(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-31
(45)【発行日】2025-04-08
(54)【発明の名称】ポリウレタン発泡シートの製造方法、及び、合成皮革の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 18/40 20060101AFI20250401BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20250401BHJP
C08G 18/44 20060101ALI20250401BHJP
C08G 18/48 20060101ALI20250401BHJP
C08G 18/42 20060101ALI20250401BHJP
C08G 18/18 20060101ALI20250401BHJP
C08J 9/02 20060101ALI20250401BHJP
D06N 3/14 20060101ALI20250401BHJP
C09J 175/06 20060101ALI20250401BHJP
C09J 5/08 20060101ALI20250401BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20250401BHJP
【FI】
C08G18/40 018
C08G18/00 H
C08G18/44
C08G18/48 054
C08G18/42 002
C08G18/18
C08G18/48 079
C08J9/02 CFF
D06N3/14 102
C09J175/06
C09J5/08
C08G101:00
(21)【出願番号】P 2024555172
(86)(22)【出願日】2023-06-08
(86)【国際出願番号】 JP2023021300
(87)【国際公開番号】W WO2024122084
(87)【国際公開日】2024-06-13
【審査請求日】2024-09-17
(31)【優先権主張番号】P 2022196230
(32)【優先日】2022-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100186646
【氏名又は名称】丹羽 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】金川 善典
【審査官】中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-063579(JP,A)
【文献】特開2004-216880(JP,A)
【文献】特開2022-161062(JP,A)
【文献】国際公開第2021/084955(WO,A1)
【文献】特開2013-163707(JP,A)
【文献】特開2016-113551(JP,A)
【文献】特開2007-063510(JP,A)
【文献】特開2021-098776(JP,A)
【文献】国際公開第2008/065921(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0096581(US,A1)
【文献】特開2017-014333(JP,A)
【文献】国際公開第2023/199561(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00- 18/87
71/00- 71/04
101/00
C08J 9/00- 9/42
D06N 1/00- 7/06
C09J 1/00- 5/10
9/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール(A)及びポリイソシアネート(B)の反応物であるウレタンプレポリマー(i)を含有する湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(X)と、ポリオール組成物(Y)とを混合させて得られた混合物を、基材上にシート状に塗布し、前記シート状の前記混合物に水蒸気を接触させて前記混合物を水発泡させるポリウレタン発泡シートの製造方法であって、
前記ポリオール(A)が、
バイオマス由来のポリテトラメチレングリコール又はポリカーボネートポリオール(a1)、
芳香環を有するポリオール(a2)、及び、
前記(a2)以外の常温固形のポリエステルポリオール(a3)、
を含有し、
前記ポリエステルポリオール(a3)が、ジエチレングリコール及びセバシン酸を原料とするポリエステルポリオール(a3-1)、1,3-プロパンジオール及びセバシン酸を原料とするポリエステルポリオール(a3-2)、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及び、フタル酸を原料とするポリエステルポリオール(a3-3)、及び、ジエチレングリコール及びフタル酸を原料とするポリエステルポリオール(a3-4)からなる群より選ばれる1種以上であり、
前記ポリオール組成物(Y)が、泡化定数(Kw)が10以上であるアミン触媒(y1)を含有することを特徴とするポリウレタン発泡シートの製造方法。
【請求項2】
前記アミン触媒(y1)が、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン=トリエチレンジアミンと、その他のアミン触媒とを併用するものである請求項1記載のポリウレタン発泡シートの製造方法。
【請求項3】
前記ポリカーボネートポリオール(a1)が、バイオマス由来の炭素原子数1~10のグリコールを原料とするものである請求項1記載のポリウレタン発泡シートの製造方法。
【請求項4】
前記芳香環を有するポリオール(a2)が、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物であるポリエーテルポリオール、又は、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を原料とするポリエステルポリオールである請求項1記載のポリウレタン発泡シートの製造方法。
【請求項5】
