(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-04
(45)【発行日】2025-04-14
(54)【発明の名称】オブジェクトホルダ、ツール、及びオブジェクトホルダの製造方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20250407BHJP
H01L 21/68 20060101ALI20250407BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20250407BHJP
H01L 21/027 20060101ALN20250407BHJP
【FI】
G03F7/20 521
H01L21/68 K
H01L21/68 R
H01L21/30 541L
(21)【出願番号】P 2022550909
(86)(22)【出願日】2021-02-25
(86)【国際出願番号】 EP2021054692
(87)【国際公開番号】W WO2021185552
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2024-02-14
(32)【優先日】2020-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デ ヴェン,バスチアーン,ランバータス,ウィルヘルムス,マリヌス
(72)【発明者】
【氏名】エンゲレン,ヨハネス,ベルナルドゥス,チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ノッテンブーム,アーノウド,ウィレム
(72)【発明者】
【氏名】オーヴァーカンプ,ジム,ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセン,キエルド,ヘルトルドゥス,ヘンドリクス
(72)【発明者】
【氏名】パイネンビュルフ,ヨハネス,アドリアヌス,コルネリス,マリア
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ダイヴェンボード,ジェロエン
(72)【発明者】
【氏名】ニューエンハイス,エリック,ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ベルケル,コース
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-068536(JP,A)
【文献】特開2010-205813(JP,A)
【文献】特開2012-235095(JP,A)
【文献】特表2016-519332(JP,A)
【文献】特開2020-010037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
H01L 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オブジェクトを支持するように構成されたオブジェクトホルダであって、
前記オブジェクトを支持する支持平面内に遠位端を有する複数のバールを備えるコア体と、
前記バールの間の静電シートであって、誘電体層の間に挟まれた電極を備える、静電シートと、
を備えており、
前記静電シートは、少なくとも100nmの厚さを有する接合材料によって前記コア体に接合されており、
前記バールのうち少なくとも1つは前記コア体のオブジェクト対向表面のトレンチによって直に包囲される、
オブジェクトホルダ。
【請求項2】
前記バールのうち少なくとも1つはその遠位端において前記支持平面内の方向の10
5~10
7Nm
-1の剛性を有する、請求項1のオブジェクトホルダ。
【請求項3】
前記オブジェクトホルダの周縁領域にある前記バールのうち少なくとも1つは、その遠位端において、前記オブジェクトホルダの中心領域にある前記バールのうち少なくとも1つの剛性よりも低い前記支持平面内の方向の剛性を有する、請求項1又は2のオブジェクトホルダ。
【請求項4】
前記コア体は、前記バールのうち少なくとも1つの半径方向外側表面と前記静電シートとの間の半径方向間隙に前記コア体と前記静電シートとの間の垂直方向間隙を介してガスを供給するように構成された少なくとも1つのガス供給通路を備える、請求項1から3のいずれかのオブジェクトホルダ。
【請求項5】
前記静電シートは、前記電極の平面内で前記電極を包囲する電気的絶縁体の垂直方向上方の前記オブジェクトの領域と、前記コア体のオブジェクト対向表面と、前記バールのうち少なくとも1つの半径方向外側表面とのうち少なくとも1つから前記静電シートを分離するように構成された静電遮蔽体を備える、請求項1から4のいずれかのオブジェクトホルダ。
【請求項6】
前記静電遮蔽体は、前記バールのうち少なくとも1つと、前記電極を挟む2つの誘電体層のうち一方のみとの間に提供される、請求項5のオブジェクトホルダ。
【請求項7】
異なるバールを包囲する前記静電遮蔽体は、前記電極と前記オブジェクトとの間にある前記静電シートの上部誘電体層のオブジェクト対向表面上の導電線を介して互いに電気的に接続される、請求項5又は6のオブジェクトホルダ。
【請求項8】
前記静電シートは、前記電極と前記オブジェクトとの間で前記オブジェクト又は前記コア体に向かってテーパ状になった第1の誘電体層と、前記電極と前記コア体との間で前記オブジェクト又は前記コア体に向かってテーパ状になった第2の誘電体層とを備える、請求項1から7のいずれかのオブジェクトホルダ。
【請求項9】
前記接合材料は接着材料を備える、請求項1から8のいずれかのオブジェクトホルダ。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載のオブジェクトホルダを製造する方法であって、
オブジェクトを支持する支持平面内に遠位端を有する複数のバールを備えるコア体を提供することと、
静電シートを、それぞれのバールのための複数の凹部を備えるプレートに、前記凹部が前記静電シートのそれぞれの穴と整列するように連結することであって、前記静電シートは誘電体層の間に挟まれた電極を備える、連結することと、
前記静電シートが連結されるときに、前記静電シートを前記バールの間の前記コア体に取り付けるように前記プレートの移動を制御することであって、前記凹部の深さが前記静電シートが取り付けられる高さを決定する、制御することと、
を備える方法。
【請求項11】
請求項1から9のいずれかに記載のオブジェクトホルダを備えるリソグラフィ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[01] 本願は2020年3月16日に提出された欧州出願第20163373.2号の優先権を主張するものであり、同出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[02] 本発明は、リソグラフィ装置用のオブジェクトホルダに関する。より詳細には、オブジェクトホルダは、オブジェクトホルダをテーブルにクランプするように及び/又はオブジェクトをオブジェクトホルダにクランプするように配置された静電クランプを備える。本発明は更に、静電シート取付用ツールと、オブジェクトホルダを製造する方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
[03] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に適用するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造において使用可能である。リソグラフィ装置は、例えばパターニングデバイス(例えばマスク又はレチクル)のパターンを、基板上に提供された放射感応性材料(レジスト)層に投影することができる。
【0004】
