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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-25
(45)【発行日】2025-04-02
(54)【発明の名称】接着剤、積層体、包装材
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/06 20060101AFI20250326BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20250326BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20250326BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20250326BHJP
【FI】
C09J175/06
B32B27/00 D
B32B27/40
B65D65/40 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2024536477
(86)(22)【出願日】2022-12-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(86)【国際出願番号】 CN2022143492
(87)【国際公開番号】W WO2024138548
(87)【国際公開日】2024-07-04
【審査請求日】2024-06-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100186646
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】細野 月子
(72)【発明者】
【氏名】上村 誠
(72)【発明者】
【氏名】趙 峰
(72)【発明者】
【氏名】劉 志強
(72)【発明者】
【氏名】司 瑞玉
(72)【発明者】
【氏名】張 謙
(72)【発明者】
【氏名】武田 美穂
【審査官】澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/146756(WO,A1)
【文献】特表2017-508818(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102604583(CN,A)
【文献】特開昭54-90239(JP,A)
【文献】特開2012-111786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
B65D 65/40
B32B 27/00- 27/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多価カルボン酸(a)と、多価アルコール(b)と、カルボキシル基またはヒドロキシル基との反応性を有する官能基と、アルコキシシリル基とを有する化合物(c)とを含む組成物(A’)がエステル化反応を経て得られる反応生成物(A)を含むポリオール組成物(X)と、
ポリイソシアネート組成物(Y)と、
を含む2液硬化型接着剤。
【請求項2】
前記組成物(A’)に占める前記化合物(c)の配合量が0.5質量%以上10質量%以下である請求項1に記載の2液硬化型接着剤。
【請求項3】
前記ポリオール組成物(X)がポリオール(B)を含む請求項に記載の2液硬化型接着剤。
【請求項4】
前記組成物(A’)がポリイソシアネート(d)を含み、
前記反応生成物(A)は、前記多価カルボン酸(a)と、前記多価アルコール(b)と、前記化合物(c)との反応生成物と、前記ポリイソシアネート(d)との反応生成物である請求項に記載の2液硬化型接着剤。
【請求項5】
前記カルボキシル基またはヒドロキシル基との反応性を有する官能基がアミノ基である請求項に記載の2液硬化型接着剤。
【請求項6】
前記カルボキシル基またはヒドロキシル基との反応性を有する官能基がエポキシ基である請求項に記載の2液硬化型接着剤。
【請求項7】
第一の基材と、第二の基材と、前記第一の基材と前記第二の基材との間に配置された接着層とを含み、前記接着層が請求項1~6のいずれか一項に記載の2液硬化型接着剤の硬化塗膜である積層体。
【請求項8】
請求項7に記載の積層体からなる包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は接着剤、当該接着剤を用いて得られる積層体、包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、医療品、化粧品、日用品等の包装材料として、アルミニウム箔などの金属箔あるいは金属蒸着フィルムとポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリエステル、ナイロンなどのプラスチックフィルムを多層ラミネートして複合化したものが用いられている。これらの積層体は、各々用途での要求特性に応じて、各種あるプラスチックフィルム、金属蒸着フィルムあるいは金属箔を適宜組み合わせ、種々の接着剤で貼り合わせたものが使用されている(特許文献1~4)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-263682号公報
【文献】特開2000-177771号公報
【文献】特開2000-154365号公報
【文献】特開平9-295386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
包装材料の中には、飲食物等の内容物を充填した後に、ボイル処理のように高温高湿度下での加熱処理を施されるものがあり、この際、接着剤とフィルムや金属蒸着層との間にデラミネーションが生じる場合がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、ボイル処理等の高温加熱処理を施した場合であってもデラミネーションが生じ難い2液硬化型接着剤、当該接着剤を用いて得られる積層体、包装材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、多価カルボン酸(a)と、多価アルコール(b)と、カルボキシル基またはヒドロキシル基との反応性を有する官能基と、アルコキシシリル基とを有する化合物(c)とを含む組成物(A’)の反応生成物(A)を含むポリオール組成物(X)と、ポリイソシアネート組成物(Y)と、を含む2液硬化型接着剤に関する。
【0007】
さらに本発明は、第1の基材と、第2の基材と、第1の基材と前記第2の基材とを貼り合わせる接着層とを含み、接着層は上述の2液硬化型接着剤の硬化塗膜である積層体、当該積層体からなる包装材に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の接着剤によれば、ボイル処理等の高温加熱処理を施した場合であってもデラミネーションが生じ難い積層体、包装材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<接着剤>
本発明の接着剤は、ポリオール組成物(X)とポリイソシアネート組成物(Y)からなる2液硬化型の接着剤である。以下、本発明の接着剤について詳細に説明する。
【0010】
(ポリオール組成物(X))
(反応生成物(A))
本発明の接着剤に用いられるポリオール組成物(X)は、多価カルボン酸(a)と、多価アルコール(b)と、カルボキシル基またはヒドロキシル基との反応性を有する官能基と、アルコキシシリル基とを有する化合物(c)とを含む組成物(A’)の反応生成物(A)を含む。
【0011】
多価カルボン酸(a)としてはポリエステルポリオールの合成に従来から用いられてきた公知の化合物を用いることができる。多価カルボン酸(a)の具体例としては、マロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、2,2-ジメチルコハク酸、無水コハク酸、アルケニル無水コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、ダイマー酸、トリマー酸等の脂肪族多価カルボン酸;
【0012】
マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、ピメリン酸ジエチル、セバシン酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル等の脂肪族多価カルボン酸のアルキルエステル化物;
【0013】
1,1-シクロペンタンジカルボン酸、1,2-シクロペンタンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、4-メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸、シクロヘキサン-1,2,4-トリカルボン酸-1,2-無水物、無水ハイミック酸、無水ヘット酸等の脂環族多価カルボン酸;
【0014】
オルトフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸無水物、ナフタル酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2-ビス(フェノキシ)エタン-p,p’-ジカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸等の芳香族多価カルボン酸;
