(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-06
(45)【発行日】2025-03-14
(54)【発明の名称】支持部材、波長合成モジュール、および発光装置
(51)【国際特許分類】
G02B 6/24 20060101AFI20250307BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20250307BHJP
H01S 5/02218 20210101ALI20250307BHJP
H01S 5/02251 20210101ALI20250307BHJP
H01S 5/024 20060101ALI20250307BHJP
【FI】
G02B6/24
G02B6/42
H01S5/02218
H01S5/02251
H01S5/024
(21)【出願番号】P 2022511605
(86)(22)【出願日】2021-02-05
(86)【国際出願番号】 JP2021004448
(87)【国際公開番号】W WO2021199678
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-12-21
(31)【優先権主張番号】P 2020062219
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 哲
(72)【発明者】
【氏名】早水 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】吉崎 達也
(72)【発明者】
【氏名】岡田 彪利
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-271786(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0025663(US,A1)
【文献】国際公開第2017/134911(WO,A1)
【文献】特開2017-021099(JP,A)
【文献】国際公開第2019/068052(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0202422(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0246022(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0119690(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/24, 6/255-6/27, 6/30-6/34, 6/36-6/43
H01S 3/00-3/02, 3/04-3/0959, 3/10-3/102, 3/105-3/131, 3/136-3/213, 3/23-3/30
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアとクラッドとを含む芯線と当該芯線を取り囲む被覆とを有した光ファイバの長手方向である第一方向の端部において前記被覆が除去されて前記芯線が露出した剥離端部、を支持する支持部材であって、
第一部材と、
前記第一部材と固定された第二部材と、
前記第一部材と前記光ファイバとを固定する固定部と、
を備え、
前記第一部材と前記第二部材との間に、前記剥離端部に沿って延び当該剥離端部を収容する収容部が設けられ、
前記収容部に収容されるとともに前記剥離端部の周囲に存在し、前記剥離端部から漏れた光を透過または散乱する処理材を備え
、
前記固定部は、前記第一部材の前記第一方向の第二端部から前記第一方向の反対方向に離れて位置し、
前記第一部材には、前記固定部を収容する凹部が設けられ、
前記第二部材は、前記第一部材を、前記第二端部から当該第一部材の前記第一方向の反対方向の端部にかけて覆うとともに、
前記第二部材の前記第一方向の端部の一部に、前記固定部を露出する開口が設けられた、支持部材。
【請求項2】
前記第一部材には、前記剥離端部を収容した第一凹溝が設けられ、
前記第二部材は、前記第一凹溝と前記剥離端部とを覆う、請求項1に記載の支持部材。
【請求項3】
前記第一凹溝は、V字溝である、請求項2に記載の支持部材。
【請求項4】
前記第一部材および前記第二部材は、前記剥離端部を当該剥離端部の前記第一方向の第一端部から所定長さの区間が前記収容部から露出した状態で支持する、請求項1~3のうちいずれか一つに記載の支持部材。
【請求項5】
前記第一部
材には、前記光ファイバのうち前記固定部によって固定される部位を収容する第二凹溝が設けられた、請求項
1~4のうちいずれか一つに記載の支持部材。
【請求項6】
前記凹部は、前記第一部材
において前記第二端部から前記第一方向の反対方向に離れて位置した、請求項
1~5のうちいずれか一つに記載の支持部材。
【請求項7】
前記固定部は、前記処理材に対して前記剥離端部の前記第一方向の第一端部とは反対側に位置した、請求項
1~
6のうちいずれか一つに記載の支持部材。
【請求項8】
前記固定部は、無機系接着剤である、請求項
1~
7のうちいずれか一つに記載の支持部材。
【請求項9】
前記剥離端部の
前記第一方向の第一端部と面して設けられ、当該第一端部とは反対側に位置され当該第一端部よりも広い端面を有し、当該端面から入射した光を前記第一端部に伝播する緩和部材を備えた、請求項1~
8のうちいずれか一つに記載の支持部材。
【請求項10】
前記緩和部材と面し、当該緩和部材からの光を当該緩和部材から外れた方向に反射する反射面を備えた、請求項
9に記載の支持部材。
【請求項11】
前記第一部材および前記第二部材のうち少なくとも一方の部材は、銅系材料またはアルミニウム系材料で作られた、請求項1~
10のうちいずれか一つに記載の支持部材。
【請求項12】
コアとクラッドとを含む芯線と当該芯線を取り囲む被覆とを有した光ファイバの長手方向である第一方向の端部において前記被覆が除去されて前記芯線が露出した剥離端部、を支持する支持部材であって、
第一部材と、
前記第一部材と固定された第二部材と、
を備え、
前記第一部材と前記第二部材との間に、前記剥離端部に沿って延び当該剥離端部を収容する収容部が設けられ、
前記収容部に収容されるとともに前記剥離端部の周囲に存在し、前記剥離端部から漏れた光を透過または散乱する処理材を備え、
前記剥離端部の
前記第一方向の第一端部と面して設けられ、当該第一端部とは反対側に位置され当該第一端部よりも広い端面を有し、当該端面から入射した光を前記第一端部に伝播する緩和部材を備えた
、支持部材。
【請求項13】
前記緩和部材と面し、当該緩和部材からの光を当該緩和部材から外れた方向に反射する反射面を備えた、請求項
12に記載の支持部材。
【請求項14】
それぞれ、コアおよびクラッドを含む芯線と、当該芯線を取り囲む被覆と、長手方向
である第一方向の端部において当該被覆が除去され前記芯線が露出した剥離端部と、を有した複数の光ファイバであって、それぞれ異なる波長の光を入力する複数の入力光ファイバと、光を出力する出力光ファイバと、を含む、複数の光ファイバと、
前記複数の光ファイバのそれぞれの前記剥離端部を支持する複数の支持部と、
前記入力光ファイバのそれぞれからの異なる波長の光を合成して前記出力光ファイバに送る光合成部と、
を備え、
前記複数の支持部のうちの少なくとも一つが、
第一部材と、
前記第一部材と固定された第二部材と、
前記第一部材と前記光ファイバとを固定する固定部と、
を有し、
前記第一部材と前記第二部材との間に、前記剥離端部に沿って延び当該剥離端部を収容する収容部が設けられ、
前記収容部に収容されるとともに前記剥離端部の周囲に存在し、前記剥離端部から漏れた光を透過または散乱する処理材を有し
、
前記固定部は、前記第一部材の前記第一方向の第二端部から前記第一方向の反対方向に離れて位置し、
前記第一部材には、前記固定部を収容する凹部が設けられ、
前記第二部材は、前記第一部材を、前記第二端部から当該第一部材の前記第一方向の反対方向の端部にかけて覆うとともに、
前記第二部材の前記第一方向の端部の一部に、前記固定部を露出する開口が設けられた、波長合成モジュール。
【請求項15】
前記入力光ファイバとして、第一波長の光を第一入力方向に入力する第一入力光ファイバと、前記第一波長とは異なる第二波長の光を第二入力方向に入力する第二入力光ファイバと、を含み
前記光合成部は、
前記第一波長の光を透過するとともに、前記第二波長の光を反射するフィルタであって、前記第一波長の光が前記第一入力方向に入射する第一面と、当該第一面と略平行であり前記第一波長の光が出射するとともに前記第二波長の光が前記第二入力方向に入射しかつ当該第二波長の光が前記第一波長の光の出射方向と略平行に出射する第二面と、を有し、前記第二波長の光の前記第二面に対する入射角が0°より大きくかつ20°以下であるフィルタ、を有した、請求項
14に記載の波長合成モジュール。
【請求項16】
前記入力光ファイバのうち少なくとも一つから入力される光は、偏波面の向きが異なる複数の光を含む、請求項
14または
15に記載の波長合成モジュール。
【請求項17】
前記複数の入力光ファイバは、偏波保持光ファイバである、請求項
15または
16に記載の波長合成モジュール。
【請求項18】
前記複数の入力光ファイバのうち、少なくとも一つから入力される光は、異なる波長の複数の光を含む、請求項
17に記載の波長合成モジュール。
【請求項19】
複数の発光素子と、
前記複数の発光素子からの光を合成する光合成部と、
前記光合成部で合成された光を出力し、コアおよびクラッドを含む芯線と、当該芯線を取り囲む被覆と、
長手方向である第一方向の端部において当該被覆が除去され前記芯線が露出した剥離端部と、を有した出力光ファイバと、
前記剥離端部を支持する支持部と、
を備え、
前記支持部は、
第一部材と、
前記第一部材と固定された第二部材と、
