IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 古河電気工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ヒートシンク 図1
  • 特許-ヒートシンク 図2
  • 特許-ヒートシンク 図3
  • 特許-ヒートシンク 図4
  • 特許-ヒートシンク 図5
  • 特許-ヒートシンク 図6
  • 特許-ヒートシンク 図7
  • 特許-ヒートシンク 図8
  • 特許-ヒートシンク 図9
  • 特許-ヒートシンク 図10
  • 特許-ヒートシンク 図11
  • 特許-ヒートシンク 図12
  • 特許-ヒートシンク 図13
  • 特許-ヒートシンク 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-24
(45)【発行日】2025-04-01
(54)【発明の名称】ヒートシンク
(51)【国際特許分類】
   F28D 15/02 20060101AFI20250325BHJP
   H01L 23/427 20060101ALI20250325BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20250325BHJP
【FI】
F28D15/02 102B
F28D15/02 L
H01L23/46 B
H05K7/20 Q
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023542447
(86)(22)【出願日】2022-08-19
(86)【国際出願番号】 JP2022031291
(87)【国際公開番号】W WO2023022211
(87)【国際公開日】2023-02-23
【審査請求日】2023-09-27
(31)【優先権主張番号】P 2021135155
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】坂西 貴広
(72)【発明者】
【氏名】青木 博史
(72)【発明者】
【氏名】川端 秀明
(72)【発明者】
【氏名】川畑 賢也
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-009828(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0232877(US,A1)
【文献】特開2011-047593(JP,A)
【文献】特開2014-115054(JP,A)
【文献】特開2003-262443(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0025829(US,A1)
【文献】特開2009-188329(JP,A)
【文献】特開2019-196886(JP,A)
【文献】国際公開第2005/043620(WO,A1)
【文献】特開2018-185110(JP,A)
【文献】特開2019-207076(JP,A)
【文献】国際公開第2013/005622(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 15/02
H01L 23/427
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空洞部が内部に形成された、第1の主表面と前記第1の主表面に対向した第2の主表面を有するコンテナと、前記空洞部に封入された作動流体と、気相の前記作動流体が流通する、前記空洞部に設けられた蒸気流路と、を備え、
前記コンテナが、平面部と、前記平面部から外方向へ突出した凸部と、を有し、
前記コンテナの前記凸部の内部空間が、前記平面部の内部空間と連通していることで、前記空洞部が形成され、
前記コンテナの前記凸部が、冷却対象である発熱体が熱的に接続される受熱部を有し、
前記コンテナの前記平面部が、前記凸部から繋がる中間部の領域と、前記中間部の領域よりも前記凸部から離れている、放熱フィンが熱的に接続された放熱部の領域と、を有し、
前記中間部の領域の幅が、前記凸部から前記放熱部の領域へ向かうに従って幅広となっていることで、前記凸部の幅よりも広いことにより、熱輸送方向に対する直交方向における前記コンテナの断面積が大きくなっており、
前記凸部の底部に、第1のウィック構造体が設けられ、前記凸部の側面、前記平面部及び前記コンテナの側面に、前記第1のウィック構造体よりも毛細管力の小さな第2のウィック構造体が設けられていることで、ウィック構造体が前記コンテナの内面全体にわたって形成されており、
前記放熱部の領域が、前記凸部から離れるに従って幅広となる領域を有するヒートシンク。
【請求項2】
前記放熱フィンが、前記第1の主表面に熱的に接続された第1の放熱フィンと、前記第2の主表面に熱的に接続された第2の放熱フィンと、を有する請求項1に記載のヒートシンク。
【請求項3】
前記コンテナの前記放熱部の領域が、前記凸部よりも幅広である請求項1または2に記載のヒートシンク。
【請求項4】
前記コンテナが、一方の板状体と前記一方の板状体と対向する他方の板状体とにより形成され、前記一方の板状体が、外方向へ突出した凸部を有する請求項1または2に記載のヒートシンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた熱輸送特性を有することで、優れた冷却特性を発揮するヒートシンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気・電子機器に搭載されている半導体素子等の電子部品は、電子部品の高機能化に伴って発熱量が増大し、また、電子部品が高密度搭載されていることから、近年、その冷却がより重要となっている。狭小空間に配置された電子部品等の発熱体の冷却方法として、電子部品等の熱を電子部品等が搭載された基板の外へ輸送してから放熱する方法が使用されている。電子部品等の熱を基板の外へ輸送してから放熱する冷却装置として、一端に電子部品等が熱的に接続される複数のヒートパイプの他端に放熱フィンが設けられたヒートシンクが使用されることがある。
【0003】
具体的には、回路基板上の回路部品に接触した受熱部から2本のヒートパイプを回路基板外へ引出し、引き出された放熱側の端部を、それぞれ異なった放熱フィンに熱的に接続し、更に各放熱フィン間に配置した一つのファンによって放熱フィンを冷却する冷却装置が提案されている(特許文献1)。
【0004】
しかし、特許文献1の冷却装置では、管状のコンテナを有するヒートパイプを熱輸送部材とし、ヒートパイプの熱輸送機能を用いて、回路基板上に配置された発熱体の熱を回路基板外へ輸送する。熱を回路基板外へ輸送する際の熱輸送量は、熱輸送方向に対して直交方向における熱輸送部材の断面積に大きく依存するので、特許文献1では、熱を回路基板外へ輸送する際の熱輸送量が十分ではなく、冷却特性が十分ではないという問題があった。
【0005】