前記水蒸気を接触させる際の温度が80℃未満であり、かつ、湿度が95%未満である請求項1記載のポリウレタン発泡シートの製造方法。
【請求項6】
少なくとも、基材、接着層、及び、表皮層を有する合成皮革の製造方法であって、前記接着層が、請求項1記載のポリウレタン発泡シートの製造方法により得られるものであることを特徴とする合成皮革の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン発泡シートの製造方法、及び、合成皮革の製造方法を提供することである。
【背景技術】
【0002】
欧州におけるジメチルホルムアミド(DMF)の使用規制が本格化される中、無溶剤で省エネルギーな環境対応型樹脂の供給が渇望されている。その中、無溶剤である湿気硬化型ホットメルトウレタン組成物が注目されており、建築材料、自動車内装材や、冷蔵庫、スマートフォン、パソコン、カーナビ等の電気電子機器などの製造において、広く利用されている。中でも、近年は緩衝効果による耐衝撃性や風合いの向上、湿気硬化型ホットメルトウレタン組成物の使用量低減等を目的に、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト組成物を発泡させ、発泡硬化物とするケースが増えている。
【0003】
前記湿気硬化型ホットメルトウレタン組成物を発泡硬化させる方法としては、水や水蒸気を使用した水発泡法が広く研究されている(例えば、特許文献1及び2を参照。)。しかしながら、より良好な風合いを有する発泡シートが求められている。
【0004】
一方で、昨今の海洋プラスチック問題が着目されるように、石化資源からの脱却を目指したバイオベース樹脂への注目度も日に日に上昇しており、湿気硬化型ポリウレタン樹脂組成物も例外ではない。しかしながら、バイオマス度を上げると風合い等が低下するとの指摘があり、これらの性能の両立が大きな課題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-115705号公報
【文献】特開2003-306526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、バイオマス原料を用いてバイオマス度を高め、泡保持性に優れ、良好な風合いを有するポリウレタン発泡シートの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ポリオール(A)及びポリイソシアネート(B)の反応物であるウレタンプレポリマー(i)を含有する湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(X)と、ポリオール組成物(Y)とを混合させて得られた混合物を、基材上にシート状に塗布し、前記シート状の前記混合物に水蒸気を接触させて前記混合物を水発泡させるポリウレタン発泡シートの製造方法であって、前記ポリオール(A)が、バイオマス由来のポリテトラメチレングリコール又はポリカーボネートポリオール(a1)、芳香環を有するポリオール(a2)、及び、前記(a2)以外の常温固形のポリエステルポリオール(a3)、を含有し、前記ポリオール組成物(Y)が、泡化定数(Kw)が10以上であるアミン触媒(y1)を含有することを特徴とするポリウレタン発泡シートの製造方法を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、少なくとも、基材、接着層、及び、表皮層を有する合成皮革の製造方法であって、前記接着層が、前記ポリウレタン発泡シートの製造方法により得られるものであることを特徴とする合成皮革の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のポリウレタン発泡シートの製造方法によれば、泡保持性に優れ、良好な風合いを有するポリウレタン発泡シートが得られる。本発明のポリウレタン発泡シートは、バイオマス原料を用いてバイオマス度の高いものであり、環境対応型のシートである。また、前記ポリウレタン発泡シートは、優れた接着性も有するため、合成皮革の接着層として特に好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のポリウレタン発泡シートの製造方法は、ポリオール(A)及びポリイソシアネート(B)との反応物であるウレタンプレポリマー(i)を含有する湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(X)と、ポリオール組成物(Y)とを混合させて得られた混合物を、基材上にシート状に塗布し、前記シート状の前記混合物に水蒸気を接触させて前記混合物を水発泡させるポリウレタン発泡シートの製造方法であって、前記ポリオール(A)、及び、前記ポリオール組成物(Y)として特定のものを用いるものである。
【0011】
前記ウレタンプレポリマー(i)は、特定のポリオール(A)及びポリイソシアネート(B)の反応物を用いることができる。
【0012】
前記ポリオール(A)としては、前記ポリオール(A)は、樹脂のバイオマス度を高め、かつ、優れた泡保持性、風合い、及び、接着性を得るうえで、バイオマス由来のポリテトラメチレングリコール又はポリカーボネートポリオール(a1)、芳香環を有するポリオール(a2)、及び、前記(a2)以外の常温固形のポリエステルポリオール(a3)を必須成分として含有するものである。
【0013】
バイオマス由来のポリテトラメチレングリコール又はポリカーボネートポリオール(a1)は、樹脂のバイオマス度を高め、接着剤皮膜の優れた機械的強度等の基礎物性を発現するうえで必須の成分である。
【0014】
前記バイオマス由来のポリテトラメチレングリコールとしては、例えば、三菱ケミカル株式会社製「Bio PTMG」等を市販品として入手することができる。
【0015】
前記バイオマス由来のポリカーボネートポリオールとしては、好ましくはバイオマス由来の炭素原子数1~10、より好ましくは3~10のグリコールを原料とするポリカーボネートポリオール等を用いることができ、例えば、三菱化学株式会社製「ベネビオールNL-2010DB」、三菱化学株式会社製「ベネビオールNL-3010DB」、三菱化学株式会社製「ベネビオールNL-2000D」、旭化成株式会社製「PCDX222」等を市販品として入手することができる。これらのポリカーボネートポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0016】