【0015】
ジメチルテレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル等の芳香族多価カルボン酸のメチルエステル化物;等が挙げられ、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
多価アルコール(b)としても特に限定されず、2官能または3官能以上のものを用いることができる。2官能のアルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2,2-トリメチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-3-イソプロピル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘサン、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ダイマージオール等の脂肪族ジオール;
ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール等のエーテルグリコール;
脂肪族ジオールと、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等の種々の環状エーテル結合含有化合物との開環重合によって得られる変性ポリエーテルジオール;
脂肪族ジオールと、ラクタノイド、ε-カプロラクトン等の種々のラクトン類との重縮合反応によって得られるラクトン系ポリエステルポリオール;
ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール;
ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノールにエチレンオキサイド、プロプレンオキサイド等を付加して得られるビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0017】
3官能以上のポリオールは、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール;
脂肪族ポリオールと、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等の種々の環状エーテル結合含有化合物との開環重合によって得られる変性ポリエーテルポリオール;
脂肪族ポリオールと、ε-カプロラクトン等の種々のラクトン類との重縮合反応によって得られるラクトン系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
【0018】
カルボキシル基またはヒドロキシル基との反応性を有する官能基と、アルコキシシリル基とを有する化合物(c)が有する官能基としては、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基等が挙げられる。なお以下では簡便のため化合物(c)が有するカルボキシル基またはヒドロキシル基との反応性を有する官能基を単に官能基(c’)とも称する。
【0019】
化合物(c)の具体例としては、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノとアルコキシシリル基とを有する化合物(c1)、
【0020】
2-(3,4-エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ基とアルコキシシリル基とを有する化合物(c2)、
【0021】
3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等のイソシアネート基とアルコキシシリル基とを有する化合物(c3)等が挙げられる。
【0022】
組成物(A’)における多価カルボン酸(a)と多価アルコール(b)とは、多価カルボン酸(a)が有するカルボキシル基のモル数に対して多価アルコール(b)の有する水酸基のモル数が過剰になるよう配合される。
【0023】
組成物(A’)における化合物(c)の配合量は適宜調整され得るが、より確実に耐ボイル性を発現させる観点からは組成物(A’)の0.05質量%以上であることが好ましい。また化合物(c)の配合量が多すぎると反応生成物(A)の粘度が高くなり、製造装置から取り出し難くなる恐れがある。製造効率の観点から、組成物(A’)における化合物(c)10質量%以下であることが好ましい。
【0024】
反応生成物(A)の水酸基価は目的に応じて適宜調整され、一例として1mgKOH/gである。反応生成物の水酸基価は、水酸基価、酸価はJIS-K0070に記載の方法にて測定することができる。
【0025】
反応生成物(A)は、一例として組成物(A’)を公知慣用の方法で重縮合(エステル化)させて得られる。具体的には、組成物(A’)を撹拌機、精留設備を備える反応容器に仕込み、攪拌しながら常圧~0.5MPaの加圧下で130℃程度まで昇温させる。その後130~260℃の反応温度で、5~10℃/時間の割合で昇温させながら生成する水等を留去させる。4~12時間重縮合反応を行った後、常圧から1~300tоrrに徐々に減圧度を上げ、余剰の多価アルコール(b)等を留去し、反応を促進させる。
【0026】
組成物(A’)は、多価カルボン酸(a)、多価アルコール(b)、化合物(c)を全て反応容器に仕込んだ状態で昇温を開始してもよいし、多価アルコール(b)だけを反応容器に仕込んだ状態で昇温を開始し、一定の温度になった段階で多価カルボン酸(a)、化合物(c)を添加し反応を開始するなどしてもよい。
【0027】
重縮合時に、触媒を併用してもよい。重合触媒としては、周期律表の2族、4族、12族、13族、14族、15族からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属、またはその金属の化合物からなる重合触媒が好ましい。かかる金属またはその金属化合物からなる重合触媒としては、Ti、Sn、Zn、Al、Zr、Mg、Hf、Ge等の金属、これらの金属の化合物、より具体的にはチタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンオキシアセチルアセトナート、オクタン酸スズ、2-エチルヘキサンスズ、アセチルアセトナート亜鉛、4塩化ジルコニウム、4塩化ジルコニウムテトラヒドロフラン錯体、4塩化ハフニウム、4塩化ハフニウムテトラヒドロフラン錯体、酸化ゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム等が挙げられる。
【0028】
重合触媒の市販品としては、マツモトファインケミカル社製のオルガチックスTAシリーズ、TCシリーズ、ZAシリーズ、ZCシリーズ、ALシリーズ、日東化成社製の有機錫系触媒、無機金属触媒、無機錫化合物が好ましく挙げられる。
【0029】
重合触媒の使用量は、反応を制御できるのであれば特に制限はされないが、一例として組成物(A’)の合計量に対して10~1000ppmであり、好ましくは20~800ppmである。反応生成物(A)の着色を抑制するため、30~500ppmであることがさらに好ましい。
【0030】
反応生成物(A)は、上述の重縮合反応後、さらにウレタン化反応を経て得られるものであってもよい。ウレタン化反応は、組成物(A’)の重縮合物と、イソシアネート化合物(d)とを、必要に応じて用いられる鎖伸長触媒、溶媒との存在下で、60~100℃で加熱することにより進行する。
【0031】
ウレタン化反応に用いられるイソシアネート化合物(d)としては特に限定されず、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、及びこれらジイソシアネートのビュレット体、ヌレート体、アダクト体、アロファネート体、カルボジイミド変性体、ウレトジオン変性体等が挙げられ、これらを単独でまたは複数組み合わせて使用することができる。
【0032】
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI、あるいはクルードMDIとも称される)、1,3-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネート、2,4,6-トリイソシアネートトルエン、1,3,5-トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”-トリフェニルメタントリイソシアネート等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0033】
芳香脂肪族ジイソシアネートとは、分子中に1つ以上の芳香環を有する脂肪族イソシアネートを意味し、m-又はp-キシリレンジイソシアネート(別名:XDI)、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート(別名:TMXDI)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0034】