また、電気・電子機器の高機能化に伴って、電子部品等の発熱体は高密度搭載されていることから、冷却対象である電子部品等の発熱体の周囲には様々な他の部品が配置されている。従って、ヒートパイプを用いて電子部品等の熱を基板の外へ輸送する際には、冷却対象である発熱体の周囲に配置された他の部品を避けるようにヒートパイプを配索する必要がある。一般的には、狭小空間においては、他の部品の高さ方向に管状のコンテナを曲げ加工することで、冷却対象である発熱体の周囲に配置された他の部品を跨ぐようにヒートパイプを配索して、他の部品を回避することが行われる。
【0006】
しかし、他の部品の高さ方向に管状のコンテナを曲げ加工すると、管状のコンテナの曲げ部に曲面が形成されることから、管状のコンテナの曲げ部にて冷却対象である発熱体とヒートパイプとの間に空隙が生じて、発熱体とヒートパイプとの熱的接続性が十分に得られない場合があるという問題があった。また、発熱体とヒートパイプとの熱的接続性を得るために、ヒートパイプを曲げ加工せずに、他の部品の配置されている領域にはヒートパイプを設けないことも検討されているが、他の部品の配置されている領域にヒートパイプを設けないと、ヒートパイプの設置本数が減少するので、熱輸送量が十分に得られないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2001-217366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記事情に鑑み、本発明は、冷却対象である発熱体の周囲に他の部品が配置されていても、発熱体との熱的接続性に優れ、また、冷却対象である発熱体の熱を輸送する際に優れた熱輸送量を発揮することで、優れた冷却特性を有するヒートシンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の構成の要旨は、以下の通りである。
[1]空洞部が内部に形成された、第1の主表面と前記第1の主表面に対向した第2の主表面を有するコンテナと、前記空洞部に封入された作動流体と、気相の前記作動流体が流通する、前記空洞部に設けられた蒸気流路と、を備え、
前記コンテナが、平面部と、前記平面部から外方向へ突出した凸部と、を有し、
前記コンテナの前記凸部の内部空間が、前記平面部の内部空間と連通していることで、前記空洞部が形成され、
前記コンテナの前記凸部が、冷却対象である発熱体が熱的に接続される受熱部を有し、
前記コンテナの前記平面部が、前記凸部から繋がる中間部の領域と、前記中間部の領域よりも前記凸部から離れている、放熱フィンが熱的に接続された放熱部の領域と、を有するヒートシンク。
[2]前記放熱フィンが、前記第1の主表面に熱的に接続された第1の放熱フィンと、前記第2の主表面に熱的に接続された第2の放熱フィンと、を有する[1]に記載のヒートシンク。
[3]前記コンテナの前記放熱部の領域が、前記凸部よりも幅広である[1]または[2]に記載のヒートシンク。
[4]前記コンテナが、前記凸部から前記放熱部の領域へ向かうに従って幅広となっている部位を有する[3]に記載のヒートシンク。
[5]前記コンテナが、平面視長手方向と短手方向を有する形状であり、前記コンテナの長手方向の一端に前記凸部が設けられ、前記コンテナの長手方向の他端が、前記放熱部の領域である[1]または[2]に記載のヒートシンク。
[6]前記コンテナが、平面視長手方向と短手方向を有する形状であり、前記コンテナの長手方向の中央部に前記凸部が設けられ、前記コンテナの長手方向の両端が、前記放熱部の領域である[1]または[2]に記載のヒートシンク。
[7]前記コンテナが、前記コンテナの平面視中央部に前記凸部を有し、前記コンテナの平面視周縁部が、前記放熱部の領域である[1]または[2]に記載のヒートシンク。
[8]前記コンテナが、平面視長手方向と短手方向を有し、前記長手方向が曲部を有する形状であり、前記コンテナの長手方向の一端と他端に前記凸部が設けられ、前記コンテナの長手方向の中央部が、前記放熱部の領域である[1]または[2]に記載のヒートシンク。
[9]前記コンテナが、一方の板状体と前記一方の板状体と対向する他方の板状体とにより形成され、前記一方の板状体が、外方向へ突出した凸部を有する[1]または[2]に記載のヒートシンク。
【0010】
上記[1]のヒートシンクの態様では、コンテナは、平面部と、平面部から外方向へ突出した凸部と、を有しており、凸部は発熱体が熱的に接続される受熱部を有している。また、平面部は、放熱フィンが熱的に接続された放熱部の領域と、凸部と放熱部との間に設けられた、発熱体が熱的に接続されていない、凸部から繋がる中間部の領域と、を有している。コンテナの中間部の領域は、積極的な受熱は行われない領域である。従って、上記[1]のヒートシンクでは、発熱体の熱は、受熱部である凸部から、平面部である中間部を介して、凸部から離れた平面部の領域である放熱部へ輸送され、放熱部の領域にて外部環境へ放熱される。
【0011】
また、上記[1]のヒートシンクの態様では、コンテナは、第1の主表面と前記第1の主表面に対向した第2の主表面を有し、空洞部が内部に形成された態様であり、前記空洞部に封入された作動流体と、気相の前記作動流体が流通する、前記空洞部に設けられた蒸気流路と、を備えている。従って、上記[1]のヒートシンクの態様では、コンテナは平面型であり、熱輸送機能を発揮するコンテナの内部空間は、連通した一体の態様となっている。
【発明の効果】
【0012】
本発明のヒートシンクの態様によれば、コンテナが平面部と前記平面部から外方向へ突出した凸部を有し、前記凸部が、冷却対象である発熱体が熱的に接続される受熱部を有することにより、発熱体の周囲に他の部品が配置されていても、コンテナを曲げ加工せずに他の部品の高さ方向にコンテナが他の部品を回避できる。すなわち、本発明のヒートシンクの態様では、平面部が凸部から繋がる中間部の領域を有することにより、発熱体の周囲に他の部品が配置されていても、コンテナを曲げ加工せずに他の部品の高さ方向にコンテナが他の部品を回避できる。従って、本発明のヒートシンクは、コンテナと発熱体との熱的接続性に優れており、優れた冷却特性を有する。また、本発明のヒートシンクの態様によれば、コンテナの内部空間は連通した一体の態様となっており、熱輸送方向に対して直交方向におけるコンテナの断面積が増大化されているので、熱輸送量に優れている。従って、本発明のヒートシンクの態様によれば、前記コンテナの平面部が、前記凸部から繋がる中間部の領域と、前記中間部の領域よりも前記凸部から離れている、放熱フィンが熱的に接続された放熱部の領域と、を有することにより、冷却対象である発熱体の熱を、中間部を介して放熱部へ輸送する際に優れた熱輸送量を発揮することで、優れた冷却特性を有する。
【0013】
本発明のヒートシンクの態様によれば、前記放熱フィンが、前記第1の主表面に熱的に接続された第1の放熱フィンと、前記第2の主表面に熱的に接続された第2の放熱フィンと、を有することにより、放熱フィンのフィン面積を増大させることができるので、さらに優れた冷却特性を発揮できる。また、本発明のヒートシンクの態様によれば、放熱フィンが、第1の放熱フィンと第2の放熱フィンに分割された態様でコンテナの放熱部に熱的に接続されているので、放熱フィンのフィン面積が増大しても、放熱に十分寄与できない放熱フィンの領域の発生を防止して、放熱フィンの放熱効率を向上させることができる。
【0014】
