(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-18
(45)【発行日】2025-03-27
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物、および、電子部品
(51)【国際特許分類】
H05K 3/28 20060101AFI20250319BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20250319BHJP
G03F 7/075 20060101ALI20250319BHJP
【FI】
H05K3/28 D
G03F7/004 501
G03F7/004 512
G03F7/075 501
(21)【出願番号】P 2021058456
(22)【出願日】2021-03-30
【審査請求日】2024-02-29
(73)【特許権者】
【識別番号】591021305
【氏名又は名称】太陽ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【氏名又は名称】本多 一郎
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 沙和子
(72)【発明者】
【氏名】植田 千穂
(72)【発明者】
【氏名】柴田 大介
(72)【発明者】
【氏名】加藤 文崇
(72)【発明者】
【氏名】種 将太郎
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-113590(JP,A)
【文献】国際公開第2018/225441(WO,A1)
【文献】特開2020-166136(JP,A)
【文献】特開2015-038607(JP,A)
【文献】特開2020-166214(JP,A)
【文献】特開2019-179222(JP,A)
【文献】特開2017-129687(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108241253(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/00 - 3/46
H01L 21/00 - 25/18
G03F 7/004 - 7/115
G03F 7/16 - 7/18
G03C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)カルボキシル基含有樹脂、(B)エポキシ樹脂、(C)光重合開始剤、(D)無機フィラー、および、(E)シランカップリング剤を含み、
固形分換算で、前記(B)エポキシ樹脂の全量に対し、融点60~120℃の結晶性エポキシ樹脂を20質量%以上含み、
前記(D)無機フィラーの配合量が固形分全量中で35質量%未満であり、
前記(E)シランカップリング剤がイミダゾール骨格を有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(E)シランカップリング剤の配合量が固形分全量中で0.1~20質量%であることを特徴とする請求項
1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(E)シランカップリング剤が、2級水酸基を有しないことを特徴とする請求項1
または2記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(E)シランカップリング剤が下記式(1)に示す構造を有することを特徴とする請求項1~
3のいずれか一項記載の感光性樹脂組成物。
(式中、R
1は水素原子又は炭素数が1~20のアルキル基を表し、R
2は水素原子、ビニル基又は炭素数が1~5のアルキル基を表し、R
3は炭素数が1~3のアルキル基を表し、R
4は炭素数が1~3のアルキル基を表し、nは1~3の整数を表す。)
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか一項記載の感光性樹脂組成物をフィルムに塗布、乾燥して得られる樹脂層を有することを特徴とするドライフィルム。
【請求項6】
請求項1~
4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物、または、請求項
5記載のドライフィルムの樹脂層を硬化して得られることを特徴とする硬化物。
【請求項7】
請求項
6記載の硬化物を有することを特徴とする電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物、および、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント配線板におけるソルダーレジスト等の永久被膜を露光、現像により形成する材料として、アルカリ水溶液により現像可能な感光性樹脂組成物が用いられている。また、電子機器の軽薄短小化に伴うプリント配線板の高密度化に対応して、半導体パッケージの小型化や多ピン化が実用化され量産化が進み、最近では、QFP(クワッド・フラット・パッケージ)やSOP(スモール・アウトライン・パッケージ)と呼ばれる半導体パッケージに代わり、パッケージ基板を用いたBGA(ボール・グリッド・アレイ)やCSP(チップ・スケール・パッケージ)などの半導体パッケージが採用されるようになってきている。
【0003】
一方、ICチップとパッケージ基板接続部のパッケージ基板の微細化と高密度化が進んでおり、パッケージ基板で用いられるソルダーレジストも解像性向上が求められている。また、信頼性を向上させるために接続部をアンダーフィルで封入することが行われているため(例えば特許文献1)、アンダーフィルとの密着性やアンダーフィルの濡れ広がり性、耐ブリード性といった特性も良好であることがソルダーレジストに求められる。
【0004】
ここで、接続部の微細化が進むとアンダーフィルの充填不足が懸念される。しかし、充填性向上のために流動性が高いアンダーフィルを用いると接続部からアンダーフィルの液状成分が染み出すブリード現象が発生する恐れがある。ブリードは外観不良だけでなく電極の導電性不良を起こす懸念があるため、耐ブリード性の向上は重要である。さらに、高性能ICチップは従来よりサイズが大きく、それに伴い密着性の向上も重要となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、良好な解像性、アンダーフィルとの高密着性、アンダーフィルの良好な濡れ広がり性、耐ブリード性といった特性を有することがパッケージ基板用ソルダーレジストに求められている。しかしながら、これら特性の両立は容易ではなく、特に組成物中の無機フィラーの量が大きな影響を及ぼす。無機フィラーの量を減らすと、組成物中の光散乱を減らす事が出来るため解像性が向上できる。また、組成物中の樹脂成分が相対的に増えるため、アンダーフィルの濡れ広がり性や密着性は向上する傾向にある。その一方で、無機フィラーの減量は耐ブリード性を低下する要因となる。
【0007】
