(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-27
(45)【発行日】2025-04-04
(54)【発明の名称】直接接合
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20250328BHJP
H01L 21/52 20060101ALI20250328BHJP
【FI】
H01L21/60 311Q
H01L21/52 A
(21)【出願番号】P 2024568323
(86)(22)【出願日】2024-04-22
(86)【国際出願番号】 JP2024015690
(87)【国際公開番号】W WO2024225211
(87)【国際公開日】2024-10-31
【審査請求日】2024-12-02
(31)【優先権主張番号】P 2023070706
(32)【優先日】2023-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591021028
【氏名又は名称】奥野製薬工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 寛生
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 佳
(72)【発明者】
【氏名】岩本 由香
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 典彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 竜士
(72)【発明者】
【氏名】張 政
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 克昭
(72)【発明者】
【氏名】末武 愛士
(72)【発明者】
【氏名】八甫谷 明彦
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-069299(JP,A)
【文献】特開2018-160589(JP,A)
【文献】特開2017-140639(JP,A)
【文献】国際公開第2018/155633(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H01L 21/52
B23K 20/00
H01L 25/07
H01L 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合構造体であって、
構造体1と構造体2とが金属めっき皮膜を介して接合されており、
前記金属めっき皮膜は、2層以上の金属めっき皮膜を有する積層構造であり、
前記金属めっき皮膜の積層構造は、無電解Ni-Pめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-Bめっき/無電解Agめっき、無電解Co-Pめっき/無電解Agめっき、無電解Co-Bめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-Co-Pめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-Co-Bめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-W-Pめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-Mo-Bめっき/無電解Agめっき、無電解Co-W-Pめっき/無電解Agめっき、無電解Co-Mo-Bめっき/無電解Agめっき、無電解Fe-Bめっき/無電解Agめっき、無電解Inめっき/無電解Agめっき、無電解Snめっき/無電解Agめっき、無電解Ptめっき/無電解Agめっき、無電解Ruめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-Pめっき/無電解Pdめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-Pめっき/無電解Co-Pめっき/無電解Agめっき、又は無電解Ni-Pめっき/電気Agめっきである、
接合構造体。
【請求項2】
前記接合構造体は、
前記構造体1と
前記構造体2とが
前記金属めっき皮膜を介して、ヒロックに依り直接接合されている、請求項1に記載の接合構造体。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の接合構造体を含む、物品。
【請求項4】
前記構造体1、及び前記構造体2は、ICチップ、プリント基板、半導体ウエハ、半導体チップ、バンプ、ダイアタッチ材、DBA基板、DBC基板、セラミック基板、冷却フィン、ヒートシンク、リードフレーム、受動素子、又は鉄シャフトである、請求項
3に記載の物品。
【請求項5】
接合構造体の製造方法であって、
(1)構造体1上に、金属めっき皮膜1を形成する工程、
(2)構造体2上に、金属めっき皮膜2を形成する工程、
(3)(i)工程(1)で形成した前記金属めっき皮膜1と工程(2)で形成した前記金属めっき皮膜2とが接触する様に、或は、
(ii)工程(1)で形成した前記金属めっき皮膜1と工程(2)で形成した前記金属めっき皮膜2とで介する様に、
(iii)前記構造体1と前記構造体2とを対向して重ねて、積層
し、積層体を形成する工程、
(4)工程(3)で形成した前記積層体を加熱し、前記金属めっき皮膜1と前記金属めっき皮膜2とを、前記金属めっき皮膜にヒロックを発生させて、直接接合する工程、を含み、
前記金属めっき皮膜1と前記金属めっき皮膜2とは、2層以上の金属めっき皮膜を有する積層構造を形成し、
前記金属めっき皮膜の積層構造は、無電解Ni-Pめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-Bめっき/無電解Agめっき、無電解Co-Pめっき/無電解Agめっき、無電解Co-Bめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-Co-Pめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-Co-Bめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-W-Pめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-Mo-Bめっき/無電解Agめっき、無電解Co-W-Pめっき/無電解Agめっき、無電解Co-Mo-Bめっき/無電解Agめっき、無電解Fe-Bめっき/無電解Agめっき、無電解Inめっき/無電解Agめっき、無電解Snめっき/無電解Agめっき、無電解Ptめっき/無電解Agめっき、無電解Ruめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-Pめっき/無電解Pdめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-Pめっき/無電解Co-Pめっき/無電解Agめっき、又は無電解Ni-Pめっき/電気Agめっきである、
接合構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直接接合に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子を実装する工程において、半導体素子と基板とは、接合材に依って接合される。半導体素子は、例えば、次世代パワー半導体素子(シリコンカーバイド半導体、ガリウムナイトライド半導体等)が用いられる。
【0003】
特許文献1は、基板と、金属膜と、半導体素子と、前記基板と前記金属膜との間及び前記金属膜と前記半導体素子との間の内の少なくとも一方に設けられた接着層とを含む接合構造体であり、前記金属膜を構成する金属はストレスマイグレーションによって拡散しており、前記基板と前記半導体素子とが前記金属膜を介して接合されている、接合構造体を開示する。特許文献1は、基板と、第一金属膜と、熱応力吸収材と、第二金属膜と、半導体素子とを、この順に含む接合構造体であり、前記第一金属膜を構成する金属及び前記第二金属膜を構成する金属の少なくとも一方はストレスマイグレーションによって拡散しており、前記基板と前記熱応力吸収材とが前記第一金属膜を介して接合されており、前記半導体素子と前記熱応力吸収材とが前記第二金属膜を介して接合されている、接合構造体を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、新たに、直接接合に依る接合構造体の製造技術を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従来のはんだ接合技術は、微細なCuピラーの接合に対して、はんだブリッジが懸念されるため使用出来ない。
【0007】
従来、ハイブリッドボンディグ技術では、(i)真空下、無加圧、高温(300℃~400℃、2時間)での接合技術である事、(ii)クリーンルームが必要である事、(iii)CMP(Chemical Mechanical Polishing)に依る平坦化が必要である事、(vi)高額なボンディグ装置が必要である事等、高負荷、高コストを要した。また、微細なCuピラー接合には高負荷な接合条件のため適応が難しい。
【0008】
従来(特許文献1)、スパッタリング処理により形成した金属膜(Ag若しくはCu)に依り、ストレスマイグレーションを利用した直接接合は可能であったが、スパッタ法では、選択的に、金属膜を形成する事は難しかった。
【0009】
本発明は、次の直接接合(ダイレクトボンディングとも言う)の技術を包含する。
【0010】
項1.
