(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-18
(45)【発行日】2025-03-27
(54)【発明の名称】高吸水性樹脂複合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 3/12 20060101AFI20250319BHJP
C08K 3/01 20180101ALI20250319BHJP
C08L 33/00 20060101ALI20250319BHJP
C08L 33/02 20060101ALI20250319BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20250319BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20250319BHJP
C08F 220/00 20060101ALI20250319BHJP
C08F 220/06 20060101ALI20250319BHJP
【FI】
C08J3/12 Z CEY
C08K3/01
C08L33/00
C08L33/02
C08K3/22
C08K3/36
C08F220/00
C08F220/06
(21)【出願番号】P 2023539359
(86)(22)【出願日】2023-01-12
(86)【国際出願番号】 KR2023000546
(87)【国際公開番号】W WO2024014636
(87)【国際公開日】2024-01-18
【審査請求日】2023-06-27
(31)【優先権主張番号】10-2022-0085865
(32)【優先日】2022-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・フン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ジン・キム
【審査官】須藤 英輝
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-267435(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101768237(CN,A)
【文献】特開2006-068731(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2020-0038056(KR,A)
【文献】特開昭61-016903(JP,A)
【文献】特開2012-143755(JP,A)
【文献】国際公開第2015/053372(WO,A1)
【文献】特表2021-511408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00-3/28
C08J 3/99
C08K 3/00-13/08
C08L 1/00-101/14
C08C 19/00-19/44
C08F 6/00-246/00
C08F 301/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が中和された酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体および内部架橋剤の架橋重合体を含む高吸水性樹脂粒子を準備するステップと、
前記高吸水性樹脂粒子に加水処理を施して、水分を前記高吸水性樹脂粒子に吸着させるステップと、
前記加水処理された高吸水性樹脂粒子とケーキング防止剤を混合して、前記加水処理された高吸水性樹脂粒子上に前記ケーキング防止剤を付着するステップとを含
み、
前記ケーキング防止剤は、ヒュームドシリカ(fumed silica)、アルミナ、シリカ、チタニアのうち一つ以上であり、
前記加水処理は、80%RH~95%RHの条件下で、前記高吸水性樹脂粒子を恒温恒湿器に投入して行われ、
前記加水処理された高吸水性樹脂粒子と前記ケーキング防止剤の混合は、前記高吸水性樹脂粒子の加水処理後2分以内に行われ、
前記加水処理によって高吸水性樹脂粒子に吸着された水分の重量は、前記高吸水性樹脂粒子100重量部に対して1重量部~4重量部である、高吸水性樹脂複合体の製造方法。
【請求項2】
前記加水処理は、25℃~80℃の条件下で行われる、請求項1に記載の高吸水性樹脂複合体の製造方法。
【請求項3】
前記加水処理は、3分~15分間行われる、請求項1に記載の高吸水性樹脂複合体の製造方法。
【請求項4】
前記混合の際に投入されたケーキング防止剤の重量は、前記高吸水性樹脂粒子100重量部に対して0.05重量部~0.15重量部である、請求項1に記載の高吸水性樹脂複合体の製造方法。
【請求項5】
前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、(メタ)アクリル酸またはその塩である、請求項1に記載の高吸水性樹脂複合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年7月12日付けの韓国特許出願第10-2022-0085865号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、高吸水性樹脂複合体の製造方法に関し、より詳細には、加水処理により高吸水性樹脂粒子の表面に水分を吸着させて、ケーキング防止剤のアンチ-ケーキング効率を改善した高吸水性樹脂複合体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
