(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-04
(45)【発行日】2025-04-14
(54)【発明の名称】ポリマー、レジスト組成物及びパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
C08F 220/30 20060101AFI20250407BHJP
C08F 212/14 20060101ALI20250407BHJP
G03F 7/039 20060101ALI20250407BHJP
G03F 7/038 20060101ALI20250407BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20250407BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20250407BHJP
【FI】
C08F220/30
C08F212/14
G03F7/039 601
G03F7/038 601
G03F7/004 501
G03F7/004 504
G03F7/20 501
G03F7/20 521
(21)【出願番号】P 2022012110
(22)【出願日】2022-01-28
【審査請求日】2024-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】福島 将大
(72)【発明者】
【氏名】提箸 正義
(72)【発明者】
【氏名】小林 知洋
(72)【発明者】
【氏名】大友 雄太郎
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 幸士
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-200634(JP,A)
【文献】特開2018-25778(JP,A)
【文献】特開2021-128331(JP,A)
【文献】特開2019-99553(JP,A)
【文献】特開2020-112784(JP,A)
【文献】特開2011-157313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 220/30
G03F 7/004
G03F 7/039
G03F 7/038
C08F 212/14
G03F 7/20
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光により酸を発生し、その酸の作用によって現像液に対する溶解性が変化するポリマーであって、
下記式(A-1)で表される繰り返し単位と下記式(B-1)~(B-4)のいずれか1つ以上で表される繰り返し単位とを含むものであることを特徴とするポリマー。
【化1】
(式中、R
Aは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Z
Aは、単結合、(主鎖)-C(=O)-O-Z
A1-、又はフッ素原子を含んでもよい炭素数1~10のアルコキシ基若しくはハロゲン原子を含んでもよいフェニレン基若しくはナフチレン基であり、Z
A1は、ヘテロ原子、フッ素原子を含んでもよい炭素数1~10のアルコキシ基、ヒドロキシ基、エーテル結合、エステル結合若しくはラクトン環を含んでもよい直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1~20のアルカンジイル基、フェニレン基、又はナフチレン基である。R
BとR
Cは、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1~10のヒドロカルビル基であり、R
BとR
Cが互いに結合して環構造を形成してもよい。R
1aはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1~5のアシル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5の含フッ素アルキル基、又は炭素数1~5の含フッ素アルコキシ基のいずれかである。R
1bはそれぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1~10のヒドロカルビル基である。n1は1又は2の整数、n2は0~2の整数、n3は0~5の整数、n4は0~2の整数である。
Z
1は、単結合又はフェニレン基である。
Z
2は、単結合、-C(=O)-O-Z
21-、-C(=O)-NH-Z
21-又は-O-Z
21-である。Z
21は、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基又はこれらを組み合わせて得られる2価の基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。
Z
3は、単結合、フェニレン基、ナフチレン基又は(主鎖)-C(=O)-O-Z
31-である。Z
31は、ヒドロキシ基、エーテル結合、エステル結合若しくはラクトン環を含んでもよい炭素数1~10の脂肪族ヒドロカルビレン基、又はフェニレン基若しくはナフチレン基である。
Z
4は、単結合、メチレン基、又は-Z
41-C(=O)-O-である。Z
41は、ヘテロ原子、エーテル結合、又はエステル結合を含んでもよい炭素数1~20のヒドロカルビレン基である。
Z
5は、単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基、トリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基、-C(=O)-O-Z
51-、-C(=O)-NH-Z
51-又は-O-Z
51-である。Z
51は、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでもよい。
R
21及びR
22は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。R
21とR
22とは、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。
L
11は、単結合、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合又はカーバメート結合である。
Rf
1及びRf
2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1~6のフッ素化アルキル基である。
Rf
3及びRf
4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1~6のフッ素化アルキル基である。
M
-は、非求核性対向イオンである。
A
+は、オニウムカチオンである。
cは、0~3の整数である。)
【請求項2】
前記式(A-1)で表される繰り返し単位は、下記式(A-2)で表される繰り返し単位であることを特徴とする請求項1に記載のポリマー。
【化2】
(式中、R
A、Z
A、R
B、R
C、R
1a、R
1b、n1、n2、n3は前記と同様である。)
【請求項3】
前記式(A-1)中のR
1aは、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基のいずれかであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポリマー。
【請求項4】
前記式(B-2)~(B-4)のA
+は、下記式(cation-1)又は(cation-2)で表されるカチオンであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のポリマー。
【化3】
(式中、R
11、R
12及びR
13は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1~30の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を表す。また、R
11、R
12及びR
13のいずれか2つが、互いに結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。R
14及びR
15は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1~30の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基である。)
【請求項5】
前記ポリマーは、下記式(a-1)又は(a-2)で表される繰り返し単位をさらに含むものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のポリマー。
【化4】
(式中、R
A、Z
Aは、前記と同じ。Z
Bは、単結合、(主鎖)-C(=O)-O-、又はエステル基、エーテル基、若しくはカルボニル基を含んでいてもよい炭素数1~10のアルカンジイル基である。R
bは、ヘテロ原子を含んでもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1~20のヒドロカルビル基、ハロゲン原子、フッ素を含んでもよいアルコキシ基、シアノ基である。pは、0~4の整数である。X
A及びX
Bはそれぞれ独立に、含フッ素芳香環を含まない酸不安定基である。)
【請求項6】
前記ポリマーは、下記式(C-1)で表される繰り返し単位をさらに含むものであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のポリマー。
【化5】
(式中、R
Aは、前記と同じ。Z
Bは、単結合又は(主鎖)-C(=O)-O-、又はエステル基、エーテル基、若しくはカルボニル基を含んでいてもよい炭素数1~10のアルカンジイル基である。R
b1は、ハロゲン原子、シアノ基、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビルオキシ基、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数2~20のヒドロカルビルカルボニル基、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数2~20のヒドロカルビルカルボニルオキシ基、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数2~20のヒドロカルビルオキシカルボニル基である。mは1~4、kは0~3、m+kは4以下の整数である。)
【請求項7】
前記ポリマーは、下記式(D-1)で表される繰り返し単位をさらに含むものであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のポリマー。
【化6】
(式中、R
A、Z
A、は、前記と同じ。Y
Aは、水素原子、又はヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、カルボキシ基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、スルホン酸アミド結合、カーボネート結合、ラクトン環、スルトン環、硫黄原子、及びカルボン酸無水物から選ばれる少なくとも1つ以上の構造を含む極性基である。)
【請求項8】
レジスト組成物であって、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のポリマーを含むものであることを特徴とするレジスト組成物。
【請求項9】
前記レジスト組成物は、さらに有機溶剤を含むものであることを特徴とする請求項8に記載のレジスト組成物。
【請求項10】
前記レジスト組成物は、さらに前記ポリマー鎖に結合した光酸発生剤以外の光酸発生剤を含むものであることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載のレジスト組成物。
【請求項11】
前記レジスト組成物は、さらにクエンチャーを含むものであることを特徴とする請求項8から請求項10のいずれか一項に記載のレジスト組成物。
【請求項12】
前記レジスト組成物は、さらに水に不溶又は難溶でアルカリ現像液に可溶な界面活性剤、及び/又は水及びアルカリ現像液に不溶又は難溶な界面活性剤を含むものであることを特徴とする請求項8から請求項11のいずれか一項に記載のレジスト組成物。
【請求項13】
パターン形成方法であって、
(i)請求項8から請求項12のいずれか一項に記載のレジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程と、
(ii)前記レジスト膜を高エネルギー線で露光する工程と、
(iii)露光した前記レジスト膜を現像液で現像する工程と
を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項14】
前記工程(ii)における前記高エネルギー線は、i線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、電子線又は波長3~15nmの極端紫外線とすることを特徴とする請求項13に記載のパターン形成方法。
【請求項15】
前記工程(iii)における前記現像液はアルカリ水溶液とし、露光部を溶解させ、未露光部が溶解しないポジ型パターンを得ることを特徴とする請求項13又は請求項14に記載のパターン形成方法。
【請求項16】
前記工程(iii)における前記現像液は有機溶剤とし、未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得ることを特徴とする請求項13又は請求項14に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー、レジスト組成物、及び該レジスト組成物を用いるパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、集積回路の高集積化に伴いより微細なパターン形成が求められ、0.2μm以下のパターンの加工ではもっぱら酸を触媒とした化学増幅レジストが使用されている。また、この際の露光源として紫外線、遠紫外線、電子線(EB)等の高エネルギー線が用いられるが、特に超微細加工技術として利用されている電子線リソグラフィーは、半導体製造用のフォトマスクを作製する際のフォトマスクブランクの加工方法としても不可欠となっている。
【0003】
酸性側鎖を有する芳香族骨格を多量に有するポリマー、例えばポリヒドロキシスチレンは、KrFエキシマレーザー用レジスト材料として有用に用いられてきたが、波長200nm付近の光に対して大きな吸収を示すため、ArFエキシマレーザー用レジスト用の材料としては使用されなかった。しかし、ArFエキシマレーザーによる加工限界よりも小さなパターンを形成するための有力な技術であるEBリソグラフィー用レジスト組成物や、極端紫外線(EUV)リソグラフィー用レジスト組成物としては、高いエッチング耐性が得られる点で重要な材料である。
【0004】
ポジ型のEBリソグラフィー用レジスト組成物や、EUVリソグラフィー用レジスト組成物のベースポリマーとしては、高エネルギー線を照射することで光酸発生剤より発生した酸を触媒として、ベースポリマーが持つフェノール側鎖の酸性官能基をマスクしている酸分解性保護基を脱保護させて、アルカリ性現像液に可溶化する材料が主に用いられている。また、前記酸分解性保護基として、3級アルキル基、tert-ブトキシカルボニル基、アセタール基等が主として用いられてきた。ここで、アセタール基のような脱保護に必要な活性化エネルギーが比較的小さい保護基を用いると、高感度のレジスト膜が得られるという利点があるものの、発生する酸の拡散の抑制が十分でないと、レジスト膜中の露光していない部分においても脱保護反応が起きてしまい、ラインエッジラフネス(LER)の劣化やパターンの面内均一性(CDU)の低下を招くという問題があった。
【0005】
レジスト感度やパターンプロファイルの制御は、レジスト組成物に使用する材料の選択や組み合わせ、プロセス条件等によって種々の改善がなされてきた。その改良の1つとして、化学増幅レジスト組成物の解像性に重要な影響を与える酸の拡散の問題がある。この酸の拡散の問題は、感度と解像性に大きな影響を与えることから多くの検討がされてきている。
【0006】
また、感度向上のため、レジスト組成物のベースポリマーの酸不安定基に多重結合や芳香環を導入する試みもなされている。これらの置換基の導入によりある程度の性能向上は見られるものの、未だ満足のいく結果は得られていない。酸脱離反応後に生成するアリルカチオンやベンジルカチオンは通常のカルボカチオンよりも安定性が増すため、酸脱離反応後に1級、又は2級のベンジルカチオンが生成する設計のベースポリマーも検討されているが、酸に対する反応性が不十分なため満足な性能向上には至っていない。逆に、酸脱離反応後に生成する3級アリルカチオンや3級ベンジルカチオンは酸に対する反応性が高く、ベースポリマーの重合時に一部熱的な脱離反応が進行することも確認されており、ポリマー製造プロセスでの課題も残されている(特許文献1~12)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2013-53196号公報
【文献】特開2018-92159号公報
【文献】特開2008-268741号公報
【文献】特開2019-120759号公報
【文献】特開2020-085917号公報
【文献】特許6782569号公報
【文献】特開2019-214554号公報
【文献】特開2002-156761号公報
【文献】特開2006-030232号公報
【文献】特開2019-008287号公報
【文献】特開2019-038998号公報
【文献】特開2019-074733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記事情に鑑みなされたもので、特に高エネルギー線において、高感度・高解像性・高コントラストで、かつパターン幅のバラツキ(LWR)及びパターンの面内均一性(CDU)が小さいパターン形成が可能となるポリマー、レジスト組成物、及びこれを用いるパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明では、
露光により酸を発生し、その酸の作用によって現像液に対する溶解性が変化するポリマーであって、
下記式(A-1)で表される繰り返し単位と下記式(B-1)~(B-4)のいずれか1つ以上で表される繰り返し単位とを含むものであるポリマー
を提供する。
【化1】
(式中、R
Aは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Z