構造体1と構造体2とが金属めっき皮膜を介して接合されている接合構造体。
【0011】
項2.
前記構造体1上に金属めっき皮膜1を有し、
前記構造体2上に金属めっき皮膜2を有し、
前記構造体1と前記構造体2とが、前記金属めっき皮膜1と前記金属めっき皮膜2とを介して接合されている、前記項1に記載の接合構造体。
【0012】
項3.
前記金属めっき皮膜は、2層以上の金属めっき皮膜を有する積層構造である、前記項1に記載の接合構造体。
【0013】
項4.
接合構造体の製造方法であって、
(1)構造体1上に、金属めっき皮膜1を形成する工程、
(2)構造体2上に、金属めっき皮膜2を形成する工程、
(3)(i)工程(1)で形成した前記金属めっき皮膜1と工程(2)で形成した前記金属めっき皮膜2とが接触する様に、或は、
(ii)工程(1)で形成した前記金属めっき皮膜1と工程(2)で形成した前記金属めっき皮膜2とで介する様に、
(iii)前記構造体1と前記構造体2とを対向して重ねて、積層する工程、
(4)工程(3)で形成した前記積層体を加熱し、前記金属めっき皮膜1と前記金属めっき皮膜2とを直接接合する工程、を含む、接合構造体の製造方法。
【0014】
本発明の無電解、若しくは電解めっきに依り形成した金属めっき皮膜のヒロックを利用した接合技術は、(i)大気下、無加圧(低加圧)、低温(150℃~250℃、30分間程度)で、金属めっき皮膜同士をヒロックに依り直接接合する技術である事、(ii)クリーンルームが不要である事、(iii)CMPが不要である事、(vi)はんだブリッジが無く、接合条件が低負荷である事から微細なCuピラー接合に適応可能である事、(v)ヒートシンク、DBC(Direct Bonded Copper)基板、ICチップ接合等、大面積接合への応用が期待出来る事、(vi)無電解、若しくは電解めっきは、選択的、且つ大物品、及び立体品への金属めっき皮膜の形成を可能とする為、幅広い分野の物品、及び材質において、金属めっき皮膜同士を介した直接接合を可能とする事等の利点が有り、低負荷、及び低コストな、金属めっき皮膜のヒロックを利用した直接接合技術である。
【0015】
本発明は、例えば、基板(プリント基板、半導体ウエハ、半導体チップ等)で、接合する為の接合剤(はんだや金属焼結材)を必要とせず、金属めっき皮膜同士を、熱処理(低温:150℃~250℃程度、低加圧:0.1MPa~0.4MPa程度、若しくは無加圧、30分間程度)する事に依り、直接接合する事が出来る。
【0016】
本発明の接合技術は、半導体実装に有用である。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、新たに、直接接合に依る接合構造体の製造技術を提供する事が出来る。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0019】
本発明を表す実施の形態は、発明の趣旨がより良く理解出来る説明であり、特に指定のない限り、発明内容を限定するものではない。
【0020】
本明細書において、「含む」及び「含有」は、「含む(comprise)」、「実質的にのみから成る(consist essentially of)」、及び「のみから成る(consist of)」の何れも包含する概念である。
【0021】
本明細書において、数値範囲を「A~B」で示す場合、「A以上、B以下」を意味する。
【0022】
本明細書において、一般に、部、%等の表示を使用する。
【0023】
本明細書において、特に断りがない限り、質量部又は質量%(wt%)を表す。
【0024】
[1]接合構造体
特許文献1のスパッタリング処理(Sputter deposition、真空蒸着に依る薄膜製造)では、選択的な金属膜の形成、大物品、及び立体品への金属膜の形成は困難であった。
【0025】
本発明の接合構造体は、構造体1と構造体2とが金属めっき皮膜を介して接合されている。
【0026】
本発明の接合構造体では、好ましくは、構造体1上に金属めっき皮膜1を有し、構造体2上に金属めっき皮膜2を有し、構造体1と構造体2とが、金属めっき皮膜1と金属めっき皮膜2とを介して接合されている。
【0027】
本発明の直接接合は、無電解、若しくは電解めっきに依り形成した金属めっき皮膜同士の接合技術である。無電解、若しくは電解めっきは、選択的、且つ大物品、及び立体品への金属めっき皮膜の形成を可能とする為、本発明の直接接合技術は、幅広い分野の物品において、金属めっき皮膜同士を介した直接接合を可能とする。
【0028】
構造体1、及び2
本発明の直接接合の技術において、接合構造体は、構造体1と構造体2とが金属めっき皮膜を介して接合されている。
【0029】
構造体1、及び構造体2は、好ましくは、金属めっきを施す事が出来る材料(被めっき素材)である。被めっき素材としては、Cuに加えて、真鍮、リン青銅、コルソン合金等のCu合金、また、Al、Mg、Fe、Ni、Pd、Ag、Au、Co、W、Mo、Pt、Si等に加えて、それらの合金等、公知の技術で金属めっき皮膜を形成する事が出来る金属材質の材料である。
【0030】
