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  • 特許-動物用排泄物処理材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-02
(45)【発行日】2025-04-10
(54)【発明の名称】動物用排泄物処理材
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/015 20060101AFI20250403BHJP
【FI】
A01K1/015 B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2024133186
(22)【出願日】2024-08-08
(62)【分割の表示】P 2024131270の分割
【原出願日】2024-08-07
【審査請求日】2024-08-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 健治
(72)【発明者】
【氏名】秋野 泰洋
(72)【発明者】
【氏名】山本 泰生
【審査官】小林 直暉
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-079622(JP,A)
【文献】特開2019-180332(JP,A)
【文献】国際公開第2022/123989(WO,A1)
【文献】特開2003-180182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主成分としての80質量%以上の植物由来材料、撥水剤と、結合樹脂を含み、
吸水試験において、7.0%以下の膨張率を有する、
ことを特徴とする、動物用排泄物処理材。
【請求項2】
主成分としての植物由来材料0.5~5.0質量%の撥水剤と、結合樹脂を含み、
吸水試験において、7.0%以下の膨張率を有する、
ことを特徴とする、動物用排泄物処理材。
【請求項3】
前記吸水試験において、6.0%以下の膨張率を有する、請求項1又は2に記載の動物用排泄物処理材。
【請求項4】
前記吸水試験において、98.0質量%以上の維持率を有する、請求項1又は2に記載の動物用排泄物処理材。
【請求項5】
前記結合樹脂を0.5~20質量%含む、請求項1又は2に記載の動物用排泄物処理材。
【請求項6】
0.5~10.0質量%の澱粉をさらに含む、請求項1又は2に記載の動物用排泄物処理材。
【請求項7】
非水溶性無機物を含まない、請求項1又は2に記載の動物用排泄物処理材。
【請求項8】
吸水後崩壊試験において、0.6質量%以下の吸水後崩壊率を有する、請求項1又は2に記載の動物用排泄物処理材。
【請求項9】
強度比試験において、27%以上の強度比を有する、請求項1又は2に記載の動物用排泄物処理材。
【請求項10】
前記強度比試験において、38N以上の吸水後強度を有する、請求項に記載の動物用排泄物処理材。
【請求項11】
前記強度比試験において、90N以上の吸水前強度を有する、請求項に記載の動物用排泄物処理材。
【請求項12】
600g/L以下の嵩比重を有する、請求項1又は2に記載の動物用排泄物処理材。
【請求項13】
吸水前崩壊試験において、0.053質量%以下の吸水前崩壊率を有する、請求項1又は2に記載の動物用排泄物処理材。
【請求項14】
リウェット試験において、0.15g以下のリウェット量を有する、請求項1又は2に記載の動物用排泄物処理材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、動物用排泄物処理材に関する。
【背景技術】
【0002】
動物用排泄物処理材に関する研究が行われている。
例えば、特許文献1には、植物由来の素材の粉砕物を70~97重量%、及び合成樹脂を3~30重量%含み、所定形状に成形された成形物からなり、吸水しても崩壊しない程度の十分な保形性を有するペット用排泄物処理材が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、植物由来の素材の粉砕物を主構成基材としたペット用排泄物処理材であって、所定の吸水率測定法にて測定した吸水率が1回目よりも3回目が大きく、3回目の吸水率が3~30質量%であり、かつ1回目測定前の比重が0.8~1.2であるペット用排泄物処理材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-84909号公報
【文献】特開2006-204249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び特許文献2には、本開示に係る動物用排泄物処理材は開示されていない。
従って、本開示は、長時間使用した場合であっても、排泄物を吸収しにくく、排泄物による着色、膨張、ひび割れ等の外観の変化が少ない動物用排泄物処理材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示者らは、主成分としての植物由来材料と、結合樹脂と、撥水剤と、を含むことを特徴とする、動物用排泄物処理材を見出した。
【発明の効果】
【0007】
上記動物用排泄物処理材は、長時間使用した場合であっても、排泄物を吸収しにくく、排泄物による着色、膨張、ひび割れ等の外観の変化が少ない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に従う動物用排泄物処理材3の使い方の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
具体的には、本開示は以下の第A群~第E群に関する。
第A群に係る開示は、以下の態様を含む。
<第A群>
[態様A1]
主成分としての植物由来材料と、結合樹脂と、撥水剤と、
を含むことを特徴とする、動物用排泄物処理材。
【0010】
一般的に、植物由来材料を主成分とする動物用排泄物処理材は、植物由来材料の性質に起因して、使用に伴い、動物の排泄物を吸収して膨張し、排泄物による着色、膨張、ひび割れ等の外観が変化し、見た目の嫌悪感を覚えやすい傾向がある。
【0011】
上記動物用排泄物処理材は、植物由来材料を主成分とするとともに、結合樹脂と、撥水剤とを含む。従って、上記動物用排泄物処理材を長時間使用した場合であっても、上記動物用排泄物処理材が排泄物を吸収して膨張しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。その結果、使用者は、上記動物用排泄物処理材に嫌悪感を覚えにくくなる。また、上記動物用排泄物処理材が排泄物に接する前においては、運送時、保管時等に圧力が加わっても、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなる。
【0012】
[態様A2]
上記植物由来材料を80質量%以上含む、態様A1に記載の動物用排泄物処理材。
【0013】
上記動物用排泄物処理材は、植物由来材料を所定の量含むことから、上記動物用排泄物処理材を環境に配慮したものとすることができるとともに、持続可能な開発目標(SDGs)の達成により貢献することができる。また、上記動物用排泄物処理材は、植物由来材料を所定の量含むことから、自治体のルールにもよるが、使用済みの動物用排泄物処理材を可燃ごみとして廃棄しやすくなる傾向にある。
上記植物由来材料が木本由来材料を含む場合には、上記動物用排泄物処理材は、木本由来材料に含まれる天然精油を一定量含むことから、上記動物用排泄物処理材は、消臭性、殺菌性等に優れる。
【0014】
[態様A3]
上記結合樹脂を0.5~20質量%含む、態様A1又はA2に記載の動物用排泄物処理材。
上記動物用排泄物処理材は上記結合樹脂を所定の量含むことから、上記動物用排泄物処理材を長時間使用した場合であっても、上記動物用排泄物処理材が排泄物を吸収して膨張しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。その結果、使用者は、上記動物用排泄物処理材に嫌悪感を覚えにくくなる。また、上記動物用排泄物処理材が排泄物に接する前においては、運送時、保管時等に圧力が加わっても、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなる。
【0015】
[態様A4]
上記撥水剤を0.5~3.5質量%含む、態様A1~A3のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
上記動物用排泄物処理材は上記撥水剤を所定の量含むことから、上記動物用排泄物処理材を長時間使用した場合であっても、上記動物用排泄物処理材が排泄物を吸収して膨張しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。その結果、使用者は、上記動物用排泄物処理材に嫌悪感を覚えにくくなる。また、上記動物用排泄物処理材が排泄物に接する前においては、運送時、保管時等に圧力が加わっても、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなる。
【0016】
[態様A5]
0.5~10.0質量%の澱粉をさらに含む、態様A1~A4のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0017】
上記動物用排泄物処理材は、所定の比率の澱粉をさらに含むことから、動物用排泄物処理材が排泄物を吸収する前の動物用排泄物処理材の強度を上げることができる。その結果、上記動物用排泄物処理材に動物の体圧が加わった場合に、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。
【0018】
一般に、動物用排泄物処理材が澱粉を多量に含むと、動物用排泄物処理材の使用に伴い、澱粉に由来して動物用排泄物処理材に腐敗(例えば、カビ)が生ずる可能性が高くなる。
上記動物用排泄物処理材は、澱粉を所定量含むことから、動物用排泄物処理材の使用に伴い、動物用排泄物処理材に腐敗が生じにくい。
【0019】
[態様A6]
非水溶性無機物を含まない、態様A1~A5のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0020】
一般的に、動物用排泄物処理材は、非水溶性無機物を含むことが多い。動物用排泄物処理材に非水溶性無機物を含ませることにより、動物用排泄物処理材に耐水性を付与することができる。
上記動物用排泄物処理材は非水溶性無機物を含まないことから、非水溶性無機物を含む場合と比較して、嵩比重を下げることができるとともに、上記動物用排泄物処理材の表面の粉立ちを抑制することができる。また、表面の粉立ちを抑制することにより、上記動物用排泄物処理材が排泄物を吸収して膨張しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。
【0021】
[態様A7]
吸水試験において、7.0%以下の膨張率を有する、態様A1~A6のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0022】
上記動物用排泄物処理材は所定の膨張率を有することから、上記動物用排泄物処理材を長時間使用した場合であっても、上記動物用排泄物処理材が排泄物を吸収して膨張しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。その結果、使用者は、上記動物用排泄物処理材に嫌悪感を覚えにくくなる。
【0023】
[態様A8]
吸水試験において、66質量%以下の吸水率を有する、態様A1~A7のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0024】
上記動物用排泄物処理材は所定の吸水率を有することから、上記動物用排泄物処理材を長時間使用した場合であっても、上記動物用排泄物処理材が排泄物を吸収しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観の変化が少なくなる。その結果、使用者は、上記動物用排泄物処理材に嫌悪感を覚えにくくなる。
