(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-28
(45)【発行日】2025-04-07
(54)【発明の名称】回転数検出装置、回転数検出システム、回転数演算装置、および回転数検出方法
(51)【国際特許分類】
G01D 5/245 20060101AFI20250331BHJP
【FI】
G01D5/245 W
(21)【出願番号】P 2024230147
(22)【出願日】2024-12-26
【審査請求日】2024-12-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田辺 和規
(72)【発明者】
【氏名】宮下 至幸
(72)【発明者】
【氏名】中西 大貴
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2024-106245(JP,A)
【文献】特開2012-225917(JP,A)
【文献】特開2024-91481(JP,A)
【文献】国際公開第2019/188859(WO,A1)
【文献】特開2024-168473(JP,A)
【文献】特開2013-44606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D5/00-5/252
G01B7/00-7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体の回転動作にともなって一回転あたり2周期以上の交番磁界が軸方向に与えられ、磁場の方向の変化に応じた極性のパルスを出力する磁性ワイヤと、
前記交番磁界を形成し前記回転体に含まれる磁石の極性を、前記磁性ワイヤに対して予め定められた相対位置において判別する磁石極性判別部と、
前記回転体の周方向のセグメントをカウントしてカウント値を算出する演算部と、
を備え、
前記演算部は、前回取得された前記回転体の磁石の極性と、今回の前記パルスの極性と、今回の前記パルスが発生したときの前記回転体の磁石の極性とに基づいて、且つ、前回の前記パルスの極性を用いずに、前記カウント値を算出する
回転数検出装置。
【請求項2】
前記演算部は前記パルスによって駆動され前記カウント値の算出が開始されると、前回取得された前記回転体の磁石の極性と、今回の前記パルスの極性と、今回の前記パルスが発生したときの前記回転体の磁石の極性とに基づいて、前回の前記パルスが発生したときに前記磁性ワイヤに対向している前記セグメントに隣接する他の前記セグメントが、今回の前記パルスが発生したときに前記磁性ワイヤに対向する位置に移動していることを検知する
請求項1に記載の回転数検出装置。
【請求項3】
前記演算部が算出した前記カウント値を積算し、積算値として記憶する記憶部を備える
請求項2に記載の回転数検出装置。
【請求項4】
前記演算部は、前回の前記回転体の磁石の極性と、今回の前記回転体の磁石の極性とが一致するか否かに応じて、少なくとも一方の今回の前記パルスの極性に対する前記カウント値を異ならせる
請求項3に記載の回転数検出装置。
【請求項5】
前記演算部は、前回の前記回転体の磁石の極性と、今回の前記回転体の磁石の極性とが同一の場合、前記積算値が維持される前記カウント値を出力し、
前回の前記回転体の磁石の極性と、今回の前記回転体の磁石の極性とが異なる場合、前記積算値を増減させる前記カウント値を出力する
請求項4に記載の回転数検出装置。
【請求項6】
前記演算部は、今回の前記回転体の磁石の極性と、今回の前記パルスの極性とが一致するか否かに応じて、前記カウント値の符号を異ならせる
請求項5に記載の回転数検出装置。
【請求項7】
前記磁性ワイヤが、前記回転体の磁化の境界が対向する位置からずれた場合に、前記パルスを出力するように配置されている
請求項1から6のいずれか一項に記載の回転数検出装置。
【請求項8】
前記磁性ワイヤが、前記回転体の接線と交差する方向に延伸している
請求項7に記載の回転数検出装置。
【請求項9】
前記磁石極性判別部は磁気センサであり、
前記磁気センサは、前記磁性ワイヤと前記回転体の磁化の境界とが対向する位置に配置された場合に、前記回転体の磁化のいずれの境界とも対向しないように配置されている
請求項1から6のいずれか一項に記載の回転数検出装置。
【請求項10】
前記磁気センサは、前記磁性ワイヤと前記回転体の磁化の境界とが対向する位置に配置された場合に、前記回転体の磁化の境界との距離が最も大きくなるように配置されている
請求項9に記載の回転数検出装置。
【請求項11】
前記回転体は4極に磁化されている
請求項10に記載の回転数検出装置。
【請求項12】
前記磁気センサが、前記回転体の回転軸を中心として前記磁性ワイヤから45±10度、または135±10度の範囲に配置されている
請求項11に記載の回転数検出装置。
【請求項13】
前記回転体はn極に磁化されており、
前記磁気センサが、前記回転体の回転軸を中心とした前記磁性ワイヤからの角度であるθ
mのいずれかを中心に±40/n度の範囲に配置されている
θ
m=±180×m/n
ただし、mはnより小さい任意の奇数である
請求項10に記載の回転数検出装置。
【請求項14】
請求項1から6のいずれか一項に記載の回転数検出装置と、
前記回転体と
を備える回転数検出システム。
【請求項15】
磁性ワイヤおよび磁石極性判別部の出力に基づいて、回転体の周方向のセグメントをカウントしてカウント値を算出する回転数演算装置であって、
前記磁性ワイヤは、前記回転体の回転動作にともなって一回転あたり2周期以上の交番磁界が軸方向に与えられ、磁場の方向の変化に応じた極性のパルスを出力し、
前記磁石極性判別部は、前記交番磁界を形成し前記回転体に含まれる磁石の極性を、前記磁性ワイヤに対して予め定められた相対位置において判別し、
前記回転数演算装置は、
前回取得された前記回転体の磁石の極性と、今回の前記パルスの極性と、今回の前記パルスが発生したときの前記回転体の磁石の極性とに基づいて、且つ、前回の前記パルスの極性を用いずに、前記カウント値を算出する
回転数演算装置。
【請求項16】
回転体の回転動作にともなって一回転あたり2周期以上の交番磁界が軸方向に与えられ、磁場の方向の変化に応じて出力される磁性ワイヤのパルスの極性を取得し、
前記磁性ワイヤに対して予め定められた相対位置において、前記交番磁界を形成し前記回転体に含まれる磁石の極性を取得し、
前回取得された前記回転体の磁石の極性と、今回の前記パルスの極性と、今回の前記パルスが発生したときの前記回転体の磁石の極性とに基づいて、且つ、前回の前記パルスの極性を用いずに、前記回転体の周方向のセグメントをカウントしてカウント値を算出する
回転数検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転数検出装置、回転数検出システム、回転数演算装置、および回転数検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発電センサを用いた多回転角度検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1 特開2024-106245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