本発明のヒートシンクの態様によれば、前記コンテナの前記放熱部の領域が、前記凸部よりも幅広であることにより、放熱フィンの設置枚数を増大させることができるので、さらに優れた冷却特性を発揮できる。
【0015】
本発明のヒートシンクの態様によれば、ヒートシンクの設置される空間と発熱体の配置及び発熱量等に応じてコンテナにおける平面部と凸部の位置を設計することで、受熱部、中間部及び放熱部の位置を設定できるので、狭小空間に配置された発熱体に対しても、設計の自由度に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する平面図である。
図2】本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。
図3】本発明の第2実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する平面図である。
図4】本発明の第2実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。
図5】本発明の第3実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する平面図である。
図6】本発明の第3実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。
図7】本発明の第4実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する平面図である。
図8】本発明の第4実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。
図9】本発明の第5実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する平面図である。
図10】本発明の第5実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。
図11】本発明の第6実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する平面図である。
図12】本発明の第6実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。
図13】本発明の第7実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する平面図である。
図14】本発明の第7実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクについて詳細を説明する。図1は、本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する平面図である。図2は、本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。
【0018】
図1、2に示すように、本発明の第1実施形態例に係るヒートシンク1は、対向する2枚の板状体、すなわち、一方の板状体11と一方の板状体11と対向する他方の板状体12とを重ねることにより空洞部13が内部に形成されたコンテナ10と、空洞部13に封入された作動流体(図示せず)と、気相の作動流体が流通する、空洞部13に設けられた蒸気流路15と、を備えている。内部に空洞部13が形成されたコンテナ10と作動流体と蒸気流路15とで、ヒートシンク1の熱輸送部が形成されている。
【0019】
コンテナ10は、薄型の平面型コンテナであり、一方の板状体11が第1の主表面である第1の面21を有し、他方の板状体12が第2の主表面である第2の面22を有している。従って、空洞部13が内部に形成されたコンテナ10は、第1の主表面である第1の面21と、第1の面21に対向した、第2の主表面である第2の面22と、を有している。
【0020】
第1の面21は、平坦な平面部位32と平面部位32から外方向へ突出した凸部位31を有している。ヒートシンク1では、凸部位31は、コンテナ10の第1の面21のうち、コンテナ10の熱輸送方向Hの一端に1つ設けられている。また、凸部位31の側面は、平面部位32から鉛直方向へ突出している。一方で、第2の面22は、凸部位を有しておらず、第2の面22全体が、平坦な平面部位となっている。第1の面21が平面部位32と平面部位32から外方向へ突出した凸部位31を有していることで、コンテナ10が、平面部17と平面部17から外方向へ突出した凸部16を有している。従って、一方の板状体11が、外方向へ突出した凸部16を有している。上記から、コンテナ10の平面部17と凸部16は、一体成型されている。また、凸部16の側面は、平面部17から鉛直方向へ突出している。コンテナ10は、第1の面21の一端に凸部16が一つ設けられており、第2の面22には凸部は設けられていない。
【0021】
また、一方の板状体11には、第1の面21の周縁に沿って側壁23が立設され、他方の板状体12には、第2の面22の周縁に沿って側壁24が立設されている。一方の板状体11の側壁23の先端と他方の板状体12の側壁24の先端とを対向配置させて当接させることにより、コンテナ10の内部空間である空洞部13が形成される。従って、側壁23と側壁24にて、コンテナ10の側面が形成されている。空洞部13は、密閉空間であり、脱気処理により減圧されている。コンテナ10の凸部16の内部空間は、平面部17の内部空間と連通しており、凸部16の内部空間と平面部17の内部空間とから、コンテナ10の空洞部13が形成されている。従って、作動流体は、凸部16の内部空間と平面部17の内部空間との間で流通可能となっている。また、ヒートシンク1では、コンテナ10は1つであり、熱輸送機能を発揮するコンテナ10の内部空間は、連通した一体の態様となっている。
【0022】
コンテナ10の形状は、特に限定されないが、ヒートシンク1では、例えば、平面視(コンテナ10の平面部17に対して鉛直方向から視認した状態)にて、凸部16は四角形状であり、コンテナ10の平面部17の領域が、凸部16よりも幅広である。より具体的には、コンテナ10は、平面視にて、凸部16から平面部17の領域へ向かうに従って幅広となっている部位を有している。
【0023】
ヒートシンク1では、コンテナ10の第1の面21のうち、平面部位32の外面に第1の放熱フィン41が立設されて、コンテナ10に第1の放熱フィン41が熱的に接続されている。第1の放熱フィン41は、コンテナ10の第1の面21のうち、熱輸送方向Hの他端に立設されている。第1の放熱フィン41は、コンテナ10の幅方向W、すなわち、コンテナ10の熱輸送方向Hに対して直交方向に沿って、所定間隔にて、複数、並列配列されている。第1の放熱フィン41は、複数、並列配列されて、第1の放熱フィン群42を形成している。ヒートシンク1では、第1の放熱フィン群42を形成している複数の第1の放熱フィン41、41、41・・・の高さは、いずれも略同じとなっている。また、第1の放熱フィン41の高さは、凸部16の高さ以下となっている。ヒートシンク1では、第1の放熱フィン41の高さは、凸部16の高さよりも低くなっており、第1の放熱フィン41の先端は、凸部16の先端よりもコンテナ10の平面部17方向へ後退した態様となっている。
【0024】
