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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-12
(45)【発行日】2025-03-21
(54)【発明の名称】書き込みハードウェアトレーニング加速
(51)【国際特許分類】
   G11C 7/22 20060101AFI20250313BHJP
   G06F 12/00 20060101ALI20250313BHJP
【FI】
G11C7/22 100
G06F12/00 564D
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2024538395
(86)(22)【出願日】2023-06-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(86)【国際出願番号】 US2023025988
(87)【国際公開番号】W WO2024006148
(87)【国際公開日】2024-01-04
【審査請求日】2024-07-08
(31)【優先権主張番号】17/854,988
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591016172
【氏名又は名称】アドバンスト・マイクロ・ディバイシズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED MICRO DEVICES INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100111615
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 良太
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】アーロン ディー ウィリー
(72)【発明者】
【氏名】カーシク ゴパラクリシュナン
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-507040(JP,A)
【文献】特開2012-027734(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0044764(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0082725(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0285624(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 7/22
G06F 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリであって、
データバスに結合するためのデータ入力回路であって、3つ以上のパルス振幅変調(PAM)レベルを含むデータ信号を受信することに基づいてマルチビットシンボルを出力するためのマルチレベルPAM受信機を含むデータ入力回路と、
トレーニング回路と、を備え、
前記トレーニング回路は、
擬似ランダムビットシーケンス(PRBS)発生器と、
バーストエラー検出カウンタと、を備え、
前記バーストエラー検出カウンタは、
第1の入力が前記データ入力回路に結合され、かつ、第2の入力が前記PRBS発生器に結合された比較器と、前記比較器による比較結果に基づいて、所定数のシンボルを含むシンボルシーケンスにおいて0より大きい任意の数のエラーを検出したことに応じてエラーカウント値を1だけ増加させるように動作可能なカウンタと、を含む、
メモリ。
【請求項2】
請求項1のトレーニング回路をそれぞれ有する複数のデータ入力回路と、
前記バーストエラー検出カウンタに結合されており、書き込みトレーニングシーケンス中に前記カウンタからの値を保持し、前記メモリへの指定されたコマンドに応じて前記値をホスト要求元に提供するように動作可能な先入れ先出しバッファと、を備える、
請求項1のメモリ。
【請求項3】
前記所定数のシンボルは16シンボルであり、前記カウンタは12ビットカウンタである、
請求項2のメモリ。
【請求項4】
前記PRBS発生器と前記バーストエラー検出カウンタの前記第2の入力との間に結合されており、シンボルの1つ以上の選択されたビットについてエラーが前記バーストエラー検出カウンタによって検出されないように、前記1つ以上の選択されたビットを選択的にマスキングするマスキング回路を備える、
請求項1のメモリ。
【請求項5】
前記マルチレベルPAM受信機は、前記PAMレベルの境界を画定するそれぞれの基準電圧を受信するための少なくとも2つの基準電圧入力を含み、
前記マルチレベルPAM受信機は、排他的論理和(XOR)自己参照モードで動作するように構成可能であり、前記基準電圧のうち第1の基準電圧は、前記PAMレベルのうち選択されたPAMレベルの中心のレベルに設定され、前記基準電圧のうち第2の基準電圧は、トレーニングシーケンス中に選択されたPAMレベル内で調整され、前記マルチレベルPAM受信機によって出力される前記マルチビットシンボル内でXOR比較が行われ、前記基準電圧のうち前記第2の基準電圧の調整が異なるPAMレベルの検出を引き起こすときを検出する、
請求項1のメモリ。
【請求項6】
前記XOR比較の出力は、前記バーストエラー検出カウンタに供給され、前記バーストエラー検出カウンタは、PAM受信機のためのデータアイの外側マージンを検出するために、前記XOR比較による異なるPAMレベルの検出をエラーとしてカウントする、
請求項5のメモリ。
【請求項7】
メモリが使用する方法であって、
(a)前記メモリにおける書き込みトレーニングモードにおいて、3つ以上のPAMレベルを含むマルチレベルパルス振幅変調(PAM)フォーマットのシンボルに符号化された擬似ランダムビットシーケンス(PRBS)をデータライン上で受信することと、
(b)前記メモリにおいて同一のPRBSを生成することと、
(c)受信されたPRBSを前記同一のPRBSと比較してエラーを検出することと、
(d)所定数のシンボルを含むシンボルのシーケンスにおいて0より大きい任意の数のエラーを検出したことに応じてエラーカウント値を1だけ増加させることと、を含む、
方法。
【請求項8】
書き込みトレーニングシーケンスのために前記メモリにおいて複数のデータラインに対して(a)~(d)を同時に実行することと、
前記書き込みトレーニングシーケンスのための前記複数のデータラインの前記エラーカウント値を先入れ先出し(FIFO)バッファにロードすることと、
前記メモリからホストメモリコントローラに前記エラーカウント値を送信することと、を含む、
請求項7の方法。
【請求項9】
