(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-04
(45)【発行日】2025-04-14
(54)【発明の名称】化合物の製造方法、中間体及び化合物
(51)【国際特許分類】
C07C 303/32 20060101AFI20250407BHJP
C07C 309/12 20060101ALI20250407BHJP
C07C 381/12 20060101ALI20250407BHJP
C07C 25/02 20060101ALI20250407BHJP
C07D 333/54 20060101ALI20250407BHJP
C07D 333/76 20060101ALI20250407BHJP
【FI】
C07C303/32
C07C309/12
C07C381/12
C07C25/02
C07D333/54
C07D333/76
(21)【出願番号】P 2021099364
(22)【出願日】2021-06-15
【審査請求日】2024-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【氏名又は名称】宮本 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100178847
【氏名又は名称】服部 映美
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】轟 星児
(72)【発明者】
【氏名】松下 哲也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 広樹
【審査官】安孫子 由美
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-026572(JP,A)
【文献】特開2019-074734(JP,A)
【文献】特開2021-012360(JP,A)
【文献】特開2012-107151(JP,A)
【文献】特開2022-059571(JP,A)
【文献】特開2017-155222(JP,A)
【文献】特開2019-085396(JP,A)
【文献】特開2019-207301(JP,A)
【文献】特開2021-187808(JP,A)
【文献】特表2021-512854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(C-1)で表される化合物、及び、下記一般式(C-2)で表される化合物を縮合反応させて、下記一般式(b0-p)で表される化合物(B0p)を得る工程と、
前記化合物(B0p)、及び、下記一般式(C-3)で表される化合物をイオン交換反応させて、下記一般式(b0)で表される化合物(B0)を得る工程と、
を有する、化合物の製造方法。
【化1】
[式中、X
0は、臭素原子又はヨウ素原子である。R
mは、ヒドロキシ基、アルキル基、フッ素原子、又は、塩素原子である。nb1は、1~5の整数であり、nb2は、0~4の整数であり、1≦nb1+nb2≦5である。a及びbは、一方は、ヒドロキシ基であり、他方は、カルボキシ基である。zは、0~10の整数である。L
02は、単結合、アルキレン基、-O-、-CO-、-OCO-、-COO-、-SO
2-、-N(R
a)-C(=O)-、-N(R
a)-、-C(R
a)(R
a)-N(R
a)-、-C(R
a)(N(R
a)(R
a))-、又は、-C(=O)-N(R
a)-である。R
aは、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基である。Vb
0は、単結合、アルキレン基又はフッ素化アルキレン基である。R
0は、水素原子、炭素数1~5のフッ素化アルキル基又はフッ素原子である。Mp
m’
+は、金属カチオン、又は、LogPが4.8以下の有機アンモニウムカチオンである。m’は1以上の整数である。L
001は、エステル結合[-C(=O)-O-、-O-C(=O)-]である。X
-は、対アニオンである。M
m+は、m価の有機カチオンを表す。mは1以上の整数である。]
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物の製造方法、中間体及び化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化(高エネルギー化)が行われている。
【0003】
レジスト材料には、これらの露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性等のリソグラフィー特性が求められる。
このような要求を満たすレジスト材料として、従来、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤成分と、を含有する化学増幅型レジスト組成物が用いられている。
【0004】
レジストパターンの形成においては、露光により酸発生剤成分から発生する酸の挙動がリソグラフィー特性に大きな影響を与える一要素とされる。
化学増幅型レジスト組成物において使用される酸発生剤としては、これまで多種多様なものが提案されている。例えば、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤などが知られている。
オニウム塩系酸発生剤としては、主に、カチオン部にトリフェニルスルホニウム等のオニウムイオンを有するものが用いられている。オニウム塩系酸発生剤のアニオン部には、一般的に、アルキルスルホン酸イオンやそのアルキル基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されたフッ素化アルキルスルホン酸イオンが用いられている。
【0005】
リソグラフィー技術のさらなる進歩、応用分野の拡大等が進むなか、リソグラフィー特性向上のため、多種多様な酸発生剤が開発されている。そして、該酸発生剤を高収率で得ることのできる製造方法が求められている。
【0006】
例えば、特許文献1には、第1のアンモニウム塩化合物に、孤立電子対を有する含窒素化合物を反応させて製造される第2のアンモニウム塩化合物の製造方法であって、前記第1のアンモニウム塩化合物は、1級、2級又は3級の第1のアンモニウムカチオンを有し、前記含窒素化合物の共役酸は、前記第1のアンモニウムカチオンよりも酸解離定数(pKa)が大きいことを特徴とする、アンモニウム塩化合物の製造方法、及び、この製造方法により製造されるアンモニウム塩化合物と、当該含窒素化合物の共役酸よりも疎水性が高いスルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンと、を塩交換させる工程を有する化合物の製造方法が開示されている。また、特許文献1の実施例では、アニオン部に比較的親水性の高い-SO2-含有環式基を有する化合物の製造方法が開示されている。この化合物の製造方法によれば、不純物の少ない酸発生剤を高収率で得られると開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
リソグラフィー特性のさらなる向上のため、オニウム塩系酸発生剤のアニオン部の構造について、様々な検討がされている。例えば、ヨウ素原子又は臭素原子を有するベンゼン環をアニオン部に含み、比較的疎水性の高いオニウム塩系酸発生剤が開発されている。このようなアニオン部が特定の構造を有するオニウム塩系酸発生剤においては、特許文献1に記載されたような従来の化合物の製造方法では、収率が十分ではなく、この所望とする構造に応じた最適な製造方法が求められている。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、レジスト組成物用の酸発生剤として有用な化合物を高収率で得られる化合物の製造方法、該化合物の中間体、及び、該化合物の製造方法により用いられる化合物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明の第1の態様は、下記一般式(C-1)で表される化合物、及び、下記一般式(C-2)で表される化合物を縮合反応させて、下記一般式(b0-p)で表される化合物(B0p)を得る工程と、前記化合物(B0p)、及び、下記一般式(C-3)で表される化合物をイオン交換反応させて、下記一般式(b0)で表される化合物(B0)を得る工程とを有する、化合物の製造方法である。
【0011】
【化1】
[式中、X
0は、臭素原子又はヨウ素原子である。R
mは、ヒドロキシ基、アルキル基、フッ素原子、又は、塩素原子である。nb1は、1~5の整数であり、nb2は、0~4の整数であり、1≦nb1+nb2≦5である。a及びbは、一方は、ヒドロキシ基であり、他方は、カルボキシ基である。zは、0~10の整数である。L