一方で、コンテナ10の第1の面21のうち、コンテナ10の熱輸送方向Hの一端に位置する凸部16及びコンテナ10の熱輸送方向Hの中央部には、第1の放熱フィン41は設けられていない。
【0025】
図1、2に示すように、コンテナ10の凸部16は、被冷却体である発熱体100が熱的に接続される部位であり、ヒートシンク1の受熱部として機能する。発熱体100は、凸部16の先端に熱的に接続されている。上記から、凸部16は、発熱体100が熱的に接続される受熱部を有し、発熱体100が熱的に接続される凸部16の先端には、放熱フィンは設けられていない。発熱体100としては、例えば、配線基板202に搭載された中央演算処理装置等の電子部品が挙げられる。第1の放熱フィン41の先端は凸部16の先端よりもコンテナ10の平面部17方向に位置しているので、配線基板202に搭載された発熱体100であっても、第1の放熱フィン41に邪魔されずに、凸部16の先端に発熱体100を熱的に接続することができる。
【0026】
第2の面22には、凸部位は設けられておらず、全体が平坦面となっている。第2の面22の外面には、第2の放熱フィン43が立設されて、コンテナ10に第2の放熱フィン43が熱的に接続されている。第2の放熱フィン43は、コンテナ10の第2の面22のうち、熱輸送方向Hの他端に立設されている。従って、第2の放熱フィン43は、コンテナ10の他端を介して、第1の放熱フィン41と対向して配置されている。また、第2の放熱フィン43は、第2の放熱フィン43の主表面が第1の放熱フィン41の主表面と略平行となるように、第2の面22の外面に立設されている。また、第2の放熱フィン43は、コンテナ10の幅方向Wに沿って、所定間隔にて、複数、並列配列されている。第2の放熱フィン43は、複数、並列配列されて、第2の放熱フィン群44を形成している。ヒートシンク1では、第2の放熱フィン群44を形成している複数の第2の放熱フィン43、43、43・・・の高さは、いずれも略同じとなっている。
【0027】
上記から、コンテナ10熱輸送方向Hの他端には、第1の面21と第2の面22、すなわち、板状であるコンテナ10の両面に放熱フィンが熱的に接続されている。上記から、コンテナ10の熱輸送方向Hの他端では、放熱フィンは、コンテナ10の両面(すなわち、第1の面21と第2の面22)に分割された態様でコンテナ10に熱的に接続されている。第1の放熱フィン41及び第2の放熱フィン43が熱的に接続されているコンテナ10の熱輸送方向Hの他端は、ヒートシンク1の放熱部の領域45となっている。
【0028】
一方で、コンテナ10の第2の面22のうち、コンテナ10の熱輸送方向Hの一端及びコンテナ10の熱輸送方向Hの中央部には、第2の放熱フィン43は設けられていない。上記から、コンテナ10のうち、凸部16が設けられているコンテナ10の熱輸送方向Hの一端及びコンテナ10の熱輸送方向Hの中央部には、放熱フィンは設けられていない。また、第2の面22には、被冷却体である発熱体100は熱的に接続されていない。なお、ヒートシンク1では、凸部16は、第1の面21の一端のうち、第1の面21の周縁に沿って立設された側壁23よりも放熱部の領域45の方向に設けられている。従って、第1の面21の一端のうち、第1の面21の周縁に沿って立設された側壁23と凸部16との間も平面部17となっている。
【0029】
コンテナ10の平面部17は、第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43が熱的に接続された放熱部の領域45と、凸部16と放熱部の領域45との間に設けられた、発熱体100も放熱フィン(第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43)も熱的に接続されていない中間部の領域50と、を有している。中間部の領域50は、コンテナ10の熱輸送方向Hにおいて凸部16と放熱部の領域45との間に設けられている。ヒートシンク1では、コンテナ10の中間部の領域50は、積極的な受熱及び放熱は行われない領域となっている。上記から、ヒートシンク1では、コンテナ10の中間部の領域50は、断熱部として機能している。従って、ヒートシンク1では、コンテナ10の平面部17が、凸部16側に位置する、放熱フィンが熱的に接続されていない中間部の領域50と、中間部の領域50よりも凸部16から離れている、放熱フィンが熱的に接続された放熱部の領域45と、を有する。
【0030】
コンテナ10は、平面視にて、凸部16から平面部17の領域へ向かうに従って幅広となっている部位を有していることから、コンテナ10の放熱部の領域45が、受熱部を有する凸部16よりも幅広であり、コンテナ10が、凸部16から放熱部の領域45へ向かうに従って幅広となっている部位を有している。ヒートシンク1では、中間部の領域50が、凸部16から放熱部の領域45へ向かうに従って幅広となっている。
【0031】
ヒートシンク1では、発熱体100の熱は、受熱部である凸部16から、平面部17のうち凸部16に近い中間部の領域50を介して、平面部17のうち凸部16から離れた放熱部の領域45へ輸送され、放熱部の領域45にて外部環境へ放熱される。
【0032】
コンテナ10の空洞部13には、毛細管力を生じるウィック構造体(図示せず)が設けられている。ウィック構造体は、例えば、コンテナ10全体にわたって設けられている。ウィック構造体の毛細管力によって、コンテナ10の放熱部の領域45にて気相から液相へ相変化した作動流体が、コンテナ10の放熱部の領域45から受熱部を有する凸部16へ還流する。ウィック構造体としては、特に限定されないが、例えば、銅粉等の金属粉の焼結体、金属線からなる金属メッシュ、不織布、コンテナ10の内面に形成されたグルーブ(複数の細溝)等、またはそれらを組み合わせたものを挙げることができる。また、凸部16のうち、発熱体100が接続される受熱部位、すなわち、凸部16の底部に、ウィック構造体として毛細管力の大きな第1のウィック構造体が設けられることでドライアウトを防止できる。一方で、凸部16の底部以外の部位、例えば、コンテナ10の凸部16の側面及びコンテナ10の平面部17やコンテナ10の側面に、ウィック構造体として第1のウィック構造体よりも毛細管力の小さな第2のウィック構造体が設けられることで、液相の作動流体が還流するときの流路抵抗を低減することができる。ウィック構造体が、例えば、金属粉の焼結体の場合には、第1のウィック構造体の原料となる金属粉の平均一次粒子径は、1.0nm以上10μm以下が挙げられ、第2のウィック構造体の原料となる金属粉の平均一次粒子径は、50μm以上300μm以下が挙げられる。
【0033】
蒸気流路15は、コンテナ10の内部空間であり、コンテナ10全体にわたって延在している。従って、気相の作動流体は、蒸気流路15によって、コンテナ10全体にわたって流通することができる。また、蒸気流路15には、必要に応じて、コンテナ10の内部空間を維持するために、柱状部材であるピラー(図示せず)を設けてもよい。ピラーとしては、特に限定されないが、液相の作動流体が還流するときの流路抵抗を低減するために、例えば、柱形状の金属部材(例えば、銅部材)の周囲にウィック構造体が被覆された複合材のピラー、柱形状である銅粉等の金属粉の焼結体等を挙げることができる。
