(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-07
(45)【発行日】2025-04-15
(54)【発明の名称】反り制御とマスク選択比とのバランスを達成するための多状態パルス化
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20250408BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20250408BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H05H1/46 M
(21)【出願番号】P 2022534154
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 US2020063142
(87)【国際公開番号】W WO2021118862
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2023-11-22
(32)【優先日】2020-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドール・ニヒル
(72)【発明者】
【氏名】ウォン・マーレット・ティンロク
(72)【発明者】
【氏名】ハドソン・エリック
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ・シャオキャン
(72)【発明者】
【氏名】リー・サンホン
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10504744(US,B1)
【文献】特開2014-107363(JP,A)
【文献】特開2019-053978(JP,A)
【文献】国際公開第2019/178030(WO,A1)
【文献】特開2017-208387(JP,A)
【文献】特開2015-181143(JP,A)
【文献】特開2017-112350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク選択比とエッチングされたフィーチャの側壁の反り制御とのバランスを達成するための多状態パルス化方法であって、
第1の状態、第2の状態、および第3の状態を含む3つの状態間でパルス化される一次無線周波数(RF)信号を生成することと、
前記3つの状態間でパルス化される二次RF信号を生成することと、を含み、前
記一次RF信号と前
記二次RF信号とは、エッチングガスからプラズマを形成するために生成され、
前記第1の状態において、前記一次RF信号の電力レベルは、前記二次RF信号の電力レベルよりも大きく、
前記第2の状態において、前記二次RF信号の電力レベルは、前記一次RF信号の電力レベルよりも大きく、
前記第3の状態において、前記一次RF信号および前記二次RF信号の電力レベルは互い
に等しい、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の状態のデューティサイクルは前記第3の状態のデューティサイクルよりも小さく、前記第2の状態のデューティサイクルは前記第3の状態の前記デューティサイクルよりも小さい、
方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の状態のデューティサイクルは、クロック信号のクロックサイクルの3パーセント~25パーセントの範囲である、
方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記第2の状態の前記デューティサイクルは、前記クロック信号の前記クロックサイクルの3パーセント~50パーセントの範囲である、
方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記第3の状態は、デューティサイクルを有し、前記第1、第2、および第3の状態の前記デューティサイクルの合計は、前記クロックサイクルの100パーセントに等しい、
方法。
【請求項6】
請求項2に記載の方法であって、
前記第1の状態の前記一次RF信号の前記電力レベルと、前記第2の状態の前記二次RF信号の前記電力レベルと、前記第1の状態の前記デューティサイクルと、前記第2の状態の前記デューティサイクルとは、前記反り制御と前記マスク選択比とのバランスを達成することを容易にする、
方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
プラズマチャンバの電極に結合されたインピーダンス整合ネットワークに、前記一次RF信号を供給することと、
前記インピーダンス整合ネットワークに前記二次RF信号を供給することと、をさらに含む、
方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の状態における前記一次RF信号の前記電力レベルは、前記第1の状態における前記二次RF信号の前記電力レベルよりも少なくとも6倍、最大で10倍大きい、
方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記第2の状態における前記一次RF信号の前記電力レベルは、前記第2の状態における前記二次RF信号の前記電力レベルの少なくとも20パーセント、最大で100パーセント未満である、
方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
前記第3の状態における前記一次RF信号および前記二次RF信号の前記電力レベルはゼロである、
方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
前記一次RF信号は、前記第1の状態の前記電力レベルから前記第2の状態の前記電力レベルにパルス化され、前記第2の状態の前記電力レベルから前記第3の状態の前記電力レベルにパルス化され、前記第3の状態の前記電力レベルから前記第1の状態の前記電力レベルにパルス化される、
方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、
前記一次RF信号は、デジタルパルス信号の前記3つの状態に同期して、3つの前記電力レベル間でパルス化される、
方法。
【請求項13】
プラズマ処理チャンバ内でマスクの下のスタックをエッチングするための方法であって、
金属フッ化物またはタングステン含有パッシベーション剤と、エッチング成分とを含むエッチングガスを前記プラズマ処理チャンバ内に流すことと、
多状態パルス化方式を適用することにより前記エッチングガスをプラズマ化することと、を含み、前記プラズマ化することは、
第1の状態、第2の状態、および第3の状態を含む少なくとも3つの状態間でパルス化される一次無線周波数(RF)信号を第1の周波数範囲で生成することと、
前記少なくとも3つの状態間でパルス化される二次RF信号を第2の周波数範囲で生成することと、を含み、前記第1の周波数範囲は前記第2の周波数範囲よりも小さく、
前記第2の状態における前記一次RF信号の電力レベルは、前記第1の状態における前記一次RF信号の電力レベルの80%未満であり、
前記第3の状態における前記一次RF信号の電力レベルは、前記第2の状態における前記一次RF信号の前記電力レベルの20%未満であり、
前記第3の状態における前記二次RF信号の電力レベルは、前記第2の状態における前記二次RF信号の電力レベルの20%未満であり、
前記第1の状態において、前記一次RF信号の電力レベルは、前記二次RF信号の電力レベルよりも大きく、
前記第2の状態において、前記二次RF信号の電力レベルは、前記一次RF信号の電力レベルよりも大きく、
前記第3の状態において、前記一次RF信号および前記二次RF信号の電力レベルは互い
に等しい、
方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
前記第1の状態のデューティサイクルは前記第3の状態のデューティサイクルよりも小さく、前記第2の状態のデューティサイクルは前記第3の状態の前記デューティサイクルよりも小さい、
方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法であって、
前記第1の状態のデューティサイクルは、クロック信号のクロックサイクルの3パーセント~25パーセントの範囲である、
方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、
前記第2の状態のデューティサイクルは、前記クロック信号の前記クロックサイクルの3パーセント~50パーセントの範囲である、
方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、
前記第3の状態は、デューティサイクルを有し、前記第1、第2、および第3の状態の前記デューティサイクルの合計は、前記クロックサイクルの100パーセントに等しい、
方法。
【請求項18】
請求項13に記載の方法であって、
前記第1の周波数範囲は、80kHz~14MHz(境界を含む)であり、前記第2の周波数範囲は、15MHz~120MHz(境界を含む)である、
方法。
【請求項19】
請求項13に記載の方法であって、
前記金属フッ化物またはタングステン含有パッシベーション剤は、フッ化タングステンである、
方法。
【請求項20】
請求項13に記載の方法であって、
前記金属フッ化物またはタングステン含有パッシベーション剤は、六フッ化タングステンである、
方法。
【請求項21】
請求項13に記載の方法であって、
前記スタックはシリコンを含む、
方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、
前記マスクはハードマスクである、
方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、
前記ハードマスクはポリシリコンを含む、
方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、
前記スタックは、少なくとも1つのシリコン酸化物含有層を含む、
方法。
【請求項25】
請求項13に記載の方法であって、
前記第1の状態における前記一次RF信号の前記電力レベルの、前記第1の状態における前記二次RF信号の前記電力レベルに対する比は1より大きく、前記第2の状態における前記一次RF信号の前記電力レベルの、前記第2の状態における前記二次RF信号の前記電力レベルに対する比は1より小さい、
方法。
【請求項26】
請求項13に記載の方法であって、
前記多状態パルス化方式は、エッチングされたフィーチャの側壁のネッキングおよび反りを最小化するように調整され、前記ネッキングおよび前記反りは、前記金属フッ化物またはタングステン含有パッシベーション剤を用いて最小化される、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示に記載の実施形態は、反り制御とマスク選択比とのバランスを達成するための多状態パルス化システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ここに提供される背景技術の記載は、本開示の背景を概略的に提示することを目的としている。この背景技術に記載されている範囲内での本発明者らの研究、およびその他の点で出願時に先行技術と認められない可能性がある記載の態様は、明示的にも暗示的にも、本開示に対する先行技術とは認められない。
【0003】
無線周波数(RF)発生器は、RF信号を生成し、整合回路を介してRF信号をプラズマ反応器に供給する。プラズマ反応器は半導体ウエハを有し、半導体ウエハは、プラズマ反応器にRF信号が供給され、エッチングガスが供給された際にエッチングされる。しかしながら、半導体ウエハのエッチング中、半導体ウエハに関する望ましい選択比は得られない。
【0004】
このような状況において、本開示に記載する実施形態が提供される。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態は、反り制御とマスク選択比とのバランスを達成するための多状態パルス化装置、方法、およびコンピュータプログラムを提供する。本実施形態は、例えばプロセス、装置、システム、ハードウェア、またはコンピュータ可読媒体に記録された方法など、数々の形態によって実現可能であることを認識されたい。以下、いくつかの実施形態について説明する。
【0006】
一実施形態において、側壁のポリマーパッシベーションとマスク選択比とのトレードオフを解消する3状態無線周波数(RF)パルス化方法が記載される。側壁のポリマーパッシベーションとマスク選択比とのトレードオフにより、装置サイズをさらに制限するためのピッチを達成する上で制約が生じる。一例として、3状態RFパルス化方法は、低周波数RF発生器および高周波数RF発生器を、周期的に3つの状態間で同期してパルス化することを含む。
【0007】
一実施形態において、反り制御とマスク選択比とのバランスを達成するための多状態パルス化方法が記載される。方法は、一次RF信号を生成することを含む。一次RF信号は、第1の状態、第2の状態、および第3の状態を含む3つの状態間でパルス化される。方法はさらに、二次RF信号を生成することを含む。二次RF信号は、3つの状態間でパルス化される。第1の状態において、一次RF信号の電力レベルは、二次RF信号の電力レベルよりも大きい。また、第2の状態において、二次RF信号の電力レベルは、一次RF信号の電力レベルよりも大きい。第3の状態において、一次RF信号および二次RF信号の電力レベルはほぼ等しい。
【0008】
一実施形態において、コントローラが記載される。コントローラは、一次RF発生器を制御して一次RF信号を生成させるプロセッサを含む。プロセッサは、一次RF発生器を制御して、一次RF信号を、第1の状態、第2の状態、および第3の状態を含む3つの状態間でパルス化させる。また、プロセッサは、二次RF発生器を制御して二次RF信号を生成させる。プロセッサは、二次RF発生器を制御して、二次RF信号をこれら3つの状態間でパルス化させる。第1の状態において、一次RF信号の電力レベルは、二次RF信号の電力レベルよりも大きい。第2の状態において、二次RF信号の電力レベルは、一次RF信号の電力レベルよりも大きい。第3の状態において、一次RF信号および二次RF信号の電力レベルはほぼ等しい。コントローラは、プロセッサに結合されたメモリ装置を含む。