前記バイオマス由来のポリテトラメチレングリコール又はポリカーボネートポリオール(a1)の数平均分子量としては、500~100,000が好ましく、700~50,000がより好ましい。なお、前記前記バイオマス由来のポリテトラメチレングリコール又はポリカーボネートポリオール(a1)の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
【0017】
前記バイオマス由来のポリテトラメチレングリコール又はポリカーボネートポリオール(a1)の使用量としては、ポリオール(A)中50~90質量%が好ましく、60~80質量%がより好ましい。
【0018】
前記芳香環を有するポリオール(a2)は、優れた皮膜の柔軟性、風合い、及び、接着性を得るものであり、例えば、芳香環を有するポリエーテルポリオール、芳香環を有するポリエステルポリオール等を用いることができる。
【0019】
前記芳香環を有するポリエーテルポリオールとしては、例えば、ビスフェノールAやビスフェノールF、及びそのアルキレンオキサイド付加物等を用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物であるポリエーテルポリオールが好ましい。前記アルキレンオキサイドとしては、炭素原子数2~8のアルキレンオキサイドが好ましく、前記アルキレンオキサイドの付加モル数としては、2~10モルが好ましく、4~8モルがより好ましい。
【0020】
前記芳香環を有するポリエステルポリオールとしては、例えば、下記水酸基を有する化合物と多塩基酸との反応物を用いることができる。
【0021】
前記水酸基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ビスフェノールAやビスフェノールF、及びそのアルキレンオキサイド付加物等を用いることができる。これらの中でも、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を用いることが好ましい。また、前記アルキレンオキサイドとしては、炭素原子数2~8のアルキレンオキサイドが好ましく、前記アルキレンオキサイドの付加モル数としては、2~10モルが好ましく、4~8モルがより好ましい。
【0022】
前記多塩基酸としては、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、ダイマー酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等を用いることができる。
【0023】
前記芳香環を有するポリオール(a2)の数平均分子量としては、500~10,000が好ましく、500~5,000がより好ましい。なお、前記芳香環を有するポリオール(a2)の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
【0024】
前記芳香環を有するポリオール(a2)の使用量としては、ポリオール(A)中10~40質量%が好ましく、20~30質量%がより好ましい。
【0025】
前記(a2)以外の常温固形のポリエステルポリオール(a3)は、泡を固定化し、接着剤の生地への染み込みを抑制し、優れた風合いを発現するうえで必須の成分である。なお、前記常温固形とは、25℃において流動性を示さないことを示す。
【0026】
前記ポリエステルポリオール(a3)としては、好ましくは、ジエチレングリコール及びセバシン酸を原料とするポリエステルポリオール(a3-1)、1,3-プロパンジオール及びセバシン酸を原料とするポリエステルポリオール(a3-2)、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及び、フタル酸を原料とするポリエステルポリオール(a3-3)、及び、ジエチレングリコール及びフタル酸を原料とするポリエステルポリオール(a3-4)からなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
【0027】
さらに、前記ポリエステルポリオール(a3)としては、樹脂のバイオマス度を高められる点では、ジエチレングリコール及びセバシン酸を原料とするポリエステルポリオール(a3-1)、及び/又は、1,3-プロパンジオール及びセバシン酸を原料とするポリエステルポリオール(a3-2)が好ましい。なお、前記したポリエステルポリオールのバイオマス原料としては、例えば、バイオマス由来のセバシン酸(豊国製油製「Bio Seb」)、バイオマス由来の1,3-プロパンジオール(Dupont社製「SUSTERRA プロパンジオール」)、バイオマス由来のジエチレングリコール(India Glycols社製「Bio DEG」)等を市販品として入手することができる。
【0028】
また、前記ポリエステルポリオール(a3)としては、より一層優れた風合いが得られる点では、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及び、フタル酸を原料とするポリエステルポリオール(a3-3)、及び/又は、ジエチレングリコール及びフタル酸を原料とするポリエステルポリオール(a3-4)が、好ましく、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及び、フタル酸を原料とするポリエステルポリオール(a3-3)が特に好ましい。なお、前記ジエチレングリコールとしては、石化由来のものでもバイオマス由来のものであってもよいが、バイオマス度を高めるうえではバイオマス由来のものを用いることが好ましい。
【0029】
前ポリエステルポリオール(a3)の数平均分子量としては、500~10,000が好ましく、800~5,000がより好ましい。なお、前記ポリエステルポリオール(a3)の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