前記第一部材と前記出力光ファイバとを固定する固定部と、
を有し、
前記第一部材と前記第二部材との間に、前記剥離端部に沿って延び当該剥離端部を収容する収容部が設けられ、
前記収容部に収容されるとともに前記剥離端部の周囲に存在し、前記剥離端部から漏れた光を透過または散乱する処理材を有し
、
前記固定部は、前記第一部材の前記第一方向の第二端部から前記第一方向の反対方向に離れて位置し、
前記第一部材には、前記固定部を収容する凹部が設けられ、
前記第二部材は、前記第一部材を、前記第二端部から当該第一部材の前記第一方向の反対方向の端部にかけて覆うとともに、
前記第二部材の前記第一方向の端部の一部に、前記固定部を露出する開口が設けられた、発光装置。
【請求項20】
冷媒を通流可能に設けられた冷却通路が設けられ、当該冷却通路に冷媒を流すことにより前記複数の発光素子および前記支持部を冷却可能なハウジングを備えた、請求項
19に記載の発光装置。
【請求項21】
前記複数の発光素子は、それぞれ異なる波長の光を発光し、出力する光の波長が長いほど前記冷却通路を通る冷媒によって先に冷却される、請求項
20に記載の発光装置。
【請求項22】
複数の発光素子と、
前記複数の発光素子からの光を合成する光合成部と、
前記光合成部で合成された光を出力し、コアおよびクラッドを含む芯線と、当該芯線を取り囲む被覆と、
長手方向である第一方向の端部において当該被覆が除去され前記芯線が露出した剥離端部と、を有した出力光ファイバと、
前記剥離端部を支持する支持部と、
を備え、
前記支持部は、
第一部材と、
前記第一部材と固定された第二部材と、
を有し、
前記第一部材と前記第二部材との間に、前記剥離端部に沿って延び当該剥離端部を収容する収容部が設けられ、
前記収容部に収容されるとともに前記剥離端部の周囲に存在し、前記剥離端部から漏れた光を透過または散乱する処理材を有し
、
前記剥離端部の前記第一方向の第一端部と面して設けられ、当該第一端部とは反対側に位置され当該第一端部よりも広い端面を有し、当該端面から入射した光を前記第一端部に伝播する緩和部材を有した、発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持部材、波長合成モジュール、および発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザ光を光ファイバに結合させる部分の構成として、光ファイバの外周に光ファイバを固定するガラスキャピラリが設けられ、当該ガラスキャピラリの外周にガラスキャピラリを固着剤を介して固定する光吸収体が設けられた構成が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の構成では、レーザ光の高パワー化に伴い、クラッドモードで伝搬するレーザ光のパワーが大きくなると、当該クラッドモードで伝搬してクラッドから漏洩したレーザ光によって、固着剤等に損傷が生じる虞がある。
【0005】
そこで、本発明の課題の一つは、例えば、より信頼性の高い新規な構成を有した光ファイバの支持部材、波長合成モジュール、および発光装置を得ること、である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の支持部材は、例えば、コアとクラッドとを含む芯線と当該芯線を取り囲む被覆とを有した光ファイバの長手方向である第一方向の端部において前記被覆が除去されて前記芯線が露出した剥離端部、を支持する支持部材であって、第一部材と、前記第一部材と固定された第二部材と、を備え、前記第一部材と前記第二部材との間に、前記剥離端部に沿って延び当該剥離端部を収容する収容部が設けられ、前記収容部に収容されるとともに前記剥離端部の周囲に存在し、前記剥離端部から漏れた光を透過または散乱する処理材を備える。
【0007】
前記支持部材では、前記第一部材には、前記剥離端部を収容した第一凹溝が設けられ、前記第二部材は、前記第一凹溝と前記剥離端部とを覆ってもよい。
【0008】
前記支持部材では、前記第一凹溝は、V字溝であってもよい。
【0009】
前記支持部材では、前記第一部材および前記第二部材は、前記剥離端部を当該剥離端部の前記第一方向の第一端部から所定長さの区間が前記収容部から露出した状態で支持してもよい。
【0010】
前記支持部材は、前記第一部材および前記第二部材のうち少なくとも一方の部材と前記光ファイバとを固定する固定部を備えてもよい。
【0011】
前記支持部材では、前記固定部は、前記第一部材および前記第二部材のうち少なくとも一方の部材の前記第一方向の第二端部から前記第一方向の反対方向に離れて位置してもよい。
【0012】
前記支持部材では、前記第一部材および前記第二部材のうち少なくとも一方の部材には、前記光ファイバのうち前記固定部によって固定される部位を収容する第二凹溝が設けられてもよい。
【0013】
前記支持部材では、前記第一部材および前記第二部材のうち少なくとも一方の部材には、前記固定部を収容する凹部が設けられてもよい。
【0014】
前記支持部材では、前記凹部は、前記第一部材および前記第二部材のうち少なくとも一方の部材の前記第一方向の第二端部から前記第一方向の反対方向に離れて位置してもよい。
【0015】
前記支持部材では、前記固定部は、前記第一部材および前記第二部材のうち一方の部材と前記光ファイバとを固定し、前記第一部材および前記第二部材のうち他方の部材には、前記固定部を露出する開口が設けられてもよい。
【0016】
前記支持部材では、前記開口は、前記他方の部材の前記第一方向の第三端部から前記第一方向の反対方向に離れて位置してもよい。
【0017】
前記支持部材では、前記固定部は、前記処理材に対して前記剥離端部の前記第一方向の第一端部とは反対側に位置してもよい。
【0018】
前記支持部材では、前記固定部は、無機系接着剤であってもよい。
【0019】
前記支持部材は、前記剥離端部の長手方向の端部と面して設けられ、当該長手方向の端部とは反対側に位置され当該端部よりも広い端面を有し、当該端面から入射した光を前記剥離端部の長手方向の端部に伝播する緩和部材を備えてもよい。
【0020】
前記支持部材は、前記緩和部材と面し、当該緩和部材からの光を当該緩和部材から外れた方向に反射する反射面を備えてもよい。
【0021】
前記支持部材では、前記第一部材および前記第二部材のうち少なくとも一方は、銅系材料またはアルミニウム系材料で作られてもよい。
【0022】
また、本発明の波長合成モジュールは、例えば、それぞれ、コアおよびクラッドを含む芯線と、当該芯線を取り囲む被覆と、長手方向の端部において当該被覆が除去され前記芯線が露出した剥離端部と、を有した複数の光ファイバであって、それぞれ異なる波長の光を入力する複数の入力光ファイバと、光を出力する出力光ファイバと、を含む、複数の光ファイバと、前記複数の光ファイバのそれぞれの前記剥離端部を支持する複数の支持部と、前記入力光ファイバのそれぞれからの異なる波長の光を合成して前記出力光ファイバに送る光合成部と、を備え、前記複数の支持部のうちの少なくとも一つが、第一部材と、前記第一部材と固定された第二部材と、を有し、前記第一部材と前記第二部材との間に、前記剥離端部に沿って延び当該剥離端部を収容する収容部が設けられ、前記収容部に収容されるとともに前記剥離端部の周囲に存在し、前記剥離端部から漏れた光を透過または散乱する処理材を有する。
【0023】
前記波長合成モジュールでは、前記入力光ファイバとして、第一波長の光を第一入力方向に入力する第一入力光ファイバと、前記第一波長とは異なる第二波長の光を第二入力方向に入力する第二入力光ファイバと、を含み、前記光合成部は、前記第一波長の光を透過するとともに、前記第二波長の光を反射するフィルタであって、前記第一波長の光が前記第一入力方向に入射する第一面と、当該第一面と略平行であり前記第一波長の光が出射するとともに前記第二波長の光が前記第二入力方向に入射しかつ当該第二波長の光が前記第一波長の光の出射方向と略平行に出射する第二面と、を有し、前記第二波長の光の前記第二面に対する入射角が0°より大きくかつ20°以下であるフィルタ、を有してもよい。
【0024】
前記波長合成モジュールでは、前記入力光ファイバのうち少なくとも一つから入力される光は、偏波面の向きが異なる複数の光を含んでもよい。
【0025】
前記波長合成モジュールでは、前記複数の入力光ファイバは、偏波保持光ファイバであってもよい。
【0026】
前記波長合成モジュールでは、前記複数の入力光ファイバのうち、少なくとも一つから入力される光は、異なる波長の複数の光を含んでもよい。
【0027】
また、本発明の発光装置は、例えば、複数の発光素子と、前記複数の発光素子からの光を合成する光合成部と、前記光合成部で合成された光を出力し、コアおよびクラッドを含む芯線と、当該芯線を取り囲む被覆と、当該被覆が除去され前記芯線が露出した剥離端部と、を有した出力光ファイバと、前記剥離端部を支持する支持部と、を備え、前記支持部は、第一部材と、前記第一部材と固定された第二部材と、を有し、前記第一部材と前記第二部材との間に、前記剥離端部に沿って延び当該剥離端部を収容する収容部が設けられ、前記収容部に収容されるとともに前記剥離端部の周囲に存在し、前記剥離端部から漏れた光を透過または散乱する処理材を有する。
【0028】
前記発光装置では、冷媒を通流可能に設けられた冷却通路が設けられ、当該冷却通路に冷媒を流すことにより前記複数の発光素子および前記支持部を冷却可能なハウジングを備えてもよい。
【0029】
前記発光装置では、前記複数の発光素子は、それぞれ異なる波長の光を発光し、出力する光の波長が長いほど前記冷却通路を通る冷媒によって先に冷却されてもよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、例えば、より信頼性の高い新規な構成を有した支持部材、波長合成モジュール、および発光装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、第1実施形態の支持部材の例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の支持部材の保持部材を除去した状態での例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図4】
