(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-26
(45)【発行日】2025-04-03
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20250327BHJP
G03G 15/08 20060101ALI20250327BHJP
【FI】
G03G21/16 176
G03G21/16 119
G03G15/08 390Z
(21)【出願番号】P 2021085398
(22)【出願日】2021-05-20
【審査請求日】2024-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】荒澤 信一
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-181029(JP,A)
【文献】特開2010-170010(JP,A)
【文献】特開2019-152843(JP,A)
【文献】特開2018-180380(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0171158(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0189466(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被着脱部に対して着脱可能な着脱ユニットに、被着脱部側に配置される潜像担持体上の潜像を現像剤担持体上に担持される現像剤によって現像する現像装置が配置される画像形成装置であって、
前記現像剤担持体を前記潜像担持体側へ付勢する付勢力を発生させるために前記着脱ユニットを加圧する加圧部材を有し、
前記被着脱部は、前記着脱ユニットの主基準箇所に当接して位置決めする主基準
面と、前記着脱ユニットにおける前記主基準箇所回りの回転を該着脱ユニットの従基準箇所に当接して受け止める従基準
面とを備え、
前記従基準面は、前記主基準面に対して略平行であり、
前記加圧部材の加圧は、前記着脱ユニットに対して前記主基準箇所回りの前記従基準
面側に向かう回転モーメントを発生させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記現像剤担持体は、前記潜像担持体の回転軸上に配置される駆動ギヤと噛み合う被駆動ギヤを該現像剤担持体の回転軸上に備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記被駆動ギヤの圧力角の方向が前記主基
準面に対して略垂直であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記被着脱部は、前記着脱ユニットの着脱中に前記主基準箇所をガイドするガイドレールを備え、
前記ガイドレールの一部が前記主基準
面を構成していることを特徴とする画像形成装置
。
【請求項5】
請求項1乃
至4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記加圧部材の加圧は、前記回転モーメントを発生させる力成分よりも前記従基
準面に平行な力成分の方が大きいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃
至5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記加圧部材の加圧の方向は、前記潜像担持体の回転軸方向から見たとき、該潜像担持体の回転軸と前記現像剤担持体の回転軸とを結ぶ線に対して10°以上30°以下の範囲内であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃
