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特許7656658前駆体供給用の濃度センサを較正するための方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-26
(45)【発行日】2025-04-03
(54)【発明の名称】前駆体供給用の濃度センサを較正するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/455 20060101AFI20250327BHJP
   B01J 4/00 20060101ALI20250327BHJP
   G01F 1/00 20220101ALI20250327BHJP
【FI】
C23C16/455
B01J4/00 102
G01F1/00 F
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023114930
(22)【出願日】2023-07-13
(62)【分割の表示】P 2022506044の分割
【原出願日】2020-07-23
(65)【公開番号】P2023157913
(43)【公開日】2023-10-26
【審査請求日】2023-08-14
(31)【優先権主張番号】62/880,623
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/932,107
(32)【優先日】2020-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト サラ エル
(72)【発明者】
【氏名】ババヤン エレイナ ノエル
(72)【発明者】
【氏名】フ ウェイズ
【審査官】若土 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-543564(JP,A)
【文献】特表2009-500852(JP,A)
【文献】特開2018-150572(JP,A)
【文献】特開平02-217474(JP,A)
【文献】国際公開第2008/001483(WO,A1)
【文献】特開2017-044577(JP,A)
【文献】特開2014-002072(JP,A)
【文献】特開平05-264452(JP,A)
【文献】特開2017-210683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 4/00-7/02
C23C 16/00-16/56
C30B 1/00-35/00
H01L 21/205
21/31
21/365
21/469
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前駆体流量を制御するための装置から堆積チャンバに流れ込む前駆体の量を制御する方法であって、
A.前記前駆体流量を制御するための装置の入口と出口との間に、既知の容積を有する密封容積部を形成することであって、前記密封容積部が、前記前駆体を含むアンプルと、センサアセンブリのフロースルーセルとを含み、前記密封容積部が、前記前駆体の一部を前記密封容積部内に気体状態で生成するのに十分な既知の温度において等温であるように制御される、ことと、
B.前記センサアセンブリからの信号を測定し、前記センサアセンブリからの前記測定された信号、前記既知の温度における前記前駆体の既知の蒸気圧、および前記既知の容積に基づいて、前記前駆体流量を制御するための装置の較正を実行することと、
C.前記入口、前記アンプル、前記フロースルーセルおよび前記出口を通じて前記堆積チャンバに有効キャリアガス流量でキャリアガスを流し込みながら、前記センサアセンブリからの前記信号を測定し、前記有効キャリアガス流量、前記センサアセンブリからの前記信号、および前記前駆体流量を制御するための装置の前記較正に基づいて、前記堆積チャンバに流れ込む前記前駆体の量を決定することであって、前記センサアセンブリが、赤外光源、可視光源または紫外光源と、対応する検出器とを含む、ことと、
を含む、方法。
【請求項2】
前駆体流量を制御するための装置から堆積チャンバに流れ込む前駆体の量を制御する方法であって、
A.前記前駆体流量を制御するための装置の入口と出口との間に、センサアセンブリのフロースルーセルに既知の量の化学標準が流れるように制御される、ことと、
B.前記フロースルーセル内に存在する前記化学標準の量に相関する前記センサアセンブリからの信に基づいて、前記前駆体流量を制御するための装置の較正を実行することと、
C.前記入口、前記前駆体を含むアンプル、前記フロースルーセルおよび前記出口を通じて前記堆積チャンバに有効キャリアガス流量でキャリアガスを流し込みながら、前記センサアセンブリからの前記信号を測定し、前記有効キャリアガス流量、前記センサアセンブリからの前記信号、および前記前駆体流量を制御するための装置の前記較正に基づいて、前記堆積チャンバに流れ込む前記前駆体の量を決定することであって、前記センサアセンブリが、赤外光源、可視光源または紫外光源と、対応する検出器とを含む、ことと、
を含む、方法。
【請求項3】
前駆体流量を制御するための装置から堆積チャンバに流れ込む前駆体の量を制御する方法であって、
A.前記前駆体流量を制御するための装置の入口と出口との間に、前記前駆体を含むアンプルと、センサアセンブリのフロースルーセルとがトラップの上流に配置される、ことと、
B.前記前駆体を前記トラップ内に収集し、前記トラップ内に存在する前記前駆体の全質量を測定することに基づいて、前記前駆体流量を制御するための装置の較正を実行することと、
C.前記入口、前記アンプル、前記フロースルーセルおよび前記出口を通じて前記堆積チャンバに有効キャリアガス流量でキャリアガスを流し込みながら、前記センサアセンブリからの信号を測定し、前記有効キャリアガス流量、前記センサアセンブリからの前記信号、および前記前駆体流量を制御するための装置の前記較正に基づいて、前記堆積チャンバに流れ込む前記前駆体の量を決定することと
を含む、方法。
【請求項4】
前駆体流量を制御するための装置から堆積チャンバに流れ込む前駆体の量を制御する方法であって、
A.前記前駆体流量を制御するための装置の入口と出口との間に、キャリアガスが前記入口からセンサアセンブリのフロースルーセルおよび前記出口を通じて前記前駆体を含むアンプルをバイパスして流れるように構成され
B.前記入口、前記フロースルーセルおよび前記出口を通じて前記アンプルをバイパスして前記キャリアガスを流し、前記前駆体の不在時に前記センサアセンブリからの信号を測定して、前記センサアセンブリからバックグラウンド信号を取得し、前記センサアセンブリからの前記バックグラウンド信号に基づいて、前記前駆体流量を制御するための装置の較正を実行することと、