前記所定数のシンボルは16シンボルであり、前記増加させることは、12ビットカウンタを使用して実行される、
請求項8の方法。
【請求項10】
前記エラーカウント値を増加させるために、シンボルの1つ以上の選択されたビットについてエラーが検出されないように、前記1つ以上の選択されたビットを選択的にマスキングすることを含む、
請求項7の方法。
【請求項11】
基準電圧が、選択されたPAMレベルの中心のレベルに設定され、第2の基準電圧が、トレーニングシーケンス中に選択されたPAMレベル内で調整される排他的論理和(XOR)自己参照モードで、マルチレベルPAM受信機を選択的に動作させることと、
前記第2の基準電圧の調整が異なるPAMレベルの検出を引き起こすときを検出するために、前記マルチレベルPAM受信機によって出力されたマルチビットシンボル内でXOR比較を行うことと、を含む、
請求項7の方法。
【請求項12】
前記XOR自己参照モードにおいて、前記XOR比較による異なるPAMレベルの検出をエラーとしてカウントして、前記データラインに対するデータアイの外側マージンを検出する、
請求項11の方法。
【請求項13】
データ処理システムであって、
データプロセッサと、
データバスを介して前記データプロセッサに結合されたメモリと、を備え、
前記メモリは、
前記データバスを介して前記データプロセッサに結合するためのデータ入力回路であって、3つ以上のパルス振幅変調(PAM)レベルを含むデータ信号を受信することに基づいてマルチビットシンボルを出力するためのマルチレベルPAM受信機を含むデータ入力回路と、
トレーニング回路と、を備え、
前記トレーニング回路は、
擬似ランダムビットシーケンス(PRBS)発生器と、
バーストエラー検出カウンタと、を備え、
前記バーストエラー検出カウンタは、
第1の入力が前記データ入力回路に結合され、かつ、第2の入力が前記PRBS発生器に結合された比較器と、前記比較器による比較結果に基づいて、所定数のシンボルを含むシンボルのシーケンスにおいて0より大きい任意の数のエラーを検出したことに応じてエラーカウント値を1だけ増加させるように動作可能なカウンタと、を含む、
データ処理システム。
【請求項14】
前記メモリは、
前記データバスのそれぞれのデータラインに結合されており、請求項13のトレーニング回路をそれぞれ有する複数のデータ入力回路と、
前記バーストエラー検出カウンタに結合されており、書き込みトレーニングシーケンス中に前記カウンタからの値を保持し、前記メモリへの指定されたコマンドに応じて前記値をホスト要求元に提供するように動作可能な先入れ先出しバッファと、を備える、
請求項13のデータ処理システム。
【請求項15】
前記所定数のシンボルは16シンボルであり、前記カウンタは12ビットカウンタである、
請求項14のデータ処理システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
現代のダイナミックランダムアクセスメモリ(dynamic random-access memory、DRAM)は、DRAMと、グラフィックス処理ユニット(graphics processing unit、GPU)、中央処理ユニット(central processing unit、CPU)等の1つ以上のデータプロセッサと、を接続するバス上のデータ伝送の速度を増加させることによって、高いメモリ帯域幅を提供する。DRAMは、典型的には、安価で高密度であり、それによって、デバイスごとに大量のDRAMを集積することが可能になる。今日販売されている殆どのDRAMチップは、Joint Electron Devices Engineering Council(JEDEC)が普及を推進した様々なダブルデータレート(double data rate、DDR)DRAM規格と適合する。典型的には、いくつかのDDR DRAMチップが単一のプリント回路基板上に組み合わされ、比較的高速であるだけでなくスケーラビリティも提供できるメモリモジュールを形成する。
【0002】
DDR DRAMは、ホストプロセッサからメモリへのコマンドの発行、したがってホストプロセッサとメモリとの間のデータの交換を同期させる自走クロック信号(free-running clock signal)に応じて動作するので、同期型である。DDR DRAMは、コマンドを同期させるためにクロック信号に応答し、クロック信号を使用して読み取りデータストローブ信号を生成することができる。例えば、DDR DRAMは、ホストプロセッサによって提供される「DQS」として知られる中心整列データストローブ信号(center-aligned data strobe signal)を使用して書き込みデータを受信し、メモリは、DQSの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの両方でデータをキャプチャする。同様に、DDR DRAMは、DDR DRAMがDQS信号を提供するエッジ整列DQSと同期して読み取りデータを提供する。読み取りサイクルの間、ホストプロセッサは、DQS信号を内部で遅延させて、一般に、データアイトレーニング(data eye training)を実行することによって起動時に決定された量だけ、DQS信号をDQ信号の中心部分と整列させる。グラフィックスDDR、バージョン6(GDDR6)DRAM等のいくつかのDDR DRAMは、メインクロック信号と別の書き込みクロック信号の両方を受信し、読み取りデータストローブ信号をプログラム可能に生成する。
【0003】
しかしながら、これらの強化により、コンピュータシステムのメインメモリに使用されるDDRメモリの速度が改善されたが、更なる改善が求められている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】いくつかの実施形態による、データ処理システムを示すブロック図である。
図2】いくつかの実施形態による、図1のGDDRメモリのブロック図である。
図3図2のデータトレーニングロジック回路として使用するのに適したデータトレーニングロジック回路の一部のブロック図である。
図4】いくつかの追加の実施形態による、データトレーニングロジック回路のブロック図である。
図5図4の温度計からグレイへの変換(T2G)及びXOR回路のより詳細な図のブロック図である。
図6】いくつかの実施形態による、PAM受信機の基準電圧の変動を示す図である。
図7】いくつかの実施形態による、自己参照を使用するXORアイマージニングプロセスを示すアイ図(eye diagram)である。
図8】いくつかの追加の実施形態による、データトレーニングロジック回路800のブロック図である。