至6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記従基準箇所は曲面であることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、被着脱部に対して着脱可能な着脱ユニットに、被着脱部側に配置される潜像担持体上の潜像を現像剤担持体上に担持される現像剤によって現像する現像装置が配置される画像形成装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、感光体(潜像担持体)を備えるドラムユニット(被着脱部)と、ドラムユニットに対して着脱自在な現像ユニット(着脱ユニット)とを備えた画像形成ユニットが、画像形成装置本体に対して着脱自在な画像形成装置が開示されている。ドラムユニットには、現像ユニットを位置決めするための円筒状の突起部(主基準部)とU字状の溝部(従基準部)とが形成され、現像ユニットには、これらに対応するU字状の溝部(主基準箇所)と突起部(従基準箇所)とが形成されている。両溝部のU字形状は互いに同じ向きとなるように形成されており、両溝部のU字形状に沿って両突起部が入り込むように現像ユニットをドラムユニットに装着する。これにより、現像ユニットはドラムユニットを介して画像形成装置本体に位置決めされる。
【0004】
また、ドラムユニットには、現像ユニットの現像ローラ(現像剤担持体)を感光体側へ付勢する付勢力を発生させるために現像ユニットを加圧する付勢部材(加圧部材)が、ドラムユニットに対して回動自在に取り付けられたホルダ上に設けられている。現像ユニットの装着前は、付勢部材がドラムユニットの溝部から退避するようにホルダを回動させておき、現像ユニットの装着後、ホルダを回動させてロックする。これにより、付勢部材が現像ユニットの突起部をドラムユニットの溝部の奥側へ付勢し、現像ローラを感光体側へ付勢する付勢力が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来の画像形成装置では、被着脱部に対する着脱ユニットの位置決めの安定性は高いものの、被着脱部に対する着脱ユニットの装着作業が煩雑であり、利便性が悪いという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、被着脱部に対して着脱可能な着脱ユニットに、被着脱部側に配置される潜像担持体上の潜像を現像剤担持体上に担持される現像剤によって現像する現像装置が配置される画像形成装置であって、前記現像剤担持体を前記潜像担持体側へ付勢する付勢力を発生させるために前記着脱ユニットを加圧する加圧部材を有し、前記被着脱部は、前記着脱ユニットの主基準箇所に当接して位置決めする主基準面と、前記着脱ユニットにおける前記主基準箇所回りの回転を該着脱ユニットの従基準箇所に当接して受け止める従基準面とを備え、前記従基準面は、前記主基準面に対して略平行であり、前記加圧部材の加圧は、前記着脱ユニットに対して前記主基準箇所回りの前記従基準面側に向かう回転モーメントを発生させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、被着脱部に対する着脱ユニットの高い位置決め安定性を維持しつつ、被着脱部に対する着脱ユニットの装着作業の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図。
【
図2】同画像形成装置における現像ユニットが着脱可能に装着されるプロセスユニットの構成を示す模式図。
【
図3】同プロセスユニットに着脱可能に装着される現像ユニットの構成を示す模式図。
【
図4】同プロセスユニットに同現像ユニットを挿入している途中の状態を示す説明図。
【
図5】同プロセスユニットの奥まで同現像ユニットが挿入された状態を示す説明図。
【
図6】同現像ユニットを回転させて同プロセスユニットに装着する途中の状態を示す説明図。
【
図7】同現像ユニットが同プロセスユニットに装着された状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を、画像形成装置としての電子写真方式のモノクロ画像形成装置100に適用した一実施形態について説明する。
まず、画像形成装置の基本的な構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置100の一例を示す概略構成図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、モノクロ画像形成装置である。その装置本体(画像形成装置本体)には、作像ユニットとしてのプロセスユニット1が着脱可能に装着されている。
【0010】