【0025】
[態様A9]
吸水後崩壊試験において、0.6質量%以下の吸水後崩壊率を有する、態様A1~A8のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0026】
上記動物用排泄物処理材は、吸水後崩壊試験において、所定の吸水後崩壊率を有する。従って、上記動物用排泄物処理材は、上記動物用排泄物処理材の使用に伴い、動物用排泄物処理材から粉塵が生じにくい。その結果、上記動物用排泄物処理材を使用する際に、動物用排泄物処理材を保持する容器、例えば、システムトイレを汚しにくくなる。
【0027】
[態様A10]
強度比試験において、27%以上の強度比を有する、態様A1~A9のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0028】
上記動物用排泄物処理材は、強度比試験において、所定の強度比を有する。従って、動物用排泄物処理材が排泄物を吸収した後、上記動物用排泄物処理材に動物の体圧が加わった場合に、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。
【0029】
[態様A11]
上記強度比試験において、38N以上の吸水後強度を有する、態様A10に記載の動物用排泄物処理材。
【0030】
上記動物用排泄物処理材は、所定の吸水後強度を有する。従って、動物用排泄物処理材の使用開始後、具体的には、動物用排泄物処理材が排泄物を吸収した後、上記動物用排泄物処理材に動物の体圧が加わった場合に、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。
【0031】
[態様A12]
上記強度比試験において、90N以上の吸水前強度を有する、態様A10又はA11に記載の動物用排泄物処理材。
【0032】
上記動物用排泄物処理材は、所定の吸水前強度を有する。従って、動物用排泄物処理材の使用前、例えば、上記動物用排泄物処理材の搬送時、保管時等に、上記動物用排泄物処理材に圧力が加わった場合に、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。
【0033】
[態様A13]
600g/L以下の嵩比重を有する、態様A1~A12のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0034】
上記動物用排泄物処理材は、所定の嵩比重を有する。従って、上記動物用排泄物処理材は、使用前(例えば、搬送時)及び使用後(例えば、交換時、廃棄時等)において、動物用排泄物処理材を移動する際の負荷が軽減されるとともに、持続可能な開発目標(SDGs)の達成により貢献することができる。
【0035】
[態様A14]
吸水前崩壊試験において、0.053質量%以下の吸水前崩壊率を有する、態様A1~A13のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
上記動物用排泄物処理材では、排泄物に接する前において、運送時、保管時等に圧力が加わっても、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなる。
【0036】
[態様A15]
リウェット試験において、0.15g以下のリウェット量を有する、態様A1~A14のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0037】
上記動物用排泄物処理材は、所定のリウェット量を有する。従って、動物が排泄した後、排泄物が動物の脚に付着しにくくなり、その結果、トイレ及びその周辺、例えば、室内を排泄物で汚染しにくくなる。
【0038】
<第B群>
第B群に係る開示は、長時間使用した場合であっても、排泄物を吸収して膨張しにくく、外観が変化しにくい動物用排泄物処理材を提供することを目的とする。
第B群に係る開示では、上記動物用排泄物処理材は、長時間使用した場合であっても、排泄物を吸収して膨張しにくく、外観が変化しにくい効果を有する。
【0039】
[態様B1]
植物由来材料を主成分とするとともに、結合樹脂を含み、
吸水試験において、7.0%以下の膨張率を有する、
ことを特徴とする、動物用排泄物処理材。
【0040】
一般的に、植物由来材料を主成分とする動物用排泄物処理材は、植物由来材料の性質に起因して、使用に伴い、動物の排泄物を吸収して膨張し、排泄物による着色、膨張、ひび割れ等の外観が変化し、見た目の嫌悪感を覚えやすい傾向がある。
上記動物用排泄物処理材は、植物由来材料を主成分とするとともに、結合樹脂を含み、所定の膨張率を有する。従って、上記動物用排泄物処理材を長時間使用した場合であっても、上記動物用排泄物処理材が排泄物を吸収して膨張しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。その結果、使用者は、上記動物用排泄物処理材に嫌悪感を覚えにくくなる。また、上記動物用排泄物処理材が排泄物に接する前においては、運送時、保管時等に圧力が加わっても、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなる。
【0041】
[態様B2]
上記吸水試験において、6.0%以下の膨張率を有する、態様B1に記載の動物用排泄物処理材。
【0042】
上記動物用排泄物処理材は所定の膨張率を有することから、上記動物用排泄物処理材を長時間使用した場合であっても、上記動物用排泄物処理材が排泄物を吸収して膨張しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。その結果、使用者は、上記動物用排泄物処理材に嫌悪感を覚えにくくなる。
【0043】
[態様B3]
上記吸水試験において、98.0質量%以上の維持率を有する、態様B1又はB2に記載の動物用排泄物処理材。
【0044】
上記動物用排泄物処理材は所定の維持率を有することから、上記動物用排泄物処理材を長時間使用し、上記動物用排泄物処理材に動物の排せつ物が滞留した場合であっても、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなり、動物用排泄物処理材から粉塵が生じにくくなる。その結果、上記動物用排泄物処理材を使用する際に、動物用排泄物処理材を保持する容器、例えば、システムトイレを汚しにくくなる。
【0045】
[態様B4]
上記植物由来材料を80質量%以上含む、態様B1~B3のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0046】
上記動物用排泄物処理材は、植物由来材料を所定の量含むことから、上記動物用排泄物処理材を環境に配慮したものとすることができるとともに、持続可能な開発目標(SDGs)の達成により貢献することができる。また、上記動物用排泄物処理材は、植物由来材料を所定の量含むことから、自治体のルールにもよるが、使用済みの動物用排泄物処理材を可燃ごみとして廃棄しやすくなる傾向にある。
上記植物由来材料が木本由来材料を含む場合には、上記動物用排泄物処理材は、木本由来材料に含まれる天然精油を一定量含むことから、上記動物用排泄物処理材は、消臭性、殺菌性等に優れる。
【0047】
[態様B5]
上記結合樹脂を0.5~20質量%含む、態様B1~B4のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
上記動物用排泄物処理材は、結合樹脂を所定の比率で含むことから、上記動物用排泄物処理材を環境に配慮したものとすることができるとともに、持続可能な開発目標(SDGs)の達成により貢献することができる。また、上記動物用排泄物処理材が排泄物に接する前においては、運送時、保管時等に圧力が加わっても、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなる。
【0048】
[態様B6]
0.5~3.5質量%の撥水剤をさらに含む、態様B1~B5のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0049】
上記動物用排泄物処理材は、所定の比率の撥水材をさらに含むことから、動物用排泄物処理材の強度と、撥水性とのバランスを取ることができる。その結果、上記動物用排泄物処理材を長時間使用した場合であっても、上記動物用排泄物処理材が排泄物を吸収して膨張しにくくなるとともに、動物の体圧が加わった場合でも、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。その結果、使用者は、上記動物用排泄物処理材に嫌悪感を覚えにくくなる。また、上記動物用排泄物処理材が排泄物に接する前においては、運送時、保管時等に圧力が加わっても、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなる。
【0050】
[態様B7]
0.5~10.0質量%の澱粉をさらに含む、態様B1~B6のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0051】
上記動物用排泄物処理材は、所定の比率の澱粉をさらに含むことから、動物用排泄物処理材が排泄物を吸収する前の動物用排泄物処理材の強度を上げることができる。その結果、上記動物用排泄物処理材に動物の体圧が加わった場合に、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。
【0052】
一般に、動物用排泄物処理材が澱粉を多量に含むと、動物用排泄物処理材の使用に伴い、澱粉に由来して動物用排泄物処理材に腐敗(例えば、カビ)が生ずる可能性が高くなる。
上記動物用排泄物処理材は、澱粉を所定量含むことから、動物用排泄物処理材の使用に伴い、動物用排泄物処理材に腐敗が生じにくい。
【0053】
[態様B8]
非水溶性無機物を含まない、態様B1~B7のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0054】
一般的に、動物用排泄物処理材は、非水溶性無機物を含むことが多い。動物用排泄物処理材に非水溶性無機物を含ませることにより、動物用排泄物処理材に耐水性を付与することができる。
上記動物用排泄物処理材は非水溶性無機物を含まないことから、非水溶性無機物を含む場合と比較して、嵩比重を下げることができるとともに、上記動物用排泄物処理材の表面の粉立ちを抑制することができる。また、表面の粉立ちを抑制することにより、上記動物用排泄物処理材が排泄物を吸収して膨張しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。
【0055】
一般に、動物用排泄物処理材を押出成型により製造する場合において、上記植物由来材料が木本由来材料を含み且つ動物用排泄物処理材が非水溶性無機物を含むときには、押出成形時の圧力を高くする必要があり、それに伴い押出成形時の温度が高くなり、木本由来材料に含まれる精油が揮発し、精油による消臭性、殺菌性等を損なう恐れがある。
上記上記動物用排泄物処理材は非水溶性無機物を含まないことから、押出成形により製造される場合且つ上記植物由来材料が木本由来材料を含む場合には、木本由来材料に含まれる精油による効果、すなわち、消臭性、殺菌性等を発揮することができる。
【0056】
[態様B9]
吸水後崩壊試験において、0.6質量%以下の吸水後崩壊率を有する、態様B1~B8のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0057】
上記動物用排泄物処理材は、吸水後崩壊試験において、所定の吸水後崩壊率を有する。従って、上記動物用排泄物処理材は、上記動物用排泄物処理材の使用に伴い、動物用排泄物処理材から粉塵が生じにくい。その結果、上記動物用排泄物処理材を使用する際に、動物用排泄物処理材を保持する容器、例えば、システムトイレを汚しにくくなる。
【0058】
[態様B10]
強度比試験において、27%以上の強度比を有する、態様B1~B9のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0059】