02は、単結合、アルキレン基、-O-、-CO-、-OCO-、-COO-、-SO
2-、-N(R
a)-C(=O)-、-N(R
a)-、-C(R
a)(R
a)-N(R
a)-、-C(R
a)(N(R
a)(R
a))-、又は、-C(=O)-N(R
a)-である。R
aは、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基である。Vb
0は、単結合、アルキレン基又はフッ素化アルキレン基である。R
0は、水素原子、炭素数1~5のフッ素化アルキル基又はフッ素原子である。Mp
m’
+は、金属カチオン、又は、LogPが4.8以下の有機アンモニウムカチオンである。m’は1以上の整数である。L
001は、エステル結合[-C(=O)-O-、-O-C(=O)-]である。X
-は、対アニオンである。M
m+は、m価の有機カチオンを表す。mは1以上の整数である。]
【0012】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様の化合物の製造方法に用いられる中間体であって、下記一般式(b0-p)で表される、中間体である。
【0013】
【化2】
[式中、X
0は、臭素原子又はヨウ素原子である。R
mは、ヒドロキシ基、アルキル基、フッ素原子、又は、塩素原子である。nb1は、1~5の整数であり、nb2は、0~4の整数であり、1≦nb1+nb2≦5である。L
001は、エステル結合[-C(=O)-O-、-O-C(=O)-]である。zは、0~10の整数である。L
02は、単結合、アルキレン基、-O-、-CO-、-OCO-、-COO-、-SO
2-、-N(R
a)-C(=O)-、-N(R
a)-、-C(R
a)(R
a)-N(R
a)-、-C(R
a)(N(R
a)(R
a))-、又は、-C(=O)-N(R
a)-である。R
aは、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基である。Vb
0は、単結合、アルキレン基又はフッ素化アルキレン基である。R
0は、水素原子、炭素数1~5のフッ素化アルキル基又はフッ素原子である。Mp
m’
+は、金属カチオン、又は、LogPが4.8以下の有機アンモニウムカチオンである。m’は1以上の整数である。]
【0014】
本発明の第3の態様は、下記一般式(b0-p-1)で表される、化合物である。
【0015】
【化3】
[式中、X
0は、臭素原子又はヨウ素原子である。R
mは、ヒドロキシ基、アルキル基、フッ素原子、又は、塩素原子である。nb1は、1~5の整数であり、nb2は、0~4の整数であり、1≦nb1+nb2≦5である。L
001は、エステル結合[-C(=O)-O-、-O-C(=O)-]である。zは、0~10の整数である。Vb
0は、単結合、アルキレン基又はフッ素化アルキレン基である。R
0は、水素原子、炭素数1~5のフッ素化アルキル基又はフッ素原子である。Mp
m’
+は、金属カチオン、又は、LogPが4.8以下の有機アンモニウムカチオンである。m’は1以上の整数である。]
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、レジスト組成物用の酸発生剤として有用な化合物を高収率で得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書及び本特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「ハロゲン原子」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「置換基を有してもよい」と記載する場合、水素原子(-H)を1価の基で置換する場合と、メチレン基(-CH2-)を2価の基で置換する場合との両方を含む。
【0018】
本明細書及び本特許請求の範囲において、化学式で表される構造によっては、不斉炭素が存在し、エナンチオ異性体(enantiomer)やジアステレオ異性体(diastereomer)が存在し得るものがある。その場合は一つの化学式でそれら異性体を代表して表す。それらの異性体は単独で用いてもよいし、混合物として用いてもよい。
【0019】
(化合物の製造方法)
本実施形態の化合物の製造方法は、下記一般式(C-1)で表される化合物、及び、下記一般式(C-2)で表される化合物を縮合反応させて、下記一般式(b0-p)で表される化合物(B0p)を得る工程(以下、「工程A」ともいう)と、前記化合物(B0p)、及び、下記一般式(C-3)で表される化合物をイオン交換反応させて、下記一般式(b0)で表される化合物(B0)を得る工程(以下、「工程B」ともいう)とを有する。
【0020】
本実施形態の化合物の製造方法により製造される化合物は、レジスト組成物用の酸発生剤として有用な化合物である。具体的には、該化合物は、アニオン部にEUVやEBに対する高い吸収断面積を有するヨウ素原子を有する。よって、従来のヨウ素原子を有さない酸発生剤よりもEUVやEBに対する感度を向上させることができる。また、アニオン部にヨウ素原子を有するため、現像液に対する溶解性も適度に調整できる。
したがって、レジスト組成物に該化合物を含有させることで、リソグラフィー特性をより向上させることができる。
【0021】
<工程A>
工程Aは、下記一般式(C-1)で表される化合物(以下、「化合物(C1)」ともいう)、及び、下記一般式(C-2)で表される化合物(以下、「化合物(C2)」ともいう)を縮合反応させて、下記一般式(b0-p)で表される化合物(B0p)(以下、「化合物(B0p)」ともいう)を得る工程である。
【0022】
【化4】
[式中、X
0は、臭素原子又はヨウ素原子である。R
mは、ヒドロキシ基、アルキル基、フッ素原子、又は、塩素原子である。nb1は、1~5の整数であり、nb2は、0~4の整数であり、1≦nb1+nb2≦5である。a及びbは、一方は、ヒドロキシ基であり、他方は、カルボキシ基である。zは、0~10の整数である。L
02は、単結合、アルキレン基、-O-、-CO-、-OCO-、-COO-、-SO
2-、-N(R
a)-C(=O)-、-N(R
a)-、-C(R
a)(R
a)-N(R
a)-、-C(R
a)(N(R
a)(R
a))-、又は、-C(=O)-N(R
a)-である。R
aは、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基である。Vb
0は、単結合、アルキレン基又はフッ素化アルキレン基である。R
0は、水素原子、炭素数1~5のフッ素化アルキル基又はフッ素原子である。Mp
m’
+は、金属カチオン、又は、LogPが4.8以下の有機アンモニウムカチオンである。m’は1以上の整数である。L
001は、エステル結合[-C(=O)-O-、-O-C(=O)-]である。]
【0023】
≪化合物(C1)≫
化合物(C1)は、下記一般式(C-1)で表される化合物である。
【0024】
【化5】
[式(C-1)中、X
0は、臭素原子又はヨウ素原子である。R
mは、ヒドロキシ基、アルキル基、フッ素原子、又は、塩素原子である。nb1は、1~5の整数であり、nb2は、0~4の整数であり、1≦nb1+nb2≦5である。aは、ヒドロキシ基、又は、カルボキシ基である。]
【0025】
上記一般式(C-1)中、X0は、臭素原子又はヨウ素原子であり、ヨウ素原子であることが好ましい。
【0026】
上記一般式(C-1)中、Rmは、ヒドロキシ基、アルキル基、フッ素原子、又は、塩素原子である。Rmにおけるアルキル基としては、炭素原子数1~5のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。
上記一般式(C-1)中、Rmは、上記の中でも、ヒドロキシ基、又は、フッ素原子であることが好ましい。
【0027】
上記一般式(C-1)中、nb1は、1~5の整数であり、nb2は、0~4の整数であり、1≦nb1+nb2≦5である。
nb1は、1~3の整数であることが好ましい。
nb2は、0~3の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。
【0028】
上記一般式(C-1)中、aは、ヒドロキシ基、又は、カルボキシ基であり、a及び後述するbは、一方は、ヒドロキシ基であり、他方は、カルボキシ基である。
【0029】
本実施形態の化合物の製造方法における化合物(C1)の具体例を以下に示す。
【0030】
【0031】
≪化合物(C2)≫