プロセスユニット1には、表面に画像を担持する潜像担持体としての感光体2、感光体2の表面を帯電させる帯電手段としての帯電ローラ3、感光体2の表面をクリーニングするクリーニング手段としてのクリーニングブレード5等が備わっている。また、プロセスユニット1には、感光体2に対向する位置に、感光体2の表面を露光する露光手段としてのLEDヘッドアレイ6が設けられている。また、プロセスユニット1には、感光体2上の潜像を可視画像化する現像手段としての現像装置を備える現像ユニット4が着脱可能に装着されている。本実施形態において、プロセスユニット1が被着脱部であり、現像ユニット4が着脱ユニットである。
【0011】
本実施形態の画像形成装置100の装置本体には、トナー収容器である現像剤収容器としてのトナーカートリッジ7が着脱可能に設けられている。トナーカートリッジ7は、その容器本体22に、現像ユニット4へ補給する現像剤であるトナーを収容するトナー収容部である現像剤収容部8と、クリーニングブレード5で除去されたトナー(廃トナー)を回収する廃トナー収容部である現像剤回収部9とを有する。
【0012】
また、画像形成装置100の装置本体には、記録材としての用紙に画像を転写する転写装置10、用紙を供給する給紙装置11、用紙に転写された画像を定着させる定着装置12、用紙を装置外へ排出する排紙装置13なども備わっている。
【0013】
転写装置10は、転写部材としての転写ローラ14を備える。転写ローラ14は、感光体2と当接しており、両者の当接部において転写ニップが形成されている。また、転写ローラ14は、電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が印加されるようになっている。
【0014】
給紙装置11は、用紙Pを収容した給紙カセット15や、給紙カセット15に収容されている用紙Pを給送する給紙ローラ16を備える。また、給紙ローラ16に対して用紙搬送方向下流側には、搬送タイミングを計って用紙を転写ニップへ搬送するタイミングローラとしてのレジストローラ対17が設けてある。なお、用紙Pには、厚紙、はがき、封筒、普通紙、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ等も含まれる。また、用紙以外の記録材として、OHPシートやOHPフィルム、布などを用いることも可能である。
【0015】
定着装置12は、定着部材としての定着ローラ18と、加圧部材としての加圧ローラ19とを備える。定着ローラ18は、ヒータ等の加熱源によって加熱されるようになっている。加圧ローラ19は、定着ローラ18側へ加圧されて定着ローラ18に当接し、その当接箇所において定着ニップが形成されている。
【0016】
排紙装置13は、一対の排紙ローラ20を備える。排紙ローラ20によって装置外に排出された用紙は、装置本体の上面を凹ませて形成された排紙トレイ21上に積載されるようになっている。
【0017】
次に、本実施形態に係る画像形成装置100の作像動作について説明する。
作像動作が開始されると、感光体2が回転駆動され、帯電ローラ3によって感光体2の表面が所定の極性に一様に帯電される。そして、読取装置又はコンピュータ等からの画像情報に基づいて、LEDヘッドアレイ6からの露光により、感光体2の帯電後の表面に静電潜像が形成される。このように感光体2上に形成された静電潜像に、現像ユニット4の現像剤担持体としての現像ローラ41によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として顕像化(可視像化)される。
【0018】
また、作像動作が開始されると、給紙ローラ16が回転駆動を開始し、給紙カセット15から用紙Pが送り出される。送り出された用紙Pは、レジストローラ対17によって搬送を一旦停止される。その後、所定のタイミングでレジストローラ対17の回転駆動を開始し、感光体2上のトナー画像が転写ニップに達するタイミングに合わせて、用紙Pを転写ニップへ搬送する。
【0019】
このとき、転写ローラ14には、感光体2上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、これにより、転写部において転写電界が形成されている。そして、この転写電界によって、感光体2上のトナー画像が用紙P上に転写される。なお、用紙Pに転写しきれなかった感光体2上の残留トナーは、クリーニングブレード5によって除去され、トナーカートリッジ7内の現像剤回収部9へ回収される。
【0020】
トナー画像が転写された用紙Pは、定着装置12へと搬送され、定着ローラ18と加圧ローラ19との間の定着ニップを通過することにより加熱及び加圧されて、用紙P上のトナー画像が定着される。そして、用紙Pは、排紙ローラ20によって装置外に排出され、排紙トレイ21上にストックされる。