C.前記入口、前記アンプル、前記フロースルーセルおよび前記出口を通じて前記堆積チャンバに有効キャリアガス流量で前記キャリアガスを流し込みながら、前記センサアセンブリからの前記信号を測定し、前記有効キャリアガス流量、前記センサアセンブリからの前記信号、および前記前駆体流量を制御するための装置の前記較正に基づいて、前記堆積チャンバに流れ込む前記前駆体の量を決定することであって、前記センサアセンブリが、赤外光源、可視光源または紫外光源と、対応する検出器とを含む、ことと、
を含む、方法。
【請求項5】
前記前駆体流量を制御するための装置が、前記入口と前記アンプルとの間に配置された第1の圧力センサと、前記センサアセンブリの前記フロースルーセルから下流に配置された第2の圧力センサとをさらに含み
記入口、前記フロースルーセルおよび前記出口を通じて前記アンプルをバイパスして前記キャリアガスを流し、前記アンプルをバイパスしながら複数の異なるキャリアガス流量下で前記第1の圧力センサを使用して第1の圧力を測定し、前記第2の圧力センサを使用して第2の圧力を測定し、前記複数の異なるキャリアガス流量の各々について前記第1の圧力と前記第2の圧力との間のバックグラウンド圧力差を決定することと、
前記入口、前記前駆体流量を制御するための装置、前記アンプル、前記フロースルーセルおよび前記出口を通じて前記堆積チャンバに有効キャリアガス流量で前記キャリアガスを流し込みながら、前記第1の圧力および前記第2の圧力を測定し、前記有効キャリアガス流量における有効圧力差を決定することであって、前記前駆体流量を制御するための装置の前記較正が、前記バックグラウンド圧力差の各々にさらに基づく、ことと、
を含み、前記堆積チャンバに流れ込む前記前駆体の量の前記決定が、前記有効キャリアガス流量および前記有効圧力差に基づく、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記化学標準が、前記前駆体に類似する吸収スペクトルを有する化学核種または成分に基づいて選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
堆積チャンバへの前駆体流量を制御するための装置であって、
前駆体を出力するためのアンプルと、
前記アンプルと通信可能に結合されたセンサアセンブリと
記センサアセンブリを通る前記前駆体の間に前記センサアセンブリを較正するように構成される、制御システムと、
を含み、前記制御システムが、
A.前記前駆体流量を制御するための装置の入口と出口との間に、既知の容積を有する密封容積部を形成することであって、前記密封容積部が、前記前駆体を含む前記アンプルと、前記センサアセンブリのフロースルーセルとを含み、前記密封容積部が、前記前駆体の一部を前記密封容積部内に気体状態で生成するのに十分な既知の温度において等温であるように制御される、ことと、
B.前記センサアセンブリからの信号を測定し、前記センサアセンブリからの前記測定された信号、前記既知の温度における前記前駆体の既知の蒸気圧、および前記既知の容積に基づいて、前記前駆体流量を制御するための装置の較正を実行することと、
C.前記入口、前記アンプル、前記フロースルーセルおよび前記出口を通じて前記堆積チャンバに有効キャリアガス流量でキャリアガスを流し込みながら、前記センサアセンブリからの前記信号を測定し、前記有効キャリアガス流量、前記センサアセンブリからの前記信号、および前記前駆体流量を制御するための装置の前記較正に基づいて、前記堆積チャンバに流れ込む前記前駆体の量を決定することであって、前記センサアセンブリが、赤外光源、可視光源または紫外光源と、対応する検出器とを含む、ことと、
を行わせるように前記装置を制御するよう構成される、装置。
【請求項8】
堆積チャンバへの前駆体流量を制御するための装置であって、
前駆体を出力するためのアンプルと、
前記アンプルと通信可能に結合されたセンサアセンブリと、
前記センサアセンブリを通る化学標準の流れの間に前記センサアセンブリを較正するように構成される、制御システムと、
を含み、前記制御システムが、
A.前記前駆体流量を制御するための装置の入口と出口との間に、前記センサアセンブリのフロースルーセルに既知の量の化学標準が流れるように制御される、ことと、
B.前記フロースルーセル内に存在する前記化学標準の量に相関する前記センサアセンブリからの信号に基づいて、前記前駆体流量を制御するための装置の較正を実行することと、
C.前記入口、前記アンプル、前記フロースルーセルおよび前記出口を通じて前記堆積チャンバに有効キャリアガス流量でキャリアガスを流し込みながら、前記センサアセンブリからの前記信号を測定し、前記有効キャリアガス流量、前記センサアセンブリからの前記信号、および前記前駆体流量を制御するための装置の前記較正に基づいて、前記堆積チャンバに流れ込む前記前駆体の量を決定することであって、前記センサアセンブリが、赤外光源、可視光源または紫外光源と、対応する検出器とを含む、ことと、
を行わせるように前記装置を制御するよう構成される、装置。
【請求項9】
堆積チャンバへの前駆体流量を制御するための装置であって、
前記前駆体流量を制御するための装置の入口と出口と、
前駆体を出力するためのアンプルと、
前記アンプルと通信可能に結合され、トラップの上流に配置されたセンサアセンブリと
前記センサアセンブリを通る前記前駆体の間に前記センサアセンブリを較正するように構成される、制御システムと、
を含み、
前記制御システムが、
記前駆体を前記トラップ内に収集し、前記トラップ内に存在する前記前駆体の全質量を測定することに基づいて、前記前駆体流量を制御するための装置の較正を実行することと、
前記入口、前記アンプル、前記センサアセンブリおよび前記出口を通じて前記堆積チャンバに有効キャリアガス流量でキャリアガスを流し込みながら、前記センサアセンブリからの信号を測定し、前記有効キャリアガス流量、前記センサアセンブリからの前記信号、および前記前駆体流量を制御するための装置の前記較正に基づいて、前記堆積チャンバに流れ込む前記前駆体の量を決定することと、
を行わせるように前記装置を制御するよう構成される、装置。
【請求項10】
堆積チャンバへの前駆体流量を制御するための装置であって、
前記前駆体流量を制御するための装置の入口と出口と、
前駆体を出力するためのアンプルと、
前記アンプルと通信可能に結合されたセンサアセンブリと、
前記センサアセンブリを較正するように構成される、制御システムと、
を含み、
前記入口と前記アンプルとの間に第1の圧力センサが配置され、前記センサアセンブリのフロースルーセルから下流に第2の圧力センサが配置され、
前記制御システムが、前記入口、前記フロースルーセルおよび前記出口を通じて前記アンプルをバイパスしてキャリアガスを流し、前記アンプルをバイパスしながら複数の異なるキャリアガス流量下で前記第1の圧力センサを使用して第1の圧力を測定し、前記第2の圧力センサを使用して第2の圧力を測定し、前記複数の異なるキャリアガス流量の各々について前記第1の圧力と前記第2の圧力との間のバックグラウンド圧力差を決定することと、
