(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-18
(45)【発行日】2025-03-27
(54)【発明の名称】制御基板、電子機器及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20250319BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20250319BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20250319BHJP
【FI】
H05K1/02 F
G03G15/00 680
G03G21/16 152
(21)【出願番号】P 2020189783
(22)【出願日】2020-11-13
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 謙一
【審査官】沼生 泰伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-231729(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0003017(US,A1)
【文献】特開2019-159068(JP,A)
【文献】特開2014-027186(JP,A)
【文献】特開2010-205818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
G03G 15/00
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1放熱パッドを備える基板と、
放熱するための第2放熱パッドを備える電子デバイスと、
前記第1放熱パッドと前記第2放熱パッドの間に挟み込まれて設けられ、前記電子デバイスから発生した熱エネルギーを電気エネルギーに変換するペルチェ素子を備える発電デバイスと、
前記電気エネルギーを再利用する電源回路と、を備
え、
前記発電デバイスは、前記電子デバイスが有する第1端子と前記基板が有する第2端子とを接続する配線を備え、
前記発電デバイスは、前記電子デバイスの前記第2放熱パッドに接合する第1面と、前記基板の前記第1放熱パッドに接合する第2面と、を有し、
前記配線は、前記第1面と前記第2面との間を貫通し、
前記第1端子、前記第2端子及び前記配線は、上面視で同じ位置に位置する、
制御基板。
【請求項2】
前記配線は、前記電子デバイス及び前記基板との間で、インピーダンスが整合されている、
請求項
1に記載の制御基板。
【請求項3】
請求項1
又は請求項
2のいずれ
かに記載の制御基板を備える、
電子機器。
【請求項4】
請求項1
又は請求項
2のいずれ
かに記載の制御基板を備える、
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は制御基板、電子機器及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の排熱を利用して電気エネルギーを発生させるデバイスが知られている。当該デバイスから発生した電気エネルギーを二次電池といった電池に蓄えることで、エネルギーを再利用する技術が知られている。
【0003】
両端の温度差により発電する熱電発電素子が知られている。特許文献1には、電子部品から発生する熱を利用して熱電発電素子で電力を生成することができ、熱電発電素子と回路基板との電気的接続を容易に行えるシールド構造体が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示のシールド構造体では、熱電発電素子が電子部品のプリント基板に対して反対側に貼付されていた。したがって、プリント基板から浮いた位置に、熱電発電素子が固定されるため、熱電発電素子で発電した電気エネルギーに対して、導電性弾性体が必要であった。導電性弾性体が必要なため、コストが増加し、更に、導電性弾性体の抵抗分による無駄な損失が発生していた。
【0005】