図4は、第1変形例の支持部材の例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態の波長合成モジュールの例示的かつ模式的な平面図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態の波長合成モジュールに設けられるフィルタにおける光の透過と反射とを示す模式的な説明図である。
【
図7】
図7は、第2変形例の波長合成モジュールの例示的かつ模式的な平面図である。
【
図8】
図8は、第2変形例の波長合成モジュールから出力され光ファイバの端面に入力される入力光と、レーザ光を加工対象に照射した際の加工面での反射光と、を示す例示的な説明図である。
【
図9】
図9は、第3変形例の波長合成モジュールの例示的かつ模式的な平面図である。
【
図10】
図10は、第4変形例の波長合成モジュールの例示的かつ模式的な平面図である。
【
図11】
図11は、第3実施形態の発光装置の例示的かつ模式的な平面図である。
【
図12】
図12は、第5変形例の発光装置の例示的かつ模式的な平面図である。
【
図14】
図14は、第6変形例の支持部材のベースの例示的かつ模式的な平面図である。
【
図15】
図15は、第7変形例の支持部材のベースの例示的かつ模式的な平面図である。
【
図16】
図16は、第8変形例の支持部材のベースの例示的かつ模式的な平面図である。
【
図17】
図17は、第4実施形態の支持部材の例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図18】
図18は、第4実施形態の支持部材のベースの例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図20】
図20は、第9変形例の支持部材の例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図21】
図21は、第10変形例の支持部材の例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図22】
図22は、第5実施形態の支持部材の例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図23】
図23は、第5実施形態の支持部材のベースの例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図25】
図25は、第6実施形態の支持部材の
図19と同等位置での例示的かつ模式的な断面図である。
【
図26】
図26は、第6実施形態の支持部材のカバーの例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図27】
図27は、第11変形例の支持部材のカバーの例示的かつ模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の例示的な実施形態および変形例が開示される。以下に示される実施形態および変形例の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態および変形例に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0033】
以下に示される実施形態および変形例は、同様の構成を備えている。よって、各実施形態および変形例の構成によれば、当該同様の構成に基づく同様の作用および効果が得られる。また、以下では、それら同様の構成には同様の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される場合がある。
【0034】
本明細書において、序数は、部品や部位等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではない。
【0035】
また、各図において、方向Xを矢印Xで表し、方向Yを矢印Yで表し、方向Zを矢印Zで表している。方向X、方向Y、および方向Zは、互いに交差するとともに直交している。X方向は、光ファイバ20Aの剥離端部20aの延び方向とも称されうる。
【0036】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の支持部材10Aの斜視図である。支持部材10Aは、種々の光学機器において、主に、レーザ光を出力する出力光ファイバとしての光ファイバ20Aの、端部の支持に、適用される。支持部材10Aは、端部支持構造や、支持部とも称されうる。
【0037】
図1に示されるように、支持部材10Aは、ベース11と、カバー12と、エンドキャップ13と、ホルダ14と、を備えている。
【0038】
ベース11は、X方向に延びた直方体状の形状を有しており、X方向に延びた光ファイバ20Aを支持している。
【0039】
ベース11は、Z方向の反対側の端部に位置された面11aと、Z方向の端部に位置された面11bと、を有している。
【0040】
面11aは、Z方向の反対方向を向き、Z方向と交差しかつ直交している。面11aは、長方形状の平面である。
【0041】
面11bは、Z方向を向き、Z方向と交差しかつ直交している。面11bは、Z方向にずれた三つの面11b1、11b2,11b3を有している。面11b1,11b2,11b3は、いずれもZ方向を向き、Z方向と交差しかつ直交している。面11b1,11b2,11b3は、いずれも平面である。面11b2は、面11b1からZ方向の反対方向にずれて位置され、面11b3は、面11b2からZ方向の反対方向にずれて位置されている。面11b1,11b2,11b3は、段差を構成している。面11a、面11b1、面11b2、および面11b3は、平行である。
【0042】
カバー12は、Z方向と交差しかつ直交している。カバー12は、X方向に延びた長方形状を有している。
【0043】
図2は、
図1のII-II断面図である。
図2に示されるように、カバー12は、Z方向の反対側の端部に位置された面12aと、Z方向の端部に位置された面12bと、を有している。カバー12では、面11b1を覆っている。面12bは、面11b1と面するとともに、接している。また、ベース11の面11b1には、Z方向の反対方向に凹みX方向に延びた凹溝11cが設けられている。凹溝11cは、X方向と交差した断面において、V字状の断面を構成する所謂V字溝である。凹溝11cは、二つの面11c1,11c2の間に設けられている。面11c1は、Y方向に向かうにつれてZ方向の反対方向に向かう方向に延びるとともに、X方向に延びている。面11c2は、Y方向に向かうにつれてZ方向に向かう方向に延びるとともに、X方向に延びている。
【0044】
凹溝11cの面11c1,11c2と、カバー12の面12aとによって囲まれた空間Sは、X方向に延びている。空間Sには、X方向に延びた光ファイバ20Aが収容されている。空間Sは、収容部の一例である。
【0045】
光ファイバ20Aは、コア21aおよびクラッド21bを含む芯線21と、当該芯線21を取り囲む被覆22と、を有している。芯線21は、例えば、石英系ガラス材料で作られうる。また、被覆22は、例えば、合成樹脂材料で作られうる。
【0046】
空間S内に収容されている区間において、光ファイバ20Aの被覆22は除去され、芯線21が露出している。すなわち、空間S内には、光ファイバ20Aの端部において被覆22が除去されて芯線21が露出した剥離端部20aが収容されている。カバー12は、凹溝11cを覆うとともに、剥離端部20aを覆っている。支持部材10Aは、空間S内に収容された剥離端部20aを支持している。ベース11は、第一部材の一例であり、カバー12は、第二部材の一例である。
【0047】
また、面11c1,11c2,12aは、剥離端部20aの、X方向と直交する方向における位置ずれを抑制している。面11c1,11c2,12aは、位置決め部、あるいはずれ防止部とも称されうる。
【0048】
空間S内の、光ファイバ20Aを除く部分には、処理材15が収容されている。すなわち、支持部材10Aは、処理材15を備えている。処理材15は、剥離端部20aと接した状態で、剥離端部20aの周囲に存在している。処理材15は、剥離端部20aのクラッド21bから漏れた光を透過または散乱する。これにより、クラッド21bから被覆22への光の伝播を抑制することができる。
【0049】
処理材15は、例えば、光を透過または散乱する性質を有した無機系接着剤で作られうる。無機系接着剤は、例えば、ケイ素系やアルミナ系の接着剤である。この場合、無機系接着剤は、未硬化の状態で塗布した後に硬化することにより、セラミック状の膜となる。無機系接着剤は光を透過または散乱することができる。なお、無機系接着剤が有機溶剤を使用するものである場合、有機溶剤は、硬化の際に揮発する。無機系接着剤は耐熱性が高いため、処理材15として好適である。
【0050】
また、処理材15は、光を透過または散乱する性質を有した樹脂材料で作られてもよい。樹脂材料は、例えば、シリコーン系、エポキシ系、あるいはウレタンアクリレート系等である。樹脂材料は、フィラーとして、例えば、窒化ホウ素や、タルク、窒化アルミ(AlN)等を含んでもよい。この場合、光はフィラーによっても散乱される。また、フィラーの屈折率は、クラッド21bの屈折率より高いことが望ましい。なお、樹脂材料やフィラーは、上記のものには限定されない。
【0051】
ベース11およびカバー12は、いずれも、例えば、銅系材料やアルミニウム系の材料のような、熱伝導性の高い材料で作られうる。