また、公知の技術を使用すれば、非金属に対しても無電解めっきに依り、金属めっき皮膜を形成する事が出来る為、非金属に対しても本発明の直接接合技術を応用する事が出来る。
【0031】
構造体1、及び構造体2は、例えば、バンプ(Cuバンプ等)に加えて、ダイアタッチ材(半導体素子(Die)をダイボンダ固着する材料)、DBA(Direct Bonded Aluminum)基板、DBC基板、セラミック基板、冷却フィン、ヒートシンク(heat sink、放熱、及び排熱を目的として機器に取り付けられる部品)、リードフレーム(lead frame、IC、LSI等の半導体パッケージに使われ、半導体素子(半導体チップ)を支持固定し、外部配線との接続をする部品)、受動素子(Passive element、供給された電力を消費、蓄積、及び放出する素子)、鉄シャフト等、金属めっき皮膜を施す事が出来る全ての物品、及び材質に適用する事が出来る。
【0032】
金属めっき皮膜(金属めっき皮膜1、及び2を含む)
本発明は、金属めっき皮膜同士の直接接合の方法である。本発明は、被めっき素材(金属、若しくは非金属)の表面上に、めっき処理を実施し、形成した金属めっき皮膜同士を、熱処理に依り発生するヒロックを利用して直接接合する方法である。
【0033】
金属めっき皮膜は、単層であっても良いし、複数の金属めっき皮膜が積層された構成であっても良い。
【0034】
本発明の接合構造体は、好ましくは、構造体1上に金属めっき皮膜1を有し、構造体2上に金属めっき皮膜2を有し、構造体1と構造体2とが、金属めっき皮膜1と金属めっき皮膜2とを介して接合されている。
【0035】
金属めっき皮膜を構成する金属は、好ましくは、ニッケル、コバルト、鉄、インジウム、スズ、パラジウム、金、白金、ルテニウム、銀、銅、タングステン、モリブデン、レニウム、亜鉛、アルミニウム、及びそれら金属の合金であり、より好ましくは、ニッケル、コバルト、パラジウム、銀、タングステン、モリブデンおよびそれら金属の合金等である。
【0036】
また、金属めっき皮膜中にはめっき液中の成分に応じた元素が共析する。例えば、還元剤にホウ素含有化合物、及び/又はリン含有化合物、及び/又は窒素含有化合物を含む場合、金属めっき皮膜中にホウ素、及び/又はリン、及び/又は窒素が共析される。
【0037】
金属めっき皮膜は、単層の金属めっき皮膜の構成、或は複数の金属めっき皮膜が積層された構成を有する。
【0038】
金属めっき皮膜は、好ましくは、複数の金属めっき皮膜が積層された構成を有し、より好ましくは、2層以上の金属めっき皮膜を有する積層構造である。金属めっき皮膜が、複数の金属膜が積層された構成を有する場合、それら複数の金属膜を構成する金属は、各々、同じ種類の金属であっても良いし、異なる種類の金属であっても良い。
【0039】
例えば、構造体1、及び2上にニッケル、及び銀の積層構造を形成し、夫々の積層構造の銀の層が接触する様に、構造体1に構造体2を積層させた積層体を製造し、接合構造体を作製しても良い。
【0040】
金属めっき皮膜が2層以上の積層構造である時、下層(構造体に近い側の層)の金属めっき皮膜は、好ましくは、無電解Ni-Pめっき、無電解Ni-Bめっき、無電解Co-Pめっき、無電解Co-Bめっき、無電解Ni-Co-Pめっき、無電解Ni-Co-Bめっき、無電解Ni-W-Pめっき、無電解Ni-Mo-Bめっき、無電解Co-W-Pめっき、無電解Co-Mo-Bめっき、無電解Fe-Bめっき、無電解Inめっき、無電解Snめっき、無電解Pdめっき、無電解Auめっき、無電解Ptめっき、無電解Ruめっき、無電解Agめっき、無電解Cuめっき、電気Niめっき、電気Coめっき、電気Agめっき等である。
【0041】
金属めっき皮膜が2層以上の積層構造である時、下層(構造体に近い側の層)の金属めっき皮膜は、より好ましくは、無電解Ni-Pめっき、無電解Ni-Bめっき、無電解Co-Pめっき、無電解Co-Bめっき、無電解Ni-Co-Pめっき、無電解Ni-Co-Bめっき、無電解Ni-W-Pめっき、無電解Ni-Mo-Bめっき、無電解Co-W-Pめっき、無電解Co-Mo-Bめっき、無電解Pdめっき、電気Niめっき、電気Coめっき等である。
【0042】
金属めっき皮膜が2層以上の積層構造である時、上層(最表層)の金属めっき皮膜は、好ましくは、無電解Agめっき、無電解Auめっき、無電解Snめっき、無電解Cuめっき、無電解Pdめっき、無電解Ptめっき、無電解Ruめっき等である。
【0043】
金属めっき皮膜が2層以上の積層構造である時、上層(最表層)の金属めっき皮膜は、より好ましくは、無電解Agめっきである。
【0044】