そこで本発明の目的は、解像性を向上させると共に、アンダーフィルのブリードが発生しにくく、アンダーフィルの濡れ広がりも十分で、密着性に優れた硬化物が得られる感光性樹脂組成物、該組成物から得られる樹脂層を有するドライフィルム、該組成物または該ドライフィルムの樹脂層の硬化物、および、該硬化物を有する電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、無機フィラーの配合量を感光性樹脂組成物の固形分全量中で35質量%未満とし、イミダゾール骨格を有するシランカップリング剤を用いることで、解像性を向上させると共に、ブリードの発生を抑制し、アンダーフィルの濡れ広がりも十分で、密着性も向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。また、特定のエポキシ樹脂と併用することにより、さらに耐ブリード性と密着性が向上することも見出した。
【0009】
即ち、本発明の感光性樹脂組成物は、
(A)カルボキシル基含有樹脂、(B)エポキシ樹脂、(C)光重合開始剤、(D)無機フィラー、および、(E)シランカップリング剤を含み、
前記(D)無機フィラーの配合量が固形分全量中で35質量%未満であり、
前記(E)シランカップリング剤がイミダゾール骨格を有することを特徴とするものである。
【0010】
本発明の感光性樹脂組成物は、前記(B)エポキシ樹脂が融点60~120℃の結晶性エポキシ樹脂であることが好ましい。
【0011】
本発明の感光性樹脂組成物は、前記(E)シランカップリング剤の配合量が固形分全量中0.1~20質量%であることが好ましい。
【0012】
本発明の感光性樹脂組成物は、前記(E)シランカップリング剤が、2級水酸基を有しないことが好ましい。
【0013】
本発明の感光性樹脂組成物は、前記(E)シランカップリング剤が下記式(1)に示す構造を有することが好ましい。
(式中、R
1は水素原子又は炭素数が1~20のアルキル基を表し、R
2は水素原子、ビニル基又は炭素数が1~5のアルキル基を表し、R
3は炭素数が1~3のアルキル基を表し、R
4は炭素数が1~3のアルキル基を表し、nは1~3の整数を表す。)
【0014】
本発明のドライフィルムは、前記感光性樹脂組成物をフィルムに塗布、乾燥して得られる樹脂層を有することを特徴とするものである。
【0015】
本発明の硬化物は、前記感光性樹脂組成物、または、前記ドライフィルムの樹脂層を硬化して得られることを特徴とするものである。
【0016】
本発明の電子部品は、前記硬化物を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、解像性を向上させると共に、アンダーフィルのブリードが発生しにくく、アンダーフィルの濡れ広がりも十分で、密着性に優れた硬化物が得られる感光性樹脂組成物、該組成物から得られる樹脂層を有するドライフィルム、該組成物または該ドライフィルムの樹脂層の硬化物、および、該硬化物を有する電子部品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)カルボキシル基含有樹脂、(B)エポキシ樹脂、(C)光重合開始剤、(D)無機フィラー、および、(E)シランカップリング剤を含み、前記(D)無機フィラーの配合量が固形分全量中で35質量%未満であり、前記(E)シランカップリング剤がイミダゾール骨格を有することを特徴とするものである。無機フィラーを35質量%未満にするとアンダーフィルとソルダーレジストの濡れ性が向上するため密着性が上がる。一方で、濡れ性向上によりブリードが発生しやすくなると考えられるが、イミダゾールシランを添加することで、樹脂成分の極性をコントロールすることができ、ブリードを抑制できる。また、融点以下の温度では高分子鎖が規則正しく配列して固形でありながらも、溶融時には液状樹脂並みの低粘度となる結晶性のエポキシ樹脂に着目し、融点が60℃~120℃で結晶性の高いエポキシ樹脂を用いることで、さらに耐ブリード性と密着性を向上することができる。
【0019】
以下に、本発明の感光性樹脂組成物の各成分について説明する。
【0020】
[(A)カルボキシル基含有樹脂]
(A)カルボキシル基含有樹脂としては、分子中にカルボキシル基を有している従来公知の各種カルボキシル基含有樹脂を使用できる。特に、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有感光性樹脂が、光硬化性や耐現像性の面から好ましい。エチレン性不飽和二重結合は、アクリル酸もしくはメタクリル酸又はそれらの誘導体由来であることが好ましい。エチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂のみを用いる場合、組成物を光硬化性とするためには、後述する分子中に複数のエチレン性不飽和基を有する化合物、即ち光反応性モノマーを併用する必要がある。(A)カルボキシル基含有樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下のような化合物(オリゴマー及びポリマーのいずれでもよい)を挙げることができる。
【0021】
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α-メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂。
【0022】
(2)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物およびポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
【0023】
(3)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネート化合物と、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるウレタン樹脂の末端に酸無水物を反応させてなる末端カルボキシル基含有ウレタン樹脂。
【0024】
(4)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物およびジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
【0025】
(5)上記(2)または(4)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子中に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
【0026】
(6)上記(2)または(4)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物等、分子中に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
【0027】
(7)多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有樹脂。
【0028】
(8)2官能エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有樹脂。
【0029】
(9)多官能オキセタン樹脂にジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂。
【0030】
(10)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
【0031】
(11)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
【0032】
(12)1分子中に複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、p-ヒドロキシフェネチルアルコール等の1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