【0030】
前記ポリエステルポリオール(a3)の使用量としては、ポリオール(A)中10~30質量%が好ましく、10~20質量%がより好ましい。
【0031】
前記ポリオール(A)は、前記した(a1)~(a3)成分を必須として含有するが、必要に応じてその他のポリオールを含有してもよい。前記ポリオール(A)中の前記(a1)~(a3)の合計含有率としては、20質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。
【0032】
前記その他のポリオールとしては、例えば、前記(a2)及び(a3)以外のポリエステルポリオール、前記(a1)以外のポリカーボネートポリオール、前記(a1)以外のポリエーテルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリアクリルポリオールなどを用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0033】
前記その他のポリオールの数平均分子量としては、例えば、500~100,000が挙げられる。なお、前記その他のポリオールの数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
【0034】
前記ポリイソシアネート(B)としては、例えば、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環族ポリイソシアネートなどを用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、良好な接着性、反応性及び機械的物性が得られる点から、芳香族ポリイソシアネートが好ましく、ジフェニルメタンジイソシアネートがより好ましい。
【0035】
前記ウレタンプレポリマー(i)の製造方法としては、例えば、前記ポリイソシアネート(B)の入った反応容器に、前記ポリオール(A)を滴下した後に加熱し、前記ポリイソシアネート(B)の有するイソシアネート基が、前記ポリオール(A)の有する水酸基に対して過剰となる条件で反応させることによって製造することができる。
【0036】
前記ウレタンプレポリマー(i)を製造する際の、前記ポリイソシアネート(B)が有するイソシアネート基と前記ポリオール(A)が有する水酸基の当量比([NCO/OH])としては、接着性、風合い、及び、機械的強度の点から、1.1~5.0が好ましく、1.5~3.5がより好ましい。
【0037】
前記ウレタンプレポリマー(i)のイソシアネート基含有率(以下、「NCO%」と略記する。)としては、接着性、風合い、及び、機械的強度の点から、1.1~5.0質量%が好ましく、1.5~3.5質量%がより好ましい。なお、前記前記ウレタンプレポリマー(i)のイソシアネート基含有率は、JISK1603-1:2007に準拠し、電位差滴定法により測定した値を示す。
【0038】
本発明で用いる前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト組成物(X)は、前記ウレタンプレポリマー(i)を必須成分として含有するが、必要に応じてその他の添加剤を含有してもよい。
【0039】
前記その他の添加剤としては、後述するポリオール組成物(Y)以外のものとして、例えば、シランカップリング剤、チキソ性付与剤、酸化防止剤、可塑剤、充填材、染料、顔料、ワックス等を用いることができる。これらの添加剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0040】
前記ポリオール組成物(Y)は、前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト組成物と混合することにより、前記ウレタンプレポリマー(i)が有するイソシアネート基と前記ポリオール組成物(Y)中のポリオールとが反応し、粘度を適度に上昇させて、水発泡させた際のポリウレタン発泡シート内の泡を固定化することができるとともに、得られるポリウレタン発泡シートの柔軟性、機械的強度、及び耐久性にも寄与することができる。
【0041】
前記ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,8-オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0042】
前記ポリオール組成物(Y)中の前記ポリオールの含有量としては、0.1~10.0質量%が好ましく、0.5~5.0質量%がより好ましい。
【0043】
本発明においては、優れた風合いを得るうえで、前記ポリオール組成物(Y)に、泡化定数(Kw)が10以上であるアミン触媒(y1)を含有することが必須である。前記特定のアミン触媒(y1)を用いることで、水発泡時における前記ウレタンプレポリマー(i)が有するイソシアネート基と水との反応を速くすることができ、大きなセルを形成できる点や、水発泡時の温度や湿度を従来よりもマイルドな条件に設定することができる点から、優れた風合いを得ることができる。
【0044】
本発明において、前記アミン触媒(y1)の泡化定数(Kw)とは、トルエンジイソシアネート(TDI)と水との触媒活性定数(L2/(wq.mol・hr))を示し、具体的には、特開2019-85513号公報、特開2009-14981号公報等を参照できる。
【0045】