前記入口、前記前駆体流量を制御するための装置、前記アンプル、前記フロースルーセルおよび前記出口を通じて前記堆積チャンバに有効キャリアガス流量で前記キャリアガスを流し込みながら、前記第1の圧力および前記第2の圧力を測定し、前記有効キャリアガス流量における有効圧力差を決定することであって、前記前駆体流量を制御するための装置の前記較正が、前記バックグラウンド圧力差の各々にさらに基づく、ことと、
を行うように構成され、前記堆積チャンバに流れ込む前記前駆体の量の前記決定が、前記有効キャリアガス流量および前記有効圧力差に基づく、
置。
【請求項11】
前記化学標準が事前選択される、請求項に記載の装置。
【請求項12】
前記前駆体流量を制御するための装置が、センサ精度のドリフトを補償するようにA.およびB.に従って定期的に較正される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記センサアセンブリからの前記バックグラウンド信号が定期的に測定され、前記前駆体流量を制御するための装置をセンサ精度のドリフトを補償するように再較正するために利用される、請求項4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、半導体堆積システムにおける前駆体供給のための濃度センサを較正し、化学的堆積プロセスにおける前駆体を制御するための方法および装置に関する。より詳細には、半導体堆積チャンバへの前駆体供給用の濃度センサのオンツール較正検証および再較正のための方法および装置が提供される。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造は、3次元構造上のものを含む、薄層を正確な厚さ制御で形成するための化学的堆積プロセスを含む。そのような化学的堆積プロセスには、数あるプロセスの中で特に、化学気相堆積(CVD)および原子層堆積(ALD)が含まれる。
【0003】
そのような化学的堆積プロセスは、アンプルなどの固体源、ガス源、または液体源から前駆体を供給することを含むことができる。例えば、前駆体は、アンプルからプロセスチャンバに供給され、前駆体は反応して、基板上に層またはサブ層を形成することができる。本発明者らは、とりわけ、センサ内での前駆体の堆積に起因して、徐々に、濃度センサが、不正確になり、ドリフトし、それにより、生のまたは較正された濃度センサ読み取り値のドリフトがもたらされるので、供給される前駆体の量が正しく特性化されないことがあることを観察した。不正確なもしくは未較正の濃度センサ、またはセンサドリフトの検出もしくは補償の遅延は、問題として、基板間で前駆体の供給の変動を引き起こし、それは、堆積された膜の均一性および再現性の変動をもたらす。
【0004】
本発明者らは、問題のある変動が異なる装置の2つ以上のセンサアセンブリ間で発生することがあることも観察した。2つ以上の堆積システムで頑強で均一な堆積を維持するには、一貫した較正が、複数のシステムの間で必要とされる。
【0005】
それゆえに、本発明者らは、前駆体供給のための濃度センサアセンブリを較正し、化学的堆積プロセスにおける前駆体を制御する改善された実施形態を提供した。
【発明の概要】
【0006】
堆積チャンバへの前駆体流量(precursor flow)を制御するための方法および装置が本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、堆積チャンバへの前駆体流量を制御する方法は、前駆体を堆積チャンバに流し込むように構成されたセンサアセンブリおよびガス供給システムを通して前駆体または化学標準を流すことと、センサアセンブリを通る前駆体または化学標準の流量に基づいてセンサアセンブリを較正することとを含む。
【0007】
いくつかの実施形態において、堆積チャンバへの前駆体流量を制御するための装置は、前駆体を出力するためのアンプルと、アンプルと通信可能に結合されたセンサアセンブリと、制御システムであり、この制御システムが、センサアセンブリを通る前駆体または化学標準の流れの間にセンサアセンブリを較正するように構成される、制御システムとを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、プロセッサによって実行されたとき、方法を実行させる命令が格納された非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体が提供され、この方法は、前駆体を堆積チャンバに流し込むように構成されたセンサアセンブリおよびガス供給システムを通して前駆体または化学標準を流すことと、センサアセンブリを通る前駆体または化学標準の流量に基づいてセンサアセンブリを較正することとを含む。
【0009】
本開示の他のおよびさらなる実施形態が以下で説明される。
【0010】
上述で簡潔に要約され、以下でより詳細に論じられる本開示の実施形態は、添付の図面に示される本開示の例示的な実施形態を参照することによって理解することができる。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示しており、それゆえに、本開示が他の等しく有効な実施形態を認めることができるので、範囲を限定すると考えられるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】本開示の実施形態による、化学的堆積のためにシステムを示す図である。
図1B図1Aのシステムの制御システムの1つの実施形態を示す図である。
図1C】本開示の実施形態による、化学的堆積のための別のシステムを示す図である。
図1D】本開示の実施形態による、化学的堆積のための別のシステムを示す図である。
図1E】本開示の実施形態による、化学的堆積のための別のシステムを示す図である。
図2A】本開示の実施形態によるセンサアセンブリの動作を示す図である。
図2B】本開示の実施形態によるセンサアセンブリの動作を示す図である。
図3】本開示の実施形態による例示的なプロセスフローを提示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
理解しやすくするために、同一の参照番号が、可能な場合、図に共通する同一の要素を指定するために使用されている。図は、縮尺通りに描かれておらず、明確にするために簡単化されていることがある。1つの実施形態の要素および特徴は、さらなる詳述なしに、他の実施形態に有益に組み込まれ得る。
【0013】