【0009】
一実施形態において、プロセッサは、第1の状態のデューティサイクルを第3の状態のデューティサイクルよりも小さくするように制御する。また、プロセッサは、第2の状態のデューティサイクルを第3の状態のデューティサイクルよりも小さくするように制御する。
【0010】
一実施形態において、第1の状態における一次RF信号の電力レベルは、第1の状態における二次RF信号の電力レベルよりも少なくとも6倍、最大で10倍大きい。
【0011】
一実施形態において、第2の状態における一次RF信号の電力レベルは、第2の状態における二次RF信号の電力レベルの少なくとも20パーセント、最大で100パーセント未満である。
【0012】
一実施形態において、システムが記載される。システムは、一次RF信号を生成するように構成された一次RF発生器を含む。システムはさらに、二次RF信号を生成するように構成された二次RF発生器を含む。システムは、第1のRFケーブルを介して一次RF発生器に結合され、第2のRFケーブルを介して二次RF発生器に結合されたインピーダンス整合回路を含む。インピーダンス整合回路は、第1のRFケーブルを介して一次RF信号を受信し、第2のRFケーブルを介して二次RF信号を受信して、修正RF信号を出力する。また、システムは、インピーダンス整合回路に結合され、修正RF信号を受信するプラズマチャンバを含む。システムは、RF発生器に結合されたコンピュータを含む。コンピュータは、一次RF発生器を制御して、一次RF信号を、第1の状態、第2の状態、および第3の状態を含む3つの状態間でパルス化させる。コンピュータはさらに、二次RF発生器を制御して、二次RF信号をこれら3つの状態間でパルス化させる。第1の状態において、一次RF信号の電力レベルは、二次RF信号の電力レベルよりも大きい。また、第2の状態において、二次RF信号の電力レベルは、一次RF信号の電力レベルよりも大きい。第3の状態において、一次RF信号および二次RF信号の電力レベルはほぼ等しい。
【0013】
一実施形態において、コンピュータは、第1の状態のデューティサイクルを第3の状態のデューティサイクルよりも小さくするように制御する。コンピュータは、第2の状態のデューティサイクルを第3の状態のデューティサイクルよりも小さくするように制御する。
【0014】
一実施形態において、第1の状態における一次RF信号の電力レベルは、第1の状態における二次RF信号の電力レベルよりも少なくとも6倍、最大で10倍大きい。
【0015】
一実施形態において、第2の状態における一次RF信号の電力レベルは、第2の状態における二次RF信号の電力レベルの少なくとも20パーセント、最大で100パーセント未満である。
【0016】
一実施形態において、システムが記載される。システムは、第1の周波数範囲で一次RF信号を生成するように構成された一次RF発生器を含む。システムはさらに、第2の周波数範囲で二次RF信号を生成するように構成された二次RF発生器を含む。システムは、第1のRFケーブルを介して一次RF発生器に結合され、第2のRFケーブルを介して二次RF発生器に結合されたインピーダンス整合回路を含む。インピーダンス整合回路は、第1のRFケーブルを介して一次RF信号を受信し、第2のRFケーブルを介して二次RF信号を受信して、修正RF信号を出力する。システムは、インピーダンス整合回路に結合され、修正RF信号を受信するプラズマチャンバを含む。システムはさらに、プラズマチャンバに流体接続されたガス源を含む。ガス源は、タングステン含有ガス源およびエッチング成分ガス源を含む。システムは、RF発生器に結合されたコンピュータを含む。コンピュータは、タングステン含有ガス源およびエッチング成分ガス源を制御する。コンピュータはさらに、一次RF発生器を制御して、一次RF信号を、第1の状態、第2の状態、および第3の状態を含む少なくとも3つの状態間でパルス化させる。また、コンピュータは、二次RF発生器を制御して、二次RF信号をこれら少なくとも3つの状態間でパルス化させる。第2の状態における一次RF信号の電力レベルは、第1の状態における一次RF信号の電力レベルの80%未満である。また、第3の状態における一次RF信号の電力レベルは、第2の状態における一次RF信号の電力レベルの20%未満である。さらに、第3の状態における二次RF信号の電力レベルは、第2の状態における二次RF信号の電力レベルの20%未満である。第1の状態、第2の状態、および第3の状態において、タングステン含有ガス源およびエッチング成分ガス源からガスが流される。
【0017】
一実施形態において、コンピュータは、第1の状態のデューティサイクルを第3の状態のデューティサイクルよりも小さくするように制御する。コンピュータは、第2の状態のデューティサイクルを第3の状態のデューティサイクルよりも小さくするように制御する。
【0018】
一実施形態において、第1の状態のデューティサイクルは、クロック信号のクロックサイクルの3パーセント~25パーセントの範囲である。
【0019】
また、一実施形態において、第2の状態のデューティサイクルは、クロック信号のクロックサイクルの3パーセント~50パーセントの範囲である。
【0020】
一実施形態において、第3の状態のデューティサイクルは、クロック信号のクロックサイクルの25パーセント~94パーセントの範囲であり、第1、第2、および第3の状態のデューティサイクルの合計は、クロックサイクルの100パーセントに等しい。
【0021】
一実施形態において、第1の周波数範囲は、80kHz~14MHz(境界を含む)であり、第2の周波数範囲は、15MHz~120MHz(境界を含む)である。
【0022】
一実施形態において、タングステン含有ガスは、フッ化タングステンである。
【0023】
一実施形態において、タングステン含有ガスは、六フッ化タングステンである。
【0024】
一実施形態において、第1の状態における一次RF信号の電力レベルの、第1の状態における二次RF信号の電力レベルに対する比は1より大きく、第2の状態における一次RF信号の電力レベルの、第2の状態における二次RF信号の電力レベルに対する比は1より小さい。
【0025】
一実施形態において、コンピュータは、金属フッ化物またはタングステン含有パッシベーション剤を用いてネッキングおよび反りを最小化するように、第1の状態、第2の状態、および第3の状態を調整する。
【0026】
本明細書に記載の3状態RFパルス化方法の利点として、窒化物層の側壁における反りを約1.5ナノメートル(nm)超縮小させつつ、マスク選択比を増加できることが挙げられる。例えば、反りの縮小を達成することにより、マスク選択比が、2状態パルス化を用いた場合のマスク選択比と比較して約15%~20%増加する。
【0027】
本明細書に記載の多状態パルス化システムおよび方法の更なる利点として、反り制御とマスク選択比とのバランスを達成できることが挙げられる。低周波数RF発生器および高周波数RF発生器の各々を3つの状態でパルス化することによって、このバランスが達成される。例えば、低周波数RF発生器は、第1の状態において、高周波数RF発生器の電力レベルと比較してはるかに大きな電力レベルでパルス化される。高周波数RF発生器は、第2の状態において、低周波数RF発生器の電力レベルと比較してより大きな電力レベルでパルスされる。第3の状態において、低周波数RF発生器および高周波数RF発生器の電力レベルはほぼゼロになる。このように低周波数RF発生器および高周波数RF発生器をパルス化することにより、バランスが達成される。このバランスを達成することにより、高アスペクト比の基板フィーチャをエッチングすることが容易になる。
【0028】
他の態様は、添付図面と併せて参照される以下の詳細な説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
添付図面と併せて以下の記載を参照することで、各実施形態が理解される。
【0030】
【
図1】
図1は、反り制御とマスク選択比とのバランスを達成するための複数の無線周波数(RF)信号の3状態パルス化を説明するためのシステムの一実施形態を示す図である。
【0031】
【
図2A】
図2Aは、クロック信号のグラフの一実施形態を示す図である。
【0032】
【
図2B】
図2Bは、デジタルパルス信号の一実施形態を説明するためのグラフの一実施形態を示す図である。
【0033】
【
図2C】
図2Cは、低周波数RF発生器によって生成されるRF信号の一実施形態と、高周波数RF発生器によって生成されるRF信号の一実施形態とを説明するためのグラフの一実施形態を示す図である。
【0034】
【
図2D】
図2Dは、低周波数RF発生器によって生成されるRF信号の一実施形態と、高周波数RF発生器によって生成されるRF信号の一実施形態とを説明するためのグラフの一実施形態を示す図である。
【0035】
【
図3A】
図3Aは、低周波数RF発生器によって生成される、
図2CのRF信号の一部を拡大したものを説明するためのグラフの一実施形態を示す図である。
【0036】
【
図3B】
図3Bは、高周波数RF発生器によって生成される、
図2CのRF信号の一部を拡大したものを説明するためのグラフの一実施形態を示す図である。
【0037】
【0038】
【
図4B】
図4Bは、デジタルパルス信号の一実施形態を説明するためのグラフの一実施形態を示す図である。
【0039】
【
図4C】
図4Cは、低周波数RF発生器によって生成されるRF信号の一実施形態と、高周波数RF発生器によって生成されるRF信号の一実施形態とを説明するためのグラフの一実施形態を示す図である。
【0040】
【
図4D】
図4Dは、低周波数RF発生器によって生成されるRF信号の一実施形態と、高周波数RF発生器によって生成されるRF信号の一実施形態とを説明するためのグラフの一実施形態を示す図である。
【0041】
【
図5A】
図5Aは、低周波数RF発生器によって生成される、
図4CのRF信号の一部を拡大したものを説明するためのグラフの一実施形態を示す図である。
【0042】
【
図5B】
図5Bは、高周波数RF発生器によって生成される、
図4CのRF信号の一部を拡大したものを説明するためのグラフの一実施形態を示す図である。
【0043】
【
図6】
図6は、低周波数RF発生器および高周波数RF発生器が生成するRF信号の3つの状態に関連するデューティサイクルを説明するための表の一実施形態を示す図である。
【0044】
【
図7A】
図7Aは、処理前の基板スタックの一実施形態を示す図である。
【0045】
【
図7B】
図7Bは、処理中の基板スタックの別の実施形態を示す図である。
【0046】
【0047】
【
図7D】
図7Dは、
図7Aの基板スタックを処理した後の基板スタックのさらに別の実施形態を示す図である。
【0048】
【
図8】
図8は、別の実施形態のフローチャートである。
【0049】
【
図9A】
図9Aは、
図8に示す実施形態に従って処理されたスタックの概略断面図である。
【0050】
【
図9B】
図9Bは、
図8に示す実施形態に従って処理されたスタックの概略断面図である。
【0051】
【
図10】
図10は、一実施形態において用いられるプラズマ処理システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下の実施形態において、反り制御とマスク選択比とのバランスを達成するための多状態パルス化システムおよび方法を説明する。本実施形態は、これらの具体的詳細の一部またはすべてを除いて実施されてもよいことは明らかである。他の例においては、本実施形態が不必要に曖昧になることを避けるため、周知のプロセス工程については、詳細な説明を省いた。
【0053】
図1は、反り制御とマスク選択比とのバランスを達成するための複数の無線周波数(RF)信号の3状態パルス化を説明するためのシステム100の一実施形態を示す図である。システム100は、RF発生器RFGx、別のRF発生器RFGy、インピーダンス整合ネットワークIMN、プラズマチャンバ106、およびホストコンピュータ110を含む。
【0054】
RF発生器RFGxの例としては、400キロヘルツ(kHz)、2メガヘルツ(MHz)、または13.56MHzの動作周波数を有するRF発生器などの、低周波数RF発生器が挙げられる。RF発生器RFGyの例としては、27MHzまたは60MHzの動作周波数を有するRF発生器などの、高周波数RF発生器が挙げられる。なお、高周波数RF発生器の動作周波数は、低周波数RF発生器の動作周波数よりも大きい。
【0055】
インピーダンス整合ネットワークIMNは、インダクタ、コンデンサ、抵抗などの回路構成要素のネットワークである。例えば、インピーダンス整合ネットワークは、分路コンデンサと直列コンデンサを含む回路である。分路コンデンサは、その一端が直列コンデンサに結合され、その他端が接地電位に結合される。直列コンデンサは、インピーダンス整合ネットワークIMNの入力(入力I2xまたは入力I2yなど)と、インピーダンス整合ネットワークIMNの出力O2との間に結合される。別の例として、インピーダンス整合ネットワークIMNの1つ以上の回路構成要素は、インピーダンス整合ネットワークIMNの1つ以上の回路構成要素に直列または並列結合される。インピーダンス整合ネットワークIMNは、1つ以上の回路構成要素を含むブランチを有し、このブランチは、入力I2xと出力O2との間に結合される。同様に、インピーダンス整合ネットワークIMNは、1つ以上の回路構成要素を含む別のブランチを有し、このブランチは、入力I2yと出力O2との間に結合される。
【0056】
プラズマチャンバ106は、チャックなどの基板支持台104を含む。チャックは、チャック内に埋め込まれた下部電極と、下部電極の下方に位置する設備板と、下部電極の上方に位置するセラミック板とを含む。プラズマチャンバ106はさらに、接地電位に結合される上部電極118を含む。ホストコンピュータ110の例としては、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、コントローラ、タブレット、およびスマートフォンが挙げられる。
【0057】