【0034】
コンテナ10の材質としては、例えば、ステンレス鋼、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、スズ、スズ合金、チタン、チタン合金、ニッケル、ニッケル合金等を挙げることができる。第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43の材質は、特に限定されず、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属材料、黒鉛等の炭素材料、炭素材料を用いた複合部材などを挙げることができる。
【0035】
空洞部13に封入される作動流体としては、コンテナ10の材質との適合性に応じて、適宜選択可能であり、例えば、水、フルオロカーボン類、シクロペンタン、エチレングリコール等を挙げることができる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0036】
また、ヒートシンク1は、必要に応じて、送風ファン(図示せず)により強制空冷されてもよい。送風ファンからの冷却風が、第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43の主表面に沿って供給されることで、第1の放熱フィン群42と第2の放熱フィン群44の冷却が促進される。
【0037】
次に、ヒートシンク1の冷却機能のメカニズムについて説明する。まず、コンテナ10の凸部16の先端に被冷却体である発熱体100を熱的に接続する。コンテナ10が凸部16にて発熱体100から受熱すると、コンテナ10の凸部16において、発熱体100から空洞部13の液相の作動流体へ熱が伝達されて、液相の作動流体が気相の作動流体へと相変化する。気相の作動流体は、蒸気流路15を、コンテナ10の凸部16から、凸部16に繋がる平面部17の中間部の領域50を通って、平面部17の放熱部の領域45へ流通する。気相の作動流体がコンテナ10の凸部16から平面部17の中間部の領域50を通って平面部17の放熱部の領域45へ流通することで、発熱体100からの熱がコンテナ10の凸部16から放熱部の領域45へ輸送される。凸部16から放熱部の領域45へ流通した気相の作動流体は、第1の放熱フィン群42と第2の放熱フィン群44の熱交換作用によって潜熱を放出して気相から液相へ相変化する。放出された潜熱は、コンテナ10の放熱部の領域45に熱的に接続されている第1の放熱フィン群42と第2の放熱フィン群44へ伝達される。コンテナ10から第1の放熱フィン群42と第2の放熱フィン群44へ伝達された熱は、第1の放熱フィン群42と第2の放熱フィン群44を介してヒートシンク1の外部環境へ放出される。潜熱を放出して気相から液相に相変化した作動流体は、コンテナ10に設けられたウィック構造体の毛細管力により、コンテナ10の放熱部の領域45から中間部の領域50を通って凸部16へ還流する。
【0038】
本発明の第1実施形態例に係るヒートシンク1では、コンテナ10が平面部17と平面部17から外方向へ突出した凸部16を有し、凸部16が、冷却対象である発熱体100が熱的に接続される受熱部を有することにより、発熱体100の周囲に配線基板202に搭載された他の部品200が配置されていたり、発熱体100や他の部品200の上方に障害物201が設置されていても、コンテナ10を曲げ加工せずに他の部品200の高さ方向にコンテナ10が他の部品200を回避できる。すなわち、ヒートシンク1では、平面部17が凸部16から繋がる中間部の領域50を有することにより、中間部の領域50が他の部品200を回避する回避部として機能するので、発熱体100の周囲に他の部品200や障害物201が配置されていても、コンテナ10を曲げ加工せずに他の部品200の高さ方向にコンテナ10が他の部品200を回避できる。従って、ヒートシンク1は、コンテナ10と発熱体100との熱的接続性に優れており、優れた冷却特性を有する。
【0039】
また、ヒートシンク1では、コンテナ10の内部空間は連通した一体の態様となっており、熱輸送方向Hに対して直交方向におけるコンテナ10の断面積が増大化されているので、熱輸送量に優れている。従って、ヒートシンク1では、コンテナ10の平面部17が、凸部16側に位置し、放熱フィンが熱的に接続されておらず、他の部品200を回避する回避部として機能する中間部の領域50と、中間部の領域50よりも凸部16から離れている、放熱フィン(第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43)が熱的に接続された放熱部の領域45と、を有することにより、冷却対象である発熱体100の熱を、中間部の領域50を介して放熱部の領域45へ輸送する際に優れた熱輸送量を発揮することで、優れた冷却特性を有する。
【0040】
また、ヒートシンク1では、放熱フィンが、第1の主表面21に熱的に接続された第1の放熱フィン41と、第2の主表面22に熱的に接続された第2の放熱フィン43と、を有することにより、放熱フィンのフィン面積を増大させることができるので、さらに優れた冷却特性を発揮できる。また、ヒートシンク1では、放熱フィンが、第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43に分割された態様でコンテナ10の放熱部の領域45に熱的に接続されているので、放熱フィンのフィン面積が増大しても、放熱に十分寄与できない放熱フィンの領域の発生を防止して、放熱フィンの放熱効率を向上させることができる。
【0041】
また、ヒートシンク1では、コンテナ10の放熱部の領域45が、凸部16よりも幅広であることにより、第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43の設置枚数を増大させることができるので、さらに優れた冷却特性を発揮できる。また、ヒートシンク1では、中間部の領域50が、凸部16から放熱部の領域45へ向かうに従って幅広となっていることにより、凸部16から放熱部の領域50への熱輸送量をさらに向上させることができる。
【0042】
次に、本発明の第2実施形態例に係るヒートシンクについて詳細を説明する。第2実施形態例に係るヒートシンクは、第1実施形態例に係るヒートシンクと主要な構成要素が共通しているので、第1実施形態例に係るヒートシンクと同じ構成要素については同じ符号を用いて説明する。図3は、本発明の第2実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する平面図である。図4は、本発明の第2実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。
【0043】
第1実施形態例に係るヒートシンク1では、コンテナ10は、平面視にて、中間部の領域50が凸部16から放熱部の領域45へ向かうに従って幅広となっていたが、これに代えて、図3、4に示すように、本発明の第2実施形態例に係るヒートシンク2では、コンテナ10の熱輸送方向Hに対して直交方向、すなわち、幅方向Wの大きさは、凸部16と中間部の領域50では略同じとなっており、放熱部の領域45が中間部の領域50と比較して幅広となっている。ヒートシンク2では、コンテナ10の平面視の形状は、T字状となっている。