回転体の回転数を算出する際に、参照する情報を少なくする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、回転体の回転動作にともなって一回転あたり2周期以上の交番磁界が軸方向に与えられ、磁場の方向の変化に応じた極性のパルスを出力する磁性ワイヤを備える回転数検出装置を提供する。上記回転数検出装置は、前記交番磁界を形成し前記回転体に含まれる磁石の極性を、前記磁性ワイヤに対して予め定められた相対位置において判別する磁石極性判別部を備えてよい。上記いずれかの回転数検出装置は、前記回転体の周方向のセグメントをカウントしてカウント値を算出する演算部を備えてよい。上記いずれかの回転数検出装置において、前記演算部は、前回取得された前記回転体の磁石の極性と、今回の前記パルスの極性と、今回の前記パルスが発生したときの前記回転体の磁石の極性とに基づいて、且つ、前回の前記パルスの極性を用いずに、前記カウント値を算出してよい。
【0005】
上記いずれかの回転数検出装置において、前記演算部は前記パルスによって駆動され前記カウント値の算出が開始されると、前回取得された前記回転体の磁石の極性と、今回の前記パルスの極性と、今回の前記パルスが発生したときの前記回転体の磁石の極性とに基づいて、前回の前記パルスが発生したときに前記磁性ワイヤに対向している前記セグメントに隣接する他の前記セグメントが、今回の前記パルスが発生したときに前記磁性ワイヤに対向する位置に移動していることを検知してよい。上記いずれかの回転数検出装置は、前記演算部が算出した前記カウント値を積算し、積算値として記憶する記憶部を備えてよい。
【0006】
上記いずれかの回転数検出装置において、前記演算部は、前回の前記回転体の磁石の極性と、今回の前記回転体の磁石の極性とが一致するか否かに応じて、少なくとも一方の今回の前記パルスの極性に対する前記カウント値を異ならせてよい。
【0007】
上記いずれかの回転数検出装置において、前記演算部は、前回の前記回転体の磁石の極性と、今回の前記回転体の磁石の極性とが同一の場合、前記積算値が維持される前記カウント値を出力してよい。上記いずれかの回転数検出装置において、前記演算部は、前回の前記回転体の磁石の極性と、今回の前記回転体の磁石の極性とが異なる場合、前記積算値を増減させる前記カウント値を出力してよい。
【0008】
上記いずれかの回転数検出装置において、前記演算部は、今回の前記回転体の磁石の極性と、今回の前記パルスの極性とが一致するか否かに応じて、前記カウント値の符号を異ならせてよい。
【0009】
上記いずれかの回転数検出装置において、前記磁性ワイヤが、前記回転体の磁化の境界が対向する位置からずれた場合に、前記パルスを出力するように配置されていてよい。
【0010】
上記いずれかの回転数検出装置において、前記磁性ワイヤが、前記回転体の接線と交差する方向に延伸していてよい。
【0011】
上記いずれかの回転数検出装置において、前記磁石極性判別部は磁気センサであってよい。上記いずれかの回転数検出装置において、前記磁気センサは、前記磁性ワイヤと前記回転体の磁化の境界とが対向する位置に配置された場合に、前記回転体の磁化のいずれの境界とも対向しないように配置されていてよい。
【0012】
上記いずれかの回転数検出装置において、前記磁気センサは、前記磁性ワイヤと前記回転体の磁化の境界とが対向する位置に配置された場合に、前記回転体の磁化の境界との距離が最も大きくなるように配置されていてよい。
【0013】
上記いずれかの回転数検出装置において、前記回転体は4極に磁化されていてよい。
【0014】
上記いずれかの回転数検出装置において、前記磁気センサが、前記回転体の回転軸を中心として前記磁性ワイヤから45±10度、または135±10度の範囲に配置されていてよい。
【0015】
上記いずれかの回転数検出装置において、前記回転体はn極に磁化されていてよい。上記いずれかの回転数検出装置において、前記磁気センサが、前記回転体の回転軸を中心とした前記磁性ワイヤからの角度であるθmのいずれかを中心に±40/n度の範囲に配置されていてよい。
θm=±180×m/n
ただし、mはnより小さい任意の奇数であってよい。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の第2の態様においては、上記いずれかの回転数検出装置と、前記回転体とを備える回転数検出システムを提供する。
【0017】
上記課題を解決するために、本発明の第3の態様においては、磁性ワイヤおよび磁石極性判別部の出力に基づいて、回転体の周方向のセグメントをカウントしてカウント値を算出する回転数演算装置を提供する。上記回転数演算装置において、前記磁性ワイヤは、前記回転体の回転動作にともなって一回転あたり2周期以上の交番磁界が軸方向に与えられ、磁場の方向の変化に応じた極性のパルスを出力してよい。上記いずれかの回転数演算装置において、前記磁石極性判別部は、前記交番磁界を形成し前記回転体に含まれる磁石の極性を、前記磁性ワイヤに対して予め定められた相対位置において判別してよい。上記いずれかの回転数演算装置は、前回取得された前記回転体の磁石の極性と、今回の前記パルスの極性と、今回の前記パルスが発生したときの前記回転体の磁石の極性とに基づいて、且つ、前回の前記パルスの極性を用いずに、前記カウント値を算出してよい。
【0018】
上記課題を解決するために、本発明の第4の態様においては、回転数検出方法を提供する。上記回転数検出方法では、回転体の回転動作にともなって一回転あたり2周期以上の交番磁界が軸方向に与えられ、磁場の方向の変化に応じて出力される磁性ワイヤのパルスの極性を取得してよい。上記いずれかの回転数検出方法では、前記磁性ワイヤに対して予め定められた相対位置において、前記交番磁界を形成し前記回転体に含まれる磁石の極性を取得してよい。上記いずれかの回転数検出方法では、前回取得された前記回転体の磁石の極性と、今回の前記パルスの極性と、今回の前記パルスが発生したときの前記回転体の磁石の極性とに基づいて、且つ、前回の前記パルスの極性を用いずに、前記回転体の周方向のセグメントをカウントしてカウント値を算出してよい。
【0019】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴のすべてを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施例における回転数検出システム200を示す図である。
【
図2】磁性ワイヤ10、磁石極性判別部14および磁石20の配置例を示す図である。
【
図3A】磁性ワイヤ10が出力するパルスの極性と、磁石極性判別部14が判別する磁石20の極性を説明する図である。
【
図3B】パルスの極性と、磁石20の極性とカウント値の関係を説明する図である。
【
図4A】特許文献1の磁性ワイヤ10が出力するパルスの極性と、磁石極性判別部14が判別する磁石20の極性を説明する図である。
【
図4B】特許文献1のパルスの極性と、磁石20の極性とカウント値の関係を説明する図である。
【
図5A】特許文献1の磁性ワイヤ10と磁石極性判別部14の配置を
図3Aと同じにした場合のパルスの極性と、磁石20の極性を説明する図である。
【
図5B】
図5Aのパルスの極性と、磁石20の極性とカウント値との関係を説明する図である。
【