RF発生器RFGxは、デジタル信号プロセッサ(DSP)DSPx、電力コントローラPWRS1x、別の電力コントローラPWRS2x、さらに別の電力コントローラPWRS0x、自動周波数チューナ(AFT)AFTx、および電源PSxを含む。本明細書で用いられるDSPの例としては、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、またはプログラム可能論理回路(PLD)を含むコントローラが挙げられる。DSPのコントローラはまた、複数のデータまたは命令を同時にフェッチ可能なメモリ装置を含む。DSPのメモリ装置は、DSPのマイクロプロセッサ、ASIC、またはPLDに結合される。本明細書で用いられるメモリ装置の例としては、ROM、RAM、フラッシュメモリ、記憶ディスクアレイ、ハードディスクなどが挙げられる。
【0058】
本明細書で用いられる電力コントローラの例としては、マイクロコントローラが挙げられる。例示すると、電力コントローラは、マイクロプロセッサ、ASIC、またはPLDを含む。電力コントローラは、電力コントローラのマイクロプロセッサ、ASIC、またはPLDに結合されるメモリ装置をさらに含む。
【0059】
本明細書で用いられるチューナの例としては、マイクロコントローラが挙げられる。例示すると、チューナは、マイクロプロセッサ、ASIC、またはPLDを含む。チューナは、チューナのマイクロプロセッサ、ASIC、またはPLDに結合されるメモリ装置をさらに含む。
【0060】
本明細書で用いられる電源の例としては、周期的な発振電子信号(正弦波RF信号など)を生成する電子発振器またはRF発振器が挙げられる。
【0061】
デジタル信号プロセッサDSPxは、電力コントローラPWRS1x、PWRS2x、PWRS0xと、自動周波数チューナAFTxとに結合される。さらに、電力コントローラPWRS1x、PWRS2x、PWRS0xの各々は、電源PSxに結合される。自動周波数チューナAFTSxも、電源PSxに結合される。
【0062】
RF発生器RFGyは、デジタル信号プロセッサDSPy、電力コントローラPWRS1y、別の電力コントローラPWRS2y、さらに別の電力コントローラPWRS0y、自動周波数チューナAFTy、および電源PSyを含む。デジタル信号プロセッサDSPyは、電力コントローラPWRS1y、PWRS2y、PWRS0yと、自動周波数チューナAFTyとに結合される。さらに、電力コントローラPWRS1y、PWRS2y、PWRS0yの各々は、電源PSyに結合される。自動周波数チューナAFTSyも、電源PSyに結合される。
【0063】
ホストコンピュータは、プロセッサ112およびメモリ装置114を含む。プロセッサ112は、メモリ装置114に結合される。本明細書で用いられるプロセッサの例としては、マイクロプロセッサ、ASIC、中央処理装置(CPU)、またはPLDが挙げられる。
【0064】
プロセッサ112は、転送ケーブル120xを介してデジタル信号プロセッサDSPxに結合されるとともに、別の転送ケーブル120yを介してデジタル信号プロセッサDSPyに結合される。本明細書で用いられる転送ケーブルの例としては、プロセッサ112とDSPとの間でのデータの並列転送を容易にする並列転送ケーブル、プロセッサ112とDSPとの間でのデータの直列転送を容易にする直列転送ケーブル、およびUSB規格によりプロセッサ112とDSPとの間でのデータの転送を容易にするUSB転送ケーブルが挙げられる。
【0065】
電源PSxは、RFケーブル116xを介してインピーダンス整合ネットワークIMNの入力I2xに結合される。例えば、RF発生器RFGxの出力O1xは、RFケーブル116xを介して入力I2xに結合される。さらに、電源PSyは、RFケーブル116yを介してインピーダンス整合ネットワークIMNの入力I2yに結合される。例えば、RF発生器RFGyの出力O1yは、RFケーブル116yを介して入力I2yに結合される。
【0066】
インピーダンス整合ネットワークIMNの出力O2は、RF伝送線122を介して基板支持台104の下部電極に結合される。RF伝送線122の例としては、RFスリーブ(アルミニウム中実棒材など)によって囲まれた絶縁体によって囲まれた導体が挙げられる。絶縁体は、テフロン(登録商標)などの誘電体材料とすることができる。RF伝送線122の別の例としては、内側導電性ロッドおよび外側ハウジングを有するRFシリンダに1つ以上のRFストラップを介して結合された導体が挙げられる。RFシリンダの内側導電性ロッドは、下部電極に結合される。上記の例で説明したように、導体は、RFスリーブによって囲まれた絶縁体によって囲まれる。RF伝送線122の導体は、インピーダンス整合ネットワークIMNの出力O2に結合される。
【0067】
プロセッサ112は、クロック信号と、クロック信号に同期したデジタルパルス信号108とを生成する。クロック信号およびデジタルパルス信号108の例は後述する。デジタルパルス信号108は、後述するように状態S1、状態S2、および状態S0などの3つの状態を有する。
【0068】
プロセッサ112は、メモリ装置114から、RF発生器RFGxが生成するRF信号102xの状態S1用の電力レベル、RF信号102xの状態S2用の電力レベル、およびRF信号102xの状態S0用の電力レベルにアクセス(例えば、読み出しまたは取得)する。さらに、プロセッサ112は、メモリ装置114aから、RF発生器RFGyが生成するRF信号102yの状態S1用の電力レベル、RF信号102yの状態S2用の電力レベル、およびRF信号102yの状態S0用の電力レベルにアクセスする。RF信号102x、102yはそれぞれ、正弦波信号である。
【0069】
なお、一実施形態において、RF信号のある状態用の電力レベルとは、その状態の間にRF信号によって達成される電力レベルである。例えば、RF信号の状態S1用の電力レベルは、デジタルパルス信号108が状態S1であるインスタンス中に達成される電力レベルであり、RF信号の状態S2用の電力レベルは、デジタルパルス信号108が状態S2であるインスタンス中に達成される電力レベルであり、RF信号の状態S0用の電力レベルは、デジタルパルス信号108が状態S0であるインスタンス中に達成される電力レベルである。
【0070】
プロセッサ112は、生成されるRF信号102xの状態S1、S2、S0用の電力レベルを、状態S1、S2、S0の各々の識別情報とともに、転送ケーブル120xを介してデジタル信号プロセッサDSPxに送信する。デジタル信号プロセッサDSPxは、RF信号102xの状態S1、S2、S0用の電力レベルを、各状態の識別情報とともに受信すると、デジタル信号プロセッサDSPxのメモリ装置から、状態S1~S0の識別情報と電力コントローラPWRS1x、PWRS2x、PWRS0xとの対応関係(1対1マッピング、リンク、1対1関係など)にアクセスする。そして、状態S1用の電力レベルを電力コントローラPWRS1xに、状態S2用の電力レベルを電力コントローラPWRS2xに、状態S0用の電力レベルを電力コントローラPWRS0xに送信する。各電力コントローラPWRS1x、PWRS2x、PWRS0xは、デジタル信号プロセッサDSPxから受信したそれぞれの電力レベルを電力コントローラのメモリ装置に記憶する。
【0071】
同様に、プロセッサ112は、生成されるRF信号102yの状態S1、S2、S0用の電力レベルを、状態S1、S2、S0の各々の識別情報とともに、転送ケーブル120yを介してデジタル信号プロセッサDSPyに送信する。デジタル信号プロセッサDSPyは、RF信号102yの状態S1、S2、S0用の電力レベルを、各状態の識別情報とともに受信すると、デジタル信号プロセッサDSPyのメモリ装置から、状態S1、S2、S0の識別情報と電力コントローラPWRS1y、PWRS2y、PWRS0yとの対応関係(1対1マッピング、リンク、1対1関係など)にアクセスする。そして、状態S1用の電力レベルを電力コントローラPWRS1yに、状態S2用の電力レベルを電力コントローラPWRS2yに、状態S0用の電力レベルを電力コントローラPWRS0yに送信する。各電力コントローラPWRS1y、PWRS2y、PWRS0yは、デジタル信号プロセッサDSPyから受信したそれぞれの電力レベルを電力コントローラのメモリ装置に記憶する。
【0072】
プロセッサ112は、転送ケーブル120xを介してデジタルパルス信号108をデジタル信号プロセッサDSPxに送信すると同時に、転送ケーブル120yを介してデジタルパルス信号108をデジタル信号プロセッサDSPyに送信する。デジタルパルス信号108を受信すると、デジタル信号プロセッサDSPxは、デジタルパルス信号108の論理レベルからデジタルパルス信号108の状態を特定する。例えば、デジタル信号プロセッサDSPxは、デジタルパルス信号108の論理レベルを0と判断した場合、デジタルパルス信号108の状態がS1であると特定し、デジタルパルス信号108の論理レベルを1と判断した場合、デジタルパルス信号108の状態がS2であると特定し、デジタルパルス信号108の論理レベルを2と判断した場合、デジタルパルス信号108の状態がS0である特定する。
【0073】
デジタルパルス信号108が状態S1のときに、デジタルパルス信号108の状態がS1であることを特定すると、デジタル信号プロセッサDSPxは、電力コントローラPWRS1xに制御信号を送信する。デジタルパルス信号108が状態S1のときに制御信号を受信すると、電力コントローラPWRS1xは、電力コントローラPWRS1xのメモリ装置から状態S1用の電力レベルにアクセスし、状態S1用の電力レベルを含む信号を生成し、その信号を電源PSxに送信する。デジタルパルス信号108が状態S1のときに、状態S1用の電力レベルを含む信号を電力コントローラPWRS1xから受信すると、電源PSxは、状態S1用の電力レベルを有するRF信号102xの一部を生成する。
【0074】
同様に、デジタルパルス信号108が状態S2のときに、デジタルパルス信号108の状態がS2であることを特定すると、デジタル信号プロセッサDSPxは、電力コントローラPWRS2xに制御信号を送信する。デジタルパルス信号108が状態S2のときに制御信号を受信すると、電力コントローラPWRS2xは、電力コントローラPWRS2xのメモリ装置から状態S2用の電力レベルにアクセスし、状態S2用の電力レベルを含む信号を生成し、その信号を電源PSxに送信する。デジタルパルス信号108が状態S2のときに、状態S2用の電力レベルを有する信号を電力コントローラPWRS2xから受信すると、電源PSxは、RF信号102xを状態S1用の電力レベルから状態S2用の電力レベルに遷移させ、状態S2用の電力レベルを有するRF信号102xの一部を生成する。
【0075】
また、デジタルパルス信号108が状態S0のときに、デジタルパルス信号108の状態がS0であることを特定すると、デジタル信号プロセッサDSPxは、電力コントローラPWRS0xに制御信号を送信する。デジタルパルス信号108が状態S0のときに制御信号を受信すると、電力コントローラPWRS0xは、電力コントローラPWRS0xのメモリ装置から状態S0用の電力レベルにアクセスし、状態S0用の電力レベルを含む信号を生成し、その信号を電源PSxに送信する。デジタルパルス信号108が状態S0のときに、状態S0用の電力レベルを有する信号を電力コントローラPWRS0xから受信すると、電源PSxは、RF信号102xを状態S2用の電力レベルから状態S0用の電力レベルに遷移させ、状態S0用の電力レベルを有するRF信号102xの一部を生成する。
【0076】
同様に、デジタルパルス信号108を受信すると、デジタル信号プロセッサDSPyは、上述したデジタル信号プロセッサDSPxがデジタルパルス信号108の状態を特定するのと同じ方法で、デジタルパルス信号108の論理レベルから、デジタルパルス信号108の状態を特定する。例えば、デジタル信号プロセッサDSPyは、デジタルパルス信号108の論理レベルを0と判断した場合、デジタルパルス信号108の状態がS1であると特定し、デジタルパルス信号108の論理レベルを1と判断した場合、デジタルパルス信号108の状態がS2であると特定し、デジタルパルス信号108の論理レベルを2と判断した場合、デジタルパルス信号108の状態がS0であると特定する。
【0077】
デジタルパルス信号108が状態S1のときに、デジタルパルス信号108の状態がS1であることを特定すると、デジタル信号プロセッサDSPyは、電力コントローラPWRS1yに制御信号を送信する。また、デジタルパルス信号108が状態S1のときに制御信号を受信すると、電力コントローラPWRS1yは、電力コントローラPWRS1yのメモリ装置から状態S1用の電力レベルにアクセスし、状態S1用の電力レベルを含む信号を生成し、その信号を電源PSyに送信する。デジタルパルス信号108が状態S1のときに、状態S1用の電力レベルを有する信号を電力コントローラPWRS1yから受信すると、電源PSyは、状態S1用の電力レベルを有するRF信号102yの一部を生成する。
【0078】
同様に、デジタルパルス信号108が状態S2のときに、デジタルパルス信号108の状態がS2であることを特定すると、デジタル信号プロセッサDSPyは、電力コントローラPWRS2yに制御信号を送信する。デジタルパルス信号108が状態S2のときに制御信号を受信すると、電力コントローラPWRS2yは、電力コントローラPWRS2yのメモリ装置から状態S2用の電力レベルにアクセスし、状態S2用の電力レベルを含む信号を生成し、その信号を電源PSyへ送信する。デジタルパルス信号108が状態S2のときに、状態S2用の電力レベルを有する信号を電力コントローラPWRS1yから受信すると、電源PSyは、RF信号102yを状態S1用の電力レベルから状態S2用の電力レベルに遷移させ、状態S2用の電力レベルを有するRF信号102yの一部を生成する。
【0079】
また、デジタルパルス信号108が状態S0のときに、デジタルパルス信号108の状態がS0であることを特定すると、デジタル信号プロセッサDSPyは、電力コントローラPWRS0yに制御信号を送信する。デジタルパルス信号108が状態S0のときに制御信号を受信すると、電力コントローラPWRS0yは、電力コントローラPWRS0yのメモリ装置から状態S0用の電力レベルにアクセスし、状態S0用の電力レベルを含む信号を生成し、その信号を電源PSyに送信する。デジタルパルス信号108が状態S0のときに、状態S0用の電力レベルを有する信号を電力コントローラPWRS0yから受信すると、電源PSyは、RF信号102yを状態S2用の電力レベルから状態S0用の電力レベルに遷移させ、状態S0用の電力レベルを有するRF信号102yの一部を生成する。
【0080】