上記動物用排泄物処理材は、強度比試験において、所定の強度比を有する。従って、動物用排泄物処理材が排泄物を吸収した後、上記動物用排泄物処理材に動物の体圧が加わった場合に、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。
【0060】
[態様B11]
上記強度比試験において、38N以上の吸水後強度を有する、態様B10に記載の動物用排泄物処理材。
【0061】
上記動物用排泄物処理材は、所定の吸水後強度を有する。従って、動物用排泄物処理材の使用開始後、具体的には、動物用排泄物処理材が排泄物を吸収した後、上記動物用排泄物処理材に動物の体圧が加わった場合に、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。
【0062】
[態様B12]
上記強度比試験において、90N以上の吸水前強度を有する、態様B10又はB11に記載の動物用排泄物処理材。
【0063】
上記動物用排泄物処理材は、所定の吸水前強度を有する。従って、動物用排泄物処理材の使用前、例えば、上記動物用排泄物処理材の搬送時、保管時等に、上記動物用排泄物処理材に圧力が加わった場合に、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。
【0064】
[態様B13]
600g/L以下の嵩比重を有する、態様B1~B12のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0065】
上記動物用排泄物処理材は、所定の嵩比重を有する。従って、上記動物用排泄物処理材は、使用前(例えば、搬送時)及び使用後(例えば、交換時、廃棄時等)において、動物用排泄物処理材を移動する際の負荷が軽減されるとともに、持続可能な開発目標(SDGs)の達成により貢献することができる。
【0066】
[態様B14]
吸水前崩壊試験において、0.053質量%以下の吸水前崩壊率を有する、態様B1~B13のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
上記動物用排泄物処理材では、排泄物に接する前において、運送時、保管時等に圧力が加わっても、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなる。
【0067】
[態様B15]
リウェット試験において、0.15g以下のリウェット量を有する、態様B1~B14のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0068】
上記動物用排泄物処理材は、所定のリウェット量を有する。従って、動物が排泄した後、排泄物が動物の脚に付着しにくくなり、その結果、トイレ及びその周辺、例えば、室内を排泄物で汚染しにくくなる。
【0069】
<第C群>
第C群に係る開示は、長時間使用した場合であっても、排泄物を吸収しにくく、動物用排泄物処理材の外観の変化が少ない動物用排泄物処理材を提供することを目的とする。
第C群に係る開示では、上記動物用排泄物処理材は、長時間使用した場合であっても、排泄物を吸収しにくく、上記動物用排泄物処理材の外観の変化が少ない、効果を有する。
【0070】
第C群に係る開示は、以下の態様を含む。
[態様C1]
植物由来材料を主成分とするとともに、撥水剤及び結合樹脂を含み、
吸水試験において、66質量%以下の吸水率を有する、
ことを特徴とする、動物用排泄物処理材。
【0071】
植物由来材料を主成分とする動物用排泄物処理材は、植物由来材料の性質に起因して、使用に伴い、動物の排せつ物を吸収して、排泄物による着色、膨張、ひび割れ等の外観が変化し、使用者が見た目の嫌悪感を覚えやすい傾向がある。
上記動物用排泄物処理材は、植物由来材料を主成分とするとともに、撥水剤及び結合樹脂を含み、所定の吸水率を有する。従って、上記動物用排泄物処理材を長時間使用した場合であっても、上記動物用排泄物処理材が排泄物を吸収しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観の変化が少なくなる。その結果、使用者は、上記動物用排泄物処理材に嫌悪感を覚えにくくなる。また、上記動物用排泄物処理材が排泄物に接する前においては、運送時、保管時等に圧力が加わっても、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなる。
【0072】
[態様C2]
上記吸水試験において、30質量%以下の吸水率を有する、態様C1に記載の動物用排泄物処理材。
【0073】
上記動物用排泄物処理材は所定の吸水率を有することから、上記動物用排泄物処理材を長時間使用した場合であっても、上記動物用排泄物処理材が排泄物を吸収しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観の変化が少なくなる。その結果、使用者は、上記動物用排泄物処理材に嫌悪感を覚えにくい。
【0074】
[態様C3]
上記動物用排泄物処理材は、以下の吸水率測定法にて測定した第2吸水率が1回目よりも3回目が大きく、3回目の第2吸水率が5.0質量%以下である、態様C1又はC2に記載の動物用排泄物処理材。
[第2吸水率の測定法]
予め40℃の恒温槽に2時間保管して乾燥させた動物用排泄物処理材を25℃の水中に3秒間浸漬し、浸漬前の動物用排泄物処理材質量:a(g)と、浸漬後の動物用排泄物処理材質量:b(g)との間で、次の式に従って吸水率を算定する。
2回目以降の測定は、各測定の直後に動物用排泄物処理材を40℃の恒温槽に2時間保管して乾燥させ、同様に25℃の水中に3秒間浸漬して次の式に従って吸水率を算定する。
第2吸水率(質量%)=100×[(b-a)/a]
【0075】
上記動物用排泄物処理材は所定の第2吸水率を有することから、上記動物用排泄物処理材を長時間使用した場合であっても、上記動物用排泄物処理材が排泄物を吸収しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観の変化が少なくなる。その結果、使用者は、上記動物用排泄物処理材に嫌悪感を覚えにくい。
【0076】
[態様C4]
上記植物由来材料を80質量%以上含む、態様C1~C3のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0077】
上記動物用排泄物処理材は、植物由来材料を所定の量含むことから、環境に配慮した動物用排泄物処理材とすることができるとともに、持続可能な開発目標(SDGs)の達成により貢献することができる。また、上記動物用排泄物処理材は、植物由来材料を所定の量含むことから、使用済みの動物用排泄物処理材は、自治体のルールにもよるが、可燃ごみとして廃棄しやすくなる傾向にある。
上記植物由来材料が木本由来材料を含む場合には、上記動物用排泄物処理材は、木本由来材料に含まれる天然精油を一定量含むことから、上記動物用排泄物処理材は、消臭性、殺菌性等に優れる。
【0078】
[態様C5]
上記結合樹脂を0.5~20質量%含む、態様C1~C4のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
上記動物用排泄物処理材は、結合樹脂を所定の量含むことから、環境に配慮した動物用排泄物処理材とすることができるとともに、持続可能な開発目標(SDGs)の達成により貢献することができる。また、上記動物用排泄物処理材が排泄物に接する前においては、運送時、保管時等に圧力が加わっても、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなる。
【0079】
[態様C6]
上記撥水剤を0.5~3.5質量%含む、態様C1~C5のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0080】
上記動物用排泄物処理材は、所定の量の撥水材をさらに含むことから、動物用排泄物処理材の強度と、撥水性とのバランスを取ることができる。その結果、上記動物用排泄物処理材を長時間使用した場合であっても、上記動物用排泄物処理材が排泄物を吸収しにくくなり、排泄物による着色、膨張、ひび割れ等の外観の変化が少なくなることに加え、動物の体圧が加わった場合でも崩壊しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観がより変化しにくくなる。その結果、使用者は、上記動物用排泄物処理材に嫌悪感を覚えにくくなる。また、上記動物用排泄物処理材が排泄物に接する前においては、運送時、保管時等に圧力が加わっても、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなる。
【0081】
[態様C7]
0.5~10.0質量%の澱粉をさらに含む、態様C1~C6のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0082】
上記動物用排泄物処理材は、所定量の澱粉をさらに含むことから、動物用排泄物処理材が排泄物を吸収する前の動物用排泄物処理材の強度を上げることができる。その結果、上記動物用排泄物処理材に動物の体圧が加わった場合に、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。
【0083】
一般に、動物用排泄物処理材が澱粉を多量に含むと、動物用排泄物処理材の使用に伴い、澱粉に由来して動物用排泄物処理材に腐敗(例えば、カビ)が生ずる可能性が高くなる。
上記動物用排泄物処理材は、澱粉を所定量含むことから、動物用排泄物処理材の使用に伴い、動物用排泄物処理材に腐敗が生じにくい。
【0084】
[態様C8]
非水溶性無機物を含まない、態様C1~C7のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0085】
一般的に、動物用排泄物処理材は、非水溶性無機物を含むことが多い。動物用排泄物処理材に非水溶性無機物を含ませることにより、動物用排泄物処理材に耐水性を付与することができる。
上記動物用排泄物処理材は非水溶性無機物を含まないことから、非水溶性無機物を含む場合と比較して、嵩比重を下げることができるとともに、上記動物用排泄物処理材の表面の粉立ちを抑制することができる。また、表面の粉立ちを抑制することにより、上記動物用排泄物処理材が排泄物を吸収して膨張しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。
【0086】
[態様C9]
吸水後崩壊試験において、0.6質量%以下の吸水後崩壊率を有する、態様C1~C8のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0087】
上記動物用排泄物処理材は、崩壊試験において、所定の吸水後崩壊率を有する。従って、上記動物用排泄物処理材は、上記動物用排泄物処理材の使用に伴い、動物用排泄物処理材から粉塵が生じにくい。その結果、上記動物用排泄物処理材を使用する際に、動物用排泄物処理材を保持する容器、例えば、システムトイレを汚しにくくなる。
【0088】
[態様C10]
強度比試験において、27%以上の強度比を有する、態様C1~C9のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0089】
上記動物用排泄物処理材は、強度比試験において、所定の強度比を有する。従って、動物用排泄物処理材が排泄物を吸収した後、上記動物用排泄物処理材に動物の体圧が加わった場合に、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。
【0090】
[態様C11]
上記強度比試験において、38N以上の吸水後強度を有する、態様C10に記載の動物用排泄物処理材。
【0091】
上記動物用排泄物処理材は、所定の吸水後強度を有する。従って、動物用排泄物処理材の使用開始後、具体的には、動物用排泄物処理材が排泄物を吸収した後、上記動物用排泄物処理材に動物の体圧が加わった場合に、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。