高吸水性樹脂(Super Absorbent Polymer、SAP)とは、自重の5百~1千倍程度の水分を吸収することができる機能を有する合成高分子物質であり、開発会社ごとにSAM(Super Absorbency Material)、AGM(Absorbent Gel Material)など、それぞれ異なる名称がつけられている。前記のような高吸水性樹脂は、生理用品として実用化し始め、現在、園芸用土壌保水剤、土木、建築用止水材、育苗用シート、食品流通分野での新鮮度維持剤および蒸煮用などの材料として広く使用されており、おむつや生理用ナプキンなどの衛生材分野において主に使用されている。
【0004】
高吸水性樹脂は、水を吸収する特性の高分子であるため、湿度が高い地域ではケーキング現象が発生し、このような現象を防止するために、ケーキング防止剤を添加する。ケーキング防止剤としては、一般的に、水を吸収しない無機物質を使用する。無機物質は、高吸水性樹脂粒子の間に凝集現象を防止することから透過度を向上させる添加剤としても活用する。
【0005】
しかし、前記無機物質が高吸水性樹脂粒子と乾式混合で前記高吸水性樹脂粒子の表面上に塗布される時に、前記高吸水性樹脂粒子と無機物質との弱い引力によって塗布効率が低くなる。そのため、高吸水性樹脂微粒子(Dust)の発生およびアンチ-ケーキング効率が低下する問題が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、上記発明の背景技術で言及した問題を解決するために、高吸水性樹脂粒子に加水処理を施して、水分を前記高吸水性樹脂粒子の表面に吸着させ、前記水分が吸着した高吸水性樹脂粒子とケーキング防止剤を混合してアンチ-ケーキング効率が改善した高吸水性樹脂複合体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための本発明の一実施形態によると、本発明は、少なくとも一部が中和された酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体および内部架橋剤の架橋重合体を含む高吸水性樹脂粒子を準備するステップと、前記高吸水性樹脂粒子に加水処理を施して、水分を前記高吸水性樹脂粒子に吸着させるステップと、前記加水処理された高吸水性樹脂粒子とケーキング防止剤を混合して、前記加水処理された高吸水性樹脂粒子上に前記ケーキング防止剤を付着するステップとを含む高吸水性樹脂複合体の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の高吸水性樹脂複合体の製造方法によると、高吸水性樹脂粒子とケーキング防止剤との結合を増加させるために、前記高吸水性樹脂粒子とケーキング防止剤の混合工程の前に加水処理をさらに行って、高吸水性樹脂粒子とケーキング防止剤の接着力を向上させることでアンチ-ケーキング効率を改善することができた。また、前記加水処理によって高吸水性樹脂粒子上にケーキング防止剤を均一に塗布および付着することが可能になり、高吸水性樹脂微粒子の飛散現象(dust issue)を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態による高吸水性樹脂複合体の製造方法の工程フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の説明および特許請求の範囲にて使用されている用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に則って本発明の技術的思想に合致する意味と概念に解釈すべきである。
【0011】
以下、本発明に関する理解を容易にするために、本発明をより詳細に説明する。
【0012】
本発明の一実施形態による高吸水性樹脂複合体の製造方法は、少なくとも一部が中和された酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体および内部架橋剤の架橋重合体を含む高吸水性樹脂粒子を準備するステップと、前記高吸水性樹脂粒子に加水処理を施して、水分を前記高吸水性樹脂粒子に吸着させるステップと、前記加水処理された高吸水性樹脂粒子とケーキング防止剤を混合して、前記加水処理された高吸水性樹脂粒子上に前記ケーキング防止剤を付着するステップとを含むことができる。
【0013】
図1を参照して、本発明を詳細に説明すると、まず、前記高吸水性樹脂粒子を準備するステップにおいて、前記高吸水性樹脂粒子を製造するための方法は、以下のとおりである。まず、組成物の重合反応を行って含水ゲル重合体を形成する。前記組成物は、水溶性エチレン系不飽和単量体および内部架橋剤、および重合開始剤を含むことができ、その他にも、必要に応じて、増粘剤(thickener)、可塑剤、保存安定剤、酸化防止剤の添加剤をさらに含むことができる。
【0014】
ここで、前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、(メタ)アクリル酸またはその塩であることができる。例えば、アクリル酸の少なくとも一部が中和されたアクリル酸およびまたはそのナトリウム塩などのアルカリ金属塩を使用する場合、吸水性が向上した高吸水性樹脂粒子を得ることができる。
【0015】
