(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-27
(45)【発行日】2025-04-04
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20250328BHJP
B23Q 17/24 20060101ALI20250328BHJP
G05B 19/409 20060101ALI20250328BHJP
【FI】
H01L21/78 C
B23Q17/24 C
G05B19/409 C
(21)【出願番号】P 2020192688
(22)【出願日】2020-11-19
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大森 崇史
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-050258(JP,A)
【文献】特開2019-136765(JP,A)
【文献】特開2019-160990(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0287836(US,A1)
【文献】特開2018-028923(JP,A)
【文献】特開2012-091290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B23Q 17/24
G05B 19/409
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に複数の分割予定ラインによって区画された複数のデバイスが形成された被加工物を保持する保持面を有する保持テーブルと、
保持テーブルに保持された被加工物を加工する加工ユニットと、
該保持テーブルに保持された被加工物を撮像する撮像ユニットと、
該加工ユニットと、該撮像ユニットと、に対して、該保持面と水平方向に、相対的に該保持テーブルを移動させる移動ユニットと、
撮像された画像を表示するタッチパネルと、
制御ユニットと、
を備える加工装置であって、
該制御ユニットは、
該タッチパネルに表示された画像上でなぞった接触ラインから
一定の距離内に位置する輪郭の線を該画像より検出し、
検出された該
輪郭線を登録することを特徴とする
加工装置。
【請求項2】
該
輪郭線は、該タッチパネルに表示された画像において、該デバイスを構成するパターンの輪郭であり、
該制御ユニットは、
検出された該
輪郭線に相当する該パターンを、該分割予定ラインを検出する目印となるキーパターンとして登録することを特徴とする請求項1に記載の加工装置。
【請求項3】
該
輪郭線は、該タッチパネルに表示された画像において、該分割予定ラインまたは該加工ユニットにより形成された加工溝であり、
該制御ユニットは、
該被加工物を撮像する該撮像ユニットを該保持テーブルに対して相対的に移動させる撮像ルートとして、該
輪郭線を登録することを特徴とする請求項1に記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
加工装置、特に半導体製造装置のような精密加工が必要とされる精密加工装置においては、μm単位の制御が要求される。このため、オペレータは、加工装置に搭載若しくは連結されたオペレーションパネルを慎重に操作して種々の数値を入力することにより、加工装置の動作を制御する必要がある。例えば、特許文献1には、0から9までの数字キーを含む数値入力キーが配設されていると共に、該数値入力キーの操作により入力された数値の桁を設定する桁設定キーが配設されているオペレーションパネルを備えた加工装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の加工装置では、例えば、撮像した画像を表示した場合に、該画像にある分割予定ラインや加工溝、パターン等をオペレータに登録させる操作性を向上させたいとの要望がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、表示された画像の一部を選択して登録する操作性を向上させることができる加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の加工装置は、表面に複数の分割予定ラインによって区画された複数のデバイスが形成された被加工物を保持する保持面を有する保持テーブルと、保持テーブルに保持された被加工物を加工する加工ユニットと、該保持テーブルに保持された被加工物を撮像する撮像ユニットと、該加工ユニットと、該撮像ユニットと、に対して、該保持面と水平方向に、相対的に該保持テーブルを移動させる移動ユニットと、撮像された画像を表示するタッチパネルと、制御ユニットと、を備える加工装置であって、該制御ユニットは、該タッチパネルに表示された画像上でなぞった接触ラインから一定の距離内に位置する輪郭の線を該画像より検出し、検出された該輪郭線を登録することを特徴とする。
【0007】
