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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-06
(45)【発行日】2025-03-14
(54)【発明の名称】表面処理フィラーの評価方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/00 20060101AFI20250307BHJP
【FI】
G01N33/00 D
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021160284
(22)【出願日】2021-09-30
(65)【公開番号】P2023050260
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2024-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(72)【発明者】
【氏名】吉田 悟
(72)【発明者】
【氏名】正田 勲
【審査官】草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-085806(JP,A)
【文献】特開2003-083950(JP,A)
【文献】特開2004-108932(JP,A)
【文献】国際公開第2021/235434(WO,A1)
【文献】Surface Analysis of Silica Gel Particles After Mechanical Dry Coating with Magnesium Stearate,Kona Powder and Particle Journal,No.28,2010年
【文献】高坂将太、外3名,走査型プローブ顕微鏡によるポリイミドナノコンポジットのフィラー充填率の推定,電気学会全国大会公演論文集,日本,2019年02月21日,073
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/00
G01Q 10/00-90/00
G01N 15/00-15/14
C09C 1/00- 3/12
C09D 15/00-17/00
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面処理フィラーの評価方法であって、走査型プローブ顕微鏡で探針を所定の振幅で加振させつつ前記表面処理フィラーの粒子表面を走査して、位相の遅れをコントラストで示した位相像を得る工程を含み、前記位相像により、前記表面処理フィラーにおける表面処理粒子の表面の硬さの分布を確認し、被膜物の均一性を評価することを特徴とする、表面処理フィラーの評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面処理フィラーの新規な評価方法に関するものである。詳しくは、走査型プローブ顕微鏡により、探針を所定の振幅で加振させつつ粒子表面を走査して位相像を得ることにより、表面処理フィラーを評価する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無機フィラーと樹脂とを複合化した樹脂複合材料は、例えば放熱材料などの幅広い分野で使用されている。その際、無機フィラーと樹脂とのなじみを向上させることを目的として、表面処理を行った無機フィラー(表面処理フィラー)を使用することが一般的である。表面処理を行うことにより、無機フィラーの樹脂への充填性が向上し、無機フィラーを樹脂中に均一に分散させた樹脂複合材料を製造することが容易となる。表面処理フィラーは、表面処理がされていない無機フィラー(未処理フィラー)と表面処理剤とを反応させ、粒子の表面に表面処理剤由来の被覆物が形成されることで得られる。
【0003】
