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特許7651363冷却ガス供給部を備える垂直バッチ炉組立品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-17
(45)【発行日】2025-03-26
(54)【発明の名称】冷却ガス供給部を備える垂直バッチ炉組立品
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20250318BHJP
   F27B 17/00 20060101ALI20250318BHJP
   F27D 9/00 20060101ALI20250318BHJP
【FI】
H01L21/31 E
F27B17/00 B
F27D9/00
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021071864
(22)【出願日】2021-04-21
(65)【公開番号】P2021174992
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2024-04-08
(31)【優先権主張番号】63/014,993
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】メルヴィン・フェルバース
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアヌス・ゲー・エム・デ・リッデル
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-224217(JP,A)
【文献】特表2000-512374(JP,A)
【文献】特開2020-013967(JP,A)
【文献】特開2004-304096(JP,A)
【文献】特開平08-074058(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110527989(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
F27B 17/00
F27D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直バッチ炉組立品(10)であって、
-長軸方向に延在する細長い円周方向壁(14)を有するコアチューブ(12)であって、前記コアチューブ(12)が、前記垂直バッチ炉組立品(10)内で加工するためのウエハを収容するように構成されている、コアチューブ(12)と、
-前記コアチューブ(12)の周りに延在し、前記コアチューブ(12)内に収容されるウエハに熱処理を適用するための加熱要素(18)を備える外側ケーシング(16)と、
-半径方向外側面では前記外側ケーシング(16)によって、半径方向内側面では前記コアチューブ(12)によって境界付けられている、冷却チャンバ(20)と、
前記冷却チャンバ(20)内に放射する少なくとも1つの冷却ガス供給部と、
少なくとも1つの冷却ガス排出部(30)と、を備え、
前記冷却ガス供給部が、少なくとも1つの冷却ガス供給開口部(26)を備え、前記少なくとも1つの冷却ガス供給開口部(26)が、前記円周方向壁(14)に実質的に接する流れ方向で冷却ガスが前記冷却チャンバ(20)に入るように構成され、
前記冷却ガス排出部が、少なくとも1つの排出開口部を備え、前記少なくとも1つの排出開口部が、前記円周方向壁(14)に実質的に接する流れ方向で前記冷却ガスが前記冷却ガス排出部に入るように構成されている、垂直バッチ炉組立品(10)。
【請求項2】
前記実質的に接する流れ方向が、前記細長い円周方向壁(14)の前記長軸方向に対して90度±15度の範囲の角度を含む、請求項1に記載の垂直バッチ炉組立品。
【請求項3】
前記実質的に接する流れ方向が、前記それぞれの冷却ガス供給開口部(26)に最も近く、かつ前記円周方向壁に接する、前記円周方向壁の点を通る平面に対して0度±10度の範囲の角度を含む、請求項1または2に記載の垂直バッチ炉組立品。
【請求項4】