実施形態において、本開示は、堆積チャンバへの前駆体流量を制御するための方法および装置に関し、この装置は、前駆体を出力するためのアンプルと、アンプルと通信可能に結合されたセンサアセンブリと、制御システムであり、この制御システムが、センサアセンブリを通る前駆体または化学標準の流れの間にまたは流れによってセンサアセンブリを較正するように構成される、制御システムとを含む。実施形態において、方法および装置は、濃度センサの初期の精度と経時的な精度のドリフトとを測定し、その結果、センサ精度のドリフトを、半導体処理ツールの化学前駆体供給の実際のドリフトから分離するように構成される。実施形態において、濃度センサ装置の定期的な再較正は、センサ精度のドリフトを防止する。さらに、いくつかの実施形態において、濃度センサの精度のドリフトを補償するための方法が提供され、それにより、半導体処理中の化学前駆体供給の正確な制御、および/または予防的メンテナンスサイクル間の濃度センサ寿命の延長が可能になる。実施形態において、本開示は、化学標準を使用し、それと対照して濃度センサ精度を測定するように構成された方法および装置を含む。
【0014】
本明細書で説明される実施形態は、原子層堆積(ALD)プロセスなどの化学的堆積プロセスにおける前駆体の新しい処理および制御を提供する。ALDは、一般に、材料の所与の単層を堆積させるために2つ以上の反応物への順次暴露を含む。実施形態では、化学的堆積プロセスを実行して、酸化物、窒化物、炭化物、誘電体、半導体、または金属を含む任意の適切な材料を堆積させることができる。化学的堆積プロセスは、前駆体流量の制御を含むことができる。
【0015】
次に図1Aを参照すると、本開示による化学的堆積のためのシステム100が示される。実施形態では、システム100は、化学的堆積用に構成される。実施形態では、システム100は、堆積チャンバ110と呼ばれるプロセスチャンバにガス核種として一般に供給される少なくとも1つの前駆体を使用するように構成される。実施形態では、システム100を利用して、化学気相堆積(CVD)または原子層堆積(ALD)を実行することができる。実施形態は、この文脈に限定されない。システム100は、アンプル104などの供給源を含み、アンプル104は、固体、液体、またはガスを含むことができる。アンプル104は、高温に維持されて、ガス核種を生成することができ、この核種は、本明細書では前駆体と呼ばれ得る。アンプル104は、既知のCVDまたはALDシステムにおけるように、少なくとも1つのガス核種、場合によっては、多数のガス核種を堆積チャンバ110に導くように構成された供給システム114に結合され得る。例えば、供給システム114は、第1のガスライン70および第2のガスライン71などの複数のガスラインと、第1のバルブ80、第2のバルブ81、第3のバルブ82などのバルブと、流量コントローラ85などの流量コントローラとを含むことができる。供給システム114の少なくとも一部は、高温チャンバ106内に収容することができ、高温チャンバ106は正確に制御された等温環境に維持され、高温チャンバ106にとどまる前駆体は、同じ温度を有することが保証される。
【0016】
実施形態において、システム100は、前駆体を出力するためのアンプル104と、アンプル104と通信可能に結合されたセンサアセンブリ108と、制御システムであり、制御システム112が、センサアセンブリを通る前駆体または化学標準の流れの間にセンサアセンブリ108を較正するように構成される、制御システムとを含む、堆積チャンバへの前駆体流量を制御するための装置である。いくつかの実施形態では、センサアセンブリ108は、前駆体を含むアンプル104の下流に配置される。いくつかの実施形態では、センサアセンブリ108と、第1のガスライン70および第2のガスライン71などの1つまたは複数の供給ラインと、第1のバルブ80、第2のバルブ81、第3のバルブ82などのバルブと、流量コントローラ85などの流量コントローラとは、高温チャンバ106内にある。いくつかの実施形態では、システム100は、既知の濃度の前駆体を供給システムの密閉容積部に流し込むように構成された装置であり、密閉容積部は、センサアセンブリ108に流体連結された前駆体を含むアンプル104を含むかまたはそれから構成され、密閉容積部は等温である。実施形態において、供給システムの密閉容積部は、第1のバルブ80を閉じ、そして第3のバルブ82を閉じることによって作り出される内部容積部である。実施形態において、供給システムの密閉容積部は、ガス形態の前駆体材料が第2のバルブ81を通って流れることができるように、開位置での第2のバルブ81を含む。実施形態において、密閉容積部は、キャリアガス化学を含むリザーバなどの1つまたは複数の追加のチャンバをさらに含むことができる。
【0017】
実施形態において、システム100は、アンプル104と堆積チャンバ110との間の少なくとも1つの前駆体の流量をモニタするように構成されたセンサアセンブリ108をさらに含むことができる。センサアセンブリ108は、制御システム112に結合することができ、制御システム112は、情報または信号をユーザに出力し、ならびに温度、前駆体流量などを含むシステム100の動作パラメータを制御するための制御信号を送ることができる。制御システム112の一実施形態の詳細は、図1Bに示され、以下でさらに論じられる。
【0018】
実施形態において、制御システム112は、ハードウェアとソフトウェアの組合せで実現することができる。制御システム112は、様々なハードウェア要素、ソフトウェア要素、またはハードウェア/ソフトウェアの組合せを含むことができる。ハードウェア要素の例は、デバイス、論理デバイス、構成要素、プロセッサ、マイクロプロセッサ、回路、プロセッサ回路、回路要素(例えば、トランジスタ、抵抗器、キャパシタ、インダクタなど)、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、およびプログラマブル論理デバイス(PLD)を含むことができる。ハードウェア要素の例は、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、メモリユニット、論理ゲート、レジスタ、半導体デバイス、チップ、マイクロチップ、チップセットなどをさらに含むことができる。ソフトウェア要素の例は、ソフトウエアコンポーネント、プログラム、アプリケーション、コンピュータプログラム、アプリケーションプログラム、システムプログラム、ソフトウェア開発プログラム、マシンプログラム、オペレーティングシステムソフトウェア、ミドルウェア、ファームウェア、ソフトウェアモジュール、ルーチン、サブルーチン、および関数を含むことができる。ソフトウェア要素の例は、方法、手順、ソフトウェアインターフェース、アプリケーションプログラムインターフェース(API)、命令セット、コンピューティングコード、コンピュータコード、コードセグメント、コンピュータコードセグメント、ワード、値、記号、またはそれらの任意の組合せをさらに含むことができる。一実施形態がハードウェア要素および/またはソフトウェア要素を使用して実施されるかどうかの決定は、所与の実施態様で望まれるように、所望の計算レート、電力レベル、耐熱性、処理サイクルバジェット、入力データレート、出力データレート、メモリリソース、データバス速度、および他の設計または性能制約などの任意の数の要因によって変わってもよい。