脂肪族ジイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(別名:HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0035】
脂環族ジイソシアネートとしては、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(別名:IPDI)、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0036】
これらイソシアネートのアダクト体の合成に用いられる低分子量のポリオールとしては従来公知のものを用いることができ、一例としてトリメチロールプロパンが挙げられる。
【0037】
鎖伸長触媒としては、通常のウレタン化触媒として使用される公知公用の触媒を用いることができ、有機錫化合物、有機カルボン酸錫塩、鉛カルボン酸塩、ビスマスカルボン酸塩、チタン化合物、ジルコニウム化合物等が挙げられ、単独または併用して用いることができる。鎖伸長触媒の使用量は、組成物(A’)の重縮合物とイソシアネート化合物(d)との反応を十分促進させる量であればよく、一例として、組成物(A’)の重縮物とイソシアネート化合物(d)との合計量に対して、5.0質量%以下が好ましい。触媒による樹脂への加水分解や着色を抑制するために、1.0質量%以下がより好ましい。
【0038】
ウレタン化反応に用いられ得る良溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、キシレン等が挙げられる。単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0039】
ウレタン化反応は、反応に供したイソシアネート化合物(d)に由来するイソシアネート基が実質的に全て消費されるまで行われる。イソシアネート基の残量の確認方法としては、赤外吸収スペクトル測定により、イソシアネート基に由来する吸収スペクトルである2260cm-1付近に観察される吸収ピークの有無の確認や、滴定法によるイソシアネート基の定量が挙げられる。
【0040】
組成物(A’)の重合反応では、多価カルボン酸(a)と多価アルコール(b)のエステル化反応により生成するポリエステルポリオール(A1)に加え、多価カルボン酸(a)、多価アルコール(b)、ポリエルテルポリオール(A1)の少なくとも一種と化合物(c)とが、官能基(c’)を介して結合した化合物(A2)、エステル化反応の際に生じる水と、化合物(c)との反応により化合物(c)のアルコキシシリル基が加水分解し、シラノール基となった化合物(A3)、化合物(A3)の重縮合物(A4)等、種々の副生成物が生じうる。即ち反応生成物(A)はこれらの混合物である。意外にも、これら副生成物が接着剤の耐ボイル性に寄与することが本発明により明らかとなった。
【0041】
耐ボイル性を向上させる手段としては、シランカップリング剤を添加する方法が広く知られている。しかしながらこの手法では、ポリオール組成物(X)および/またはポリイソシアネート組成物(Y)にシランカップリング剤を添加した際や接着剤が硬化する際に、系中に存在する水やイソシアネートなどとシランカップリング剤のアルコキシシリル基が反応し、接着剤の硬化塗膜中にアルコキシシリル基由来のアルコールが生成、残留してしまい、内容物にアルコールが移行してしまうおそれがある。特にメトキシ基を有するシランカップリング剤を用いた場合、メタノールが残留することとなるため、食品包材の製造に用いられる接着剤としては好ましいとはいえない。これに対し本発明は、組成物(A’)の重縮合時に化合物(c)のアルコキシシリル基由来のアルコールが揮発するためこのような懸念が抑制された接着剤とすることができる。
【0042】
(ポリオール(B))
ポリオール組成物(X)は、反応生成物(A)以外のポリオール(B)を含んでいてもよい。このようなポリオール(B)としては、ポリエステルポリオール、ポリエステルポリエーテルポリオール、ポリエステルポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリオール、ポリウレタンポリオール、植物油ポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。反応生成物(A)の原料として例示した多価アルコール(b)と同様のものを用いることができる。
【0043】
ポリエステル骨格を有するポリオールの合成に用いられる多価カルボン酸、多価アルコールとしては、多価カルボン酸(a)と、多価アルコール(b)で例示したのと同様のものを用いることができる。
ポリウレタン骨格を有するポリオールの合成に用いられるイソシアネート化合物としてはイソシアネート化合物(d)で例示したのと同様のものを用いることができる。
【0044】
ポリエーテルポリオールとしては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、脂肪族ポリオールとエチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等の種々の環状エーテル結合含有化合物との開環重合によって得られるものが挙げられる。
ひまし油、脱水ひまし油、ひまし油の水素添加物であるひまし硬化油、ひまし油のアルキレンオキサイド5~50モル付加体等が挙げられる。
【0045】
ポリエステルポリオール(B)の水酸基価は目的に応じて適宜調整され、一例として1mgKOH/gである。反応生成物の水酸基価は、水酸基価、酸価はJIS-K0070に記載の方法にて測定することができる。
【0046】
ポリオール(B)の配合量は適宜調整され得るが、一例として反応生成物(A)ポリオール(B)との総量に占める反応生成物(A)の割合が10質量%以上である。これにより、より確実に耐ボイル性に優れた接着剤とすることができる。
【0047】
本発明の接着剤が後述する無溶剤型接着剤の形態で用いられる場合、ポリオール組成物(X)の粘度はノンソルベントラミネート法に適した範囲に調整される。一例として、40~60℃における粘度が100~5000mPas、より好ましくは500~3000mPasの範囲になるよう調整される。ポリオール組成物(X)の粘度は、一例として反応生成物(A)、ポリオール(B)の骨格や数平均分子量、後述する可塑剤(D4)により調整することができる。
【0048】
(ポリイソシアネート組成物(Y))
ポリイソシアネート組成物(Y)は、複数のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(C)を含む。ポリイソシアネート化合物(C)としては特に限定されず、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、及びこれらジイソシアネートのビュレット体、ヌレート体、アダクト体、アロファネート体、カルボジイミド変性体、ウレトジオン変性体、これらポリイソシアネートとポリオールを反応させたウレタンプレポリマー等が挙げられ、これらを単独でまたは複数組み合わせて使用することができる。
【0049】
芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートとしては、イソシアネート化合物(d)として例示したのと同様のものを用いることができる。
【0050】
ウレタンプレポリマーの合成に用いるポリオールとしては、ポリオール(B)として例示したものが挙げられる。ポリイソシアネート化合物(C)としてウレタンプレポリマーを用いる場合、接着剤の低粘度化を図りつつ、接着強度を高めることができることから、ポリアルキレングリコール又はポリエステルポリオールの少なくとも一種を用いることが好ましい。
【0051】
軟包装基材用としては芳香族ポリイソシアネートと数平均分子量200~6,000の範囲にあるポリアルキレングリコールとを反応させて得られるポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートと数平均分子量200~3,000の範囲にあるポリエステルポリオールとを反応させて得られるポリイソシアネートが硬化物に適度な柔軟性を付与できる点から好ましい。滴定法(ジ-n-ブチルアミン使用)によるイソシアネート含有率が5~20質量%のものが適正な樹脂粘度となって塗工性に優れる点から好ましい。
【0052】
硬質基材用では芳香族ポリイソシアネートと数平均分子量200~3,000の範囲にあるポリエステルポリオールとを反応させて得られるポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートと、数平均分子量200~3,000の範囲にあるポリエステルポリオールと、数平均分子量200~6,000の範囲にあるポリアルキレングリコールの混合物とを反応させて得られるポリイソシアネートが接着強度に優れる点から好ましい。定法(ジ-n-ブチルアミン使用)によるイソシアネート含有率が5~20質量%のものが、やはり適正な樹脂粘度となって塗工性に優れる点から好ましい。
【0053】
ポリイソシアネート化合物(C)がウレタンプレポリマーである場合、その合成反応に供されるイソシアネート基と水酸基との当量比[NCO]/[OH]は1.5~5.0の範囲であることが、接着剤の粘度が適正範囲となって塗工性が良好となる点から好ましい。
【0054】