各冷却ガス供給部が、冷却ガス入口チューブ(22)を備え、前記冷却ガス入口チューブ(22)の端部部分(24)が、前記冷却チャンバ(20)内に延在し、前記端部部分(24)が、前記少なくとも1つの冷却ガス供給開口部(26)を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の垂直バッチ炉組立品。
【請求項5】
各冷却ガス入口チューブ(22)が、1つの一体部品として具現化されている、請求項4に記載の垂直バッチ炉組立品。
【請求項6】
各冷却ガス入口チューブ(22)が、セラミック材料で作製されている、請求項4または5に記載の垂直バッチ炉組立品。
【請求項7】
前記冷却チャンバ(20)内に延在する前記冷却ガス入口チューブ(22)の軸端部(28)が、閉鎖されている、請求項4~6のいずれか一項に記載の垂直バッチ炉組立品。
【請求項8】
前記少なくとも1つの冷却ガス供給部が、前記コアチューブ(12)の周りに均等に離間配置された複数の冷却ガス供給部を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の垂直バッチ炉組立品。
【請求項9】
動作中、前記放射された冷却ガスが、前記コアチューブ(12)の前記細長い円周方向壁(14)に沿って、前記少なくとも1つの冷却ガス供給部から前記少なくとも1つの冷却ガス排出部(30)へと流れる、請求項1~8のいずれか一項に記載の垂直バッチ炉組立品。
【請求項10】
前記少なくとも1つの冷却ガス排出部(30)が、前記コアチューブ(12)の周りに均等に離間配置された複数の冷却ガス排出部(30)を含む、請求項9に記載の垂直バッチ炉組立品。
【請求項11】
前記少なくとも1つの冷却ガス供給部が、前記冷却チャンバの第1の長軸方向端部(32)またはその近くに配置され、前記少なくとも1つの冷却ガス排出部(30)が、前記冷却チャンバ第2の長軸方向端部(34)またはその近くに配置されている、請求項9または10のいずれか一項に記載の垂直バッチ炉組立品。
【請求項12】
前記少なくとも1つの冷却ガス排出部(30)から前記少なくとも1つの冷却ガス供給部まで延在する冷却ガス再循環チャネル(36、36a、36b)をさらに備え、前記冷却ガス再循環チャネル(36a、36b)が、
-ファンまたはブロアなどの圧力増加装置(38)と、
-前記再循環チャネル(36a、36b)内において前記冷却ガスを冷却するように構成された熱交換器(40)と、を備える、請求項9~11のいずれか一項に記載の垂直バッチ炉組立品。
【請求項13】
前記圧力増加装置(38)が、前記熱交換器(40)の下流に配置されている、請求項12に記載の垂直バッチ炉組立品。
【請求項14】
前記少なくとも1つの冷却ガス排出部(30)の構成が、前記少なくとも1つの冷却ガス供給部の構成と類似しており、前記冷却チャンバ(20)内の前記冷却ガスの前記流れ方向が、可逆的であり、前記少なくとも1つの排出開口部が、前記冷却チャンバ(20)内の前記冷却ガスの前記流れ方向が逆転し、前記排出開口部が冷却ガス供給開口部(26)としての役割を果たす場合に、前記冷却ガスが前記円周方向壁(14)に実質的に接する流れ方向で前記冷却チャンバ(20)に入るように構成されている、請求項9~13のいずれか一項に記載の垂直バッチ炉組立品。
【請求項15】
前記冷却ガス再循環チャネル(36)が、前記冷却ガスを、前記少なくとも1つの冷却ガス供給部に、続いて前記冷却チャンバ(20)を介して前記少なくとも1つの冷却ガス排出部(30)へ、または代替的に、前記少なくとも1つの冷却ガス排出部(30)に、続いて前記冷却チャンバ(20)を介して前記少なくとも1つの冷却ガス供給部へといずれかに向けるための、ダイバータバルブ(42a、42b)および/または排出バルブ(52a、52b)を備える、少なくとも請求項12に従属する請求項14に記載の垂直バッチ炉組立品。
【請求項16】
垂直バッチ炉を冷却するための方法であって、
-請求項1~15のいずれか一項に記載の垂直バッチ炉組立品(10)を提供することと、
-前記円周方向壁に実質的に接する流れ方向で、前記冷却チャンバ(20)内に冷却ガスを供給することと、を含む、方法。