その他にも、前記水溶性エチレン系不飽和単量体としては、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、2-アクリロイルエタンスルホン酸、2-メタクリロイルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、または2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸のアニオン性単量体とその塩;(メタ)アクリルアミド、N-置換(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートまたはポリエチレングリコール(メタ)アクリレートのノニオン系親水性含有単量体;および(N,N)-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(N,N)-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのアミノ基含有不飽和単量体とその四級化物;が使用されることができ、前記アニオン性単量体の塩は、金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩または有機アミン塩であることができる。
【0016】
前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、少なくとも一部が中和された酸性基を含むことができる。前記少なくとも一部が中和された酸性基を含むエチレン系不飽和単量体は、水溶性エチレン系不飽和単量体の酸性基に中和剤を用いて中和反応させることで製造されることができる。ここで、前記中和剤としては、酸性基を中和させることができる水酸化ナトリウム(または苛性ソーダ)、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどの塩基性物質が使用されることができる。
【0017】
前記高吸水性樹脂粒子は、内部架橋剤によって架橋された架橋重合体を含むことができる。前記内部架橋剤は、上述の水溶性エチレン系不飽和単量体の不飽和結合を架橋させて重合させる役割を果たすことができる。
【0018】
前記内部架橋剤としては、フリーラジカル重合(Free-Radical Polymerization;FRP)反応によって架橋反応が行われる(メタ)アクリレート系化合物であることができる。具体的には、前記内部架橋剤は、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートからなる群から選択される1種以上の化合物であることができる。より具体的には、このうち、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートであることができる。
【0019】
一方、前記組成物において、前記重合開始剤としては、重合方法に応じて熱重合開始剤またはUVの照射による光重合開始剤を使用することができる。ただし、光重合方法によっても、紫外線照射によって一定量の熱が発生し、また、発熱反応である重合反応が進むにつれてある程度の熱が発生するため、熱重合開始剤をさらに含むこともできる。
【0020】
前記光重合開始剤は、紫外線などの光によってラジカルを形成し得る化合物が使用されることができる。前記光重合開始剤は、ベンゾインエーテル(benzoin ether)、ジアルキルアセトフェノン(dialkyl acetophenone)、ヒドロキシルアルキルケトン(hydroxyl alkylketone)、フェニルグリオキシレート(phenyl glyoxylate)、ベンジルジメチルケタール(Benzyl Dimethyl Ketal)、アシルホスフィン(acyl phosphine)およびアルファ-アミノケトン(α-aminoketone)からなる群から選択される一つ以上を使用することができる。一方、アシルホスフィンの具体例としては、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネートであることができる。
【0021】
また、前記熱重合開始剤としては、過硫酸塩系開始剤、アゾ系開始剤、過酸化水素およびアスコルビン酸からなる開始剤の群から選択される一つ以上を使用することができる。具体的には、過硫酸塩系開始剤の例としては、過硫酸ナトリウム(Sodium persulfate;Na2S2O8)、過硫酸カリウム(Potassium persulfate;k2S2O8)、過硫酸アンモニウム(Ammonium persulfate;(NH4)2S2O8)がある。
【0022】
具体的には、重合方法は、重合エネルギー源に応じて、熱重合と光重合とに大別し、熱重合を行う場合、ニーダ(kneader)などの攪拌軸を有する反応器で行われることができ、光重合を行う場合、移動可能なコンベアベルトを備えた反応器で行われることができる。
【0023】
本発明の架橋重合体は、水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤および重合開始剤を含む組成物の重合反応で製造されることができるが、ここで、前記組成物において内部架橋剤は、水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して0.01~5重量部であることができる。例えば、前記内部架橋剤は、水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して0.01重量部以上、0.05重量部以上、0.1重量部、または0.2重量部以上であり、5重量部以下、3重量部以下、2重量部以下、1重量部以下、または0.5重量部以下であることができる。前記内部架橋剤の含量が低すぎる場合、架橋が十分に行われず適正水準以上の強度の実現が難しくなり得、前記内部架橋剤の含量が高すぎる場合、内部架橋密度が高くなって所望の保水能の実現が難しくなり得る。
