(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】消音器
(51)【国際特許分類】
F01N 1/24 20060101AFI20250311BHJP
G10K 11/16 20060101ALI20250311BHJP
F24F 13/24 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
F01N1/24 F
G10K11/16 100
F01N1/24 D
F24F13/24
(21)【出願番号】P 2021002276
(22)【出願日】2021-01-08
【審査請求日】2023-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】松田 道昭
(72)【発明者】
【氏名】大垣 冬季
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-047406(JP,U)
【文献】実開昭54-156808(JP,U)
【文献】実開昭52-052901(JP,U)
【文献】特開昭58-011249(JP,A)
【文献】特開2011-206760(JP,A)
【文献】実開昭55-127823(JP,U)
【文献】実開昭52-046139(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2002/0182061(US,A1)
【文献】中国実用新案第208458187(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 1/04、1/10、1/24
G10K 11/16
F24F 13/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
中空で略直方体形状の消音部を形成するように前記ケーシング内において間隔をあけて設けられた1対の板材が複数並んでおり、当該1対の板材が互いに対向する面の少なくとも一方に吸音材が設けられている第1の消音ユニットと、
中空で略直方体形状の消音部を形成するように前記ケーシング内において間隔をあけて設けられた1対の板材が複数並んでおり、当該1対の板材が互いに対向する面の少なくとも一方に吸音材が設けられている第2の消音ユニットと、
前記第1の消音ユニットと前記第2の消音ユニットの間に設けられ且つ気流を誘導する複数の仕切部材であって、通気性を有する仕切部材と、
を備え、
前記第1の消音ユニットと前記第2の消音ユニットは、前記ケーシングの長軸方向に間隔を設けて配置されており、
前記第1の消音ユニットに含まれる消音部それぞれの長軸は、当該長軸を含む断面において前記第2の消音ユニットに含まれるいずれの消音部の長軸に対しても当該長軸に垂直な方向にずれており、
前記ケーシングの長手方向に沿った断面において当該長手方向に垂直な方向において、前記第1の消音ユニットに含まれる消音部の内部空間の範囲それぞれは、前記第2の消音ユニットに含まれるいずれの消音部の内部空間の範囲にも収まらない
消音器。
【請求項2】
前記仕切部材は、多孔板、または多孔質材料で形成された板である
請求項
1に記載の消音器。
【請求項3】
ケーシングと、
中空で略直方体形状の消音部を形成するように前記ケーシング内において間隔をあけて設けられた1対の板材が複数並んでおり、当該1対の板材が互いに対向する面の少なくとも一方に吸音材が設けられている第1の消音ユニットと、
中空で略直方体形状の消音部を形成するように前記ケーシング内において間隔をあけて設けられた1対の板材が複数並んでおり、当該1対の板材が互いに対向する面の少なくとも一方に吸音材が設けられている第2の消音ユニットと、
前記第1の消音ユニットと前記第2の消音ユニットの間に設けられ且つ気流を誘導する複数の仕切部材であって、通気性が無いが音響透過性がある材料で形成されている
通気性がない仕切部材と、
を備え、
前記第1の消音ユニットと前記第2の消音ユニットは、前記ケーシングの長軸方向に間隔を設けて配置されており、
前記第1の消音ユニットに含まれる消音部それぞれの長軸は、当該長軸を含む断面において前記第2の消音ユニットに含まれるいずれの消音部の長軸に対しても当該長軸に垂直な方向にずれており、
前記ケーシングの長手方向に沿った断面において当該長手方向に垂直な方向において、前記第1の消音ユニットに含まれる消音部の内部空間の範囲それぞれは、前記第2の消音ユニットに含まれるいずれの消音部の内部空間の範囲にも収まらない
消音器。
【請求項4】
前記仕切部材が形成される前記音響透過性がある材料は、250Hz以下の周波数帯域の音波を透過する材料である
請求項
3に記載の消音器。
【請求項5】
ケーシングと、
中空で略直方体形状の消音部を形成するように前記ケーシング内において間隔をあけて設けられた1対の板材が複数並んでおり、当該1対の板材が互いに対向する面の少なくとも一方に吸音材が設けられている第1の消音ユニットと、
中空で略直方体形状の消音部を形成するように前記ケーシング内において間隔をあけて設けられた1対の板材が複数並んでおり、当該1対の板材が互いに対向する面の少なくとも一方に吸音材が設けられている第2の消音ユニットと、
前記第1の消音ユニットと前記第2の消音ユニットの間に設けられ且つ気流を誘導する複数の仕切部材であって、前記第1の消音ユニットの消音部の出口から、前記第2の消音ユニットに向かって前記ケーシングの長手方向に延長するように設けられている
仕切部材と、
を備え、
前記第1の消音ユニットと前記第2の消音ユニットは、前記ケーシングの長軸方向に間隔を設けて配置されており、
前記第1の消音ユニットに含まれる消音部それぞれの長軸は、当該長軸を含む断面において前記第2の消音ユニットに含まれるいずれの消音部の長軸に対しても当該長軸に垂直な方向にずれており、
前記ケーシングの長手方向に沿った断面において当該長手方向に垂直な方向において、前記第1の消音ユニットに含まれる消音部の内部空間の範囲それぞれは、前記第2の消音ユニットに含まれるいずれの消音部の内部空間の範囲にも収まらない
消音器。
【請求項6】
前記仕切部材は、前記第1の消音ユニットの前記板材から、前記第2の消音ユニットに向かって前記ケーシングの長手方向に延長するように設けられている
請求項
1から
4のいずれか一項に記載の消音器。
【請求項7】
ケーシングと、
中空で略直方体形状の消音部を形成するように前記ケーシング内において間隔をあけて設けられた1対の板材が複数並んでおり、当該1対の板材が互いに対向する面の少なくとも一方に吸音材が設けられている第1の消音ユニットと、
中空で略直方体形状の消音部を形成するように前記ケーシング内において間隔をあけて設けられた1対の板材が複数並んでおり、当該1対の板材が互いに対向する面の少なくとも一方に吸音材が設けられている第2の消音ユニットと、
前記第1の消音ユニットと前記第2の消音ユニットの間に設けられ且つ気流を誘導する複数の仕切部材であって、第1の消音ユニットの前記板材を、前記第2の消音ユニットの板材の一つに向かって延長するように設けられている
仕切部材と、
を備え、
前記第1の消音ユニットと前記第2の消音ユニットは、前記ケーシングの長軸方向に間隔を設けて配置されており、
前記第1の消音ユニットに含まれる消音部それぞれの長軸は、当該長軸を含む断面において前記第2の消音ユニットに含まれるいずれの消音部の長軸に対しても当該長軸に垂直な方向にずれており、
前記ケーシングの長手方向に沿った断面において当該長手方向に垂直な方向において、前記第1の消音ユニットに含まれる消音部の内部空間の範囲それぞれは、前記第2の消音ユニットに含まれるいずれの消音部の内部空間の範囲にも収まらない
消音器。
【請求項8】
ケーシングと、
中空で略直方体形状の消音部を形成するように前記ケーシング内において間隔をあけて設けられた1対の板材が複数並んでおり、当該1対の板材が互いに対向する面の少なくとも一方に吸音材が設けられている第1の消音ユニットと、