化合物(C2)は、下記一般式(C-2)で表される化合物である。
【0032】
【化7】
[式(C-2)中、bは、ヒドロキシ基、又は、カルボキシ基である。zは、0~10の整数である。L
02は、単結合、アルキレン基、-O-、-CO-、-OCO-、-COO-、-SO
2-、-N(R
a)-C(=O)-、-N(R
a)-、-C(R
a)(R
a)-N(R
a)-、-C(R
a)(N(R
a)(R
a))-、又は、-C(=O)-N(R
a)-である。R
aは、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基である。Vb
0は、単結合、アルキレン基又はフッ素化アルキレン基である。R
0は、水素原子、炭素数1~5のフッ素化アルキル基又はフッ素原子である。Mp
m’
+は、金属カチオン、又は、LogPが4.8以下の有機アンモニウムカチオンである。m’は1以上の整数である。]
【0033】
上記一般式(C-2)中、bは、ヒドロキシ基、又は、カルボキシ基であり、上述したa及びbは、一方は、ヒドロキシ基であり、他方は、カルボキシ基である。
【0034】
上記一般式(C-2)中、zは、0~10の整数であり、0~5の整数であることが好ましく、0~3の整数であることがより好ましい。
【0035】
上記一般式(C-2)中、L02は、単結合、アルキレン基、-O-、-CO-、-OCO-、-COO-、-SO2-、-N(Ra)-C(=O)-、-N(Ra)-、-C(Ra)(Ra)-N(Ra)-、-C(Ra)(N(Ra)(Ra))-、又は、-C(=O)-N(Ra)-である。Raは、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基である。
L02におけるアルキレン基、及び、Raにおけるアルキル基は、それぞれ、炭素原子数1~4であることが好ましく、炭素原子数1~3であることがより好ましい。
【0036】
上記一般式(C-2)中、L02は、上記の中でも、単結合、-OCO-、又は、-COO-であることが好ましく、単結合、又は、-COO-であることがより好ましく、単結合であることがさらに好ましい。
【0037】
上記一般式(C-2)中、Vb0は、アルキレン基、フッ素化アルキレン基又は単結合である。
Vb0におけるアルキレン基、フッ素化アルキレン基は、それぞれ、炭素原子数1~4であることが好ましく、炭素原子数1~3であることがより好ましい。Vb0におけるフッ素化アルキレン基としては、アルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。なかでも、Vb0は、炭素原子数1~4のアルキレン基、炭素原子数1~4のフッ素化アルキレン基又は単結合であることが好ましく、炭素原子数1~3のアルキレン基の水素原子の一部がフッ素原子で置換された基又は単結合であることがより好ましい。
【0038】
上記一般式(C-2)中、R0は、水素原子、炭素数1~5のフッ素化アルキル基又はフッ素原子である。R0は、フッ素原子又は炭素原子数1~5のパーフルオロアルキル基であることが好ましく、フッ素原子がより好ましい。
【0039】
上記一般式(C-2)中、Mpm’+は、金属カチオン、又は、LogPが4.8以下の有機アンモニウムカチオンである。m’は1以上の整数である。
【0040】
・金属カチオン
金属カチオンとしては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ルビジウムイオン、ストロンチウムイオン、イットリウムイオン等が挙げられる。
その中でも、アルカリ金属イオン、又は、アルカリ土類金属イオンであることが好ましく、アルカリ金属イオンであることがより好ましく、ナトリウムイオン又はリチウムイオンがさらに好ましく、ナトリウムイオンが特に好ましい。
【0041】
・LogPが4.8以下の有機アンモニウムカチオン
有機アンモニウムカチオンとしては、LogPが4.8以下であれば、特に限定されない。なお、該有機アンモニウムカチオンの下限値は、特に限定されず、例えば、-1.0以上である。
【0042】
「LogP値」とは、オクタノール/水分配係数(Pow)の対数値をいう。「LogP値」は、広範囲の化合物に対し、その親水性/疎水性を特徴づけることのできる有効なパラメータである。一般的には、実験によらず計算によって分配係数は求められ、本発明においては、CAChe Work System Pro Version 6.1.12.33により計算された値を意味する。
LogP値が0をはさんでプラス側に大きくなると疎水性が増し、マイナス側で絶対値が大きくなると水溶性が増す(高極性である)ことを意味する。LogP値は、有機化合物の水溶性と負の相関があり、有機化合物の親疎水性を見積もるパラメータとして広く利用されている。
【0043】
本実施形態の化合物の製造方法における化合物(C2)のカチオン部が有機アンモニウムカチオンであり、かつ、LogPが4.8以下である場合、後述する工程Bの反応が円滑に進行し、収率が向上する。また、不純物少なく目的の化合物を得ることができる。
【0044】
該有機アンモニウムカチオンとして、具体的には、下記一般式(ca-p-1)で表されるカチオン、又は、下記一般式(ca-p-2)で表されるカチオン等が挙げられる。
【0045】
【化8】
[式中、R
1~R
4は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭化水素基、又は、水素原子である。但し、R
1~R
4のうち、少なくとも1つは置換基を有してもよい炭化水素基である。R
11は、当該R
11が結合した窒素原子と共に芳香環を形成する基であり、R
12は、アルキル基、又は、ハロゲン原子であり、yは0~5の整数である。]
【0046】
上記一般式(ca-p-1)中、R1~R4は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭化水素基、又は、水素原子である。R1~R4における炭化水素基としては、それぞれ独立に、炭素原子数1~15の炭化水素基が好ましく、炭素原子数1~10の炭化水素基がより好ましい。また、R1~R4における炭化水素基の炭素原子数の合計は、1~20であることが好ましく、3~18であることがより好ましく、4~15であることがさらに好ましい。
【0047】
該炭化水素基としては、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は環状の炭化水素基が挙げられる。
【0048】
該直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基としては、炭素原子数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基であることがより好ましい。
【0049】
該環状の炭化水素基としては、肪族炭化水素基でも芳香族炭化水素基でもよい。
環状の肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素原子数3~6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
【0050】
環状の芳香族炭化水素基としては、フェニル基が好ましい。
【0051】
R1~R4における炭化水素基が有してもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、オキソ基(=O)、アミノ基等が挙げられる。
【0052】
上記一般式(ca-p-2)中、R11は、当該R11が結合した窒素原子と共に芳香環を形成する基である。該芳香環は、4~7員環が好ましく、4~6員環がより好ましく、6員環がさらに好ましい。
【0053】
上記一般式(ca-p-2)中、R12はアルキル基であり、上記R1~R4における直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基と同様のものが挙げられる。
【0054】
上記一般式(ca-p-2)中、yは0~5の整数であり、1又は0であることが好ましく、0であることがより好ましい。
【0055】
化合物(C2)のカチオン部の具体例、及び、CAChe Work System Pro Version 6.1.12.33により計算されたLogP値を以下に示す。
【0056】
【0057】
【0058】
上記一般式(C-2)中、Mpm’+は、上記の中でも、より不純物が少なく、高収率で目的の化合物を製造できる観点から、LogPが4.8以下の有機アンモニウムカチオンであることが好ましく、LogPが4.8以下の上記一般式(ca-p-1)又は(ca-p-2)で表されるカチオンがより好ましい。