【0024】
本発明の組成物は、溶媒に溶解された溶液の形態で準備されることができる。ここで、使用可能な溶媒としては、上述の原料物質を溶解させることができるものが使用されることができる。例えば、前記溶媒としては、水、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トルエン、キシレン、ブチロラクトン、カルビトール、メチルセロソルブアセテート、N,N-ジメチルアセトアミド、またはこれらの混合物が使用されることができる。
【0025】
一般的に、内部架橋剤の存在下での水溶性エチレン系不飽和単量体の重合によって製造された架橋重合体を含む高吸水性樹脂粒子は、重合されず残っている酸性基(-COOH)および/または中和された酸性基(-COO-)によってその表面が親水性を示す。このような高吸水性樹脂粒子の表面の親水性によって、空気中に露出時に空気中の水分を吸収して高吸水性樹脂粒子の間に存在する水分による毛細管力、水素結合、粒子相互拡散(inter-particular diffusion)または粒子間のファンデルワールス力が発生し、粒子間の非可逆的凝集が発生する問題があった。また、高吸水性樹脂粒子の製造工程中にも必ず水を使用するが、前記のような問題があって、工程中に粒子間の凝集による追加の粉砕工程が必要になるか、凝集を防止するためにケーキング防止剤を投入した。
【0026】
次に、前記組成物の重合反応により形成された含水ゲル重合体を乾燥、粉砕および分級して、ベース樹脂粉末を得るステップが行われる。ここで、前記含水ゲル重合体を乾燥する際、効率を高めるために、粗粉砕工程をさらに行うことができる。前記粗粉砕工程に使用される粉砕機としては、具体的には、竪型カッター(Vertical pulverizer)、ターボカッター(Turbo cutter)、ターボグラインダ(Turbo grinder)、回転切断式粉砕機(Rotary cutter mill)、切断式粉砕機(Cutter mill)、円板粉砕機(Disc mill)、破片破砕機(Shred crusher)、破砕機(Crusher)、チョッパ(chopper)および円板式カッター(Disc cutter)からなる粉砕機器の群から選択されるいずれか一つを使用することができる。
【0027】
前記のように粗粉砕されるか、あるいは粗粉砕ステップを行っていない重合直後の含水ゲル重合体に対して乾燥工程を行うことができる。前記乾燥ステップの乾燥方法は、具体的には、熱風供給、赤外線照射、極超短波照射、または紫外線照射の方法で乾燥ステップを行うことができる。このような乾燥ステップを行った後の重合体の含水率は、0.05~10重量%であることができる。
【0028】
このような乾燥ステップを経て得られた乾燥した重合体を粉砕するステップを行う。この時に使用される粉砕機としては、具体的には、ボールミル(ball mill)、ピンミル(pin mill)、ハンマーミル(hammer mill)、スクリューミル(screw mill)、ロールミル(roll mill)、ディスクミル(disc mill)またはジョグミル(jog mill)を使用することができる。
【0029】
また、このような粉砕ステップの後、最終製品化される高吸水性樹脂粒子の物性を管理するために、粉砕後に得られる重合体粉末を粒径に応じて分級する別の過程を経ることができる。具体的には、粒径が150~850μmである重合体を正常粒子に分級し、このような粒径を有する重合体粉末に対してのみ後述する表面架橋結合反応ステップを経て製品化することができる。一方、150μm未満の粒径を有する重合体は、ゲルブロッキング(gel blocking)などの現象を引き起こすため、微粒子に分級されて排除される。このような粉砕および分級工程により、ベース樹脂粉末を得ることができる。
【0030】
次に、表面架橋剤の存在下で前記ベース樹脂粉末表面のうち少なくとも一部に表面架橋層を形成する表面架橋結合反応ステップが行われる。ここで、前記表面架橋層は、表面架橋剤から架橋されることができ、前記表面架橋剤は、多価エポキシ化合物を含み、前記多価エポキシ化合物は、多価アルコールのグリシジルエーテル化合物であることができる。
【0031】
具体的には、前記表面架橋剤は、エチレングリコールジグリシジルエーテル(ethyleneglycol diglycidyl ether)、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル(diethyleneglycol diglycidyl ether)、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル(triethyleneglycol diglycidyl ether)、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル(tetraethyleneglycol diglycidyl ether)、グリセリンポリグリシジルエーテル(glycerin polyglycidyl ether)、およびソルビトールポリグリシジルエーテル(sorbitol polyglycidyl ether)からなる群から選択される1種以上の多価エポキシ化合物を含むことができる。