Aは、単結合、(主鎖)-C(=O)-O-Z
A1-、又はフッ素原子を含んでもよい炭素数1~10のアルコキシ基若しくはハロゲン原子を含んでもよいフェニレン基若しくはナフチレン基であり、Z
A1は、ヘテロ原子、フッ素原子を含んでもよい炭素数1~10のアルコキシ基、ヒドロキシ基、エーテル結合、エステル結合若しくはラクトン環を含んでもよい直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1~20のアルカンジイル基、フェニレン基、又はナフチレン基である。R
BとR
Cは、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1~10のヒドロカルビル基であり、R
BとR
Cが互いに結合して環構造を形成してもよい。R
1aはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1~5のアシル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5の含フッ素アルキル基、又は炭素数1~5の含フッ素アルコキシ基のいずれかである。R
1bはそれぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1~10のヒドロカルビル基である。n1は1又は2の整数、n2は0~2の整数、n3は0~5の整数、n4は0~2の整数である。
Z
1は、単結合又はフェニレン基である。
Z
2は、単結合、-C(=O)-O-Z
21-、-C(=O)-NH-Z
21-又は-O-Z
21-である。Z
21は、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基又はこれらを組み合わせて得られる2価の基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。
Z
3は、単結合、フェニレン基、ナフチレン基又は(主鎖)-C(=O)-O-Z
31-である。Z
31は、ヒドロキシ基、エーテル結合、エステル結合若しくはラクトン環を含んでもよい炭素数1~10の脂肪族ヒドロカルビレン基、又はフェニレン基若しくはナフチレン基である。
Z
4は、単結合、メチレン基、又は-Z
41-C(=O)-O-である。Z
41は、ヘテロ原子、エーテル結合、又はエステル結合を含んでもよい炭素数1~20のヒドロカルビレン基である。
Z
5は、単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基、トリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基、-C(=O)-O-Z
51-、-C(=O)-NH-Z
51-又は-O-Z
51-である。Z
51は、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでもよい。
R
21及びR
22は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。R
21とR
22とは、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。
L
11は、単結合、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合又はカーバメート結合である。
Rf
1及びRf
2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1~6のフッ素化アルキル基である。
Rf
3及びRf
4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1~6のフッ素化アルキル基である。
M
-は、非求核性対向イオンである。
A
+は、オニウムカチオンである。
cは、0~3の整数である。)
【0010】
このようなポリマーは、フェノール性水酸基を含む酸不安定基を有する繰り返し単位Aによって現像液溶解性の変化に寄与し、ベースポリマー中の酸不安定単位と二次電子を生成する増感単位を同時に増やすことができる。また、露光により酸を発生する繰り返し単位Bによって、過度な酸拡散を抑制でき、且つ増感部位に発生した二次電子の拡散を抑制できる。
従って、このようなポリマーであれば、高エネルギー線において、高感度・高解像性・高コントラストを同時に達成でき、かつLWR及びCDUが小さいパターン形成が可能となるレジスト材料、並びにこれを用いるパターン形成方法を提供することができる。
【0011】
また、前記式(A-1)で表される繰り返し単位は、下記式(A-2)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
【化2】
(式中、R
A、Z
A、R
B、R
C、R
1a、R
1b、n1、n2、n3は前記と同様である。)
【0012】
このようなポリマーであれば、溶剤溶解性が良好なポリマーを得ることができる。
【0013】
また、前記式(A-1)中のR1aは、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基のいずれかであることが好ましい。
る。)
【0014】
このようなポリマーであれば、高エネルギー線リソグラフィーに良好なポリマーを得ることができる。
【0015】
また、前記式(B-2)~(B-4)のA
+は、下記式(cation-1)又は(cation-2)で表されるカチオンであることが好ましい。
【化3】
(式中、R
11、R
12及びR
13は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1~30の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を表す。また、R
11、R
12及びR
13のいずれか2つが、互いに結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。R
14及びR
15は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基である。)
【0016】
このようなポリマーであれば、高エネルギー線リソグラフィーに良好なポリマーを得ることができる。
【0017】
また、前記ポリマーは、下記式(a-1)又は(a-2)で表される繰り返し単位をさらに含むものであることが好ましい。
【化4】
(式中、R
A、Z
Aは、前記と同じ。Z
Bは、単結合、(主鎖)-C(=O)-O-、又はエステル基、エーテル基、若しくはカルボニル基を含んでいてもよい炭素数1~10のアルカンジイル基である。R
bは、ヘテロ原子を含んでもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1~20のヒドロカルビル基、ハロゲン原子、フッ素を含んでもよいアルコキシ基、シアノ基である。pは、0~4の整数である。X
A及びX
Bはそれぞれ独立に、含フッ素芳香環を含まない酸不安定基である。)
【0018】
このようなポリマーであれば、高エネルギー線リソグラフィーに良好なポリマーを得ることができる。
【0019】
また、前記ポリマーは、下記式(C-1)で表される繰り返し単位をさらに含むものであることが好ましい。
【化5】
(式中、R
Aは、前記と同じ。Z
Bは、単結合又は(主鎖)-C(=O)-O-、又はエステル基、エーテル基、若しくはカルボニル基を含んでいてもよい炭素数1~10のアルカンジイル基である。R
b1は、ハロゲン原子、シアノ基、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビルオキシ基、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数2~20のヒドロカルビルカルボニル基、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数2~20のヒドロカルビルカルボニルオキシ基、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数2~20のヒドロカルビルオキシカルボニル基である。mは1~4、kは0~3、m+kは4以下の整数である。)
【0020】
このようなポリマーであれば、高エネルギー線リソグラフィーに良好なポリマーを得ることができる。
【0021】
また、前記ポリマーは、下記式(D-1)で表される繰り返し単位をさらに含むものであることが好ましい。
【化6】
(式中、R
A、Z
A、は、前記と同じ。Y
Aは、水素原子、又はヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、カルボキシ基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、スルホン酸アミド結合、カーボネート結合、ラクトン環、スルトン環、硫黄原子、及びカルボン酸無水物から選ばれる少なくとも1つ以上の構造を含む極性基である。)
【0022】
このようなポリマーであれば、高エネルギー線リソグラフィーに良好なポリマーを得ることができる。
【0023】
また、本発明は、上記ポリマーを含むものであるレジスト組成物を提供する。
【0024】
このようなレジスト組成物であれば、高エネルギー線において、高感度・高解像性・高コントラストで、かつLWR及びCDUが小さいパターン形成が可能となるレジスト材料を提供することができる。
【0025】
また、前記レジスト組成物は、さらに有機溶剤を含むものであることが好ましい。
【0026】
このようなレジスト組成物であれば、高エネルギー線リソグラフィーに良好なレジスト組成物を得ることができる。
【0027】
また、前記レジスト組成物は、さらに前記ポリマー鎖に結合した光酸発生剤以外の光酸発生剤を含むものであることが好ましい。
【0028】
このようなレジスト組成物であれば、高エネルギー線リソグラフィーに良好なレジスト組成物を得ることができる。
【0029】
また、前記レジスト組成物は、さらにクエンチャーを含むものであることが好ましい。
【0030】
このようなレジスト組成物であれば、高エネルギー線リソグラフィーに良好なレジスト組成物を得ることができる。
【0031】
また、前記レジスト組成物は、さらに水に不溶又は難溶でアルカリ現像液に可溶な界面活性剤、及び/又は水及びアルカリ現像液に不溶又は難溶な界面活性剤を含むものであることが好ましい。
【0032】
このようなレジスト組成物であれば、高エネルギー線リソグラフィーに良好なレジスト組成物を得ることができる。
【0033】
また、本発明は、
(i)前記レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程と、
(ii)前記レジスト膜を高エネルギー線で露光する工程と、
(iii)露光した前記レジスト膜を現像液で現像する工程と
を含むパターン形成方法を提供する。
【0034】
このようなパターン形成方法であれば、高エネルギー線において、高感度・高解像性・高コントラストで、かつLWR及びCDUが小さいパターン形成方法を提供することができる。
【0035】
また、前記工程(ii)における前記高エネルギー線は、i線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、電子線又は波長3~15nmの極端紫外線であることが好ましい。
【0036】
本発明のパターン形成方法では、このような高エネルギー線を用いることができる。
【0037】
また、工程(iii)における前記現像液はアルカリ水溶液とし、露光部を溶解させ、未露光部が溶解しないポジ型パターンを得ることができる。
【0038】
また、工程(iii)における前記現像液は有機溶剤とし、未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得ることもできる。
【0039】
本発明のレジスト組成物は、現像液の選択により、ポジ型、ネガ型のいずれのパターンも形成することができる。
【発明の効果】
【0040】
以上のように、本発明のポリマー、これを含むレジスト組成物、及びパターン形成方法を用いることによって、高感度であり、LWRやCDUが小さく、コントラストが高く、解像性に優れ、プロセスマージンが広いレジストパターンを得ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
上述のように、酸を触媒とする化学増幅レジスト組成物において、更なる高感度・高解像性を実現し、かつラインのLWR及びホールのCDUを改善するレジスト組成物の開発が求められていた。
【0042】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、フェノール性水酸基を酸不安定基に有する繰り返し単位、及び露光により酸を発生する繰り返し単位を含むポリマーを含有するレジスト材料を用いることによって、高感度かつコントラストが高く、解像性に優れ、ラインパターンのLWRやホールパターンのCDUにも優れるプロセスマージンが広いパターン形成が可能となることを見出し、本発明を完成させた。
【0043】
即ち、本発明は、
露光により酸を発生し、その酸の作用によって現像液に対する溶解性が変化するポリマーであって、
下記式(A-1)で表される繰り返し単位と下記式(B-1)~(B-4)のいずれか1つ以上で表される繰り返し単位とを含むポリマーである。
【化7】
(式中、R
Aは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Z
Aは、単結合、(主鎖)-C(=O)-O-Z
A1-、又はフッ素原子を含んでもよい炭素数1~10のアルコキシ基若しくはハロゲン原子を含んでもよいフェニレン基若しくはナフチレン基であり、Z
A1は、ヘテロ原子、フッ素原子を含んでもよい炭素数1~10のアルコキシ基、ヒドロキシ基、エーテル結合、エステル結合若しくはラクトン環を含んでもよい直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1~20のアルカンジイル基、フェニレン基、又はナフチレン基である。R
BとR
Cは、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1~10のヒドロカルビル基であり、R
BとR
Cが互いに結合して環構造を形成してもよい。R
1aはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1~5のアシル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5の含フッ素アルキル基、又は炭素数1~5の含フッ素アルコキシ基のいずれかである。R
1bはそれぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1~10のヒドロカルビル基である。n1は1又は2の整数、n2は0~2の整数、n3は0~5の整数、n4は0~2の整数である。
Z
1は、単結合又はフェニレン基である。
Z
2は、単結合、-C(=O)-O-Z
21-、-C(=O)-NH-Z
21-又は-O-Z
21-である。Z
21は、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基又はこれらを組み合わせて得られる2価の基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。
Z
3は、単結合、フェニレン基、ナフチレン基又は(主鎖)-C(=O)-O-Z
31-である。Z
31は、ヒドロキシ基、エーテル結合、エステル結合若しくはラクトン環を含んでもよい炭素数1~10の脂肪族ヒドロカルビレン基、又はフェニレン基若しくはナフチレン基である。
Z
4は、単結合、メチレン基、又は-Z
41-C(=O)-O-である。Z
41は、ヘテロ原子、エーテル結合、又はエステル結合を含んでもよい炭素数1~20のヒドロカルビレン基である。
Z
5は、単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基、トリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基、-C(=O)-O-Z
51-、-C(=O)-NH-Z
51-又は-O-Z
51-である。Z
51は、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでもよい。
R
21及びR
22は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。R
21とR
22とは、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。
L
11は、単結合、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合又はカーバメート結合である。
Rf
1及びRf
2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1~6のフッ素化アルキル基である。
Rf
3及びRf
4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1~6のフッ素化アルキル基である。
M
-は、非求核性対向イオンである。
A
+は、オニウムカチオンである。
cは、0~3の整数である。)
【0044】
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0045】
[ポリマー(ベースポリマー)]
本発明のポリマーは、フェノール性水酸基を含む酸不安定基を有する繰り返し単位と、露光により酸を発生する繰り返し単位を含むものである。
【0046】
[フェノール性水酸基を含む酸不安定基を有する繰り返し単位A]
本発明のポリマー(ベースポリマー)はフェノール性水酸基を含む酸不安定基を有する繰り返し単位(以下、繰り返し単位Aともいう。)を含む。繰り返し単位Aとしては、下記式(A-1)で表されるものである。
【化8】
【0047】
式(A-1)中、RAは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
ZAは、単結合、(主鎖)-C(=O)-O-ZA1-、又はフッ素原子を含んでもよい炭素数1~10のアルコキシ基若しくはハロゲン原子を含んでもよいフェニレン基若しくはナフチレン基である。ZA1は、ヘテロ原子、フッ素原子を含んでもよい炭素数1~10のアルコキシ基、ヒドロキシ基、エーテル結合、エステル結合若しくはラクトン環を含んでいてもよい直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1~20のアルカンジイル基(脂肪族ヒドロカルビレン基)、フェニレン基、又はナフチレン基である。