前記加工装置において、該輪郭線は、該タッチパネルに表示された画像において、該デバイスを構成するパターンの輪郭であり、該制御ユニットは、検出された該輪郭線に相当する該パターンを、該分割予定ラインを検出する目印となるキーパターンとして登録してもよい。
【0008】
前記加工装置において、該輪郭線は、該タッチパネルに表示された画像において、該分割予定ラインまたは該加工ユニットにより形成された加工溝であり、該制御ユニットは、該被加工物を撮像する該撮像ユニットを該保持テーブルに対して相対的に移動させる撮像ルートとして、該輪郭線を登録してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本願発明の加工装置は、表示された画像の一部を選択して登録する操作性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る加工装置が画像の線を登録する一例を説明するための図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す画像の線を検出する一例を説明するための図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る加工装置の登録に関する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態に係る加工装置が画像の線を登録する他の一例を説明するための図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す画像の線を検出する一例を説明するための図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る加工装置の登録に関する処理手順の他の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0012】
〔実施形態〕
本発明の実施形態に係る加工装置1を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態に係る加工装置1の構成例を示す斜視図である。実施形態に係る加工装置1は、被加工物200を切削し、被加工物200に加工痕である切削溝を形成する装置である。また、加工装置1は、被加工物200の加工中又は加工後の任意のタイミングで切削加工によって形成された切削溝のうち予め設定された検査ルート上の切削溝、パターン等を撮像し、表示、記憶する装置でもある。本実施形態では、切削溝は、加工溝の一例である。なお、加工装置1は、本発明では、これに限定されず、被加工物200にレーザー光線を照射して被加工物200をレーザー加工し、レーザー加工によって形成されかつ検査ルート上の加工痕であるレーザー加工溝を撮像し、表示、記憶するレーザー加工装置であってもよい。
【0013】
実施形態において、加工装置1が切削する被加工物200は、
図1に示すように、例えば、シリコン、サファイア、シリコンカーバイド(SiC)、ガリウムヒ素などを母材とする円板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハなどのウェーハである。被加工物200は、平坦な表面201の格子状に形成される複数の分割予定ライン202によって区画された領域にデバイス203が形成されている。被加工物200は、表面201の裏側の裏面204に粘着テープ205が貼着され、粘着テープ205の外縁部に環状フレーム206が装着されている。なお、被加工物200は、本発明では、これに限定されず、樹脂により封止されたデバイスを複数有した矩形状のパッケージ基板、セラミックス板、又はガラス板等でも良い。
【0014】
加工装置1は、
図1に示すように、保持テーブル10と、切削加工を実施する加工ユニット20と、撮像ユニット30と、タッチパネル40と、移動ユニット50と、制御ユニット60と、を備える。
図1に示す一例では、加工装置1は、加工ユニット20を2つ備えた、即ち、2スピンドルのダイサ、いわゆるフェイシングデュアルタイプの切削装置である。
【0015】
保持テーブル10は、複数の分割予定ライン202を備える被加工物200を保持面11で保持する。保持テーブル10は、例えば、チャックテーブルを含む。保持テーブル10は、被加工物200を保持する平坦な保持面11が上面に形成されかつ多数のポーラス孔を備えたポーラスセラミック等から構成された円盤形状の吸着部と、吸着部を上面中央部の窪み部に嵌め込んで固定する枠体とを備えた円盤形状である。保持テーブル10は、移動ユニット50のX軸移動ユニット51により移動自在で、不図示の回転駆動源により回転自在に設けられている。保持テーブル10は、吸着部が、図示しない真空吸引経路を介して図示しない真空吸引源と接続され、保持面11全体で、被加工物200を吸引保持する。また、保持テーブル10の周囲には、
図1に示すように、環状フレーム206をクランプするクランプ部12が複数設けられている。
【0016】