ここで、無機フィラーが放熱材料に配合される熱伝導性フィラーである場合、表面処理を行って充填性を高めることは高い熱伝導率を有する樹脂複合材料を得るために有効な方法である。しかしながら、適切な表面処理がなされない場合、例えば表面処理剤に由来する被覆物が粒子表面に均一に分布していない場合には、表面処理の効果が十分に発揮されない場合がある。例えば、被覆物の分布が不均一で表面処理されていない部分が存在する場合は、樹脂とのなじみが十分に向上しないため、高い充填性が得られにくくなる。また、熱伝導性フィラーの粒子表面に過剰な被覆物の層が存在する場合には、該過剰な被覆物の層が熱パスを分断してしまい、充填性を高めても樹脂組成物の熱伝導率が期待したほど向上しないこともある。そのため、表面処理熱伝導性フィラーの製造においては、得られる表面処理フィラーの表面処理が適切に行われているかどうかを確認すること、特には粒子表面における被覆物の分布を考慮した評価を行うことが重要になる。
【0004】
表面処理粒子の表面処理状態を評価することが方法としては、例えば、特許文献1~3の方法が提案されている。
【0005】
特許文献1では、表面処理フィラーを加熱して有機物である表面処理剤由来の被覆物を燃焼させ、その際の熱的変化を測定することで表面処理フィラーの表面処理状態を評価する方法が開示されている。
【0006】
特許文献2では、表面処理フィラー(水酸化マグネシウム)の懸濁液に酸を滴下した際のpHの変化を観測することにより、表面処理状態を評価する方法が開示されている。この方法では、表面処理が均一で粒子の露出表面が少ないほどpHの低下速度が速くなるため、被覆状態を正確に評価できるとされている。
【0007】
特許文献3では、シランカップリング剤(表面処理剤)による表面処理が施された表面処理フィラーをアルコール中に浸漬することで、シランカップリング剤中のアルコキシ基を有するアルコール生成させ、これをガスクロマトグラフ分析により定量することで、フィラーとシランカップリング剤との反応過程・反応率を定量的に精度良く評価することができるとされている。
【0008】
しかしながら特許文献1~3のような従来の評価方法では、被覆物の分布を確認することは出来ず、表面処理フィラーにおける被覆物の分布を考慮した評価を十分に行うことが困難であった。そのため、例えば上記のような表面処理熱伝導性フィラーにおける過剰な被覆物の層が熱伝導性に及ぼす悪影響について高い精度で知るためには、実際に樹脂複合材料を製造して熱伝導率を測定するしかなく、評価に手間がかかっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2001-85806号公報
【文献】特開2003-83950号公報
【文献】特開2004-108932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記のように、従来の表面処理状態の評価方法では、被覆物の分布についての評価を十分に行うことが困難であった。そこで本発明では、表面処理フィラーにおける被覆物の分布の評価、特には被覆物の均一性について評価することが出来る評価方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を行った結果、走査型プローブ顕微鏡の探針を所定の振幅で加振させつつ表面処理粒子の粒子表面を走査して位相像を得ることにより、被覆物の分布を評価することが可能であることを見出した。
【0012】
即ち本発明は、表面処理フィラーの評価方法であって、走査型プローブ顕微鏡の探針を所定の振幅で加振させつつ前記表面処理熱伝導性フィラーの粒子表面を走査して位相像を得る工程を含む、表面処理フィラーの評価方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の評価方法によれば、表面処理フィラーにおける被覆物の分布を簡便に評価することが出来る。その結果、例えば、表面処理熱伝導性フィラーにおける過剰な被覆物の層の有無について評価を行い、表面処理熱伝導性フィラーを使用した樹脂複合材料において、高い熱伝導率が得られない虞がある表面処理熱伝導性フィラーを、従来よりも簡便に選別することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において、表面処理剤によって表面処理をされたフィラーを「表面処理フィラー」、前記表面処理フィラーが表面処理される前のフィラー、もしくはこれと製造条件が同等のフィラーを「表面処理フィラーに対応する未処理フィラー」(単に「未処理フィラー」と称することもある)と称する。また、表面処理フィラー中の粒子を「表面処理粒子」、未処理フィラー中の粒子を「未処理粒子」と称する。表面処理粒子表面に存在する表面処理剤由来の有機物を「被覆物」、該被覆物を形成するための原料を「表面処理フィラーに対応する表面処理剤」(単に「表面処理剤」と称することもある)と称する。