本開示は、電子デバイスから発生した熱から発電デバイスで効率的に電気エネルギーを生成する制御基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一の態様によれば、第1放熱パッドを備える基板と、放熱するための第2放熱パッドを備える電子デバイスと、前記第1放熱パッドと前記第2放熱パッドの間に挟み込まれて設けられ、前記電子デバイスから発生した熱エネルギーを電気エネルギーに変換するペルチェ素子を備える発電デバイスと、前記電気エネルギーを再利用する電源回路と、を備え、前記発電デバイスは、前記電子デバイスが有する第1端子と前記基板が有する第2端子とを接続する配線を備え、前記発電デバイスは、前記電子デバイスの前記第2放熱パッドに接合する第1面と、前記基板の前記第1放熱パッドに接合する第2面と、を有し、前記配線は、前記第1面と前記第2面との間を貫通し、前記第1端子、前記第2端子及び前記配線は、上面視で同じ位置に位置する制御基板を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の制御基板によれば、電子デバイスから発生した熱から発電デバイスで効率的に電気エネルギーを生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る制御基板の斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る制御基板の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る制御基板の電子デバイスの下面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る制御基板の発電デバイスの上面図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る制御基板の発電デバイスの下面図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る制御基板の発電デバイスの断面図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る制御基板のブロック図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係る制御基板の変形例の上面図である。
【
図9】
図9は、本実施形態に係る制御基板の変形例の側面図である。
【
図10】
図10は、本実施形態に係る電子機器の一例である画像形成装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。下記、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。また、理解を容易にするため、図面における各部の縮尺と、実際の縮尺とが異なる場合がある。平行、直角、直交、水平、垂直、上下、左右などの方向には、実施形態の効果を損なわない程度のずれが許容される。角部の形状は、直角に限られず、弓状に丸みを帯びてもよい。平行、直角、直交、水平、垂直には、略平行、略直角、略直交、略水平、略垂直が含まれてもよい。
【0010】
以下に添付図面を参照して、本実施形態にかかる制御基板1を詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0011】
<制御基板1>
制御基板1は、プリンタ又は複合機等の電子機器に用いられる。
【0012】
図1は、本実施形態に係る制御基板1の斜視図である。
図2は、本実施形態に係る制御基板1の分解斜視図である。
【0013】
図には、説明の便宜のため、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸(XYZ軸)からなる仮想3次元座標系(XYZ直交座標系)が設定される場合がある。ただし、当該座標系は、説明のために定めるものであって、制御基板1等の姿勢について限定するものではない。
【0014】
本開示では、特に説明しない限り、X軸方向及びY軸方向は、制御基板1の基板30の主面に平行な方向とする。Z軸は、当該X軸、Y軸に垂直な方向とする。また、制御基板1の基板30に対して、電子デバイス10及び発電デバイス20が搭載されている側、すなわち、+Z側を、上と呼ぶ場合がある。
【0015】
制御基板1は、電子デバイス10、発電デバイス20及び基板30を備える。電子デバイス10は、制御基板1を搭載する電子機器が動作する際に所定の動作を行う集積回路(IC(Integrated Circuit))である。発電デバイス20は、第1面20A及び第2面20Bを有し、第1面20Aと第2面20Bとの間の温度差によって発電するデバイスである。発電デバイス20は、例えばペルチェ素子を備える。
【0016】
基板30は、電子デバイス10及び発電デバイス20を搭載する基板である。また、基板30は、発電デバイス20から発生した電気エネルギーを再利用する電源回路50を備える。
【0017】