前記特定のアミン触媒(y1)としては、例えば、N,N,N’、N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA、Kw=159)、N,N,N ',N ’’,N’’-ペンタメチルエチレンプロピレントリアミン(PMEPTA、Kw=21.5)、N,N,N ',N ’’,N ’’-ペンタメチルジプロピレンテトラアミン(PMDPTA、Kw=11.6)、1,1,4,7,10,10-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン(HMTETA、Kw=84.8)、ビス(2‐ジメチルアミノエチル)エーテル(DMAEE、Kw=25.5)、N,N,N‘-トリメチルアミノエチルエタノールアミン(TMAEEA、Kw=43.4)、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル(BDMEE、Kw=117)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン=トリエチレンジアミン(TEDA、Kw=14.5)等を用いることができる。これらの触媒は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0046】
前記アミン触媒(y1)としては、より一層優れた風合いが得られる点から、前記1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン=トリエチレンジアミンと、その他のアミン触媒とを併用することが好ましく、係る場合の質量比としては、より一層優れた風合いが得られる点から、1/1~1/10が好ましく、1/1~1/5がより好ましい。
【0047】
前記アミン触媒(y1)の使用量としては、ポリオール組成物(Y)中の1.0~20質量%が好ましく、1.0~10質量%がより好ましい。
【0048】
前記ポリオール組成物(Y)には、前記アミン触媒(y1)以外にも、他の添加剤を含有することができる。前記他の添加剤としては、例えば、前記(y1)以外の触媒、整泡剤、難燃剤、帯電防止剤、充填剤、導電剤、吸湿剤、不活性気体、シランカップリング剤、チキソ付与剤、粘着付与剤、ワックス、可塑剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、顔料、耐加水分解防止剤などを、単独又は複数を組み合わせて使用することができる等を用いることができる。これらの添加剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0049】
前記ポリオール組成物(Y)の使用量としては、前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(X)100質量部に対して、1.0~50質量部が好ましく、1.0~35質量部がより好ましい。
【0050】
次に、本発明のポリウレタン発泡シートの製造方法について説明する。
【0051】
本発明のポリウレタン発泡シートの製造方法は、例えば70~150℃で加熱溶融した前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(X)と、前記ポリオール組成物(Y)とを混合させて得られた混合物を、基材上にシート状に塗布し、前記シート状の前記混合物に水蒸気を接触させて前記混合物を水発泡させる工程を含む。
【0052】
前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(X)と、前記ポリオール組成物(Y)とを混合する方法としては、例えば、高速ミキシングヘッド、ディスパーを使用する方法が挙げられる。
【0053】
前記混合物を、離型紙等の基材上にシート状に塗布する方法としては、例えば、ロールコーター、スプレーコーター、T-ダイコーター、ナイフコーター等を使用する方法が挙げられる。前記シート状に塗布された混合物の厚さとしては、例えば、50~500μmが挙げられる。
【0054】
得られたシート状の混合物には、水蒸気を接触させて水発泡させるが、本発明でいう「水発泡」なる技術用語は、水蒸気中に含まれる水を発泡剤として用い、本発明で使用する前記ウレタンプレポリマー(i)が有するイソシアネート基と当該水とが反応して炭酸ガスが発生することにより発泡することを意味する。
【0055】
前記水蒸気を接触させる条件としては、例えば、前記シート状の混合物表面の雰囲気温度を例えば20~120℃、好ましくは80℃未満、より好ましくは20~35℃に設定し、前記シート状の混合物表面の雰囲気湿度を例えば50%以上、好ましくは60%以上95%未満、より好ましくは、60~85%に設定し、加湿時間を0.5秒~10分間に設定することが挙げられる。
【0056】
また、水蒸気を接触させる方法としては、前記混合物の表面の雰囲気温度、雰囲気湿度及び加湿時間の条件を一定に保つことができる加湿室、水蒸気噴霧装置等を使用する方法があり、より好ましくは、飽和水蒸気を発生させる装置を使用した方が、水蒸気が製造ライン循環中に冷却して水滴になりにくいことから好ましい。また、ポリウレタン発泡シート厚み精度をより向上するためには、加湿処理後に圧締ベルトプレス、ニップロール、平面プレス等を併用することが好ましい。
【0057】
前記水蒸気を接触させた後は、例えば、温度20~80℃、相対湿度50~90%にて0.5~3日間エージングしてもよい。
【0058】
以上、本発明のポリウレタン発泡シートの製造方法によれば、良好な風合いを有するポリウレタン発泡シートが得られる。また、前記ポリウレタン発泡シートは、優れた接着性も有するため、合成皮革の接着層として特に好適に使用することができる。
【0059】
次に、本発明の合成皮革の製造方法について説明する。
【0060】
前記合成皮革は、少なくとも、基材、接着層、及び、表皮層を有するものであり、前記接着層が、前記ポリウレタン発泡シートの製造方法により得られるものが挙げられる。
【0061】
前記基材としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリウレタン繊維、アセテート繊維、レーヨン繊維、ポリ乳酸繊維、綿、麻、絹、羊毛、グラスファイバー、炭素繊維、それらの混紡繊維等による不織布、織布、編み物等の繊維基材;前記不織布にポリウレタン樹脂等の樹脂を含浸させたもの;前記不織布に更に多孔質層を設けたもの;熱可塑性ウレタン(TPU)等の樹脂基材、及び本革、スプリットレザーなどを用いることができる。
【0062】
