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特許7661324リソグラフィ装置のための基板サポートを製造する方法、基板テーブル、リソグラフィ装置、デバイス製造方法、使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-04
(45)【発行日】2025-04-14
(54)【発明の名称】リソグラフィ装置のための基板サポートを製造する方法、基板テーブル、リソグラフィ装置、デバイス製造方法、使用方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20250407BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20250407BHJP
【FI】
G03F7/20 521
H01L21/68 N
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022528623
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-06
(86)【国際出願番号】 EP2020082988
(87)【国際公開番号】W WO2021115765
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2023-11-17
(31)【優先権主張番号】19214460.8
(32)【優先日】2019-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20183998.2
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ステウル,マイケル,マリナス,アンナ
(72)【発明者】
【氏名】テン ケイト,ニコラース
(72)【発明者】
【氏名】トロンプ,ジークフリート,アレキサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ウィンケルズ,コエン,ゲルハルダス
(72)【発明者】
【氏名】デ グロート,アントニウス,フランシスカス,ヨハネス
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-163107(JP,A)
【文献】特開2002-313896(JP,A)
【文献】特開2010-205813(JP,A)
【文献】特表2017-533454(JP,A)
【文献】特表2018-521344(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0220425(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0292566(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0190534(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィプロセス中に基板を支持するように構成された、基板テーブルであって、
基板サポートを備え、前記基板サポートは、
前記基板サポートのベース部材を介して延在する複数のホールと、複数のバール構造とを備え、
各バール構造は、使用中に前記基板サポートによって支持される基板と接するように構成された遠位表面を備え、各バール構造は、前記ベース部材内のホールの少なくとも2つに対する開口を備え、
前記基板テーブルは、前記バール構造のうちの1つ以上の各々において、すべての前記開口を介して外側への流体の流れを提供するように構成される、
基板テーブル。
【請求項2】
各バール構造は、前記バール構造内で前記遠位表面から凹状面へと延在するバール凹所を備え、前記凹状面は、前記ベース部材内の少なくとも2つの前記ホールに対する前記開口を備える、請求項1に記載の基板テーブル。
【請求項3】
1つ以上の前記バール構造の各々は、使用中、支持される基板の面に平行な方向に、前記バール凹所を囲む壁を備え、前記壁の遠位部分は、使用中、前記支持される基板と接する前記遠位表面のすべて又は一部を形成し、及び/又は、前記ベース部材は前記ベース部材内に複数のベース凹所を更に備え、各ベース凹所は、前記ベース部材の反対側の前記バール構造の異なるそれぞれ1つと位置合わせされ、前記位置合わせは、流体の外向き流れが、前記それぞれのバール構造の前記ベース凹所及び前記バール凹所を介した流体の流れを、前記ベース部材内の前記ホールを介して駆動させることによって、提供されるようになり、及び/又は、1つ以上の前記バール構造の各々が、前記バール構造の前記バール凹所内に1つ以上のサブバールを備え、各サブバールは、使用中、前記基板サポートによって支持される前記基板と接触する、前記バール構造の前記遠位表面の一部を形成する、遠位先端を有し、前記一部は、前記バール構造の前記遠位表面のすべてより少なく、及び/又は、少なくとも1つの前記バール構造の各々内の前記開口のアップストリームに多孔質層を更に備え、及び/又は、前記バール構造は前記ベース部材に接合されたバール形成部材内に形成される、請求項2に記載の基板テーブル。
【請求項4】
1つ以上の前記バール構造の各々について、前記ベース部材の面から垂直に見たとき、前記バール凹所内の前記凹状面内へと開口している各ホールの断面積は、前記バール構造と位置合わせされた前記それぞれのベース凹所の断面積よりも小さく、前記バール凹所の断面積よりも小さく、
1つ以上の前記バール構造の各々は、使用中、支持される基板の面に平行な方向に、前記バール凹所を囲む壁を備え、前記壁の遠位部分は、使用中、前記支持される基板と接する前記遠位表面の一部を形成し、
前記サブバールの各々の前記遠位先端は、使用中、前記支持される基板の前記面に並行なすべての方向で、前記壁の前記遠位部分から間隔を置いて配置される、
請求項3に記載の基板テーブル。
【請求項5】
前記ベース部材を介して形成される少なくとも1つの前記ホールは、少なくとも1つの前記サブバールを通過する、請求項4に記載の基板テーブル。
【請求項6】
サポートテーブルは、リソグラフィ装置によって実行されるリソグラフィプロセスにおける基板の露光中、前記基板と前記リソグラフィ装置の投影システムとの間に相対運動を提供するように構成される、請求項1から5のいずれかに記載の前記基板テーブルを備えるリソグラフィ装置。
【請求項7】
リソグラフィ装置のための基板サポートを製造する方法であって、
ベース部材を介して複数のホールを形成すること、
前記ベース部材内に前記ホールが形成された後、バール形成部材を前記ベース部材に接合すること、及び、
前記バール形成部材内に複数のバール構造を形成すること、
を含み、
前記バール構造は、
各バール構造が使用中に前記基板サポートによって支持される基板と接するように構成された遠位表面を備えるように、及び、各バール構造が前記ベース部材を介して形成された前記ホールのうちの少なくともつに対する開口を備えるように、
形成される、方法。
【請求項8】
前記バール形成部材が前記ベース部材に接合された後、前記バール形成部材内に前記複数のバール構造が形成され、それによって前記基板サポートを形成し、及び/又は、
各バール構造は、前記バール構造内で前記遠位表面から凹状面へと延在するバール凹所を備え、前記凹状面は、前記ベース部材を介して形成される少なくともつの前記ホールに対する前記開口を備え、
前記凹状面は前記ベース部材の表面を備える、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
リソグラフィ装置のための基板サポートを製造する方法であって、
ベース部材を介して複数のホールを形成すること、及び、
前記複数のホールの各々の少なくとも一部が前記ベース部材内に形成された後、
前記ベース部材内に複数のバール構造を形成すること、
を含み、
前記バール構造は、
各バール構造が使用中に支持される基板と接するように構成された遠位表面を備えるように、及び、各バール構造が前記ベース部材を介して形成された前記ホールのうちの少なくとも1つに対する開口を備えるように、
形成される、方法。
【請求項10】
各バール構造は、前記バール構造内で前記遠位表面から凹状面へと延在するバール凹所を備え、前記凹状面は、前記ベース部材を介して形成される少なくとも1つの前記ホールに対する前記開口を備える、請求項に記載の方法。