【0032】
前記表面架橋剤は、溶液状態、具体的に溶媒に溶解された表面架橋溶液状態で前記ベース樹脂粉末に混合されることができる。前記表面架橋溶液には、表面架橋剤の他にも、水およびメタノールが含まれることができる。一般的に、前記表面架橋溶液は、高吸水性樹脂粒子の表面に塗布される。したがって、表面架橋結合反応は、高吸水性樹脂粒子の表面上で行われ、これは、粒子の内部には実質的に影響を及ぼさないが、粒子の表面上での架橋結合性を改善する。したがって、表面架橋結合した高吸水性樹脂粒子は、内部よりも表面付近でより高い架橋結合度を有する。表面架橋剤が添加された重合体を加熱させることで、表面架橋結合反応および乾燥が同時に行われることができる。
【0033】
最後に、前記表面架橋層が形成されたベース樹脂粉末を分級するステップが行われることができる。前記表面架橋層が形成されたベース樹脂粉末を粉砕および分級などの工程により高吸水性樹脂粒子として完成することができる。その後、前記高吸水性樹脂粒子を粒径によって分類し、使用目的による適切な粒径の高吸水性樹脂粒子を製品化することができる。一般的に、150μm未満の粒径を有する表面架橋微分、150μm~850μmの粒径を有する表面架橋正常粒子に分級し、前記表面架橋正常粒子は、本発明の高吸水性樹脂粒子として製品化して使用されることができる。
【0034】
前記高吸水性樹脂粒子は、水分を吸収する特性を有しているため、大気中の水分を吸収して互いに凝集するケーキング現象が発生する。したがって、このような現象を防止するためにケーキング防止剤を添加するが、従来、表面架橋層が形成された高吸水性樹脂粒子に対して別の後処理なしにケーキング防止剤を乾式混合するか、または高吸水性樹脂粒子の製造時に、表面架橋溶液の中にケーキング防止剤を混合して表面架橋層を形成した。
【0035】
従来、表面架橋層が形成された高吸水性樹脂粒子に対して別の後処理なしにケーキング防止剤を乾式混合した場合、表面架橋層が形成された高吸水性樹脂粒子とケーキング防止剤との弱い引力によって塗布効率が低下し、工程上の移送または取り扱い過程でケーキング防止剤の脱離が発生し得る。この場合、高吸水性樹脂微粒子の飛散現象(dust issue)が大幅に増加し、アンチ-ケーキング効率が低下する問題が引き起こされる。ここで、前記アンチ-ケーキング効率とは、ケーキング(すなわち、高吸水性樹脂粒子間の凝集によって凝集した状態)が防止される程度およびこのような状態がどれくらい持続可能であるかを意味する。なお、塗布効率とは、前記高吸水性樹脂粒子上に塗布されて付着されるケーキング防止剤の塗布均一性の程度を意味する。
【0036】
また、従来、表面架橋溶液の中にケーキング防止剤を混合して表面架橋層を形成する場合、表面架橋溶液の粘度変化によって表面架橋効率が低下し、その結果として高吸水性樹脂の吸収速度が低下する問題があった。
【0037】
これに対し、本発明では、表面架橋層が形成された高吸水性樹脂粒子に対してさらに加水処理を行った後、ケーキング防止剤と混合して、水分に対する高吸水性樹脂粒子の吸湿効果の低下なしに、前記高吸水性樹脂粒子とケーキング防止剤との表面接着力を高めて、脱離および高吸水性樹脂微粒子の飛散現象を著しく減少させることができる。
【0038】
このために、本発明の一実施形態によると、上述の工程によって準備された高吸水性樹脂粒子に対して加水処理を施して前記高吸水性樹脂粒子に水分を吸着させるステップを行うことができる。前記加水処理は、高吸水性樹脂粒子の表面に一定量の水分を吸着させる工程として、例えば、常圧の密閉容器内で高温多湿な雰囲気で所定時間前記高吸水性樹脂粒子を載置させることで行われることができる。一方、前記高吸水性樹脂粒子の表面に吸着された水分は、時間が経つにつれて前記高吸水性樹脂粒子の内部に拡散して吸収されることができる。
【0039】
前記加水処理は、25℃~80℃の条件下、具体的には40℃~60℃下で行われることができる。これにより、前記高吸水性樹脂粒子周辺の適切な水分の量を維持することができ、スムーズな加水処理が可能になる。前記温度が25℃以上である場合には、水分が高吸水性樹脂粒子の表面上に吸着可能になり、加水処理の効率が上昇する。前記温度が80℃以下である場合には、過剰な水蒸気が発生することを防止することができ、前記水蒸気である水分が高吸水性樹脂粒子の表面に吸着された後、内部に吸収されて発生する粒子間のケーキングを防止することができる効果がある。
【0040】
具体的には、前記加水処理温度は、加水処理が後述する恒温恒湿器で行われる場合には、恒温恒湿器の内部温度であることができ、前記加水処理が噴霧加水によって行われる場合には、液滴の温度であることができる。
【0041】
本発明の一実施形態によると、前記加水処理は、50%RH~95%RHの条件下、具体的には80%RH~90%RHの条件下で行われることができる。ここで、前記「%RH」は、相対湿度の単位であり、ある温度で水蒸気が最大に含まれることができる量(すなわち、飽和水蒸気)を100とした時に、現在水蒸気の量を百分率で表したものである。前記相対湿度が50%RH未満である場合には、低すぎる湿度によって水蒸気の形成および維持が難しくて、前記水蒸気、すなわち、水分を適正量で高吸水性樹脂粒子に加水処理するのに不都合があり得る。そのため、後述するケーキング防止剤と前記高吸水性樹脂粒子との接着力が弱くなって脱離が発生し得る。前記相対湿度が95%RH超の場合、高すぎる湿度によって加水処理ステップですでに高吸水性樹脂粒子上に水分が過剰に吸着および吸収されて、前記高吸水性樹脂粒子の最初の目的である吸湿能力が低下し得る。
