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▶ メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-01
(45)【発行日】2025-04-09
(54)【発明の名称】複素環式化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20250402BHJP
   C07D 519/00 20060101ALI20250402BHJP
   H10K 50/12 20230101ALI20250402BHJP
   H10K 85/10 20230101ALI20250402BHJP
   H10K 59/00 20230101ALI20250402BHJP
   H10K 10/40 20230101ALI20250402BHJP
   H10K 10/20 20230101ALI20250402BHJP
   H10K 19/10 20230101ALI20250402BHJP
   H10K 101/10 20230101ALN20250402BHJP
   H10K 101/20 20230101ALN20250402BHJP
   C07D 487/10 20060101ALN20250402BHJP
【FI】
C07D487/04 138
C07D519/00 311
H10K50/12 CSP
H10K85/10
H10K59/00
H10K10/40
H10K10/20
H10K19/10
H10K101:10
H10K101:20
C07D487/10
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023203233
(22)【出願日】2023-11-30
(62)【分割の表示】P 2020533754の分割
【原出願日】2018-12-17
(65)【公開番号】P2024037769
(43)【公開日】2024-03-19
【審査請求日】2023-11-30
(31)【優先権主張番号】17208699.3
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100206265
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 逸子
(72)【発明者】
【氏名】イェンス、エンゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン、マイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク、ヨーステン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン、アイクホフ
【審査官】高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-131891(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107793419(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0334462(US,A1)
【文献】特表2017-510586(JP,A)
【文献】J-G YANG; ET AL,IRON-CATALYZED SYNTHESIS OF POLYCYCLIC-FUSED AZO[1,2-A]INDOLONES VIA AN SN-AR/ACYLATION CASCADE REACTION,CHINESE CHEMICAL LETTERS,2015年11月14日,VOL:27,PAGE(S):340 - 344,https://doi.org/10.1016/j.cclet.2015.11.005
【文献】Aust. J. Chem.,1991年,44,1097-1114
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
H10K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの式(I)の構造を含んでなる化合物。
【化1】
(ここで、使用される記号は、以下の通りである:
Xは、出現毎に同一であるかまたは異なり、NまたはCRであり;
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CN、NO、N(Ar、N(R)、C(=O)Ar、C(=O)R、P(=O)(Ar、P(Ar、B(Ar、B(OR)、Si(Ar、Si(R)、1~40の炭素原子を有する、直鎖の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基または3~40の炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基または2~40の炭素原子を有する、アルケニルもしくはアルキニル基(これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよく、ここで、1以上の隣接しないCH基は、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R)、Ge(R)、Sn(R)、C=O、C=S、-O-、-Se-、-S-、C=Se、-C(=O)O-、-C(=O)NR-、C=NR、NR、P(=O)(R)、SOまたはSOによって置き換えられていてもよく、かつ、ここで、1以上の水素原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOによって置き換えられていてもよい)、または5~60の芳香族環原子を有する、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよい)、または5~60の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、アリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または5~60の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、アラルキルもしくはヘテロアラルキル基、またはこれらの系の組み合わせであり;同時に、2以上のRラジカルが、互いに、またはRラジカルと、環系を形成していてもよく;
Arは、出現毎に同一であるかまたは異なり、5~30の芳香族環原子を有し、かつ1以上の非芳香族Rラジカルによって置換されていてもよい、芳香族またはヘテロ芳香族環系であり;同時に、同一の、ケイ素原子、窒素原子、リン原子またはホウ素原子に結合された2つのArラジカルが、単結合によるブリッジ、またはB(R)、C(R)、Si(R)、C=O、C=NR、C=C(R)、O、S、Se、S=O、SO、N(R)、P(R)およびP(=O)Rから選択されるブリッジを介して、共に結合されることも可能であり;
Rは、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、OH、F、Cl、Br、I、CN、NO、N(Ar)、N(R、C(=O)Ar、C(=O)R、P(=O)(Ar)、P(Ar)、B(Ar)、B(OR、Si(Ar)、Si(R、1~40の炭素原子を有する、直鎖の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基または3~40の炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基または2~40の炭素原子を有する、アルケニルもしくはアルキニル基(これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよく、ここで、1以上の隣接しないCH基が、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、-C(=O)O-、-C(=O)NR-、C=NR、NR、P(=O)(R)、-O-、-S-、-Se-、SOまたはSOによって置き換えられていてもよく、かつ、ここで、1以上の水素原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOによって置き換えられていてもよい)、または5~60の芳香族環原子を有する、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよい)、または5~60の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、アリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または5~60の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、アラルキルもしくはヘテロアラルキル基、またはこれらの系の組み合わせであり;同時に、2以上のRラジカルが、互いに環系を形成していてもよく;
Arは、出現毎に同一であるかまたは異なり、5~30の芳香族環原子を有し、かつ1以上の非芳香族Rラジカルによって置換されていてもよい、芳香族またはヘテロ芳香族環系であり;同時に、同一の、ケイ素原子、窒素原子、リン原子またはホウ素原子に結合された2つのArラジカルが、単結合によるブリッジ、またはB(R)、C(R、Si(R、C=O、C=NR、C=C(R、O、S、Se、S=O、SO、N(R)、P(R)およびP(=O)Rから選択されるブリッジを介して、共に結合されることも可能であり;
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、OH、F、Cl、Br、I、CN、NO、N(Ar、N(R、C(=O)Ar、C(=O)R、P(=O)(Ar、P(Ar、B(Ar、B(OR、Si(Ar、Si(R、1~40の炭素原子を有する、直鎖の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基または3~40の炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基または2~40の炭素原子を有する、アルケニルもしくはアルキニル基(これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよく、ここで、1以上の隣接しないCH基が、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、-C(=O)O-、-C(=O)NR-、NR、P(=O)(R)、-O-、-S-、-Se-、SOまたはSOによって置き換えられていてもよく、かつ、ここで、1以上の水素原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOによって置き換えられていてもよい)、または5~40の芳香族環原子を有し、かつ、それぞれのケースにおいて、1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系、または5~40の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、アリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、5~40の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、アラルキルもしくはヘテロアラルキル基、またはそれらの系の組み合わせであり;同時に、2以上のRラジカルが、互いに環系を形成していてもよく;
Arは、出現毎に同一であるかまたは異なり、5~30の芳香族環原子を有し、かつ1以上の非芳香族Rラジカルによって置換されていてもよい、芳香族またはヘテロ芳香族環系であり;同時に、同一の、ケイ素原子、窒素原子、リン原子またはホウ素原子に結合された2つのArラジカルが、単結合によるブリッジ、またはB(R)、C(R、Si(R、C=O、C=NR、C=C(R、O、S、Se、S=O、SO、N(R)、P(R)およびP(=O)Rから選択されるブリッジを介して、共に結合されることも可能であり;
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CN、B(OR、NO、C(=O)R、CR=C(R、C(=O)OR、C(=O)N(R、Si(R、P(R、B(R、N(R、NO、P(=O)(R、OSO、OR、S(=O)R、S(=O)、1~40の炭素原子を有する、直鎖の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基または3~40の炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよく、ここで、1以上の隣接しないCH基が、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=NR、-C(=O)O-、-C(=O)NR-、NR、P(=O)(R)、-O-、-S-、-Se-、SOまたはSOによって置き換えられていてもよく、かつ、ここで、1以上の水素原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOによって置き換えられていてもよい)、または5~40の芳香族環原子を有し、かつ、それぞれのケースにおいて、1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系、または5~40の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、アリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、またはこれらの系の組み合わせであり;同時に、2以上の隣接するR置換基が互いに環系を形成していてもよく;
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、CN、1~20の炭素原子を有する脂肪族ヒドロカルビルラジカル、5~30の芳香族環原子を有する、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(ここで、1以上の水素原子が、D、F、Cl、Br、IまたはCNによって置き換えられていてもよく、かつ、それぞれ1~4の炭素原子を有する1以上のアルキル基によって置換されていてもよい)からなる群から選択され;同時に、2以上のR置換基が互いに環系を形成することが可能である)
【請求項2】
少なくとも1つの式(IIa)、(IIb)、(IIc)または(IId)の構造を含んでなる、請求項1に記載の化合物。
【化2】
(ここで、記号RおよびXは請求項1に記載の意味を有し、pは0または1であり、かつYは、B(R)、C(R)、Si(R)、C=O、C=NR、C=C(R)、O、S、Se、S=O、SO、N(R)、P(R)およびP(=O)Rであり、ただし、Rは-OHではない)
【請求項3】
少なくとも1つの式(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)または(IIId)の構造を含んでなる、請求項1または2に記載の化合物。
【化3】
(ここで、記号Rは、請求項1に記載の意味を有し、記号Yおよびpは、請求項2に記載の意味を有し、lは、1、2、3、4または5であり、かつ、mは、0、1、2、3または4であり、ただし、Rは-OHではない)
【請求項4】
前記化合物が、式(H-1)~(H-3)から選択される正孔輸送基を含んでなる(ここで、R基のうちの1つまたはR基のうちの1つが、正孔輸送基を含んでなる)ことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【化4】
(ここで、点線の結合は、結合位置を示し、かつ
Ar、Ar、Arは、それぞれ独立に、6~40の炭素原子を有する芳香族環系または3~40の炭素原子を有するヘテロ芳香族環系(これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよい)であり;
pは、0または1であり、かつ
は、C(R、Si(R、C=O、N-Ar、BR、PR、POR、SO、SO、Se、OまたはSであり、ここで、記号ArおよびRは、請求項1に記載の意味を有し、ここで、N-N結合の存在は、除外され、そして、YがNRであるケースにおいて、添え字pは1である)
【請求項5】
前記化合物が、式(QL)で表される電子輸送基を含んでなる(ここで、R基のうちの1つまたはR基のうちの1つが、電子輸送基を含んでなる)ことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【化5】
(ここで、Lは、結合、または5~40の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系を表し、かつ、Qは式(Q-1)、(Q-2)、(Q-4)、(Q-3)、(Q-5)、(Q-6)、(Q-7)、(Q-8)、(Q-9)および/または(Q-10)の構造から選択される電子輸送基であり、
【化6】
ここで、点線は結合位置を示し、
Q’は、出現毎に同一であるかまたは異なり、CRまたはNであり、かつ
Q’’は、NR、OまたはSであり;
ここで、少なくとも1つのQ’はNであり、
ここで、Rは、請求項1に記載の意味を有する)
【請求項6】
式(I)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)または(IIId)中の少なくとも1つのRまたはR基が、式L-Zで表される基(ここで、Lは、結合、または5~40の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系を表し、Zは、R、Arまたは式ZまたはZの基であり、ここで、記号ArおよびRは、請求項1に記載の意味を有し、かつZまたはZは以下である)であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【化7】
(ここで、Wは、出現毎に同一であるかまたは異なり、5~30の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカルよって置換されていてもよい、芳香族またはヘテロ芳香族環系、窒素原子、ホウ素原子、リン原子またはホスフィンオキシド基であり、点線は、結合位置を示し、かつ記号ArおよびRは、請求項1に記載の意味を有し、ただし、Rは-OHではない)
【請求項7】
少なくとも1つの式(IVa)、(IVb)、(IVc)、(IVd)、(IVe)、(IVf)、(IVg)、(IVh)、(IVi)、(IVj)、(IVk)、(IVl)、(IVm)、(IVn)、(IVo)、(IVp)、(IVq)、(IVr)、(IVs)、(IVt)、(IVu)、(IVv)、(IVw)、(IVx)または(IVy)の構造を含んでなる、請求項6に記載の化合物。
【化8-1】
【化8-2】
【化8-3】
【化8-4】
【化8-5】
【化8-6】
【化8-7】
【化8-8】
(ここで、記号Rは、請求項1に記載の意味を有し、記号LおよびZは、請求項6に記載の意味を有し、lは、1、2、3、4または5であり、mは、0、1、2、3または4であり、かつ、nは、0、1、2または3であり、ただし、Rは-OHではない)
【請求項8】
少なくとも1つの式(Va)、(Vb)、(Vc)、(Vd)、(Ve)、(Vf)、(Vg)または(Vh)の構造を含んでなる、請求項6または7に記載の化合物。
【化9-1】
【化9-2】
【化9-3】
(ここで、記号Rは、請求項1に記載の意味を有し、記号LおよびZは、請求項6に記載の意味を有し、mは、0、1、2、3または4であり、かつ、nは、0、1、2または3である)
【請求項9】
少なくとも1つの式(VIa)、(VIb)、(VIc)、(VId)、(VIe)、(VIf)、(VIg)、(VIh)、(VIi)、(VIj)、(VIk)、(VIl)、VIm)、(VIn)、(VIo)、(VIp)、(VIq)、(VIr)、(VIs)または(VIt)の構造を含んでなる、請求項6または7に記載の化合物。
【化10-1】
【化10-2】
【化10-3】
【化10-4】
【化10-5】
【化10-6】
(ここで、記号Rは、請求項1に記載の意味を有し、記号LおよびZは、請求項6に記載の意味を有し、lは、1、2、3、4または5であり、mは、0、1、2、3または4であり、かつ、nは、0、1、2または3である)
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の1以上の化合物を含む、オリゴマー、ポリマー、またはデンドリマーであって、水素原子または置換基とは別に、前記ポリマー、オリゴマー、またはデンドリマーへの前記化合物の結合が1以上存在する、オリゴマー、ポリマー、またはデンドリマー。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物、または請求項10に記載のオリゴマー、ポリマーもしくはデンドリマー、および蛍光発光体、燐光発光体、多脚発光体、TADF(熱活性化遅延蛍光)を示す発光体、ホスト材料、電子輸送材料、電子注入材料、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子ブロック材料、および正孔ブロック材料からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる化合物を含んでなる、組成物。