【請求項11】
1つ以上の前記バール構造の各々は、使用中、支持される基板の面に平行な方向に、前記バール凹所を囲む壁を備え、前記壁の遠位部分は、使用中、前記支持される基板と接する前記遠位表面のすべて又は一部を形成し、及び/又は、前記ベース部材内に複数のベース凹所を形成することを更に含み、各ベース凹所は、前記ベース部材の反対側の前記バール構造の異なるそれぞれ1つと位置合わせするように位置決めされ、前記位置合わせは、前記ベース部材を介して形成される1つ以上の前記ホールを介して、前記それぞれのバール構造の前記ベース凹所及び前記バール凹所を通過する流体の流れが、使用中、提供されるようになる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
1つ以上の前記バール構造の各々について、前記ベース部材の面から垂直に見たとき、前記バール凹所内の前記凹状面内へと開口している各ホールの断面積は、前記バール構造と位置合わせされた前記それぞれのベース凹所の断面積よりも小さく、前記バール凹所の断面積よりも小さい、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記バール構造は、前記凹状面を形成するために前記バール構造の内側から材料を除去する前に、前記バール構造の外側から材料を除去することによって形成され、及び/又は、1つ以上の前記バール構造の各々の前記凹状面は、前記ベース部材を介して形成される少なくとも2つの前記ホールに対する開口を備え、及び/又は、1つ以上の前記バール構造の各々が、前記バール構造の前記バール凹所内に1つ以上のサブバールを備え、各サブバールは、使用中、前記基板サポートによって支持される前記基板と接触する、前記バール構造の前記遠位表面の一部を形成する、遠位先端を有し、前記一部は、前記バール構造の前記遠位表面のすべてより少なく、及び/又は、前記ベース部材を介して形成される前記ホールの前記内側表面にコーティングを印加することを更に含み、及び/又は、前記基板サポートを基板テーブルに取り付けることを含み、前記基板テーブルは、リソグラフィプロセスにおける前記基板の露光中、前記基板とリソグラフィ装置の投影システムとの間に相対運動を提供するように構成される、請求項10から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
請求項11に従属するとき、前記サブバールの各々の前記遠位先端は、使用中、前記支持される基板の前記面に並行なすべての方向で、前記壁の前記遠位部分から間隔を置いて配置され、及び/又は、前記ベース部材を介して形成される少なくとも1つの前記ホールは、少なくとも1つの前記サブバールを通過する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記コーティングは、前記バール構造が位置すべき場所の反対側の前記ベース部材の側面から印加される請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は、2019年12月9日出願の欧州出願第19214460.8号及び2020年7月3日出願の欧州出願第20183998.2号の優先権を主張し、その両方の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明は、リソグラフィ装置のための基板サポートを製造する方法、基板サポートを有する基板テーブル、基板テーブルを有するリソグラフィ装置、リソグラフィ装置を使用するデバイス製造方法、及び、基板テーブルを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、基板に所望のパターンを適用するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造において使用可能である。リソグラフィ装置は、例えばパターニングデバイス(例えばマスク)のパターン(「設計レイアウト」又は「設計」と称されることも多い)を、基板(例えばウェーハ)上に提供された放射感応性材料(レジスト)層に投影し得る。
【0004】
[0004] 半導体製造プロセスが進み続けるにつれ、回路素子の寸法は継続的に縮小されてきたが、その一方で、デバイス毎のトランジスタなどの機能素子の量は、「ムーアの法則」と通称される傾向に従って、数十年にわたり着実に増加している。ムーアの法則に対応するために、半導体産業はますます小さなフィーチャを作り出すことを可能にする技術を追求している。基板上にパターンを投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を用い得る。この放射の波長が、基板上にパターン形成されるフィーチャの最小サイズを決定する。現在使用されている典型的な波長は、365nm(i線)、248nm、193nm及び13.5nmである。
【0005】
[0005] リソグラフィ装置は、放射の投影ビームを提供するための照明システム、及び、パターニングデバイスを支持するための支持構造を含み得る。パターニングデバイスは、投影ビームの断面にパターンを付与するように働き得る。装置は、パターン付きビームを基板のターゲット部分上に投影するための投影システムも含み得る。
【0006】
[0006] リソグラフィ装置において、露光すべき基板(製品基板と呼ばれる場合がある)は、基板テーブル(時には、ウェーハテーブル又は基板ホルダとも呼ばれる)上に保持され得る。基板テーブルは、投影システムに関して移動可能であり得る。基板テーブルの基板対向表面には、複数の突起(バールと呼ばれる)が提供され得る。バールの遠位表面は平坦面に一致し得、基板を支持し得る。バールは、基板テーブル上又は基板上の汚染物質粒子がバール間に落ちる可能性が高いため、基板の変形を生じさせないこと、基板テーブルの表面を平坦にするよりもバール端部が面に一致するようにバールを機械加工する方が容易であること、及び、バールの特性は例えば基板テーブルへの基板のクランプを制御するように調整可能であること、といういくつかの利点を、提供することができる。
【0007】
[0007] 製品基板は、バールと基板との間の摩擦力に起因して歪み得る。これらの相互作用は、潤滑効果を提供するためにバールを介して流体を駆動させることによって減少させることができる。多数のバールを介して均一及び確実に流体を駆動させることは困難であることが証明されている。
【発明の概要】
【0008】
[0008] 本発明の目的は、基板サポートの製造及び/又は性能を向上させることである。
【0009】
[0009] 本発明の一態様に従い、リソグラフィプロセス中に基板を支持するように構成された、基板サポートを備える基板テーブルが提供され、基板サポートは、基板サポートのベース部材を介して延在する複数のホールと、複数のバール構造とを備え、各バール構造は、使用中に基板サポートによって支持される基板と接するように構成された遠位表面を備え、各バール構造は、ベース部材内のホールの少なくとも2つに対する開口を備え、基板テーブルは、バール構造のうちの1つ以上の各々において、すべての開口を介して外側への流体の流れを提供するように構成される。
【0010】
[0010] 更なる態様に従い、リソグラフィ装置のための基板サポートを製造する方法が提供され、方法は、ベース部材を介して複数のホールを形成すること、ベース部材内にホールが形成された後、バール形成部材をベース部材に接合すること、及び、バール形成部材がベース部材に接合された後、バール形成部材内に複数のバール構造を形成し、それによって基板サポートを形成することを含み、バール構造は、各バール構造が使用中に基板サポートによって支持される基板と接するように構成された遠位表面を備えるように、及び、各バール構造がベース部材を介して形成されたホールのうちの少なくとも1つに対する開口を備えるように、形成される。
【0011】
[0011] 更なる態様に従い、リソグラフィ装置のための基板サポートを製造する方法が提供され、方法は、ベース部材を介して複数のホールを形成すること、ベース部材内にホールが形成された後、バール形成部材をベース部材に接合すること、及び、バール形成部材内に複数のバール構造を形成することを含み、バール構造は、各バール構造が使用中に基板サポートによって支持される基板と接するように構成された遠位表面を備えるように、及び、各バール構造がベース部材を介して形成されたホールのうちの少なくとも1つに対する開口を備えるように、形成される。
【0012】