【0033】
(13)アミド構造およびイミド構造の少なくともいずれかを有するカルボキシル基含有樹脂。
(14)N-フェニルマレイミド、N-ベンジルマレイミド等のマレイミドまたはマレイミド誘導体と、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する不飽和基含有化合物と、スチレン、α-メチルスチレン、α-クロロスチレン、ビニルトルエン等の芳香環を有する不飽和基含有化合物とを単量体とするカルボキシル基含有共重合樹脂に、グリシジル(メタ)アクリレート、α-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等の分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなる、共重合構造を有するカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0034】
(15)上記(1)~(13)等に記載のカルボキシル基含有樹脂にさらにグリシジル(メタ)アクリレート、α-メチルグリシジル(メタ)アクリレート等の分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有樹脂。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレート及びそれらの混合物を総称する用語で、他の類似の表現についても同様である。
【0035】
(A)カルボキシル基含有樹脂は、前記列挙したものに限らず使用することができ、1種類を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。上記カルボキシル基含有樹脂の中でも、(7)、(8)、(10)のカルボキシル基含有樹脂が好ましい。
【0036】
(A)カルボキシル基含有樹脂の酸価は、20~200mgKOH/gであることが好ましい。(A)カルボキシル基含有樹脂の酸価が20~200mgKOH/gであると、硬化物のパターンの形成が容易となる。より好ましくは、50~130mgKOH/gである。
【0037】
また、(A)カルボキシル基含有樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、一般的に1,000~150,000、さらには2,000~20,000の範囲にあるものが好ましい。重量平均分子量が1,000以上であると、露光部の被膜の耐現像性が向上し、解像性に優れる。一方、重量平均分子量が150,000以下であると、未露光部の溶解性が良好で解像性に優れるとともに、貯蔵安定性においても向上することがある。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。
【0038】
(A)カルボキシル基含有樹脂の配合量は、感光性樹脂組成物の固形分全量中に、10~70質量%である。10質量%以上とすることにより塗膜強度を向上させることができる。また70質量%以下とすることで粘性が適当となり加工性が向上する。
【0039】
[(B)エポキシ樹脂]
本発明の感光性樹脂組成物は、(B)エポキシ樹脂を含む。
【0040】
(B)エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ハイドロキノン型エポキシ樹脂;ビスフェノール型エポキシ樹脂;チオエーテル型エポキシ樹脂;ブロム化エポキシ樹脂;ノボラック型エポキシ樹脂;ビフェノールノボラック型エポキシ樹脂;ビスフェノールF型エポキシ樹脂;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;グリシジルアミン型エポキシ樹脂;ヒダントイン型エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;アルキルフェノール型エポキシ樹脂(例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂);ビフェノール型エポキシ樹脂;ビスフェノールS型エポキシ樹脂;ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;複素環式エポキシ樹脂;ジグリシジルフタレート樹脂;テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;ナフタレン基含有エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;トリフェニルメタン型エポキシ樹脂;シルセスキオキサン骨格を有するエポキシ樹脂;グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体;CTBN変性エポキシ樹脂等が挙げられる。(B)エポキシ樹脂は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0041】
(B)エポキシ樹脂は、耐ブリード性と密着性を向上する観点から、融点60~120℃の結晶性エポキシ樹脂が好ましい。これらのエポキシ樹脂は、融点未満の温度では固形で存在し、融点以上の温度では低粘度の液状となる。また、融点が60℃以上であると、現像時に溶出しにくく、120℃以下であるとラミネート性に優れる。
【0042】
融点60~120℃の結晶性のエポキシ樹脂の構造は特に限定されないが、具体的には例えば、ビフェニル構造、スルフィド構造、フェニレン構造、ナフタレン構造等を有する結晶性の2官能エポキシ樹脂が挙げられる。なかでも下記一般式、
(式中、R
5、R
6、R
7およびR
8は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表す)で示される構造を有する2官能エポキシ樹脂を好適に用いることができる。融点60~120℃の結晶性のエポキシ樹脂の市販品としては、三菱ケミカル社製のYX-4000、YX-4000H、YL-6121HA、新日鉄住金化学社製のYSLV-70XY、YSLV-80XYなどを挙げることができる。
【0043】
ここで、前記結晶性のエポキシ樹脂の融点は、60~120℃の範囲であればよく、好ましくは70~110℃である。
【0044】
(B)エポキシ樹脂の配合量は、感光性樹脂組成物の固形分全量中、5~80質量%であることが好ましい。
【0045】
本発明の感光性樹脂組成物において、前記結晶性のエポキシ樹脂と他のエポキシ樹脂を併用する場合には、固形分換算で、(B)エポキシ樹脂の全量に対し、前記結晶性のエポキシ樹脂を20質量%以上含むことが好ましく、より好ましくは、35~100質量%含むものとする。
【0046】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、エポキシ樹脂以外の熱硬化性樹脂を含んでもよく、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、アミノ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、カルボジイミド樹脂、シクロカーボネート化合物、多官能オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂などの公知慣用の熱硬化性樹脂が使用できる。