【請求項12】
請求項1~9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物、または請求項10に記載のオリゴマー、ポリマーもしくはデンドリマー、または請求項11に記載の組成物、および少なくとも1つの溶媒を含んでなる、配合物。
【請求項13】
請求項1~9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物、または請求項10に記載のオリゴマー、ポリマーもしくはデンドリマー、または請求項11に記載の組成物の、電子素子における、ホスト材料、正孔輸送材料、または電子輸送材料としての使用。
【請求項14】
請求項1~9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物、または請求項10に記載のオリゴマー、ポリマーもしくはデンドリマーを調製する方法であって、カップリング反応において、少なくとも1つの窒素含有複素環式基が、少なくとも1つの芳香族またはヘテロ芳香族基を含んでなる化合物に結合されることを特徴とする、方法。
【請求項15】
請求項1~9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物、請求項10に記載のオリゴマー、ポリマーもしくはデンドリマー、または請求項11に記載の組成物を含んでなる電子素子であって、前記電子素子が、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機集積回路、有機電界効果トランジスタ、有機薄膜トランジスタ、有機発光トランジスタ、有機太陽電池、有機光検出器、有機感光体、有機電場消光素子、発光電子化学電池、および有機レーザーダイオードからなる群から選択される、電子素子。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、特に電子素子に使用するための、複素環式化合物に関するものである。本発明はさらに、本発明の化合物の製造方法およびこれらの化合物を含んでなる電子素子に関するものである。
【0002】
有機半導体が機能材料として使用されている有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)の構造は、当業者に知られている。使用される発光材料は多くの場合、燐光を発する有機金属錯体である。量子力学的な理由で、燐光発光体として有機金属化合物を使用すると、最大4倍のエネルギー効率と出力効率が可能である。一般的にはまだ、OLEDにおいて、特に燐光を発するOLEDにおいても、例えば、効率、動作電圧および寿命に関して改善が求められている。
【0003】
有機エレクトロルミネッセンス素子の特性は、使用される発光体によってのみで決定されるわけではない。ここで特に重要であるのは、とりわけ使用される他の材料(例えば、ホストおよびマトリックス材料、正孔ブロック材料、電子輸送材料、正孔輸送材料、および電子または励起子ブロック材料)である。これらの材料の改良は、エレクトロルミネッセンス素子の顕著な改善へと導くことができる。
【0004】
従来技術では、燐光発光化合物として、および電子輸送材料として、芳香族またはヘテロ芳香族化合物(例えば、トリアリールアミン誘導体またはカルバゾール誘導体)が、しばしば使用される。さらに、トリアジン誘導体またはピリミジン誘導体もマトリックス材料として使用される。
【0005】
一般的に、例えばマトリックス材料として使用されるこれらの材料の場合、依然として、素子の改善、特に寿命に関してだけでなく、効率や動作電圧に関しても改善が求められている。
【0006】
それゆえ、本発明によって対処される課題は、有機電子素子、特に有機エレクトロニックルミネッセンス素子における使用に好適であり、この素子に使用される場合に良好な素子特性を示す化合物を提供すること、および対応する電子素子を提供することである。
【0007】
より特には、本発明によって対処される課題は、高寿命、良好な効率および低作動電圧へと導く化合物を提供することである。特に、マトリックス材料の特性も有機エレクトロルミネッセンス素子の寿命および効率に重要な影響を与える。
【0008】
本発明によって対処されるさらなる課題は、燐光発光または蛍光発光OLEDにおける、特にマトリックス材料として好適な化合物を提供することである。本発明によって対処される特別な課題は、赤色、黄色および緑色の燐光発光OLED、およびことによると青色燐光発光OLEDにも、好適なマトリックス材料を提供することである。
【0009】
さらに、この化合物が、特に有機エレクトロルミネッセンスにおけるマトリックス材料、正孔伝導材料、または電子輸送材料として使用される場合に、化合物は、優れた色純度を有する素子へと導くであろう。
【0010】
さらに、本化合物は、非常に簡単な手法で加工することができ、特に、良好な溶解性および膜形成性を示さなければならない。例えば、本化合物は、加熱時の酸化安定性および改善されたガラス転移温度を示さなければならない。
【0011】
さらなる目的は、非常に安価でかつ一定の品質で、優れた性能を備えた電子素子を提供することにある。
【0012】
また、電子素子は、多くの目的のために使用する、または適合させることができなければならない。さらに特に、電子素子の性能は、広い温度範囲で維持されなければならない。
【0013】
驚くべきことに、これらの課題は、以降に詳細に説明される特定の化合物によって解決されることがわかった。この化合物の使用は、有機電子素子、特に有機エレクトロルミネッセンス素子の、寿命、色純度、効率および作動電圧に関して、非常に良好な特性をもたらす。それゆえ、本発明は、そのような化合物および対応する好ましい形態を含む、電子素子、特に有機エレクトロルミネッセンス素子を提供するものである。
【0014】
それゆえ、本発明は、少なくとも1つの式(I)の構造を含んでなる化合物を提供するものである:
【化1】
ここで、使用される記号は、以下の通りである:
Xは、出現毎に同一であるかまたは異なり、NまたはCR、好ましくはCR、であり;
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、OH、F、Cl、Br、I、CN、NO、N(Ar、N(R)、C(=O)Ar、C(=O)R、P(=O)(Ar、P(Ar、B(Ar、B(OR)、Si(Ar、Si(R)、1~40の炭素原子を有する、直鎖の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基または3~40の炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基または2~40の炭素原子を有する、アルケニルもしくはアルキニル基(これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよく、ここで、1以上の隣接しないCH基は、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R)、Ge(R)、Sn(R)、C=O、C=S、-O-、-Se-、-S-、C=Se、-C(=O)O-、-C(=O)NR-、C=NR、NR、P(=O)(R)、SOまたはSOによって置き換えられていてもよく、かつ、ここで、1以上の水素原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOによって置き換えられていてもよい)、または5~60の芳香族環原子を有する、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよい)、または5~60の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、アリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または5~60の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、アラルキルもしくはヘテロアラルキル基、またはこれらの系の組み合わせであり;同時に、2以上、好ましくは隣接するRラジカルが、互いに、またはRラジカルと、環系を形成していてもよく;
Arは、出現毎に同一であるかまたは異なり、5~30の芳香族環原子を有し、かつ1以上の非芳香族Rラジカルによって置換されていてもよい、芳香族またはヘテロ芳香族環系であり;同時に、同一の、ケイ素原子、窒素原子、リン原子またはホウ素原子に結合された2つのArラジカルが、単結合によるブリッジ、またはB(R)、C(R)、Si(R)、C=O、C=NR、C=C(R)、O、S、Se、S=O、SO、N(R)、P(R)およびP(=O)Rから選択されるブリッジを介して、共に結合されることも可能であり;
Rは、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、OH、F、Cl、Br、I、CN、NO、N(Ar)、N(R、C(=O)Ar、C(=O)R、P(=O)(Ar)、P(Ar)、B(Ar)、B(OR、Si(Ar)、Si(R、1~40の炭素原子を有する、直鎖の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基または3~40の炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基または2~40の炭素原子を有する、アルケニルもしくはアルキニル基(これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよく、ここで、1以上の隣接しないCH基が、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、-C(=O)O-、-C(=O)NR-、C=NR、NR、P(=O)(R)、-O-、-S-、-Se-、SOまたはSOによって置き換えられていてもよく、かつ、ここで、1以上の水素原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOによって置き換えられていてもよい)、または5~60の芳香族環原子を有する、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよい)、または5~60の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、アリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または5~60の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、アラルキルもしくはヘテロアラルキル基、またはこれらの系の組み合わせであり;同時に、2以上、好ましくは隣接するRラジカルが、互いに環系を形成していてもよく;
Arは、出現毎に同一であるかまたは異なり、5~30の芳香族環原子を有し、かつ1以上の非芳香族Rラジカルによって置換されていてもよい、芳香族またはヘテロ芳香族環系であり;同時に、同一の、ケイ素原子、窒素原子、リン原子またはホウ素原子に結合された2つのArラジカルが、単結合によるブリッジ、またはB(R)、C(R、Si(R、C=O、C=NR、C=C(R、O、S、Se、S=O、SO、N(R)、P(R)およびP(=O)Rから選択されるブリッジを介して、共に結合されることも可能であり;
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、OH、F、Cl、Br、I、CN、NO、N(Ar、N(R、C(=O)Ar、C(=O)R、P(=O)(Ar、P(Ar、B(Ar、B(OR、Si(Ar、Si(R、1~40の炭素原子を有する、直鎖の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基または3~40の炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基または2~40の炭素原子を有する、アルケニルもしくはアルキニル基(これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよく、ここで、1以上の隣接しないCH基が、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、-C(=O)O-、-C(=O)NR-、NR、P(=O)(R)、-O-、-S-、-Se-、SOまたはSOによって置き換えられていてもよく、かつ、ここで、1以上の水素原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOによって置き換えられていてもよい)、または5~40の芳香族環原子を有し、かつ、それぞれのケースにおいて、1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系、または5~40の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、アリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、5~40の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、アラルキルもしくはヘテロアラルキル基、またはそれらの系の組み合わせであり;同時に、2以上、好ましくは隣接するRラジカルが、互いに環系を形成していてもよく;
Arは、出現毎に同一であるかまたは異なり、5~30の芳香族環原子を有し、かつ1以上の非芳香族Rラジカルによって置換されていてもよい、芳香族またはヘテロ芳香族環系であり;同時に、同一の、ケイ素原子、窒素原子、リン原子またはホウ素原子に結合された2つのArラジカルが、単結合によるブリッジ、またはB(R)、C(R、Si(R、C=O、C=NR、C=C(R、O、S、Se、S=O、SO、N(R)、P(R)およびP(=O)Rから選択されるブリッジを介して、共に結合されることも可能であり;
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CN、B(OR、NO、C(=O)R、CR=C(R、C(=O)OR、C(=O)N(R、Si(R、P(R、B(R、N(R、NO、P(=O)(R、OSO、OR、S(=O)R、S(=O)、1~40の炭素原子を有する、直鎖の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基または3~40の炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよく、ここで、1以上の隣接しないCH基が、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=NR、-C(=O)O-、-C(=O)NR-、NR、P(=O)(R)、-O-、-S-、-Se-、SOまたはSOによって置き換えられていてもよく、かつ、ここで、1以上の水素原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOによって置き換えられていてもよい)、または5~40の芳香族環原子を有し、かつ、それぞれのケースにおいて、1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系、または5~40の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、アリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、またはこれらの系の組み合わせであり;同時に、2以上、好ましくは隣接するR置換基が互いに環系を形成していてもよく;
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、CN、1~20の炭素原子を有する脂肪族ヒドロカルビルラジカル、5~30の芳香族環原子を有する、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(ここで、1以上の水素原子が、D、F、Cl、Br、IまたはCNによって置き換えられていてもよく、かつ、それぞれ1~4の炭素原子を有する1以上のアルキル基によって置換されていてもよい)からなる群から選択され;同時に、2以上の、好ましくは隣接するR置換基が互いに環系を形成することが可能である。
【0015】
好ましくは、1以下のR基がOHであり、1つのR基がOHである場合に、2つめのR基がF、Cl、Br、IまたはCNではないケースであってよい。
【0016】
本発明の文脈において、隣接する炭素原子は、互いに直接結合している炭素原子である。さらに、ラジカルの定義中で、「隣接するラジカル」は、これらのラジカルが同じ炭素原子または隣接する炭素原子に結合していることを意味する。これらの定義は、同様に、特に、用語「隣接する基」および「隣接する置換基」に適用される。
【0017】
2以上のラジカルが互いに環を形成してもよいという表現は、本発明の文脈において、特に、2つのラジカルが、2つの水素原子の形式的除去下で、化学結合によって互いに連結されていることを意味するものと解される。これは、以下のスキームにより例示される:
【化2】
【0018】
さらに、しかしながら、上記の表現はまた、2つのラジカルのうちの1つが水素である場合、2つ目のラジカルが水素原子の結合された位置に結合し、環を形成することを意味するものと解される。これは、以下のスキームにより例示される:
【化3】
【0019】
本発明の文脈において、縮合アリール基、縮合芳香族環系または縮合ヘテロ芳香族環系は、1つの共通辺を介して2以上の芳香族基が互いに縮合している、すなわち縮環している、例えば、2つの炭素原子が、例えば、ナフタレンにおけるように、少なくとも2つの芳香族もしくはヘテロ芳香族環に属している基である。対照的に、例えば、フルオレンは、フルオレン中の2つの芳香族基が共通辺を有していないので、本発明の文脈においては縮合アリール基ではない。対応する定義は、ヘテロアリール基およびヘテロ原子を含んでいてもよいが含む必要はない縮合環系に適用される。
【0020】
本発明の文脈において、アリール基は、6~60の炭素原子、好ましくは6~40の炭素原子を含み;本発明の文脈において、ヘテロアリール基は、2~60の炭素原子、好ましくは2~40の炭素原子と少なくとも1つのヘテロ原子を含み、ただし、炭素原子とヘテロ原子の合計が少なくとも5である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選択される。アリール基もしくはヘテロアリール基は、ここでは単一の芳香環、すなわちベンゼン、または単一のヘテロ芳香族環、例えばピリジン、ピリミジン、チオフェン等、または縮合した、アリールもしくはヘテロアリール基、例えばナフタレン、アントラセン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン等を意味するものと解される。
【0021】
本発明の文脈において、芳香族環系は、環系中に6~60の炭素原子、好ましくは6~40の炭素原子を有する。本発明の文脈において、ヘテロ芳香族環系は、環系中に、1~60の炭素原子、好ましくは1~40の炭素原子、と少なくとも1つのヘテロ原子を含み、ただし、炭素原子とヘテロ原子の合計が少なくとも5である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選択される。本発明の文脈において、芳香族もしくはヘテロ芳香環系は、必ずしもアリールもしくはヘテロアリール基のみを含むのではなく、その中で複数の、アリールもしくはヘテロアリール基が非芳香族単位(H以外の原子が好ましくは10%未満)、例えば、炭素、窒素もしくは酸素原子またはカルボニル基によって遮断されていることもできる系を意味するものと解されるべきである。例えば、9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベン等の系もまた、本発明の文脈において、芳香族環系とみなされ、また、その中に2以上のアリール基が、例えば、直鎖状もしくは環状の、アルキル基で、またはシリル基で遮断されている系も同様である。さらに、2以上の、アリールもしくはヘテロアリール基が互いに直接結合している系、例えば、ビフェニル、テルフェニル、クウォーターフェニルもしくはビピリジンは、同様に芳香族もしくはヘテロ芳香族環系とみなされる。
【0022】
本発明の文脈において、環状の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基は、単環式、二環式もしくは多環式の、基を意味するものと解される。