【0042】
前記加水処理は、3分~15分間、より具体的に3分~10分以内に行われることができる。前記加水処理が3分未満で行われた時に、十分な量の水分が吸着されることができず、後述するケーキング防止剤が高吸水性樹脂粒子上に付着されることができない。これに対し、前記加水処理が15分超で行われた時に、長時間加水処理されただけに過剰な水分が高吸水性樹脂粒子に吸着され、ケーキング防止剤に比べて水分の量が肥大な状態で高吸水性樹脂粒子の間の粘性が発生し、ケーキングの防止が難しくなり得る。
【0043】
前記加水処理は、上述の条件下で行い、この雰囲気にすることができる手段として、例えば、恒温恒湿器でまたは直接水分を噴霧する方法で行うことができる。このような加水処理によって高吸水性樹脂粒子の表面に水分が吸着されることができる。前記吸着された水分は、前記高吸水性樹脂粒子の内部に拡散することができる。
【0044】
前記加水処理によって高吸水性樹脂粒子に吸着された水分の重量は、前記高吸水性樹脂粒子100重量部に対して1重量部~4重量部であることができる。具体的には、前記重量は、2重量部~3重量部であることができる。
【0045】
前記水分の含量が1重量部未満である場合、高吸水性樹脂粒子の表面に少なすぎる量の水分が吸着されて、後述するケーキング防止剤が前記高吸水性樹脂粒子の表面に十分に付着することが難しくなり得る。そのため、高吸水性樹脂粒子の間の凝集を緩和するケーキング防止剤の役割を行う上で不都合があり得、結果、アンチ-ケーキング効率が低下し得る。
【0046】
前記水分の含量が4重量部超の場合、加水処理によって高吸水性樹脂粒子の表面に水分が過剰に吸着されて、高吸水性樹脂粒子が最初目的とする吸収性能が低下し得る。したがって、最終製造された高吸水性樹脂複合体の所望の水準の吸収性能の実現が困難になり得る。なお、ケーキング防止剤に比べて過剰に吸着された水分によって粘性が発生して高吸水性樹脂粒子間の非可逆的な凝集が発生することで、かえってケーキングが形成されることがある。
【0047】
ここで、前記吸着された水分の量は、国際標準化機構(International Organization for Standardization;ISO)171904-4:2001方法に準じて測定されることができる。
【0048】
次に、本発明の一実施形態によると、前記加水処理された高吸水性樹脂粒子とケーキング防止剤を混合して、前記加水処理された高吸水性樹脂粒子上に前記ケーキング防止剤を付着するステップを行う。上述のように、前記加水処理により高吸水性樹脂粒子上にケーキング防止剤が均一に付着されることができ、且つ高吸水性樹脂粒子上にケーキング防止剤が強い接着強度で付着されることができる。これにより、アンチ-ケーキング効率が上昇することができる。
【0049】
前記ケーキング防止剤は、ヒュームドシリカ(fumed silica)、アルミナ、シリカ、チタニアのうち一つ以上であることができる。ここで、前記ケーキング防止剤としては、一般的に、水分を吸収しない無機物質を使用することができ、このような無機物質としては、シリカ(silica)、ヒュームドシリカ(fumed silica)、クレイ(clay)、アルミナ、シリカ-アルミナ複合材、チタニア、亜鉛酸化物またはシリケートが挙げられ、これらのいずれか一つまたは二つ以上の混合物が使用されることができる。 前記無機物質は、高吸水性樹脂粒子とは異なり、大気中の水分を吸収しないことから、高吸水性樹脂粒子の過剰な水分吸着による粒子間の凝集を防止することができる。
【0050】
前記ケーキング防止剤の粒径は、前記高吸水性樹脂粒子の粒径との関係で、例えば、ヒュームドシリカの場合、3μm~30μmであることができる。ここで、前記粒径は乾式粒度分析装置Mictrotac S3500により測定することができる。
【0051】
一方、本発明の加水処理された高吸水性樹脂粒子と前記ケーキング防止剤の混合は、前記高吸水性樹脂粒子の加水処理の直後もしくは加水処理後6時間以内に行われることができる。ここで、加水処理の直後とは、加水処理が完了した直後もしくは加水処理が完了してから2分以内の時間を意味し得る。より具体的には、前記加水処理の直後に混合が行われた時に、加水処理された高吸水性樹脂粒子の表面上ケーキング防止剤が均一に塗布されて、前記ケーキング防止剤によるアンチ-ケーキング効率がより極大化することができる。前記加水処理後6時間以内に前記混合が行われる時に、加水処理された高吸水性樹脂粒子とケーキング防止剤との引力が強く形成されて、接着力が増加することができる。したがって、高吸水性樹脂粒子が大気中の水分を多量吸収して、非可逆的凝集が行われることを防止することができる。
【0052】
前記混合に投入されたケーキング防止剤の投入量は、前記高吸水性樹脂粒子100重量部に対して0.05重量部~0.15重量部であることができる。具体的には、前記重量は、0.08重量部~0.12重量部であることができる。より具体的には、前記ケーキング防止剤の重量が0.08重量部以上である場合には、ケーキング防止剤によって大気中の水分を吸収した高吸水性樹脂粒子の間の凝集が発生することを効果的に防止することができる。前記ケーキング防止剤の重量が0.12重量部以下である場合には、高吸水性樹脂粒子の重量に対する前記ケーキング防止剤が適切な量で吸着され、長期的保管時にもアンチ-ケーキング効率が著しく減少せず、良好な状態を維持することができる。また、一般的なケーキング防止剤としては、水分を吸収しない無機物質を使用することから、過剰な量の無機物質が高吸水性樹脂粒子の表面に付着することによる高吸水性樹脂複合体の本来の機能である吸湿能力の低下を防止することができる。
