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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-25
(45)【発行日】2025-04-02
(54)【発明の名称】基板加工方法、及び基板加工装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20250326BHJP
   B23K 26/352 20140101ALI20250326BHJP
【FI】
H01L21/304 621Z
H01L21/304 631
H01L21/304 601Z
B23K26/352
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022576610
(86)(22)【出願日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 JP2022000579
(87)【国際公開番号】W WO2022158333
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-07-10
(31)【優先権主張番号】P 2021008295
(32)【優先日】2021-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】早川 晋
(72)【発明者】
【氏名】山下 陽平
(72)【発明者】
【氏名】溝本 康隆
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-015645(JP,A)
【文献】特開2020-141088(JP,A)
【文献】特開2008-147639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B23K 26/352
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面及び前記第1主面とは反対向きの第2主面を有し且つ前記第1主面及び前記第2主面の各々にうねりを有する基板を準備することと、
前記基板の前記第1主面と前記第2主面のうちの片面のうねりの測定結果を基に、前記片面に対してレーザー光線を照射し、前記片面を平坦化することと、
前記レーザー光線の照射によって平坦化された前記片面を吸着する第2保持部によって前記基板を保持することと、
前記第2保持部に前記基板を保持した状態で、前記基板の前記片面とは反対向きの反対面に当てた研削工具で前記反対面を研削し、前記反対面を平坦化することと、
を含む、基板加工方法。
【請求項2】
前記第1主面と前記第2主面のうち、うねりの大きさが小さい方を、前記レーザー光線で平坦化する前記片面に設定することを含む、請求項1に記載の基板加工方法。
【請求項3】
前記第1主面のうねりの測定結果と、前記第2主面のうねりの測定結果とを基に、前記基板を反転するか否かを決めることを含む、請求項1又は2に記載の基板加工方法。
【請求項4】
前記基板の前記片面のうねりの測定結果を基に、前記片面の単位面積当たりの前記レーザー光線の積算照射量を制御することを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の基板加工方法。
【請求項5】
前記基板の前記片面の単位面積当たりの前記レーザー光線の積算照射量を、前記レーザー光線の照射回数で制御することを含む、請求項4に記載の基板加工方法。
【請求項6】
前記レーザー光線の光源として、パルスレーザーを用いることを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の基板加工方法。
【請求項7】
前記基板の前記片面に対して前記レーザー光線を照射する際に、前記基板を自然状態で保持することを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の基板加工方法。
【請求項8】
前記基板の前記片面における前記レーザー光線の照射点の位置を移動するのに、ガルバノスキャナを用いることを含む、請求項7に記載の基板加工方法。
【請求項9】
前記基板の前記反対面を平坦化した後に、前記反対面を洗浄することと、
前記基板の前記反対面を洗浄した後に、前記反対面をエッチングすることと、
を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の基板加工方法。
【請求項10】
前記基板の前記反対面を平坦化した後に、前記反対面をエッチングすることと、前記片面をエッチングすることを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の基板加工方法。
【請求項11】
第1主面及び前記第1主面とは反対向きの第2主面を有し且つ前記第1主面及び前記第2主面の各々にうねりを有する基板を保持する保持部と、
前記基板の前記第1主面と前記第2主面のうちの片面に対して照射するレーザー光線を発振する光源と、
前記保持部に前記基板を保持した状態で、前記基板の前記片面における前記レーザー光線の照射点の位置を移動する移動部と、
前記基板の前記片面のうねりの測定結果を基に、前記光源及び前記移動部を制御し、前記基板の前記片面を平坦化する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1主面と前記第2主面のうち、うねりの大きさが小さい方を、前記レーザー光線を照射する前記片面に設定する、基板加工装置。
【請求項12】
第1主面及び前記第1主面とは反対向きの第2主面を有し且つ前記第1主面及び前記第2主面の各々にうねりを有する基板を保持する保持部と、
前記基板の前記第1主面と前記第2主面のうちの片面に対して照射するレーザー光線を発振する光源と、
前記保持部に前記基板を保持した状態で、前記基板の前記片面における前記レーザー光線の照射点の位置を移動する移動部と、
前記基板の前記片面のうねりの測定結果を基に、前記光源及び前記移動部を制御し、前記基板の前記片面を平坦化する制御部と、
前記基板を反転させる反転部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1主面のうねりの測定結果と、前記第2主面のうねりの測定結果とを基に、前記基板を反転するか否かを決める、基板加工装置。
【請求項13】
第1主面及び前記第1主面とは反対向きの第2主面を有し且つ前記第1主面及び前記第2主面の各々にうねりを有する基板を保持する保持部と、
前記基板の前記第1主面と前記第2主面のうちの片面に対して照射するレーザー光線を発振する光源と、