本実施形態の制御基板1は、電子デバイス10と、基板30との間に、発電デバイス20を挟み込むように備える。より具体的には、制御基板1は、電子デバイス10の後述する放熱パッド11と基板30の後述する放熱パッド31との間に発電デバイス20を挟み込むように設ける。そして、電子デバイス10の放熱パッド11と、基板30の放熱パッド31との間で温度差により、発電デバイス20は発電する。
【0018】
[電子デバイス10]
図3は、本実施形態に係る制御基板1の電子デバイス10の下面図である。電子デバイス10は、動作時に多くの熱が発生するデバイスである。電子デバイス10は、例えば、電源ICである。なお、以下、電子デバイス10は、電源ICを例として説明する。
【0019】
電子デバイス10は、放熱パッド11と、端子パッド12a、12b、12c、12d、12e及び12fと、を備える。
【0020】
(放熱パッド11)
放熱パッド11は、電子デバイス10の内部で発生した熱を放熱するためのパッドである。電子デバイス10が例えば電源ICの場合、電源ICである電子デバイス10は装置から供給される電源を所望の電源に降圧するために、電源IC内部に抵抗を備える。そして、電源IC内部の抵抗で電気エネルギーを熱エネルギーに変えることで、電源ICから所望の出力電圧を得ることができる。この発生した熱エネルギーは、電源IC周辺の空気に触れることで電源ICの外部に放熱される。
【0021】
しかしながら、空気の熱伝播効率は低いため、電源ICの内部温度はどんどん高くなり、電源ICの内部温度は電源ICの温度規格を超えてしまう場合がある。電源ICの内部温度が電源ICの温度規格を超えてしまうと、電源ICが破損する場合がある。
【0022】
そこで、電子デバイス10は、熱による破損を防止するために、放熱パッド11を有する。電子デバイス10の放熱パッド11は、電子デバイス10の内部の発熱する素子から熱が伝わることにより発熱する。発熱した放熱パッド11から、熱を放熱することにより、電子デバイス10の温度を下げる。
【0023】
例えば、放熱パッド11は、電子デバイス10が実装されるプリント回路基板の接地電極に接続する。そして、プリント基板の接地電極に接続して、熱エネルギーを接地電極に逃がすことによって、電子デバイス10の温度を低減する仕組みとなっている。なお、プリント基板上の接地電極は、レイアウト面積が大きいため、低い温度を維持することができる。
【0024】
本実施形態の制御基板1では、放熱パッド11をプリント基板である基板30の放熱パッド31に直接接続するのではなく、後述する発電デバイス20を介して放熱パッド31に熱的に接続する。
【0025】
電子デバイス10の放熱パッド11と、基板30の放熱パッド31との間には、温度差がある。したがって、電子デバイス10の放熱パッド11と、基板30の放熱パッド31との間の温度差を用いて、発電デバイス20によって、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する。
【0026】
(端子パッド12a、12b、12c、12d、12e及び12f)
端子パッド12a、12b、12c、12d、12e及び12fのそれぞれについて説明する。なお、以下に示す機能は、例示であって、当該機能に限定するものではない。
【0027】
端子パッド12aは、例えば、電源からプラス側の電圧を入力するための端子である。端子パッド12bは、例えば、コントローラから電子デバイス10のオン/オフを制御するデバイスイネーブル信号を入力するための端子である。 端子パッド12cは、例えば、接地電位を入力するため端子である。
【0028】
端子パッド12dは、例えば、外部の負荷にプラス側の電力を供給する端子である。端子パッド12eは、例えば、電子デバイス10の出力電圧が設定された電圧値になっているかどうかを示すパワーグッド信号を出力する端子である。端子パッド12fは、接地電位を入力するための端子である。
【0029】
[発電デバイス20]
次に、発電デバイス20について説明する。
図4は、本実施形態に係る制御基板1の発電デバイス20の上面図である。
図5は、本実施形態に係る制御基板1の発電デバイス20の下面図である。
図6は、本実施形態に係る制御基板1の発電デバイス20の断面図である。具体的には、
図6は、
図4のI-I断面図である。なお、
図6では、ペルチェ素子21の詳細な構造については省略して交差した斜線で示す。
【0030】
発電デバイス20は、絶縁体である筐体23を有する。また、発電デバイス20は、筐体23の内部に、ペルチェ素子21を備える。ペルチェ素子21は、制御基板1を組み立てたときに、電子デバイス10の放熱パッド11と基板30の放熱パッド31との間に位置する。更に、発電デバイス20は、第1面20Aと第2面20Bとの貫通する金属配線22a、22b、22c、22d、22e及び22fを備える。更にまた発電デバイス20は、ペルチェ素子21が発電した電力を出力するための端子パッド24a及び端子パッド24bを有する。