【0023】
本発明の文脈において、その中で個々の、水素原子もしくはCH基が、上述の基によって置き換えられていてもよいC~C20のアルキル基は、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、シクロプロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、シクロブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、t-ペンチル、2-ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、s-ヘキシル、t-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、ネオヘキシル、シクロヘキシル、1-メチルシクロペンチル、2-メチルペンチル、n-ヘプチル、2-ヘプチル、3-ヘプチル、4-ヘプチル、シクロヘプチル、1-メチルシクロヘキシル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、シクロオクチル、1-ビシクロ[2.2.2]オクチル、2-ビシクロ[2.2.2]オクチル、2-(2,6-ジメチル)オクチル、3-(3,7-ジメチル)オクチル、アダマンチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1,1-ジメチル-n-ヘキサ-1-イル、1,1-ジメチル-n-ヘプタ-1-イル、1,1-ジメチル-n-オクタ-1-イル、1,1-ジメチル-n-デセ-1-イル、1,1-ジメチル-n-ドデセ-1-イル、1,1-ジメチル-n-テトラデセ-1-イル、1,1-ジメチル-n-ヘキサデセ-1-イル、1,1-ジメチル-n-オクタデセ-1-イル、1,1-ジエチル-n-ヘキサ-1-イル、1,1-ジエチル-n-ヘプタ-1-イル、1,1-ジエチル-n-オクタ-1-イル、1,1-ジエチル-n-デセ-1-イル、1,1-ジエチル-n-ドデセ-1-イル、1,1-ジエチル-n-テトラデセ-1-イル、1,1-ジエチル-n-ヘキサデセ-1-イル、1,1-ジエチル-n-オクタデセ-1-イル、1-(n-プロピル)シクロヘキサ-1-イル、1-(n-ブチル)シクロヘキサ-1-イル、1-(n-ヘキシル)シクロヘキサ-1-イル、1-(n-オクチル)シクロヘキサ-1-イル、および1-(n-デシル)シクロヘキサ-1-イルラジカルを意味するものと解される。アルケニル基は、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、またはシクロオクタジエニルを意味するものと解される。アルキニル基は、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、またはオクチニルを意味するものと解される。C~C40のアルコキシ基は、例えば、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、または2-メチルブトキシを意味するものと解される。
【0024】
5~60の芳香族環原子、好ましくは5~40の芳香族環原子を有し、それぞれの場合において上述のラジカルによって置換されていてもよく、また任意の所望の位置で、芳香族もしくはヘテロ芳香族系に結合していてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系は、例えば、次のものから誘導される基を意味するものと解される:ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ベンズアントラセン、フェナントレン、ベンゾフェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ベンゾフルオランテン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、ターフェニル、ターフェニレン、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、シス-もしくはトランス-インデノフルオレン、シス-もしくはトランス-モノベンゾインデノフルオレン、シス-もしくはトランス-ジベンゾインデノフルオレン、トルキセン、イソトルキセン、スピロトルキセン、スピロイソトルキセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントリミダゾール、ピリジミダゾール、ピラジニミダゾール、キノキサリニミダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロキサゾール、フェナントロキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5-ジアザアントラセン、2,7-ジアザピレン、2,3-ジアザピレン、1,6-ジアザピレン、1,8-ジアザピレン、4,5-ジアザピレン、4,5,9,10-テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジン、およびベンゾチアジアゾール。
【0025】
好ましい形態において、好ましくは、少なくとも1つのRラジカル、好ましくは両方が、5~60の芳香族環原子を有し、かつそれぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族またはヘテロ芳香族環系であるケースであってよい。
【0026】
さらなる変形において、少なくとも1つのRラジカル、好ましくは両方が、1~40の炭素原子を有する、直鎖の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基または3~40の炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基または2~40の炭素原子を有する、アルケニルもしくはアルキニル基(これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよい)であるケースであってもよい。
【0027】
好ましい形態において、本発明の化合物は、少なくとも1つの、式(IIa)、(IIb)、(IIc)または(IId)の構造を含んでいてもよい。
【化4】
ここで、pは0または1であり、YはB(R)、C(R)、Si(R)、C=O、C=NR、C=C(R)、O、S、Se、S=O、SO、N(R)、P(R)およびP(=O)R、好ましくはB(R)、C(R)、Si(R)、O、S、Se、S=O、SO、N(R)、P(R)およびP(=O)Rであり、かつ使用される記号RおよびXは、上記、特に式(I)、に記載の意味を有する。p=0である場合、示される芳香族またはヘテロ芳香族環の間に結合がある。
【0028】
好ましくは、式(I)、(IIa)、(IIb)、(IIc)または(IId)中、環あたり2以下のX基がNであるケースであってよく;好ましくは少なくとも1つ、より好ましくは環あたり少なくとも2つのX基が、C-HおよびC-Dから選択される。
【0029】
好ましくは、式(I)、(IIa)、(IIb)、(IIc)または(IId)中、4以下、好ましくは2以下のX基がNであり;より好ましくは、全てのX基は、CRであり、ここで、Xが示すCR基の最大4,より好ましくは最大3、特に好ましくは最大2つが、CH基ではない。
【0030】
好ましくは、本発明の化合物は、式(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)および/または(IIId)の構造を含んでいてもよい。
【化5】
ここで、lは1、2、3、4または5、好ましくは0、1または2であり、かつmは、0、1、2、3,または4、好ましくは0、1、2または3、より好ましくは0、1または2であり、かつ使用される記号R、Yおよびpは、上記、特に式(I)および/または(II)、に記載の意味を有し、ここで、添え字lおよびmの合計は、好ましくは最大6、特に好ましくは最大4であり、特別に好ましくは最大2である。p=0である場合、示される芳香族環の間に結合が存在する。
【0031】
さらに、式(I)、(IIc)、(IId)、(IIIc)、(IIId)の構造中、フルオレンブリッジに結合する、少なくとも1つのRまたはRラジカル、好ましくは1つのRまたはRラジカルが、1~40の炭素原子を有する、好ましくは1~10の炭素原子を有する、直鎖の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、3~40の炭素原子を有する、好ましくは1~10の炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(これは、1以上のRまたはRラジカルによって置換されていてもよく、好ましくは非置換である)であるケースであってよい。ここで、好ましいものは、アルコキシまたはチオアルコキシ基よりもアルキル基である。
【0032】
さらに、好ましくは、少なくとも1つのRおよび/またはRラジカルが、それぞれのケースにおいて独立に、1~40の炭素原子を有する、好ましくは1~10の炭素原子を有する、直鎖の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、3~40の炭素原子を有する、好ましくは1~10の炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または5~40の芳香族環原子、好ましくは5~24の芳香族環原子を有する、特に好ましくは5~18の芳香族環原子を有する、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これは、1以上のRまたはRラジカルによって置換されていてもよい)、好ましくは5~40の芳香族環原子、好ましくは5~24の芳香族環原子を有する、特に好ましくは5~18の芳香族環原子を有する、芳香族またはヘテロ芳香族環系(これは、1以上のRまたはRラジカルによって置換されていてもよい)、より好ましくは5~40の芳香族環原子、好ましくは5~24の芳香族環原子を有する、特に好ましくは5~18の芳香族環原子を有する、アリール基またはヘテロアリール基(これは、1以上のRまたはRラジカルによって置換されていてもよい)、さらに特に好ましくは6~40の芳香族環原子を有する、好ましくは5~24の芳香族環原子を有する、特に好ましくは5~18の芳香族環原子を有する、アリール基であることを特徴とする、式(I)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)および/または(IIId)の構造を有する化合物である。
【0033】
さらに、式(I)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)および/または(IIId)のヘテロ芳香族環系の置換基Rが、ヘテロ芳香族環系の環原子と共に、縮合芳香族またはヘテロ芳香族環系を形成しない、好ましくは、いかなる縮合環系も形成しないケースであってよい。これは、可能なR、R、R置換基(これは、Rラジカルに結合されていてもよい)と共に、縮合環系を形成することを含む。好ましくは、式(I)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)および/または(IIId)中の置換基Rが、ヘテロ芳香族環系の環原子と共に、いかなる環系も形成しないケースであってよい。これは、可能なR、R、R置換基(これは、Rラジカルに結合されていてもよい)と共に、縮合環系を形成することを含む。
【0034】
特にR、R、R、R、Rおよび/またはRから選択されていてもよい2つのラジカルが互いに環系を形成する場合、この環系は、単環状または多環状の、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族であってよい。このケースにおいて、共に環系を形成するラジカルは、隣接していてもよく、つまり、これらのラジカルは、同一の炭素原子に、または互いに直接結合される炭素原子に、結合されているか、またはそれらが互いからさらに除去されていてもよい。
【0035】
好ましい形態において、本発明の化合物は、式(I)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)および/または(IIId)の構造によって表されうる。従って、好ましくは式(I)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)および/または(IIId)の構造の化合物である。好ましくは、式(I)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)および/または(IIId)の構造を含んでなる化合物が、5000g/モル以下、好ましくは4000g/モル以下、特に好ましくは3000g/モル以下、特別に好ましくは2000g/モル以下、そして最も好ましくは1200g/モル以下の分子量を有する。
【0036】
さらに、本発明の好ましい化合物の特徴は、それらが昇華性であることである。これらの化合物は一般に、約1200g/モル未満のモル質量を有する。
【0037】
さらに好ましい形態において、構造中に示されるRおよび/またはR基は、フェニル、オルト-、メタ-もしくはパラ-ビフェニル、ターフェニル、特に分岐ターフェニル、クオーターフェニル、特に分岐クオーターフェニル、1-、2-、3-または4-フルオレニル、1-、2-、3-または4-スピロビフルオレニル、ピリジル、ピリミジニル、1-、2-、3-または4-ジベンゾフラニル、1-、2-、3-または4-ジベンゾチエニル、ピレニル、トリアジニル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1-、2-、3-または4-カルバゾリル、1-または2-ナフチル、アントラセニル、好ましくは9-アントラセニル、フェナントレニルおよび/またはトリフェニレニル(これらのそれぞれは、1以上のRまたはRラジカル(フルオレニルおよびカルバゾリルを除く)によって置換されていてもよいが、好ましくは非置換である)、特に好ましくは、スピロビフルオレン、フルオレン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、アントラセン、フェナントレン、トリフェニレン基からなる群から選択されるケースであってよい。
【0038】
XがCRの場合、または芳香族および/またはヘテロ芳香族基が置換基Rによって置換されている場合、これらの置換基Rは、好ましくは、H、D、F、CN、N(Ar)、C(=O)Ar、P(=O)(Ar)、1~10の炭素原子を有する、直鎖の、アルキルもしくはアルコキシ基または3~10の炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキルもしくはアルコキシ基または2~10の炭素原子を有するアルケニル基(これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが、ここで、1以上の隣接しないCH基がOによって置き換えられていてもよく、かつここで、1以上の水素原子はDもしくはFによって置き換えられていてもよい)、5~24の芳香族環原子を有し、かつそれぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが、好ましくは非置換である、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系または5~25の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、アラルキルもしくはヘテロアラルキル基であり;同時に、所望により、同一の炭素原子または隣接する炭素原子に結合される2つの置換基Rが、単環状もしくは多環状の、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系(これは1以上のRラジカルによって置換されていてもよい)を形成することが可能であり、ここで、Arは出現毎に同一であるかまたは異なり、5~40の芳香族環原子を有し、かつそれぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系、5~40の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカルによって置換されていてもよいアリールオキシ基、または5~40の芳香族環原子を有し、それぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよいアラルキル基(ここで、2以上の、好ましくは隣接するR置換基が、所望により、単環状もしくは多環状の、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系、好ましくは単環状もしくは多環状の脂肪族環系(これは、1以上のRラジカルで置換されていてもよく、ここで、記号Rは、上記、特に式(I)、に記載の意味を有していてもよい)を形成していてもよい)からなる群から選択される。好ましくは、Arは出現毎に同一であるかまたは異なり、5~24、好ましくは5~12の芳香族環原子を有する、アリールまたはヘテロアリール基であり、これは、それぞれのケースにおいて、1以上のRで置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0039】
好適なAr基の例は、フェニル、オルト-、メタ-もしくはパラ-ビフェニル、ターフェニル、特に分岐ターフェニル、クオーターフェニル、特に分岐クオーターフェニル、1-、2-、3-または4-フルオレニル、1-、2-、3-または4-スピロビフルオレニル、ピリジル、ピリミジニル、1-、2-、3-または4-ジベンゾフラニル、1-、2-、3-または4-ジベンゾチエニルおよび1-、2-、3-または4-カルバゾリル(これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが、好ましくは非置換である)からなる群から選択される。
【0040】
より好ましくは、これらの置換基Rは、H、D、F、CN、N(Ar)、1~8の炭素原子、好ましくは1、2、3または4の炭素原子を有する、直鎖のアルキル基または3~8の炭素原子、好ましくは3または4の炭素原子を有する、分岐もしくは環状のアルキル基または2~8の炭素原子、好ましくは2、3または4の炭素原子を有するアルケニル基(これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが、好ましくは非置換である)、または6~24の芳香族環原子、好ましくは6~18の芳香族環原子、より好ましくは6~13の芳香族環原子を有し、かつそれぞれのケースにおいて1以上の非芳香族Rラジカルによって置換されていてもよいが好ましくは非置換である、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系からなる群から選択され;同時に、所望により、同一の炭素原子または隣接する炭素原子に結合される2つの置換基Rが、単環状もしくは多環状の、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系(これは1以上のRラジカルによって置換されていてもよい)を形成することが可能であり、ここで、Arは上記に記載の意味を有していてもよい。
【0041】
最も好ましくは、R置換基は、Hおよび6~18の芳香族環原子、好ましくは6~13の芳香族環原子を有する、芳香族またはヘテロ芳香族環系(これらのそれぞれは、1以上の非芳香族Rラジカルによって置換されていてもよいが、好ましくは非置換である)からなる群から選択される。
【0042】
好ましくは、この化合物は、正孔輸送基を含んでなるケースであってよく、ここで、好ましくは、R基のうちの1つ、またはR基のうちの1つが、正孔輸送基を含んでなり、好ましくは正孔輸送基である。
【0043】
さらなる形態において、Rおよび/またはRラジカルのうちの1つが、アリールアミノ基、好ましくはジ-またはトリアリールアミノ基、ヘテロアリールアミノ基、好ましくはジ-またはトリヘテロアリールアミノ基、カルバゾール基から選択され、好ましくはカルバゾール基である。これらの基は、正孔輸送基とみなされていてもよい。
【0044】
好ましくは、正孔輸送基は、式(H-1)~(H-3)から選択される基を含んでなり、好ましくは式(H-1)~(H-3)から選択される基であるケースであってよい。
【化6】
ここで、点線の結合は、結合位置を示し、かつ
Ar、Ar、Arは、それぞれ独立に、6~40の炭素原子を有する芳香族環系または3~40の炭素原子を有するヘテロ芳香族環系(これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよい)であり;
pは、0または1であり、かつ