本発明の接着剤が後述する無溶剤型接着剤の形態で用いられる場合、ポリイソシアネート組成物(Y)の粘度はノンソルベントラミネート法に適した範囲に調整される。一例として、40℃における粘度が500~5000mPas、より好ましくは500~3000mPasの範囲になるよう調整される。ポリイソシアネート組成物(Y)の粘度は、一例としてウレタンプレポリマーの配合量や、低分子量のイソシアネート化合物の配合量により調整することができる。
【0055】
(接着剤のその他の成分(D))
本発明の接着剤は、上述の成分以外の成分を含んでいてもよい。その他の成分(D)は、ポリオール組成物(X)またはポリイソシアネート組成物(Y)のいずれかまたは両方に含まれていてもよいし、これらとは別に調整しておき、接着剤の塗工直前にポリオール組成物(X)、ポリイソシアネート組成物(Y)とともに混合して用いてもよい。以下、各成分について説明する。
【0056】
(触媒(D1))
触媒(D1)としては、金属系触媒、アミン系触媒、脂肪族環状アミド化合物等が例示される。
【0057】
金属系触媒としては、金属錯体系、無機金属系、有機金属系の触媒が挙げられる。金属錯体系の触媒としては、Fe(鉄)、Mn(マンガン)、Cu(銅)、Zr(ジルコニウム)、Th(トリウム)、Ti(チタン)、Al(アルミニウム)、Co(コバルト)からなる群より選ばれる金属のアセチルアセトナート塩、例えば鉄アセチルアセトネート、マンガンアセチルアセトネート、銅アセチルアセトネート、ジルコニアアセチルアセトネート等が例示される。
【0058】
無機金属系の触媒としては、Sn、Fe、Mn、Cu、Zr、Th、Ti、Al、Co等から選ばれるものが挙げられる。
【0059】
有機金属系触媒としては、オクチル酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛等の有機亜鉛化合物、スタナスジアセテート、スタナスジオクトエート、スタナスジオレエート、スタナスジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジクロライド等の有機錫化合物、オクチル酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル等の有機ニッケル化合物、オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト等の有機コバルト化合物、オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマス、ナフテン酸ビスマス等の有機ビスマス化合物、テトライソプロピルオキシチタネート、ジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロライド、脂肪族ジケトン、芳香族ジケトン、炭素原子数2~10のアルコールの少なくとも1種をリガンドとするチタンキレート錯体等のチタン系化合物等が挙げられる。
【0060】
アミン系触媒としては、トリエチレンジアミン、2-メチルトリエチレンジアミン、キヌクリジン、2-メチルキヌクリジン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチル-(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N-ジメチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N-ジメチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)イソプロパノールアミン、3-キヌクリジノール、N,N,N’,N’-テトラメチルグアニジン、1,3,5-トリス(N,N-ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、N-メチル-N’-(2-ジメチルアミノエチル)ピペラジン、N,N’-ジメチルピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、1-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、1-ジメチルアミノプロピルイミダゾール、N,N-ジメチルヘキサノールアミン、N-メチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン、1-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾール、1-(2-ヒドロキシプロピル)イミダゾール、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-メチルイミダゾール、1-(2-ヒドロキシプロピル)-2-メチルイミダゾール等が挙げられる。
【0061】
脂肪族環状アミド化合物としては、δ-バレロラクタム、ε-カプロラクタム、ω-エナントールラクタム、η-カプリルラクタム、β-プロピオラクタム等が挙げられる。これらの中でもε-カプロラクタムが硬化促進により効果的である。
【0062】
(酸無水物(D2))
酸無水物(D2)としては、環状脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物、不飽和カルボン酸無水物等が挙げられ、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。より具体的には、例えば、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルハイミック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、ヘット酸無水物、ナジック酸無水物、メチルナジック酸無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-3-シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物、3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレンコハク酸二無水物、1-メチル-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレンコハク酸二無水物等が挙げられる。
【0063】
また、酸無水物(D2)として上述した化合物をグリコールで変性したものを用いてもよい。変性に用いることができるグリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等のアルキレングリコール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポチテトラメチレンエーテルグリコール等のポリエーテルグリコール類等が挙げられる。更には、これらのうちの2種類以上のグリコール及び/又はポリエーテルグリコールの共重合ポリエーテルグリコールを用いることもできる。
【0064】
(顔料(D3))
顔料(D3)としては特に制限はなく、塗料原料便覧1970年度版(日本塗料工業会編)に記載されている体質顔料、白顔料、黒顔料、灰色顔料、赤色顔料、茶色顔料、緑色顔料、青顔料、金属粉顔料、発光顔料、真珠色顔料等の有機顔料や無機顔料、さらにはプラスチック顔料などが挙げられる。
【0065】
体質顔料としては、例えば、沈降性硫酸バリウム、ご粉、沈降炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、寒水石、アルミナ白、シリカ、含水微粉シリカ(ホワイトカーボン)、超微粉無水シリカ(アエロジル)、珪砂(シリカサンド)、タルク、沈降性炭酸マグネシウム、ベントナイト、クレー、カオリン、黄土などが挙げられる。
【0066】
有機顔料の具体例としては、ベンチジンエロー、ハンザエロー、レーキッド4R等の、各種の不溶性アゾ顔料;レーキッドC、カーミン6B、ボルドー10等の溶性アゾ顔料;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の各種(銅)フタロシアニン系顔料;ローダミンレーキ、メチルバイオレットレーキ等の各種の塩素性染め付けレーキ;キノリンレーキ、ファストスカイブルー等の各種の媒染染料系顔料;アンスラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ペリノン系顔料等の各種の建染染料系顔料;シンカシアレッドB等の各種のキナクリドン系顔料;ヂオキサジンバイオレット等の各種のヂオキサジン系顔料;クロモフタール等の各種の縮合アゾ顔料;アニリンブラックなどが挙げられる。
【0067】
無機顔料としては、黄鉛、ジンククロメート、モリブデートオレンジ等の如き、各種のクロム酸塩;紺青等の各種のフェロシアン化合物;酸化チタン、亜鉛華、マピコエロー、酸化鉄、ベンガラ、酸化クロームグリーン、酸化ジルコニウム等の各種の金属酸化物;カドミウムエロー、カドミウムレッド、硫化水銀等の各種の硫化物ないしはセレン化物;硫酸バリウム、硫酸鉛等の各種の硫酸塩;ケイ酸カルシウム、群青等の各種のケイ酸塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の各種の炭酸塩;コバルトバイオレット、マンガン紫等の各種の燐酸塩;アルミニウム粉、金粉、銀粉、銅粉、ブロンズ粉、真鍮粉等の各種の金属粉末顔料;これら金属のフレーク顔料、マイカ・フレーク顔料;金属酸化物を被覆した形のマイカ・フレーク顔料、雲母状酸化鉄顔料等のメタリック顔料やパール顔料;黒鉛、カーボンブラック等が挙げられる。