【0031】
発電デバイス20は、第1面20Aが電子デバイス10の放熱パッド11に接合する。また、第2面20Bが基板30の放熱パッド31に接合する。すなわち、発電デバイス20は、電子デバイス10と基板30との間に位置する。そして、ペルチェ素子21が、制御基板1を組み立てたときに、電子デバイス10の放熱パッド11と基板30の放熱パッド31との間に位置することにより、ペルチェ素子21は発電する。
【0032】
ペルチェ素子21は、発電された電力を端子パッド24a及び端子パッド24bから出力する。なお、端子パッド24aはプラス側、端子パッド24bはマイナス側の端子である。
【0033】
また、金属配線22a、22b、22c、22d、22e及び22fは、それぞれ電子デバイス10の端子パッド12a、12b、12c、12d、12e及び12fに対応して位置する。すなわち、金属配線22a、22b、22c、22d、22e及び22fは、それぞれ電子デバイス10の端子パッド12a、12b、12c、12d、12e及び12fと、上面視で同じ位置に位置する。
【0034】
本実施形態の制御基板1は、発電デバイス20を、電子デバイス10と基板30との間に挟んでいるため、電子デバイス10の端子パッド12a、12b、12c、12d、12e及び12fを、それぞれ基板30の端子パッド32a、32b、32c、32d、32e及び32fに直接接続できない。
【0035】
そこで、本実施形態の制御基板1の発電デバイス20は金属配線22a、22b、22c、22d、22e及び22fを備える。金属配線22a、22b、22c、22d、22e及び22fによって、電子デバイス10の端子パッド12a、12b、12c、12d、12e及び12fを、それぞれ基板30の端子パッド32a、32b、32c、32d、32e及び32fに電気的に接続できる。したがって、電子デバイス10は、正常に動作する。
【0036】
なお、金属配線22a、22b、22c、22d、22e及び22fのそれぞれの形状については、それぞれの金属配線を伝搬する信号や電圧及び電流等の電気的な特性に応じて適宜変更してもよい。
【0037】
[基板30]
次に、基板30について説明する。
図2に示すように、基板30は、上面30A及び下面30Bを有する。基板30は、上面30Aに、放熱パッド31と、端子パッド32a、32b、32c、32d、32e及び32fと、端子パッド34a及び端子パッド34bと、を有する。
【0038】
放熱パッド31は、基板30の接地電位(共通電位)となる。放熱パッド31は、基板30において、広い面積を有する。放熱パッド31は、他の部品と接触することで、他の部品からの熱を放出する。
【0039】
端子パッド32a、32b、32c、32d、32e及び32fは、それぞれ電子デバイス10の端子パッド12a、12b、12c、12d、12e及び12fに接続する。例えば、端子パッド32aは、金属配線22aを介して端子パッド12aに接続する。同様に、端子パッド32bは、金属配線22bを介して端子パッド12bに接続する。端子パッド32cは、金属配線22cを介して端子パッド12cに接続する。端子パッド32dは、金属配線22dを介して端子パッド12dに接続する。端子パッド32eは、金属配線22eを介して端子パッド12eに接続する。端子パッド32fは、金属配線22fを介して端子パッド12fに接続する。
【0040】
端子パッド34a及び端子パッド34bは、ペルチェ素子21が発電した電力を入力する。端子パッド34a及び端子パッド34bは、それぞれ端子パッド24a及び端子パッド24bに接続する。
【0041】
基板30は、後述するペルチェ素子21が生成した電気エネルギーを再利用する電源回路50を有する。
【0042】
<制御基板1の回路構成>
次に、本実施形態の制御基板1の回路構成について説明する。
図7は、本実施形態に係る制御基板1のブロック図である。
【0043】
制御基板1は、充電可能な二次電池51と、ダイオード60及びダイオード61と、コンデンサ70及びコンデンサ71と、を備える。また、制御基板1は、外部の電源供給ユニットからプラス側の電圧を供給するための端子40と、電子デバイス10の入力電圧を検出する端子41と、電子デバイス10から外部の負荷にプラス側の電圧を供給するための端子42と、電子デバイス10のデバイスイネーブル信号を入力する端子43と、電子デバイス10のパワーグッド信号を出力する端子44と、を備える。
【0044】