中空で略直方体形状の消音部を形成するように前記ケーシング内において間隔をあけて設けられた1対の板材が複数並んでおり、当該1対の板材が互いに対向する面の少なくとも一方に吸音材が設けられている第2の消音ユニットと、
を備え、
前記第1の消音ユニットと前記第2の消音ユニットは、前記ケーシングの長軸方向に間隔を設けて配置されており、
前記第1の消音ユニットに含まれる消音部それぞれの長軸は、当該長軸を含む断面において前記第2の消音ユニットに含まれるいずれの消音部の長軸に対しても当該長軸に垂直な方向にずれており、
前記第1の消音ユニットは、当該第1の消音ユニットの前記板材と前記ケーシングの間に、前記第2の消音ユニットとは反対側からの空気の流入を遮蔽する遮蔽材を有
し、
前記ケーシングの長手方向に沿った断面において当該長手方向に垂直な方向において、前記第1の消音ユニットに含まれる消音部の内部空間の範囲それぞれは、前記第2の消音ユニットに含まれるいずれの消音部の内部空間の範囲にも収まらない
消音器。
【請求項9】
前記遮蔽材は、減音または吸音するように前記第2の消音ユニットに向かって開口を有する
請求項
8に記載の消音器。
【請求項10】
ケーシングと、
中空で略直方体形状の消音部を形成するように前記ケーシング内において間隔をあけて設けられた1対の板材が複数並んでおり、当該1対の板材が互いに対向する面の少なくとも一方に吸音材が設けられている第1の消音ユニットと、
中空で略直方体形状の消音部を形成するように前記ケーシング内において間隔をあけて設けられた1対の板材が複数並んでおり、当該1対の板材が互いに対向する面の少なくとも一方に吸音材が設けられている第2の消音ユニットと、
を備え、
前記第1の消音ユニットと前記第2の消音ユニットは、前記ケーシングの長軸方向に間隔を設けて配置されており、
前記第1の消音ユニットに含まれる消音部それぞれの長軸は、当該長軸を含む断面において前記第2の消音ユニットに含まれるいずれの消音部の長軸に対しても当該長軸に垂直な方向にずれており、
前記第2の消音ユニットは、当該第2の消音ユニットの前記板材と前記ケーシングの間に、前記第1の消音ユニットの側からの空気の流入を遮蔽する遮蔽材を有
し、
前記ケーシングの長手方向に沿った断面において当該長手方向に垂直な方向において、前記第1の消音ユニットに含まれる消音部の内部空間の範囲それぞれは、前記第2の消音ユニットに含まれるいずれの消音部の内部空間の範囲にも収まらない
消音器。
【請求項11】
前記遮蔽材は、減音または吸音するように前記第1の消音ユニットに向かってまたは前記第2の消音ユニットの気流出口側に開口を有する
請求項
10に記載の消音器。
【請求項12】
前記複数の仕切部材のうち端の仕切部材は、前記第1の消音ユニットの端の前記板材を、前記第2の消音ユニットの端の板材に向かって延長するように設けられており、当該仕切部材は開口を有する
請求項
7に記載の消音器。
【請求項13】
ケーシングと、
中空で略直方体形状の消音部を形成するように前記ケーシング内において間隔をあけて設けられた1対の板材が複数並んでおり、当該1対の板材が互いに対向する面の少なくとも一方に吸音材が設けられている第1の消音ユニットと、
中空で略直方体形状の消音部を形成するように前記ケーシング内において間隔をあけて設けられた1対の板材が複数並んでおり、当該1対の板材が互いに対向する面の少なくとも一方に吸音材が設けられている第2の消音ユニットと、
前記第1の消音ユニットと前記第2の消音ユニットの間に設けられ且つ気流を誘導する複数の仕切部材であって、前記第1の消音ユニットの消音部の出口から、前記第2の消音ユニットの消音部の入口に向かって設けられている
仕切部材と、
を備え、
前記第1の消音ユニットと前記第2の消音ユニットは、前記ケーシングの長軸方向に間隔を設けて配置されており、
前記第1の消音ユニットに含まれる消音部それぞれの長軸は、当該長軸を含む断面において前記第2の消音ユニットに含まれるいずれの消音部の長軸に対しても当該長軸に垂直な方向にずれており、
前記ケーシングの長手方向に沿った断面において当該長手方向に垂直な方向において、前記第1の消音ユニットに含まれる消音部の内部空間の範囲それぞれは、前記第2の消音ユニットに含まれるいずれの消音部の内部空間の範囲にも収まらない
消音器。
【請求項14】
ケーシングと、
中空で略直方体形状の消音部を形成するように前記ケーシング内において間隔をあけて設けられた1対の板材が複数並んでおり、当該1対の板材が互いに対向する面の少なくとも一方に吸音材が設けられている第1の消音ユニットと、
中空で略直方体形状の消音部を形成するように前記ケーシング内において間隔をあけて設けられた1対の板材が複数並んでおり、当該1対の板材が互いに対向する面の少なくとも一方に吸音材が設けられている第2の消音ユニットと、
前記第1の消音ユニットと前記第2の消音ユニットの間に設けられ且つ気流を誘導する複数の仕切部材であって、前記第1の消音ユニットの消音部の出口を起点として、前記第1の消音ユニットから前記
第2の消音ユニットに近づくほど互いに離れるように設けられている
仕切部材と、
を備え、
前記第1の消音ユニットと前記第2の消音ユニットは、前記ケーシングの長軸方向に間隔を設けて配置されており、
前記第1の消音ユニットに含まれる消音部それぞれの長軸は、当該長軸を含む断面において前記第2の消音ユニットに含まれるいずれの消音部の長軸に対しても当該長軸に垂直な方向にずれており、
前記ケーシングの長手方向に沿った断面において当該長手方向に垂直な方向において、前記第1の消音ユニットに含まれる消音部の内部空間の範囲それぞれは、前記第2の消音ユニットに含まれるいずれの消音部の内部空間の範囲にも収まらない
消音器。
【請求項15】
前記第1の消音ユニットと前記第2の消音ユニットの間の間隔は、0.5~2mである
請求項1から
14のいずれか一項に記載の消音器。
【請求項16】
前記消音部の前記長軸は、前記消音部の内部空間を長手方向に対する垂直な断面で切った場合の長方形の対角線の交点である
請求項1から
15のいずれか一項に記載の消音器。
【請求項17】
前記消音部の長軸に平行な断面において、前記長軸に垂直な方向における前記第1の消音ユニットの前記消音部の内部空間の前記長軸に垂直な方向における幅が、前記第2の消音ユニットの前記消音部の内部空間の前記長軸に垂直な方向における幅と略同一である
請求項1から
16のいずれか一項に記載の消音器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消音器に関する。
【背景技術】
【0002】
道路トンネルなどの大型換気設備では、多数の換気サイレンサを風路断面に並列に積み重ねて使用することがある(例えば、特許文献1参照)。また、大きな減音性能が要求される場合には、空気の流れ方向に2列以上のサイレンサを設置し、減音性能を確保する場合がある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6―146845号公報
【文献】特開2001-164922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空気の流れ方向に2列以上のサイレンサを設置する場合に、減音効果を向上させることが望まれる。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、減音効果を向上させることを可能とする消音器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る消音器は、ケーシングと、中空で略直方体形状の消音部を形成するように前記ケーシング内において間隔をあけて設けられた1対の板材が複数並んでおり、当該1対の板材が互いに対向する面の少なくとも一方に吸音材が設けられている第1の消音ユニットと、中空で略直方体形状の消音部を形成するように前記ケーシング内において間隔をあけて設けられた1対の板材が複数並んでおり、当該1対の板材が互いに対向する面の少なくとも一方に吸音材が設けられている第2の消音ユニットと、を備え、前記第1の消音ユニットと前記第2の消音ユニットは、前記ケーシングの長軸方向に間隔を設けて配置されており、前記第1の消音ユニットに含まれる消音部それぞれの長軸は、当該長軸を含む断面において前記第2の消音ユニットに含まれるいずれの消音部の長軸に対しても当該長軸に垂直な方向にずれており、前記ケーシングの長手方向に沿った断面において当該長手方向に垂直な方向において、前記第1の消音ユニットに含まれる消音部の内部空間の範囲それぞれは、前記第2の消音ユニットに含まれるいずれの消音部の内部空間の範囲にも収まらない。