は、結合(a bond)、C(R、Si(R、C=O、N-Ar、BR、PR、POR、SO、SO、Se、OまたはS、好ましくはC(R、N-Ar、OまたはS、であり、ここで、記号ArおよびRは、上記、好ましくは式(I)および/または(II)に記載の意味を有する。ここで、N-N結合の存在は、好ましくは除外され、そして、例えばWがNRまたはNArであるケースにおいて、添え字pは1である。
【0045】
さらに、正孔輸送基が式(H-4)~(H-36)から選択される基を含んでなり、好ましくは式(H-4)~(H-26)から選択される基であるケースであってよい。
【化7-1】
【化7-2】
ここで、YはO、S、C(RまたはNArであり、点線は結合位置を示し、eは0、1または2であり、jは0、1、2または3であり、hは0、1、2、3または4であり、pは0または1であり、Arは上記、特に式(H-1)または(H-2)、に記載の意味を有し、かつArおよびRは、上記、特に式(I)および/または(II)、に記載の意味を有する。
【0046】
好ましくは、N-N結合の存在は除外され、例えば、式(H-5)、(H-6)、(H-9)、(H-12)、(H-15)、(H-18)、(H-21)、(H-24)、(H-25)および(H-26)中でY=NArであるケースにおいて、添え字pは好ましくは1である。
【0047】
基(H-1)~(H-26)のうち、好ましくは、カルバゾール基、特に基(H-4)~(H-26)である。
【0048】
好ましくは、Ar基は、芳香族もしくはヘテロ芳香族ラジカルまたは窒素原子(これらに、式(H-1)~(H-26)のAr基が結合されていてもよい)とともに、直接共役(through-conjugation)を形成していてもよい。
【0049】
本発明のさらに好ましい形態において、Arは、5~14の芳香族またはヘテロ芳香族環原子を有する、芳香族またはヘテロ芳香族環系、好ましくは6~12の炭素原子を有する芳香族環系であり、これは、1以上のRラジカルで置換されていてもよいが好ましくは非置換であり、ここで、Rは、上記、特に式(I)、に記載の意味を有していてもよい。より好ましくは、Arは、6~10の芳香族環原子を有する芳香族環系、または6~13の芳香族環原子を有するヘテロ芳香族環系であり、これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが好ましくは非置換であり、ここで、Rは、上記、特に式(I)、に記載の意味を有していてもよい。
【0050】
さらに好ましくは、式(H-1)~(H-26)に示される記号Arは、とりわけ、5~24の環原子、好ましくは6~13の環原子、より好ましくは6~10の環原子を有する、アリールまたはヘテロアリールラジカルであり、芳香族またはヘテロ芳香族環系の、芳香族またはヘテロ芳香族基が、さらなる基のそれぞれの原子に直接、つまり芳香族またはヘテロ芳香族基の原子を介して、結合される。
【0051】
さらに、正孔輸送材料またはホスト材料として使用される化合物において、式(H-1)~(H-26)中に示されるAr基が、2以下の縮合芳香族および/またはヘテロ芳香族環を有する芳香族環系を含んでなり、好ましくはいかなる縮合芳香族またはヘテロ芳香族環系を含まないケースであってよい。したがって、ナフチル構造は、アントラセン構造よりも好ましい。さらに、フルオレニル、スピロビフルオレニル、ジベンゾフラニルおよび/またはベンゾチエニル構造は、ナフチル構造よりも好ましい。特に好ましくは、縮合を有さない構造、例えば、フェニル、ビフェニル、ターフェニルおよび/またはクオーターフェニル構造である。
【0052】
好適な芳香族またはヘテロ芳香族環系Arは、オルト-、メタ-もしくはパラ-フェニレン、オルト-、メタ-もしくはパラ-ビフェニレン、ターフェニレン、特に分岐ターフェニレン、クオーターフェニレン、特に分岐クオーターフェニレン、フルオレニレン、スピロビフルオレニレン、ジベンゾフラニレン、ジベンゾチエニレン、およびカルバゾリレン(これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが、好ましくは非置換である)からなる群から選択される。
【0053】
式(H-1)~(H-26)中に示されるAr基は、とりわけ、1以下の窒素原子、好ましくは2以下のヘテロ原子、特に好ましくは1以下のヘテロ原子を有し、より好ましくはヘテロ原子を含まないケースであってもよい。
【0054】
本発明のさらに好ましい形態において、Arおよび/またはArが、出現毎に同一であるかまたは異なり、6~24の芳香族環原子、好ましくは6~18の芳香族環原子を有する、芳香族またはヘテロ芳香族環系であり、より好ましくは、6~12の芳香族環原子を有する芳香族環系または5~13の芳香族環原子を有するヘテロ芳香族環系であり、これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが好ましくは非置換であり、ここで、Rは、上記、特に式(I)および/または(II)、に記載の意味を有していてもよい。好適なArおよび/またはAr基の例は、フェニル、オルト-、メタ-もしくはパラ-ビフェニル、ターフェニル、特に分岐ターフェニル、クオーターフェニル、特に分岐クオーターフェニル、1-、2-、3-または4-フルオレニル、1-、2-、3-または4-スピロビフルオレニル、ピリジル、ピリミジニル、1-、2-、3-または4-ジベンゾフラニル、1-、2-、3-または4-ジベンゾチエニルおよび1-、2-、3-または4-カルバゾリル(これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが好ましくは非置換である)からなる群から選択される。
【0055】
好ましくは、Rラジカルは、アリール基またはヘテロアリール基Ar、Ar、Arおよび/またはAr(これに、式(H-1)~(H-26)中のRラジカルが形成されていてもよい)の環原子と共に、縮合環系を形成しない。これは、可能なR、R置換基(これは、RまたはRラジカルに結合されていてもよい)と共に、縮合環系を形成することを含む。
【0056】
好ましくは、この化合物は、電子輸送基を含んでなるケースであってよく、ここで、好ましくは、R基のうちの1つ、またはR基のうちの1つが、電子輸送基を含んでなり、好ましくは電子輸送基である。電子輸送基は、技術分野で広く知られ、電子の輸送および/または伝導の能力を促進するものである。
【0057】
さらに、Rおよび/またはR基が、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、キナゾリン、キノキサリン、キノリン、イソキノリン、イミダゾールおよび/またはベンゾイミダゾール、特に好ましくはピリミジン、トリアジンおよびキナゾリンからなる群から選択される少なくとも1つの構造を含むものである、式(I)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)またはそれらの好ましい形態の少なくとも1つの構造を含んでなる化合物によって、驚くべき長所が示される。
【0058】
本発明の好ましい形態において、R基のうちの1つまたはR基のうちの1つが、式(QL)によって表されうる電子輸送基を含んでなり、好ましくは、式(QL)によって表されうる電子輸送基であるケースであってよい。
【化8】
ここで、Lは、結合、または5~40、好ましくは5~30の芳香族環原子を有し、1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系を表し、かつ、Qは、電子輸送基(ここで、Rは上記、特に式(I)、に記載の意味を有する)である。
【0059】
好ましくは、とりわけ式(QL)中に示されるQ基、または電子輸送基は、式(Q-1)、(Q-2)、(Q-4)、(Q-3)、(Q-5)、(Q-6)、(Q-7)、(Q-8)、(Q-9)および/または(Q-10)の構造から選択されてもよい。
【化9】
ここで、点線は結合位置を示し、
Q’は、出現毎に同一であるかまたは異なり、CRまたはNであり、かつ Q’’は、NR、OまたはSであり;
ここで、少なくとも1つのQ’はNであり、かつ
は、上記、特に式(I)、に記載の通りである。
【0060】
さらに、とりわけ式(QL)中に示されるQ基、または電子輸送基は、好ましくは、式(Q-11)、(Q-12)、(Q-13)、(Q-14)および/または(Q-15)の構造から選択されてもよい。
【化10】
ここで、記号Rは、上記、とりわけ式(I)、に記載の意味を有し、XはNまたはCRであり、かつ点線の結合は、結合位置を示し、ここで、Xは、好ましくは窒素原子である。
【0061】
さらなる形態において、とりわけ式(QL)中に示されるQ基、または電子輸送基は、式(Q-16)、(Q-17)、(Q-18)、(Q-19)、(Q-20)、(Q-21)および/または(Q-22)の構造から選択されてもよい。
【化11】
ここで、記号Rは、上記、とりわけ式(I)に記載の意味を有し、点線の結合は結合位置を示し、かつ、mは0、1、2、3または4、好ましくは0、1または2であり、nは0、1、2または3、好ましくは0、1または2であり、かつoは0、1または2、好ましくは1または2である。ここで、好ましくは、式(Q-16)、(Q-17)、(Q-18)および(Q-19)の構造である。
【0062】
さらなる形態において、とりわけ式(QL)中に示されるQ基、または電子輸送基は、式(Q-23)、(Q-24)および/または(Q-25)の構造から選択されていてもよい。
【化12】
ここで、記号Rは、上記、とりわけ式(I)、に記載の意味を有し、かつ点線の結合は結合位置を示す。
【0063】
さらなる形態において、とりわけ式(QL)中に示されるQ基、または電子輸送基は、式(Q-26)、(Q-27)、(Q-28)、(Q-29)および/または(Q-30)の構造から選択されていてもよい。
【化13】
ここで、記号ArおよびRは、上記、とりわけ式(I)に記載の意味を有し、Xは、NまたはCRであり、かつ点線の結合は結合位置を示す。好ましくは、式(Q-26)、(Q-27)および(Q-28)の構造において、ちょうど1つのXが窒素原子である。
【0064】
好ましくは、とりわけ式(QL)中に示されるQ基、または電子輸送基は、式(Q-31)、(Q-32)、(Q-33)、(Q-34)、(Q-35)、(Q-36)、(Q-37)、(Q-38)、(Q-39)、(Q-40)、(Q-41)、(Q-42)、(Q-43)および/または(Q-44)の構造から選択されていてもよい。
【化14-1】
【化14-2】
ここで、記号ArおよびRは、上記、とりわけ式(I)、に記載の意味を有し、点線の結合は結合位置を示し、かつmは、0、1、2、3または4、好ましくは0、1または2であり、nは0、1、2または3、好ましくは0または1であり、nは0、1、2または3、好ましくは0、1または2であり、かつlは1、2、3、4または5、好ましくは0、1または2である。
【0065】
好ましくは、記号Arは、アリールまたはヘテロアリールラジカルであり、芳香族またはヘテロ芳香族環系の、芳香族またはヘテロ芳香族基が、直接、つまり芳香族またはヘテロ芳香族の原子を介して、さらなる基のそれぞれの原子、例えば、上記に示される(H-1)~(H-26)または(Q-16)~(Q-34)の炭素または窒素原子、に結合される。
【0066】
本発明のさらに好ましい形態において、Arは出現毎に同一であるかまたは異なり、6~24の芳香族環原子、好ましくは6~18の芳香族環原子を有する、芳香族またはヘテロ芳香族環系であり、より好ましくは、6~12の芳香族環原子を有する芳香族環系、または6~13の芳香族環原子を有し、それぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが好ましくは非置換である、ヘテロ芳香族環系であり、ここで、Rは、上記、特に式(I)、に記載の意味を有していてもよい。好適なAr基は、フェニル、オルト-、メタ-もしくはパラ-ビフェニル、ターフェニル、特に分岐ターフェニル、クオーターフェニル、特に分岐クオーターフェニル、1-、2-、3-または4-フルオレニル、1-、2-、3-または4-スピロビフルオレニル、ピリジル、ピリミジニル、1-、2-、3-または4-ジベンゾフラニル、1-、2-、3-または4-ジベンゾチエニルおよび1-、2-、3-または4-カルバゾリル(これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが、好ましくは非置換である)からなる群選択される。
【0067】
式(H-1)~(H-26)または(Q-16)~(Q-34)中のArが6~12の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが好ましくは非置換である、芳香族環系であることが有利である。ここで、Rは、上記、特に式(I)に記載の意味を有していてもよい。
【0068】
好ましくは、式(H-1)~(H-26)または(Q-1)~(Q-34)中のRラジカルが、ヘテロアリール基、またはRラジカルが結合されたArおよび/またはAr基の環原子と共に、縮合環系を形成しない。これは、可能な置換基R、R(これは、RまたはRラジカルに結合されていてもよい)と共に、縮合環系を形成することを含む。
【0069】
好ましい形態において、式(I)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)または(IIId)中の少なくとも1つのRまたはR基が、式L-Zで表されうる基であるケースであってよい。ここで、Lは、結合、または5~40、好ましくは5~30の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系を表し、Zは、R、Ar、または式ZまたはZの基であり、ここで、記号ArおよびRは、上記、特に式(I)、に記載の意味を有し、かつZまたはZは、以下である。
【化15】
ここで、Wは出現毎に同一であるかまたは異なり、5~30の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカルよって置換されていてもよい、芳香族またはヘテロ芳香族環系、窒素原子、ホウ素原子、リン原子またはホスフィンオキシド基であり、点線の結合は結合位置を示し、かつ記号ArおよびRは、上記、特に式(I)、に記載の意味を有する。
【0070】
さらに、式(I)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)または(IIId)中の、少なくとも1つのRまたはR基が、好ましくは全てのRまたはR基が、上記または後記に詳細に示される式Rのラジカルによって示されうる基であるケースであってよい。
【0071】
好ましくは、本発明の化合物が、式(IVa)、(IVb)、(IVc)、(IVd)、(IVe)、(IVf)、(IVg)、(IVh)、(IVi)、(IVj)、(IVk)、(IVl)、(IVm)、(IVn)、(IVo)、(IVp)、(IVq)、(IVr)、(IVs)、(IVt)、(IVu)、(IVv)、(IVw)、(IVx)または(IVy)の構造を含んでいてもよい。
【化16-1】
【化16-2】
【化16-3】
【化16-4】
【化16-5】
【化16-6】
【化16-7】
ここで、lは、1、2、3、4または5、好ましくは0、1または2であり、mは0、1、2、3,または4、好ましくは0、1、2または3、より好ましくは0、1または2であり、かつnは0、1、2または3、好ましくは0、1または2、より好ましくは0または1であり、かつ使用される記号R、LおよびZは、上記、特に式(I)および/または(L-Z)、に記載の意味を有し、ここで、添え字l、mおよびnの合計が、好ましくは最大6、特に好ましくは最大4、特別に好ましくは最大2である。
【0072】
さらに、式(IVt)~(IVy)の構造中、フルオレンブリッジに結合するRラジカルのうちの少なくとも1つ、好ましくは1つが、1~40、好ましくは1~10の、炭素原子を有する、直鎖の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、好ましくは、3~40、好ましくは1~10の、炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基であり、これは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。ここで、好ましくは、アルコキシまたはチオアルコキシ基よりも、アルキル基である、ケースであってよい。
【0073】
好ましくは、本発明の化合物は、式(Va)、(Vb)、(Vc)、(Vd)、(Ve)、(Vf)、(Vg)または(Vh)の構造を含んでいてもよい。
【化17-1】
【化17-2】
【化17-3】
ここで、mは、0、1、2、3,または4、好ましくは0、1、2または3、より好ましくは0、1または2であり、かつ、nは、0、1、2または3、好ましくは0、1または2、より好ましくは0または1であり、かつ使用される記号R、LおよびZは、上記、特に式(I)および/または(L-Z)、に記載の意味を有し、ここで、添え字mおよびnの合計はは、好ましくは最大5、特に好ましくは最大3、特別に好ましくは最大1である。
【0074】
さらに、式(Vf)、(Vg)または(Vh)の構造中、フルオレンブリッジに結合するRラジカルのうちの少なくとも1つ、好ましくは1つが、1~40、好ましくは1~10の、炭素原子の炭素原子を有する、直鎖の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、3~40、好ましくは1~10の、炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基であり、これは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。ここで、好ましくは、アルコキシまたはチオアルコキシ基よりも、アルキル基である。
【0075】
好ましくは、本発明の化合物は、式(VIa)、(VIb)、(VIc)、(VId)、(VIe)、(VIf)、VIg)、(VIh)、(VIi)、(VIj)、(VIk)、(VIl)、VIm)、(VIn)、(VIo)、(VIp)、(VIq)、(VIr)、(VIs)および(VIt)の構造を含んでいてもよい。
【化18-1】
【化18-2】
【化18-3】
【化18-4】
【化18-5】
ここで、lは、1、2、3、4または5、好ましくは0、1または2であり、mは、0、1、2、3または4、好ましくは0、1、2または3、より好ましくは0、1または2であり、かつnは、0、1、2または3、好ましくは0、1または2、より好ましくは0または1であり、かつ使用される記号R、LおよびZは、上記、特に式(I)および/または(L-Z)、に記載の意味を有し、添え字l、mおよびnの合計は、好ましくは最大5、特に好ましくは最大3、特別に好ましくは最大1である。
【0076】
さらに、式(IVa)~(IVy)、(Va)~(Vh)または(VIa)~(VIt)中のL-Z基は、式(H-1)~(H-26)の正孔輸送基および/または式(QL)、好ましくは式(Q-1)~(Q-44)の電子輸送基であるケースであってよい。
【0077】
さらに、式L-Z中、または式(IVa)~(IVy)、(Va)~(Vh)および/または(VIa)~(VIt)の構造中、記号Zが、式(Z-1)~(Z-90)から選択される基であるケースであってよい。
【化19-1】
【化19-2】
【化19-3】
【化19-4】
【化19-5】
ここで、使用される記号は以下である:
kは、出現毎に独立に、0または1であり;
iは、出現毎に独立に、0、1または2であり;
jは、出現毎に独立に、0、1、2または3であり;
hは、出現毎に独立に、0、1、2、3または4であり;
gは、出現毎に独立に、0、1、2、3、4または5であり;
点線の結合は結合位置を示し;かつ
Ar、Rは、上記、特に式(I)、に記載の意味を有する。
【0078】
好ましくは、L基は、Q基またはZ基、および式(QL)中もしくは式(L-Z)中のL基が結合される原子と共に、直接共役を形成していてもよい。隣接する芳香族またはヘテロ芳香族環の間で直接結合が形成されるとすぐに、芳香族またはヘテロ芳香族系の直接共役が形成される。上述の共役基の間の、例えば、硫黄、窒素もしくは酸素原子またはカルボニル基を介するさらなる結合は、共役を損なうものではない。フルオレン系の場合、2つの芳香族環が直接結合しており、そこでは、9位のSP-混成炭素原子がこれらの環の縮合を妨げるが、共役は可能であるが、これはこの9位のSP-混成炭素原子が必ずしも電子輸送Q基と窒素原子の間に位置するとは限らないからである。対照的に、スピロビフルオレン構造の場合は、Q基と式(QL)のL基が結合される芳香族またはヘテロ芳香族ラジカルの間の結合が、スピロビフルオレン構造中の同一のフェニル基を介して、またはスピロビフルオレン構造中の、互いに直接結合し、かつ同一平面にある、(複数の)フェニル基を介している場合には、直接共役が形成され得る。Q基と式(QL)のL基が結合される芳香族またはヘテロ芳香族ラジカルの間の結合が、2番目のスピロビフルオレン構造の、9位のSP-混成炭素原子を介して結合している、異なる(複数の)フェニル基を介している場合には、共役が妨げられる。
【0079】