制御基板1は、発電デバイス20の上に電子デバイス10を重ねて設ける。
図7では、電気的な接続を示すために、電子デバイス10を発電デバイス20からずらして図示する。また、電子デバイス10の端子と、発電デバイス20の金属配線との接続を点線で表す。
【0045】
外部の電源供給ユニットは、端子40からダイオード60及び金属配線22aを介して端子パッド12aに電力を供給する。端子41は、金属配線22a及び端子パッド12aに電気的に接続する。端子パッド12bは、端子43と接続する。端子パッド12cは、接地パターンに接続する。なお、端子パッド12aと端子パッド12cとは、高周波ノイズを除去するために、コンデンサ70を介して接続される。高周波ノイズは、コンデンサ70を介して、接地パターンに流れる。
【0046】
なお、端子41は、図示していない電子デバイス10以外の電子デバイスの入力電圧としても使われる。
【0047】
端子パッド12dは、端子42に接続する。端子パッド12eは、端子44に接続する。端子パッド12fは、接地パターンに接続する。なお、端子パッド12dと端子パッド12fとは、高周波ノイズを除去するために、コンデンサ71を介して接続される。高周波ノイズは、コンデンサ71を介して、接地パターンに流れる。
【0048】
発電デバイス20は、ペルチェ素子21から発生した電気エネルギーを、発電デバイス20の端子パッド24a及び端子パッド24bから出力する。端子パッド24aは、二次電池51のプラス側端子に接続する。また、端子パッド24aは、ダイオード61及び金属配線22aを介して、端子パッド12aに接続する。端子パッド24bは、二次電池51のマイナス側端子に接続する。また、端子パッド24aは接地パターンに接続する。
【0049】
発電デバイス20は、プラス側の端子パッド24aとマイナス側の端子パッド24bとの間に発生する電圧差を利用して、充電可能な二次電池51に充電する。また、発電デバイス20は、プラス側の端子パッド24aとマイナス側の端子パッド24bとの間に発生する電圧差を利用して、電子デバイス10に電力を供給する。
【0050】
本実施形態の制御基板1は、二次電池51に充電された電力、ペルチェ素子21で発生した電力及び外部の電源供給ユニットから電力を、ダイオード60又はダイオード61を介して、電子デバイス10に供給する。
【0051】
制御基板1は、ペルチェ素子21から発生した電気エネルギーは、電子デバイス10の入力電源となると共に、余った電気エネルギーを二次電池51に蓄電する。二次電池51に蓄電することで、電子デバイス10において電力がより多く必要になった時に、二次電池51から電力供給することができる。また、二次電池51からの電力が足りないときは、更に、外部の電源供給ユニットから電力を供給する。
【0052】
なお、放熱パッド31は第1放熱パッド、放熱パッド11は第2放熱パッドの一例である。また、端子パッド24aから二次電池51を介して端子パッド24bまで接続される回路は、ペルチェ素子21で熱エネルギーから変換した電気エネルギーを再利用する電源回路50の一例である。
【0053】
<変形例>
上記の説明では、電子デバイス10として、電源ICを一例として説明した。電子デバイス10は、電源ICに限らない。例えば、電子デバイス10として、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサでもよい。
【0054】
CPU等のプロセッサは、周波数が数100MHz以上の高速信号を扱うデバイスである。高速信号を伝送するときは、信号の反射等の歪みによる信号波形品質の劣化を防ぐために、デバイス、回路基板の配線及びコネクタ等の伝送路の特性インピーダンスを一致させることが望ましい。
【0055】
図8は、本実施形態に係る制御基板1の変形例である制御基板2の上面図である。
図9は、本実施形態に係る制御基板1の変形例である制御基板2の側面図である。
【0056】
制御基板2は、電子デバイス110と、発電デバイス120と、電子デバイス180と、基板130と、を備える。
【0057】
電子デバイス110は、例えば、CPU等のプロセッサである。電子デバイス110は、動作することにより発熱するデバイスである。電子デバイス110は、電子デバイス10と同様に複数の端子パッドと放熱パッドを備える。複数の端子パッドの中の端子パッド112eは、高速信号ライン135に接続する。したがって、端子パッド112eには、高速信号が伝搬する。
【0058】