【0052】
カバー12は、例えば、ねじのような固定具16によって、ベース11と固定されている。空間S内に光ファイバ20Aの剥離端部20aと処理材15とが収容された状態で、ベース11とカバー12とが一体化されることにより、空間S内に剥離端部20aおよび処理材15を収容された構成を、比較的簡素な構成により実現することができる。なお、ベース11とカバー12とは、固定具16による結合とは異なる結合方式によって一体化されてもよい。
【0053】
図3は、ホルダ14を取り外した状態での支持部材10Aの斜視図である。
図3に示されるように、光ファイバ20Aの剥離端部20aのX方向の先端20a1および当該先端20a1と隣接した当該先端20a1から所定長さの区間20a2は、空間S外に露出している。すなわち、支持部材10Aは、区間20a2が露出した状態で、剥離端部20aを支持している。光ファイバ20Aが波長合成モジュールのような光モジュールの出力光ファイバである場合、言い換えると、光ファイバ20Aの先端20a1に光が入力される場合、当該先端20a1の近傍では、入力される光のパワーが比較的強くなる場合がある。このような場合に、先端20a1の近傍において、仮に、剥離端部20aの周囲を、ベース11や、カバー12、処理材15等で覆ってしまうと、当該覆っている部分の温度が過度に上昇してしまう虞がある。この点、本実施形態では、剥離端部20aの先端20a1および当該先端20a1と隣接した区間20a2の周囲を覆わず、露出させることにより、過度な温度上昇によって、剥離端部20aの周囲を取り囲む構成が損傷するような事態を、回避することができる。先端20a1は、長手方向の端部の一例である。なお、露出している区間20a2の長さは、5mm以上でありかつ25mm以下であることが望ましい。区間20a2の長さが長すぎる場合にあっては、クラッド21bと空気との屈折率差によって、クラッドモードにより伝播する光がクラッド21b内に閉じ込められてしまう場合があるからである。X方向は、第一方向の一例であり、先端20a1は、剥離端部20aは、第一端部の一例である。
【0054】
エンドキャップ13は、剥離端部20aの先端20a1に対して、X方向に面している。エンドキャップ13は、円柱部13aと、突出部13bとを有している。円柱部13aは、円柱状の形状を有し、剥離端部20aの直径よりも十分に大きい直径を有して、X方向に延びている。円柱部13aのX方向の端面13a1は、先端20a1よりも広い。また、突出部13bは、円柱部13aから先端20a1に近付くように、X方向の反対方向に突出している。突出部13bは、例えば、剥離端部20aと融着接続されている。
【0055】
エンドキャップ13は、例えば、光ファイバ20Aのコア21aと同程度の屈折率を有する材料で作られうる。一例として、エンドキャップ13は、例えば、光ファイバ20Aのコア21aと同じ石英系ガラス材料で作られうる。
【0056】
仮にエンドキャップ13が設けられていない構成において、剥離端部20aの先端20a1に向けて集光レンズ(不図示)等によって集光されたレーザ光が到来すると、当該先端20a1の界面においてビーム径が小さくパワー密度が過度に大きくなり、剥離端部20aの先端20a1で過度な温度上昇が生じ、ひいては先端20a1が損傷してしまう虞がある。この点、本実施形態では、レーザ光は、エンドキャップ13の端面13a1に、ビーム径がより大きくパワー密度がより小さい状態で到達するので、エンドキャップ13の端面13a1における過度な温度上昇ひいては先端20a1の損傷を、抑制することができる。エンドキャップ13は、緩和部材の一例である。
【0057】
また、エンドキャップ13の突出部13bとは反対側の端面13a1には、AR(anti reflection)コーティングが施されている。これにより、端面13a1における光の反射が抑制される。
【0058】
エンドキャップ13は、ベース11と、エンドキャップ13に対してベース11とは反対側に位置されたホルダ14とによって、取り囲まれている。ホルダ14は、ねじのような固定具16によって、ベース11と固定されている。エンドキャップ13は、ベース11とホルダ14とによって保持されてもよいし、ベース11のみによって保持されてもよい。
【0059】
エンドキャップ13に対してX方向の反対側に離れた位置には、反射部11dが設けられている。反射部11dは、エンドキャップ13と面している。反射部11dは、ベース11において、面11b1と面11b2との間においてZ方向に延びた段差面に、設けられている。反射部11dは、例えば、ベース11の一部を加工し、メッキ処理を施すことにより、構成することができるし、別途作成された反射部11dがベース11に取り付けられてもよい。また、反射部11dは、Z方向に延びた二つの反射面11d1,11d2を有している。二つの反射面11d1,11d2は、剥離端部20aの近傍に位置される先端11d3で、交わっている。反射面11d1は、先端11d3からX方向の反対方向に向かうにつれてY方向の反対方向に向かうように延びている。他方、反射面11d2は、先端11d3からX方向の反対方向に向かうにつれてY方向に向かうように延びている。このような構成により、反射部11dは、エンドキャップ13から到来して光ファイバ20Aのコア21aに結合されなかった光を、エンドキャップ13から外れた方向、本実施形態では、一例としてY方向またはY方向の反対方向に反射する。これにより、エンドキャップ13から漏れた光がベース11等で反射してエンドキャップ13に戻り当該エンドキャップ13の温度が上昇するような事態を、回避することができる。なお、反射部11dは、
図3の構成には限定されない。また、反射部11dに替えて、光を散乱する散乱面を有した散乱部が設けられてもよい。
【0060】
以上、説明したように、本実施形態では、ベース11(第一部材)とカバー12(第二部材)との間に、剥離端部20aに沿って延びて当該剥離端部20aを収容する空間Sが設けられており、処理材15が、空間S内に収容されるとともに剥離端部20aの周囲に存在し、剥離端部20aから漏れた光を透過または散乱する。
【0061】
このような構成によれば、剥離端部20aの周囲に配置した処理材15によって当該剥離端部20aから漏れた光を透過または散乱することにより剥離端部20aの温度上昇を抑制できる構成を、比較的簡素な構成によって、実現することができる。
【0062】
また、本実施形態では、例えば、ベース11には、剥離端部20aを収容した凹溝11cが設けられ、カバー12は、凹溝11cと剥離端部20aとを覆っている。
【0063】
また、本実施形態では、例えば、凹溝11cは、V字溝である。
【0064】
このような構成によれば、例えば、剥離端部20aが支持部材10Aに対してずれるのを抑制できたり剥離端部20aを支持部材10Aの所定位置に位置決めできたりする構成を、比較的簡素な構成によって実現することができる。
【0065】
また、本実施形態では、例えば、ベース11およびカバー12は、先端20a1(長手方向の端部)から所定長さの区間20a2が空間Sから支持部材10A外に露出した状態で、剥離端部20aを支持する。
【0066】
このような構成によれば、例えば、剥離端部20aの先端20a1近傍の温度上昇による支持部材10Aに対する影響を、低減することができる。
【0067】
また、本実施形態では、例えば、エンドキャップ13は、剥離端部20aの先端20a1と面し、当該先端20a1とは反対側に位置され当該先端20a1よりも広い端面13a1を有し、端面13a1に入射した光を先端20a1に伝播する。
【0068】
このような構成によれば、例えば、エンドキャップ13が無く、先端20a1に直接光が入力される場合に比べて、光のビーム径をより大きくして光のパワー密度をより小さくすることができるので、界面(端面13a1)における温度上昇を抑制することができる。
【0069】
また、本実施形態では、例えば、ベース11およびカバー12のうち少なくとも一方は、例えば、銅系材料やアルミニウム系の材料のような、熱伝導性の高い材料で作られうる。
【0070】
このような構成によれば、例えば、剥離端部20aで生じた熱をベース11またはカバー12を介して放熱することができるので、当該剥離端部20aの過度な温度上昇を抑制することができる。
【0071】
[第1変形例]
図4は、第1実施形態の変形例である第1変形例の支持部材10A1の斜視図である。
図4に示されるように、支持部材10A1は、第1実施形態の支持部材10AよりもX方向の長さが短く、ベース11の端面11eと、ホルダ14の端面14aと、エンドキャップ13の端面13a1とが、いずれもX方向と交差するとともに直交し、かつ面一に並んでいる。
【0072】
このような構成によっても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。また、本変形例によれば、本来不要な光が面11b3で反射して端面13a1に入力されるのを、抑制することができる。
【0073】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態の波長合成モジュール100Aの平面図である。波長合成モジュール100Aは、ハウジング101と、当該ハウジング101と固定された複数の光ファイバ20と、備えている。光ファイバ20は、その剥離端部20a(
図1~4参照、
図5には示されず)を支持する支持部10a,10bを介して、ハウジング101と接続されている。
【0074】
ハウジング101は、例えば、ケースおよび蓋(不図示)を有し、封止されている。ハウジング101は、例えば、銅系材料やアルミニウム系材料のような、熱伝導性の高い材料で作られる。
【0075】
