示す部分拡大図である。
【
図7】
図7は、変形例2の伝熱ガス供給孔の断面の一例を示す部分拡大図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態の伝熱ガス供給孔の断面の一例を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、開示するプラズマ処理装置及び基板支持部の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態により開示技術が限定されるものではない。
【0009】
プラズマ処理の際、伝熱ガスの供給孔における異常放電を抑制するために、表面に凹凸を設けた埋込部材を供給孔に配置することが提案されている。この場合、伝熱ガスは、凹凸による隙間を通って支持面に供給される。ところが、基板支持部上に載置された基板やエッジリングを冷却するために伝熱ガスの圧力を上昇させると、パッシェンの法則に従い、埋込部材と供給孔との隙間において異常放電が発生することがある。そこで、伝熱ガスの圧力を上昇させた場合であっても、伝熱ガス供給孔の異常放電を抑制することが期待されている。
【0010】
(第1実施形態)
[プラズマ処理システムの構成]
以下に、プラズマ処理システムの構成例について説明する。
図1は、本開示の第1実施形態におけるプラズマ処理システムの一例を示す図である。
図1に示すように、プラズマ処理システムは、容量結合プラズマ処理装置1及び制御部2を含む。なお、容量結合プラズマ処理装置1は、制御部2を含んでもよい。容量結合プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30、排気システム40及び伝熱ガス供給部60を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10sに供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。側壁10aは接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10筐体とは電気的に絶縁される。
【0011】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板(ウェハ)Wを支持するための中央領域(基板支持面)111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域(リング支持面)111bとを有する。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。一実施形態において、本体部111は、基台及び静電チャックを含む。基台は、導電性部材を含む。基台の導電性部材は下部電極として機能する。静電チャックは、基台の上に配置される。静電チャックの上面は、基板支持面111aを有する。リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。1又は複数の環状部材のうち少なくとも1つはエッジリングである。また、図示は省略するが、基板支持部11は、静電チャック、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路には、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と基板支持面111aとの間、及び、リングアセンブリ112とリング支持面111bとの間に、伝熱ガス供給路50及び伝熱ガス供給孔50aを介して、伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部60を含む。さらに、伝熱ガス供給孔50a内には、伝熱ガス供給孔50aでの異常放電を抑えるためのロッド52が配置される。
【0012】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、導電性部材を含む。シャワーヘッド13の導電性部材は上部電極として機能する。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0013】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する1又はそれ以上の流量変調デバイスを含んでもよい。