発電デバイス120は、電子デバイス110と基板130の間に位置する。発電デバイス120は、電子デバイス110と基板130との温度差を用いて発電を行う。発電デバイス120は、ペルチェ素子121と、発電デバイス120と同様に複数の金属配線と、を備える。複数の金属配線の中の金属配線122eは、基板130が表面に備える端子パッド132eを介して高速信号ライン135に接続する。したがって、金属配線122eには、高速信号が伝搬する。
【0059】
電子デバイス180は、高速信号を処理するドライバICである。電子デバイス180は、例えば、USB(Universal Serial Bus)の信号を処理するICである。電子デバイス180は、電子デバイス10と同様に複数の端子パッドと放熱パッドを備える。複数の端子パッドの中の端子パッド182bは、基板130が表面に備える端子パッド138を介して高速信号ライン135に接続する。したがって、端子パッド182bには、高速信号が伝搬する。なお、電子デバイス180の放熱パッドは、基板130が備える放熱パッドに接続する。
【0060】
基板130は、電子デバイス110、発電デバイス120及び電子デバイス180を搭載する回路基板である。基板130は、基板30と同様に、発電デバイス120で生成した電気エネルギーを再利用する電源回路を備える。基板130は、基板表面に高速信号を伝送する高速信号ライン135を備える。
【0061】
高速信号ライン135を伝搬する高速信号の信号波形品質を保つためには、高速信号ライン135、当該高速信号ライン135を伝搬する高速信号が通過する端子パッド132e、金属配線122e及び端子パッド112eのそれぞれの特性インピーダンスが一致していることが望ましい。すなわち、金属配線122eは、電子デバイス110と基板130との間でインピーダンスが整合さえていることが望ましい。
【0062】
更には、高速信号ライン135及び電子デバイス180の端子パッド182bのそれぞれの特性インピーダンスが一致していることが望ましい。
【0063】
本変形例では、熱を発生する電子デバイス110と、基板130との間に発電デバイス120を設ける。更に、発電デバイス120が備える金属配線を、電子デバイス110及び基板130と同じ特性インピーダンスとすることで、反射等の歪みを防止し、高速信号にも対応できる。
【0064】
なお、電子デバイス180と基板130との間に、本実施形態の発電デバイスを備えてもよい。
【0065】
<作用・効果>
本実施形態の制御基板1は、発電デバイス20を、発熱するデバイスである電子デバイス10と基板30との間に設ける。発電デバイス20を電子デバイス10と基板30との間に設けることで、電子デバイス10からの熱を、効率よく電気エネルギーに変換できる。また、発電デバイス20を電子デバイス10と基板30との間に設けることで、発電デバイス20と、発電デバイス20で生成した電気エネルギーを再利用する電源回路50との間の配線を簡単に行うことができる。
【0066】
また、発電デバイス20は、金属配線を備えることにより、電子デバイス10と、基板30との間の配線を簡単に行うことができる。
【0067】
≪適用例≫
図10は、本実施形態に係る電子機器の一例である画像形成装置500の構成例を示す図である。例えば、本実施形態の制御基板は、画像形成装置の電源制御基板として用いることに適している。
【0068】
画像形成装置500は、MFP(Multi Functional Periphearl/Printer)と称される複合機である。画像形成装置500は、コピー機能、FAX機能、プリント機能、スキャナ機能、また、入力画像(スキャナ機能による読み取り原稿や、プリンタ機能あるいはFAX機能により入力された画像)を保存や配信する機能等を複合して有する。
【0069】
また、画像形成装置500は、PC(Personal Computer)等の外部装置とも通信可能であり、外部装置から受信した指示に応じた動作を行うこともできる。なお、実施形態において、画像形成装置500で処理される「画像」には画像データだけでなく、画像データが含まれていないデータ、つまりテキスト情報のみのデータも含むものとする。
【0070】
画像形成装置500は、帯電された感光体表面が選択的に露光されることにより書き込まれた静電潜像に、トナーを付着させ、付着させたトナーを用紙等の記録媒体に転写する、いわゆる電子写真方式の画像形成装置である。
【0071】
画像形成装置500は、操作パネル510と、起動スイッチ520と、コントローラ530と、読取部540と、エンジン制御部550と、プリンタユニット560と、給紙カセット570A、570Bと、搬送ユニット580と、を備える。
【0072】