【0059】
本実施形態の化合物の製造方法における化合物(C2)の具体例を以下に示す。
【0060】
【0061】
【0062】
≪化合物(B0p)≫
化合物(B0p)は、上述した化合物(C1)及び化合物(C2)縮合反応させることにより得られる、下記一般式(b0-p)で表される化合物である。
【0063】
【化13】
[式中、X
0は、臭素原子又はヨウ素原子である。L
001は、エステル結合[-C(=O)-O-、-O-C(=O)-]である。R
mは、ヒドロキシ基、アルキル基、フッ素原子、又は、塩素原子である。nb1は、1~5の整数であり、nb2は、0~4の整数であり、1≦nb1+nb2≦5である。zは、0~10の整数である。L
02は、単結合、アルキレン基、-O-、-CO-、-OCO-、-COO-、-SO
2-、-N(R
a)-C(=O)-、-N(R
a)-、-C(R
a)(R
a)-N(R
a)-、-C(R
a)(N(R
a)(R
a))-、又は、-C(=O)-N(R
a)-である。R
aは、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基である。Vb
0は、単結合、アルキレン基又はフッ素化アルキレン基である。R
0は、水素原子、炭素数1~5のフッ素化アルキル基又はフッ素原子である。Mp
m’
+は、金属カチオン、又は、LogPが4.8以下の有機アンモニウムカチオンである。m’は1以上の整数である。]
【0064】
上記一般式(b0-p)中のX0、Rm、nb1及びnb2は、上述した一般式(C-1)中のX0、Rm、nb1及びnb2とそれぞれ同一である。
【0065】
上記一般式(b0-p)中のz、L02、Vb0、R0、Mpm’+及びm’は、上述した一般式(C-2)中のz、L02、Vb0、R0、Mpm’+及びm’とそれぞれ同一である。
【0066】
上記一般式(b0-p)中のL001は、上述した化合物(C1)におけるaと、化合物(C2)におけるbとが縮合反応することにより形成されるエステル結合[-C(=O)-O-、-O-C(=O)-]である。
【0067】
本実施形態の化合物の製造方法における化合物(B0p)の具体例を以下に示す。
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
工程Aにおける縮合反応は、縮合剤及び塩基触媒(添加剤)存在下で行ってもよい。
縮合剤として、具体的には、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、カルボニルジイミダゾール(CDI)等が挙げられる。
塩基触媒としては、具体的には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどの三級アミン類、ピリジン、ピロリジノピリジン、4-(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)などの芳香族アミン類、ジアザビシクロノネン(DBN)、ジアザビシクロウンデセン(DBU)等が挙げられる。
【0073】
また、工程Aにおける縮合反応は、酸触媒存在下で行ってもよい。
酸触媒としては、具体的には、五酸化二リン、メタンスルホン酸等が挙げられる。
【0074】
工程Aの反応時間は、例えば、5分間以上24時間以下が好ましく、10~120分間がより好ましく、10~60分間がさらに好ましい。
工程Aの反応温度は、0~50℃が好ましく、10~30℃がより好ましい。
【0075】
工程Aの反応溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、プロピオニトリル、N,N’-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0076】
縮合反応が終了した後、反応液中の化合物を単離、精製してもよい。単離、精製には、従来公知の方法が利用でき、例えば、濃縮、溶媒抽出、蒸留、結晶化、再結晶、クロマトグラフィー等を適宜組み合わせて用いることができる。
【0077】
<工程B>
工程Bは、上述した化合物(B0p)、及び、下記一般式(C-3)で表される化合物をイオン交換反応させて、下記一般式(b0)で表される化合物(B0)を得る工程である。
【0078】
【化18】
[式中、X
0は、臭素原子又はヨウ素原子である。R
mは、ヒドロキシ基、アルキル基、フッ素原子、又は、塩素原子である。nb1は、1~5の整数であり、nb2は、0~4の整数であり、1≦nb1+nb2≦5である。L
001は、エステル結合[-C(=O)-O-、-O-C(=O)-]である。zは、0~10の整数である。L
02は、単結合、アルキレン基、-O-、-CO-、-OCO-、-COO-、-SO
2-、-N(R
a)-C(=O)-、-N(R
a)-、-C(R
a)(R
a)-N(R
a)-、-C(R
a)(N(R
a)(R
a))-、又は、-C(=O)-N(R
a)-である。R
aは、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基である。Vb
0は、単結合、アルキレン基又はフッ素化アルキレン基である。R
0は、水素原子、炭素数1~5のフッ素化アルキル基又はフッ素原子である。Mp
m’
+は、金属カチオン、又は、LogPが4.8以下の有機アンモニウムカチオンである。m’は1以上の整数である。X
-は、対アニオンである。M
m+は、m価の有機カチオンを表す。mは1以上の整数である。]
【0079】
≪化合物(C3)≫
化合物(C3)は、下記一般式(C-3)で表される化合物である。
【0080】
【化19】
[式中、X
-は、対アニオンである。M
m+は、m価の有機カチオンを表す。mは1以上の整数である。]
【0081】
上記一般式(C-3)中、X-は、対アニオンである。X-としては、化合物(B0p)よりも酸性度が低い酸になり得るイオンが挙げられ、具体的には、臭素イオン、塩素イオン等のハロゲンイオン、BF4
-、AsF6
-、SbF6
-、PF6
-、ClO4
-等が挙げられる。
【0082】
上記一般式(C-3)中、Mm+は、m価の有機カチオンを表す。mは1以上の整数である。この中でも、Mm+は、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオンが好ましい。
【0083】
好ましいカチオン部((Mm+)1/m)としては、下記の一般式(ca-1)~(ca-5)でそれぞれ表される有機カチオンが挙げられる。
【0084】
【化20】
[式中、R
201~R
207、およびR
211~R
212は、それぞれ独立に置換基を有してもよいアリール基、アルキル基またはアルケニル基を表す。R
201~R
203、R
206~R
207、R
211~R
212は、相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。R
208~R
209は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1~5のアルキル基を表す。R
210は、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、又は置換基を有してもよいSO
2-含有環式基である。L
201は、-C(=O)-または-C(=O)-O-を表す。Y
201は、それぞれ独立に、アリーレン基、アルキレン基またはアルケニレン基を表す。xは1または2である。W
201は(x+1)価の連結基を表す。]
【0085】
上記の一般式(ca-1)~(ca-5)中、R201~R207、およびR211~R212におけるアリール基としては、炭素原子数6~20の無置換のアリール基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
R201~R207、およびR211~R212におけるアルキル基としては、鎖状又は環状のアルキル基であって、炭素原子数1~30のものが好ましい。
R201~R207、およびR211~R212におけるアルケニル基としては、炭素原子数が2~10であることが好ましい。
R201~R207、およびR210~R212が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、カルボニル基、シアノ基、アミノ基、アリール基、下記の一般式(ca-r-1)~(ca-r-7)でそれぞれ表される基が挙げられる。
【0086】
【化21】
[式中、R’