【0007】
この構成によれば、ケーシングの気流出口から気流入口をまっすぐに見通せないので、第1の消音ユニットと第2の消音ユニットの間で、音は屈折して音波が減衰する。これにより、減音効果を向上させることができ、特に波長の短い高周波での減音効果を向上させることができる。
【0008】
本発明の第2の態様に係る消音器は、第1の態様に係る消音器であって、前記第1の消音ユニットと前記第2の消音ユニットの間に設けられ且つ気流を誘導する複数の仕切部材を更に備える。
【0009】
この構成によれば、複数の仕切部材によって気流を誘導することができ、圧力損失を抑制することができる。
【0010】
本発明の第3の態様に係る消音器は、第2の態様に係る消音器であって、前記仕切部材は、通気性を有する。
【0011】
この構成によれば、複数の仕切部材を通って音が拡散するので、減音性能を向上させることができる。
【0012】
本発明の第4の態様に係る消音器は、第3の態様に係る消音器であって、前記仕切部材は、多孔板、または多孔質材料で形成された板である。
【0013】
この構成によれば、仕切部材それぞれの孔を通って音が拡散するので、減音性能を向上させることができる。
【0014】
本発明の第5の態様に係る消音器は、第2の態様に係る消音器であって、仕切部材は、通気性が無い。
【0015】
この構成によれば、仕切部材を気流が通過しないので、気流通過時の気流音を抑えることができる。
【0016】
本発明の第6の態様に係る消音器は、第5の態様に係る消音器であって、前記仕切部材は、通気性が無いが音響透過性がある材料で形成されている。
【0017】
この構成によれば、低い周波数帯域は透過するため、第1の消音ユニットと第2の消音ユニットの間で音が拡散し、減音効果を向上させることができる。
【0018】
本発明の第7の態様に係る消音器は、第6の態様に係る消音器であって、前記仕切部材が形成される前記音響透過性がある材料は、250Hz以下の周波数帯域の音波を透過する材料である。
【0019】
この構成によれば、250Hz以下の周波数帯域において、第1の消音ユニットと第2の消音ユニットの間で音が拡散し、減音効果を向上させることができる。
【0020】
本発明の第8の態様に係る消音器は、第2から7のいずれかの態様に係る消音器であって、前記仕切部材は、前記第1の消音ユニットの消音部の出口から、前記第2の消音ユニットに向かって前記ケーシングの長手方向に延長するように設けられている。
【0021】
この構成によれば、仕切部材が設けられることによって、第1の消音ユニットの出口で、気流が分かれ、第2の消音ユニットの別々の消音部に誘導される。
【0022】
本発明の第9の態様に係る消音器は、第2から7のいずれかの態様に係る消音器であって、前記仕切部材は、前記第1の消音ユニットの前記板材から、前記第2の消音ユニットに向かって前記ケーシングの長手方向に延長するように設けられている。
【0023】
この構成によれば、第1の消音ユニットの対象の消音部から排出される気流が隣接する消音部から排出される気流と干渉するのを仕切部材によって抑えることができ、圧力損失が抑えられる。
【0024】
本発明の第10の態様に係る消音器は、第2から7のいずれかの態様に係る消音器であって、前記仕切部材は、第1の消音ユニットの前記板材を、前記第2の消音ユニットの板材の一つに向かって延長するように設けられている。
【0025】
この構成によれば、気流が仕切部材によって第2の消音ユニットに誘導されるので、圧力損失を低減することができる。
【0026】
本発明の第11の態様に係る消音器は、第1から10のいずれかの態様に係る消音器であって、前記第1の消音ユニットは、当該第1の消音ユニットの前記板材と前記ケーシングの間に、前記第2の消音ユニットとは反対側からの空気の流入を遮蔽する遮蔽材を有する。
【0027】
この構成によれば、減音量を均一化させることができる。
【0028】
本発明の第12の態様に係る消音器は、第11の態様に係る消音器であって、前記遮蔽材は、減音または吸音するように前記第2の消音ユニットに向かって開口を有する。
【0029】
この構成によれば、気流の影響を抑制し圧力損失を低減しつつ、減音することができる。
【0030】
本発明の第13の態様に係る消音器は、第1から12のいずれかの態様に係る消音器であって、前記第2の消音ユニットは、当該第2の消音ユニットの前記板材と前記ケーシングの間に、前記第1の消音ユニットの側からの空気の流入を遮蔽する遮蔽材を有する。
【0031】
この構成によれば、気流の影響を抑制し圧力損失を低減しつつ、減音量を均一化させることができる。
【0032】
本発明の第14の態様に係る消音器は、第1から9のいずれかの態様に係る消音器であって、前記遮蔽材は、減音または吸音するように前記第1の消音ユニットに向かってまたは前記第2の消音ユニットの気流出口側に開口を有する。
【0033】
この構成によれば、気流の影響を抑制しつつ減音することができる。
【0034】
本発明の第15の態様に係る消音器は、第10の態様に係る消音器であって、前記複数の仕切部材のうち端の仕切部材は、前記第1の消音ユニットの端の前記板材を、前記第2の消音ユニットの端の板材に向かって延長するように設けられており、当該仕切部材は開口を有する。
【0035】
この構成によれば、減音性能を向上させることができる。
【0036】
本発明の第16の態様に係る消音器は、第2から7のいずれかの態様に係る消音器であって、前記仕切部材は、前記第1の消音ユニットの消音部の出口から、前記第2の消音ユニットの消音部の入口に向かって設けられている。
【0037】
この構成によれば、1次サイレンサの気流出口で仕切板に誘導されて気流は分流されて、第2の消音ユニットの別々の消音部に誘導される。
【0038】
本発明の第17の態様に係る消音器は、第2から7のいずれかの態様に係る消音器であって、前記仕切部材は、前記第1の消音ユニットの消音部の出口を起点として、前記第1の消音ユニットから第前記2の消音ユニットに近づくほど互いに離れるように設けられている。
【0039】
この構成によれば、仕切部材に気流が誘導されて気流が分かれる。更に2次サイレンサの入り口での渦発生を防止できて、圧力損失を抑えることができる。
【0040】
本発明の第18の態様に係る消音器は、第1から9のいずれかの態様に係る消音器であって、前記第1の消音ユニットと前記第2の消音ユニットの間の間隔は、0.5~2mである。
【0041】
この構成によれば、オクターブバンド中心周波数で63、125Hzの帯域(周波数範囲では約45~180Hz)で換気サイレンサの減音量を補うことができる。
【0042】
本発明の第19の態様に係る消音器は、第1から18のいずれかの態様に係る消音器であって、前記消音部の前記長軸は、前記消音部の内部空間を長手方向に対する垂直な断面で切った場合の長方形の対角線の交点である。
【0043】
本発明の第20の態様に係る消音器は、第1から19のいずれかの態様に係る消音器であって、前記消音部の長軸に平行な断面において、前記長軸に垂直な方向における前記第1の消音ユニットの前記消音部の内部空間の前記長軸に垂直な方向における幅が、前記第2の消音ユニットの前記消音部の内部空間の前記長軸に垂直な方向における幅と略同一である。
【発明の効果】
【0044】