【0048】
前記アルカンジイル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。具体的には、メタンジイル基、エタン-1,1-ジイル基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、ブタン-1,1-ジイル基、ブタン-1,2-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-2,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、1,1-ジメチルエタン-1,2-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、2-メチルブタン-1,2-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基等のアルカンジイル基;シクロプロパンジイル基、シクロブタン-1,1-ジイル基、シクロブタンジイル基、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基等のシクロアルカンジイル基;アダマンタンジイル基、ノルボルナンジイル基等の2価多環式飽和炭化水素基;及びこれらを組み合わせて得られる2価の基等が挙げられる。
【0049】
式(A-1)中のZ
Aを変えた構造としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
Aは前記と同様であり、破線は前記式(A-1)中のR
BとR
Cが結合する炭素原子との結合を表す。
【化9】
【0050】
【0051】
式(A-1)中、RBとRCは、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1~10のヒドロカルビル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2-エチルヘキシル基、n-オクチル基、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、アダマンチル基等のアルキル基が挙げられる。
【0052】
式(A-1)中、RBとRCは互いに結合して環構造を形成してもよい。具体的には、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環等を挙げることができる。これらの中で、シクロペンタン環、シクロヘキサン環であることが好ましい。
【0053】
式(A-1)中、n1は1又は2の整数を表す。このうち、n1=1であることが好ましい。
【0054】
式(A-1)中、R1aはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1~5のアシル基、炭素数1~5のアルコキシ基、又は炭素数1~5の含フッ素アルキル基、炭素数1~5の含フッ素アルコキシ基のいずれかである。これらの中で、フッ素原子又は炭素数1~5の含フッ素アルコキシ基であることが好ましく、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基であることが更に好ましい。
【0055】
式(A-1)中、n2は0~2の整数を表す。
【0056】
式(A-1)中、R1bは、それぞれ独立にヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1~10のヒドロカルビル基であり、具体的にはRBとRCと同様のものが挙げられる。
【0057】
n3は0~5の整数を表すが、0又は1であることが好ましい。
【0058】
n4は0~2の整数を表す。n4=0の時はベンゼン環、n4=1の時はナフタレン環、n4=2の時はアントラセン環を表すが、溶剤溶解性の観点からn4=0のベンゼン環であることが好ましい。
【0059】
式(A-1)で表される繰り返し単位Aは、更に下記式(A-2)で表されるものがより好ましい。
【化11】
(式中、R
A、Z
A、R
B、R
C、R
1a、R
1b、n1、n2、n3は前記と同様である。)
【0060】
[式(A-1)で表されるモノマーAの合成]
上記式(A-1)及び(A-2)で表される繰り返し単位Aは、例えば、下記スキームに従って得られるモノマーA-1から製造することができる。以下に例として、下記式(モノマーA-1)で表される単量体の合成に関して述べるが、合成方法はこれに限定されない。
【化12】
(式中、R
A、Z
A、R
B、R
C、R
1a、R
1b、n1、n2、n3、n4は前記と同様である。H
halはフッ素原子以外のハロゲン原子である。)
【0061】
第1工程は、市販品、又は公知の合成方法で合成可能なケトン化合物(原料1)に対し、Grignard試薬又は有機リチウム試薬を反応し、3級ベンジルアルコール(中間体1)を得る工程である。
【0062】
反応は、公知の有機合成方法で行うことができる。具体的には、市販品、又は公知の処方で調製したGrignard試薬又は有機リチウム試薬に対し、用いた溶媒で希釈したケトン化合物(原料1)を滴下する。反応温度は室温から用いる溶剤の沸点程度で行う。反応時間は、ガスクロマトグラフィー(GC)やシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)で反応を追跡して反応を完結させることが収率の点で望ましいが、通常30分~2時間程度である。反応混合物から通常の水系処理(aqueous work-up)により3級ベンジルアルコール(中間体1)を得ることができる。得られた3級ベンジルアルコール(中間体1)は、必要があれば、蒸留、クロマトグラフィー、再結晶等の常法に従って精製することができる。
【0063】
第2工程は、第1工程にて得られた3級ベンジルアルコール(中間体1)に対し、エステル結合を介して重合性基を導入し、中間体2を得る工程である。
【0064】
反応は、公知の有機合成方法で行うことができる。具体的には、中間体1の3級アルコールをトリエチルアミンやピリジン等の有機塩基存在下でトルエン、ヘキサン、THF、アセトニトリル等の溶媒に溶解し、メタクリル酸クロリドやアクリル酸クロリド等の酸ハロゲン化物を滴下して反応を行う。反応速度の促進のため、4-ジメチルアミノピリジンを添加してもよい。反応温度は5℃から用いる溶剤の沸点程度で行う。反応時間は、ガスクロマトグラフィー(GC)やシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)で反応を追跡して反応を完結させることが収率の点で望ましいが、通常1時間~24時間程度である。反応混合物から通常の水系処理(aqueous work-up)により中間体2を得ることができる。得られた中間体2は、必要があれば、蒸留、クロマトグラフィー、再結晶等の常法に従って精製することができる。
【0065】
第3工程は、第2工程にて得られた中間体2に対し、塩基を用いて芳香族エステル結合のみを加水分解して、モノマーA-1を得る工程である。
【0066】
反応は、公知の有機合成方法で行うことができる。具体的には、中間体2を1,4-ジオキサンやTHF等に溶解し、塩基を滴下して反応を行う。反応に用いる塩基としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、炭酸カリウム等の無機塩基の水溶液が挙げられる。反応温度は氷冷下から60℃の範囲で行うことが好ましい。反応時間は、ガスクロマトグラフィー(GC)やシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)で反応を追跡して反応を完結させることが収率の点で望ましいが、通常2時間~12時間程度である。反応終了後、酸を添加して反応を停止するが、用いる酸としては塩酸、硫酸、硝酸等の水溶液が挙げられる。反応停止の際は氷冷下で行うのが好ましい。反応混合物から通常の水系処理(aqueous work-up)によりモノマーA-1を得ることができる。得られたモノマーA-1は、必要があれば、蒸留、クロマトグラフィー、再結晶等の常法に従って精製することができる。
【0067】
上記式(A-1)及び(A-2)で表される繰り返し単位Aの具体的な構造としては下記のものを例示できるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RAは前記と同様である。
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
[露光により酸を発生する繰り返し単位B]
本発明のポリマーは、露光により酸を発生する繰り返し単位(以下、繰り返し単位Bともいう。)を含む。繰り返し単位Bとしては、下記式(B-1)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位B1ともいう。)、下記式(B-2)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位B2ともいう。)、下記式(B-3)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位B3ともいう。)及び下記式(B-4)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位B4ともいう。)のいずれか1つ以上である。
【化26】
【0082】
式(B-1)~(B-4)中、RAは、前記と同じ。Z1は、単結合又はフェニレン基である。Z2は、単結合、-C(=O)-O-Z21-、-C(=O)-NH-Z21-又は-O-Z21-である。Z21は、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基又はこれらを組み合わせて得られる2価の基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。Z3は、単結合、フェニレン基、ナフチレン基又は(主鎖)-C(=O)-O-Z31-である。Z31は、ヒドロキシ基、エーテル結合、エステル結合若しくはラクトン環を含んでいてもよい炭素数1~10の脂肪族ヒドロカルビレン基、又はフェニレン基若しくはナフチレン基である。Z4は、単結合、メチレン基、又は-Z41-C(=O)-O-である。Z41は、ヘテロ原子、エーテル結合、エステル結合を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビレン基である。Z5は、単結合、メチレン基、エチレン基、トリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基、-C(=O)-O-Z51-、-C(=O)-NH-Z51-又は-O-Z51-である。Z51は、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでもよい。
【0083】
Z21、Z31及びZ51で表される脂肪族ヒドロカルビレン基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、式(A-1)中のZA1の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
【0084】
Z
41で表されるヒドロカルビレン基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化27】
(式中、破線は、結合手である。)
【0085】
式(B-1)中、R21及びR22は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。R21及びR22で表されるヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基、4-メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等の環式飽和ヒドロカルビル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;シクロヘキセニル基等の環式不飽和ヒドロカルビル基;フェニル基、ナフチル基、チエニル基等のアリール基;ベンジル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルエチル基等のアラルキル基;及びこれらを組み合わせて得られる基等が挙げられるが、アリール基が好ましい。また、前記ヒドロカルビル基の水素原子の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、これらの基の炭素原子間に酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子含有基が介在していてもよく、その結果、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。
【0086】
また、R
21とR
22とは、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。具体的には、下記式で表されるもの等が挙げられる。
【化28】
【0087】
繰り返し単位B1のカチオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
Aは、前記と同じである。
【化29】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
式(B-1)中、M-は、非求核性対向イオンである。M-で表される非求核性対向イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン;トリフレートイオン、1,1,1-トリフルオロエタンスルホネートイオン、ノナフルオロブタンスルホネートイオン等のフルオロアルキルスルホネートイオン;トシレートイオン、ベンゼンスルホネートイオン、4-フルオロベンゼンスルホネートイオン、1,2,3,4,5-ペンタフルオロベンゼンスルホネートイオン等のアリールスルホネートイオン;メシレートイオン、ブタンスルホネートイオン等のアルキルスルホネートイオン;ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドイオン、ビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミドイオン等のイミド酸イオン;トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドイオン、トリス(パーフルオロエチルスルホニル)メチドイオン等のメチド酸イオン等が挙げられる。
【0092】
更に、前記非求核性対向イオンとして、下記式(B-1-1)で表されるα位がフッ素原子で置換されたスルホン酸アニオン及び下記式(B-1-2)で表されるα位がフッ素原子で置換され、β位がトリフルオロメチル基で置換されたスルホン酸アニオンが挙げられる。
【化33】
【0093】
式(B-1-1)中、R23は、水素原子、炭素数1~20のヒドロカルビル基であり、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、ラクトン環又はフッ素原子を含んでいてもよい。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、式(3A’)中のR105で表されるヒドロカルビル基として後述するものと同様のものが挙げられる。
【0094】
式(B-1-2)中、R24は、水素原子、炭素数1~30のヒドロカルビル基、炭素数2~30のヒドロカルビルカルボニル基又は炭素数6~20のアリールオキシ基であり、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基又はラクトン環を含んでいてもよい。前記ヒドロカルビル基及びヒドロカルビルカルボニル基のヒドロカルビル部は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、式(3A’)中のR105で表されるヒドロカルビル基として後述するものと同様のものが挙げられる。
【0095】
前記非求核性対向イオンで表されるスルホン酸アニオンの具体的な例としては、以下に示すのものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、Q
3は、水素原子、フッ素原子又は炭素数1~6のフッ素化アルキル基であり、Acはアセチル基である
【化34】
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
【0102】
【0103】
式(B-2)中、L11は、単結合、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合又はカーバメート結合である。これらの中で、合成上の観点からエーテル結合、エステル結合、カルボニル基が好ましく、エステル結合、カルボニル基が更に好ましい。
【0104】
式(B-2)中、Rf1及びRf2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1~6のフッ素化アルキル基である。これらのうち、Rf1及びRf2としては、発生酸の酸強度を高めるため、いずれもフッ素原子であることが好ましい。Rf3及びRf4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1~6のフッ素化アルキル基である。これらのうち、溶剤溶解性向上のため、Rf3及びRf4の少なくとも1つは、トリフルオロメチル基であることが好ましい。
【0105】
式(B-2)中、cは、0~3の整数であるが、1が好ましい。
【0106】
式(B-2)で表される繰り返し単位のアニオンとしては、具体的には以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RAは、前記と同じである
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
式(B-3)中、L11は、単結合、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合又はカーバメート結合である。これらの中で、合成上の観点からエーテル結合、エステル結合、カルボニル基が好ましく、エステル結合、カルボニル基が更に好ましい。
【0114】