前記保持部に前記基板を保持した状態で、前記基板の前記片面における前記レーザー光線の照射点の位置を移動する移動部と、
前記基板の前記片面のうねりの測定結果を基に、前記光源及び前記移動部を制御し、前記基板の前記片面を平坦化する制御部と、
前記レーザー光線の照射によって平坦化された前記片面を吸着し、前記基板を保持する第2保持部と、
前記第2保持部に前記基板を保持した状態で、前記基板の前記片面とは反対向きの反対面に当てた研削工具を駆動する工具駆動部と、
を備える、基板加工装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記基板の前記片面のうねりの測定結果を基に、前記片面の単位面積当たりの前記レーザー光線の積算照射量を制御する、請求項11~13のいずれか1項に記載の基板加工装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記基板の前記片面の単位面積当たりの前記レーザー光線の積算照射量を、前記レーザー光線の照射回数で制御する、請求項14に記載の基板加工装置。
【請求項16】
前記光源は、パルスレーザーを含む、請求項11~15のいずれか1項に記載の基板加工装置。
【請求項17】
前記保持部は、前記基板を自然状態で保持する、請求項11~16のいずれか1項に記載の基板加工装置。
【請求項18】
前記移動部は、ガルバノスキャナを含む、請求項17に記載の基板加工装置。
【請求項19】
第1主面及び前記第1主面とは反対向きの第2主面を有し、前記第1主面及び前記第2主面のうちの片面がレーザー光線の照射によって平坦化され、前記片面とは反対向きの反対面がうねりを有する基板の前記片面を吸着し、前記基板を保持する保持部と、
前記保持部に前記基板を保持した状態で、前記基板の前記反対面に当てた研削工具を駆動する工具駆動部と、
を備える、基板加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板加工方法、及び基板加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体ウェハの加工方法が記載されている。この加工方法は、単結晶インゴットをスライスして得た半導体ウェハに、面取り工程と、ラッピング工程と、エッチング工程と、鏡面研磨工程とを施す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特開2002-203823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一態様は、基板の両面に存在するうねりを短時間で除去し、基板の両面を短時間で平坦化する、技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る基板加工方法は、下記の処理を含む。第1主面及び前記第1主面とは反対向きの第2主面を有し且つ前記第1主面及び前記第2主面の各々にうねりを有する基板を準備する。前記基板の前記第1主面と前記第2主面のうちの片面のうねりの測定結果を基に、前記片面に対してレーザー光線を照射し、前記片面を平坦化する。前記レーザー光線の照射によって平坦化された前記片面を吸着する第2保持部によって前記基板を保持する。前記第2保持部に前記基板を保持した状態で、前記基板の前記片面とは反対向きの反対面に当てた研削工具で前記反対面を研削し、前記反対面を平坦化する。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一態様によれば、基板の両面に存在するうねりを短時間で除去でき、基板の両面を短時間で平坦化できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態に係る基板加工方法を示すフローチャートである。
図2図2は、図1のステップS102の一例を示す断面図である。
図3図3は、基板のうねりの大きさの一例を示す断面図である。
図4図4は、図1のステップS107の一例を示す図である。
図5図5は、図1のステップS110の一例を示す図である。
図6図6は、一実施形態に係る基板加工装置を示す平面図である。
図7図7は、第1変形例に係る基板加工装置を示す平面図である。
図8図8は、第2変形例に係る基板加工装置を示す平面図である。
図9図9は、図8の基板加工装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、レーザー加工モジュールの一例を示す図である。
図11図11(A)はレーザー光線の強度分布の第1例を示す図であり、図11(B)はレーザー光線の強度分布の第2例を示す図である。
図12図12(A)は照射点の並べ方の第1例を示す平面図であり、図12(B)は、照射点の並べ方の第2例を示す平面図であり、図12(C)は、照射点の並べ方の第3例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略することがある。本明細書において、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向は互いに垂直な方向である。X軸方向及びY軸方向は水平方向、Z軸方向は鉛直方向である。
【0009】
まず、図1図5を参照して、本実施形態に係る基板加工方法について説明する。基板加工方法は、図1に示すステップS101~S112を含む。なお、基板加工方法は、図1に示すステップS101~S112の全てを含まなくてもよいし、不図示のステップを更に含んでもよい。
【0010】
ステップS101は、基板Wを準備することを含む。基板Wを準備することは、例えば、後述の基板加工装置1(図6等参照)に基板Wを搬入することを含む。基板Wは、カセットCに収容された状態で、基板加工装置1に搬入される。
【0011】
基板Wは、シリコンウェハ又は化合物半導体ウェハである。化合物半導体ウェハは、特に限定されないが、例えばGaAsウェハ、SiCウェハ、GaNウェハ、又はInPウェハである。基板Wは、ベアウエハである。
【0012】
基板Wは、例えば円盤状である。基板Wは、その周縁にベベルを含んでもよい。基板Wは、図2に示すように、第1主面Waと、第1主面Waとは反対向きの第2主面Wbとを含む。第1主面Wa及び第2主面Wbは、単結晶インゴットのスライスによって形成される。それゆえ、基板Wは、第1主面Wa及び第2主面Wbの各々にうねりを有している。
【0013】
ステップS102は、図2に示すように、基板Wのうねりを測定することを含む。うねりの測定は、うねり測定モジュール35を用いて行われる。うねり測定モジュール35は、例えば、保持部351と、測定ヘッド352、353と、を備える。なお、うねり測定モジュール35は、測定ヘッド352、353のうちの1つのみを備えてもよい。基板Wを反転すれば、1つの測定ヘッドで基板Wの両面のうねりを測定できる。