[04] 基板上にパターンを投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を用い得る。この放射の波長は、基板上に形成可能なフィーチャの最小サイズを決定する。4~20nmの範囲内、例えば6.7nm又は13.5nmの波長を有する極端紫外線(EUV)放射を使用するリソグラフィ装置を使用して、例えば、193nmの波長の放射を使用するリソグラフィ装置よりも小さなフィーチャを基板上に形成することができる。
【0005】
[05] 従来のリソグラフィ装置においては、露光される基板は基板ホルダ(すなわち基板を直接的に支持するオブジェクト)によって支持され、基板ホルダは同様に基板テーブル(ミラーブロック又はステージ、すなわち基板ホルダを支持すると共に基板ホルダを包囲する上表面を提供するテーブルなどのオブジェクト)によって支持される。基板ホルダは、サイズ及び形状が基板に対応している平坦な不撓性のディスクであることが多い(が、異なるサイズ又は形状を有していてもよい)。基板ホルダは、少なくとも1つの面から突出する、バール又はピンプルと称される突起のアレイを有する。基板ホルダは対向する2つの面に突起のアレイを有していてもよい。この場合、基板ホルダが基板テーブル上に設置されると、基板ホルダの本体は基板テーブルの上方に小さい距離で保持され、その一方で基板ホルダの1つの面のバールの端部は基板テーブルの表面上に位置する。同様に、基板ホルダの反対面のバールの頂部に基板が載っているとき、基板は基板ホルダの本体から離間している。その目的は、基板テーブル又は基板ホルダ上に存在する場合があるパーティクル(すなわち塵粒子などの汚染粒子)が基板ホルダ又は基板を歪めるのを防止するのに役立つことである。バールの総表面積は基板又は基板ホルダの総面積の小片に過ぎないので、バールの間にパーティクルが位置するであろう可能性は高く、その存在は何ら影響を有さないであろう。多くの場合、基板ホルダ及び基板は、基板の上表面が基板テーブルの上表面と同一平面上にあるように、基板テーブルの凹部に収容される。
【0006】
[06] 高スループットのリソグラフィ装置の使用中に基板が経験する高加速により、基板が基板ホルダのバール上に単に載っていることを可能にするだけでは十分ではない。基板は定位置にクランプされる。基板を定位置にクランプする2つの方法が知られている。真空クランプ及び静電クランプである。真空クランプでは、基板ホルダと基板との間、及び任意選択的には基板テーブルと基板ホルダとの間の空間が部分的に排気され、したがって基板はその上方の気体又は液体のより高い圧力によって定位置に保持される。しかしながら、真空クランプは、ビームパス及び/又は基板もしくは基板ホルダの付近の環境が、例えば極端紫外線(EUV)放射リソグラフィのために、低い又は非常に低い圧力に保たれる場合には、用いることができない。この場合、基板(又は基板ホルダ)にわたって十分に大きな圧力差を発生させることは可能でないことがある。したがって、静電クランプが用いられ得る。静電クランプでは、基板、もしくはその下表面にめっきした電極と、基板テーブル及び/又は基板ホルダの上もしくは中に提供された電極との間に、電位差が確立される。2つの電極は大きなキャパシタのように振る舞い、合理的な電位差によって実質的なクランプ力が発生し得る。静電配置は、1つが基板テーブル上及び1つが基板上にある1対の電極が、基板テーブルと、基板ホルダと、基板とのスタック全体を一緒にクランプするようなものであり得る。既知の配置では、基板ホルダが基板テーブルにクランプされると共に基板が基板ホルダに別個にクランプされるように、1つ以上の電極が、基板ホルダの上又は中に提供され得る。
【0007】
[07] 基板ホルダを基板テーブルに及び/又は基板を基板ホルダにクランプするための1つ以上の静電クランプを備える基板ホルダを改良する必要がある。より一般的には、オブジェクトホルダをテーブルに保持する及び/又はオブジェクトをオブジェクトホルダに対して保持するための1つ以上の静電クランプを備えるパターニングデバイスホルダなどのオブジェクトホルダを改良する必要がある。
【発明の概要】
【0008】
[08] 本発明の第1の態様によれば、オブジェクトを支持するように構成されたオブジェクトホルダが提供され、オブジェクトホルダは、オブジェクトを支持する支持平面内に遠位端を有する複数のバールを備えるコア体と、バールの間の静電シートであって、誘電体層の間に挟まれた電極を備える、静電シートと、を備えており、静電シートは、少なくとも100nmの厚さを有する接合材料によってコア体に接合されている。
【0009】
[09] 本発明の第2の態様によれば、誘電体層の間に挟まれた電極を備える静電シートを、オブジェクトを支持する支持平面内に遠位端を有する複数のバールを備えるコア体に取り付けるツールが提供され、ツールは、それぞれのバールのための複数の凹部を備えるプレートであって、それらの凹部が静電シートのそれぞれの穴と整列するように静電シートに連結するべく構成されたプレートを備えている。
【0010】
[010] 本発明の第3の態様によれば、オブジェクトホルダを製造する方法が提供され、方法は、オブジェクトを支持する支持平面内に遠位端を有する複数のバールを備えるコア体を提供することと、静電シートを、それぞれのバールのための複数の凹部を備えるプレートに、それらの凹部が静電シートのそれぞれの穴と整列するように連結することであって、静電シートは誘電体層の間に挟まれた電極を備える、連結することと、静電シートが連結されるときに、静電シートをバールの間のコア体に取り付けるようにプレートの移動を制御することであって、凹部の深さが、静電シートが取り付けられる高さを決定する、制御することと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
[011] 次に、本発明の実施形態を、単なる例示として、添付の概略図を参照して説明する。
【0012】
【
図1】[012] リソグラフィ装置と放射源とを備えたリソグラフィシステムを図示する。
【
図2】[013] 本発明の一実施形態によるオブジェクトホルダの断面図である。
【
図3】[014] 本発明の一実施形態によるオブジェクトホルダの製造方法における異なる段階に関係する断面図である。
【
図4】[014] 本発明の一実施形態によるオブジェクトホルダの製造方法における異なる段階に関係する断面図である。
【
図5】[014] 本発明の一実施形態によるオブジェクトホルダの製造方法における異なる段階に関係する断面図である。
【
図6】[015] 本発明の一実施形態によるオブジェクトホルダの一部の近接図である。
【
図7】[016] 本発明の一実施形態によるオブジェクトホルダのコア体の異なる位置におけるバールのバリエーションを表す図式である。
【
図8】[017] 本発明の一実施形態によるオブジェクトホルダの一部の近接図である。
【
図9】[018]
図8に示されるオブジェクトホルダの一部の拡大図である。
【
図10】[019] 本発明の代替的な実施形態によるオブジェクトホルダの一部の近接図である。
【
図11】[019] 本発明の代替的な実施形態によるオブジェクトホルダの一部の近接図である。
【
図12】[020] 本発明の一実施形態によるオブジェクトホルダの静電シートの静電遮蔽体の様々な可能な位置を概略的に示す。
【
図13】[021] 本発明の一実施形態によるオブジェクトホルダの代替的な構成の近接図である。
【
図14】[021] 本発明の一実施形態によるオブジェクトホルダの代替的な構成の近接図である。
【
図15】[021] 本発明の一実施形態によるオブジェクトホルダの代替的な構成の近接図である。
【
図16】[021] 本発明の一実施形態によるオブジェクトホルダの代替的な構成の近接図である。
【
図17】[021] 本発明の一実施形態によるオブジェクトホルダの代替的な構成の近接図である。