【0047】
[(C)光重合開始剤]
本発明の感光性樹脂組成物は、(C)光重合開始剤を含む。(C)光重合開始剤としては、光重合開始剤や光ラジカル発生剤として公知の光重合開始剤であれば、いずれのものを用いることもでき、例えば、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-1-ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(IGM Resins社製Omnirad(オムニラッド)819)等のビスアシルフォスフィンオキサイド類;2,6-ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6-ジクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2-メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(IGM Resins社製Omnirad(オムニラッド)TPO)等のモノアシルフォスフィンオキサイド類;1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン等のヒドロキシアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn-プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn-ブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾインアルキルエーテル類;ベンゾフェノン、p-メチルベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、メチルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1-プロパノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;チオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アントラキノン、クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-アミルアントラキノン、2-アミノアントラキノン等のアントラキノン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;エチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、2-(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、p-ジメチル安息香酸エチルエステル等の安息香酸エステル類;1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)-ビス[2,6-ジフルオロ-3-(2-(1-ピル-1-イル)エチル)フェニル]チタニウム等のチタノセン類;フェニルジスルフィド2-ニトロフルオレン、ブチロイン、アニソインエチルエーテル、アゾビスイソブチロニトリル、テトラメチルチウラムジスルフィド等を挙げることができる。(C)光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でもモノアシルフォスフィンオキサイド類、オキシムエステル類が好ましく、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)がより好ましい。
【0048】
(C)光重合開始剤の配合量は、感光性樹脂組成物の固形分全量中に、好ましくは0.05~20質量%であり、より好ましくは0.1~5質量である。上記配合量とすることにより、銅上での光硬化性がより確実となり、耐薬品性などの塗膜特性が向上し、また、ハレーション等が発生しにくく、解像性もより良好となる。
【0049】
[(D)無機フィラー]
本発明の感光性樹脂組成物は、(D)無機フィラーを含む。(D)無機フィラーの配合量は、組成物の固形分全量中で35質量%未満である。(D)無機フィラーとしては、特に限定されず、公知慣用の無機フィラー、例えば、無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカなどのシリカ、ノイブルグ珪土、水酸化アルミニウム、ガラス粉末、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、天然マイカ、合成マイカ、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化鉄、非繊維状ガラス、ハイドロタルサイト、ミネラルウール、アルミニウムシリケート、カルシウムシリケート、亜鉛華等の無機フィラーを用いることができる。(D)無機フィラーとして、シリカを含むことが好ましい。シリカとしては、溶融シリカ、球状シリカ、無定形シリカ、結晶性シリカなどが挙げられるが、球状シリカであることが好ましい。
【0050】
(D)無機フィラーは表面処理された無機フィラーであることが好ましく、無機フィラーの表面に硬化性反応基を導入可能な表面処理が施されていることがより好ましい。ここで、硬化性反応基とは、(A)カルボキシル基含有樹脂のようなアルカリ可溶性樹脂や(B)エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂などの硬化性化合物と硬化反応する基であれば特に限定されず、光硬化性反応基でも熱硬化性反応基でもよい。光硬化性反応基としては、メタクリル基、アクリル基、ビニル基、スチリル基等が挙げられ、熱硬化性反応基としては、エポキシ基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、イソシアネート基、イミノ基、オキセタニル基、メルカプト基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、オキサゾリン基等が挙げられる。無機フィラーの表面に硬化性反応基を導入する方法は特に限定されず、公知慣用の方法を用いて導入すればよく、硬化性反応基を有する表面処理剤、例えば、硬化性反応基を有機基として有するカップリング剤等で無機フィラーの表面を処理すればよい。カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等を用いることができる。なお、硬化性反応基を有しない表面処理された無機フィラーとしては、例えば、シリカ-アルミナ表面処理、チタネート系カップリング剤処理、アルミネート系カップリング剤処理、フルオレン系カップリング剤処理、有機処理がされた無機フィラー等が挙げられる。また、表面処理として、ケイ素の水和酸化物、アルミニウムの水和酸化物、ジルコニウムの水和酸化物、亜鉛の水和酸化物、チタンの水和酸化物等で無機フィラーを被覆してもよい。
【0051】
(D)無機フィラーの平均粒子径は、0.01~0.8μmであることが好ましい。ここで、本明細書において、無機フィラーの平均粒子径は、一次粒子の粒径だけでなく、二次粒子(凝集体)の粒径も含めた平均粒子径(D50)であり、レーザー回折式粒子径分布測定装置と動的光散乱法による測定装置により求めることができる。例えば、レーザー回折法による測定装置としては、マイクロトラック・ベル社製のMicrotrac MT3300EXII(測定範囲:0.02~2,000μm)を用いればよく、測定範囲を下回る場合は、動的光散乱法による測定装置としてマイクロトラック・ベル社製のNanotrac Wave II UT151(測定範囲:0.8~6,500nm)で測定すればよい。