【請求項17】
前記実質的に接する流れ方向が、前記細長い円周方向壁(14)の前記長軸方向に対して90度±15度の範囲の角度を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記実質的に接する流れ方向が、前記それぞれの冷却ガス供給開口部(26)に最も近く、かつ前記円周方向壁(14)に接する、前記円周方向壁の点を通る平面に対して0度±10度の範囲の角度を含む、請求項16または17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、冷却ガス供給部を備える垂直バッチ炉組立品に関する。
【背景技術】
【0002】
ほとんどの垂直バッチ炉は、垂直バッチ炉内で加工されるウエハを収容するように構成されたコアチューブを備える。垂直バッチ炉内での処理中、ウエハおよびコアチューブが高温になる場合がある。垂直バッチ炉組立品のスループットを早めるために、コアチューブを冷却することができる。冷却ガスは、コアチューブの円周方向壁と外側ケーシングとの間の冷却チャンバの横方向の側面にある、いくつかの円周方向に離間配置された開口部から供給され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
この「発明の概要」は、選択された複数の概念を簡略化した形態で紹介するために提供されている。これらの概念について、以下の本開示の例示的な実施形態の「発明を実施するための形態」において、さらに詳細に説明される。この発明の概要は、特許請求される主題の主要な特徴も本質的な特徴も特定することを意図しておらず、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることも意図していない。
【0004】
円周方向に離間配置された開口部は、コアチューブの円周方向壁上にコールドスポットを局所的に生成し得ることが実現され得る。かかるコールドスポットは、円周方向壁内の温度差を引き起こす可能性があり、これは、当該円周方向壁内の応力をもたらす場合がある。さらに、コアチューブ内側のウエハが、当該ウエハの破損をもたらし得る温度差にさらされる場合もある。
【0005】
したがって、上述の問題を軽減することができる垂直バッチ炉組立品を提供することが目的である場合がある。
【0006】
そのために、請求項1に記載の垂直バッチ炉組立品が提供され得る。より具体的には、垂直バッチ炉組立品であって、コアチューブと、外側ケーシングと、外側ケーシングおよびコアチューブによって境界付けられ、囲い込まれている冷却チャンバと、冷却チャンバ内に放射する少なくとも1つの冷却ガス供給部と、を備える、垂直バッチ炉組立品が提供され得る。コアチューブは、長軸方向に延在する細長い円周方向壁を有し得、かつコアチューブは、垂直バッチ炉内で加工するためのウエハを収容するように構成され得る。外側ケーシングは、コアチューブの周りに延在し得、コアチューブ内に収容されるウエハに熱処理を適用するための加熱要素を備え得る。冷却ガス供給部は、少なくとも1つの冷却ガス供給開口部を備えることができ、少なくとも1つの冷却ガス供給開口部は、円周方向壁に実質的に接する流れ方向で冷却ガスが冷却チャンバに入るように配置されている。
【0007】
請求項16に記載の垂直バッチ炉を冷却するための方法も提供され得る。より具体的には、説明による垂直バッチ炉10を提供することと、円周方向壁に実質的に接する流れ方向で、冷却チャンバ20内に冷却ガスを供給することと、を含む、方法が提供され得る。実質的に接する流れ方向は、細長い円周方向壁14の長軸方向に対して90度±15度の範囲の角度を含み得、上記それぞれの冷却ガス供給開口部に最も近く、かつ円周方向壁に接する、円周方向壁の点を通る平面に対して0度±10度の範囲の角度を含み得る。
【0008】
本発明と先行技術を超えて達成された利点とを要約する目的で、本発明の特定の目的および利点が本明細書において上記に説明されている。当然のことながら、必ずしもこうした目的または利点のすべてが本発明の任意の特定の実施形態によって達成されなくてもよいことが理解されるべきである。それ故に、例えば本明細書に教示または示唆するとおりの1つの利点または一群の利点を達成または最適化する様態で、本明細書で教示または示唆され得るとおりの他の目的または利点を必ずしも達成することなく、本発明が具現化または実行されてもよいことを当業者は認識するであろう。