【0021】
次に、本実施形態における現像ユニット4を装置本体に着脱する構成について説明する。
図2は、現像ユニット4が着脱可能に装着されるプロセスユニット1の構成を示す模式図である。
図3は、プロセスユニット1に着脱可能に装着される現像ユニット4の構成を示す模式図である。
【0022】
本実施形態におけるプロセスユニット1の筐体は、感光体2の軸方向における両端面(側面)に、現像ユニット4の着脱中に現像ユニット4の被ガイド部をガイドするガイドレール31,32を備えている。本実施形態における現像ユニット4の被ガイド部は、現像ユニット4をプロセスユニット1に対して位置決めするための主基準箇所である主基準軸42である。プロセスユニット1のガイドレール31,32の一部は、現像ユニット4側の主基準軸42に当接して現像ユニット4をプロセスユニット1の目標位置に位置決めする主基準部としての主基準面31a,32aを構成している。
【0023】
また、プロセスユニット1には、現像ユニット4を安定して位置決めするために、従基準面34aを形成する従基準部材43が設けられている。また、プロセスユニット1には、現像ユニット4の現像ローラ41をプロセスユニット1の感光体2側へ付勢する付勢力を発生させるために現像ユニット4を加圧する加圧部材33が設けられている。加圧部材33は、加圧部33bによりバネ33aの付勢力で現像ユニット4の被加圧部44を加圧することで、現像ローラ41を感光体2側へ付勢する付勢力を発生させる。
【0024】
現像ユニット4に設けられる現像ローラ41の回転軸上には、プロセスユニット1の感光体2の回転軸上に配置される駆動ギヤ2aと噛み合う被駆動ギヤ41aが設けられている。現像ユニット4がプロセスユニット1に対して位置決めされると、駆動ギヤ2aと被駆動ギヤ41aとが噛み合い、感光体2の回転駆動に伴って現像ローラ41が回転駆動される。
【0025】
また、主基準軸42は、現像ユニット4に設けられる現像ローラ41の回転軸と同軸上に設けられている。この主基準軸42は、現像ローラ41のローラ端部よりも軸方向外側にそれぞれ突出するように設けられている。また、現像ユニット4の筐体には、プロセスユニット1の従基準面34aに当接する従基準箇所としての従基準部材43が設けられている。また、現像ユニット4の筐体には、プロセスユニット1の加圧部材33の加圧部33bに当接して加圧力を受ける被加圧部44が設けられている。また、現像ユニット4の筐体には、現像ユニット4をプロセスユニット1に対して着脱する作業時に作業者が把持するための取手部45も設けられている。
【0026】
次に、
図4~
図7を参照して、プロセスユニット1に対して現像ユニット4を装着する方法について説明する。
プロセスユニット1に対して現像ユニット4を装着する場合、まず、作業者は、現像ユニット4の取手部45を把持して、プロセスユニット1の上方から、
図4中の矢印Aで示す方向に沿って、現像ユニット4をプロセスユニット1に挿入する。このとき、作業者は、現像ユニット4の側面(
図4中前後方向の端面)に形成された主基準軸42を下ガイドレール31に乗せ、下ガイドレール31に沿って主基準軸42をスライドさせるようにして、現像ユニット4をプロセスユニット1に挿入する。
【0027】
プロセスユニット1の下ガイドレール31は、
図4に示すように、挿入方向に向けて下方へ傾斜しているため、作業者が現像ユニット4を挿入方向へ押し込まなくても、現像ユニット4の自重によって現像ユニット4をスライドさせることができる。本実施形態における主基準軸42は、円柱状部材であるため 主基準軸42の周面のどの位置が下ガイドレール31に接触しても実質的に点接触となり、接触面積が少ないため、摩擦力が小さく、スムーズなスライド動作(挿入動作)が可能である。
【0028】
図5に示すように、現像ユニット4がプロセスユニット1に対して奥まで挿入されると、現像ユニット4の現像ローラ41がプロセスユニット1の感光体2と接触する状態(使用状態)になる。また、このとき、現像ユニット4の現像ローラ41の回転軸上に設けられた被駆動ギヤ41aがプロセスユニット1の感光体2の回転軸上に設けられた駆動ギヤ2aと噛み合う。
【0029】