は、5~14の芳香族またはヘテロ芳香族環原子を有する、芳香族またはヘテロ芳香族環系、好ましくは6~12の炭素原子を有する芳香族環系、であり、これは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが、好ましくは、非置換であり、ここで、Rは、上記、特に式(I)、に記載の意味を有していてよい。さらに好ましくは、Lは、6~10の芳香族環原子を有する芳香族環系、または6~13のヘテロ芳香族環原子を有するヘテロ芳香族環系であり、これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが、好ましくは、非置換であり、ここで、Rは、上記、特に式(I)、に記載の意味を有していてよい。
【0080】
さらに好ましくは、とりわけ式(QL)または式(L-Z)中に示される記号Lは、出現毎に同一であるかまたは異なり、単結合、または5~24の環原子、好ましくは6~13の環原子、より好ましくは6~10の環原子を有する、アリールもしくはヘテロアリールラジカルであり、芳香族またはヘテロ芳香族基の芳香族またはヘテロ芳香族環系が直接、つまり芳香族またはヘテロ芳香族基の原子を介して、さらなる基のそれぞれの原子に結合される。
【0081】
さらに、2以下の縮合芳香族および/またはヘテロ芳香族6員環を有し、好ましくは縮合芳香族またはヘテロ芳香族環系を有さない、芳香族環系を含んでなるケースであってよい。したがって、ナフチル構造はアントラセン構造よりも好ましい。さらに、フルオレニル、スピロビフルオレニル、ジベンゾフラニルおよび/またはジベンゾチエニル構造は、ナフチル構造よりも好ましい。
【0082】
特に好ましくは、縮合しない構造、例えば、フェニル、ビフェニル、ターフェニルおよび/またはクオーターフェニル構造である。
【0083】
好適な芳香族またはヘテロ芳香族環系Lの例は、オルト-、メタ-もしくはパラ-フェニレン、オルト-、メタ-もしくはパラ-ビフェニレン、ターフェニレン、特に分岐ターフェニレン、クオーターフェニレン、特に分岐クオーターフェニレン、フルオレニレン、スピロビフルオレニレン、ジベンゾフラニレン、ジベンゾチエニレン、およびカルバゾリレンからなる群から選択され、これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0084】
さらに、とりわけ式(QL)または式(L-Z)中に示されるL基は、1以下の窒素原子、好ましくは2以下のヘテロ原子、特に好ましくは1以下のヘテロ原子を含み、さらに好ましくはヘテロ原子を含まないケースであってもよい。
【0085】
好ましくは、式(H-1)~(H-26)の構造を少なくとも1つ含んでなる化合物(ここで、Ar基は、結合または式(L-1)~(L-162)から選択される基である)および/または式(IVa)~(IVy)、(Va)~(Vh)および/または(VIa)~(VIp)の構造を含んでなる化合物(ここで、構造単位L-Z中のL基は、結合または式(L-1)~(L-162)から選択される基である)および/または式(QL)の構造を含んでなる化合物(L基は、結合または式(L-1)~(L-162)から選択される基である)である。
【化20-1】
【化20-2】
【化20-3】
【化20-4】
【化20-5】
【化20-6】
【化20-7】
【化20-8】
【化20-9】
ここで、点線の結合はそれぞれのケースにおいて結合位置を示し、添え字kは0または1であり、添え字lは0、1または2であり、添え字jは、出現毎に独立に、0、1、2または3であり、添え字hは出現毎に独立に、0、1、2、3または4であり、添え字gは0、1、2、3、4または5であり、記号YはO、SまたはNR、好ましくはOまたはSであり、かつ記号Rは、上記、特に式(I)に記載の意味を有する。
【0086】
好ましくは、式(L-1)~(L-163)中の、添え字k、l、g、hおよびjの合計が、それぞれのケースで最大3、好ましくは最大2、より好ましくは最大1のケースであってよい。
【0087】
式(QL)または(L-Z)の基を有する本発明の好ましい化合物は、結合を示すか、または式(L-163)、(L-1)~(L-78)および/または(L-92)~(L-162)、好ましくは式(L-163)、(L-1)~(L-54)および/または(L-92)~(L-162)、特に好ましくは式(L-163)、(L-1)~(L-29)および/または(L-92)~(L-162)、のうちの1つから選択される、L基を含んでなる。有利であるのは、式(L-163)、(L-1)~(L-78)および/または(L-92)~(L-162)、好ましくは式(L-163)、(L-1)~(L-54)および/または(L-92)~(L-162)、特に好ましくは式(L-163)、(L-1)~(L-29)および/または(L-92)~(L-162)、の構造中の、添え字k、l、g、hおよびjの合計が、それぞれのケースにおいて、3以下、好ましくは2以下、より好ましくは1以下であってよい。
【0088】
式(H-1)~(H-26)の基を有する好ましい本発明の化合物は、式(L-163)、(L-1)~(L-78)および/または(L-92)~(L-162)、好ましくは式(L-163)、(L-1)~(L-54)および/または(L-92)~(L-162)、特に好ましくは式(L-163)、(L-1)~(L-29)および/または(L-92)~(L-162)、のうちの1つから選択されるAr基を含んでなる。有利には、式(L-163)、(L-1)~(L-78)および/または(L-92)~(L-162)、好ましくは式(L-163)、(L-1)~(L-54)および/または(L-92)~(L-162)、特に好ましくは式(L-163)、(L-1)~(L-29)および/または(L-92)~(L-162)、の構造中の添え字k、l、g、hおよびjの合計が、それぞれのケースにおいて、3以下、好ましくは2以下、より好ましくは1以下であってよい。
【0089】
好ましくは、式(L-1)~(L-163)中のRラジカルはRラジカルが結合されたアリール基またはヘテロアリール基の環原子と、縮合芳香族またはヘテロ芳香族環系を形成せず、好ましくはいかなる縮合環系も形成しない。これは、RまたはRラジカルと結合されていてもよい可能なR、R置換基との縮合環系の形成も含む。
【0090】
さらに、Ar、Ar、Ar、Arおよび/またはR基が、フェニル、オルト-、メタ-もしくはパラ-ビフェニル、ターフェニル、特に分岐ターフェニル、クオーターフェニル、特に分岐クオーターフェニル、1-、2-、3-または4-フルオレニル、1-、2-、3-または4-スピロビフルオレニル、ピリジル、ピリミジニル、1-、2-、3-または4-ジベンゾフラニル、1-、2-、3-または4-ジベンゾチエニル、ピレニル、トリアジニル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1-、2-、3-または4-カルバゾリル、1-または2-ナフチル、アントラセニル、好ましくは9-アントラセニル、フェナントレニルおよび/またはトリフェニレニル(これらのそれぞれは、1以上のRまたはRラジカルによって置換されていてもよいが、好ましくは非置換である)からなる群から選択され、特に好ましくは、フェニル、スピロビフルオレン、フルオレン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、アントラセン、フェナントレン、トリフェニレン基である、ケースであってよい。
【0091】
さらに、式(I)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)(IIId)、(IVa)~(IVy)、(Va)~(Vh)および/または(VIa)~(VIt)の構造中、少なくとも1つのRまたはArラジカルは、式(R-1)~(R-177)から選択される基であるか、または式(H-1)~(H-26)、(Q-1)~(Q-44)、(Z-1)~(Z-91)の構造中、少なくとも1つのArまたはRラジカルは、式(R-1)~(R-177)から選択される基であるケースであってよい。
【化21-1】
【化21-2】
【化21-3】
【化21-4】
【化21-5】
【化21-6】
【化21-7】
【化21-8】
【化21-9】
【化21-10】
【化21-11】
【化21-12】
ここで、使用される記号は以下の通りである:
は、O、SもしくはNR、好ましくはOもしくはSであり;
iは、出現毎に独立に、0、1もしくは2であり;
jは、出現毎に独立に、0、1、2もしくは3であり;
hは、出現毎に独立に、0、1、2、3もしくは4であり;
gは、出現毎に独立に、0、1、2、3、4もしくは5であり;
は、上記、特に式(I)および/または式(II)、に記載の意味を有し、かつ 点線の結合は、結合位置を示す。
【0092】
上記の式(R-1)~(R-177)の構造のうち、好ましくは、式(R-1)~(R-64)および(R-94)~(R-177)の基であり、特に好ましくは式(R-1)~(R-64)および(R-115)~(R-177)の基である。
【0093】
好ましくは、式(R-1)~(R-177)の構造中、添え字i、j、hおよびgの合計が、それぞれのケースにおいて、3以下、好ましくは2以下、より好ましくは1以下であるケースであってよい。
【0094】
好ましくは、式(L-1)~(L-177)中のRラジカルはRラジカルが結合されたアリール基またはヘテロアリール基の環原子と、縮合芳香族またはヘテロ芳香族環系を形成せず、好ましくはいかなる縮合環系も形成しない。これは、Rラジカルと結合されていてもよい可能なR置換基との縮合環系の形成も含む。
【0095】
本発明の化合物が芳香族またはヘテロ芳香族RまたはR基によって置換され、特にホスト材料、電子輸送材料または正孔輸送材料としてのそれらの形態のケースの場合、好ましくは、互いに縮合された2超の芳香族6員環を有する、アリールまたはヘテロアリール基を有さない。より好ましくは、置換基が、互いに縮合された6員環を有する、アリールまたはヘテロアリール基を全く有さない。これが好ましい理由は、それらの構造の三重項エネルギーが低いからである。互いに直接縮合された2超の芳香族6員環を有する縮合アリール基であるにもかかわらず、フェナントレンおよびトリフェニレンは本発明においても好適である。これらは、高い三重項準位を有するからである。
【0096】
本発明のさらに好ましい形態において、Rは、例えば、式(I)の構造およびこの構造の好ましい形態またはこれらの式に参照される構造において、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、1~10の炭素原子、好ましくは1、2、3または4の炭素原子、を有する脂肪族ヒドロカルビルラジカル、または5~30の芳香族環原子、好ましくは5~24の芳香族環原子、より好ましくは5~13の芳香族環原子を有し、かつそれぞれ1~4の炭素原子を有する1以上のアルキル基によって置換されていてもよいが、好ましくは非置換である、芳香族またはヘテロ芳香族環系からなる群から選択される。
【0097】
本発明のさらに好ましい形態において、Rは、例えば、式(I)の構造およびこの構造の好ましい形態またはこれらの式に参照される構造において、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、CN、1~10の炭素原子、好ましくは1、2、3または4の炭素原子を有する脂肪族ヒドロカルビルラジカル、または、5~30の芳香族環原子、好ましくは5~24の芳香族環原子、より好ましくは5~13の芳香族環原子を有し、かつそれぞれ1~4の炭素原子を有する1以上のアルキル基によって置換されいててもよいが好ましくは非置換である、芳香族またはヘテロ芳香族環系からなる群から選択される。
【0098】
特に好ましくは、式(I)または(IIa)~(IId)の構造を有する本発明の化合物であって、ここで、合計4以下、好ましくは2以下の式Xのラジカルが、CHまたはCDではなく、ここで、少なくとも1つのRまたはRラジカルが、電子輸送基、好ましくはトリアジン基、より好ましくは式(QL)(ここで、Qは式(Q-23)の基である)または式(L1-Z)(ここで、Zは式(Z-48)の基である)の基を含んでなり、以下の特性を有する:
【化22】
【0099】
さらに、好ましくは、式(IIIa)の構造を有する本発明の化合物であって、ここで、p=0であり、かつここで、添え字mの合計が、3以下、好ましくは2以下、特に好ましくは1であり、ここで、少なくとも1つのRが電子輸送基、好ましくはトリアジン基、より好ましくは式(QL)(ここで、Qは式(Q-23)の基である)または式(L-Z)(ここで、Zは式(Z-48)の基である)の基であり、以下の特性を有する:
【化23】
【0100】
特に好ましくは、式(IVa)、(IVb)、(IVc)、好ましくは(IVa)の構造を有する本発明の化合物、または式(Va)、(Vb)、(Ve)、好ましくは(Vb)の構造を有する化合物であり、ここで、添え字mおよびnの合計が、3以下、好ましくは2以下、特に好ましくは0であり、式(L1-Z)の基は、少なくとも1つの電子輸送基、好ましくはトリアジン基、より好ましくは式(L1-Z)(ここで、Zは式(Z-48)の基である)の基を含んでなり、以下の特性を有する:
【化24】
【0101】
本発明の好適な化合物の例は、以下に示される式1~407の構造である:
【化25-1】
【化25-2】
【化25-3】
【化25-4】
【化25-5】
【化25-6】
【化25-7】
【化25-8】
【化25-9】
【化25-10】
【化25-11】
【化25-12】
【化25-13】
【化25-14】
【化25-15】
【化25-16】
【化25-17】
【化25-18】
【化25-19】
【0102】
本発明の化合物の好ましい形態は、具体的に実施例において説明され、これらの化合物は、本発明の全ての目的のために単独またはさらなる化合物と組み合わせて使用することができる。
【0103】
請求項1で特定された条件がまとめられるのであれば、上記の好ましい形態は、所望により、互いに組み合わせることができる。本発明の特に好ましい形態において、上記の好ましい形態は、同時に適用される。
【0104】
本発明の化合物は、原則的として、種々の方法により製造することができる。しかし、これ以下に記載する方法が特に好適であることが見出されている。
【0105】
従って、本発明はさらに、カップリング反応で、少なくとも1つの窒素含有複素環式基を含んでなる化合物を、少なくとも1つの芳香族またはヘテロ芳香族基を含んでなる化合物と結合された、式(I)の構造を含んでなる化合物の製造方法を提供する。
【0106】
少なくとも1つの窒素含有複素環式基を含んでなる好適な化合物は、多くの場合、商業的に入手することができ、その際、実施例で詳記された出発化合物は、そこで参照されているように、公知の方法によって得ることができる。
【0107】
少なくとも1つの窒素含有複素環式基を含んでなる化合物は、公知のカップリング反応でさらなるアリールまたはヘテロアリール化合物と反応させることができ、この目的のために必要な条件は当業者に周知であり、また実施例における詳細な説明は、当業者がこれらの反応を実行することを支援する。
【0108】
C-C結合形成および/またはC-N結合形成をもたらす、特に適切でかつ好ましい、全てのカップリング反応は、ブッフバルト、鈴木、山本、スティレ、ヘック、根岸、薗頭および檜山によるものである。これらの反応はよく知られており、また実施例は、当業者にさらなる指針を提供する。
【0109】
以下の全ての合成スキームにおいて、構造を簡略化するため、化合物は少数の置換基と共に示されている。これは、方法において所望のさらなる置換基の存在を排除するものではない。
【0110】
例示的な形態は、これらが制限を設けることを全く意図せずに、次のスキームで示される。個々のスキームの構成工程は、所望により互いに組み合わせることができる。
スキーム1:
【化26】
スキーム2:
【化27】
スキーム3:
【化28】
【0111】
スキーム1~3で使用される記号の定義は、式(I)またはL-Zに定義されるものに、本質的に対応し、明確にするために、採番を省略する。
【0112】
本発明の化合物の合成に対して示される方法は、例示として解されるべきである。当業者は、当該技術分野における当業者の共通の知識の範囲内で代替合成経路を開発することができる。
【0113】
上で詳述した製造方法の基本は、原則的に類似の化合物に対する文献から知られており、当業者によって容易に本発明の化合物の製造に適用することができる。さらなる情報は、実施例に見出すことができる。
【0114】
これらの方法により、必要に応じて、精製、例えば再結晶または昇華を伴って、式(I)の構造を含んでなる本発明の化合物を、高純度で、好ましくは99%より高く(H-NMRおよび/またはHPLCにより測定)で得ることができる。
【0115】
本発明の化合物はまた、化合物を溶液で処理することを可能にするため、室温で、充分な溶解濃度で、標準的な有機溶媒、例えば、トルエンもしくはキシレン中での溶解性をもたらすような好適な置換基、例えば、比較的長いアルキル基(約4~20の炭素原子)、特に分枝状のアルキル基、または場合によって置換されたアリール基、例えば、キシリル、メシチルもしくは分枝状のテルフェニルもしくはクオーターフェニル基を有することができる。これらの可溶性化合物は、例えば、印刷法による、溶液での処理に特に適している。さらに、式(I)の構造の少なくとも1つを含んでなる本発明の化合物は、既にこれらの溶媒中で溶解度を増加させていることが強調されなければならない。
【0116】
本発明の化合物はまた、ポリマーと混合することができる。同様に、これらの化合物をポリマーに共有結合的に組み込むことも可能である。これは特に、臭素、ヨウ素、塩素、ボロン酸もしくはボロン酸エステルなどの反応性脱離基により、またはオレフィンもしくはオキセタンなどの反応性の重合性基により置換された化合物について可能である。これらは、対応するオリゴマー、デンドリマーもしくはポリマーを製造するためのモノマーとしての使用が見出される。オリゴマー化もしくは重合は、好ましくはハロゲン官能基もしくはボロン酸官能基を介して、または重合性基を介して行われる。このような基を介して、さらにポリマーを架橋することが可能である。本発明の化合物およびポリマーは、架橋した、もしくは架橋していない層の形で使用できる。
【0117】
本発明は、さらに、上で詳述した式(I)または本発明の化合物の構造を1以上含む、ポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーであって、本発明の化合物への、または式(I)の構造への、オリゴマー、ポリマーもしくはデンドリマーへの1以上の結合が存在するものを提供する。式(I)の構造の、または化合物の連結により、これらは、従って、ポリマーもしくはオリゴマーの側鎖を形成しているか、または主鎖内で結合されている。ポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーは、共役している、部分的に共役している、または共役していなくてもよい。オリゴマーもしくはポリマーは、直鎖状、分岐状もしくは樹枝状であってもよい。オリゴマー、デンドリマーおよびポリマー中の、本発明の化合物の繰返し単位については、同じ好ましい形態が上述したように適用される。
【0118】
オリゴマーまたはポリマーを製造するにあたり、本発明のモノマーは、ホモ重合またはさらなるモノマーと共重合される。式(I)の単位、または、上記および後記されている、好ましい形態の単位が、0.01~99.9モル%、好ましくは5~90モル%、より好ましくは20~80モル%の範囲に存在することが好ましい。適切でかつ好ましい、ポリマー基本骨格を形成するコモノマーは、フルオレン(例えば、EP842208またはWO2000/022026による)、スピロビフルオレン(例えば、EP707020、EP894107またはWO2006/061181による)、パラフェニレン(例えば、WO92/18552による)、カルバゾール(例えば、WO2004/070772またはWO2004/113468による)、チオフェン(例えば、EP1028136による)、ジヒドロフェナントレン(例えば、WO2005/014689)、シス-およびトランス-インデノフルオレン(例えば、WO2004/041901またはWO2004/113412による)、ケトン(例えば、WO2005/040302による)、フェナントレン(例えば、WO2005/104264またはWO2007/017066による)、またはこれらの単位の複数から選択される。ポリマー、オリゴマーおよびデンドリマーはまた、さらなる単位、例えば、正孔輸送単位、特にトリアリールアミンを基本とするもの、および/または電子輸送単位を含んでいてもよい。
【0119】
さらに、特に興味深いのは、高いガラス転移温度によって特徴付けられる本発明の化合物である。これに関連して、好ましいのは、少なくとも70℃、より好ましくは少なくとも110℃、さらにより好ましくは少なくとも125℃、そして特別に好ましくは150℃のガラス転移温度(DIN51005(2005-08版)により測定)を有する、式(I)の、または、上記および後記されている好ましい形態の構造を含んでなる本発明の化合物である。