加工ユニット20は、保持テーブル10に保持された被加工物200を分割予定ライン202に沿って加工して切削溝を形成する。加工ユニット20は、切削ブレード21と、スピンドルと、スピンドルハウジング22と、を備える。切削ブレード21は、Y軸周りの回転動作が加えられて、保持テーブル10に保持された被加工物200を切削する。スピンドルは、Y軸方向に沿って設けられ、先端でY軸周りに回転可能に切削ブレード21を支持する。スピンドルハウジング22は、スピンドルをY軸周りの回転動作を可能に収納する。加工ユニット20は、スピンドルハウジング22が、保持テーブル10に保持された被加工物200に対して、移動ユニット50のY軸移動ユニット52によりY軸方向に移動自在に設けられ、かつ、移動ユニット50のZ軸移動ユニット53によりZ軸方向に移動自在に設けられている。
【0017】
撮像ユニット30は、保持テーブル10に保持された被加工物200を撮像する。撮像ユニット30は、実施形態では、加工ユニット20と一体的に移動するように、加工ユニット20に固定されている。撮像ユニット30は、保持テーブル10に保持された切削加工処理前の被加工物200の分割予定ライン202、及び、切削加工処理後の被加工物200の加工痕である切削溝を撮像する撮像素子を備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子である。
【0018】
撮像ユニット30は、保持テーブル10に保持された切削加工処理前の被加工物200を撮像して、被加工物200と切削ブレード21との位置合わせを行なうアライメントを遂行するため等の画像を得、得た画像を制御ユニット60に出力する。また、撮像ユニット30は、保持テーブル10に保持された切削加工後の被加工物200を撮像して、得た画像を制御ユニット60に出力する。
【0019】
タッチパネル40は、表示面を外側に向けた状態で加工装置1の本体に設定されている。なお、
図1に示す一例では、加工装置1の本体の上部を省略している。タッチパネル40は、加工装置1の本体において見やすくて操作しやすい箇所に配設される。タッチパネル40は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示デバイス、表示デバイスの表示面における物体の接触位置や座標を指定するタッチスクリーンを有する。タッチパネル40は、制御ユニット60と電気的に接続されている。タッチパネル40は、制御ユニット60による制御の下、撮像ユニット30が撮像した被加工物200の表面の画像や加工処理に必要な各種情報を表示するとともに、加工処理に必要な入力操作等をオペレータから受け付ける。
【0020】
タッチパネル40は、制御ユニット60と電気的に接続されている報知ユニット41と連携して報知することができる。報知ユニット41は、切削加工及びカーフチェックを含む観察支援処理に関する各動作の状態に基づいて報知する発光ダイオード(Light Emitting Diode、LED)などにより構成される。
【0021】
移動ユニット50は、X軸移動ユニット51と、Y軸移動ユニット52と、Z軸移動ユニット53と、を備える。X軸移動ユニット51は、保持テーブル10を加工ユニット20に対して相対的に、水平方向の一方向であるX軸方向に沿って加工送りする。Y軸移動ユニット52は、加工ユニット20を保持テーブル10に対して相対的に、水平方向の別の一方向でありX軸方向に直交するY軸方向に沿って割り出し送りする。Z軸移動ユニット53は、加工ユニット20を保持テーブル10に対して相対的に、X軸方向とY軸方向との双方と直交し鉛直方向に平行なZ軸方向に沿って切り込み送りする。
【0022】
制御ユニット60は、加工装置1の各構成要素をそれぞれ制御して、被加工物200に対する切削加工及びカーフチェックを含む観察支援処理に関する各動作を加工装置1に実施させるものである。
【0023】
制御ユニット60は、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置と、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)などの記憶装置と、入出力インターフェース装置とを備える。制御ユニット60は、かかる装置を用いて、加工装置1が実施する一連の加工工程に従い、上述した各構成要素を制御するための制御プログラムなどを実行可能なコンピュータである。
【0024】
制御ユニット60は、タッチパネル40を介してオペレータにより設定された加工条件に従って、加工装置1の動作全般を制御する。制御ユニット60は、撮像ユニット30が撮像した被加工物200の画像等をタッチパネル40に表示させ、該画像に対するオペレータの登録操作を受け付ける機能を提供できる。制御ユニット60は、登録された情報に基づいて加工装置1における各種ユニットを制御する機能を提供できる。
【0025】
制御ユニット60は、検出部61と、登録部62と、記憶部63と、を備える。制御ユニット60は、プログラムを実行することにより、検出部61、登録部62等の機能部を実現する。記憶部63は、制御ユニット60に内蔵された記憶媒体であるが、制御ユニット60の外部の記憶装置で実現してもよい。
【0026】