【
図18】[022] 本発明の一実施形態によるオブジェクトホルダの静電シートの静電遮蔽体間の連結の平面図である。
【
図19】[021] 本発明の一実施形態によるオブジェクトホルダの代替的な構成の近接図である。
【0013】
[023] 本発明は様々な変形及び代替的な形態が可能であるが、特定の実施形態が例として図面に示されると共に、本明細書において詳細に説明され得る。図面は縮尺に合っていない場合がある。しかしながら、図面及びその詳細な説明は、本発明を開示される特定の形態に限定することを意図されているのではなく、反対に、意図されているのは、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲内にある全ての変形、均等物、及び代替物を網羅することである点が理解されなければならない。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[024]
図1は、放射源SO及びリソグラフィ装置LAを備えるリソグラフィシステムを示す。放射源SOは、EUV放射ビームBを発生させるように、及び、EUV放射ビームBをリソグラフィ装置LAに供給するように、構成される。リソグラフィ装置LAは、照明システムIL、パターニングデバイスMA(例えばマスク又はレチクル)を支持するように構成された支持構造MT、投影システムPS、及び基板Wを支持するように構成された基板テーブルWTを備える。
【0015】
[025] 照明システムILは、EUV放射ビームBがパターニングデバイスMA上に入射する前にEUV放射ビームBを調節するように構成される。それに加えて、照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11を含むことができる。ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11は共に、所望の断面形状及び所望の強度分布を伴うEUV放射ビームBを提供する。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11に加えて、又はそれらの代わりに、他のミラー又はデバイスを含むことができる。
【0016】
[026] このように調節された後、EUV放射ビームBはパターニングデバイスMAと相互作用する。この相互作用の結果として、パターン付きEUV放射ビームB’が発生する。投影システムPSは、パターン付きEUV放射ビームB’を基板W上に投影するように構成される。そのために、投影システムPSは、パターン付きEUV放射ビームB’を、基板テーブルWTによって保持される基板W上に投影するように構成された、複数のミラー13,14を備えることができる。投影システムPSは、パターン付きEUV放射ビームB’に縮小係数を適用することが可能であり、したがって、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャよりも小さなフィーチャを伴うイメージを形成する。例えば、4又は8の縮小係数が適用可能である。投影システムPSは、
図1では2つのミラー13,14のみを有するものとして示されているが、投影システムPSは異なる数のミラー(例えば、6つ又は8つのミラー)を含むことができる。
【0017】
[027] 基板Wは、以前に形成されたパターンを含むことができる。このような場合、リソグラフィ装置LAは、パターン付きEUV放射ビームB’によって形成されたイメージを、基板W上に以前に形成されたパターンと位置合わせする。
【0018】
[028] 相対的真空、すなわち、大気圧をはるかに下回る圧力の少量のガス(例えば水素)を、放射源SO内、照明システムIL内、及び/又は投影システムPS内に提供することが可能である。
【0019】
[029] 放射源SOは、レーザ生成プラズマ(LPP)源、放電生成プラズマ(DPP)源、自由電子レーザ(FEL)、又はEUV放射を発生させることのできる任意の他の放射源であり得る。
【0020】
[030]
図2は、本発明の一実施形態によるオブジェクトホルダ20の断面図である。オブジェクトホルダ20は、オブジェクトを支持するように構成される。以下の記載では、本発明を、オブジェクトホルダが基板Wを支持するように構成された基板ホルダ20であるという文脈で説明する。もっとも、オブジェクトホルダはそのような基板ホルダ20に限定されない。例えば、オブジェクトホルダは、パターニングデバイスMAを支持するように構成されてもよい。
【0021】
[031] 一実施形態においては、基板テーブルWTは、基板ホルダ20及び基板ステージを備える。基板ステージは凹部を備え、その中に基板ホルダ20が保持される。基板ホルダ20は、基板Wを基板テーブルWTの基板ステージに対して保持するように構成される。
【0022】
[032]
図2に示されるように、一実施形態においては、基板ホルダ20はコア体21を備えている。コア体21はプレート状のディスクである。
図2に示されるように、一実施形態においては、コア体21は複数のバール22を備えている。バール22は、コア体21の表面に突出する突起である。
図2に示されるように、一実施形態においては、バール22は遠位端23を有する。コア体21は、遠位端23が基板Wを支持する支持平面24内にあるように構成されている。基板Wの下面はバール22の遠位端23と接触する。基板Wの下面の位置は支持平面24に対応する。バール22は、基板Wが基板ホルダ20上に概ね平坦に置かれるように配置される。
【0023】
[033] バール22は、
図2では縮尺に合わせて示されてはいない。実用的な一実施形態においては、何百、何千、又は何万ものバールが、直径が例えば200mm、300mm、又は450mmの基板ホルダ20にわたって分布し得る。バール22の先端は小さな面積、例えば1mm2未満を有しており、したがって基板ホルダ20の一方の面の全てのバール22の総面積は、基板ホルダ20の総表面領域の総面積の約10%未満である。バール22の配置により、基板W、基板ホルダ20、又は基板テーブルWTの表面上にある場合がある粒子はバール22の間に落下する可能性が高く、よって基板W又は基板ホルダ20の変形をもたらさないであろう。パターンを形成し得るバールの配置は、規則的であってもよいし、又は基板W及び基板テーブルWT上での力の適切な分配を提供するように所望の通りに変化してもよい。バール22は、平面では任意の形状を有していてもよいが、一般的には平面では円形である。バール22は、その高さ全体を通じて同じ形状及び寸法を有していてもよいが、一般的にはテーパ状である。バール22は、基板ホルダ20の残りのオブジェクト対向表面(すなわち、静電シート25の上表面)の上方に約1μmから約5mm、望ましくは約5μmから約250μm、望ましくは約10μmの距離で突出し得る。よって、バール22の遠位端23と静電シート25の上表面との間の垂直方向の距離は、約1μmから約5mm、望ましくは約5μmから約250μm、望ましくは約10μmである。基板ホルダ20のコア体21の厚さは、約1mmから約50mmの範囲内、望ましくは約5mmから20mmの範囲内、典型的には10mmであってもよい。
【0024】