【0019】
一例として、制御システム112は、様々なハードウェア出力を含むことができ、その出力は、システム100の他の構成要素を制御するための信号として具現化されてもよく、ユーザインターフェースで出力されるかまたは他の方法で出力されてもよい。いくつかの例では、ハードウェア出力は、以下で詳述するように、システム100の構成要素を制御するために制御システム112によって入力として利用され得る。一実施形態では、ハードウェア出力は、アンプル104の温度などの温度を含み、さらには、ガス圧力、前駆体濃度、およびヘルスモニタ(基準信号)も出力することができる。
【0020】
実施形態において、出力は、定期的に、断続的に、および同期して、または互いに別々に(時間的に)収集することができる。実施形態において、機能は、制御システム112によって実行することができる。機能の非限定の例には、ウエハに供給される前駆体フラックスをモデル化するためのチャンバフラックス(μmol/秒)、ウエハにわたる前駆体フラックスの合計のための統合チャンバフラックス(μmol)、アンプルの統合フラックス、アンプル交換の必要性を信号で知らせるための寿命末期の検出、欠陥を検出および分類するための欠陥検出、および濃度読み取り値を既知の前駆体濃度または既知の化学標準濃度と比較するときなどに濃度読み取り値のエラーを修復するための濃度検出が含まれる。
【0021】
図1Bを参照すると、実施形態において、制御システム112は、既知のタイプのマイクロプロセッサ、専用半導体プロセッサチップ、汎用半導体プロセッサチップ、または類似のデバイスなどのプロセッサ150を含むことができる。制御システム112は、プロセッサ150に結合されたメモリまたはメモリユニットの160をさらに含むことができ、メモリユニット160は、フラックス制御ルーチン162を含む。以下で詳述するように、フラックス制御ルーチン162は、プロセッサ150で機能して、システム100の前駆体フラックスまたは前駆体流量を制御することができる。いくつかの実施形態では、フラックス制御ルーチン162は、寿命末期プロセッサ164、エクスカーションプロセッサ166、詰まり検出プロセッサ168、温度制御プロセッサ170、および濃度較正プロセッサ172のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0022】
実施形態では、メモリユニット160は、製品を含む。1つの実施形態では、メモリユニット160は、光学、磁気、または半導体ストレージなどの非一時的コンピュータ可読媒体または機械可読媒体を含むことができる。ストレージ媒体は、本明細書に記載の論理フローのうちの1つまたは複数を実施するために、様々なタイプのコンピュータ実行命令を格納することができる。コンピュータ可読または機械可読ストレージ媒体の例は、揮発性メモリまたは不揮発性メモリ、取り外し可能または取り外し不能メモリ、消去可能または消去不能メモリ、書き込み可能または再書き込み可能メモリなどを含む、電子データを格納することができる有形の媒体を含むことができる。コンピュータ実行命令の例は、ソースコード、コンパイル済みコード、解釈済みコード、実行可能コード、静的コード、動的コード、オブジェクト指向コード、ビジュアルコードなどのような任意の適切なタイプのコードを含むことができる。実施形態は、この文脈に限定されない。
【0023】
いくつかの実施形態では、本開示は、プロセッサによって実行されたとき、方法を実行させる命令が格納された非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体を含み、この方法は、前駆体を堆積チャンバに流し込むように構成されたセンサアセンブリおよびガス供給システムを通して前駆体または化学標準を流すことと、センサアセンブリを通る前駆体または化学標準の流量に基づいてセンサアセンブリを較正することとを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、メモリユニット160は、システム100を操作するためのパラメータを含むシステムデータベース180を含むことができる。例示的なパラメータには、例えば、事前選択された化学標準または事前選択された前駆体のベースライン濃度センサアセンブリ値、ベースラインアンプル側温度およびベースラインアンプル底部温度が含まれ、これらのパラメータは、実行されるべき制御操作の開始点として設定することができる。制御の対象となる他のパラメータには、流量ならびに堆積時間が含まれ得る。プロセスの温度が安全範囲内にとどまることを保証するための限界を割り当てるために、追加のパラメータを使用することができ、そのパラメータはまたシステムデータベース180に格納することができる。これらのパラメータの中には、アンプル側温度最小値、アンプル側温度最大値、アンプル底部温度最小値、アンプル底部温度最大値、高温チャンバ温度、および前駆体劣化温度がある。
【0025】
実施形態において、センサアセンブリ108は、電磁放射、音響信号などを含む、前駆体をモニタするための好適な構成要素で構成することができる。実施形態は、この文脈に限定されない。センサアセンブリ108は、センサアセンブリ108を通して送信される適切な信号の信号強度の変化を測定することによって、前駆体フラックスまたは濃度を決定することができる。実施形態において、濃度は、例えば、全ガスのうちの前駆体の割合を含むことができる。センサアセンブリ108で検出することができる濃度の非限定の例は、ガス内に0.01~10000百万分率(ppm)の前駆体を含む。図2Aおよび図2Bを参照すると、センサアセンブリ108は、赤外、可視、または紫外光源などの光源120と、光源120に面する検出器122とを含むことができる。検出器122は、光源120に使用される放射源のタイプに適合した検出器とすることができる。センサアセンブリ108は、セル124として示されたチャンバをさらに含むことができ、セル124は、前駆体126がアンプル104から堆積チャンバ110に進むとき、前駆体126を受け取り、前駆体126を導くように構成される。図2Aのように、前駆体126がセル124に存在しないとき、検出器122はバックグラウンド信号などの信号を記録することができる。バックグラウンド信号は、光源120からの放射の波長の関数として、送出された(検出された)強度を表すことができる。いくつかの実施形態では、バックグラウンド信号は特徴がないことがある。前駆体126がセル124に存在するとき、前駆体は、光源120によって放出された放射を吸収することができ、検出器122は前駆体信号を記録する。実施形態において、前駆体信号はピークを示すことがあるが、前駆体信号は、いくつかの実施形態では多数のピークを含む多数の特徴を含むことがある。実施形態において、セル124に前駆体が存在すると、バックグラウンド信号とは対照的に、前駆体信号における検出放射の全体的強度が低下する可能性がある。実施形態において、バックグラウンド信号の記録、ならびに複数の例にわたる前駆体信号のモニタは、堆積プロセスの操作を制御するために利用される。