検出部61は、タッチパネル40に表示された画像上でなぞった接触ラインから許容領域内に位置する画像の線を検出する。接触ラインは、タッチパネル40の表示面をなぞった接触物の軌跡、移動経路等である。被加工物200を撮像した画像は、例えば、分割予定ライン202とデバイス203とキーパターンとではコントラスト、色等が異なっている。接触物は、例えば、オペレータの指、タッチペン等を含む。検出部61は、例えば、画像において、コントラスト、色等が異なる領域の境界の線を検出する。検出部61が検出する線は、例えば、画像における直線、曲線、折れ線、パターン等を含む。検出部61は、接触ライン上の相異なる複数のピクセルごとに、許容領域内に位置する画像の線を画像から検出する。
【0027】
登録部62は、検出された線を登録する。線を登録するとは、例えば、線の形状、位置、パターン等を示す情報を登録することを意味する。登録部62は、検出部61によって検出された線を画像上に示すための登録情報を登録する。登録情報は、例えば、画像における線の位置を示す情報、画像と線とを関連付ける情報、線を画像に重畳表示させるための情報等を含む。登録部62は、登録情報を記憶部63、外部の記憶装置等に登録する。
【0028】
例えば、検出部61によって検出された線は、デバイス203を構成するパターンの輪郭であるとする。この場合、登録部62は、検出された線に相当するパターンを、分割予定ライン202を検出する目印となるキーパターンとして登録する。検出された線に相当するパターンとは、検出された線と隣接する輪郭を有するパターンである。
【0029】
例えば、検出部61によって検出された線は、タッチパネル40に表示された画像において、分割予定ライン202または加工ユニット20により形成された加工溝であるとする。この場合、登録部62は、被加工物200を撮像する撮像ユニット30を保持テーブルに対して相対的に移動させる撮像ルートとして、該線を登録する。
【0030】
制御ユニット60は、登録部62が登録した線の情報に基づいて、加工装置1の動作を制御する機能を提供できる。例えば、制御ユニット60は、登録された線に従い加工装置1の各ユニットを制御する。例えば、登録した線がキーパターンである場合、制御ユニット60は、該キーパターンを目印として分割予定ライン202を検出する処理を実行する。すなわち、制御ユニット60は、登録されたキーパターンから分割予定ライン202までの距離をもとに、自動で分割予定ライン202の位置を検出する。例えば、登録した線が分割予定ライン202の輪郭である場合、制御ユニット60は、分割予定ライン202に沿って被加工物200を加工する処理を実行する。例えば、登録した線が加工溝の輪郭である場合、制御ユニット60は、線が示す撮像ルートを撮像ユニット30で撮像する処理を実行する。
【0031】
記憶部63は、撮像ユニット30で撮影した画像、登録情報等の各種情報を記録できる。記憶部63は、画像と登録情報とを関連付けて記憶している。記憶部63は、検査ルートの経路上の各位置において、撮像ユニット30で撮像した被加工物200の画像を記録できる。
【0032】
また、加工装置1は、
図1に示すように、切削加工前後の被加工物200を収容するカセット70と、カセット70の収容前後の被加工物200を仮置きする仮置きユニット71と、切削加工後の被加工物200を洗浄する洗浄ユニット90と、被加工物200を保持テーブル10、カセット70、仮置きユニット71及び洗浄ユニット90の間で搬送する搬送ユニット80と、をさらに備える。
【0033】
加工装置1は、被加工物200の分割予定ライン202の本数、分割予定ライン202同士の間隔等の情報を含む加工条件が制御ユニット60に登録された後に、搬送ユニット80がカセット70内から被加工物200を1枚取り出して仮置きユニット71で所定の位置に位置付けた後、保持テーブル10の保持面11に載置する。加工装置1は、保持テーブル10の保持面11で被加工物200を吸引保持して、アライメントを遂行した後、加工ユニット20から被加工物200に切削水を供給しながら、回転駆動源及び移動ユニット50により保持テーブル10と加工ユニット20とを分割予定ライン202に沿って相対的に移動させて、加工ユニット20の切削ブレード21で被加工物200の分割予定ライン202を切削して切削溝を形成する。加工装置1は、被加工物200の全ての分割予定ライン202を切削すると、被加工物200を洗浄ユニット90で洗浄した後にカセット70内に収容する。
【0034】
以上、本実施形態に係る加工装置1の構成例について説明した。なお、
図1を用いて説明した上記の構成はあくまで一例であり、本実施形態に係る加工装置1の構成は係る例に限定されない。本実施形態に係る加工装置1の機能構成は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0035】
(加工装置の登録例)
次に、実施形態に係る加工装置1が実行する画像における線の登録例を説明する。
図2は、実施形態に係る加工装置1が画像の線を登録する一例を説明するための図である。
図3は、