[0012] 更なる態様に従い、リソグラフィ装置のための基板サポートを製造する方法が提供され、方法は、ベース部材を介して複数のホールを形成すること、及び、複数のホールのうちの各々の少なくとも一部がベース部材内に形成された後、複数のバール構造をベース部材内に形成することを含み、バール構造は、各バール構造が使用中に支持される基板と接するように構成された遠位表面を備えるように、及び、各バール構造がベース部材を介して形成されたホールのうちの少なくとも1つに対する開口を備えるように、形成される。
【0013】
[0013] 本発明の更なる実施形態、特徴、及び利点を、添付の図面を参照しながら下記で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
[0014] 対応する参照符号が対応する部分を示す添付の概略図を参照しながら以下に本発明の実施形態について説明するが、これは単に例示としてのものに過ぎない。
【0015】
図1】リソグラフィ装置の概要を概略的に示す図である。
図2】バール構造を伴う基板サポートを有する基板テーブルを概略的に示す図である。
図3】基板サポートのバール構造を概略的に示す断面斜視図である。
図4】サブバールを伴うバール構造を備える基板サポートの一部を示す、概略側断面図である。
図5図4のバール構造を示す概略頂面図である。
図6】サブバールを通過するホールを有するサブバールを伴うバール構造を備える基板サポートの一部を示す、概略側断面図である。
図7図6のバール構造を示す概略頂面図である。
図8】バール構造のアップストリームに多孔質層を有する基板サポートの一部を示す、概略側断面図である。
図9】ベース部材をバール形成部材に接合するステップを含む、基板サポートを製造する方法におけるステップを概略的に示す図である。
図10】ベース部材をバール形成部材に接合するステップを含む、基板サポートを製造する方法におけるステップを概略的に示す図である。
図11】ベース部材をバール形成部材に接合するステップを含む、基板サポートを製造する方法におけるステップを概略的に示す図である。
図12】ベース部材をバール形成部材に接合するステップを含む、基板サポートを製造する方法におけるステップを概略的に示す図である。
図13】ベース部材をバール形成部材に接合するステップを含む、基板サポートを製造する方法におけるステップを概略的に示す図である。
図14】ベース部材をバール形成部材に接合するステップを含む、基板サポートを製造する方法におけるステップを概略的に示す図である。
図15】ベース部材をバール形成部材に接合するステップを含む、基板サポートを製造する方法におけるステップを概略的に示す図である。
図16】ベース部材をバール形成部材に接合するステップを含む、基板サポートを製造する方法におけるステップを概略的に示す図である。
図17】ホール及びバール構造が同じベース部材内に形成される、基板サポートを製造する方法におけるステップを概略的に示す図である。
図18】ホール及びバール構造が同じベース部材内に形成される、基板サポートを製造する方法におけるステップを概略的に示す図である。
図19】ホール及びバール構造が同じベース部材内に形成される、基板サポートを製造する方法におけるステップを概略的に示す図である。
図20】ホール及びバール構造が同じベース部材内に形成される、基板サポートを製造する方法におけるステップを概略的に示す図である。
図21】ホール及びバール構造が同じベース部材内に形成される、基板サポートを製造する方法におけるステップを概略的に示す図である。
図22】ホール及びバール構造が同じベース部材内に形成される、基板サポートを製造する方法におけるステップを概略的に示す図である。
図23】バール構造を備える更なる例示の基板サポートの一部を示す、概略側断面図である。
図24】基板サポートの層状構造の拡大部分を示す差し込み図を伴う、基板テーブルの一部内に形成される凹所内に基板サポートがどのように取り付け可能であるかを示す、概略側断面図である。
図25】基板サポートのベース部材を製造する方法におけるステップを概略的に示す図である。
図26】基板サポートのベース部材を製造する方法におけるステップを概略的に示す図である。
図27】基板サポートのベース部材を製造する方法におけるステップを概略的に示す図である。
図28】基板サポートのバール形成部材を製造する方法におけるステップを概略的に示す図である。
図29】基板サポートのバール形成部材を製造する方法におけるステップを概略的に示す図である。
図30】基板サポートのバール形成部材を製造する方法におけるステップを概略的に示す図である。
図31】基板サポートのバール形成部材を製造する方法におけるステップを概略的に示す図である。
【0016】
[0015] 図に示される特徴は必ずしも一定の縮尺ではなく、示されるサイズ及び/又は配置は限定的ではない。図面は、本発明にとって不可欠ではない可能性のある任意選択の特徴を含むことを理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0016] 本文献では、「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(例えば、波長が436nm、405nm、365nm、248nm、193nm、157nm、126nm、又は13.5nmの波長)を含む、すべてのタイプの電磁放射を包含するために使用される。
【0018】
[0017] 「レチクル」、「マスク」、又は「パターニングデバイス」という用語は、本文で用いる場合、基板のターゲット部分に生成されるパターンに対応して、入来する放射ビームにパターン付き断面を与えるため使用できる汎用パターニングデバイスを指すものとして広義に解釈され得る。また、この文脈において「ライトバルブ」という用語も使用できる。古典的なマスク(透過型又は反射型マスク、バイナリマスク、位相シフトマスク、ハイブリッドマスク等)以外に、他のそのようなパターニングデバイスの例は、プログラマブルミラーアレイ及びプログラマブルLCDアレイを含む。
【0019】
[0018] 図1は、リソグラフィ装置LAを概略的に示す。リソグラフィ装置は、放射ビームB(例えば、EUV放射又はDUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータとも呼ばれる)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構築され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに連結されたマスクサポート(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構築された第2のポジショナPWに連結された基板テーブルWTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSと、を含む。
【0020】
[0019] 動作中、照明システムILは、例えばビームデリバリシステムBDを介して放射源SOから放射ビームを受ける。照明システムILは、放射を誘導し、整形し、及び/又は制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、及び/又はその他のタイプの光学コンポーネント、又はそれらの任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。イルミネータILを使用して放射ビームBを調節し、パターニングデバイスMAの平面において、その断面にわたって所望の空間及び角度強度分布が得られるようにしてもよい。
【0021】
[0020] 本明細書で用いられる「投影システム」PSという用語は、使用する露光放射、及び/又は液浸液の使用や真空の使用のような他のファクタに合わせて適宜、屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、アナモルフィック光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システム、及び/又は静電気光学システム、又はそれらの任意の組み合わせを含む様々なタイプの投影システムを包含するものとして広義に解釈するべきである。本明細書で「投影レンズ」という用語が使用される場合、これは更に一般的な「投影システム」PSという用語と同義と見なすことができる。
【0022】