RF信号102xは、電源PSxから出力O1xおよびRFケーブル116xを介して、インピーダンス整合ネットワークIMNの入力I2xに供給される。また、RF信号102yは、電源PSyから出力O1yおよびRFケーブル116yを介して、インピーダンス整合ネットワークIMNの入力I2yに供給される。インピーダンス整合ネットワークIMNは、入力I2xにてRF信号102xを受信する。そして、RF信号102xが、インピーダンス整合ネットワークIMNにおける入力I2xに結合された分岐回路を介して転送されることで、RF信号RF102xのインピーダンスが分岐回路によって修正され、第1の修正RF信号が出力される。同様に、インピーダンス整合ネットワークIMNは、入力I2yにてRF信号102yを受信する。そして、RF信号102yが、インピーダンス整合ネットワークIMNにおける入力I2yに結合された分岐回路を介して転送されることで、RF信号RF102yのインピーダンスが分岐回路によって修正され、第2の修正RF信号が出力される。RF信号102xおよび102yのインピーダンスは、出力O2に結合された負荷のインピーダンスと、入力I2xおよびI2yに結合されたソースのインピーダンスとを整合させるために修正される。出力O2に結合された負荷は、例えば、RF伝送線122およびプラズマチャンバ106である。入力I2xおよびI2yに結合されたソースは、例えば、RFケーブル116xおよび116yと、RF発生器RFGxおよびRFGyである。入力I2xに結合された分岐回路は、入力I2yに結合された分岐回路と出力O2にて接続され、第1および第2の修正RF信号が統合され、統合修正RF信号124が出力O2にて出力される。
【0081】
統合修正RF信号124は、インピーダンス整合ネットワークIMNの出力O2からRF伝送線122を介して、基板支持台104の下部電極に送信される。さらに、プラズマチャンバ106内の上部電極118と基板支持台104との間の隙間に、1つ以上のプロセスガス(フッ素含有ガス、酸素含有ガス、またはこれらの組み合わせなど)が供給される。統合修正RF信号124と1つ以上のプロセスガスが同時にプラズマチャンバ106に供給されると、プラズマが隙間内で点火または維持されて、基板Sを処理する。基板Sの例としては、基板層上に形成される半導体ウエハ、および基板層上に形成される基板スタックが挙げられる。基板Sの処理の例としては、基板層上に1つ以上の材料(酸化物層、窒化物層、シリコン窒化物層、マスク層、またはこれらの2つ以上の組み合わせなど)を堆積することが挙げられる。基板処理の他の例としては、基板Sのエッチング、基板Sのスパッタリング、または基板Sの洗浄が挙げられる。
【0082】
一実施形態において、基板支持台104の下部電極は接地電位に結合され、上部電極118はインピーダンス整合ネットワークIMNの出力O2に結合される。
【0083】
一実施形態において、RF発生器RFGxおよびRFGyがインピーダンス整合ネットワークIMNを介して基板支持台104の下部電極に結合されるのに加えて、1つ以上のRF発生器がインピーダンス整合ネットワークを介して上部電極118に結合される。
【0084】
一実施形態において、デジタル信号プロセッサDSPx、電力コントローラPWRS1x、電力コントローラPWRS2x、電力コントローラPWRS0x、および自動周波数チューナAFTxのうちの1つ以上によって実行されるものとして本明細書で説明する機能または動作は、RF発生器RFGxのコントローラまたはプロセッサによって実行される。例えば、電力コントローラPWRS1x、電力コントローラPWRS2x、電力コントローラPWRS0x、および自動周波数チューナAFTxによって実行されるものとして本明細書で説明する機能は、デジタル信号プロセッサDSPxによって実行される。
【0085】
同様に、一実施形態において、デジタル信号プロセッサDSPy、電力コントローラPWRS1y、電力コントローラPWRS2y、電力コントローラPWRS0y、および自動周波数チューナAFTSyのうちの1つ以上によって実行されるものとして本明細書で説明する機能または動作は、RF発生器RFGyのコントローラまたはプロセッサによって実行される。例えば、電力コントローラPWRS1y、電力コントローラPWRS2y、電力コントローラPWRS0y、および自動周波数チューナAFTyによって実行されるものとして本明細書で説明する機能は、デジタル信号プロセッサDSPyによって実行される。
【0086】
一実施形態において、デジタル信号プロセッサDSPx、電力コントローラPWRS1x、電力コントローラPWRS2x、電力コントローラPWRS0x、自動周波数チューナAFTSx、デジタル信号プロセッサDSPy、電力コントローラPWRS1y、電力コントローラPWRS2y、電力コントローラPWRS0y、および自動周波数チューナAFTSyのうちの1つ以上によって実行されるものとして本明細書で説明する機能または動作は、プロセッサ112によって実行される。
【0087】
一実施形態において、クロック信号は、プロセッサ112の代わりにクロック源によって生成される。
【0088】
図2Aは、上述したクロック信号であるクロック信号204のグラフ202の一実施形態を示す図である。クロック信号204は、プロセッサ112によって生成される。グラフ202は、y軸に論理レベルを、x軸に時間tをプロットしている。グラフ202のy軸は、論理レベル0および論理レベル1を含む。グラフ202のx軸は、複数の時間t0、t1、t2、t3、t4、t5を含む。
【0089】
グラフ202のx軸上における任意の連続する2つの時間の間の時間間隔は同じである。例えば、時間t0とt1との間の時間間隔は、時間t1とt2との間の時間間隔に等しく、時間t1とt2との間の時間間隔は、時間t2とt3との間の時間間隔に等しい。時間t3とt4との間の時間間隔は、時間t2とt3との間の時間間隔に等しく、時間t4とt5との間の時間間隔は、時間t3とt4との間の時間間隔に等しい。時間t1は時間t0に連続している。同様に、時間t2は時間t1に連続し、時間t3は時間t2に連続し、時間t4は時間t3に連続し、時間t5は時間t4に連続している。
【0090】
クロック信号204は、論理レベル0と1の間で周期的に遷移する。例えば、クロック信号204のサイクル1の前半では、クロック信号204は論理レベル1である。時間t1において、クロック信号204は論理レベル1から論理レベル0に遷移する。クロック信号204のサイクル1の後半では、クロック信号204は論理レベル0である。時間t2において、クロック信号204は論理レベル0から論理レベル1に遷移する。クロック信号204のサイクル2の前半では、クロック信号204は論理レベル1である。時間t3において、クロック信号204は論理レベル1から論理レベル0に遷移する。クロック信号204のサイクル2の後半では、クロック信号は論理レベル0である。時間t4において、クロック信号204は論理レベル0から論理レベル1に遷移する。
【0091】
クロック信号204のサイクル2は、クロック信号204のサイクル1に連続している。例えば、クロック信号204のサイクル1とサイクル2との間には、他のクロックサイクルは存在しない。サイクル1は、時間t0から時間t2まで生じ、サイクル2は、時間t2から時間t4まで生じる。
【0092】
図2Bは、デジタルパルス信号208の一実施形態を説明するためのグラフ206の一実施形態を示す図である。デジタルパルス信号208は、
図1のデジタルパルス信号108の一例である。グラフ206は、y軸にデジタルパルス信号208の論理レベルを、x軸に時間tをプロットしている。グラフ206のy軸は、論理レベル0、1、2を含む。グラフ206のx軸は、時間t0、時間t0a、時間t0b、時間t1、時間t2、時間t2a、時間t2b、時間t3、時間t4を含む。時間t0aは時間t0と時間t0bとの間で生じ、時間t0bは時間t0aと時間t1との間で生じる。さらに、時間t2aは時間t2と時間t2bとの間で生じ、時間t2bは時間t2aと時間t3との間で生じる。
【0093】
デジタルパルス信号208は、状態S1、S2、S0の間で周期的に遷移する。例えば、デジタルパルス信号208は、時間t0から時間t0aまで、論理レベル0によって定義される状態S1を有する。例示すると、デジタルパルス信号208が状態S1のとき、デジタルパルス信号208は論理レベル0である。デジタルパルス信号208は、時間t0aにおいて、論理レベル0から論理レベル1に遷移する。デジタルパルス信号208の状態S2は、論理レベル1によって定義される。例示すると、デジタルパルス信号208が状態S2のとき、デジタルパルス信号208は論理レベル1である。
【0094】
デジタルパルス信号208は、時間t0aから時間t0bまで状態S2である。時間t0bにおいて、デジタルパルス信号208は、状態S2から、論理レベル2によって定義される状態S0に遷移する。例示すると、デジタルパルス信号208が状態S0のとき、デジタルパルス信号208は論理レベル2である。デジタルパルス信号208は、時間t0bから時間t2まで状態S0である。時間t2において、デジタルパルス信号208は、状態S0から状態S1に戻るように遷移する。
【0095】
デジタルパルス信号208は、時間t2から時間t2aまで状態S1である。時間t2aにおいて、デジタルパルス信号208は、状態S1から状態S2に遷移する。デジタルパルス信号208は、時間t2aから時間t2bまで状態S2である。時間t2bにおいて、デジタルパルス信号208は、状態S2から状態S0に遷移する。デジタルパルス信号208は、時間t2bから時間t4まで状態S0である。時間t4において、デジタルパルス信号208は、状態S0から状態S1に戻るように遷移する。
【0096】
なお、デジタルパルス信号208の状態S1、S2、S0はそれぞれ、複数のインスタンスで生じる。例えば、デジタルパルス信号208の状態S1の第1のインスタンスは、時間t0とt0aとの間で生じ、デジタルパルス信号208の状態S1の第2のインスタンスは、時間t2とt2aとの間で生じる。別の例として、デジタルパルス信号208の状態S2の第1のインスタンスは、時間t0aとt0bとの間で生じ、デジタルパルス信号208の状態S2の第2のインスタンスは、時間t2aとt2bとの間で生じる。さらに別の例として、デジタルパルス信号208の状態S0の第1のインスタンスは、時間t0bとt2との間で生じ、デジタルパルス信号208の状態S0の第2のインスタンスは、時間t2bとt4との間で生じる。別の例として、デジタルパルス信号208の状態S2の第1のインスタンスは、デジタルパルス信号208の状態S1の第1のインスタンスに連続し、デジタルパルス信号208の状態S0の第1のインスタンスは、デジタルパルス信号208の状態S2の第1のインスタンスに連続する。デジタルパルス信号208の状態S1の第2のインスタンスは、デジタルパルス信号208の状態S0の第1のインスタンスに連続する。また、デジタルパルス信号208の状態S2の第2のインスタンスは、デジタルパルス信号208の状態S1の第2のインスタンスに連続し、デジタルパルス信号208の状態S0の第2のインスタンスは、デジタルパルス信号208の状態S2の第2のインスタンスに連続する。
【0097】
図2Cは、RF発生器RFGx(
図1)によって生成されるRF信号212の一実施形態と、RF発生器RFGy(
図1)によって生成されるRF信号214の一実施形態とを説明するためのグラフ210の一実施形態を示す図である。RF信号212は、RF信号102x(
図1)の一例であり、RF信号214は、RF信号102y(
図1)の一例である。
【0098】
RF信号212および214は、デジタルパルス信号208に同期している。例えば、RF信号212および214の各々は、デジタルパルス信号208が状態S1から状態S2に遷移する時間t0aにおいて、状態S1から状態S2への遷移を開始する。別の例として、RF信号212および214の各々は、デジタルパルス信号208が状態S2から状態S0に遷移する時間t0bにおいて、状態S2から状態S0への遷移を開始する。さらに別の例として、RF信号212および214の各々は、デジタルパルス信号208が状態S0から状態S1に遷移する時間t2において、状態S0から状態S1への遷移を開始する。
【0099】
グラフ210は、RF信号212および214の電力レベルをプロットしている。例えば、グラフ210のy軸は、電力レベルP0、P1、P2、P3、P4を含む。電力レベルP1は、電力レベルP0よりも大きい。また、電力レベルP2は、電力レベルP1よりも大きく、電力レベルP3は、電力レベルP2よりも大きい。電力レベルP4は、電力レベルP3よりも大きい。
【0100】
本明細書で用いられる電力レベルは、RF信号の包絡線(ピーク間振幅など)である。例えば、電力レベルP4、P2、P0は、RF信号102xの包絡線であり、電力レベルP1、P3、P0は、RF信号102yの包絡線である。別の例として、電力レベルは、電力レベルから所定の範囲内(電力レベルの値より大きいまたは小さいなど)にある1つ以上のピーク間電力値を含む。さらに別の例として、電力レベルは、電力レベルのすべてのピーク間電力値の統計値(平均値または中央値など)である。別の例として、電力レベルは、電力レベルのすべてのピーク間電力値の最高値である。さらに別の例として、電力レベルは、電力レベルのすべてのピーク間電力値の最低値である。
【0101】
また、第1の電力レベルは、第2の電力レベルと異なる。例えば、電力レベルP0の1つ以上の電力値は、電力レベルP1の1つ以上の電力値を含まない。また、電力レベルP2の1つ以上の電力値は、電力レベルP0およびP1の各々の1つ以上の電力値を含まない。
【0102】
また、グラフ210は、x軸に時間tをプロットしている。例えば、グラフ210のx軸は、時間t0、t0a、t0b、t1、t2、t2a、t2b、t3、t4を含む。
【0103】
RF信号212は、以下に説明する態様で、RF信号212の状態S1、S2、S0の間で周期的に遷移する。同様に、RF信号214は、以下に説明する態様で、RF信号214の状態S1、S2、S0の間で周期的に遷移する。
【0104】
RF信号212の状態S1は、電力レベルP4によって定義される。例えば、デジタルパルス信号208またはRF信号212が状態S1のとき、RF信号212は電力レベルP4である。
【0105】