【0052】
(D)無機フィラーは、平均粒子径を調整してもよく、例えば、ビーズミルやジェットミルで予備分散することが好ましい。また、無機フィラーは、スラリー状態で配合されることが好ましく、スラリー状態で配合することによって、高分散化が容易であり、凝集を防止し、取り扱いが容易になる。
【0053】
(D)無機フィラーは、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。(D)無機フィラーの配合量は、感光性樹脂組成物の固形分全量中で、好ましくは5質量%以上35質量%未満であり、より好ましくは15~34質量%である。5質量%以上とすることで、硬化物の強度および剛性を向上させることができる。35質量%未満とする事で、硬化物とアンダーフィル材の濡れ性が向上し、密着性が良好になる。(D)無機フィラーにおいて、シリカと他の無機フィラーとを併用する場合には、固形分換算で、(D)無機フィラーの全量に対し、前記シリカを30質量%以上含むことが好ましく、より好ましくは、40~100質量%含むものとする。
【0054】
[(E)イミダゾール骨格を有するシランカップリング剤]
本発明の感光性樹脂組成物は、(E)イミダゾール骨格を有するシランカップリング剤(以下、「(E)シランカップリング剤」とも略記する)を含む。(E)シランカップリング剤は、イミダゾール環を有するシランカップリング剤であれば特に限定されず、イミダゾール環とアルコキシリル基を有するシランカップリング剤の例としては、下記式(1)または(2)で表されるシランカップリング剤が挙げられる。
【0055】
(式(1)および(2)中、R
1は水素原子又は炭素数が1~20のアルキル基を表し、R
2は水素原子、ビニル基又は炭素数が1~5のアルキル基を表し、R
3は炭素数が1~3のアルキル基を表し、R
4は炭素数が1~3のアルキル基を表し、nは1~3の整数を表す。)
【0056】
式(1)および(2)中、R
1は水素原子、メチル基、エチル基、ウンデシル基、または、ヘプタデシル基であることが好ましい。R
2は、水素原子またはメチル基であることが好ましい。R
3は、メチル基またはエチル基であることが好ましい。R
4は、メチル基またはエチル基であることが好ましい。
具体的には、式(3)、式(4)で表されるシランカップリング剤が好ましい。
【0057】
(E)シランカップリング剤は、耐ブリード性およびインキ粘度の観点から、2級水酸基を有しないことが好ましく、上記式(1)で表されるシランカップリング剤であることがより好ましく、具体的には、上記式(3)で表されるシランカップリング剤であることが好ましい。
【0058】
(E)シランカップリング剤は、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。(E)シランカップリング剤の配合量は、感光性樹脂組成物の固形分全量中で0.1~20質量%であることが好ましい。0.1~20質量%であると、耐ブリード性、密着性、インキ粘度のバランスに優れる。より好ましくは、1~15質量%であり、さらに好ましくは1.5~11質量%である。
【0059】
(エチレン性不飽和基を有する化合物)
本発明の感光性樹脂組成物は、光重合性オリゴマーや、光重合性ビニルモノマーといった、エチレン性不飽和基を有する化合物を含んでいてもよい。
【0060】
光重合性オリゴマーとしては、不飽和ポリエステル系オリゴマー、(メタ)アクリレート系オリゴマー等が挙げられる。(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、フェノールノボラックエポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラックエポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0061】
光重合性ビニルモノマーとしては、公知慣用のもの、例えば、スチレン、クロロスチレン、α-メチルスチレンなどのスチレン誘導体;酢酸ビニル、酪酸ビニルまたは安息香酸ビニルなどのビニルエステル類;ビニルイソブチルエーテル、ビニル-n-ブチルエーテル、ビニル-t-ブチルエーテル、ビニル-n-アミルエーテル、ビニルイソアミルエーテル、ビニル-n-オクタデシルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル、エチレングリコールモノブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ヒドロキシメチルアクリルアミド、N-ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-エトキシメチルアクリルアミド、N-ブトキシメチルアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類;トリアリルイソシアヌレート、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリルなどのアリル化合物;2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のエステル類;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート類、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどのアルキレンポリオールポリ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどのポリオキシアルキレングリコールポリ(メタ)アクリレート類;ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレートなどのポリ(メタ)アクリレート類;トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレートなどのイソシアヌルレート型ポリ(メタ)アクリレート類などが挙げられる。これらは、要求特性に合わせて、1種を単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0062】
エチレン性不飽和基を有する化合物の配合量は、感光性樹脂組成物の固形分全量中に、好ましくは0.2~60質量%、より好ましくは0.2~50質量%である。エチレン性不飽和基を有する化合物の配合量を0.2質量%以上とすることにより、感光性樹脂組成物の光硬化性が向上する。また、配合量を60質量%以下とすることにより、塗膜硬度を向上させることができる。
【0063】
(硬化促進剤)
本発明の感光性樹脂組成物は、硬化促進剤を含有することができる。硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-ジメチルアミノピリジン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィン等のリン化合物等が挙げられる。また、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS-トリアジン誘導体を用いることもできる。硬化促進剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0064】