図2に示す画像400の線を検出する一例を説明するための図である。
【0036】
図2に示す場面1001では、加工装置1は、被加工物200を撮像した画像400をタッチパネル40に表示している。画像400は、被加工物200のデバイス203を撮像した第1画像410と、デバイス203の複数のキーパターンを撮像した第2画像420とを有している。第1画像410は、4つの第2画像420よりもコントラストが暗くなっている。加工装置1は、画像400のピクセル毎にコントラストを求め、同じコントラストのかたまりをグループ化し、グループ化されたかたまりを図形である第2画像420と認識している。加工装置1は、公知であるエッジ検出の技術等を用いて、画像400が示す図形のエッジを輪郭として検出し、検出結果を画像400に関連付けて記憶部63に記憶する。すなわち、加工装置1は、画像400における4つの図形の輪郭を検出している。
【0037】
場面1002では、オペレータは、タッチパネル40に表示された1つの第2画像420の輪郭に沿うように、フリーハンドでなぞっている。このため、オペレータは、接触ライン500に示すように、第2画像420の輪郭を正確になぞれていない。加工装置1は、タッチパネル40を介して、接触物の移動の軌跡を示す接触ライン500を検出する。加工装置1は、タッチパネル40に対する接触物の移動開始から移動終了までの軌跡を接触ライン500として検出する。接触ライン500は、複数の接触点における位置、方向等の情報を有する。加工装置1は、接触ライン500を画像400に重畳表示するように、タッチパネル40を制御する。
【0038】
図3に示すように、加工装置1は、接触ライン500から許容領域600の内部に位置する画像400の線を検出する。許容領域600は、例えば、接触ライン500上の任意の1つの位置を中心とした領域であり、接触ライン500上の相異なる複数の位置で設定される。例えば、加工装置1は、開始位置510から終了位置520までの接触ライン500上における複数の位置(ピクセル)ごとに、許容領域600の内部に収まる第2画像420の輪郭を検出する。許容領域600は、例えば、画像400のスケール、サイズ等に応じて任意に設定することができる。許容領域600は、例えば、30ピクセル以内など、ピクセル数で設定されても良い。許容領域600は、例えば、プログラムで予め定義されてもよいし、記憶部63に記憶してもよい。本実施形態では、許容領域600は、円形である場合について説明するが、例えば、方形、十字等の他の形状であってもよい。
【0039】
図3に示す一例では、接触ライン500の位置531の場合、加工装置1は、第2画像420の輪郭が許容領域600の内部にあると判定する。例えば、接触ライン500の位置532の場合、加工装置1は、第2画像420の輪郭が許容領域600の内部にないと判定する。加工装置1は、開始位置510から終了位置520までの接触ライン500上の複数の位置に対する判定が終了すると、第2画像420の輪郭が許容領域600の内部にあると判定した割合を算出する。割合は、第2画像420の輪郭が許容領域600の内部にあると判定した回数を全ての判定回数で除算した結果である。加工装置1は、算出した割合が閾値よりも大きい場合、第2画像420の輪郭421を線として検出し、検出された線を登録する。また、加工装置1は、算出した割合が閾値よりも大きくない場合、第2画像420の輪郭421を線として検出しない。
【0040】
図2に戻り、場面1003では、加工装置1は、第2画像420の輪郭421を画像400の線430として検出すると、該線430を第2画像420の輪郭421に重畳表示するように、タッチパネル40を制御する。オペレータは、タッチパネル40に表示された線430を参照することで、第2画像420が示すパターンの輪郭421を選択できたことを確認できる。
【0041】
場面1004では、加工装置1は、検出した線430がパターンの輪郭421である場合、線430で囲まれた第2画像420をキーパターンとして登録する。しかし、例えば、加工装置1で分割予定ライン202の位置を検出するためのキーパターンを登録する場合、パターンだけではなく、コントラストが異なる周囲を含めて登録したいとのニーズがある。このため、本実施形態では、加工装置1は、検出した線430で囲まれたパターンを示す第2画像420を含み、該第2画像420から上下左右に所定の長さ分拡大した領域440の第1画像410に関する登録情報を、目印となるキーパターンとして登録する。本実施形態では、第1画像410は四角形であるが、例えば第2画像420の外周から上下左右に拡大した相似形であってもよい。相似形であることで、キーパターンの識別に不要な他のパターンを含みにくくなり、検出精度が上がるという効果がある。
【0042】
(加工装置の登録制御の一例)
次に、実施形態に係る加工装置1が実行する処理手順の一例を説明する。
図4は、実施形態に係る加工装置1の登録に関する処理手順の一例を示すフローチャートである。
図4に示す処理手順は、加工装置1の制御ユニット60がプログラムを実行することによって実現される。