【0026】
図1Aに示されたものなどの実施形態では、センサアセンブリ108は、開いた化学前駆体アンプル104と、セル124をもつ濃度センサアセンブリなどのセンサアセンブリ108との両方を含む密閉容積部を作り出すことにより、静的条件下で、セル124の化学前駆体の濃度を決定する(図2B)ことによって較正または再較正され得る。密閉容積部の温度は正確に制御および測定され、実施形態では等温である。実施形態において、セル124をもつセンサアセンブリ108内の化学前駆体の濃度は、密封容積部の温度での化学前駆体の既知の蒸気圧から決定される。実施形態において、前駆体126による光吸収は、セル124内の前駆体126の分圧に正比例することができる。そのため、物理的モデリングを利用して、センサ精度のドリフトを考慮しながら前駆体信号の繰り返しの測定に基づいて多数の例で前駆体フラックスを計算することができ、それによって、化学前駆体供給の実際のドリフトを低減または排除することにより、前駆体126を含む化学的堆積プロセスのより良好な制御が容易になる。前駆体フラックスの測定に加えて、セル124の全圧などのセル圧力も測定することができる。
【0027】
図1Aに戻って参照すると、既知の濃度の化学前駆体は流量コントローラ85、第1のガスライン70、第1のバルブ80、アンプル104、第2のガスライン71、第2のバルブ81、センサアセンブリ108、第3のバルブ82、およびオプションとしてキャリアガス化学を含むリザーバなどの1つまたは複数の追加のチャンバを通って供給システム114に流れ込むことができる。実施形態において、第1のバルブ80および第3のバルブ82を閉じて、開いたアンプル104と、濃度センサアセンブリなどのセンサアセンブリ108とを含む密閉容積部を、第1のバルブ80と第3のバルブ82との間に作り出す。実施形態において、密閉容積部は、静的条件下で既知の濃度の化学前駆体を含む。実施形態において、第1のバルブと第3のバルブ82との間の密閉容積部は、高温チャンバ106内に収容されており、高温チャンバ106は、正確に制御された等温環境に維持され、高温チャンバ106内の前駆体は同じ温度を有することが保証される。次いで、実施形態において、センサセル内の化学前駆体の濃度は、密封容積部の温度での化学前駆体の既知の蒸気圧から推定することができる。決定された化学前駆体の濃度に基づいて、センサアセンブリ108は、較正されるか、再較正されるか、オンツールでの較正検証を有することができる。実施形態において、センサアセンブリ108を較正することにより、とりわけ、センサアセンブリ108の寿命にわたってセンサアセンブリ108内に前駆体が堆積されることに起因するセンサドリフトが補償される。オンツールでのセンサアセンブリ108の較正は、前駆体126を含む化学的堆積プロセスのより良好な制御を促進する。
【0028】
次に図1Cを参照すると、本開示の実施形態による化学的堆積のための別のシステムが示される。実施形態では、システム100は、本開示の実施形態による化学的堆積用に構成される。実施形態では、システム100は、堆積チャンバ110などのプロセスチャンバにガス核種として一般に供給される少なくとも1つの前駆体を使用するように構成される。実施形態では、システム100を利用して、化学気相堆積(CVD)または原子層堆積(ALD)を実行することができる。実施形態では、システム100は、アンプル104などの供給源を含み、アンプル104は、固体、液体、またはガスを含むことができる。アンプル104は、高温に維持されて、ガス核種を生成することができ、この核種は、本明細書では前駆体と呼ばれ得る。アンプル104は、既知のCVDまたはALDシステムにおけるように、少なくとも1つのガス核種、場合によっては、多数のガス核種を堆積チャンバ110に導くように構成された供給システムに結合され得る。例えば、供給システムは、第1のガスライン70および第2のガスライン71などの複数のガスラインと、第1のバルブ80、第2のバルブ81、第3のバルブ82、第4のバルブ83などのバルブと、流量コントローラ85などの流量コントローラとを含むことができる。実施形態において、システム100は、上述のようなセンサアセンブリ108を含む。センサアセンブリ108は、制御システム112に結合することができ、制御システム112は、情報または信号をユーザに出力し、ならびに温度、前駆体流量などを含むシステム100の動作パラメータを制御するための制御信号を送ることができる。制御システム112の一実施形態の詳細は上述されている。実施形態において、第1の圧力センサ51が、流量コントローラ85と第1のバルブ80との間の第1のガスライン70に置かれる。実施形態において、第2の圧力センサ52が、センサアセンブリ108の下流および堆積チャンバ110の上流の第2のガスライン71に置かれる。実施形態において、第4のバルブ83を第1のバルブ80と第2のバルブ81との間に置いて、所望のとき、第4のバルブ84を開けることにより第1のバルブ80と第2のバルブ81との間に形成されたバイパス経路によってアンプル104をバイパスするように供給システムを構成する。実施形態において、第4のバルブを閉じて、供給ラインを構成し、それによって、第1のバルブ80と第2のバルブ81との間に通過アンプル経路を形成することができる。
【0029】
実施形態において、流動条件下での化学前駆体の既知の濃度が、アンプル104を通って流れるとき対アンプル104をバイパスするときのアンプル104の両端の定常状態圧力変化を測定することによってセンサアセンブリ108に提供され得る。他の実施形態は、流量の変化を決定するために、プロセスチャンバまたは一定容積内の圧力上昇の速さの変化を測定することを含むことができる。いくつかの実施形態では、アンプル104からの前駆体の流量が決定される。実施形態において、第1の圧力センサ51または第2の圧力センサ52などの1つまたは複数の圧力センサと、流量コントローラ85とが、圧力変化を測定するために含まれる。実施形態において、前駆体濃度は、アンプル104をバイパスさせて供給ラインを通して複数(3つ以上)の異なる定常状態の流れを流し、例えば、第2の圧力センサ52を用いて圧力を測定することにより定常状態の流れの間のアンプル104の下流の平均圧力を測定し、バイパス経路と通過アンプル経路との間の測定された流量または流量の変化の機能マッピングを生成し、アンプル104の前駆体からの追加の流量を推定するためにモデル化することによって推定することができる。実施形態において、全流量は、キャリア流量と前駆体流量を加えた流量である。実施形態において、濃度は、全流量のうちの前駆体流量の割合として計算される。決定された化学前駆体の濃度に基づいて、センサアセンブリ108は、較正されるか、再較正されるか、オンツールでの較正検証を有することができる。実施形態において、センサアセンブリ108を較正することにより、センサアセンブリ108の寿命にわたってセンサアセンブリ108内に前駆体が堆積されることに起因するセンサドリフトが補償される。オンツールでのセンサアセンブリ108の較正は、前駆体126を含む化学的堆積プロセスのより良好な制御を促進する。