図9図8のT2G及びバイパス回路のより詳細な図のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下の説明において、異なる図面における同一の符号の使用は、同様のアイテム又は同一のアイテムを示す。別段の言及がなければ、「結合される(coupled)」という単語及びその関連する動詞形は、当該技術分野で知られている手段による直接接続及び間接電気接続の両方を含み、また、別段の言及がなければ、直接接続の任意の記述は、好適な形態の間接電気接続を使用する代替の実施形態も同様に意味する。
【0006】
メモリは、3つ以上のPAMレベルを含むデータ信号を受信することに基づいてマルチビットシンボルを出力するためのマルチレベルパルス振幅変調(PAM)受信機を有するデータバスに結合するためのデータ入力回路を含む。メモリは、擬似ランダムビットシーケンス(PRBS)発生器及びバーストエラー検出カウンタを有するトレーニング回路を含む。バーストエラー検出カウンタは、比較器と、データ入力に結合された第1の入力と、PRBS発生器に結合された第2の入力と、所定数のシンボルを含むシンボルのシーケンスにおいて0より大きい任意の数のエラーを検出したことに応じてエラーカウント値を1だけ増加させるように動作可能なカウンタと、を含む。
【0007】
メモリによる使用のための方法は、メモリにおける書き込みトレーニングモードにおいて、3つ以上のPAMレベルを含むマルチレベルパルス振幅変調(PAM)フォーマットのシンボルに符号化された擬似ランダムビットシーケンス(PRBS)をデータライン上で受信することを含む。この方法は、メモリにおいて同一のPRBSを生成し、受信されたPRBSを同一のPRBSと比較してエラーを検出する。この方法は、所定数のシンボルを含むシンボルのシーケンスにおいて0より大きい任意の数のエラーを検出することに応じて、エラーカウント値を1だけ増加させる。
【0008】
データ処理システムは、データプロセッサと、データバスを介してデータプロセッサに結合されたメモリと、を含む。メモリは、データ入力回路及びトレーニング回路を含む。データ入力回路は、データバスを介してデータプロセッサに結合するためのものであり、3つ以上のPAMレベルを含むデータ信号の受信に基づいてマルチビットシンボルを出力するためのマルチレベルパルス振幅変調(PAM)受信機を含む。トレーニング回路は、擬似ランダムビットシーケンス(PRBS)発生器と、バーストエラー検出カウンタと、を含み、バーストエラー検出カウンタは、比較器と、データ入力に結合された第1の入力と、PRBS発生器に結合された第2の入力と、所定数のシンボルを含むシンボルのシーケンスにおいて0より大きい任意の数のエラーを検出したことに応じてエラーカウント値を1だけ増加させるように動作可能なカウンタと、を含む。
【0009】
図1は、いくつかの実施形態による、データ処理システム100を示すブロック図である。データ処理システム100は、概して、グラフィックス処理ユニット(GPU)110、ホスト中央処理ユニット(CPU)120、ダブルデータ速度(DDR)メモリ130、及び、グラフィックスDDR(GDDR)メモリ140の形態のデータプロセッサを含む。
【0010】
GPU110は、最適化されたグラフィックス処理、レンダリング及び表示のために非常に高い性能を有する離散グラフィックスプロセッサであるが、これらのタスクを実行するために高いメモリ帯域幅を必要とする。GPU110は、概して、コマンドプロセッサ111のセットと、グラフィックス単一命令複数データ(SIMD)コア112と、キャッシュ113のセットと、メモリコントローラ114と、DDR物理インターフェース回路(PHY)115と、GDDR PHY116と、を含む。
【0011】
コマンドプロセッサ111は、OpenGLプログラミング言語で指定されるもの等の高レベルグラフィックス命令を解釈するために使用される。コマンドプロセッサ111は、高レベルグラフィックス命令を受信するためのメモリコントローラ114への双方向接続、キャッシュ113への双方向接続、及び、グラフィックスSIMDコア112への双方向接続を有する。高レベル命令の受信に応じて、コマンドプロセッサ111は、キャッシュ113を一時記憶装置として使用して、フレームデータ等のデータのレンダリング、幾何学的処理、シェーディング及びラスタ化のためのSIMD命令を発行する。グラフィックス命令に応じて、グラフィックスSIMDコア112は、大規模並列方式で大きいデータセットに対して低レベル命令を実行する。コマンドプロセッサ111及びキャッシュ113は、入力データ及び出力(例えば、レンダリング及びラスタ化された)データの一時的な記憶のために使用される。また、キャッシュ113は、グラフィックスSIMDコア112への双方向接続と、メモリコントローラ114への双方向接続と、を有する。
【0012】
メモリコントローラ114は、コマンドプロセッサ111に接続された第1の上流ポートと、キャッシュ113に接続された第2の上流ポートと、第1の下流双方向ポートと、第2の下流双方向ポートと、を有する。本明細書で使用される場合、「上流」ポートは、データプロセッサに向かい、且つ、メモリから離れる回路の側にあり、「下流」ポートは、回路がデータプロセッサから離れ、且つ、メモリに向かう側にある。メモリコントローラ114は、DDRメモリ130及びGDDRメモリ140との間のデータ転送のタイミング及び順序付けを制御する。DDR及びGDDRメモリは非対称アクセスをサポートし、すなわち、メモリ内のオープンページへのアクセスは、クローズドページへのアクセスよりも高速である。メモリコントローラ114は、メモリアクセスコマンドを記憶し、特定のサービス品質目標を観察しながら、例えば、オープンページへのアクセスを優先し、書き込みから読み取りへ且つその逆の頻繁なバスターンアラウンドを非優先にすることによって、効率のために順不同でそれらを処理する。
【0013】
DDR PHY115は、メモリコントローラ114の第1の下流ポートに接続された上流ポートと、DDRメモリ130に双方向に接続された下流ポートと、を有する。DDR PHY115は、DDRバージョン5(DDR5)等のDDRメモリ130の実装されたバージョンの全ての指定されたタイミングパラメータを満たし、メモリコントローラ114の指示でトレーニング動作を実行する。同様に、GDDR PHY116は、メモリコントローラ114の第2の下流ポートに接続された上流ポートと、GDDRメモリ200に双方向に接続された下流ポートと、を有する。GDDR PHY 116は、GDDRメモリ140の実装バージョンの全ての指定されたタイミングパラメータを満たし、GDDR PHY 116の様々なデータレーン及びコマンドレーンの初期トレーニングと、動作中の再トレーニングと、を含むトレーニング動作をメモリコントローラ114の指示で実行する。
【0014】