[0021] リソグラフィ装置は、投影システムPSと基板Wとの間の液浸空間を充填するように、基板Wの少なくとも一部を例えば水のような比較的高い屈折率を有する液浸液で覆うことができるタイプでもよい。これは液浸リソグラフィとも呼ばれる。液浸技法に関する更なる情報は、参照により本願に含まれる米国特許6,952,253号に与えられている。
【0023】
[0022] リソグラフィ装置は、2つ以上の基板テーブルWTを有するタイプである場合がある(「デュアルステージ」という名前も付いている)。このような「マルチステージ」機械においては、基板テーブルWTを並行して使用するか、及び/又は、一方の基板テーブルWT上の基板Wにパターンを露光するためこの基板を用いている間に、他方の基板テーブルWT上に配置された基板Wに対して基板Wの以降の露光の準備ステップを実行することができる。
【0024】
[0023] 基板テーブルWTに加えて、リソグラフィ装置は測定ステージ(図1に図示しない)を含むことができる。測定ステージは、センサ及び/又は洗浄デバイスを保持するように配置されている。センサは、投影システムPSの特性又は放射ビームBの特性を測定するよう配置できる。測定ステージは複数のセンサを保持することができる。洗浄デバイスは、例えば投影システムPSの一部又は液浸液を提供するシステムの一部のような、リソグラフィ装置の一部を洗浄するよう配置できる。基板テーブルWTが投影システムPSから離れている場合、測定ステージは投影システムPSの下方で移動することができる。
【0025】
[0024] 動作中、放射ビームBは、マスクサポートMT上に保持されている、パターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射し、パターニングデバイスMA上に存在するパターン(設計レイアウト)によってパターンが付与される。マスクMAを横断した放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSはビームを基板Wのターゲット部分Cに集束させる。第2のポジショナPW及び位置測定システムPMSを用いて、例えば、放射ビームBの経路内の集束し位置合わせした位置に様々なターゲット部分Cを位置決めするように、基板テーブルWTを正確に移動させることができる。同様に、第1のポジショナPMと、場合によっては別の位置センサ(図1には明示的に図示されていない)を用いて、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めすることができる。パターニングデバイスMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を用いて位置合わせすることができる。図示されている基板アライメントマークP1、P2は専用のターゲット部分を占有するが、それらをターゲット部分間の空間に位置付けることも可能である。基板アライメントマークP1、P2は、これらがターゲット部分C間に位置付けられている場合、スクライブラインアライメントマークとして知られている。
【0026】
[0025] 本明細書において、デカルト座標系が用いられる。デカルト座標系は3つの軸、すなわちx軸、y軸、及びz軸を有する。3つの軸の各々は他の2つの軸に対して直交している。x軸を中心とした回転をRx回転と称する。y軸を中心とした回転をRy回転と称する。z軸を中心とした回転をRz回転と称する。x軸及びy軸は水平面を画定し、z軸は垂直方向を画定する。デカルト座標系は本発明を限定せず、単に明確さのため使用される。代わりに、本発明を明瞭にするために円筒座標系などの別の座標系が使用され得る。デカルト座標系の配向は、例えばz軸が水平面に沿った成分を有するように、異なるものとしてもよい。
【0027】
[0026] リソグラフィ装置において、投影システムによって投影されるパターンの空間像の最良焦点の面内で露光されるべき基板の上部表面を、かなりの精度で位置決めすることが必要である。これを達成するために、基板を基板テーブル上で保持することができる。基板を支持する基板テーブルの表面には、その遠位端が名目上の支持面内で同一平面上にあることが可能な複数のバールが提供可能である。バールは多数であるが、支持面に対して平行な断面域内では小さいため、それらの遠位端の総断面域は基板の表面域の数パーセント、例えば5%未満である。基板テーブルと基板との間の空間内のガス圧は、基板を基板テーブルにクランプする力を生み出すために基板の上の圧力と比べて低減され得る。代替又は追加として、基板を基板テーブルにクランプするために静電気クランプ力が使用され得る。
【0028】
[0027] 基板が基板テーブル上にロードされるとき、一般に基板は基板テーブル上に完全に平坦にランディングしない。これは、基板のローディング中、基板の一点がバールのうちの少なくとも1つに接触した後、基板の残りの部分が基板テーブルに接触する傾向があることを意味する。ローディング中の基板と基板テーブルとの間の摩擦力は、基板が基板テーブル全体にわたって接触する際、基板内に面内変形を引き起こし得る。同様の影響がアンローディング中にも発生し得る。面内変形はオーバーレイエラーを増加させる可能性がある。
【0029】
[0028] 潤滑効果を提供するためにバールを介して流体(例えば、ガス及び液体のいずれか又は両方)を駆動させることによって、バールと基板との間の摩擦力を減少させることが可能である。異なるバール間の流れ抵抗における望ましくない変動が、バールを介する流量に対応する変動を生じさせることになるため、こうした潤滑流体流れを均一に提供することは困難である。流れ抵抗が小さいと流量は大きくなり、またその逆も真である。
【0030】
[0029] 上記の問題を低減させる1つの手法は、各バール内の流れ抵抗を制御されたやり方で増加させるために、各バール内に流れ制限部を提供することである。バールの流れ抵抗が増加することで、任意のバールを介した過剰な流れ又は過剰な全体流れ無しに、各バールからの十分な流れを確実に保証することができる。
【0031】
[0030] 下記で説明する実施形態は、こうした流れ制限部を備えるバール(以下、バール構造と呼ぶ)を有する基板サポートを製造する、効率的及び/又は信頼できる方法を提供する。
【0032】
[0031] 図2は、基板テーブルWTの上部表面に取り付けられる基板サポート2を示す。サポートテーブルWTは、リソグラフィ装置LAによって実行されるリソグラフィプロセスにおける基板Wの露光中、基板Wとリソグラフィ装置LAの投影システムPSとの間に相対運動を提供する。リソグラフィ装置LAは、半導体デバイスなどのデバイスを製造する方法で使用され得る。基板テーブルWT及び/又はリソグラフィ装置LAは、図1を参照しながら上記で説明したやり方のうちのいずれかで動作するように、構成及び/又は配置され得る。
【0033】
[0032] 基板サポート2は複数のバール構造6を備える。図3は、例示のバール構造6をより詳細に示す。各バール構造6は遠位表面11を備える。使用中、遠位表面11は、基板サポート2によって支持される基板Wと接する。平面基板の場合、バール構造6の遠位表面11は同一平面上にあり得る。
【0034】
[0033] 示された実施形態において、バール凹所14は、各バール構造6内の遠位表面11から凹状面13へと延在する。図3の例では、バール凹所14は実質的に円筒である。バール凹所14の円筒対称性の軸は、使用中、バール構造6によって支持される基板Wに対して垂直である。バール凹所14は、前述の潤滑効果を提供するために、使用中に流体(例えば、液体及び/又はガス)が流れる際に介することが可能なチャネルを画定する。いくつかの実施形態において、図3で例示するように、1つ以上のバール構造6の各々は、使用中、支持される基板Wの面に平行な方向に、バール凹所14を囲む壁を備える。壁の遠位部分は、使用中、支持される基板Wと接する遠位表面11のすべて又は一部を形成する。壁は、バール凹所14から見て外側を向く半径方向外側表面8を有する。図示された実施形態において、半径方向外側表面8はテーパ状である。半径方向外側表面8をテーパ状にすることで、半径方向外側表面8がテーパ状でない代替構成に比べて、壁を強化し得る。壁は、バール凹所14の内側を向いた半径方向内側表面10を有する。バール構造6の間の表面9は実質的に平坦であり得、使用中、基板サポート2によって支持される基板W方向を向く。半径方向外側表面8がテーパ状であるとき、半径方向外側表面8は、(90度ではなく)斜角で表面9と交わり得る。