【0014】
保持部351は、基板Wを自然状態で保持する。自然状態とは、重力とその抗力以外の外力(例えば吸着力)が基板Wに作用していない状態である。保持部351は、例えば複数本(例えば3本)のピンを含む。複数本のピンの上に、基板Wが載せられる。複数本のピンの上端は、同一の水平面HP上に配置される。保持部351は、基板Wの第1主面Waを上に向けて、基板Wを水平に保持する。
【0015】
測定ヘッド352は、例えば、基板Wの上面(例えば第1主面Wa)の高さの分布を測定する。一方、測定ヘッド353は、基板Wの下面(例えば第2主面Wb)の高さの分布を測定する。高さの基準面は、例えば、水平面HPである。なお、高さの基準面は、所望のミラー指数で表される結晶面、又はその結晶面から所望のオフ角だけ傾斜した面であってもよい。
【0016】
測定ヘッド352、353は、例えば、赤外線センサ、レーザー変位計、又は静電容量センサなどを含む。測定ヘッド352、353に対して基板Wを水平方向に相対移動させながら、測定ヘッド352、353と基板Wとの間隔を測定することで、高さの分布が求められる。測定ヘッド352、353は、本実施形態では非接触式であるが、接触式でもよい。測定ヘッド352、353は、その測定データを制御モジュール9(図6等参照)に送信する。
【0017】
ステップS103は、基板Wの第1主面Wa及び第2主面Wbのうち、うねりの大きさが小さい方を、レーザー光線で平坦化する第1加工面に設定することを含む。レーザー光線で平坦化する加工を、以下、レーザー加工、又は第1加工とも呼ぶ。第1加工面は、本実施形態では、図4に示すように、第2主面Wbである。
【0018】
また、ステップS103は、基板Wの第1主面Wa及び第2主面Wbのうち、うねりの大きさが大きい方を、研削工具で平坦化する第2加工面に設定することを含んでもよい。研削工具で平坦化する加工を、以下、研削加工、又は第2加工とも呼ぶ。第2加工面は、本実施形態では、図5に示すように、第1主面Waである。
【0019】
例えば、図3に示すように、第1主面Waのうねりの大きさΔZaは、高低差の最大値で表される。同様に、第2主面Wbのうねりの大きさΔZbは、高低差の最大値で表される。高さの基準面は、上記の通り、水平面HPであるが、所望のミラー指数で表される結晶面、又はその結晶面から所望のオフ角だけ傾斜した面であってもよい。なお、うねりの大きさΔZa、ΔZbは、本実施形態では高低差の最大値で表されるが、平坦化によって除去する予定の体積で表されてもよい。
【0020】
ところで、第1加工(レーザー加工)は、第2加工(研削加工)に比べて、加工速度が遅い。そこで、制御モジュール9は、第1主面Waのうねりの測定結果と、第2主面Wbのうねりの測定結果とを基に、第1主面Wa及び第2主面Wbのうち、うねりの大きさが小さい方を第1加工面に設定し、うねりの大きさが大きい方を第2加工面に設定してもよい。これにより、スループットを向上できる。
【0021】
第1主面Waと第2主面Wbとでうねりの大きさが同じ場合、制御モジュール9は上向きの面(例えば第1主面Wa)を第1加工面に設定し、下向きの面(例えば第2主面Wb)を第2加工面に設定してもよい。第1加工(レーザー加工)は、第2加工(研削加工)よりも先に行われる。それゆえ、上向きの面を第1加工面に設定すれば、基板Wを反転するステップを1つ省略できる。
【0022】
ステップS104は、第1主面Waのうねりの測定結果と、第2主面Wbのうねりの測定結果とを基に、基板Wを反転するか否かを決めることを含む。例えば、制御モジュールは、第1加工面が下向きである場合に基板Wを反転することを決定し、第1加工面が上向きである場合に基板Wを反転しないことを決定する。
【0023】
基板Wを反転する必要がある場合(ステップS105、YES)、制御モジュール9は、反転モジュール38(図6参照)等を制御し、基板Wを上下反転させる(ステップS106)。一方、基板Wを反転する必要がない場合(ステップS105、NO)、制御モジュール9はステップS106を実施することなく、ステップS107を実施する。
【0024】
ステップS107は、基板Wの第1主面Waと第2主面Wbのうちの片面(具体的には第1加工面)のうねりの測定結果を基に、第1加工面に対してレーザー光線を照射し、第1加工面を平坦化することを含む。図4に示すように、レーザー光線LBは、基板Wの上面に照射される。従って、基板Wは、第1加工面を上に向けて水平に保持される。
【0025】
第1加工(レーザー加工)は、レーザー加工モジュール31を用いて行う。レーザー加工モジュール31は、図4に示すように、第1加工面にレーザー光線LBを照射する。第1加工面の表層は、レーザー光線LBを吸収し、固相から気相に状態変化し飛散するか、又は固相のまま飛散し、除去される。
【0026】
レーザー加工モジュール31は、レーザー光線LBの照射点Pの位置を第1加工面の面内で移動し、第1加工面を平坦化する。レーザー光線LBは、第1加工面の全体に照射されてもよいし、第1加工面の一部のみに照射されてもよい。後者の場合であっても、第1加工面の平坦化は可能である。
【0027】
レーザー光線LBの照射によって除去される表層の深さは、レーザー光線LBの出力(単位:W)と照射時間の積である積算照射量(単位:J)で制御する。積算照射量が多いほど、除去される表層の深さが深い。第1加工面はうねりを有するので、第1加工面の面内の場所に応じて、除去される表層の深さは異なる。
【0028】
制御モジュール9は、うねり測定モジュール35の測定結果を基に、第1加工面の単位面積当たりのレーザー光線LBの積算照射量を制御する。第1加工面はうねりを有するので、制御モジュール9は第1加工面の面内の場所に応じて積算照射量を変える。
【0029】
積算照射量の制御は、光源31の出力の制御、及び照射時間の制御から選ばれる1つ以上を含む。照射時間の制御は、例えば照射回数の制御を含む。照射回数が多いほど、照射時間が長く、除去される表層の深さが深い。除去される表層の深さは照射回数に比例するので、除去される表層の深さの管理が容易である。
【0030】
レーザー加工モジュール31は、基板Wを保持する保持部311を備える。保持部311は、基板Wを自然状態で保持する。保持部311は、例えば複数本(例えば3本)のピンを含む。複数本のピンの上に、基板Wが載せられる。複数本のピンの上端は、同一の水平面上に配置される。保持部311は、基板Wの第1加工面を上に向けて、基板Wを水平に保持する。
【0031】
なお、ステップS107(レーザー加工)は、ステップS102(うねりの測定)とは異なり、基板Wを真空チャックの水平な吸着面に吸着した状態で行われてもよい。レーザー光線LBによって除去される表層の深さは、積算照射量で決まるからである。なお、基板Wを吸着すれば、基板Wの位置ずれを防止できる。