図2は、いくつかの実施形態による、図1のGDDRメモリ200のブロック図である。GDDRメモリ200は、概して、制御回路210と、アドレス経路220と、メモリアレイ及びページバッファ230と、データ読み取り経路240と、ボンドパッド250のセットと、データ書き込み経路と、を含む。
【0015】
制御回路210は、コマンドデコーダ211と、モードレジスタ212と、トレーニング制御回路213と、を含む。コマンドデコーダ211は、コマンド及びアドレスピン(図2には示されていない)から受信したコマンドを、メモリのコマンド真理値表によって定義されるいくつかのサポートされたコマンドのうち何れかに復号する。コマンドデコーダ211によって復号されるコマンドの1つのタイプは、モードレジスタセット(MRS)コマンドである。MRSコマンドは、コマンドデコーダに、アドレス入力に設定が含まれている指示されたモードレジスタに設定を提供させる。MRSコマンドは、かなり以前からDRAMのコンテキストで知られており、異なるGDDR DRAMバージョン間で異なる。モードレジスタ212は、プログラムされた設定を記憶し、場合によっては、GDDR DRAMについての情報を出力する。トレーニング制御回路213は、コマンドデコーダ211の出力に接続された第1の入力と、モードレジスタ212の特定の出力に接続された第2の入力と、出力と、を有する。更に説明されるように、トレーニング制御回路213は、概して、メモリコントローラ114からのコマンドに応じて、GDDRメモリ200をPHYトレーニングモードにし、PHYトレーニングモードでは、入力バッファ及び出力バッファのためのトレーニングロジックにリンクトレーニングステップを実行するように指示する。
【0016】
アドレス経路220は、マルチビットアドレス信号を受信し、各アドレス信号のための入力バッファ221及びアドレスラッチ222と、行デコーダ223のセットと、列デコーダ224のセットと、を含む。入力バッファ221は、対応するマルチビットアドレス信号を受信してバッファリングし、それに応じてマルチビットバッファリングされたアドレス信号を提供する。アドレスラッチ222は、入力バッファ221の出力に接続された入力と、出力と、「WCK」とラベル付けされた信号を受信するクロック入力と、を有する。アドレスラッチ222は、あるクロックエッジ、例えば立ち上がりエッジでバッファされたアドレスのビットをラッチし、書き込みコマンド中の書き込みクロックとしてだけでなく、コマンドをキャプチャするために使用されるメインクロックとしても機能する。行デコーダ223は、アドレスラッチ222の出力に接続された入力と、出力と、を有する。列デコーダ224は、アドレスラッチ222の出力に接続された入力と、出力と、を有する。
【0017】
メモリアレイ及びページバッファ230は、別々にアドレス指定可能なバンクとして知られる個々のメモリアレイのセットに編成される。例えば、GDDRメモリ200は、合計16個のバンクを有してもよい。各バンクは、一度に1つの「オープン」ページのみを有することができ、オープンページは、より高速な読み取り及び書き込みアクセスのために、その内容を対応するページバッファに読み込ませる。行デコーダ223は、アクティブ化コマンド中にアクセスされたバンク内の行を選択し、指示された行の内容がページバッファに読み込まれ、行は読み取り及び書き込みアクセスの準備ができている。列デコーダ224は、列アドレスに応じて行の列を選択する。
【0018】
データ読み取り経路240は、読み取りキュー241と、読み取りラッチ242と、出力バッファ243と、遅延ロックループ(DLL)244と、
【0019】
【数1】

ピンと、を含む。読み取りキュー241は、メモリアレイ及びページバッファ230の出力に接続された入力と、出力と、を有する。読み取りラッチ242は、読み取りキュー241の出力に接続された入力と、クロック入力と、出力と、を有する。バッファ243は、読み取りラッチ242の出力に接続されている入力と、ボンドパッド250に接続されている出力と、を有する。DLL244は、「WCK」とラベル付けされた書き込みクロック信号を受信する入力と、読み取りラッチ242のクロック入力に接続された出力と、を有する。DLL244は、現在のGDDR規格ではオプションであり、読み取りコマンド結果を通信する際にDQに対するRCK信号のドリフトを許容するように設計されていることに留意されたい。RCKドライバ回路245は、DLL244の出力に接続された入力と、制御入力(図示せず)と、
【0020】
【数2】

ピンに接続された出力と、を有する。
【0021】
書き込みデータ経路260は、入力バッファ261、書き込みラッチ262、及び、書き込みキュー263を含む。入力バッファ261は、「DQ」とラベル付けされたボンドパッド250のセットに接続された入力と、出力と、を有する。書き込みラッチ262は、入力バッファ261の出力に接続された入力と、出力と、を有する。書き込みキュー263は、書き込みラッチ262の出力に接続された入力と、メモリアレイ及びページバッファ230に接続された出力と、を有する。
【0022】
データトレーニングロジック270は、トレーニング制御回路213に接続された入力と、トレーニング機能を実行するために入力バッファ261及び出力バッファ243に接続された入力及び出力と、を有する。
【0023】
動作において、GDDRメモリ200は、メモリバンクにおける同時動作を可能にし、一実施形態では、GDDRメモリ200は、Joint Electron Device Engineering Council(JEDEC)によって公開されているダブルデータレート(DDR)規格のうち何れかと互換性がある。データにアクセスするために、GPU110等のメモリアクセスエージェントは、アクティブ化(ACT)コマンドを発行することによってメモリバンク内の行をアクティブ化する。ACTコマンドに応じて、選択された行に沿ったメモリセルからのデータは、対応するページバッファに記憶される。DRAMでは、データ読み取りはメモリセルの内容に対して破壊的であるが、データのコピーはページバッファに記憶される。メモリコントローラ114は、バンクの選択された行内のデータへのアクセスを終了した後、プリチャージ(PRE)コマンド(又は自動プリチャージを伴う書き込み若しくは読み取りコマンド、又は、プリチャージオールコマンド(precharge all command))を発行することによって行を閉じる。PREコマンドは、ページバッファ124内のデータを選択されたバンク内のその行に再書き込みさせ、次いで別の行をアクティブ化することを可能にする。これらの動作は、DDRメモリでは従来通りであり、様々なJEDEC標準文書に記載されており、これ以上は説明しない。
【0024】