【0030】
実施形態において、システム100は、堆積チャンバへの前駆体流量を制御するための装置を含み、この装置は、前駆体を出力するためのアンプル104と、アンプル104と通信可能に結合されたセンサアセンブリ108と、制御システム112であり、制御システム112が、センサアセンブリを通る前駆体または化学標準の流れの間にセンサアセンブリ108を較正するように構成される、制御システム112とを含む。実施形態において、センサアセンブリ108は、前駆体を含むアンプル104の下流に配置される。実施形態において、第1の圧力センサ51は、センサアセンブリ108の上流にあり、第2の圧力センサ52は、センサアセンブリ108の下流にある。いくつかの実施形態では、システム100は、センサアセンブリ108の上流のバイパス経路(第1のバルブ80と第2のバルブ81との間の)を含む前駆体経路のための1つまたは複数の供給ラインを含むガス供給システムなどの供給システム114をさらに含む。
【0031】
次に図1Dを参照すると、本開示の実施形態による化学的堆積のための別のシステムが示される。実施形態では、システム100は、堆積チャンバ110と呼ばれるプロセスチャンバにガス核種として一般に供給される少なくとも1つの前駆体を使用するように構成される。実施形態では、システム100を利用して、化学気相堆積(CVD)または原子層堆積(ALD)を実行することができる。実施形態では、システム100は、アンプル104などの供給源を含み、アンプル104は、固体、液体、またはガスを含むことができる。アンプル104は、高温に維持されて、ガス核種を生成することができ、この核種は、本明細書では前駆体と呼ばれ得る。アンプル104は、既知のCVDまたはALDシステムにおけるように、少なくとも1つのガス核種、場合によっては、多数のガス核種を堆積チャンバ110に導くように構成された供給システム114に結合され得る。例えば、供給システム114は、第1のガスライン70、第2のガスライン71、第3のガスライン72などの複数のガスラインと、第1のバルブ80、第2のバルブ81、第3のバルブ82などのバルブと、センサアセンブリ108の上流の第3のガスライン72と通信する流量コントローラ85および第2の流量コントローラ86などの流量コントローラとを含むことができる。実施形態において、システム100は、上述のようなセンサアセンブリ108を含む。センサアセンブリ108は、制御システム112に結合することができ、制御システム112は、情報または信号をユーザに出力し、ならびに温度、前駆体流量などを含むシステム100の動作パラメータを制御するための制御信号を送ることができる。制御システム112の一実施形態の詳細は上述されている。実施形態において、化学標準を含む較正ガスは、矢印93で第3のガスライン72に入ることができる。実施形態において、キャリアガスは、矢印92で第1のガスライン70に入ることができる。
【0032】
図1Dに開示されたものなどの実施形態では、流動条件下の化学標準を含む既知の濃度の較正ガスが、供給ライン77を介してセンサアセンブリ108に入り込むことができ、センサ読み取り値が、化学標準に基づいて得られることになる。実施形態において、化学標準を含む較正ガスは、ターゲット化学前駆体ガスの代りに使用される。実施形態において、本開示に従って使用するための好適な較正ガスには、類似する吸収スペクトルおよび/または類似する分圧依存性を有することによりターゲット化学前駆体に化学的に類似する前駆体ガス核種などの化学標準が含まれる。実施形態において、化学標準は、例えば、ターゲット前駆体に類似する吸収スペクトルを有する化学核種または成分が事前選択される。実施形態において、ターゲット前駆体は、堆積のための所望の前駆体である。実施形態において、較正ガスおよびその中の化学標準は、予想されるプロセス条件下でガス状であり、マスフローコントローラなどの第2の流量コントローラ86を通して導入され、それで、既知のおよび適切に制御された濃度の較正ガスおよび化学標準が、センサアセンブリ108に導入される。
【0033】
図1Dの実施形態において、センサアセンブリ108は、前駆体供給システムへの設置に際して、較正ガスを使用して較正することができる。較正ガスは、前駆体とスペクトル的に類似した化学標準を含むので、較正ガスを使用して、センサアセンブリ108における小さいエラーを修正するか、または既知の濃度の較正ガスと対照して生のセンサ読み取り値を較正することができる。実施形態において、センサアセンブリ108の較正を修正することは、センサタイプと、オリジナルのセンサ較正方法とに依存することになり、オリジナルのセンサ較正方法には、ある範囲の濃度、温度、および圧力条件でセンサアセンブリ108をテストすることと、既知の較正ガス濃度とセンサアセンブリ108の読み取り値との間の機能マッピングを作り出すこととが含まれる。実施形態において、センサ濃度読み取り値は、f(較正ガス濃度、圧力、温度)に等しい。いくつかの実施形態では、定期的に、化学標準を含む既知の濃度の較正ガスがセンサアセンブリ108に導入されることになり、予想される読み取り値または初期のベースライン読み取り値からの読み取り値のドリフトが測定されることになる。実施形態において、オリジナルのセンサアセンブリ108のセンサ較正の濃度からの測定濃度の変化は、光学構成要素の経時変化、センサアセンブリ108内の光路への化学物質の堆積、または何か他のエラーに起因する読み取り値のドリフトからのものであろう。
【0034】
実施形態において、堆積チャンバへの前駆体流量を制御するための装置は、前駆体を出力するためのアンプル104と、アンプル104と通信可能に結合されたセンサアセンブリ108と、制御システム112であり、制御システム112が、センサアセンブリを通る前駆体または化学標準の流れの間にセンサアセンブリを較正するように構成される、制御システム112とを含む。実施形態において、センサアセンブリ108は、前駆体を含むアンプル104の下流に配置される。実施形態において、センサアセンブリ108は、マスフローコントローラなどの第2の流量コントローラ86を含む供給ライン77の下流に配置され、化学標準は、矢印93で供給ラインに較正ガスで供給される。いくつかの実施形態では、システム100は、既知の濃度の化学標準をセンサアセンブリに流し込み、化学標準をセンサアセンブリで測定するように構成された装置である。実施形態において、化学標準は事前選択される。
【0035】