【0009】
様々な実施形態が従属の特許請求の範囲で特許請求され、これは図に示される例を参照してさらに明らかにされる。実施形態は、組み合わせてもよく、または互いに別々に適用してもよい。
【0010】
これらの実施形態のすべては、本明細書に開示した本発明の範囲内であることが意図されている。これらのおよび他の実施形態は、添付の図面を参照する特定の実施形態の以下の「発明を実施するための形態」から、当業者に容易に明らかとなり、本発明は、開示されたいかなる特定の実施形態にも限定されない。
【0011】
本明細書は、本発明の実施形態と見なされるものを具体的に指摘し、明確に特許請求する特許請求の範囲で結論付ける一方で、本開示の実施形態の利点は、添付の図面と併せて読むと、本開示の実施形態のある特定の実施例の説明から、より容易に解明され得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】説明による垂直バッチ炉組立品の一例を示す。
図2図1の例の外側ケーシングの最上部部分の逆さ図を示す。
図3図2の詳細の分解斜視図を概略的に示す。
図4】説明による冷却ガス入口チューブの端部部分の一例の断面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本出願において、類似のまたは対応する形体は、類似のまたは対応する参照符号によって示される。様々な実施形態の説明は、図に示される例に限定されず、発明を実施するための形態および特許請求の範囲で使用される参照番号は、実施形態の説明を制限することを意図しておらず、実施形態を明確に理解するために含められている。
【0014】
ある特定の実施形態および実施例を以下に開示するが、それらは、本発明が具体的に開示する本発明の実施形態および/または用途、ならびにその明白な変更および均等物を超えて拡大することは、当業者により理解されるであろう。それ故に、開示される本発明の範囲は、以下に説明される特定の開示された実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。本明細書に示される図は、任意の特定の材料、構造または装置の実際の図であることを意味せず、本開示の実施形態を説明するために使用されている、単に理想化された表現にすぎない。
【0015】
本明細書で使用する「ウエハ」という用語は、使用される場合がある、または上に装置、回路もしくはフィルムが形成される場合がある、あらゆる下層材料または複数の下層材料を指してもよい。
【0016】
最も一般的には、本開示は、垂直バッチ炉組立品10を提供し得る。垂直バッチ炉組立品10は、コアチューブ12と、外側ケーシング16と、半径方向外側面では外側ケーシング16によって、半径方向内側面ではコアチューブ12によって境界付けられている冷却チャンバ20と、冷却チャンバ20内に放射する少なくとも1つの冷却ガス供給部と、を備え得る。コアチューブ12は、長軸方向Lに延在する細長い円周方向壁14を有し得、かつコアチューブ12は、垂直バッチ炉組立品10内で加工するためのウエハを収容するように構成され得る。外側ケーシング16は、コアチューブ12の周りに延在し得、コアチューブ12内に収容されるウエハに熱処理を適用するための加熱要素18を備え得る。冷却ガス供給部は、少なくとも1つの冷却ガス供給開口部26を備えることができ、少なくとも1つの冷却ガス供給開口部26は、円周方向壁14に実質的に接する流れ方向で冷却ガスが冷却チャンバ20に入るように配置されている。実質的に接する流れ方向は、細長い円周方向壁14の長軸L方向に対して90度±15度の範囲の角度を含み得る。実質的に接する流れ方向は、上記それぞれの冷却ガス供給開口部26に最も近く、かつ円周方向壁14に接する、円周方向壁14の点を通る平面に対して0度±10度の範囲の角度を含み得る。
【0017】