【0014】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、ソースRF信号及びバイアスRF信号のような少なくとも1つのRF信号(RF電力)を、基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ処理チャンバ10において1又はそれ以上の処理ガスからプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を基板支持部11の導電性部材に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0015】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、13MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に供給される。第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して基板支持部11の導電性部材に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、400kHz~13.56MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、基板支持部11の導電性部材に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0016】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、基板支持部11の導電性部材に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のバイアスDC信号は、基板支持部11の導電性部材に印加される。一実施形態において、第1のDC信号が、静電チャック内の電極のような他の電極に印加されてもよい。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、シャワーヘッド13の導電性部材に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、シャワーヘッド13の導電性部材に印加される。種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0017】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0018】
伝熱ガス供給部60は、基板支持部11の基台及び静電チャックに設けられた伝熱ガス供給孔50aに、伝熱ガス供給路50を介して、伝熱ガス(冷熱伝達用ガス)を供給する。伝熱ガスとしては、例えばヘリウムガスが用いられる。伝熱ガスは、基板支持面111a及びリング支持面111bの伝熱ガス供給孔50aから、基板Wの裏面と基板支持面111aとの間、及び、リングアセンブリ112とリング支持面111bとの間に供給される。伝熱ガスを供給することで、プラズマ処理により入熱し高温となった基板Wとエッジリングの抜熱を行う。
【0019】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aを含んでもよい。コンピュータ2aは、例えば、処理部(CPU:Central Processing Unit)2a1、記憶部2a2、及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。処理部2a1は、記憶部2a2に格納されたプログラムに基づいて種々の制御動作を行うように構成され得る。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0020】
[伝熱ガス供給孔50aの配置]
次に、
図2を用いて基板支持部11における伝熱ガス供給孔50aの配置について説明する。
図2は、第1実施形態の基板支持部の断面の一例を示す部分拡大図である。
図2に示すように、基板支持部11の本体部111の上部には、静電チャック113が設けられ、静電チャック113の上面が、基板支持面111a及びリング支持面111bとなっている。静電チャック113は、例えばセラミック板で構成される。静電チャック113における開口114,114aは、伝熱ガス供給孔50aの最上部を構成する。伝熱ガス供給孔50aは、スリーブ51、及び、静電チャック113の開口114,114aによって構成され、基板支持面111a及びリング支持面111bそれぞれにおいて、複数設けられる。スリーブ51は、例えば、アルミナ(Al2O3)によって構成される。
図2では、基板支持面111a及びリング支持面111bそれぞれに設けられた伝熱ガス供給孔50aそれぞれのうち、一部の断面を表している。
【0021】
伝熱ガス供給孔50a内には、ロッド52が配置される。ロッド52の開口114,114a内に配置される部分は、第1の部材53,53aで構成される。なお、基板支持面111aに設けられた伝熱ガス供給孔50aの領域120と、リング支持面111bに設けられた伝熱ガス供給孔50aの領域121とは、静電チャック113の厚さが異なるだけで他は同様の構成であるので、以下の説明では、領域120を一例として説明する。