【0035】
[0034] 基板テーブルWTは、バール構造6を介して流体(例えば、液体及び/又はガス)の外向き流れを提供するように構成される。流体の外向き流れは、バール凹所14から出て、基板テーブルWTによって支持される基板W方向(図2及び図3の配向では上方)へ渡る。流体の外向き流れは、バール構造6と基板Wとの間の摩擦力を減少させるために、例えば、基板テーブルWT上への基板Wのローディング及び/又はアンローディング中、並びに/あるいは、少なくとも簡潔に、基板Wが基板テーブルWT上に完全にロードされる間に、提供され得る。流体の外向き流れは、例えば、ダクト系統、弁、ポンプ、フィルタ、センサ、及び/又は他の適切なコンポーネントの任意の組み合わせを含む、流体流れを制御可能に誘導するための装置の任意の組み合わせと共に、流体源4(例えば、ガス源又は液体源)を使用して提供され得る。
【0036】
[0035] 基板サポート2はベース部材20を備える。ベース部材20は、例えば、シリコンウェーハの一部を備え得る。ベース部材20は、ベース部材20を介して延在する複数のホール12を備える。図3の例では、ホール12はベース部材20を介して縦方向に延在する。各ホール12は、図示された例では、円筒対称性の縦軸を伴い、実質的に円筒状である。いくつかの実施形態において、ホール12は、非円形断面を伴うか又は深さに応じてサイズが変化する断面を伴う形状などの、他の配向及び/又は形状を有し得る。1つ以上のホール12は、例えば、テーパ状であり得る。ベース部材20の頂面における各ホール12の開口は、上方を向いている。ベース部材20の底面における各ホール12の開口は、下方を向いている。各ホール12はチャネルと呼ばれることがある。一実施形態において、各ホール12は細長い(例えば、各ホール12の長さはホール12の直径よりも大きい)。一実施形態において、各ホール12は0.001から0.2mmの範囲内、任意選択として0.001から約0.05mmの範囲内の、直径を有する。一実施形態において、各ホール12は、0.005から1mmの範囲内、任意選択として0.005から約0.2mmの範囲内の、長さを有する。
【0037】
[0036] 各バール構造6は、ホール12のうちの少なくとも1つに対する開口を備える。バール構造6が凹状面13を有さない実施形態では、開口は、基板Wと接する遠位表面11内に提供され得る。バール構造6が凹状面13を備える図3から図22に示されるような実施形態では、各凹状面13はホール12のうちの少なくとも1つに対する開口を備え得る。各凹状面13は、凹状面13が無い場合に比べて流体の流れを部分的にブロックする。したがって、各バール構造6内の凹状面13及びホール12の組み合わせは、流れ制限器として働く。流れ制限部の量は、ホール12の断面積及び数に依存する。
【0038】
[0037] いくつかの実施形態において、各々がベース部材20内のホール12のうちの少なくとも2つに対する開口を備える、バール構造6が提供される。バール構造6が凹状面13を備える場合、各凹状面13は、ベース部材20内のホール12のうちの少なくとも2つに対する開口を備え得る。バール構造6及び/又は凹状面13の各々に複数のホール12を提供することで、流れ制限機能のロバスト性を向上させる。汚染は、単一ホールよりも複数ホールに干渉する可能性の方が低い。一実施形態において、基板テーブルWTは、1つ以上のバール構造6及び/又は凹状面13の各々におけるすべての開口を介して、流体の外向き流れを提供するように構成される。
【0039】
[0038] いくつかの実施形態では、図3に例示されるように、ベース部材20は、ベース部材20内に複数のベース凹所15を更に備える。図3は、ベース部材20の下側に1つのこうしたベース凹所15を示す。各ベース凹所15は、ベース部材20の反対側のバール構造6の異なるそれぞれ1つと位置合わせされる(例えば、各ベース凹所15は異なるバール構造6と位置合わせされることになる)。位置合わせは、流体の外向き流れが、それぞれのバール構造6のベース凹所15及びバール凹所14を介した(例えば、流体源4からの)流体の流れを、ベース部材20内のホール12を介して駆動させることによって、提供されるようになる。基板サポート2が(例えば、図2に示されるように)基板テーブルWTに取り付けられるとき、ベース凹所15は、基板テーブルWT内にバール構造6から更なるダクト系統へと導くチャネルを形成することができる。
【0040】
[0039] いくつかの実施形態では、1つ以上のバール構造6の各々について、ベース部材20の面から垂直に見たとき、バール凹所14内の凹状面13内へと開口している各ホール12の断面積は、バール構造6と位置合わせされたそれぞれのベース凹所15の断面積よりも小さく、バール凹所14の断面積よりも小さい。したがってホール12は、各バール構造6が、間に制限構造が提供されない(すなわち、凹状面13がホール12を備えない)バール凹所14に直接接続されたベース凹所15を備える、概念的なケースに比べて、各バール構造6を介する流れを制限するための働きをする。
【0041】
[0040] 図4から図7は、1つ以上のバール構造6の各々が、バール構造6のバール凹所14内に1つ以上のサブバール32を備える、実施形態を示す。各サブバール32は遠位先端11Bを有する。遠位先端11Bは、使用中、基板サポート2によって支持される基板Wと接触する、バール構造6の遠位表面の一部を形成する。遠位先端11Bによって提供される遠位表面の一部は、バール構造6の遠位表面のすべてよりは少ない。このタイプの実施形態では、1つ以上のバール構造6の各々は、使用中、支持される基板Wの面に対して平行な方向に(例えば、図に示される配向においてすべての水平方向に)、バール凹所14を囲む壁を備え得る。壁の遠位部分11Aは、使用中、支持される基板Wと接触する、遠位表面の一部を形成する。サブバール32の各々の遠位先端11Bは、使用中、支持される基板Wの面に対して平行なすべての方向で、壁の遠位部分11Aから間隔を置いて配置される。示された例では、上から見た場合、単一のサブバール32がバール凹所14の中央に提供される。他の実施形態では、サブバール32は他のロケーションに提供され得る。他の実施形態では、複数のサブバール32が、各々が遠位先端11Bを有する1つ以上のバール構造6の各々に提供され得、使用中、支持される基板Wの面に対して平行なすべての方向で、それぞれの壁の遠位部分11Aから間隔を置いて配置される。
【0042】
[0041] 前述のようなサブバール32の提供は、バール構造6の機械的ロバスト性を向上させることができる。バール構造6のロバスト性を向上させることは、全体のロバスト性を損なうことなく、壁の遠位部分11Aの幅などのバール構造6の他の特性を調節する自由を向上させる。サブバール32の提供は、(例えば、壁の遠位部分11Aと、壁内のサブバール32の遠位先端11Bとの間の)個々のバールの異なる部分において、異なるトポグラフィクス又はラフネスを有するための機会も提供する。この手法は、個々のバール構造6の異なる部分において、異なるトップコーティングを提供するための機会も提供する。例えば、機械的な滑り接触が存在し得る基板Wのランディング又はリストオフ中に、バール構造6のロバスト性を向上させるために、遠位先端11Bは、相対的に低い(例えば、壁の遠位部分11Aの表面エネルギーよりも低い)表面エネルギーを有する、相対的に粗い(例えば、壁の遠位部分11Aよりも粗い)、及び/又は、相対的に低い摩擦(例えば、壁の遠位部分11Aよりも低い摩擦)を提供する、表面を有するように構成され得る。
【0043】
[0042] 図4及び図5に示されるタイプの実施形態において、各バール構造6に対応するベース部材20の部分を通過するすべてのホール12は、バール構造6の凹状面13内に開口を有する。ホール12は、いずれのサブバール32も通過しない。図6及び図7に例示されるような、他の実施形態において、ベース部材20を介して形成される少なくとも1つのホール12は、少なくとも1つのサブバール32を通過する。示される例では、図示されたバール構造6内に単一のサブバール32が提供され、ホール12の1つが、サブバール32の円筒対称性の軸に沿ってバール構造6のサブバール32を通過する。サブバール32を通過するようにホール12を配置することによって、サブバール32と支持される基板Wとの間の摩擦力を低下させることができる。サブバール32を通過するホール12は、サブバール32内のホール12の開口近くの表面を、(例えば、サブバール32を介して流体を駆動させることによって)定期的に清掃及び/又は再調整することも可能である。