本発明の一態様によれば、ケーシングの気流出口から気流入口をまっすぐに見通せないので、第1の消音ユニットと第2の消音ユニットの間で、音は屈折して音波が減衰する。これにより、減音効果を向上させることができ、特に波長の短い高周波での減音効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】第1の実施形態に係る消音器の概略斜視図である。
【
図5】第1の実施形態の変形例に係る第1の消音ユニットの垂直断面図である。
【
図6】第1の実施形態の変形例に係る第2の消音ユニットの垂直断面図である。
【
図7A】第2の実施形態に係る消音器の水平断面図である。
【
図8】第3の実施形態に係る消音器の水平断面図である。
【
図9】第4の実施形態に係る消音器の水平断面図である。
【
図10】第5の実施形態に係る消音器の水平断面図である。
【
図11】第6の実施形態に係る消音器の水平断面図である。
【
図12】第7の実施形態に係る消音器の水平断面図である。
【
図13A】第1の変形例の遮蔽材の水平断面図である。
【
図13B】第2の変形例の遮蔽材の水平断面図である。
【
図13C】第3の変形例の遮蔽材の水平断面図である。
【
図14】第8の実施形態に係る消音器の水平断面図である。
【
図15】第9の実施形態に係る消音器の水平断面図である。
【
図16】第10の実施形態に係る消音器の水平断面図である。
【
図17】第11の実施形態に係る消音器の水平断面図である。
【
図18】第12の実施形態に係る消音器の水平断面図である。
【
図19】第13の実施形態に係る消音器の水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0047】
<第1の実施形態>
まず第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る消音器の概略斜視図である。
図2は、
図2は、
図1のA-A断面の断面図である。
図3は、
図2のB-B断面の断面図である。
図4は、
図2のC-C断面の断面図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係る消音器1は、中空の直方体形状のケーシング10と、当該ケーシング10内に設けられた第1の消音ユニット11と、当該ケーシング10内に設けられた第2の消音ユニット12を備える。
【0048】
各実施形態において、
図2に示すように気流が第1の消音ユニット11側から流入するものとし、第1の消音ユニット11が気流の上流側である1次サイレンサ群であり、第2の消音ユニット12が気流の下流側である2次サイレンサ群として説明する。また各実施形態において、気流は1次サイレンサ群の入口、1次サイレンサ群の出口、2次サイレンサ群の入口、2次サイレンサ群の出口の順に通るものとして説明する。
【0049】
図1及び
図2に示すように、第1の消音ユニット11と第2の消音ユニット12は、ケーシング10の長軸方向に間隔を設けて配置されている。これにより、第1の消音ユニット11と第2の消音ユニット12と間に間隔を取らない場合に比べて、第1の消音ユニット11の気流出口で音が広く拡散するので減音効果を向上させることができる。
【0050】
図2及び
図3に示すように、第1の消音ユニット11は、ケーシング内10に設けられた消音部SL1~SL4を備える。消音部SL1は、天板U1及び底板B1を有し、一端部が天板U1に連結され他端部が底板B1に連結された1対の板材P1a及びP1bを有する。同様に消音部SL2は、天板U2及び底板B2を有し、一端部が天板U2に連結され他端部が底板B2に連結された1対の板材P2a及びP2bを有する。同様に消音部SL3は、天板U3及び底板B3を有し、一端部が天板U3に連結され他端部が底板B3に連結された1対の板材P3a及びP3bを有する。同様に消音部SL4は、天板U4及び底板B4を有し、一端部が天板U4に連結され他端部が底板B4に連結された板材P4を有する。消音部SL4は一例として、消音部SL1~SL3のいずれかを半分に略垂直に割ったような構造を有する。
【0051】
このように、中空で略直方体形状の消音部が形成されるように前記ケーシング10内において間隔をあけて設けられた1対の板材P1a及びP1b、P2a及びP2b、P3a及びP3bが並んでいる。一例として
図3に示すように、1対の板材P1a、P1b、P2a、P2b、P3a、P3bは互いに略平行に設けられている。また板材P4が一例として板材P1aの隣に間隔なく設けられている。
【0052】
また当該1対の板材P1a及びP1bが互いに対向する面の少なくとも一方に吸音材S1a、S1bが設けられている、同様に当該1対の板材P2a及びP2bが互いに対向する面の少なくとも一方に吸音材S2a、S2bが設けられている。更に同様に当該1対の板材P3a及びP3bが互いに対向する面の少なくとも一方に吸音材S3a、S3bが設けられている。また板材P4のケーシング10の内側面に対応する面に吸音材S4が設けられている。
【0053】
また
図2及び
図4に示すように、第2の消音ユニット12は、ケーシング内10に設けられた消音部SL5~SL8を備える。消音部SL5は、天板U5及び底板B5を有し、一端部が天板U5に連結され他端部が底板B5に連結された1対の板材P1a及びP1bを有する。同様に消音部SL6は、天板U6及び底板B6を有し、一端部が天板U6に連結され他端部が底板B6に連結された1対の板材P6a及びP6bを有する。同様に消音部SL3は、天板U7及び底板B7を有し、一端部が天板U7に連結され他端部が底板B7に連結された1対の板材P7a及びP7bを有する。同様に消音部SL8は、天板U8及び底板B8を有し、一端部が天板U8に連結され他端部が底板B8に連結された板材P8を有する。消音部SL8は一例として、消音部SL5~SL7のいずれかを半分に略垂直に割ったような構造を有する。
【0054】
このように、第2の消音ユニット12において、中空で略直方体形状の消音部が並ぶように前記ケーシング10内において間隔をあけて設けられた1対の板材P5a及びP5b、P6a及びP6b、P7a及びP7bが並んでいる。一例として
図4に示すように、1対の板材P5a、P5b、P6a、P6b、P7a、P7bは互いに略平行に設けられている。また板材P8が一例として板材P7bの隣に間隔なく設けられている。
【0055】
また当該1対の板材P5a及びP5bが互いに対向する面の少なくとも一方に吸音材S5a、S5bが設けられている、同様に当該1対の板材P6a及びP6bが互いに対向する面の少なくとも一方に吸音材S6a、S6bが設けられている。更に同様に当該1対の板材P7a及びP7bが互いに対向する面の少なくとも一方に吸音材S7a、S7bが設けられている。また板材P8の板材P7bとは反対の面に吸音材S8が設けられている。
【0056】
図2には、第1の消音ユニット11に含まれる消音部それぞれの長軸AX1、AX2、AX3が示されている。また、第2の消音ユニット12に含まれる消音部それぞれの長軸AX4、AX5、AX6が示されている。ここで消音部の長軸(通風路の軸ともいう)は、消音部の内部空間を長手方向に対する垂直な断面で切った場合の長方形の対角線の交点である。
図2に示すように、ケーシングの長手方向に平行な水平断面において当該長手方向に垂直な方向(
図2のx軸に平行な方向)において、第1の消音ユニット11に含まれる消音部それぞれの長軸AX1、AX2、AX3は、第2の消音ユニット12に含まれるいずれの消音部の長軸AX4、AX5、AX6に対してもずれている。
【0057】
更に
図2に示すように、ケーシングの長手方向に沿った断面(ここでは一例として水平断面)において当該長手方向に垂直な方向(
図2のx軸に平行な方向)において、第1の消音ユニット11に含まれる消音部の内部空間の範囲それぞれ(x1a~x1b、x2a~x2b、x3a~x3b、x4a~x4b)は、第2の消音ユニット12に含まれるいずれの消音部の内部空間の範囲(x5a~x5b、x6a~x6b、x7a~x7b、x8a~x8b)にも収まらない。