【0022】
[参考例の伝熱ガス供給孔の断面]
ここで、
図3及び
図4を用いて、表面に凹凸を設けた埋込部材を供給孔に配置する参考例の伝熱ガス供給孔の断面について説明する。
図3は、参考例の伝熱ガス供給孔の断面の一例を示す部分拡大図である。
図4は、参考例のロッドの第2の部材の一例を示す図である。
図3及び
図4に示すように、参考例では、ロッド52に代えてロッド200が伝熱ガス供給孔50a内に配置される。また、ロッド200は、第1の部材53に代えて第1の部材201を有し、第1の部材201は、第2の部材202と接続されている。第2の部材202は、落下防止用の凸部203と、伝熱ガスを透過するための切り欠き部204と、第1の部材201を差し込むための穴205とを有する。第1の部材201は、下部に設けられた突起部206を穴205に嵌合させることで、第2の部材202の上部に接続されている。
【0023】
領域120では、静電チャック113の開口114は、直下のスリーブ51における伝熱ガス供給孔50aとの接続部分において、接着層116の開口部を介して接続される。伝熱ガス供給孔50aの最上部である開口114の内径は、スリーブ51の伝熱ガス供給孔50aの内径より小さい。第2の部材202の上面は、静電チャック113の下面における伝熱ガス供給孔50aの外周部を囲むように、静電チャック113の下面と接している。
【0024】
伝熱ガス供給孔50aでは、流路210~212の順に伝熱ガスが流れる。流路210は、第2の部材202と、スリーブ51との間の隙間である。流路211は、流路210と接続される切り欠き部204である。流路212は、切り欠き部204と接続される、第1の部材201と静電チャック113の開口114の内壁との間の隙間である。なお、
図3及び
図4では、流路近傍に矢印を付して表している。参考例のロッド200では、伝熱ガスの圧力を上昇させた場合、切り欠き部204内の空間等の隙間において、伝熱ガスのヘリウムから電離した電子が電位差を受けて加速し、異常放電が発生することがある。つまり、静電チャック113のセラミック板とアルミナで構成されるスリーブ51との継ぎ目付近のガス流路で電位差がつきやすく、当該ガス流路において異常放電が発生することがある。そのため、伝熱ガス供給孔50aの上部において、異常放電を抑制することが求められる。
【0025】
[第1実施形態の伝熱ガス供給孔の断面]
次に、
図5を用いて第1実施形態における伝熱ガス供給孔の断面について説明する。
図5は、第1実施形態の伝熱ガス供給孔の断面の一例を示す部分拡大図である。
図5に示すように、第1実施形態では、円柱形状のロッド52が伝熱ガス供給孔50a内に配置される。ロッド52は、開口114内に配置される部分である第1の部材53と、第1の部材53の下側に配置される第2の部材54と、第2の部材54の下側に配置される第3の部材55とを有する。なお、
図5では、静電チャック113の内部に設けられた電極115の一部も表している。
【0026】
第1の部材53は、炭化ケイ素(SiC)で構成され、静電チャック113における伝熱ガス供給孔50aの内壁(開口114の内壁)との間に隙間を有する。当該隙間は、例えば、0.01mm~0.4mmである。また、第1の部材53の長さは、少なくとも静電チャック113の厚さに対応する長さである。第1の部材53は、静電チャック113の開口114近傍で電位差を緩和させる。なお、第1の部材53は、アルミナ(Al2O3)等の他のセラミックであってもよい。第2の部材54は、ポーラス樹脂で構成され、スリーブ51内及び静電チャック113の下面において、伝熱ガス供給孔50aの内壁との間に隙間を有さないように接している。ポーラス樹脂は、多孔質構造を有する樹脂であり、例えば、PI(polyimide)、PTFE、PCTFE(polychlorotrifluoroethylene)、PFA(perfluoroalkoxyalkane resin)、PEEK(polyetheretherketone)、PEI(polyetherimide)、POM(poly oxymethylene, polyacetal, polyformaldehyde)、MC(methyl cellulose)、PC(polycarbonate)、及び、PPS(poly phenylene sulfone)といった樹脂を用いることができる。ポーラス樹脂は、例えばPTFEを用いることが好ましい。なお、第2の部材54と伝熱ガス供給孔50aの内壁との間は、若干の隙間があってもよいし、伝熱ガス供給孔50aの内径よりも直径が大きい第2の部材54を圧入するようにしてもよい。つまり、第2の部材54と伝熱ガス供給孔50aの内壁との間は、例えば、-0.2mm~+0.2mmの範囲とすることができる。