前記表皮層を形成する材料としては、例えば、水系ウレタン樹脂、溶剤系ウレタン樹脂、無溶剤系ウレタン樹脂、水系アクリル樹脂、溶剤系アクリル樹脂、無溶剤系アクリル樹脂、溶剤系シリコン樹脂、水系シリコン樹脂、無溶剤シリコン樹脂、塩化ビニル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑剤アミド樹脂、熱可塑性ポリオレフィン樹脂等を用いることができる。これらの材料は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0063】
前記合成皮革の製造方法としては、例えば、離型紙上に形成した表皮層上に、前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(X)と、前記ポリオール組成物(Y)とを混合させて得られた混合物をシート状に塗布し、前記シート状の前記混合物に水蒸気を接触させて前記混合物を上述の通り水発泡させ、得られた発泡シートを接着層と前記基材とを貼り合わせる方法が挙げられる。
【0064】
前記表皮層上には、必要に応じて、表面処理層(トップコート層)を設けてもよい。
【実施例】
【0065】
以下、実施例を用いて、本発明をより詳細に説明する。
【0066】
[合成例1]
温度計、撹拌機、不活性ガス導入口および還流冷却器を備えた四ツ口フラスコに、バイオマス由来のポリテトラメチレングリコール(三菱ケミカル株式会社製「Bio PTMG、数平均分子量;2,000」)70質量部、芳香環を有するポリエーテルポリオール(ビスフェノールAのプロピレンオキサイド6モル付加物であるポリエーテルポリオール、数平均分子量;508)20質量部、バイオマス由来のポリエステルポリオール(バイオマス由来のセバシン酸(豊国製油製「Bio Seb」、数平均分子量;2,000)とバイオマス由来のジエチレングリコール(India Glycols社製「Bio DEG」)との反応物、数平均分子量;2,000)10質量部を仕込み、110℃にて減圧乾燥して、水分量が0.05質量%以下となるまで脱水した。次いで、60℃に冷却後、ジフェニルメタンジイソシアネート33質量部加え、110℃まで昇温し、イソシアネート基含有量が一定となるまで2時間反応することで、NCO%;3.32質量%、バイオマス度;60.2質量%のウレタンプレポリマー(i-1)を得、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(X1)とした。
【0067】
[合成例2]
温度計、撹拌機、不活性ガス導入口および還流冷却器を備えた四ツ口フラスコに、バイオマス由来のポリテトラメチレングリコール(三菱ケミカル株式会社製「Bio PTMG」、数平均分子量;2,000)70質量部、芳香環を有するポリエステルポリオール(ビスフェノールAのプロピレンオキサイド6モル付加物、イソフタル酸、及び、バイオマス由来のセバシン酸(豊国製油製「Bio Seb」)の反応物、数平均分子量;2,000)20質量部、バイオマス由来のポリエステルポリオール(バイオマス由来のセバシン酸(豊国製油製「Bio Seb」)とバイオマス由来のジエチレングリコール(India Glycols社製「Bio DEG」)との反応物、数平均分子量;2,000)10質量部を仕込み、110℃にて減圧乾燥して、水分量が0.05質量%以下となるまで脱水した。次いで、60℃に冷却後、ジフェニルメタンジイソシアネート23.5質量部加え、110℃まで昇温し、イソシアネート基含有量が一定となるまで2時間反応することで、NCO%;3.33質量%、バイオマス度;65.4質量%のウレタンプレポリマー(i-2)を得、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(X2)とした。
【0068】
[合成例3]
温度計、撹拌機、不活性ガス導入口および還流冷却器を備えた四ツ口フラスコに、バイオマス由来のポリテトラメチレングリコール(三菱ケミカル株式会社製「Bio PTMG」)70質量部、芳香環を有するポリエステルポリオール(ビスフェノールAのプロピレンオキサイド6モル付加物、イソフタル酸、及び、バイオマス由来のセバシン酸(豊国製油製「Bio Seb」)の反応物、数平均分子量;2,000)20質量部、バイオマス由来のポリエステルポリオール(バイオマス由来の1,3-プロパンジオール(Dupont社製「SUSTERRA プロパンジオール」)とバイオマス由来のセバシン酸(豊国製油製「Bio Seb」)との反応物、数平均分子量;2,000)10質量部を仕込み、110℃にて減圧乾燥して、水分量が0.05質量%以下となるまで脱水した。次いで、60℃に冷却後、ジフェニルメタンジイソシアネート23.5質量部加え、110℃まで昇温し、イソシアネート基含有量が一定となるまで2時間反応することで、NCO%;3.33質量%、バイオマス度;65.4質量%のウレタンプレポリマー(i-3)を得、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(X3)とした。
【0069】
[合成例4]
温度計、撹拌機、不活性ガス導入口および還流冷却器を備えた四ツ口フラスコに、バイオマス由来のポリテトラメチレングリコール(三菱ケミカル株式会社製「Bio PTMG」、数平均分子量;2,000)70質量部、芳香環を有するポリエステルポリオール(ビスフェノールAのプロピレンオキサイド6モル付加物、イソフタル酸、及び、バイオマス由来のセバシン酸(豊国製油製「Bio Seb」)の反応物、数平均分子量;2,000)20質量部、バイオマス由来のポリエステルポリオール(バイオマス由来のジエチレングリコール(India Glycols社製「Bio DEG」)、ネオペンチルグリコール、及び、オルトフタル酸との反応物、数平均分子量;1,000)10質量部を仕込み、110℃にて減圧乾燥して、水分量が0.05質量%以下となるまで脱水した。次いで、60℃に冷却後、ジフェニルメタンジイソシアネート26.5質量部加え、110℃まで昇温し、イソシアネート基含有量が一定となるまで2時間反応することで、NCO%;3.39質量%、バイオマス度;63.9質量%のウレタンプレポリマー(i-4)を得、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(X4)とした。