【0044】
[0043] いくつかの実施形態において、1つ以上のバール構造6のアップストリームに、フィルタリング機能を提供することが望ましい場合がある。フィルタリングは、例えば、事前に定義されたサイズよりも大きい汚染物質粒子が、バール構造6及び/又はバール構造6のダウンストリームの任意の領域(例えば、基板サポート2と基板Wとの間)に到達することを防止するように、構成され得る。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのバール構造6の各々における開口のアップストリーム、例えば、少なくとも1つのバール構造6の凹状面13を通過するホール12のアップストリームに、多孔質層36が提供される。多孔質層36は、ベース部材20内に、又は、図8に示されるように、ベース部材20に取り付けられた分離部材40内に、形成され得る。いくつかの実施形態において、ホール12及びバール構造6は、ベース部材20内に形成される。代替として、基板サポート2は、ベース部材20に接合するバール形成部材30を更に備え得る。バール形成部材30は、例えばシリコンウェーハの一部を備え得る。図9から図16を参照しながら下記で更に説明する、バール形成部材30を有する実施形態において、バール構造6はバール形成部材30内に独占的に形成され得る。図9から図16を参照しながら下記で説明するように、異なる部材内にホール12及びバール構造6を形成することで、製造の際の利点が提供される。
【0045】
[0044] 一実施形態において、図8に例示されるように、多孔質層36は、シリコンウェーハの一部などの固体部材(示される例における分離部材40)内に形成される複数のホールを備える。一実施形態において、多孔質層36のホールの各々のサイズ、及び/又は、多孔質層36内のホールの平均サイズは、ベース部材20内に形成されるホール12の各々よりも小さい。一実施形態において、多孔質層36内の単位面積当たりのホールの数は、各バール構造6の凹状面13内の単位面積当たりのホール12の数よりも多い。多孔質層36内のホールは、例えばディープリアクティブイオンエッチング又は集束イオンビームミリングを含む、適切なサイズのホールを形成するために任意の既知の技法を使用して形成され得る。したがって、多孔質層36内のホールは、バール構造6の凹状面13を介する1つ以上のホール12の円筒対称性の軸と位置合わせされた円筒対称性の軸を伴い、実質的に円筒状であり得る。
【0046】
[0045] 図9から図16は、リソグラフィ装置LAのための基板サポート2を製造するための例示の方法におけるステップを示す。基板サポート2は、図2から図8を参照しながら上記で説明した適合形のいずれかを取り得る。
【0047】
[0046] 一実施形態では、方法の初期ステップにおいてベース部材20が提供される。図9の配置を提供するために、任意選択として、ハードマスク層16がベース部材20上に提供される。
【0048】
[0047] 一実施形態では、後続のステップにおいて、ハードマスク層16内にパターンを形成するために図9の配置が処理される。その後、ベース部材20内にホール12を形成するために、例えばディープリアクティブイオンエッチング又は集束イオンビームミリングなどの除去プロセスが適用され、それによって図10の配置を形成する。ホール12は、パターン付きハードマスク層16によって画定されたパターン内に形成される。この段階で、ホール12は(図示されるように)ブラインドであり得るか、又は、ベース部材20を貫通し得る。
【0049】
[0048] 一実施形態では、後続のステップにおいて、ベース部材20は裏返しにされ、ベース部材20内に複数のベース凹所15が形成され、それによって図11に示される配置を形成する。図11は、ベース凹所15のうちの1つを示す。各ベース凹所15の形状及び深さは、特に限定されない。いくつかの実施形態において、各ベース凹所15は、ベース部材20の面に対して垂直な円筒対称性の軸を伴い、実質的に円筒状である。図示された実施形態では、各ベース凹所15は、次にホール12がベース部材20を貫通することを保証するのに十分な深さである。
【0050】
[0049] 一実施形態では、後続のステップにおいて、図12に示されるように、コーティング24が印加される。コーティング24は、ベース凹所15の内部表面を覆う。コーティング24は、ホール12の各々の内部表面も覆う。コーティング24は、バール構造6が位置すべき場所の反対側のベース部材20の側面から印加される(バール構造6の形成は、下記で説明する)。コーティング24は、使用中、ホール12のいずれかを汚染物質が目詰まりさせるリスクを減少させるように構成され得る。いくつかの実施形態において、コーティング24は疎水性であり、且つ/又は、帯電防止特性を有する。バール構造6が存在する前にコーティング24を提供することで、コーティング24の材料によってバール構造6の起こり得る汚染が回避される。
【0051】
[0050] 一実施形態では、後続のステップにおいて、図13に示されるように、ベース凹所15の外側の領域内のハードマスク層16及びコーティング24を除去するために、図12の配置の上部及び下部表面が処理される。
【0052】
[0051] 一実施形態では、後続のステップにおいて、図14に示されるように、バール形成部材30がベース部材20に接合される。この実施形態では、ホール12がベース部材20内に形成された後に、バール形成部材30がベース部材20に接合される。したがってホール12を形成するプロセスは、バール形成層30に対する汚染に寄与できない。ベース部材20に提供された任意のコーティング24は、バール形成部材30がベース部材20に接合される前にも提供され、それによって、コーティング24の材料との相互汚染も回避される。
【0053】
[0052] バール形成部材30は、シリコンウェーハを望ましい厚みまで薄くすることによって形成され得る。一実施形態において、バール形成部材30は、1つ以上の追加の層(図示せず)を介してベース部材20に接合され、それによって3つ以上の層を有する多層構造を提供する。1つ以上の追加の層は、追加の望ましい機能を提供し得る。例えば、1つ以上の追加の層は、基板サポート2の残りの部分及び/又は基板サポート2に下から接続された要素から、基板サポート2の上部を電気的に絶縁するために、電気絶縁層を備え得る。いくつかの実施形態において、バール構造6は、バール形成部材30を介して電気的に接地可能である。代替又は追加として、バール形成部材30及びベース部材20のいずれか又は両方の各々は、複数の層から形成され得る。
【0054】
[0053] いくつかの実施形態において、図14に示されるように、バール形成部材30上にバールコーティング26が提供される。バールコーティング26は、使用中、基板Wに接触するのに適するように構成される。バールコーティング26は、例えば、バールコーティング26がない場合よりも低い摩擦接触を提供するように構成され得る。バールコーティング26は、ベース部材20をバール形成部材30に接合する前に、バール形成部材30上に提供される。バールコーティング26の材料によってベース部材20内の任意のホール12を目詰まりさせるリスクが、それによって減少又は回避される。
【0055】
[0054] いくつかの実施形態において、バール形成部材30内に複数のバール構造6が形成される。ベース部材20ではなく別々のバール形成部材30内にバール構造6を形成することで、バール構造6の高さを正確に制御することが容易になる。バール構造6の高さは、高精度で制御可能な、バール形成部材30の厚みによって画定可能である。バール形成部材30が存在せずにベース部材20内にホール12を形成することは、ホール12の形成に用いられるプロセス(例えば、ディープリアクティブイオンエッチング又は集束イオンビームミリング)と、バール構造6の形成に用いられるプロセスと間の相互汚染も防止する。
【0056】