【0027】
第1実施形態の領域120では、参考例と同様に、静電チャック113の開口114は、直下のスリーブ51における伝熱ガス供給孔50aとの接続部分において、接着層116の開口部を介して接続される。伝熱ガス供給孔50aの最上部である開口114の内径は、スリーブ51の伝熱ガス供給孔50aの内径より小さい。第2の部材54の上面は、静電チャック113の下面における伝熱ガス供給孔50aの外周部を囲むように、静電チャック113の下面と隙間を有さないように接している。
【0028】
第3の部材55は、樹脂、例えばPTFEで構成され、スリーブ51内において、伝熱ガス供給孔50aの内壁との間に隙間を有するように配置される。当該隙間は、例えば、0.01mm~0.6mmである。
図5に示すように、ロッド52は、静電チャック113の上面側から順に、第1の部材53、第2の部材54、第3の部材55が接している状態である。つまり、第1の部材53の下面は第2の部材54の上面と接しており、第2の部材54の下面は第3の部材55の上面と接している。なお、ロッド52は、第1の部材53と、第2の部材54との間は接着されていなくてもよい。また、ロッド52は、第2の部材54と第3の部材55とは接着されているが、第3の部材55に落下防止用の凸部を設ける場合には、第2の部材54と第3の部材55との間は接着されていなくてもよい。なお、ロッド52は、伝熱ガス供給孔50aに対して接着されていないが、第2の部材54及び第3の部材55は、伝熱ガス供給孔50a内で固定されている。
【0029】
伝熱ガス供給孔50aでは、流路56~58の順に伝熱ガスが流れる。流路56は、第3の部材55と、スリーブ51との間の隙間である。流路57は、流路56と接続される、第2の部材54の内部の多孔質構造を通る流路である。流路58は、流路57と接続される、第1の部材53と静電チャック113の開口114の内壁との間の隙間である。なお、
図5では、流路近傍に矢印を付して伝熱ガスの流れを表している。つまり、第1実施形態では、伝熱ガスは、第3の部材55と伝熱ガス供給孔50a(スリーブ51)の内壁との間の隙間、第2の部材54の内部、及び、第1の部材53と伝熱ガス供給孔50a(開口114内)の内壁との間の隙間を通って、基板支持面111aに供給される。ロッド52では、伝熱ガスの圧力を上昇させた場合であっても、静電チャック113の下面、及び、スリーブ51の上部の近傍に空間が無く電子が直進せず、電子の加速を抑制するので、伝熱ガス供給孔50aの異常放電を抑制することができる。すなわち、炭化ケイ素(SiC)である第1の部材53と、アルミナ(Al2O3)であるスリーブ51との間にポーラス樹脂である第2の部材54を挟むことにより、第1の部材53とスリーブ51とが互いに直接暴露されることがないので、伝熱ガス供給孔50aの異常放電を抑制することができる。
【0030】
[変形例1]
続いて、
図6を用いてロッド52の上部の構造を変更した変形例1について説明する。
図6は、変形例1の伝熱ガス供給孔の断面の一例を示す部分拡大図である。なお、変形例1におけるプラズマ処理装置の一部の構成は上述の第1実施形態と同様であるので、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0031】
図6に示すように、変形例1では、ロッド52aが伝熱ガス供給孔50a内に配置される。ロッド52aは、開口114内に配置される部分である第1の部材53bと、第1の部材53bの下側に配置される第2の部材54aと、第2の部材54aの下側に配置される第3の部材55aとを有する。
【0032】
第1の部材53bは、第1の部材53と同様に、炭化ケイ素(SiC)で構成され、静電チャック113における伝熱ガス供給孔50aの内壁(開口114の内壁)との間に隙間を有する。当該隙間は、例えば、0.01mm~0.4mmである。また、第1の部材53bの下部は、スリーブ51内まで伸び、第2の部材54aを貫通し、第3の部材55aの上部に固定されている。第2の部材54aは、ポーラス樹脂で構成され、スリーブ51内及び静電チャック113の下面において、伝熱ガス供給孔50aの内壁との間に隙間を有さないように接している。第2の部材54aと伝熱ガス供給孔50aの内壁との間は、第1実施形態と同様に、例えば、-0.2mm~+0.2mmの範囲とすることができる。第2の部材54aは、第2の部材54と比較して、長さ方向(縦方向)が短く、中心に第1の部材53bの下部が貫通している。第2の部材54aは、貫通している第1の部材53bの側面との間に隙間を有さないように接している。なお、第2の部材54aの上面は、第1実施形態と同様に、静電チャック113の下面における伝熱ガス供給孔50aの外周部を囲むように、静電チャック113の下面と隙間を有さないように接している。