【0070】
[比較合成例1]
温度計、撹拌機、不活性ガス導入口および還流冷却器を備えた四ツ口フラスコに、バイオマス由来のポリテトラメチレングリコール(三菱ケミカル株式会社製「Bio PTMG」、数平均分子量;2,000)100質量部を仕込み、110℃にて減圧乾燥して、水分量が0.05質量%以下となるまで脱水した。次いで、60℃に冷却後、ジフェニルメタンジイソシアネート25.0質量部加え、110℃まで昇温し、イソシアネート基含有量が一定となるまで2時間反応することで、NCO%;3.36質量%、バイオマス度;80質量%のウレタンプレポリマー(iR-1)を得、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(XR1)とした。
【0071】
[比較合成例2]
温度計、撹拌機、不活性ガス導入口および還流冷却器を備えた四口フラスコに、バイオマス由来のポリテトラメチレングリコール(三菱ケミカル株式会社製「Bio PTMG」、数平均分子量;2,000)70質量部、バイオマス由来のポリエステルポリオール(バイオマス由来のセバシン酸(豊国製油製「Bio Seb」)とバイオマス由来のジエチレングリコール(India Glycols社製「Bio DEG」)との反応物、数平均分子量;2,000)30質量部を仕込み、110℃にて減圧乾燥して、水分量が0.05質量%以下となるまで脱水した。次いで、60℃に冷却後、ジフェニルメタンジイソシアネート25.0質量部加え、110℃まで昇温し、イソシアネート基含有量が一定となるまで2時間反応することで、NCO%;3.36質量%、バイオマス度;80質量%のウレタンプレポリマー(iR-2)を得、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(XR2)とした。
【0072】
[比較合成例3]
温度計、撹拌機、不活性ガス導入口および還流冷却器を備えた四ツ口フラスコに、バイオマス由来のポリテトラメチレングリコール(三菱ケミカル株式会社製「Bio PTMG」、数平均分子量;2,000)70質量部、芳香環を有するポリエーテルポリオール(ビスフェノールAのプロピレンオキサイド6モル付加物であるポリエーテルポリオール、数平均分子量;508)30質量部を仕込み、110℃にて減圧乾燥して、水分量が0.05質量%以下となるまで脱水した。次いで、60℃に冷却後、ジフェニルメタンジイソシアネート25.0質量部加え、110℃まで昇温し、イソシアネート基含有量が一定となるまで2時間反応することで、NCO%;3.36質量%、バイオマス度;56質量%のウレタンプレポリマー(iR-3)を得、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(XR3)とした。
【0073】
[数平均分子量の測定方法]
合成例等で用いたポリオールの数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定した値を示す。
【0074】
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC-8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
【0075】
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-550」
【0076】
[調整例1]<表皮フィルムの作製方法>
合成皮革の表皮層用の水系ウレタン樹脂である「ハイドランWLS 230」(DIC株式会社製)に、顔料(DILAC BLACK HS6001(DIC株式会社製))と消泡剤(EVONIK社株式会社製「TEGO Foamex800」)0.3質量部を混合して、コンマコーターを用いて、離型紙(リンテック株式会社製「EV 130TPD」)上に塗布量が100g/m2(wet)になるように均一に塗布した後、70℃で2分間乾燥して、次いで120℃で2分間乾燥させて、厚み30μmの表皮フィルムを作製した。
【0077】
[実施例1]<ポリウレタン発泡シートの製造方法>
合成例1で得られた湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(X1)を120℃に加熱溶融し、ウレタンプレポリマー(i-1)100質量部に対して、1,4-ブタンジオール(以下「14BG」と略記する。)2.0質量部、PMDETAを0.15質量部、TEDAを0.15質量部、シリコン整泡剤(ダウコーニング社製「SF-2962」、以下「SF2962」と略記する。)1.0質量部を混合して作製したポリオール組成物3.3質量部を、ホモディスパーにて6,000rpm、20秒間攪拌混合した後、直ちに、離型紙(リンテック株式会社製「DK-100」)の上にアプリケーターを使用して厚さ200μmで塗布して、50μm厚さのポリエチレンフィルムを貼り合わせた後、30℃、湿度80%の雰囲気下で1分間水蒸気にて加湿して、温度23℃、湿度65%の環境下で1日間放置して、ポリウレタン発泡シートを得た。
【0078】
<合成皮革の作製>
合成例1で得られた湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(X1)を120℃に加熱溶融し、ウレタンプレポリマー(i-1)100質量部に対して、1,4-ブタンジオール(以下「14BG」と略記する。)2.0質量部、PMDETAを0.15質量部、TEDAを0.15質量部、シリコン整泡剤(ダウコーニング社製「SF-2962」、以下「SF2962」と略記する。)1.0質量部を混合して作製したポリオール組成物3.3質量部を、ホモディスパーにて6,000rpm、20秒間攪拌混合した後、直ちに、前記表皮フィルムの上にアプリケーターを使用して厚さ200μmで塗布して、レーヨン起毛布を貼り合わせた後、30℃、湿度80%の雰囲気下で1分間水蒸気にて加湿して、温度23℃、湿度65%の環境下で1日間放置して、合成皮革を得た。
【0079】
[実施例2]
湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(X1)の種類を、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(X2)に変更した以外は実施例1と同様にしてポリウレタン発泡シート、及び、合成皮革を得た。
【0080】
[実施例3]
湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(X1)の種類を、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(X3)に変更した以外は実施例1と同様にしてポリウレタン発泡シート、及び、合成皮革を得た。
【0081】
[実施例4]
湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(X1)の種類を、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(X4)に変更した以外は実施例1と同様にしてポリウレタン発泡シート、及び、合成皮革を得た。
【0082】
[実施例5]
PMDETAに代えて、HMTETAを用いた以外は実施例2と同様にしてポリウレタン発泡シート、及び、合成皮革を得た。
【0083】
[実施例6]
PMDETAに代えて、PMDPTAを用いた以外は実施例2と同様にしてポリウレタン発泡シート、及び、合成皮革を得た。
【0084】
[比較例1]<ポリウレタン発泡シートの製造方法>
比較合成例1で得られた湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(XR1)を120℃に加熱溶融し、ウレタンプレポリマー(iR-1)100質量部に対して、14BGを0.5質量部、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン(Kw=8.3、以下「DMCHA」と略記する。)を0.10質量部、SF-2962を0.1質量部を混合して作製したポリオール組成物を、ホモディスパーにて6,000rpm、20秒間攪拌混合した後、直ちに、離型紙(リンテック株式会社製「DK-100」)の上にアプリケーターを使用して厚さ200μmで塗布して、50μm厚さのポリエチレンフィルムを貼り合わせた後、30℃、湿度80%の雰囲気下で1分間水蒸気にて加湿して、温度23℃、湿度65%の環境下で1日間放置して、ポリウレタン発泡シートを得た。
【0085】
<合成皮革の作製>
比較合成例1で得られた湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(XR1)を120℃に加熱溶融し、ウレタンプレポリマー(iR-1)100質量部に対して、14BGを0.5質量部、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン(Kw=8.3、以下「DMCHA」と略記する。)を0.10質量部、SF-2962を0.1質量部を混合して作製したポリオール組成物を、ホモディスパーにて6,000rpm、20秒間攪拌混合した後、直ちに、前記表皮フィルムの上にアプリケーターを使用して厚さ200μm塗布して、レーヨン起毛布を貼り合わせた後、30℃、湿度80%の雰囲気下で1分間水蒸気にて加湿して、温度23℃、湿度65%の環境下で1日間放置して、合成皮革を得た。
【0086】
[比較例2]
湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(XR1)の種類を、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(XR2)に変更した以外は比較例1と同様にしてポリウレタン発泡シート、及び、合成皮革を得た。
【0087】
[比較例3]<ポリウレタン発泡シートの製造方法>
比較合成例3で得られた湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(XR3)を120℃に加熱溶融した後、直ちに、離型紙(リンテック株式会社製「DK-100」)の上にアプリケーターを使用して厚さ200μmで塗布して、50μm厚さのポリエチレンフィルムを貼り合わせた後、30℃、湿度80%の雰囲気下で1分間水蒸気にて加湿して、温度23℃、湿度65%の環境下で1日間放置して、ポリウレタン発泡シートを得た。
【0088】
<合成皮革の作製>
比較合成例3で得られた湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(XR3)を120℃に加熱溶融した後、直ちに、前記表皮フィルムの上にアプリケーターを使用して厚さ200μm塗布して、レーヨン起毛布を貼り合わせた後、30℃、湿度80%の雰囲気下で1分間水蒸気にて加湿して、温度23℃、湿度65%の環境下で1日間放置して、合成皮革を得た。
【0089】
[泡保持性の評価方法]
実施例及び比較例で得られた各ポリウレタン発泡シートについて、加湿硬化後、雰囲気温度23℃、相対湿度65%に30分間放置した後、5cm×5cm角の面積に1kgの荷重を2時間かけて、荷重を除去した後の応力に対する泡の潰れ性を目視により以下のように評価した。
A:発泡体の泡が保持して外観変化がない状態。
B:発泡体の部分的に泡が潰れて外観変化がある状態。
C:発泡体の全体的に泡が潰れて外観変化がある状態。
【0090】
[風合いの評価方法]
実施例及び比較例で得られた各合成皮革を手で折り曲げた際の柔軟性により以下のように評価した。
「1」;柔軟性に富む。
「2」;少し硬い。
「3」;硬い。
【0091】
【0092】
【0093】
本発明の製造方法である実施例1~6は、いずれもバイオマス度が高く、泡保持性に優れ、かつ風合いに優れるポリウレタン発泡シートが得られた。
【0094】
一方、比較例1及び2は、いずれも本発明で規定する以外のポリオール(A)及びポリオール組成物(Y)を用いた態様であるが、泡保持性、及び、風合いが不良であった。
【0095】
比較例3、本発明で規定する以外のポリオール(A)を用い、かつポリオール組成物(Y)を用いない態様であるが、泡保持性、及び、風合いが著しく不良であった。