また、現像ユニット4がプロセスユニット1に対して挿入され、現像ローラ41が感光体2と接触すると、それ以上は挿入できなくなる。これにより、現像ユニット4の主基準軸42はプロセスユニット1のガイドレール31,32の所定位置まで挿入される。この所定位置において、主基準軸42は、下ガイドレール31の一部31aと上ガイドレール32の一部32aとの間に若干の隙間を開けて嵌め込まれた状態になる。これにより、プロセスユニット1に対する現像ユニット4の主基準の位置決めが完了する。すなわち、主基準軸42が嵌め込まれる下ガイドレール31の一部31aと上ガイドレール32の一部32aは、本実施形態における主基準面となっている。
【0030】
このように、本実施形態では、ガイドレール31,32の一部が主基準面31a,32aを構成している。そのため、下ガイドレール31上をスライドしてきた主基準軸42は、そのまま主基準面31a,32aの位置(所定位置)までスライドし、主基準面31a,32aに到達し、プロセスユニット1に対する現像ユニット4の主基準の位置決めが完了する。
【0031】
仮に、主基準面がガイドレールとは別の場所にある場合、主基準軸(ガイドレールにガイドされる被ガイド部と同じでも異なってもよい)を主基準面に接触させる(乗せる)ため、被ガイド部をガイドレールから離間させる(持ち上げる)という作業が必要になる。なぜなら、被ガイド部をガイドレールから離間させないと、主基準面と主基準軸との接触による主基準の位置決めができないためである。この場合、被ガイド部をガイドレールに対してスライドさせる作業と、その後に被ガイド部をガイドレールから離間させる作業という2段階の作業が必要となり、作業者の利便性を損なう。
【0032】
これに対し、本実施形態によれば、プロセスユニット1に対する現像ユニット4の主基準の位置決めは、現像ユニット4をプロセスユニット1に挿入する作業を行うだけで完了する。したがって、作業者の利便性は高い。
【0033】
以上のようにして主基準の位置決めが完了したら、次に、作業者は、
図5に示すように、主基準軸42の回りで、現像ユニット4を
図5中矢印Bで示す方向へ回転させる。このとき、現像ユニット4には、自重による回転モーメントによって
図5中矢印Bで示す方向へ回転する力が作用しているため、作業者は現像ユニット4の取手部45を下支えする力を弱めるだけでよい。
【0034】
このように現像ユニット4が主基準軸42の回りで回転すると、
図6に示すように、現像ユニット4の被加圧部44がプロセスユニット1の加圧部材33の加圧部33bの上面33b1に接触する。本実施形態の加圧部33bの上面33b1は、
図6に示すように傾斜面となっており、加圧部材33のバネ33aの付勢力の一部が、現像ユニット4の自重が加圧部33bを押し下げる力に抗する力として作用する。これにより、本実施形態では、現像ユニット4の自重だけでは、バネ33aの付勢力に抗して加圧部材33の加圧部33bを押し退けることができず、現像ユニット4の被加圧部44が加圧部33bの上面33b1に乗ったままの状態になる。
【0035】
この状態から、作業者が
図6中矢印Cで示すように現像ユニット4の取手部45を押し下げる作業を行うと、バネ33aの付勢力に抗して加圧部材33の加圧部33bを押し退けることができる。これにより、現像ユニット4の被加圧部44が加圧部33bを超えることができ、現像ユニット4を
図6中矢印Bの方向へ更に回転させることができる。
【0036】
このようにして現像ユニット4を
図6中矢印Bの方向へ更に回転させると、
図7に示すように、現像ユニット4の従基準部材43がプロセスユニット1の従基準面34aに当接する。これにより、主基準軸42の回りにおける現像ユニット4の回転が従基準面34aによって受け止められる結果、プロセスユニット1に対する現像ユニット4の従基準の位置決めが完了する。この結果、現像ユニット4は、プロセスユニット1に対する回転軸である主基準軸42の位置が主基準面31a,32aによって位置決めされ、かつ、プロセスユニット1に対する回転位置が従基準面34aによって位置決めされる。これにより、プロセスユニット1に対する現像ユニット4の位置決めがなされる。
【0037】
このとき、プロセスユニット1の従基準面34aに当接する現像ユニット4の従基準部材43は、球面あるいは曲面になっているので、従基準部材43が従基準面34aに対して実質的に点接触することができ、ガタツキなく当接することができる。
【0038】
また、現像ユニット4の従基準部材43がプロセスユニット1の従基準面34aに当接した状態になると、現像ユニット4の被加圧部44が、