【0033】
第3の部材55aは、樹脂、例えばPTFEで構成され、スリーブ51内において、伝熱ガス供給孔50aの内壁との間に隙間を有するように配置される。当該隙間は、例えば、0.01mm~0.6mmである。第3の部材55aは、落下防止用の凸部55bを有する。また、第3の部材55aの上部には、第1の部材53bの下部が嵌合して固定されている。
図6に示すように、ロッド52aは、静電チャック113の上面側から順に、第1の部材53b、第2の部材54a、第3の部材55aが接している。ロッド52aは、第1の部材53bが第2の部材54aを介して第3の部材55aに固定されおり、第1の部材53b、第2の部材54a、及び、第3の部材55aが一体化している状態である。
【0034】
変形例1の伝熱ガス供給孔50aでは、流路56、流路57a、流路58の順に伝熱ガスが流れる。流路56は、第3の部材55aと、スリーブ51との間の隙間である。流路57aは、流路56と接続される、第2の部材54aの内部の多孔質構造を通る流路である。流路57aは、流路57と比べて短くなっており、伝熱ガスが流れやすくなっている。つまり、流路57aは、流路57よりもコンダクタンスが大きい流路である。なお、第2の部材54aの長さは、コンダクタンスと異常放電の抑制とのトレードオフによって決定することができる。流路58は、流路57aと接続される、第1の部材53bと静電チャック113の開口114の内壁との間の隙間である。なお、
図6では、流路近傍に矢印を付して伝熱ガスの流れを表している。つまり、変形例1では、伝熱ガスは、第3の部材55aと伝熱ガス供給孔50a(スリーブ51)の内壁との間の隙間、第2の部材54aの内部、及び、第1の部材53bと伝熱ガス供給孔50a(開口114内)の内壁との間の隙間を通って、基板支持面111aに供給される。
【0035】
ロッド52aでは、伝熱ガスの圧力を上昇させた場合であっても、静電チャック113の下面、及び、スリーブ51の上部の近傍に空間が無く電子が直進せず、電子の加速を抑制するので、伝熱ガス供給孔50aの異常放電を抑制することができる。また、ポーラス樹脂で構成される第2の部材54aを伝熱ガスが流れる距離が短いので、伝熱ガス供給孔50aのコンダクタンスを第1実施形態のロッド52よりも大きくすることができる。
【0036】
[変形例2]
続いて、
図7を用いてロッド52の上部の構造を変更した変形例2について説明する。
図7は、変形例2の伝熱ガス供給孔の断面の一例を示す部分拡大図である。なお、変形例2におけるプラズマ処理装置の一部の構成は上述の第1実施形態と同様であるので、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0037】
図7に示すように、変形例2では、ロッド52bが伝熱ガス供給孔50a内に配置される。ロッド52bは、開口114内に配置される部分である第1の部材53cと、第1の部材53cの下側に配置される第2の部材54bと、第2の部材54bの下側に配置される第3の部材55cとを有する。
【0038】
第1の部材53cは、第1の部材53と同様に、炭化ケイ素(SiC)で構成され、静電チャック113における伝熱ガス供給孔50aの内壁(開口114の内壁)との間に隙間を有する。当該隙間は、例えば、0.01mm~0.4mmである。また、第1の部材53cの下部は、スリーブ51内まで伸び、第2の部材54bの上部に嵌合して固定されている。第2の部材54bは、ポーラス樹脂で構成され、スリーブ51内及び静電チャック113の下面において、伝熱ガス供給孔50aの内壁との間に隙間を有さないように接している。第2の部材54bと伝熱ガス供給孔50aの内壁との間は、第1実施形態と同様に、例えば、-0.2mm~+0.2mmの範囲とすることができる。第2の部材54bは、第2の部材54と比較して、上部に第1の部材53cの下部を嵌合するための穴が設けられている。なお、第2の部材54bの上面は、第1実施形態と同様に、静電チャック113の下面における伝熱ガス供給孔50aの外周部を囲むように、静電チャック113の下面と隙間を有さないように接している。
【0039】
第3の部材55cは、樹脂、例えばPTFEで構成され、スリーブ51内において、伝熱ガス供給孔50aの内壁との間に隙間を有するように配置される。当該隙間は、例えば、0.01mm~0.6mmである。第3の部材55cの上部には、第2の部材54bの下部が接着等により固定されている。
図7に示すように、ロッド52bは、静電チャック113の上面側から順に、第1の部材53c、第2の部材54b、第3の部材55cが接している。