[0055] 一実施形態において、バール構造6は、バール形成部材30がベース部材20に接合された後に形成される。バール構造6及びベース部材20の組み合わせは、基板サポート2を提供する。こうした基板サポート2の例が、図16に示される。バール構造6は、各バール構造6が、使用中、基板サポート2によって支持される基板Wに接触する遠位表面11を備えるような様式で形成される。図示される例では、遠位表面11はバールコーティング26の表面である。一実施形態において、遠位表面11はバール形成部材30の表面(バールコーティング26は提供されていない)であり得る。各バール構造6は、ベース部材20を介して形成されるホール12の少なくとも1つに対する開口を備える。いくつかの実施形態において、図示されるように、各バール構造6はバール凹所14を備える。バール凹所14は、バール構造6内の遠位表面11から凹状面13へと延在する。このタイプの実施形態では、凹状面13はベース部材20を介して形成される少なくとも1つのホール12に対する開口を備える。
【0057】
[0056] 一実施形態において、図16の基板サポート2は、図14の配置から始まり、図15の配置を提供するために第1にバール構造6の外側から材料を除去することによって形成される。材料は、例えばレーザアブレーション又はエッチングを使用して除去され得る。後続のステップにおいて、材料は、凹状面13を形成するためにバール構造6内部から除去され、それによって図16の基板サポート2を提供する。材料は、例えばレーザアブレーション又はエッチングを使用して除去され得る。このタイプの実施形態において、バール構造6は、バール構造6の内側から材料を除去する前に、バール構造6の外側から材料を除去することによってこのように形成される。この手法は、バール構造6の外側から材料を除去する(例えば、かなりの量のデブリを発生させる可能性のある、レーザアブレーションを使用して実行され得る)ときに、バール構造6の内側を保護する必要がないため、有利である。他の実施形態において、材料は、図15の配置から図16の配置を直接形成するために(すなわち、図15の配置につながる中間ステップなしに)、バール構造6の内側及び外側から同時に除去され得る。更に他の実施形態において、バール構造6は、バール構造6の外側から材料を除去する前に、バール構造6の内側から材料を除去することによって形成される。
【0058】
[0057] いくつかの実施形態において、バール構造6の内側の材料を除去することは、バール形成部材30の下部のベース部材20の少なくとも上部表面まで下方に、材料を除去することを含む。このタイプの実施形態において、凹状面13は各々、(図16に示されるように)ベース部材20の表面を備える。
【0059】
[0058] 図9から図16を参照しながら上記で説明した例示の方法において、基板サポート2は、ベース部材20をバール形成部材30に接合することによって製造される。ホール12はベース部材20内に形成され、バール構造6はバール形成部材30内に形成される。図17から図22は、ホール12及びバール構造6の両方がベース部材20内に形成される、代替の手法を示す。
【0060】
[0059] 初期のステップでは、図17に示されるように、ベース部材20が提供される。図示された例では、ベース部材20上にバールコーティング26が提供される。バールコーティング26は、図14から図16においてバールコーティング26について上述したやり方のいずれかにおいて構成され得る。
【0061】
[0060] 一実施形態では、後続のステップにおいて、図18に示される配置を提供するために、ベース部材20及びバールコーティング26を介するホール12を形成するために、除去プロセスが使用される。除去プロセスは、例えば、ディープリアクティブイオンエッチング又は集束イオンビームミリングを含み得る。この段階でホール12は(図示されるように)ブラインドであり得るか、又はベース部材20を貫通し得る。
【0062】
[0061] 一実施形態では、後続のステップにおいて、図18の配置は裏返しにされ、複数のベース凹所15を形成するために除去プロセスが適用され、それによって図19の配置を提供する。このようにして、本実施形態では、バール構造6の前にベース凹所15が形成される(下記で説明するように形成される)。バール構造6の前にベース凹所15を形成することは、ベース凹所15の形成中、繊細なバール構造6上の構造を支持しなければならないことを回避するため、望ましい。製造プロセスはこのように単純化され、且つ/又は、バール構造6に対する損傷のリスクが低減又は回避される。各ベース凹所15の形状及び深さは、特に制限されない。いくつかの実施形態において、各ベース凹所15は、ベース部材20の面に対して垂直な円筒対称性の軸を伴い、実質的に円筒状である。図示された実施形態では、各ベース凹所15は、次にホール12がベース部材20を貫通することを保証するのに十分な深さである。
【0063】
[0062] 一実施形態では、後続のステップにおいて、図20に示されるように、コーティング24が印加される。コーティング24はベース凹所15の内部表面を覆う。コーティング24は、ホール12の各々の内部表面も覆う。いくつかの実施形態において、コーティング24は疎水性であり、且つ/又は、帯電防止特性を有する。
【0064】
[0063] 一実施形態では、図22に示されるように、図20の配置から始まり、図21の配置を提供するために第1にバール構造6の外側から材料を除去することによって、基板サポート2が形成される。後続のステップにおいて、材料は、凹状面13を形成するためにバール構造6内側から除去され、それによって図22の基板サポート2を提供する。このタイプの実施形態において、バール構造6は、バール構造6の内側から材料を除去する前に、バール構造6の外側から材料を除去することによってこのように形成される。この手法に関連付けられる利点は、上記で考察している。他の実施形態において、材料は、図20の配置から図22の配置を直接形成するために(すなわち、図21の配置につながる中間ステップなしに)、バール構造6の内側及び外側から同時に除去され得る。更に他の実施形態において、バール構造6は、バール構造6の外側から材料を除去する前に、バール構造6の内側から材料を除去することによって形成される。
【0065】
[0064] 前述のタイプの実施形態において、ベース部材20を介する各ホール12の少なくとも一部が(例えば、図18に示されるように少なくともブラインドホールを形成するために)形成され、任意選択として、バール構造6の前に各ホール12のすべてが形成される。初期段階において、ホール12のすべて又は少なくとも一部を形成することで、既存の構造を保護するか、又は除去プロセス(例えば、ディープリアクティブイオンエッチング又は集束イオンビームミリング)中に考慮する必要のある範囲を削減することによって、例えば、除去プロセス中にベース部材20を保持するため、及び/又は、その他の方法で機械的損傷及び/又は汚染から既存の構造を保護するための、特別な配置を必要とすることによって、製造を容易にする。
【0066】
[0065] 他の実施形態において、図17から図22を参照しながら上述した順番は変動され得る。例えばいくつかの実施形態において、図19に示されるような複数のベース凹所15の形成は、図20から図22を参照しながら説明した1つ以上のステップの後に(例えば、バール構造6の外側及び内側からの材料の除去の後に)実行される。代替又は追加として、図21及び図22を参照しながら説明したような、バール構造6を形成するために使用される材料除去プロセスの順序は、逆であって良い。こうした実施形態において、材料がバール構造6の外側から除去される前に、凹状面13を形成するために、(ベース凹所15が前又は後に形成される状態で)材料がバール構造6の内側からこのように除去される。代替又は追加として、いくつかの実施形態において、ホール12は、図19から図22を参照しながら上述した1つ以上のステップの後で(例えば、複数のベース凹所15の形成後、バール構造6の外側からの材料の除去後、及び/又は、凹状面13を形成するためのバール構造6の内側からの材料の除去後)、ベース部材20を介して形成される。例えば、一実施形態では、凹状面13を形成するためのバール構造6の内側からの材料の除去は、ホール12がベース部材20を介して形成される前に実行され、バール構造6の外側からの材料の除去は、ホール12がベース部材20を介して形成された後に実行される。この例の第1の変形形態では、ベース凹所15は、ホール12がベース部材20を介して形成された後、及び、バール構造6の外側からの材料の除去の前に、形成される。この例の第2の変形形態では、ベース凹所15は、バール構造6の外側からの材料の除去後に形成される。
【0067】