【0058】
この構成により、ケーシング10の気流出口から気流入口をまっすぐに見通せないので、第1の消音ユニット11と第2の消音ユニット12の間で、
図2の矢印A3~A9に示すように音は屈折して音波が減衰する。これにより、減音効果を向上させることができ、特に波長の短い高周波での減音効果を向上させることができる。
【0059】
すなわち、第2の消音ユニット12の消音部側のケーシング10の開放面の側(すなわち風路の出口側)から、第2の消音ユニット12の当該消音部の長軸AX4、AX5、AX6に沿って当該消音部の内部空間をみた場合(
図2の矢印A1方向に沿ってみた場合)に、当該第2の消音ユニット12のいずれの消音部からも、第1の消音ユニット11の消音部の内部空間全体を見通すことができない。これにより、第1の消音ユニット11と第2の消音ユニット12の間で、
図2の矢印A3~A9に示すように音は屈折して音波が減衰する。これにより、減音効果を向上させることができ、特に波長の短い高周波での減音効果を向上させることができる。
【0060】
各実施形態において、第1の消音ユニット11の消音部の風路の幅と、第2の消音ユニット12の消音部の風路の幅が略同一である。すなわち、消音部の長軸に平行な断面(ここでは一例として水平断面)において、当該消音部の長軸に垂直な方向における第1の消音ユニット11の前記消音部の内部空間の前記長軸に垂直な方向における幅が、第2の消音ユニット12の消音部の内部空間の前記長軸に垂直な方向における幅と略同一である。
【0061】
<第1の消音ユニット11と第2の消音ユニット12との間の距離>
第1の消音ユニット11と第2の消音ユニット12との間(すなわちサイレンサ間)の流路拡大部分を膨脹型消音器の膨張室とみなすと、この区間の長さを減音したい音の波長λの1/4にしたとき減音効果が最大になる。この効果を狙って付帯的効果として、第1の消音ユニット11と第2の消音ユニット12との間の距離Lは、低減したい音が限定される場合には波長λの1/4程度にすることが望ましい。例えば、送風機の卓越周波数成分が125Hz付近の帯域にあることが多いが、吸音型の換気用サイレンサの減音量はあまり大きくない。そのためこの帯域を狙って、気温15℃では音速がv=340m/s、f=125Hzを低減したい場合、λ/4=(v/f)/4=340/125/4=0.68mとすることが考えられる。このことから一般的にオクターブバンド中心周波数で63、125Hzの帯域(周波数範囲では約45~180Hz)で換気サイレンサの減音量を補うため、上記のように算出すると、第1の消音ユニット11と第2の消音ユニット12との間の距離Lは、0.5~2m程度であることが望ましい。なお、以降の各実施形態においても、第1の消音ユニット11と第2の消音ユニット12との間の距離Lが0.5~2m程度であってもよい。
【0062】
以上、第1の実施形態に係る消音器1は、ケーシングと、中空で略直方体形状の消音部が形成されるように前記ケーシング内において間隔をあけて設けられた1対の板材が複数並んでおり、当該1対の仕切板が互いに対向する面の少なくとも一方に吸音材が設けられている第1の消音ユニットと、中空で略直方体形状の消音部が並ぶように前記ケーシング内において間隔をあけて設けられた1対の板材が複数並んでおり、当該1対の板材が互いに対向する面の少なくとも一方に吸音材が設けられている第2の消音ユニットと、を備え、前記第1の消音ユニットと前記第2の消音ユニットは、前記ケーシングの長軸方向に間隔を設けて配置されており、前記第1の消音ユニットに含まれる消音部それぞれの長軸は、当該長軸を含む水平断面において当該長軸に垂直な方向において、前記第2の消音ユニットに含まれるいずれの消音部の長軸に対してもずれており、前記ケーシングの長手方向に平行な水平断面において当該長手方向に垂直な方向において、前記第1の消音ユニットに含まれる消音部の内部空間の範囲それぞれは、前記第2の消音ユニットに含まれるいずれの消音部の内部空間の範囲にも収まらない。
【0063】
この構成によれば、ケーシング10の気流出口から気流入口をまっすぐに見通せないので、第1の消音ユニット11と第2の消音ユニット12の間で、
図2の矢印A3~A9に示すように音は屈折して音波が減衰する。これにより、減音効果を向上させることができ、特に波長の短い高周波での減音効果を向上させることができる。
【0064】
<第1の実施形態の変形例>
続いて第1の実施形態の変形例について説明する。第1の実施形態の変形例に係る消音器1aは、第1の実施形態に係る消音器1が垂直方向に三つ積み重ねられたものに相当する。
図5は、第1の実施形態の変形例に係る第1の消音ユニットの垂直断面図である。
図6は、第1の実施形態の変形例に係る第2の消音ユニットの垂直断面図である。
図5に示すように、第1の実施形態の変形例に係る消音器1aは、ケーシング10bと、ケーシング10b内に設けられた第1の消音ユニット11aとを備える。
【0065】
図5に示すように、第1の実施形態の変形例に係る第1の消音ユニット11aは、ケーシング10b内において、水平に並んだ四つの消音部が垂直に三段重ねられている。消音部それぞれは、一つの底板B11~B34と、当該底板B11~B34の上に略垂直に設けられた一つの板材P14、P24、P34または一対の板材P11a~P33bと、当該板材P11a~P34の上に設けられた一つの天板U11~U34とを有する。一対の板材P11a~P33bの互いに対向する面には、吸音材S11a~S33bが設けられており、一つの板材P14、P24、P34のケーシング10bの内側面に対向する面には吸音材S14、S24、S34が設けられている。
【0066】
図6に示すように、第1の実施形態の変形例に係る消音器1aは、更にケーシング10b内に設けられた第2の消音ユニット12aを備える。
【0067】
図6に示すように、ケーシング10b内において、水平に並んだ四つの消音部が垂直に三段重ねられている。消音部それぞれは、一つの底板B15~B38と、当該底板B15~B38の上に略垂直に設けられた一つの板材P18、P28、P38または一対の板材P15a~P37bと、当該板材P15a~P38の上に設けられた一つの天板U15~U38とを有する。一対の板材P15a~P37bの互いに対向する面には、吸音材S15a~S37bが設けられており、一つの板材P18、P28、P38のケーシング10bの内側面に対向する面には吸音材S18、S28、S38が設けられている。
【0068】
このように、垂直方向に複数段、消音部が積み重ねられてもよい。
【0069】
<第2の実施形態>
続いて第2の実施形態について説明する。
図7Aは、第2の実施形態に係る消音器の水平断面図である。
図7Bは、
図7AのD-D断面の断面図である。
図7A及び
図7Bに示すように、第2の実施形態に係る消音器1bは、
図2の第1の実施形態に係る消音器1に比べて、第1の消音ユニット11と第2の消音ユニット12の間に設けられ且つ気流を誘導する複数の仕切部材D1、D2、D3を更に備える。本実施形態に係る仕切部材D1、D2、D3は通気性を有しており、一例として多孔板である。
【0070】
仕切部材D1、D2、D3は、第1の消音ユニット11の消音部の出口から、第2の消音ユニット12に向かってケーシング10の長手方向に延長するように設けられている。本実施形態ではその一例として仕切部材D1が板材P5b及び/または板材P6aに接続されており、仕切部材D2が板材P6b及び/または板材P7aに接続されており、仕切部材D3が板材P7b及び/または板材P8に接続されている。すなわち仕切部材D1、D2、D3は一例として、第2の消音ユニット12の消音部の板材P5b~P8を、第1の消音ユニット11に向かってケーシング10の長手方向に延長するように設けられている。
【0071】