【0092】
[態様C12]
上記強度比試験において、90N以上の吸水前強度を有する、態様C10又はC11に記載の動物用排泄物処理材。
【0093】
上記動物用排泄物処理材は、所定の吸水前強度を有する。従って、動物用排泄物処理材の使用前、例えば、上記動物用排泄物処理材の搬送時、保管時等に、上記動物用排泄物処理材に圧力が加わった場合に、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。
【0094】
[態様C13]
600g/L以下の嵩比重を有する、態様C1~C12のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0095】
上記動物用排泄物処理材は、所定の嵩比重を有する。従って、上記動物用排泄物処理材は、使用前(例えば、搬送時)及び使用後(例えば、交換時、廃棄時等)において、動物用排泄物処理材を移動する際の負荷が軽減されるとともに、持続可能な開発目標(SDGs)の達成により貢献することができる。
【0096】
[態様C14]
吸水前崩壊試験において、0.053質量%以下の吸水前崩壊率を有する、態様C1~C13のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
上記動物用排泄物処理材では、排泄物に接する前において、運送時、保管時等に圧力が加わっても、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなる。
【0097】
[態様C15]
リウェット試験において、0.15g以下のリウェット量を有する、態様C1~C14のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0098】
上記動物用排泄物処理材は、所定のリウェット量を有する。従って、動物が排泄した後、排泄物が動物の脚に付着しにくくなり、その結果、トイレ及びその周辺、例えば、室内を排泄物で汚染しにくくなる。
【0099】
<第D群>
第D群に係る開示は、長時間使用した場合であっても、排泄物を吸収して膨張しにくく、外観が変化しにくい動物用排泄物処理材を提供することを目的とする。
第D群に係る開示では、上記動物用排泄物処理材は、長時間使用した場合であっても、排泄物を吸収して膨張しにくく、外観が変化しにくい効果を有する。
【0100】
第D群に係る開示は、以下の態様を含む。
[態様D1]
植物由来材料を主成分として含み、
吸水試験において、7.0%以下の膨張率を有する、
ことを特徴とする、動物用排泄物処理材。
【0101】
一般的に、植物由来材料を主成分とする動物用排泄物処理材は、植物由来材料の性質に起因して、使用に伴い、動物の排泄物を吸収して膨張し、排泄物による着色、膨張、ひび割れ等の外観が変化し、見た目の嫌悪感を覚えやすい傾向がある。
上記動物用排泄物処理材は、植物由来材料を主成分とするとともに、所定の膨張率を有する。従って、上記動物用排泄物処理材を長時間使用した場合であっても、上記動物用排泄物処理材が排泄物を吸収して膨張しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。その結果、使用者は、上記動物用排泄物処理材に嫌悪感を覚えにくくなる。
【0102】
[態様D2]
上記吸水試験において、6.0%以下の膨張率を有する、態様D1に記載の動物用排泄物処理材。
【0103】
上記動物用排泄物処理材は所定の膨張率を有することから、上記動物用排泄物処理材を長時間使用した場合であっても、上記動物用排泄物処理材が排泄物を吸収して膨張しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。その結果、使用者は、上記動物用排泄物処理材に嫌悪感を覚えにくくなる。
【0104】
[態様D3]
上記吸水試験において、98.0質量%以上の維持率を有する、態様D1又はD2に記載の動物用排泄物処理材。
上記動物用排泄物処理材は所定の維持率を有することから、上記動物用排泄物処理材を長時間使用し、上記動物用排泄物処理材に動物の排せつ物が滞留した場合であっても、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなり、動物用排泄物処理材から粉塵が生じにくくなる。その結果、上記動物用排泄物処理材を使用する際に、動物用排泄物処理材を保持する容器、例えば、システムトイレを汚しにくくなる。
【0105】
[態様D4]
上記植物由来材料を80質量%以上含む、態様D1~D3のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0106】
上記動物用排泄物処理材は、植物由来材料を所定の量含むことから、上記動物用排泄物処理材を環境に配慮したものとすることができるとともに、持続可能な開発目標(SDGs)の達成により貢献することができる。また、上記動物用排泄物処理材は、植物由来材料を所定の量含むことから、自治体のルールにもよるが、使用済みの動物用排泄物処理材を可燃ごみとして廃棄しやすくなる傾向にある。
上記植物由来材料が木本由来材料を含む場合には、上記動物用排泄物処理材は、木本由来材料に含まれる天然精油を一定量含むことから、上記動物用排泄物処理材は、消臭性、殺菌性等に優れる。
【0107】
[態様D5]
0.5~20質量%の結合樹脂をさらに含む、態様D1~D4のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
上記動物用排泄物処理材は、所定の比率の結合樹脂をさらに含むことから、上記動物用排泄物処理材を環境に配慮したものとすることができるとともに、持続可能な開発目標(SDGs)の達成により貢献することができる。また、上記動物用排泄物処理材が排泄物に接する前においては、運送時、保管時等に圧力が加わっても、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなる。
【0108】
[態様D6]
0.5~3.5質量%の撥水剤をさらに含む、態様D1~D5のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0109】
上記動物用排泄物処理材は、所定の比率の撥水材をさらに含むことから、動物用排泄物処理材の強度と、撥水性とのバランスを取ることができる。その結果、上記動物用排泄物処理材を長時間使用した場合であっても、上記動物用排泄物処理材が排泄物を吸収して膨張しにくくなるとともに、動物の体圧が加わった場合でも崩壊しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。その結果、使用者は、上記動物用排泄物処理材に嫌悪感を覚えにくくなる。また、上記動物用排泄物処理材が排泄物に接する前においては、運送時、保管時等に圧力が加わっても、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなる。
【0110】
[態様D7]
0.5~10.0質量%の澱粉をさらに含む、態様D1~D6のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0111】
上記動物用排泄物処理材は、所定の比率の澱粉をさらに含むことから、動物用排泄物処理材が排泄物を吸収する前の動物用排泄物処理材の強度を上げることができる。その結果、上記動物用排泄物処理材に動物の体圧が加わった場合に、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。
【0112】
一般に、動物用排泄物処理材が澱粉を多量に含むと、動物用排泄物処理材の使用に伴い、澱粉に由来して動物用排泄物処理材に腐敗(例えば、カビ)が生ずる可能性が高くなる。
上記動物用排泄物処理材は、澱粉を所定量含むことから、動物用排泄物処理材の使用に伴い、動物用排泄物処理材に腐敗が生じにくい。
【0113】
[態様D8]
非水溶性無機物を含まない、態様D1~D7のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0114】
一般的に、動物用排泄物処理材は、非水溶性無機物を含むことが多い。動物用排泄物処理材に非水溶性無機物を含ませることにより、動物用排泄物処理材に耐水性を付与することができる。
上記動物用排泄物処理材は非水溶性無機物を含まないことから、非水溶性無機物を含む場合と比較して、嵩比重を下げることができるとともに、上記動物用排泄物処理材の表面の粉立ちを抑制することができる。また、表面の粉立ちを抑制することにより、上記動物用排泄物処理材が排泄物を吸収して膨張しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。
【0115】
一般に、動物用排泄物処理材を押出成型により製造する場合において、上記植物由来材料が木本由来材料を含み且つ動物用排泄物処理材が非水溶性無機物を含むときには、押出成形時の圧力を高くする必要があり、それに伴い押出成形時の温度が高くなり、木本由来材料に含まれる精油が揮発し、精油による消臭性、殺菌性等を損なう恐れがある。
上記上記動物用排泄物処理材は非水溶性無機物を含まないことから、押出成形により製造される場合且つ上記植物由来材料が木本由来材料を含む場合には、木本由来材料に含まれる精油による効果、すなわち、消臭性、殺菌性等を発揮することができる。
【0116】
[態様D9]
吸水後崩壊試験において、0.6質量%以下の吸水後崩壊率を有する、態様D1~D8のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0117】
上記動物用排泄物処理材は、崩壊試験において、所定の吸水後崩壊率を有する。従って、上記動物用排泄物処理材は、上記動物用排泄物処理材の使用に伴い、動物用排泄物処理材から粉塵が生じにくい。その結果、上記動物用排泄物処理材を使用する際に、動物用排泄物処理材を保持する容器、例えば、システムトイレを汚しにくくなる。
【0118】
[態様D10]
強度比試験において、27%以上の強度比を有する、態様D1~D9のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0119】
上記動物用排泄物処理材は、強度比試験において、所定の強度比を有する。従って、動物用排泄物処理材が排泄物を吸収した後、上記動物用排泄物処理材に動物の体圧が加わった場合に、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。
【0120】
[態様D11]
上記強度比試験において、38N以上の吸水後強度を有する、態様D10に記載の動物用排泄物処理材。
【0121】
上記動物用排泄物処理材は、所定の吸水後強度を有する。従って、動物用排泄物処理材の使用開始後、具体的には、動物用排泄物処理材が排泄物を吸収した後、上記動物用排泄物処理材に動物の体圧が加わった場合に、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。
【0122】
[態様D12]
上記強度比試験において、90N以上の吸水前強度を有する、態様D10又はD11に記載の動物用排泄物処理材。
【0123】
上記動物用排泄物処理材は、所定の吸水前強度を有する。従って、動物用排泄物処理材の使用前、例えば、上記動物用排泄物処理材の搬送時、保管時等に、上記動物用排泄物処理材に圧力が加わった場合に、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。
【0124】
[態様D13]
600g/L以下の嵩比重を有する、態様D1~D12のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0125】