[034] コア体21は剛性材料で作製され得る。望ましくは、その材料は高い熱伝導率又は低い熱膨張率を有する。望ましくは、その材料は導電性である。望ましくは、その材料は高い硬度を有する。適当な材料は、SiC(炭化珪素)SiSiC(シリコン化炭化珪素)、Si3N4(窒化珪素)、石英、及び/又はゼロデュア(商標)ガラスセラミックなどの様々な他のセラミック及びガラスセラミックを含む。コア体21は、該当する材料の固体ディスクから、突出するバール22を残すように材料を選択的に除去することによって、製造され得る。材料を除去するための適当な技術は、放電加工(EDM)、エッチング、機械加工、及び/又はレーザアブレーションを含む。コア体21は、マスクを通じてバール22を成長させることによっても製造され得る。バール22は、基部と同じ材料であってもよく、物理蒸着処理又はスパッタリングによって成長され得る。一実施形態においては、コア体21は1つ以上の内部チャネル(図中には示していない)を備える。一実施形態においては、コア体21は接合された複数の層を備える。一実施形態においては、それらの層は異なる材料で形成される。ほんの一例として、一実施形態においては、コア体21は、SiSiCの層と、ガラスの層と、SiSiCの別の層とを、その順で備えている。層の他の組み合わせも可能である。
【0025】
[035]
図2に示されるように、一実施形態においては、基板ホルダ20は静電クランプのための1つ以上の電極26を備える。静電クランプ力を提供するために、基板Wと基板ホルダ20との間及び/又は基板ホルダ20と基板テーブルWTの基板ステージとの間には、電位差が発生し得る。一実施形態においては、電極26は誘電体層(電気的分離層としても知られる)27,28の間に封入される。発生する電位差は、10から5,000ボルト程度であり得る。1つ以上のヒータ及び温度センサを用いて基板の温度を局所的に制御する構成が米国公開第2011-0222033号明細書に記載されている。同明細書は参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、同明細書に記載の技術は本明細書に記載の技術に適用され得る。
【0026】
[036]
図2に示されるように、一実施形態においては、基板ホルダ20は静電シート25を備える。静電シート25は1つ以上の電極26を備える。電極26について、一実施形態においては、連続的な金属膜(だがバール22の遠位端23からは分離されている)の2つの半分が、ある離間距離で互いに離間して静電クランプの正の要素及び負の要素を形成するように堆積され得る。離間距離は特に限定されない。一実施形態においては、離間距離は少なくとも約20μm、任意選択的には少なくとも約50μm、任意選択的には少なくとも約100μm、任意選択的には少なくとも約200μm、及び任意選択的には少なくとも約500μmである。一実施形態においては、離間距離は最大で約2mm、任意選択的には最大で約1mm、及び任意選択的には最大で約500μmである。一実施形態においては、離間距離は約500μmである。したがって、2つの電極26があってもよい。しかしながら、静電シート25における電極26の数は特に限定されず、1つであっても、又は3つであっても、又はそれより多くてもよい。電極26の金属線は、約20nmよりも大きな、望ましくは約40nmよりも大きな層厚を有し得る。金属線は、望ましくは約1μm以下、望ましくは約500nm未満、望ましくは約200nm未満の層厚を有する。
【0027】
[037] 上部静電シート25の電極26は、基板Wを基板ホルダ20に静電クランプするように構成され得る。下部静電シート25の電極26は、基板ホルダ20を残りの基板テーブルWTに静電クランプするように構成され得る。
【0028】
[038] 一実施形態においては、コア体21及びバール22の材料は導電性である。例えば、一実施形態においては、バール22の材料はSiSiCである。もっとも、コア体21及びバール22の材料が導電性であることは必須ではない。一実施形態においては、バール22のうち2つ以上(任意選択的にはバール22の全て)の遠位端23を電気的に接地させる又は共通電位に電気的に接続する接地層が提供され得る。接地層は、導電材料の相対的に厚い層を堆積させることによって形成され得る。導電材料は特に限定されない。一実施形態においては、導電材料はCrである。代替的な一実施形態においては、導電材料はCrNである。一実施形態においては、堆積された層はその後、パターン付与されて接地層を形成する。パターンは、バール22の遠位端23を繋ぎ合わせる一連の金属線を備え得る。そのようなパターンは、「マンハッタン」パターンと称されることがある。代替的な一実施形態においては、堆積された層はパターン付与されない。一実施形態においては、接地層又は別の層が、コア体21及び/又はバール22の表面を覆うように配置される。その接地層又は別の層は、表面を滑らかにして表面の洗浄を容易にするのに役立ち得る。
【0029】
[039]
図2に示されるように、一実施形態においては、静電シート25は、誘電体層27,28の間に挟まれた電極26を備える。
図2に示されるように、一実施形態においては、バール22及び静電シート25は、基板ホルダ20の両主表面に提供される。代替的な一実施形態においては、バール22及び静電シート25は、基板ホルダ20の2つの主表面のうち一方のみに提供される。
図2に示されるように、一実施形態においては、静電シート25はバール22の間にある。例えば、
図2に示されるように、静電シート25には穴34が設けられる。穴34は、その位置がコア体21のバール22に対応するように配置される。バール22は、誘電体層27,28の間に挟まれた電極26がバール22間の領域に提供されるように、静電シート25のそれぞれの穴34を通って突出する。
【0030】
[040]
図2に示されるように、一実施形態においては、基板ホルダ20は接合材料29を備える。一実施形態においては、接合材料は少なくとも100nmの厚さを有する。接合材料29は、静電シート25の位置をコア体21に対して固定する。接合材料29は、静電シート25の穴34をバール22に位置合わせした状態に保つ。一実施形態においては、バール22は静電シート25のそれぞれの穴34の中心に位置決めされる。接合材料29が少なくとも100nmの厚さを有することを規定することによって、接合層の最小レベルの順応性が保証される。概して、接合材料が厚いほど、順応性が高く、コア体21と静電シート25との間の界面における温度差によって引き起こされる応力レベルの影響を受けにくい。一実施形態においては、接合材料29は少なくとも200nm、任意選択的には少なくとも500nm、任意選択的には少なくとも1μm、任意選択的には少なくとも2μm、任意選択的には少なくとも5μm、任意選択的には少なくとも10μm、任意選択的には少なくとも20μm、任意選択的には少なくとも25μm、及び任意選択的には少なくとも50μmの厚さを有する。発明者たちは、接合材料29の厚さを少なくとも25μmにすることで、温度差に対する界面部品の許容性が向上する(すなわち接合層がより順応的になる)ことを見出している。一実施形態においては、接合材料29は最大で100μmの厚さを有する。これは接合材料29の最小レベルの安定性を保証し、このことはクランプ機能の静電性能にとって有益である。一実施形態においては、接合材料29は最大で75μm、任意選択的には最大で50μmの厚さを有する。接合材料29の厚さを減少させることは、接合材料29をより安定的にするのに役立つ。ほんの一例として、一実施形態においては、接合材料29は約25μmから約75μmの範囲の厚さを有する。
【0031】
[041]
図2に示されるように、一実施形態においては、接合材料29は、互いに連結しない別々の部分で形成される。接合材料29の異なる部分の厚さにはいくらかのばらつきがあり得る。一実施形態においては、接合材料29の別個の部分は、互いに実質的に同じ厚さを有する。
図10に示されるように、代替的な一実施形態においては、接合材料29は、コア体21と静電シート25との間の領域に連続的に延在する。
図10に示されるように、一実施形態においては、接合材料29は、静電シート25とバール22との間の領域まで延在する。
【0032】
[042]
図3から
図5は、基板ホルダ20を製造するプロセスの連続的な段階を概略的に図示している。特に
図3から
図5は、静電シート25をコア体21に結合する段階を示す。
【0033】
[043]