図7に示すように、加圧部33bの下面33b2に当接した状態になる。本実施形態の加圧部33bの下面33b2は、
図7に示すように傾斜面となっており、加圧部材33のバネ33aの付勢力の一部が、現像ユニット4の被加圧部44を
図7中矢印Dで示す方向へ付勢する力として作用する。
【0039】
このように加圧部材33が現像ユニット4を加圧することによって、現像ユニット4の現像ローラ41は感光体2側へ付勢する付勢力を発生させる。これにより、何らかの外力(衝撃など)が加わって、現像ローラ41が感光体2から離れる方向に移動しようとする力が作用しても、加圧部材33の加圧力(バネ33aの付勢力)によって現像ローラ41が感光体2から離れる方向に移動することを阻止できる。すなわち、現像ユニット4の主基準軸42がガイドレール31,32に沿って引き抜き方向(挿入方向とは逆向き)へ移動することが阻止される。したがって、プロセスユニット1に対する現像ユニット4の主基準の位置決めが安定して維持される。
【0040】
特に、本実施形態における従基準面34aは、主基準面31a,32aに対して略平行である。これにより、現像ユニット4のスライド可能な方向が統一され、加圧部材33の加圧力により現像ローラ41が感光体2側へ付勢される付勢力のばらつきが低減される。
【0041】
また、何らかの外力(衝撃など)が加わって、現像ユニット4の従基準部材43がプロセスユニット1の従基準面34aから離れる方向の力が作用するおそれがある。この場合、プロセスユニット1に対する現像ユニット4の位置(従基準の位置)がずれてしまうおそれがある。
【0042】
本実施形態において、加圧部材33の加圧力の方向Dは、
図7に示すように、現像ローラ41の軸方向(主基準軸42の軸方向)から見たとき、主基準軸42と加圧部材33と従基準部材43との当接箇所とを結ぶ直線Eよりも下側を向いている。すなわち、加圧部材33の加圧力は、現像ユニット4に対し、現像ユニット4の従基準部材43がプロセスユニット1の従基準面34a側に向かう主基準軸42の回りの回転モーメントを発生させる力成分を含む。したがって、加圧部材33の加圧力の一部は、現像ユニット4の従基準部材43がプロセスユニット1の従基準面34aから離れる方向へ移動することを妨げる抑止力となる。そのため、プロセスユニット1に対する現像ユニット4の従基準の位置決めも安定して維持される。
【0043】
これにより、従基準部材43が従基準面34aから離れる方向へ現像ユニット4が回転することを阻止するための別個の固定部材を省略することも可能となる。このような別個の固定部材を省略することができれば、構成の簡略化につながるだけでなく、作業者が別個の固定部材を操作する作業も省略することができ、利便性が更に向上する。
【0044】
なお、加圧力の方向Dと前記直線Eとのなす角度は、10°以上30°以下の範囲内であるのが好ましい。この角度が10°よりも小さいと、従基準部材43を従基準面34aに押さえつける力が不足して、プロセスユニット1に対する現像ユニット4の従基準の位置決めが不安定になるおそれがある。また、この角度が30°よりも大きくなると、作業者が現像ユニット4をプロセスユニット1から取り外すときに、取手部45を引き上げるのに要する力が大きくなり、利便性を悪化させるおそれがある。
【0045】
また、本実施形態において、加圧部材33の加圧力は、上述した主基準軸42の回りの回転モーメントを発生させる力成分よりも、従基準面34aに平行な力成分の方が大きくなるように設定されている。具体的には、このような加圧力が発生するように、加圧部材33の加圧部33bの下面33b2の傾斜角度や、現像ユニット4の被加圧部44の形状を決定している。このような加圧力が発生するように構成することで、従基準部材43と従基準面34aとの間の摩擦力を低減して、現像ユニット4の現像ローラ41を感光体2側へ付勢する十分な付勢力を確保することができる。その結果、プロセスユニット1に対する現像ユニット4の主基準の位置決めをより安定化させることができる。
【0046】
また、本実施形態においては、上述したように、現像ローラ41の回転軸上に設けられた被駆動ギヤ41aが感光体2の回転軸上に設けられた駆動ギヤ2aと噛み合って、現像ローラ41が感光体2から駆動を受ける。このとき、被駆動ギヤ41aの圧力角の方向は、被駆動ギヤ41aが駆動ギヤ2aから離れる方向に向く。そのため、現像ローラ41が感光体2から駆動を受けても適切な噛み合いを維持するためには、被駆動ギヤ41aが駆動ギヤ2aから離れる方向へ変位するのを阻止することが求められる。