ガス供給開口部26からのガスの流れ方向が、少なくとも最初は円周方向壁14に接している状態では、冷却ガスは、細長い円周方向壁14の長軸方向に沿ってすぐには流れず、代わりに円周方向壁14の接線方向に広がる。冷却ガスが円周方向壁14の接線方向に広がった後にのみ、冷却ガスは、図1の矢印Fで示されるように、細長い円周方向壁14の長軸方向Lに沿って流れる。冷却ガスを最初に接線方向に分配することによって、円周方向壁14がより均一に冷却される。このように、コールドスポットは形成されず、これらのいわゆるコールドスポットに関連する欠点が防止される。
【0018】
一例が図3の分解立体図に示されている一実施形態では、各冷却ガス供給部は、冷却ガス入口チューブ22を備えることができ、その端部部分24は、冷却チャンバ20内に延在する。上記端部部分24は、図4にも示されるように、少なくとも1つの冷却ガス供給開口部26を備え得る。各冷却ガス入口チューブ22は、一体で作製され得る。各冷却ガス入口チューブ22は、セラミック材料で作製され得る。冷却チャンバ20内に延在する冷却ガス入口チューブ22の軸方向端部28は、閉鎖されていてもよい。
【0019】
図4に示される例では、冷却ガス入口チューブ22は、冷却チャンバ20内に延在する。冷却ガス入口チューブ22は、外側ケーシング16内の開口部44を通って延在し得る。冷却ガス入口チューブ22の軸方向端部28を閉鎖することによって、冷却ガスが、細長い円周方向壁14の長軸方向に平行に冷却チャンバ20に入るのを防止することができる。示される冷却ガス入口チューブ22の端部部分は、2つの冷却ガス供給開口部26を備える。各供給開口部は、上記開口部を介して冷却チャンバ20に入る冷却ガスが円周方向壁14に対して接線方向に冷却チャンバ20に入るように向き付けされている。冷却ガス入口チューブ22は、外側ケーシング16内の対応する凹部48と協働するように配置されたカム46を備えることができ、凹部48は、中を通って冷却ガス入口チューブ22が延在する開口部44の部分である。冷却ガス入口チューブ22上のカム46と外側ケーシング16内の凹部48との組み合わせにより、外側ケーシング16に対して、ひいては、垂直バッチ炉組立品10およびコアチューブ12に対しても冷却ガス入口チューブ22の向きを固定する。これにより、冷却ガス供給開口部26が、コアチューブ12に対して正しい向きを有し、それにより、冷却ガスが、円周方向壁14に実質的に接する流れ方向を有する冷却チャンバ20に入ることを確保することができる。
【0020】
冷却ガス入口チューブ22は、コアチューブ12内のウエハの処理中に加熱され得る。供給される冷却ガスは、冷却を開始すると、冷却ガス入口チューブ22の温度の大きな低下をもたらし得る。この温度の低下は、冷却ガス入口チューブ22内の内部応力をもたらし得る。冷却ガス入口チューブ22を1つの一体部品として具現化することによって、この内部応力によって引き起こされる冷却ガス入口チューブ22の破損を引き起こし得る、冷却ガス入口チューブ22内の脆弱な接合部がなくなる。好ましくは、各冷却ガス入口チューブ22は、セラミック材料で作製されている。セラミック材料は、高温および大きな温度変動の両方に耐えることができる。これにより、セラミック材料は、冷却ガス入口チューブ22のために非常に好適である。
【0021】
一例が図2に示される一実施形態では、少なくとも1つの冷却ガス供給部22は、コアチューブ12の周りに均等に離間配置された複数の冷却ガス供給部を備える。冷却ガス供給部をコアチューブ12の周りに均等に離間配置することによって、細長い円周方向壁14に沿った冷却ガスの均一な流入を得ることができる。
【0022】
一例が図1に示される一実施形態では、垂直バッチ炉組立品10は、少なくとも1つの冷却ガス排出部30をさらに備えることができ、少なくとも1つの冷却ガス排出部30は、冷却チャンバ20から冷却ガスを排出するための少なくとも1つの排出開口部31を備える。動作中、放射された冷却ガスは、コアチューブ12の細長い円周方向壁14に沿って、少なくとも1つの冷却ガス供給部から少なくとも1つの冷却ガス排出部30へと流れ得る。
【0023】