図4に示す処理手順は、加工装置1の制御ユニット60によって適宜実行される。
【0043】
図4に示す登録に関する処理手順では、加工装置1の制御ユニット60は、画像400をタッチパネル40に表示させる(ステップ2101)。例えば、制御ユニット60は、撮像ユニット30が保持テーブル10に保持された被加工物200を撮像した画像400を表示するように、タッチパネル40を制御する。これにより、加工装置1は、タッチパネル40に被加工物200の画像400を表示した状態になっている。制御ユニット60は、ステップ2101の処理が終了すると、処理をステップ2102に進める。
【0044】
制御ユニット60は、接触ライン500を検出したか否かを判定する(ステップ2102)。例えば、制御ユニット60は、タッチパネル40を介して、接触物の軌跡、移動経路等に基づいて接触ライン500を検出できている場合に、接触ライン500を検出したと判定する。制御ユニット60は、接触ライン500を検出していないと判定した場合(ステップ2102でNo)、処理を後述するステップ2107に進める。また、制御ユニット60は、接触ライン500を検出したと判定した場合(ステップ2102でYes)、処理をステップ2103に進める。
【0045】
制御ユニット60は、画像400における図形の輪郭を検出する(ステップ2103)。例えば、制御ユニット60は、画像400におけるコントラスト、色等の境界を輪郭として検出する。制御ユニット60は、例えば、画像400の全てを輪郭の検出対象としてもよいし、接触ライン500の近傍のみを輪郭の検出対象としてもよい。制御ユニット60は、ステップ2103の処理が終了すると、処理をステップ2104に進める。
【0046】
制御ユニット60は、接触ライン500から許容領域600の内部に位置する線430を検出する(ステップ2104)。例えば、制御ユニット60は、開始位置510から終了位置520までの接触ライン500上における相異なる複数の位置(ピクセル)ごとに、許容領域600の内部に収まる画像400の線430を検出する。制御ユニット60は、接触ライン500に隣接する画像400における境界線を線430として検出できたか否かを示す検出結果を記憶部63に記憶する。制御ユニット60は、ステップ2104の処理が終了すると、処理をステップ2105に進める。
【0047】
制御ユニット60は、線430を検出したか否かを判定する(ステップ2105)。例えば、制御ユニット60は、ステップ2104の検出結果が線430を検出したことを示している場合、線430を検出したと判定する。制御ユニット60は、線430を検出していないと判定した場合(ステップ2105でNo)、処理を後述するステップ2107に進める。また、制御ユニット60は、線430を検出したと判定した場合(ステップ2105でYes)、処理をステップ2106に進める。
【0048】
制御ユニット60は、検出された線430を登録する処理を実行する(ステップ2106)。例えば、制御ユニット60は、検出された線430で示されるパターンを示す登録情報を、分割予定ライン202を検出する目印となるキーパターンとして登録する処理を実行する。例えば、制御ユニット60は、検出された線430が直線である場合、線430を示す登録情報を、分割予定ライン202または加工ユニット20により形成された加工溝に沿った線430として登録する処理を実行する。制御ユニット60は、ステップ2106の処理が終了すると、処理をステップ2107に進める。
【0049】
制御ユニット60は、終了するか否かを判定する(ステップ2107)。例えば、制御ユニット60は、登録の終了条件を満たす場合に、終了すると判定する。終了条件は、例えば、オペレータからの終了指示を受け付ける等の条件を含む。制御ユニット60は、終了しないと判定した場合(ステップ2107でNo)、処理を既に説明したステップ2102に戻し、処理を継続する。また、制御ユニット60は、終了すると判定した場合(ステップ2107でYes)、処理をステップ2108に進める。
【0050】
制御ユニット60は、画像400の表示を終了させる(ステップ2108)。例えば、制御ユニット60は、タッチパネル40が表示している画像400の表示を終了するように、タッチパネル40を制御することで、画像400の表示を終了させる。制御ユニット60は、ステップ2108の処理が終了すると、
図4に示す処理手順を終了させる。
【0051】
図4に示す処理手順では、制御ユニット60は、ステップ2103で画像400における図形の輪郭を検出する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、制御ユニット60は、ステップ2101で画像400をタッチパネル40に表示させる前の処理または後の処理として、画像400における図形の輪郭を検出してもよい。例えば、加工装置1は、画像400を撮像したときに、画像400における図形の輪郭を検出しておいてもよい。
【0052】