【0047】
被駆動ギヤ41aが駆動ギヤ2aから離れる方向へ変位するのを阻止するように、加圧部材33の加圧力を設定してもよいが、その場合、プロセスユニット1に対する現像ユニット4の主基準及び従基準の位置決めを安定して維持する力が弱まるおそれがある。
【0048】
現像ローラ41が感光体2から駆動を受けるときに被駆動ギヤ41aが駆動ギヤ2aから離れる方向へ変位しようとすると、この変位に伴って現像ユニット4が当該方向へ変位しようとする。しかしながら、本実施形態においては、被駆動ギヤ41aの圧力角の方向が主基準面31aに対して略垂直(例えば90°±5°)となるように構成されている。そのため、現像ユニット4の主基準軸42が当該方向へ変位しようとしてもプロセスユニット1の下ガイドレール31の主基準面31aによって阻止され、現像ユニット4は当該方向へ変位できない。よって、現像ローラ41が感光体2から駆動を受ける際、被駆動ギヤ41aが駆動ギヤ2aから離れる方向へ変位することが阻止され、被駆動ギヤ41aと駆動ギヤ2aとの適切な噛み合いが維持される。
【0049】
なお、本実施形態においては、被着脱部がプロセスユニット1であるが、画像形成装置本体であってもよい。また、着脱ユニットである現像ユニット4は、現像装置以外の装置や部材を備えていてもよい。
【0050】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[第1態様]
第1態様は、被着脱部(例えばプロセスユニット1)に対して着脱可能な着脱ユニット(例えば現像ユニット4)に、被着脱部側に配置される潜像担持体(例えば感光体2)上の潜像を現像剤担持体(例えば現像ローラ41)上に担持される現像剤によって現像する現像装置が配置される画像形成装置100であって、前記現像剤担持体を前記潜像担持体側へ付勢する付勢力を発生させるために前記着脱ユニットを加圧する加圧部材33を有し、前記被着脱部は、前記着脱ユニットの主基準箇所(例えば主基準軸42)に当接して位置決めする主基準部(例えば主基準面31a,32a)と、前記着脱ユニットにおける前記主基準箇所回りの回転を該着脱ユニットの従基準箇所(例えば従基準部材43)に当接して受け止める従基準部(例えば従基準面34a)とを備え、前記加圧部材の加圧は、前記着脱ユニットに対して前記主基準箇所回りの前記従基準部側に向かう回転モーメントを発生させることを特徴とするものである。
従来の画像形成装置では、現像剤担持体を潜像担持体側へ付勢する付勢力を発生させるために着脱ユニットを加圧する加圧部材の加圧力は、着脱ユニットが被着脱部から離れる方向へ移動することを妨げる抑止力にもなっている。したがって、着脱ユニットが被着脱部から離れる方向へ移動して位置がずれるような事態が加圧部材の加圧力によって発生しにくくなっており、被着脱部に対する着脱ユニットの位置決めの安定性が高い。
しかしながら、従来の画像形成装置では、被着脱部に対する着脱ユニットの位置決めの主基準と従基準となる構成が、いずれもU字形状の溝部に突起部を挿入するという構成である。そのため、被着脱部に対して着脱ユニットを装着する際、作業者は、主基準の溝部に突起部が挿入するとともに、従基準の溝部にも突起部を挿入するという作業を強いられる。この作業は、両溝部に突起部を同時に挿入するという煩雑な作業を伴うため、作業者にとっての利便性が悪い。
これに対し、本態様においては、被着脱部に対して着脱ユニットを装着する際、まず、主基準箇所を主基準部に当接して、被着脱部に対する着脱ユニットの主基準の位置決めを行う。そして、この主基準の位置決めが終わった後、着脱ユニットを主基準箇所回りで回転させ、被着脱部の従基準部に着脱ユニットの従基準箇所に当接させ、従基準の位置決めを行う。このように、主基準の位置決めを行った後に従基準の位置決めを行うという作業であれば、主基準の位置決め作業中に従基準の位置決め作業を行う必要がなく、また、従基準の位置決め作業中に主基準の位置決め作業を行う必要がない。よって、作業が非常に簡便となり、作業者にとっての利便性が良いものとなる。
しかも、本態様においては、現像剤担持体を潜像担持体側へ付勢する付勢力を発生させるために着脱ユニットを加圧する加圧部材の加圧によって、着脱ユニットに対して従基準部側に向かう主基準箇所回りの回転モーメントを発生させる。したがって、加圧部材の加圧力の一部は、着脱ユニットの従基準箇所が被着脱部の従基準部から離れる方向へ移動することを妨げる抑止力となる。そのため、被着脱部に対する着脱ユニットの位置決めの安定性も高い。