上記動物用排泄物処理材は、所定の嵩比重を有する。従って、上記動物用排泄物処理材は、使用前(例えば、搬送時)及び使用後(例えば、交換時、廃棄時等)において、動物用排泄物処理材を移動する際の負荷が軽減されるとともに、持続可能な開発目標(SDGs)の達成により貢献することができる。
【0126】
[態様D14]
吸水前崩壊試験において、0.053質量%以下の吸水前崩壊率を有する、態様D1~D13のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
上記動物用排泄物処理材では、排泄物に接する前において、運送時、保管時等に圧力が加わっても、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなる。
【0127】
[態様D15]
リウェット試験において、0.15g以下のリウェット量を有する、態様D1~D14のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0128】
上記動物用排泄物処理材は、所定のリウェット量を有する。従って、動物が排泄した後、排泄物が動物の脚に付着しにくくなり、その結果、トイレ及びその周辺、例えば、室内を排泄物で汚染しにくくなる。
【0129】
<第E群>
第E群に係る開示は、長時間使用した場合であっても、排泄物を吸収しにくく、排泄物による着色、膨張、ひび割れ等の外観の変化が少ない動物用排泄物処理材を提供することを目的とする。
第E群に係る開示では、上記動物用排泄物処理材は、長時間使用した場合であっても、排泄物を吸収しにくく、排泄物による着色、膨張、ひび割れ等の外観の変化が少ない、効果を有する。
【0130】
第E群に係る開示は、以下の態様を含む。
[態様E1]
植物由来材料を主成分として含み、
吸水試験において、38質量%以下の吸水率を有する、
ことを特徴とする、動物用排泄物処理材。
【0131】
植物由来材料を主成分とする動物用排泄物処理材は、植物由来材料の性質に起因して、使用に伴い、動物の排せつ物を吸収して、排泄物による着色、膨張、ひび割れ等の外観が変化し、使用者が見た目の嫌悪感を覚えやすい傾向がある。
上記動物用排泄物処理材は、植物由来材料を主成分とするとともに、所定の吸水率を有する。従って、上記動物用排泄物処理材を長時間使用した場合であっても、上記動物用排泄物処理材が排泄物を吸収しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観の変化が少なくなる。その結果、使用者は、上記動物用排泄物処理材に嫌悪感を覚えにくくなる。
【0132】
[態様E2]
上記吸水試験において、35質量%以下の吸水率を有する、態様E1に記載の動物用排泄物処理材。
【0133】
上記動物用排泄物処理材は所定の吸水率を有することから、上記動物用排泄物処理材を長時間使用した場合であっても、上記動物用排泄物処理材が排泄物を吸収しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観の変化が少なくなる。その結果、使用者は、上記動物用排泄物処理材に嫌悪感を覚えにくい。
【0134】
[態様E3]
上記動物用排泄物処理材は、以下の吸水率測定法にて測定した第2吸水率が1回目よりも3回目が大きく、3回目の第2吸水率が5.0質量%以下である、態様E1又はE2に記載の動物用排泄物処理材。
[第2吸水率の測定法]
予め40℃の恒温槽に2時間保管して乾燥させた動物用排泄物処理材を25℃の水中に3秒間浸漬し、浸漬前の動物用排泄物処理材質量:a(g)と、浸漬後の動物用排泄物処理材質量:b(g)との間で、次の式に従って吸水率を算定する。
2回目以降の測定は、各測定の直後に動物用排泄物処理材を40℃の恒温槽に2時間保管して乾燥させ、同様に25℃の水中に3秒間浸漬して次の式に従って吸水率を算定する。
第2吸水率(質量%)=100×[(b-a)/a]
【0135】
上記動物用排泄物処理材は所定の第2吸水率を有することから、上記動物用排泄物処理材を長時間使用した場合であっても、上記動物用排泄物処理材が排泄物を吸収しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観の変化が少なくなる。その結果、使用者は、上記動物用排泄物処理材に嫌悪感を覚えにくい。
【0136】
[態様E4]
上記植物由来材料を80質量%以上含む、態様E1~E3のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0137】
上記動物用排泄物処理材は、植物由来材料を所定の量含むことから、環境に配慮した動物用排泄物処理材とすることができるとともに、持続可能な開発目標(SDGs)の達成により貢献することができる。また、上記動物用排泄物処理材は、植物由来材料を所定の量含むことから、使用済みの動物用排泄物処理材は、自治体のルールにもよるが、可燃ごみとして廃棄しやすくなる傾向にある。
上記植物由来材料が木本由来材料を含む場合には、上記動物用排泄物処理材は、木本由来材料に含まれる天然精油を一定量含むことから、上記動物用排泄物処理材は、消臭性、殺菌性等に優れる。
【0138】
[態様E5]
0.5~20質量%の結合樹脂をさらに含む、態様E1~E4のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
上記動物用排泄物処理材は、所定の量の結合樹脂をさらに含むことから、環境に配慮した動物用排泄物処理材とすることができるとともに、持続可能な開発目標(SDGs)の達成により貢献することができる。また、上記動物用排泄物処理材が排泄物に接する前においては、運送時、保管時等に圧力が加わっても、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなる。
【0139】
[態様E6]
0.5~3.5質量%の撥水剤をさらに含む、態様E1~E5のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0140】
上記動物用排泄物処理材は、所定の量の撥水材をさらに含むことから、動物用排泄物処理材の強度と、撥水性とのバランスを取ることができる。その結果、上記動物用排泄物処理材を長時間使用した場合であっても、上記動物用排泄物処理材が排泄物を吸収しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観の変化が少なくなるとともに、動物の体圧が加わった場合でも崩壊しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。その結果、使用者は、上記動物用排泄物処理材に嫌悪感を覚えにくくなる。また、上記動物用排泄物処理材が排泄物に接する前においては、運送時、保管時等に圧力が加わっても、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなる。
【0141】
[態様E7]
0.5~10.0質量%の澱粉をさらに含む、態様E1~E6のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0142】
上記動物用排泄物処理材は、所定量の澱粉をさらに含むことから、動物用排泄物処理材が排泄物を吸収する前の動物用排泄物処理材の強度を上げることができる。その結果、上記動物用排泄物処理材に動物の体圧が加わった場合に、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。
【0143】
一般に、動物用排泄物処理材が澱粉を多量に含むと、動物用排泄物処理材の使用に伴い、澱粉に由来して動物用排泄物処理材に腐敗(例えば、カビ)が生ずる可能性が高くなる。
上記動物用排泄物処理材は、澱粉を所定量含むことから、動物用排泄物処理材の使用に伴い、動物用排泄物処理材に腐敗が生じにくい。
【0144】
[態様E8]
非水溶性無機物を含まない、態様E1~E7のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0145】
一般的に、動物用排泄物処理材は、非水溶性無機物を含むことが多い。動物用排泄物処理材に非水溶性無機物を含ませることにより、動物用排泄物処理材に耐水性を付与することができる。
上記動物用排泄物処理材は非水溶性無機物を含まないことから、非水溶性無機物を含む場合と比較して、嵩比重を下げることができるとともに、上記動物用排泄物処理材の表面の粉立ちを抑制することができる。また、表面の粉立ちを抑制することにより、上記動物用排泄物処理材が排泄物を吸収して膨張しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。
【0146】
[態様E9]
吸水後崩壊試験において、0.6質量%以下の吸水後崩壊率を有する、態様E1~E8のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0147】
上記動物用排泄物処理材は、崩壊試験において、所定の吸水後崩壊率を有する。従って、上記動物用排泄物処理材は、上記動物用排泄物処理材の使用に伴い、動物用排泄物処理材から粉塵が生じにくい。その結果、上記動物用排泄物処理材を使用する際に、動物用排泄物処理材を保持する容器、例えば、システムトイレを汚しにくくなる。
【0148】
[態様E10]
強度比試験において、27%以上の強度比を有する、態様E1~E9のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0149】
上記動物用排泄物処理材は、強度比試験において、所定の強度比を有する。従って、動物用排泄物処理材が排泄物を吸収した後、上記動物用排泄物処理材に動物の体圧が加わった場合に、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。
【0150】
[態様E11]
上記強度比試験において、38N以上の吸水後強度を有する、態様E10に記載の動物用排泄物処理材。
【0151】
上記動物用排泄物処理材は、所定の吸水後強度を有する。従って、動物用排泄物処理材の使用開始後、具体的には、動物用排泄物処理材が排泄物を吸収した後、上記動物用排泄物処理材に動物の体圧が加わった場合に、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。
【0152】
[態様E12]
上記強度比試験において、90N以上の吸水前強度を有する、態様E10又はE11に記載の動物用排泄物処理材。
【0153】
上記動物用排泄物処理材は、所定の吸水前強度を有する。従って、動物用排泄物処理材の使用前、例えば、上記動物用排泄物処理材の搬送時、保管時等に、上記動物用排泄物処理材に圧力が加わった場合に、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。
【0154】
[態様E13]
600g/L以下の嵩比重を有する、態様E1~E12のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0155】
上記動物用排泄物処理材は、所定の嵩比重を有する。従って、上記動物用排泄物処理材は、使用前(例えば、搬送時)及び使用後(例えば、交換時、廃棄時等)において、動物用排泄物処理材を移動する際の負荷が軽減されるとともに、持続可能な開発目標(SDGs)の達成により貢献することができる。
【0156】
[態様E14]
吸水前崩壊試験において、0.053質量%以下の吸水前崩壊率を有する、態様E1~E13のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
上記動物用排泄物処理材では、排泄物に接する前において、運送時、保管時等に圧力が加わっても、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなる。
【0157】
[態様E15]
リウェット試験において、0.15g以下のリウェット量を有する、態様E1~E14のいずれか一項に記載の動物用排泄物処理材。
【0158】
上記動物用排泄物処理材は、所定のリウェット量を有する。従って、動物が排泄した後、排泄物が動物の脚に付着しにくくなり、その結果、トイレ及びその周辺、例えば、室内を排泄物で汚染しにくくなる。