【0015】
本発明の評価方法によって評価する表面処理フィラーは特に限定されず、例えば、表面処理された、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素などに対して本発明の評価方法を適用することが可能である。表面処理フィラーの粒径は特に限定されないが、粒径が小さいと評価が難しくなり、粒径が大きいと評価に時間を要することから、粒径は0.5μm~100μmであることが好ましく、1.0μm~10μmであることがより好ましい。
【0016】
また、表面処理剤も特に限定されず、公知のものが利用可能であり、例えば、シランカップリング剤などを挙げることが出来る。
【0017】
走査型プローブ顕微鏡は、探針を測定対象の表面をなぞるように動かしながら走査させ、探針と測定対象の相互作用を検出することによって、測定対象の表面状態を評価する装置である。本発明の評価方法では、前記探針を所定の振幅で加振させつつ表面処理粒子の粒子表面を走査して測定を行い、位相像を得る。探針を所定の振幅で加振させた位相に対する試料表面を走査した際の位相を比較すると、柔らかい部分を走査した場合には探針の粒子表面への吸着による位相の遅れが大きく、硬い部分を走査した場合は位相の遅れが小さいことから、得られた位相像から該部分の硬さの程度を評価することが出来る。そして、表面処理粒子においては、被覆物が多く存在する部分は柔らかいので、この測定により得られた位相像から、粒子表面の被覆物の分布を評価することが出来ると推察される。
【0018】
本発明の評価方法で使用する走査型プローブ顕微鏡は、上記測定を行うことが出来れば特に限定されない。
【0019】
本発明の評価方法で使用する探針の種類は、特に限定されないが、高い分解能を得るために、探針先端の曲率半径が5~100nmであることが好ましい。
【0020】
本発明の評価方法において、測定試料を走査型プローブ顕微鏡に設置する方法は上記測定を行うことが出来れば特に限定されないが、例えば、揮発性溶媒に粒子を分散させて分散液を調整した後、マイカ基板に前記分散液を滴下し、揮発性溶媒を揮発させることで作製した測定用基板を、導電性カーボンテープで走査型プローブ顕微鏡の試料台に固定することで行うことが出来る。前記揮発性溶媒は、測定対象となる粒子を分散させることが可能であり、且つ前記粒子と反応することがなければ特に限定されず、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル、ヘキサン、2-メチルペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、オクタン、2,2,4-トリメチルペンタン、石油エーテルなどのアルカン、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどを使用することが出来る。
【0021】
本発明の評価方法では、探針を先端に有するカンチレバーを取り付けたカンチレバーホルダーを、走査型プローブ顕微鏡に取り付けた後、カンチレバーを共振周波数で加振させ、試料表面を走査した際のカンチレバーの高さの変位、位相のズレを検出し画像化することで試料表面の位相の変化を確認することが可能となる。なお、探針の振幅及びゲインは、粒子の凹凸像が得られるように調整すれば良い。
【0022】
本発明の評価方法では、表面処理フィラー中の表面処理粒子の表面全体にわたって探針を走査させることにより、表面処理粒子の表面の硬さの分布を確認することが出来、この硬さ分布から被覆物の均一性について評価を行うことが可能である。得られたデータから表面処理粒子の硬さの分布を評価する方法は特に限定されないが、例えば位相の遅れをコントラストで示した位相像を確認することで行うことが出来る。
【0023】
そして、表面処理フィラー中の複数の粒子を測定することで、該表面処理フィラーとしての性状を把握することが出来る。表面処理フィラーとしての性状を把握するために測定する表面処理粒子の数は特に限定されないが、多くの粒子を測定した方が評価精度を高めることができることから、フィラー500g当たり5個以上であることが好ましく、10個以上であることがより好ましい。