波長合成モジュール100Aは、光ファイバ20として、波長合成モジュール100Aに対して光を入力する光ファイバ20Bと、波長合成モジュール100Aから光を出力する光ファイバ20Aと、を備えている。光ファイバ20Bは、入力光ファイバの一例であり、光ファイバ20Aは、出力光ファイバの一例である。光ファイバ20A,20Bは、例えば、マルチモード光ファイバであるが、シングルモード光ファイバであってもよい。マルチモード光ファイバである場合、コアの径は、例えば100~110[μm]であり、クラッドの径は、例えば、125~500[μm]であり、開口数は、例えば0.15~0.22である。
【0076】
光ファイバ20Aを支持する支持部10aは、上記第1実施形態の支持部材10Aと同様の構成を備えている。支持部10aの一部(例えばベース11)は、ハウジング101の一部としてハウジング101に構成されてもよいし、上記第1実施形態の支持部材10Aを、ハウジング101に取り付けてもよい。
【0077】
光ファイバ20Bを支持する支持部10bは、支持部材10Aと同様の構成を有してもよいし、反射部11dの無い、よりシンプルな構成であってもよい。
【0078】
光ファイバ20Bは、それぞれ、異なる波長の光を入力する。複数の光ファイバ20Bから入力された光は、波長合成部110によって合成される。波長合成部110は、コリメートレンズ111と、フィルタ112と、集光レンズ113と、を有している。フィルタ112は、例えば、誘電体多層膜によって作られうる。コリメートレンズ111は、各光ファイバ20Bからの光を平行光にする。また、集光レンズ113は、入力された光を、光ファイバ20Aの端部に向けて集光し、当該光ファイバ20Aに光学的に結合する。なお、コリメートレンズ111や集光レンズ113には、反射防止コーティングが施されてもよい。波長合成部110は、光合成部とも称されうる。
【0079】
図6は、フィルタ112における光の透過と反射とを示す説明図である。
図6に示されるように、フィルタ112は、一つの光ファイバ20B1からの光(以下、第一光と称する)を透過し、もう一つの光ファイバ20B2からの光(以下、第二光と称する)を反射する。
【0080】
図6の構成において、光ファイバ20B1からの光の波長λ1が、光ファイバ20B2からの光の波長λ2よりも長い場合には、すなわち、光ファイバ20B1からの光の周波数f1が、光ファイバ20B2からの光の周波数f2よりも低い場合、フィルタ112は、ローパスフィルタである。
【0081】
他方、
図6の構成において、光ファイバ20B1からの光の波長λ1が、光ファイバ20B2からの光の波長λ2よりも短い場合には、すなわち、光ファイバ20B1からの光の周波数f1が、光ファイバ20B2からの光の周波数f2よりも高い場合、フィルタ112は、ハイパスフィルタである。
【0082】
フィルタ112は、第一面112aと、第二面112bと、を有している。第一面112aおよび第二面112bは、平行である。
【0083】
第一面112aは、第一光の入射面であり、第二面112bは、第一光の出射面であるとともに第二光の反射面である。
【0084】
第一光は、方向D1に進んで第一面112aに入射し、第二面112bから出射して方向D1へ進む。他方、第二光は、方向D2に進んで第二面112bへ到達し、当該第二面112bで反射して方向D1へ進む。すなわち、フィルタ112は、第二光の入射角(=出射角)の絶対値がθである場合、方向D1と方向D2の反対方向との角度差の絶対値が2θとなるよう、セットされている。このような構成において、第二面112bにおける第一光の出射点と、第二面112bにおける第二光の反射点とが少なくとも
図5,6の視線において略一致するよう、各部を配置することにより、第一光と第二光とを合成することができる。方向D1は、第一入力方向の一例であり、方向D2は、第二入力方向の一例である。
【0085】
なお、本実施形態では、方向D1は、光ファイバ20B1および支持部10b1(10b)の長手方向でもあり、方向D2は、光ファイバ20B2および支持部10b2(10b)の長手方向でもある。
【0086】
ここで、本実施形態では、第二面112bに入射する第二光の入射角θが、20°以下となるよう、セットされる。この理由について、説明する。なお、本明細書では、境界帯域よりも長い波長の光が通過するフィルタを、ハイパスフィルタと称し、境界帯域よりも短い波長の光を通過が通過するフィルタを、ローパスフィルタと称する。
【0087】
この種のフィルタの特性として、一つの偏波に対して設計されたフィルタに他の偏波が混じる場合に、入射角θが大きくなるほど、反射率が100%でありかつ透過率が0%である波長λminと、反射率が0%でありかつ透過率が100%である波長λmaxと、の間の波長帯域(以下、これを境界帯域とする)が大きくなり、フィルタとしてのカットオフ特性が低下することが知られている。特に、p波とs波を偏波合成する場合には、最もカットオフ特性が低下しやすい。
【0088】
p波とs波とが偏波合成される場合であって、さらにフィルタのカットオフ特性が低下して境界領域が大きい場合、第一光と第二光との波長の差を大きく設定する必要があるため、合成する波長が異なる複数の光の波長の間隔(周波数の間隔)をより大きくせざるを得ず、より多くの波長の光を合成できなくなってしまう。この点、本実施形態では、入射角θを20°以下に設定することにより、第一光と第二光との波長の差をより小さく設定することができ、合成する波長が異なる複数の光の波長の間隔をより小さくすることができ、より多くの波長の光を合成することが可能となる。発明者らの鋭意検討により、入射角θは、0°より大きく20°以下であるのが好適であり、0°より大きく15°以下であるのがさらに好適であることが、判明した。
【0089】
図5の構成では、フィルタ112-1からは、光ファイバ20B1からの波長λ1の光と、光ファイバ20B2からの波長λ2の光との合成光が出射され、フィルタ112-2からは、波長λ1の光と波長λ2の光と光ファイバ20B3からの波長λ3の光との合成光が出射され、というように、各フィルタ112によって異なる波長の複数の光が順次合成され、光ファイバ20Aには、集光レンズ113を介して、複数の光ファイバ20Bからの異なる波長(λ1,λ2,・・・,λnは、光ファイバ20Bの数)の複数の光の合成光が入力される。
【0090】
図5の構成において、複数のフィルタ112がハイパスフィルタである場合、光ファイバ20Bから出射した光には、フィルタ112を通過する度に、順次、より短い波長の光、すなわちより周波数の高い光が合成される。この場合、波長λ1,λ2,・・・,λnについては、λ1>λ2>・・・>λnが成り立つ。
【0091】
図5の構成において、複数のフィルタ112がローパスフィルタである場合、光ファイバ20Bから出射した光には、フィルタ112を通過する度に、順次、より長い波長の光、すなわちより周波数の低い光が合成される。この場合、波長λ1,λ2,・・・,λnについては、λ1<λ2<・・・<λnが成り立つ。
【0092】
以上、説明したように、本実施形態の波長合成モジュール100Aでは、光ファイバ20A(出力光ファイバ)の剥離端部20aの支持部10aは、第1実施形態の支持部材10Aと同じ構成を有している。
【0093】
このような構成によれば、例えば、上記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0094】
また、本実施形態では、波長λ1(第一波長)の第一光を透過し、波長λ2(第二波長)の第二光を第二面112bで反射するフィルタ112において、第二光の第二面112bに対する入射角θが、0°より大きくかつ20°以下である。
【0095】
このような構成によれば、例えば、波長が異なる複数の光を合成し、かつ当該複数の光に偏波面の向きが異なる光が含まれている場合に、波長が異なる複数の光の波長(周波数)の間隔をより小さくすることができ、より多くの波長(周波数)の光を合成することが可能となる。また、合成する光が、偏波面の向きが異なる光を含むことができるため、偏波面の向きが同じ光のみを含む場合に比べて、各波長における光のパワーを増大することができる。
【0096】
[第2変形例]
図7は、第2実施形態の変形例である第2変形例の波長合成モジュール100Bの平面図である。
【0097】
図7に示されるように、波長合成モジュール100Bは、支持部10aと面した集光レンズ113に対して、支持部10aとは反対側に、支持部10aからの反射光を検出するセンサ114を備えている。センサ114は、例えば、フォトダイオードである。
【0098】
ここでは、波長合成モジュール100Bを加工対象に対するレーザ加工に用いる場合を例にして説明する。
図8は、光ファイバ20Aの先端20a1に入力される入力光(波長合成モジュール100Bの出力光、以下、入力光と称する)と、当該入力光が加工対象の加工面(不図示)を介して光ファイバ20Aを往復して戻ってきた反射光(以下、単に加工面での反射光と称する)と、を示す例示的な説明図である。
図8において、Poは、入力光の光路、Peは、反射光の光路である。
図8に示されるように、入力光は、通常、光ファイバ20Aの開口数(NA)の全域を使用していない。一例として、光ファイバ20Aの開口数が0.22である場合、入力光の開口数は0.18程度である。これは、入力光の角度に対応する開口数がそれ以上大きくなると、結合ロスが増大するからである。これに対し、加工面での反射光は、光ファイバ20Aの開口数に相当する広がり角を有しており、出力光の光路Poよりも光軸Axから離れた外側も通る。
【0099】
したがって、本変形例では、センサ114は、加工面での反射光が、出力光の光路Poよりも外側の光路Peを通り、集光レンズ113を介して到達可能な位置に、設けられている。
【0100】
これにより、光の伝播に支障を来すことなく、反射光を検出することができるという利点が得られる。
【0101】
[第3変形例]
図9は、第2実施形態の変形例である第3変形例の波長合成モジュール100Cの平面図である。