図6A】実施例の磁性ワイヤ10と磁石極性判別部14の配置が異なる場合のパルスの極性と、磁石20の極性を説明する図である。
【
図6B】
図6Aのパルスの極性と、磁石20の極性とカウント値との関係を説明する図である。
【
図7】回転体30の回転数検出方法の一例を示すフローチャートである。
【
図8A】磁性ワイヤ10に対する磁石極性判別部14の相対位置を説明する図である。
【
図8B】磁性ワイヤ10に対する磁石極性判別部14の相対位置を説明する他の図である。
【
図9】磁石20、磁石極性判別部14および磁性ワイヤ10の配置の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。本明細書では、各図における同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。また、説明の便宜上一部の構成を図示しない場合がある。
【0022】
本明細書では、X軸、Y軸およびZ軸の直交座標系を用いて技術的事項を説明する場合がある。直交座標系は、構成要素の相対位置を特定するに過ぎず、特定の方向を限定するものではない。例えばZ軸方向は地面に対する高さ方向を限定して示すものではない。なお、+Z軸方向と-Z軸方向とは互いに逆向きの方向である。正負を記載せず、Z軸方向と記載した場合、+Z軸および-Z軸に平行な方向を意味する。
【0023】
本明細書において「同一」、「等しい」、「平行」または「垂直」のように称した場合、製造ばらつき等に起因する誤差を有する場合も含んでよい。当該誤差は、例えば10%以内である。
【0024】
図1は、実施例における回転数検出システム200を示す図である。
図1は、回転数検出システム200の断面を示している。回転数検出システム200は、回転体30、回転数検出装置100、支持台40、および支持部材42を備える。回転数検出装置100は回転体30の回転を検知する。回転数検出装置100は回転体30の回転数、または回転方向の少なくとも一つを検知する。回転数検出システム200は、回転体30の1回転周期内の回転角度を検出するシングルターン用センサを更に備えていてもよい。
【0025】
本例の回転体30は、回転軸32および取付部34を有する。一例として回転軸32は、モーターの回転軸や、ステージの軸である。
図1において、回転軸32は、Z軸方向に延伸している。取付部34は回転軸32に取り付けられている。
図1において、回転体30は、Z軸方向を軸方向として、XY平面内で回転する。
【0026】
取付部34は、磁石20を有する。磁石20は、多極磁石である。磁石20は、2つ以上の第1の極性部21および2つ以上の第2の極性部22を有する。第1の極性部21および第2の極性部22は、一方がN極であり他方がS極である。
図1および以降の図では、第1の極性部21にハッチングを付している。
【0027】
回転体30は、回転方向に沿って、4極以上に磁化されている。回転体30が磁化されているとは、回転体30自体が磁化されていてもよく、本例のように回転体30に4極以上の磁石20が取り付けられていてもよい。本例の第1の極性部21および第2の極性部22は、回転体30の回転方向に沿って交互に配置されている。回転方向とは、回転体30の軸方向(Z軸方向)から見たときの回転体30の回転する方向であり、回転軸32を中心とした円の円周方向である。例えば
図1に示した第2の極性部22の円周方向における隣には第1の極性部21が配置されており、第1の極性部21の円周方向における隣には第2の極性部22が配置されている。Z軸方向からみて、円周方向に沿って第1の極性部21、第2の極性部22がそれぞれ2個以上配置されてよく、3個以上配置されてもよい。
【0028】
磁石20は、円柱状であってよく、円柱の底面と垂直な方向に空洞が設けられていてよい。つまり磁石20は、円筒状のリング磁石であってよい。本例の磁石20の円筒状の空洞部分は、Z軸方向において回転軸32と重なっている。磁石20は、回転体30とともに回転する。
【0029】
回転数検出装置100は、磁性ワイヤ10、磁石極性判別部14および演算部16を備える。回転数検出装置100は、記憶部18を更に備えてよい。
図1では回転数検出装置100および回転体30のXZ断面を示している。ただし、一部の構成は同一断面に存在しない場合もあるが、
図1では説明のため、各構成を同一断面に表示している。
【0030】
磁性ワイヤ10、磁石極性判別部14、演算部16および記憶部18は、支持台40に取り付けられている。支持台40は、支持部材42に取り付けられ、回転体30とZ軸方向に向かい合って配置されている。回転体30、磁石20、支持台40および支持部材42の形状は、回転軸32を中心にXY平面において円形状であってよい。本例では、支持台40は回転しない。
【0031】
磁性ワイヤ10は、磁気感度が異なる材料の層が積層されたワイヤ、すなわちウィーガンドワイヤであってよい。磁性ワイヤ10は、第1の材料11と第2の材料12とを有する。第2の材料12は第1の材料11の周りを覆うことで、2層構造のワイヤを形成している。磁性ワイヤ10の周りにはコイルが巻かれていてよい。
【0032】
第1の材料11と第2の材料12は磁気感度が異なる。本例では、第1の材料11が硬磁性であり、第2の材料12が軟磁性である。外部磁場の強さが徐々に変化した場合、ある磁場の強さにおいて磁気感度の高い第2の材料12の磁化の向きだけが変化する。その時、磁性ワイヤ10に巻かれたコイルにパルスが発生する。パルスとは、電圧パルスであってよく、電流パルスであってよく、その両方であってよい。ただし、磁性ワイヤ10の第1の材料11の磁気感度が第2の材料12の磁気感度より高くてもよい。
【0033】
回転体30が回転すると、磁性ワイヤ10に対して磁石20が相対的に回転するため、磁性ワイヤ10が磁石20から受ける磁場の強さと方向が変化する。磁性ワイヤ10は、当該磁場の方向の変化に応じた極性のパルスを出力する。磁性ワイヤ10は、当該磁場の強さと方向の変化に応じた極性のパルスを出力してよい。パルスの極性は、第2の材料12が磁化される方向に応じて2種類存在する。本明細書では、パルスの極性をプラス(+)とマイナス(-)で表す。つまり、磁性ワイヤ10は、回転体30の回転によってパルスを発生する。換言すると1回転あたり2回以上の交番磁界が磁石20によって形成され、この交番磁界が磁性ワイヤ10の長軸方向へ印加されることによって、磁性ワイヤ10は磁場の方向の変化に応じたパルスを出力する。
【0034】
磁石極性判別部14は、回転体30の磁石20の極性を判別する。磁石極性判別部14は、磁気センサであってよい。本例の磁石極性判別部14はホール素子である。ただし、磁石極性判別部14は、回転体30の磁石20の極性を判別できれば、磁気センサに限定されない。例えば、回転体30に磁石20の極性に応じた切り欠きを形成し、光学センサを用いて当該切り欠きを測定することで磁石20の極性を判別してもよい。
【0035】
演算部16は、回転体30の回転数を表すカウント値を算出する回転数演算装置である。演算部16は、磁性ワイヤ10および磁石極性判別部14の出力に基づいてカウント値を演算する。カウント値の算出方法については後述する。演算部16は、カウント値の算出のため、記憶部18から情報を読み出してよい。演算部16は、算出したカウント値を記憶部18に出力する。本例の演算部16と磁石極性判別部14は、ホールセンサを内蔵したICによって構成されている。ただし、演算部16は、磁石極性判別部14と別個に設けられてもよい。