【0068】
プラスチック顔料としては、例えば、DIC(株)製「グランドールPP-1000」、「PP-2000S」等が挙げられる。
【0069】
用いる顔料(D3)については目的に応じて適宜選択すればよいが、例えば耐久性、対候性、意匠性に優れることから白色顔料としては酸化チタン、亜鉛華等の無機酸化物を用いることが好ましく、黒色顔料としてはカーボンブラックを用いることが好ましい。
【0070】
顔料(D3)の配合量は、一例としてポリオール組成物(X)とポリイソシアネート組成物(Y)の固形分総量100質量部に対して1~400質量部であり、接着性、耐ブロッキング性をより良好なものとするため10~300質量部とすることがより好ましい。
【0071】
(可塑剤(D4))
可塑剤としては、例えば、フタル酸系可塑剤、脂肪酸系可塑剤、芳香族ポリカルボン酸系可塑剤、リン酸系可塑剤、ポリオール系可塑剤、エポキシ系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、カーボネート系可塑剤などが挙げられる。
【0072】
フタル酸系可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジへキシルフタレート、ジへプチルフタレート、ジ-(2-エチルヘキシル)フタレート、ジ-n-オクチルフタレート、ジノニルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジデシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ジステアリルフタレート、ジフェニルフタレート、ジベンジルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、オクチルデシルフタレート、ジメチルイソフタレート、ジ-(2-エチルヘキシル)イソフタレート、ジイソオクチルイソフタレートなどのフタル酸エステル系可塑剤、例えば、ジ-(2-エチルヘキシル)テトラヒドロフタレート、ジ-n-オクチルテトラヒドロフタレート、ジイソデシルテトラヒドロフタレートなどのテトラヒドロフタル酸エステル系可塑剤が挙げられる。
【0073】
脂肪酸系可塑剤としては、例えば、ジ-n-ブチルアジペート、ジ-(2-エチルへキシル)アジペート、ジイソデシルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジ(C6-C10アルキル)アジペート、ジブチルジグリコールアジペートなどのアジピン酸系可塑剤、例えば、ジ-n-へキシルアゼレート、ジ-(2-エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチルアゼレートなどのアゼライン酸系可塑剤、例えば、ジ-n-ブチルセバケート、ジ-(2-エチルへキシル)セバケート、ジイソノニルセバケートなどのセバシン酸系可塑剤、例えば、ジメチルマレート、ジエチルマレート、ジ-n-ブチルマレート、ジ-(2-エチルヘキシル)マレートなどのマレイン酸系可塑剤、例えば、ジ-n-ブチルフマレート、ジ-(2-エチルへキシル)フマレートなどのフマル酸系可塑剤、例えば、モノメチルイタコネート、モノブチルイタコネート、ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート、ジ-(2-エチルヘキシル)イタコネートなどのイタコン酸系可塑剤、例えば、n-ブチルステアレート、グリセリンモノステアレート、ジエチレングリコールジステアレートなどのステアリン酸系可塑剤、例えば、ブチルオレート、グリセリルモノオレート、ジエチレングリコールモノオレートなどのオレイン酸系可塑剤、例えば、トリエチルシトレート、トリ-n-ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、アセチルトリ-(2-エチルへキシル)シトレートなどのクエン酸系可塑剤、例えば、メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、グリセリルモノリシノレート、ジエチレングリコールモノリシノレートなどのリシノール酸系可塑剤、および、ジエチレングリコールモノラウレート、ジエチレングリコールジペラルゴネート、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルなどのその他の脂肪酸系可塑剤などが挙げられる。
【0074】
芳香族ポリカルボン酸系可塑剤としては、例えば、トリ-n-ヘキシルトリメリテート、トリ-(2-エチルヘキシル)トリメリテート、トリ-n-オクチルトリメリテート、トリイソオクチルトリメリテート、トリイソノニルトリメリテート、トリデシルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテートなどのトリメリット酸系可塑剤、例えば、テトラ-(2-エチルヘキシル)ピロメリテート、テトラ-n-オクチルピロメリテートなどのピロメリット酸系可塑剤などが挙げられる。
【0075】
リン酸系可塑剤としては、例えば、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ-(2-エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェートなどが挙げられる。
【0076】
ポリオール系可塑剤としては、例えば、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ-(2-エチルブチレート)、トリエチレングリコールジ-(2-エチルヘキソエート)、ジブチルメチレンビスチオグリコレートなどのグリコール系可塑剤、例えば、グリセロールモノアセテート、グリセロールトリアセテート、グリセロールトリブチレートなどのグリセリン系可塑剤などが挙げられる。
【0077】
エポキシ系可塑剤としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシブチルステアレート、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ2-エチルヘキシル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジイソデシル、エポキシトリグリセライド、エポキシ化オレイン酸オクチル、エポキシ化オレイン酸デシルなどが挙げられる。
【0078】
ポリエステル系可塑剤としては、例えば、アジピン酸系ポリエステル、セバシン酸系ポリエステル、フタル酸系ポリエステルなどが挙げられる。
【0079】
カーボネート系可塑剤としては、プロピレンカーボネートやエチレンカーボネートなどが挙げられる。
【0080】
また、可塑剤としては、その他に、部分水添ターフェニル、接着性可塑剤、さらには、ジアリルフタレート、アクリル系モノマーやオリゴマーなどの重合性可塑剤などが挙げられる。これら可塑剤は、単独または2種以上併用することができる。
【0081】
(リン酸化合物(D5))
リン酸化合物(D5)としては、リン酸、ピロリン酸、トリリン酸、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、イソドデシルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、2-ヒドロキシエチルメタクリレートアシッドホスフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸等が挙げられる。
【0082】
一方、本発明の接着剤は、耐ボイル性に優れることから、シランカップリング剤を別途加えないことが好ましい。これにより、接着剤の硬化塗膜中への残留アルコール、特に残留メタノールの懸念が抑制された接着剤とすることができる。
【0083】
(接着剤の形態)
本発明の接着剤は、溶剤型または無溶剤型のいずれの形態であってもよい。なお本明細書において「溶剤型」の接着剤とは、接着剤を基材に塗工した後に、オーブン等で加熱して塗膜中の有機溶剤を揮発させた後に他の基材と貼り合せる方法、いわゆるドライラミネート法に用いられる形態をいう。ポリオール組成物(X)、ポリイソシアネート組成物(Y)のいずれか一方、もしくは両方が本発明で使用するポリオール組成物(X)、ポリイソシアネート組成物(Y)の構成成分を溶解(希釈)することが可能な有機溶剤を含む。
【0084】
このような有機溶剤としては、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチレンクロリド、エチレンクロリド等のハロゲン化炭化水素類、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホアミド等が挙げられる。ポリイソシアネート組成物(X)、ポリオール組成物(Y)の構成成分の製造時に反応媒体として使用された有機溶剤が、更に塗装時に希釈剤として使用される場合もある。
【0085】