操作部である操作パネル510は、利用者の操作に応じた各種の入力を受け付けるとともに、各種の情報(例えば受け付けた操作を示す情報、画像形成装置500の動作状況を示す情報、画像形成装置500の設定状態を示す情報など)を表示する。操作パネル510は、一例としてタッチパネル機能を搭載した液晶表示装置(LCD(Liquid Cristal Display))で構成されるが、これに限られるものではない。例えばタッチパネル機能が搭載された有機EL(Electro-Luminescence)表示装置で構成されてもよい。さらに、これに加えて又はこれに代えて、ハードウェアキー等の操作部やランプ等の表示部を設けることもできる。
【0073】
起動スイッチ520は、画像形成装置500の電源がオフの状態でユーザーによって押圧されると、画像形成装置500を起動する。また、画像形成装置500が起動した状態、つまり電源がオンの状態でユーザーによって押下されると、画像形成装置をオフ状態とする。このように起動スイッチ520は、ユーザーが押圧することによって画像形成装置500をオン/オフしてもよいがこれに限られず、外部装置から受信した指示に基づき画像形成装置500をオン/オフしてもよい。
【0074】
コントローラ530は、操作パネル510の操作入力等に基づいて画像形成装置500を統括的に制御する。一例として操作パネル510が受け付けた操作や情報に応じた動作を、画像形成装置500に実行させる。その他の例として、PC等の外部機器から画像形成装置500が受け付けた指示等を画像形成装置500に実行させる。さらにその他の例として、特定の条件を検知した場合、例えば起動スイッチ520の押下を検知した場合、さらにその他の例として、画像形成装置500に発生した異常を検知した場合等に、あらかじめ決められた動作を画像形成装置500に実行させる。
【0075】
コントローラ530の具体例としては、画像形成装置500を統括的に制御する回路を搭載したコントローラボードである。画像形成装置500を統括的に制御する回路には、一例としてCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Randam Access Memory)が搭載されている。コントローラ530は、CPUが、RAMを作業領域として、ROMやHDD(Hard Disk Drive)に記憶されたプログラムを実行することによって、画像形成装置500を制御する。
【0076】
読取部540は、原稿を読み取る。読取部540は、ADF(Auto Document Feeder)541と、スキャナ部542と、を備える。ADF541は、ADF541上に置かれた原稿を順次し搬送し光学的に読み取り画像データを生成する。スキャナ部542は、透明な原稿台の上に原稿を固定し、固定された原稿を光学的に読み取り画像データを生成する。
【0077】
エンジン制御部550は、読取部540により生成された画像データに基づき、プリンタユニット560や搬送ユニット580を制御する制御信号を生成する。エンジン制御部550の具体例としては、画像データに基づき制御信号を生成するための回路基板である。
【0078】
プリンタユニット560は、用紙等の記録媒体上に画像を形成する画像形成部である。プリンタユニット560は、記録媒体上にトナー画像を形成する。プリンタユニット560は、感光体としての感光体ドラム561と、帯電部材562と、書き込みユニット563と、現像部材564と、搬送ベルト565と、定着部566とを備える。帯電部材562は、感光体ドラム561の外表面を帯電させる。書き込みユニット563は、読取部540により読み取られた画像データに基づいて、帯電された感光体ドラム561上を露光して、感光体上に静電潜像を書き込む。現像部材564は、書き込まれた潜像をトナーで現像する。搬送ベルト565は、トナー画像を形成する記録媒体を搬送する。定着部566は、記録媒体上のトナーを記録媒体に定着させる。
【0079】
給紙カセット570A、570Bは画像形成前の記録媒体を収納する。
図10においては一例として二つの給紙カセットを有し、それぞれにサイズの異なる記録媒体を収納しているが、一つであってもよいし、三つ以上であってもよい。
【0080】
搬送ユニット580は、給紙搬送部として記録媒体の搬送を行う。搬送ユニット580は、各種ローラを備える。搬送ユニット580は、給紙カセット570A、給紙カセット570Bに収納された記録媒体を矢印500Cに沿ってプリンタユニット560に搬送する。
【0081】
ここで、コピーモードを例として画像形成装置500での画像形成の流れを説明する。まずユーザーが、操作パネル510で機能切り替えキー等をユーザーが操作することにより、画像形成装置500のコピー機能、プリンタ機能、及びファクシミリ機能を順次に切り替えて選択し、各機能を動作させることが可能となる。コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリ機能選択時にはファクシミリモードとなる。