しかしながら、本明細書に開示される様々な実施形態によれば、GDDRメモリ200は、GDDR6等の既存の規格と比較して、モードレジスタフィールド及びコマンドデコーダ関数を追加する修正されたモードレジスタセット212を含み、これらのモードレジスタフィールド及びコマンドデコーダ関数は、トレーニング制御回路213及びデータトレーニングロジック270の挙動を定義して、以下に更に説明するような追加のトレーニング関数を実行するために使用することができる。
【0025】
図3は、図2のデータトレーニングロジック回路270として使用するのに適したデータトレーニングロジック回路300の一部のブロック図である。この図は、本発明を不明瞭にすることを回避するために、データトレーニングロジック300の関連部分のみを示す。データトレーニングロジック300は、概して、バーストエラー検出カウンタ310及び報告経路320を含む。概して、バーストエラー検出カウンタ310は、メモリ200の単一のDQ入力に関連するエラーを検出し、ラベル「n」によって示されるように、各DQレーンについて繰り返される。例えば、一実施形態では、PAM3シグナリングがDQレーンのために使用され、10個のデータレーン(DQ[0:7]、DQX、DQY及びDQE)の各々は、バーストエラー検出カウンタ310を含む。
【0026】
バーストエラー検出カウンタ310は、比較ロジック回路312及びバーストエラーカウンタ314を含む。比較ロジック回路312は、「データ[31:0]」とラベル付けされた受信データ信号を受信する第1の入力と、「PRBS[31:0]」とラベル付けされた擬似ランダムビットシーケンスを受信する第2の入力と、出力と、を有する。バーストエラーカウンタ314は、比較ロジック312の出力に接続された入力と、「CTR RST」とラベル付けされたカウンタリセット入力と、出力と、を有する。
【0027】
報告経路320は、概して、リンクトレーニング中にエラーカウントを報告するためのシグナリング経路を提供し、エラーカウントデータをエラー検出コード(EDC)データ経路に挿入する。報告経路320は、マルチプレクサ322、「EDC FIFO」とラベル付けされた先入れ先出し(FIFO)バッファ324、及び、マルチプレクサ326を含む。マルチプレクサ326は、(通常動作のための)DRAMのEDC信号を受信する第1の入力と、書き込みトレーニング動作のためにバーストエラーカウンタ314の出力に接続された第2の入力と、制御入力(図示せず)と、出力と、を有する。EDC FIFO324は、マルチプレクサ326の出力に接続された入力と、出力と、を有する。マルチプレクサ322は、EDC FIFO324の出力に接続された第1の入力と、「DQ」とラベル付けされた第2の入力と、制御入力(図示せず)と、「PAMエンコーダへ」とラベル付けされた出力と、を有する。
【0028】
動作において、書き込みトレーニング(WRTR)モードの間、トレーニングパターンは、DQレーン(例えば、図2の261)のためのPAM受信機によって受信され、比較ロジック312のデータ[31:0]入力に供給されるシンボルに復号される。PRBS発生器は、比較のためにトレーニングパターンを局所的に生成し、それを比較ロジック312のPRBS[31:0]入力に供給する。比較ロジックは、XOR比較によってエラーを検出し、シンボル内でエラーが検出される毎にバーストエラーカウンタ314にHIGH信号を出力する。バーストエラーカウンタ314は、所定数のシンボルを含むシンボルのシーケンスにおいて0より大きい任意の数のエラーを検出することに応じて、エラーカウント値を1だけ増加させるように動作可能な12ビットバーストエラーカウンタである。次いで、カウンタ値は、マルチプレクサ322及び326を制御することによって、トレーニングパターンに対するDQEレーンを介してメモリコントローラに報告される。例えば、一実施形態では、16シンボルのバーストが使用され、バーストエラーカウンタ314は、16シンボルバースト内にいくつかのエラーが存在する場合に1だけ増加し、エラーが存在しない場合には増加しない。この実施形態ではバーストエラーがカウントされるが、他の実施形態は、バースト内の個々のエラーをカウントするバーストエラー検出カウンタ310のための構成モードを含んでもよい。
【0029】
図示された構成は、WRTRデータの複数の読み取りサイクルを可能にし、線形フィードバックシフトレジスタ(LFSR)がインクリメントされて、サイクルごとに異なるPRBSトレーニングパターンを生成する。この構成は、書き込みトレーニング時間を短縮する一方で、精度を改善する。エラーカウンタを使用しない場合、合格/不合格境界のみがWRTRサイクル中に検出される。エラーカウンタを使用して、トレーニング中に位相調整更新を行うために、DQレーンデータアイの前縁及び後縁故障密度(leading and trailing edge failure density)をホストによって判断することができる。また、ホストは、故障率勾配(failure rate gradients)を測定することができる。この実施形態ではバーストエラーカウンタが使用されるが、いくつかの実施形態では、カウンタは、バースト中の各エラーがカウンタ値を増加させる通常エラーカウンタモードで動作され得る。また、エラーカウンタの使用は、以下で更に説明するように、書き込みトレーニングを参照せずにデータアイマージニングを実行することができるXORロジックモードを、LFSRパターンを参照せずに実行することを可能にする。
【0030】
また、図示された構成は、バーストに対するエラーカウント値が単一のバーストにおいてPAMエンコーダによって送信され得るという利点を有する。好ましくは、WRTRモードにおいて、DQレーンのPAMエンコーダは、複数のPAMレベルのうち2つのみを使用して動作され、エラーを回避し、PAM符号化プロセスを簡略化する。例えば、PAM3符号化では、+1及び-1レベルのみがエラーカウントを送信するために使用される。
【0031】
図4は、いくつかの追加の実施形態による、データトレーニングロジック回路400のブロック図である。データトレーニングロジック回路400は、図2のデータトレーニングロジック回路270として使用するのに適している。概して、データトレーニングロジック回路は、シンボルマスキング能力と、書き込みトレーニングを参照せずにデータアイマージニングを実行することができ、LFSRパターンを参照せずにデータアイマージニングを実行することができるXORロジックモードと、を含む。
【0032】
データトレーニングロジック回路400は、PRBS発生器402と、最大遷移回避(MTA)エンコーダ404と、マスキング回路406と、バーストエラー検出カウンタ410と、「DES+FIFO」とラベル付けされたデシリアライザ及びFIFO回路412と、「T2G及びXOR」とラベル付けされた温度計からグレイへの変換及びXOR回路420と、3つのフリップフロップ414、416、418と、を含む。
【0033】