式(B-3)中、Rf3及びRf4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1~6のフッ素化アルキル基である。これらのうち、溶剤溶解性向上のため、Rf3及びRf4の少なくとも1つは、トリフルオロメチル基であることが好ましい。
【0115】
式(B-3)中、cは、0~3の整数であるが、1が好ましい。
【0116】
式(B-3)で表される繰り返し単位のアニオンとしては、具体的には以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RAは、前記と同じである
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
式(B-4)で表される繰り返し単位のアニオンとしては、具体的には以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RAは、前記と同じである
【0121】
【0122】
式(B-2)~(B-4)中、A
+は、オニウムカチオンである。前記オニウムカチオンとしては、アンモニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオンが挙げられるが、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオンであることが好ましく、それぞれ下記式(cation-1)で表されるスルホニウムカチオン及び式(cation-2)で表されるヨードニウムカチオンであることがより好ましい。
【化52】
【0123】
式(cation-1)及び(cation-2)中、R11~R15は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~30のヒドロカルビル基である。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基、4-メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等の環式飽和ヒドロカルビル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;シクロヘキセニル基等の環式不飽和ヒドロカルビル基;フェニル基、ナフチル基、チエニル基等のアリール基;ベンジル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルエチル基等のアラルキル基;及びこれらを組み合わせて得られる基等が挙げられるが、アリール基が好ましい。また、前記ヒドロカルビル基の水素原子の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、これらの基の炭素原子間に酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子含有基が介在していてもよく、その結果、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。
【0124】
また、R
11及びR
12が、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。このとき、式(cation-1)で表されるスルホニウムカチオンとしては、下記式で表されるもの等が挙げられる。
【化53】
(式中、破線は、R
13との結合手である。)
【0125】
式(cation-1)で表されるスルホニウムカチオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
【0131】
【0132】
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
【0139】
【0140】
【0141】
【0142】
【0143】
【0144】
【0145】
式(cation-2)で表されるヨードニウムカチオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化73】
【0146】
式(B-1)~(B-4)で表される繰り返し単位の具体的な構造としては、前述したアニオンとカチオンとの任意の組み合わせが挙げられる。
【0147】
繰り返し単位Bとしては、酸拡散の制御の観点から繰り返し単位B2、B3、B4が好ましく、発生酸の酸強度の観点から繰り返し単位B2及びB4が更に好ましく、溶剤溶解性の観点から繰り返し単位B2がより好ましい。
【0148】
本発明のポリマーの特徴としては、フェノール性水酸基を含む酸不安定基を有する繰り返し単位Aと露光により酸を発生する繰り返し単位Bを含む繰り返し単位を含むことである。ベースポリマー中に露光により酸を発生する繰り返し単位を含むことで、特に露光後の発生酸がベースポリマーの主鎖に結合したアニオンバウンド型の場合に過度な酸拡散を抑制でき、且つ増感部位に発生した二次電子が拡散することなくカチオンの分解に寄与すると考えられる。また、フェノール性水酸基を含む酸不安定基を有する繰り返し単位は、露光後の脱保護反応にて現像液溶解性の変化に寄与すると共に、特にEUV光から二次電子を生成する増感効果に寄与する。ベースポリマー中に酸不安定単位、及び増感単位をそれぞれ個別に導入する場合、コントラストを向上させるために酸不安定単位の導入量を増やすと増感単位の導入量が減ることになり、二次電子の発生量が低減して低感度化が起こる。逆に増感単位を増やすと、二次電子の発生量は増加するがベースポリマー中の酸不安定単位の導入量が減ることで溶解コントラストが低下する。このような観点から、フェノール性水酸基を含む酸不安定基を有する繰り返し単位を導入することでベースポリマー中の酸不安定単位と増感単位を同時に増やすことができる。これらの相乗効果により、高感度化と高コントラスト化を同時に達成でき、ラインパターンのLWRやホールパターンのCDUが小さいパターン形成が可能となる。
【0149】
[繰り返し単位a1、a2]
本発明のポリマーは、更に下記式(a-1)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位a1ともいう。)及び下記式(a-2)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位a2ともいう。)から選ばれる少なくとも1種を含んでもよい。
【化74】
【0150】
式(a-1)及び(a-2)中、RA、ZA、ZB、Rbは、前記と同じ。pは、0~4の整数である。XA及びXBはそれぞれ独立に、含フッ素芳香環を含まない酸不安定基である。
【0151】
式(a-1)及び(a-2)中、XA及びXBで表される酸不安定基としては、例えば、特開2013-80033号公報、特開2013-83821号公報に記載のものが挙げられる。
【0152】
典型的には、前記酸不安定基としては、下記式(AL-1)~(AL-3)で表されるものが挙げられる。
【化75】
(式中、破線は、結合手である。)
【0153】
式(AL-1)及び(AL-2)中、RL1及びRL2は、それぞれ独立に、炭素数1~40の飽和ヒドロカルビル基であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。前記飽和ヒドロカルビル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。前記飽和ヒドロカルビル基としては、炭素数1~20のものが好ましい。
【0154】
式(AL-1)中、aは、0~10の整数であり、1~5の整数が好ましい。
【0155】
式(AL-2)中、RL3及びRL4は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~20の飽和ヒドロカルビル基であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。前記ヒドロカルビル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。また、RL2、RL3及びRL4のいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する炭素原子又は炭素原子と酸素原子と共に炭素数3~20の環を形成してもよい。前記環としては、炭素数4~16の環が好ましく、特に脂環が好ましい。
【0156】
式(AL-3)中、RL5、RL6及びRL7は、それぞれ独立に、炭素数1~20の飽和ヒドロカルビル基であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。前記ヒドロカルビル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。また、RL5、RL6及びRL7のいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3~20の環を形成してもよい。前記環としては、炭素数4~16の環が好ましく、特に脂環が好ましい。
【0157】
繰り返し単位a1としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
A及びX
Aは、前記と同じである。
【化76】
【0158】
【0159】
繰り返し単位a2としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RA及びXBは、前記と同じである。
【0160】
【0161】
[フェノール性ヒドロキシ基を有する繰り返し単位C]
本発明のポリマーは、フェノール性ヒドロキシ基を有する繰り返し単位(以下、繰り返し単位Cともいう。)を含む。繰り返し単位Cとしては、下記式(C-1)で表されるものが好ましい。
【化79】
【0162】
式(C-1)中、RAは、前記と同じ。ZBは、単結合又は(主鎖)-C(=O)-O-である。Rb1は、ハロゲン原子、シアノ基、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビルオキシ基、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数2~20のヒドロカルビルカルボニル基、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数2~20のヒドロカルビルカルボニルオキシ基又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数2~20のヒドロカルビルオキシカルボニル基である。mは1~4、kは0~3、m+kは4以下の整数である。
【0163】
Rb1で表されるヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、式(A-1)中のR1bの説明において例示したものと同様のものが挙げられる。また、前記ヒドロカルビルオキシ基及びヒドロカルビルカルボニル基のヒドロカルビル部の具体例としても、R1bの説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
【0164】
繰り返し単位Cとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
Aは、前記と同じである。
【化80】
【0165】
【0166】
【0167】
[繰り返し単位D]
本発明のポリマーは、更に下記式(D-1)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位Dともいう。)を含んでもよい。
【化83】
【0168】
式中、RA及びZAは、前記と同じ。YAは、水素原子、又はヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、カルボキシ基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、スルホン酸アミド結合、カーボネート結合、ラクトン環、スルトン環、硫黄原子及びカルボン酸無水物から選ばれる少なくとも1つ以上の構造を含む極性基である。
【0169】
上記YAは、水素原子、又はフェノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、カルボキシ基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合、ラクトン環、スルトン環及びカルボン酸無水物から選ばれる少なくとも1つ以上の構造を含む極性基であってもよい。
【0170】
繰り返し単位Dとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RAは、前記と同じである。
【0171】
【0172】
【0173】
【0174】
【0175】
【0176】
【0177】
【0178】
【0179】
[繰り返し単位E]
本発明のポリマーは、更に、インデン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、アセナフチレン、クロモン、クマリン、ノルボルナジエン又はこれらの誘導体に由来する繰り返し単位Eを含んでもよい。繰り返し単位Eを与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化92】
【0180】
[繰り返し単位F]
本発明のポリマーは、更に、インダン、ビニルピリジン又はビニルカルバゾールに由来する繰り返し単位Fを含んでもよい。
【0181】
本発明のポリマー中、繰り返し単位A、a1、a2、B、C、D、E、及びFの含有比率は、好ましくは0<A<1.0、0≦a1≦0.8、0≦a2≦0.8、0<B<1.0、0≦C<1.0、0≦D≦0.8、0≦E≦0.8及び0≦F≦0.4であり、より好ましくは0.05≦A≦0.9、0≦a1≦0.7、0≦a2≦0.7、0≦a1+a2≦0.7、0.01≦B≦0.4、0.09≦C≦0.55、0≦D≦0.7、0≦E≦0.7及び0≦F≦0.3であり、更に好ましくは0.1≦A≦0.8、0≦a1≦0.6、0≦a2≦0.6、0≦a1+a2≦0.4、0.1≦B≦0.45、0.1≦C≦0.45、0≦D≦0.6、0≦E≦0.6及び0≦F≦0.2である。
【0182】
なお、繰り返し単位Bが繰り返し単位B1~B4から選ばれる少なくとも1種である場合、B=B1+B2+B3+B4である。また、A+a1+a2+B+C+D+E+F=1である。
【0183】
前記ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1,000~500,000が好ましく、3,000~100,000がより好ましい。Mwがこの範囲であれば、十分なエッチング耐性が得られ、露光前後の溶解速度差が確保できなくなることによる解像性の低下のおそれがない。なお、本発明においてMwは、テトラヒドロフラン(THF)又はN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を溶剤として用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算測定値である。
【0184】
更に、前記ポリマーの分子量分布(Mw/Mn)は、パターンルールが微細化するに従ってMw/Mnの影響が大きくなりやすいことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト組成物を得るためには、Mw/Mnは1.0~2.0と狭分散であることが好ましい。上記範囲内であれば、低分子量や高分子量のポリマーが少なく、露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりするおそれがない。
【0185】
前記ポリマーを合成するために、例えば、前述した繰り返し単位を与えるモノマーを、有機溶剤中、ラジカル重合開始剤を加えて加熱し、重合を行うことができる。
【0186】
重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、THF、ジエチルエーテル、ジオキサン、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルエチルケトン(MEK)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、γ-ブチロラクトン(GBL)等が挙げられる。前記重合開始剤としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル-2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が挙げられる。これらの開始剤の添加量は、重合させるモノマーの合計に対し、0.01~25モル%であることが好ましい。反応温度は、50~150℃が好ましく、60~100℃がより好ましい。反応時間は2~24時間が好ましく、生産効率の観点から2~12時間がより好ましい。
【0187】
前記重合開始剤は、前記モノマー溶液へ添加して反応釜へ供給してもよいし、前記モノマー溶液とは別に開始剤溶液を調製し、それぞれを独立に反応釜へ供給してもよい。待機時間中に開始剤から生じたラジカルによって重合反応が進み超高分子体が生成する可能性があることから、品質管理の観点からモノマー溶液と開始剤溶液とは、それぞれ独立に調製して滴下することが好ましい。酸不安定基は、モノマーに導入されたものをそのまま用いてもよいし、重合後保護化あるいは部分保護化してもよい。また、分子量の調整のためにドデシルメルカプタンや2-メルカプトエタノールのような公知の連鎖移動剤を併用してもよい。この場合、これらの連鎖移動剤の添加量は、重合させるモノマーの合計に対し、0.01~20モル%であることが好ましい。
【0188】
ヒドロキシ基を含むモノマーの場合、重合時にヒドロキシ基をエトキシエトキシ基等の酸によって脱保護しやすいアセタール基で置換しておいて重合後に弱酸と水によって脱保護を行ってもよいし、アセチル基、ホルミル基、ピバロイル基等で置換しておいて重合後にアルカリ加水分解を行ってもよい。
【0189】
ヒドロキシスチレン又はヒドロキシビニルナフタレンを共重合する場合は、ヒドロキシスチレン又はヒドロキシビニルナフタレンとその他のモノマーとを、有機溶剤中、ラジカル重合開始剤を加えて加熱重合してもよいが、アセトキシスチレン又はアセトキシビニルナフタレンを用い、重合後にアルカリ加水分解によってアセトキシ基を脱保護してポリヒドロキシスチレン又はヒドロキシポリビニルナフタレンにしてもよい。
【0190】
アルカリ加水分解時の塩基としては、アンモニア水、トリエチルアミン等が使用できる。また、反応温度は、好ましくは-20~100℃、より好ましくは0~60℃である。反応時間は、好ましくは0.2~100時間、より好ましくは0.5~20時間である。