少なくとも1つの冷却ガス排出部30は、コアチューブ12の周りに均等に離間配置された複数の冷却ガス排出部30を備え得る。冷却ガス排出部30をコアチューブ12の周りに均等に離間配置することによって、細長い円周方向壁14に沿った冷却ガスの均一な流出を得ることができる。
【0024】
図1に示されるように、少なくとも1つの冷却ガス供給部は、冷却チャンバの第1の長軸方向端部32またはその近くに配置され得、少なくとも1つの冷却ガス排出部30は、冷却チャンバ34の第2の長軸方向端部またはその近くに配置され得る。このようにして、冷却ガスは、矢印Fで示されるように、細長い円周方向壁14に沿って長軸方向に平行に流れる。
【0025】
垂直バッチ炉組立品10は、少なくとも1つの冷却ガス排出部30から少なくとも1つの冷却ガス供給部22まで延在する冷却ガス再循環チャネル36をさらに備え得る。冷却ガス再循環チャネル36は、ファンまたはブロアなどの圧力増加装置38と、再循環チャネル36内において冷却ガスを冷却するように構成された熱交換器40と、を備え得る。冷却ガスを再循環させることによって、冷却ガスが再利用され、これは、新しい冷却ガスを供給する必要がないことを意味する。これは、冷却ガスが周囲の空気ではないが、例えば、購入する必要があり、供給が不足する可能性のある濃縮窒素である場合に特に有利である。さらに、新しい冷却ガスを冷却チャンバ20内に絶えず導入しないことによって、破片または汚染のいずれも冷却チャンバ20に入らない。また、冷却チャンバまたは垂直バッチ炉組立品10の他の部分から生じる有害な汚染が、冷却ガスと一緒に周囲へ放出されない。
【0026】
好ましくは、圧力増加装置38は、熱交換器40の下流に配置され得る。冷却ガス供給開口部26の圧力を特定のレベルにすることが望ましい場合がある。圧力増加装置38が熱交換器40の下流に配置されることによって、圧力増加装置38は、圧力増加装置38が熱交換器40の上流に配置されている配置とは対照的に、冷却ガス供給開口部26で特定の圧力を達成するためにより少ない電力を必要とする。
【0027】
少なくとも1つの冷却ガス排出部30の構成は、少なくとも1つの冷却ガス供給部の構成と類似していてもよく、冷却チャンバ20内の冷却ガスの流れ方向は可逆的である。少なくとも1つの冷却ガス排出開口部は、冷却チャンバ20内の冷却ガスの流れ方向が逆転し、冷却ガス排出開口部が冷却ガス供給開口部26としての役割を果たす場合に、冷却ガスが円周方向壁14に実質的に接する流れ方向で冷却チャンバ20に入るように構成され得る。
【0028】
冷却ガスは、上記コアチューブ12からの熱を吸収することによってコアチューブ12を冷却し得る。一方向に流れる場合、冷却ガスは、冷却チャンバ20に入るときに最も冷たく、冷却ガス排出部30を介して出るときに最も温かい。これは、冷却ガス排出部30に最も近い円周方向壁14の部分が、冷却ガス供給チューブ22により近い円周方向壁14の部分よりも少ない程度に冷却ガスによって冷却されることを意味する。細長い円周方向壁14の全体的な冷却速度を増加させるために、冷却ガスが冷却ガス排出部30から冷却ガス供給部に向かって流れるようにすることも有益であり得る。次いで、冷却ガスは、特定の時間にわたって、円周方向壁14に沿って、冷却ガス供給部から冷却ガス排出部30へと流れ、それによって、冷却ガス供給部に最も近い円周方向壁14の部分を主に冷却し得る。上記特定の時間の後に、流れ方向が逆転し得、冷却ガスが、特定の時間にわたって、円周方向壁14に沿って、冷却ガス排出部30から冷却ガス供給部22へと流れ、それによって、冷却ガス排出部30に最も近い円周方向壁14の部分を主に冷却し得る。このようにして、冷却ガスの流れの全体的な冷却効率が増加する。
【0029】