複数の金属めっき皮膜が積層された構成(下層の金属めっき皮膜/上層の金属めっき皮膜)は、好ましくは、無電解Ni-Pめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-Bめっき/無電解Agめっき、無電解Co-Pめっき/無電解Agめっき、無電解Co-Bめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-Co-Pめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-Co-Bめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-W-Pめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-Mo-Bめっき/無電解Agめっき、無電解Co-W-Pめっき/無電解Agめっき、無電解Co-Mo-Bめっき/無電解Agめっき、無電解Fe-Bめっき/無電解Agめっき、無電解Inめっき/無電解Agめっき、無電解Snめっき/無電解Agめっき、無電解Pdめっき/無電解Agめっき、無電解Auめっき/無電解Agめっき、無電解Ptめっき/無電解Agめっき、無電解Ruめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-Pめっき/無電解Auめっき、無電解Ni-Pめっき/無電解Snめっき、無電解Ni-Pめっき/無電解Cuめっき、無電解Ni-Pめっき/無電解Pdめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-Pめっき/無電解Co-Pめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-Pめっき/電気Agめっき、電気Niめっき/電気Agめっき、電気Coめっき/電気Agめっき等を含む、金属めっき皮膜の積層構成である。
【0045】
複数の金属めっき皮膜が積層された構成(下層の金属めっき皮膜/上層の金属めっき皮膜)は、より好ましくは、無電解Ni-Pめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-Bめっき/無電解Agめっき、無電解Co-Pめっき/無電解Agめっき、無電解Co-Bめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-Co-Pめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-Co-Bめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-W-Pめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-Mo-Bめっき/無電解Agめっき、無電解Co-W-Pめっき/無電解Agめっき、無電解Co-Mo-Bめっき/無電解Agめっき、無電解Fe-Bめっき/無電解Agめっき、無電解Inめっき/無電解Agめっき、無電解Snめっき/無電解Agめっき、無電解Pdめっき/無電解Agめっき、無電解Auめっき/無電解Agめっき、無電解Ptめっき/無電解Agめっき、無電解Ruめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-Pめっき/無電解Pdめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-Pめっき/無電解Co-Pめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-Pめっき/電気Agめっき、電気Niめっき/電気Agめっき、電気Coめっき/電気Agめっき等を含む、金属めっき皮膜の積層構成である。
【0046】
複数の金属めっき皮膜が積層された構成(下層の金属めっき皮膜/上層の金属めっき皮膜)は、更により好ましくは、無電解Ni-Pめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-Bめっき/無電解Agめっき、無電解Co-Pめっき/無電解Agめっき、無電解Co-Bめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-Co-Pめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-Co-Bめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-W-Pめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-Mo-Bめっき/無電解Agめっき、無電解Co-W-Pめっき/無電解Agめっき、無電解Co-Mo-Bめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-Pめっき/無電解Pdめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-Pめっき/無電解Co-Pめっき/無電解Agめっき、無電解Ni-Pめっき/電気Agめっき、電気Niめっき/電気Agめっき、電気Coめっき/電気Agめっき等を含む、金属めっき皮膜の積層構成である。
【0047】