本明細書において「無溶剤型」の接着剤とは、ポリオール組成物(X)及びポリイソシアネート組成物(Y)が上記のような有機溶剤、特に酢酸エチル又はメチルエチルケトンを実質的に含まず、接着剤を基材に塗工した後に、オーブン等で加熱して溶剤を揮発させる工程を経ずに他の基材と貼り合せる方法、いわゆるノンソルベントラミネート法に用いられる接着剤の形態を指す。ポリオール組成物(X)及びポリイソシアネート組成物(Y)の構成成分や、その原料の製造時に反応媒体として使用された有機溶剤が除去しきれずに、ポリオール組成物(X)及びポリイソシアネート組成物(Y)中に微量の有機溶剤が残留してしまっている場合は、有機溶剤を実質的に含まないと解される。また、ポリオール組成物(X)が低分子量アルコールを含む場合、低分子量アルコールはポリイソシアネート組成物(Y)と反応して塗膜の一部となるため、塗工後に揮発させる必要はない。従ってこのような形態も無溶剤型接着剤として扱い、低分子量アルコールは有機溶剤とはみなされない。
【0086】
本発明の接着剤は、ポリイソシアネート組成物(Y)に含まれるイソシアネート基のモル数[NCO]とポリオール組成物(X)に含まれる水酸基のモル数[OH]との比[NCO]/[OH]が0.5~6.0となるよう配合して用いることが好ましい。
【0087】
<積層体>
本発明の積層体は、複数の基材(フィルムあるいは紙)を、本発明の接着剤を用い、ドライラミネート法またはノンソルベントラミネート法にて貼り合わせて得られる。用いるフィルムに特に制限はなく、用途に応じたフィルムを適宜選択することができる。例えば、食品包装用としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリエチレンフィルム(LLDPE:低密度ポリエチレンフィルム、HDPE:高密度ポリエチレンフィルム、MDOPE:一軸延伸ポリエチレンフィルム、OPE:二軸延伸ポリエチレンフィルム)やポリプロピレンフィルム(CPP:無延伸ポリプロピレンフィルム、OPP:二軸延伸ポリプロピレンフィルム)等のポリオレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン-ビニルアルコール共重合体フィルム等が挙げられる。
【0088】
また、バイオマス由来成分を含有する材料で形成された、バイオマスフィルムを用いることも好ましい。バイオマスフィルムは各社から販売されているほか、例えば、一般財団法人日本有機資源協会に記載のバイオマス認定商品一覧に挙げられるようなシートを使用することができる。
【0089】
具体的によく知られているバイオマスフィルムとしては、バイオマス由来のエチレングリコールを原料とするものが挙げられる。バイオマス由来のエチレングリコールは、バイオマスを原料として製造されたエタノール(バイオマスエタノール)を原料としたものである。例えば、バイオマスエタノールを、従来公知の方法により、エチレンオキサイドを経由してエチレングリコールを生成する方法等により、バイオマス由来のエチレングリコールを得ることができる。また、市販のバイオマスエチレングリコールを使用してもよく、例えば、インディアグライコール社から市販されているバイオマスエチレングリコールを好適に使用することができる。
【0090】
例えば、従来の石油系原料を使用したポリエチレンテレフタレートフィルムの代替として、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸単位とするバイオマスポリエステル、バイオマスポリエチレンテレフタレート等を含有するフィルムが知られている。
【0091】
バイオマスポリエステルのジカルボン酸単位は、化石燃料由来のジカルボン酸を使用する。ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、およびそれらの誘導体を制限なく使用することができる。
また、上記のジオール成分とジカルボン酸成分に加えて、2官能のオキシカルボン酸や、架橋構造を形成するために3官能以上の多価アルコール、3官能以上の多価カルボン酸及び/又はその無水物並びに3官能以上のオキシカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の多官能化合物等の第3成分として共重合成分を加えた共重合ポリエステルであっても良い。
【0092】
また、例えば、従来の石油系原料を使用したポリオレフィン系フィルムの代替として、バイオマス由来のエチレングリコールを原料とするポリエチレン系樹脂を含有するバイオマスポリエチレン系フィルム、バイオマスポリエチレン-ポリプロピレン系フィルム等のバイオマスポリオレフィン系フィルムも知られている。
ポリエチレン系樹脂は、原料の一部に前記バイオマス由来のエチレングリコールを使用する以外は特に限定されず、エチレンの単独重合体、エチレンを主成分とするエチレンとα-オレフィンとの共重合体(エチレン単位を90質量%以上含有するエチレン-α-オレフィン共重合体)などが挙げられ、これらを1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0093】
なお、エチレンとα-オレフィンとの共重合体を構成するα-オレフィンは特に限定されず、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン及び1-オクテンなどの炭素原子数4乃至8のα-オレフィンが挙げられる。低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂及び直鎖状低密度ポリエチレン樹脂などの公知のポリエチレン樹脂を用いることができる。中でも、フィルム同士が擦れても、穴開きや破けなどの損傷を一段と生じにくくする観点から、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)(エチレンと1-ヘキセンとの共重合体、又はエチレンと1-オクテンとの共重合体)が好ましく、密度が0.910乃至0.925g/cmである直鎖状低密度ポリエチレン樹脂がより好ましい。
【0094】
バイオマスフィルムとしては、ISO16620またはASTMD6866で規定されたバイオマスプラスチック度で区別されたバイオマス原料を使用したものも流通している。大気中では1012個に1個の割合で放射性炭素14Cが存在し、この割合は大気中の二酸化炭素でも変わらないので、この二酸化炭素を光合成で固定化した植物の中でも、この割合は変わらない。このため、植物由来樹脂の炭素には放射性炭素14Cが含まれる。これに対し、化石燃料由来樹脂の炭素には放射性炭素14Cがほとんど含まれない。そこで、加速器質量分析器で樹脂中の放射性炭素14Cの濃度を測定することにより、樹脂中の植物由来樹脂の含有割合、すなわちバイオマスプラスチック度を求めることができる。
【0095】
ISO16620またはASTM D6866で規定されたバイオマスプラスチック度が80%以上、好ましくは90%以上であるバイオマスプラスチックである植物由来の低密度ポリエチレンとしては、例えば、Braskem社製の商品名「SBC818」「SPB608」「SBF0323HC」「STN7006」「SEB853」「SPB681」等が挙げられ、これらを原料として使用したフィルムを好適に使用することができる。
【0096】
また、バイオマス原料であるデンプンや、ポリ乳酸を配合したフィルムやシートも知られている。これらは用途に応じて適宜選択し使用することができる。
【0097】
バイオマスフィルムは、複数のバイオマスフィルムを積層させた積層体であってもよいし、従来の石油系フィルムとバイオマスフィルムとの積層体であってもよい。またこれらのバイオマスフィルムは、未延伸フィルムでも延伸フィルムでもよく、その製法も限定されるものではない。
【0098】
フィルムは延伸処理を施されたものであってもよい。延伸処理方法としては、押出製膜法等で樹脂を溶融押出してシート状にした後、同時二軸延伸あるいは逐次二軸延伸を行うことが一版的である。また逐次二軸延伸の場合は、はじめに縦延伸処理を行い、次に横延伸を行うことが一般的である。具体的には、ロール間の速度差を利用した縦延伸とテンターを用いた横延伸を組み合わせる方法が多く用いられる。
【0099】
フィルム表面には、膜切れやはじき等の欠陥のない接着層が形成されるように、必要に応じて火炎処理やコロナ放電処理等の各種表面処理を施してもよい。
【0100】
あるいは、アルミニウム等の金属、シリカやアルミナ等の金属酸化物の蒸着層を積層したフィルム、ポリビニルアルコールやエチレン・ビニルアルコール共重合体、塩化ビニリデン等のガスバリア層を含有するバリア性フィルムを用いてもよい。このようなフィルムを用いることで、水蒸気、酸素、アルコール、不活性ガス、揮発性有機物(香り)等に対するバリア性を備えた積層体とすることができる。
【0101】
紙としては、特に限定なく公知の紙基材を使用することができる。具体的には、木材パルプ等の製紙用天然繊維を用いて公知の抄紙機にて製造されるが、その抄紙条件は特に規定されるものではない。製紙用天然繊維としては、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ等の木材パルプ、マニラ麻パルプ、サイザル麻パルプ、亜麻パルプ等の非木材パルプ、およびそれらのパルプに化学変性を施したパルプ等が挙げられる。パルプの種類としては、硫酸塩蒸解法、酸性・中性・アルカリ性亜硫酸塩蒸解法、ソーダ塩蒸解法等による化学パルプ、グランドパルプ、ケミグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ等を使用することができる。また、市販の各種上質紙やコート紙、裏打ち紙、含浸紙、ボール紙や板紙などを用いることもできる。