RF信号212は、時間t0aからの時間ウィンドウ内で、状態S1から状態S2に遷移する。RF信号212の状態S2は、電力レベルP2によって定義される。例えば、デジタルパルス信号208またはRF信号212が状態S2のとき、RF信号212は電力レベルP2である。
【0106】
なお、本明細書で説明するRF信号は、ある状態からそれに連続する状態へと瞬間的には遷移しない。例えば、RF信号212の状態S1から状態S2への遷移は、瞬間的には生じない。例示すると、RF信号212の状態S1から状態S2への遷移は、時間ウィンドウ内で生じる。別の例として、本明細書で用いられる、ある時間からの遷移の時間ウィンドウは、その時間の後の状態中に生じる期間である。例示すると、時間t0aからの時間ウィンドウは、時間t0aの後にデジタルパルス信号208が状態S2の間に生じる期間である。時間t0aの後の期間は、時間t0aから時間t0aとt0bとの間の時間まで、デジタルパルス信号208が状態S2の間に生じる期間である。
【0107】
RF信号212は、時間t0bからの時間ウィンドウ内で、状態S2から状態S0に遷移する。RF信号212の状態S0は、電力レベルP0によって定義される。例えば、デジタルパルス信号208またはRF信号212が状態S0のとき、RF信号212は電力レベルP0である。
【0108】
RF信号212は、時間t2からの時間ウィンドウ内で、状態S0から状態S1に遷移する。RF信号212は、時間t2aからの時間ウィンドウ内で、状態S1から状態S2に遷移し、時間t2bからの時間ウィンドウ内で、状態S2から状態S0に遷移する。
【0109】
同様に、デジタルパルス信号208が状態S1のとき、RF信号214は電力レベルP1である。RF信号214の状態S1は、電力レベルP1によって定義される。例えば、デジタルパルス信号208またはRF信号214が状態S1のとき、RF信号214は電力レベルP1である。
【0110】
RF信号214は、時間t0aからの時間ウィンドウ内で、状態S1から状態S2に遷移する。RF信号214の状態S2は、電力レベルP3によって定義される。例えば、デジタルパルス信号208またはRF信号214が状態S2のとき、RF信号214は電力レベルP3である。
【0111】
RF信号214は、時間t0bからの時間ウィンドウ内で、状態S2から状態S0に遷移する。RF信号214の状態S0は、電力レベルP0によって定義される。例えば、デジタルパルス信号208またはRF信号214が状態S0のとき、RF信号214は電力レベルP0を有する。
【0112】
RF信号214は、時間t2からの時間ウィンドウ内で、状態S0から状態S1に遷移する。RF信号214は、時間t2aからの時間ウィンドウ内で、状態S1から状態S2に遷移し、時間t2bからの時間ウィンドウ内で、状態S2から状態S0に遷移する。
【0113】
時間t0とt0aとの間のRF信号212の状態S1は、RF信号212の状態S1の第1のインスタンスであり、時間t2とt2aとの間のRF信号212の状態S1は、RF信号212の状態S1の第2のインスタンスである。同様に、時間t0aとt0bとの間のRF信号212の状態S2は、RF信号212の状態S2の第1のインスタンスであり、時間t2aとt2bとの間のRF信号212の状態S2は、RF信号212の状態S2の第2のインスタンスである。また、時間t0bとt2との間のRF信号212の状態S0は、RF信号212の状態S0の第1のインスタンスであり、時間t2bとt4との間のRF信号212の状態S0は、RF信号212の状態S0の第2のインスタンスである。
【0114】
同様に、時間t0とt0aとの間のRF信号214の状態S1は、RF信号214の状態S1の第1のインスタンスであり、時間t2とt2aとの間のRF信号214の状態S1は、RF信号214の状態S1の第2のインスタンスである。同様に、時間t0aとt0bとの間のRF信号214の状態S2は、RF信号214の状態S2の第1のインスタンスであり、時間t2aとt2bとの間のRF信号214の状態S2は、RF信号214の状態S2の第2のインスタンスである。また、時間t0bとt2との間のRF信号214の状態S0は、RF信号214の状態S0の第1のインスタンスであり、時間t2bとt4との間のRF信号214の状態S0は、RF信号214の状態S0の第2のインスタンスである。
【0115】
図2Dは、RF発生器RFGx(
図1)によって生成されるRF信号216の一実施形態と、RF発生器RFGy(
図1)によって生成されるRF信号218の一実施形態とを説明するためのグラフ215の一実施形態を示すである。RF信号216は、RF信号102x(
図1)の一例であり、RF信号218は、RF信号102y(
図1)の一例である。
【0116】
グラフ215は、RF信号216および218の電力レベルをプロットしている。また、グラフ215は、x軸に時間tをプロットしている。例えば、グラフ215のx軸は、時間t0、
t1、t2、t3、t4を含む。なお、RF信号216および218の状態S1~S3のデューティサイクルは、
図2Cに例示した状態S1~S3のデューティサイクルとは異なる。例えば、RF信号216および218の状態S1のデューティサイクルは25%であり、RF信号216および218の状態S2のデューティサイクルは40%であり、RF信号216および218の状態S3のデューティサイクルは35%である。
【0117】
図3Aは、RF信号212の一部を拡大したものを説明するためのグラフ302の一実施形態を示す図である。グラフ302は、RF信号212の電力レベルを時間tに対してプロットしている。RF信号212は、時間t0aからの時間ウィンドウ内で、電力レベルP4から電力レベルP2に遷移する。例えば、RF信号212は、時間t0aからt0a1までの期間に、電力レベルP4から電力レベルP2に遷移する。時間t0a1は、RF信号212またはデジタルパルス信号208(
図2B)が状態S2のときに生じ、かつ時間t0aとt0bとの間で生じる。同様に、RF信号212は、時間t0bからの時間ウィンドウ内で電力レベルP2から電力レベルP0に遷移する。
【0118】
図3Bは、RF信号214の一部を拡大したものを説明するためのグラフ304の一実施形態を示す図である。グラフ304は、RF信号214の電力レベルを時間tに対してプロットしている。RF信号214は、時間t0aからの時間ウィンドウ内で、電力レベルP1から電力レベルP3に遷移する。例えば、RF信号214は、時間t0aからt0a2までの期間に、電力レベルP1から電力レベルP3に遷移する。時間t0a2は、RF信号214またはデジタルパルス信号208(
図2B)が状態S2のときに生じ、かつ時間t0aとt0bとの間で生じる。同様に、RF信号214は、時間t0bからの時間ウィンドウ内で、電力レベルP3から電力レベルP0に遷移する。
【0119】
図4Aは、クロック信号204のグラフ202の一実施形態を示す図である。
【0120】
図4Bは、デジタルパルス信号404の一実施形態を説明するためのグラフ402の一実施形態を示す図である。デジタルパルス信号404は、
図1のデジタルパルス信号108の一例である。グラフ402は、y軸にデジタルパルス信号404の論理レベルを、x軸に時間tをプロットしている。グラフ402のy軸は、論理レベル0、1、2を含む。グラフ402のx軸は、時間t0、時間t0a、時間t1、時間t1a、時間t2、時間t2a、時間t3、時間t3a、時間t4を含む。時間t1aは時間t1とt2との間で生じ、時間t3aは時間t3とt4との間で生じる。
【0121】
デジタルパルス信号404は、状態S1、S0、S2の間で周期的に遷移する。例えば、デジタルパルス信号404は、時間t0から時間t0aまで、論理レベル0によって定義される状態S1を有する。例示すると、状態S1のとき、デジタルパルス信号208は論理レベル0である。デジタルパルス信号404は、時間t0aにおいて、論理レベル0から論理レベル2に遷移する。デジタルパルス信号404の状態S0は、論理レベル2によって定義される。例示すると、状態S0のとき、デジタルパルス信号404は論理レベル2である。
【0122】
デジタルパルス信号404は、時間t0aから時間t1aまで状態S0である。時間t1aにおいて、デジタルパルス信号404は、状態S0から、論理レベル1によって定義される状態S2に遷移する。例示すると、状態S2のとき、デジタルパルス信号404は論理レベル1である。
【0123】
時間t2において、デジタルパルス信号404は、状態S2から状態S1に戻るように遷移する。デジタルパルス信号404は、時間t2から時間t2aまで状態S1である。デジタルパルス信号404は、時間t2aにおいて、状態S1から状態S0に遷移する。デジタルパルス信号404は、時間t2aから時間t3aまで状態S0である。時間t3aにおいて、デジタルパルス信号404は、状態S0から状態S2に遷移する。デジタルパルス信号404は、時間t3aから時間t4まで状態S2である。時間t4において、デジタルパルス信号404は、状態S2から状態S1に戻るように遷移する。
【0124】
なお、デジタルパルス信号404の状態S1、S0、S2はそれぞれ、複数のインスタンスで生じる。例えば、デジタルパルス信号404の状態S1の第1のインスタンスは、時間t0とt0aとの間で生じ、デジタルパルス信号404の状態S1の第2のインスタンスは、時間t2とt2aとの間で生じる。別の例として、デジタルパルス信号404の状態S0の第1のインスタンスは、時間t0aとt1aとの間で生じ、デジタルパルス信号404の状態S0の第2のインスタンスは、時間t2aとt3aとの間で生じる。さらに別の例として、デジタルパルス信号404の状態S2の第1のインスタンスは、時間t1aとt2との間で生じ、デジタルパルス信号404の状態S2の第2のインスタンスは、時間t3aとt4との間で生じる。別の例として、状態S0の第1のインスタンスは、デジタルパルス信号404の状態S1の第1のインスタンスに連続し、デジタルパルス信号404の状態S2の第1のインスタンスは、状態S0の第1のインスタンスに連続する。デジタルパルス信号404の状態S1の第2のインスタンスは、デジタルパルス信号404の状態S2の第1のインスタンスに連続する。また、デジタルパルス信号404の状態S0の第2のインスタンスは、デジタルパルス信号404の状態S1の第2のインスタンスに連続し、デジタルパルス信号404の状態S2の第2のインスタンスは、デジタルパルス信号404の状態S0の第2のインスタンスに連続する。
【0125】
図4Cは、RF発生器RFGx(
図1)によって生成されるRF信号408の一実施形態と、RF発生器RFGy(
図1)によって生成されるRF信号410の一実施形態とを説明するためのグラフ406の一実施形態を示す図である。RF信号408は、RF信号102x(
図1)の一例であり、RF信号410は、RF信号102y(
図1)の一例である。
【0126】
RF信号408および410は、デジタルパルス信号404に同期している。例えば、RF信号408および410の各々は、デジタルパルス信号404が状態S1から状態S0に遷移する時間において、状態S1から状態S0への遷移を開始する。別の例として、RF信号408および410の各々は、デジタルパルス信号404が状態S0から状態S2に遷移する時間において、状態S0から状態S2への遷移を開始する。さらに別の例として、RF信号408および410の各々は、デジタルパルス信号404が状態S2から状態S1に遷移する時間において、状態S2から状態S1への遷移を開始する。
【0127】
グラフ406は、RF信号408および410の電力レベルをプロットしている。例えば、グラフ406のy軸は、電力レベルP0、P1、P2、P3、P4を含む。また、グラフ406は、x軸に時間tをプロットしている。例えば、グラフ406のx軸は、時間t0、t0a、t1、t1a、t2、t2a、t3、t3a、t4を含む。
【0128】
RF信号408は、以下に説明する態様で、RF信号408の状態S1、S0、S2の間で周期的に遷移する。同様に、RF信号410は、以下に説明する態様で、RF信号410の状態S1、S0、S2の間で周期的に遷移する。
【0129】
RF信号408の状態S1は、電力レベルP4によって定義される。例えば、デジタルパルス信号404またはRF信号408が状態S1のとき、RF信号408は電力レベルP4である。
【0130】
RF信号408は、時間t0aからの時間ウィンドウ内で、状態S1から状態S0に遷移する。RF信号408の状態S0は、電力レベルP0によって定義される。例えば、デジタルパルス信号404またはRF信号408が状態S0のとき、RF信号408は電力レベルP0である。
【0131】
RF信号408は、時間t1aからの時間ウィンドウ内で、状態S0から状態S2に遷移する。RF信号408の状態S2は、電力レベルP2によって定義される。例えば、デジタルパルス信号404またはRF信号408が状態S2のとき、RF信号408は電力レベルP2である。
【0132】
RF信号408は、時間t2からの時間ウィンドウ内で、状態S2から状態S1に遷移する。RF信号408は、時間t2aからの時間ウィンドウ内で、状態S1から状態S0に遷移し、時間t3aからの時間ウィンドウ内で、状態S0から状態S2に遷移する。
【0133】
同様に、デジタルパルス信号404が状態S1のとき、RF信号410は電力レベルP1である。RF信号410の状態S1は、電力レベルP1によって定義される。例えば、デジタルパルス信号404またはRF信号410が状態S1のとき、RF信号410は電力レベルP1である。
【0134】
RF信号410は、時間t0aからの時間ウィンドウ内で、状態S1から状態S0に遷移する。RF信号410の状態S0は、電力レベルP0によって定義される。例えば、デジタルパルス信号404またはRF信号410が状態S0のとき、RF信号410は電力レベルP0である。
【0135】
RF信号410は、時間t1aからの時間ウィンドウ内で、状態S0から状態S2に遷移する。RF信号410の状態S2は、電力レベルP3によって定義される。例えば、デジタルパルス信号404またはRF信号410が状態S2のとき、RF信号410は電力レベルP3である。
【0136】
RF信号410は、時間t2からの時間ウィンドウ内で、状態S2から状態S1に遷移する。RF信号410は、時間t2aからの時間ウィンドウ内で、状態S1から状態S0に遷移し、時間t3aからの時間ウィンドウ内で、状態S0から状態S2に遷移する。
【0137】