以上説明したように、加工装置1は、タッチパネル40を表示した画像400上でなぞった接触ライン500から許容領域600の内部に位置する画像400の線430を検出して登録することができる。これにより、加工装置1は、タッチパネル40を表示した画像400の選択したい境界線、輪郭、パターン等の近くをなぞるように、タッチパネル40をオペレータに操作させるだけで、画像400の任意の線430を登録することができる。その結果、加工装置1は、表示された画像400の一部を選択して登録する操作性を向上させることができる。
【0053】
また、加工装置1は、線430がタッチパネル40に表示された画像400において、デバイス203を構成するパターンの輪郭である場合、検出されたパターンを、分割予定ライン202を検出する目印となるキーパターンとして登録することができる。これにより、加工装置1は、画像400が示すデバイス203の輪郭の近くをなぞるように、タッチパネル40をオペレータに操作させるだけで、画像400の任意の線430をキーパターンとして登録することができる。その結果、加工装置1は、表示された画像400の複雑な形状であり、なぞった位置がずれても、デバイス203を構成するパターンの輪郭として補正し選択するため、キーパターンを登録する操作性を向上させることができる。
【0054】
また、従来は、目印となるパターンを含むように四角形の枠のサイズを拡大縮小、及び移動させ、四角形の枠内の画像をキーパターンとして設定していた。これに対し、実施形態に係る加工装置1は、フリーハンドでデバイス203を構成するパターンの輪郭の近くをなぞるだけでキーパターンを設定できるので、操作回数が減り効率化を図ることができる。
【0055】
(加工装置の他の登録例)
次に、実施形態に係る加工装置1が実行する画像における線430の他の登録例を説明する。
図5は、実施形態に係る加工装置1が画像の線430を登録する他の一例を説明するための図である。
図6は、
図5に示す画像400の線430を検出する一例を説明するための図である。
【0056】
オペレータは、被加工物200の複数の分割予定ライン202のうち、1ライン加工後に、1ライン上を撮像して切削溝の状態を確認する場合がある。このような場合に、加工装置1は、加工対象の分割予定ライン202と撮像ルートをフリーハンドで登録させる機能を提供できる。
【0057】
図5に示す場面1101では、加工装置1は、被加工物200を撮像した画像400-1をタッチパネル40に表示している。画像400-1は、加工装置1が被加工物200に対して1ライン加工を行う領域を含むように、被加工物200の一部の領域を撮像した画像である。画像400-1は、例えば、分割予定ライン202、デバイス203等を示す画像を有する。
【0058】
オペレータは、加工装置1の加工後に、切削溝の状態を確認するために、加工装置1のタッチパネル40の表示面で、加工対象及び撮像ルートとして登録したい分割予定ライン202上をフリーハンドでなぞっている。
【0059】
場面1102では、加工装置1は、タッチパネル40を介して、開始位置510から終了位置520までの接触ライン500を検出する。加工装置1は、
図6に示すように、画像400-1における図形の輪郭に基づいて、接触ライン500から許容領域600の内部に位置する輪郭の境界線を検出する。例えば、加工装置1は、分割予定ライン202とデバイス203との輪郭の線を検出し、分割予定ライン202の輪郭の線の方が許容領域600の内部に収まっている割合が高いため、分割予定ライン202の輪郭の線を線430として検出する。加工装置1は、分割予定ライン202の輪郭である線430を示す登録情報を記憶部63に記憶することで、線430を登録する。本実施形態では、加工装置1は、検出した線430を、加工対象の分割予定ライン202及び撮像ルートとして登録する。
【0060】
図5に戻り、場面1102に示す一例では、加工装置1は、検出した線430を表示するように、タッチパネル40を制御することで、直線である線430を選択された分割予定ライン202の輪郭に沿って表示する。これにより、加工装置1は、表示した線430を登録したことをオペレータに確認させることができる。
【0061】
線430を登録した後、加工装置1は、オペレータからの指示により、線430に基づいて分割予定ライン202を特定し、保持テーブル10に保持された被加工物200を該分割予定ライン202に沿って加工することで、1ラインの切削溝を形成する処理を行ってもよい。または、加工装置1は、線430を登録した後、線430に沿って撮像ユニット30を移動させながら、切削溝の状態を撮像してもよい。これにより、加工装置1は、複数の領域を撮像したい場合、オペレータが撮像領域を動かす操作を複数回実施しなくても、1ライン上を撮像した切削溝の画像をオペレータに提供することができる。例えば、加工装置1は、1ライン上を撮像した切削溝の画像をタッチパネル40に表示することができる。
【0062】
(加工装置の登録制御の他の一例)
次に、実施形態に係る加工装置1が実行する処理手順の他の一例を説明する。
図7は、実施形態に係る加工装置1の登録に関する処理手順の他の一例を示すフローチャートである。
図7に示す処理手順は、加工装置1の制御ユニット60がプログラムを実行することによって実現される。