硬化促進剤の配合量は、感光性樹脂組成物の固形分全量中、好ましくは0.01~30質量%である。
【0065】
(エラストマー)
本発明の感光性樹脂組成物は、エラストマーを含むことが好ましい。エラストマーを含むことにより、弾性率を低くすることができるので、硬化時の応力を緩和し、クラック耐性をより向上させることができる。エラストマーとしては、公知のエラストマーを用いることができ、例えば、ポリエステル系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステルウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステルアミド系エラストマー、アクリル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、シリコーン系エラストマー等を用いることができる。また、種々の骨格を有するエポキシ樹脂の一部又は全部のエポキシ基を両末端カルボン酸変性型ブタジエン-アクリロニトリルゴムで変性した樹脂なども使用することができる。更にはエポキシ含有ポリブタジエン系エラストマー、アクリル含有ポリブタジエン系エラストマー、水酸基含有ポリブタジエン系エラストマー、水酸基含有イソプレン系エラストマー、ブロック共重合体等も使用することができる。例えば商品名としては、R-45HT、Polybd HTP-9(以上、出光興産社製)、エポリード PB3600(ダイセル化学工業社製)、デナレックスR-45EPT(ナガセケムテックス社製)、タフセレン(住友化学社製)、Ricon130等のRiconシリーズ(クレイバレー社製)、ハイトレル(東レ・デュポン社製)、ペルプレン(東洋紡社製)、エスペル1612、1620(日立化成社製)等が挙げられる。これらのエラストマーは、1種を単独で又は2種類以上を併用することができる。
【0066】
エラストマーの配合量は、感光性樹脂組成物の固形分全量中、0.5~10質量%であることが好ましい。
【0067】
(着色剤)
本発明の感光性樹脂組成物には、着色剤が含まれていてもよい。着色剤は1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。着色剤としては、赤、青、緑、黄、黒、白等の公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよい。但し、環境負荷低減並びに人体への影響の観点からハロゲンを含有しないことが好ましい。
【0068】
着色剤の配合量は、感光性樹脂組成物の固形分全量中、好ましくは0.01~10質量%である。
【0069】
(有機溶剤)
本発明の感光性樹脂組成物には、組成物の調製や、基板やキャリアフィルムに塗布する際の粘度調整等の目的で、有機溶剤を含有させることができる。有機溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、炭酸プロピレン等のエステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤など、公知慣用の有機溶剤が使用できる。有機溶剤は、1種を単独で、または2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0070】
(その他の任意成分)
さらに、本発明の感光性樹脂組成物には、電子材料の分野において公知慣用の他の添加剤を配合してもよい。他の添加剤としては、熱重合禁止剤、紫外線吸収剤、(E)シランカップリング剤以外のシランカップリング剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、老化防止剤、抗菌・防黴剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、密着性付与剤、チキソ性付与剤、光開始助剤、増感剤、熱可塑性樹脂、有機フィラー、離型剤、表面処理剤、分散剤、分散助剤、表面改質剤、安定剤、蛍光体等が挙げられる。
【0071】
本発明の感光性樹脂組成物は、ドライフィルム化して用いても液状として用いてもよい。液状として用いる場合は、1液性でも2液性以上でもよい。
【0072】
次に、本発明のドライフィルムは、キャリアフィルム上に、本発明の感光性樹脂組成物を塗布、乾燥させることにより得られる樹脂層を有する。ドライフィルムを形成する際には、まず、本発明の感光性樹脂組成物を上記有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整した上で、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター等により、キャリアフィルム上に均一な厚さに塗布する。その後、塗布された組成物を、通常、40~130℃の温度で1~30分間乾燥することで、樹脂層を形成することができる。塗布膜厚については特に制限はないが、一般に、乾燥後の膜厚で、3~150μm、好ましくは5~60μmの範囲で適宜選択される。
【0073】
キャリアフィルムとしては、プラスチックフィルムが用いられ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等を用いることができる。キャリアフィルムの厚さについては特に制限はないが、一般に、10~150μmの範囲で適宜選択される。より好ましくは15~130μmの範囲である。
【0074】
キャリアフィルム上に本発明の感光性樹脂組成物からなる樹脂層を形成した後、樹脂層の表面に塵が付着することを防ぐ等の目的で、さらに、樹脂層の表面に、剥離可能なカバーフィルムを積層することが好ましい。剥離可能なカバーフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルムやポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、表面処理した紙等を用いることができる。カバーフィルムとしては、カバーフィルムを剥離するときに、樹脂層とキャリアフィルムとの接着力よりも小さいものであればよい。
【0075】
なお、本発明においては、上記カバーフィルム上に本発明の感光性樹脂組成物を塗布、乾燥させることにより樹脂層を形成して、その表面にキャリアフィルムを積層するものであってもよい。すなわち、本発明においてドライフィルムを製造する際に本発明の感光性樹脂組成物を塗布するフィルムとしては、キャリアフィルムおよびカバーフィルムのいずれを用いてもよい。
【0076】
本発明の電子部品は、本発明の感光性樹脂組成物またはドライフィルムの樹脂層から得られる硬化物を有するものである。本発明の電子部品の製造方法の例として、プリント配線板の製造方法としては、例えば、本発明の感光性樹脂組成物を、上記有機溶剤を用いて塗布方法に適した粘度に調整して、基材上に、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等の方法により塗布した後、60~100℃の温度で組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥(仮乾燥)させることで、タックフリーの樹脂層を形成する。また、ドライフィルムの場合、ラミネーター等により樹脂層が基材と接触するように基材上に貼り合わせた後、キャリアフィルムを剥がすことにより、基材上に樹脂層を形成する。