【0024】
なお、本発明の評価方法を行うことで、粒子表面の凹凸像も同時に得られる。被覆物が過剰に存在する個所は周囲よりも高くなっていることが多いため、前記凹凸像による評価を併せて行っても良い。
【0025】
本発明の評価方法により、表面処理フィラーにおいて、粒子表面における被覆物の均一性を評価することが可能となる。これにより、従来よりも容易に表面処理フィラーの品質管理を行ったり、製造条件の検討を行ったりすることが可能となる。
【0026】
本評価方法により被覆物の均一性を評価することで、例えば、粒子表面の一部が表面処理されておらず樹脂とのなじみが悪く高充填性が得られない可能性があるフィラーや、熱伝導性を低下させる原因となる過剰な被覆物の層が存在する可能性があるフィラーを選別することができる。これにより、表面処理フィラーの品質管理を効率的に行うことが可能となる。具体的には、例えば樹脂充填用の熱伝導性フィラーにおいて高充填性と高熱伝導性の双方が要求される場合には、本評価方法を行い、被覆物の分布が不均一であった場合には、高充填性と高熱伝導性の少なくともどちらか一方は十分ではない可能性が高く、要求を満たさないものであると判断することが出来る。
【0027】
なお、例えば熱伝導性フィラーで高熱伝導性は必要であるが、想定される樹脂への充填量が少なく高充填性が不要である場合には、粒子表面の一部が表面処理されておらず樹脂とのなじみが悪く高充填性が得られないフィラーは要求を満たすものである一方で、熱伝導性を低下させる原因となる過剰な被覆物の層が存在するフィラーは要求を満たさないものである。このような場合、本発明の評価方法のみではこれら二つの状態を区別することは困難であるが、表面処理フィラーに十分な量の被覆物が存在することを確認できる評価(例えば、表面処理フィラーの炭素量やM値など)と本発明の評価方法を組み合わせることで、判断の確度を高めることが出来る。具体的には、本発明の評価において被覆物の不均一であると判断したフィラーについて、炭素量やM値によって表面処理状態の評価を行い、表面処理が十分にされている場合には高充填性は得られるが過剰な被覆物層が存在するため高熱伝導性は得られない要求を満たさないフィラーであると判断し、表面処理が十分にされていない場合には粒子表面の一部が表面処理されていないために被覆物の分布が不均一になっており、過剰な被覆物の層は存在しないため高熱伝導性が得られる要求を満たすフィラーである高いと判断することも可能である。
【0028】
また、表面処理フィラーの炭素量やM値などによる評価で、粒子表面に十分な被覆物が存在し高充填性が得られることを確認した後、熱伝導性を低下させる原因となる過剰な被覆物の層が存在する可能性があるフィラーを選別する目的で、本発明の評価方法を使用することもできる。
【実施例
【0029】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。評価に使用した試料は以下のとおりである。
【0030】
窒化アルミニウム粉末
・A1:窒化アルミニウム粉末(表面処理されていない窒化アルミニウム粉末、平均粒子径1μm、株式会社トクヤマ製)
・B1、2:下記の表面処理方法に従ってアルキル系シランカップリング剤S1でA1を処理したもの。B1とB2の炭素分析装置によって測定された炭素量は同等である。
・C1、2:下記の表面処理方法に従ってエポキシ系シランカップリング剤S2でA1を処理したもの。C1とC2の炭素分析装置によって測定された炭素量は同等である。
・D1、2:下記の表面処理方法に従ってメタクリル系シランカップリング剤S3でA1を処理したもの。D1とD2の炭素分析装置によって測定された炭素量は同等である。
・E1、2:下記の表面処理方法に従ってフェニル系シランカップリング剤S4でA1を処理したもの。E1とE2の炭素分析装置によって測定された炭素量は同等である。
【0031】
<窒化アルミニウム粉末の表面処理方法>
窒化アルミニウム粉末A1を500g、シランカップリング剤を所定量、イソプロピルアルコール600gをガラス製ナスフラスコに入れ、フッ素樹脂製攪拌羽根で30分攪拌した。ロータリーエバポレータにてイソプロピルアルコールを減圧除去した後、100℃で減圧乾燥し、表面処理窒化アルミニウム粉末を得た。得られた表面処理窒化アルミニウム粉末は500g程度であった。