【0159】
第A群~第E群に係る開示は、任意に組み合わせることができる。
【0160】
本開示に係る動物用排泄物処理材について、以下、詳細に説明する。
図1は、本開示の実施形態の1つ(以下、「第1実施形態」と称する)に従う動物用排泄物処理材3を説明するための図であり、動物用排泄物処理材3は、システムトイレ1に備えられている。
【0161】
システムトイレ1は、底面部に複数の孔部を有し、その底面部に、動物用排泄物処理材3が敷設される上側容器5と、上側容器5の下方に配置され、排泄物処理シート9が配置される下側容器7と、を備えている。上側容器5の底面部は、複数の孔部(貫通孔)を有する網目状構造を有している。上側容器5の底面部の構造は、液状の排泄物(例えば、尿)を透過させる(水分を切る)機能、すなわち、簀の子の機能を有している。なお、第1実施形態では、システムトイレ1は、上側容器5の上方に配置され、動物の出入口を限定し、排泄物や動物用排泄物処理材3の飛散を抑制するカバー11を更に備えている。
【0162】
システムトイレ1では、動物用排泄物処理材3が、吸水試験において所定の膨張率を有する。従って、動物(例えば、猫)から排泄された液状の排泄物(例えば、尿)が、動物用排泄物処理材3で殆ど吸収されずに動物用排泄物処理材3を通過し、動物用排泄物処理材3の下方に位置する排泄物処理シート9において吸収、保持されるとともに、動物用排泄物処理材3が排泄物処理シート9の蓋となり、排泄物処理シート9が保持する排泄物の悪臭が拡散するのを抑制することができる。
【0163】
システムトイレ1では、動物用排泄物処理材3は排泄物を吸収して固まりを形成するものではないため、動物用排泄物処理材3の交換頻度を減らすことができる。さらに、動物が排泄後に砂掻き行動を行っても、動物の足に排泄物が付着し難い。さらに、システムトイレ1は、動物用排泄物処理材3が敷設される上側容器5の底面部と、排泄物処理シート9とが離間した状態で配置されているため、動物が排泄後に動物用排泄物処理材3の上に乗っていても、排泄物処理シート9には動物の体重による荷重が掛からず、排泄物処理シート9に吸収された排泄物が逆戻りし難いという利点もある。
【0164】
動物用排泄物処理材3は、吸水試験において所定の膨張率を有することから、排泄物を吸収して膨張しにくい。それにより、動物用排泄物処理材3を長時間使用した場合であっても、動物用排泄物処理材3が排泄物を吸収して膨張しにくくなり、動物用排泄物処理材3の外観が変化しにくくなる。また、動物用排泄物処理材3は、吸水試験において所定の維持率を有することから、動物用排泄物処理材3を長時間使用し、動物用排泄物処理材3に動物の排せつ物が滞留した場合であっても、動物用排泄物処理材3が崩壊しにくくなり、動物用排泄物処理材3から粉塵が生じにくくなる。
【0165】
動物用排泄物処理材3は、吸水試験において所定の吸水率を有することから、動物用排泄物処理材3を長時間使用した場合であっても、動物用排泄物処理材3が排泄物を吸収しにくくなり、動物用排泄物処理材3の外観の変化が少なくなる。
【0166】
本開示に係る動物用排泄物処理材は、植物由来材料を含む。上記植物由来材料としては、当技術分野で植物由来材料として用いられるものを特に制限なく採用することができ、例えば、木本由来材料及び草本由来材料を挙げることができる。上記木本由来材料としては、木質、樹皮、種子等が挙げられ、上記草本由来材料としては、草質、種子、穀物外皮等が挙げられる。上記木本由来材料は、針葉樹に由来するものであっても、広葉樹に由来するものであってもよい。上記針葉樹としては、例えば、ヒノキ、ヒバ、サワラ、アスナロ、タイヒ、ベニヒ、ネズコ、ベイヒバ等のヒノキ科、スギ、ヤクスギ、ベイスギ等のスギ科、アカマツ、カラマツ、トドマツ、ツガ、モミ等のマツ科、コウヤマキ、イヌマキ等が挙げられる。上記広葉樹としては、例えば、ユーカリ、クスノキ、センダン、マヌカ等が挙げられる。消臭性、殺菌性等に優れる天然精油を含む観点からは、ヒノキ科、スギ科及びマツ科が好ましく、ヒノキ科がより好ましく、そしてヒノキがさらに好ましい。
【0167】
上記植物由来材料は、例えば、粉状、粒状、針状、板状及びそれらの組み合わせ等の形状を有することができ、成形性及び取扱いの観点から、粉状であることが好ましい。また成形性及び取扱いの観点から、上記植物由来材料は、好ましくは0.01mm以上、より好ましくは0.05mm以上、そしてさらに好ましくは0.07mm以上の平均粒径を有し、そして好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下、そしてさらに好ましくは2mm以下の平均粒径を有する。上記平均粒径は、例えば、多段式ふるい振とう機を用いて、以下の方法で測定することができる。
【0168】
多段式ふるい振とう機(ヴァーダー・サイエンティフィック株式会社製、AS200ベーシック)に、公称目開き0.3mm、0.6mm、1mm、2.36mm、及び3.35mmのふるい(東京スクリーン株式会社製)をこの順で載置し、最上段に位置する目開き3.35mmのふるいに植物由来材料50gを投入して振とうを行う。振とう幅は1.2mm、振動数は3000回/分、ふるい時間は2分とする。振とう後、各目開き間の階級値に割合を掛けた値の和を求め、平均粒径とする。
【0169】
上記動物用排泄物処理材は、上記植物由来材料を主成分とする。主成分とは、上記植物由来原料が、質量比で、動物用排泄物処理材の最も多い成分であることを意味する。本開示に係る動物用排泄物処理材は、上記植物由来材料を、好ましくは50質量%超、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、さらにいっそう好ましくは80質量%以上、さらにいっそう好ましくは83質量%以上、そしてさらにいっそう好ましくは85質量%以上の比率で含む。それにより、上記動物用排泄物処理材を環境に配慮したものとすることができるとともに、持続可能な開発目標(SDGs)の達成により貢献することができる。また、自治体のルールにもよるが、上記動物用排泄物処理材を可燃ごみとして廃棄しやすくなる。なお、本開示に係る動物用排泄物処理材において、上記植物由来材料の上限は、100から、結合樹脂の量(質量%)を引いた量である。
【0170】
本開示に係る動物用排泄物処理材は、好ましくは結合樹脂を含む。それにより、上記動物用排泄物処理材を長時間使用した場合であっても、上記動物用排泄物処理材が排泄物を吸収して膨張しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。また、上記動物用排泄物処理材を長時間使用した場合であっても、上記動物用排泄物処理材が排泄物を吸収しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観の変化が少なくなる。さらに、上記動物用排泄物処理材が排泄物に接する前においては、運送時、保管時等に圧力が加わっても、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなる。
【0171】
上記結合樹脂としては、当技術分野で結合樹脂として用いられるものを特に制限なく採用することができ、例えば、熱可塑性樹脂が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、エチレン-プロピレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール等が挙げられる。上記結合樹脂としては、上記植物由来材料との混合性の観点から、エチレン-酢酸ビニル共重合体を含むことが好ましい。
【0172】
本開示に係る動物用排泄物処理材が上記結合樹脂を含む場合には、上記結合樹脂の融点は、好ましくは60℃以上、より好ましくは65℃以上、そしてさらに好ましくは70℃以上である。また、本開示に係る動物用排泄物処理材が上記結合樹脂を含む場合には、上記結合樹脂の融点は、好ましくは160℃以下、より好ましくは120℃以下、そしてさらに好ましくは80℃以下である。上記結合樹脂の融点は、例えば、結合樹脂の分子量を変更する等によって適宜調整することができる。それにより、植物由来材料の変性と、上記結合樹脂の分解とを抑制しつつ、本開示に係る動物用排泄物処理材を形成しやすくなる。
【0173】
本開示に係る動物用排泄物処理材が上記結合樹脂を含む場合には、同様の観点から、上記結合樹脂は、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは1g/10分以上、そしてさらに好ましくは10g/10分以上のメルトフローレート(MFR)を有する。また、上記結合樹脂は、好ましくは200g/10分以下、より好ましくは100g/10分以下、そしてさらに好ましくは50g/10分以下のメルトフローレート(MFR)を有する。
上記メルトフローレートは、荷重2.16kg、温度230℃の条件でJIS K 7210-1:2014に従って測定することができる。
【0174】
本開示に係る動物用排泄物処理材が上記結合樹脂を含む場合には、上記動物用排泄物処理材は、上記結合樹脂を、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上、さらに好ましくは4.0質量%以上、さらにいっそう好ましくは6.0質量%以上、そしてさらにいっそう好ましくは7.0質量%以上の比率で含む。また、本開示に係る動物用排泄物処理材は、上記結合樹脂を、好ましくは40.0質量%以下、より好ましくは30.0質量%以下、さらに好ましくは20.0質量%以下、さらにいっそう好ましくは15.0質量%以下、そしてさらにいっそう好ましくは10.0質量%以下の比率で含む。それにより、上記動物用排泄物処理材を環境に配慮したものとすることができるとともに、持続可能な開発目標(SDGs)の達成により貢献することができる。
【0175】
なお、結合樹脂自体は、植物由来材料を結合するとともに、植物由来材料をマスキングする成分であることから、結合樹脂そのものは、膨張率及び吸水率に悪影響を与えにくいものであるが、結合樹脂の量が増えると、動物用排泄物処理材を形成する際、例えば、造粒の際に圧力が加えにくくなり、動物用排泄物処理材に空隙が生じやすくなり、その結果、動物用排泄物処理材の膨張率、吸水率等に悪影響を与えやすくなる。
【0176】
本開示に係る動物用排泄物処理材は、好ましくは撥水剤を含む。本開示に係る動物用排泄物処理材が上記撥水剤を含む場合には、上記動物用排泄物処理剤は、上記撥水剤を、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.7質量%以上、さらに好ましくは0.9質量%以上、そしてさらにいっそう好ましくは1.0質量%以上の比率で含む。また、本開示に係る動物用排泄物処理材が上記撥水剤を含む場合には、上記動物用排泄物処理剤は、上記撥水剤を、好ましくは3.5質量%以下、より好ましくは3.2質量%以下、さらに好ましくは2.5質量%以下、そしてさらにいっそう好ましくは2.0質量%以下の比率で含む。それにより、動物用排泄物処理材の強度と、撥水性とのバランスを取ることができる。また、上記動物用排泄物処理材が排泄物に接する前においては、運送時、保管時等に圧力が加わっても、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなる。
【0177】
上記撥水剤は、上記動物用排泄物処理材の表面及び/又は内部に存在することができ、そして上記動物用排泄物処理材の内部に存在することが好ましい。それにより、動物用排泄物処理材が、膨張率、吸水率等に優れることができる。上記撥水剤を上記動物用排泄物処理材の内部に存在させることは、例えば、上記動物用排泄物処理材を構成する成分、例えば、植物由来材料、撥水剤、所望による結合樹脂等を混練することにより達成することができる。
【0178】
上記撥水剤としては、当技術分野で撥水剤として用いられるものを特に制限なく採用することができ、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、シリコーンワックス、シリコーンオイル、油脂、例えば、トリグリセリド等が挙げられる。