【0077】
上記基材としては、あらかじめ銅等により回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素樹脂・ポリエチレン・ポリフェニレンエーテル,ポリフェニレンオキシド・シアネート等を用いた高周波回路用銅張積層板等の材質を用いたもので、全てのグレード(FR-4等)の銅張積層板、その他、金属基板、ポリイミドフィルム、PETフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を挙げることができる。
【0078】
本発明の感光性樹脂組成物を塗布した後に行う揮発乾燥は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブン等(蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用いて乾燥機内の熱風を向流接触せしめる方法およびノズルより支持体に吹き付ける方式)を用いて行うことができる。
【0079】
プリント配線板上に樹脂層を形成後、所定のパターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性エネルギー線により露光し、未露光部を希アルカリ水溶液(例えば、0.3~3質量%炭酸ソーダ水溶液)により現像して硬化物のパターンを形成する。さらに、硬化物に活性エネルギー線を照射後加熱硬化(例えば、100~220℃)、もしくは加熱硬化後活性エネルギー線を照射、または、加熱硬化のみで最終仕上げ硬化(本硬化)させることにより、密着性、硬度等の諸特性に優れた硬化膜を形成する。
なお、本発明の感光性樹脂組成物が、光塩基発生剤を含む場合、露光後現像前に加熱することが好ましく、露光後現像前の加熱条件としては、例えば、60~150℃で1~60分加熱することが好ましい。
【0080】
上記活性エネルギー線照射に用いられる露光機としては、高圧水銀灯ランプ、超高圧水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、水銀ショートアークランプ等を搭載し、350~450nmの範囲で紫外線を照射する装置であればよく、さらに、直接描画装置(例えば、コンピューターからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)も用いることができる。直描機のランプ光源またはレーザー光源としては、最大波長が350~450nmの範囲にあるものでよい。画像形成のための露光量は膜厚等によって異なるが、一般には10~1000mJ/cm2、好ましくは20~800mJ/cm2の範囲内とすることができる。
【0081】
上記現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等によることができ、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類等のアルカリ水溶液が使用できる。
【0082】
本発明の感光性樹脂組成物は、電子部品に硬化膜を形成するために、特にはプリント配線板上に硬化膜を形成するために好適に使用され、より好適には、永久被膜を形成するために使用され、さらに好適には、ソルダーレジストを形成するために使用される。また、本発明の感光性樹脂組成物によれば、流動性の高いアンダーフィルを用いた場合でも、アンダーフィルのブリードが発生しにくく、アンダーフィルとの密着性に優れた硬化物が得られることから、例えばパッケージ基板、特にFC-BGA用の永久被膜(特にソルダーレジスト)の形成に好適に用いることができる。
【実施例】
【0083】
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、以下において「部」および「%」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
【0084】
[カルボキシル基含有樹脂の合成]
(カルボキシル基含有樹脂A-1)
ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート600gにオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製EPICLON N-695、軟化点95℃、エポキシ当量214、平均官能基数7.6)1070g(グリシジル基数(芳香環総数):5.0モル)、アクリル酸360g(5.0モル)、およびハイドロキノン1.5gを仕込み、100℃に加熱攪拌し、均一溶解した。
次いで、トリフェニルホスフィン4.3gを仕込み、110℃に加熱して2時間反応後、120℃に昇温してさらに12時間反応を行った。得られた反応液に、芳香族系炭化水素(ソルベッソ150)415g、テトラヒドロ無水フタル酸456.0g(3.0モル)を仕込み、110℃で4時間反応を行い、冷却し、感光性のカルボキシル基含有樹脂A-1の溶液を得た。このようにして得られた樹脂溶液の固形分は65%、固形分の酸価は89mgKOH/gであった。以下、このカルボキシル基含有感光性樹脂の溶液を樹脂溶液A-1と称す。
【0085】
(カルボキシル基含有樹脂A-2)
温度計、窒素導入装置兼アルキレンオキシド導入装置および撹拌装置を備えたオートクレーブに、ノボラック型クレゾール樹脂(アイカ工業社製、ショウノールCRG-951OH当量:119.4)119.4部、水酸化カリウム1.19部およびトルエン119.4部を導入し、撹拌しつつ系内を窒素置換し、加熱昇温した。次に、プロピレンオキシド63.8部を徐々に滴下し、125~132℃、0~4.8kg/cm2で16時間反応させた。その後、室温まで冷却し、この反応溶液に89%リン酸1.56部を添加混合して水酸化カリウムを中和し、固形分62.1%、水酸基価が182.2mgKOH/g(307.9g/eq.)であるノボラック型クレゾール樹脂のプロピレンオキシド反応溶液を得た。これは、フェノール性水酸基1当量当りプロピレンオキシドが平均1.08モル付加したものであった。
得られたノボラック型クレゾール樹脂のプロピレンオキシド反応溶液293.0部、アクリル酸43.2部、メタンスルホン酸11.53部、メチルハイドロキノン0.18部およびトルエン252.9部を、撹拌機、温度計および空気吹き込み管を備えた反応器に導入し、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、110℃で12時間反応させた。反応により生成した水は、トルエンとの共沸混合物として、12.6部の水が留出した。その後、室温まで冷却し、得られた反応溶液を15%水酸化ナトリウム水溶液35.35部で中和し、次いで水洗した。その後、エバポレーターにてトルエンをジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート118.1部で置換しつつ留去し、ノボラック型アクリレート樹脂溶液を得た。次に、得られたノボラック型アクリレート樹脂溶液332.5部およびトリフェニルホスフィン1.22部を、撹拌器、温度計および空気吹き込み管を備えた反応器に導入し、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、テトラヒドロフタル酸無水物60.8部を徐々に加え、95~101℃で6時間反応させ、冷却後、取り出した。このようにして、固形分65%、固形分の酸価87.7mgKOH/gの感光性のカルボキシル基含有樹脂A-2の溶液を得た。以下、このカルボキシル基含有感光性樹脂の溶液を樹脂溶液A-2と称す。