図1に示される例では、この流れの反転は、圧力増加装置38の入口が再循環チャネル36の2つの吸引部分36bに接続され得るという点で影響を受ける場合がある。各吸引部分36bは、排出バルブ52a、52bを含み得る。圧力増加装置38の出口は、再循環チャネル36の圧力部分36aに接続され得る。冷却ガス再循環チャネル36の供給部分36aは、2つの部分に分かれており、各部分は、ダイバータバルブ42a、42bを備え得る。使用時、吸引部分36bのうちの一方のみが、冷却ガスを輸送するように動作可能であってもよく、もう一方は、関連する排出バルブ52aまたは52bによって閉鎖されていてもよい。ダイバータバルブ42a、42bと、排出バルブ52a、52bとを巧みに切り替えることによって、冷却ガスを、少なくとも1つの冷却ガス供給部22に、続いて冷却チャンバ20を介して少なくとも1つの冷却ガス排出部30へ、または代替的に、少なくとも1つの冷却ガス排出部30に、続いて冷却チャンバ20を介して少なくとも1つの冷却ガス供給部22へといずれかに向けることができる。
【0030】
機能的に同じであるのとは別に、冷却ガス排出部30はまた、冷却ガス供給部22と構造的に同じであってもよい。これは、1つのタイプの部品のみを製造する必要があるため、上記冷却ガス排出部30および冷却ガス供給部22を構築するのに有利である。
【0031】
本開示はまた、垂直バッチ炉を冷却するための方法を提供し得る。本方法は、説明による垂直バッチ炉10を提供することと、円周方向壁14に実質的に接する流れ方向で、冷却チャンバ20内に冷却ガスを供給することと、を含み得る。
【0032】
一実施形態では、実質的に接する流れ方向は、細長い円周方向壁14の長軸方向Lに対して90度±15度の範囲の角度を含む。
【0033】
一実施形態では、実質的に接する流れ方向は、上記それぞれの冷却ガス供給開口部26に最も近く、かつ円周方向壁14に接する、円周方向壁の点を通る平面に対して0度±10度の範囲の角度を含む。
【0034】
円周方向壁14に接する初期の流れでは、冷却ガスは、細長い円周方向壁14の長軸方向Lに沿ってすぐには流れず、代わりに円周方向壁14の接線方向に分配される。冷却ガスが円周方向壁14の接線方向に分配された後にのみ、冷却ガスは、細長い円周方向壁14に沿って長軸方向Lに流れる。このように、形成されるコールドスポットは存在せず、これらのいわゆるコールドスポットに関連する欠点が防止される。
【0035】
本発明の例示的な実施形態を、添付図面を部分的に参照しながら上記で説明してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことが理解されるべきである。本開示の実施形態に対する変形形態は、特許請求される発明を実施する当業者によって、図面、開示、および添付の特許請求の範囲の検討から、理解かつ達成されることができる。
【0036】
本明細書全体を通して、「1つの実施形態(one embodiment)」または「一実施形態(an embodiment)」の参照とは、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。それ故に、この説明全体の様々な個所での「1つの実施形態において(in one embodiment)」または「一実施形態において(in an embodiment)」という句の使用は、必ずしも同じ実施形態を指すわけではない。
【0037】
さらに、上述の様々な実施形態のうちの1つ以上の特定の特徴、構造、または特性は、相互に独立して使用、実施されてもよく、明示的に記述されていない新しい実施形態を形成するために任意の適切な様態で組み合わせられ得ることに留意されたい。発明を実施するための形態および特許請求の範囲で使用されている参照番号は、実施形態の説明を限定せず、請求項を制限しない。参照番号は明確にするためにのみ使用されている。
【符号の説明】
【0038】
10-垂直バッチ炉組立品
12-コアチューブ
14-円周方向壁
16-外側ケーシング
18-加熱要素
20-冷却チャンバ
22-冷却ガス入口チューブ
24-(冷却ガス入口チューブの)端部部分
26-冷却ガス供給開口部
28-(冷却ガス入口チューブの)軸方向端部
30-冷却ガス排出部
32-(冷却チャンバの)第1の長軸方向端部
34-(冷却チャンバの)第2の長軸方向端部
36-冷却ガス再循環チャネル
38-圧力増加装置
40-熱交換器
42a-ダイバータバルブ
42b-ダイバータバルブ
44-(外側ケーシング内の)開口部
46-カム
48-凹部
52a-排出バルブ
52b-排出バルブ
L-長軸方向
図1
図2
図3
図4