【0032】
また、ステップS107は、基板Wの第1加工面に、基板Wを識別する識別情報などをレーザー光線LBによって刻印することを含んでもよい。識別情報は、文字(数字を含む)、一次元コード、又は二次元コードなどの形態で刻印される。
【0033】
ステップS108は、基板Wの第1加工面を平坦化した後であって、第2加工面を平坦化する前に、第1加工面を洗浄することを含む。第1加工面の洗浄は、例えばスクラブ洗浄、及び酸洗浄から選ばれる少なくとも1つを含む。レーザー光線LBの照射点Pから飛散し第1加工面に付着したデブリを、洗浄によって除去できる。ステップS108は、第1加工面と第2加工面の両面を洗浄することを含んでもよい。なお、デブリの除去が不要である場合、ステップS108は不要である。
【0034】
ステップS109は、基板Wを反転することを含む。ステップS109は、例えば、基板Wを上下反転させることで、基板Wの第1加工面を下に向け、基板Wの第2加工面を上に向けることを含む。
【0035】
ステップS110は、基板Wの第1加工面を平坦化した後に、基板Wの第1加工面とは反対向きの第2加工面を研削し、第2加工面を平坦化することを含む。第2加工面は、研削加工前に、レーザー加工されず、うねりを有する。
【0036】
第2加工面の平坦化は、図5に示すように、研削加工モジュール51を用いて行われる。研削加工モジュール51は、保持部511と、保持部駆動部512と、工具駆動部513と、を備える。
【0037】
保持部511は、基板Wの第1加工面を吸着し、基板Wを保持する。保持部511は、例えば真空チャックであり、基板Wの第1加工面を真空吸着し、基板Wの第2加工面を上に向けて基板Wを水平に保持する。保持部511は、静電チャックであってもよい。
【0038】
保持部駆動部512は、保持部511を回転させ、保持部511で保持した基板Wを回転させる。保持部駆動部512は、例えば、回転モータと、回転モータの回転駆動力を保持部511に伝達する伝達機構と、を含む。
【0039】
一方、工具駆動部513は、保持部511に基板Wを保持した状態で、基板Wの第2加工面に当てた研削工具514を駆動する。研削工具514は、例えば円盤状の研削ホイール515と、研削ホイール515の下面にリング状に配列される複数の砥石516と、を含む。
【0040】
例えば、工具駆動部513は、回転モータと、回転モータの回転駆動力を研削工具514に伝達する伝達機構と、を含む。工具駆動部513は、研削工具514を昇降させる昇降機構を更に含んでもよい。
【0041】
ステップS111は、基板Wの第2加工面を平坦化した後に、第2加工面を洗浄することを含む。第2加工面の洗浄は、例えばスクラブ洗浄を含む。第2加工面に付着した研削屑を、洗浄によって除去できる。ステップS111は、第1加工面と第2加工面の両面を洗浄することを含んでもよい。
【0042】
ステップS112は、基板Wの第2加工面を洗浄した後に、第2加工面をエッチングすることを含む。第2加工面のエッチングによって、研削時に生じた損傷を除去できる。また、第2加工面のエッチングによって、第2加工面の表面粗さを低減できる。
【0043】
上記の通り、本実施形態の基板加工方法は、基板Wの第1加工面をレーザー光線LBで平坦化することと、その後に、基板Wの第2加工面を研削工具514で平坦化することとを含む。予め平坦化された第1加工面に対して平行に第2加工面を研削することで、第2加工面を平坦化できる。
【0044】
仮に第1加工面がうねりを有する状態で保持部511の吸着面に吸着されると、第1加工面が吸着面に倣って平坦化される。その状態で、第1加工面に対して平行に第2加工面を研削した場合、保持部511による基板Wの吸着を解除すると、第1加工面がうねりを有する状態に戻るだけではなく、第2加工面に第1加工面と同じうねりが生じてしまう。
【0045】
本実施形態によれば、予め平坦化された第1加工面に対して平行に第2加工面を研削することで、第2加工面を平坦化できる。また、基板Wの両面をレーザー光線で平坦化する場合に比べて、基板Wの両面に存在するうねりを短時間で除去でき、基板Wの両面を短時間で平坦化できる。レーザー加工は、研削加工に比べて、加工速度が遅いからである。基板Wの両面を研削工具514で研削しないのは、研削は基板Wの片面を基準に反対面を平行にする技術であり、基板Wの両面がうねりを有する状態では、平坦化が進まないからである。
【0046】
また、本実施形態によれば、基板Wを1枚ずつ平坦化でき、基板Wごとに処理条件を変更できる。それゆえ、異なるうねりを有する複数枚の基板Wを同時に同じ処理条件で平坦化する場合に比べて、基板Wの両面を短時間で平坦化できる。また、基板Wを1枚ずつ平坦化することで、基板Wの処理条件の履歴を追跡しやすく、基板Wの処理結果を基に基板Wの処理条件を補正しやすい。更に、基板Wを1枚ずつ平坦化することで、複数枚の基板Wを同時に平坦化する場合に比べて、装置を小型化できる。
【0047】
次に、図6を参照して、本実施形態に係る基板加工装置1について説明する。基板加工装置1は、搬入出ステーション2と、第1処理ステーション3と、第2処理ステーション5と、制御モジュール9と、を備える。搬入出ステーション2と第1処理ステーション3と第2処理ステーション5とは、この順で、X軸方向負側からX軸方向正側に配置される。
【0048】
搬入出ステーション2は、載置台20と、搬送部23と、を備える。載置台20は、複数の載置板21を備える。複数の載置板21は、Y軸方向に一列に配置される。複数の載置板21の各々には、カセットCが載置される。各カセットCは、鉛直方向に間隔をおいて並ぶ複数枚の基板Wの各々を水平に収容する。なお、載置板21の数、及びカセットCの数は特に限定されない。
【0049】
搬送部23は、載置台20のX軸正方向側に隣接して配置され、第1処理ステーション3のX軸負方向側に隣接して配置される。搬送部23は、基板Wを搬送する搬送装置24を備える。搬送装置24は、基板Wを保持する搬送アームを含む。搬送アームは、水平方向(X軸方向及びY軸方向の両方向)及び鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能である。搬送装置24は、載置台20上のカセットCと、第1処理ステーション3との間で、基板Wを搬送する。
【0050】
第1処理ステーション3は、第1処理ブロックG1と、第2処理ブロックG2と、第3処理ブロックG3と、第4処理ブロックG4と、第1搬送領域G5と、第2搬送領域G6と、を備える。第1処理ブロックG1と第2処理ブロックG2と第3処理ブロックG3と第4処理ブロックG4で4方を囲まれる領域に、第1搬送領域G5が設けられる。また、第2処理ブロックG2と第4処理ブロックG4と第2処理ステーション5とで3方を囲まれる領域に第2搬送領域G6が設けられる。