【0036】
記憶部18は、演算部16が算出したカウント値を積算し、積算値として記憶する。記憶部18は、FRAM(登録商標)などの低消費電力の不揮発性メモリであってよい。図示していないが、磁性ワイヤ10、磁石極性判別部14、演算部16、および記憶部18は、配線で接続されてよい。
【0037】
磁石極性判別部14、演算部16および記憶部18は、磁性ワイヤ10が出力するパルスの電力によって動作してよい。これにより、バッテリなどから電源が供給されなくても回転体30の回転数を算出して保持することができる。磁石極性判別部14は、パルスが発生する毎に回転体30の磁石20の極性を判別してよい。演算部16は、パルスが発生する毎に記憶部18から情報を読み出してカウント値を算出してよく、算出したカウント値などを記憶部18に書き込んでよい。演算部16には外付けのコンデンサが設けられ、磁性ワイヤ10のパルスの電力を充電してもよい。また、演算部16は磁性ワイヤ10のパルスを整流してもよい。
【0038】
図2は、磁性ワイヤ10、磁石極性判別部14および磁石20の配置例を示す図である。
図2は、
図1におけるZ軸負側から磁性ワイヤ10、磁石極性判別部14および磁石20を見た場合の配置例を示している。
図2においては、説明のため他の構成は図示していない。また、磁性ワイヤ10の全体に粗いハッチングを付している。
【0039】
本例の磁石20は、XY平面における円周上に2つの第1の極性部21と、2つの第2の極性部22を有する。本例の磁石20は、円周方向に90度毎に第1の極性部21と第2の極性部22を有する。
【0040】
本例の磁性ワイヤ10は所定の方向に延伸していてよい。例えば円柱状の磁性ワイヤ10の延伸方向は、円状の断面と垂直な方向である。
図2において、磁性ワイヤ10はX軸方向に延伸している。本明細書において、磁性ワイヤ10の方向とは、磁性ワイヤ10の延伸方向であってよい。
【0041】
磁性ワイヤ10は、回転体30の磁化の境界が対向する位置からずれた場合に、パルスを出力するように配置されていてよい。本例の場合、回転体30の磁化の境界は磁石20の第1の極性部21と、第2の極性部22の境界である。磁性ワイヤ10は、回転体30の接線と交差する方向に延伸していてよい。回転体30の接線と、磁石20の接線とは方向が一致していてよい。本例の磁性ワイヤ10は、磁石20の接線と直交している。このような配置によって、後述するように、磁性ワイヤ10は、回転体30の磁化の境界が対向する位置からずれた場合に、パルスを出力する。
【0042】
磁石極性判別部14は、磁性ワイヤ10に対して予め定められた相対位置に配置されている。本例の磁石極性判別部14は、磁石20の円の中心を基準として、磁性ワイヤ10から45度の位置に配置されている。当該位置において、磁性ワイヤ10は、磁石20とZ軸方向において重なって配置されてよい。磁石極性判別部14は、当該位置における磁石20の極性(N極、S極)を判別する。
【0043】
図3Aは、磁性ワイヤ10が出力するパルスの極性と、磁石極性判別部14が判別する磁石20の極性を説明する図である。
図3Bは、パルスの極性と、磁石20の極性とカウント値の関係を説明する図である。本例では、磁石20の第1の極性部21をN極とし、第2の極性部22をS極とする。
【0044】
本例では、磁性ワイヤ10を、磁石20の接線と交差する方向に配置しているため、磁石20が回転し、第1の極性部21と第2の極性部22の境界が磁性ワイヤ10と対向する位置からずれると磁性ワイヤ10がパルスを出力する。図中の黒丸で示す点a~hは、境界が磁性ワイヤ10と対向する位置からずれた点であり、各点が磁性ワイヤ10と対向する位置に来た時に磁性ワイヤ10がパルスを出力する。
【0045】
各点の外側に表示している矢印は、磁石20が矢印の向きに回転している場合に、パルスが出力されることを表している。矢印よりも外側に表示されている三角形は、パルスの極性を表している。本例では、プラスの極性のパルスを内向きの三角形で表し、マイナスの極性のパルスを外向きの三角形で表している。
【0046】
当該三角形の外側に表示されている丸印は、パルス発生時に磁石極性判別部14が検知する磁石20の極性を示している。ハッチングされている丸印が第1の極性部21を表し、ハッチングされていない丸印が第2の極性部22を表している。本例の磁石極性判別部14は、パルス発生時に磁石極性判別部14と対向している部分の磁石20の極性を検知する。
【0047】
一例として、磁石20が
図3Aの状態から時計回りに回転する場合を説明する。回転が進み、点dが磁性ワイヤ10と対向する位置まで回転しても、点dは反時計回りの矢印なのでパルスは出力されない。その後さらに回転が進み、点cが磁性ワイヤ10と対向する位置まで回転した場合、点cは時計周りの矢印なので、パルスが出力される。その時の極性はプラスである。これは磁性ワイヤ10が、第2の極性部22の磁場によって、第1の材料11と第2の材料12が共に同じ方向に磁化されているところに、第1の極性部21の磁場によって第2の材料12のみが反対の方向に磁化された結果生じるパルスである。また、その時に磁石極性判別部14が検知する磁石20の極性は第1の極性部21(N極)である。
図3Bの表には、「前回」欄に、位置cの時のパルスの極性がプラス、磁石20の極性(MS)がN(+)で示してある。本例では、カウント値の算出において、N極を+として扱っている。
【0048】
前回、点cにて生じたパルスの次にパルスが生じる場合がある位置は、点c、点d、点f、点aの4つである。
図3Bの「今回」欄にはこの順で各行に点を示している。まず、点cで今回のパルスが生じる場合を説明する。この場合、磁石20は、点cにて前回のパルスを発生させた後、ほとんど時計回りに回転せず逆回転(反時計回り)を始める。このとき、磁性ワイヤ10の第1の材料11は、磁石20の第1の極性部21の磁場によって磁化されていない。そのため、磁石20が反時計回りに回転し、点dが磁性ワイヤ10と対向する位置まで回転してもパルスは生じない。このように本来はパルスが発生する位置においてパルスが発生しない現象を「パルス抜け」と称する。その後、磁石20が再度時計回りに回転し、点cが磁性ワイヤ10と対向する位置まで回転すると、パルスが発生する。その時のパルスの極性はプラスであり、磁石20の極性(MS)はN(+)であり、
図3Bの「今回」欄の点cの行に示している。パルス極性と磁石20の極性のどちらも前回の点cの場合と同じである。なお、本明細書で「前回」とは、前回のパルスが発生したときを表し、「今回」とは、今回のパルスが発生したときを表してよい。
【0049】
次に点dで今回のパルスが生じる場合を説明する。この場合、磁石20は、点cにて前回のパルスを発生させた後、磁性ワイヤ10の第1の材料11が第1の極性部21の磁場によって磁化されるまで時計回りに回転する。その後、反時計回りに転じ、点dが磁性ワイヤ10と対向する位置まで回転すると、パルスが発生する。この時のパルスの極性がマイナス、磁石20の極性(MS)がN(+)である。
【0050】