下層に無電解Ni-Pめっき、無電解Ni-Bめっき、無電解Co-Pめっき、無電解Co-Bめっき、無電解Ni-Co-Pめっき、無電解Ni-Co-Bめっき、無電解Ni-W-Pめっき、無電解Ni-Mo-Bめっき、無電解Co-W-Pめっき、無電解Co-Mo-Bめっき、無電解Pdめっき、電気Niめっき、電気Coめっき等を使用した場合、下地金属拡散のバリア層として作用し、上層(最表層)の金属めっき皮膜の汚染を防ぐ効果が期待出来る。
【0048】
また、上層(最表層)に無電解Agめっき等を使用した場合、ヒロック発生が効果的となり、より高い接合強度が期待出来る。
【0049】
金属めっき皮膜が単層構造である時、金属めっき皮膜は、好ましくは、無電解Agめっき、無電解Auめっき、無電解Snめっき、無電解Cuめっき、無電解Pdめっき、無電解Ptめっき、無電解Ruめっき等であり、より好ましくは、無電解Agめっきである。
【0050】
金属めっき皮膜の厚さは、接合強度に優れる観点から、好ましくは、0.01μm以上、20μm以下であり、より好ましくは、0.05μm以上、10μm以下であり、更により好ましくは、0.1μm以上、5μm以下である。金属めっき皮膜の厚さは、金属めっき皮膜が2層以上の積層構造である時は、その積層構造の総厚さであり、金属めっき皮膜が単層構造である時は、その単層の厚さである。
【0051】
[2]接合構造体の製造方法
本発明の接合構造体の製造方法は、
(1)構造体1上に、金属めっき皮膜1を形成する工程、
(2)構造体2上に、金属めっき皮膜2を形成する工程、
(3)(i)工程(1)で形成した金属めっき皮膜1と工程(2)で形成した金属めっき皮膜2とが接触する様に、或は、
(ii)工程(1)で形成した金属めっき皮膜1と工程(2)で形成した金属めっき皮膜2とで介する様に、
(iii)構造体1と構造体2とを対向して重ねて、積層する工程、
(4)工程(3)で形成した積層体を加熱し、金属めっき皮膜1と金属めっき皮膜2とを直接接合する工程、を含む。
【0052】
本発明の接合構造体の製造方法は、構造体1、及び2として、基板シリコンウェハー()を用いる時は、基板上に、バンプを形成し、バンプ上に、金属めっき皮膜を形成する。バンプは、好ましくは、Cuピラーバンプである。
【0053】
(1)構造体1上に、金属めっき皮膜1を形成する工程
(2)構造体2上に、金属めっき皮膜2を形成する工程
構造体1上に金属めっき皮膜1を形成するには、及び構造体2上に金属めっき皮膜2を形成するには、めっきを行う。めっきは、複数回行う事が出来る。めっき方法は、特に限定されず、好ましくは、電解めっき(電気めっき)、及び/又は無電解めっきであり、より好ましくは無電解めっきである。
【0054】
構造体1、及び構造体2は、好ましくは、金属めっきを施す事が出来る材料(被めっき素材)である。被めっき素材としては、Cuに加えて、真鍮、リン青銅、コルソン合金等のCu合金、また、Al、Mg、Fe、Ni、Pd、Ag、Au、Co、W、Mo、Pt、Si等に加えて、それらの合金等、公知の技術で金属めっき皮膜を形成する事が出来る金属材質の材料である。
【0055】
金属めっき皮膜1、及び2は、好ましくは、複数の(つまり、二層以上の)金属めっき皮膜が積層された構成を有する。
【0056】
構造体1、金属めっき皮膜1、構造体2、金属めっき皮膜2は、前記説明の通りである。
【0057】
例えば、構造体1、及び2の表面に、金属層を形成し(例えば、半導体チップ上に電解Cuめっきに依り、Cuバンプを形成したり、セラミック基板上に直接接合法や活性金属接合法を用いてCuパターンを形成したりする)、次いで、無電解ニッケル-リンめっき(Ni-Pめっき)浴を用いて無電解Ni-Pめっき皮膜を形成する。被めっき素材上に、無電解Ni-Pめっき浴を用いて無電解Ni-Pめっき皮膜を形成する工程は、好ましくは、被めっき素材を、無電解Ni-Pめっき浴に浸漬する。
【0058】
例えば、ニッケルめっき(Niめっき)を形成する時は、好ましくは、無電解で行われる。無電解Ni-Pめっきでは、ニッケルイオンがニッケルに自己触媒的に又は化学的に還元され、次いで、基材上に析出するものであり、ニッケルでめっきし得る任意の被めっき素材上で用いる事が出来る。無電解Ni-Pめっき皮膜の総厚みは、好ましくは、0.01μm以上、20μm以下である。
【0059】
次いで、無電解Ni-Pめっき皮膜が形成された被めっき素材を、無電解Agめっき浴に浸漬し、Agめっきを施す事が出来る。Agめっきの厚みは、好ましくは、0.01μm以上、20μm以下である。
【0060】
(3)(i)工程(1)で形成した金属めっき皮膜1と工程(2)で形成した金属めっき皮膜2とが接触する様に、或は、(ii)工程(1)で形成した金属めっき皮膜1と工程(2)で形成した金属めっき皮膜2とで介する様に、(iii)構造体1と構造体2とを対向して重ねて、積層する工程(積層体の形成)
構造体1の表面に形成された金属めっき皮膜1と構造体2の表面に形成された金属めっき皮膜2とが接触する様に、構造体1と構造体2とを重ねて積層体を製造する。
【0061】
構造体1の表面に形成された金属めっき皮膜1と構造体2の表面に形成された金属めっき皮膜2とで介する様に、構造体1と構造体2とを重ねて積層体を製造する。
【0062】