【0191】
なお、前記モノマー溶液中の各モノマーの量は、例えば、前述した繰り返し単位の好ましい含有割合となるように適宜設定すればよい。
【0192】
前記製造方法で得られたポリマーは、重合反応によって得られた反応溶液を最終製品としてもよいし、重合液を貧溶剤へ添加し、粉体を得る再沈殿法等の精製工程を経て得た粉体を最終製品として取り扱ってもよいが、作業効率や品質安定化の観点から精製工程によって得た粉体を溶剤へ溶かしたポリマー溶液を最終製品として取り扱うことが好ましい。
【0193】
その際に用いる溶剤の具体例としては、特開2008-111103号公報の段落[0144]~[0145]に記載の、シクロヘキサノン、メチル-2-n-ペンチルケトン等のケトン類;3-メトキシブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール等のアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;PGMEA、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert-ブチル、プロピオン酸tert-ブチル、プロピレングリコールモノtert-ブチルエーテルアセテート等のエステル類;GBL等のラクトン類;ジアセトンアルコール(DAA)等のアルコール類;ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール等の高沸点のアルコール系溶剤;及びこれらの混合溶剤が挙げられる。
【0194】
前記ポリマー溶液中、ポリマーの濃度は、0.01~30質量%が好ましく、0.1~20質量%がより好ましい。
【0195】
前記反応溶液やポリマー溶液は、フィルター濾過を行うことが好ましい。フィルター濾過を行うことによって、欠陥の原因となり得る異物やゲルを除去することができ、品質安定化の面で有効である。
【0196】
前記フィルター濾過に用いるフィルターの材質としては、フルオロカーボン系、セルロース系、ナイロン系、ポリエステル系、炭化水素系等の材質のものが挙げられるが、レジスト組成物の濾過工程では、いわゆるテフロン(登録商標)と呼ばれるフルオロカーボン系やポリエチレンやポリプロピレン等の炭化水素系又はナイロンで形成されているフィルターが好ましい。フィルターの孔径は、目標とする清浄度に合わせて適宜選択できるが、好ましくは100nm以下であり、より好ましくは20nm以下である。また、これらのフィルターを1種単独で使ってもよいし、複数のフィルターを組み合わせて使用してもよい。濾過方法は、溶液を1回のみ通過させるだけでもよいが、溶液を循環させ複数回濾過を行うことがより好ましい。濾過工程は、ポリマーの製造工程において任意の順番、回数で行うことができるが、重合反応後の反応溶液、ポリマー溶液又はその両方を濾過することが好ましい。
【0197】
前記ポリマーは、組成比率、Mw、分子量分布が異なる2つ以上のポリマーを含んでもよい。
【0198】
また、本発明は、上記ポリマーを含むレジスト組成物を提供することができ、具体的には、以下に示す化学増幅レジスト組成物を提供することができる。
【0199】
[化学増幅レジスト組成物]
本発明の化学増幅レジスト組成物は、
(P)ベースポリマー
(G)クエンチャー
(H)有機溶剤
を含む。必要により、
(I)ベースポリマー鎖に結合した光酸発生剤以外の光酸発生剤、
(J)含窒素型クエンチャー、及び
(K)水に不溶又は難溶でアルカリ現像液に可溶な界面活性剤、及び/又は水及びアルカリ現像液に不溶又は難溶な界面活性剤
から選ばれる少なくとも1種を含んでもよく、なお更に必要により、
(L)その他の成分
を含むことができる。
【0200】
[(G)クエンチャー]
(G)クエンチャーとしては、下記式(1)又は(2)で表されるオニウム塩が挙げられる。
【化93】
【0201】
式(1)中、Rq1は、水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40のヒドロカルビル基であるが、スルホ基のα位の炭素原子に結合する水素原子がフッ素原子又はフルオロアルキル基で置換されたものを除く。式(2)中、Rq2は、水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40のヒドロカルビル基である。
【0202】
Rq1で表されるヒドロカルビル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基、ノルボルニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、アダマンチル基等の環式飽和ヒドロカルビル基;、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等のアリール基等が挙げられる。また、これらの基の水素原子の一部又は全部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、あるいはこれらの基の炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、その結果、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。
【0203】
Rq2で表されるヒドロカルビル基として具体的には、Rq1の具体例として例示した置換基のほか、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基等のフッ素化アルキル基や、ペンタフルオロフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基等のフッ素化アリール基も挙げられる。
【0204】
式(1)で表されるオニウム塩のアニオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0205】
【0206】
【0207】
式(2)で表されるオニウム塩のアニオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0208】
【0209】
【0210】
式(1)及び(2)中、Mq
+は、オニウムカチオンである。前記オニウムカチオンとしては、下記式(cation-1)、(cation-2)又は(cation-3)で表されるものが好ましい。
【化98】
【0211】
式(cation-1)、(cation-2)については、式(B-2)~(B-4)中の、A+と同様のものが挙げられる。(cation-3)中、R16~R19は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40のヒドロカルビル基である。また、R16とR17とは、互いに結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよい。前記ヒドロカルビル基としては、式(cation-1)及び(cation-2)中のR11~R15の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
【0212】
Mq
+で表されるオニウムカチオンにおいて、(cation-3)で表されるアンモニウムカチオンとしては以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化99】
【0213】
式(1)又は(2)で表されるオニウム塩の具体例としては、前述したアニオン及びカチオンの任意の組み合わせが挙げられる。なお、これらのオニウム塩は、既知の有機化学的方法を用いたイオン交換反応によって容易に調製される。イオン交換反応ついては、例えば特開2007-145797号公報を参考にすることができる。
【0214】
式(1)又は(2)で表されるオニウム塩は、本発明の化学増幅レジスト組成物においてはクエンチャーとして作用する。これは、前記オニウム塩の各カウンターアニオンが、弱酸の共役塩基であることに起因する。ここでいう弱酸とは、ベースポリマーに使用する酸不安定基含有単位の酸不安定基を脱保護させることのできない酸性度を示すものを意味する。
【0215】
式(1)又は(2)で表されるオニウム塩は、α位がフッ素化されているスルホン酸のような強酸の共役塩基をカウンターアニオンとして有するオニウム塩型光酸発生剤と併用させたときに、クエンチャーとして機能する。すなわち、α位がフッ素化されているスルホン酸のような強酸を発生するオニウム塩と、フッ素化されていないスルホン酸やカルボン酸のような弱酸を発生するオニウム塩とを混合して用いた場合、高エネルギー線照射により光酸発生剤から生じた強酸が未反応の弱酸アニオンを有するオニウム塩と衝突すると、塩交換により弱酸を放出し、強酸アニオンを有するオニウム塩を生じる。この過程で強酸がより触媒能の低い弱酸に交換されるため、見かけ上、酸が失活して酸拡散の制御を行うことができる。
【0216】
ここで、強酸を発生する光酸発生剤がオニウム塩である場合には、前述したように高エネルギー線照射により生じた強酸が弱酸に交換することはできるが、一方で、高エネルギー線照射により生じた弱酸は未反応の強酸を発生するオニウム塩と衝突して塩交換を行うことはしづらいと考えられる。これは、オニウムカチオンがより強酸のアニオンとイオン対を形成しやすいという現象に起因する。
【0217】
(G)オニウム塩型クエンチャーとして、式(1)又は(2)で表されるオニウム塩を含む場合、その含有量は、(P)ベースポリマー80質量部に対し、0.1~20質量部が好ましく、0.1~10質量部がより好ましい。(G)成分のオニウム塩型クエンチャーが前記範囲であれば、解像性が良好であり、著しく感度が低下することがないため好ましい。式(1)又は(2)で表されるオニウム塩は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0218】
[(H)有機溶剤]
(H)成分の有機溶剤としては、前述した各成分及び後述する各成分を溶解可能なものであれば、特に限定されない。このような有機溶剤としては、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチル-2-n-ペンチルケトン等のケトン類;3-メトキシブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール等のアルコール類;DAA等のケトアルコール類;PGME、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;PGMEA、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert-ブチル、プロピオン酸tert-ブチル、プロピレングリコールモノtert-ブチルエーテルアセテート等のエステル類;GBL等のラクトン類、及びこれらの混合溶剤が挙げられる。
【0219】
アセタール系の酸不安定基を含むポリマーを用いる場合は、アセタールの脱保護反応を加速させるために高沸点のアルコール系溶剤、具体的にはジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール等を加えることもできる。
【0220】
これらの有機溶剤の中でも、(P)成分のベースポリマーの溶解性が特に優れている、1-エトキシ2-プロパノール、PGMEA、シクロヘキサノン、GBL、DAA、乳酸エチル及びこれらの混合溶剤が好ましい。
【0221】
有機溶剤の使用量は、(P)ベースポリマー80質量部に対し、200~5,000質量部が好ましく、400~3,000質量部がより好ましい。(H)有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0222】
[(I)ベースポリマー鎖に結合した光酸発生剤以外の光酸発生剤]
本発明の化学増幅レジスト組成物は、(I)成分としてベースポリマー鎖に結合した光酸発生剤以外の光酸発生剤を含んでもよい。前記光酸発生剤としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であれば、特に限定されない。好適な光酸発生剤としては、下記式(3)で表されるものが挙げられる。
【化100】
【0223】
式(3)中、R101、R102及びR103は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。また、R101、R102及びR103のうちのいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、式(cation-1)及び(cation-2)中のR11~R15の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。また、式(3)で表されるスルホニウム塩のカチオンの具体例としては、式(cation-1)で表されるスルホニウムカチオンの具体例として例示したものと同様のものが挙げられる。
【0224】
式(3)中、X
-は、下記式(3A)~(3D)から選ばれるアニオンである。
【化101】
【0225】
式(3A)中、Rfaは、フッ素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40のヒドロカルビル基である。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、式(3A’)中のR105の説明において後述するものと同様のものが挙げられる。
【0226】
式(3A)で表されるアニオンとしては、下記式(3A’)で表されるものが好ましい。
【化102】
【0227】
式(3A’)中、R104は、水素原子又はトリフルオロメチル基であり、好ましくはトリフルオロメチル基である。R105は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~38のヒドロカルビル基である。前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が好ましく、酸素原子がより好ましい。前記ヒドロカルビル基としては、微細パターン形成において高解像性を得る点から、特に炭素数6~30であるものが好ましい。
【0228】
R105で表されるヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、ウンデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘプタデシル基、イコサニル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、1-アダマンチルメチル基、ノルボルニル基、ノルボルニルメチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、テトラシクロドデカニルメチル基、ジシクロヘキシルメチル基等の環式飽和ヒドロカルビル基;アリル基、3-シクロヘキセニル基等の不飽和脂肪族ヒドロカルビル基;フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、ジフェニルメチル基等のアラルキル基等が挙げられる。これらのうち、R105としては脂肪族基が好ましい。また、これらの基の水素原子の一部又は全部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、これらの基の炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、その結果、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート基、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。ヘテロ原子を含むヒドロカルビル基としては、テトラヒドロフリル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メチルチオメチル基、アセトアミドメチル基、トリフルオロエチル基、(2-メトキシエトキシ)メチル基、アセトキシメチル基、2-カルボキシ-1-シクロヘキシル基、2-オキソプロピル基、4-オキソ-1-アダマンチル基、3-オキソシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0229】
式(3A’)で表されるアニオンを有するスルホニウム塩の合成に関しては、特開2007-145797号公報、特開2008-106045号公報、特開2009-7327号公報、特開2009-258695号公報等に詳しい。また、特開2010-215608号公報、特開2012-41320号公報、特開2012-106986号公報、特開2012-153644号公報等に記載のスルホニウム塩も好適に用いられる。
【0230】
式(3A)で表されるアニオンとしては、前記式(B-1)中のM-で挙げたものと同様のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0231】
式(3B)中、Rfb1及びRfb2は、それぞれ独立に、フッ素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40のヒドロカルビル基である。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、式(3A’)中のR105の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。Rfb1及びRfb2として好ましくは、フッ素原子又は炭素数1~4の直鎖状フッ素化アルキル基である。また、Rfb1とRfb2とは、互いに結合してこれらが結合する基(-CF2-SO2-N--SO2-CF2-)と共に環を形成してもよく、このとき、Rfb1とRfb2とが互いに結合して得られる基は、フッ素化エチレン基又はフッ素化プロピレン基であることが好ましい。
【0232】
式(3C)中、Rfc1、Rfc2及びRfc3は、それぞれ独立に、フッ素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40のヒドロカルビル基である。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、式(3A’)中のR105の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。Rfc1、Rfc2及びRfc3として好ましくは、フッ素原子又は炭素数1~4の直鎖状フッ素化アルキル基である。また、Rfc1とRfc2とは、互いに結合してこれらが結合する基(-CF2-SO2-C--SO2-CF2-)と共に環を形成してもよく、このとき、Rfc1とRfc2とが互いに結合して得られる基は、フッ素化エチレン基又はフッ素化プロピレン基であることが好ましい。