図3に示されるように、一実施形態においては、基板ホルダ20を製造する方法は、コア体21を提供することを備える。コア体21は、基板Wを支持するための複数のバール22を備える。
図3に示されるように、一実施形態においては、方法は、接合材料29をコア体21に塗布することを備える。接合材料29はコア体21の主表面のうち少なくとも1つに塗布される。接合材料29はバール22の間に塗布される。
図3に示されるように、一実施形態においては、接合材料29の複数の別々の部分がコア体21に塗布される。代替的な一実施形態においては、接合材料29はバール22の間にコア体21の主表面にわたって実質的に連続的に塗布される。接合材料29を分配する方法は特に限定されない。接合材料29の複数の別々の部分を提供することによって、接合材料29の全体の体積が低減され得る。これは、基板ホルダ20のクランプ機能に悪影響を及ぼし得る余分な接合材料29がバール22の付近に存在する可能性を低減させる。
【0034】
[044]
図4に示されるように、一実施形態においては、方法は、静電シート25をツールのプレート30に連結することを備える。プレート30は、コア体21のそれぞれのバール22のために複数の凹部31を備える。凹部31は静電シート25のそれぞれの穴34と整列する。一実施形態においては、凹部31の中心は、静電シート25の穴34の中心と位置が合う。プレート30は、凹部31のパターンがコア体21のバール22のパターンに対応するように構成されている。したがって、バール22の数及び位置決めに関して上述した開示内容は、プレート30の凹部31並びに静電シート25の穴34の数及び位置決めに、等しく当てはまる。一実施形態においては、プレート30の平面に垂直な方向において、プレート30は最大で10
5Nm
-1の剛性を有する。プレート30は、バール22の高さのばらつきに追随するように順応的に構成される。
【0035】
[045] プレート30が静電シート25に連結される手法は特に限定されない。例えば、プレート30と静電シート25との間の連結は、真空及び/又は静電吸着及び/又は仮接合によるものであってもよい。一実施形態においては、プレート30はコア体21に対して、例えばポジショナを用いて、位置決めされる。ポジショナは、静電シート25が連結されるときのプレート30の移動を制御するように構成される。ポジショナは、プレート30の凹部31が(したがって静電シート25の穴34も)コア体21のバール22と位置合わせされるように、プレート30をコア体21に対して位置決めする。
【0036】
[046] ポジショナは、静電シート25をバール22の間のコア体21に取り付けるべくプレート30の移動を制御するように構成される。例えば、ポジショナは、プレート30をコア体21上へと下向きに下降させ得る。代替的な一実施形態においては、ポジショナは、バール22が静電シート25の穴34を通って延在するように、コア体21をプレート30に向かって上向きに移動させるように構成される。
【0037】
[047] 取付プロセスにあたり、バール22の遠位端23は、凹部31の底と接触する。凹部31の底は、静電シート25とコア体21とが互いにより接近するのを制止する。凹部31の深さは、静電シート25が取り付けられる高さを決定する。凹部31の深さは、静電シート25の底部と(接合材料29が配置される)コア体21の上表面との間の距離を制御する。凹部31の深さは、製造された基板ホルダ20においてバール22が静電シート25の上表面の上方に突出する高さを制御する。
【0038】
[048] 一実施形態においては、凹部31は、上述したバール22の突出距離に対応する深さを有する。例えば、凹部31は、約1μmから約5mm、望ましくは約5μmから約250μmの深さを有する。
【0039】
[049] 一実施形態においては、基板ホルダ20を製造する方法は、接合材料29を硬化させるステップを備える。一実施形態においては、接合材料29は真空下で硬化される。これは、接合材料29中の介在物を回避するのに役立つ。もっとも、接合材料29が硬化されることは必須ではない。代替的な一実施形態においては、接合材料29は硬化されることを必要としない。
【0040】
[050] 使用される接合材料のタイプは特に限定されない。一実施形態においては、接合材料29は接着材料を備える。もっとも、接合材料29が接着材料であることは必須ではない。非接着材料も用いることができる。例えば、代替的な一実施形態においては、接合材料29は、静電シート25をコア体21にはんだ付け又は溶接する際に用いられる材料である。
【0041】
[051]
図5は、バール22の遠位端23が凹部31の底に当接する瞬間を概略的に示す。
【0042】
[052] 一実施形態においては、接合材料29は、プレート30の凹部31によって定義される高さで静電シート25をコア体21に固定する。一実施形態においては、方法は、プレート30を静電シート25から分離することを備える。
図2に示されるように、一実施形態においては、静電シート25はコア体21の各面に提供される。上述した方法ステップは、静電シート25がコア体21の両表面に提供されるように、コア体21の反対面について繰り返され得る。
【0043】
[053] 一実施形態においては、バール22の少なくとも1つは、遠位端23において支持平面24内の方向で最大で107Nm-1の剛性を有する。基板ホルダ20の通常の使用においては、支持平面24内の方向は水平である。支持平面24内の方向の剛性は水平剛性と称され得る。水平剛性とは、遠位端23を水平に移動させるためにバール22の遠位端23に印加されることが必要な力の量を指す。例えば、107Nm-1の水平剛性とは、遠位端23において水平に印加される10Nの力が遠位端23を水平に1μm移動させるであろうことを意味する。水平剛性が最大で107Nm-1であると規定することによって、水平剛性は、(バール22を有するコア体21とは別個に静電シート25を形成するのではなく)電極がガラス内に埋め込まれた既知の基板ホルダのものよりも小さくなる。バール22が静電シート25の穴34を通って延在すると規定することによって、バール22は静電シート25の厚さよりも(垂直方向で)長くなる。より長いバール22を提供することによって、バール22の水平剛性は低減され得る。一実施形態においては、バール22のほとんどが、最大で107Nm-1の剛性を有する。一実施形態においては、バール22の大部分が、遠位端23において支持平面24内の方向で最大で107Nm-1の剛性を有する。バール22の水平剛性は、バール22の長さを選択することによって制御することができる。追加的又は代替的には、バール22の水平剛性は、バール22の幅(すなわち周囲の寸法)を選択することによって制御することができる。
【0044】
[054] バール22の水平剛性を低減させることによって、バール22は、露光の際に、基板Wの熱膨張の方向により柔軟になる。露光プロセスにあたり、基板Wは放射によって加熱される。基板Wの加熱は基板Wを局所的に膨張させる。膨張量は基板Wにわたって変化する。基板Wの膨張は、基板Wの下面の一部をバール22のうちいくつかの遠位端23に対して滑らせ得る。そのような滑りは望ましくないオーバーレイエラーを引き起こす恐れがあり、これは予測するのが困難(したがって補償するのが困難)であり得る。バール22の水平剛性を低減させることによって、バール22に対する基板Wの滑りの可能性は低減される。基板Wの膨張は、バール22の遠位端23に水平力を付与する。バール22は基板Wとの接触を維持するように曲がり得る。バール22は片持ち梁として作用し得る。
【0045】
[055] 一実施形態においては、バール22の少なくとも1つ(又はほとんど又は全て)は、遠位端23において、最大で7×106Nm-1、任意選択的には最大で5×106Nm-1、任意選択的には最大で3×106Nm-1、任意選択的には最大で2×106Nm-1、及び任意選択的には最大で106Nm-1の水平剛性を有する。バール22の水平剛性を低減させることによって、基板ホルダ22にわたるバール22の接触剛性のばらつきが好適に低減される。