次に図1Eを参照すると、本開示の実施形態による化学的堆積のための別のシステムが示される。実施形態では、システム100は、堆積チャンバ110と呼ばれるプロセスチャンバにガス核種として一般に供給される少なくとも1つの前駆体を使用するように構成される。実施形態では、システム100を利用して、化学気相堆積(CVD)または原子層堆積(ALD)を実行することができる。実施形態では、システム100は、アンプル104などの供給源を含み、アンプル104は、固体、液体、またはガスを含むことができる。アンプル104は、高温に維持されて、ガス核種を生成することができ、この核種は、本明細書では前駆体と呼ばれ得る。アンプル104は、既知のCVDまたはALDシステムにおけるように、少なくとも1つのガス核種、場合によっては、多数のガス核種を堆積チャンバ110に導くように構成された供給システム114に結合され得る。例えば、供給システムは、第1のガスライン70、第2のガスライン71などの複数のガスラインと、第1のバルブ80、第2のバルブ81、第3のバルブ82などのバルブと、アンプル104の上流の第1のガスライン70と通信する流量コントローラ85などの流量コントローラとを含むことができる。実施形態において、システム100は、上述のようなセンサアセンブリ108を含む。センサアセンブリ108は、制御システム112に結合することができ、制御システム112は、情報または信号をユーザに出力し、ならびに温度、前駆体流量などを含むシステム100の動作パラメータを制御するための制御信号を送ることができる。制御システム112の一実施形態の詳細は上述されている。実施形態において、キャリアガスは、矢印92で第1のガスライン70に入ることができる。実施形態において、トラップ113が、センサアセンブリ108の下流に置かれる。
【0036】
図1Eの実施形態は、流動条件下で未知の濃度の前駆体をセンサアセンブリ108に導入し、続いて、センサアセンブリ108の下流のトラップ113ですべての化学前駆体を収集し、全質量を測定することによって、センサアセンブリ108を通る化学前駆体の全流量を測定するように構成することができる。実施形態において、方法は、長期間にわたり一定のキャリアガス流を維持することと、センサアセンブリ108からの平均濃度センサ信号を測定することとを含む。予想される全前駆体流量は、センサアセンブリ108を通る全キャリア流量と、平均濃度センサアセンブリ読み取り値とから決定され、トラップ113に収集された化学前駆体の全質量に対して検証され得る。全前駆体流量は、アンプル質量の全変化から決定することもできる。
【0037】
次に図3を参照すると、本開示の実施形態によるプロセスフローが、堆積チャンバへの前駆体流量を制御する方法のためのプロセスシーケンス300として示される。プロセスシーケンス302において、この方法は、前駆体を堆積チャンバに流し込むように構成されたセンサアセンブリおよびガス供給システムを通して前駆体または化学標準を流すことを含む。プロセスシーケンス304において、この方法は、センサアセンブリを通る前駆体または化学標準の流量に基づいてセンサアセンブリを較正することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、センサアセンブリが前駆体を含むアンプルの下流に配置されることを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、センサアセンブリがマスフローコントローラと化学標準とを含む供給ラインの下流に配置されることを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、センサアセンブリがトラップの上流に配置されることを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、センサアセンブリおよび1つまたは複数の供給ラインが高温チャンバ内にあることを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、第1の圧力センサがセンサアセンブリの上流に置かれ、第2の圧力センサがセンサアセンブリの下流にあることを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、既知の濃度の前駆体を供給システムの密閉容積部に流し込むことを含み、密閉容積部は、センサアセンブリに流体連結された前駆体を含むアンプルを含み、密閉容積部は等温である。いくつかの実施形態では、この方法は、既知の濃度の化学標準をセンサアセンブリに流し込むことと、化学標準をセンサアセンブリで測定することとを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、化学標準を事前選択することを含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、本開示は装置に関し、この装置は、プロセッサと、プロセッサに結合され、濃度制御ルーチンを含むメモリユニットであり、濃度制御ルーチンが、プロセッサで機能して、前駆体濃度をモニタし、濃度制御ルーチンが、前駆体を堆積チャンバに供給するように構成されたガス供給システムのセンサアセンブリに流れ込む前駆体または化学標準に基づいて、前駆体濃度ドリフト値を決定するための濃度ドリフト計算プロセッサを含む、メモリユニットとを含む。いくつかの実施形態では、濃度ドリフト計算プロセッサは、既知の濃度前駆体を供給システムの密閉容積部に流し込むことによって、前駆体濃度値を決定し、密閉容積部は、センサアセンブリに流体連結された前駆体を含むアンプルを含み、密閉容積部は等温である。いくつかの実施形態では、前駆体濃度値は、密閉容積部の温度での化学標準の既知の蒸気圧から決定される。いくつかの実施形態では、濃度ドリフト計算プロセッサは、全流量のうちの前駆体流量の割合として前駆体濃度値を決定する。いくつかの実施形態では、濃度ドリフト計算プロセッサは、複数の定常状態流れをバイパスバルブを通して流し、アンプルの下流の平均圧力を測定し、バイパス経路とアンプル経路との間の測定された流量または流量の変化のマッピングを生成し、アンプル内の前駆体からの流量を決定することによって全流量のうちの前駆体流量の割合として前駆体濃度値を決定する。いくつかの実施形態では、濃度ドリフト計算プロセッサは、既知の濃度の化学標準をセンサアセンブリに流し込み、化学標準をセンサアセンブリで測定することによって前駆体濃度値を決定する。実施形態において、化学標準は事前選択される。いくつかの実施形態では、濃度ドリフト計算プロセッサは、ガス供給システムを通過した前駆体の全質量を測定することによって前駆体濃度値を決定する。
【0039】
前述は本開示の実施形態に関するが、本開示の他のおよびさらなる実施形態が、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく考案され得る。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図3