図7に示す処理手順は、加工装置1の制御ユニット60によって適宜実行される。
【0063】
図7に示す処理手順では、ステップ2101からステップ2108の処理は、
図4に示すステップ2101からステップ2108の処理と同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0064】
図7に示すように、加工装置1の制御ユニット60は、ステップ2106の処理が終了すると、登録した線430に基づく加工処理を実行する(ステップ2111)。例えば、制御ユニット60は、加工処理を実行することで、線430に基づいて分割予定ライン202を特定し、保持テーブル10に保持された被加工物200を該分割予定ライン202に沿って加工するように、加工ユニット20を制御する。制御ユニット60は、ステップ2111の処理が終了すると、処理をステップ2112に進める。
【0065】
制御ユニット60は、登録した線430に基づく撮像処理を実行する(ステップ2112)。例えば、制御ユニット60は、撮像処理を実行することで、線430に沿って撮像ユニット30を移動させながら、加工状態を撮像するように、撮像ユニット30及び移動ユニット50を制御する。制御ユニット60は、ステップ2112の処理が終了すると、処理をステップ2113に進める。
【0066】
制御ユニット60は、撮像した画像をタッチパネル40に表示させる(ステップ2113)。例えば、制御ユニット60は、撮像ユニット30が撮像した画像を表示するように、タッチパネル40を制御する。これにより、加工装置1は、加工した加工溝を撮像した画像をタッチパネル40に表示した状態になっている。制御ユニット60は、ステップ2113の処理が終了すると、処理を既に説明したステップ2107に進める。
【0067】
制御ユニット60は、終了するか否かを判定する(ステップ2107)。制御ユニット60は、終了しないと判定した場合(ステップ2107でNo)、処理を既に説明したステップ2102に戻し、処理を継続する。また、制御ユニット60は、終了すると判定した場合(ステップ2107でYes)、処理をステップ2108に進める。
【0068】
制御ユニット60は、画像400の表示を終了させる(ステップ2108)。例えば、制御ユニット60は、タッチパネル40が表示している画像の表示を終了するように、タッチパネル40を制御することで、画像の表示を終了させる。制御ユニット60は、ステップ2106の処理が終了すると、
図7に示す処理手順を終了させる。
【0069】
以上説明したように、加工装置1は、線430がタッチパネル40に表示された画像400において、分割予定ライン202または該加工ユニット20により形成された加工溝である場合、被加工物200を撮像する撮像ユニット30を保持テーブル10に対して相対的に移動させる撮像ルートとして、線430を登録することができる。これにより、加工装置1は、画像400が示す分割予定ライン202または加工溝の輪郭の近くをなぞるように、タッチパネル40をオペレータに操作させるだけで、オペレータがなぞった線がぶれていても、分割予定ライン202または加工溝にそった線430として補正されるので、画像400の任意の線430を撮像ルートとして容易に登録することができる。その結果、加工装置1は、複数の領域を撮像したい場合に、オペレータが撮像領域を変えるために表示された画像400の分割予定ライン202または加工溝を複数回選択して登録する必要がなく、操作性を向上させることができる。
【0070】
上記の実施形態では、加工装置1は、接触ライン500から許容領域600の内部に位置する1つの線430を検出して登録する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、加工装置1は、接触ライン500から許容領域600の内部に複数の境界線等が存在する場合、複数の線430を登録するように構成してもよい。
【0071】
[その他の実施形態]
なお、本発明に係る加工装置1は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。たとえば、加工装置1は、切削装置以外の研削装置やレーザー加工装置であってもよい。
【0072】
また、上記の実施形態において説明した加工装置1の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、加工装置1の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、加工装置1は、検出部61及び登録部62が機能的に統合されたり、組み合わせたりしてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 加工装置
10 保持テーブル
11 保持面
20 加工ユニット
30 撮像ユニット
40 タッチパネル
50 移動ユニット
60 制御ユニット
61 検出部
62 登録部
63 記憶部
400 画像
430 線
500 接触ライン
600 許容領域