【0044】
第2実施形態例に係るヒートシンク2でも、コンテナ10の放熱部の領域45が、凸部16よりも幅広であることにより、第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43の設置枚数を増大させることができるので、さらに優れた冷却特性を発揮できる。また、ヒートシンク2では、中間部の領域50が凸部16よりも幅広にはできない更なる狭小空間であっても、発熱体100に熱的に接続でき、発熱体100を冷却することができる。
【0045】
次に、本発明の第3実施形態例に係るヒートシンクについて詳細を説明する。第3実施形態例に係るヒートシンクは、第1、第2実施形態例に係るヒートシンクと主要な構成要素が共通しているので、第1、第2実施形態例に係るヒートシンクと同じ構成要素については同じ符号を用いて説明する。図5は、本発明の第3実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する平面図である。図6は、本発明の第3実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。
【0046】
第1実施形態例に係るヒートシンク1では、コンテナ10は、平面視にて、中間部の領域50が凸部16から放熱部の領域45へ向かうに従って幅広となっていたが、これに代えて、図5、6に示すように、本発明の第3実施形態例に係るヒートシンク3では、コンテナ10の熱輸送方向Hに対して直交方向、すなわち、幅方向Wの大きさは、凸部16と中間部の領域50と放熱部の領域45は、いずれも略同じとなっている。ヒートシンク3では、コンテナ10が、平面視にて、長手方向と短手方向を有する形状であり、具体的には、平面視にて長方形となっている。
【0047】
コンテナ10の長手方向の一端に、発熱体100が熱的に接続される凸部16が設けられ、コンテナ10の長手方向の他端が、第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43が熱的に接続された放熱部の領域45である。コンテナ10の長手方向中央部が、発熱体100も放熱フィンも熱的に接続されておらず、また、他の部品200を回避する回避部として機能する中間部の領域50となっている。
【0048】
ヒートシンク3では、放熱部の領域45と中間部の領域50が凸部16よりも幅広にはできない更なる狭小空間であっても、発熱体100に熱的に接続でき、発熱体100を冷却することができる。
【0049】
ヒートシンク3でも、発熱体100の周囲に配線基板202に搭載された他の部品200が配置されていたり、発熱体100や他の部品200の上方に障害物201が設置されていても、凸部16を有することにより、コンテナ10を曲げ加工せずに他の部品200の高さ方向にコンテナ10が他の部品200を回避できる。すなわち、ヒートシンク3でも、平面部17が凸部16から繋がる中間部の領域50を有することにより、中間部の領域50が他の部品200を回避する回避部として機能するので、発熱体100の周囲に他の部品200や障害物201が配置されていても、コンテナ10を曲げ加工せずに他の部品200の高さ方向にコンテナ10が他の部品200を回避できるので、コンテナ10と発熱体100との熱的接続性に優れており、優れた冷却特性を有する。また、ヒートシンク3でも、コンテナ10の内部空間は連通した一体の態様となっており、熱輸送方向Hに対して直交方向におけるコンテナ10の断面積が増大化されているので、冷却対象である発熱体100の熱を、凸部16から中間部の領域50を介して放熱部の領域45へ輸送する際に優れた熱輸送量を発揮することで、優れた冷却特性を有する。
【0050】
次に、本発明の第4実施形態例に係るヒートシンクについて詳細を説明する。第4実施形態例に係るヒートシンクは、第1~第3実施形態例に係るヒートシンクと主要な構成要素が共通しているので、第1~第3実施形態例に係るヒートシンクと同じ構成要素については同じ符号を用いて説明する。図7は、本発明の第4実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する平面図である。図8は、本発明の第4実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。
【0051】
第3実施形態例に係るヒートシンク3では、コンテナ10が、平面視にて、長手方向と短手方向を有する長方形であり、コンテナ10の長手方向の一端に、発熱体100が熱的に接続される凸部16が設けられ、コンテナ10の長手方向の他端が、第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43が熱的に接続された放熱部の領域45であったが、これに代えて、図7、8に示すように、第4実施形態例に係るヒートシンク4では、コンテナ10が、平面視にて長手方向と短手方向を有する形状であり、コンテナ10の長手方向の中央部に凸部16が1つ設けられ、コンテナ10の長手方向の両端が、放熱部の領域45となっている。従って、コンテナ10の長手方向の両端に、それぞれ、第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43が熱的に接続されている。
【0052】
ヒートシンク4では、コンテナ10の熱輸送方向Hに対して直交方向、すなわち、幅方向Wの大きさは、凸部16と中間部の領域50と放熱部の領域45は、いずれも略同じとなっている。ヒートシンク4では、コンテナ10が、具体的には、平面視にて長方形となっている。
【0053】
ヒートシンク4では、コンテナ10の長手方向の両端が放熱部の領域45となっていることから、ヒートシンク4では、1つのコンテナ10に放熱部の領域45が2つ設けられている。また、コンテナ10の長手方向の中央部に凸部16が1つ設けられ、コンテナ10の長手方向の両端が放熱部の領域45となっていることから、凸部16と放熱部の領域45の間に形成される中間部の領域50は、2つ設けられている。
【0054】
ヒートシンク4では、1つのコンテナ10に放熱部の領域45が2つ設けられていることから、発熱体100の発熱量がさらに増大しても、発熱体100を十分に冷却することができる。
【0055】
ヒートシンク4でも、発熱体100の周囲に配線基板202に搭載された他の部品200が配置されていたり、発熱体100や他の部品200の上方に障害物201が設置されていても、凸部16を有することにより、コンテナ10を曲げ加工せずに他の部品200の高さ方向にコンテナ10が他の部品200を回避できる。すなわち、ヒートシンク4でも、平面部17が凸部16から繋がる中間部の領域50を有することにより、中間部の領域50が他の部品200を回避する回避部として機能するので、発熱体100の周囲に他の部品200や障害物201が配置されていても、コンテナ10を曲げ加工せずに他の部品200の高さ方向にコンテナ10が他の部品200を回避できるので、コンテナ10と発熱体100との熱的接続性に優れており、優れた冷却特性を有する。また、ヒートシンク4でも、コンテナ10の内部空間は連通した一体の態様となっており、熱輸送方向Hに対して直交方向におけるコンテナ10の断面積が増大化されているので、冷却対象である発熱体100の熱を、凸部16から、2つの中間部の領域50を介して2つの放熱部の領域45へ輸送する際に優れた熱輸送量を発揮することで、優れた冷却特性を有する。