【0053】
ここで、前記混合は、加水処理された高吸水性樹脂粒子とケーキング防止剤を、容器、例えば、密閉容器に投入した後、撹拌して混合させることであり得る。
【0054】
前記混合によって、高吸水性樹脂粒子とケーキング防止剤との静電気的な引力に加えて、加水処理後、前記高吸水性樹脂粒子の粘度もしくは粘着性が増加するため、前記高吸水性樹脂粒子とケーキング防止剤との付着が可能になる。
【0055】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明する。しかし、下記の実施例は、本発明を例示するためのものであって、本発明の範疇および技術思想の範囲内で様々な変更および修正が可能であることは通常の技術者にとって明白であり、これにのみ本発明の範囲が限定されるものではない。
【0056】
実施例
実施例1
(1)高吸水性樹脂粒子の製造
撹拌機、温度計を装着した3Lガラス容器に、アクリル酸100g(1.388mol)、内部架橋剤のポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)0.26g、重合開始剤である光重合開始剤のジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド0.008gおよび熱重合開始剤の過硫酸ナトリウム0.20g、中和剤である32%の苛性ソーダ(NaOH)溶液123.5gを常温で固形分含量が45.0重量%になるように水とともに混合して、組成物を製造した。
【0057】
その後、前記組成物を幅10cm、長さ2mのベルトが10cm/minの速度で回転するコンベアベルト上に供給した。ここで、重合反応は、光源が備えられたコンベアベルト上で20分間行われ、これにより、含水率が45重量%である含水ゲル重合体を得た。
【0058】
次に、前記含水ゲル重合体を粉砕機を使用して粉砕した。次に、前記粉砕物をAir-flowオーブンを用いて、185℃のホットエア(hot air)で30分間乾燥した。前記粉砕、乾燥および分級を経てベース樹脂粉末を得た。
【0059】
前記ベース樹脂粉末100gに、水、メタノールおよび表面架橋剤であるエチレングリコールジグリシジルエーテルを混合した表面架橋溶液を投入した後、198℃で表面架橋結合反応を行った。そして、これを粉砕および分級して、150~850μmの粒径の高吸水性樹脂粒子を150g製造した。
【0060】
(2)高吸水性樹脂複合体の製造
前記高吸水性樹脂粒子の製造で製造された150gの高吸水性樹脂粒子を240mm×180mm×10mmのSUS Trayに均一に広げて恒温恒湿器に投入した。前記恒温恒湿器で40℃80%RHの条件下で10分間加水処理を行い、この時に前記恒温恒湿器に投入された高吸水性樹脂粒子150gに水分3g(高吸水性樹脂粒子100重量%に対して水分2重量%)を吸着させた。前記水分吸着量は、国際標準化機構(International Organization for Standardization;ISO)17190-4:2001方法に準じて測定された。
【0061】
その後、密閉容器に加水処理されてから2分を超えない(加水直後)高吸水性樹脂粒子と0.15gのヒュームドシリカ(高吸水性樹脂粒子100重量%に対してヒュームドシリカ0.10重量%)を投入した。前記密閉容器を振とうして混合することにより加水処理された高吸水性樹脂粒子とヒュームドシリカが付着された。したがって、前記加水処理された高吸水性樹脂粒子とヒュームドシリカとが互いに付着された高吸水性樹脂複合体を製造した。
【0062】
実施例2
前記実施例1で加水処理を12分間行って、4.5g(高吸水性樹脂粒子100重量%に対して水分3重量%)の水分を高吸水性樹脂粒子に吸着させた以外は、前記実施例1と同じ方法を用いて高吸水性樹脂複合体を製造した。
【0063】
実施例3
前記実施例1で加水処理を14分間行って、6g(高吸水性樹脂粒子100重量%に対して水分4重量%)の水分を高吸水性樹脂粒子に吸着させた以外は、前記実施例1と同じ方法を用いて高吸水性樹脂複合体を製造した。
【0064】
実施例4
前記実施例1で前記密閉容器に0.08g(高吸水性樹脂粒子100重量%に対してヒュームドシリカ0.05重量%)のヒュームドシリカを投入した以外は、前記実施例1と同じ方法を用いて高吸水性樹脂複合体を製造した。
【0065】
実施例5
前記実施例1で前記密閉容器に0.23g(高吸水性樹脂粒子100重量%に対してヒュームドシリカ0.15重量%)のヒュームドシリカを投入した以外は、前記実施例1と同じ方法を用いて高吸水性樹脂複合体を製造した。
【0066】
実施例6
前記実施例1で加水処理を恒温恒湿器で行わず、直接噴霧加水して3g(高吸水性樹脂粒子100重量%に対して水分2重量%)の水分を高吸水性樹脂粒子に吸着させた以外は、前記実施例1と同じ方法を用いて高吸水性樹脂複合体を製造した。
【0067】
実施例7