201は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい環式基、置換基を有してもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有してもよい鎖状のアルケニル基である。]
【0087】
置換基を有してもよい環式基:
該環式基は、環状の炭化水素基であることが好ましく、該環状の炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。また、脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
【0088】
R’201における芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素原子数は3~30であることが好ましく、炭素原子数5~30がより好ましく、炭素原子数5~20がさらに好ましく、炭素原子数6~15が特に好ましく、炭素原子数6~10が最も好ましい。ただし、該炭素原子数には、置換基における炭素原子数を含まないものとする。
R’201における芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、又はこれらの芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環などが挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
R’201における芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香環から水素原子を1つ除いた基(アリール基:例えばフェニル基、ナフチル基など)、前記芳香環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(例えばベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、1-ナフチルエチル基、2-ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素原子数は、1~4であることが好ましく、炭素原子数1~2がより好ましく、炭素原子数1が特に好ましい。
【0089】
R’201における環状の脂肪族炭化水素基は、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基が挙げられる。
この構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を1個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、炭素原子数が3~20であることが好ましく、3~12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素原子数3~6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素原子数7~30のものが好ましい。中でも、該ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の架橋環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカン;ステロイド骨格を有する環式基等の縮合環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカンがより好ましい。
【0090】
なかでも、R’201における環状の脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンまたはポリシクロアルカンから水素原子を1つ以上除いた基が好ましく、ポリシクロアルカンから水素原子を1つ除いた基がより好ましく、アダマンチル基、ノルボルニル基が特に好ましく、アダマンチル基が最も好ましい。
【0091】
脂環式炭化水素基に結合してもよい、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素原子数が1~10であることが好ましく、炭素原子数1~6がより好ましく、炭素原子数1~4がさらに好ましく、炭素原子数1~3が特に好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[-CH2-]、エチレン基[-(CH2)2-]、トリメチレン基[-(CH2)3-]、テトラメチレン基[-(CH2)4-]、ペンタメチレン基[-(CH2)5-]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、-CH(CH3)-、-CH(CH2CH3)-、-C(CH3)2-、-C(CH3)(CH2CH3)-、-C(CH3)(CH2CH2CH3)-、-C(CH2CH3)2-等のアルキルメチレン基;-CH(CH3)CH2-、-CH(CH3)CH(CH3)-、-C(CH3)2CH2-、-CH(CH2CH3)CH2-、-C(CH2CH3)2-CH2-等のアルキルエチレン基;-CH(CH3)CH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2-等のアルキルトリメチレン基;-CH(CH3)CH2CH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2CH2-等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素原子数1~5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
【0092】
また、R’201における環状の炭化水素基は、複素環等のようにヘテロ原子を含んでもよい。具体的には、下記一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基、下記一般式(a5-r-1)~(a5-r-4)でそれぞれ表される-SO2-含有環式基、その他下記の化学式(r-hr-1)~(r-hr-16)でそれぞれ表される複素環式基が挙げられる。
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
R’201の環式基における置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。
置換基としてのアルキル基としては、炭素原子数1~5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基が最も好ましい。
置換基としてのアルコキシ基としては、炭素原子数1~5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、n-ブトキシ基、tert-ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、炭素原子数1~5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基等の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
置換基としてのカルボニル基は、環状の炭化水素基を構成するメチレン基(-CH2-)を置換する基である。
【0097】
置換基を有してもよい鎖状のアルキル基:
R’201の鎖状のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよい。
直鎖状のアルキル基としては、炭素原子数が1~20であることが好ましく、炭素原子数1~15であることがより好ましく、炭素原子数1~10が最も好ましい。
分岐鎖状のアルキル基としては、炭素原子数が3~20であることが好ましく、炭素原子数3~15であることがより好ましく、炭素原子数3~10が最も好ましい。具体的には、例えば、1-メチルエチル基、1-メチルプロピル基、2-メチルプロピル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基などが挙げられる。
【0098】
置換基を有してもよい鎖状のアルケニル基:
R’201の鎖状のアルケニル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよく、炭素原子数が2~10であることが好ましく、炭素原子数2~5がより好ましく、炭素原子数2~4がさらに好ましく、炭素原子数3が特に好ましい。直鎖状のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状のアルケニル基としては、例えば、1-メチルビニル基、2-メチルビニル基、1-メチルプロペニル基、2-メチルプロペニル基などが挙げられる。