【0056】
次に、本発明の第5実施形態例に係るヒートシンクについて詳細を説明する。第5実施形態例に係るヒートシンクは、第1~第4実施形態例に係るヒートシンクと主要な構成要素が共通しているので、第1~第4実施形態例に係るヒートシンクと同じ構成要素については同じ符号を用いて説明する。図9は、本発明の第5実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する平面図である。図10は、本発明の第5実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。
【0057】
第3実施形態例に係るヒートシンク3では、コンテナ10が、平面視にて、長手方向と短手方向を有する長方形であり、コンテナ10の長手方向の一端に、発熱体100が熱的に接続される凸部16が設けられ、コンテナ10の長手方向の他端が、第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43が熱的に接続された放熱部の領域45であったが、これに代えて、図9、10に示すように、第5実施形態例に係るヒートシンク5では、コンテナ10が、コンテナ10の平面視中央部に凸部16を1つ有し、コンテナ10の平面視周縁部が放熱部の領域45となっている。コンテナ10の形状は、平面視にて長手方向と短手方向を有しておらず、平面視にて正方形である。
【0058】
ヒートシンク5では、放熱部の領域45は、正方形の4辺に設けられており、凸部16の周囲全体を囲んだ態様となっている。コンテナ10の平面視周縁部の全体に第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43が熱的に接続されていることで、コンテナ10の平面視周縁部全体が放熱部の領域45となっている。コンテナ10の平面視中央部に位置する凸部16とコンテナ10の平面視周縁部に位置する放熱部の領域45との間に、中間部の領域50が形成されている。従って、中間部の領域50は、凸部16の周囲全体を囲んだ態様となっている。
【0059】
ヒートシンク5では、コンテナ10の平面視周縁部全体が放熱部の領域45となっていることから、発熱体100の発熱量がさらに増大しても、発熱体100を十分に冷却することができる。
【0060】
ヒートシンク5でも、発熱体100の周囲に配線基板202に搭載された他の部品200が配置されていたり、発熱体100や他の部品200の上方に障害物201が設置されていても、凸部16を有することにより、コンテナ10を曲げ加工せずに他の部品200の高さ方向にコンテナ10が他の部品200を回避できる。すなわち、ヒートシンク5でも、平面部17が凸部16から繋がる中間部の領域50を有することにより、中間部の領域50が他の部品200を回避する回避部として機能するので、発熱体100の周囲に他の部品200や障害物201が配置されていても、コンテナ10を曲げ加工せずに他の部品200の高さ方向にコンテナ10が他の部品200を回避できるので、コンテナ10と発熱体100との熱的接続性に優れており、優れた冷却特性を有する。また、ヒートシンク5でも、コンテナ10の内部空間は連通した一体の態様となっており、熱輸送方向Hに対して直交方向におけるコンテナ10の断面積が増大化されているので、冷却対象である発熱体100の熱を、凸部16から、凸部16周囲の中間部の領域50を介して放熱部の領域45へ輸送する際に優れた熱輸送量を発揮することで、優れた冷却特性を有する。
【0061】
次に、本発明の第6実施形態例に係るヒートシンクについて詳細を説明する。第6実施形態例に係るヒートシンクは、第1~第5実施形態例に係るヒートシンクと主要な構成要素が共通しているので、第1~第5実施形態例に係るヒートシンクと同じ構成要素については同じ符号を用いて説明する。図11は、本発明の第6実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する平面図である。図12は、本発明の第6実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。
【0062】
上記各実施形態例に係るヒートシンクでは、コンテナ10の端部に放熱部の領域45が設けられていたが、これに代えて、図11、12に示すように、第6実施形態例に係るヒートシンク6では、コンテナ10の長手方向の中央部が、放熱部の領域45となっている。また、上記各実施形態例に係るヒートシンクでは、コンテナ10は凸部16を1つ有していたが、これに代えて、図11、12に示すように、第6実施形態例に係るヒートシンク6では、コンテナ10は凸部16を複数(ヒートシンク6では2つ)有している。
【0063】
具体的には、ヒートシンク6では、コンテナ10が、平面視長手方向と短手方向を有し、長手方向が曲部60を有する形状であり、コンテナ10の長手方向の一端と他端に、それぞれ、発熱体100が熱的に接続される凸部16が設けられている。また、コンテナ10の長手方向の中央部に第1の放熱フィン41と第2の放熱フィン43が熱的に接続されている。従って、コンテナ10の長手方向の中央部が、放熱部の領域45となっている。ヒートシンク6では、コンテナ10の形状は、平面視コ字状となっている。すなわち、コンテナ10は、放熱部の領域45と、放熱部の領域45の両端部から、それぞれ、放熱部の領域45の伸び方向に対して鉛直方向に延出した延出部と、を有している。
【0064】
ヒートシンク6では、コンテナ10の2つの延出部の先端部にそれぞれ凸部16が設けられ、延出部の先端部に設けられた凸部16と放熱部の領域45との間に、中間部の領域50が形成されている。上記から、中間部の領域50が、2つ形成されている。ヒートシンク6では、延出部の先端部に設けられた凸部16と曲部60との間に、中間部の領域50が形成されている態様となっている。
【0065】
ヒートシンク6では、コンテナ10は凸部16を複数有していることから、1つのコンテナ10にて複数の発熱体100を冷却することができる。また、コンテナ10が長手方向において曲部60を有する形状であることから、狭小空間であっても、ヒートシンク6を設置することができる。
【0066】
ヒートシンク6でも、発熱体100の周囲に配線基板202に搭載された他の部品200が配置されていたり、発熱体100や他の部品200の上方に障害物201が設置されていても、凸部16を有することにより、コンテナ10を曲げ加工せずに他の部品200の高さ方向にコンテナ10が他の部品200を回避できる。すなわち、ヒートシンク6でも、平面部17が凸部16から繋がる中間部の領域50を有することにより、中間部の領域50が他の部品200を回避する回避部として機能するので、発熱体100の周囲に他の部品200や障害物201が配置されていても、コンテナ10を曲げ加工せずに他の部品200の高さ方向にコンテナ10が他の部品200を回避できるので、コンテナ10と発熱体100との熱的接続性に優れており、優れた冷却特性を有する。また、ヒートシンク6でも、コンテナ10の内部空間は連通した一体の態様となっており、熱輸送方向Hに対して直交方向におけるコンテナ10の断面積が増大化されているので、冷却対象である2つの発熱体100の熱を、2つの凸部16から中間部の領域50を介して放熱部の領域45へ輸送する際に優れた熱輸送量を発揮することで、優れた冷却特性を有する。