【0051】
第1搬送領域G5には、基板Wを搬送する第1搬送装置41が設けられる。第1搬送装置41は、基板Wを保持する搬送アームを含む。搬送アームは、水平方向(X軸方向及びY軸方向の両方向)及び鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能である。第1搬送装置41は、第1処理ブロックG1と、第2処理ブロックG2と、第3処理ブロックG3と、第4処理ブロックG4との間で、基板Wを搬送する。
【0052】
第2搬送領域G6には、基板Wを搬送する第2搬送装置42が設けられる。第2搬送装置42は、基板Wを吸着する吸着パッドを含む。吸着パッドは、水平方向(X軸方向及びY軸方向の両方向)及び鉛直方向への移動、並びに鉛直軸を中心とする回転が可能である。第2搬送装置42は、第2処理ブロックG2と、第4処理ブロックG4と、第2処理ステーション5との間で、基板Wを搬送する。
【0053】
第1処理ブロックG1は、第1搬送領域G5のY軸正方向側に配置される。第1処理ブロックG1は、例えば、レーザー加工モジュール31を備える。レーザー加工モジュール31は、基板Wの第1加工面に対してレーザー光線を照射し、第1加工面を平坦化する。
【0054】
第2処理ブロックG2は、第1搬送領域G5のY軸負方向側に配置される。第2処理ブロックG2は、例えば、洗浄モジュール32と、エッチングモジュール33と、を備える。洗浄モジュール32は、研削加工後の基板Wを洗浄する。エッチングモジュール33は、研削加工後の基板Wをエッチングする。エッチングモジュール33は、基板Wの第2加工面をエッチングするが、基板Wの第1加工面をエッチングしてもよい。第2加工面用のエッチングモジュール33と、第1加工面用のエッチングモジュール33とが別々に設けられてもよい。洗浄モジュール32と、エッチングモジュール33とは、積み重ねられている。その積み重ねの順番は、図6の順番には限定されない。
【0055】
第3処理ブロックG3は、第1搬送領域G5のX軸負方向側に配置される。第3処理ブロックG3は、例えば、トランジションモジュール34と、うねり測定モジュール35と、反転モジュール36とを備える。トランジションモジュール34は、搬入出ステーション2の搬送装置24と、第1処理ステーション3の第1搬送装置41との間で基板Wを受け渡す。うねり測定モジュール35は、基板Wの第1主面Wa及び第2主面Wbのうねりを測定する。反転モジュール36は、基板Wを反転させる。トランジションモジュール34と、うねり測定モジュール35と、反転モジュール36とは、積み重ねられている。その積み重ねの順番は、図6の順番には限定されない。
【0056】
なお、第1主面Wa及び第2主面Wbのどちらが第1加工面(レーザー加工面)なのか予め決められている場合、うねり測定モジュール35は第1加工面のみのうねりを測定してもよい。例えば、基板Wの上面が第1加工面に決められている場合、うねり測定モジュール35は基板の上面のみのうねりを測定してもよい。
【0057】
第4処理ブロックG4は、第1搬送領域G5のX軸正方向側に配置される。第4処理ブロックG4は、例えば、洗浄モジュール37と、反転モジュール38と、アライメントモジュール39と、を備える。洗浄モジュール37は、レーザー加工後であって研削加工前の基板Wを洗浄する。反転モジュール38は、基板Wを反転する。アライメントモジュール39は、基板Wの中心を検出する。また、アライメントモジュール39は、基板Wのノッチを検出する。洗浄モジュール37と、反転モジュール38と、アライメントモジュール39とは、積み重ねられている。その積み重ねの順番は、図6の順番には限定されない。
【0058】
なお、第1処理ステーション3は、少なくともレーザー加工モジュール31を有すればよい。第1処理ステーション3を構成するモジュールの種類、配置、及び個数は、図6に示すものには限定されない。
【0059】
第2処理ステーション5は、例えば、研削加工モジュール51を有する。研削加工モジュール51は、基板Wの第2加工面を研削し、第2加工面を平坦化する。
【0060】
制御モジュール9は、例えばコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)91と、メモリ等の記憶媒体92とを備える。記憶媒体92には、基板加工装置1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御モジュール9は、記憶媒体92に記憶されたプログラムをCPU91に実行させることにより、基板加工装置1の動作を制御する。
【0061】
次に、本実施形態に係る基板加工装置1の動作について、図1を再度参照して説明する。図1に示すステップS101~S112は、制御モジュール9による制御下で実施される。
【0062】
先ず、外部の搬送装置が、基板Wを基板加工装置1の搬入出ステーション2に搬入する(ステップS101)。基板Wを収容したカセットCが載置台20に載置される。次に、搬送装置24が、載置台20上のカセットCから基板Wを取り出し、トランジションモジュール34に搬送する。続いて、第1処理ステーション3の第1搬送装置41が、トランジションモジュール34から基板Wを受け取り、うねり測定モジュール35に搬送する。
【0063】
次に、うねり測定モジュール35が、基板Wの第1主面Waと第2主面Wbのうねりを測定する(ステップS102)。うねり測定モジュール35は、その測定データを制御モジュール9に送信する。
【0064】
次に、制御モジュール9が、基板Wの第1主面Wa及び第2主面Wbのうち、うねりの大きさが小さい方を、第1加工面(レーザー加工面)に設定する(ステップS103)。また、制御モジュール9が、基板Wを反転するか否かを決める(ステップS104)。
【0065】
基板Wを反転する必要がある場合(ステップS105、YES)、第1搬送装置41がうねり測定モジュール35から基板Wを受け取り、反転モジュール36に搬送する。続いて、反転モジュール36が、基板Wを上下反転させる(ステップS106)。その後、第1搬送装置41が、反転モジュール36から基板Wを受け取り、レーザー加工モジュール31に搬送する。
【0066】
一方、基板Wを反転する必要がない場合(ステップS105、NO)、第1搬送装置41が、うねり測定モジュール35から基板Wを受け取り、レーザー加工モジュール31に搬送する。
【0067】
次に、レーザー加工モジュール31が、基板Wの第1加工面のうねりの測定結果を基に、第1加工面に対してレーザー光線を照射し、第1加工面を平坦化する(ステップS107)。その後、第1搬送装置41が、レーザー加工モジュール31から基板Wを受け取り、洗浄モジュール37に搬送する。