[0066] 図23は、基板テーブルWT上に取り付けられた更なる例示の基板サポート2の一部を示す。この例では、基板サポート2は、ベース部材20とベース部材20に接合されたバール形成部材30とを備える。バール形成部材30は、複数のバール構造6を備える。ベース部材20は、ベース部材20を介して延在する複数のホール12を備える。バール構造6及びホール12は、前述の基板サポート2に関して説明した任意の形を取り得る。
【0068】
[0067] 各バール構造6は、ベース部材20内の少なくとも1つのホール12に対する開口41を備える。図示された例では、開口41とベース部材20内のホール12との間の流路内に、細長い中間通路42及び中間チャンバ43が提供される。したがって開口41は、中間通路42及び中間チャンバ43によって、ホール12へ流体的に接続される。下記で述べるように、例えば、細長い中間通路42が十分にテーパ状である場合、中間チャンバ43は省くことができる。図3から図22の例において、開口は、ベース部材20内のホール12の各々に、直接接続される。
【0069】
[0068] ベース部材20内のホール12を介する流れに関する流れ抵抗は、中間通路42及び中間チャンバ43を介する流れに関する流れ抵抗よりも大きい。したがって、ホール12を提供するベース部材20の一部は、流れ制限器として働く。流れ制限部の量は、ホール12の断面積及び数に依存する。図23に示される要素の相対的寸法は、実装コンテキストの細部に依存して変動可能である。実装の一クラスにおいて、中間通路42の直径は、ベース部材20の各ホール12の直径の、およそ10~100倍であり得る。ベース部材20及びバール形成部材30の組み合わせの全体高さ(45と標示)は、例えばおよそ0.5から1.5mmであり得る。
【0070】
[0069] いくつかの実施形態において、基板サポート2は、図24に示されるように、基板テーブルWT内に形成される(例えば、約0.5mmから1mmの深さを有する)凹所50内の下にある基板テーブルWTにフィットし得る。したがって基板サポート2は、基板テーブルWTの全体高さを変えることなく、既存の基板テーブルWTに容易にレトロフィットし得る。
【0071】
[0070] 図25から図27は、図23及び図24を参照しながら上記で述べたタイプのベース部材20を製造するための例示のプロセスにおける段階を示す。プロセスは、バール構造6ごとに複数のホール12が提供される場合、及び、バール構造6ごとに単一のホール12が提供される場合の、両方に適用可能である。プロセスは、流れ制限ホール12を提供するために正確な層厚みを達成するため、ウェーハ製造工場製造プロセスに対処するため、及び/又は、SiSiCから形成される基板テーブルWTに合致する良好な熱膨張率を提供するために、シリコンオンインシュレータ(SOI)基板を使用し得る。
【0072】
[0071] 第1のステップでは、図25に示されるように、(例えば、直径300mmの)SOI基板が提供される。層20AはSOI基板のハンドルSi基板層である。層20Bは、SOI基板の埋設されたSiO層である。層20Cは、Siから形成されるSOI基板のデバイス層である。
【0073】
[0072] 第2のステップでは、図26に示されるように、ベース凹所15はベース部材20内に形成される。ベース凹所15は、図3から図24を参照しながら上述した任意の形を取り得る。ベース凹所15は、選択的エッチングによって形成され得る。代替又は追加として、ベース凹所15はレーザ処理を使用して形成され得る。レーザ処理は選択的エッチングよりも本質的にクリーンではなく、ホール12が形成される層の厚みを維持するために配慮が必要であり得る。SiとSiOとの間の閾値フルエンスにおける差は、選択的エッチングで使用される場合があるため、(例えば、レーザ処理がSiOに達したときに自動的に停止するように、Siについての閾値フルエンスより高いが、SiOについての閾値フルエンスよりも低いように、レーザ処理フルエンスについて配置することによって)SiOを固有の処理停止として使用するには十分ではないことがある。しかしながら、SiOは、(例えば、SiOが可視となったときに停止するように処理を配置することによって)視覚処理停止として使用され得る。
【0074】
[0073] 第3のステップでは、図27に示されるように、ホール12が形成される。図示される例では、単一のホール12のみが形成されるが、この手法は複数のホール12を形成するためにも使用され得る。1つ以上のホール12は、ディープリアクティブイオンエッチング(DRIE)又はレーザマイクロドリリングを使用して形成され得る。ほとんどの均一でクリーンな結果はDRIEを使用して取得され得るが、この手法は相対的に複雑で費用がかかる。レーザマイクロドリリングは、費用の少ない代替を提供する。
【0075】
[0074] 図28から図31は、バール形成部材30を製造するための例示のプロセスにおける段階を示す。プロセスは、SiC基板を使用して、適切な機械的ロバスト性を提供すること、及び、SiSiCから形成される基板テーブルWT及び(例えば、SOI基板から形成される)ベース部材20の熱膨張率を合致させることが可能である。図に示されるプロセスは、基板テーブルWTの他の態様を製造するために使用される技法に適合する、レーザ処理に依拠する。
【0076】
[0075] 第1のステップでは、図28に示されるように、(例えば、直径300mmの)SiCが提供される。
【0077】
[0076] 第2のステップでは、図29に示されるように、レーザ構造化を使用してバール構造6の外側の材料が除去される。
【0078】
[0077] 第3のステップでは、図30に示されるように、レーザドリリングを使用して細長い中間通路42が形成される。レーザドリリングは、有利なテーパリングを提供する、底部側から実行される。テーパリングは、中間通路42とホール12などのベース部材20内の対応する構造との間で、適切な位置合わせを達成することをより容易にする。テーパリングは、例えば中間チャンバ43が不要であることを意味し得る。
【0079】
[0078] 第4のステップでは、図31に示されるように、レーザアブレーションを使用してバール凹所14が形成される。粗面化プロセスは、使用中、基板サポート2と基板Wとの間の光学的接着を防止するためにも適用され得る。様々な技法を使用して、例えば、イオンビームフィギュアリング(IBF)、レーザ処理、機械的研磨粗化、化学的研磨粗化、固有のラフネスを伴うコーティングの実行、及び、片面研磨済みSiC基板のみの開始のうちの1つ以上を含む、粗面化を達成し得る。
【0080】
[0079] バール形成部材30を形成するために、他の処理技法が使用され得る。これらは、放電加工(EDM)、ミリング、研削、及びエッチングのうちの、1つ以上を含み得る。例えば、第3のステップにおける中間通路42を形成するために、レーザドリリングの代わりにエッチングが使用され得る。バール凹所14は、第4のステップにおけるレーザアブレーションの代わりに、EDM又はエッチングによって形成され得る。
【0081】
[0080] 一実施形態において、バール形成部材30は、(例えば、図27に示されるように)ホール12を提供するためにベース部材20が処理された後、ベース部材20に取り付けられる。複数のバール構造6を形成するなど、図31に示される配置を提供するために、バール形成部材30がベース部材20に取り付けられる前又は後に、バール形成部材30上で実行される1つ以上の処理ステップが実行され得る。
【0082】
[0081] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用ガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板プロセスツールに適用することができる。更に基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0083】
[0082] 以上では光リソグラフィに関連して本発明の実施形態の使用に特に言及しているが、本発明は他の用途に使用できることを理解されたい。
【0084】
[0083] 本発明の特定の実施形態を上記で説明してきたが、本発明は説明した以外に実践され得ることを理解されよう。
【0085】
[0084] 上記の説明は例示的なものであり、限定的なものではないことを意図している。したがって当業者であれば、下記に示す特許請求の範囲を逸脱することなく、本発明に対する改変が可能であることを理解されよう。
図1
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