【0040】
変形例2の伝熱ガス供給孔50aでは、流路56~58の順に伝熱ガスが流れる。流路56は、第3の部材55cと、スリーブ51との間の隙間である。流路57は、流路56と接続される、第2の部材54bの内部の多孔質構造を通る流路である。流路58は、流路57と接続される、第1の部材53cと静電チャック113の開口114の内壁との間の隙間である。なお、
図7では、流路近傍に矢印を付して伝熱ガスの流れを表している。つまり、変形例2では、伝熱ガスは、第3の部材55cと伝熱ガス供給孔50a(スリーブ51)の内壁との間の隙間、第2の部材54bの内部、及び、第1の部材53cと伝熱ガス供給孔50a(開口114内)の内壁との間の隙間を通って、基板支持面111aに供給される。
【0041】
ロッド52bでは、伝熱ガスの圧力を上昇させた場合であっても、静電チャック113の下面、及び、スリーブ51の上部の近傍に空間が無く電子が直進せず、電子の加速を抑制するので、伝熱ガス供給孔50aの異常放電を抑制することができる。
【0042】
(第2実施形態)
上述の第1実施形態では、静電チャック113の開口114内に炭化ケイ素(SiC)で構成された第1の部材53,53a~53cを設けたが、ポーラス部材を静電チャック113の開口114内に設けてもよく、この場合の実施の形態につき、第2実施形態として説明する。なお、第1実施形態のプラズマ処理装置1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0043】
図8は、第2実施形態の伝熱ガス供給孔の断面の一例を示す部分拡大図である。
図8に示すように、第2実施形態では、静電チャック113aにスリーブ51の上部の開口、つまり、スリーブ51における伝熱ガス供給孔50aの内径よりも直径が大きな開口114bを設ける。開口114bは、例えば、ザグリ加工によって形成される。また、接着層116にも開口114bと同じ直径の開口部を設ける。第2実施形態では、スリーブ51の上端とロッド52cの上端とが同じ高さになるように、スリーブ51の伝熱ガス供給孔50a内にロッド52cを設ける。次に、静電チャック113aの上面側から開口114bにポーラス部材59を挿入し、スリーブ51及びロッド52cの上面に接着させる。なお、スリーブ51とロッド52cとの隙間に対応する部分には、接着剤が付着しないようにする。また、予めロッド52cの上面にポーラス部材59を接着したものを伝熱ガス供給孔50aに挿入するようにしてもよい。この場合、ポーラス部材59の直径を開口114bの直径より大きくして圧入することで、接着剤を用いずにロッド52c及びポーラス部材59を固定できる。
【0044】
ポーラス部材59の側面は、開口114b及び接着層116の開口部の内壁との間に隙間を有さないように接している。また、ポーラス部材59の下面は、スリーブ51及びロッド52cの上面との間に隙間を有さないように接している。なお、ポーラス部材59は、第1実施形態の第2の部材54と同様に、例えば、ポーラス樹脂で構成される。
【0045】
ロッド52cは、第1実施形態の第3の部材55と同様に、樹脂、例えばPTFEで構成され、スリーブ51内において、伝熱ガス供給孔50aの内壁との間に隙間を有するように配置される。
【0046】
第2実施形態における伝熱ガス供給孔50aでは、流路56a,58aの順に伝熱ガスが流れる。流路56aは、ロッド52cと、スリーブ51との間の隙間である。流路58aは、流路56aと接続される、ポーラス部材59の内部の多孔質構造を通る流路である。なお、
図8では、流路近傍に矢印を付して伝熱ガスの流れを表している。つまり、第2実施形態では、伝熱ガスは、ロッド52cと伝熱ガス供給孔50a(スリーブ51)の内壁との間の隙間、及び、ポーラス部材59の内部を通って、基板支持面111aに供給される。ロッド52cでは、伝熱ガスの圧力を上昇させた場合であっても、静電チャック113の下面、及び、スリーブ51の上部の近傍に空間が無く電子が直進せず、電子の加速を抑制するので、伝熱ガス供給孔50aの異常放電を抑制することができる。
【0047】
以上、第1実施形態によれば、プラズマ処理装置1は、プラズマ処理容器(プラズマ処理チャンバ10)と、プラズマ処理容器内に配置され、基台の上部に支持面(基板支持面111a,リング支持面111b)を備える基板支持部11と、を有する。基板支持部11は、支持面に基台側から伝熱ガスを供給する伝熱ガス供給孔50aと、伝熱ガス供給孔50a内の支持面側に配置され、炭化ケイ素で構成される第1の部材53,53a~53cと、伝熱ガス供給孔50a内の第1の部材53,53a~53cの下側に配置され、ポーラス樹脂で構成される第2の部材54,54a,54bと、伝熱ガス供給孔50a内の第2の部材54,54a,54bの下側に配置され、PTFEで構成される第3の部材55,55a,55cと、を備える。その結果、伝熱ガス供給孔50aの異常放電を抑制することができる。