【0068】
次に、洗浄モジュール37が、基板Wの第1加工面を洗浄する(ステップS108)。洗浄モジュール37が、基板Wの第2加工面をも洗浄してもよい。その後、第1搬送装置41が、洗浄モジュール37から基板Wを受け取り、反転モジュール38に搬送する。
【0069】
次に、反転モジュール38が、基板Wを上下反転させる(ステップS109)。その後、第1搬送装置41が、反転モジュール38から基板Wを受け取り、アライメントモジュール39に搬送する。
【0070】
次に、アライメントモジュール39が、基板Wの中心を検出する。基板Wの中心と、研削加工モジュール51の保持部511の回転中心線とを位置合わせできる。アライメントモジュール39は、基板Wのノッチを検出してもよい。保持部511と共に回転する回転座標系において、基板Wの結晶方位を所望の方位に位置合わせできる。第2搬送装置42が、アライメントモジュール39から基板Wを受け取り、第2処理ステーション5の研削加工モジュール51に搬送する。
【0071】
次に、研削加工モジュール51が、基板Wの第2加工面を研削し、第2加工面を平坦化する(ステップS110)。その後、第2搬送装置42が、研削加工モジュール51から基板Wを受け取り、洗浄モジュール32に搬送する。
【0072】
次に、洗浄モジュール32が、基板Wの第2加工面を洗浄する(ステップS111)。洗浄モジュール32は、基板Wの第1加工面をも洗浄してもよい。その後、第1搬送装置41が、洗浄モジュール32から基板Wを受け取り、エッチングモジュール33に搬送する。
【0073】
次に、エッチングモジュール33が、基板Wの第2加工面をエッチングする(ステップS112)。エッチングモジュール33は、基板Wの第1加工面をもエッチングしてもよい。その後、第1搬送装置41が、エッチングモジュール33から基板Wを受け取り、トランジションモジュール34に搬送する。
【0074】
第1加工面のエッチングは、第2加工面のエッチングの後で行われてもよい。この場合、第2加工面のエッチングの後、第1加工面のエッチングの前に、反転モジュール38が基板Wを反転してもよい。
【0075】
第1加工面のエッチングは、第2加工面のエッチングの前に行われてもよい。第1加工面のエッチングは第2加工面のエッチングと同時に行われてもよく、水平な基板Wの上下両面に対して同時にエッチング液が供給されてもよい。
【0076】
但し、基板Wの下方からエッチング液を供給する場合、基板Wの上方からエッチング液を供給する場合に比べて、エッチングのムラが生じやすく、基板Wの厚みの均一性が低下しやすい。
【0077】
第1加工面と第2加工面の両方をエッチングする場合、第1加工面と第2加工面を順番に上向きにし、上向きの面にエッチング液を供給することが好ましい。基板Wの厚みの均一性を向上できる。
【0078】
第2加工面をエッチングする主目的は、基板全面の厚みの均一性を向上させること、及び研削加工の傷跡を除去することである。研削加工の傷跡が無い場合、第2加工面をエッチングする主目的は、基板全面の厚みの均一性を向上させることである。
【0079】
第1加工面をエッチングする目的は、研削加工で第1加工面に付着した汚染物を除去すること、及びレーザー加工の傷跡を除去することである。レーザー加工の傷跡が無い場合、第1加工面をエッチングする主目的は、汚染物を除去することである。特に洗浄では除去することが困難な金属成分を含む汚染物の除去に有効である。
【0080】
次に、搬入出ステーション2の搬送装置24が、トランジションモジュール34から基板Wを受け取り、載置台20上のカセットCに搬送する。基板Wは、カセットCに収容された状態で、基板加工装置1から搬出される。これにより、基板Wの処理が終了する。
【0081】
次に、図7を参照して、第1変形例に係る基板加工装置1について説明する。本変形例に係る基板加工装置1は、図1に示すステップS101~S112のうち、ステップS101~S109を実施する。なお、ステップS109は、後述する第2変形例に係る基板加工装置1によって実施してもよい。以下、本変形例と上記実施形態との相違点について主に説明する。
【0082】
基板加工装置1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3と、制御モジュール9とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは、この順で、X軸方向負側からX軸方向正側に配置される。
【0083】
処理ステーション3は、第1処理ブロックG1と、第2処理ブロックG2と、第3処理ブロックG3と、搬送領域G5と、を備える。第1処理ブロックG1と第2処理ブロックG2と第3処理ブロックG3とで3方を囲まれる領域に、搬送領域G5が設けられる。
【0084】
搬送領域G5には、基板Wを搬送する搬送装置41が設けられる。搬送装置41は、第1処理ブロックG1と、第2処理ブロックG2と、第3処理ブロックG3との間で、基板Wを搬送する。
【0085】
第1処理ブロックG1は、搬送領域G5のY軸正方向側に配置される。第1処理ブロックG1は、例えば、レーザー加工モジュール31を備える。
【0086】
第2処理ブロックG2は、搬送領域G5のY軸負方向側に配置される。第2処理ブロックG2は、例えば、洗浄モジュール37を備える。洗浄モジュール37は、レーザー加工後であって研削加工前の基板Wを洗浄する。
【0087】
第3処理ブロックG3は、搬送領域G5のX軸負方向側に配置される。第3処理ブロックG3は、例えば、トランジションモジュール34と、うねり測定モジュール35と、反転モジュール36と、を備える。
【0088】
次に、第1変形例に係る基板加工装置1の動作について、図1を再度参照して説明する。図1に示すステップS101~S112のうち、ステップS101~S109は、制御モジュール9による制御下で実施される。
【0089】
ステップS101~S108の説明は、上記実施形態の説明と同様であるので、省略する。ステップS108の後、搬送装置41が、洗浄モジュール37から基板Wを受け取り、反転モジュール36に搬送する。
【0090】
次に、反転モジュール36が、基板Wを上下反転させる(ステップS109)。その後、搬送装置41が、反転モジュール36から基板Wを受け取り、トランジションモジュール34に搬送する。
【0091】
なお、基板加工装置1は、上記の通り、ステップS109を実施しなくてもよい。この場合、ステップS108の後、搬送装置41が、洗浄モジュール37から基板Wを受け取り、トランジションモジュール34に搬送する。
【0092】