【0233】
式(3D)中、Rfdは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40のヒドロカルビル基である。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、式(3A’)中のR105の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
【0234】
式(3D)で表されるアニオンを有するスルホニウム塩の合成に関しては、特開2010-215608号公報及び特開2014-133723号公報に詳しい。
【0235】
式(3D)で表されるアニオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化103】
【0236】
なお、式(3D)で表されるアニオンを有する光酸発生剤は、スルホ基のα位にフッ素は有していないが、β位に2つのトリフルオロメチル基を有していることに起因して、ベースポリマー中の酸不安定基を切断するには十分な酸性度を有している。そのため、光酸発生剤として使用することができる。
【0237】
また、(I)成分のベースポリマー鎖に結合した光酸発生剤以外の光酸発生剤として、下記式(4)で表されるものも好ましい。
【化104】
【0238】
式(4)中、R201及びR202は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~30のヒドロカルビル基である。R203は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~30のヒドロカルビレン基である。また、R201、R202及びR203のうちのいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。このとき、前記環としては、式(B-1)の説明において、R21及びR22が互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に形成し得る環として例示したものと同様のもの挙げられる。
【0239】
R201及びR202で表されるヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基、ノルボルニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、アダマンチル基等の環式飽和ヒドロカルビル基;フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等のアリール基等が挙げられる。また、これらの基の水素原子の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、これらの基の炭素原子の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、その結果、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート基、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。
【0240】
R203で表されるヒドロカルビレン基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基、ドデカン-1,12-ジイル基、トリデカン-1,13-ジイル基、テトラデカン-1,14-ジイル基、ペンタデカン-1,15-ジイル基、ヘキサデカン-1,16-ジイル基、ヘプタデカン-1,17-ジイル基等のアルカンジイル基;シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、ノルボルナンジイル基、アダマンタンジイル基等の環式飽和ヒドロカルビレン基;フェニレン基、メチルフェニレン基、エチルフェニレン基、n-プロピルフェニレン基、イソプロピルフェニレン基、n-ブチルフェニレン基、イソブチルフェニレン基、sec-ブチルフェニレン基、tert-ブチルフェニレン基、ナフチレン基、メチルナフチレン基、エチルナフチレン基、n-プロピルナフチレン基、イソプロピルナフチレン基、n-ブチルナフチレン基、イソブチルナフチレン基、sec-ブチルナフチレン基、tert-ブチルナフチレン基等のアリーレン基等が挙げられる。また、これらの基の水素原子の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、これらの基の炭素原子の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、その結果、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート基、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。前記ヘテロ原子としては、酸素原子が好ましい。
【0241】
式(4)中、LAは、単結合、エーテル結合、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビレン基である。前記ヒドロカルビレン基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、R203で表されるヒドロカルビレン基として例示したものと同様のものが挙げられる。
【0242】
式(4)中、Xa、Xb、Xc及びXdは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である。ただし、Xa、Xb、Xc及びXdのうち少なくとも1つは、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である。
【0243】
式(4)で表される光酸発生剤としては、下記式(4’)で表されるものが好ましい。
【化105】
【0244】
式(4’)中、LAは、前記と同じ。Xeは、水素原子又はトリフルオロメチル基であり、好ましくはトリフルオロメチル基である。R301、R302及びR303は、それぞれ独立に、水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、式(3A’)中のR105の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。x及びyは、それぞれ独立に、0~5の整数であり、zは、0~4の整数である。
【0245】
式(4)で表される光酸発生剤としては、特開2017-026980号公報の式(4)で表される光酸発生剤として例示されたものと同様のものが挙げられる。
【0246】
前記その他の光酸発生剤のうち、式(3A’)又は(3D)で表されるアニオンを含むものは、酸拡散が小さく、かつレジスト溶剤への溶解性にも優れており、特に好ましい。また、式(4’)で表されるアニオンを含むものは、酸拡散が極めて小さく、特に好ましい。
【0247】
また、その他の酸発生剤として、下記式(5-1)又は(5-2)で表されるオニウム塩を用いることもできる。
【化106】
【0248】
式(5-1)及び(5-2)中、rは、1≦r≦3を満たす整数である。s及びtは、1≦s≦5、0≦t≦3及び1≦s+t≦5を満たす整数である。sは、1≦s≦3を満たす整数が好ましく、2又は3がより好ましい。tは、0≦t≦2を満たす整数が好ましい。
【0249】
式(5-1)及び(5-2)中、XBIは、ヨウ素原子又は臭素原子であり、sが2以上のとき、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0250】
式(5-1)及び(5-2)中、L11は、単結合、エーテル結合若しくはエステル結合、又はエーテル結合若しくはエステル結合を含んでいてもよい炭素数1~6の飽和ヒドロカルビレン基である。前記飽和ヒドロカルビレン基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。
【0251】
式(5-1)及び(5-2)中、L12は、rが1のときは単結合又は炭素数1~20の2価の連結基であり、rが2又は3のときは炭素数1~20の3価又は4価の連結基であり、該連結基は酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含んでいてもよい。
【0252】
式(5-1)及び(5-2)中、R401は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子若しくはアミノ基、若しくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヒドロキシ基、アミノ基若しくはエーテル結合を含んでいてもよい、炭素数1~20の飽和ヒドロカルビル基、炭素数1~20の飽和ヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~10の飽和ヒドロカルビルオキシカルボニル基、炭素数2~20の飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基若しくは炭素数1~20の飽和ヒドロカルビルスルホニルオキシ基、又は-NR401A-C(=O)-R401B若しくは-NR401A-C(=O)-O-R401Bである。
【0253】
R401Aは、水素原子、又は炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基であり、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニル基又は炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基を含んでいてもよい。
【0254】
R401Bは、炭素数1~16の脂肪族ヒドロカルビル基又は炭素数6~12のアリール基であり、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニル基又は炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基を含んでいてもよい。
【0255】
前記脂肪族ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。前記飽和ヒドロカルビル基、飽和ヒドロカルビルオキシ基、飽和ヒドロカルビルオキシカルボニル基、飽和ヒドロカルビルカルボニル基及び飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。
【0256】
tが2以上のとき、各R401は互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0257】
これらのうち、R401としては、ヒドロキシ基、-NR401A-C(=O)-R401B、-NR401A-C(=O)-O-R401B、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、メトキシ基等が好ましい。
【0258】
式(5-1)及び(5-2)中、Rf11~Rf14は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であるが、これらのうち少なくとも1つはフッ素原子又はトリフルオロメチル基である。また、Rf11とRf12とが合わさって、カルボニル基を形成してもよい。特に、Rf13及びRf14がともにフッ素原子であることが好ましい。
【0259】
式(5-1)及び(5-2)中、R402、R403、R404、R405及びR406は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~20のシクロアルキル基、炭素数2~12のアルケニル基、炭素数2~12のアルキニル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~12のアラルキル基等が挙げられる。
【0260】
また、これらの基の水素原子の一部又は全部が、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メルカプト基、スルトン基、スルホン基又はスルホニウム塩含有基で置換されていてもよく、これらの基の炭素原子の一部が、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、アミド結合、カーボネート基又はスルホン酸エステル結合で置換されていてもよい。
【0261】
また、R402、R403及びR404のいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。このとき、前記環としては、式(3)の説明において、R101とR102とが結合してこれらが結合する硫黄原子と共に形成し得る環として例示したものと同様のもの挙げられる。
【0262】
式(5-1)で表されるスルホニウム塩のカチオンとしては、式(cation-1)で表されるスルホニウムカチオンとして例示したものと同様のものが挙げられる。また、式(5-2)で表されるヨードニウム塩のカチオンとしては、式(cation-2)で表されるヨードニウムカチオンとして例示したものと同様のものが挙げられる。
【0263】
式(5-1)及び(5-2)で表されるオニウム塩のアニオンとしては、特開2018-197853号公報の式(5-1)及び(5-2)で表されるオニウム塩のアニオンとして例示されたもののほか、該アニオンのヨウ素原子を臭素原子に置換したものが挙げられる。
【0264】
(I)成分のベースポリマー鎖に結合した光酸発生剤以外の光酸発生剤を含む場合、その含有量は、(P)ベースポリマー80質量部に対し、0.1~40質量部であることが好ましく、0.5~20質量部であることがより好ましい。(I)成分のベースポリマー鎖に結合した光酸発生剤以外の光酸発生剤の添加量が前記範囲であれば、解像性が良好であり、レジスト膜の現像後又は剥離時において異物の問題が生じるおそれもないため好ましい。(I)成分のベースポリマー鎖に結合した光酸発生剤以外の光酸発生剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0265】
[(J)含窒素型クエンチャー]
本発明の化学増幅レジスト組成物は、更に含窒素型クエンチャーを含んでもよい。なお、本発明において含窒素型クエンチャーとは、化学増幅レジスト組成物中の光酸発生剤より発生した酸をトラップすることで未露光部への拡散を防ぎ、所望のパターンを形成するための材料のことである。
【0266】
また、(J)成分の含窒素型クエンチャーとしては、特開2008-111103号公報の段落[0146]~[0164]に記載の、1級、2級又は3級アミン化合物、特にはヒドロキシ基、エーテル結合、エステル結合、ラクトン環、シアノ基、スルホン酸エステル結合を有するアミン化合物が挙げられる。また、特許第3790649号公報に記載の化合物のように、1級又は2級アミンをカーバメート基で保護した化合物も挙げることができる。
【0267】
また、含窒素型クエンチャーとして含窒素置換基を有するスルホン酸スルホニウム塩を使用してもよい。このような化合物は、未露光部ではクエンチャーとして機能し、露光部は自身の発生酸との中和によってクエンチャー能を失う、いわゆる光崩壊性塩基として機能する。光崩壊性塩基を用いることによって、露光部と未露光部のコントラストをより強めることができる。光崩壊性塩基としては、例えば特開2009-109595号公報、特開2012-46501号公報等を参考にすることができる。
【0268】
(J)成分の含窒素型クエンチャーを含む場合、その含有量は、(P)ベースポリマー80質量部に対し、0.001~12質量部が好ましく、0.01~8質量部がより好ましい。前記含窒素化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0269】
[(K)水に不溶又は難溶でアルカリ現像液に可溶な界面活性剤、及び/又は水及びアルカリ現像液に不溶又は難溶な界面活性剤]
本発明の化学増幅レジスト組成物は、更に(K)水に不溶又は難溶でアルカリ現像液に可溶な界面活性剤、及び/又は水及びアルカリ現像液に不溶又は難溶な界面活性剤を含んでもよい。このような界面活性剤としては、特開2010-215608号公報や特開2011-16746号公報に記載のものを参照することができる。
【0270】
水及びアルカリ現像液に不溶又は難溶な界面活性剤としては、前記公報に記載の界面活性剤の中でも、FC-4430(スリーエム社製)、サーフロン(登録商標)S-381(AGCセイミケミカル(株)製)、オルフィン(登録商標)E1004(日信化学工業(株)製)、KH-20、KH-30(AGCセイミケミカル(株)製)、及び下記式(surf-1)で表されるオキセタン開環重合物等が好ましい。
【化107】
【0271】
ここで、上記式(surf-1)中のR、Rf、A、B、C、m、nは、前述の記載にかかわらず、式(surf-1)のみに適用される。Rは、2~4価の炭素数2~6の脂肪族基である。前記脂肪族基としては、2価のものとしてはエチレン基、1,4-ブチレン基、1,2-プロピレン基、2,2-ジメチル-1,3-プロピレン基、1,5-ペンチレン基等が挙げられ、3価又は4価のものとしては下記のものが挙げられる。
【化108】
(式中、破線は、結合手であり、それぞれグリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールから派生した部分構造である。)
【0272】
これらの中でも、1,4-ブチレン基、2,2-ジメチル-1,3-プロピレン基等が好ましい。
【0273】
Rfは、トリフルオロメチル基又はペンタフルオロエチル基であり、好ましくはトリフルオロメチル基である。mは、0~3の整数であり、nは、1~4の整数であり、nとmの和はRの価数であり、2~4の整数である。Aは、1である。Bは、2~25の整数であり、好ましくは4~20の整数である。Cは、0~10の整数であり、好ましくは0又は1である。また、式(surf-1)中の各構成単位は、その並びを規定したものではなく、ブロック的に結合してもランダム的に結合してもよい。部分フッ素化オキセタン開環重合物系の界面活性剤の製造に関しては、米国特許第5650483号明細書等に詳しい。
【0274】