このように仕切部材D1が設けられることによって、第1の消音ユニット11の消音部の出口R1で、矢印A12、A13に示すように、気流が分かれ(ここでは一例として等分され)、第2の消音ユニットの別々の消音部に誘導される。同様に、仕切部材D2、D3が設けられることによって、第1の消音ユニット11の消音部の出口で、矢印A14、A15及び矢印A16、A17に示すように、気流が分かれ(ここでは一例として等分され)、第2の消音ユニットの別々の消音部に誘導される。
【0072】
その一方で、矢印A18に示すように、仕切部材D1の複数の孔を介して音が広く拡散するので減音効果を向上させることができる。同様に、矢印A19、A20に示すように、仕切部材D2、D3の複数の孔を介して音が広く拡散するので減音効果を向上させることができる。
【0073】
なお、仕切部材は多孔板に限らず、金属繊維板などの多孔質材料で形成された板であってもよいし、音波を透過する材料で形成されてもよい。
【0074】
<第3の実施形態>
続いて第3の実施形態について説明する。第1及び第2の実施形態では、高周波の減音性能を向上させることを課題としたが、第3の実施形態では、それに加えて圧力損失の増加を抑えることを課題とする。
図8は、第3の実施形態に係る消音器の水平断面図である。
図8に示すように、第3の実施形態に係る消音器1cは、
図7Aの第2の実施形態に係る消音器1bに比べて、仕切部材D4、D5、D6の位置が変更されたものになっている。具体的には例えば仕切部材D4が板材P4及び/または板材P1aに接続されており、仕切部材D5が板材P1b及び/または板材P2aに接続されており、仕切部材D6が板材P2b及び/または板材P3aに接続されている。このように、仕切部材D4、D5、D6は、第1の消音ユニットの板材から、第2の消音ユニット12に向かってケーシング10の長手方向に延長するように設けられている。
【0075】
これによって、領域R2に示すように、第1の消音ユニット(1次サイレンサ群)11の対象の消音部から排出される気流が隣接する消音部から排出される気流と干渉するのを仕切部材D4によって抑えることができ、圧力損失が抑えられる。また、仕切部材D4、D5、D6が孔を有するので、第1の消音ユニット(1次サイレンサ群)11の出口から出た音が仕切部材D4、D5、D6の孔を通って広く拡散するので減音効果を向上させることができる。
【0076】
図8には、気流の流れが矢印A21~A27に示されている。
図8の矢印A22、A23に示すように、第1の消音ユニット(1次サイレンサ群)11の対象の消音部から排出される気流が拡散して、第2の消音ユニット(2次サイレンサ群)12の複数の消音部に流入する。
【0077】
<第4の実施形態>
続いて第4の実施形態について説明する。第2の実施形態では、仕切部材が通気性を有したが、第4の実施形態では仕切部材が通気性を有しない点が異なっている。
図9は、第4の実施形態に係る消音器の水平断面図である。
図9に示すように、第4の実施形態に係る消音器1dにおける仕切部材D11、D12、D13は、通気性が無い。これにより、仕切部材D11、D12、D13は、多孔板のように気流音が発生しないという利点がある。例えば仕切部材D11、D12、D13は、例えば通気性が無い板(金属板)であり、金属板であれば、剛性が高く、設置がしやすいという利点がある。
【0078】
図9の矢印A31、A32に示すように、仕切部材D11、D12、D13によって、第1の消音ユニット(1次サイレンサ群)11出口で風は分流される(例えば均等に分流される)。
【0079】
<第5の実施形態>
続いて第5の実施形態について説明する。第3の実施形態では、仕切部材が通気性を有したが、第5の実施形態では仕切部材が通気性を有しない点が異なっている。
図10は、第5の実施形態に係る消音器の水平断面図である。
図10に示すように、第5の実施形態に係る消音器1eにおけるD21、D22、D23は、通気性が無い。これにより、仕切部材D21、D22、D23は、多孔板のように気流音が発生しないという利点がある。例えば仕切部材D21、D22、D23は、例えば通気性が無い板(金属板)であり、金属板であれば、剛性が高く、設置がしやすいという利点がある。
【0080】
図10の矢印A33、A34に示すように、第1の消音ユニット(1次サイレンサ群)11の対象の消音部から排出される気流が、第2の消音ユニット(2次サイレンサ群)12の二つの消音部に分かれて流入する。
【0081】
第3の実施形態と同様に、第1の消音ユニット(1次サイレンサ群)11の対象の消音部から排出される気流が隣接する消音部から排出される気流と干渉するのを仕切部材D21、22、23によって抑えることができ、圧力損失が抑えられる。
【0082】
<仕切部材の変形例>
なお、第4の実施形態に係る仕切部材D11、D12、D13及び第5の実施形態に係る仕切部材D21、D22、D23は、通気性が無いが音響透過性がある材料で形成されていてもよく、例えば通気性は無いが音響透過性がある膜であってもよい。これにより、低い周波数帯域は透過するため多孔板を設置した場合と同じように、1次サイレンサ群と2次サイレンサ群の間で音が拡散し、減音効果を向上させることができる。ここで音響透過性がある材料は、250Hz以下の(比較的低い)周波数帯域の音波を良く透過する材料であることが好ましい。これにより、250Hz以下の周波数帯域において、1次サイレンサ群と2次サイレンサ群の間で音が拡散し、減音効果を向上させることができる。そのため、サイレンサ群が求められる減音量の周波数特性によっては、このような材料(例えば、膜状の材料)の設置が効果的である。
【0083】
<第6の実施形態>
続いて第6の実施形態について説明する。
図8の第3の実施形態では、仕切部材が消音器の長軸に略平行に設けられていたが、第6の実施形態では第1の消音ユニット(1次サイレンサ群)11の消音器の板材と第2の消音ユニット(2次サイレンサ群)12の消音器の板材をつなげるように、仕切部材が消音器の長軸に対して斜めに設けられている点が異なっている。これにより、第1の消音ユニットの消音器から排出された気流を、1対1に対応付けられた第2の消音ユニットの消音器だけに導くことができる。
【0084】
図11は、第6の実施形態に係る消音器の水平断面図である。
図11に示すように、第6の実施形態に係る消音器1fは、仕切部材D31、D32、D33、D34を備える。第1の消音ユニット11の消音器の板材P1aと第2の消音ユニット12の消音器の板材P5aをつなげるように、仕切部材D31が消音器の長軸に対して斜めに設けられている。同様に、第1の消音ユニット11の消音器の板材P1bと第2の消音ユニット12の消音器の板材P5bをつなげるように、仕切部材D32が消音器の長軸に対して斜めに設けられている。同様に、第1の消音ユニット11の消音器の板材P2bと第2の消音ユニット12の消音器の板材P6bをつなげるように、仕切部材D33が消音器の長軸に対して斜めに設けられている。同様に、第1の消音ユニット11の消音器の板材P3bと第2の消音ユニット12の消音器の板材P7bをつなげるように、仕切部材D34が消音器の長軸に対して斜めに設けられている。このように仕切部材D31~D34は、第1の消音ユニット11の板材を、第2の消音ユニット12の板材の一つに向かって延長するように設けられている。これによって、気流が仕切部材D31~D34によって第2の消音ユニット12に誘導されるので、圧力損失を低減することができる。
【0085】
第6の実施形態に係る消音器1fの第1の消音ユニット11には、内部が充填された遮蔽材H1が設けられており、遮蔽材H1には気流が流入しないようになっている。このように、第1の消音ユニット11は、当該第1の消音ユニット11の端の板材P1aとケーシング10の間に、第2の消音ユニット12とは反対側からの空気の流入を遮蔽する遮蔽材H1を有する。
【0086】
同様に、第6の実施形態に係る消音器1fの第2の消音ユニット12には、内部が充填された遮蔽材H2が設けられており、遮蔽材H2には気流が流入しないようになっている。このように、第2の消音ユニット12は、当該第2の消音ユニット12の端の板材P7bとケーシング10の間に、第1の消音ユニット11の側からの空気の流入を遮蔽する遮蔽材H2を有する。第3の実施形態における他と比べて半分の大きさの消音部SL4、SL8(半割サイレンサともいう)の混在がないので、減音量を均一化させることができる。