【0179】
本開示に係る動物用排泄物処理材は、吸水試験において、好ましくは7.0%以下、より好ましくは6.0%以下、さらに好ましくは5.5%以下、さらにいっそう好ましくは5.0%以下、そしてさらにいっそう好ましくは4.5%以下の膨張率を有する。それにより、上記動物用排泄物処理材を長時間使用した場合であっても、上記動物用排泄物処理材が排泄物を吸収して膨張しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。なお、上記膨張率の下限は、0.0%である。
【0180】
本開示に係る動物用排泄物処理材は、上記吸水試験において、好ましくは66質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、さらにいっそう好ましくは38質量%以下、さらにいっそう好ましくは35質量%以下、さらにいっそう好ましくは30質量%以下、さらにいっそう好ましくは28質量%以下、そしてさらにいっそう好ましくは25質量%以下の吸水率を有する。それにより、上記動物用排泄物処理材を長時間使用した場合であっても、上記動物用排泄物処理材が排泄物を吸収しにくくなり、動物用排泄物処理材の外観の変化が少なくなる。また、吸水率が上記範囲にあることにより、動物用排泄物処理材の表面に排泄物、特に尿が残存しにくくなる傾向にある。なお、上記吸水率の下限は、0質量%である。
【0181】
本開示に係る動物用排泄物処理材は、上記吸水試験において、好ましくは98.0質量%以上、より好ましくは99.0質量%以上、そしてさらに好ましくは99.5質量%以上の維持率を有する。それにより、上記動物用排泄物処理材を長時間使用し、上記動物用排泄物処理材に動物の排せつ物が滞留した場合であっても、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなり、動物用排泄物処理材から粉塵が生じにくくなる。なお、上記吸水試験における維持率の上限は、100.0質量%である。
【0182】
本明細書では、上記吸水試験は、特に記載のない限り、温度:25℃±5℃、相対湿度:65±5%RHの恒温恒湿室にて以下の通り実施する。
(1)上記恒温恒湿室に、試験対象となる動物用排泄物処理材のサンプルを24時間静置する。
(2)24時間静置後のサンプルの異なる粒子のサイズを計100個測定し、その平均値である初期サイズ:L0(mm)を測定する。なお、粒子のサイズは、粒子に方向性がある場合には、同一方向におけるサイズ、例えば、動物用排泄物処理材の形状が略円筒形である場合には、例えば、その直径を採用し、粒子に方向性がない場合には、長径を採用する。また、測定の位置は、粒子に方向性がある場合には、同一位置、例えば、動物用排泄物処理材の形状が略円筒形である場合には、その直径の位置を採用し、粒子に方向性がない場合には、長径の位置を採用する。
(3)24時間静置後のサンプル(約100g)の初期質量:m0(g)を測定する。目開き70μmのナイロン製のメッシュ袋を準備し、その質量:n0(g)を測定する。
【0183】
(4)上記サンプルをメッシュ袋に入れ、上記サンプルをメッシュ袋ごと十分な量の脱イオン水に1時間浸漬する。
(5)上記サンプルを脱イオン水に1時間浸漬した後、上記サンプルをメッシュ袋ごと脱イオン水から取り出し、メッシュ袋を上記サンプルごと5分間空中に吊すことにより水を切って、メッシュ袋及びサンプルの浸漬後質量:m1(g)を測定する。
(6)浸漬後質量を測定したサンプルをメッシュ袋から取り出し、サンプルを50℃の恒温室にて24時間乾燥する。
(7)24時間乾燥後のサンプルの乾燥後質量:m2(g)を測定する。
(8)24時間乾燥後のサンプルの異なる粒子の上記サイズを計100個測定し、その平均値である乾燥後サイズ:L1(mm)を測定する。
【0184】
(9)膨張率(%)を、次の式:
膨張率(%)=100×(L1-L0)/L0
により算出する。
(10)吸水率(質量%)を、次の式:
吸水率(質量%)=100×[m1-(m0+n0)]/m0
により算出する。
(11)維持率(質量%)を、次の式:
維持率(質量%)=100×m2/m0
により算出する。
【0185】
本開示に係る動物用排泄物処理材は、吸水後崩壊試験において、好ましくは0.6質量%以下、より好ましくは0.6質量%以下、そしてさらに好ましくは0.5質量%以下の吸水後崩壊率を有する。それにより、上記動物用排泄物処理材は、上記動物用排泄物処理材の使用に伴い、動物用排泄物処理材自体から粉塵が生じにくくなる。なお、上記吸水後崩壊試験における吸水後崩壊率の下限は、0.0質量%である。
【0186】
本明細書では、上記吸水後崩壊試験は、以下の通り実施する。
(1)上記吸水試験において24時間乾燥後のサンプルを、2mmメッシュのふるいにセットし、振動ふるい機(株式会社レッチェ製,AS200)を用いて、振幅:1.35mmで5分間、ふるい試験を行い、2mmメッシュを通過したサンプルを収集する。
(2)2mmメッシュを通過したサンプルの質量:m3(g)を測定する。
(3)吸水後崩壊率(質量%)を、次の式:
吸水後崩壊率(質量%)=100×m3/m0
により算出する。
【0187】
本開示に係る動物用排泄物処理材は、吸水前崩壊試験において、好ましくは0.053質量%以下、より好ましくは0.052質量%以下、さらに好ましくは0.051質量%以下、そしてさらに好ましくは0.050質量%以下の吸水前崩壊率を有する。それにより、上記動物用排泄物処理材が排泄物に接する前において、運送時、保管時等に圧力が加わっても、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなる。なお、上記吸水前崩壊試験における吸水前崩壊率の下限は、0.000質量%である。
【0188】
本明細書では、上記吸水前崩壊試験は、以下の通り実施する。
(1)温度:25℃±5℃、相対湿度:65±5%RHの恒温恒湿室に、試験対象となる動物用排泄物処理材のサンプルを24時間静置する。
(2)上記恒温恒湿室において、24時間静置後のサンプル(約500g)の初期質量:m4(g)を測定する。
(3)上記恒温恒湿室において、初期質量を測定したサンプルを、チャック付きのポリ袋(縦:340mm×横:240mm×厚さ:0.040mm)に投入し、サンプルをポリ袋ごと、40cmの高さから、ポリ塩化ビニル製シートの床に計20回落下させる。
【0189】
(4)落下させた後のチャック付きのポリ袋の内容物を、2mmメッシュのふるいにセットし、振動ふるい機(株式会社レッチェ製,AS200)を用いて、振幅:1.35mmで3分間、ふるい試験を行い、2mmメッシュを通過したサンプルを収集する。
(5)2mmメッシュを通過したサンプルの質量:m5(g)を測定する。
(6)吸水後崩壊率(質量%)を、次の式:
吸水後崩壊率(質量%)=100×m5/m4
により算出する。
【0190】
本開示に係る動物用排泄物処理材は、以下の吸水率測定法にて測定した第2吸水率が1回目よりも3回目が大きいことが好ましく、そして3回目の第2吸水率が、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは4.0質量%以下、そしてさらに好ましくは3.5質量%以下である。それにより、上記動物用排泄物処理材を長時間使用した場合であっても、上記動物用排泄物処理材が排泄物を吸収しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観の変化が少なくなる。
【0191】
[第2吸水率の測定法]
予め40℃の恒温槽に2時間保管して乾燥させた動物用排泄物処理材を25℃の水中に3秒間浸漬し、浸漬前の動物用排泄物処理材質量:a(g)と、浸漬後の動物用排泄物処理材質量:b(g)との間で、次の式に従って吸水率を算定する。
2回目以降の測定は、各測定の直後に動物用排泄物処理材を40℃の恒温槽に2時間保管して乾燥させ、同様に25℃の水中に3秒間浸漬して次の式に従って吸水率を算定する。
第2吸水率(質量%)=100×[(b-a)/a]
【0192】
本開示に係る動物用排泄物処理材は、強度比試験において、好ましくは27%以上、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上、さらにいっそう好ましくは60%以上、さらにいっそう好ましくは65%以上、そしてさらにいっそう好ましくは70%以上の強度比を有する。それにより、動物用排泄物処理材が排泄物を吸収した後、上記動物用排泄物処理材に動物の体圧が加わった場合に、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。なお、上記強度比試験における強度比の上限は、好ましくは100%である。
【0193】
本明細書では、強度比試験は、温度:25℃±5℃、相対湿度:65±5%RHの恒温恒湿室にて以下の通り実施する。
(1)上記恒温恒湿室に、試験対象となる動物用排泄物処理材のサンプルを24時間静置する。
(2)24時間静置後のサンプルの粒子を、フォースゲージ(ニデックドライブテクノロジー株式会社製,FGJN-50,計測アダプタ:山形アダプタ70°,計測モード:ピークホールドモード)及びフォースゲージ用スタンド(日本電産シンポ株式会社製,FORCE GAUGE STAND Model GGS-50C)を用いて、500mm/分の速度で圧縮し、破壊時の圧縮荷重(N)を測定する。サンプルの異なる粒子計20個の圧縮荷重(N)の平均値を、吸水前強度:S0(N)として採用する。なお、圧縮の方向は、粒子に方向性がある場合には、同一方向、例えば、動物用排泄物処理材の形状が略円筒形である場合には、例えば、その直径の方向を採用し、粒子に方向性がない場合には、長径の方向を採用する。また、測定の位置は、粒子に方向性がある場合には、同一位置、例えば、動物用排泄物処理材の形状が略円筒形である場合には、その直径の位置を採用し、粒子に方向性がない場合には、長径の位置を採用する。
【0194】
(3)初期強度を測定していないサンプルを、目開き70μmのナイロン製のメッシュ袋に入れ、上記サンプルをメッシュ袋ごと十分な量の脱イオン水に1時間浸漬する。
(4)上記サンプルを脱イオン水に1時間浸漬した後、上記サンプルをメッシュ袋ごと脱イオン水から取り出し、メッシュ袋を上記サンプルごと5分間空中に吊すことにより水を切る。次いで、吸水前強度:S0(N)と同様にして、サンプルの粒子を用いて破壊時の圧縮荷重(N)を測定し、サンプルの異なる粒子計20個の圧縮荷重(N)の平均値を、吸水後強度:S1(N)として採用する。なお、測定の方向及び位置は、吸水前強度と一致させる。
(5)強度比(%)を、次の式:
強度比(%)=100×S1(N)/S0(N)
により算出する。
【0195】
本開示に係る動物用排泄物処理材は、上記強度比試験において、好ましくは38N以上、より好ましくは50N以上、さらに好ましくは60N以上、さらにいっそう好ましくは70N以上、そしてさらにいっそう好ましくは75N以上の吸水後強度を有する。それにより、動物用排泄物処理材の使用開始後、具体的には、動物用排泄物処理材が排泄物を吸収した後、上記動物用排泄物処理材に動物の体圧が加わった場合に、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。なお、上記強度比試験における吸水後強度の上限は、特に制限されるものではないが、例えば、150Nが挙げられる。
【0196】
本開示に係る動物用排泄物処理材は、上記強度比試験において、好ましくは90N以上、より好ましくは95N以上、さらに好ましくは100N以上、そしてさらにいっそう好ましくは105N以上の吸水前強度を有する。それにより、動物用排泄物処理材の使用前、例えば、上記動物用排泄物処理材の搬送時、保管時等に、上記動物用排泄物処理材に圧力が加わった場合に、上記動物用排泄物処理材が崩壊しにくくなり、上記動物用排泄物処理材の外観が変化しにくくなる。なお、上記強度比試験における吸水前強度の上限は、特に制限されるものではないが、例えば、200Nが挙げられる。