時間t0とt0aとの間のRF信号408の状態S1は、RF信号408の状態S1の第1のインスタンスであり、時間t2とt2aとの間のRF信号408の状態S1は、RF信号408の状態S1の第2のインスタンスである。同様に、時間t0aとt1aとの間のRF信号408の状態S0は、RF信号408の状態S0の第1のインスタンスであり、時間t2aとt3aとの間のRF信号408の状態S0は、RF信号408の状態S0の第2のインスタンスである。また、時間t1aとt2との間のRF信号408の状態S2は、RF信号408の状態S2の第1のインスタンスであり、時間t3aとt4との間のRF信号408の状態S2は、RF信号408の状態S2の第2のインスタンスである。
【0138】
同様に、時間t0とt0aとの間のRF信号410の状態S1は、RF信号410の状態S1の第1のインスタンスであり、時間t2とt2aとの間のRF信号410の状態S1は、RF信号410の状態S1の第2のインスタンスである。同様に、時間t0aとt1aとの間のRF信号410の状態S0は、RF信号410の状態S0の第1のインスタンスであり、時間t2aとt3aとの間のRF信号410の状態S0は、RF信号410の状態S0の第2のインスタンスである。また、時間t1aとt2との間のRF信号410の状態S2は、RF信号410の状態S2の第1のインスタンスであり、時間t3aとt4との間のRF信号410の状態S2は、RF信号410の状態S2の第2のインスタンスである。
【0139】
図4Dは、RF発生器RFGx(
図1)によって生成されるRF信号412の一実施形態と、RF発生器RFGy(
図1)によって生成されるRF信号414の一実施形態とを説明するためのグラフ411の一実施形態を示す図である。RF信号414は、RF信号102x(
図1)の一例であり、RF信号416は、RF信号102y(
図1)の一例である。
【0140】
グラフ411は、RF信号414および416の電力レベルをプロットしている。また、グラフ411は、x軸に時間tをプロットしている。例えば、グラフ411のx軸は、時間t0、t2、t2、t3、t4を含む。なお、RF信号414および416の状態S1~S3のデューティサイクルは、
図4Cに例示した状態S1~S3のデューティサイクルとは異なる。例えば、RF信号414および416の状態S1のデューティサイクルは25%であり、RF信号414および416の状態S2のデューティサイクルは40%であり、RF信号414および416の状態S3のデューティサイクルは35%である。
【0141】
図5Aは、RF信号408の一部を拡大したものを説明するためのグラフ502の一実施形態を示す図である。グラフ502は、RF信号408の電力レベルを時間tに対してプロットしている。RF信号408は、時間t0aからの時間ウィンドウ内で、電力レベルP4から電力レベルP0に遷移する。例えば、RF信号408は、時間t0aから時間t0a1までの期間に、電力レベルP4から電力レベルP0に遷移する。時間t0a1は、RF信号408およびデジタルパルス信号404(
図4B)が状態S0のときに生じ、かつ時間t0aとt1aとの間で生じる。同様に、RF信号408は、時間t1aからの時間ウィンドウ内で、電力レベルP0から電力レベルP2に遷移する。
【0142】
図5Bは、RF信号410の一部を拡大したものを説明するためのグラフ504の一実施形態を示す図である。グラフ504は、RF信号410の電力レベルを時間tに対してプロットしている。RF信号410は、時間t0aからの時間ウィンドウ内で、電力レベルP1から電力レベルP0に遷移する。例えば、RF信号410は、時間t0aから時間t0a2までの期間に、電力レベルP1から電力レベルP0に遷移する。時間t0a2は、RF信号410およびデジタルパルス信号404(
図4B)が状態S0のときに生じ、かつ時間t0aとt1aとの間で生じる。同様に、RF信号214は、時間t1aからの時間ウィンドウ内で、電力レベルP0から電力レベルP3に遷移する。
【0143】
図6は、状態S1、S2、S0に関連するデューティサイクル、および状態S1、S2、S0における電力レベルを説明するための表600の一実施形態を示す図である。一例として、RF信号102x(
図1)またはデジタルパルス信号108(
図1)の状態S1のデューティサイクルは、クロック信号204(
図2A)のサイクルの3%~25%の範囲(境界を含む)である。例示すると、RF信号102xまたはデジタルパルス信号108の状態S1のデューティサイクルは、クロック信号204のサイクルの3%~5%の範囲(境界を含む)である。別の例として、RF信号102y(
図1)またはデジタルパルス信号108の状態S1のデューティサイクルは、クロック信号204(
図2A)のサイクルの3%~25%の範囲(境界を含む)である。例示すると、RF信号102yまたはデジタルパルス信号108の状態S1のデューティサイクルは、クロック信号204のサイクルの3%~5%の範囲(境界を含む)である。
【0144】
さらに別の例として、RF信号102xまたはデジタルパルス信号108の状態S2のデューティサイクルは、クロック信号204のサイクルの3%~50%の範囲(境界を含む)である。例示すると、RF信号102xまたはデジタルパルス信号108の状態S2のデューティサイクルは、クロック信号204のサイクルの3%~5%の範囲(境界を含む)である。別の例として、RF信号102yまたはデジタルパルス信号108の状態S2のデューティサイクルは、クロック信号204のサイクルの3%~50%の範囲(境界を含む)である。例示すると、RF信号102yまたはデジタルパルス信号108の状態S2のデューティサイクルは、クロック信号204のサイクルの3%~5%の範囲(境界を含む)である。
【0145】
さらに別の例として、RF信号102xまたはデジタルパルス信号108の状態S0のデューティサイクルは、クロック信号204のサイクルの25%~94%の範囲(境界を含む)である。別の例として、RF信号102yまたはデジタルパルス信号108の状態S2のデューティサイクルは、クロック信号204のサイクルの25%~94%の範囲(境界を含む)である。
【0146】
別の例として、状態S1において、RF信号102xの電力レベルとRF信号102yの電力レベルとの比は、6~10の範囲(境界を含む)である。例示すると、RF信号102xの電力レベルは10キロワット(kW)であり、RF信号102yの電力レベルは1kWである。なお、RF信号102xおよび102yの状態S1のデューティサイクル、および状態S1におけるRF信号102xと102yとの電力レベル比は、マスク選択比を高めるものであるが、これについてはさらに後述する。さらに別の例として、状態S2において、RF信号102xの電力レベルとRF信号102yの電力レベルとの比は、0.2~1の範囲(境界を含む)である。別の例として、状態S2において、RF信号102xの電力レベルとRF信号102yの電力レベルとの比は、0.2~1未満の範囲(境界を含む)である。1未満の比の例としては、0.4、0.45、0.5、0.8、または0.9である。例示すると、状態S2において、RF信号102xの電力レベルは2kWであり、RF信号102yの電力レベルは5kWである。別の例として、状態S2において、RF信号102xの電力レベルは、RF信号102yの電力レベルの20%~100%である。さらに別の例として、状態S2のとき、RF信号102xの電力レベルは、RF信号102yの電力レベルの20%~100%未満である。別の例として、状態S2のとき、RF信号102xの電力レベルは約ゼロではなく、RF信号102yの電力レベルは約ゼロではない。さらに例示すると、状態S2におけるRF信号102xの電力レベルは0~300ワットの範囲になく、状態S2におけるRF信号102yの電力レベルは0~300ワットの範囲にない。なお、RF信号102xおよび102yの状態S2のデューティサイクル、および状態S2におけるRF信号102xと102yとの電力レベル比は、反りのパッシベーションを高めるものであるが、これについてはさらに後述する。別の例として、状態S0において、RF信号102xの電力レベルは0~300ワットの範囲(境界を含む)であり、RF信号102yの電力レベルは0~300ワットの範囲(境界を含む)である。
【0147】
なお、RF信号102xおよび102yが状態S0のときの、RF信号102xおよび102yの電力レベルはほぼ等しい。例えば、RF信号102xおよび102yが状態S0のときの、RF信号102xおよび102yの電力レベルは、互いから予め定められた範囲内にある。例示すると、RF信号102xが状態S0のときのRF信号102xの電力レベルは、0~300ワットの範囲であり、RF信号102yが状態S0のときのRF信号102yの電力レベルは、0~300ワットの範囲である。別の例として、RF信号102xおよび102yが状態S0のときの、RF信号102xおよび102yの電力レベルはゼロである。
【0148】
さらに、RF信号102xの状態S1~
S0のデューティサイクルの合計または総和は、クロック信号204のクロックサイクルの100パーセントに等しい。例えば、RF信号102xおよび102yの各々の状態S1、S2、S0の第1のインスタンスは、クロック信号204のサイクル1(
図2A)を占め、RF信号102xおよび102yの各々の状態S1、S2、S0の第2のインスタンスは、クロック信号204のサイクル2(
図2A)を占める。
【0149】
一実施形態において、RF信号のある状態のデューティサイクルとは、そのRF信号が一意の電力レベルを有する期間である。例えば、RF信号212の状態S1のデューティサイクルとは、RF信号212が電力レベルP4を有する時間t0からt0aまでの期間である。別の例として、RF信号212の状態S2のデューティサイクルとは、RF信号212が電力レベルP2を有する時間t0aからt0bまでの期間である。さらに別の例として、RF信号212の状態S0のデューティサイクルとは、RF信号212が電力レベルP0を有する時間t0bからt2までの期間である。別の例として、RF信号214の状態S1のデューティサイクルとは、RF信号214が電力レベルP1を有する時間t0からt0aまでの期間である。さらに別の例として、RF信号214の状態S2のデューティサイクルとは、RF信号214が電力レベルP3を有する時間t0aからt0bまでの期間である。さらに別の例として、RF信号214の状態S0のデューティサイクルとは、RF信号214が電力レベルP0を有する時間t0bからt2までの期間である。
【0150】
図7Aは、基板スタック700の一実施形態の斜視図である。基板スタック700は、プラズマチャンバ106(
図1)内で処理される前の基板Sの一例である。基板スタック700は、シリコンで形成された基板層714を含む。基板スタック700はさらに、基板層714の上に積層されたストップ層712を含む。ストップ層712の一例は、酸化物や窒化物などの誘電体から製造されるエッチストップ層である。ストップ層712の上に、酸化物層710が堆積される。また、酸化物層710の上に、シリコン窒化物(SiN)層708が積層され、シリコン窒化物層708の上に、酸化物層706が堆積され、酸化物層706の上に、別のシリコン窒化物層704が堆積され、シリコン窒化物層704の上に、マスク層702が堆積される。マスク層702は、不透明な板またはフィルムであるフォトリソグラフィマスクである。
【0151】
一実施形態において、酸化物層706の代わりに、窒化物層が用いられる。同様に、一実施形態において、酸化物層710の代わりに、窒化物層が用いられる。
【0152】
図7Bは、マスク層702(
図7A)のフィーチャ702Bの上に堆積されたパッシベーション層722とシリコン窒化物層704(
図7A)のフィーチャ704Bの上に堆積されたパッシベーション層724とのバランスを説明するための基板スタック720の一実施形態を示す図である。基板スタック720は、マスク層702のフィーチャ702Aと、フィーチャ702Bと、シリコン窒化物層704のフィーチャ704Aと、フィーチャ704Bと、酸化物層706(
図7A)のフィーチャ706Aおよび706Bと、シリコン窒化物層708と、酸化物層710とを含む。基板スタック720の残りの層712および714(
図7A)は、
図7Bでは図示を省略している。
【0153】
基板スタック720は、
図7Aの基板スタック700をプラズマチャンバ106(
図1)内でエッチングすることによって製造される。基板スタック720は、基板スタック700を一部エッチングした後の基板S(
図1)の一例である。RF信号102xおよび102y(
図1)に基づいて生成される統合修正RF信号124(
図1)をプラズマチャンバ106に供給することにより、パッシベーション層722とパッシベーション層724とのバランスを達成するように基板スタック700がエッチングされる。例えば、パッシベーション層722とパッシベーション層724とのバランスは、それぞれマスク層702およびシリコン窒化物層704のフィーチャを覆うように略等しい態様でパッシベーション層722および724を堆積することにより達成される。例示すると、パッシベーション層722の幅は、パッシベーション層724の幅と略等しい。
【0154】
パッシベーション層724による略等しいパッシベーションにより、反りが制御される。例えば、パッシベーション層724による略等しいパッシベーションにより、シリコン窒化物層704のフィーチャの側壁に反りが形成されることがない。一例として、パッシベーション層とは、修正RF信号124が基板Sに印加された場合に、別の層の上または周囲に堆積される層である。例示すると、パッシベーション層722および724は、基板スタック720の一部である材料(シリコン窒化物および酸化物など)の組み合わせと、1つ以上のプロセスガスの材料の組み合わせとを含む。
【0155】
2状態パルス化の場合、RF信号は、クロック信号の1クロックサイクル中に第1の状態と第2の状態との間で周期的に切り替わる。2状態パルス化の第1の状態では、マスク選択比が高く、フィーチャ702Bのパッシベーションレベルが高いが、フィーチャ704Bのパッシベーションは無視できる程度または最小となる。また、第1の状態では、フィーチャ702Bのパッシベーションレベルが高い一方で、フィーチャ704Bのパッシベーションが無視できる程度または最小であることにより、フィーチャ704Bに反りが生じる。この反りは望ましくない。さらに、2状態パルス化の第2の状態では、第1の状態と比較してマスク選択比が低く、フィーチャ704Bのパッシベーションレベルが高い一方で、フィーチャ702Bのパッシベーションは最小または無視できる程度となる。このように、2状態パルス化においては、フィーチャ702Bのパッシベーションとフィーチャ704Bのパッシベーションとの間のバランスがとれず、反りが生じる。このバランスの欠如は、第1の状態においてはフィーチャ704Bに比べてフィーチャ702Bのパッシベーション量が比較的多く、第2の状態ではフィーチャ