前記実施例1で加水処理を恒温恒湿器で行わず、直接噴霧加水して4.5g(高吸水性樹脂粒子100重量%に対して水分3重量%)の水分を高吸水性樹脂粒子に吸着させた以外は、前記実施例1と同じ方法を用いて高吸水性樹脂複合体を製造した。
【0068】
実施例8
前記実施例1で加水処理を5分間行って、0.8g(高吸水性樹脂粒子100重量%に対して水分0.5重量%)の水分を高吸水性樹脂粒子に吸着させた以外は、前記実施例1と同じ方法を用いて高吸水性樹脂複合体を製造した。
【0069】
実施例9
前記実施例1で加水処理を7分間行って、1.5g(高吸水性樹脂粒子100重量%に対して水分1重量%)の水分を高吸水性樹脂粒子に吸着させた以外は、前記実施例1と同じ方法を用いて高吸水性樹脂複合体を製造した。
【0070】
実施例10
前記実施例1で加水処理を15分間行って、9g(高吸水性樹脂粒子100重量%に対して水分6重量%)の水分を高吸水性樹脂粒子に吸着させた以外は、前記実施例1と同じ方法を用いて高吸水性樹脂複合体を製造した。
【0071】
比較例
比較例1
前記実施例1で加水処理を行っていない高吸水性樹脂粒子を使用した以外は、前記実施例1と同じ方法を用いて高吸水性樹脂複合体を製造した。
【0072】
比較例2
前記実施例1でヒュームドシリカを投入および混合していない以外は、前記実施例1と同じ方法を用いて高吸水性樹脂複合体を製造した。
【0073】
比較例3
前記実施例1で加水処理の直後ではなく、加水処理を行ってから24時間が経過した高吸水性樹脂粒子を使用して混合した以外は、前記実施例1と同じ方法を用いて高吸水性樹脂複合体を製造した。
【0074】
実験例
前記実施例もしくは比較例で製造した高吸水性樹脂複合体に対して、下記のような方法でアンチ-ケーキング(A/C、Anti-Caking)効率を測定した。ここで、前記アンチ-ケーキング効率は、実施例もしくは比較例で製造された高吸水性樹脂複合体を密閉容器に4時間保管した後に測定しており、その結果を下記表1に示した。
【0075】
【0076】
上述の高吸水性樹脂複合体の製造方法によって製造された高吸水性樹脂複合体のアンチ-ケーキング効率を下記数学式1によって測定した。ここで、吸湿度を38%~44%に維持した状態で、アンチ-ケーキング効率を測定しており、これにより、アンチ-ケーキング効率分析の再現性を確保することができた。前記吸湿度は、下記数学式2によって調節することができた。
【0077】
【0078】
【0079】
前記数学式1および数学式2中、W1は、57mm Aluminium Dishの重量、W2は、実施例1~10および比較例1~3によって製造された高吸水性樹脂複合体のうち0.76g~0.84gの範囲内で試料をサンプリングして前記試料の重量を測定した値を示し、W3は、W1のDish重量と前記Dishに載せられたW2の高吸水性樹脂複合体を恒温恒湿器で80℃95%RHの条件下で10分間加水処理した後、水分が吸着された高吸水性樹脂複合体の重量を合算した重量を示す。前記加水処理された高吸水性樹脂複合体をDishごとに1400μm Meshに投入し、Amplitude 1.0mm/gの条件で、10秒間Sieve Shakerを作動させた。最終的に、前記1400μm Meshを通過した高吸水性樹脂複合体の重量を測定し、W4として示した。
【0080】
前記表1のように、実施例のアンチ-ケーキング効率が比較例に比べて著しく高いことを確認することができた。これにより、高吸水性樹脂粒子に加水処理を施すことで、アンチ-ケーキング効率が極大化することができることを確認することができた。なお、前記加水処理により高吸水性樹脂粒子とケーキング防止剤との接着力も上昇することが分かった。
【0081】
また、比較例1は、加水処理を行っていない高吸水性樹脂粒子にケーキング防止剤を混合したものであり、同じ0.15g(高吸水性樹脂粒子100重量%に対してヒュームドシリカ0.10重量%)のヒュームドシリカを投入した実施例1~3および6~10に比べて著しく低下したアンチ-ケーキング効率を確認することができた。これにより、加水処理が、アンチ-ケーキング効率の向上において大きい影響を与えることができることを確認することができた。
【0082】
比較例2は、実施例1でケーキング防止剤を混合していない高吸水性樹脂複合体であり、前記高吸水性樹脂複合体のアンチ-ケーキング効率を測定した。ケーキング防止剤が投入されていない高吸水性樹脂複合体は、加水処理によってすでに水分が吸着された状態であり、高吸水性樹脂粒子間の粘性が発生して凝集が形成された状態であり得る。これを防止するケーキング防止剤も投入されていないため、本実験の実施例もしくは比較例のうちアンチ-ケーキング効率が最も良くないことを確認することができた。
【0083】
一方、比較例3は、実施例1で加水処理された直後の高吸水性樹脂粒子ではなく、加水処理されてから24時間が経過した高吸水性樹脂粒子を使用して混合した以外は、同じ方法で製造した高吸水性樹脂複合体のアンチ-ケーキング効率を測定したものである。前記比較例3のアンチ-ケーキング効率が、実施例1に比べて約49%低下したことを確認することができた。したがって、前記高吸水性樹脂粒子とヒュームドシリカをともに混合する際、比較例3のように、加水処理されてから一日が経過した高吸水性樹脂粒子を使用する場合、ヒュームドシリカが前記高吸水性樹脂粒子に強く付着されないことを確認することができた。したがって、ケーキング防止剤の役割であるケーキング問題を解決することができなかったため、比較例3のアンチ-ケーキング効率が著しく低下したことを確認することができた。