【0102】
図9に示される波長合成モジュール100Cでは、光ファイバ20A,20Bは、全て偏波保持ファイバであり、全ての光ファイバ20Bから、偏波面が同じ向きとなる直線偏光の光が入力される。また、偏波面の向きは、各フィルタ112の第一面112aおよび第二面112bに入力される光がこれら第一面112aおよび第二面112bに対してs波となるよう、設定される。したがって、フィルタ112では、偏波面の向きによるカットオフ特性の低下が生じ無いため、第二光の入射角を45°に設定することができ、これにより、方向D1と方向D2とが直交する形態で、光ファイバ20Bを配置することができる。なお、光ファイバ20A,20Bは、マルチモード光ファイバであってもよいし、シングルモード光ファイバであってもよい。
【0103】
また、集光レンズ113に対して支持部10aとは反対側には、反射光カットフィルタ115が設けられている。反射光カットフィルタ115は、光ファイバ20Aから光が戻るのを防止する。
【0104】
図9を、
図6や
図7と比較すれば明らかとなるように、本変形例の光ファイバ20Bおよび支持部10aの配置によれば、例えば、波長合成モジュール100Cを
図9におけるX方向によりコンパクトに構成することができる。
【0105】
[第4変形例]
図10は、第2実施形態の変形例である第4変形例の波長合成モジュール100Dの平面図である。
【0106】
図10に示される波長合成モジュール100Dは、第3変形例の波長合成モジュール100Cと同様の構成の波長合成部110を備えている。また、波長合成モジュール100Dでも、光ファイバ20Bは、全て偏波保持ファイバであり、全ての光ファイバ20Bから、偏波面が同じ向きとなる直線偏光の光が入力される。また、偏波面の向きは、各フィルタ112の第一面112aおよび第二面112bに入力される光がこれら第一面112aおよび第二面112bに対してs波となるよう、設定される。よって、本変形例によっても、上記第3変形例と同様の作用および効果が得られる。なお、波長合成モジュール100Dは、偏波保持ファイバとしての光ファイバ20Bおよび当該光ファイバ20Bからの光を反射するフィルタ112の組み合わせに替えて、
図5に示されるような偏波保持ファイバではない光ファイバ20Bおよび当該光ファイバ20Bを反射し入射角が20°以下であるフィルタ112の組み合わせ、を含んでもよい。
【0107】
ただし、本変形例では、各光ファイバ20Bに光を出力する発光装置30Aにおいて、複数の波長の光が合成された光が出力される。発光装置30Aの構成については、第3実施形態で述べる。本変形例によれば、例えば、波長が異なる同数の光を合成する構成について比較した場合、発光装置30Aにおいて複数の波長の光を合成することができる分、第3変形例に比べて、波長合成モジュール100Dに接続する光ファイバ20Bの数を減らすことができ、ひいては、波長合成モジュール100Dを、
図10におけるX方向によりコンパクトに構成することができる。
【0108】
[第3実施形態]
図11は、第3実施形態の発光装置30Aの平面図である。
図11に示されるように、発光装置30Aは、ハウジング31と、当該ハウジング31と固定された光ファイバ20Aと、複数の発光素子32と、複数の発光素子32からの光を合成する光合成部33Aと、を有している。光ファイバ20Aは、出力光ファイバであって、その剥離端部20a(
図1~4参照、
図11には示されず)を支持する支持部10aを介して、ハウジング31と固定されている。
【0109】
光ファイバ20Aを支持する支持部10aは、上記第1実施形態の支持部材10Aと同様の構成を備えている。支持部10aの一部(例えばベース11)は、ハウジング31の一部としてハウジング31に構成されてもよいし、上記第1実施形態の支持部材10Aを、ハウジング31に取り付けてもよい。なお、発光装置30Aにおける光ファイバ20A(出力光ファイバ)は、波長合成モジュール100A~100Dにおける光ファイバ20B(入力光ファイバ)である。
【0110】
ハウジング31は、例えば、ケースおよび蓋(不図示)を有し、封止されている。ハウジング31は、例えば、銅系材料やアルミニウム系材料のような、熱伝導性の高い材料で作られる。
【0111】
複数の発光素子32は、それぞれ、異なる波長の光を出力する。発光素子32は、例えば半導体レーザモジュールである。
【0112】
複数の発光素子32から出力された光は、光合成部33Aによって合成される。光合成部33Aは、コリメートレンズ33a,33b、フィルタ112,ミラー33d、コンバイナ33e、集光レンズ33f,33g等の光学部品を有している。コンバイナ33eとは、異なる波長の光を合成するコンバイナである。
【0113】
発光装置30Aでは、複数の発光素子32がX方向に所定間隔(例えば一定間隔)をあけて並ぶ二つのアレイが、Y方向に互いに離間している。複数の発光素子32は、それぞれ、異なる波長(λ1,λ2,・・・,λn)の光を出力する。複数の波長の間隔は、例えば、中心波長間で、5[nm]~20[nm]である。また、ここで合成される光には、青色のレーザ光が含まれてもよい。
【0114】
光合成部33Aにおいて、コリメートレンズ33aは、光をZ方向(速軸方向)にコリメートし、コリメートレンズ33bは、光をX方向(遅軸方向)にコリメートする。フィルタ112は、第2実施形態のフィルタと同様である。コンバイナ33eは、二つのアレイからの光を合成して集光レンズ33fに向けて出力する。集光レンズ33fは、光をZ方向(速軸方向)に集光し、集光レンズ33gは、光をY方向(遅軸方向)に集光する。光合成部33Aは、波長合成部とも称されうる。
【0115】
また、ハウジング31には、複数の発光素子32、支持部10a、集光レンズ33f,33g、コンバイナ33e等を冷却する冷却通路31aが設けられている。冷却通路31aでは、例えば、冷却液のような冷媒が流れる。冷却通路31aは、例えば、ハウジング31の各部品の実装面の近く(直下)を通り、冷却通路31aの内面は、冷却対象の部品や部位、すなわち、発光素子32、支持部10a、集光レンズ33f,33g、およびコンバイナ33eと、熱的に接続されている。また、冷却通路31aは、Z方向の視線において、冷却対象の部品や部位の最高温度位置と重なるように配置されている。
【0116】
また、冷却通路31aは、冷媒により、複数の発光素子32が波長の長い順に冷却されるよう、言い換えると、波長のより長い光を出力する発光素子32の冷却位置が、波長のより短い光を出力する発光素子32の冷却位置よりも上流に位置するよう、設けられている。これにより、複数の発光素子32のうち波長がより長い光を出力する発光素子32が、より温度が低い冷媒によってより先に冷却され、波長がより短い光を出力する発光素子32が、より温度が高い冷媒によってより後で冷却される。冷却通路31aの冷媒の入口31a1の最も近くに位置される発光素子32-1が出力する光の波長λ1が最も長く、冷却通路31aの冷媒の出口31a2の最も近くに位置される発光素子32-nが出力する光の波長λnが最も短い。波長λ1,・・・,λnについては、λ1>λ2>・・・>λnが成り立つ。
【0117】
以上、説明したように、本実施形態の発光装置30A発光装置30Aでは、光ファイバ20A(出力光ファイバ)の剥離端部20aの支持部10aは、第1実施形態の支持部材10Aと同じ構成を有している。
【0118】
よって、本実施形態によれば、例えば、上記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0119】
また、本実施形態によれば、例えば、冷却通路31aを通る冷媒により、複数の発光素子32と支持部10aとの双方を冷却することができる。よって、例えば、複数の発光素子32と、支持部10aとのそれぞれについて冷却通路を設けた構成に比べて、発光装置30Aの構成をより簡素化することができる。
【0120】
さらに、本実施形態によれば、例えば、複数の発光素子32は、出力する光の波長が長いほど冷却通路31aを通る冷媒によって先に冷却される。波長が長いほど、発光素子32の温度が高くなりやすい。よって、このような構成によれば、冷媒によって、複数の発光素子32をより効率良く冷却することができる。また、これにより、波長のばらつきを抑制することができる。
【0121】
[第5変形例]
図12は、第3実施形態の変形例としての第5変形例の発光装置30Bの平面図である。発光装置30Bは、同じ波長λ1(単一の波長λ1)の光を合成して出力する。発光装置30Bは、ハウジング31と、当該ハウジング31と固定された光ファイバ20Aと、複数の発光素子32と、複数の発光素子32からの光を合成する光合成部33Bと、を有している。第3実施形態と同様、光ファイバ20Aは、出力光ファイバであって、その剥離端部20a(
図1~4参照、
図11には示されず)を支持する支持部10aを介して、ハウジング31と固定されている。
【0122】
ハウジング31には、X方向に複数の発光素子32が所定間隔(例えば一定間隔)で並ぶアレイのそれぞれについて、X方向の反対方向に向かうにつれて、発光素子32の位置がZ方向にずれるよう、段差面(不図示)が設けられている。発光素子32は、それぞれ、段差面上に載置されている。
【0123】
複数の発光素子32は、それぞれ、同じ波長λ1の光を出力する。発光素子32は、例えば半導体レーザモジュールである。
【0124】
複数の発光素子32から出力された光は、光合成部33Bによって合成される。光合成部33Bは、コリメートレンズ33a,33bや、ミラー33c,ミラー33d、コンバイナ33e、集光レンズ33f,33g等の光学部品を有している。
【0125】
ミラー33cは、発光素子32と同様、それぞれ、ハウジング31の段差面上に載置されている。ミラー33cは、それぞれ、光学的に結合された発光素子32からの光を、ミラー33dまたはコンバイナ33eに向けて反射する。段差面のZ方向の位置およびミラー33cのサイズは、他のミラー33cからの光と干渉しないように設定されている。