702Bに比べてフィーチャ704Bのパッシベーション量が比較的多いために発生する。
図2A~2Cまたは
図4A~4Cを参照して説明した態様でRF信号102xおよび102yをパルス化することにより、フィーチャ702Bと704Bのパッシベーションのバランスが達成され、反りが低減されるかまたは生じなくなる。
【0156】
さらに、
図2A~2Cまたは
図4A~4Cを参照して説明したRF信号102xおよび102yのパルス化は、2状態パルス化と比較してマスク選択比を増加させる。マスク選択比とは例えば、マスク層702のエッチングのエッチング速度に対する、基板スタック700(
図7A)の層704~710のいずれかのエッチングのエッチング速度の比である。マスク選択比が高いほど、基板スタック700(
図7A)のエッチングが速くなり、マスク選択比が低いほど、基板スタック700のエッチングが遅くなる。
【0157】
図2A~2Cまたは
図4A~4Cを参照して説明したRF信号102xおよび102yのパルス化により、マスク選択比と反り制御とのバランスを達成することが容易になる。反り制御は、シリコン窒化物層704のフィーチャの側壁(側壁734など)のパッシベーションによって達成される。例えば、
図2A~2Cまたは
図4A~4Cを参照して説明した態様でRF信号102xおよび102yをパルスすることで得られるマスク層702のパッシベーション量が、2状態パルス化で得られるパッシベーション量と比較して少ないことにより、マスク選択比が増加する。さらに、シリコン窒化物層704をエッチングすることによって形成されるフィーチャの側壁のパッシベーション量を、2状態パルスの印加による側壁のパッシベーション量と比較して増加させることは、統合修正RF信号124(
図1)を用いることで達成される。シリコン窒化物層704をエッチングすることによって形成されるフィーチャの側壁のパッシベーション量が増加することにより、シリコン窒化物層704をエッチングすることによって形成されるフィーチャの側壁内の反りが低減または無くなり、反りが低減または無くなることで、マスク選択比が増加する。
【0158】
RF信号102xおよび102yをパルス化することにより、反り制御とマスク選択比を同時に実現することが容易になる。RF信号102xおよび102yのパルス化を管理することによって、2状態パルス化に伴ういかなるトレードオフまたは妥協も最小化しつつ、反り制御とマスク選択比の両方を実現する最適なバランスを達成できる。
【0159】
図7Cは、基板スタック720(
図7B)の部分730の拡大図である。部分730は、マスク層702(
図7A)のフィーチャ702Bと、シリコン窒化物層704(
図7A)のフィーチャ704Bと、酸化物層706(
図7A)のフィーチャ706Bとを含む。また、
図7Cには、反り732が破線で示されている。反り732は、フィーチャ704Bの側壁734に形成される。フィーチャ704Bの側壁734は、フィーチャ704Aの側壁726(
図7B)に面しており、基板スタック700(
図7A)がエッチングされる際に側壁726と734との間に隙間が形成される。なお、反り732は、2状態パルスを基板Sに印加した場合に形成される。しかしながら、
図2A~2Cまたは
図4A~4Cを参照して説明したRF信号102xおよび102yのパルスを、統合修正RF信号124(
図1)を介して基板Sに印加した場合、反り732は低減するかまたは形成されなくなる。
図2A~2Cまたは
図4A~4Cを参照して説明したRF信号102x及び102yのパルス化によりフィーチャ702Bおよび704Bのパッシベーションのバランスを達成した場合、反り732は低減するかまたは形成されなくなる。
【0160】
予め定められた限界寸法を達成または維持するように反り732が低減するかまたは形成されなくなる場合に、反り制御が達成される。例えば、シリコン窒化物層704のフィーチャ704Bにおける側壁734と、フィーチャ704Aにおける、側壁734と同様の側壁との間の予め定められた幅である予め定められた限界寸法(CD)は、効果的な反り制御により達成される。予め定められた幅は、反り732と、フィーチャ704Aの側壁内に形成された、この反りと同様の反りとの間の幅(水平距離など)よりも小さい。
【0161】
図7Dは、
図2A~2Cまたは
図4A~4Cを参照して説明した方法を適用して基板スタック700(
図7A)を処理した後の基板スタック740の一実施形態を示す図である。基板スタック740は、
図2A~2Cまたは
図4A~4Cを参照して説明したRF信号102xおよび102yのパルスを基板スタック700に印加した後の基板スタックSの一例である。
【0162】
基板スタック740は、マスク層702(
図7A)のフィーチャと、シリコン窒化物層704(
図7A)のフィーチャと、酸化物層706(
図7A)のフィーチャと、シリコン窒化物層708(
図7A)のフィーチャと、酸化物層710(
図7A)のフィーチャと、ストップ層712(
図7A)のフィーチャとを含む。パッシベーション層722(
図7C)およびパッシベーション層724(
図7C)などの複数のパッシベーション部分を含むパッシベーション層742は、フィーチャ702B、704B、706B、シリコン窒化物層708のフィーチャ708B、酸化物層710のフィーチャ710B、およびストップ層712のフィーチャ712Bの上に堆積される。パッシベーション層742は、
図2A~2Cまたは
図4A~4Cを参照して説明したRF信号102xおよび102yに基づいて生成される統合修正RF信号124を基板スタック700に印加した場合に堆積される。
【0163】
図8は、一実施形態の概略フローチャートである。スタックが準備される(ステップ804)。
図9Aは、一実施形態に従って処理されたスタック904の概略断面図である。スタック904は、基板908を含む。エッチストップ層などの1つ以上の中間層912が、基板908の上方に設けられてもよい。第1のシリコン酸化物(SiO
2)層916が、1つ以上の中間層912の上方に設けられる。第1のシリコン窒化物(SiN)層920が、第1のSiO
2層916の上方に設けられる。第2のSiO
2層924が、第1のSiN層920の上方に設けられる。第2のSiN層928が、第2のSiO
2層924の上方に設けられる。パターニングされたマスク932が、第2のSiN層928の上方に設けられる。種々の実施形態において、パターニングされたマスク932と第2のSiN層928との間に1つ以上の層が設けられてもよい。種々の実施形態において、交互に積層されたSiN層およびSiO
2層をさらに有してもよい。他の実施形態において、他の材料の層を有してもよい。種々の実施形態において、スタック904は、シリコン含有層を有する。この実施形態において、パターニングされたマスク932は、ポリシリコンなどのハードマスクである。
【0164】
スタック904は、プラズマチャンバ106内に配置されてもよい。プラズマチャンバ106には、エッチングガスが流される(ステップ808)。この実施形態において、エッチングガスは、金属フッ化物またはタングステン含有パッシベーション剤と、エッチング成分とを含む。この実施形態において、金属フッ化物またはタングステン含有パッシベーション剤は、六フッ化タングステン(WF6)である。この実施形態において、エッチング成分は、酸素(O2)と、フルオロカーボン(ヘキサフルオロブタジエン(C4F6)および/またはオクタフルオロシクロブタン(C4F8)など)とを含む。
【0165】
多状態パルス化方式を実行してエッチングガスをプラズマ化し、これにより、スタック904をエッチングする(ステップ812)。この実施形態において、多状態パルス化方式は、第1の周波数範囲で一次RF信号を生成し、第2の周波数範囲で二次RF信号を生成することを含む。ここで、第1の周波数範囲は、第2の周波数範囲よりも小さい。一次RF信号および二次RF信号は、第1の状態、第2の状態、および第3の状態を含む少なくとも3つの状態間でパルス化される。一例として、一次RF信号の周波数は400kHzであり、二次RF信号の周波数は60MHzである。第1の状態は、3%~20%のデューティサイクルを有し、一次RF信号の電力レベルは17kW~30kW、二次RF信号の電力レベルは5kW超である。より具体的な例としては、第1の状態は、3%~5%のデューティサイクルを有し、一次RF信号の電力レベルは29kWである。第2の状態は、3%~40%のデューティサイクルを有し、一次RF信号の電力レベルは8kW超、二次RF信号の電力レベルは3kW超である。より具体的な例としては、第2の状態は、3%から5%のデューティサイクルを有し、一次RF信号の電力レベルは13kW、二次RF信号の電力レベルは5kWである。第3の状態は、40%~94%のデューティサイクルを有し、一次RF信号の電力レベルは2kW未満、二次RF信号の電力レベルは1kWである。具体例としては、第3の状態は、90%~94%のデューティサイクルを有し、一次RF信号の電力レベルは0kW、二次RF信号の電力レベルは0kWである。一実施形態において、第1の状態における一次RF信号の電力レベルの、第1の状態における二次RF信号の電力レベルに対する比は1より大きく、第2の状態における一次RF信号の電力レベルの、第2の状態における二次RF信号の電力レベルに対する比は1より小さい。
【0166】
図9Bは、エッチング完了後のスタック904の概略断面図である。エッチングガスを流し(ステップ808)、多状態パルス化方式を実行する上述したエッチングプロセスによって、スタック904にフィーチャ940がエッチングされている。この実施形態において、フィーチャ940はコンタクトホールである。この実施形態において、単一のエッチングレシピにより、第1および第2のシリコン酸化物層916、924と、第1および第2のシリコン窒化物層920、928とを選択的にエッチングすることが可能である。金属フッ化物またはタングステン含有パッシベーション剤を用いない場合、点線948で示す反りが生じる可能性がある。金属フッ化物またはタングステン含有パッシベーション剤を単独で添加した場合、点線944で示すネッキングが発生する可能性がある。金属フッ化物またはタングステン含有パッシベーション剤と多状態パルス化方式とを組み合わせることにより、ネッキングおよび反りを防止すると同時に高いエッチング選択比を実現するチューニングが可能となる。3つの電力レベルを有するこの実施形態の多状態パルス化方式により、金属フッ化物またはタングステン含有パッシベーション剤を用いながらもネッキングを防止可能なイオンフラックスおよびバイアスエネルギーが得られると考えられる。この実施形態において、ポリシリコンマスクに対して、誘電体スタックをエッチングするエッチング選択比は、少なくとも2:1である。より具体的には、ポリシリコンマスクに対して、誘電体スタックをエッチングするエッチング選択比は、2:1~3:1である。
【0167】
別の実施形態において、第2の状態における一次RF信号の電力レベルは、第1の状態における一次RF信号の電力レベルの80%未満である。第3の状態における一次RF信号の電力レベルは、第2の状態における一次RF信号の電力レベルの20%未満である。第3の状態における二次RF信号の電力レベルは、第2の状態における二次RF信号の電力レベルの20%未満である。第1の状態は、3%~25%のデューティサイクルを有する。第2の状態は、3%~50%のデューティサイクルを有する。第3の状態は、25%~94%のデューティサイクルを有する。いくつかの実施形態において、第1の状態のデューティサイクルは、第3の状態のデューティサイクルよりも小さい。第2の状態のデューティサイクルは、第3の状態のデューティサイクルよりも小さい。
【0168】
種々の実施形態において、第1の周波数範囲は、80kHz~14MHzの周波数範囲であってもよい。第1の周波数範囲を用いて、イオン衝撃用のバイアスが形成される。第2の周波数範囲は、15MHz~120MHzの周波数範囲であってもよい。第2の周波数範囲を用いて、プラズマが励起される。また、第2の周波数範囲を用いて、プラズマ密度、イオンフラックス、およびプラズマの解離度を制御してもよい。種々の実施形態において、金属フッ化物またはタングステン含有パッシベーション剤は、フッ化タングステンである。フッ化タングステンは、六フッ化タングステン、五フッ化塩化タングステン(WClF5)、および四フッ化二塩化タングステン(WCl2F4)を含んでもよい。他の実施形態において、別のタングステン含有パッシベーション剤は、フッ化タングステンWFxCly(x+y=4、5、6)またはWOxFy(2x+y=4、5、6)である。例えば、タングステン含有パッシベーション剤は、WO2F2、WOF4、またはWCl2F4であってもよい。
【0169】
種々の実施形態において、スタックは、少なくとも1つのシリコン酸化物層を有する。スタックは、シリコンを主成分とする層を含む。種々の実施形態において、マスクは、ポリシリコンなどのハードマスクである。他の実施形態において、スタックは、シリコン酸化物層およびシリコン窒化物層を交互に含む。種々の実施形態において、20:1超の高さ/幅比を有する高アスペクト比(HAR:High Aspect Ratio)フィーチャが設けられる。
【0170】
種々の実施形態において、エッチングガスは、全エッチングガス流量に対するタングステン含有パッシベーション剤の比率がモル数で1:10~1:100である。
【0171】
図10は、一実施形態において使用可能なエッチング反応器の概略図である。1つ以上の実施形態において、プラズマ処理システム1000は、チャンバ壁1052によって囲まれたプラズマ処理チャンバ1049内に、ガス入口を提供するガス分配プレート1006と、静電チャック(ESC)1008とを備える。プラズマ処理チャンバ1049内では、スタック1018がESC1008の上または上方に配置される。ESC1008は、ESC源1048からバイアスを供給してもよい。ESC源1048からの一次RF信号が、ESC1008にてバイアスを供給する。エッチングガス源1010が、ガス分配プレート1006を介してプラズマ処理チャンバ1049に接続される。この実施形態において、エッチングガス源1010は、ポリマーパッシベーション剤源1012、エッチング成分ガス源1017、およびWF