【0102】
本発明の接着剤を用いて得られた積層体は、ボイル処理に対する耐性に優れる。従って一般的な用途に好適に用いることができるのはもちろん、ボイル処理を施す用途に特に好適に用いることができる。具体的な構成としては、透明蒸着Nyフィルム/接着層/シーラントフィルム、透明蒸着PETフィルム/接着層/シーラントフィルム、透明蒸着PETフィルム/接着層/Nyフィルム/接着層/シーラントフィルム、OPPフィルム/接着層/透明蒸着PETフィルム/接着層/シーラントフィルム、Nyフィルム/接着層/透明蒸着PETフィルム/接着層/シーラントフィルム、PETフィルム/接着層/透明蒸着PETフィルム/接着層/シーラントフィルム、透明蒸着Nyフィルム/接着層/透明蒸着PETフィルム/接着層/シーラントフィルム、透明蒸着PETフィルム/接着層/透明蒸着PETフィルム/接着層/シーラントフィルムなどが挙げられるが、これに限定されない。また、透明蒸着フィルムの代わりにアルミ蒸着フィルムを用いても良い。
【0103】
これらの積層体において複数の接着層が存在する場合、透明蒸着層、アルミ蒸着層と接する接着層は本発明の接着剤を用いることが好ましい。透明蒸着層、アルミ蒸着層と接着層間は、ボイル処理を行った場合に特にデラミネーションが発生しやすいが、本発明の接着剤を用いればそのような不具合を抑制することができる。他方の接着剤は、本発明の接着剤を用いて張り合わせてもよいし、特に支障がなければ汎用のウレタン系接着剤を用いて貼り合わせてもよい。なお一般的に包装材用の積層体は適当な位置に後述する印刷層が設けられるが上述の例では記載を省略している。
【0104】
本発明の積層体は、接着層と基材(通常は内容物に対して最外層となる基材)との間に印刷層が設けられていてもよい。印刷層は、グラビアインキ、フレキソインキ、オフセットインキ、孔版インキ、インクジェットインク等各種印刷インキにより、従来フィルムへの印刷に用いられてきた一般的な印刷方法で形成される。
【0105】
接着剤が溶剤型である場合、一方の基材に本発明の接着剤をグラビアロール等のロールを用いて塗布し、オーブン等での加熱により有機溶剤を揮発させた後、他方の基材を貼り合せて本発明の積層体を得る。ラミネート後に、エージング処理を行うことが好ましい。エージング温度は室温~80℃、エージング時間は12~240時間が好ましい。
【0106】
接着剤が無溶剤型である場合、一方の基材に予め40℃~100℃程度に加熱しておいた本発明の接着剤をコートロール等のロールを用いて塗布した後、直ちに他方の基材を貼り合せて本発明の積層体を得る。ラミネート後に、エージング処理を行うことが好ましい。エージング温度は室温~70℃、エージング時間は6~240時間が好ましい。
【0107】
接着剤の塗布量は、適宜調整される。溶剤型接着剤の場合、一例として固形分量が1g/m以上10g/m以下、好ましくは2g/m以上5g/m以下となるよう調整する。無溶剤型接着剤の場合、接着剤の塗布量が一例として1g/m以上5g/m以下、好ましくは1g/m以上3.5g/m以下である。
【0108】
本発明の積層体は、2つの基材を本発明の接着剤で貼り合わせたものであるが、必要に応じて他の基材を含んでいてもよい。他の基材を積層する方法としては公知の方法、例えばドライラミネート法、ノンソルベントラミネート法、熱ラミネート法、ヒートシール法、押出しラミネート法などにより積層すればよい。この際用いられる接着剤は、本発明のものであってもよいし、そうでなくてもよい。他の基材としては、上述した基材と同様のものを用いることができる。
【0109】
<包装材>
本発明の包装材は、上述の積層体を袋状に成形し、ヒートシールすることにより包装材の形態としたものである。包装材の態様としては、三方シール袋、四方シール袋、ガセット包装袋、ピロー包装袋、ゲーベルトップ型の有底容器、テトラクラシック、ブリュックタイプ、チューブ容器、紙カップ、蓋材、など種々ある。また、本発明の包装材に易開封処理や再封性手段を適宜設けてあってもよい。
【0110】
本発明の包装材は、主に食品、洗剤、薬剤を充填する包装材として工業的に使用することができる。具体的な用途としては、洗剤、薬剤として、洗濯用液体洗剤、台所用液体洗剤、浴用液体洗剤、浴用液体石鹸、液体シャンプー、液体コンディショナー、医薬用タブレット等が挙げられる。また、上記の容器を包装する2次包装材にも使用できる。
【実施例
【0111】
以下、本発明を具体的な合成例、実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の例において、「部」及び「%」は、特に断りがない限り、「質量部」及び「質量%」をそれぞれ表す。
【0112】
<ポリオール組成物(X)>
(反応生成物(A-1))
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えた反応容器に、窒素ガス導入下でエチレングリコール7.2部、ジエチレングリコール15.8部、ネオペンチルグリコール22.5部、アジピン酸21.9部、セバシン酸4.6部、イソフタル酸28.0部、KBM-403(信越シリコーン製、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)1.3部を仕込んだ。常圧窒素気流下にて徐々に昇温し脱水反応を行いながら250℃まで昇温し、250℃にて2時間反応させた。内容物が透明、かつ、精留塔の塔頂温度が80℃以下になったことを確認したら240℃に降温し、精留塔からコンデンサーに切替え、真空ポンプにラインをつなぎ30~60Torrの減圧下で所定の酸価と粘度に到達するまで反応を継続し、反応生成物(A-1)を得た。
反応生成物(A-1)の酸価は0.7mgKOH/g、水酸基価は159.0mgKOH/gであった。
【0113】
(反応生成物(A-2))
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えた反応容器に、窒素ガス導入下でエチレングリコール7.2部、ジエチレングリコール15.8部、ネオペンチルグリコール22.5部を仕込み、攪拌しながら加温し溶解させた。その後120~130℃でアジピン酸21.9部、セバシン酸4.6部、イソフタル酸28.0部、KBM-403 6.8部を仕込んだ。0.5MPa程度の加圧下にて徐々に昇温し脱水反応を行いながら240℃まで昇温し、240℃到達後に除圧した。内容物が透明、かつ、精留塔の塔頂温度が80℃以下になったことを確認したら、精留塔からコンデンサーに切替え、真空ポンプにラインをつなぎ30~60Torrの減圧下で所定の酸価と粘度に到達するまで反応を継続し、反応生成物(A-2)を得た。
反応生成物(A-2)の酸価は0.6mgKOH/g、水酸基価は154.0mgKOH/gであった。
【0114】
(反応生成物(A-3))
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えた反応容器に、窒素ガス導入下でエチレングリコール7.2部、ジエチレングリコール15.8部、ネオペンチルグリコール22.5部を仕込み、攪拌しながら加温し溶解させた。その後120~130℃でアジピン酸21.9部、セバシン酸4.6部、イソフタル酸28.0部、KBE-903(信越シリコーン製、3-アミノプロピルトリエトキシシラン)3.2部を仕込んだ。常圧窒素気流下にて徐々に昇温し脱水反応を行いながら250℃まで昇温し、250℃にて2時間反応させた。内容物が透明、かつ、精留塔の塔頂温度が80℃以下になったことを確認したら230℃に降温し、キシレンを加え水分分離器を用いて同温度でキシレンをリフラックスさせながら脱水反応を促進した。酸価が5.0mgKOH/gを切ったら精留塔からコンデンサーに切替え、真空ポンプにラインをつなぎ30~60Torrの減圧下でキシレンを除去しながら、所定の酸価と粘度に到達するまで反応を継続し、反応生成物(A-3)を得た。
反応生成物(A-3)の酸価は0.8mgKOH/g、水酸基価は156.0mgKOH/gであった。
【0115】
(反応生成物(A-4))
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えた反応容器に、窒素ガス導入下でエチレングリコール14.0部、ネオペンチルグリコール20.9部を仕込み、攪拌しながら加温し溶解させた。その後120~130℃でアジピン酸24.3部、イソフタル酸20.4部、テレフタル酸20.4部、KBM-403 1.0部を仕込んだ。0.5MPa程度の加圧下にて徐々に昇温し脱水反応を行いながら260℃まで昇温し、260℃到達後に除圧した。内容物が透明、かつ、精留塔の塔頂温度が80℃以下になったことを確認したら230℃に降温し、キシレンを加え水分分離器を用いて同温度でキシレンをリフラックスさせながら脱水反応を促進した。酸価が5.0mgKOH/gを切ったら精留塔からコンデンサーに切替え、真空ポンプにラインをつなぎ30~60Torrの減圧下でキシレンを除去しながら、所定の酸価と粘度に到達するまで反応を継続し、反応生成物(A-4’)を得た。
反応生成物(A-4’)の酸価は1.2mgKOH/g、水酸基価は27.0mgKOH/gであった。
【0116】