次に点fで今回のパルスが生じる場合を説明する。この場合、磁石20が反時計回りに回転し、パルス抜けが生じて点dではパルスが生じないところまでは、点cの場合と同様である。その後、磁石20が反時計回りに回転し続け、点fが磁性ワイヤ10と対向する位置まで回転すると、パルスが発生する。その時のパルスの極性はプラスであり、磁石20の極性(MS)はS(-)である。
【0051】
次に点aで今回のパルスが生じる場合を説明する。この場合、磁石20は、点cにて前回のパルスを発生させた後、時計回りに回転し続ける。そして、点aが磁性ワイヤ10と対向する位置まで回転すると、パルスが発生する。その時のパルスの極性はマイナスであり、磁石20の極性(MS)はS(-)である。
【0052】
続いて、カウント値の算出について説明する。カウント値は、回転体30の回転数を表す値である。本例では、カウント値4が1回転に相当する。カウント値は、
図3Bの表の一番右の列に示している。本例のカウント値では、時計回り(CW)をプラス(+)、反時計回り(CCW)をマイナス(-)としている。言い換えると、
図3Aに示すように、回転体30あるいは磁石20は、その回転軸を中心とした回転座標系を設定した際に、その回転軸を通過しかつ直交する2軸で分割された4つのセグメント(象限)を有するものとして定義され、磁性ワイヤ10に対して向き合うセグメントが回転によって変化することに応じてカウント値が増減される。カウント値の増加と減算との判別は、更に磁石極性判別部14の検知結果との組み合わせによって決定される。なおセグメントは、前述の定義の他に、例えば回転軸を中心として回転方向に所定の角度幅を有する領域として規定されてもよい。換言するとカウント値4つで1回転とする場合は、例えば回転方向において90度の角度幅に相当する領域がセグメントとして与えられてよい。磁性ワイヤ10に対して向き合うセグメントとは、回転体30に含まれる複数のセグメントのなかで磁性ワイヤ10の設置位置に対する距離が最も近い一つであって、回転動作に応じて変化する。
【0053】
前回のパルス発生位置が点cで、今回のパルス発生位置が点cの場合、カウント値は0となる。これは、
図3Aにおいて、前回も今回もパルスが象限2で発生していることに対応する。前回のパルス発生位置が点cで、今回のパルス発生位置が点dの場合、カウント値は0となる。これも、
図3Aにおいて、前回も今回もパルスが象限2で発生していることに対応する。
【0054】
前回のパルス発生位置が点cで、今回のパルス発生位置が点fの場合、カウント値は-1となる。これは、
図3Aにおいて、前回のパルスが象限2で発生し、今回のパルスが象限3で発生していることに対応する。前回のパルス発生位置が点cで、今回のパルス発生位置が点aの場合、カウント値は+1となる。これは、
図3Aにおいて、前回のパルスが象限2で発生し、今回のパルスが象限1で発生していることに対応する。
【0055】
図3Bに示すカウント値の算出は一例であり、その方法を整理すると以下のようになる。演算部16は、前回の磁石20の極性と、今回のパルスの極性と、今回の磁石20の極性とに基づいてカウント値を算出する。また、演算部16は、前回のパルスの極性を用いずにカウント値を算出する。換言すると、磁石20が設置された回転体30の回転に応じて、演算部16は回転体30の周方向のセグメント(ここでは4セグメント構成)をカウントしてカウント値を算出する。より具体的には次のように説明される。回転体30に含まれる磁石20が回転することによって形成される交番磁界が磁性ワイヤ10に印加されるとその磁場の方向の変化に応じたパルスが発生する。そしてパルスが発生したことに応じて、磁性ワイヤ10に対して予め定められた相対位置における磁石20の極性を磁石極性判別部14が判別する。この動作は、回転体30の周方向にわたり予め定められた角度幅をもつ領域として仮想的に定義される複数のセグメントに関して、磁性ワイヤ10が向き合うセグメントが回転体30の回転動作によって隣接する他のセグメントに変わる回数をカウントすることとみなしてよい。
【0056】
演算部16は、前回の磁石20の極性と、今回の磁石20の極性とが一致するか否かに応じて、少なくとも一方の今回のパルスの極性に対するカウント値を異ならせてよい。
図3Bに示す例では、前回の磁石20の極性と、今回の磁石20の極性とが一致する場合(「今回」の点cおよび点d)、パルスの極性に依らずカウント値は同一(カウント値0)である。前回の磁石20の極性と、今回の磁石20の極性とが異なる場合(「今回」の点fおよび点a)、パルスの極性に対してカウント値を+1と-1に異ならせている。
【0057】
演算部16は、前回の磁石20の極性と、今回の磁石20の極性とが同一の場合(「今回」の点cおよび点d)、積算値が維持されるカウント値を出力してよい。
図3Bにおいて、当該カウント値は0である。演算部16は、前回の磁石20の極性と、今回の磁石20の極性とが異なる場合(「今回」の点fおよび点a)、積算値を増減させるカウント値を出力してよい。
図3Bにおいて、当該カウント値は+1または-1である。
【0058】
演算部16は、今回の磁石20の極性と、今回のパルスの極性とが一致するか否かに応じて、カウント値の符号を異ならせてよい。
図3Bでは、前回の磁石20の極性と、今回の磁石20の極性とが異なる場合(「今回」の点fおよび点a)において、今回の磁石20の極性と、今回のパルスの極性とが一致する場合(点a)、符号はマイナスであり、今回の磁石20の極性と、今回のパルスの極性とが異なる場合(点f)、符号はプラスである。この場合、カウント値の絶対値は等しくてよい。
図3Bでは、今回が点aの場合、カウント値は+1であり、今回が点fの場合、カウント値は-1である。すなわち、絶対値は1である。
【0059】
上述の通り、演算部16は、前回のパルスの極性を用いずにカウント値を算出する。すなわち、上記いずれのカウント値の算出においても、前回のパルスの極性を用いずにカウント値を算出している。これにより、カウント値を算出する際に、参照する情報を少なくすることができる。
【0060】
演算部16は、カウント値の算出において、記憶部18から前回の磁石20の極性を読み出してよい。演算部16は、カウント値の算出において、記憶部18から前回のパルスの極性を読み出さなくてよい。演算部16は、前回の磁石20の極性、今回のパルスの極性、および今回の磁石20の極性のみに基づいてカウント値を算出してよい。
【0061】
演算部16は、算出したカウント値を記憶部18に書き込んでよい。演算部16は、今回の磁石20の極性の情報を記憶部18に書き込んでよい。これにより、次回のパルス発生時に、当該極性を前回の磁石20の極性として読み出すことができる。演算部16は、今回のパルスの極性の情報を記憶部18に書き込まなくてよい。記憶部18は、磁石20の極性の情報を記憶してよい。記憶部18は、パルスの極性の情報を記憶しなくてよい。
【0062】
図4Aは、特許文献1の磁性ワイヤ10が出力するパルスの極性と、磁石極性判別部14が判別する磁石20の極性を説明する図である。
図4Bは、特許文献1のパルスの極性と、磁石20の極性とカウント値の関係を説明する図である。特許文献1の
図1、
図2A-2Cには、4極着磁磁石である磁界発生源50の接線と平行な向きに配置されている発電センサ20と、「発電センサ20の中央部に対向する磁極の極性を検出できるように配置」(段落0079)されたセンサ要素MSが示されている。特許文献1の各構成の配置と、発生するパルスの極性、磁石20の極性を本明細書の