鎖状のアルケニル基としては、上記の中でも、直鎖状のアルケニル基が好ましく、ビニル基、プロペニル基がより好ましく、ビニル基が特に好ましい。
【0099】
R’201の鎖状のアルキル基またはアルケニル基における置換基としては、たとえば、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、上記R’201における環式基等が挙げられる。
【0100】
R’201の置換基を有してもよい環式基、置換基を有してもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有してもよい鎖状のアルケニル基は、上述したものの他、置換基を有してもよい環式基又は置換基を有してもよい鎖状のアルキル基として、下記式(a1-r-2)で表される酸解離性基であってもよい。
【0101】
【化25】
[式中、Ra’
4~Ra’
6はそれぞれ炭化水素基であって、Ra’
5、Ra’
6は互いに結合して環を形成してもよい。]
【0102】
Ra’4~Ra’6の炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、鎖状もしくは環状のアルケニル基、又は、環状の炭化水素基が挙げられる。
【0103】
なかでも、R’201は、置換基を有してもよい環式基が好ましく、置換基を有してもよい環状の炭化水素基であることがより好ましい。より具体的には、例えば、フェニル基、ナフチル基、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;前記一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基;前記一般式(a5-r-1)~(a5-r-4)でそれぞれ表される-SO2-含有環式基などが好ましい。
【0104】
上記の一般式(ca-1)~(ca-5)中、R201~R203、R206~R207、R211~R212は、相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、硫黄原子、酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子や、カルボニル基、-SO-、-SO2-、-SO3-、-COO-、-CONH-または-N(RN)-(該RNは炭素原子数1~5のアルキル基である。)等の官能基を介して結合してもよい。形成される環としては、式中のイオウ原子をその環骨格に含む1つの環が、イオウ原子を含めて、3~10員環であることが好ましく、5~7員環であることが特に好ましい。形成される環の具体例としては、例えばチオフェン環、チアゾール環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、9H-チオキサンテン環、チオキサントン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、テトラヒドロチオフェニウム環、テトラヒドロチオピラニウム環等が挙げられる。
【0105】
R208~R209は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1~5のアルキル基を表し、水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基が好ましく、アルキル基となる場合、相互に結合して環を形成してもよい。
【0106】
R210は、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、又は置換基を有してもよいSO2-含有環式基である。
R210におけるアリール基としては、炭素原子数6~20の無置換のアリール基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
R210におけるアルキル基としては、鎖状又は環状のアルキル基であって、炭素原子数1~30のものが好ましい。
R210におけるアルケニル基としては、炭素原子数が2~10であることが好ましい。
R210における、置換基を有してもよいSO2-含有環式基としては、「-SO2-含有多環式基」が好ましく、上記一般式(a5-r-1)で表される基がより好ましい。
【0107】
Y201は、それぞれ独立に、アリーレン基、アルキレン基又はアルケニレン基を表す。
Y201におけるアリーレン基は、炭素原子数6~20の無置換のアリーレン基が挙げられる。
Y201におけるアルキレン基、アルケニレン基は、炭素原子数6~20の無置換のアルキレン基、アルケニレン基が挙げられる。
【0108】
前記式(ca-4)中、xは、1または2である。
W201は、(x+1)価、すなわち2価または3価の連結基である。
W201における2価の連結基としては、置換基を有してもよい2価の炭化水素基が例示できる。W201における2価の連結基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、環状であることが好ましい。なかでも、アリーレン基の両端に2個のカルボニル基が組み合わされた基が好ましい。アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられ、フェニレン基が特に好ましい。
W201における3価の連結基としては、前記W201における2価の連結基から水素原子を1個除いた基、前記2価の連結基にさらに前記2価の連結基が結合した基などが挙げられる。W201における3価の連結基としては、アリーレン基に2個のカルボニル基が結合した基が好ましい。
【0109】
前記式(ca-1)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記の化学式(ca-1-1)~(ca-1-72)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
【0110】
【0111】
【0112】
【化28】
[式中、g1、g2、g3は繰返し数を示し、g1は1~5の整数であり、g2は0~20の整数であり、g3は0~20の整数である。]
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
【化32】
[式中、R”
201は水素原子又は置換基であって、該置換基としては前記R
201~R
207、およびR
210~R
212が有していてもよい置換基として挙げたものと同様である。]
【0117】
前記式(ca-2)で表される好適なカチオンとして具体的には、ジフェニルヨードニウムカチオン、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムカチオン等が挙げられる。
【0118】
前記式(ca-3)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記式(ca-3-1)~(ca-3-6)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
【0119】
【0120】
前記式(ca-4)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記式(ca-4-1)~(ca-4-2)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
【0121】
【0122】
前記式(ca-5)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記一般式(ca-5-1)~(ca-5-3)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
【0123】
【0124】
上記の中でも、カチオン部((Mm+)1/m)は、一般式(ca-1)又は(ca-2)で表されるカチオンが好ましい。
【0125】
≪化合物(B0)≫
化合物(B0)は、上述した化合物(B0p)、及び、化合物(C3)イオン交換反応させることにより得られる、下記一般式(b0)で表される化合物である。
【0126】
【化36】
[式中、X
0は、臭素原子又はヨウ素原子である。R
mは、ヒドロキシ基、アルキル基、フッ素原子、又は、塩素原子である。nb1は、1~5の整数であり、nb2は、0~4の整数であり、1≦nb1+nb2≦5である。L
001は、エステル結合[-C(=O)-O-、-O-C(=O)-]である。zは、0~10の整数である。L