【0048】
また、第1実施形態によれば、第2の部材54,54a,54bは、伝熱ガス供給孔50aの内壁との間に隙間を有さないように配置される。その結果、伝熱ガスが第2の部材54,54a,54bの内部を流れるようにすることができる。
【0049】
また、第1実施形態によれば、第1の部材53,53a~53cは、少なくとも、伝熱ガス供給孔50aのうち支持面に設けられたセラミック板(静電チャック113)の厚さに対応する長さである。その結果、電位差を緩和して伝熱ガス供給孔50aの異常放電を抑制することができる。
【0050】
また、第1実施形態によれば、セラミック板は、内部に電極を有する静電チャック113である。その結果、伝熱ガス供給孔50aの異常放電を抑制することができる。
【0051】
また、第1実施形態によれば、伝熱ガス供給孔50aは、セラミック板における内径が、基台(スリーブ51)における内径より小さく構成され、第2の部材54,54a,54bの上面は、セラミック板の下面における伝熱ガス供給孔50aの外周部を囲むように、セラミック板の下面と接している。その結果、伝熱ガス供給孔50aの異常放電を抑制することができる。
【0052】
また、第1実施形態によれば、第1の部材53,53a~53cは、伝熱ガス供給孔50aの内壁との間に隙間を有するように配置される。その結果、第2の部材54,54a,54bを通過した伝熱ガスを基板支持部11の支持面に供給することができる。
【0053】
また、第1実施形態によれば、第3の部材55,55a,55cは、伝熱ガス供給孔50aの内壁との間に隙間を有するように配置される。その結果、伝熱ガスを第2の部材54,54a,54bへと流すことができる。
【0054】
また、第1実施形態によれば、伝熱ガスは、第3の部材55,55a,55cと伝熱ガス供給孔50aの内壁との間の隙間、第2の部材54,54a,54bの内部、及び、第1の部材53,53a~53cと伝熱ガス供給孔50aの内壁との間の隙間を通って、支持面に供給される。その結果、伝熱ガス供給孔50aの異常放電を抑制することができる。
【0055】
また、第1実施形態によれば、第1の部材53の下面は、第2の部材54の上面と接しており、第2の部材54の下面は、第3の部材55の上面と接している。その結果、伝熱ガス供給孔50aの異常放電を抑制することができる。
【0056】
また、変形例1によれば、第1の部材53bの下部は、第2の部材54aを貫通して第3の部材55aの上部に固定されている。その結果、伝熱ガス供給孔50aの異常放電を抑制しつつ、伝熱ガスの流量を増加させることができる。
【0057】
また、変形例2によれば、第1の部材53cの下部は、第2の部材54bの内部で固定されている。その結果、伝熱ガス供給孔50aの異常放電を抑制することができる。
【0058】
また、第1実施形態によれば、ポーラス樹脂は、PI、PTFE、PCTFE、PFA、PEEK、PEI、POM、MC、PC、又は、PPSである。その結果、伝熱ガス供給孔50aの異常放電を抑制しつつ、伝熱ガスを基板支持部11の支持面に供給することができる。
【0059】
今回開示された各実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。上記の各実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形体で省略、置換、変更されてもよい。
【0060】
また、上記した各実施形態では、プラズマ源として容量結合型プラズマを用いて基板Wに対してエッチング等の処理を行う容量結合プラズマ処理装置1を例に説明したが、開示の技術はこれに限られない。プラズマを用いて基板Wに対して処理を行う装置であれば、プラズマ源は容量結合プラズマに限られず、例えば、誘導結合プラズマ、マイクロ波プラズマ、マグネトロンプラズマ等、任意のプラズマ源を用いることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 プラズマ処理装置
2 制御部
10 プラズマ処理チャンバ
11 基板支持部
20 ガス供給部
31 RF電源
40 排気システム
50 伝熱ガス供給路
50a 伝熱ガス供給孔
51 スリーブ
52,52a~52c ロッド
53,53a~53c 第1の部材
54,54a,54b 第2の部材
55,55a,55c 第3の部材
59 ポーラス部材
60 伝熱ガス供給部
111a 基板支持面
111b リング支持面
113,113a 静電チャック
114,114a,114b 開口
W 基板