接合構造体は、好ましくは、複数の金属めっき皮膜1、及び複数の金属めっき皮膜2が積層された構成を有する金属膜を含む。
【0063】
(4)工程(3)で形成した積層体を加熱し、金属めっき皮膜1と金属めっき皮膜2とを直接接合する工程
直接接合する工程は、積層体を加熱し、構造体1の表面に形成された金属めっき皮膜1を構成する金属と構造体2の表面に形成された金属めっき皮膜2を構成する金属を接合する。
【0064】
接合技術は、めっきのヒロックを利用する。具体的態様としては、金属めっき皮膜同士の直接接合の方法である。本発明は、例えば、被めっき素材(金属、若しくは非金属)の表面上に、めっき処理を実施し、形成した金属めっき皮膜同士を、熱処理に依り発生するヒロックを利用して直接接合する方法である。ヒロックは、薄膜金属表面に発生する半球状の突起物であり、加熱等に因り、薄膜金属表面に印加される圧縮応力を駆動力に、薄膜金属が局所的に塑性変形する事で生じる。
【0065】
積層体を加熱する温度は、構造体1、金属めっき皮膜1、構造体2、及び金属めっき皮膜2の素材に基づき、適宜調整し、積層体を、好ましくは、100℃以上、400℃以下の温度で、より好ましくは、150℃以上、300℃以下の温度で、更に好ましくは、150℃以上、250℃以下の温度で、加熱し、直接接合する。積層体を加熱し、直接接合する温度は、好ましくは、100℃以上、400℃以下である。構造体上にめっき処理により形成した金属めっき皮膜同士を、熱処理に依り発生するヒロックを利用して直接接合する事に依り、250℃以下という低い温度で加熱しても、良好に接合する事が出来る。
【0066】
積層体を接合させる際の圧力は、構造体1、金属めっき皮膜1、構造体2、及び金属めっき皮膜2の素材に基づき、適宜調整し、積層体を、好ましくは、低加圧、若しくは無加圧、大気下で、加熱し、直接接合する。積層体を接合させる際の圧力は、直接接合を実行する際の圧力を低減する事が出来、好ましくは、無加圧、又は1MPa以下の圧力まで、好ましくは、無加圧、若しくは低加圧:0.1MPa~0.4MPa程度まで、低減する事が出来る。
【0067】
積層体を加熱し、直接接合する雰囲気は、構造体1、金属めっき皮膜1、構造体2、及び金属めっき皮膜2の素材に基づき、適宜調整し、好ましくは、大気中であっても良いし、真空中であっても良い。積層体を加熱し、直接接合する雰囲気は、好ましくは、不活性雰囲気(例えば、アルゴンガス、窒素ガス等)、若しくは還元雰囲気(水素ガス、ギ酸ガス等)であっても良い。
【0068】
積層体を加熱し、直接接合する反応時間は、構造体1、金属めっき皮膜1、構造体2、及び金属めっき皮膜2の素材に基づき、適宜調整し、好ましくは、5分間以上、3時間以下の時間で、より好ましくは、10分間以上、2時間以下の時間で、更に好ましくは、15分間以上、1時間以下の時間(30分間程度)で、加熱し、直接接合する。
【0069】
本発明の無電解、若しくは電解めっきに依り形成した金属めっき皮膜のヒロックを利用した接合技術は、(i)大気下、無加圧(低加圧)、低温(150℃~250℃、30分間程度)で、金属めっき皮膜同士をヒロックに依り直接接合する技術である事、(ii)クリーンルームが不要である事、(iii)CMPが不要である事、(vi)はんだブリッジが無く、接合条件が低負荷である事から微細なCuピラー接合に適応可能である事、(v)ヒートシンク、DBC基板、ICチップ接合等、大面積接合への応用が期待出来る事、(vi)無電解、若しくは電解めっきは、選択的、且つ大物品、及び立体品への金属めっき皮膜の形成を可能とする為、幅広い分野の物品、及び材質において、金属めっき皮膜同士の直接接合を可能とする事等の利点が有り、低負荷、及び低コストな、金属めっき皮膜のヒロックを利用した直接接合技術である。
【0070】
本発明は、例えば、基板(プリント基板、半導体ウエハ、半導体チップ等)で、接合する為の接合剤(はんだや金属焼結材)を必要とせず、金属めっき皮膜同士を、熱処理(低温:150℃~250℃程度、低加圧:0.1MPa~0.4MPa程度、若しくは無加圧、30分間程度)する事に依り、直接接合する事が出来る。
【0071】
本発明の接合技術は、半導体実装に有用である。
【実施例】
【0072】
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。
【0073】
本発明は、以下の具体的な実施例に限定されない。
【0074】
[1]接合構造体の製造方法
(実施例1)
(1)構造体1上に、金属めっき皮膜1を形成する工程
(試料A)構造体1(基板)として、Cuピラー(バンプ1)を有するシリコンウエハーを用意し、Cuピラー上に、選択的に(パターン状に)、無電解Ni-Pめっきを0.1μmを施し、次いで、無電解Agめっき0.2μmを施した(金属めっき皮膜1)。
【0075】
(2)構造体2上に、金属めっき皮膜2を形成する工程
(試料B)構造体2(基板)として、全面にCuめっきを施したシリコンウエハーを用意し、その上に無電解Ni-Pめっきを0.1μmを施し、次いで、無電解Agめっき0.2μmを施した(金属めっき皮膜2)。
【0076】