図3Aの表示を用いて表すと
図4Aのようになる。
【0063】
図4Aでは、磁性ワイヤ10が磁石20の接線と平行な向きに配置されているため、パルス発生位置が
図3Aと異なる。また、磁石極性判別部14は、磁性ワイヤ10と対向する部分の磁石20の極性を検出している。
【0064】
図3Aの場合と同様に、磁石20が
図4Aの状態から時計回りに回転する場合を説明する。回転が進み、点dが磁性ワイヤ10の中央と対向する位置まで回転すると、パルスが出力される。その時の極性はマイナスである。また、その時に磁石極性判別部14が検知する磁石20の極性は第2の極性部22である。
図4Bの表には、「前回」欄に、位置dの時のパルスの極性がマイナス、磁石20の極性(MS)がS(-)で示してある。
【0065】
前回、点dにて生じたパルスの次にパルスが生じる場合がある位置は、点d、点e、点g、点bの4つである。
図4Bの「今回」欄にはこの順で各行に点を示している。まず、点dで今回のパルスが生じる場合を説明する。この場合、磁石20は、点dにて前回のパルスを発生させた後、逆回転(反時計回り)を始める。そして、点eではパルス抜けが生じる。その後、磁石20が再度時計回りに回転し、点dが磁性ワイヤ10の中央と対向する位置まで回転すると、パルスが発生する。その時のパルスの極性はマイナスであり、磁石20の極性(MS)はS(-)であり、
図3Bの「今回」欄の点dの行に示している。パルス極性と磁石20の極性のどちらも前回の点dの場合と同じである。
【0066】
次に点eで今回のパルスが生じる場合を説明する。この場合、磁石20は、点cにて前回のパルスを発生させた後、磁性ワイヤ10の第1の材料11も磁化されるまで時計回りに回転する。その後、反時計回りに転じ、点eが磁性ワイヤ10の中央と対向する位置まで回転すると、パルスが発生する。この時のパルスの極性がプラス、磁石20の極性(MS)がS(-)である。
【0067】
次に点gで今回のパルスが生じる場合を説明する。この場合、磁石20が反時計回りに回転し、パルス抜けが生じて点eではパルスが生じないところまでは、点dの場合と同様である。その後、磁石20が反時計回りに回転し続け、点gが磁性ワイヤ10の中央と対向する位置まで回転すると、パルスが発生する。その時のパルスの極性はマイナスであり、磁石20の極性(MS)はN(+)である。
【0068】
次に点bで今回のパルスが生じる場合を説明する。この場合、磁石20は、点dにて前回のパルスを発生させた後、時計回りに回転し続ける。そして、点bが磁性ワイヤ10の中央と対向する位置まで回転すると、パルスが発生する。その時のパルスの極性はプラスであり、磁石20の極性(MS)はN(+)である。
【0069】
続いて、カウント値の算出について説明する。カウント値の取り方は、
図3Bの場合と同様である。前回のパルス発生位置が点dで、今回のパルス発生位置が点dの場合、カウント値は0となる。これは、
図4Aにおいて、前回も今回もパルスが象限2で発生していることに対応する。前回のパルス発生位置が点dで、今回のパルス発生位置が点eの場合、カウント値は-1となる。これは、
図4Aにおいて、前回のパルスが象限2で発生し、今回のパルスが象限3で発生していることに対応する。
【0070】
前回のパルス発生位置が点dで、今回のパルス発生位置が点gの場合、カウント値は-2となる。これは、
図4Aにおいて、前回のパルスが象限2で発生し、今回のパルスが象限4で発生していることに対応する。前回のパルス発生位置が点dで、今回のパルス発生位置が点bの場合、カウント値は+1となる。これは、
図4Aにおいて、前回のパルスが象限2で発生し、今回のパルスが象限1で発生していることに対応する。
【0071】
図4Bでは、カウント値に-2が存在している。点d以外の他の点について検討するとカウント値+2が存在するため、
図4Aの例では、カウント値に絶対値2が存在する。特許文献1の
図5には、+2または-2の存在が示されている。また、
図4Bでは、前回のパルスの極性を用いることなくカウント値を算出することは不可能であり、必ず前回の磁石20の極性と前回のパルスの極性の両方を用いる必要がある。特許文献1の段落0104,0105には、前回のパルス電圧の極性と、前回のセンサ要素状態を用いることが記載されている。
【0072】
本実施例の回転数検出装置100では、前回のパルスの極性を用いずにカウント値を算出するため、参照する情報が少ない。また、カウント値に絶対値2が存在する場合、記憶部18への書き込みを2回行わなければならない場合がある。本実施例の回転数検出装置100では、カウント値の絶対値は1なので、記憶部18への書き込みは必ず1回で完了する。
【0073】
図5Aは、特許文献1の磁性ワイヤ10と磁石極性判別部14の配置を
図3Aと同じにした場合のパルスの極性と、磁石20の極性を説明する図である。
図5Bは、
図5Aのパルスの極性と、磁石20の極性とカウント値との関係を説明する図である。
【0074】
図5Aでは、磁性ワイヤ10は、磁石20の接線と直交する方向に配置されており、磁石極性判別部14は、回転軸を中心として磁性ワイヤ10から45度の位置に配置されている。
図5A、
図5Bにおいては、各点の詳細な説明は省略する。
【0075】
図5Bにおいても、カウント値の絶対値に2が存在している。これは、特許文献1がパルスの極性を基準にカウント値を算出しているためである。特許文献1では、段落0099,0100に記載のように、パルスの極性が異なればカウント値を+1または-1している。カウント値が変化するということは、象限(セグメント)が変化するということである。そのため、
図5Bでは、例えばパルスの極性が異なる点cと点dの間に象限の境界が存在する。その結果、点cでパルスが発生した後に点dでパルスが発生した場合、カウント値が-1となる。また、点cでパルスが発生した後に点dでパルス抜けが発生し、点fで次のパルスが発生した場合、カウント値は-2となる。このため、カウント値のバリエーションが4種類(0,-1,-2,+1)に増え、カウント値を決めるために前回のパルスの極性と前回の磁石20の極性の両方を用いる必要がある。
【0076】
本実施例は、磁石20の極性を基準にカウント値を算出している。つまり、磁石20の極性が変化すればカウント値の絶対値を1とし、磁石20の極性が変化しなければ、カウント値の絶対値は0としている。そのため、点cでパルスが発生した後に点dでパルスが発生した場合、カウント値が0となる(
図3B参照)。また、点cでパルスが発生した後に点dでパルス抜けが発生し、点fで次のパルスが発生した場合でも、磁石20の極性の変化に応じて象限の移動は1つとなり、カウント値は-1となる(
図3B参照)。
【0077】
図6Aは、実施例の磁性ワイヤ10と磁石極性判別部14の配置が異なる場合のパルスの極性と、磁石20の極性を説明する図である。
図6Bは、
図6Aのパルスの極性と、磁石20の極性とカウント値との関係を説明する図である。
図6A、
図6Bにおいても、各点の詳細な説明は省略する。
【0078】
図6Aでは、磁性ワイヤ10が磁石20の接線と平行な向きに配置されているため、パルス発生位置は
図4Aと同じ位置になる。また、磁石極性判別部14は、磁性ワイヤ10と対向する部分の磁石20の極性を検出している。ただし、本例では、磁石20の極性を基準にカウント値を算出している。そのため、象限の分け方は