PRBS発生器402は、制御入力(図示せず)及び出力を有し、概して、LFSRを初期化するための制御ロジックとともに少なくとも1つのLFSRを含む。MTAエンコーダ404は、PRBS発生器402の出力に接続された入力及び出力を有する。マスキング回路406は、「モード」とラベル付けされたモード信号を受信するための第1のモード入力と、「SYMBOL_MASK[7:0]」とラベル付けされたシンボルマスク入力と、「EYE_LEVEL_MASK[1:0]」とラベル付けされたアイマスク入力と、2つのデータ入力と、「PRBS[31:0]」とラベル付けされた第1の出力と、「データ[31:0]」とラベル付けされた第2の出力と、を有する。
【0034】
バーストエラー検出カウンタ410は、マスキング回路406のPRBS[31:0]出力に接続された第1の入力と、マスキング回路406のデータ[31:0]出力に接続された第2の入力と、「CNT_RST」とラベル付けされたカウンタリセット入力と、モード入力と、カウンタ出力と、を有する。
【0035】
フリップフロップ414、416、418の各々は、「D」入力、クロック入力及び「Q」出力を有する。「VRHIGH」、「VRMID」及び「VRLOW」とラベル付けされた3つの基準電圧は、それぞれフリップフロップ414、416、418のD入力に接続される。T2G及びXOR回路420は、フリップフロップ418の出力から信号「D0」を受信する第1の入力と、フリップフロップ416の出力から信号「D1」を受信する第2の入力と、フリップフロップ414の出力から信号「D2」を受信する第3の入力と、モード入力と、「DatH」とラベル付けされた第1の出力と、「DatL」とラベル付けされた第2の出力と、を有する。フリップフロップ414、416、418は、PAM受信機のレベル検出器又は比較器(スライサとしても知られる)として機能する専用フリップフロップ回路であり、それらのクロック入力は全て、「DQ[n]」とラベル付けされたDQレーン信号に接続され、それらの3つの出力は、DQ信号がそれぞれの基準電圧入力VRHIGH、VRMID及びVRLOWよりも高いか否かを示す。T2G及びXOR回路420は、概して、PAM受信機のためのPAMデコーダとして働き、図5図7に関して以下で更に説明するように、自己参照比較を実行するためのPAMレベルデコーダ又はXOR比較回路の何れかとして、2つの異なるモードで動作する。
【0036】
デシリアライザ及びFIFO回路412は、T2G及びXOR回路420からのDatH出力を受信する第1の入力と、T2G及びXOR回路420からのDatL出力を受信する第2の入力と、マスキング回路406のデータ入力に接続された出力と、を有する。デシリアライザ及びFIFO回路812は、入力シリアルデータストリームDatH及びDatLをその出力において32ビット幅のデータ信号に変換するFIFOバッファである。
【0037】
動作中、データトレーニングロジック回路400は、図3のものと同様に動作することができ、DQ[n]を介して受信されたデータをPRBS402によって生成されたデータと比較し、マスキング能力及び受信機XOR比較能力を含む。マスキング回路406は、モード入力によって選択可能なアイレベルマスキング又はシンボルレベルマスキングの何れかを適用することができる。アイレベルマスキングは、概して、EYE_LEVEL_MASK[1:0]入力によって制御されるように、上側アイ又は下側アイの何れかを分離するために、PAMデコーダ出力を再マッピングすることを含む。シンボルレベルマスキングは、SYMBOL_MASK[7:0]入力によって制御されるようにバースト内の選択されたシンボルを分離する能力を提供する。シンボルレベルマスキングは、PRBS及び受信データの両方において、選択されたマスキングされたシンボルビットを全て0にすることによって適用され、したがって、検査されるべきビットのみが、エラーチェック及びエラーカウントのために比較ロジックに供給されるように残される。シンボルレベルマスキング能力は、システムノイズのために頻繁にエラーを有する可能性があり、したがって一般に全体的なアイトレーニングを歪める可能性があるビットの分離を可能にすることによってトレーニングの改善を提供する。例えば、バースト中の第1のシンボルは、第1のシンボル上に存在し得る電力ノイズの影響を回避するためにマスキングされ得る。そのようなマスクは、トレーニング中に絶えず適用され得る。別の例として、個々のシンボルを順次マスクオフして、偏差等のデータをキャプチャし得る。
【0038】
図5により詳細に示されるT2G及びXOR回路420を参照すると、温度計からグレイへのエンコーダ502と、2つのXORゲート504及び506と、2つのマルチプレクサ508及び510と、を含む。T2G及びXOR回路420は、自己比較能力を追加するために、PAM受信機(PAM3又はPAM4受信機等)の通常のT2Gエンコーダに取って代わる。T2Gエンコーダ502は、3つの入力及び2つの出力を有する。それは、3つの入力D0、D1、D2を受信し、出力上に2ビットコードを生成する。また、XORゲート504は、入力D1及びD2を受信し、XORゲート506は入力D0及びD1を受信する。XORゲート504は「XORH」とラベル付けされた出力を有し、XORゲート506は「XORL」とラベル付けされた出力を有する。XORL及びXORHは、マルチプレクサ508及びマルチプレクサ510の両方のそれぞれの入力に供給される。この実施形態では温度計からグレイへのエンコーダが使用されるが、他の実施形態は、例えば温度計からバイナリへのエンコーダ等の他の適切なエンコーダを使用することができる。
【0039】
マルチプレクサ508は、T2Gエンコーダ502の第1の出力に接続された第1の入力と、XORゲート504及び506の出力を受信する第2及び第3の入力と、モード入力に接続された制御入力と、を有する。同様に、マルチプレクサ510は、T2Gエンコーダ502の第2の出力に接続された第1の入力と、XORゲート504及び506の出力を受信する第2及び第3の入力と、モード入力に接続された制御入力と、を有する。通常動作モードでは、マルチプレクサ508及び510は、T2Gエンコーダ出力をDatH及びDatLに渡す。XOR比較モードでは、マルチプレクサ508及び510は、モード入力によって選択されるように、D0及びD1、又は、D1及びD2の何れかのXOR比較の結果を渡す。この実施形態では、モード入力は、所望のデータを渡すようにマルチプレクサを構成する2ビットのバイナリ数である。「0」値は、T2Gエンコーダ出力をDatH及びDatLに渡す。「1」値は、XORHをDatH及びDatLの両方にのみ渡す。「2」値は、XORLをDatH及びDatLの両方にのみ渡す。「3」値は、XORHをDatHに渡し、XORLをDatLに渡す。XOR比較データは、選択的に変化するVRHIGH、VRMID、VRLOWとともに使用されて、以下の図6図7に関して更に説明するように、PAM受信機のデータアイの自己参照トレーニングを実行する。