【0067】
次に、本発明の第7実施形態例に係るヒートシンクについて詳細を説明する。第7実施形態例に係るヒートシンクは、第1~第6実施形態例に係るヒートシンクと主要な構成要素が共通しているので、第1~第6実施形態例に係るヒートシンクと同じ構成要素については同じ符号を用いて説明する。図13は、本発明の第7実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する平面図である。図14は、本発明の第7実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。
【0068】
上記各実施形態例に係るヒートシンクでは、コンテナ10の中間部の領域50には、放熱フィンが設けられていなかったが、これに代えて、図13、14に示すように、第7実施形態例に係るヒートシンク7では、コンテナ10の中間部の領域50に第3の放熱フィン63が設けられている。ヒートシンク7は、第2実施形態例に係るヒートシンク2の中間部の領域50に、さらに、第3の放熱フィン63が設けられている態様となっている。上記から、ヒートシンク7では、コンテナ10の中間部の領域50は、断熱部ではなく、放熱部として機能している。このように、本発明のヒートシンクでは、中間部の領域50にて他の部品200を回避することができれば、中間部の領域50の熱的な機能は、特に限定されない。
【0069】
ヒートシンク7では、中間部の領域50のうち、第2の面22に第3の放熱フィン63が設けられている。また、第3の放熱フィン63は、第2の面22と第2の面22に対向して設置されている障害物201との間の空間に設けられている。
【0070】
第3の放熱フィン63は、第2の面22と障害物201との間に設けられていることから、第2の放熱フィン43よりも高さの低い放熱フィンとなっている。第3の放熱フィン63は、コンテナ10の幅方向Wに沿って、所定間隔にて、複数、並列配列されている。また、第3の放熱フィン63は、複数、並列配列されて、第3の放熱フィン群64を形成している。ヒートシンク7では、第3の放熱フィン群64を形成している複数の第3の放熱フィン63、63、63・・・の高さは、いずれも略同じとなっている。また、第3の放熱フィン63は、第2の放熱フィン43と接していてもよく、第2の放熱フィン43と接触せずに第2の放熱フィン43との間に空隙が設けられていてもよい。ヒートシンク7では、第3の放熱フィン63は、第2の放熱フィン43と接している態様となっている。
【0071】
中間部の領域50に第3の放熱フィン63が設けられているヒートシンク7でも、平面部17が凸部16から繋がる中間部の領域50を有することにより、中間部の領域50が他の部品200を回避することができるので、他の部品200の回避部として機能する。
【0072】
また、上記各実施形態例に係るヒートシンクでは、凸部16は、第1の面21の一端のうち、第1の面21の周縁に沿って立設された側壁23よりも放熱部の領域45の方向に設けられていたが、これに代えて、図13、14に示すように、第7実施形態例に係るヒートシンク7では、凸部16は、第1の面21の一端のうち、前記側壁23の部位にも延在している態様となっている。従って、ヒートシンク7では、凸部16は、前記側壁23の部位から中間部の領域50の方向へ形成されている。
【0073】
ヒートシンク7でも、発熱体100の周囲に配線基板202に搭載された他の部品200が配置されていたり、発熱体100や他の部品200の上方に障害物201が設置されていても、凸部16を有することにより、コンテナ10を曲げ加工せずに他の部品200の高さ方向にコンテナ10が他の部品200を回避できる。すなわち、ヒートシンク7でも、平面部17が凸部16から繋がる中間部の領域50を有することにより、中間部の領域50が他の部品200を回避する回避部として機能するので、発熱体100の周囲に他の部品200や障害物201が配置されていても、コンテナ10を曲げ加工せずに他の部品200の高さ方向にコンテナ10が他の部品200を回避できるので、コンテナ10と発熱体100との熱的接続性に優れており、優れた冷却特性を有する。また、ヒートシンク7でも、コンテナ10の内部空間は連通した一体の態様となっており、熱輸送方向Hに対して直交方向におけるコンテナ10の断面積が増大化されているので、冷却対象である2つの発熱体100の熱を、2つの凸部16から中間部の領域50を介して放熱部の領域45へ輸送する際に優れた熱輸送量を発揮することで、優れた冷却特性を有する。
【0074】
また、ヒートシンク7では、中間部の領域50に、さらに、第3の放熱フィン63が設けられているので、中間部の領域50も放熱部として機能することができ、放熱特性がさらに向上する。また、ヒートシンク7では、凸部16は、第1の面21の一端のうち、前記側壁23の部位にも延在しているので、大型化された発熱体100に対しても優れた熱的接続性を有している。
【0075】
上記各実施形態例から、本発明のヒートシンクでは、ヒートシンクの設置される空間と発熱体の配置及び発熱量等に応じてコンテナにおける平面部と凸部の位置を設計することで、受熱部、中間部及び放熱部の位置を設定できるので、狭小空間に配置された発熱体に対しても、設計の自由度に優れている。
【0076】
次に、本発明の他の実施形態例について説明する。上記各実施形態例のヒートシンクでは、コンテナの第1の面に第1の放熱フィンが立設され、第2の面に第2の放熱フィンが立設されていたが、第1の面と第2の面のいずれか一方にのみ放熱フィンが立設されている態様でもよい。
【0077】
第3、第4実施形態例に係るヒートシンクでは、平面視にて長手方向と短手方向を有するコンテナの形状は四角形状であったが、長手方向と短手方向を有するコンテナの形状は特に限定されず、平面視五角形以上の多角形状、楕円形状等でもよい。また、第5実施形態例に係るヒートシンクでは、平面視にて長手方向と短手方向を有していないコンテナの形状は正方形であったが、これに代えて、円形状等でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明のヒートシンクは、冷却対象である発熱体の周囲に他の部品が配置されていても、発熱体との熱的接続性に優れ、また、冷却対象である発熱体の熱を輸送する際に優れた熱輸送量を発揮するので、サーバーに搭載される電子部品等、狭小空間に設置される高発熱量の電子部品を冷却する分野で利用価値が高い。
【符号の説明】
【0079】
1、2、3、4、5、6、7 ヒートシンク
10 コンテナ
11 一方の板状体
12 他方の板状体
13 空洞部
15 蒸気流路
16 凸部
17 平面部
21 第1の面
22 第2の面
41 第1の放熱フィン
43 第2の放熱フィン
45 放熱部の領域
50 中間部の領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14