【0051】
[第2態様]
第2態様は、第1態様において、前記現像剤担持体は、前記潜像担持体の回転軸上に配置される駆動ギヤ2aと噛み合う被駆動ギヤ41aを該現像剤担持体の回転軸上に備えていることを特徴とするものである。
これによれば、被駆動ギヤが駆動ギヤから離れる方向に被駆動ギヤの圧力角の方向が向く場合でも、加圧部材の加圧力によって被駆動ギヤが駆動ギヤから離れるのを抑制できる。よって、被駆動ギヤと駆動ギヤとの適切な噛み合いが維持される。
【0052】
[第3態様]
第3態様は、第2態様において、前記被駆動ギヤの圧力角の方向が前記主基準部の面に対して略垂直であることを特徴とするものである。
これによれば、被駆動ギヤが駆動ギヤから離れる動きを主基準部の面によって受け止めることができる。よって、着脱ユニットの従基準箇所が被着脱部の従基準部から離れる方向へ移動することを妨げる抑止力となる加圧部材の加圧力の作用を弱めることなく、被駆動ギヤと駆動ギヤとの適切な噛み合いが維持される。
【0053】
[第4態様]
第4態様は、第1乃至第3態様のいずれかにおいて、前記被着脱部は、前記着脱ユニットの着脱中に前記主基準箇所をガイドするガイドレール31,32を備え、前記ガイドレールの一部が前記主基準部を構成していることを特徴とするものである。
これによれば、被着脱部に対する着脱ユニットの主基準の位置決めは、着脱ユニットをガイドレールに沿って移動させる作業を行うだけで完了するので、作業者の利便性がより高いものとなる。
【0054】
[第5態様]
第5態様は、第1乃至第4態様のいずれかにおいて、前記従基準部の面は、前記主基準部の面を構成する主基準面に対して略平行であることを特徴とするものである。
これによれば、着脱ユニットの移動可能な方向が統一され、加圧部材の加圧力により現像剤担持体が潜像担持体側へ付勢される付勢力のばらつきが低減される。
【0055】
[第6態様]
第6態様は、第1乃至第5態様のいずれかにおいて、前記加圧部材の加圧は、前記回転モーメントを発生させる力成分よりも前記従基準部の面に平行な力成分の方が大きいことを特徴とするものである。
これによれば、従基準箇所と従基準部との間の摩擦力を低減して、着脱ユニットの現像剤担持体を潜像担持体側へ付勢する十分な付勢力を確保することができる。
【0056】
[第7態様]
第7態様は、第1乃至第6態様のいずれかにおいて、前記加圧部材の加圧の方向Dは、前記潜像担持体の回転軸方向から見たとき、該潜像担持体の回転軸と前記現像剤担持体の回転軸とを結ぶ線Eに対して10°以上30°以下の範囲内であることを特徴とするものである。
10°よりも小さいと、従基準箇所を従基準部に押さえつける力が不足して、被着脱部に対する着脱ユニットの従基準の位置決めが不安定になるおそれがある。また、30°よりも大きくなると、作業者が着脱ユニットを被着脱部から取り外すときに要する力が大きくなり、利便性を悪化させるおそれがある。
【0057】
[第8態様]
第8態様は、第1乃至第7態様のいずれかにおいて、前記従基準箇所は曲面であることを特徴とするものである。
これによれば、従基準箇所を従基準部に対して実質的に点接触させることが可能となり、ガタツキなく当接させて、被着脱部に対する着脱ユニットの位置決めの安定性を高めることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 :プロセスユニット
2 :感光体
2a :駆動ギヤ
3 :帯電ローラ
4 :現像ユニット
5 :クリーニングブレード
6 :LEDヘッドアレイ
7 :トナーカートリッジ
10 :転写装置
11 :給紙装置
12 :定着装置
13 :排紙装置
14 :転写ローラ
15 :給紙カセット
16 :給紙ローラ
17 :レジストローラ対
20 :排紙ローラ
31 :下ガイドレール
31a,32a:主基準面
32 :上ガイドレール
33 :加圧部材
33a :バネ
33b :加圧部
33b1 :上面
33b2 :下面
34 :従基準部材
34a :従基準面
41 :現像ローラ
41a :被駆動ギヤ
42 :主基準軸
43 :従基準部材
44 :被加圧部
45 :取手部
100 :画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0059】