【0087】
但し、サイレンサ群の離隔距離Lが小さく、1次サイレンサ群の出口の風速が速い場合、領域R3において、サイレンサ群の間に設けられた仕切部材D32、D33、D34と気流が干渉して、気流発生音が生じる場合がある。
【0088】
<第7の実施形態>
続いて第7の実施形態について説明する。第6の実施形態では、サイレンサ群の離隔距離Lが小さく、1次サイレンサ群の出口の風速が速い場合、サイレンサ群の間に設けられた仕切部材D32、D33、D34と気流が干渉して、気流発生音が生じる場合がある。それに対して、第7の実施形態では、サイレンサ群の離隔距離Lを、予め決められた基準距離より長くすることにより、第1の消音ユニットの消音器の長軸に対するサイレンサ群の間に設けられた仕切部材の角度を小さくする。これにより、気流の仕切部材への進入角度を小さくなり、仕切部材との干渉が低減する。
【0089】
図12は、第7の実施形態に係る消音器の水平断面図である。
図12に示すように、第7の実施形態に係る消音器1gには、サイレンサ群の間に仕切部材D35、D36、D37、D38が設けられている。仕切部材D35、D36、D37、D38は一例として多孔板である。
図12に示すように、領域R4に代表されるように、気流の仕切部材D36、D37、D38への進入角度が小さくなり、仕切部材との干渉による気流音の発生を抑制する。更に、仕切部材D35、D36、D37、D38を介して気流が漏れる量が少なくなるので、気流の拡散が抑制され、隣の消音器から流出される気流(サイレンサ気流ともいう)との干渉を抑えることができる。第6の実施形態と同様に、第7の実施形態に係る消音器1gには、内部が充填された遮蔽材H1、H2が設けられており、遮蔽材H1、H2には気流が流入しないようになっている。これにより、第1~第5の実施形態と比べて半分の大きさの消音部(半割サイレンサともいう)の混在がないので、減音量を均一化させることができる。
【0090】
<遮蔽材の変形例について>
続いて遮蔽材の変形例について説明する。
図13Aは、第1の変形例の遮蔽材の水平断面図である。第1の変形例の遮蔽材H1aは、
図11または
図12の遮蔽材H1の代わりに設けられてもよい。
図13Aに示すように、第1の変形例の遮蔽材H1aは、サイレンサ群の間の方向に開口を向けて設けられるサイドブランチであり、特定の周波数成分の減音性能を高めることができる。サイドブランチは、補助サイレンサの一例である。
【0091】
図13Bは、第2の変形例の遮蔽材の水平断面図である。第2の変形例の遮蔽材H1bは、
図11または
図12の遮蔽材H1の代わりに設けられてもよい。
図13Bに示すように、第2の変形例の遮蔽材H1bは、サイレンサ群の間の方向に開口を向けて設けられる共鳴器であり、特定の周波数成分の減音性能を高めることができる。共鳴器は、補助サイレンサの一例である。
【0092】
図13Cは、第3の変形例の遮蔽材の水平断面図である。第3の変形例の遮蔽材H1cは、
図11または
図12の遮蔽材H1の代わりに設けられてもよい。
図13Cに示すように、第3の変形例の遮蔽材H1は、サイレンサ群の間の方向に開口を有し、第3の変形例の遮蔽材H1cには、吸音材S41が充填されていることにより、吸音性能が向上する。
また遮音材H2の代わりに第1~第3の変形例の遮音材H1a~H1cを設けてもよい。
【0093】
遮蔽材H1a~H1c、H2の開口(すなわち音波の入口)は、1次サイレンサ群の入口側、1次サイレンサ群と2次サイレンサ群の間、2次サイレンサ群の気流出口側のいずれに設置してもよい。但し、補助サイレンサとして機能する遮蔽材H1a、H1bへの開口に風が当たると気流発生音が生じて補助サイレンサの減音性能が低下するので、1次サイレンサ群と2次サイレンサ群の間(例えば、仕切板とケーシング10の間)や、2次サイレンサ群の気流出口側のように、気流の影響を受けない位置とするのが望ましい。
このように、遮蔽材H1a~H1cは、減音または吸音するように第2の消音ユニット12に向かって開口を有することが好ましい。これにより、気流の影響を抑制しつつ減音することができる。また遮蔽材H2は、減音または吸音するように第1の消音ユニット11に向かってまたは第2の消音ユニット12の気流出口側に開口を有することが好ましい。これにより、気流の影響を抑制しつつ減音することができる。
【0094】
<第8の実施形態>
続いて第8の実施形態について説明する。第6の実施形態では、1次サイレンサと2次サイレンサの間に設けられた多孔板と気流が干渉して、気流発生音が生じる可能性があった。それに対して、第8の実施形態では多孔板と気流が干渉して気流発生音が生じるのを抑制するため、仕切部材を孔無しとする。
【0095】
図14は、第8の実施形態に係る消音器の水平断面図である。
図14に示すように、第8の実施形態に係る消音器1hには、サイレンサ群の間に、孔が無い仕切部材D41、D42が設けられている。これにより、仕切部材D41、D42に孔が無いので、気流の拡散が抑制され、対象の消音部から流出された気流と当該対象の消音部の隣の消音部から流出された気流との干渉をなくすことができる。
【0096】
更に第8の実施形態に係る消音器1hには、1次サイレンサからサイレンサ群の間に渡って遮蔽材H3が設けられており、サイレンサ群の間において遮蔽材H3の表面は、仕切部材D41と略平行である。また第8の実施形態に係る消音器1hには、2次サイレンサからサイレンサ群の間に渡って遮蔽材H4が設けられており、サイレンサ群の間において遮蔽材H4の表面は、仕切部材D42と略平行である。また第6及び第7の実施形態と同様に、第8の実施形態に係る消音器1hには、遮蔽材H3、H4は、内部が充填されており、遮蔽材H3、H4には気流が流入しないようになっている。これにより、第1~第5の実施形態と比べて半分の大きさの消音部(半割サイレンサ)の混在がないので、減音量を均一化させることができる。
【0097】
<第9の実施形態>
続いて第9の実施形態について説明する。
図15は、第9の実施形態に係る消音器の水平断面図である。第9の実施形態に係る消音器1iは、
図14の第8の実施形態に係る消音器1hに比べて、遮蔽材H3が、1次サイレンサ側の遮蔽材H11とサイレンサ群の間に設けられた中空の遮蔽材H12に分かれており、仕切部材H12には、音波入口部H121が設けられている点が異なっている。音波入口部H121は、音波が流入可能なように孔を有しており、遮音材H11の一部が吸音材であってもよいし、仕切部材H12とケーシング10と遮音材H11で囲まれた空間に吸音材が充填されていてもよい。
【0098】
更に、第9の実施形態に係る消音器1iは、
図14の第8の実施形態に係る消音器1hに比べて、遮蔽材H4が、2次サイレンサ側の遮蔽材H13とサイレンサ群の間に設けられた仕切部材H14に分かれており、仕切部材H14には、音波入口部H141が設けられている点が異なっている。音波入口部H141は、音波が流入可能なように孔を有しており、遮音材H13の一部が吸音材であってもよいし、仕切部材H14とケーシング10と遮音材H13で囲まれた空間に吸音材が充填されていてもよい。このように、複数の仕切部材のうち端の仕切部材H12、H14は、第1の消音ユニット11の端の前記板材を、前記第2の消音ユニットの端の板材に向かって延長するように設けられており、当該仕切部材H12、H14は開口を有する。これにより、減音性能を向上させることができる。
【0099】
なお、仕切部材H12、H14とケーシング10の間に共鳴器のような補助サイレンサを設置して性能を増してもよい。これにより、補助サイレンサ(例えば、共鳴器)が設けられているので、減音性能を向上させることができる。
【0100】
共鳴器の容積として遮蔽材H11も加えてあわせて使用してもよい。遮蔽材H11に補助サイレンサ設置して遮蔽材の補助サイレンサと併用してもよい