次に、搬入出ステーション2の搬送装置24が、トランジションモジュール34から基板Wを受け取り、載置台20上のカセットCに搬送する。基板Wは、カセットCに収容された状態で、基板加工装置1から搬出される。これにより、基板Wの処理が終了する。
【0093】
次に、図8を参照して、第2変形例に係る基板加工装置1について説明する。本変形例に係る基板加工装置1は、図1に示すステップS101~S112のうち、ステップS110~S112を実施する。なお、基板加工装置1は、ステップS109をも実施してもよい。以下、本変形例と上記実施形態との相違点について主に説明する。
【0094】
基板加工装置1は、搬入出ステーション2と、第1処理ステーション3と、第2処理ステーション5と、制御モジュール9とを備える。
【0095】
第1処理ステーション3は、第1処理ブロックG1と、第2処理ブロックG2と、第3処理ブロックG3と、搬送領域G6と、を備える。第1処理ブロックG1と第2処理ブロックG2と第3処理ブロックG3とで3方を囲まれる領域に、搬送領域G6が設けられる。
【0096】
搬送領域G6には、基板Wを搬送する搬送装置42が設けられる。搬送装置42は、第1処理ブロックG1と、第2処理ブロックG2と、第3処理ブロックG3と、第2処理ステーション5との間で、基板Wを搬送する。
【0097】
第1処理ブロックG1は、送領域GのY軸正方向側に配置される。第1処理ブロックG1は、例えば、洗浄モジュール43と、アライメントモジュール39と、を備える。洗浄モジュール43は、レーザー加工後であって研削加工前の基板Wを洗浄する。
【0098】
第2処理ブロックG2は、送領域GのY軸負方向側に配置される。第2処理ブロックG2は、例えば、洗浄モジュール32と、エッチングモジュール33とを備える。洗浄モジュール32は、研削加工後の基板Wを洗浄する。エッチングモジュール33は、研削加工後の基板Wをエッチングする。エッチングモジュール33は、基板Wの第2加工面をエッチングするが、基板Wの第1加工面をエッチングしてもよい。第2加工面用のエッチングモジュール33と、第1加工面用のエッチングモジュール33とが別々に設けられてもよい。
【0099】
第3処理ブロックG3は、送領域GのX軸負方向側に配置される。第3処理ブロックG3は、例えば、トランジションモジュール34と、うねり測定モジュール35と、反転モジュール36とを備える。うねり測定モジュール35は、基板Wの第1主面Waと第2主面Wbの両方のうねりを測定する。反転モジュール36は、基板Wを反転させる。
【0100】
第2処理ステーション5は、例えば、研削加工モジュール51を有する。研削加工モジュール51は、基板Wの第2加工面を研削し、第2加工面を平坦化する。
【0101】
次に、第2変形例に係る基板加工装置1の動作について、図9を参照して説明する。図9に示すステップS201~S207及びS110~S112は、制御モジュール9による制御下で実施される。
【0102】
先ず、外部の搬送装置が、レーザー加工後の基板Wを基板加工装置1の搬入出ステーション2に搬入する。レーザー加工後の基板Wを収容したカセットCが載置台20に載置される。次に、搬送装置24が、載置台20上のカセットCから基板Wを取り出し、トランジションモジュール34に搬送する。続いて、第1処理ステーション3の搬送装置42が、トランジションモジュール34から基板Wを受け取り、うねり測定モジュール35に搬送する。
【0103】
次に、うねり測定モジュール35が、基板Wの第1主面Waと第2主面Wbの両方のうねりを測定する(ステップS201)。うねり測定モジュール35は、その測定データを制御モジュール9に送信する。
【0104】
次に、制御モジュール9が、基板Wの第1主面Wa及び第2主面Wbのうち、うねりの大きさが大きい方を、第2加工面(研削加工面)に設定する(ステップS202)。うねりの大きさが小さい方は、レーザー加工済みであり、平坦化済みである。
【0105】
次に、制御モジュール9が、基板Wを反転するか否かを決める(ステップS203)。例えば、制御モジュールは、第2加工面が下向きである場合に基板Wを反転することを決定し、第2加工面が上向きである場合に基板Wを反転しないことを決定する。
【0106】
基板Wを反転する必要がある場合(ステップS204、YES)、搬送装置42がうねり測定モジュール35から基板Wを受け取り、反転モジュール36に搬送する。続いて、反転モジュール36が、基板Wを上下反転させる(ステップS205)。その後、搬送装置42が、反転モジュール36から基板Wを受け取り、洗浄モジュール43に搬送する。
【0107】
一方、基板Wを反転する必要がない場合(ステップS204、NO)、搬送装置42が、うねり測定モジュール35から基板Wを受け取り、洗浄モジュール43に搬送する。
【0108】
次に、洗浄モジュール43が、基板Wを洗浄する(ステップS206)。例えば、洗浄モジュール43が、基板Wをスクラブ洗浄する。その後、搬送装置42が、洗浄モジュール43から基板Wを受け取り、アライメントモジュール39に搬送する。なお、基板Wが清浄な場合、ステップS206は実施されなくてもよい。
【0109】
次に、アライメントモジュール39が、基板Wの中心を検出する(ステップS207)。基板Wの中心と、研削加工モジュール51の保持部511の回転中心線とを位置合わせできる。アライメントモジュール39は、基板Wのノッチを検出してもよい。保持部511と共に回転する回転座標系において、基板Wの結晶方位を所望の方位に位置合わせできる。搬送装置42が、アライメントモジュール39から基板Wを受け取り、第2処理ステーション5の研削加工モジュール51に搬送する。
【0110】
その後、ステップS110~S112が実施される。ステップS110~S112の説明は、上記実施形態の説明と同様であるので、省略する。
【0111】
次に、図10を参照して、レーザー加工モジュール31の一例について説明する。レーザー加工モジュール31は、保持部311と、光源312と、移動部であるガルバノスキャナ313と、を備える。また、レーザー加工モジュール31は、fθレンズ314と、ホモジナイザ315と、アパーチャ316とを備える。
【0112】
保持部311は、基板Wを保持する。例えば、保持部311は、基板Wのレーザー加工面を上に向けて、基板Wを下方から水平に保持する。保持部311は、基板Wを吸着することなく自然状態で保持する。なお、保持部311は、吸着してもよく、真空チャック又は静電チャックであってもよい。
【0113】
光源312は、基板Wの上面に照射するレーザー光線LBを発振する。レーザー光線LBは、基板Wに対し吸収性を有する。基板Wがシリコンウェハである場合、レーザー光線LBは例えばUV光である。基板Wは、レーザー光線LBを吸収し、固相から気相に状態変化し飛散するか、または固相のまま飛散する。その結果、基板Wの上面を平坦化できる。レーザー光線LBは、基板Wの上面に集光照射されてもよい。照射点Pは、パワー密度が最も高くなる集光点であるが、集光点ではなくてもよい。