02は、単結合、アルキレン基、-O-、-CO-、-OCO-、-COO-、-SO
2-、-N(R
a)-C(=O)-、-N(R
a)-、-C(R
a)(R
a)-N(R
a)-、-C(R
a)(N(R
a)(R
a))-、又は、-C(=O)-N(R
a)-である。R
aは、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基である。Vb
0は、単結合、アルキレン基又はフッ素化アルキレン基である。R
0は、水素原子、炭素数1~5のフッ素化アルキル基又はフッ素原子である。M
m+は、m価の有機カチオンを表す。mは1以上の整数である。]
【0127】
化合物(B0)のアニオン部は、上述した化合物(B0p)のアニオン部と同一である。
化合物(B0)のカチオン部は、上述した化合物(C3)のカチオン部と同一である。
【0128】
本実施形態の化合物の製造方法における化合物(B0)の具体例を以下に示す。
【0129】
【0130】
【0131】
【0132】
【0133】
工程Bの反応時間は、例えば、0.5分間以上24時間以下が好ましく、5分間以上12時間以下がより好ましく、10~60分間がさらに好ましい。
工程Bの反応温度は、0~50℃が好ましく、10~30℃がより好ましい。
【0134】
工程Bの反応溶媒としては、例えば、有機溶媒と水との混合溶媒であることが好ましい。該有機溶媒としては、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒;テトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒、プロピオニトリル又はこれらの混合溶剤等が挙げられる。
【0135】
塩交換反応が終了した後、反応液中の化合物を単離、精製してもよい。単離、精製には、従来公知の方法が利用でき、例えば、濃縮、溶媒抽出、蒸留、結晶化、再結晶、クロマトグラフィー等を適宜組み合わせて用いることができる。
上記のようにして得られる化合物の構造は、1H-核磁気共鳴(NMR)スペクトル法、13C-NMRスペクトル法、19F-NMRスペクトル法、赤外線吸収(IR)スペクトル法、質量分析(MS)法、元素分析法、X線結晶回折法等の一般的な有機分析法により同定できる。
【0136】
各工程で用いられる原料は、市販のものを用いてもよく、合成したものを用いてもよい。
【0137】
以上説明した本実施形態の化合物の製造方法は、工程Aにおいて、縮合反応を採用しているため、従来の製造方法(例えば、カルボキシラートアニオンとハロゲン化アルキルによるSN2反応)に比べて、化合物(B0p)の収率を向上させることができる。
加えて、工程Bにおいて、該化合物(B0p)と反応させる化合物(C3)のカチオン部として、金属カチオン、又は、LogPが4.8以下の有機アンモニウムカチオンという比較的親水性の高いカチオンを採用しているため、工程Bのイオン交換反応が円滑に進行し、化合物(B0)の収率を向上させることができる。
したがって、本実施形態の化合物の製造方法によれば、レジスト組成物用の酸発生剤として有用な化合物を高収率で得ることができる。
また、化合物(B0p)と反応させる化合物(C3)のカチオン部として、LogPが4.8以下の有機アンモニウムカチオン有するものを採用した場合、レジスト組成物用の酸発生剤として有用な化合物をより不純物(例えば、異性体、金属)が少なく高収率で得ることができる。
【0138】
(中間体)
本実施形態の中間体は、上述した化合物の製造方法に用いられる中間体であって、下記一般式(b0-p)で表される、中間体である。
【0139】
【化41】
[式中、X
0は、臭素原子又はヨウ素原子である。R
mは、ヒドロキシ基、アルキル基、フッ素原子、又は、塩素原子である。nb1は、1~5の整数であり、nb2は、0~4の整数であり、1≦nb1+nb2≦5である。L
001は、エステル結合[-C(=O)-O-、-O-C(=O)-]である。zは、0~10の整数である。L
02は、単結合、アルキレン基、-O-、-CO-、-OCO-、-COO-、-SO
2-、-N(R
a)-C(=O)-、-N(R
a)-、-C(R
a)(R
a)-N(R
a)-、-C(R
a)(N(R
a)(R
a))-、又は、-C(=O)-N(R
a)-である。R
aは、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基である。Vb
0は、単結合、アルキレン基又はフッ素化アルキレン基である。R
0は、水素原子、炭素数1~5のフッ素化アルキル基又はフッ素原子である。Mp
m’
+は、金属カチオン、又は、LogPが4.8以下の有機アンモニウムカチオンである。m’は1以上の整数である。]
【0140】
本実施形態の中間体は、上述した化合物(B0p)と同一である。
本実施形態の中間体は、上述した化合物の製造方法の途中で製造される化合物であり、本実施形態の中間体を経由して、化合物(B0)を製造することによって、化合物(B0)の収率を向上させることができる。
【0141】
(化合物)
本実施形態の化合物は、下記一般式(b0-p-1)で表される、化合物である。
【0142】
【化42】
[式中、X
0は、臭素原子又はヨウ素原子である。R
mは、ヒドロキシ基、アルキル基、フッ素原子、又は、塩素原子である。nb1は、1~5の整数であり、nb2は、0~4の整数であり、1≦nb1+nb2≦5である。L
001は、エステル結合[-C(=O)-O-、-O-C(=O)-]である。zは、0~10の整数である。Vb
0は、単結合、アルキレン基又はフッ素化アルキレン基である。R
0は、水素原子、炭素数1~5のフッ素化アルキル基又はフッ素原子である。Mp
m’
+は、金属カチオン、又は、LogPが4.8以下の有機アンモニウムカチオンである。m’は1以上の整数である。]
【0143】
本実施形態の化合物は、上述した化合物(B0p)のL02が単結合である化合物である。本実施形態の化合物の好ましい態様は、上述した化合物(B0p)のL02が単結合であることに限定されたこと以外は、上述した化合物(B0p)と同様である。
本実施形態の化合物は、上述した化合物の製造方法の途中で製造される化合物であり、本実施形態の化合物を経由して、化合物(B0)を製造することによって、化合物(B0)の収率をより向上させることができる。
【0144】
本実施形態の化合物の製造方法としては、下記一般式(C-1)で表される化合物、及び、下記一般式(C’-2)で表される化合物を縮合反応させて得ることができる。
本実施形態の化合物の製造方法は、上述した工程Aと同様である。
【0145】
【化43】
[式中、X
0は、臭素原子又はヨウ素原子である。R
mは、ヒドロキシ基、アルキル基、フッ素原子、又は、塩素原子である。nb1は、1~5の整数であり、nb2は、0~4の整数であり、1≦nb1+nb2≦5である。a及びbは、一方は、ヒドロキシ基であり、他方は、カルボキシ基である。L
001は、エステル結合[-C(=O)-O-、-O-C(=O)-]である。zは、0~10の整数である。Vb
0は、単結合、アルキレン基又はフッ素化アルキレン基である。R
0は、水素原子、炭素数1~5のフッ素化アルキル基又はフッ素原子である。Mp
m’
+は、金属カチオン、又は、LogPが4.8以下の有機アンモニウムカチオンである。m’は1以上の整数である。]
【実施例】
【0146】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0147】
本実施例では、化学式(C-1-1)で表される化合物を「化合物(C-1-1)」と表記し、他の化学式で表される化合物についても同様に表記する。
【0148】
以下に、原料として使用した化合物(C-1-1)~(C-1-14)、化合物(C-2-1)~(C-2-11)、化合物(X-1)~(X-3)、化合物(C-3-1)~(C-3-6)を示す。
なお、原料の組み合わせ、得られた中間体(化合物(B0p)等)、及び、最終目的物(化合物(B0)等)については、表1~4に示す。
また、化合物(C-2-1)~(C-2-11)、及び、化合物(X-1)については、カチオン部のLogP値を併記する。
【0149】
【0150】
【0151】
【0152】
【0153】
【0154】
<工程A:化合物(B0p)を得る工程>
(実施例1)