【0197】
本開示に係る動物用排泄物処理材は、好ましくは600g/L以下、より好ましくは580g/L以下、さらに好ましくは570g/L以下、そしてさらにいっそう好ましくは560g/L以下の嵩比重を有する。それにより、上記動物用排泄物処理材は、使用前(例えば、搬送時)及び使用後(例えば、交換時、廃棄時等)において、動物用排泄物処理材を移動する際のエネルギーが低減されるとともに、持続可能な開発目標(SDGs)の達成により貢献することができる。なお、上記嵩比重の下限は、特に制限されるものではないが、例えば、250g/Lが挙げられる。
【0198】
本明細書では、嵩比重は、温度:25℃±5℃、相対湿度:65±5%RHの恒温恒湿室にて以下の通り測定する。
(1)上記恒温恒湿室に、試験対象となる動物用排泄物処理材のサンプルを24時間静置する。
(2)上記恒温恒湿室に、容量1Lの擦り切り容器(株式会社大屋製作所製,ステンビーカー(すり切りタイプ))を準備し、その質量:m6(g)を測定する。
(3)24時間静置後のサンプルを、上記擦り切り容器に溢れるまで投入し、擦り切り容器の天面でサンプルを擦りきり、擦り切り容器及びサンプルの質量:m7(g)を測定する。
(4)嵩比重(g/L)を、次の式:
嵩比重(g/L)=m7-m6
により算出する。
(5)異なるサンプルにて嵩比重を5回測定し、平均値を採用する。
【0199】
本開示に係る動物用排泄物処理材は、好ましくは0.15g以下、より好ましくは0.12g以下、さらに好ましくは0.11g以下、そしてさらにいっそう好ましくは0.10g以下のリウェット量を有する。それにより、動物が排泄した後、排泄物が動物の脚に付着しにくくなり、その結果、トイレ及びその周辺、例えば、室内を排泄物で汚染しにくくなる。なお、上記リウェット量の下限は、0.00gである。
【0200】
本明細書では、上記リウェット量は、温度:25℃±5℃、相対湿度:65±5%RHの恒温恒湿室にて以下の通り測定する。
(1)上記恒温恒湿室に、試験対象となる動物用排泄物処理材のサンプルを24時間静置する。
(2)上記サンプル100gを十分な量の脱イオン水に1時間浸漬する。
(3)1時間浸漬後のサンプルを、1枚のろ紙(ADVANTEC,円形定性ろ紙No.1,直径:40cm)上に拡げて、1時間静置する。
(4)1時間静置したサンプルを、底面が11.7cm×11.7cmの立方体の容器に平らとなるように充填する。
【0201】
(5)初期質量:m8(g)を測定した約50gのろ紙(ADVANTEC,円形定性ろ紙No.1,直径:11cm)を、ろ紙の中心と、平らに充填したサンプルの中心とが一致するように載せ、ろ紙の上に、3.5kgのおもり(底面サイズ:10cm×10cm)を、ろ紙の中心と、おもりの中心とが一致するように載せる。
(6)おもりを載せてから3分後、おもりを除去し、ろ紙の試験後質量:m9(g)を測定する。
(7)リウェット量(g)を、次の式:
リウェット量(g)=m9-m8
により算出する。
(8)異なるサンプルにてリウェット量を計5回測定し、その平均値を採用する。
【0202】
本開示に係る動物用排泄物処理材は、澱粉をさらに含むことができる。上記動物用排泄物処理剤は、上記澱粉を、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、さらに好ましくは1.5質量%以上、そしてさらにいっそう好ましくは2.0質量%以上の比率で含む。また、上記動物用排泄物処理剤は、上記澱粉を、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下、さらに好ましくは4.0質量%以下、さらにいっそう好ましくは3.5質量%以下、そしてさらにいっそう好ましくは3.0質量%以下の比率で含む。それにより、動物用排泄物処理材が排泄物を吸収する前の動物用排泄物処理材の強度を上げることができる。
【0203】
一般に、動物用排泄物処理材が澱粉を多量に含むと、動物用排泄物処理材の使用に伴い、澱粉に由来して動物用排泄物処理材に腐敗(例えば、カビ)が生ずる可能性が高くなる。
上記動物用排泄物処理材は、澱粉を上述の量含む場合には、動物用排泄物処理材の使用に伴い、動物用排泄物処理材に腐敗が生じにくくなる。
【0204】
上記澱粉としては、当技術分野で澱粉として用いられるものを特に制限なく採用することができ、例えば、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、小麦澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉、ワキシースターチ、米澱粉等が挙げられる。
【0205】
本開示に係る動物用排泄物処理材は、非水溶性無機物を含むことも、含まないこともでき、そして非水溶性無機物を含まないか、又は0.1質量%以下の量で含むことが好ましい。それにより、非水溶性無機物を多く含む場合と比較して、動物用排泄物処理材の嵩比重を下げることができるとともに、上記動物用排泄物処理材の表面の粉立ちを抑制することができる。
【0206】
上記非水溶性無機物は、水に対する溶解度(1気圧、25℃における、水1Lに対する溶解質量)が2.0g未満である無機材料を意味する。上記非水溶性無機物としては、例えば、金属塩、金属酸化物、金属水酸化物等が挙げられる、上記非水溶性無機物としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
【0207】
本開示に係る動物用排泄物処理材は、本開示の効果を阻害しない範囲で、追加の成分をさらに含むことができる。上記追加の成分としては、例えば、香料、活性炭、有機酸等の消臭機能を有する基材、着色剤、界面活性剤、キレート剤等が挙げられる。
【0208】
本開示に係る動物用排泄物処理材は、任意の形状を有することができ、例えば、略柱体、例えば、略円柱体であることができる。なお、略柱体とは、2つの端部(2つの底面近傍)が不定型である柱体を意味し、略円柱体とは、2つの端部(2つの底面近傍)が不定型である円柱体を意味する。
本開示に係る動物用排泄物処理材が略円柱体である場合には、好ましくは2.0~7.0mmの直径を有し、好ましくは5.0~20.0mmの高さを有する。
【0209】
本開示に係る動物用排泄物処理材は、動物用排泄物処理材単体として流通することができ、動物用排泄物処理材及びペットシートとの組み合わせとして流通することができ、そして動物用排泄物処理材、ペットシート及びシステムトイレを含むトイレキットとして流通することができる。
【0210】
本開示に係る動物用排泄物処理材は、当技術分野で公知の方法により製造することができる。本開示に係る動物用排泄物処理材は、例えば、動物用排泄物処理材を構成する成分(例えば、植物由来材料、結合樹脂、所望による撥水剤、所望による澱粉等)を混練機により混練して混練物を形成し、当該混練物を押出成形機を用いた押出成形により造粒して造粒物を形成し、次いで、造粒物をカットすることにより製造することができる。上記混練機としては、例えば、株式会社御池鉄工所製のパドルフィーダーが挙げられる。上記押出成形機としては、株式会社ダルトン製のディスクペレッター、株式会社三池鐵鋼所製のペレットミル SPM-500等が挙げられる。上記造粒は、70~100℃の雰囲気下で行われることが好ましい。
【実施例
【0211】
以下、例を挙げて本開示を説明するが、本開示はこれらの例に限定されるものではない。
[製造例1]
植物由来材料としての木粉(欧州赤松の粉砕物、目開き2mmのスクリーンを通過したもの)95.3質量%と、結合樹脂としての55質量%のエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)の水分散液(Celanese社製,Celvolit1397)1.8質量%(EVA1.0質量%)と、撥水剤としてのパラフィンワックス(日本精蝋株式会社製,Paraffin Wax-135)1.0質量%と、澱粉としてのコーンスターチ(日本コーンスターチ株式会社製,工業用コーンスターチ Y-3P)2.7質量%とを株式会社御池鉄工所製のパドルフィーダーを用いて室温で混練して混練物No.1を得た。混練物No.1を、株式会社ダルトン製,F-5/11-175Dを用いて造粒し、次いで造粒物をカットすることにより、動物用排泄物処理材No.1を得た。なお、造粒中の温度は、おおむね、50~80℃であった。動物用排泄物処理材No.1は、略円柱体の形状を有していた。
【0212】
[製造例2~11]
木粉、EVA,パラフィン及びコーンスターチの比率を表1に示す通りに変更した以外は製造例1と同様にして、動物用排泄物処理材No.2~No.11を得た。なお、表1において、EVAに関する数字は、EVAそのものの量を示している。
[製造例12~21]
木粉、EVA,パラフィン及びコーンスターチ,並びに所望による炭酸カルシウム(日東粉化工業株式会社製,NS#2300)の比率を表2に示すとおりとした以外は製造例1と同様にして、動物用排泄物処理材No.12~No.21を得た。なお、表2において、EVAに関する数字は、EVAそのものの量を示している。
【0213】
[実施例1]
動物用排泄物処理材No.1~No.21の膨張率(吸水前直径及び吸水後直径)、維持率、吸水率、崩壊率、強度比(吸水前強度、吸水後強度)、嵩比重及びリウェット量を測定した。結果を表1及び表2に示す。
【0214】
【表1】
【0215】
【表2】
【0216】
動物用排泄物処理材No.12~No.21は、特許文献等において公知の動物用排泄物処理材を模した例である。
【0217】
動物用排泄物処理材No.1~No.3及びNo.5~No.10は、7.0%以下の膨張率を有する。一方、動物用排泄物処理材No.4及びNo.11~No.21(崩壊したNo.15,No.17~No.19を除く)は、高い膨張率を有することが分かる。
【0218】
動物用排泄物処理材No.13及びNo.14は、嵩比重が小さく、特に、動物用排泄物処理材No.14は、比重の高い炭酸カルシウム5質量%を含むにもかかわらず、嵩比重が小さかった。これは、EVA比率が高いことにより、造粒の際に混練物に圧力が加わりにくくなり、形成した動物用排泄物処理材が空隙を多く含むことに起因すると考えられる。それに伴って、動物用排泄物処理材No.13及びNo.14は、膨張率及び吸水率が低くなったものと考えられる。また、動物用排泄物処理材No.13及びNo.14は、空隙を多く含むことから、EVA比率が高い割には、動物用排泄物処理材そのものの強度が低いことが示唆される。
動物用排泄物処理材No.15,No.17~No.19は、脱イオン水に1時間浸漬したところ、崩壊し、一部データが取得できなかった。
【0219】
動物用排泄物処理材No.1~No.10は、撥水剤及び結合樹脂を含むとともに、66質量%以下の吸水率を有することがわかる。一方、動物用排泄物処理材No.11~No.21は、高い吸水率を有するか、又は66質量%以下の吸水率を有する場合には、撥水剤又は結合樹脂を含まないことが分かる。
【0220】
[製造例22]
市販の動物用排泄物処理材(エステー株式会社製,ニャンとも清潔トイレ 脱臭・抗菌チップ 大きめ粒)を、動物用排泄物処理材No.22とした。
【0221】
[実施例2]
動物用排泄物処理材No.6,No.12及びNo.22の第2吸水率を測定した。結果を表3に示す。
【0222】
【表3】
【0223】
[実施例3]
動物用排泄物処理材No.6,No.11,No.12及びNo.16に対して、吸水前崩壊試験を行った。結果を表4に示す。
【0224】
【表4】
【符号の説明】
【0225】
1 システムトイレ
3 動物用排泄物処理材
5 上側容器
7 下側容器
9 排泄物処理シート
11 カバー
【要約】
【課題】長時間使用した場合であっても、排泄物を吸収しにくく、排泄物による着色、膨張、ひび割れ等の外観の変化が少ない動物用排泄物処理材を提供すること。
【解決手段】主成分としての植物由来材料と、結合樹脂と、撥水剤と、を含むことを特徴とする、動物用排泄物処理材。
【選択図】図1
図1