(3)(i)工程(1)で形成した金属めっき皮膜1と工程(2)で形成した金属めっき皮膜2とが接触する様に、或は、(ii)工程(1)で形成した金属めっき皮膜1と工程(2)で形成した金属めっき皮膜2とで介する様に、(iii)構造体1と構造体2とを対向して重ねて、積層する工程(積層体の形成)
試料Aの金属めっき皮膜と試料Bの金属めっき皮膜同士を接触させる様に、重ね合わせた(積層体)。
【0077】
(4)工程(3)で形成した積層体を加熱し、金属めっき皮膜1と金属めっき皮膜2とを直接接合する工程
積層体を、無加圧、大気雰囲気下で、250℃、30分間の熱処理を行い、実施例1の接合構造体を得た。
【0078】
(表3)実施例1の接合構造体の断面をSEM観察した処、接合欠陥(例えば、ボイド又はクラック)の発生が抑制されており、良好に接合されている事を確認した。
【0079】
(実施例2~17)
実施例1の試料A、及び試料Bの無電解Ni-Pめっきを、下記の無電解めっき浴種に変更する事以外は、実施例1と同様の操作を行って、実施例2~17の接合構造体を得た。実施例2~17の接合構造体の断面をSEM観察した処、接合欠陥の発生が抑制されており、良好に接合されている事を確認した。
【0080】
実施例2:無電解Ni-Bめっき
実施例3:無電解Co-Pめっき
実施例4:無電解Co-Bめっき
実施例5:無電解Ni-Co-Pめっき
実施例6:無電解Ni-Co-Bめっき
実施例7:無電解Ni-W-Pめっき
実施例8:無電解Ni-Mo-Bめっき
実施例9:無電解Co-W-Pめっき
実施例10:無電解Co-Mo-Bめっき
実施例11:無電解Fe-Bめっき
実施例12:無電解Inめっき
実施例13:無電解Snめっき
実施例14:無電解Pdめっき
実施例15:無電解Auめっき
実施例16:無電解Ptめっき
実施例17:無電解Ruめっき
【0081】
(実施例18~20)
実施例1の試料A、及び試料Bの無電解Agめっきを、下記の無電解めっき浴種に変更する事以外は、実施例1と同様の操作を行って、実施例18~20の接合構造体を得た。実施例18~20の接合構造体の断面をSEM観察した処、接合欠陥の発生が抑制されており、良好に接合されている事を確認した。
【0082】
実施例18:無電解Auめっき
実施例19:無電解Snめっき
実施例20:無電解Cuめっき
【0083】
(実施例21)
実施例1の試料A、及び試料Bの無電解Ni-Pめっき膜厚を、0.1μmから3.0μmに変更する事以外は、実施例1と同様の操作を行って、実施例21の接合構造体を得た。実施例21の接合構造体の断面をSEM観察した処、接合欠陥の発生が抑制されており、良好に接合されている事を確認した。
【0084】
(実施例22)
実施例1の試料A、及び試料Bの無電解Agめっき膜厚を、0.2μmから1.0μmに変更する事以外は、実施例1と同様の操作を行って、実施例22の接合構造体を得た。実施例22の接合構造体の断面をSEM観察した処、接合欠陥の発生が抑制されており、良好に接合されている事を確認した。
【0085】
(実施例23)
実施例1の試料A、及び試料Bの金属めっき皮膜の積層構造を、無電解Ni-Pめっき膜厚0.1μm、無電解Pdめっき0.1μm、無電解Agめっき0.2μmの3層構造に変更する事以外は、実施例1と同様の操作を行って、実施例23の接合構造体を得た。実施例23の接合構造体の断面をSEM観察した処、接合欠陥の発生が抑制されており、良好に接合されている事を確認した。
【0086】
(実施例24)
実施例1の試料A、及び試料Bの金属めっき皮膜の積層構造を、無電解Ni-Pめっき膜厚0.1μm、無電解Co-Pめっき0.1μm、無電解Agめっき0.2μmの3層構造に変更する事以外は、実施例1と同様の操作を行って、実施例24の接合構造体を得た。実施例24の接合構造体の断面をSEM観察した処、接合欠陥の発生が抑制されており、良好に接合されている事を確認した。
【0087】
(実施例25)
実施例1の熱処理条件を、加熱温度250℃、30分間から、加熱温度200℃、30分間に変更した事以外は、実施例1と同様の操作を行って、実施例25の接合構造体を得た。実施例25の接合構造体の断面をSEM観察したところ、接合欠陥の発生が抑制されており、良好に接合されていることを確認した。
【0088】
(実施例26)
(試料A)構造体(基板)として、全面にCuめっきを施したシリコンウエハを用意し(バンプ無し)、その上に無電解Ni-Pめっきを0.1μmを施し、次いで、電気Agめっきを0.2μmを施した(金属めっき皮膜1)。試料Aを2枚用意し(構造体1、及び2)、実施例1と同様の操作を行って、実施例26の接合構造体を得た。実施例26の接合構造体の断面をSEM観察した処、接合欠陥の発生が抑制されており、良好に接合されている事を確認した。
【0089】
(実施例27)
(試料A)構造体(基板)として、全面にCuめっきを施したシリコンウエハを用意し(バンプ無し)、その上に電気Niめっきを0.1μmを施し、次いで、電気Agめっきを0.2μmを施した(金属めっき皮膜1)。試料Aを2枚用意し(構造体1、及び2)、実施例1と同様の操作を行って、実施例27の接合構造体を得た。実施例27の接合構造体の断面をSEM観察した処、接合欠陥の発生が抑制されており、良好に接合されている事を確認した。