【0032】
<フィラーの評価方法>
フィラーを0.005gと、エタノールを10gとを、50mLスクリュー管瓶に入れ、超音波バスで15分間超音波を照射し、試料分散液を作製した。作製した試料分散液をスポイトで採取し、10mm角のマイカ基板に1滴滴下した後、80℃で乾燥させてエタノールを除去して測定用基板を得た。得られた測定用基板を、走査型プローブ顕微鏡(Bruker社製:Dimension Icon)の試料台に、両面テープを使用して固定した。次いで、粒径1μm~10μmの粒子を選択し、カンチレバーを共振周波数で振動させながら探針による走査を行い、高さ像及び位相像を得た。なお、探針の振幅及びゲインは、粒子の凹凸像が得られるように調整した。10個の粒子について位相像を得た後、得られた位相像により評価を行った。
【0033】
<熱伝導率の評価>
2液付加反応型のシリコーン樹脂1gとフィラー5gを、メノウ乳鉢を用いて混練し樹脂複合材料を作製した。作製した樹脂複合材料の熱伝導率をレーザーフラッシュ法で測定し、樹脂複合材料の熱伝導率を評価した。
【0034】
<実施例1>
フィラーB1,B2について、上記フィラーの評価方法に従って評価を行ったところ、フィラーB1の方がフィラーB2よりも位相遅れが見られる個所が少なかった。また、これらのフィラーを配合した樹脂複合材料の熱伝導率を、上記熱伝導率の評価に従って評価したところ、フィラーB1を使用した樹脂複合材料の方が、フィラーB2を使用した樹脂複合材料よりも、高い熱伝導率であった。
フィラーB1とB2は、炭素分析装置によって測定した炭素量が同等であることから、被覆物の量は同等で、どちらも十分な表面処理が行われていると考えられた。しかしながら、本発明の評価方法によると、位相像で差がみられ、フィラーB2の方が被覆物の均一性が低いと考えられ、実際に樹脂組成物を製造して熱伝導率を評価すると、位相遅れが見られたフィラーB2を使用した樹脂組成物の方が、低い熱伝導率を示した。
よって、本発明の評価方法によって、粒子表面に十分な被覆物が存在するフィラーの中から、熱伝導性を低下させる原因となる過剰な被覆物の層が存在する可能性があるフィラーを選別することが出来たと言える。
【0035】
<実施例2>
フィラーC1,C2について、上記フィラーの評価方法に従って評価を行ったところ、フィラーC1の方がフィラーC2よりも位相遅れが見られる個所が少なかった。また、これらのフィラーを配合した樹脂複合材料の熱伝導率を、上記熱伝導率の評価に従って評価したところ、フィラーC1を使用した樹脂複合材料の方が、フィラーC2を使用した樹脂複合材料よりも、高い熱伝導率であった。
よって、実施例1と同様に、本発明の評価方法によって、粒子表面に十分な被覆物が存在するフィラーの中から、熱伝導性を低下させる原因となる過剰な被覆物の層が存在する可能性があるフィラーを選別することが出来たと言える。
【0036】
<実施例3>
フィラーD1,D2について、上記フィラーの評価方法に従って評価を行ったところ、フィラーD1の方がフィラーD2よりも位相遅れが見られる個所が少なかった。また、これらのフィラーを配合した樹脂複合材料の熱伝導率を、上記熱伝導率の評価に従って評価したところ、フィラーD1を使用した樹脂複合材料の方が、フィラーD2を使用した樹脂複合材料よりも、高い熱伝導率であった。
よって、実施例1と同様に、本発明の評価方法によって、粒子表面に十分な被覆物が存在するフィラーの中から、熱伝導性を低下させる原因となる過剰な被覆物の層が存在する可能性があるフィラーを選別することが出来たと言える。
【0037】
<実施例4>
フィラーE1,E2について、上記フィラーの評価方法に従って評価を行ったところ、フィラーE1の方がフィラーE2よりも位相遅れが見られる個所が少なかった。また、これらのフィラーを配合した樹脂複合材料の熱伝導率を、上記熱伝導率の評価に従って評価したところ、フィラーE1を使用した樹脂複合材料の方が、フィラーE2を使用した樹脂複合材料よりも、高い熱伝導率であった。
よって、実施例1と同様に、本発明の評価方法によって、粒子表面に十分な被覆物が存在するフィラーの中から、熱伝導性を低下させる原因となる過剰な被覆物の層が存在する可能性があるフィラーを選別することが出来たと言える。