【0040】
図6は、いくつかの実施形態による、PAM受信機の基準電圧の変動を示す図600を示している。信号電源電圧VDDQ、及び、通常動作中の基準電圧VRMID、VRHIGH、VRLOWの変動範囲を示すスケールが示されている。(VDDQは変化してもよいし、異なるレベルに設定されてもよく、基準電圧に異なる値を必要とする。)通常のPAM受信機の一部である調整可能な基準電圧は、図7に示されるようなアイトレーニングの新しい技術を可能にする。
【0041】
図7は、いくつかの実施形態による、自己参照を使用するXORアイマージニングプロセスを示すアイ図700を示している。縦軸はDQ[n]上の電圧を表し、横軸は時間を表す。PAM4信号に対するデータアイが示されているが、同じプロセスが、例えば、PAM3、PAM6又はPAM8等の他のPAMシグナリング方式に対して使用されてもよい。
【0042】
図6及び図7の両方を参照すると、示されるアイ図は、多数の電圧遷移を重複させることによって画定される3つのデータアイ702、704、706を含む。アイの通常の予想される上及び下の境界は、レベル710、712、714、716に示されている。PAM受信機の通常動作では、基準電圧VRHIGH、VRMID、VRLOWは、DQ[n]の電圧レベルを識別するために、3つの異なるスライサ又は比較器(図4の回路においてこの目的のために使用されるフリップフロップ414、416、418等)に進む。XOR自己参照モードでは、基準電圧は、一度に単一のデータアイに対するデータアイのマージンを見つけるという異なる役割を有する。
【0043】
このプロセスでは、2つのスライサは、同じアイにおいてサンプル比較を行うように調整された基準電圧を有する。第3の基準電圧及びそのスライサの出力は、このプロセスでは無視される。図7の示された例示的なシナリオでは、データアイ704は、各DQ[n]ドライバの位相遅延をトレーニングするためにテストされている。VRMIDは、レベル712と714との間の予想される電圧範囲の中央の大きさに設定される。VRHIGHは値が上下に調整され、スライサの出力(この場合はD1及びD2)がXORゲート504に供給されて、それらが同じ値を検出するかどうかが判定される。各ビット周期の各サンプルについて、XOR出力は、D1とD2が等しいか否かを示す。VRHIGHが連続するサンプルにわたってレベル712から714までの範囲にわたって掃引(スイープ)されると、最終的にD1及びD2は等しい状態から等しくない状態に変化し、アイの包絡線がVRHIGHの現在のレベルにあることを示す。DQ[n]ドライバの位相オフセットは、アイの包絡線エッジ又はマージンを検出するために、このプロセス中に前方及び後方に調整される。これらのマージンが識別されると、位相オフセットは中心位相オフセット点(すなわち、識別された包絡線エッジから最も離れた点)に設定される。
【0044】
このXOR自己参照プロセスは、特定のデータパターンを必要とせず、受信されたD1及びD2を、対の他方の値以外のものと比較しない。したがって、このプロセスでは使用されないDQ[n]ドライバ及びPRBS発生器からのデータパターンの初期化及びタイミングを調整する必要がない。更に、このプロセスを使用して、異常を検出するために4つ全ての角でアイの包絡線の形状を検出することができる。最後に、このプロセスは、例えばPAM3、PAM6又はPAM8等のように、上述した異なるPAMシグナリング構成とともに使用することができる。
【0045】
次に、このプロセスがデータアイ702及び706に対して繰り返され、それらの包絡線エッジの位置を特定する。理解され得るように、基準電圧の何れの対が使用されるかは問題ではないが、この実施形態では、XORゲート504及び506が各々D1を使用するので、VRMIDは、各アイのために使用される何れかの対である。この実施形態では、VRMIDはデータアイ704の中心の値に保持されるが、VRHIGH又はVRLOWをこの役割にも使用することができ、VRMIDが掃引される。好ましくは、各基準電圧は、VDDQの全範囲にわたって、又は、少なくとも任意のスライサ基準電圧の予想される全範囲にわたって調整可能である。最低でも、少なくとも1つの基準電圧は、各アイの中心に調整可能であるべきであり、少なくとも1つの他の基準電圧は、アイの予想される電圧範囲を通して掃引するように調整可能であるべきである。
【0046】
図4の実施形態では、XOR比較の出力は、バーストエラー検出カウンタ410に供給され、バーストエラー検出カウンタ410は、PAM受信機のデータアイの外側マージンを検出するために、XOR比較による異なるPAMレベルの検出をエラーとしてカウントする。このようにして、トレーニングシーケンスを用いたトレーニングに使用されるのと同じ比較ロジックをXOR自己参照プロセスに使用することができる。
【0047】
図8は、いくつかの追加の実施形態による、データトレーニングロジック回路800のブロック図である。データトレーニングロジック回路800は、図2のデータトレーニングロジック回路270として使用するのに適している。概して、データトレーニングロジック回路800は、図4の回路と同じシンボルマスキング能力と、データアイマージニングが実行され得る同様のXORロジックモードと、を有するが、XORロジックモードは、この実施形態では異なって実装される。
【0048】
データトレーニングロジック回路800は、PRBS発生器802と、最大遷移回避(MTA)エンコーダ804と、マスキング回路806と、バーストエラー検出カウンタ810と、「DES+FIFO」とラベル付けされたデシリアライザ及びFIFO回路812と、「T2G及びバイパス」とラベル付けされた温度計からグレイへの変換及びバイパス回路820と、3つのフリップフロップ814、816、818と、を含む。いくつかの実施形態は、PAM3シグナリングを使用し、MTAエンコーダを必要としないことに留意されたい。
【0049】
PRBS発生器802は、制御入力(図示せず)及び出力を有し、概して、LFSRを初期化するための制御ロジックとともに少なくとも1つのLFSRを含む。MTAエンコーダ804は、PRBS発生器802の出力に接続された入力及び出力を有する。マスキング回路806は、第1のモード入力と、「SYMBOL_MASK[7:0]」とラベル付けされたシンボルマスク入力と、「EYE_LEVEL_MASK[1:0]」とラベル付けされたアイマスク入力と、データ入力と、「PRBS[31:0]」とラベル付けされた第1の出力と、「データ[31:0]」とラベル付けされた第2の出力と、を有する。
【0050】