100mLナスフラスコに、化合物(C-1-1)を2.00g、D-1を1.06g、E-1を0.1g、化合物(C-2-1)を2.51g、CH2Cl2を10.0g入れ、室温下で撹拌した。原料の消失を確認後、減圧ろ過により固形分を除去した。ろ液を分液ロートに移し、3回水洗し、有機層を減圧濃縮した。濃縮残渣を酢酸エチル10gに加熱溶解した後に冷却し、tBuOMeを30g加え、固形分を析出させた。減圧ろ過により固形分をろ取し、減圧乾燥することにより化合物(B0p-1)を3.97g得た。
【0155】
【0156】
(実施例2~30、32~39)
使用した原料を表1~3に示す化合物に変更した以外は、実施例1の化合物(B0p-1)を得る工程と同様の方法で化合物(B0p-2)~(B0p-19)、(B0p-21)~(B0p-26)をそれぞれ得た。
【0157】
(実施例31)
100mLナスフラスコに五酸化二リンを1.80g、クロロホルムを15g、ジエチルエーテルを0.47g入れ、室温下で1時間撹拌した。化合物(C-1-14)を3.00g、化合物(C-2-7)を2.6g入れ、室温下で24時間撹拌した。原料の消失を確認後、分液ロートに移し4回水洗後、有機層を減圧濃縮した。濃縮残渣を酢酸エチル10gに加熱溶解したのちに冷却し、tBuOMe30gを加え、固形分を析出させた。減圧ろ過により固形分をろ取し、減圧乾燥することにより化合物(B0p-20)を4.58g得た。
【0158】
【0159】
(比較例1)
100mLナスフラスコに化合物(C-1-12)を22.00g、D-1を0.53g、E-1を0.05g、化合物(X-2)を0.50g、CH2Cl2を10.0g入れ、室温下で撹拌した。原料の消失を確認後、減圧ろ過により固形分を除去した。ろ液を分液ロートに移し、3回水洗し、有機層を減圧濃縮した。濃縮残渣を酢酸エチルに加熱溶解した後に冷却し、tBuOMeを30g加え、固形分を析出させた。減圧ろ過により固形分をろ取し、減圧乾燥することにより化合物(b1-pre)を1.96g得た。
次いで、100mL三口フラスコに化合物(b1-pre)を1.96g、亜硫酸水素ナトリウムを0.44g、亜硫酸ナトリウムを0.53g、水を10g加え、40時間加熱還流した。室温に冷却し、CH2Cl210gで3回抽出した。有機層を濃縮し、化合物(B0p-26)を1.28g得た。
【0160】
【0161】
(比較例2)
100mLナスフラスコに化合物(C-1-12)を22.00g、ヨウ化ナトリウムを0.60g、炭酸カリウムを0.55g、化合物(X-3)を1.50g、ジメチルホルムアミドを10.0g入れ、内温90℃で24時間加熱撹拌した。原料の消失を確認後、分液ロートに移し、CH2Cl230gと水30gとを加えて分液し、有機層を減圧濃縮した。濃縮残渣を酢酸エチルに加熱溶解したのちに冷却し、tBuOMe30gを加え、固形分を析出させた。減圧ろ過により固形分をろ取し、減圧乾燥することにより化合物(B0p-26)を1.85g得た。
【0162】
【0163】
(比較例3)
化合物(C-1-1)を化合物(C-1-12)に変更し、化合物(C-2-1)を上記化合物(X-1)に変更した以外は、実施例1の化合物(B0p-1)を得る工程と同様の方法で化合物(B1p-1)を得た。
【0164】
以下に、得られた化合物(B0p-1)~(B0p-26)、(B1p-1)をそれぞれ示す。
本実施例では、化学式(b0-p-1)で表される化合物を「化合物(B0p-1)」と表記し、他の化学式で表される化合物についても同様に表記する。
【0165】
【0166】
【0167】
【0168】
【0169】
【0170】
<工程B:化合物(B0)を得る工程>
(実施例1)
100mL分液ロートに、化合物(B0p-1)を3.97g、化合物(C-3-1)を2.19g、CH2Cl2を25g、水を25g入れ、分液した。水層を除去し、有機層を塩酸洗浄、水洗した後に減圧濃縮した。濃縮残渣をCH2Cl25gに溶解し、撹拌した。この溶液にtBuOMeを15g加え、結晶を析出させた。減圧ろ過により固形分をろ取し、減圧乾燥することにより化合物(B0-1)4.41gを得た。
【0171】
【0172】
(実施例2~36、比較例1~3)
実施例1の化合物(B0-1)の製造における化合物(B0p-1)と、塩交換用化合物(C-3-1)との組み合わせを、それぞれ上述した化合物(B0p-1)~(B0p-26)と、上記塩交換用化合物(C-3-1)~(C-3-6)に変更したこと以外は、上記の実施例1の化合物(B0-1)の製造方法と同様にして、以下に示す化合物(B0-2)~(B0-31)を得た。
【0173】
以下に、得られた化合物(B0-1)~(B0-31)をそれぞれ示す。
本実施例では、化学式(b0-1)で表される化合物を「化合物(B01)」と表記し、他の化学式で表される化合物についても同様に表記する。
【0174】
【0175】
【0176】
【0177】
【0178】
なお、上述した化合物(B0p-14)の原料として用いた化合物(C-2-11)は以下の方法で合成した。
100mLナスフラスコにButanoic acid,4-[(tetrahydro-2H-pyran-2-yl)oxy]-を2.00g、化合物D-1を1.2g、化合物E-1を0.2g、化合物(C-2-4)を2.5g、CH2Cl2を10.0g入れ、室温下で撹拌した。原料の消失を確認後、減圧ろ過により固形分を除去した。ろ液を分液ロートに移し、3回水洗し、有機層を減圧濃縮した。濃縮残渣を酢酸エチル10gに加熱溶解したのちに冷却し、tBuOMe30gを加え、固形分を析出させた。減圧ろ過により固形分をろ取し、減圧乾燥することにより中間体3.97gを得た。
この中間体を100mLナスフラスコに入れ、TsOH1.0g、ジクロロメタン10gを加えて室温下で撹拌した。原料消失を確認後、5%炭酸水素ナトリウム水溶液10gを加えて反応を停止し、分液ロートに移送した。水層を除去し、水で3回洗浄したのちに有機層を濃縮した。濃縮残渣を酢酸エチル10gに加熱溶解した後に冷却し、tBuOMe30gを加え、固形分を析出させた。減圧ろ過により固形分をろ取し、減圧乾燥することにより化合物(C-2-11)を3.80g得た。
【0179】
【0180】
上述した各例の化合物の製造方法で用いた原料、中間体(化合物(B0p)等)、最終的に得られる化合物(化合物(B0)等)を表1~4に示す。
【0181】
【0182】
【0183】
【0184】
【0185】
表1~4中、各略号はそれぞれ以下の意味を有する。
C-1-1~C-1-14:上述した化合物(C-1-1)~(C-1-14)
C-2-1~C-2-11:上述した化合物(C-2-1)~(C-2-11)
X-1~X-3:上述した化合物(X-1)~(X-3)
C-3-1~C-3-6:上述した化合物(C-3-1)~(C-3-6)
【0186】
D-1~D-7:下記化学式D-1~D-7でそれぞれ表される化合物D-1~D-7
E-1~E-3:下記化学式E-1~E-3でそれぞれ表される化合物E-1~E-3
【0187】
【0188】
【0189】
各例の化合物の製造方法における収率(工程Aの収率、工程Bの収率、総収率(工程Aの収率×工程Bの収率))、及び、下記測定方法により求めた異性体量、Na残量を表5~8に示す。
なお、比較例の製造方法は、工程A又は工程Bを有さないものであるが、便宜上、実施例の工程Aに相当する工程を工程Aと表記し、実施例の工程Bに相当する工程を工程Bと表記する。
【0190】
[異性体量の測定]
各例の化合物の製造方法によって得られた化合物について、LC-MSにより不純物量(異性体量)を定量した。「n.d.」は検出限界未満であったことを意味する。
【0191】
[Na残量の測定]
各例の化合物の製造方法によって得られた化合物について、ICP-MSによりNa残量を定量した。
【0192】
【0193】
【0194】
【0195】
【0196】
表5~8に示す通り、実施例1~39の化合物の製造方法は、比較例1~3の化合物の製造方法に比べて、高い収率で目的の化合物を製造できることが確認できた。
また、実施例の中でも、実施例1~37の化合物の製造方法は、化合物(C2)として、有機アンモニウム塩を用いているため、さらに、Na残量を低くすることができた。
【0197】
比較例1の化合物の製造方法は、化合物(C2)の代わりに化合物(X-2)を用いており、化合物(C1-1-12)と化合物(X-2)とを縮合反応させた後に、末端をスルホネート化する製造方法であるため、異性体が多く発生し、工程Aにおける収率が低かった。
比較例2の化合物の製造方法は、化合物(C2)の代わりに末端が塩素原子の化合物(X-3)を用いているため、工程Aにおける収率が低かった。
比較例3の化合物の製造方法は、化合物(C2)の代わりにカチオン部のLogP値が高く(LogP値:7.81)、比較的疎水性の高い化合物(X-1)を用いているため、塩交換反応が十分に進行せず、工程Bにおける収率が低かった。