【0120】
液相での本発明の化合物を、例えば、スピンコーティングもしくは印刷法によって、処理するためには、本発明に係る化合物の調合物が必要とされる。これらの調合物は、例えば、溶液、分散液またはエマルジョンであってもよい。この目的のために、2以上の溶媒の混合物を使用することが好ましい。適当で好ましい溶媒は、例えば、トルエン、アニソール、o-、m-もしくはp-キシレン、安息香酸メチル、メシチレン、テトラリン、ベラトロール、THF、メチル-THF、THP、クロロベンゼン、ジオキサン、フェノキシトルエン、特に3-フェノキシトルエン、(-)-フェンコン、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、1,2,4,5-テトラメチルベンゼン、1-メチルナフタレン、2-メチルベンゾチアゾール、2-フェノキシエタノール、2-ピロリジノン、3-メチルアニソール、4-メチルアニソール、3,4-ジメチルアニソール、3,5-ジメチルアニソール、アセトフェノン、α-テルピネオール、ベンゾチアゾール、安息香酸ブチル、クメン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、デカリン、ドデシルベンゼン、安息香酸エチル、インダン、安息香酸メチル、NMP、p-シメン、フェネトール、1,4-ジイソプロピルベンゼン、ジベンジルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、2-イソプロピルナフタレン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、1,1-ビス(3,4-ジメチルフェニル)エタン、ヘキサメチルインダン、またはこれらの溶媒の混合物である。
【0121】
従って、本発明はさらに、本発明の化合物および少なくとも1つのさらなる化合物を含んでなる配合物に関する。さらなる化合物は、例えば、溶媒であり、特に上記の溶媒の1つか、またはこれらの溶媒の混合物である。あるいは、さらなる化合物は、電子素子に同様に使用される、有機もしくは無機化合物、例えば、発光化合物、特に燐光ドーパント、および/またはさらなるマトリックス材料であってもよい。このさらなる化合物は、また、ポリマーであってもよい。
【0122】
従って、本発明はさらに、本発明の化合物および少なくとも1つのさらなる有機機能材料を含んでなる組成物を提供する。機能材料は、一般に、アノードとカソードとの間に導入された、有機もしくは無機材料である。好ましくは、有機機能材料は、蛍光発光体、燐光発光体、多脚発光体、TADF(熱活性化遅延蛍光)を示す発光体、ホスト材料、電子輸送材料、電子注入材料、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子ブロック材料、正孔ブロック材料、ワイドギャップ材料およびn-ドーパントからなる群から選択される。
【0123】
本発明の特別な態様において、本発明の化合物は、マトリックス材料として、特に燐光発光体のために、使用されることが可能であり、マトリックス材料は、多くのケースにおいて、さらなるマトリックス材料と組み合わせて、使用される。
【0124】
従って、本発明はまた、少なくとも1つの、式(I)、または上記および後記の好ましい形態、上記および後記されている、好ましい形態の構造を含んでなる少なくとも1つの化合物、および少なくとも1つのさらなるマトリックス材料を含んでなる組成物に関する。
【0125】
本発明はさらに、少なくとも1つの、式(I)、または、上記および後記されている、好ましい形態の構造を含んでなる、少なくとも1つの化合物、および少なくとも1つのワイドバンドギャップ材料を含んでなる組成物を提供する。ここで、ワイドバンドギャップ材料は、US7,294,849で開示される材料を意味するものと解される。これらの系は、エレクトロルミネッセンス素子において特に有利な性能データを示す。
【0126】
好ましくは、追加の化合物は、2.5eV以上、好ましくは3.0eV以上、非常に好ましくは3.5eV以上のバンドギャップを有する。バンドギャップを計算する1つの方法は、最高被占軌道(HOMO)と最低空軌道(LUMO)のエネルギー準位を用いる。
【0127】
分子軌道、特に最高被占軌道(HOMO)および最低空軌道(LUMO)、それらのエネルギー準位および材料の、最低三重項状態Tのエネルギーもしくは最低励起一重項状態Sのエネルギーは、量子化学計算を用いて決定される。有機物質を計算するために、まず「基底状態/半経験的/初期スピン/AM1/チャージ0/スピン一重項」法を用いて、構造最適化が行われる。続いて、最適化された構造に基づきエネルギー計算が行われる。ここで、「TD-SCF/DFT/初期スピン/B3PW91」法が「6-31G(d)」基底集合(チャージ0、スピン一重項)とともに用いられる。HOMOエネルギー準位HEhまたはLUMOエネルギー準位LEhは、エネルギー計算からハートリー単位で得られる。これは、電子ボルトにおけるHOMOおよびLUMOエネルギー準位を、以下のようにサイクリックボルタンメトリー(cyclic voltammetry)測定により較正することにより決定するのに使用される。
HOMO(eV)=((HEh*27.212)-0.9899)/1.1206
LUMO(eV)=((LEh*27.212)-2.0041)/1.385
本発明の文脈において、これらの値は、材料の、HOMOおよびLUMOエネルギー準位とみなされる。
【0128】
最低三重項状態Tは、記載された量子化学計算から明らかな、最低エネルギーを有する三重項状態のエネルギーと定義される。
【0129】
最低励起一重項状態Sは、記載された量子化学計算から明らかな、最低エネルギーを有する励起一重項状態のエネルギーと定義される。
【0130】
ここで記述される方法は、使用されるソフトウェアパッケージから独立しており、常に同じ結果を与えるものである。この目的で頻繁に使用されるプログラムの例として、「Gaussian09W」(ガウシアン社(Gaussian))およびQ-Chem4.1(キューケム社(Q-Chem))が挙げられる。
【0131】
本発明はさらに、少なくとも1つの、式(I)、または、上記および後記されている、好ましい形態の構造を含んでなる、少なくとも1つの化合物、および少なくとも1つの燐光発光体を含んでなる組成物を提供する。ここで、用語「燐光発光体」はまた、燐光ドーパントを意味するものと解される。
【0132】
マトリックス材料およびドーパントを含んでなる系において、ドーパントは、混合物中でより小さい割合を有する成分を意味するものと解される。相応して、マトリックス材料およびドーパントを含む系において、マトリックス材料は、混合物中でより大きい割合を有する成分を意味するものと解される。
【0133】
マトリックス系での、好ましくは混合マトリックス系での使用に好ましい燐光ドーパントは、以下で特記する、好ましい燐光ドーパントである。
【0134】
用語「燐光ドーパント」は、典型的には、スピン禁制遷移、例えば、励起三重項状態、もしくはより高いスピン量子数を有する状態、例えば、五重項状態からの遷移により発光が起こる化合物を包含する。
【0135】
好適な燐光化合物(=三重項発光体)は、特に、好ましくは可視領域において、適切に励起された時、発光し、かつ、さらに、原子番号が20より大きい、好ましくは、38より大きくかつ84未満の、より好ましくは、56より大きくかつ80未満の原子を、特にこの原子番号を有する金属を、少なくとも1つ含む化合物である。用いられる燐光発光体は、好ましくは、銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金またはユーロピウムを含む化合物であり、特に、イリジウムまたは白金を含む化合物である。本発明文脈において、上記金属を含むすべての発光化合物は、燐光化合物とみなされる。
【0136】
上記の発光体の例は、WO00/70655、WO2001/41512、WO2002/02714、WO2002/15645、EP1191613、EP1191612、EP1191614、WO05/033244、WO05/019373、US2005/0258742、WO2009/146770、WO2010/015307、WO2010/031485、WO2010/054731、WO2010/054728、WO2010/086089、WO2010/099852、WO2010/102709、WO2011/032626、WO2011/066898、WO2011/157339、WO2012/007086、WO2014/008982、WO2014/023377、WO2014/094961、WO2014/094960、WO2014/094960、WO2016/124304、WO2016/015815、WO2016/000803、WO2015117718、WO2015104045およびWO2015036074の出願に見出すことができる。一般に、燐光発光OLEDに対して従来技術で使用されているような、さらに、有機エレクトロルミネッセンス素子の分野で当業者に知られているような、燐光錯体のすべては、適切であり、そして当業者は、発明的工夫をなすことなく、さらなる燐光性錯体を使用することができる。
【0137】
燐光ドーパントの明示的な例を以下の表に挙げる:
【化29-1】
【化29-2】
【化29-3】
【化29-4】
【化29-5】
【化29-6】
【化29-7】
【化29-8】
【化29-9】
【化29-10】
【0138】
本発明の特別な態様において、本発明の化合物は、正孔ブロック材料として、好ましくは正孔ブロック層で、使用されることができ、このケースにおいて、正孔ブロック材料として使用される本発明の化合物は、少なくとも1つの電子輸送基を含んでなる。好ましい形態において、正孔ブロック材料として使用される本発明の化合物は、電子輸送基よりも少ない正孔輸送基を含んでなり、より好ましくは正孔輸送基を含まない。
【0139】
さらに、本発明の化合物は、電子または励起子ブロック材料として、好ましくは電子または励起子ブロック層で使用され、このケースにおいて、電子または励起子ブロック材料として使用される本発明の化合物は、少なくとも1つの正孔輸送基を含んでなる。好ましい形態において、電子または励起子ブロック材料として使用される本発明の化合物は、正孔輸送基よりも少ない電子輸送基を含んでなり、より好ましくは電子輸送基を含まない、ケースであってよく、上記または後記に、式(QL)のRまたはRラジカルで定義される。
【0140】
式(I)、または、上で詳記した好ましい形態の構造を含んでなる上述の化合物は、好ましくは、電子素子中の活性成分として用いることができる。電子素子は、アノード、カソード、およびアノードとカソードの間にある、少なくとも1つの層を含んでなり、前記層は有機もしくは有機金属化合物を少なくとも1つ含んでなる素子であると解される。従って、本発明の電子素子は、アノード、カソード、および式(I)の構造を含んでなる、少なくとも1つの化合物を含む間の層を含んでなる。
【0141】
好ましい電子素子は、ここでは、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED、PLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光検出器(organic optical detector)、有機感光体(organic photoreceptor)、有機電場消光素子(O-FQD)、有機電気センサ、発光電気化学セル(LEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)、および有機プラズモン発光素子(D.M.Koller et al.,Nature Pho~nics 2008,1-4)、好ましくは、有機エレクトロルミネセンス素子(OLED、PLED)、特に、式(I)の構造を含んでなる化合物を少なくとも1つ含有する燐光発光OLED、からなる群から選択される。特に好ましいのは、有機エレクトロルミネッセンス素子である。活性成分は、一般に、アノードとカソードとの間に導入される、有機もしくは無機材料であり、例えば、電荷注入、電荷輸送もしくは電荷ブロック材料であるが、特に発光材料およびマトリックス材料である。
【0142】
本発明の好ましい形態は、有機エレクトロルミネッセンス素子である。有機エレクトロルミネッセンス素子は、アノード、カソードおよび少なくとも1つの発光層を具備してなる。有機エレクトロルミネッセンス素子は、これらの層の他に、さらなる層、例えば、それぞれの場合において、1以上の、正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層、励起子ブロック層、電子ブロック層、電荷発生層および/または有機もしくは無機の、p/n接合を具備していてもよい。その際、1以上の正孔輸送層が、例えば、MoOもしくはWOのような金属酸化物で、または電子の不足した(過)フッ素化芳香族系で、p-ドープされるか、および/または1以上の電子輸送層が、n-ドープされていることができる。同様に、例えば、励起子ブロック機能を有する、および/または有機エレクトロルミネッセンス素子中の電荷バランスを制御する中間層が2つの発光層の間に導入されていてもよい。しかしながら、これらの層のそれぞれは、必ずしも存在していなくてもよいということに留意すべきである。
【0143】
ここで、有機エレクトロルミネッセンス素子は、1つの発光層を具備してなる、または複数の発光層を具備していてもよい。複数の発光層が存在する場合、これらは、好ましくは、全体で白色光を生じるように、380nm~750nm全体で複数の発光極大を有する、すなわち、蛍光もしくは燐光を発することができる様々な発光化合物が発光層中に使用される。特に好ましいのは、3層が、青、緑およびオレンジもしくは赤の発光を呈する3層系(基本構造については、例えば、WO2005/011013を参照)、または3以上の発光層を有する系である。その系は、1以上の層が蛍光を発し、かつ、1以上の他の層が燐光を発するハイブリッド構造であってもよい。
【0144】
本発明の好ましい形態において、有機エレクトロルミネッセンス素子は、式(I)の、または、上で詳記した好ましい形態の構造を含んでなる本発明の化合物を、マトリックス材料として、好ましくは電子伝導マトリックス材料として、1以上の発光層中に、好ましくは、さらなるマトリックス材料、好ましくは正孔伝導のマトリックス材料と組み合せて含む。発光層は、少なくとも1つの発光化合物を含んでなる。さらなる好ましい形態において、さらなるマトリックス材料は、層中で正孔および電子輸送に関与していないか重要な程度には関与していない、大きなバンドギャップを有する化合物である。本発明のさらに好ましい形態において、式(I)の、または、上で詳記した好ましい形態の構造を含んでなる本発明の化合物は、マトリックス材料として、好ましくは正孔伝導マトリックス材料として、1以上の発光層中、好ましくはさらなるマトリックス材、好ましくは電子伝導マトリックス材料、との組み合わせで、存在する。
【0145】
式(I)の、または好ましい形態に従う化合物と組み合せて使用することのできる、好適なマトリックス材料は、芳香族ケトン;芳香族ホスフィンオキシド;または芳香族スルホキシドもしくはスルホン(例えば、WO2004/013080、WO2004/093207、WO2006/005627もしくはWO2010/006680による);トリアリールアミン、特にモノアミン(例えば、WO2014/015935による);カルバゾール誘導体(例えば、CBP(N、N-ビスカルバゾリルビフェニル)、またはWO2005/039246、US2005/0069729、JP2004/288381、EP1205527、もしくはWO2008/086851に開示されるカルバゾール誘導体);インドロカルバゾール誘導体(例えば、WO2007/063754もしくはWO2008/056746による);インデノカルバゾール誘導体(例えば、WO2010/136109およびWO2011/000455による);アザカルバゾール誘導体(例えば、EP1617710、EP1617711、EP1731584、JP2005/347160による);双極性マトリックス材料(例えば、WO2007/137725による);シラン(例えば、WO2005/111172による);アザボロールもしくはボロン酸エステル(例えば、WO2006/117052よる);トリアジン誘導体(例えば、WO2010/015306、WO2007/063754もしくはWO2008/056746による);亜鉛錯体(例えば、EP652273もしくはWO2009/062578による);ジアザシロールもしくはテトラアザシロール誘導体(例えば、WO2010/054729による);ジアザホスホール誘導体(例えば、WO2010/054730による);架橋カルバゾール誘導体(例えば、US2009/0136779、WO2010/050778、WO2011/042107、WO2011/088877もしくはWO2012/143080による);トリフェニレン誘導体(例えば、WO2012/048781による);ラクタム類(例えば、WO2011/116865、WO2011/137951もしくはWO2013/064206による);または、4-スピロカルバゾール誘導体(例えば、WO2014/094963または未公開出願EP14002104.9による)である。同様に、実際の発光体よりも短い波長で発光するさらなる燐光発光体が、混合物中に共ホスト(co-host)として存在することも可能である。
【0146】
好ましい共ホスト材料は、トリアリールアミン誘導体、特にモノアミン、インデノカルバゾール誘導体、4-スピロカルバゾール誘導体、ラクタム、およびカルバゾール誘導体である。
【0147】
本発明の化合物と一緒に、共ホスト材料として使用される、好ましいトリアリールアミン誘導体は、以下の式(TA-1)の化合物から選択される:
【化30】
ここで、Arは、出現毎に同一であるかまたは異なり、6~40の炭素原子を有し、かつそれぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系、5~60の芳香族環原子を有し、かつそれぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよいアリールオキシ基、または5~60の芳香族環原子を有し、かつそれぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよいアラルキル基であり、ここで、2以上の隣接するR置換基が、所望により、単環状もしくは多環状の、脂肪族、ヘテロ芳香族、芳香族またはヘテロ芳香族環系、好ましくは単環状または多環状の脂肪族環系(これは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよい)を形成していてもよく、ここで、記号Rは、上記、特に式(I)、に記載の意味を有する。好ましくは、Arは、出現毎に同一であるかまたは異なり、5~24、好ましくは5~12の芳香族環原子、を有し、それぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが、好ましくは非置換である、アリールまたはヘテロアリール基である。
【0148】
好適なAr基の例は、フェニル、オルト-、メタ-もしくはパラ-ビフェニル、ターフェニル、特に分岐ターフェニル、クオーターフェニル、特に分岐クオーターフェニル、1-、2-、3-または4-フルオレニル、1-、2-、3-または4-スピロビフルオレニル、ピリジル、ピリミジニル、1-、2-、3-または4-ジベンゾフラニル、1-、2-、3-または4-ジベンゾチエニルおよび1-、2-、3-または4-カルバゾリル(これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが、好ましくは非置換である)からなる群から選択される。
【0149】
好ましくは、Ar基が、出現毎に同一であるかまたは異なり、上記のR-1~R-177基、より好ましくはR-1~R-64、から選択される。
【0150】
式(TA-1)で表される化合物の好ましい形態において、少なくとも1つのAr基は、ビフェニル基から選択され、それは、オルト-、メタ-またはパラ-ビフェニル基であってもよい。式(TA-1)で表される化合物のさらに好ましい形態において、少なくとも1つのAr基は、フルオレン基もしくはスピロビフルオレン基から選択され、ここで、これらの基はそれぞれ、1-、2-、3-もしくは4-位で、窒素原子に結合していてもよい。式(TA-1)で表される化合物の、なお、さらに好ましい形態において、少なくとも1つの基Arは、フェニレンもしくはビフェニル基から選択され、ここで、それらの基は、オルト-、メタ-もしくはパラ結合されている基であり、ジベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基もしくはカルバゾール基、特にジベンゾフラン基により置換されており、ここで、ジベンゾフランもしくはベンゾチオフェン基が1-、2-、3-もしくは4-位を介して、フェニレンもしくはビフェニル基に結合しており、かつ、ここで、カルバゾール基が、1-、2-、3-もしくは4-位を介して、または窒素原子を介して、フェニレンもしくはビフェニル基に結合している。