図4Aと異なる。
【0079】
図6Bから、本例においても
図3Bと同様に、前回のパルスの極性を用いることなくカウント値を算出できることが分かる。また、本例のカウント値の絶対値は1である。つまり、磁性ワイヤ10と磁石極性判別部14の配置によらず、磁石20の極性を基準にカウント値を算出することで、上述の効果を奏することができる。
【0080】
図7は、回転体30の回転数検出方法の一例を示すフローチャートである。回転数検出方法では、
図1から
図3B、
図6Aまたは
図6Bで説明したカウント値の算出を行ってよい。すなわち、回転数検出方法では、前回の磁石20の極性と、今回のパルスの極性と、今回の磁石20の極性とに基づいて、カウント値を算出してよい。また、回転数検出方法では、前回のパルスの極性を用いずに、カウント値を算出してよい。
図7はその一例である。
【0081】
Step1では、今回の磁性ワイヤ10のパルスの極性を取得する。パルスは、回転方向に沿って4極以上に磁化された回転体30から受ける磁場の方向の変化に応じて出力される磁性ワイヤ10のパルスであってよい。Step2では、今回の磁石20の極性を取得する。磁石20の極性は、磁性ワイヤ10に対して予め定められた相対位置における回転体30の磁石20の極性であってよい。Step1およびStep2は、
図1の演算部16にて行われてよい。
【0082】
Step3では、前回の磁石20の極性を読み出す。Step3では、演算部16が記憶部18から前回の磁石20の極性を読み出してよい。なお、Step1-3の順番は
図7と異なっていてもよい。
【0083】
Step4では、今回の磁石20の極性と前回の磁石20の極性が一致するか否かを判定する。今回の磁石20の極性と前回の磁石20の極性が一致する場合(Yes)、カウント値の積算値が維持されるカウント値を算出してよい。本例ではStep6に進み、カウント値0を算出する。
【0084】
今回の磁石20の極性と前回の磁石20の極性が一致しない場合(No)、積算値を増減させるカウント値を出力してよい。本例の場合、Step5に進み、今回のパルス極性と今回の磁石20の極性が一致するか否かを判定する。今回のパルス極性と今回の磁石20の極性が一致する場合(Yes)、Step6にてカウント値+1を算出する。今回のパルス極性と今回の磁石20の極性が一致しない場合(No)、Step6にてカウント値-1を算出する。Step4-6は、演算部16にて行われてよい。換言すると演算部16はパルスによって駆動されてカウント値の算出が開始されると、前回取得された回転体30の磁石20の極性と、今回のパルスの極性と、今回のパルスが発生したときの回転体30の磁石20の極性とに基づいて、前回のパルス発生のときに磁性ワイヤ10の設置位置において磁性ワイヤ14に対向しているセグメントに隣接する他のセグメントが、今回のパルス発生のときに磁性ワイヤ10の設置位置に対向するよう移動していることを検知する。より詳細には、演算部16は、今回のパルス発生のときに磁性ワイヤ10の設置位置に対向するセグメントが、前回のパルス発生のときに存在した位置から時計回りかそれとも反時計回りのいずれの回転動作によってその位置に到達したものかを判別し、その判別結果に応じてカウント値を算出する。
【0085】
Step7では、算出したカウント値を積算する。演算部16が算出したカウント値を記憶部18に出力し、記憶部18にてカウント値の積算が行われてよい。また、Step7では、今回の磁石20の極性が保存されてよい。演算部16が、今回の磁石20の極性を記憶部18に書き込んでよい。Step7では、今回のパルスの極性は保存されなくてよい。
【0086】
図8Aは、磁性ワイヤ10に対する磁石極性判別部14の相対位置を説明する図である。本例の回転体30は4極に磁化されている。ただし、
図8Aでは、回転体30の内、磁石20のみを示している。本例の磁性ワイヤ10は、回転体30の回転方向の接線と交差する方向に延伸している。
【0087】
本例の磁石極性判別部14は磁気センサである。本例の磁石極性判別部14は、磁性ワイヤ10と回転体30の磁化の境界とが対向する位置に配置された場合に、回転体30の磁化のいずれの境界とも対向しないように配置されている。本例においても回転体30の磁化の境界とは、磁石20の第1の極性部21と第2の極性部22との境界である。
図8Aは、磁性ワイヤ10と回転体30の磁化の境界とが対向する位置に配置された場合を示している。これによって、磁石極性判別部14の誤検知を減らすことができる。境界と対向しないとは、磁石極性判別部14を中心に回転方向に±10度以内の範囲に境界が無いことであってよい。第1の極性部21と第2の極性部22との境界は、回転方向に等角度間隔で配置されていてよい。
【0088】
磁石極性判別部14は、磁性ワイヤ10と回転体30の磁化の境界とが対向する位置に配置された場合に、回転体30の磁化の境界との距離が最も大きくなるように配置されてよい。境界との距離は、磁石極性判別部14に最も近い境界との距離であってよい。境界が等角度間隔に配置されていれば、磁石極性判別部14からの距離が等しい2つの境界が存在する。本例の場合、磁石極性判別部14は、回転体30の回転軸32を中心として、磁性ワイヤ10から45度または135度の位置に配置されており、当該位置で境界との距離が最大となっている。これによって、磁石極性判別部14の誤検知を減らすことができる。ただし、上記配置または角度は幅を有してよい。当該幅は、±10度であってよく、±5度であってよく、±2度であってよい。
【0089】
図8Bは、磁性ワイヤ10に対する磁石極性判別部14の相対位置を説明する他の図である。本例の回転体30は6極に磁化されている。ただし、
図8Bにおいても、回転体30の内、磁石20のみを示している。本例の第1の極性部21と第2の極性部22との境界も、回転方向に等角度間隔で配置されている。本例の磁性ワイヤ10も、回転体30の回転方向の接線と交差する方向に延伸している。本例の磁石極性判別部14も磁気センサである。
【0090】
本例において、磁性ワイヤ10と回転体30の磁化の境界とが対向する位置に配置された場合に、回転体30の磁化の境界との距離が最も大きくなるような磁石極性判別部14の位置は、回転体30の回転軸32を中心として、磁性ワイヤ10から30度、90度または150度の位置である。上記位置に磁石極性判別部14を配置することによって磁石極性判別部14の誤検知を減らすことができる。上記角度は±5度、または±2度の幅を有してよい。
【0091】
上述の配置を一般化すると次のようになる。すなわち、磁性ワイヤ10が、回転体30の回転方向の接線と交差する方向に延伸している場合において、磁性ワイヤ10と回転体30の磁化の境界とが対向する位置に配置された場合に、回転体30の磁化の境界との距離が最も大きくなるような磁石極性判別部14の配置を説明する。回転体はn極に磁化されているとする。nは偶数である。nは4以上の偶数であってよく、6以上の偶数であってよく、8以上の偶数であってよい。また、回転体30の磁化の境界は、回転方向に等角度間隔で配置されているとする。
【0092】
磁石極性判別部14が、以下に示す、回転体30の回転軸を中心とした磁性ワイヤ10からの角度θmの位置に配置されていれば、境界との距離が最も大きくなる。