水に不溶又は難溶でアルカリ現像液に可溶な界面活性剤は、ArF液浸露光においてレジスト保護膜を用いない場合、レジスト膜の表面に配向することによって水のしみ込みやリーチングを低減させる機能を有する。そのため、レジスト膜からの水溶性成分の溶出を抑えて露光装置へのダメージを下げるために有用であり、また、露光後やPEB後のアルカリ水溶液現像時には可溶化し、欠陥の原因となる異物にもなり難いため有用である。このような界面活性剤は、水に不溶又は難溶でアルカリ現像液に可溶な性質であり、ポリマー型の界面活性剤であって、疎水性樹脂とも呼ばれ、特に撥水性が高く滑水性を向上させるものが好ましい。
【0275】
このようなポリマー型界面活性剤としては、下記式(6A)~(6E)で表される繰り返し単位から選ばれる少なくとも1種を含むものが挙げられる。
【化109】
【0276】
式(6A)~(6E)中、RBは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。W1は-CH2-、-CH2CH2-、-O-又は互いに分離した2個の-Hである。Rs1は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1~10のヒドロカルビル基である。Rs2は、単結合、又は炭素数1~5の直鎖状若しくは分岐状のヒドロカルビレン基である。Rs3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~15のヒドロカルビル基若しくはフッ素化ヒドロカルビル基、又は酸不安定基である。Rs3がヒドロカルビル基又はフッ素化ヒドロカルビル基の場合、炭素-炭素結合間に、エーテル結合(-O-)又はカルボニル基(-C(=O)-)が介在していてもよい。Rs4は、炭素数1~20の(u+1)価の炭化水素基又はフッ素化炭化水素基である。uは1~3の整数である。Rs5は、それぞれ独立に、水素原子、又は式-C(=O)-O-Rsaで表される基であり、Rsaは、炭素数1~20のフッ素化ヒドロカルビル基である。Rs6は、炭素数1~15のヒドロカルビル基又はフッ素化ヒドロカルビル基であり、炭素-炭素結合間に、エーテル結合(-O-)又はカルボニル基(-C(=O)-)が介在していてもよい。
【0277】
Rs1で表されるヒドロカルビル基は、飽和ヒドロカルビル基が好ましく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-へプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基等の環式飽和ヒドロカルビル基が挙げられる。これらのうち、炭素数1~6のものが好ましい。
【0278】
Rs2で表されるヒドロカルビレン基は、飽和ヒドロカルビレン基が好ましく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基等が挙げられる。
【0279】
Rs3又はRs6で表されるヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、飽和ヒドロカルビル基、アルケニル基、アルキニル基等の脂肪族不飽和ヒドロカルビル基等が挙げられるが、飽和ヒドロカルビル基が好ましい。前記飽和ヒドロカルビル基としては、Rs1で表されるヒドロカルビル基として例示したもののほか、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等が挙げられる。Rs3又はRs6で表されるフッ素化ヒドロカルビル基としては、前述したヒドロカルビル基の炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。前述したように、これらの炭素-炭素結合間にエーテル結合(-O-)又はカルボニル基(-C(=O)-)が含まれていてもよい。
【0280】
Rs3で表される酸不安定基としては、前述した式(AL-1)~(AL-3)で表される基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1~6のアルキル基であるトリアルキルシリル基、炭素数4~20のオキソ基含有アルキル基等が挙げられる。
【0281】
Rs4で表される(u+1)価の炭化水素基又はフッ素化炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、前述したヒドロカルビル基又はフッ素化ヒドロカルビル基等から更に水素原子をu個除いた基が挙げられる。
【0282】
Rsaで表されるフッ素化ヒドロカルビル基としては、飽和したものが好ましく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、前記ヒドロカルビル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたものが挙げられ、具体例としてはトリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、3,3,3-トリフルオロ-1-プロピル基、3,3,3-トリフルオロ-2-プロピル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル基、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチル基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロヘプチル基、2-(パーフルオロブチル)エチル基、2-(パーフルオロヘキシル)エチル基、2-(パーフルオロオクチル)エチル基、2-(パーフルオロデシル)エチル基等が挙げられる。
【0283】
式(6A)~(6E)で表される繰り返し単位としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
Bは、前記と同じである。
【化110】
【0284】
【0285】
【0286】
【0287】
【0288】
前記ポリマー型界面活性剤は、更に、式(6A)~(6E)で表される繰り返し単位以外のその他の繰り返し単位を含んでいてもよい。その他の繰り返し単位としては、メタクリル酸やα-トリフルオロメチルアクリル酸誘導体等から得られる繰り返し単位が挙げられる。ポリマー型界面活性剤中、式(6A)~(6E)で表される繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位中、20モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、100モル%が更に好ましい。
【0289】
前記ポリマー型界面活性剤のMwは、1,000~500,000が好ましく、3,000~100,000がより好ましい。Mw/Mnは、1.0~2.0が好ましく、1.0~1.6がより好ましい。
【0290】
前記ポリマー型界面活性剤を合成する方法としては、式(6A)~(6E)で表される繰り返し単位、必要に応じてその他の繰り返し単位を与える不飽和結合を含むモノマーを、有機溶剤中、ラジカル開始剤を加えて加熱し、重合させる方法が挙げられる。重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、THF、ジエチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。重合開始剤としては、AIBN、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が挙げられる。反応温度は、50~100℃が好ましい。反応時間は、4~24時間が好ましい。酸不安定基は、モノマーに導入されたものをそのまま用いてもよいし、重合後保護化あるいは部分保護化してもよい。
【0291】
前記ポリマー型界面活性剤を合成する場合、分子量の調整のためにドデシルメルカプタンや2-メルカプトエタノールのような公知の連鎖移動剤を使用してもよい。その場合、これらの連鎖移動剤の添加量は、重合させる単量体の総モル数に対し、0.01~10モル%が好ましい。
【0292】
(K)成分の界面活性剤を含む場合、その含有量は、(P)ベースポリマー80質量部に対し、0.1~50質量部が好ましく、0.5~10質量部がより好ましい。添加量が0.1質量部以上であればレジスト膜表面と水との後退接触角が十分に向上し、50質量部以下であればレジスト膜表面の現像液に対する溶解速度が小さく、形成した微細パターンの高さが十分に保たれる。
【0293】
[(L)その他の成分]
本発明の化学増幅レジスト組成物は、(L)その他の成分として、酸により分解して酸を発生する化合物(酸増殖化合物)、有機酸誘導体、フッ素置換アルコール、酸の作用により現像液への溶解性が変化するMw3,000以下の化合物(溶解阻止剤)等を含んでもよい。前記酸増殖化合物としては、特開2009-269953号公報又は特開2010-215608号公報に記載の化合物を参照できる。前記酸増殖化合物を含む場合、その含有量は、(P)ベースポリマー80質量部に対し、0~5質量部が好ましく、0~3質量部がより好ましい。上記範囲内であれば、拡散の制御がしやすく、解像性の劣化、パターン形状の劣化が起こらない。前記有機酸誘導体、フッ素置換アルコール及び溶解阻止剤としては、特開2009-269953号公報又は特開2010-215608号公報に記載の化合物を参照できる。
【0294】
[パターン形成方法]
本発明のパターン形成方法は、
(i)上記ポリマーを含むレジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程と、
(ii)上記レジスト膜を高エネルギー線で露光する工程と、
(iii)露光した上記レジスト膜を現像液で現像する工程と、を含む。
【0295】
上記工程(i)において、前記基板としては、例えば、集積回路製造用の基板(Si、SiO2、SiN、SiON、TiN、WSi、BPSG、SOG、有機反射防止膜等)、あるいはマスク回路製造用の基板(Cr、CrO、CrON、MoSi2、SiO2等)を用いることができる。
【0296】
上記工程(i)において、レジスト膜の形成は、例えば、スピンコーティング等の方法で膜厚が0.05~2μmとなるように前記レジスト組成物を塗布し、これをホットプレート上で、好ましくは60~150℃、1~10分間、より好ましくは80~140℃、1~5分間プリベークすることで形成することができる。
【0297】
上記工程(ii)において、レジスト膜の露光に用いる高エネルギー線としては、i線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、電子線(EB)、極端紫外線(EUV)等が挙げられ、波長3~15nmの極端紫外線を用いてもよい。露光にKrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光又はEUVを用いる場合は、目的のパターンを形成するためのマスクを用いて、露光量が好ましくは1~200mJ/cm2、より好ましくは10~100mJ/cm2となるように照射することで露光を行うことができる。EBを用いる場合は、目的のパターンを形成するためのマスクを用いて又は直接、露光量が好ましくは1~300μC/cm2、より好ましくは10~200μC/cm2となるように照射することで露光を行うことができる。
【0298】
なお、露光は、通常の露光法のほか、屈折率1.0以上の液体をレジスト膜と投影レンズとの間に介在させて行う液浸法を用いることも可能である。その場合には、水に不溶な保護膜を用いることも可能である。
【0299】
前記水に不溶な保護膜は、レジスト膜からの溶出物を防ぎ、膜表面の滑水性を上げるために用いられ、大きく分けて2種類ある。1つはレジスト膜を溶解しない有機溶剤によってアルカリ水溶液現像前に剥離が必要な有機溶剤剥離型と、もう1つはアルカリ現像液に可溶でレジスト膜可溶部の除去とともに保護膜を除去するアルカリ水溶液可溶型である。後者は特に水に不溶でアルカリ現像液に溶解する1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール残基を有するポリマーをベースとし、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8~12のエーテル系溶剤、及びこれらの混合溶剤に溶解させた材料が好ましい。前述した水に不溶でアルカリ現像液に可溶な界面活性剤を炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8~12のエーテル系溶剤、又はこれらの混合溶剤に溶解させた材料とすることもできる。
【0300】
露光後、PEBを行ってもよい。PEBは、例えば、ホットプレート上で、好ましくは60~150℃、1~5分間、より好ましくは80~140℃、1~3分間加熱することで行うことができる。
【0301】
上記工程(iii)において、現像液としてアルカリ水溶液を用い、露光部を溶解させ、未露光部は溶解させずに現像するポジティブトーン現像の方法を用いることができる。この方法により、ポジ型パターンを得ることができる。
【0302】
上記工程(iii)では、現像液として、例えば、好ましくは0.1~5質量%、より好ましくは2~3質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用いることができる。また、現像において、好ましくは0.1~3分間、より好ましくは0.5~2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することで、基板上に目的のパターンを形成することができる。
【0303】
また、パターン形成方法の手段として、レジスト膜形成後に、純水リンス(ポストソーク)を行うことによって膜表面からの酸発生剤等の抽出、あるいはパーティクルの洗い流しを行ってもよいし、露光後に膜上に残った水を取り除くためのリンス(ポストソーク)を行ってもよい。
【0304】
更に、ダブルパターニング法によってパターン形成をしてもよい。ダブルパターニング法としては、1回目の露光とエッチングで1:3トレンチパターンの下地を加工し、位置をずらして2回目の露光によって1:3トレンチパターンを形成して1:1のパターンを形成するトレンチ法、1回目の露光とエッチングで1:3孤立残しパターンの第1の下地を加工し、位置をずらして2回目の露光によって1:3孤立残しパターンを第1の下地の下に形成した第2の下地を加工してピッチが半分の1:1のパターンを形成するライン法が挙げられる。
【0305】
また、本発明のパターン形成方法において、上記工程(iii)で前記アルカリ水溶液の現像液のかわりに有機溶剤を現像液として用いて、未露光部を溶解して現像するネガティブトーン現像の方法を用いてもよい。この方法により、ネガ型パターンを得ることができる。
【0306】
この有機溶剤現像には、現像液として、2-オクタノン、2-ノナノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、酢酸ブテニル、酢酸イソペンチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル、ギ酸イソペンチル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸ペンチル、乳酸イソペンチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、ギ酸ベンジル、ギ酸フェニルエチル、3-フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2-フェニルエチル等を用いることができる。これらの有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【実施例】
【0307】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。なお、使用した装置は、以下のとおりである。
・IR:サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、NICOLET 6700
・1H-NMR:日本電子(株)製ECA-500
・19F-NMR:日本電子(株)製ECA-500
【0308】
[1]モノマーの合成
[モノマーA1の合成]
【化115】
【0309】
(1)中間体1の合成
窒素雰囲気下、メチルマグネシウムクロリド(800ml 3.0M THF溶液)をTHF(800ml)で希釈した溶液中に、内温45℃以下を維持しながら、原料1(136.1g)及びTHF(150ml)からなる溶液を滴下した。内温50℃にて2時間攪拌した後、反応溶液を氷冷し、塩化アンモニウム(240g)と3.0質量%塩酸水溶液(1200g)との混合水溶液を滴下して反応を停止した。酢酸エチル(1000mL)を加え、通常の水系処理(aqueous work-up)をし、溶剤を留去した後、ヘキサンにて再結晶することで、中間体1を白色結晶として146.1g得た(収率96%)。
【0310】
(2)中間体2の合成
窒素雰囲気下、中間体1(146.1g)、トリエチルアミン(272g)、ジメチルアミノピリジン(11.7g)及びアセトニトリル(450mL)の溶液に、メタクリル酸クロリド(240.8g)を氷浴下で滴下した。滴下後、内温を50℃まで昇温し、20時間熟成した。反応液を氷冷し、飽和重曹水(300mL)を滴下して反応を停止した。トルエン(500mL)で抽出し、通常の水系処理(aqueous work-up)、溶剤留去の後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで、中間体2を無色油状物として257.4g得た(収率93%)。
【0311】
(3)モノマーA1の合成
窒素雰囲気下、中間体2(257.4g)をTHF(400ml)に溶解し、氷浴下で25質量%水酸化ナトリウム水溶液(171.4g)滴下した。滴下後、内温を25℃まで昇温し、15時間熟成した。反応液を氷冷し、20質量%塩酸水溶液(244.1g)を滴下して反応を停止した。トルエン(500mL)で抽出し、通常の水系処理(aqueous work-up)、溶剤留去の後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで、モノマーA1を無色油状物として177g得た(収率90%)。
【0312】
モノマーA1のIRスペクトルデータ及び1H-NMRの結果を以下に示す。
IR(D-ATR): ν= 3392, 2982, 2930, 1717, 1698, 1634, 1620, 1590, 1490, 1451, 1402,1382, 1367, 1329, 1313, 1292, 1196, 1135, 1105, 1078, 1009, 941, 896, 867, 815, 784, 701, 652, 575, 475 cm-1.