【0086】
[フィラーの調製]
(シリカスラリーの調製)
球状シリカ粒子(デンカ株式会社製SFP-20M、平均粒径:400nm)70gと、溶剤としてPMA28gと、メタクリル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製KBM-503)2gとを均一分散させて、メタクリルシランで表面処理されたシリカスラリーを得た。
【0087】
(硫酸バリウムスラリー調製)
硫酸バリウム粒子(堺化学工業製B-30)70gと、溶剤としてCA(カルビトールアセテート)28gと、分散剤(ビックケミー社製DISPERBYK-111)2gとを均一分散させて、硫酸バリウムスラリーを得た。
【0088】
[実施例1~5、参考例6、比較例1~2]
上記の樹脂溶液(ワニス)と、表1中に示す種々の成分を、表1中に示す割合(質量部)にて配合し、ビーズミルにて分散可能な粘度まで有機溶剤にて希釈し攪拌機にて予備混合した後、ビーズミルで混練し、感光性樹脂組成物を分散した。得られた分散液を目開き10μmの濾過フィルターを通し感光性樹脂組成物を得た。
【0089】
<ドライフィルムの作製>
上記のようにして得られた感光性樹脂組成物にメチルエチルケトン300gを加えて希釈し、攪拌機で15分間撹拌して塗工液を得た。塗工液を、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(キャリアフィルム:三菱ケミカル社製T100)上に塗布し、通常、80℃の温度で15分間乾燥し、厚さ20μmの樹脂層を形成した。次いで、樹脂層上に、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(カバーフィルム:フタムラ社製OPP-FOA)を貼り合わせて、ドライフィルムを作製した。
【0090】
<評価基板の作製>
BT基板に上記ドライフィルムを真空ラミネーターを用いて加熱ラミネートした。得られた積層体を全面露光しPETフィルムを剥離した後、30℃の1質量%Na2CO3水溶液をスプレー圧2kg/cm2の条件で60秒間現像を行った。現像後、UVコンベアで積算光量1000mJ/cm2で光照射し、160℃の乾燥炉で60分間熱硬化させて、レジスト膜を形成し、評価基板を得た。
【0091】
<耐ブリード性の評価>
得られた評価基板をプラズマ(ガス:O2、出力:300W、真空度:200mTorr)処理した後、アンダーフィル0.2gを滴下して165℃で2時間硬化した。デジタルマイクロスコープ(VHX-6000、KEYENCE社製)を用いて、ブリード部を測長した。アンダーフィルはU8410-302(ナミックス社製)を使用し、n=6で平均値から評価した。
◎:ブリード量が500μm以下。
〇:ブリード量が500μmより多く600μm以下。
△:ブリード量が600μmより多く700μm以下。
×:ブリード量が700μmより多い。
【0092】
<アンダーフィルの密着性の評価>
得られた評価基板をプラズマ(ガス:O2、出力:300W、真空度:200mTorr)にて処理を行った。アンダーフィルを0.2g滴下した上に5mm角で事前にプラズマ処理(ガス:O2、出力:600W、真空度:100mTorr)したシリコンチップをのせ165℃で2時間硬化した。ボンドテスター(4000 Plus/Optima Nordson社製)を用いて、500μm/s、室温下でダイシェア試験を実施した。
◎:アンダーフィルとソルダーレジスト間で剥離が起こらず、シェア強度が100N以上。
○:アンダーフィルとソルダーレジスト間で剥離が起こらず、シェア強度が80N以上100Nより弱い。
△:アンダーフィルとソルダーレジスト間で剥離が起こらず、シェア強度が80Nより弱い。
×:アンダーフィルとソルダーレジスト間で剥離が発生する。
【0093】
<粘度の評価>
上記で調製した感光性樹脂組成物のインキ粘度をコーンプレート型粘度計を用い、温度25℃で測定した。回転数5rpmにおいて得られる粘度から下記の通り評価した。
◎:粘度が40mPa・s以下。
〇:粘度が40mPa・sより高く100mPa・s以下。
×:粘度が100mPa・sより高い。
【0094】
<解像性の評価>
CZ処理した銅めっき基板に上記手法で作製したドライフィルムを真空ラミネーターを用いて加熱ラミネートした。この基板を投影露光機を用いてステップタブレット(Photec 41段)を介して露光した後PETフィルムを剥離し、30℃の1wt%Na2CO3水溶液をスプレー圧2kg/cm2の条件で60秒間現像を行った。この基板をUVコンベア炉にて積算露光量1000mJ/cm2の条件で紫外線照射した後、160℃で60分間加熱硬化した。得られた硬化膜のうちステップタブレットで8段の感度を示す時の、マスクデザインの開口部をSEMにより観測し、ハレーション、アンダーカットの発生がないかを確認し、評価を行った。判定基準は以下の通りである。
◎:50μmにて良好な開口径。
×:50μmにて良好な開口径がえられなかった。
【0095】
<濡れ広がり性の評価>
得られた評価基板をプラズマ(ガス:O2、出力:300W、真空度:200mTorr)処理した後、アンダーフィル0.2gを滴下して、165℃で2時間硬化した。デジタルマイクロスコープ(VHX-6000 KEYENCE社製)を用いて、アンダーフィル部の面積を測長した。アンダーフィルはU8410-302(ナミックス社製)を使用しn=6で平均値から評価した。
◎:アンダーフィル部が1500mm2以上。
×:アンダーフィル部が1500mm2未満。
【0096】
【0097】
A-1:上記で合成したカルボキシル基含有樹脂A-1の溶液
A-2:上記で合成したカルボキシル基含有樹脂A-2の溶液
*1:BASFジャパン社製イルガキュアOXE02(光重合開始剤、光塩基発生剤(エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム))
*2:IGM Resins社製Omnirad TPO(光重合開始剤(2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド))
*3:三菱ケミカル社製YX-4000(上記一般式で示される構造を有するビフェニル型エポキシ樹脂(融点105℃の結晶性エポキシ樹脂))
*4:DIC社製N870-75EA(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)
*5:上記シリカスラリーの調製1で調製したメタクリル表面処理したシリカスラリー
*6:上記バリウムスラリーの調製で調製したバリウムスラリー
*7:JX金属商事社製IS-1000(下記式で表されるイミダゾール骨格を有するシランカップリング剤)
*8:JX金属商事社製IM-1000(下記式で表されるイミダゾール骨格を有するシランカップリング剤)
*9:ダイセル社製エポリードPB3600
*10:日本化薬社製KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)
*11:DICY(ジシアンジアミド)
【0098】
上記表中に示す結果から、本発明の実施例1~5、参考例6の感光性樹脂組成物は、解像性を向上させると共に、アンダーフィルのブリードが発生しにくく、アンダーフィルの濡れ広がりも十分で、密着性に優れた硬化物が得られることがわかる。