【0090】
(実施例28)
(試料A)構造体(基板)として、全面にCuめっきを施したシリコンウエハを用意し(バンプ無し)、その上に電気Coめっきを0.1μmを施し、次いで、電気Agめっきを0.2μmを施した(金属めっき皮膜1)。試料Aを2枚用意し(構造体1、及び2)、実施例1と同様の操作を行って、実施例28の接合構造体を得た。実施例28の接合構造体の断面をSEM観察した処、接合欠陥の発生が抑制されており、良好に接合されている事を確認した。
【0091】
(実施例1~28について)
下層に無電解Ni-Pめっき、無電解Ni-Bめっき、無電解Co-Pめっき、無電解Co-Bめっき、無電解Ni-Co-Pめっき、無電解Ni-Co-Bめっき、無電解Ni-W-Pめっき、無電解Ni-Mo-Bめっき、無電解Co-W-Pめっき、無電解Co-Mo-Bめっき、無電解Pdめっき、電気Niめっき、電気Coめっき等を使用した場合、下地金属拡散のバリア層として作用し、上層(最表層)の金属めっき皮膜の汚染を防ぐ効果が期待出来る。
【0092】
また、上層(最表層)に無電解Agめっき等を使用した場合、ヒロック発生が効果的となり、より高い接合強度が期待出来る。
【0093】
(実施例29、無電解Agめっき単層構造)
実施例1の試料A、及び試料Bについて、金属めっき皮膜の積層構造を無電解Agめっき0.2μmの単層構造に変更する事以外は、実施例1と同様の操作を行って、実施例29の接合構造体を得た。実施例29の接合構造体の断面をSEM観察した処、めっき単層構造であっても、大きな接合欠陥は発生しておらず、接合として許容出来る事を確認した。
【0094】
(実施例30、無電解Auめっき単層構造)
実施例1の試料A、及び試料Bについて、金属めっき皮膜の積層構造を無電解Auめっき0.2μmの単層構造に変更する事以外は、実施例1と同様の操作を行って、実施例30の接合構造体を得た。実施例30の接合構造体の断面をSEM観察した処、めっき単層構造であっても、大きな接合欠陥は発生しておらず、接合として許容出来る事を確認した。
【0095】
(実施例31、無電解Snめっき単層構造)
実施例1の試料A、及び試料Bについて、金属めっき皮膜の積層構造を無電解Snめっき0.2μmの単層構造に変更する事以外は、実施例1と同様の操作を行って、実施例31の接合構造体を得た。実施例31の接合構造体の断面をSEM観察した処、めっき単層構造であっても、大きな接合欠陥は発生しておらず、接合として許容出来る事を確認した。
【0096】
(実施例32、無電解Cuめっき単層構造)
実施例1の試料A、及び試料Bについて、金属めっき皮膜の積層構造を無電解Cuめっき0.2μmの単層構造に変更する事以外は、実施例1と同様の操作を行って、実施例32の接合構造体を得た。実施例32の接合構造体の断面をSEM観察した処、めっき単層構造であっても、大きな接合欠陥は発生しておらず、接合として許容出来る事を確認した。
【0097】
(比較例1、金属めっき皮膜無し)
めっき処理を未実施とした事以外は、実施例1と同様の操作を行って、比較例1の接合構造体を得た。(表2)比較例1の接合構造体の断面をSEM観察した処、接合欠陥が発生しており、良好に接合されていない事を確認した。
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
[2]産業上の利用可能性
本発明は、金属めっき皮膜同士の直接接合(ダイレクトボンディング)の方法である。本発明は、被めっき素材(金属、若しくは非金属)の表面上に、めっき処理を実施し、形成した金属めっき皮膜同士を、熱処理に依り発生するヒロックを利用して直接接合する方法である。
【0102】
本発明の無電解、若しくは電解めっきに依り形成した金属めっき皮膜のヒロックを利用した接合技術は、(i)大気下、無加圧(低加圧)、低温(150℃~250℃、30分間程度)で、金属めっき皮膜同士をヒロックに依り直接接合する技術である事、(ii)クリーンルームが不要である事、(iii)CMPが不要である事、(vi)はんだブリッジが無く、接合条件が低負荷である事から微細なCuピラー接合に適応可能である事、(v)ヒートシンク、DBC基板、ICチップ接合等、大面積接合への応用が期待出来る事、(vi)無電解、若しくは電解めっきは、選択的、且つ大物品、及び立体品への金属めっき皮膜の形成を可能とする為、幅広い分野の物品、及び材質において、金属めっき皮膜同士を介した直接接合を可能とする事等の利点が有り、低負荷、及び低コストな、金属めっき皮膜のヒロックを利用した直接接合技術である。
【0103】
本発明は、例えば、基板(プリント基板、半導体ウエハ、半導体チップ等)で、接合する為の接合剤(はんだや金属焼結材)を必要とせず、金属めっき皮膜同士を、熱処理(低温:150℃~250℃程度、低加圧:0.1MPa~0.4MPa程度、若しくは無加圧、30分間程度)する事に依り、直接接合する事が出来る。
【0104】
本発明の接合技術は、半導体実装に有用である。