【0126】
コンバイナ33eは、いずれか一方のアレイからの光の偏波面を回転させる1/2波長板33e1を有している。コンバイナ33eは、偏波合成素子とも称されうる。
【0127】
このような本変形例においても、冷却通路31aを通る冷媒により、複数の発光素子32と支持部10aとの双方を冷却することができる。
【0128】
[第6変形例]
図13は、第1実施形態の変形例としての第6変形例の支持部材10Bの
図2と同等位置での断面図である。また、
図14は、ベース11Bの平面図である。本変形例では、ベース11Bとカバー12の線膨張係数の差が大きい場合である。また、ベース11Bとカバー12Bとが、接着剤17によって接合されている。また、このような構成において、接着剤17による接着領域(接着面積)が広く(大きく)なりすぎると、接着剤17とカバー12Bとの熱膨張係数の差により、カバー12Bに生じる応力が高くなり、カバー12Bが割れたり、ベース11Bとカバー12Bを接合している接着剤17が割れたり剥離したりする虞がある。そこで、本変形例では、面11b1(11b)に、Z方向の反対方向に凹み、X方向に延びる凹部11fを設け、接着剤17の量を減らしている。これにより、カバー12Bの割れを抑制することができる。凹部11fは、所謂凹溝である。なお、接着剤17は、処理材15と同様の合成樹脂材料で作られうるが、処理材15と同じ材質である必要はない。また、面11b1のうち、光ファイバ20Aに近い凹部11fと凹溝11cとの間の領域と、光ファイバ20Aから遠い凹部11fと光ファイバ20Aに近い凹部11fとの間の領域とで、塗布される接着剤17の種類や成分が異なってもよい。すなわち、面11b1の場所により、接着剤17の種類や成分が異なってもよい。
【0129】
[第7変形例]
図15は、第1実施形態の変形例としての第7変形例のベース11B1の平面図である。このベース11B1は、第6変形例のベース11Bに替えることができる。
図15に示されるように、本変形例では、第6変形例とは異なる形態の複数の凹部11fが設けられている。凹部11fは、面11b1(11b)からZ方向の反対方向に凹んでおり、所謂キャビティである。凹部11fのZ方向と交差した断面の形状は、四角形状である。なお、凹部11fは、第6変形例の凹部11fと同様、ベース11B1をZ方向には貫通していない。また、凹部11fは、X方向およびY方向にマトリクス状に並んでいるが、他の方向に並んでもよいし、並んでいなくてもよい。本変形例によっても、第6変形例と同様の効果が得られる。
【0130】
[第8変形例]
図16は、第1実施形態の変形例としての第8変形例のベース11B2の平面図である。このベース11B2は、第6変形例のベース11Bに替えることができる。本変形例のベース11B2は、断面形状が円形である点を除き、第7変形例のベース11B1と同じである。本変形例によっても、第6変形例と同様の効果が得られる。
【0131】
[第4実施形態]
図17は、第4実施形態の支持部材10Cの斜視図である。
図17に示されるように、本実施形態では、カバー12CのX方向の端部12cに、X方向の反対方向に凹む切欠として、開口12dが設けられている。開口12dは、カバー12Cを、Z方向に、言い換えると当該カバー12Cの厚さ方向に、貫通している。この開口12dにより、ベース11Cの面11b、当該面11bに設けられた凹溝11c、および当該凹溝11cに収容された剥離端部20aが、部分的にZ方向およびX方向に露出している。
【0132】
そして、
図17に示されるように、開口12dによって露出した部位において、面11bおよび凹溝11cと、剥離端部20aとが、固定部18によって固定されている。固定部18は、例えば、無機系接着剤のような接着剤である。固定部18は流動状態で塗布された後、固化される。また、固定部18は、例えば、紫外線や可視光の照射によって硬化する電磁波硬化性の接着剤や、加熱によって硬化する熱硬化性の接着剤であってもよい。その場合、流動状態の固定部18に電磁波や熱を作用することにより、固定部18を固化することができる。また、固定部18が電磁波硬化性の接着剤である場合には、硬化するための電磁波を開口12dを介して固定部18に照射してもよい。
【0133】
図18は、ベース11Cの斜視図である。
図18に示されるように、ベース11Cの面11bに設けられた凹溝11cは、X方向に延びており、光ファイバ20Aの剥離端部20aを収容する区間11c3と、光ファイバ20Aのうち被覆22で覆われた部位を収容する区間11c4と、を有している。
図18と
図17とを参照すれば明らかとなるように、本実施形態では、開口12dによって、凹溝11cのうち端部11h側に位置する区間11c3が、部分的に露出する。
【0134】
図19は、
図17のXIX-XIX断面図である。
図19に示されるように、固定部18は、区間11c3において剥離端部20aとともにV字状の凹溝11c内に収容され、当該剥離端部20aの周囲を取り囲んでいる。このような形態で、固定部18は、ベース11Cと剥離端部20aとを接合し、かつ固定している。区間11c3は、第二凹溝の一例である。
【0135】
なお、カバー12Cのうち開口12dに対してX方向の端部12cとは反対側の部位と、ベース11Cとは、上記第1実施形態の
図2と同様の構成を備えている。
【0136】
以上のように、本実施形態では、固定部18が、光ファイバ20Aの一部である剥離端部20aと、ベース11C(第一部材)とを固定している。このような構成によれば、光ファイバ20Aとベース11Cひいては支持部材10Cとの相対的な位置ずれをより確実に防止することができる。
【0137】
また、本実施形態では、カバー12C(第二部材)には、固定部18を露出する開口12dが設けられている。このような構成において、開口12dは、固定部18のクリアランスとして機能する。仮に、開口12dが無い構成において、固定部18の塗布量が多過ぎると、ベース11Cの面11bとカバー12Cの面12aとの間に固定部18が進入し、これによりベース11Cとカバー12Cとを密着できなくなる虞がある。よって、開口12dが無い場合には、固定部18の塗布量をより厳しく管理する必要が生じる。この点、本実施形態によれば、開口12dが固定部18のクリアランスとして機能するため、開口12dが無い場合ほど固定部18の塗布量を厳しく管理する必要がなくなり、ひいては、支持部材10Cの組み立てを、より容易にあるいはより迅速に実行することができるようになる。
【0138】
また、
図17に示されるように、本実施形態では、固定部18は、剥離端部20aの先端20a1(第一端部)、ベース11CのX方向の端部11h、およびカバー12CのX方向の端部12cから、X方向の反対方向に離れて位置されている。このような構成によれば、先端20a1に向けてX方向の反対方向に到来して先端20a1には結合しなかったレーザ光が固定部18に到達し難くなるとともに、仮に先端20a1に結合しなかったレーザ光が固定部18に到達した場合にあっても、当該レーザ光のエネルギ密度をより小さくすることができる。したがって、当該構成によれば、先端20a1に結合しなかったレーザ光の照射による固定部18の過熱あるいは損傷を、抑制することができる。端部11hおよび端部12cは、第二端部の一例である。
【0139】
また、本実施形態では、ベース11Cには、凹溝11cの区間11c3(第二凹溝)が、設けられている。当該区間11c3は、剥離端部20aのうち固定部18によってベース11Cに固定される部位を収容する。このような構成によれば、例えば、面11b上に凹溝11cの区間11c3を設けることなく剥離端部20aを載置し当該剥離端部20aの周囲に固定部18を盛るように塗布したような場合に比べて、剥離端部20aの周囲に固定部18をより確実に配置することができる。すなわち、剥離端部20aと固定部18とを収容する凹溝11cの区間11c3を設けることにより、当該固定部18によって、剥離端部20aとベース11Cとをより強固に固定することができる。
【0140】
なお、本実施形態の支持部材10Cは、エンドキャップ13を備えていないが、本実施形態の構成は、エンドキャップ13を備えた構成に対しても適用可能である。
【0141】
[第9変形例]
図20は、第4実施形態の変形例としての第9変形例の支持部材10C1の斜視図である。
図20に示されるように、本変形例では、開口12dは、端部12cからX方向の反対方向に離れた位置でカバー12C1をZ方向に貫通する貫通孔であり、固定部18をZ方向に露出している。この点を除き、本変形例の支持部材10C1は、上記第4実施形態の支持部材10Cと同様の構成を備えている。
【0142】
本変形例では、開口12dが端部12cから離れているため、カバー12C1のうちの端部12cと開口12dとの間の部位が、先端20a1に結合されなかったレーザ光が固定部18に到達するのを遮る障壁となる。よって、このような構成によれば、先端20a1に結合しなかったレーザ光による固定部18の過熱あるいは損傷を、より一層抑制することができる。端部12cは、第三端部の一例である。
【0143】
なお、開口12dは、貫通孔には限定されず、例えば、カバー12C1のY方向またはY方向の反対方向の端部に設けられた切欠であってもよい。
【0144】
[第10変形例]
図21は、第4実施形態の変形例としての第10変形例の支持部材10C2の斜視図である。なお、
図21では、固定具16の図示が省略されている。固定具16としてのボルトは、カバー12C2に設けられた貫通孔12eを貫通し、ベース11Cに設けられた雌ねじ孔11gに結合される。
【0145】