【0046】
[056] 一実施形態においては、バール22の少なくとも1つ(又はほとんど又は全て)は、遠位端23において、少なくとも105Nm-1、任意選択的には少なくとも2×105Nm-1、任意選択的には少なくとも5×105Nm-1、及び任意選択的には少なくとも106Nm-1の水平剛性を有する。これはバール22に最小限のロバスト性を提供する。
【0047】
[057] 一実施形態においては、バール22を含むコア体21は、高ヤング率を有する材料で作製される。例えば、SiSiCは高ヤング率を有する。一実施形態においては、バール22は、少なくとも107Nm-1、任意選択的には少なくとも2×107Nm-1、及び任意選択的には少なくとも3×107Nm-1の垂直剛性を有する。例えば、垂直剛性は約3.4×107Nm-1であり得る。垂直剛性を増大させることによって、集束性能を向上させることができる。
【0048】
[058] バール22を備えるコア体21を製造する方法は特に限定されない。例えば、バール22を生産するためには、レーザアブレーション、放電加工、及び/又は粉体噴射加工が用いられ得る。
【0049】
[059]
図6は、本発明の一実施形態による基板ホルダ20の一部の近接図である。
図6に示されるように、一実施形態においては、バール22のうち少なくとも1つがトレンチ35によって包囲される。トレンチ35は、コア体21のオブジェクト対向表面37に形成される。一実施形態においては、バール22はトレンチ35によって直に包囲される。トレンチ35を設けることによって、静電シート25の厚さ又はバール22の遠位端23が静電シート25の上表面の上方に突出する高さを増大させることを要さずに、バール22の長さが増大される。バール22の長さを増大させることによって、バール22の水平剛性は低減され得る。バール22の長さとは、遠位端23とトレンチ床36との間の垂直距離である。トレンチ35の深さとは、トレンチ床36とコア体21のオブジェクト対向表面37との間の垂直距離である。コア体21のオブジェクト対向表面37とは、接合材料29が配置される表面である。
【0050】
[060] バール22の遠位端23の直径は特に限定されない。一実施形態においては、遠位端23の直径は少なくとも100μm、任意選択的には少なくとも200μmである。一実施形態においては、遠位端23における直径は最大で500μmである。例えば、一実施形態においては、遠位端23における直径は約210μmである。バール22の長さは特に限定されない。一実施形態においては、バール22の長さは少なくとも200μm、任意選択的には少なくとも500μm、及び任意選択的には少なくとも1000μmである。一実施形態においては、バール22の長さは最大で2000μm、任意選択的には最大で1000μmである。例えば、一実施形態においては、トレンチ35によって包囲されていないバール22は、約560μmの長さを有する。一実施形態においては、トレンチ35によって包囲されているバール22は、約1000μmの長さを有する。一実施形態においては、コア体21は、トレンチ35によって包囲されている少なくとも1つのバール22と、そのようなトレンチによって包囲されていない少なくとも1つのバール22とを備える。トレンチ35によって包囲されているバール22とトレンチによって包囲されていないバール22とが混在していてもよい。
【0051】
[061]
[062]
図7は、バール22の水平剛性が基板ホルダ20における位置に応じてどのように変化し得るかを示す概略図である。一実施形態においては、基板ホルダ20の周縁領域にあるバール22cのうち少なくとも1つが、基板ホルダ20の中心領域にあるバール22aのうち少なくとも1つよりも低い水平剛性を有する。一実施形態においては、バール22の水平剛性は、基板ホルダ20の中心から遠ざかる半径方向で徐々に増大する。上記で言及したように、バール22の水平剛性を制御する様々な手法がある。
図7は、バール22の長さを変化させることによって水平剛性が変化することを概略的に示す。例えば、
図7に示されるように、一実施形態においては、バール22の長さHは、基板ホルダ20の中心からの距離Rが増大するにつれて増大する。追加的又は代替的には、バール22を包囲するトレンチ35の深さは、基板ホルダ20の中心からの距離Rが増大するにつれて増大し得る。追加的又は代替的には、バール22の幅は、基板ホルダ20の中心からの距離Rが増大するにつれて減少し得る。
図7に示されるように、一実施形態においては、中間のバール22bは、周縁のバール22cの高さよりも小さく中心のバール22aの長さよりも大きい、中間の高さを有し得る。
【0052】
[063] 基板Wがコア体21に対して膨張すると、基板Wの相対移動は、基板Wの半径方向位置に応じて変化する。概して、基板Wとコア体21との間の相対移動は、基板ホルダ20の周縁において最も大きく、中心において最も小さいであろうことが予期され得る。これは、基板Wがバール22の遠位端23に対して滑る危険性は、基板ホルダ20の周縁領域において、より大きいということを意味する。半径方向位置に応じてバール22の水平剛性を変化させることによって、バール22を、その位置に必要なように柔軟にすることができる。これにより、柔軟なバールの有益性とコア体21の製造の複雑性とを釣り合わせることが可能になる。例えば、より低い水平厚さを有するバール22を製造することは、より困難であり得る。コア体21の製造の複雑性が増大され得ると共に、基板Wと基板ホルダ20との間での滑りの可能性を低減させる必要も必要になるであろう。
【0053】
[064]
[065]
図8は、本発明の一実施形態による基板ホルダ20の一部の近接図である。
図8に示されるように、一実施形態においては、コア体21は少なくとも1つのガス供給通路38を備える。ガス供給通路38は、バール22のうち少なくとも1つの半径方向外側表面41(
図9に示される)と静電シート25との間の半径方向間隙39に、コア体21と静電シート25との間の垂直方向間隙40を介して、ガスを供給するように構成される。
図9は、バール22の半径方向外側表面41と静電シート25の穴34を定義する静電シート25の壁42との間の半径方向間隙39の近接図である。
図8及び9において、両方向矢印はガス流を表す。
【0054】
[066] 一実施形態においては、基板ホルダ20は、基板Wを熱的に調節するように構成された熱調節器を備える。熱調節器は、例えば露光プロセスの際に、基板Wの温度を制御するために用いることができる。一実施形態においては、熱調節器は、熱調節流体が流れる回路を備える。一実施形態においては、熱調節器は、熱調節機能を制御するように制御されたヒータ及びセンサを備える。
【0055】
[067] ガス供給通路38を設けることによって、基板ホルダ20と基板Wとの間の伝熱を高めるように、基板Wと基板ホルダ20との間にガスが供給され得る。これは基板Wの温度を制御するのに役立つ。
図8に示されるように、ガスは、静電シート25の直下のガス供給通路38を通じて供給される。ガス供給通路38は、静電シート25のすぐ下のコア体21のオブジェクト対向表面37にある開口で終端する。ガスは、コア体21と静電シート25との間の垂直方向間隙40を流れ、半径方向間隙39に達する。ガスはその後、基板Wと静電シート25の上表面との間の間隙を充填し、それによって基板Wと基板ホルダ20との間の熱伝導を向上させる。
【0056】