【0082】
コピーモードでは、読取部540により、コピーする各原稿の画像情報が読み取られ、画像データが生成される。
【0083】
感光体ドラム561の外周面は、暗中にて帯電部材562により一様に帯電された後、書き込みユニット563からの照射光(
図10中に点線の矢印500Aで示す。)により露光され、その結果、感光体ドラム561の外周面上に静電潜像が形成される。現像部材564は、この静電潜像をトナーにより可視像化する。これにより、感光体ドラム561上にトナー画像が形成される。感光体ドラム561は矢印500B方向に回転する。そして、感光体ドラム561上に形成されたトナー画像は、搬送ベルト565上の記録媒体に転写される。そして定着部566が記録媒体上のトナー画像のトナーを一例としてヒータで加熱溶融して、記録媒体にトナー画像を定着し、記録媒体を画像形成装置500から排出する。
【0084】
なお、プリンタユニット560がモノクロの電子写真方式によって画像を形成する場合を説明したが、カラーの電子写真方式やインクジェット方式などであってもよく、画像形成方式はこれらに限られない。
【0085】
また、上述の操作パネル510は、コントローラ530によって制御されてもよいし、コントローラ530とは別に操作パネル510を制御するための制御回路を有し、制御されてもよい。その場合、コントローラ530の制御回路と操作パネル510の制御回路は、相互に通信可能に接続され、コントローラ530は操作パネル510を含む画像形成装置500全体を制御する。
【0086】
なお、コントローラ530と、エンジン制御部550と、プリンタユニット560と、給紙カセット570A、570B、搬送ユニット580は画像形成装置500の外装内に設けられているが
図10においては内部を透視して示している。
【0087】
本実施形態の制御基板を画像形成装置500に用いることによって、画像形成装置500内部の排熱等の捨てられる熱を利用し、ペルチェ素子を使って発電し、その発電した電気エネルギーを二次電池に蓄えることができる。そして、発電した電気エネルギーを二次電池に蓄えることによって、画像形成装置500の省エネ時電力をその二次電池から供給して、省エネ時電力を0Wにすることができる。
【0088】
また、画像形成装置500内部の排熱としては、画像形成装置500のトナーを溶かすための定着部566が考えられる。しかしながら、画像形成装置500での印刷時のみしか定着部566は熱を発せない。したがって、画像形成装置500の省エネ時電力を賄うだけの電気エネルギーを生み出すことが出来ない。一方、本実施形態の制御基板は、例えば、電源IC等の常時熱を放出している部分の排熱を使って電気エネルギーを生成していることから、省エネ時電力として利用することができる。
【0089】
電子機器の一例として、画像形成装置500について説明したが、画像形成装置500に限らず、本実施形態の制御基板は、発熱する電子デバイス、例えば、電源制御IC及びCPU等のプロセッサ等、を備える電子機器に適用可能である。
【0090】
なお、上記各実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0091】
1、2 制御基板
10、110 電子デバイス
11 放熱パッド
12a、12b、12c、12d、12e、12f、112e 端子パッド
20、120 発電デバイス
20A 第1面
20B 第2面
21、121 ペルチェ素子
22a、22b、22c、22d、22e、22f、122e 金属配線
23 筐体
24a、24b 端子パッド
30、130 基板
30A 上面
30B 下面
31 放熱パッド
32a、32b、32c、32d、32e、32f、132e、138 端子パッド
34a、34b 端子パッド
40、41、42、43、44 端子
50 電源回路
51 二次電池
60、61 ダイオード
70、71 コンデンサ
135 高速信号ライン
180 電子デバイス
182b 端子パッド
500 画像形成装置
500A、500B、500C 矢印
510 操作パネル
520 起動スイッチ
530 コントローラ
540 読取部
541 ADF
542 スキャナ部
550 エンジン制御部
560 プリンタユニット
561 感光体ドラム
562 帯電部材
563 書き込みユニット
564 現像部材
565 搬送ベルト
566 定着部
570A、570B 給紙カセット
580 搬送ユニット
【先行技術文献】
【特許文献】
【0092】