【0114】
光源312は、例えばパルスレーザーである。1パルス当たりの照射時間は、例えば30nsec以下である。1パルス当たりの照射時間が30nsec以下であれば、短時間の間に高いパワー密度のレーザー光線LBを基板Wに照射でき、基板Wの過熱を抑制できる。従って、基板Wの熱による劣化を抑制でき、例えば変色層の発生を抑制できる。1パルス当たりの照射時間は、好ましくは10psec以下である。1パルス当たりの照射時間が10psec以下であれば、同じ場所に複数回照射点Pを形成しても、基板Wの熱による劣化を抑制できる。
【0115】
ガルバノスキャナ313は、例えば、保持部311で保持された基板Wの上方に配置される。ガルバノスキャナ313によれば、保持部311を移動することなく、基板Wの上面におけるレーザー光線LBの照射点Pの位置を移動できる。保持部311が基板Wを吸着しない場合でも、保持部311が移動しなければ、保持部311に対する基板Wの位置ずれが生じない。従って、照射点Pの位置を精度良く制御できる。
【0116】
ガルバノスキャナ313は、ガルバノミラー317と、ガルバノモータ318との組を2組(図10には1組のみ図示)含む。1つのガルバノモータ318は、1つのガルバノミラー317を回転させ、X軸方向に照射点Pを変位させる。別の1つのガルバノモータ318は、別の1つのガルバノミラー317を回転させ、Y軸方向に照射点Pを変位させる。
【0117】
なお、本実施形態の移動部はガルバノスキャナ313であるが、本開示の技術はこれに限定されない。移動部は、保持部311に基板Wを保持した状態で、基板Wの上面におけるレーザー光線LBの照射点Pの位置を移動するものであればよい。例えば、移動部は、保持部311をX軸方向及びY軸方向に移動させるものであってもよく、モータ及びモータの回転運動を保持部311の直線運動に変換するボールねじ機構等を有してもよい。また、移動部は、保持部311を鉛直軸の周りに回転させる機構を有してもよい。
【0118】
fθレンズ314は、Z軸方向に対して垂直な焦点面を形成する。ガルバノスキャナ313が照射点Pの位置をX軸方向またはY軸方向に移動させる間、fθレンズ314が照射点PのZ軸方向位置を焦点面に維持し、また、焦点面における照射点Pの形状及び寸法を維持する。その結果、後述するように矩形の照射点Pを、基板Wの上面に規則正しく且つ隙間なく二次元的に並べることができる。照射点Pの高さは、焦点面の高さである。
【0119】
ホモジナイザ315は、レーザー光線LBの強度分布を図11(A)に示すガウシアン分布から図11(B)に示すトップハット分布に変換し、その強度分布を均一化する。
【0120】
アパーチャ316は、レーザー光線LBの断面形状を矩形に整形する。矩形は、長方形のみならず、正方形を含む。アパーチャ316は、矩形の開口を有する遮光膜である。その開口は、例えば図11(B)に矢印Dで示す範囲のレーザー光線LBを通過させる。
【0121】
ホモジナイザ315とアパーチャ316とによって、強度分布が均一な矩形の照射点Pを形成できる。その照射点Pを後述するように規則正しく且つ隙間なく二次元的に並べることによって、単位面積当たりのレーザー光線LBの積算照射量を精度良く制御できる。
【0122】
図12(A)に示すように、照射点Pは強度分布が均一な矩形であり、矩形の二辺はX軸方向に平行であり、矩形の残りの二辺はY軸方向に平行である。照射点PのX軸方向寸法X0は、照射点PのY軸方向寸法Y0と同一でもよいし、異なってもよい。図12(B)及び図12(C)において同様である。
【0123】
図12(A)に示すように、制御モジュール9は、レーザー光線LBをパルス発振しながら、パルスのオフ時間の間に照射点PをX軸方向にX0ずつ動かし、基板Wの上面のX軸方向全体に亘って照射点Pを隙間なく一列に並べる。その後、制御モジュール9は、レーザー光線LBをパルス発振しながら、パルスのオフ時間の間に照射点PをY軸方向にY0だけ動かすことと、パルスのオフ時間の間に照射点PをX軸方向にX0ずつ動かすこととを繰り返し、基板Wの上面全体に亘って照射点Pを隙間なく二次元的に並べる。
【0124】
又は、図12(B)に示すように、制御モジュール9は、レーザー光線LBをパルス発振しながら、パルスのオフ時間の間に照射点PをX軸方向にX0の半値ずつ動かし、基板Wの上面のX軸方向全体に亘って照射点Pを重ねながら一列に並べる。その後、制御モジュール9は、レーザー光線LBをパルス発振しながら、パルスのオフ時間の間に照射点PをY軸方向にY0だけ動かすことと、パルスのオフ時間の間に照射点PをX軸方向にX0の半値ずつ動かすこととを繰り返し、基板Wの上面全体に亘って照射点Pを隙間なく二次元的に並べる。なお、制御モジュール9は、パルスのオフ時間の間に照射点PをY軸方向にY0だけ動かすことの代わりに、Y0の半値だけ動かすことを実施してもよい。
【0125】
又は、図12(C)に示すように、制御モジュール9は、レーザー光線LBをパルス発振しながら、パルスのオフ時間の間に照射点PをX軸方向にX0の2倍ずつ動かし、基板Wの上面のX軸方向全体に亘って隙間SPを形成しつつ照射点Pを一列に並べる。次いで、制御モジュール9は、上記隙間SPを照射点Pで埋めるように、再びレーザー光線LBをパルス発振しながら、パルスのオフ時間の間に照射点PをX軸方向にX0の2倍ずつ動かす。その後、制御モジュール9は、レーザー光線LBをパルス発振しながら、パルスのオフ時間の間に照射点PをY軸方向にY0だけ動かすことと、パルスのオフ時間の間に照射点PをX軸方向にX0の2倍ずつ動かすことと、上記隙間SPを照射点Pで埋めるように、パルスのオフ時間の間に照射点PをX軸方向にX0の2倍ずつ動かすこととを繰り返し、照射点Pを隙間なく二次元的に並べる。
【0126】
以上、本開示に係る基板加工方法及び基板加工装置の実施形態等について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、及び組み合わせが可能である。それらについても当然に本開示の技術的範囲に属する。
【0127】
本出願は、2021年1月21日に日本国特許庁に出願した特願2021-008295号に基づく優先権を主張するものであり、特願2021-008295号の全内容を本出願に援用する。
【符号の説明】
【0128】
1 基板加工装置
9 制御モジュール(制御部)
31 レーザー加工モジュール
311 保持部
312 光源
313 移動部
図1
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