[068] ガス供給通路38を静電シート25のすぐ下に設けることによって、基板Wの平坦性を向上させることができる。これは、コア体21と静電シート25の下部誘電体層27との間のガス通路が、ガスが基板Wの下に達することを、静電シート25のその場所に穴を必要とすることなく可能にするからである。静電シート25に穴を有さないことによって、高電圧電極26に穴を有することが不要になる。高電圧電極26に穴を有さないことによって、電極26を遮蔽するために穴に接地層を有することが不要になる。高電圧電極26に穴を有さないことによって、平坦性を低減させるであろう静電クランプ力の局所的な低減がない。静電シート25はガス供給通路38と基板Wとの間に位置決めされる。一実施形態においては、複数のそのようなガス供給通路38がコア体21にわたって設けられる。ガス供給通路38の位置及び数に対する特別な制限はない。本発明の一実施形態は、基板Wの平坦性を過度に低減させることなく基板Wの下の圧力の均一性を向上させることが期待される。垂直方向間隙40は、接合材料29の部分の間の領域に存在する。基板Wの下の圧力の均一性を高めることによって、基板Wの一部の下で圧力が過剰に低くなる可能性を過度に高めることなく、平均圧力を低減させることができる。基板Wの下の平均圧力を低減させることによって、基板Wを基板ホルダ20に保持する効果的なクランプ力が高められる。ガスの解放時間は短縮され得る。使用されるガスのタイプは特に限定されない。一実施形態においては、ガスは水素を備える。一実施形態においては、静電シート25は、ガス供給通路38の垂直方向直上に穴を備える。
【0057】
[069]
図10は、本発明の一実施形態による基板ホルダ20の一部の近接図である。
図10に示されるように、一実施形態においては、接合材料29は、静電シート25の下表面とコア体21の対向表面との間の領域を実質的に充填する。
図10に示されるように、一実施形態においては、接合材料29は、静電シート25の下のコア体21のオブジェクト対向表面37を実質的に覆う。
図10に示されるように、一実施形態においては、接合材料29はバール22を包囲する。
図10に示されるように、一実施形態においては、接合材料29は、静電シート25の上表面よりも低い上表面を有する。代替的な一実施形態においては、接合材料29の上表面は、静電シート25の上表面と実質的に同一平面上にある。
図10に示される実施形態は、接合材料29が(静電シート25の全体ではなく)まばらな場所に提供される上述の他の実施形態とは対照的である。
【0058】
[070] 一実施形態においては、電極26は高電圧電位(例えば約3200kV)に接続される。基板Wと静電シート25との間に生じる電場は、基板ホルダ20と基板Wとの間に静電吸着力をもたらす。一実施形態においては、コア体26及びそのバール22は電気的に接地される(又は別の制御された電位に保たれる)。静電シート25とバール22との間の領域、並びに静電シート25とコア体21との間の領域には、電場が存在している。接合材料29には電場が存在している。
【0059】
[071]
図10に示されるように、一実施形態においては、静電シート25は電気絶縁体44を備える。電気絶縁体44は非導電性であり、高電圧バリアとして機能する。電気絶縁体44は、電極26の平面内で電極26を包囲する。電気絶縁体44は、電極26とバール22との間での電気的破壊の可能性を低減させる。
【0060】
[072] 電荷が電気絶縁体44を流れ得る。これは、望ましくないことに、電極26が高電圧であるときのクランプ力に影響を及ぼし得る。電荷の流れは、望ましくないことに、基板ホルダ20が基板Wをクランプするために用いられないときの残留クランプ力にも繋がり得る。接合材料29が(例えば
図10に示されるように)静電シート25の全面にある一実施形態においては、接合材料29の表面伝導性は、静電場及びクランプ力に望ましくない影響を与え得る。
【0061】
[073]
図11は、本発明の一実施形態による基板ホルダ20の一部の近接図である。矢印は電場を表す。
図11に示されるように、一実施形態においては、静電シート25は静電遮蔽体45を備える。静電遮蔽体45は、静電シート25を他の構成要素から分離するように構成されている。一実施形態においては、静電遮蔽体45は、電気的絶縁体44の電荷を基板Wから及び/又は残りのコア体21及びバール22から遮蔽するように構成されている。静電遮蔽体45は、静電シート25の周りの1つ以上の異なる位置に提供され得る。一実施形態においては、静電遮蔽体45は静電シート25の表面の導電性めっきを備える。一実施形態においては、静電遮蔽体45は化学蒸着によって適用される。一実施形態においては、静電遮蔽体45はスパッタリングによって適用される。一実施形態においては、静電遮蔽体45は物理蒸着によって適用される。一実施形態においては、静電遮蔽体45は少なくとも50nm、任意選択的には少なくとも100nm、任意選択的には少なくとも200nm、及び任意選択的には少なくとも500nmの厚さを有する。一実施形態においては、静電遮蔽体45は最大で1000nm、任意選択的には最大で500nm、任意選択的には最大で200nm、及び任意選択的には最大で100nmの厚さを有する。一実施形態においては、静電遮蔽体45の厚さは、その静電遮蔽体の異なる区域については異なり得る。
【0062】
[074]
図12は、本発明の一実施形態による静電シート25の一部の概略断面図である。
図12に示されるように、一実施形態においては、静電シート25は、コア体21に対向する静電シート25の主表面に静電遮蔽体45aを備える。
図11に示される例においては、これは静電シート25の底面である。静電遮蔽体45aは、電極26をコア体21のオブジェクト対向表面37から分離するように構成される。一実施形態においては、静電遮蔽体45aは、静電シート25の底面の実質的に全部を覆う。しかし、必ずしもそうではない。代替的な一実施形態においては、静電遮蔽体45aは、静電シート25の底面の一部のみを覆う。
【0063】
[075]
図12に示されるように、一実施形態においては、静電シート25は、静電シート25の穴画定表面に静電遮蔽体45bを備える。静電遮蔽体45bは、静電シート25を、バール22のうち少なくとも1つの半径方向外側表面41から分離するように構成される。
図12に示されるように、一実施形態においては、静電シート25は、静電シート25のコア体21とは反対向きの主表面に静電遮蔽体45cを備える。
図11に示される例においては、これは静電シート25の上表面である。静電遮蔽体45cは、静電シート25を、電気的絶縁体44の垂直方向上方の基板Wの領域から少なくとも部分的に分離するように構成される。一実施形態においては、静電遮蔽体は電気的に接地される(又は別の制御された電位に保たれる)。静電遮蔽体45はいくつかの場所に存在し得る。一実施形態においては、静電遮蔽体45cは、静電シート25の穴34の周りに、静電シート25の上のリングとして提供される。一実施形態においては、静電遮蔽体の異なる区画45a,45b,45cは、異なる厚さを有する。
【0064】
[076]
図11に示されるように、例えば、一実施形態においては、静電シート25の穴34は実質的に円筒形である。しかし、必ずしもそうではない。
図13から
図17は、穴34が完全に円筒形ではない代替的な実施形態の概略図である。例えば、
図13に示されるように、一実施形態においては、穴34は砂時計形状である。これは、特に粉体噴射加工を用いて誘電体層27,28を整形する場合に、製造するのがより容易であろう。一実施形態においては、静電シート25は、電極26と基板Wとの間に上部誘電体層28を備える。上部誘電体層28は基板Wに向かってテーパ状である。つまり、穴34は、直径が上部誘電体層28の厚さにわたり基板Wに向かって増大する。
図13に示されるように、一実施形態においては、静電シート25は下部誘電体層27を備える。下部誘電体層27は電極26とコア体21との間にある。一実施形態においては、下部誘電体層はコア体21に向かってテーパ状である。つまり、穴34の直径は、下部誘電体層27の厚さにわたりコア体21に向かって増大する。砂時計形状の壁34を備える本発明の一実施形態は、製造するのがより容易であることが期待される。