図21に示されるように、本変形例でも、上記第9変形例と同様に、開口12dは、端部12cからX方向の反対方向に離れた位置でカバー12C2をZ方向に貫通する貫通孔であって、固定部18をZ方向に露出している。ただし、本変形例では、開口12dは、カバー12C2のX方向の端部12cよりもX方向の反対方向の端部12fの近くに位置されている。そして、カバー12C2のうち端部12cと開口12dとの間の部位と、ベース11Cとが、上記第1実施形態の
図2と同様の構成を備えている。すなわち、固定部18は、処理材15に対して剥離端部20aの先端20a1とは反対側に位置されており、固定部18と処理材15とのX方向における相対的な位置関係(配置)が、上記第4実施形態および上記第9変形例とは逆である。これらの点を除き、本変形例の支持部材10C2は、上記第4実施形態および第9変形例の支持部材10C,10C1と同様の構成を備えている。
【0146】
本変形例でも、開口12dが端部12cから離れているため、カバー12C2のうち端部12cと開口12dとの間の部位が、先端20a1に結合されなかったレーザ光が固定部18に照射されるのを遮る障壁となる。また、開口12dと端部12cとの間の長さは、第9変形例よりも長い。よって、本変形例によれば、先端20a1に結合しなかったレーザ光による固定部18の過熱あるいは損傷を、より一層抑制することができる。
【0147】
また、本変形例では、固定部18は、区間11c4において光ファイバ20Aのうち被覆22で覆われた部位とともにV字状の凹溝11c内に収容され、当該被覆22で覆われた部位の周囲を取り囲んでいる。このような構成において、固定部18は、ベース11Cと被覆22で覆われた部位とを接合し、かつ固定している。この場合、区間11c4は、第二凹溝の一例である。
【0148】
なお、本変形例でも、開口12dは、貫通孔には限定されず、例えば、カバー12C2のY方向若しくはY方向の反対方向の端部、またはX方向の反対方向の端部12fに設けられた切欠であってもよい。
【0149】
[第5実施形態]
図22は、第5実施形態の支持部材10Dの斜視図である。
図22に示されるように、本実施形態では、カバー12には、開口12dが設けられていない。また、
図23は、ベース11Dの斜視図である。
図23に示されるように、ベース11Dには、凹溝11cの区間11c3において、凹部11c5が設けられている。
【0150】
図24は、
図22のXXIV-XXIV断面図であって、凹部11c5が設けられた位置における支持部材10Dの断面図である。
図24に示されるように、凹部11c5は、例えば、X方向と交差したV字状の断面を有しており、区間11c3よりもZ方向の反対方向に深い凹溝を形成している。そして、固定部18は、剥離端部20aとともに、この凹部11c5に収容されており、凹部11c5において、剥離端部20aを取り囲んでいる。これらの点を除き、本実施形態の支持部材10Dは、上記第4実施形態の支持部材10Cと同様の構成を備えている。
【0151】
本実施形態では、ベース11Dに凹部11c5が設けられたことにより、凹部11c5が無い場合に比べて、固定部18が存在しうる容積が増える。したがって、より多くの固定部18によって、剥離端部20aと凹部11c5とをより強固に固定することができる。また、固定部18の所要の容積に対する凹部11c5の容積の余裕をより大きく確保できる分、凹部11c5が固定部18のクリアランスとして機能し、凹部11c5が無い場合ほど固定部18の塗布量を厳しく管理する必要がなくなり、ひいては、支持部材10Dの組み立てを、より容易にあるいはより迅速に実行することができるようになる。
【0152】
また、
図23から明らかとなるように、凹部11c5が設けられていることにより、当該凹部11c5が設けられていない場合に比べて、作業員やロボットカメラ等が、流動状態の固定部18をベース11Dに塗布する位置を認識しやすくなり、ひいては、固定部18の位置精度を高めやすいという利点が得られる。さらに、凹部11c5のX方向およびX方向の反対方向の側面(端面)により、塗布された流動状態の固定部18がX方向およびX方向の反対方向に流出するのを防止できる、という利点も得られる。すなわち、凹部11c5は、固定部18の位置決め部、あるいは位置ずれ防止部としても機能することができる。
【0153】
[第6実施形態]
図25は、第6実施形態の支持部材10Eの、
図19と同等位置での断面図である。また、
図26は、カバー12Eの面12aが見える視線における斜視図である。
図25,26から明らかとなるように、本実施形態では、カバー12Eに凹部12gが設けられている。凹部12gは、凹溝11cの区間11c3とZ方向に重なる位置に設けられている。そして、固定部18は、区間11c3および凹部12gに、収容されており、当該区間11c3および凹部12gによって形成される空間において、剥離端部20aを取り囲んでいる。この点を除き、本実施形態の支持部材10Eは、上記第5実施形態の支持部材10Dと同様の構成を備えている。
【0154】
凹部12gは、X方向に延びた端部12cと繋がる凹溝として形成されている。また、
図25に示されるように、凹部12gは、例えば、X方向と交差したV字状の断面形状を有している。
【0155】
本実施形態では、カバー12Eに凹部12gが設けられたことにより、凹部12gが無い場合に比べて、固定部18が存在しうる容積が増える。したがって、本実施形態によっても、上記第5実施形態と同様の効果が得られる。
【0156】
[第11変形例]
図27は、第6実施形態の変形例としての第11変形例の支持部材10E1のカバー12E1の斜視図である。
図27に示されるように、本変形例では、凹部12gが、第6実施形態に比べて短く、端部12cには到達していない。この点を除き、本変形例の支持部材10E1は、上記第6実施形態の支持部材10Eと同様の構成を備えている。
【0157】
本実施形態の構成によっても、第6実施形態と同様の効果が得られる。また、凹部12gのX方向およびX方向の反対方向の側面が、塗布された流動状態の固定部18がX方向およびX方向の反対方向に流出するのを、防止するという利点も得られる。すなわち、凹部12gは、固定部18の位置決め部、あるいは位置ずれ防止部としても機能することができる。
【0158】
以上、本発明の実施形態および変形例が例示されたが、上記実施形態および変形例は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【0159】
例えば、波長合成モジュールや発光装置における光ファイバの支持部においては、第1実施形態の支持部材と同様の構造を有することは必須ではなく、一例としては、WO2015/037725A1に開示される構造を採用することができるし、別の一例としては剥離端部とガラスキャピラリとが少なくとも一部の区間において一体化されていてもよい。
【0160】
また、例えば、発光装置がvolume bragg grating(VBG)を有したり、発光装置と波長合成モジュールとの間の光ファイバの途中にfiber bragg grating(FBG)が設けられたりするなどにより、波長ロック機能が与えられてもよい。
【0161】
また、少なくとも1つの発光素子が可視光を出力し、他の発光素子が近赤外波長の光を出力するように発光装置を構成することができる。この場合、可視光を、発光装置から光ファイバを介して外部に出力される光の照射位置を決めるためのガイド光として利用することができる。
【0162】
また、凹部、凹溝の断面形状などのスペックは、上記実施形態および変形例には限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0163】
本発明は、支持部材、波長合成モジュール、および発光装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0164】
10A,10A1,10B,10C,10C1,10C2,10D,10E,10E1…支持部材
10a…支持部
10b,10b1,10b2…支持部
11,11B,11B1,11B2,11C,11D…ベース(第一部材)
11a…面
11b…面
11b1,11b2,11b3…面
11c…凹溝(第一凹溝)
11c1,11c2…面
11c3…区間(第二凹溝)
11c4…区間(第二凹溝)
11c5…凹部
11d…反射部
11d1,11d2…反射面
11d3…先端
11e…端面
11f…凹部
11g…雌ねじ孔
11h…端部(第二端部)
12,12B,12C,12C1,12C2,12E,12E1…カバー(第二部材)
12a…面
12b…面
12c…端部(第二端部、第三端部)
12d…開口
12e…貫通孔
12f…端部
12g…凹部
13…エンドキャップ
13a…円柱部
13a1…端面
13b…突出部
14…ホルダ
14a…端面
15…処理材
16…固定具
17…接着剤
18…固定部
20,20A,20B,20B1,20B2,20B3…光ファイバ
20a…剥離端部
20a1…先端(第一端部)
20a2…区間
21…芯線
21a…コア
21b…クラッド
22…被覆
30A…発光装置
30B…発光装置
31…ハウジング
31a…冷却通路
31a1…入口
31a2…出口
32,32-1,32-n…発光素子
33A,33B…光合成部
33a…コリメートレンズ
33b…コリメートレンズ
33c…ミラー
33d…ミラー
33e…コンバイナ
33e1…1/2波長板
33f…集光レンズ
33g…集光レンズ
100A~100D…波長合成モジュール
101…ハウジング
110…波長合成部(光合成部)
111…コリメートレンズ
112,112-1,112-2…フィルタ
112a…第一面
112b…第二面
113…集光レンズ
114…センサ
115…反射光カットフィルタ
Ax…光軸
f1,f2…周波数
D1…方向(第一入力方向)
D2…方向(第二入力方向)
Po,Pe…光路
S…空間(収容部)
X…方向(第一方向)
Y…方向
Z…方向
θ…入射角
λ1~λn,λmin,λmax…波長