撹拌翼、温度センサー、窒素ガス導入管および冷却管を備えた反応容器に、反応生成物(A-4’)97.0部、酢酸エチル53.8部、重合触媒としてジブチルスズジラウレート0.02部を仕込んだ。常圧窒素気流下にて60℃まで昇温したらイソホロンジイソシアネート3.0部を仕込み80℃まで昇温し80℃でウレタン化反応を行った。所定の粘度到達と残留イソシアネート分が0.05%以下であることを確認した後、50℃に降温して酢酸エチルで不揮発分を調整し、反応生成物(A-4)を得た。
反応生成物(A-4)の固形換算の酸価は1.1mgKOH/g、固形換算の水酸基価は11.9mgKOH/g、不揮発分は65.0%であった。
【0117】
(反応生成物(A-5))
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えた反応容器に、窒素ガス導入下でエチレングリコール14.0部、ネオペンチルグリコール20.9部を仕込み、攪拌しながら加温し溶解させた。その後120~130℃でアジピン酸24.3部、イソフタル酸20.4部、テレフタル酸20.4部、KBM-403 1.0部を仕込んだ。0.5MPa程度の加圧下にて徐々に昇温し脱水反応を行いながら260℃まで昇温し、260℃到達後に除圧した。内容物が透明、かつ、精留塔の塔頂温度が80℃以下になったことを確認したら240℃に降温し、精留塔からコンデンサーに切替え、真空ポンプにラインをつなぎ30~60Torrの減圧下で所定の酸価と粘度に到達するまで反応を継続し、反応生成物(A-5’)を得た。
反応生成物(A-5’)の酸価は0.8mgKOH/g、水酸基価は26.2mgKOH/gであった。
【0118】
撹拌翼、温度センサー、窒素ガス導入管および冷却管を備えた反応容器に、反応生成物(A-5’)97.0部、酢酸エチル53.8部、重合触媒としてジブチルスズジラウレート0.02部を仕込んだ。常圧窒素気流下にて60℃まで昇温したらイソホロンジイソシアネート3.0部を仕込み80℃まで昇温し80℃でウレタン化反応を行った。所定の粘度到達と残留イソシアネート分が0.05%以下であることを確認した後、50℃に降温して酢酸エチルで不揮発分を調整し、反応生成物(A-5)を得た。
反応生成物(A-5)の固形換算の酸価は0.8mgKOH/g、固形換算の水酸基価は11.0mgKOH/g、不揮発分は65.0%であった。
【0119】
(反応生成物(AH-1))
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えた反応容器に、窒素ガス導入下でエチレングリコール7.2部、ジエチレングリコール15.8部、ネオペンチルグリコール22.5部、アジピン酸21.9部、セバシン酸4.6部、イソフタル酸28.0部を仕込んだ。常圧窒素気流下にて徐々に昇温し脱水反応を行いながら250℃まで昇温し、250℃にて2時間反応させた。内容物が透明、かつ、精留塔の塔頂温度が80℃以下になったことを確認したら240℃に降温し、精留塔からコンデンサーに切替え、真空ポンプにラインをつなぎ30~60Torrの減圧下で所定の酸価と粘度に到達するまで反応を継続し、反応生成物(AH-1)を得た。
反応生成物(AH-1)の酸価は1.3mgKOH/g、水酸基価は168.0mgKOH/gであった。
【0120】
(反応生成物(AH-2))
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えた反応容器に、窒素ガス導入下でエチレングリコール14.0部、ネオペンチルグリコール20.9部を仕込み、攪拌しながら加温し溶解させた。その後120~130℃でアジピン酸24.3部、イソフタル酸20.4部、テレフタル酸20.4部を仕込んだ。0.5MPa程度の加圧下にて徐々に昇温し脱水反応を行いながら260℃まで昇温し、260℃到達後に除圧した。内容物が透明、かつ、精留塔の塔頂温度が80℃以下になったことを確認したら230℃に降温し、キシレンを加え水分分離器を用いて同温度でキシレンをリフラックスさせながら脱水反応を促進した。酸価が5.0mgKOH/gを切ったら精留塔からコンデンサーに切替え、真空ポンプにラインをつなぎ30~60Torrの減圧下でキシレンを除去しながら、所定の酸価と粘度に到達するまで反応を継続し、反応生成物(AH-2’)を得た。
反応生成物(AH-2’)の酸価は1.3mgKOH/g、水酸基価は27.0mgKOH/gであった。
【0121】
撹拌翼、温度センサー、窒素ガス導入管および冷却管を備えた反応容器に、反応生成物(A-2’)97.0部、酢酸エチル53.8部、重合触媒としてジブチルスズジラウレート0.02部を仕込んだ。常圧窒素気流下にて60℃まで昇温したらイソホロンジイソシアネート3.0部を仕込み80℃まで昇温し80℃でウレタン化反応を行った。所定の粘度到達と残留イソシアネート分が0.05%以下であることを確認した後、50℃に降温して酢酸エチルで不揮発分を調整し、反応生成物(AH-2)を得た。
反応生成物(AH-2)の固形換算の酸価は1.3mgKOH/g、固形換算の水酸基価は13.1mgKOH/g、不揮発分は65.0%であった。
【0122】
得られた反応生成物(A-1)~(A-5)、(AH-1)、(AH-2)、KBM-403、KBE-903を、表1、2に示す量(固形分)で配合し、実施例、比較例用のポリオール組成物(X)を得た。
【0123】
<ポリイソシアネート組成物(Y)>
(ポリイソシアネート化合物(C-1))
市販のイソホロンジイソシアネートのヌレート体と、ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート体とを1:4重量部で混合したものをポリイソシアネート組成物(C-1)とした。
【0124】
(ポリイソシアネート化合物(C-2))
トリメチロールプロパンにトリレンジイソシアネートを付加した3官能のポリイソシアネート(製品名DIC社製ディックドライKW-75、固形分75%)をポリイソシアネート組成物(C-2)とした。
【0125】
<接着剤の調製>
実施例及び比較例用の反応性接着剤は、反応生成物(A)、ポリイソシアネート組成物(C)、シランカップリング剤を表3、4に示すの比率で配合して作成した。溶剤を使用する場合は酢酸エチルを用いて粘度を調整した。
【0126】
<積層体の製造>
膜厚12μmのシリカ蒸着PETフィルム(三菱ケミカル株式会社製 テックバリアL)の蒸着面に、塗布量が3.2g/mとなるように接着剤を塗布し、続いて、接着剤塗布面と膜厚60μmのLLDPEフィルム(三井化学東セロ株式会社製 直鎖低密度ポリエチレンフィルム T.U.X(TM)HC)とを貼り合わせた。40℃/4日間のエージングを行い評価用積層体とした。
【0127】
<評価>
(残留アルコール量)
以下の条件にて13C-NMR測定を実施し、実施例、比較例に用いたポリオール組成物(X)の固形分中に含まれる残留アルコール量を測定した。予めモデル樹脂にメタノールを添加し、ポリオール組成物(X)と同様の方法で測定したメタノールの検出限界を基に、以下の2段階で判定した。
〇:0.1wt%未満(不検出)である
×:0.1wt%以上である
【0128】
(モデル樹脂(MeOH添加)を用いた検出下限の調査)
接着剤モデル/以下の(1)~(3)の通り混合した接着剤モデルを750mg量り取り、重クロロホルム250μlに溶解させ、測定試料とした。
(1)シランカップリング剤未添加品:MeOH=99.9:0.1wt%
(2)シランカップリング剤未添加品:MeOH=99.7:0.3wt%
(3)シランカップリング剤未添加品:MeOH=99.5:0.5wt%
(サンプル)
サンプル750mgを重クロロホルム250μlに溶解させ、測定試料とした。
(NMR測定条件)
装置:JEOL製ECX-400P
測定温度:室温
共鳴周波数:100MHz
測定核種/パラメータ:13C-NMR(完全デカップリング)/Scan 1000,Relaxation delay 2 s,Flip angle 30 deg,x_offset 100 ppm, x_sweep 250 ppm, x_points 32768.
【0129】
(接着強度)
積層体を長さ300mm、幅15mmに切り取り、テストピースとした。インストロン型引張試験機を使用し、25℃の環境下にて、剥離速度300mm/分の剥離速度で引張り、15mm幅でシリカ蒸着PETフィルム/LLDPEフィルム間の180型剥離強度(N/15mm)を測定した。
【0130】
(耐ボイル性)
評価用積層体を150mm×300mmで切り取り、LLDPEフィルムが内側になるように折り曲げ、1atm、180℃、1秒間で2辺をヒートシールしてパウチを作製した。作成したパウチに1/1/1ソース(ミートソース:植物油:食酢=1:1:1)を充填した後、残る1辺も同様の条件でヒートシールし、パウチに封をした。内容物を充填したパウチを98℃の熱湯に浸漬させ、1時間のボイル殺菌処理を行った。内容物を除去した後のパウチを開き、幅15mmの短冊状に切り取り、テストピースとした。インストロン型引張試験機を使用し、25℃の環境下にて、剥離速度300mm/分の剥離速度で引張り、15mm幅でシリカ蒸着PETフィルム/LLDPEフィルム間の180℃剥離強度(N/15mm)を測定した。また、ボイル殺菌処理を終了した時点でデラミネーションが発生しているものについては「デラミ」と標記し、剥離強度の測定は行わなかった。
【0131】
【表1】
【0132】
【表2】
【0133】
【表3】
【0134】
【表4】