6(またはタングステン含有パッシベーション剤)源1016を含んでもよい。ESC温度コントローラ1050が、冷却器1014に接続される。この実施形態において、冷却器1014は、ESC1008内またはその近傍の流路1005に冷却材を供給する。無線周波数(RF)源1030が、下部電極および/または上部電極(この実施形態では、ESC1008およびガス分配プレート1006)にRF電力を供給する。この実施形態において、RF源1030によって二次RF信号が供給されてもよい。二次RF信号を用いて、プラズマを形成するエネルギーを供給してもよい。例示的な実施形態において、400kHz、60MHz、および任意の構成としての2MHz、27MHzの電源により、RF源1030およびESC源1048が構成される。RF源1030およびESC源1048は、
図1に示すRF発生器RFGx、RF発生器RFGy、およびインピーダンス整合ネットワークIMNを含んでもよい。この実施形態において、上部電極は接地されている。この実施形態において、各周波数に対して1つの発生器が設けられる。他の実施形態において、複数の発生器が別々のRF源内に設けられてもよいし、別々のRF発生器が異なる電極に接続されてもよい。例えば、上部電極は、異なるRF源に接続された内側電極および外側電極を有してもよい。他の実施形態において、他の構成のRF源および電極を用いてもよい。コントローラ1035が、RF源1030、ESC源1048、排気ポンプ1020、およびエッチングガス源1010に制御可能に接続されている。このようなエッチングチャンバの例としては、Lam Research Corporation(カリフォルニア州フリーモント)製の改良型Exelan Flex
TMエッチングシステムが挙げられる。プロセスチャンバは、容量結合プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)反応器または誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)反応器とすることができる。他の実施形態において、誘電体および導電性エッチングチャンバまたは堆積チャンバなど、他の種類のプラズマ処理チャンバを用いてもよい。
【0172】
他の実施形態において、複数の異なる寸法のチャンバが設けられてもよい。これらのチャンバは、異なる相対電力を用いてもよい。例えば、より大きなチャンバは、120kWと同じかそれよりも大きいRF電力を用いてもよい。他の実施形態において、他の状態を追加してもよい。したがって、第4または第5の状態が存在してもよい。
【0173】
本明細書に記載の実施形態は、ハンドヘルドハードウェアユニット、マイクロプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースまたはプログラマブル家電、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータなどを含む種々のコンピュータシステム構成により実施してもよい。本明細書に記載の実施形態は、コンピュータネットワークを介してリンクされた遠隔処理ハードウェアユニットによってタスクが実行される、分散コンピューティング環境において実施することもできる。
【0174】
いくつかの実施形態において、コントローラはシステムの一部であり、システムは上述した例の一部であってもよい。システムは、1つ以上の処理ツール、1つ以上のチャンバ、1つ以上の処理用プラットフォーム、および/または特定の処理用コンポーネント(ウエハ台座やガス流量システムなど)を含む半導体処理装置を備える。システムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、処理後におけるシステムの動作を制御するための電子機器と一体化される。電子機器は「コントローラ」とも呼ばれ、システムの様々なコンポーネントまたはサブ部品を制御してもよい。コントローラは、処理要件および/またはシステムの種類に応じて、本明細書に開示したいずれのプロセスも制御するようにプログラムされる。プロセスには、プロセスガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、RF発生器の設定、RF整合回路の設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置および動作設定、ツールに対するウエハの搬入出、ならびに、システムと接続または連携されたその他の搬送ツールおよび/またはロードロックに対するウエハの搬入出が含まれる。
【0175】
種々の実施形態において、コントローラは広義には、様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/またはソフトウェアを有する電子機器として定義され、命令の受信、命令の送出、動作の制御、洗浄動作の有効化、エンドポイント測定の有効化などを行う。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアとしてのチップ、DSP、ASICとして定義されるチップ、PLD、1つ以上のマイクロプロセッサ、またはプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラを含む。プログラム命令は、様々な個別の設定(またはプログラムファイル)としてコントローラに通信される命令であり、半導体ウエハ上でまたは半導体ウエハ用にプロセスを実施するための動作パラメータを定義する。いくつかの実施形態において、動作パラメータは、1つ以上の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/またはウエハダイの製造において1つ以上の処理工程を達成するためにプロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部である。
【0176】
いくつかの実施形態において、コントローラは、コンピュータの一部であるか、またはコンピュータに結合される。ここで、コンピュータは、システムと一体化しているか、システムに結合されているか、その他の形でシステムとネットワーク接続されているか、これらを組み合わせた形態をとる。例えば、コントローラは、「クラウド」上に存在するか、または工場ホストコンピュータシステムのすべてまたは一部に存在する。これにより、ウエハ処理に関するリモートアクセスが可能になる。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを有効化して、製造工程の進捗状況の監視、過去の製造工程履歴の調査、または複数の製造工程から傾向もしくは性能指標の調査を行い、現在の処理のパラメータを変更したり、現在の処理に続く処理工程を設定したり、新たなプロセスを開始したりする。
【0177】
いくつかの実施形態において、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)からシステムに対して、コンピュータネットワークを介してプロセスレシピを提供する。ここで、ネットワークは、ローカルネットワークまたはインターネットを含む。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定の入力やプログラミングを可能にするユーザインタフェースを含む。これらのパラメータおよび/または設定はその後、リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例において、コントローラは、ウエハを処理するための設定として命令を受信する。なお、これらの設定は、ウエハに対して実行するプロセスの種類、およびコントローラが連携または制御するツールの種類に対して固有の設定であることを理解されたい。したがって、上述したように、コントローラは、1つ以上の個別のコントローラを備えることなどによって分散される。これらの個別のコントローラはネットワーク化され、本明細書に記載のプロセスの達成などの共通の目的に向けて動作する。このような目的のための分散コントローラの一例としては、(例えばプラットフォームレベルで、またはリモートコンピュータの一部として)遠隔設置された1つ以上の集積回路と通信するチャンバに搭載された1つ以上の集積回路が挙げられる。これらの集積回路は協働してチャンバにおけるプロセスを制御する。
【0178】
種々の実施形態において、本明細書に記載のプラズマシステムは、非限定的な例として、プラズマエッチングチャンバ、堆積チャンバ、スピンリンスチャンバ、金属めっきチャンバ、洗浄チャンバ、ベベルエッジエッチングチャンバ、物理気相堆積(PVD:Physical Vapor Deposition)チャンバ、化学気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)チャンバ、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)チャンバ、原子層エッチング(ALE:Atomic Layer Etch)チャンバ、イオン注入チャンバ、トラックチャンバ、または半導体ウエハの製造および/もしくは生産に関連するかもしくは使用されるその他のあらゆる半導体処理チャンバを含む。
【0179】
さらに、上記の動作は、平行板プラズマチャンバ(例えば、容量結合プラズマチャンバなど)を参照して説明されているが、いくつかの実施形態において、上述の動作は、他の種類のプラズマチャンバにも適用される。他の種類のプラズマチャンバは例えば、誘導結合プラズマ(ICP)反応器、トランス結合プラズマ(TCP:Transformer Coupled Plasma)反応器、導体ツール、誘電体ツールを含むプラズマチャンバや、電子サイクロトロン共鳴(ECR:Electron Cyclotron Resonance)反応器を含むプラズマチャンバなどである。例えば、XMHzのRF発生器、YMHzのRF発生器、およびZMHzのRF発生器が、ICPプラズマチャンバ内のインダクタに結合される。
【0180】
上述した通り、ツールによって実行されるプロセス工程に応じて、コントローラは、他のツール回路またはツールモジュール、他のツールコンポーネント、クラスタツール、他のツールインタフェース、隣接するツール、付近のツール、工場内の各所に設置されたツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または半導体生産工場内のツール位置および/もしくはロードポートに対してウエハコンテナの受け渡しを行う材料輸送で使用されるツールのうち、1つ以上と通信する。
【0181】
上記の実施形態を念頭に置き、いくつかの実施形態は、コンピュータシステムに記憶されたデータを用いた種々のコンピュータ実装動作を採用していることを理解されたい。これらのコンピュータ実装動作は、物理量を操作するものである。
【0182】
いくつかの実施形態はまた、これらの動作を実行するためのハードウェアユニットまたは装置に関する。装置は、専用コンピュータ向けに特別に構成される。専用コンピュータとして規定された場合、コンピュータは、特定の目的のために動作可能でありつつ、特定の目的に含まれない他の処理、プログラム実行、または、ルーチンを実行する。
【0183】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の動作は、選択的にアクティブ化されたコンピュータによって実行されるか、コンピュータメモリに記憶された1つ以上のコンピュータプログラムによって構成されるか、またはコンピュータネットワークを介して取得される。コンピュータネットワークを介してデータが取得される場合、データは、コンピュータネットワーク(例えば、コンピューティングリソースのクラウド)上の他のコンピュータによって処理されてもよい。
【0184】
本明細書に記載の1つ以上の実施形態は、非一時的なコンピュータ可読媒体上に記録されたコンピュータ可読コードとして製造されてもよい。非一時的なコンピュータ可読媒体は、データを記憶する任意のデータ記憶ハードウェアユニット(例えば、メモリ装置など)である。データはその後、コンピュータシステムによって読み出される。非一時的なコンピュータ可読媒体の例としては、ハードドライブ、ネットワークアタッチトストレージ(NAS)、ROM、RAM、コンパクトディスクROM(CD-ROM)、CDレコーダブル(CD-R)、CDリライタブル(CD-RW)、磁気テープ、ならびに他の光学式および非光学式データ記憶ハードウェアユニットが挙げられる。いくつかの実施形態において、非一時的なコンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読コードが分散的に記憶および実行されるようにネットワーク結合コンピュータシステム上に分散された、有形のコンピュータ可読媒体を含む。
【0185】
上記のいくつかの方法工程は、特定の順序で示されているが、種々の実施形態において、他のハウスキーピング工程がこれらの方法工程の間に実行されるか、わずかに異なるタイミングで行われるようにこれらの方法工程が調整されるか、これらの方法工程を様々な間隔で行うことを可能にするシステムにおいてこれらの方法工程が分散されるか、または、上記とは異なる順序でこれらの方法工程が実行されることに留意されたい。
【0186】
さらに、一実施形態において、上記のいずれかの実施形態の1つ以上の特徴が、本開示に記載した種々の実施形態に記載の範囲を逸脱することなく、他のいずれかの実施形態の1つ以上の特徴と組み合わされることに留意されたい。
【0187】
明確な理解に資する目的で上記の実施形態をある程度詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲内で、一部変更や変形を行えることは明らかである。したがって、本実施形態は、あくまでも例示であって本開示を限定しないと考えられるべきであり、実施形態は、本明細書に記載の詳細に限定されず、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内で変形されてもよい。