遮蔽材H11に補助サイレンサを設置して仕切部材H12の補助サイレンサと併用してもよい。同様に、遮蔽材H13に補助サイレンサを設置して仕切部材H14の補助サイレンサと併用してもよい。
【0101】
<第10の実施形態>
続いて第10の実施形態について説明する。
図16は、第10の実施形態に係る消音器の水平断面図である。第10の実施形態に係る消音器1jは、
図15の第9の実施形態に係る消音器1iに比べて、通気性を有する仕切部材D51、D52、D53が消音部の長軸に対して斜めに且つ1次サイレンサの気流出口の気流を等分する位置に設けられている点が異なっている。このように仕切部材D51、D52、D53は、第1の消音ユニット11の消音部の出口から、第2の消音ユニット12の消音部の入口に向かって設けられている。これにより、1次サイレンサの気流出口で仕切部材D51、D52、D53に誘導されて気流は分流されて、第2の消音ユニット12の別々の消音部に誘導される。ここで仕切部材D51、D52、D53は例えば多孔板、または多孔質材料で形成された板である。
【0102】
また第9の実施形態と同様に、第10の実施形態に係る消音器1jには、遮蔽材H11、H13は、内部が充填されており、遮蔽材H11、H13には気流が流入しないようになっている。これにより、第1~第5の実施形態と比べて半分の大きさの消音部(半割サイレンサ)の混在がないので、減音量を均一化させることができる。
【0103】
<第11の実施形態>
続いて第11の実施形態について説明する。
図17は、第11の実施形態に係る消音器の水平断面図である。第11の実施形態に係る消音器1kは、
図16の第10の実施形態に係る消音器1jに比べて、通気性を有する仕切部材D54、D55が、それぞれケーシング10の内側面の一方側と他方側に追加で設けられている。ここで仕切部材D54、D55は例えば多孔板、または多孔質材料で形成された板である。これにより、第10の実施形態に係る消音器1jに比べて、仕切部材D54、D55によって、更に気流の余計な拡散を抑制することができ、その結果、気流の圧力損失を抑制することができる。
【0104】
<第12の実施形態>
続いて第12の実施形態について説明する。
図18は、第12の実施形態に係る消音器の水平断面図である。第12の実施形態に係る消音器1lは、
図7Aの第2の実施形態に係る消音器1bに比べて、仕切部材D1~D3が除かれ、通気性が無い仕切部材G1a~G4が設けられている。水平断面において三角形状の2辺に相当するように仕切部材G1a、G1bが、第1の消音ユニット11の消音器の出口の略中央に設けられる。
【0105】
具体的には仕切部材G1aは、第1の消音ユニット11の消音部の出口から、第2の消音ユニット12の消音部SL5の吸音材S5bの表面に向かって設けられており、及び/または第2の消音ユニット12の前記消音部SL5の隣の消音部SL6の吸音材S6aの表面に向かって設けられている。このように、仕切部材G1a、G1bは、第1の消音ユニット11の消音部の出口を起点として、第1の消音ユニット11から第2の消音ユニット12に近づくほど互いに離れるように設けられている。これにより、仕切部材G1a、G1bに気流が誘導されて気流が分かれる。更に2次サイレンサの入り口での渦発生を防止できて、圧力損失を低減することができる。
【0106】
この実施形態では、1次サイレンサの出口の位置で仕切部材G1a、G1bは、水平断面において出口の略中央に配置されている。これにより、仕切部材G1a、G1bに気流が誘導されて気流が略均等に分かれる。仕切部材G2a、G2bの組、及び仕切部材G3a、G3bの組も、仕切部材G1a、G1bの組と同様の位置関係で設けられている。
【0107】
また2次サイレンサの入口で風路が急に縮小することがなく、圧力損失を低減することができる。なお、仕切部材G1a~G4は平面でなく、流れに合わせた曲面であってもよい。これにより、圧力損失を低減することができる。また第1の消音ユニット11と第2の消音ユニット12との間の距離を拡大するほうが、圧力損失を低減することができる。
【0108】
なお、仕切部材G1a、G1bで挟まれた空間、仕切部材G2a、G2bで挟まれた空間、仕切部材G3a、G3bで挟まれた空間、仕切部材G4とケーシング10で挟まれた空間を、共鳴器などに利用してもよい。
【0109】
<第13の実施形態>
続いて第13の実施形態について説明する。
図19は、第13の実施形態に係る消音器の水平断面図である。第13の実施形態に係る消音器1mは、
図12の第12の実施形態に係る消音器1lに比べて、仕切部材G1a~G4が除かれ、通気性が有る仕切部材G5a~G8が設けられている。ここで仕切部材G5a~G8は例えば多孔板、または多孔質材料で形成された板である。仕切部材G1a~G1bが挟まれた三角柱状の空間は中空である。これにより、2次サイレンス群の入口で音響的に急縮小になるので減音量を向上させることができる。
【0110】
1次サイレンサ群の出口で、気流が仕切部材G1a、G1bの組、G2a、G2bの組、G3a、G3bの組で誘導され、気流は均等に分流される。また2次サイレンサ群の入口の急縮小がないので、圧力損失を低減することができる。
【0111】
なお、仕切部材G5a~G8は平面でなく、流れに合わせた曲面であってもよい。これにより、圧力損失を低減することができる。また第1の消音ユニット11と第2の消音ユニット12との間の距離を拡大するほうが、圧力損失を低減することができる。
【0112】
<各実施形態の変形例1>
仕切部材D1~D55、G1a~G8を気流に合わせて変形して曲面にしてもよい。これにより、圧力損失を低減することができる。
【0113】
<各実施形態の変形例2>
第1の消音ユニットに含まれる消音部それぞれの長軸に対して、第1の消音ユニットに含まれる消音部それぞれの長軸を水平にずらしたが、これに限らず、垂直にずらしてもよい。垂直にずらした場合には、第1の消音ユニットに含まれる消音部それぞれの長軸は、当該長軸を含む垂直断面において当該長軸に垂直な方向において、前記第2の消音ユニットに含まれるいずれの消音部の長軸に対してもずれている。またケーシング10の長手方向に沿った垂直断面において当該長手方向に垂直な方向において、前記第1の消音ユニットに含まれる消音部の内部空間の範囲それぞれは、前記第2の消音ユニットに含まれるいずれの消音部の内部空間の範囲にも収まらない。
【0114】
<各実施形態の変形例3>
1次サイレンサ群に対して2次サイレンサ群が、1次サイレンサ群の消音部の長軸(気流の軸)の周りに回転した位置に配置されてもよい。
【0115】
<各実施形態の変形例4>
1次サイレンサ群、2次サイレンサ群を水平、垂直、回転を任意に組合せて互いの相対的な位置をずらしてもよい。
【0116】
各実施形態及び上記変形例1~4の全てにおいて、1次サイレンサ群の消音器の風路を長軸に沿って延長した場合に2次サイレンサ群の消音器の入口に丁度重ならないように、1次サイレンサ群及び2次サイレンサ群が配置されている。より好ましくは、1次サイレンサ群の風路それぞれを長軸にそって延長した場合に、2次サイレンサ群のいずれの入口とも全く重ならないように、1次サイレンサ群及び2次サイレンサ群が配置されている。
【0117】
なお、各実施形態及び上記変形例1~4の全てにおいて、各消音部は、天板及び底板を有しているとして説明したが、これに限らず、天板及び底板が除かれており、消音部を構成する板材がケーシングの内底面から内天面まで延在していてもよい。
【0118】
以上、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0119】
1~1m 消音器
10 ケーシング
11、11a 第1の消音ユニット
12、12a 第2の消音ユニット
B1~B8 底板
U1~U8 天板
D1~D55、H12、H14 仕切部材
H1~H4、H11、H13 遮蔽材
H121、H141 音波入口部
P11a~P38 板材
S11a~S38 吸音材
SL1~SL8 消音部