1H-NMR(600MHz in DMSO-d6): δ= 9.34(1H, s), 7.10(1H, t), 6.74(2H, m), 6.62(1H, d), 6.02(1H, d), 5.64(1H, d), 1.85(3H, s), 1.69(6H, s) ppm.
【0313】
[モノマーA2の合成]
原料1のかわりに原料2を用いた以外は合成例1-1の(1)~(3)と同様の方法で合成を行い、無色透明の油状物としてモノマーA2を得た(総収率82%)。
【化116】
【0314】
モノマーA2のIRスペクトルデータ及び1H-NMR、19F-NMRの結果を以下に示す。
IR(D-ATR): ν= 3402, 2988, 2927, 1705, 1635, 1608, 1507, 1470, 1450, 1437, 1403,1384, 1379, 1369, 1340, 1327, 1313, 1277, 1213, 1190, 1136, 1119, 1087, 1013, 970, 949, 920, 866, 835, 812, 772, 715, 661, 551 cm-1.
1H-NMR(600MHz in DMSO-d6): δ= 9.78(1H, s), 7.05(1H, dd), 6.93(1H, dd), 6.74(1H, m), 6.02(1H, d), 5.65(1H, d), 1.85(3H, s), 1.68(6H, s) ppm.
19F-NMR (600MHz in DMSO-d6): δ= -140.41(1F, m) ppm.
【0315】
[モノマーA3~A10の合成]
モノマーA3~A10に対応する原料を用いて、モノマーA3~A10を合成した。
【化117】
【0316】
[比較例用モノマーAX1~AX8の合成]
モノマーAX1~AX8に対応する原料を用いて、単位Aの比較例用モノマーとして、比較例用モノマーAX1~AX8を合成した。
【化118】
【0317】
[2]ポリマーの合成
ポリマーの合成に使用したモノマーのうち、モノマーA1~A10、及び比較例用のモノマーAX1~AX8以外のモノマーとして、以下のモノマーを使用した。
【0318】
【0319】
【0320】
【0321】
【0322】
[ポリマーP-1の合成]
窒素雰囲気下、フラスコに、モノマーA1(50.1g)、モノマーa1-1(22.3g)、モノマーB1(48.7g)、重合開始剤としてV-601(和光純薬工業(株)製)3.80g及びMEKを225gとり、単量体-重合開始剤溶液を調製した。窒素雰囲気とした別のフラスコにMEKを75gとり、攪拌しながら80℃まで加熱した後、前記単量体-重合開始剤溶液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、重合液の温度を80℃に保ったまま2時間攪拌を続け、次いで室温まで冷却した。得られた重合液を、激しく攪拌したヘキサン2,000gに滴下し、析出したポリマーを濾別した。更に、得られたポリマーをヘキサン600gで2回洗浄した後、50℃で20時間真空乾燥して白色粉末状のポリマーP-1を得た(収量98.1g、収率98%)。ポリマーP-1のMwは10,000、Mw/Mnは2.03であった。なお、Mwは、DMFを溶剤として用いたGPCによるポリスチレン換算測定値である。
【0323】
【0324】
[ポリマーP-2~P~20、比較例用ポリマーCP-1~CP-20の合成]
各単量体の種類、配合比を変えた以外は、ポリマーP-1と同様の方法で、表1及び2に示すポリマーを製造した。
【0325】
【0326】
【0327】
[3]レジスト組成物の調製
[実施例1-1~1-20、比較例1-1~1-20]
本発明のポリマー(P-1~P-20)、比較例用ポリマー(CP-1~CP-20)、光酸発生剤(PAG-1、PAG-2)、クエンチャー(SQ-1~SQ-3、AQ-1)を、下記表3及び4に示す組成にて、界面活性剤としてスリーエム社製FC-4430を100ppm溶解させた溶液を調製し、該溶液を0.2μmのテフロン(登録商標)製フィルターで濾過することにより、レジスト組成物を調製した。
【0328】
表3,4中、各成分は、以下のとおりである。
・有機溶剤1:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
・有機溶剤2:DAA(ジアセトンアルコール)
【0329】
・光酸発生剤:PAG-1、PAG-2
【化124】
【0330】
・クエンチャー:SQ-1~SQ-3、AQ-1
【化125】
【0331】
【0332】
【0333】
[4]EUVリソグラフィー評価(1)
[実施例2-1~2-20、比較例2-1~2-20]
表3及び表4の各化学増幅レジスト組成物(R-1~R-20、CR-1~CR-20)を、信越化学工業(株)製ケイ素含有スピンオンハードマスクSHB-A940(ケイ素の含有量が43質量%)を膜厚20nmで形成したSi基板上にスピンコートし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間プリベークして膜厚50nmのレジスト膜を作製した。これを、ASML社製EUVスキャナーNXE3300(NA0.33、σ0.9/0.6、ダイポール照明)で、ウエハー上寸法が18nm、ピッチ36nmのLSパターンの露光を、波長13.5nmの極端紫外線の露光量とフォーカスを変化(露光量ピッチ:1mJ/cm2、フォーカスピッチ:0.020μm)させながら行い、露光後、表5,6に示す温度で60秒間PEBした。その後、2.38質量%のTMAH水溶液で30秒間パドル現像を行い、界面活性剤含有リンス材料でリンス、スピンドライを行い、ポジ型パターンを得た。現像後のLSパターンを、(株)日立ハイテクノロジーズ製測長SEM(CG6300)で観察し、感度、EL、LWR、及びDOFを、下記方法に従い評価した。結果を表5と表6に示す。
【0334】
[感度評価]
ライン幅18nm、ピッチ36nmのLSパターンが得られる最適露光量Eop(mJ/cm2)を求め、これを感度とした。
【0335】
[EL評価]
前記LSパターンにおける18nmのスペース幅の±10%(16.2~19.8nm)の範囲内で形成される露光量から、次式によりEL(単位:%)を求めた。この値が大きいほど性能が良好である。
EL(%)=(|E1-E2|/Eop)×100
E1:ライン幅16.2nm、ピッチ36nmのLSパターンを与える最適な露光量
E2:ライン幅19.8nm、ピッチ36nmのLSパターンを与える最適な露光量
Eop:ライン幅18nm、ピッチ36nmのLSパターンを与える最適な露光量
【0336】
[LWR評価]
Eopで照射して得たLSパターンを、ラインの長手方向に10箇所の寸法を測定し、その結果から標準偏差(σ)の3倍値(3σ)をLWRとして求めた。この値が小さいほど、ラフネスが小さく均一なライン幅のパターンが得られる。
【0337】
[DOF評価]
焦点深度評価として、前記LSパターンにおける18nmの寸法の±10%(16.2~19.8nm)の範囲で形成されるフォーカス範囲を求めた。この値が大きいほど、焦点深度が広く、レジストパターンのプロセスマージンが広い。
【0338】
【0339】
【0340】
表5,6に示した結果より、実施例のレジスト組成物は、比較例よりも全体的にEL値とDOFの値が大きく、最適露光量とLWRの値が小さい傾向にあったことから、本発明のポリマーを使用したレジスト組成物は、感度と性能が良好で、形成されるパターンのラフネスが小さく、焦点深度が広かったことから、各種リソグラフィー性能に優れることが確認された。
【0341】
[5]EUVリソグラフィー評価(2)
[実施例3-1~3-20、比較例3-1~3-20]
表3及び表4に示す各化学増幅レジスト組成物(R-1~R-20、CR-1~CR-20)を、信越化学工業(株)製ケイ素含有スピンオンハードマスクSHB-A940(ケイ素の含有量が43質量%)を膜厚20nmで形成したSi基板上にスピンコートし、ホットプレートを用いて105℃で60秒間プリベークし、膜厚50nmのレジスト膜を作製した。これに、ASML社製EUVスキャナーNXE3400(NA0.33、σ0.9/0.6、クアドルポール照明、ウエハー上寸法がピッチ46nm、+20%バイアスのホールパターンのマスク)を用いて波長13.5nmの極端紫外線で露光し、ホットプレートを用いて表7,8記載の温度で60秒間PEBを行い、2.38質量%TMAH水溶液で30秒間現像を行って、寸法23nmのホールパターンを形成した。
【0342】
(株)日立ハイテク製測長SEM(CG6300)を用いて、ホール寸法が23nmで形成されるときの露光量を測定してこれを感度(最適露光量)とし、また、このときのホール50個の寸法を測定し、その結果から算出した標準偏差(σ)の3倍値(3σ)を寸法バラツキ(CDU)とした。結果を表7と表8に示す。
【0343】
【0344】
【0345】
表7と表8に示した結果より、実施例のレジスト組成物は、比較例よりも全体的に最適露光量とCDUの値が低い傾向にあったことから、本発明のポリマーを使用したレジスト組成物は、感度が良好であり、パターンの面内均一性に優れることが確認された。
【0346】
以上より、本発明は、高エネルギー線を用いる超微細加工技術のリソグラフィーにおいて、高感度・高解像性・高コントラストで、かつパターン幅のバラツキ(LWR)及びパターンの面内均一性(CDU)が小さく、プロセスマージンが広いレジストパターンを形成することが可能なポリマー、レジスト材料、及びパターン形成方法を提供することが示された。
【0347】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。