【0151】
式(TA-1)の化合物の特に好ましい形態において、1つのAr基は、フルオレンもしくはスピロビフルオレン基から、特に4-フルオレンもしくは4-スピロビフルオレン基から選択され、そして、1つのAr基は、ビフェニル基、特に、パラ-ビフェニル基から、またはフルオレン基、特に2-フルオレン基から選択され、また、第三のAr基は、ジベンゾフラン基、特に4-ジベンゾフラン基で、またはカルバゾール基、特にN-カルバゾール基もしくは3-カルバゾール基で、置換された、パラ-フェニレン基もしくはパラ-ビフェニル基から選択される。
【0152】
好ましい形態において、共ホスト材料はカルバゾール化合物であり、カルバゾール化合物が、ビスカルバゾールまたはトリカルバゾール化合物である場合が特に好ましく、カルバゾール化合物が以下の構造から選択される場合が非常に好ましい:
【化31-1】
【化31-2】
【0153】
本発明の化合物と共に、共ホスト材料として使用される好ましいインデノカルバゾール誘導体は、以下の式(TA-2)の化合物から選択される:
【化32】
ここで、ArおよびRは、上記、特に式(I)および(TA-1)、に記載の意味を有する。Ar基の好ましい形態は、上述した構造(R-1)~(R-177)、より好ましくは、R-1~R-64である。
【0154】
式(TA-2)の化合物の好ましい形態は、以下の式(TA-2a)の化合物である
【化33】
ここで、ArおよびRは、上記、特に式(I)および/または(TA-1)、に記載の意味を有する。ここで、インデノ炭素原子に結合した2つのR基は、好ましくは、同一であるかまたは異なり、1~4の炭素原子を有するアルキル基、特にメチル基、または6~12の炭素原子を有する芳香族環系、特にフェニル基である。より好ましくは、インデノ炭素原子に結合した、この2つのR基はメチル基である。さらに好ましくは、式(TA-2a)中のインデノカルバゾール基本骨格に結合したR置換基は、H、または、1-、2-、3-もしくは4-位を介して、または窒素原子を介して、特に3位を介してインデノカルバゾール基本骨格に結合することのできるカルバゾール基である。
【0155】
共ホストとしてさらに好ましいインデノカルバゾールは、WO2010/136109およびWO2013/041176に開示される。
【0156】
本発明の化合物と共に、共ホスト材料として使用される、好ましい4-スピロカルバゾール誘導体は、以下の式(TA-3)の化合物から選択される:
【化34】
ここで、ArおよびRは、上記、特に式(I)、(II)および/または(Q-1)、に記載の意味を有する。Ar基の好ましい形態は、上述した構造(R-1)~(R-177)、より好ましくは、R-1~R-64である。
【0157】
式(TA-3)の化合物の好ましい形態は、以下の式(TA-3a)の化合物である:
【化35】
ここで、ArおよびRは、上記、特に式(I)、(II)および/または(Q-1)、に記載の意味を有する。Ar基の好ましい形態は、上述した構造(R-1)~(R-177)、より好ましくは、R-1~R-64である。
【0158】
好ましい共ホスト材料は、トリアジン基と同様に、カルバゾール基を含み、2つの基がブリッジにおいてジベンゾフランまたはジベンゾチオフェンによって形成される場合が特に好ましい。トリアジン-ジベンゾフラン/ジベンゾチオフェン-カルバゾール構造単位を有する非常に特に好ましい共ホスト材料は、WO2015/169412に開示される。
【0159】
本発明の化合物と共に、共ホスト材料として使用される好ましいラクタムは、以下の式(LAC-1)の化合物から選択される:
【化36】
ここで、Rは、上記、特に式(I)、に記載の意味を有する。
【0160】
式(LAC-1)の化合物の好ましい形態は、以下の式(LAC-1a)の化合物である:
【化37】
ここで、Rは、上記、特に式(I)、に記載の意味を有する。ここで、Rは、好ましくは、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、または、5~40の芳香族環原子を有し、1つの以上のラジカルRで置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系であり、ここで、Rは、上記された、特に式(I)、の意味を有する。最も好ましくは、R置換基は、H、および、6~18の芳香族環原子を有し、好ましくは6~13の芳香族環原子を有し、そのそれぞれが1つの以上の非芳香族系のラジカルRで置換されていてもよいが、好ましくは非置換である、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系からなる群から選択される。適当なR置換基の例は、フェニル、オルト-、メタ-もしくはパラ-ビフェニル、ターフェニル、特に分枝状のターフェニル、クウォーターフェニル、特に分枝状のクウォーターフェニル、1-、2-、3-もしくは4-フルオレニル、1-、2-、3-もしくは4-スピロビフルオレニル、ピリジル、ピリミジニル、1-、2-、3-もしくは4-ジベンゾフラニル、1-、2-、3-もしくは4-ジベンゾチエニル、1-、2-、3-もしくは4-カルバゾリル(これらのそれぞれは、1つの以上のRラジカルで置換されていてもよいが、好ましくは非置換である)からなる群から選択される。ここで、好適な構造Rは、R-1~R-177、より好ましくはR-1~R-64に対して示された構造と同じである。
【0161】
また、異なるマトリックス材料の複数を混合物として、特に、少なくとも1つの電子伝導マトリックス材料と少なくとも1つの正孔伝導マトリックス材料を使用することが好ましい。同様に、電荷輸送マトリックス材料と、例えば、WO2010/108579に記載されているような、電荷輸送に、あるとしても重要な程度には関与していない、電気的に不活性なマトリックス材料との混合物の使用も好ましい。
【0162】
さらに、2以上の三重項発光体とマトリックスとの混合物の使用が好ましい。ここで、より短い波長の発光スペクトルを持つ三重項発光体は、より長い波長の発光スペクトルを持つ三重項発光体に対する共マトリックスとして働く。
【0163】
より好ましくは、式(I)の構造を、好ましい形態で含んでなる本発明の化合物を、有機電子素子、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子、例えば、OLEDまたはOLECの中の発光層におけるマトリックス材料として使用することができる。この場合、式(I)、または、上記および後記されている、好ましい形態の構造を含んでなるマトリックス材料は、1以上のドーパント、好ましくは燐光ドーパントと組み合わせて電子素子中に存在する。
【0164】
この場合、発光層中のマトリックス材料の割合は、蛍光発光層に対しては、50.0~99.9体積%、好ましくは80.0~99.5体積%、そして、より好ましくは92.0~99.5体積%であり、また、燐光発光層に対しては、85.0~97.0体積%である。
【0165】
これに対応して、ドーパントの割合は、蛍光発光層に対しては、0.1~50.0体積%、好ましくは0.5~20.0体積%、そして、より好ましくは0.5~8.0体積%であり、また、燐光発光層に対しては、3.0~15.0体積%である。
【0166】
有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層はまた、複数のマトリックス材料(混合マトリックス系)および/または複数のドーパントを含む系であってもよい。この場合も、ドーパントは一般に、その系中で、より小さい割合を有する材料であり、また、マトリックス材料は、その系中で、より大きい割合を有する材料である。しかしながら、個々のケースでは、その系における単一のマトリックス材料の割合は、単一のドーパントの割合よりも小さくてもよい。
【0167】
本発明のさらに好ましい形態において、式(I)、または、上記および後記されている、好ましい形態の構造を含んでなる化合物は、混合マトリックス系の1つの成分として使用される。混合マトリックス系は好ましくは、2つもしくは3つの異なるマトリックス材料、より好ましくは、2つの異なるマトリックス材料を含む。この場合、2つの材料の一方が正孔輸送特性を有する材料であり、かつ、他方の材料が電子輸送特性を有する材料であることが好ましい。しかしながら、混合マトリックス成分の、所望の電子輸送および正孔輸送特性はまた、主としてまたは完全に、単一の混合マトリックス成分に組み込まれていてもよく、その場合、さらなる混合マトリックス成分(単数もしくは複数)が他の機能を満たす。2つの異なるマトリックス材料は、1:50~1:1、好ましくは1:20~1:1、より好ましくは1:10~1:1、そして最も好ましくは1:4~1:1の割合で存在することができる。混合マトリックス系を燐光発光の有機エレクトロルミネッセンス素子で使用することが好ましい。混合マトリックス系のより詳細な情報は、特に、出願WO2010/108579に示されている。
【0168】
本発明は、1以上の正孔伝導層に正孔伝導性の化合物として、本発明に係る化合物の1以上および/または本発明に係る、オリゴマー、ポリマーもしくはデンドリマーの少なくとも1つを含んでなる、電子素子、好ましくは有機エレクトロルミネッセンス素子をさらに提供する。
【0169】
本発明の好ましい形態において、有機エレクトロルミネッセンス素子が、式(I)の構造または上記の好ましい形態を含んでなる本発明の化合物、および/または少なくとも1つの本発明のオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーを、電子伝導層で電子伝導化合物として含んでなる。
【0170】
さらに、本発明は、1以上の本発明の化合物および/または少なくとも1つの本発明のオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーを1以上の電子輸送層に含んでなる電子素子、好ましくは有機エレクトロルミネッセンス素子を提供するものであって、好ましくは高誘電率を有する材料(例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属フッ化物、対応する酸化物または炭水化物(例えば、LiF、LiO、BaF、MgO、NaF、CsF、CsCO等)または有機アルカリ金属錯体(例えば、Liq(キノリン酸リチウム)、特に好ましくは有機アルカリ金属錯体、好ましくはLiq)との、本発明の化合物および/または本発明のオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーとの組み合わせである。電子輸送層中の2つの異なる材料は、ここで、1:50~50:1、好ましくは1:10~10:1、より好ましくは1:4~4:1、最も好ましくは1:2~2:1の比率で存在していてもよい。
【0171】
本発明は、さらに、1以上の本発明の化合物、および/または少なくとも1つの本発明のオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーを発光層中に、マトリックス材料として、好ましくは燐光発光体との組み合わせで、含んでなる、電子素子、好ましくは有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。
【0172】
カソードは、好ましくは、低い仕事関数を有する金属、金属合金、または、例えば、アルカリ土類金属、アルカリ金属、主族の金属もしくはランタノイド(例えば、Ca、Ba、Mg、Al、In、Mg、Yb、Sm等)のような様々な金属で構成される多層構造体である。また、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属と、銀とで構成される合金、例えば、マグネシウムと銀とで構成される合金、が適切である。多層構造体の場合には、前記金属に加えて、例えば、Agのような比較的高い仕事関数を有するさらなる金属もまた用いることもでき、この場合、例えば、Mg/Ag、Ca/AgもしくはBa/Agのような金属の組合せが、一般に用いられる。また、好ましくは、高い誘電率を有する材料からなる薄い中間層を、金属カソードと有機半導体の間に導入することもできる。この目的のために適切な材料の例は、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のフッ化物であり、また、対応する、酸化物もしくは炭酸塩(例えば、LiF、LiO、BaF、MgO、NaF、CsF、CsCO等)である。同様に、この目的のために有用なのは、有機アルカリ金属錯体、例えば、Liq(キノリン酸リチウム)である。この層の層厚は、好ましくは、0.5~5nmである。
【0173】
アノードは、好ましくは、高い仕事関数を有する材料である。アノードは、好ましくは、真空に対して4.5eVよりも大きい仕事関数を有する。第一に、高い酸化還元電位を有する金属、例えば、Ag、PtもしくはAu、がこの目的に適している。第二に、金属/金属酸化物の電極(例えば、Al/Ni/NiOx、Al/P~x)もまた好ましい。いくつかの用途に対して、有機材料(O-SC)の照射、または光の発光(OLED/PLED、O-laser)のいずれかを可能にするために、少なくとも1つの電極が透明もしくは部分的に透明でなければならない。ここで、好ましいアノード材料は、伝導性の混合金属酸化物である。特に好ましいのは、酸化インジウムスズ(ITO)または酸化インジウム亜鉛(IZO)である。さらに、好ましいのは、ドーピングされた、伝導性の有機材料、特に、ドーピングされた、伝導性のポリマー、例えば、PEDOT、PANIもしくはこれらのポリマーの誘導体である。p型にドープされた正孔輸送材料が正孔注入層としてアノードに適用される時がさらに好ましく、この場合、好適なp-ドーパントは、金属酸化物、例えばMoOもしくはWO、または電子の不足した(過)フッ素化された芳香族系である。さらに好適なp-ドーパントは、HAT-CN(ヘキサシアノヘキサアザトリフェニレン)またはノバレッド社(Novaled)製の化合物NPD9である。そのような層は、低いHOMOを、すなわち、大きさでは大きいHOMOを有する材料中への正孔注入を簡単にする。
【0174】
さらなる層において、その層に先行技術で使用される任意の材料を一般的に用いることができ、そして当業者は、発明的工夫なしに、電子素子において、これらの材料の任意のものを本発明に係る材料と組み合わせることができる。
【0175】
このような素子の寿命は、水および/または空気の存在により著しく短縮されるので、素子は、(用途に応じて)それ相応に構造化され、接点が備えられ、さらに最後に密閉される。
【0176】
さらに好ましいのは、1以上の層が、昇華法により塗布されていることを特徴とする、電子素子、特に有機エレクトロルミネッセンス素子である。この場合、その材料を、10-5ミリバール未満、好ましくは10-6ミリバール未満の初期圧力で、真空昇華系の中で真空蒸着により塗布する。初期圧力は、さらに低いまたはさらに高いこと、例えば10-7ミリバール未満も可能である。
【0177】
同様に好ましいのは、1以上の層が、OVPD(有機気相蒸着)法により、またはキャリヤガスの昇華を用いて塗布されていることを特徴とする、電子素子、特に有機エレクトロルミネッセンス素子である。この場合、その材料を、10-5ミリバール~1バールの圧力で塗布する。この方法の特別な場合は、OVJP(有機蒸気ジェット印刷)法であり、この方法では、この材料は、ノズルを通して直接塗布され、さらに構造化される(例えば、M.S.Arnold et al.,Appl.Phys.Lett.2008,92,053301)。
【0178】
さらに好ましいのは、1以上の層が、例えば、スピンコーティングにより、または、例えば、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、もしくはノズル印刷、しかしより好ましくは、LITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)、もしくはインクジェット印刷のような任意の印刷法により溶液から作製されていることを特徴とする、電子素子、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子である。この目的のためには、可溶性の化合物が必要であり、これは、例えば、適当な置換により得られる。
【0179】
電子素子、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子は、ハイブリッド系として、1以上の層を溶液から塗布し、さらに1以上の他の層を真空蒸着で塗布することにより製造することもできる。例えば、式(I)の化合物とマトリックス材料を含んでなる発光層を溶液から塗布し、そして、それに正孔ブロック層および/または電子輸送層を減圧下、真空蒸着により塗布することができる。
【0180】
これらの方法は、当業者に一般的に知られており、そして、式(I)、または上記で詳述した好ましい形態の化合物を含んでなる、電子素子、特に有機エレクトロルミネッセンス素子に容易に適用することができる。
【0181】
本発明の電子素子、特に有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の、従来技術に優る下記の驚くべき利点により注目に値する:
1.式(I)、または、上記および後記されている好ましい形態の構造を有する、化合物、オリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーを、特にホスト材料または電子伝導材料および/または正孔伝導材料として含んでなる、電子素子、特に有機エレクトロルミネッセンス素子は、非常に良い寿命を有する。この文脈において、これらの化合物は、特に低ロールオフ、つまり高輝度で素子の電力効率の小さい減少、をもたらす。
2.式(I)、または、上記および後記されている、好ましい形態の構造を有する、化合物、オリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーを、電子伝導材料および/またはホスト材料として含んでなる、電子素子、特に有機エレクトロルミネッセンス素子は、優れた効率を有する。この文脈において、式(I)の構造または上記または後記の好ましい形態を有する、本発明の化合物、オリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーは、電子素子に使用される場合に低動作電圧をもたらす。
3.式(I)、または、上記でおよび後記されている、好ましい形態の構造を有する、本発明の、化合物、オリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーは、非常に高い安定性および寿命を示す。
4.式(I)、または、上記および後記されている、好ましい形態の構造を有する、化合物、オリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーを用いることで、電子素子、特に有機エレクトロルミネッセンス素子における光損失チャネルの形成を回避することができる。この結果、これらの素子は、高いPL効率およびそれによる発光体の高いEL効率、並びにマトリックスからドーパントへの優れたエネルギー伝導を特徴とする。
5.式(I)、または、上記および後記されている、好ましい形態の構造を有する、化合物、オリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーの、電子素子、特に有機エレクトロルミネッセンス素子の層内での使用は、電子伝導性構造の高移動度をもたらす。
6.式(I)、または、上記および後記されている、好ましい形態の構造を有する、化合物、オリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーは、優れた熱安定性を特徴とし、また、約1200g/モル未満の分子量を有する化合物は、良好な昇華性を有する。
7.式(I)、または、上記および後記されている、好ましい形態の構造を有する、化合物、オリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーは、優れたガラス被膜形成性を有する。
8.式(I)、または、上記および後記されている、好ましい形態の構造を有する、化合物、オリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーは、溶液から非常に良好な被膜を形成する。
9.式(I)、または、上記および後記されている、好ましい形態の構造を含んでなる、化合物、オリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーは、驚くほど高い三重項準位Tを有する。
【0182】
これらの上記した利点は、他の電子的特性の劣化を伴うものではない。
【0183】