フリップフロップ814、816、818の各々は、「D」入力、クロック入力及び「Q」出力を有する。「VRHIGH」、「VRMID」、「VRLOW」とラベル付けされた3つの基準電圧は、それぞれフリップフロップ814、816、818のD入力に接続される。T2G及びバイパス回路820は、フリップフロップ818の出力から信号「D0」を受信する第1の入力と、フリップフロップ816の出力から信号「D1」を受信する第2の入力と、フリップフロップ814のモード入力の出力から信号「D2」を受信する第3の入力と、「DatH」とラベル付けされた第1の出力と、「DatL」とラベル付けされた第2の出力と、を有する。フリップフロップ814、816、818は、概して、PAM受信機のレベル検出器又は比較器として機能し、それらのクロック入力は全て、「DQ[n]」とラベル付けされたDQレーン信号に接続され、それらの3つの出力は、DQ信号がそれぞれの基準電圧入力VRHIGH、VRMID、VRLOWよりも高いか否かを示す。
【0051】
デシリアライザ及びFIFO回路812は、T2G及びバイパス回路820からのDatH出力を受信する第1の入力と、T2G及びバイパス回路820からのDatL出力を受信する第2の入力と、マスキング回路806のデータ入力に接続された出力と、を有する。デシリアライザ及びFIFO回路812は、入力シリアルデータストリームDatH及びDatLをその出力において32ビット幅のデータ信号に変換するFIFOバッファである。
【0052】
バーストエラー検出回路810は、マスキング回路806のPRBS[31:0]出力に接続された第1の入力と、マスキング回路806のデータ[31:0]出力に接続された第2の入力と、「CNT_RST」とラベル付けされたカウンタリセット入力と、モード入力と、カウンタ出力と、を有する。この実施形態では、バーストエラー検出回路810は、図3の回路310と同様であるが、データ入力とその比較ロジック813との間にマルチプレクサ811を含み、回路810が、通常のエラーカウントモードでPRBS[31:0]をデータ[31:0]と比較するために比較ロジック813を使用することを可能にするが、XOR比較モードでは、DatH及びDatL上の2つのビットストリームを比較する。このようにして、上述したXOR自己参照比較は、以下で更に説明するように、T2G及びバイパス回路820をバイパスモードに設定し、バーストエラー検出回路810において信号D0、D1、D2からの所望の対を比較することによって完了することができる。
【0053】
動作において、データトレーニングロジック回路800は、図3の回路と同様に動作することができ、DQ[n]を介して受信されたデータをPRBS802によって生成されたデータと比較し、マスキング能力及び受信機XOR比較能力を含む。マスキング回路806は、図4に関して上述したように、モード入力によって選択可能なアイレベルマスキング又はシンボルレベルマスキングの何れかを適用することができる。
【0054】
図9は、図8のT2G及びバイパス回路820のより詳細な図のブロック図である。T2G及びバイパス回路820は、温度計からグレイへのエンコーダ902と、2つのマルチプレクサ908及び910と、を含む。T2G及びバイパス回路820は、バイパス機能を追加するために、PAM受信機(PAM3又はPAM4受信機等)の通常のT2Gエンコーダに取って代わる。T2Gエンコーダ902は、3つの入力及び2つの出力を有する。それは、3つの入力D0、D1、D2を受信し、出力上に2ビットコードを生成する。
【0055】
マルチプレクサ908は、T2Gエンコーダ902の第1の出力に接続された第1の入力と、D2及びD0入力を受信する第2及び第3の入力と、モード入力に接続された制御入力と、出力と、を有する。マルチプレクサ910は、T2Gエンコーダ902の第2の出力に接続された第1の入力と、D1入力を受信する第2の入力と、モード入力に接続された制御入力と、出力と、を有する。
【0056】
通常動作モードでは、マルチプレクサ908及び910は、T2Gエンコーダ出力をDatH及びDatLに渡す。2ビット信号であるモード制御入力は、「0」を使用して通常モードを設定し、「1」を使用してD2を通過させてバーストエラー検出カウンタ810におけるXOR比較のためにD2をDatHに、D1をDatLに通過させ、「2」を使用してバーストエラー検出カウンタ810におけるXOR比較のためにD0をDatHに、D1をDatLに通過させる。
【0057】
データトレーニングロジック回路300、400及び800等の図2のメモリ200は、プログラムによって読み取られ、集積回路を製造するために直接的又は間接的に使用され得るデータベース又は他のデータ構造の形態のコンピュータアクセス可能データ構造によって記述又は表現され得る。例えば、本データ構造は、ベリログ又はVHDL等のハードウェア記述言語(HDL)におけるハードウェア機能の挙動レベル記述又はレジスタ転送レベル(RTL)記述であってもよい。記述は、合成ライブラリからゲートのリストを含むネットリストを生成するために記述を合成することができる合成ツールによって読み取ることができる。ネットリストは、集積回路を含むハードウェアの機能も表すゲートのセットを含む。ネットリストは、次に、マスクに適用される幾何学的形状を記述するデータセットを生成するために配置され、ルーティングされてもよい。次に、マスクを、様々な半導体製造工程で使用して、集積回路を製造してもよい。代替的に、コンピュータアクセス可能記憶媒体上のデータベースは、所望の場合、ネットリスト(合成ライブラリの有無にかかわらず)若しくはデータセット、又は、グラフィック・データ・システム(Graphic Data System、GDS)IIデータであってもよい。
【0058】
特定の実施形態を説明してきたが、これらの実施形態に対する様々な修正が当業者には明らかであろう。例えば、GDDRメモリは、本明細書の技術を使用するものとして説明されているが、他のタイプのDRAM又は他のメモリタイプも、上述したリンクトレーニング技術及び回路から利益を得ることができる。別の例として、本明細書におけるバーストエラー検出カウンタは、バースト内の個々のエラーをカウントするように構成され得る。バーストの長さ及びデータ経路のサイズは、当然ながら、メモリの異なる構成にわたって変動し得る。最後に、図4図7に関して説明したXOR自己参照トレーニング技術は、PAMシグナリングを使用する様々な通信リンクをトレーニングするために使用することができ、本明細書のバーストエラー検出カウンタ構成を必ずしも必要としない。図6図7のプロセスで使用される対になった信号の不一致をカウントするために、様々なカウンタ構成を使用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、開示された実施形態の範囲に含まれる開示された実施形態の全ての変更を網羅することを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9