図13においては、上部誘電体層28及び下部誘電体層27の両方がテーパ状である。代替的な一実施形態においては、2つの誘電体層27,28のうち一方のみがテーパ状である。
図13においては、誘電体層27,28は、静電シート25の両面からテーパ状になっている。
図19に示されるように、代替的な一実施形態においては、静電シート25は一方の面のみからテーパ状になっている。例えば、上部誘電体層28と下部誘電体層27との両方が基板Wに向かってテーパ状であり得る。代替的には、上部誘電体層28と下部誘電体層27との両方がコア体21に向かってテーパ状であり得る。一実施形態においては、穴34は、一方の面のみからの粉体噴射加工によって静電シート25に形成される。
【0065】
[077]
図13から
図16に示されるように、静電遮蔽体45がどこに提供されるかの選択は特に限定されない。
図13に示されるように、一実施形態においては、静電遮蔽体45は、静電シート25の底面及び穴34の内側には提供されるが静電シート25の上には提供されない。
【0066】
[078]
図14に示されるように、一実施形態においては、静電遮蔽体45は、バール22のうち少なくとも1つと、電極26を挟む2つの誘電体層27,28のうち一方のみとの間に提供される。例えば、
図14に示されるように、一実施形態においては、静電遮蔽体は、静電シート25の底面に、及び穴34の内側の下部誘電体層27に提供される(が上部誘電体層28には提供されない)。
【0067】
[079]
図15に示されるように、一実施形態22においては、一実施形態においては、静電遮蔽体45は、静電シート25の底面、穴34の内側、及び穴34の周りの静電シート25の上に提供される。
【0068】
[080] 静電遮蔽体45を提供することによって、望ましくない電気的破壊の可能性が低減される。これは、電極26とバール22との間の間隙のサイズが、製造公差のために良好に制御されない場合があるときに、特に重要である。静電遮蔽体45は、電気的絶縁体44を通って又は誘電体層27,28を通って流れる電荷によって引き起こされ得る電気的破壊を低減させるのに役立つ。(例えば
図10に示されるように)接合材料29が静電シート25の全面に提供されるとき、電極磁気遮蔽体45は、接合材料29の表面伝導性による電気的破壊の可能性を低減させる。静電遮蔽体45は、静電シート25の周りの間隙にわたる、それらの間隙に進入する材料によって引き起こされ得る望ましくない静電放電の可能性を低減させる。
【0069】
[081]
図16に示されるように、一実施形態においては、静電遮蔽体45bが、穴34の内側の(下部誘電体層27ではなく)上部誘電体層28のみと、穴34の周りの静電シート25の上とに提供される。
【0070】
[082]
図17は、本発明の一実施形態による基板ホルダ20の一部の斜視図を概略的に示す。
図17に示されるように、一実施形態においては、異なるバール22を包囲する静電遮蔽体45cは、電極26と基板Wとの間にある静電シート25の上部誘電体層28のオブジェクト対向表面上の(
図16にも示される)導電線46を介して、互いに電気的に接続される。一実施形態においては、導電線46は、穴34の周りの静電遮蔽体45cを接地させる(又は別の制御された電位に接続する)。したがって、静電遮蔽体45cを接地させるために静電シート25の底面の静電遮蔽体45aが提供される必要はない。
【0071】
[083]
図18は、導電線46によって接続されたバール22の遠位端23を包囲する静電遮蔽体45cの概略平面図である。静電遮蔽体45cは、静電シート25の上の薄導電線46によって電気的に接地されたドーナツのように見えるであろう。
【0072】
[084] 実施形態によるオブジェクトホルダの部品の全てを作製するために用いられる材料は、既知のオブジェクトホルダを製造するために用いられる既知の材料のいずれでもあり得る。特に、実施形態によるオブジェクトホルダの部品は、国際公開第2015/120923A1号明細書、国際公開第2014/154428A2号明細書、及び米国特許出願公開第2013/0094009A1号明細書に開示される材料で作製され得る。これらの文献の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0073】
[085] 特に、電極26に用いられる金属は、Cr又はTiであり得る。バールの遠位端表面に用いられる金属はCrN又はTiNであり得る。絶縁部品はクロム酸化物であり得る。コア体21はSiSiCであり得る。静電遮蔽体45に用いられる材料は、Cr、CrN、又はWであり得る(が、多くの他の材料が可能である)。
【0074】
[086] 明確な説明を促進するため、実施形態を、オブジェクトホルダの上表面及び下表面を参照して説明してきた。上表面及び下表面は、オブジェクトホルダの第1及び第2の表面である。第1の表面は、オブジェクトがクランプされ得る表面である。第2の表面は、テーブルがクランプされ得る表面である。オブジェクトホルダが水平面内に配向されるとき、第1の表面は上表面であり、第2の表面は下表面である。もっとも、実施形態は水平面内に配向されないオブジェクトホルダも含む。
【0075】
[087] 実施形態は、任意のリソグラフィ装置において使用されるオブジェクトホルダを含む。リソグラフィ装置は、電子ビーム検査装置など、基板の製造、試験、及び検査に用いられる任意の装置を含み得る。明確な説明を促進するため、オブジェクトホルダの特徴を、主に、基板Wにクランプする基板ホルダ20の上面の文脈で説明してきた。本発明の特徴は、オブジェクトホルダの下面、例えば残りの基板テーブルWTにクランプする基板ホルダ20の下表面に、等しく当てはまる。ほんの一例として、可撓性バール22、トレンチ35、及び取付ツールに関係する特徴は、基板ホルダ20の下面において適用され得る。
【0076】
[088] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあり得ることが理解されるべきである。考えられる他の用途は、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造を含む。
【0077】
[089] 本文ではリソグラフィ装置の文脈で本発明の実施形態に特に言及しているが、本発明の実施形態は他の装置において使用されてもよい。本発明の実施形態は、マスク検査装置、メトロロジ装置、又はウェーハ(あるいは他の基板)もしくはマスク(あるいは他のパターニングデバイス)などのオブジェクトを測定又は処理する任意の装置の一部を形成し得る。これらの装置は一般にリソグラフィツールと称され得る。このようなリソグラフィツールは、真空条件又は周囲(非真空)条件を使用することができる。
【0078】
[090] 上記では光リソグラフィの文脈で本発明の実施形態の使用に特に言及してきたが、本発明は、文脈が許す場合には、光リソグラフィに限定されず、例えばインプリントリソグラフィなど、他の用途において使用され得ることは理解されるであろう。
【0079】
[091] 上記ではオブジェクト検査及び光リソグラフィの文脈で本発明の実施形態の使用に特に言及してきたが、本発明は、文脈が許す場合には、これらの文脈に限定されず、例えばインプリントリソグラフィなど、他の用途において使用され得ることは理解されるであろう。
【0080】
[092] 本発明の特定の実施形態を上述してきたが、本発明は、説明された以外の手法で実施されてもよいことは理解されるであろう。上記の説明は、限定的ではなく、例示的であることを意図されている。したがって、後述する特許請求の範囲から逸脱することなく、説明された本発明に変更がなされ得ることは、当業者には明白であろう。