θm=180×m/n
ただし、mはnより小さい任意の奇数である。角度θmの最大値は180度である。つまり、磁性ワイヤ10を基準として時計回りと反時計回りで上式を対称に用いてよい。
【0093】
例えば、n=4の場合、角度θ
mは、45度(m=1)、135度(m=3)となり、
図8Aの例と一致する。角度θ
mは、幅を有していてよい。当該幅は、±40/n度であってよく、±20/n度であってよく、±8/n度であってもよい。また、回転体30の磁化の境界位置も角度θ
mと同様の幅を有していてよい。
このように磁性ワイヤ10および磁石極性判別部14が設置され、かつ回転体30に対するセグメント割り当てにおいて、それぞれのセグメントが磁化の境界を含むように設定されることによって、上述したようなセグメントの移動検知が可能となる。この配置関係およびセグメント割り当ては、パルス発生に対してセグメント変化が生じたケースとセグメント変化が生じなかったケースの両方とを検知可能とする。より詳細には、回転体30の回転によって磁化の境界が磁性ワイヤ10との対向位置を通過する際にパルスが生じると、いずれかのセグメントがその位置にあることが検知される。更に、上述の相対位置に設けられた磁石極性判別部14がその位置において対向する磁石20の極性を特定する。そして磁石20の極性および前回測定時の磁石20の極性が一致しているのであれば、磁性ワイヤ10に対向するセグメントは前回と今回とで同一であることが判別できる。また磁石20の極性および前回測定時の磁石20の極性が異なるのであれば、セグメント変化が生じたことが検知できる。そして、これらの情報とパルスの極性とを組み合わせに基づき、そのセグメント変化は時計回りと反時計回りのいずれの回転動作に起因するものかの判別が可能となる。
【0094】
図9は、磁石20、磁石極性判別部14および磁性ワイヤ10の配置の一例を示す斜視図である。上述した回転数検出システム200において、磁石20、磁石極性判別部14および磁性ワイヤ10の配置は例えば次のように一般化できる。すなわち回転数検出システム200は、回転方向に沿って4極以上に着磁された磁石20を回転磁石として有する。磁性ワイヤ10は磁石20の回転に対して、この回転によって生じる磁場方向の変化に応じた極性のパルス(電圧)を出力する。磁石極性判別部14は磁性ワイヤ10に対して予め定められた相対位置に設けられ、その設置位置において磁石20の極性を検知する。
【0095】
図9では、磁石20の回転軸と平行な方向(回転軸方向)をZ軸とし、磁性ワイヤ10の長軸方向をX軸としている。磁性ワイヤ10は次に示すように配置されてもよい。磁性ワイヤ10は、磁石20の回転軸方向から見て、磁性ワイヤ10の長軸方向の一端51が磁石20の外縁領域24に配置されてよい。
図9には、磁性ワイヤ10の一端51から磁石20の外縁領域24までZ軸方向に伸びる点線を示している。また磁性ワイヤ10は、磁石20の回転軸に直交する方向(
図9においてはX軸方向)において、磁性ワイヤ10の長軸の中央点52が磁石20の外縁端25よりも外側に位置するよう配置されてよい。
図9には、磁性ワイヤ10の中央点52から磁石20の外縁端25よりも外側までZ軸方向に伸びる点線を示している。またリング形状の磁石20に対して、磁石20の回転軸方向から見て、磁性ワイヤ10の端部(
図9においては一端51)は磁石20が占める領域に重なるように配置されてよい。換言すると、磁石20の回転軸方向から見て、磁性ワイヤ10の端部は磁石20の内径から外径の間の領域に位置するように配置されてよい。また磁性ワイヤ10の長軸方向の他端53は、磁石20の回転軸を通過しかつ回転軸の反対方向に向かって伸ばした直線上に位置するよう配置されてよい。換言すると、磁石20の回転軸方向から見て、磁石20の回転軸、磁性ワイヤ10の一端51、および磁性ワイヤ10の他端53は、直線上に配置されてよい。また磁石20の回転軸方向において、磁性ワイヤ10は、磁石20の上面よりも上方または磁石20の下面よりも下方の空間に設置されてよい。なお、磁性ワイヤ10の一端51および他端53は、磁性ワイヤ10の長軸方向と垂直な方向(
図9においてはY軸方向)における磁性ワイヤ10の端部の中央の点であってよい。
【0096】
磁石極性判別部14は次に示すように配置されてもよい。磁石極性判別部14は、磁石20の回転軸方向から見て、磁石20の外縁領域24に重なるように配置されてよい。
図9には、磁石極性判別部14の中心から磁石20の外縁領域24までZ軸方向に伸びる点線を示している。またリング形状の磁石20に対して、磁石20の回転軸方向から見て、磁石極性判別部14は磁石20が占める領域に重なるように配置されてよい。換言すると、磁石20の回転軸方向から見て、磁石極性判別部14の端部は磁石20の内径から外径の間の領域に位置するように配置されてよい。また磁石極性判別部14は演算部16とともに一つの集積回路(ICチップ)に集積されてもよい。また磁石極性判別部14は、磁石20の回転軸方向から見て、回転軸と磁性ワイヤ10の中央部とを結ぶ線分(
図8Aにおける角度の基準線に相当)から45度または135度(それぞれ±10度程度の調整を含む)の位置に配置されてよい。また磁石極性判別部14は、磁石20の回転軸方向において、磁石20の上面よりも上方または磁石20の下面よりも下方の空間に設置されてよい。またその際に、磁石極性判別部14は、磁性ワイヤ10に対して、磁石20の回転軸方向において、磁石20を中心として同一側の空間(
図9においては磁石20よりもZ軸正側の空間)に配置されてよいし、または反対側の空間(
図9においては磁石20よりもZ軸負側の空間)に配置されてもよい。
【0097】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0098】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、フローチャート、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0099】
10・・・磁性ワイヤ、11・・・第1の材料、12・・・第2の材料、14・・・磁石極性判別部、16・・・演算部、18・・・記憶部、20・・・磁石、21・・・第1の極性部、22・・・第2の極性部、24・・・外縁領域、25・・・外縁端、30・・・回転体、32・・・回転軸、34・・・取付部、40・・・支持台、42・・・支持部材、51・・・一端、52・・・中央点、53・・・他端、100・・・回転数検出装置、200・・・回転数検出システム
【要約】
【課題】回転体の回転数を算出する際に、参照する情報を少なくする。
【解決手段】回転体の回転動作にともなって一回転あたり2周期以上の交番磁界が軸方向に与えられ、磁場の方向の変化に応じた極性のパルスを出力する磁性ワイヤと、前記交番磁界を形成し前記回転体に含まれる磁石の極性を、前記磁性ワイヤに対して予め定められた相対位置において判別する磁石極性判別部と、前記回転体の周方向のセグメントをカウントしてカウント値を算出する演算部と、を備え、前記演算部は、前回取得された前記回転体の磁石の極性と、今回の前記パルスの極性と、今回の前記パルスが発生したときの前記回転体の磁石の極性とに基づいて、且つ、前回の前記パルスの極性を用いずに、前記カウント値を算出する回転数検出装置を提供する。
【選択図】
図3A