本発明の化合物および混合物は、電子素子での使用に適している。電子素子は、有機化合物を少なくとも1つ含む層を少なくとも1つ含む素子を意味するものと解される。素子はまた、無機材料を含むか、または全部無機材料から形成された層を含んでいてもよい。
【0184】
本発明は、従って、電子素子、特に有機エレクトロルミネッセンス素子における、本発明の化合物または混合物の使用を提供する。
【0185】
さらに、本発明は、本発明の化合物および/または本発明のオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーの、電子素子における、燐光発光体のホスト材料、電子輸送材料、および/または正孔輸送材料として、好ましくは.赤もしくは緑色燐光発光化合物のためのホスト材料として、または有機エレクトロルミネッセンス素子の蛍光発光体とともに電子輸送材料として、の使用を提供する。
【0186】
さらに、本発明は、本発明の化合物および/または本発明のオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーの、電子素子における、電子輸送層の部分として、特に、高誘電率を有する材料との組み合わせでの、使用を提供するものである。
【0187】
さらに、本発明は、上記に示された本発明の化合物または混合物の少なくとも1つを含んでなる電子素子を提供する。このケースにおいて、好ましい上記に記された化合物もまた電子素子に適用される。より好ましくは、電子素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED、PLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光検出器、有機感光体、有機電場消光素子(O-FQD)、有機電気センサ、発光電気化学セル(LEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)、および有機プラズモン発光素子(D.M.Koller et al.,Nature Pho~nics 2008、1-4)、好ましくは、有機エレクトロルミネセンス素子(OLED、PLED)、特には、燐光OLED、からなる群から選択される。
【0188】
本発明のさらなる形態において、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、個々の、正孔注入層および/または正孔輸送層および/または正孔ブロック層および/または電子輸送層を含まないが、このことは、例えば、WO2005/053051に記載されるように、発光層が正孔注入層もしくはアノードに直接隣接する、および/または発光層が電子輸送層もしくは電子注入層もしくはカソードに直接隣接することを意味する。さらに、例えば、WO2009/030981に記載されるように、発光層中の金属錯体と、同一もしくは類似の金属錯体を、発光層に直接隣接する、正孔輸送もしくは正孔注入材料として使用することもできる。
【0189】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子のさらなる層において、従来技術に従って通常使用されるような任意の材料を使用することができる。従って、当業者は、発明的工夫をなすことなく、有機エレクトロルミネッセンス素子に対して知られた任意の材料を、式(I)、または、好ましい形態に従う、本発明の化合物と組み合わせて使用することができる。
【0190】
発明の化合物は一般的に、有機エレクトロルミネッセンス素子に使用される場合、非常に良好な特性を有している。特に、本発明の化合物を有機エレクトロルミネッセンス素子に使用する場合、従来技術による類似した化合物と比較して寿命が著しく良好である。同時に、有機エレクトロルミネッセンス素子の他の特性、特に、効率と電圧は同様に、より良いか、少なくとも同等である。
【0191】
本発明に記載の形態の変形は、本発明の範囲内に包含されることに留意すべきである。本発明に開示された各特徴は、これが明示的に除外されない限り、同じ目的を、または同等もしくは類似の目的を満たす、代替的な特徴と交換され得る。それ故、本発明に開示された各特徴は、特に明記しない限り、一般的なシリーズの例、または同等もしくは類似の特徴であるとみなされるべきである。
【0192】
本発明の全ての特徴は、特別な特徴および/または手順が相互に排他的でない限り、互いに任意の方法で組み合わせることができる。これは、本発明の好ましい特徴に特に言えることである。同様に、本質的でない組み合わせの特徴は、分離して(そして、組み合わせずに)用いることができる。
【0193】
多くの特徴、および特に本発明の好ましい形態の特徴は、それ自体で、発明的であると見なされるべきであり、本発明の形態の一部であるとのみ考えられるべきではないことに留意すべきである。これらの特徴については、現在特許請求の範囲に記載されている発明に加えて、もしくは替えて、独立した保護を求めることができる。
【0194】
本発明と共に開示された技術的教示は、抽象化され、そして他の実施例と組み合わせることができる。
【0195】
本発明は、以下の実施例により詳細に説明するが、それにより本発明を制限するものではない。
【0196】
当業者は、以下の詳述を用いて、発明的な工夫なしで、さらに本発明の電子素子を製造し、それにより特許請求の範囲全体に亘り、本発明を実施することができる。
【0197】
実施例
以下の合成は、特に明記しない限り、保護ガス雰囲気下、乾燥溶媒中で行われる。反応物質は、ALDRICHから購入できる。文献から知られている反応物質の番号(これらのいくつかは角括弧で示されている)は、対応するCAS番号である。
合成例
【化38】
【0198】
合成例
a)1-ブロモ-4b,9-ジアザインデノ[1,2-a]インデン-10-ワン
【化39】
2lのフラスコ中で、89.0g(754mmol;1.50当量)のベンゾイミダゾール[CAS51-17-2]、102g(502mmol;1.00当量)の2-ブロモ-6-フルオロベンゾアルデヒド[CAS360575-28-6]および108g(778mmol;1.55当量)の炭酸カリウム[CAS584-08-7]が、1500mlのDMSO[CAS67-68-5]中に懸濁される。反応混合物は、空気を導入しながら、105℃で18時間撹拌される。室温に冷却後、反応物は2.5lの氷水の上に注がれる。析出固体は、ろ過され、酢酸エチル[CAS141-78-6]で洗浄される。生成物43.3g(144.7mmol、理論の29%)は、オレンジ色の固体として得られる。
【0199】
同様の方法で、以下の化合物を得ることができる::
【化40】
【0200】
b)10-(4’-クロロビフェニル-2-イル)-10H-4b,9-ジアザインデノ[1,2-a]インデン-10-オール
【化41】
1lのフラスコ中に、保護ガス下、20.9g(78.2mmol;1.07当量)の2-ブロモ-4’-クロロビフェニル[CAS179526-95-5]が、50mlの乾燥THF[CAS109-99-9]に溶解され、-78℃に冷却される。そして、30.7ml(2.5mol/l;76.7mmol;1.05当量)のn-ブチルリチウム[CAS109-72-8]が滴下され、混合物はさらに2時間撹拌される。370mlの乾燥THF[CAS109-99-9]中の16.1g(73.0mmol、1.00当量)の4b,9-ジアザインデノ[1,2-a]インデン-10-ワン[CAS138479-49-9]の懸濁液が、この混合物に滴下される。得られる混合物は、ゆっくりと室温に温められ、さらに18時間撹拌される。
【0201】
反応は、300mlの水を加えることにより止められ、残りの相は分離される。水相が酢酸エチル(3x150ml)[CAS141-78-6]によって抽出された後、集められた有機相は水(2x150ml)で洗浄される。減圧下で溶媒を除去し、粗生成物が生じ、これは最終的にジクロロメタン[CAS75-09-2]に溶解され、ヘプタンの添加によって析出する。ろ過後、25.3g(61.8mmol;85%)の生成物が、茶色のフィルター残留物として得られうる。
【0202】
同様の方法で、以下の化合物を得ることができる::
【化42】
【0203】
c)2-クロロスピロ[フルオレン-9,11’-インドロ[1,2-a]ベンゾイミダゾール]
【化43】
500mlのフラスコ中に、24.9g(60.9mmol;1.00当量)の10-(4’-クロロビフェニル-2-イル)-10H-4b,9-ジアザインデノ[1,2-a]インデン-10-オールおよび116g(609mmol;10.0当量)のトルエンスルホン酸一水和物[CAS6192-52-5]が、290mlのトルエン[CAS108-88-3]中に懸濁され、混合物は115℃で72時間撹拌される。転化完了すると、混合物は室温に冷却され、反応溶液は濃縮される。粗生成物は酢酸エチル(500ml)[CAS141-78-6]に採取され、水(2x250ml)で洗浄される。シリカゲルを通してろ過し、ヘプタンで析出した後、19.1g(80%、48.8mmol)の生成物が、ベージュ固体の形で得られる。
【0204】
同様の方法で、以下の化合物を得ることができる:
【化44】
【0205】
d)2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)スピロ[フルオレン-9,11’-インドロ[1,2-a]ベンゾイミダゾール]
【化45】
1lのフラスコ中に、保護ガス下、18.6g(47.5mmol;1.00当量)の2-クロロスピロ[フルオレン-9,11’-インドロ[1,2-a]ベンゾイミダゾール]および14.5g(57mmol、1.20当量)のビス(ピナコラト)ジボラン[CAS73183-34-3]が、450mlの乾燥ジオキサン[CAS123-91-1]中に溶解され、混合物は30分間脱気される。引き続き、10.2g(105mmol、2.20当量)の酢酸カリウム[CAS127-08-2]および1.76g(2.38mmol、5mol%)のtrans-ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(II)錯体[CAS29934-17-6]が加えられ、混合物は、一晩90℃に加熱される。反応終了後、混合物は300mlのトルエン[CAS108-88-3]で希釈され、水で抽出される。溶媒はロータリーエバポレーターで除去され、得られる固体は乾燥される。17.9gの生成物(37.1mmol、理論の78%)は、さらなる精製をすることなく、転化される。
【0206】
同様の方法で、以下の化合物を得ることができる:
【化46】
【0207】
e)10,10-ジメチル-1,8-ジアザテトラシクロ[7.7.0.02,7.011,16]ヘキサデカ-2,4,6,8,11(16),12,14-ヘプタン
【化47】
不活性雰囲気下、147g(774mmol、4.00当量)の塩化チタニウム(IV)[CAS7550-45-0]およびジクロロメタン[CAS75-09-2]が-40℃で最初に投入される。そして、387ml(2mol/l、774mmol、4.00当量)のジメチル亜鉛溶液[CAS544-97-8]が、-35℃の温度を超えないような速度で加えられる。続いて、42.6g(193.6mmol、1.00当量)の4b,9-ジアザインデノ[1,2-a]インデン-10-ワンが加えられる。得られる溶液は、室温でゆっくりと温められ、エタノールおよび続いて水の添加によってクエンチされる。相分離され、有機相は固体に濃縮される。粗生成物はヘプタン[CAS142-82-5]および酢酸エチル[CAS141-78-6]の混合物から繰り返し再結晶化される。5.03g(21.3mmol、理論の11%)の生成物が得られる。
【0208】
f)5-ブロモ-10,10-ジメチル-1,8-ジアザテトラシクロ[7.7.0.02,7.011,16]ヘキサデカ-2,4,6,8,11(16),12,14-ヘプタン
【化48】
保護ガス下、4.83g(20.6mmol、1.00当量)の3-[3’-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル]-9-(トリフェニレン-2-イル)-9H-カルバゾールが、30mlの乾燥DMF[CAS68-12-2]中に懸濁され、0℃に冷却される。そして、4.03g(22.7mmol、1.1当量)のNBS[CAS128-08-5]が加えられ、反応混合物は16時間撹拌され、その間、室温に温められる。反応は、150mlの水の添加により、終わり、30分間撹拌される。ろ過および乾燥後、5.48g(17.5mmol;理論の85%)の生成物が得られうる。
【0209】
g)N-(9,9-ジメチルフルオレン-4-イル)-N-(4-フェニルフェニル)スピロ[フルオレン-9,11’-インドロ[1,2-a]ベンゾイミダゾール]-2-アミン
【化49】
200mlのトルエン[CAS108-88-3]中の最初に投入の15.2g(38.9mmol;1.00当量)の2-クロロスピロ[フルオレン-9,11’-インドロ[1,2-a]ベンゾイミダゾール]、14.5g(39.3mmol;1.01当量)のビフェニル-4-イル-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-4-イル)アミン[CAS1421789-16-3]および4.96g(42.7mmol;1.10当量)のナトリウムtert-ペントキシド[CAS14593-46-5]が、アルゴンスチーム中で30分間不活性化される。そして、479mg(1.17mmol;3mol%)のジシクロヘキシル-(2’,6’-ジメトキシビフェニル-2-イル)ホスフィン(SPhos)[CAS657408-07-6]、262mg(1.17mmol;3mol%)の酢酸パラジウム[CAS3375-31-3]が加えられ、混合物は18時間加熱還流される。転化の完了および室温への冷却後、500mlの水が反応物に加えられる。相分離およびトルエン[CAS108-88-3]を用いて水相を抽出後、集められた有機相は濃縮され、ヘプタンが加えられる。析出固体は、分離される。ソックスレー抽出、再結晶化および真空蒸着による精製によって、望まれる生成物が得られる(6.63g;9.26mmol;理論の24%)。
【0210】
同様の方法で、以下の化合物を得ることができる:
【化50-1】
【化50-2】
【0211】
h)2-[9-フェニル-6-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)カルバゾール-3-イル]スピロ[フルオレン-9,11’-インドロ[1,2-a]ベンゾイミダゾール]
【化51】
6.36g(16.3mmol;1,00当量)の2-クロロスピロ[フルオレン-9,11’-インドロ[1,2-a]ベンゾイミダゾール]、11.4g(18.7mmol;1.15当量)の9,9’-ジフェニル-6-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-9H,9’H-[3,3’]ビスカルバゾリル[CAS1572537-61-1]および7.49g(32.5mmol;2.00当量)のリン酸三カリウム[CAS14593-46-5]が、210mlのトルエン[CAS108-88-3]および20mlの水中で懸濁される。この懸濁液に、334mg(814μmol;5mol%)のジシクロヘキシル-(2’,6’-ジメトキシビフェニル-2-イル)ホスフィン(SPhos)[CAS657408-07-6]、183mg(814μmol;5mol%)の酢酸パラジウム[CAS3375-31-3]が加えられ、反応混合物は、還流下で16時間加熱される。冷却後、有機相は除去され、シリカゲルを通してろ過され、150mlの水で3回洗浄され、そして、乾燥濃縮される。残留物は、トルエンで再結晶化され、最終的に、高真空下で昇華される。残留物は、トルエンから再結晶化され、最終的に高真空下で昇華される。生成量は、4.70g(5.60mmol、理論の34%)である。
【0212】
同様の方法で、以下の化合物を得ることができる:
【化52-1】
【化52-2】
【0213】
i)2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)スピロ[フルオレン-9,11’-インドロ[1,2-a]ベンゾイミダゾール]
【化53】
10.8g(22.4mmol;1,20当量)の2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)スピロ[フルオレン-9,11’-インドロ[1,2-a]ベンゾイミダゾール]、5.00g(18.7mmol;1.00当量)の2-クロロ-4,6-ジフェニル-[1,3,5]トリアジンおよび8.58g(39.2mmol;2.10当量)のリン酸三カリウム[CAS14593-46-5]が、45mlのトルエン[CAS108-88-3]、45mlのジオキサン[CAS123-91-1]および45mlの水中で懸濁される。この懸濁液に、383mg(934μmol;5mol%)のジシクロヘキシル-(2’,6’-ジメトキシビフェニル-2-イル)ホスフィン(SPhos)[CAS657408-07-6]、210mg(934μmol;5mol%)の酢酸パラジウム[CAS3375-31-3]が加えられ、反応混合物は還流下で16時間加熱される。冷却後、有機相は除去され、シリカゲルを通してろ過され、500mlの水で3回洗浄され、そして乾燥濃縮される。残留物は、トルエン[CAS108-88-3]から再結晶化され、そして最終的に高真空下で昇華される。生成量は、5.32g(9.05mmol、理論の48%)である。
【0214】
同様の方法で、以下の化合物を得ることができる:
【化54-1】
【化54-2】
【0215】
OLEDの製造
以下(表1参照)の例I1~I12は、OLED中の本発明の材料の使用を示す。
【0216】
膜厚50nmの構造化ITO(インジウムスズ酸化物)で被覆された例I1~I12のカラス基板の前処理は、塗布前に酸素プラズマを用いて処理され、つづいてアルゴンプラズマで処理される。これらのプラズマ処理されたガラス基板は、OLEDが適用される基板を形成する。
【0217】
OLEDは、基本的に以下の層構造を有する:基板/正孔注入層(HIL)/正孔輸送層(HTL)/電子ブロック層(EBL)/発光層(EML)/任意の正孔ブロック層(HBL)/電子輸送層(ETL)/所望により電子注入層(EIL)および最後にカソード。カソードは、厚さ100nmのアルミニウム層で形成される。OLEDの正確な構造は、表1に見出すことができる。OLEDの製造に必要とされる材料を表2に示す。OLEDのデータは表3に示される。
【0218】
全ての材料は真空チャンバ内での熱蒸着により適用される。このケースにおいて、発光層は、常に、少なくとも1つのマトリックス材料(ホスト材料)と、同時蒸着によりマトリックス材料(単数もしくは複数)に特定の体積割合で混合される発光ドーパント(発光体)とからなる。EG1:IC2:TEG1(49%:44%:7%)のような形で示される詳細は、ここでは、材料EG1が当該層中に49%の体積割合で存在し、IC2が当該層中に44%の割合で存在し、さらにTEG1が当該層中に7%の割合で存在していることを意味する。同様に、電子輸送層も2つの材料の混合物からなっていてもよい。
【0219】
OLEDは、標準的な方法によって特徴づけられる。この目的のために、エレクトロルミネッセンススペクトル、電流効率(CE、cd/Aで測定)、および外部量子効率(EQE、%で測定)は、ルミナンス関数として決定され、寿命のように、ランベルト発光特性を仮定して電流-電圧-ルミナンス特性から計算される。エレクトロルミネッセンススペクトルは、光束密度1000cd/mで測定され、CIE1931xおよびy色座標はそれから計算される。表3での表現U1000は、光束密度1000cd/mに対して必要とされる電圧を示す。CE1000およびEQE1000は、それぞれ1000cd/mで得られる電流効率および外部量子効率を示す。寿命LTは、定電流での駆動時に光束密度が初期光束密度から一定の割合L1に低下するまでの時間として定義される。表3での数値L1=80%の数値は、LT欄に報告される寿命が、光束密度が開始時の80%にに低下する時間に対応することを意味する。
【0220】
電子輸送材料として本発明の化合物の使用
本発明の材料は、OLEDの電子輸送層(ETL)において使用されうる。本発明の化合物EG1は、蛍光発光青色OLED中の電子輸送材量として例I1、I2、I5およびI6で使用されうる。さらに、本発明の材料は、続いて、正孔ブロック層(HBL)中に使用されうる。これは、実験I3、I4、I7およびI8に示される。
【0221】
燐光発光OLEDにおけるマトリックス材料としての本発明の化合物の使用
本発明の材料は、燐光発光(例えば緑色)OLED中の発光層中で使用されうる。本発明の化合物EG1~EG4は、発光層中でマトリックス材料として例I9~I12で使用されうる。
【表1】
【表2-1】
【表2-2】
【表3】
【0222】
耐熱性
本発明の化合物EG1は、文献の化合物ST3との比較によって、耐熱性において顕著な増加を示す。この耐熱性は、両材料を真空ガラスアンプル中で350℃7日間熱処理されることにより、決定される。純度の分析的な決定(HPLC)は、以下の結果を示す:
【表4】